JP6292854B2 - 放射性廃棄物のガラス固化体及びその形成方法 - Google Patents

放射性廃棄物のガラス固化体及びその形成方法 Download PDF

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Description

本発明は、放射性廃棄物のガラス固化体、特に凝集剤として硫酸バリウムを生成させる凝集沈殿法により放射性物質を含む汚染水を処理した際に発生する硫酸バリウムを主成分として含むスラッジをガラス固化した固化体及びその形成方法に関する。
現在、福島第一原子力発電所事故の収束に向けた諸々の取組みがなされており、その中で重要な課題の一つとなっているのが1〜4号機建屋内の高濃度の放射性物質を含む滞留水に含まれる放射性物質の除去と保管である。前記滞留水からの放射性物質の除去方法として、収着法や凝集沈殿法が用いられている。
滞留水からの放射物質の除去方法としては、非特許文献1による方法が知られている。この方法では、第1の工程として、滞留水に含まれるアンチモン、α放射性元素を滞留水から沈殿分離し、第2の工程として、セシウムを除去し、第3の工程として、ルテニウムを除去し、第4の工程としてストロンチウムを除去する。第4の工程においては、凝集沈殿法によってストロンチウムを除去している。この凝集沈殿の方法は、滞留水中のストロンチウムを硫酸バリウムとともに共沈させる方法(例えば、非特許文献2)を用いている。
前記第2の工程では、滞留水中に不溶性フェロシアン化物(ヘキサシアノニッケル(II)鉄(II)酸カリウム(K2−xNix/2[NiFe(CN)]・nHO,略称KNiFCと呼ぶ)の微粒子を投入し、前記不溶性フェロシアン化物に滞留水中のセシウムを吸着させて、その後、静置して沈殿させてセシウムを滞留水中から除去する。
前記凝集沈殿方法では、硫酸バリウムとストロンチウム(Sr)などとを共沈させたスラリー状の廃液をスラッジと呼んでいる。このスラッジは放射能が低下するまで管理保管する必要がある。しかし、このスラッジは、スラリー状の液体であるため扱いにくく、固化物へ変換されることが好ましい。そのような固化物としてガラス固化体が挙げられる。
また、上述の滞留水からの放射性物質の除去方法では、前記スラッジに、第1の工程、第2の工程、第3の工程で発生した沈殿物が混ざった状態でスラッジが形成されることも考えられる。
また、滞留水には、原子炉を冷却する過程で原子炉に注入した海水の成分が混じっており、前記スラッジには、海水の成分が含まれることも考えられる。
従来、放射性廃棄物のガラス固化方法については、原子力発電所の使用済み燃料や再処理施設において発生した放射性廃棄物を長期間安定的に保管するために研究が続けられてきた。そして、放射性廃棄物のガラス固化体のガラスとしては、ホウケイ酸塩ガラスが使用されていた。
また、ホウケイ酸塩ガラス以外を用いる方法としては、PbO−B−ZnO系やPbO−B−SiO系ガラス(特許文献1)、リン酸マグネシウム系ガラス(特許文献2)、使用済み燃料の再処理後の硝酸ナトリウムを主成分とする廃液を鉄リン酸塩ガラスで固化する方法(非特許文献3)、高レベル放射性廃棄物を鉄リン酸塩ガラスでガラス固化する方法(非特許文献4)などが提案されていた。
SGN,ANDRA,"Waste Treatment at the La Hague and Marcoule Sites",ES/WM−49(1995)。 筒井天尊 他、「化学共沈法による高塩分放射性廃液の処理(I)」、保健物理、15,33〜39(1980) R.D.Leerssen,Iron Phosphate Glass for the Vitrification of INEEL Sodium Bearing Waste and Hanford Low Activity Waste,University of Missouri−Rolla(2002)。 天本一平 他「リン酸系ガラスによる放射性廃棄物固化技術」、NEW GLASS Vol.22,No.2,p21〜26(2007)
特開2003−050297号公報 特開2005−207885号公報
このように、これまで放射性廃棄物のガラス固化技術は、主に使用済み燃料の再処理の際に発生する放射性廃棄物を対象として行われていた。しかしながら、原子炉建屋内に溜まった滞留水や原子力施設から排出される放射性排水などの汚染水に含まれる放射性物質を凝集沈殿させた際に発生するスラッジをガラス固化する方法についてはほとんど検討されてきていない。
ホウケイ酸塩ガラスは、多量の廃棄物をガラス固化体中に閉じ込めることが困難であり、廃棄物中にイオンやリン酸塩成分が多い場合には、水に対する浸出率が大きくなるという問題がある。また、放射性廃棄物成分の充填率が25wt%より大きくなると廃棄物成分を主成分とする析出物が生成する相分離現象が起こるため、ガラス固化体中への放射性廃棄物成分の閉じ込め性能が低下するという問題があった。また、放射性廃棄物中にSOのような硫黄酸化物、Pのようなリン酸塩、NaClのような塩化物が増加してくると、ガラスの分相傾向を助長して、ガラス固化体の安定性が低下するという問題があった。
さらに、汚染水中で硫酸バリウムを生成させる凝集沈殿法により放射性物質を含む汚染水を処理した際に発生する硫酸塩を含むスラッジをガラス固化させるときに、ホウケイ酸塩ガラスを用いた場合には、該ガラスへの硫酸成分の溶解度が低く硫酸塩がガラス固化体の表面に析出してしまうという問題があった。
本発明は、前記硫酸塩を含むスラッジを高い充填効果でガラス化し、化学的耐久性の優れた固化体を提供することを課題とする。
本発明は、Fe及びPを含む鉄リン酸塩ガラスによって放射性廃棄物をガラス固化したガラス固化体において、前記硫酸バリウムを含むスラッジをガラス固化させて、ガラス固化体内に閉じ込められたスラッジに含まれる放射性物質が外部に漏れ出さないように安定的に保管することのできるガラス固化体及び前記スラッジのガラス固化処理方法を提供することを目的としている。
すなわち、本発明は、前記硫酸バリウムを含むスラッジを鉄リン酸塩ガラスでガラス固化するために加熱及び溶融する過程で、硫酸バリウムが分解し、硫黄成分がガス化して飛んでいくので、硫酸塩が表面に析出しない均一な構造のガラス固化体が形成されるとともに、構造的に安定なガラス固化体が得られ、前記ガラス固化体として閉じ込められた放射性物質が外部へ流出することを防ぐことができる。
本発明は、硫酸バリウムだけではなく、硫酸バリウムとともに共沈したストロンチウムなども構造的に安定した状態でガラス固化させることができる。
上述のガラス固化処理方法では、Fe及びPを含む鉄リン酸塩ガラスに、前記硫酸バリウムを含むスラッジを混合し、次いで加熱してガラスをスラッジとともに溶融するか、又は、Fe及びPを含む前記鉄リン酸塩ガラスと前記硫酸バリウムとをそれぞれ溶融炉に供給しながら加熱し、溶融させる過程で混合し、前記硫黄成分が揮発により除去された後に、次いで冷却固化する。この際に、そのFe、P及び硫黄成分の抜けたスラッジの残留物の組成比が、モル%で16%〜30%:30%〜63%:7%〜50%でガラス固化体が構成されるように、ガラス組成、ガラスとスラッジの混合比、加熱温度、加熱時間を調整する。本発明のガラス固化処理方法で前記スラッジがガラス固化されたときに、このような組成比になるようにすることによって、より構造的に安定なガラス固化体を得ることができて好ましい。
また、上述のガラス固化処理方法では、Fe、P及び硫黄成分の抜けたスラッジの残留物の組成比が、モル%で25%〜32%:40%〜53%:20%〜32%でガラス固化体が構成されるようにしてもよい。前記硫黄成分の抜けたスラッジの残留物の組成比が32%を超えて大きくなるようにしてガラス固化することが保管スペースの確保の面から好ましいが、ガラス固化体内に大量のスラッジを閉じ込めると、ガラス固化体の長期間の安定性が低下する可能性があり、さらにスラッジに含まれる放射性物質の崩壊熱が多く発生して、ガラス固化体の構造の安定性が損なわれる可能性がある。その可能性を避けるためには、このような範囲で硫黄成分の抜けたスラッジの残留物のガラス固化体での組成比を設定することがより好ましい。
上述のガラス固化処理方法では、該スラッジには、さらに不溶性フェロシアン化物が含まれている場合があり、該ガラス固化体のスラッジ残留物には、前記不溶性フェロシアン化物に由来する酸化物が含まれていてもよい。
前記不溶性フェロシアン化物に由来する酸化物は、Fe及びPを含む鉄リン酸塩ガラスと、前記スラッジとを混合し、次いで十分な酸素が含まれている雰囲気下で加熱及び溶融した際に、前記不溶性フェロシアン化物を構成するシアノ基が分解する過程で、主に前記不溶性フェロシアン化物を構成するニッケル、鉄、カリウムが酸化される過程で生じるものである。このような不溶性フェロシアン化物に由来する酸化物が、該ガラス固化体のスラッジ残留物に含まれていても、構造的に安定なガラス固化体を得ることができる。
また、前記スラッジには、さらに海水由来の成分が含まれている場合もあり、該ガラス固化体のスラッジ残留物には、前記海水に由来する酸化物が含まれていてもよい。前記海水に由来する酸化物は、Fe及びPを含む鉄リン酸塩ガラスと、前記スラッジとを混合し、加熱及び溶融した際に、海水の成分に含まれるNaCl、MgCl、MgSO、CaSOなどといったものが酸化される過程で生じるものである。このような海水に由来する酸化物が、該ガラス固化体のスラッジ残留物に含まれていても、構造的に安定なガラス固化体を得ることができる。
本発明によれば、硫酸バリウムを主成分とするスラッジをガラス固化体表面に硫黄化合物が析出することなく、ガラス固化体内に閉じ込めてガラス固化することができ、さらに構造的に安定した相分離物のない均質なガラス固化体を提供できるので、ガラス固化体に閉じ込められた放射性物質がガラス固化体の外部に流出することなく化学的耐久性に優れているので安定的にガラス固化体を保管することが可能となる。
以下、本発明の詳細を説明する。
<本発明で使用する鉄リン酸塩ガラスの成分>
本発明で使用される鉄リン酸塩ガラス自体は、公知のガラスの一種でありFe及びPを主成分としているガラスをいう。このガラスは、加水分解を起こし易いP 4−で支配されるネットワークに、Fe(II)−Fe(III)−Oの多面体が連鎖した構造をとることにより、加水分解を起こしにくい化学的に安定なFe−O−Pネットワークを形成することができる。
FeとPの2成分でガラスを構成する場合、Feは、P系ガラスにおける空気中の水分を吸収して安定な構造をとる性質である吸湿性を向上させる成分で、ガラスを安定化させるために必須な成分であり、10〜50モル%の範囲で含有させることが望ましい。Pはガラスの主成分であり、スラッジを効率的に固化するために必須な成分であり、40〜80モル%の範囲で含有させることが望ましい。
その他成分としては、ガラスの耐熱性及び化学的安定性を向上させるために(Al+B+SiO+TiO+ZrO)の合量で10モル%以下の範囲で、またガラスの溶融性を向上させることによって溶解しやすくし、かつ加工性を向上させることによって結晶化させることなくガラス固化体を得るために、RO(LiO+NaO+KO)の合量で15モル%以下の範囲で、さらにガラスの溶融性を向上させつつ耐熱性及び化学的安定性を高めるために、R’O(MgO+CaO+SrO+BaO+ZnO)の合量で15モル%以下の範囲で、それぞれ含有させても構わない。さらに、この他にも、FやClなどを、上記性質を損なわない範囲で5モル%まで加えてもよい。
ここで、Feが10モル%未満では吸湿性の向上が不十分であり、一方、50%を超えると結晶化しやすくなり、ガラス化が困難となるため、Feは10〜50%、好ましくは10〜40%、より好ましくは20〜40%の範囲とする。Pはガラスの主成分であるので、40%未満ではガラスの形成が困難となり、他方、80%を超えるとガラスの耐湿性が著しく悪くなるため、Pは40〜80%、好ましくは50〜80%、より好ましくは55〜75%の範囲とする。またFeのモル%は10〜50%、Pのモル%を40〜90%でも構わない。
本発明では、このようなFe及びPを含む鉄リン酸塩ガラスと、硫酸バリウムを主成分とするスラッジとを混合し、次いで加熱及び溶融し、硫黄成分が除去された後で残留した酸化バリウムを主成分とする残留物を、前記ネットワークを壊さずに、そのネットワーク構造中に取り込んでガラス固化体とするものである。
<本発明の鉄リン酸塩ガラスの作製方法>
前記Fe及びPを含む鉄リン酸塩ガラスの作製は次の通りである。(1)Fe源として酸化鉄を用い、P源として正リン酸、リン酸水素二アンモニウム、またはリン酸二水素アンモニウムを用い、それらを所定の割合になるように混合し、その混合物を導電性で耐熱性に優れた炭化ケイ素やホウ化ジルコニア等、又は非導電性で耐熱性に優れたアルミナやジルコニア等で形成された溶融炉に投入し、加熱及び溶融する。
(2)前記融液をカーボン型枠上に流し出す、あるいは融液を水冷ロールに通すなどしてガラス塊を作製する。(3)前記ガラス塊を細かく破砕して鉄リン酸塩ガラスを作製する。
ここで、溶融温度は、1000℃〜1400℃の間で、均質な融液が得られるように調整する。この温度範囲で調整するのは、1000℃より低い温度では、前記混合物の溶融が困難であり、均質なガラス融液が得られないからであり、一方、1400℃を超えると、Pの揮発が著しくなり、所望のガラス組成のガラス固化体を形成することが難しくなるためである。
また、溶融時間に関しては、均質な融液を得られるだけの時間が必要であり、一回のバッチで溶かす前記混合物の量や前記混合物を加熱するために投入するためのエネルギーによるが、0.5時間〜5時間が目安となる。
なお、ここで、鉄リン酸塩ガラスは、一つの塊が30mm以下に砕かれていれば、加熱及び溶融する際に溶融しやすく、より短い時間で均質な融液を得ることができる。しかし、本発明で使用する鉄リン酸塩ガラスは、前記スラッジと混合し、次いで加熱及び溶融するか、又は、前記スラッジとそれぞれ溶融炉に供給しながら加熱し、溶解する過程で混合するのに適していれば特に形状に拘らず、鱗片状、粉末状、あるいは繊維状などの形態もとることができる。
<本発明のガラス固化処理方法でガラス固化するスラッジ>
本発明のガラス固化処理方法でガラス固化するスラッジは、ストロンチウムなどの放射性物質を凝集沈殿させる工程で発生する放射性物質のイオン、微粒子を含んだ水に、凝集剤として硝酸バリウムと硫酸とを添加することで、水に対して難溶性の硫酸バリウムを生成させ、その硫酸バリウムと共に前記水中に含まれるイオンのうちで硫酸イオンと結合して生成する難溶性の硫酸ストロンチウムなどの硫酸化合物を凝集・沈殿させることによって生じるものである。スラッジの組成は、ほとんどが凝集剤として用いられる硫酸バリウムであり、微量の硫酸ストロンチウムなどの硫酸化合物及び塩分を含む廃水の場合は微量の硫酸カルシウムなどが含まれる。
<鉄リン酸塩ガラスとスラッジとの加熱及び溶融過程での化学変化>
本発明のガラス固化処理方法では、鉄リン酸塩ガラスと硫酸バリウムを含むスラッジとを回転揺動式粉体混合機等の混合装置によって鉄リン酸塩ガラスと硫酸バリウムを含むスラッジとが均一になるように混合したのち、大気雰囲気下で、加熱してガラスとスラッジを溶融し、均一な融液となるように混合する。鉄リン酸塩ガラスの融点は組成によるが、950℃以上であり、好ましくは1100℃以上に加熱することにより均質にガラス化する。
この溶融の過程では、硫酸バリウムの硫黄成分が900℃以上の高温となることによって分解し、ガスとして抜けていき、硫酸バリウムは酸化バリウムになる。また、前記スラッジに硫酸ストロンチウムなどの硫酸化合物が含まれている場合にも硫酸バリウムの場合と同様に硫黄成分が分解し、ガスとして抜けていき、例えば、硫酸ストロンチウムは酸化ストロンチウムになるため、ガラス固化体表面に硫酸塩が析出することなく、ガラス固化体内に硫黄成分が抜けたスラッジの残留物、すなわち酸化バリウム及び/又は酸化ストロンチウムがFe−O−Pネットワークに閉じ込められて充填される。
硫酸バリウム及び硫酸ストロンチウムの硫黄成分は、SOとして抜けていく。抜けていく際には、融液が発泡する。この発泡が収まったときが、硫黄成分が抜けたことの目安となる。この融液をガラス固化体としたときの硫黄の含有量は、0.3モル%以下となっている。このような状態を、硫黄成分が抜けたとみなしている。そのため、ガラス固化体の硫黄含有量が1モル%程度以下であれば、化学的に安定したガラス固化体となっている。
この溶融過程において、加熱温度が900℃未満である場合、スラッジに含まれる硫酸バリウムや硫酸ストロンチウムが分解されず、硫黄成分が抜けきらないで、含有されてしまうと、ガラス固化体の表面に硫黄成分、あるいは硫酸塩として析出してくるため、ガラス固化体の構造的な安定性が悪くなり、安定的に保管することが困難となる。また、加熱温度が1400℃を超えると、Pの揮発が著しくなり、所望のガラス組成のガラス固化体を形成することが難しくなるため、1400℃を超えないようにすることが好ましい。
前記鉄リン酸塩ガラスと前記スラッジとの混合物を溶融させるためには、導電性で耐熱性に優れた炭化ケイ素やホウ化ジルコニア等、又は非導電性で耐熱性に優れたアルミナやジルコニア等で形成された溶融炉に前記混合物を入れて加熱させることができる。又は、前記鉄リン酸塩ガラスと前記スラッジとをそれぞれ溶融炉に供給しながら加熱し、溶解する過程で混合するようにしてもよい。
また、通常、スラッジは水分を多く含んでいるため、鉄リン酸塩ガラスとともに加熱し、溶解させる前に、ロータリーキルン炉などで仮焼し、粉体状にしてもよい。また、鉄リン酸塩ガラスをガラス繊維の形態で用いるときには、前記ガラス繊維をまとめて塊として、その塊にスラッジをしみ込ませた上で溶融炉に供給してもよい。
このようにして加熱及び溶融させた溶融物は、カーボン型枠、あるいは金属製の容器等に流し込んで冷却固化することができる。
<鉄リン酸塩ガラスとスラッジとの加熱及び溶融過程で、スラッジに不溶性フェロシアン化物が含まれている場合の不溶性フェロシアン化物の化学変化>
本発明のガラス固化処理方法では、前記スラッジに不溶性フェロシアン化物が含まれている場合がある。不溶性フェロシアン化物は酸素が十分に含まれている雰囲気下で200℃〜400℃の範囲でシアノ基が分解し、前記不溶性フェロシアン化物を構成するニッケル、鉄及びカリウムは酸化され、前記不溶性フェロシアン化物に由来する酸化物となる。
本発明で用いる鉄リン酸塩ガラスの融点は一般的に950℃以上であり、前記スラッジを構成する硫酸バリウムから硫黄成分を抜くために900℃以上に加熱する必要があることから、前記不溶性フェロシアン化物は、シアノ基が分解するとともに、ニッケル酸化物、鉄酸化物及びカリウム酸化物にまで酸化される。
そして、ニッケル酸化物、鉄酸化物及びカリウム酸化物とは、酸化バリウム及び/又は酸化ストロンチウムとともに、鉄リン酸塩ガラスのFe−O−Pネットワークに閉じ込められて充填される。なお鉄酸化物はFe−O−Pネットワークに閉じ込められるものや、Fe−O−Pネットワークを形成するのもある。
<本発明の方法で作製したガラス固化体の組成について>
本発明のガラス固化処理方法によって作製されるガラス固化体は、Fe及びPからなる鉄リン酸塩ガラスと、硫酸バリウムを主成分とするスラッジとを混合して、加熱及び溶融した過程で硫酸バリウムが酸化バリウムに変化し、酸化バリウムを鉄リン酸塩
ガラス内に安定して保持した状態で、ガラス化させることができる。
また、前記スラッジに硫酸ストロンチウムが含まれている場合であっても、前記スラッジを前記鉄リン酸塩ガラスともに混合して、加熱及び溶融した過程で、硫酸ストロンチウムは、酸化ストロンチウムとなり、ガラス固化させることができる。
また、本発明のガラス固化処理方法では、表1の試料2〜6、8〜12、16〜22に示されるように、Fe、P及び硫黄成分の抜けたスラッジの残留物の組成比が、モル%で16%〜30%:30%〜63%:7%〜50%でガラス固化体が構成されるようにすると、硫黄成分の抜けたスラッジの残留物を7%〜50%で含む構造的に安定したガラス固化体を得ることができる。ここで、硫黄成分の抜けたスラッジの残留物とは、スラッジに含まれている成分のうち硫酸ストロンチウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩の硫黄成分が加熱及び溶融によってガス化して抜けて、酸化ストロンチウム、酸化バリウムといった酸化物となったものを指している。
また、本発明のガラス固化処理方法では、表1の試料4〜6、10〜12、16〜22に示されるように、Fe、P及び硫黄成分の抜けたスラッジの残留物の組成比が、モル%で16%〜33%:30%〜50%:20%〜50%でガラス固化体が構成されるようにして硫黄成分の抜けたスラッジの残留物を20%以上とすると、硫黄成分の抜けたスラッジの残留物を安定的に高密度で保持することができ、保管すべきガラス固化体の体積を小さくする上でより好ましい。
また、本発明のガラス固化処理方法では、表1の試料5、6、11、12、17に示されるように、Fe、P及び硫黄成分の抜けたスラッジの残留物の組成比が、モル%で16%〜32%:30%〜41%:30%〜50%でガラス固化体が構成されるようにして、硫黄成分の抜けたスラッジの残留物を30%以上とすると、硫黄成分の抜けたスラッジの残留物を安定的に高密度で保持することができ、保管すべきガラス固化体の体積をさらに小さくする上でさらに好ましい。
また、本発明のガラス固化処理方法では、表1の試料5、6、11、12に示されるように、Fe、P及び硫黄成分の抜けたスラッジの残留物の組成比が、モル%で16%〜22%:30%〜41%:40%〜50%でガラス固化体が構成されるようにして、硫黄成分の抜けたスラッジの残留物を40%以上とすると、硫黄成分の抜けたスラッジの残留物を安定的に高密度で保持することができ、保管すべきガラス固化体の体積を小さくする上で好ましい。
また、本発明のガラス固化処理方法では、表1の試料4、10、16〜22に示されるように、Fe、P及び硫黄成分の抜けたスラッジの残留物の組成比が、モル%で25%〜32%:40%〜53%:20%〜32%でガラス固化体が構成されるようにして、硫黄成分の抜けたスラッジの残留物を、20%〜32%とすると硫黄の抜けたスラッジの残留物をガラス固化体に閉じ込めて、長期的な安定性を確保する上でより好ましい。
硫黄成分の抜けたスラッジの残留物を、20%〜32%の範囲とするのは、すなわち前記硫黄成分の抜けたスラッジの残留物の組成比が大きくなるようにしてガラス固化することが保管スペースの確保の面から好ましいが、ガラス固化体内に大量のスラッジを閉じ込めると、スラッジに含まれる放射性物質の崩壊熱が多く発生して、ガラス固化体の構造の安定性が損なわれる可能性があるためである。そのため、このような範囲で硫黄成分の抜けたスラッジの残留物のガラス固化体での組成比を設定することがより好ましい。
前記硫黄成分の抜けたスラッジの残留物は、酸化バリウム及び酸化ストロンチウムであるが、その他の元素により構成される分子、変化しきれなかった硫酸バリウム、硫酸ストロンチウムが不可避的に微量含まれていても構わない。
また、スラッジに含まれるバリウムとストロンチウムは、いずれもアルカリ土類金属であるため、その化学的特性は類似であるため、バリウムとストロンチウムの比率が多少変わっても、同様にガラス固化体を得ることができる。
<本発明のガラス固化体の形態について>
放射性廃棄物処理におけるガラス固化体は、一般的にステンレス製のキャニスター内に、融液の状態で注入されて固化されたものを指すことが多い。しかしながら、本発明においては、ステンレス製容器にこだわる必要はなく、長期間の保管で容器が腐食してしまい、中のガラス固化体が外部に出ることがないように、腐食に強い材料で作製された容器内に保管されておればよい。さらに、前記容器には、融液の状態で注入する必要はなく、例えば、固化して固まったものを前記容器に入るように細かく砕いて前記容器に保管するようにしてもよい。
以下、本発明のガラス固化処理方法の実施例1を示す。
<試料の作製>
表1〜表4は、本発明の実施例1を示している。表1には試料1〜6、表2には試料7〜12、表3には試料13〜17、表4には試料18〜22を示している。
実施例1の試料として使用した鉄リン酸塩ガラスは、次のようにして作製した。
Fe:P=30:70、35:65、40:60(モル%)の3種類の組成とした。Fe源としては試薬の酸化鉄(関東化学製)を用い、P源として正リン酸(キシダ化学製)を用いた。前記酸化鉄と、前記正リン酸とを、ガラス化量が500gになるように所定量を秤量し、混合した。その混合物を白金ルツボに投入し、電気加熱炉内で大気雰囲気下、試料1〜試料6では、1300℃、試料7〜22では1200℃で、1時間加熱及び溶融し、均一な融液を得た。このように試料によって加熱温度が異なっているのは、組成比によって溶融温度が異なっていたためである。そして前記溶融ガラスをカーボン型枠に流し込んで空冷でガラスを作製した。次に、作製したガラスをアルミナ乳鉢で850μm未満になるように粉砕して粉末状の鉄リン酸塩ガラスにした。
また、実施例1では実際のスラッジではなく、スラッジを模擬した模擬スラッジとして、硫酸バリウムの試薬(キシダ化学)、あるいは硫酸ストロンチウムの試薬(キシダ化学)を添加した硫酸バリウムの試薬を使用した。
そして、前記粉末状の鉄リン酸塩ガラスと前記模擬スラッジとを表1〜表4に示す混合比(wt%)で混合し、その混合物を白金ルツボに投入して、電気加熱炉内で大気雰囲気下1250℃、0.5時間加熱及び溶融し、均一な融液を得た。そして、その溶融物をカーボン型枠に流し込んで空冷でガラス固化体の試料を作製した。
<作製した試料の評価基準・評価方法>
このようにして作製した各試料について、試料のガラス化の確認、密度、ガラス転移点・軟化点、化学的耐久性を評価した。
試料がガラス化していることの確認は、粉末X線回折装置Ultima IV(リガク(株)製)を用いて、非晶質状態であることを示す特有のハローパターンの確認及び結晶が存在していないことを確認することで行った。
試料の密度の測定は、精密上皿電子天秤ER−180A(A and D社製)を用いて行った。測定を行う際の、溶媒には超純水を使用してアルキメデス法により測定した。
試料のガラス転移点と軟化点の測定は、示差熱分析装置TG8120(リガク(株)製)を用いて行った。測定の際には各試料をそれぞれアルミナ乳鉢で粉砕し、その粉末約10mgを白金パンに入れ、室温〜1000℃まで10℃/minの速度で昇温して測定した。
ガラス固化体の構造的な安定性は、試料の次のような化学的耐久性試験によって評価する。すなわち前記試料をそれぞれ10mm×10mm×5〜10mmの形状に切り出し、全面を#800のやすりで研磨し、三辺の長さと重量を測定したあとで、90℃の純水中に3日間浸漬し、浸漬液中に浸出した成分を蛍光X線分析装置AXIOS advanced(PANalytical B.V.製)及び誘導結合プラズマ発光分光分析装置SPS−3000(セイコーインスツルメンツ製)で分析し、そのデータをもとに算出した規格化浸出速度(g/cm/day)によって評価する。
各試料の構造的な安定性の有無は、米国のMCC(Material Characterization Center)が策定した耐久性評価試験のMCC−1に準拠して行い、水に対する浸出率が10−5g/cm/day以下となるものを、優れた化学的耐久性を有するものであるとした。
また、試料として作製した各ガラス固化体に硫黄成分が含まれているか否かは、XRF(蛍光X線分析)で測定した。そして、検出下限値未満となるときには硫黄成分が前記各ガラス固化体に含まれていないとした。
<各試料の成分>
表1の試料1〜6、表2の試料7〜12、表3の試料13〜17及び表4の試料18〜22は、それぞれ鉄リン酸塩ガラスのガラス組成をモル%で、Fe:P=30:70、35:65、40:60、35:65とした。
そして、試料1〜6は、鉄リン酸塩ガラスと模擬スラッジである硫酸バリウムとを重量%で、それぞれ鉄リン酸塩ガラス:硫酸バリウム=100:0、90:10、80:20、70:30、50:50、40:60で混合させた。また、試料7〜12も、同様にして、鉄リン酸塩ガラスと模擬スラッジである硫酸バリウムとを重量%で、それぞれ鉄リン酸塩ガラス:硫酸バリウム=100:0、90:10、80:20、70:30、50:50、40:60で混合させた。そして、試料12〜17は、鉄リン酸塩ガラスと模擬スラッジである硫酸バリウムとを重量%で、それぞれ鉄リン酸塩ガラス:硫酸バリウム=100:0、90:10、80:20、70:30、40:60で混合させた。
また、試料18〜22は、模擬スラッジが、硫酸バリウムと硫酸ストロンチウムとから構成されており、鉄リン酸塩ガラスと模擬スラッジである硫酸バリウム・硫酸ストロンチウムとを重量%で、それぞれ鉄リン酸塩ガラス:硫酸バリウム:硫酸ストロンチウム=70:30:0、70:29:1、70:27:3、70:25:5、70:20:10で混合させた。
各試料は、加熱・溶融・冷却させることによって、その組成は、表1に示すように、試料1〜18に関しては、Fe、P、BaOを主成分として、NaO、SrOを微量に含むものとなっている。また、試料19〜22は、Fe、P、BaO、SrOを主成分とし、NaOを微量に含むものとなっている。このように全ての試料にNaO及びSrOが含まれているのは、模擬スラッジとして用いた試薬に元々それらの元となる成分が含まれていたためである。試料12を除いて、各試料の硫黄成分はXRF(蛍光X線分析で検出下限値である0.1モル%未満であった)。また、試料12に含まれる硫黄成分は、0.3モル%であった。
<各試料の測定・評価>
試料のガラス化の有無に関しては、試料1〜22の全ての試料において、ガラス化していることが確認された。そのため、化学的に安定なFe−O−Pネットワーク構造で試料が構成されていることがわかる。
ガラス密度に関しては、試料の組成に、BaOを含まない試料1、試料7及び試料13において、3g/cm前後であるのに対して、組成にBaO及び/又はSrOを含む試料1〜6、試料8〜12及び試料14〜22においては、それらよりも大きな密度となっており、試料の化学的に安定なFe−O−Pネットワーク構造中に多くのBaO及び/又はSrOを取り込んでガラス化していることがわかる。
ガラス転移点及び軟化点に関しては、全ての試料で500℃以上となっており、熱的に安定であることが確認された。また、表1〜表3を見ると、鉄リン酸塩ガラスに対する模擬スラッジの混合比を上げるに従って、ガラス転移点の温度が上昇していることがわかる。このことから、少なくともここで示した組成の範囲内においては、模擬スラッジの混合比が高いほど熱的には安定なガラス固化体が得られる。
試料の化学的安定性に関しては、試料4、8、9、10、16で測定しており、水に対する浸出率を示す全重量減少速度が、10−5g/cm/dayよりも小さな値となっており、構造的に安定であることが確認された。
また、試料として作製した各ガラス固化体のXRFを行ったところ、試料12を除いて、硫黄成分は検出下限値である0.1モル%未満であった。また、試料12は、0.3モル%の硫黄が含まれていたが、試料の化学的安定性に影響を与えるほどの量ではなかった。
以下、本発明のガラス固化処理方法の実施例2を示す。
<試料および作製した試料の評価基準・評価方法>
実施例の試料として使用した鉄リン酸塩ガラスは、次のようにして作製した。
Fe:P=30:70、35:65(モル%)の2種類の組成とした。Fe源及びP源としてはそれぞれ実施例1と同様に試薬の酸化鉄(関東化学製)及び正リン酸(キシダ化学製)を用いた。前記酸化鉄と、前記正リン酸とを、ガラス化量が500gになるように所定量を秤量し、混合した。その混合物を白金ルツボに投入し、電気加熱炉内で大気雰囲気下、試料23〜試料27では、1300℃、試料28〜35では1200℃で、1時間加熱及び溶融し、均一な融液を得た。このように試料によって加熱温度が異なっているのは、組成比によって溶融温度が異なっていたためである。そして前記溶融ガラスをカーボン型枠に流し込んで空冷でガラスを作製した。次に、作製したガラスを実施例1と同様にアルミナ乳鉢で850μm未満になるように粉砕して粉末状の鉄リン酸塩ガラスにした。
模擬スラッジとして、実施例1と同様に硫酸バリウムの試薬(キシダ化学)、あるいは硫酸ストロンチウムの試薬(キシダ化学)を添加した硫酸バリウムの試薬を使用した。
さらに、前述の滞留水からの放射物質の除去方法として述べた方法の第2の工程でセシウムの収着に用いられる不溶性フェロシアン化物(ヘキサシアノニッケル(II)鉄(II)酸カリウム(K2−xNix/2[NiFe(CN)]・nHO,以下KNiFCと呼ぶ)を模擬するものとして、試薬の酸化鉄(関東化学製)、試薬の酸化ニッケル(キシダ化学製)と試薬の炭酸カリウム(キシダ化学製)を使用して、不溶性フェロシアン化物KNiFCを構成する各原子の個数の比率と同じになるように混合して使用した。また、吸着されたセシウムを模擬するものとして、試薬の炭酸セシウム(キシダ化学製)を使用した。
さらに、また、スラッジ中に含まれる海水成分を模擬するものとして、試薬の塩化ナトリウム(キシダ化学製)、試薬の酸化マグネシウム(キシダ化学製)、試薬の炭酸カルシウム(キシダ化学製)を、海水成分の割合になるように混合して使用した。
作製した試料の評価基準・評価方法に関しては、実施例1と同様の評価基準・評価方法を用いた。
<各試料の成分>
表5の試料23〜27、表6の試料28〜30及び表7の試料31〜35は、それぞれ鉄リン酸塩ガラスのガラス組成をモル%で、Fe:P=30:70、35:65、35:65とした。
各試料は、加熱・溶融・冷却させることによって作製した。表5に示す試料23〜27及び表6に示す試料28〜30は、スラッジに、硫酸バリウムに加えてセシウムを吸着させた不溶性フェロシアン化物KNiFCが含まれていることを模擬したものであり、それぞれの試料の組成比は、表5、6にそれぞれモル%で示した。表5、表6において、ニッケル酸化物(NiO)が、5%〜11%程度含まれており、カリウム酸化物(KO)が、2.6%〜5.2%程度含まれており、セシウム酸化物(CsO)が、0.1%程度含まれている。
表7に示す試料31及び32は、スラッジに、海水成分のみが含まれていることを模擬したものであり、試料33〜34は、スラッジに、海水成分だけではなくて、硫酸バリウム及びセシウムを吸着した不溶性フェロシアン化物KNiFCが含まれていることを模擬したものである。試料31〜35の組成比は、モル%で、ニッケル酸化物(NiO)が、0%〜1.5%程度、カリウム酸化物(KO)が、0%〜0.7%程度、セシウム酸化物(CsO)が、0.1%程度含まれており、ナトリウム酸化物(NaO)が、4%〜8.3%、マグネシウム酸化物(MgO)が、0.6%〜1.9%程度、カルシウム酸化物(CaO)が、1.3%〜3.6%程度、塩素が、0.2%〜2.1%程度含まれている。
<各試料の測定・評価>
試料のガラス化の有無に関しては、試料23〜35の全ての試料において、ガラス化していることが確認された。そのため、化学的に安定なFe−O−Pネットワーク構造で試料が構成されていることがわかる。
ガラス転移点及び軟化点に関しては、全ての試料で500℃前後又は500℃以上となっており、熱的に安定であることが確認された。
また、試料として作製した各ガラス固化体のXRFを行ったところ、硫黄成分は検出下限値である0.1モル%未満であった。
以上、試料23〜30、試料33〜35より、ニッケル酸化物、カリウム酸化物及びセシウム酸化物が含まれていても、化学的に安定なガラス固化体を作製できることがわかった。このことからスラッジにセシウムを吸着したフェロシアン化物KNiFCが含まれていたとしても、化学的に安定なガラス固化体を形成できることがわかる。
また、セシウムを吸着できる不溶性フェロシアン化物は、KNiFCに限らない。不溶性フェロシアン化物は一般的に(M)4+[Fe(II)(CN)]4−で表される化合物であり、Mには、鉄、ニッケル、コバルト、銅、亜鉛などの遷移金属が入る。そのため、本実施例のニッケルを鉄、コバルト、銅、亜鉛に変えたところで、化学的な安定性が大きく変わることはない。
さらに、また、試料31〜35より、海水成分を模擬した塩化ナトリウム、酸化マグネシウム及び炭酸カルシウムが含まれていても、化学的に安定なガラス固化体が形成できることがわかった。
なお、本発明の固化処理方法は、上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨、Fe及びPを含む鉄リン酸塩ガラスに、硫酸バリウムを含むスラッジを混合し、溶融し、次いで冷却固化する処理方法、を逸脱しない範囲内においてその手順及び形式は問わない。
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Claims (8)

  1. Fe及びPを含む鉄リン酸塩ガラスを用いた放射性廃棄物のガラス固化体において、
    該放射性廃棄物は、汚染水中で硫酸バリウムを生成させる凝集沈殿法により放射性物質を含む汚染水を処理した際に発生する、添加された凝集剤から生成した硫酸バリウムを主成分として含むスラッジからなり、
    該ガラス固化体は、
    Fe及びPを含む鉄リン酸塩ガラスと、ガラス化の際に硫黄成分が抜けたスラッジの残留物とを、
    Fe、P及び硫黄成分が抜けたスラッジの残留物を、モル%で16%〜33%:30%〜63%:7%〜50%の組成比で含有していることを特徴とする放射性廃棄物のガラス固化体。
  2. Fe及びPを含む鉄リン酸塩ガラスを用いた放射性廃棄物のガラス固化体において、
    該放射性廃棄物は、汚染水中で硫酸バリウムを生成させる凝集沈殿法により放射性物質を含む汚染水を処理した際に発生する、添加された凝集剤から生成した硫酸バリウムを主成分として含むスラッジからなり、
    該ガラス固化体は、
    Fe及びPを含む鉄リン酸塩ガラスと、ガラス化の際に硫黄成分が抜けたスラッジの残留物とを、
    Fe、P及び硫黄成分が抜けたスラッジの残留物を、モル%で25%〜32%:40%〜53%:20%〜32%の組成比で含有していることを特徴とする放射性廃棄物のガラス固化体。
  3. 該スラッジには、さらに不溶性フェロシアン化物が含まれており、
    該ガラス固化体のスラッジ残留物には、前記不溶性フェロシアン化物に由来する酸化物が含まれていることを特徴とする請求項1又は2記載の放射性廃棄物のガラス固化体。
  4. 前記不溶性フェロシアン化物に由来する酸化物が、カリウム酸化物及びニッケル酸化物であることを特徴とする請求項3記載の放射性廃棄物のガラス固化体。
  5. 前記スラッジには、さらに海水由来の成分が含まれており、
    該ガラス固化体のスラッジ残留物には、前記海水に由来する酸化物が含まれていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の放射性廃棄物のガラス固化体。
  6. 10〜50モル%のFeを含む鉄リン酸塩ガラスに、汚染水中で硫酸バリウムを生成させる凝集沈殿法により放射性物質を含む汚染水を処理した際に発生する、添加された凝集剤から生成した硫酸バリウムを主成分として含むスラッジを混合し、次いで1100℃以上に加熱してガラス融体を生成するとともにスラッジに含有される硫黄成分を気化除去し、次いで冷却固化させることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の放射性廃棄物のガラス固化体の形成方法。
  7. 10〜50モル%のFeを含む鉄リン酸塩ガラスと、汚染水中で硫酸バリウムを生成させる凝集沈殿法により放射性物質を含む汚染水を処理した際に発生する硫酸バリウムを含むスラッジとをそれぞれ溶融炉に供給しながら1100℃以上に加熱し、溶融させる過程で混合し、ガラス融体を生成するとともにスラッジに含有される硫黄成分を気化除去し、次いで冷却固化させることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の放射性廃棄物のガラス固化体の形成方法。
  8. 放射性物質がセシウム及び/又はストロンチウムであることを特徴とする請求項又はに記載の放射性廃棄物のガラス固化体の形成方法。
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