JP6292609B2 - 非接触温度測定方法および測定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、非接触温度測定装置に関し、特に、鋼板製造プロセス連続熱処理ラインにおける鋼板温度管理において、非接触で鋼板表面温度を放射温度計測し、最適な熱処理を可能にするのに好適な非接触温度測定方法および測定装置に関する。
鋼板製造プロセス連続熱処理ラインにおける鋼板温度管理に用いる非接触温度測定装置においては、鋼板の放射率が未知であるため、正確な放射温度測定ができないという問題があり、従来から様々な工夫がなされてきた。
例えば、ロールに鋼板が巻き付く位置において生じる、鋼板とロール表面のくさび部における多重反射を利用し、黒体とみなした測定方法や、2波長温度計または2偏光放射温度計を使用し、2波長放射率間もしくは2偏光放射率間の関係を事前に評価し、放射率を補正する方法が実用化されている。
また、一般的な放射率補正測温技術として、2波長反射率比を利用する方法(特許文献1参照)や、2偏光放射率比を利用する方法(特許文献2参照)が提案されている。
塗装鋼板の放射率補正方法として、棒状の光源を鋼板に平行に配置し、走査型放射温度計にて光源に直行する方向に鋼板表面をスキャンして測定し、得られた光源の反射像から鋼板の反射パターンを推定し、そこから反射率を求め、キルヒホッフの法則(放射率εと反射率ρとの間にはε+ρ=1の関係式が成り立つ)により放射率を求めて補正する方法(非特許文献1参照)が提案されている。
特開昭62−140036号公報 特開平02−254328号公報
山田ほか、"放射率補正式カラー鋼板板温計"NKK技報、No.161(1998.3)、p.100−104
上記従来の技術では、ロールに鋼板が巻き付く位置における多重反射を利用したのでは急速な板温変化に追従できず、事前評価による場合には事前評価されたのと全く同一の条件でないと測定できないという問題があった。2波長反射率比(特許文献1)や2偏光放射率比(特許文献2)を利用するものは、表面の粗さがあり拡散的な反射が生じる場合に正確に適用できないという問題があり、また、非特許文献1のものは、カラー塗装表面のように完全拡散と完全鏡面の和の形で反射がモデル化でき、しかも完全拡散成分が支配的でないと十分な精度が得られないという問題があった。
そこで本発明は、上記問題点を解決し、鋼板放射率が不明で、鋼種や表面状態などで変化する場合であっても正確な温度を測定できるようにした非接触温度測定装置及び測定方法を提供することを目的とする。
上記従来技術の問題点を解決するために、2波長反射率比測定に、補助熱源と走査型放射温度計を用いる方法を効果的に組み合わせたものであって、本発明では、鋼板に平行に2水準切替え棒状補助熱源を配置し、一次元走査型2波長放射温度計にて棒状補助熱源に直行する方向に鋼板表面をスキャンして測定し、得られた2波長における熱源反射像から鋼板の2波長反射パターンをそれぞれ推定すると同時に、2波長走査型放射温度計にて2水準切替え棒状熱源の輝度比を測定し、そこから2波長反射率比を求め、放射率に依存しないで真温度を求めるようにした非接触温度測定方法および測定装置である。
すなわち、本発明は、被測定対象物表面に平行に棒状の2水準切り替え補助熱源を配置し、走査型2波長放射温度計にて前記棒状の2水準切り替え補助熱源に直行する方向に被測定対象物表面を一次元走査して測定し、得られた2波長における熱源反射像から被測定対象物表面の2波長反射パターンをそれぞれ推定すると同時に、前記走査型2波長放射温度計と同一の2波長にて前記棒状の2水準切り替え補助熱源の輝度を測定し、前記被測定対象物表面の2波長反射パターンと前記棒状の2水準切り替え補助熱源の輝度から2波長反射率比を求め、前記被測定対象物表面の放射率に依存しないで真温度を求めるようにした非接触温度測定方法である。
また、本発明は、被測定対象物表面に一定距離を置いて点状の2水準切り替え補助熱源を配置し、走査型2波長放射温度計にて被測定対象物表面を二次元走査して測定し、得られた2波長における熱源反射像から被測定対象物表面の2波長反射パターンをそれぞれ推定すると同時に、前記走査型2波長放射温度計と同一の2波長にて前記点状の2水準切り替え補助熱源の輝度を測定し、前記被測定対象物表面の2波長反射パターンと前記点状の2水準切り替え補助熱源の輝度から2波長反射率比を求め、前記被測定対象物表面の放射率に依存しないで真温度を求めるようにした非接触温度測定方法である。
また、本発明は、上記非接触温度測定方法において、前記2波長反射率比Rρを次式から求め、

ρ={(Lλ1,1(T)−Lλ1,2(T))/(Lλ2,1(T)−Lλ2,2(T))}/
{(LHeat-source,λ1,1−LHeat-source,λ1,2)/
(LHeat-source,λ2,1−LHeat-source,λ2,2)}

ただし、水準1と水準2における波長λ1とλ2における前記2波長反射パターンをそれぞれ積分した値をLλ1,1(T)、Lλ1,2(T)、Lλ2,1(T)、Lλ2,2(T)として真温度Tの関数で表し、水準1と水準2における波長λ1とλ2における前記補助熱源輝度をそれぞれLHeat-source,λ1,1、LHeat-source,λ1,2、LHeat-source,λ2,1、LHeat-source,λ2,2とし、次に、前記2水準切り替え補助熱源の水準1における輝度を水準2に対して十分小さくすることにより、波長λ1とλ2における被測定対象物表面の黒体放射輝度LBB,λ1(T)とLBB,λ2(T)を表す次の2式の何れかに、ただしα(T)は被測定対象物表面の2波長黒体放射輝度比α(T)=LBB,λ2(T)/LBB,λ1(T)であり、

BB,λ1(T)
={Lλ1,1(T)−(1/α(T))・Rρ・Lλ2,1(T)}/(1−Rρ)
BB,λ2(T)
={α(T)・Lλ1,1(T)−Rρ・Lλ2,1(T)}/(1−Rρ)

真温度Tの初期値を仮定しα(T)を求め、当該求めたα(T)を右辺に代入してLBB,λ1(T)とLBB,λ2(T)の何れかを計算し、当該計算したLBB,λ1(T)とLBB,λ2(T)の何れかよりTを求め、当該求めたTを用いて再度α(T)を求めるところから繰り返してTの値を収束させ、数値解析計算により真温度Tを求めることを特徴とする。
また、本発明は、被測定対象物表面に平行に配置した棒状の2水準切り替え補助熱源と、走査型2波長放射温度計と、制御装置を備え、前記制御装置は、前記走査型2波長放射温度計にて前記棒状の2水準切り替え補助熱源に直行する方向に被測定対象物表面を一次元走査して測定し、得られた2波長における熱源反射像から被測定対象物表面の2波長反射パターンをそれぞれ推定すると同時に、前記走査型2波長放射温度計と同一の2波長にて前記棒状の2水準切り替え補助熱源の輝度を測定し、前記被測定対象物表面の2波長反射パターンと前記棒状の2水準切替え補助熱源の輝度から2波長反射率比を求め、前記被測定対象物表面の放射率に依存しないで真温度を求めることを特徴とする非接触温度測定装置である。
また、本発明は、被測定対象物表面に一定距離を置いて配置した点状の2水準切り替え補助熱源と、走査型2波長放射温度計と、制御装置を備え、前記制御装置は、前記走査型2波長放射温度計にて被測定対象物表面を二次元走査して測定し、得られた2波長における熱源反射像から被測定対象物表面の2波長反射パターンをそれぞれ推定すると同時に、前記走査型2波長放射温度計と同一の2波長にて前記点状の2水準切り替え補助熱源の輝度を測定し、前記被測定対象物表面の2波長反射パターンと前記点状補助熱源の輝度から2波長反射率比を求め、放射率に依存しないで真温度を求めることを特徴とする非接触温度測定装置である。
また、本発明は、上記非接触温度測定装置において、前記制御装置は、前記2波長反射率比Rρを次式から求め、

ρ={(Lλ1,1(T)−Lλ1,2(T))/(Lλ2,1(T)−Lλ2,2(T))}/
{(LHeat-source,λ1,1−LHeat-source,λ1,2)/
(LHeat-source,λ2,1−LHeat-source,λ2,2)}

ただし、水準1と水準2における波長λ1とλ2における前記2波長反射パターンをそれぞれ積分した値をLλ1,1(T)、Lλ1,2(T)、Lλ2,1(T)、Lλ2,2(T)として真温度Tの関数で表し、水準1と水準2における波長λ1とλ2における前記補助熱源輝度をそれぞれLHeat-source,λ1,1、LHeat-source,λ1,2、LHeat-source,λ2,1、LHeat-source,λ2,2とし、次に、前記2水準切り替え補助熱源の水準1における輝度を水準2に対して十分小さくすることにより、波長λ1とλ2における被測定対象物表面の黒体放射輝度LBB,λ1(T)とLBB,λ2(T)を表す次の2式の何れかを用い、ただしα(T)は被測定対象物表面の2波長黒体放射輝度比α(T)=LBB,λ2(T)/LBB,λ1(T)であり、

BB,λ1(T)
={Lλ1,1(T)−(1/α(T))・Rρ・Lλ2,1(T)}/(1−Rρ)
BB,λ2(T)
={α(T)・Lλ1,1(T)−Rρ・Lλ2,1(T)}/(1−Rρ)

真温度Tの初期値を仮定しα(T)を求め、当該求めたα(T)を右辺に代入してLBB,λ1(T)とLBB,λ2(T)の何れかを計算し、当該計算したLBB,λ1(T)とLBB,λ2(T)の何れかよりTを求め、当該求めたTを用いて再度α(T)を求めるところから繰り返してTの値を収束させ、数値解析計算により真温度Tを求めることを特徴とする。
本発明の測定方法または測定装置によれば、被測定対象物表面の放射率に依存しないで真温度を求めることができるので、従来法より測定精度を飛躍的に向上させることができる。
図1は本発明の測定原理を、半球状の補助熱源(2水準切り替え型)と2波長放射温度計を用いて説明するための図である。 図2は、図1に示した半球状の補助熱源と等価な無限に広い平面上の補助熱源と2波長放射温度計を用いた図である。 図3は、棒状補助熱源を棒の長手方向と直行する方向に被測定対象面に平行に一定速度で移動させるかあるいは棒状補助光源を移動させる代わりに2波長放射温度計を逆方向平行に移動させるかし、2波長放射温度計で連続的に測定された信号を積分して図1に示した半球状補助熱源を用いた場合と等価とすることを説明した図である。 図4は、2波長放射温度計を平行移動させることに代え、2波長放射温度計を角度走査することで、図1に示した半球状補助熱源を用いた場合と近似的に等価とすることを説明した図である。 図5は本発明による測定結果と、従来法による測定結果とを比較した図であり、縦軸が別途精密に測定しておいた参照温度と各測定結果の差を表し、横軸が被測定対象表面加熱温度を表しており、◆が本発明による測定結果であり、■と▲はそれぞれの波長の輝度出力から放射率を補正しないで単一波長の放射温度計として測定した結果であり×は従来法の2色温度計による測定結果である。
(測定原理)
本発明の2波長反射率比による放射率補正測温方式の原理について説明する。
まず、拡散性の反射を考慮して、対象表面を覆う半球状の一様黒体熱源を補助熱源とした理想的な場合で検討する。
補助熱源(対象表面を覆う半球状の一様黒体熱源)の温度を水準1と水準2の2水準切り替え、その時の波長λ1およびλ2の輝度を、LHeat-source,λ1,1、LHeat-source,λ2,1とLHeat-source,λ1,2、LHeat-source,λ2,2とする。2水準の切り替えは、補助熱源のシャッターを開閉し、LHeat-source,λ1,2=LHeat-source,λ2,2=0または室温放射としてもよい。Lλ1,0(T)=Lλ2,0(T)=LBB(T)となる熱源輝度LHeat-source,0は図1のように求められる。
補助熱源の波長λ1およびλ2の輝度がLHeat-source,λ1,1、LHeat-source,λ2,1のときの波長λ1およびλ2検出輝度をそれぞれLλ1,1(T)およびLλ2,1(T)とし、補助熱源輝度がLHeat-source,λ1,2、LHeat-source,λ2,2のときのそれぞれをLλ1,2(T)およびLλ2,2(T)とすると、下記の6つの式(1)〜(6)が得られる。ここで、ελ1λ2は、それぞれ波長λ1,λ2における対象表面の放射率を表し、ρλ1λ2は、それぞれ波長λ1,λ2における対象表面の反射率を表す。

λ1,0(T)=ελ1・LBB,λ1(T)+ρλ1・LHeat-source,λ1,0 …(1)
λ2,0(T)=ελ2・LBB,λ2(T)+ρλ2・LHeat-source,λ2,0 …(2)
λ1,1(T)=ελ1・LBB,λ1(T)+ρλ1・LHeat-source,λ1,1 …(3)
λ2,1(T)=ελ2・LBB,λ2(T)+ρλ2・LHeat-source,λ2,1 …(4)
λ1,2(T)=ελ1・LBB,λ1(T)+ρλ1・LHeat-source,λ1,2 …(5)
λ2,2(T)=ελ2・LBB,λ2(T)+ρλ2・LHeat-source,λ2,2 …(6)

このうち、式(3)〜(6)が観測値を表し、式(1)および(2)が推定したい黒体の条件を表す。
式(1)と(3)、式(3)と(5)の差を求めることにより波長λ1について下記の式(7)が得られる。

ρλ1=(Lλ1,0(T)−Lλ1,1(T))/
(Lheat-source,λ1,0−Lheat-source,λ1,1)
=(Lλ1,1(T)−Lλ1,2(T))/
(LHeat-source,λ1,1−LHeat-source,λ1,2) …(7)

同様に、式(2)と(4)、式(4)と(6)の差を求めることにより波長λ2についても下記の式(8)が得られる。

ρλ2=(Lλ2,0(T)−Lλ2,1(T))/
(LHeat-source,λ2,0−LHeat-source,λ2,1)
=(Lλ2,1(T)−Lλ2,2(T))/
(LHeat-source,λ2,1−LHeat-source,λ2,2) …(8)

式(7)と(8)の比を取ることにより、下記式(9)が得られる。

ρ≡ρλ1/ρλ2
={(Lλ1,0(T)−Lλ1,1(T))/(Lλ2,0(T)−Lλ2,1(T))}/
{(LHeat-source,λ1,0−LHeat-source,λ1,1)/
(LHeat-source,λ2,0−LHeat-source,λ2,1)}
={(Lλ1,1(T)−Lλ1,2(T))/(Lλ2,1(T)−Lλ2,2(T))}/
{(LHeat-source,λ1,1−LHeat-source,λ1,2)/
(LHeat-source,λ2,1−LHeat-source,λ2,2)} …(9)

ここで、Rρは波長λ1とλ2における反射率の比を表し、式(9)の下段は観測された4つの信号、および補助熱源をモニターして得られる4つの信号からなり、これらよりRρを決める。式(9)の上段から波長λ1における黒体放射輝度は下記式(10)で表される。

BB,λ1(T)=Lλ1,0(T)
=(1/α(T))・Lλ2,0(T)
=(Lλ1,1(T)−Rρ・RHS,1-0・Lλ2,1(T))/
(1−α(T)・Rρ・RHS,1-0) …(10)

ここで、

HS,1-0=(LHeat-source,λ1,0−LHeat-source,λ1,1)/
(LHeat-source,λ2,0−LHeat-source,λ2,1) …(11)

α(T) =LBB,λ2(T)/LBB,λ1(T) …(12)

であり、α(T)は2波長の黒体放射輝度比であり、対象温度Tの関数である。
補助熱源輝度LHeat-source,λ1,1、LHeat-source,λ2,1が十分小さく、ゼロとみなせる場合、式(11)は、RHS,1-0=LHeat-source,λ1,0/LHeat-source,λ2,0=1/α(T)
となるため、式(10)は以下の式(13)および(14)で表される。

BB,λ1(T)
=Lλ1,0(T)
=(1/α(T))・Lλ2,0(T)
={Lλ1,1(T)−(1/α(T))・Rρ・Lλ2,1(T)}/(1−Rρ) …(13)

BB,λ2(T)
=Lλ2,0(T)
=α(T)・Lλ1,0(T)
={α(T)・Lλ1,1(T)−Rρ・Lλ2,1(T)}/(1−Rρ) …(14)
したがって、Tの初期値を仮定しα(T)を決め、測定したRρ、およびLλ1,1(T)、Lλ2,1(T)を用い式(13)または式(14)からLBB,λ1(T)またはLBB,λ2(T)を計算し、Tを求め、このTの値を用いてα(T)を再度計算し、式(13)または式(14)からLBB,λ1(T)またはLBB,λ2(T)を計算することを繰り返し、数値解析計算によりTを求めることが出来る。
なお、ここで補助熱源は黒体としたが、式(9)の下段で反射率比Rρを求める際に熱源もモニターしているため、反射率比の測定は必ずしも黒体である必要はない。
(補助熱源)
上記測定原理の説明では被測定対象物表面を覆う半球状の一様熱源という理想的な場合で説明したが、例えば鋼板製造プロセス連続熱処理ライン等の測定現場において、半球状の一様熱源は実際には実現困難である。そこで、実用的な方法として、補助熱源として棒状の熱源を用い、2波長温度計として一次元走査型のものを用い、棒状熱源の長手方向と直交して対象表面を走査し測定する。また、走者視野内に棒状熱源を置くことで、熱源放射輝度も同時にモニター可能である。
何故これが一様半球熱源と同等かを下記に説明する。
まず、半球の代わりに、図2に示すような無限に広い平面上の一様完全拡散性の熱源を考える。この場合、測定対象上の測定点から見て、どちらの方向も、単位立体角あたり同じ光束が入射するため、図1に示した半球状の一様熱源と同じ効果が得られる。この面状熱源を等幅の一様棒状熱源をならべたものとみなし、これを一本ずつ順番に点灯して測定された信号を足し合わせても良い。これに代わる方法として、図3に示すように一本の棒状熱源を棒の長手方向と直行する方向に測定面に平行に一定速度で移動させ、連続的に測定された信号を積分して半球状熱源を測定した時の信号を得ても良い。逆に、対象の反射特性が一様であれば、棒状光源を移動するのではなく、2波長温度計を逆方向平行に移動させても同様の測定が可能である。
さらに、放射温度計を平行移動する代わりに、図4に示すように角度を走査しても近似的に同様な測定が可能である。このことを以下に詳細に説明する。
測定対象平面は、その表面粗さに応じた傾き分布を持った微小面素の集合であると仮定すると、棒状光源の一点から出射した放射光は、放射温度計の視野内に入射し、その面内の表面の面素の鉛直方向に対し鏡面対象方向に反射する。たまたま反射方向が放射温度計の視野角内の時に放射温度計に捉えられる。捉えた反射光の強さを対象表面に入射した光の強さ(照度)で割ることで反射率に対応した測定量が得られる。すなわち、照度は光源からの距離の2乗に反比例するので、測定対象の走査位置と棒状補助熱源の中心との距離の二乗で2波長放射温度計の2波長輝度出力それぞれを割ることで照度補正を行う。さらに、測定面上の各走査位置に対し、棒状補助熱源中心から見て鏡面反射方向と、放射温度計の方向の間の角度を求め、角度について補正後の2波長放射温度計の2波長出力信号を積分することで、面の反射率に対応した、上記Lλ1,2(T)−Lλ1,1(T)、Lλ2,2(T)−Lλ2,1(T)に対応した測定量が得られる。
なお、ここでは鏡面性反射を仮定した場合について説明したが、表面の粗さ特性に応じ完全拡散性反射、あるいは両者の組み合わせを仮定しても良い。
(測定例)
実際の測定例として、放射温度計としては1.35μmと1.55μmの2波長を検出し、それぞれの輝度信号を出力する一次元走査型2波長放射温度計を使用する。被測定対象物は厚さ5mmのSUS304(ステンレス鋼)製の引き抜き材を20mm幅、長さ200mmの板状にしたものを使用、幅20mmの両端5mmずつに帯状に耐熱黒色塗料(放射率0.95と仮定)を塗布した。間の10mm幅を測定部とし、裏面より面状ヒータで450〜600℃程度に加熱した。補助熱源としてはとしてはSiC(炭化シリコン)棒状ヒータを使用し、約700℃に加熱、ヒータと測定対象の間にはシャッターを設け開閉切り替えることで2水準切り替え棒状補助熱源とした。
測定部をシャッター開と閉で走査測定し、さらに黒色塗料塗布部2か所それぞれをシャッター閉で測定した。黒色塗料塗布部の放射率を0.95と仮定し、波長1.35μmの輝度から温度を求め、2か所の平均を参照温度とした。また、測定部の2つの測定から上記式(9)を用いて反射率比Rρを求め、シャッター閉の測定値と併せて上記式(13)により温度を求めた。参照値との差を図5に示す。
図5において、◆が本発明による測定結果であり、■(波長1.35μm)と▲(波長1.55μm)が2波長温度計による放射率補正無しの従来法による測定結果であり、×が従来の2色温度計として補正した場合の測定結果である。縦軸は別途測定した参照温度との差であり、横軸は試料加熱温度である。図5の測定結果によれば、本発明による測定結果は他の測定法に比べて参照値との差が殆どなく、本発明によれば、2波長反射率比測定に、2水準切り替え棒状補助熱源と一次元走査型2波長放射温度計を組み合わせることにより、測定精度が飛躍的に高まることが確認できた。
なお、上記測定例は、棒状の2水準切り替え補助熱源と一次元走査型2波長放射温度計を用いて説明したが、上記「(測定原理)」「(補助熱源)」の説明から明らかなように、点状の2水準切り替え補助熱源と二次元走査型2波長放射温度計の組合せでも同様に測定できる。

Claims (2)

  1. 被測定対象物表面に平行に棒状の2水準切り替え補助熱源を配置し、これと直交する方向に走査型2波長放射温度計にて前記被測定対象物表面を一次元走査して測定し、
    又は、
    被測定対象物表面に一定距離を置いて点状の2水準切り替え補助熱源を配置し、走査型2波長放射温度計にて前記被測定対象物表面を二次元走査して測定し、
    得られた2波長における熱源反射像から前記被測定対象物表面の2波長反射パターンをそれぞれ推定すると同時に、前記走査型2波長放射温度計と同一の2波長にて前記2水準切り替え補助熱源の輝度を測定し、
    前記2波長反射パターンと前記輝度とから2波長反射率比を求め、前記被測定対象物表面の放射率に依存しないで真温度を求める非接触温度測定方法において、
    前記2波長反射率比Rρを次式から求め、
    ρ={(Lλ1,1(T)−Lλ1,2(T))/(Lλ2,1(T)−Lλ2,2(T))}/
    {(LHeat-source,λ1,1−LHeat-source,λ1,2)/
    (LHeat-source,λ2,1−LHeat-source,λ2,2)}
    ただし、水準1と水準2における波長λ1とλ2における前記2波長反射パターンをそれぞれ積分した値をLλ1,1(T)、Lλ1,2(T)、Lλ2,1(T)、Lλ2,2(T)として真温度Tの関数で表し、水準1と水準2における波長λ1とλ2における前記輝度をそれぞれLHeat-source,λ1,1、LHeat-source,λ1,2、LHeat-source,λ2,1、LHeat-source,λ2,2とし、
    次に、前記2水準切り替え補助熱源の水準1における前記輝度を水準2に対して十分小さくすることにより、波長λ1とλ2における前記被測定対象物表面の黒体放射輝度LBB,λ1(T)とLBB,λ2(T)を表す次の2式の何れかに、ただしα(T)は前記被測定対象物表面の2波長黒体放射輝度比α(T)=LBB,λ2(T)/LBB,λ1(T)であり、
    BB,λ1(T)
    ={Lλ1,1(T)−(1/α(T))・Rρ・Lλ2,1(T)}/(1−Rρ)
    BB,λ2(T)
    ={α(T)・Lλ1,1(T)−Rρ・Lλ2,1(T)}/(1−Rρ)
    真温度Tの初期値を仮定しα(T)を求め、このα(T)を右辺に代入してLBB,λ1(T)とLBB,λ2(T)の何れかを計算し、このBB,λ1(T)とLBB,λ2(T)の何れかよりTを求め、このTを用いて再度α(T)を求めるところから繰り返してTの値を収束させ、数値解析計算により真温度Tを求めることを特徴とする非接触温度測定方法。
  2. 被測定対象物表面に平行に配置した棒状の2水準切り替え補助熱源と、前記2水準切り替え補助熱源に直交する方向に前記被測定対象物表面を一次元走査して測定する走査型2波長放射温度計と、制御装置と、を備え、
    又は、
    被測定対象物表面に一定距離を置いて配置した点状の2水準切り替え補助熱源と、前記被測定対象物表面を二次元走査して測定する走査型2波長放射温度計と、制御装置を備え、
    前記制御装置は、得られた2波長における熱源反射像から被測定対象物表面の2波長反射パターンをそれぞれ推定すると同時に、前記走査型2波長放射温度計と同一の2波長にて前記2水準切り替え補助熱源の輝度を測定し、前記被測定対象物表面の2波長反射パターンと前記輝度から2波長反射率比を求め、前記被測定対象物表面の放射率に依存しないで真温度を求める非接触温度測定装置であって、
    前記制御装置は、前記2波長反射率比Rρを次式から求め、
    ρ={(Lλ1,1(T)−Lλ1,2(T))/(Lλ2,1(T)−Lλ2,2(T))}/
    {(LHeat-source,λ1,1−LHeat-source,λ1,2)/
    (LHeat-source,λ2,1−LHeat-source,λ2,2)}
    ただし、水準1と水準2における波長λ1とλ2における前記2波長反射パターンをそれぞれ積分した値をLλ1,1(T)、Lλ1,2(T)、Lλ2,1(T)、Lλ2,2(T)として真温度Tの関数で表し、水準1と水準2における波長λ1とλ2における前記輝度をそれぞれLHeat-source,λ1,1、LHeat-source,λ1,2、LHeat-source,λ2,1、LHeat-source,λ2,2とし、
    次に、前記2水準切り替え補助熱源の水準1における前記輝度を水準2に対して十分小さくすることにより、波長λ1とλ2における前記被測定対象物表面の黒体放射輝度LBB,λ1(T)とLBB,λ2(T)を表す次の2式の何れかに、ただしα(T)は前記被測定対象物表面の2波長黒体放射輝度比α(T)=LBB,λ2(T)/LBB,λ1(T)であり、
    BB,λ1(T)
    ={Lλ1,1(T)−(1/α(T))・Rρ・Lλ2,1(T)}/(1−Rρ)
    BB,λ2(T)
    ={α(T)・Lλ1,1(T)−Rρ・Lλ2,1(T)}/(1−Rρ)
    真温度Tの初期値を仮定しα(T)を求め、このα(T)を右辺に代入してLBB,λ1(T)とLBB,λ2(T)の何れかを計算し、このBB,λ1(T)とLBB,λ2(T)の何れかよりTを求め、このTを用いて再度α(T)を求めるところから繰り返してTの値を収束させ、数値解析計算により真温度Tを求めることを特徴とする非接触温度測定装置。
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