JP2011080790A - 放射温度計用参照光源装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】高温高速放射温度計用参照光源装置であって、光源用材料として貴金属箔からなるリボン2を使用し、このリボンに電流を流して光源とすると共に、該光源の前方部に、2枚のレンズ3をそれぞれの焦点距離の和の間隔を置いて配置し、かつそれぞれのレンズの焦点位置にチョッパ4を配置することを特徴とする光源装置。次世代ウエハ熱処理工程として開発中のフラッシュランプアニール法(FLA)やレーザーアニール法(LA)において処理されるシリコンウエハの表面温度を放射温度計測するための高温高速放射温度計用参照光源装置を提供することが可能である。
【選択図】図1
Description
タイプ1:炉あるいはホットプレートでウエハを加熱する方法。高速なウエハ搬送機構による高温チャンバ内への出し入れにより、急速アニールを行う方法である。
タイプ2:熱源のハロゲンランプをon/offして急速加熱・急速冷却するランプベースの加熱である。この加熱方法は、片面照射と両面照射の両タイプがある。
さらに、RTP法を改良したものとして、Spike RTA(Rapid Thermal Annealing)法がある。これは、より浅い接合の形成を目的に、RTPをさらに高温、短時間化したものである。最高温度は1100℃近くに昇温でき、処理時間は約1秒から十数秒である。
このような半導体の熱処理工程では、歩留まりと品質の向上のために、熱処理の状態をモニタする必要がある。このような高温を時間応答良く測定するためには熱電対など接触型の温度計は適用できず、放射温度測定による必要があるものの、加熱源からの強い背景光が大きな測定誤差を生じるほか、測定対象の半導体ウエハの放射率は表面状態や温度により大きく変化することが問題となる。
(ヒータ片面加熱の場合)
ウエハが不透明な0.95μm帯を用いウエハ裏面の温度を放射温度計で測定する。放射率はin‐situ反射率測定とex‐situ半球反射率測定を基に推定する。そして、1より半球反射率を差し引くことにより放射率を求めるものである。炉からの背景放射光については別途差し引く。
温度測定していない(理論計算より推定)。
(ハロゲンランプ片面加熱の場合)
裏面よりサファイヤライトパイプを介して放射測温する。ウエハ裏面に対向して反射板が設けられ、反射板の穴よりウエハ裏面を捉えると、多重反射により実効放射率が1に近づく。
(ハロゲンランプ両面加熱の場合)
リップル法と呼ばれる放射測温法を採用する。プローブはウエハ放射光と、それに重畳したランプ加熱光を捉える。ランプは駆動電流(50Hz又は60Hz)により100Hz又は120HzにAC変調されるので信号のAC成分より反射率を求める。これより重畳しているランプ加熱光を差し引くとともにウエハ放射率を推定する。
その一は、表面と裏面で数100℃の差があり、また裏面はランプ加熱されないので、裏面の温度を測定しても意味がない。
その二は、パルスが短く、リップル法は適用できない。
その三は、表面を放射測温する場合にはランプ光強度が圧倒的に強く、参照光源装置からの放射光を精度良く捉えられない。
1)放射率を仮定する方法。
2)多重反射により実効放射率を1にする方法。
3)2波長での放射率比を仮定する方法。(2色温度計)
4)反射率を測定し、反射率+放射率=1の関係より放射率を求める方法。
5)2波長での放射率比の値を測定する方法。
がある。
しかし、これらの方式が適用できない理由として、1)の方法はウエハ放射率が温度や表面の微細構造パターンとともに大きく変動し、放射率や放射率比を仮定できないこと、2)の方法はウエハ表面全体が加熱ランプに対向しているため、多重反射を利用して見かけ上黒体に近づけることができないこと、3)の方法は仮定が厳密には成り立たず大きな誤差を生じること、4)の方法はウエハ表面には微細構造があり、完全な鏡面ではないので反射率の正確な測定は困難であること、5)の方法は放射率比を測定する方式は温度測定の感度および精度が不十分で使用できないことが挙げられる。
その一つの例として、亜鉛鍍金鋼板の合金化処理のために、鋼板の温度を測定する技術がある(特許文献1参照)。これは、入射面に平行に偏光するP偏光及びこれに垂直に偏光するS偏光を等しく含む参照光を被測定面に照射し、その反射光のP偏光とS偏光の光強度及び被測定面からのP偏光とS偏光の放射光強度を測定し、参照光源強度を変調し、信号変化より反射率比を演算して、さらにそれより黒体放射強度を推定し、被測定面の温度測定を行う方法である。
しかし、被測定面の温度は数百度程度であり、低温度ではあるが、この技術が実用化に至っていないと考えられる。それは、亜鉛鍍金鋼板の合金化処理の表面が非常に荒れているため、温度測定精度が著しく劣ることが予想されるからである。原理的には鏡面性の反射に基づく有効な手法であると考えられるが、粗さを持つ対象物に適していないという問題があった。
いずれの方法でも、特に問題となるのは、高温となるフラッシュ加熱時の背景光の問題である。これは放射温度計の誤差を大きくし、半導体表面温度の正確な測定が困難になるという問題である。
FLAでは、約1msecのパルス光源照射で1000℃以上の高温まで、急速昇温・冷却を行う必要がある。前記特許文献3に記載する2偏光放射率補正を行うための参照光源装置の条件は、放射温度計測定視野より十分広い一様で無偏光な光源面を持ち、輝度温度が対象と同等で、なおかつ測定したい熱変化より高速に輝度変調を行えることである。
例えば、1.94μm帯の1W程度の高輝度半導体レーザは開発されており、これを積分球に入射することにより1000℃程度の輝度温度の一様で無偏光な面光源をつくることはできるものの、素子発熱が大きいために波長ドリフトが大きく、水の吸収帯に波長を安定して合わせることができないという問題があった。
一方、雰囲気コントロールを必要としないセラミックスヒータもあるが、十分な輝度が得られない。さらに光源の輝度変調には、別途チョッパが必要となるが、直径10mm以上の大面積をチョッパでmsec以下の高速で変調するのは速度限界を超える問題がある。
1)高温高速放射温度計用参照光源装置であって、光源として面状光源を使用し、該光源の測定対象側に、2枚のレンズをそれぞれの焦点距離の和の間隔を置いて配置し、該2枚のレンズの焦点位置にチョッパを配置することを特徴とする光源装置、を提供する。
2)前記チョッパの羽は測定対象側表面が黒化されていることを特徴とする上記1)記載の光源装置、を提供する。
3)前記面状光源用材料として貴金属を使用し、この貴金属に電流を流して光源とすることを特徴とする上記1)又は2)記載の光源装置、を提供する。
4)また、本発明は、
前記貴金属は白金であることを特徴とする上記3)記載の放射温度計用参照光源装置、を提供する。
5)また、本発明は、
前記貴金属の形状として箔状のリボンを使用することを特徴とする上記3)又は4)記載の光源装置、を提供する。
6)また、本発明は、
前記2枚のレンズのうちの光源側のレンズの焦点距離が測定対象側のレンズの焦点距離の1/2より大きいことを特徴とする上記1)−5)のいずれか一項に記載の光源装置、を提供する。
白金は融点が1700℃を超えるため、放射率を0.25としても1.94μmで1200℃程度の輝度温度を得ることができる。この参照光源装置1は、測定する時だけ数秒間点灯すれば良いので、冷却や断熱が不要であるという利点がある。
放射温度計は、測定対象の表面に映りこんだレンズ3の像を捉え、それを通して参照光源装置を捉えるため放射温度計対物レンズの径に比べ参照光源装置1までの距離は十分離れている。従って、参照光源装置1内の光源2から発せられあらゆる角度方向に発散する熱放射光のうち、放射温度計で捉えられる光束はレンズ位置ではほぼ平行光となっているため、レンズ焦点に置かれたチョッパ4の位置では、この光束の光路は十分に細く、1〜2mm程度にすることが可能である。このとき、放射温度計対物レンズの焦点位置はレンズ3の位置にあることが望ましいが、測定対象の半導体基板位置であっても構わない。
2枚のレンズ3の焦点距離が同一の場合、放射温度計が捉える参照光源装置1内の光源2から発せられる光束はレンズを置かない場合と同一であり、2枚のレンズを透過する事による反射損失を考慮すると1.94μmにおける輝度温度で1150℃程度が得られる。そのためには放射温度計の視野径より十分大きい、例えば幅20mmの白金箔を用いる必要がある。
しかし、一方で有効な光源面積も焦点距離の二乗に反比例して小さくなり、輝度温度もこれに比例して低下する。例えば、2枚のレンズの焦点距離の比を1/2にした場合、輝度は1/4となり、放射温度計で捉える輝度温度は850℃程度となる。測定対象の半導体基板からの熱放射光の輝度と比べ小さく、これより輝度温度が低下しては有効な輝度変調信号を放射温度計が捉えることが出来ず放射率補正演算は行えない。したがって、2枚のレンズの焦点距離の比は1/2より大きくなければならない。
図2は半導体熱処理装置6の側壁側にポート10、11を設置した場合である。半導体熱処理装置6は、ホットプレート7上に半導体ウエハ8を乗せることができるようになっている。
それぞれのポート10、11は、半導体基板の鉛直方向に対して対称位置に設置し、半導体基板の温度測定箇所に向くようにする。ポート10、11としては半導体熱処理装置6の側壁又は天板に穴を設け、その穴の外にはウエハ温度測定箇所に軸を向けた円筒状または球形状などの空間部を設け、その奥にさらに透明窓12を設ける。
特に水の吸収帯が存在する1.94μmが望ましい。そして、この2偏光放射温度計12を配置したポート10の放射温度計の測定箇所を軸に対称位置に、他方のポート11を設ける。これらのポート10、11は無反射ポートとなる(以下、必要に応じて「ポート」又は「無反射ポート」と呼称する)。
加熱ランプ9が発光されると、熱処理装置6全体が明るくなり、側壁又は天板から強い反射光を放射温度計12が受ける。これは、測定温度を著しく不正確なものとするばかりでなく、放射温度計12内の光学部品の熱による損傷を招く。
本願発明の無反射ポートはこのような役目を持つものである。放射温度計12から見た場合、半導体基板には対向するポート11が写りこむ。しかし、このポート11の奥には透明ガラス窓が設けられている。
一方、加熱ランプの強力な発光がある可視光域では不透明であるため、加熱ランプからの照射光に対する放射温度計の保護に有効である。
2偏光放射温度計は内部に設けたハーフミラーでビームを2つに分け、偏光子でP偏光及びS偏光をそれぞれ選択し2つの光検出器でそれぞれ測定する。参照光源装置1の強度を変調し、この時の出力変化を演算してP偏光、S偏光の反射率比を求め、さらにそれより黒体放射輝度を推定し、半導体ウエハ8の表層の温度を測定することができる。参照光源装置1の変調は、図1に示すチョッパ4により行うことができる。チョッパ4の羽は黒化処理することで無反射ポートの性能を乱すことを防げる。
半導体ウエハ8からの熱放射光に重畳した参照光が参照光源装置1のチョッパ4の回転により変調されている様子が分かる。数ミリ秒のウエハ加熱時間に比べ十分高速にミリ秒以下の速度で変調されている。
図3の刻々と変化するP偏光、S偏光それぞれの信号から、半導体ウエハ8の反射率比を求め、そこから黒体放射輝度を推定し、求めた半導体ウエハ8の温度変化を図4に示す。このように、ミリ秒オーダで1100℃以上に達する高速な温度変化を放射率や背景光の影響を受けることなく捉えることが出来ている。
2波長温度計は内部に設けたハーフミラーでビームを2つに分け、波長フィルタにより波長λ1及びλ2を選択し2つの光検出器でそれぞれ測定する。
参照光源装置1の強度をλ1とλ2の輝度比を保ったまま変調し、この時の出力変化を演算してλ1及びλ2の反射率比を求め、さらにそれより黒体放射輝度を推定し、半導体ウエハ8の表層の温度を測定することができる。
なお、水、水蒸気又は炭酸ガスはランプハウス内にとどまらず、別途、ランプハウスの下の被加熱半導体基板との空間に2枚の透明ガラスを置き、その間を満たすことでも構わない。図2には2枚の透明ガラス板間に満たした水膜14を加熱ランプ9の下面に設けた例を示す。
2:光源(貴金属箔リボン)
3:レンズ
4:チョッパ
5:電流供給源
6:半導体熱処理測定装置
7:ホットプレート
8:半導体ウエハ(半導体基板)
9:加熱ランプ
10、11:無反射ポート
12:放射温度計
13:石英ガラス窓
14:水膜
Claims (6)
- 高温高速放射温度計用参照光源装置であって、光源として面状光源を使用し、該光源の測定対象側に、2枚のレンズをそれぞれの焦点距離の和の間隔を置いて配置し、該2枚のレンズの焦点位置にチョッパを配置することを特徴とする光源装置。
- 前記チョッパの羽は測定対象側表面が黒化されていることを特徴とする請求項1記載の光源装置。
- 前記面状光源用材料として貴金属を使用し、この貴金属に電流を流して光源とすることを特徴とする請求項1又は2記載の光源装置。
- 前記貴金属は白金であることを特徴とする請求項3記載の光源装置。
- 前記貴金属の形状として箔状のリボンを使用することを特徴とする請求項3又は4記載の光源装置。
- 前記2枚のレンズのうちの光源側のレンズの焦点距離が測定対象側のレンズの焦点距離の1/2より大きいことを特徴とする請求項1−5のいずれか一項に記載の光源装置。
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