JP6293855B2 - 物質分析方法および分析装置 - Google Patents
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Description
図1は、第1の実施形態に係るガス分析方法に用いるガス分析装置を例示する模式図である。
図1に表したように、ガス分析装置110は、セル部20と、光源部30と、検出部40と、制御部45と、を含む。
図2(a)において、縦軸はQCL30aの電流J、横軸は時間t、を表す。図2(b)において、縦軸は波長、横軸は時間t、を表す。なお、波数は、波長の逆数である。図2(c)において、縦軸は検出器出力Sg、横軸は時間t、である。QCL30aに供給される電流Jは、時間tの増加とともに単調に変化する。図2(a)に表すように電流を三角波とすると、波長λは1周期内で時間とともに増加し(図2(b))時間t1で赤外線の波長はλ1となり、時間t2で赤外線の波長はλ2(>λ1)となる。なお、図2において、右半分は、対象ガスを含むサンプルガスをセルに導入した場合であり、左半分は、対象ガスを含まない基準ガスを導入した場合である。
また、図4(a)はサンプル信号の検出器出力、図4(b)は暫定の吸収率、図4(c)は決定された波数区間、図4(d)は決定されたリファレンス推定信号、を表すグラフ図である。
図4(a)において、縦軸は検出器出力(V)、横軸は時間(s)、である。図4(b)において、縦軸は吸収率、横軸は時間(s)、である。図4(c)において、縦軸は吸収率、横軸は時間(s)、である。
サンプル信号から、再推定されたリファレンス信号を除算して吸収スペクトルを求め、理論スペクトルとのフィッティングによりそれぞれの同位体の吸収スペクトルに分離し同位体比を算出する(ステップ108)。
縦軸は検出器出力(V)、横軸は時間t、である。比較例では、リファレンス信号を内挿により推定する波数区間F11、F12などは、時間軸上で固定されている。他方、QCLの特性は、経時変化、ガスセル内外の環境(温度や圧力など)変化により、吸収のある範囲が時間軸上で、図5に表すように変動する。このため、波数帯域F11、F12を時間軸上の範囲で固定すると、サンプル信号A1ではリファレンス信号が正しく推定されるが、サンプル信号A2では、推定されたリファレンス信号が本来のリファレンス推定信号よりも過小となり吸収率B算出における誤差が増大する。
図6(a)において、縦軸は検出器出力、横軸は時間、である。図6(b)において、縦軸は吸収係数、横軸は波数(cm−1)、である。図6(c)において、縦軸は吸収係数、横軸は波数(cm−1)、である。
図7(a)、(b) において、縦軸は吸収係数(cm−1)、横軸は波数(cm−1)、である。
吸収率Bのスペクトル曲線のフィッティング範囲は、13CO2の吸収線および12CO2の吸収線に対して、たとえば、それぞれのピーク強度の2分の1以上かつ信号対雑音比SNRが10以上となる領域とすることができる。
第3の実施形態では、図9に表すようにサンプル信号中に2つの同位体の吸収スペクトルがある場合に、それぞれの吸収波数におけるリファレンス信号を、それぞれの両側にある、低吸収区間から個別に内挿する。第1の実施形態では、サンプル信号中の低吸収区間全てから例えば2次曲線一本によるリファレンス推定を行っているため、それぞれの吸収波数においてリファレンス信号の誤差が大きくなるが、本実施形態ではその誤差を抑制することができる。
第4の実施形態では、図10に表すようにサンプル信号中に複数の対象ガスの吸収スペクトルがある場合に、そのピーク時間に波数を対応させて、例えばHITRANデータベース等から決定される理論上の低吸収な波数区間のみを細分化して、それらの内挿によりリファレンス信号を推定する。第1の実施形態では、内挿区間に理論上の低吸収ではない範囲が含まれているのに対して、本実施形態ではより低吸収な区間のみから内挿するため、リファレンス信号の推定精度が向上する。
Claims (8)
- 測定試料に含まれる少なくとも2つの同位体の吸収線を含む波数帯域内において、前記測定試料を透過した光の強度に対応したサンプル信号に基づいて、吸収率が低い区間のサンプル信号から暫定リファレンス信号を推定する第1ステップと、
前記サンプル信号から前記暫定リファレンス信号を除算して暫定吸収率の分布を算出する第2ステップと、
前記暫定吸収率が所定値以下となる波数区間を決定し、前記波数区間のサンプル信号に基づいてリファレンス信号を再推定する第3ステップと、
前記波数区間の前記サンプル信号から前記第3ステップで再推定された前記リファレンス信号を除算して吸収率分布を算出することにより吸収スペクトルを求める第4ステップと、
前記吸収スペクトルと、HITRANデータベースに基づく前記少なくとも2つの同位体の理論スペクトルと、をフィッティングにより、それぞれの同位体の吸収スペクトルに分離し、同位体比を算出する第5ステップと、
を備えた物質分析方法。 - 時間とともに波数が単調に変化する、請求項1記載の物質分析方法。
- 前記吸収スペクトルのフィッティング範囲は、前記少なくとも2つの同位体の吸収線に対して、それぞれのピーク強度の2分の1以上かつ信号対雑音比が10以上となるスペクトル強度領域とする請求項1または2に記載の物質分析方法。
- 前記光は、量子カスケードレーザから放出される、請求項1〜3のいずれか1つに記載の物質分析方法。
- 測定試料に含まれる少なくとも2つの同位体の吸収線を含む波数帯域内において、前記測定試料を透過した光の強度に対応したサンプル信号に基づいて、前記測定試料を分析する分析装置であって、
吸収率が低い区間のサンプル信号から暫定リファレンス信号を推定し、前記サンプル信号から前記暫定リファレンス信号を除算して暫定吸収率の分布を算出し、前記暫定吸収率が所定値以下となる波数区間を決定し、前記波数区間のサンプル信号に基づいてリファレンス信号を再推定し、前記波数区間の前記サンプル信号から再推定された前記リファレンス信号を除算して吸収率分布を算出することにより吸収スペクトルを求め、前記吸収スペクトルと、HITRANデータベースに基づく前記少なくとも2つの同位体の理論スペクトルと、をフィッティングさせることによりそれぞれの同位体の吸収スペクトルに分離し、同位体比を算出する制御部を備えた分析装置。 - 測定試料に含まれる少なくとも2つの同位体の吸収線を含む波数帯域内で光の波数を変化させる光源部と、
前記測定試料が導入されるセル部と、
前記測定試料を透過した前記光の強度を測定することにより同位体比を算出するためのデータを収集する検出部と、
を備え、
前記データは、吸収率が低い区間のサンプル信号から暫定リファレンス信号を推定し、前記測定試料から前記暫定リファレンス信号を除算して暫定吸収率の分布を算出し、前記暫定吸収率が所定値以下となる波数区間を決定し、前記波数区間のサンプル信号に基づいてリファレンス信号を再推定し、前記波数区間の前記サンプル信号から再推定された前記リファレンス信号を除算して吸収率分布を算出することにより吸収スペクトルを求め、前記吸収スペクトルと、HITRANデータベースに基づく前記少なくとも2つの同位体の理論スペクトルと、をフィッティングさせることによりそれぞれの同位体の吸収スペクトルに分離し、前記同位体比を算出するための前記光の前記強度の測定値を含む、分析装置。 - 前記光源部は、前記光を放出可能な量子カスケードレーザを有する請求項6記載の分析装置。
- 前記光源部は、時間とともに波数を単調に変化させる請求項6または7に記載の分析装置。
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