JP6291764B2 - 細胞培養容器用ラベル - Google Patents

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Description

本発明は、細胞培養容器に貼付するためのラベル、細胞培養容器とラベルのキット、及びラベルが貼付された細胞培養容器に関する。
培養系で精子と卵子とを体外受精させて受精卵(接合子)を作製して、さらに受精卵を卵割、桑実胚、胚盤胞の段階を経て、透明帯から孵化した脱出胚盤胞の段階まで培養することが可能となり、この卵割から胚盤胞の段階にある受精卵を子宮に移植して産子を得る補助的生殖技術(ART)が、家畜領域のみならずヒトの不妊医療でも確立されている。
このような不妊医療及び生殖補助医療などの分野においては、精子、卵子、及び受精卵などの検体の取り違えが問題となっている。特にこの種の治療においては検体を容器から容器へと移し替える回数が多いため、誤って他人の検体を使用してしまう事件も発生しやすい。再生医療などの分野においても、患者から採取した組織や細胞を培養して、再び本人の体内へ移植されるため、検体の取違えを防止することは非常に重要となっている。
このような取り違えを防止するため、通常、容器自体に患者名やIDなどを記入すること、患者名を記載したラベルを貼付することが行われている。また、読み取りの自動化のため、バーコードやICチップなどを用いる手法なども提案されている。
例えば、特許文献1に記載されるように、ラベルを容器側面に貼付すると、ラベルに記載された情報を読み取る時に内容物をこぼす等のリスクが高いため、容器の裏面に貼付するか、容器蓋の表面に貼付する必要があった。しかし、容器蓋にラベルを貼付すると、作業時に別の容器の蓋と取違えるといった本質的な問題があり、容器本体にラベルを貼付することが重要である。また、ラベルを容器に貼り付けた後に患者名等の情報を記入したり、容器を保管場所から取り出した際にその記録を追記したりする場合、容器の側面や裏面にラベルを貼りつけると記入が難しく、実質的に再記入が困難であった。
特許第4862704号公報
本発明は、細胞培養容器本体に情報を読み取りやすい状態で貼付でき、かつ貼付後に記入することが可能な細胞培養容器用ラベルを提供することを目的とする。
本発明者らは、シート状基材と、シート状基材の片面に形成された粘着層と、粘着層を介してシート状基材に剥離可能に配置される剥離基材とを備えたラベルにおいて、シート状基材と粘着層を切込み線に沿って剥離基材から剥離することにより折り返し可能な折り返し部を形成し、折り返し部を折り返すことにより露出する粘着層露出面を細胞培養容器の底部外側に貼付し、細胞培養容器の底部外周より外側に存在するシート状基材表面を記入領域とすることにより、上記課題が解決できることを見出した。
すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
(1)底部と開口部を有する細胞培養容器の底部外側に貼付するためのラベルであって、
シート状基材と、シート状基材の片面に形成された粘着層と、粘着層を介してシート状基材に剥離可能に配置される剥離基材とを備え、
シート状基材と粘着層に切込み線が形成されており、
シート状基材と粘着層を切込み線に沿って剥離基材から剥離することにより折り返し可能な折り返し部を有し、
シート状基材の粘着層が形成されていない側の面の、折り返し部以外の部分に記入領域が存在し、
折り返し部を折り返すことにより露出する粘着層露出面を細胞培養容器の底部外側に貼付したときに、細胞培養容器の開口部側からの上面視において、底部外周より外側に記入領域が存在するよう構成される、
ラベル。
(2)シート状基材と粘着層に形成された切込み線に沿って、剥離基材にも切込み線が形成されており、剥離基材における折り返し部に対応する部分を除去できる、(1)に記載のラベル。
(3)底部が円形の細胞培養容器の底部外側に貼付するためのラベルであり、
折り返し部を折り返すことにより露出する粘着層露出面を細胞培養容器の底部外側に貼付したときに、折り返し部外周が細胞培養容器の円形の底部外周に沿うように切込み線が円弧状部分を含む、
(1)又は(2)に記載のラベル。
(4)底部の中央部に透過観察可能な培養領域を有する細胞培養容器の底部外側に貼付するためのラベルであり、
折り返し部を折り返すことにより露出する粘着層露出面を細胞培養容器の底部外側に貼付したときに、培養領域に対応する領域にカット部分を有するように切込み線が形成されている、
(1)〜(3)のいずれかに記載のラベル。
(5)折り返し部を折り返したときの折り返し線とラベル端部との距離が、折り返し部の折り返し幅に等しい、(1)〜(4)のいずれかに記載のラベル。
(6)底部と開口部を有する細胞培養容器、及び
シート状基材と、シート状基材の片面に形成された粘着層と、粘着層を介してシート状基材に剥離可能に配置される剥離基材とを備えるラベルであって、
シート状基材と粘着層に切込み線が形成されており、
シート状基材と粘着層を切込み線に沿って剥離基材から剥離することにより折り返し可能な折り返し部を有し、
シート状基材の粘着層が形成されていない側の面の、折り返し部以外の部分に記入領域が存在し、
折り返し部を折り返すことにより露出する粘着層露出面を細胞培養容器の底部外側に貼付したときに、細胞培養容器の開口部側からの上面視において、底部外周より外側に記入領域が存在するよう構成されるラベル、
を含むキット。
(7)細胞培養容器が、底部の中央部に透過観察可能な培養領域を有する、(6)に記載のキット。
(8)底部と開口部を有する細胞培養容器であって、その底部外側にラベルが貼付されており、
ラベルが、シート状基材と、シート状基材の片面に形成された粘着層と、粘着層を介してシート状基材に剥離可能に配置される剥離基材とを備え、シート状基材と粘着層に切込み線が形成されており、シート状基材と粘着層を切込み線に沿って剥離基材から剥離することにより折り返し可能な折り返し部を有し、シート状基材の粘着層が形成されていない側の面の、折り返し部以外の部分に記入領域が存在し、
ラベルの折り返し部を折り返すことにより露出する粘着層露出面が細胞培養容器の底部外側に貼付されており、
細胞培養容器の開口部側からの上面視において、底部外周より外側にラベルの記入領域が存在する、細胞培養容器。
(9)細胞培養容器が、底部の中央部に透過観察可能な培養領域を有する、(8)に記載の細胞培養容器。
(10)細胞培養容器に貼付するためのラベルであって、
シート状基材と、シート状基材の片面に形成された粘着層と、粘着層を介してシート状基材に剥離可能に配置される剥離基材とを備え、
包装袋に包まれた状態で滅菌処理されており、滅菌前のラベルは付着している菌数(バイオバーデン数)が1000cfu/ラベル以下である、
ラベル。
本発明により、細胞培養容器本体に情報を読み取りやすい状態で貼付でき、かつ貼付後に記入することが可能な細胞培養容器用ラベルが提供され、不妊医療、生殖補助医療及び再生医療などの分野において、検体の取違えの問題を回避できる。
本発明のラベルの一実施形態の上面視を示す概略図である。 本発明のラベルの一実施形態の垂直断面図を示す概略図である。 本発明のラベルの一実施形態において、ラベルの折り返し部を折り返したときの、シート状基材側からの上面視を示す概略図である。 本発明のラベルの一実施形態において、ラベルの折り返し部を折り返したときの、垂直断面図を示す概略図である。 本発明のラベルの一実施形態において、ラベルの折り返し部を細胞培養容器の底部外側に貼付した状態の容器開口部側からの上面視を示す概略図である。 本発明のラベルの一実施形態において、ラベルの折り返し部を細胞培養容器の底部外側に貼付した状態の垂直断面図を示す概略図である。 本発明のラベルの一実施形態の上面視を示す概略図である。 本発明のラベルの一実施形態の垂直断面図を示す概略図である。 本発明のラベルの一実施形態において、ラベルの折り返し部を折り返したときの、シート状基材側からの上面視を示す概略図である。 本発明のラベルの一実施形態において、ラベルの折り返し部を折り返したときの、垂直断面図を示す概略図である。 本発明のラベルの一実施形態において、ラベルの折り返し部を細胞培養容器の底部外側に貼付した状態の容器開口部側からの上面視を示す概略図である。 本発明のラベルの一実施形態において、ラベルの折り返し部を細胞培養容器の底部外側に貼付した状態の垂直断面図を示す概略図である。 本発明のラベルの一実施形態の上面視を示す概略図である。 本発明のラベルの一実施形態において、ラベルの折り返し部を折り返したときの、シート状基材側からの上面視を示す概略図である。 本発明のラベルの一実施形態において、ラベルの折り返し部を細胞培養容器の底部外側に貼付した状態の容器開口部側からの上面視を示す概略図である。
以下、本発明について説明する。
一実施形態においてラベルは、底部と開口部を有する細胞培養容器の底部外側に貼付するためのものであり、
シート状基材と、シート状基材の片面に形成された粘着層と、粘着層を介してシート状基材に剥離可能に配置される剥離基材とを備え、
シート状基材と粘着層に切込み線が形成されており、
シート状基材と粘着層を切込み線に沿って剥離基材から剥離することにより折り返し可能な折り返し部を有し、
シート状基材の粘着層が形成されていない側の面の、折り返し部以外の部分に記入領域が存在し、
折り返し部を折り返すことにより露出する粘着層露出面を細胞培養容器の底部外側に貼付したときに、細胞培養容器の開口部側からの上面視において、底部外周より外側に記入領域が存在するよう構成される。
一実施形態においてラベルは、当技術分野で通常用いられる底部と開口部を有する細胞培養容器に貼付可能である。例えば、底部で細胞を培養することが可能な汎用のシャーレに貼付することができる。汎用のシャーレとしては、開口部及び底部が好ましくは円形で、開口幅が、好ましくは30〜60mm、特に35mmのものが挙げられる。一実施形態においてラベルは、細胞培養容器の底部外側に貼付するように構成されている。底部外側とは、細胞培養容器において細胞を配置して培養する底部の容器内側に対し、その反対側、換言すれば容器の裏側をさす。以下、細胞培養容器を単に容器と称する場合がある。
一実施形態においてラベルは、好ましくは、例えば図6に示すような、底部が円形の細胞培養容器の底部外側に貼付するために、好適に用いられる。一実施形態においてラベルはまた、例えば図6に示すような、底部の中央部に透過観察可能な培養領域を有する細胞培養容器の底部外側に貼付するために、好適に用いられる。培養領域は、細胞培養容器の底部において細胞を配置して培養する領域である。中央部とは、底部において厳密な中央である必要はなく、底部の端でなければよい。培養領域は、培養時及び観察時の操作性の観点から、慣用の細胞培養容器において中央部に配置される場合が多い。ラベルが透明な場合は問題ないが、ラベルが透明でない場合は、ラベルを底部外側に貼付する際にラベルと培養領域とが重ならないように貼付することが好ましい。したがって、ラベルを底部外側に貼付する際に、わかりやすいように、培養領域が底部のその他領域と視認可能に区別されていることが好ましい。例えば、培養領域を内壁で囲むことにより区別されていてもよいし、単に線で囲むことにより区別されていてもよい。
培養領域は、細胞培養容器の底部の中央部に位置し、透過観察可能な領域であることが好ましい。透過観察可能な培養領域は、好ましくは透明な材料で構成されており、顕微鏡観察において、光を培養領域に透過させて観察する際に観察しやすいため好ましい。透明には半透明も包含され、透明な材料には半透明な材料も包含される。ラベルは、好ましくは、当該培養領域の透過観察性を阻害しないように構成され及び/又は貼付される。細胞培養容器の底部の培養領域以外の部分も、透明であってもよく、細胞培養容器の全体が透明の材料で形成されていてもよい。当技術分野で慣用されるシャーレ等の細胞培養容器は、全体が透明であることが多いので、一実施形態においてラベルは、慣用のシャーレに好適に用いることができる。
一実施形態においてラベルは、シート状基材と、シート状基材の片面に形成された粘着層と、粘着層を介してシート状基材に剥離可能に配置される剥離基材とを備える。粘着層はシート状基材の片面の全面に形成されており、折り返し部の剥離前において、粘着層の全面に剥離基材が配置されていることが好ましい。ラベルの形状は特に制限されないが、細胞培養容器に貼付したときに、底部外周より外側に記入領域が存在することから、細長い形状が好ましく、例えばストリップ状である。具体的には、細長い円形(楕円形など)及び多角形(長方形など)が挙げられ、好ましくは長方形である。ラベルの長手方向の長さ(長方形の場合は長辺の長さ)は好ましくは1〜10cmであり、ラベルの幅(長方形の場合は短辺の長さ)は好ましくは0.5〜5cmである。ラベルは、長手方向が、底部外周より外側にはみ出すように貼付されることが好ましい。このような大きさであれば、記入するのに十分なスペースが確保でき、かつ設置時や作業時に邪魔にならない。
一実施形態においてラベルは、例えば図1および図2に示すように、シート状基材2と粘着層3に切込み線5(例えば、ハーフカット)が形成されており、シート状基材2と粘着層3を切込み線5に沿って剥離基材4から剥離することにより折り返し可能な折り返し部6を有する。折り返し部は、剥離する前の状態、剥離した後の状態および折り返した後の状態のすべてを包含する。切込み線を形成することにより、シート状基材と粘着層の部分的な剥離を容易に実施できる。切込み線は、ミシン目状でもよい。例えば図1、図7および図13に示すように、折り返し部6は、ラベルの一部であって、剥離前の状態において、シート状基材側からの上面視において、切込み線5で部分的に囲われた領域である。切込み線は、粘着層にも同様に存在し、シート状基材と粘着層は一緒になって剥離される。したがって、折り返し部は、シート状基材と粘着層によって構成される。部分的に囲われたとは、切込み線に沿ってシート状基材と粘着層を剥離したときに、折り返し部がラベルから切り取られるのではなく、折り返し部とラベルのその他の部分とが連結部を有するように切込み線が形成されていることをさす。折り返し部は、その連結部において折り返すことができ、それにより連結部には折り返し線が形成される。折り返し部は、折り返し線において、シート状基材側から見て谷折りで折り返される。したがって、例えば図1、図7および図13に示すように、折り返し部6を剥離する前のシート状基材側2からの上面視において、折り返し部6は、切込み線5または5’と折り返し線7とに囲まれた部分でありうる。ここで、切込み線がラベルの幅を横断している場合は、ラベルの外周も切込み線とみなすことができ、切込み線と折り返し線とラベルの外周に囲まれた部分が折り返し部となる。
折り返し部の形状、すなわち、切込み線と折り返し線とに囲まれた部分の形状は特に制限されないが、シート状基材側からの上面視において、例えば、略円形(円形、円の一部、半円など)や多角形(三角形、四角形など、好ましくは長方形など)が挙げられる。
例えば図7〜図12に示すように、底部が円形の細胞培養容器の底部外側に貼付する場合は、折り返し部の粘着層露出面を細胞培養容器の底部外側に貼付したときに、折り返し部外周、すなわち切込み線5と折り返し線7により形成される外周が細胞培養容器の円形の底部外周に沿うように切込み線5が円弧状部分5’を含むように切込み線を形成することが好ましい。換言すれば、折り返し部分が、円形の底部の一部と同じ又は相似の形状を有するように、切込み線を形成することが好ましい。それにより、ラベル貼付時に折り返し部が細胞培養容器の底部からはみ出ないようにする場合、外周が直線のみからなる四角形の折り返し部の場合よりも、折り返し部を幅広くとることができ、結果として粘着層露出面と容器底部とが接触する面積を広くとることができるため、より安定な貼付が可能になる。細胞培養容器の培養領域とラベルとが重ならないようにラベル貼付する場合も、粘着層と容器底部とが接触する面積を広くとることができ、安定な貼付が可能になる。なお、粘着層露出面は、折り返し部を剥離して折り返すことにより粘着層が露出した領域をさす。
底部の中央部に透過観察可能な培養領域を有する細胞培養容器の底部外側に貼付する場合は、折り返し部の粘着層露出面を細胞培養容器の底部外側に貼付したときに、培養領域に対応する領域に折り返し部が存在しないように切込み線を形成することが好ましい。例えば折り返し部分がカット部分(例えば、凹みまたは欠け)を有するような形状となるように切込み線を形成することにより、培養領域に対応する領域に折り返し部が存在しないようにラベルを貼付することができる。例えば図13〜図15に示すように、底部中央に円形の培養領域13を有する細胞培養容器に長方形の折り返し部を貼付する態様においては、貼付時に円形の培養領域13と折り返し部6とが重ならないように、折り返し部6が、円形の培養領域に対応する形状のカット部分15を有することが好ましい。その場合、カット部分の形状は、培養領域全体と対応する円形であってもよいし、培養領域と部分的に対応する円が欠けた形状であってもよい。カット部分が存在することにより、折り返し部を容器底部に貼付した状態で、培養領域とラベルの重なりがないため、培養領域内の検体の観察が阻害されない。
一実施形態においては、例えば図7〜図12に示すように、シート状基材2と粘着層3に形成された切込み線5に沿って、剥離基材4にも切込み線5が形成され、さらに、剥離基材4には折り返し線7に沿った切込み線5も形成され、剥離基材における折り返し部に対応する部分を除去できる構成としてもよい。すなわち、この実施形態では、剥離基材には、折り返し部外周に対応する切込み線が形成されている。その場合、剥離基材における折り返し部に対応する部分を除去した後、折り返し部と記入領域とが分断されないように、除去されずに残る剥離基材が一体となるように切込み線を形成することが好ましい。記入領域は、必要な情報、例えば、ラベルを貼付する細胞培養容器で培養される検体の情報を記入するための領域である。このように、剥離基材が部分的に除去される態様においては、折り返し部を折り返し、剥離基材を除去した部分は貫通部分となる。この実施形態では、折り返し部を折り返す際に剥離基材ごと折り曲げることができるため、粘着層に触れずに済み、また折り返し後に剥離基材を容易に剥がすことができるという利点がある。一方、例えば図1〜図6に示すように、剥離基材には切込み線が形成されておらず、シート状基材と粘着層にのみ切込み線がハーフカットとして形成されている態様では、シート状基材と粘着層で構成される折り返し部を剥離して折り返した後も、対応部分に剥離基材が除去されずに残るため、貼付後のラベルの強度を維持できる。また、除去した剥離基材を処分する手間もはぶくことができる。
一実施形態においては、折り返し部を折り返したときの折り返し線とラベル端部との距離が、折り返し部の折り返し幅に等しいことが好ましい。ここで、ラベル端部は、折り返し部を折り返す側のラベルの端部をさし、ラベルが四角形の場合には折り返す側のラベルの辺をさす。折り返し線とラベル端部との距離は、例えば、図1および図7に示すように、ラベルのシート状基材側からの上面視において、折り返し線と直行する線を引いたときに、その線がラベル端部と交わる点とその線が折り返し線と交わる点との距離のうち最大の距離Xと定義できる。折り返し部の折り返し幅は、ラベルのシート状基材側からの上面視において、折り返し線と直行する線を引いたときに、その線が切込み線と交わる点とその線が折り返し線と交わる点との距離のうち最大の距離Xと定義できる。この2つの距離を等しくすることにより、粘着層露出面と容器底部とが接触する面積と、記入領域の面積とをバランスよくとることができる。記入領域は、シート状基材の粘着層が形成されていない側の面の、折り返し部以外の部分に存在することから、折り返し部の面積が広くなるほど、記入領域の面積は狭くなる。
例えば、折り返し前のラベルのシート状基材側からの上面視においてラベルは、記入領域(A)、折り返し部(B)、折り返し部が重なる領域(C)、折り返し部と重ならないが容器底部と接触する領域(D)にわけることができる。ラベルの大きさを変えないとき、単に折り返し部の面積を広くして、C+Dの面積を固定すると、Aの面積は狭くなる。記入領域(A)は十分な情報を記入できるようなるべく大きく、折り返し部(B)は接着力が確保できるようなるべく大きく、Dは不要な領域なのでなるべく小さくすることが好ましい。ここで、Cは必ずB以下になる。C+Dが小さすぎると、特に折り返し部が貫通タイプの時に、ラベル強度が低くなるため、一定以上の大きさが必要となる。また、A+Bは、容器底部に貼付した時に底部外周より外側に存在する部分であり、作業時の邪魔にならないよう、なるべく小さいことが好ましい。
例えば、図1において、ラベルの大きさを一定として、Bの面積も固定した状態で折り返し線の位置を考えると、X>Xとすると、X=Xの場合と比べて、CとBの面積は互いに等しいという点で変わらず、Dの面積が大きくなるのに対し、Aの面積が小さくなる。一方、X<Xだと、X=Xと比べて、Aの面積が大きくなるが、Cの面積がBの面積より小さくなるため、粘着層露出面においてラベルが2枚重ねでなく1枚になり、やや破れやすくなったり、Xが小さすぎるとラベル自体の強度の点でやや弱くなったりするおそれがある。従って、少なくともX≦Xであることが好ましく、特にX=Xであると貼付時の安定性やラベル強度の点で特に好ましい。
つまり、ラベルの大きさが一定の場合に、記入領域を最大化するには、折り返し部の面積は接着強度を保つためになるべく大きくしつつも、接着強度が保てる最低限度の大きさに設計することが好ましい。最低限度の接着強度を保つには、例えば、折り返し部の折り返し幅X=数mm幅である。Xも強度の点で数mm以上であることが好ましいため、結果としてX=Xであることが最も好ましい。Xの設計の観点では、Xの下限はラベル強度に基づいて決定され、好ましくは3mm以上で、さらにXの上限は、X≦Xとなるように決定されることが好ましい。例えば、X=5mmである場合、3mm≦X≦5mm(X)として設計できるが、最終的にはバランスや粘着層露出面全体を2枚重ねにすることを考慮して、X=Xとすることが好ましい。
粘着層露出面の面積が大きいほどラベルを安定に容器に貼付することができ、作業中のラベルがはがれてしまうリスクを低減することができるが、粘着層露出面の面積が小さいほど、その残りの部分である記入領域の面積が大きくなるので、多くの情報を記入することができる。したがって、記入領域に記入すべき情報量を考慮しつつ、両者の面積比を調整することが好ましい。例えば、ラベルの面積に対する粘着層露出面(すなわち折り返し部)の面積は、好ましくは10〜40%である。また、ラベルを安定に貼付する観点から、粘着層露出面、すなわち折り返し部、の面積は、好ましくは0.4〜9cmである。
発明のラベルは、折り返し部を折り返すことにより露出する粘着層露出面を細胞培養容器の底部外側に貼付すると、細胞培養容器の開口部側からの上面視において、底部外周より外側に記入領域が存在するよう構成される。底部外周より外側に記入領域が存在するとは、ラベルの粘着層露出面を細胞培養容器に貼付したときに、記入領域が、底部外周から外側にはみ出していることをさす。記入領域が底部外周から外側にはみ出すようにラベルを貼付可能なことから、ラベルの貼付後に情報を追記することが可能である。また、容器側壁に単に貼付したラベルに追記する場合、すなわち、容器側壁に追記する場合、とは異なり、細胞培養容器を持ち上げることなく置いたままの状態で追記できるため、培養液等が容器からこぼれるリスクや、容器底部で受精卵等の細胞が動いて個々の細胞を特定できなくなるリスクを回避できる。
記入領域は、底部外周より外側一方向に存在することが好ましい。外側一方向とは、底部外周より外側へのはみ出しが一方向のみであり、二方向以上にはみ出していないことをさす。例えば、ストリップ状のラベルを細胞培養容器に貼付したときに、はみ出した一方向と逆側から持つことで、ラベルと干渉することがなく持ちやすい。また、情報を一か所に集約することで、見やすいという効果もある。
記入領域は、必要な情報、例えば、ラベルを貼付する細胞培養容器で培養される検体の情報を記入するための領域である。情報は、記入済みであってもよいし、使用者がラベルを貼付する前に記入してもよい。折り返し部の粘着層露出面を細胞培養容器の底部外側に貼付した状態の細胞培養容器を台などの面上に配置すると、ラベルの記入領域も台の面上で露出した状態で(容器開口部側からの上面視において露出した状態で)配置されるため、ラベルを貼付した状態のまま記入領域へ記入することができる。すなわち、細胞培養容器もラベルも同一の面上に接地されるため、記入領域への記入が容易に実施できる。
記入領域に記入される情報としては、例えば、患者名、患者識別番号(カルテ番号や培養管理番号など)、検体名、日付、処理工程名などが挙げられる。また、バーコードやQRコード、アノトドット等の識別記号が記入/印字されていてもよい。これらの情報は、内容によって記入領域に事前に記入されていてもよいし、使用者が記入してもよいし、事前に記入された情報に使用者が追記してもよい。また、ラベルを容器に貼付した状態で、記入領域が透明な場合(例えば、シート状基材、粘着層及び剥離基材が透明な場合)は、剥離基材の粘着層が形成されていない側の露出面に、細胞培養容器側から観察して情報を視認できるように、反転した文字等で印字してもよい。その場合、反転した文字等は、使用者が記入するのは困難なため、予め印字されていることが好ましい。
粘着層露出面は、折り返し部を剥離して折り返すことにより粘着層が露出した領域であり、粘着層露出面を介してラベルを細胞培養容器の底部外側に貼付することができる。換言すれば、粘着層露出面は、粘着層とシート状基材で構成される折り返し部の、粘着層側の面である。折り返し部の粘着層露出面を介してラベルを細胞培養容器の底部に貼付したときの、細胞培養容器の開口部側からの上面視において、底部外周より外側に記入領域を存在させる観点から、折り返し部を折り返したときに、粘着層露出面がラベルの端部に配置されるような構成とすることが好ましい。折り返し後の折り返し部は、例えば図3および図9に示すように、シート状基材側からの上面視において、全面がラベルにおける折り返し部が折り返される側の部分と重なるよう構成してもよいし、例えば図14に示すように、ラベルと重なりつつかつ重なりが生じない領域にもはみ出すように構成してもよい。すなわち、折り返し後の折り返し部において、ラベルの折り返し部以外の部分と重なっていない領域が存在してもよい。前者の場合は、折り返し部と細胞培養容器底部との重なりが広くなりすぎないため、ラベルにより観察が阻害される領域を低減できる。後者の場合は、折り返し部と細胞培養容器底部との重なりが広いため、ラベルを安定に貼付することができる。その場合、貼付時に培養領域と折り返し部とが重ならないように、折り返し部が上述のカット部分を有することが好ましい。
一実施形態においては、シート状基材と粘着層が透明材料からなり、粘着層露出面が透明であることが好ましい。粘着層露出面が透明であれば、ラベルを細胞培養容器の底部に貼付する場合に、培養領域と粘着層露出面が重なっても培養領域における検体の観察が阻害されない。したがって、粘着層露出面、すなわち接着面を広くとることができ、ラベルを安定に貼付することができる。
一実施形態においてラベルは、当技術分野で通常用いられる方法で、シート状基材の片面に粘着層を形成し、粘着層を介してシート状基材と剥離可能に剥離基材を接着することにより製造することができる。一実施形態において粘着層は、シート状基材の片面の全面に形成され、剥離基材も剥離前において、粘着層の全面に配置される。
シート状基材は、特に制限されないが、例えば、紙及びプラスチックフィルムなどを使用することができる。紙としては、上質紙、コート紙、クラフト紙、アート紙、その他各種板紙、加工紙、合成紙などが使用できる。シート状基材は、耐水性を有する材料であることが好ましい。耐水性とすることにより、高湿度な環境でも利用可能であるとともに、作業時に培養液や水が接触しても、損傷を回避できる。シート状基材の片面が記入領域を構成することから、シート状基材のうち少なくとも記入領域を構成する領域については、記入可能な材料で形成されていることが好ましい。記入領域を構成する領域の表面のみ、記入可能な材料で形成されていてもよい。記入可能な材料は、具体的には、日清紡ポスタルケミカル株式会社製レーザーピーチ紙などが挙げられる。耐水性のある記入可能な材料としては、具体的には、ユポコーポレーション社製ユポ(登録商標)紙などが挙げられる。
粘着層に用いる粘着剤としては、特に制限されないが、例えば、天然ゴム、ブタジエン−スチレンゴム、アクリルゴムなどの合成ゴムを主成分とするゴム系粘着剤、アクリル酸、アクリル酸ブチルなどを主成分とするアクリル系粘着剤、シリコン系粘着剤、フッ素系粘着剤などの通常使用されている粘着剤が使用される。中でもゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤が一般的に使用される。粘着層は、再貼付可能な弱粘着性の粘着剤で形成されていてもよい。弱粘着性の粘着剤で粘着層を形成することにより、ラベルを容器に一度貼付した後にラベルを容器から剥がして記入し、再度貼付することができる。それにより、貼り付けミスがあった際に、容器を捨てることなく貼り直せること、また、記入ミスがあった際にも、内容物を別の容器に移し替えることなく記載を修正したものを貼り直せることなどの利点がある。
粘着剤を塗布する方法としては、例えば、ロールコーター、リバースロールコーター、ダイコーター、コンマーコーターなどを使用することができる。また粘着剤の粘度によっては、グラビアコーター、ブレードコーターなどが使用できる。
剥離基材は、特に制限されないが、例えば、プラスチックフィルムを使用できる。また、グラシン紙、クラフト紙などにシリコン膜を剥離層として形成したものも好適に使用できる。また紙と剥離層の間に樹脂ラミネート層を有するものも使用できる。またプラスチックフィルムにシリコン膜を剥離層として形成したものも使用できる。剥離基材は、耐水性を有する材料であることが好ましい。耐水性とすることにより、高湿度な環境でも利用可能であるとともに、作業時に培養液や水が接触しても、損傷を回避できる。
切込み線を形成する方法として、所望する形状の抜き刃、ハーフカット刃を木型に埋め込んだトムソン抜き型や、金型を用いてプレスすることにより形成することができる。
本発明はまた、底部と開口部を有する細胞培養容器及び上記ラベルを含むキット、ならびに底部と開口部を有する細胞培養容器であって、その底部外側に上記ラベルが貼付され、細胞培養容器の開口部側からの上面視において、底部外周より外側にラベルの記入領域が存在する細胞培養容器に関する。
細胞培養容器の形状等については、上述のとおりであり、その材質は、特に制限されない。具体的には、金属、ガラス、及びシリコン等の無機材料、プラスチック(例えば、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ABS樹脂、ナイロン、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、メチルペンテン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂)で代表される有機材料を挙げることができる。細胞培養容器は、当業者に公知の方法で製造することができる。例えば、プラスチック材料からなる培養容器を製造する場合には、慣用の成形法、例えば射出成形により製造することができる。
細胞培養容器は、培養細胞の非特異的接着を防止したり、また培養液のドロップが表面張力によって偏ることを防止したりする観点から、内側にプラズマ処理などの表面親水化処理をしていてもよい。することが好ましい。さらにγ線滅菌などの滅菌処理されていることがより好ましい。ラベルを貼付した細胞培養容器も同様に滅菌処理されていることが好ましい。滅菌前の容器に付着している菌数(バイオバーデン数)は、100cfu/容器以下であることが好ましい。ラベルもまた滅菌処理を施されていることが好ましく、包装袋に包まれた状態で滅菌処理されていることがさらに好ましい。一実施形態において本発明は、細胞培養容器に貼付するためのラベルであって、シート状基材と、シート状基材の片面に形成された粘着層と、粘着層を介してシート状基材に剥離可能に配置される剥離基材とを備え、包装袋に包まれた状態で滅菌処理されており、滅菌前のラベルに付着している菌数(バイオバーデン数)が1000cfu/ラベル以下、好ましくは100cfu/ラベル以下であるラベルに関する。滅菌前の菌数が少ない方が、照射線量をあまり上げずに滅菌が可能となり、ラベル材料の制約が生じにくいという利点がある。例えば、ガンマ線耐性の低い材料も使うことができる。また、ラベル側の菌数が大きいと、容器単体を滅菌するための最低限のガンマ線照射量よりも過剰に照射することが必要となり、容器材料のガンマ線耐性の観点での制約も生じてしまう。ラベル側も、容器と同じ程度以下の菌数であることで、容器とラベルを同じ包装袋に入れたとしても照射線量に制約が生じない。
細胞培養容器は、受精卵の発育を促進するような表面処理又は表面コートがなされていてもよい。特に、受精卵の発育を促進するために、他の器官の細胞(例えば、子宮内膜細胞や卵管上皮細胞)と共培養をする場合、これらの細胞をあらかじめ培養容器に接着させる必要がある。このような場合に、培養容器の内側表面に細胞接着性の材料をコートすると有利である。
培養対象となる細胞は、特に制限されないが、例えば、受精卵、卵細胞、ES細胞(胚性幹細胞)及びiPS細胞(人工多能性幹細胞)が挙げられる。卵細胞は、未受精の卵細胞をさし、未成熟卵母細胞及び成熟卵母細胞が含まれる。受精卵は、受精後、卵割により2細胞期、4細胞期、8細胞期と細胞数が増えていき、桑実胚を経て、胚盤胞へと発生する。受精卵には、2細胞胚、4細胞胚及び8細胞胚などの初期胚、桑実胚、胚盤胞(初期胚盤胞、拡張胚盤胞及び脱出胚盤胞を含む)が含まれる。胚盤胞は、胎盤を形成する潜在能力がある外部細胞と胚を形成する潜在能力がある内部細胞塊からなる胚を意味する。ES細胞は胚盤胞の内部細胞塊から得られる未分化な多能性又は全能性細胞をさす。iPS細胞は、体細胞(主に線維芽細胞)へ数種類の遺伝子(転写因子)を導入することにより、ES細胞に似た分化万能性を持たせた細胞をさす。すなわち、細胞には、受精卵や胚盤胞のように複数の細胞の集合体も包含される。
細胞培養容器は、好ましくは哺乳動物及び鳥類の細胞、特に哺乳動物の細胞の培養に好適である。哺乳動物は、温血脊椎動物をさし、例えば、ヒト及びサルなどの霊長類、マウス、ラット及びウサギなどの齧歯類、イヌ及びネコなどの愛玩動物、ならびにウシ、ウマ及びブタなどの家畜が挙げられる。
以下、図面を参照することにより、本発明の好ましい実施形態について説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されない。
本発明のラベルの一実施形態を図1〜図6に示す。図1は、ラベルをシート状基材側から見た上面視である。その垂直断面図を図2に示す。この実施形態において、ラベルの折り返し部を折り返したときの、シート状基材側から見た上面視を図3に、垂直断面図を図4に示す。また、ラベルの折り返し部を細胞培養容器の底部外側に貼付した状態の容器開口部側からの上面視を図5に示し、その垂直断面図を図6に示す。
図1及び図2に示すとおり、ラベル1は、長方形のストリップ状であり、シート状基材2と、シート状基材2の片面に形成された粘着層3と、粘着層3を介してシート状基材2に剥離可能に接着される剥離基材4とを備える。粘着層はシート状基材の片面の全面に形成されており、剥離基材の剥離前において、粘着層の全面に剥離基材が配置されている。シート状基材2と粘着層3に切込み線(ハーフカット)5が形成されており、図3及び図4に示すように、シート状基材2と粘着層3を切込み線に沿って剥離基材から剥離することにより折り返し部6を折り返し線7で折り返すことができ、それにより粘着層露出面8が露出する。折り返し部6は、折り返し線7において、シート状基材側から見て谷折りで折り返される。すなわち、折り返し部6は、切込み線5と折り返し線7とに囲まれた長方形の部分であり、シート状基材2と粘着層3を含む。この実施形態では、剥離基材には切込み線5は形成されていないので、折り返し部6を折り返した後には、剥離基材4が残ることとなる。
記入領域9は、シート状基材2の粘着層3が形成されていない側の面の、折り返し部以外の部分に存在する。図5及び6に示すように、折り返し部6を折り返すことにより露出する粘着層露出面8を細胞培養容器10の底部外側11’に貼付したときに、細胞培養容器10の開口部側からの上面視において、底部外周より外側に記入領域9が存在するよう構成されている。
この実施形態では、折り返し部6を折り返すときの折り返し線7とラベル端部との距離Xが、折り返し部の折り返し幅Xに等しい。したがって、折り返し部6を折り返して露出する粘着層露出面8は、ラベルの端部に配置される。この実施形態では、折り返し後の折り返し部6は、シート状基材側からの上面視において、全面がラベルにおける折り返し部が折り返される側の部分と重なっており、重なりが生じない領域にははみ出していない。
細胞培養容器10は、底部11と開口部12を有し、底部11の外周が円形であり、その中央に円形の培養領域13を有し、培養領域13を囲む内壁14を有する。細胞培養容器は、培養領域を含めて全体が透明な材料で構成された透過観察可能な領域であることが好ましい。本実施形態においては、ラベルの折り返し部を貼付した状態で、ラベルの折り返し部と培養領域は重なっていないので、折り返し部は透明でなくてもよいが、透明であってもよい。
本発明のラベルの別の実施形態の上面視を図7〜図12に示す。図7は、ラベルをシート状基材側から見た上面視である。その垂直断面図を図8に示す。この実施形態において、ラベルの折り返し部を粘着層から剥離したときの、シート状基材側から見た上面視を図9に、垂直断面図を図10に示す。また、ラベルを細胞培養容器の底部外側に貼付した状態の容器開口部側からの上面視を図11に示し、その垂直断面図を図12に示す。
上記実施形態と同様に、ラベル1は、長方形のストリップ状であり、シート状基材2と、シート状基材2の片面に形成された粘着層3と、粘着層3を介してシート状基材2に剥離可能に配置される剥離基材4とを備える。粘着層はシート状基材の片面の全面に形成されており、剥離基材の剥離前において、粘着層の全面に剥離基材が配置されている。この実施形態では、シート状基材2と粘着層3に形成された切込み線5に沿って、剥離基材4にも切込み線が形成されている。さらに、剥離基材には、折り返し部6の折り返し線7に対応する部分にも切込み線が形成されている。したがって、図9及び図10に示すように、切込み線に沿って剥離基材4における折り返し部に対応する部分4aを粘着層3から剥離することにより除去できる。そして、折り返し部6を折り返し線7で折り返すことにより粘着層露出面8が露出し、剥離基材を除去した部分はシート状基材も粘着層も剥離基材も存在しない貫通部分となる。折り返し部6は、折り返し線7において、シート状基材側から見て谷折りで折り返される。折り返し部6は、切込み線5と折り返し線7とに囲まれた部分であり、シート状基材2と粘着層3を含む。
記入領域9は、シート状基材2の粘着層3が形成されていない側の面の、折り返し部以外の部分に存在し、図11及び図12に示すように、折り返し部6を折り返すことにより露出する粘着層露出面8を細胞培養容器10の底部外側11’に貼付したときに、細胞培養容器10の開口部側からの上面視において、底部外周より外側に記入領域9が存在するよう構成されている。
この実施形態では、折り返し部6を折り返すことにより露出する粘着層露出面8を細胞培養容器10の底部外側11’に貼付したときに、折り返し部6の外周が細胞培養容器10の円形の底部外周に沿うように切込み線5が円弧状部分5’を含む。細胞培養容器8は、上記実施形態と同様である。
図13、図14及び図15に、折り返し部を折り返すことにより露出する粘着層露出面を細胞培養容器の底部外側に貼付したときに、培養領域に対応する領域に折り返し部が存在しないように切込み線が形成されているラベルの実施形態を示す。図13は、ラベルをシート状基材側から見た上面視である。この実施形態において、ラベルの折り返し部を粘着層から剥離して折り返したときの、シート状基材側から見た上面視を図14に示す。また、ラベルを細胞培養容器の底部外側に貼付した状態の容器開口部側からの上面視を図15に示す。この実施形態において、ラベルが貼付される細胞培養容器は、底部が円形であり中央部に透過観察可能な円形の培養領域を有する。
ラベル1は、長方形のストリップ状であり、シート状基材2と、シート状基材2の片面に形成された粘着層3と、粘着層3を介してシート状基材2に剥離可能に配置される剥離基材4とを備える。粘着層はシート状基材の片面の全面に形成されており、剥離基材の剥離前において、粘着層の全面に剥離基材が配置されている。シート状基材2と粘着層3に切込み線(ハーフカット)5が形成されており、図14に示すように、シート状基材2と粘着層3を切込み線に沿って剥離基材から剥離することにより折り返し部6を折り返し線7で折り返すことができ、それにより粘着層露出面8が露出する。すなわち、折り返し部6は、切込み線5と折り返し線7とに囲まれた部分であり、シート状基材2と粘着層3を含む。この実施形態では、折り返し部分がカット部分15を有するような形状となるように切込み線が形成されており、培養領域13に対応する領域に折り返し部6が存在しないようにラベルを貼付することができる。カット部分15は、培養領域13と部分的に対応する円が欠けた形状である。ラベルは、培養領域13と折り返し部分のカット部分15が重なるように貼付される。カット部分には、シート状基材も粘着層も剥離基材も存在しないことから、培養領域における検体の観察を阻害することはない。また、細胞培養容器の底部と粘着層露出面との接触面積を広くとれることから、ラベルの安定な貼付が可能となる。この実施形態では、折り返し部分が大きいことから、剥離基材には切込み線5は形成されておらず、折り返し部6を折り返した後に、剥離基材4が残ることが好ましい。
この実施形態では、図15に示すように、折り返し部6を折り返したときの折り返し線7とラベル端部との距離Xが、折り返し部の折り返し幅Xより小さい。この実施形態では、折り返し後の折り返し部6は、シート状基材側からの上面視において、ラベルにおける折り返し部が折り返される側の部分と重なりつつ、かつ重なりが生じない領域にもはみ出している。
1:ラベル
2:シート状基材
3:粘着層
4:剥離基材
5:切込み線
6:折り返し部
7:折り返し線
8:粘着層露出面
9:記入領域
10:細胞培養容器
11:底部
11’:底部外側
12:開口部
13:培養領域
14:内壁
15:カット部分

Claims (10)

  1. 底部と開口部を有する細胞培養容器の底部外側に貼付するためのラベルであって、
    シート状基材と、シート状基材の片面に形成された粘着層と、粘着層を介してシート状基材に剥離可能に配置される剥離基材とを備え、
    シート状基材と粘着層に切込み線が形成されており、
    シート状基材と粘着層を切込み線に沿って剥離基材から剥離することにより折り返し可能な折り返し部を有し、
    シート状基材の粘着層が形成されていない側の面の、折り返し部以外の部分に記入領域が存在し、
    折り返し部を折り返すことにより露出する粘着層露出面を細胞培養容器の底部外側に貼付したときに、細胞培養容器の開口部側からの上面視において、底部外周より外側に記入領域が存在するよう構成される、
    ラベル。
  2. シート状基材と粘着層に形成された切込み線、及び、折り返し部を切込み線に沿って剥離基材から剥離し折り返したときに形成される折り返し線に沿って、剥離基材にも切込み線が形成されており、剥離基材における折り返し部に対応する部分を除去できる、請求項1に記載のラベル。
  3. 底部が円形の細胞培養容器の底部外側に貼付するためのラベルであり、
    折り返し部を折り返すことにより露出する粘着層露出面を細胞培養容器の底部外側に貼付したときに、折り返し部外周が細胞培養容器の円形の底部外周に沿うように切込み線が円弧状部分を含む、
    請求項1又は2に記載のラベル。
  4. 底部の中央部に透過観察可能な培養領域を有する細胞培養容器の底部外側に貼付するためのラベルであり、
    折り返し部を折り返すことにより露出する粘着層露出面を細胞培養容器の底部外側に貼付したときに、培養領域に対応する領域にカット部分を有するように切込み線が形成されている、
    請求項1〜3のいずれかに記載のラベル。
  5. 折り返し部を折り返したときの折り返し線とラベル端部との距離が、折り返し部の折り返し幅に等しい、請求項1〜4のいずれかに記載のラベル。
  6. 包装袋に包まれた状態で滅菌処理されており、滅菌前のラベルに付着している菌数(バイオバーデン数)が1000cfu/ラベル以下である、請求項1〜5のいずれかに記載のラベル。
  7. 底部と開口部を有する細胞培養容器、及び
    シート状基材と、シート状基材の片面に形成された粘着層と、粘着層を介してシート状基材に剥離可能に配置される剥離基材とを備えるラベルであって、
    シート状基材と粘着層に切込み線が形成されており、
    シート状基材と粘着層を切込み線に沿って剥離基材から剥離することにより折り返し可能な折り返し部を有し、
    シート状基材の粘着層が形成されていない側の面の、折り返し部以外の部分に記入領域が存在し、
    折り返し部を折り返すことにより露出する粘着層露出面を細胞培養容器の底部外側に貼付したときに、細胞培養容器の開口部側からの上面視において、底部外周より外側に記入領域が存在するよう構成されるラベル、
    を含むキット。
  8. 細胞培養容器が、底部の中央部に透過観察可能な培養領域を有する、請求項に記載のキット。
  9. 底部と開口部を有する細胞培養容器であって、その底部外側にラベルが貼付されており、
    ラベルが、シート状基材と、シート状基材の片面に形成された粘着層と、粘着層を介してシート状基材に剥離可能に配置される剥離基材とを備え、シート状基材と粘着層に切込み線が形成されており、シート状基材と粘着層を切込み線に沿って剥離基材から剥離することにより折り返し可能な折り返し部を有し、シート状基材の粘着層が形成されていない側の面の、折り返し部以外の部分に記入領域が存在し、
    ラベルの折り返し部を折り返すことにより露出する粘着層露出面が細胞培養容器の底部外側に貼付されており、
    細胞培養容器の開口部側からの上面視において、底部外周より外側にラベルの記入領域が存在する、細胞培養容器。
  10. 細胞培養容器が、底部の中央部に透過観察可能な培養領域を有する、請求項に記載の細胞培養容器。
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