JP6291364B2 - 偏波制御素子 - Google Patents

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Description

本発明は光の偏波制御技術に関する。例えば光通信において偏波依存性を有する光学素子を光が通過する際の偏波を制御する偏波制御素子に関する。
光は電磁波の一種で、直交する電界と磁界が振動しながら伝搬する。電磁波の電界についてある規定軸に対する水平成分をE、垂直成分をEとすると、E及びEは、振幅E0x及びE0y、波数a、角周波数ω、進行方向座標z、時間t、位相差εを用いて、以下の(式1)及び(式2)のように示される。
=E0xcos(az−ωt) (式1)
=E0ycos(az−ωt+ε) (式2)
偏波とは、(式1)及び(式2)が合成された電界の振動状態であり、振幅E0x、0yと位相差εとによって決定される。電界を含む面を電界振動面とすると、電界振動面が一定の偏波は直線偏波と呼ばれる。電界振動面が螺旋軌道を描く偏波は楕円偏波と呼ばれ、電磁波の伝搬方向への電界振動面の射影が円となるものを特に円偏波と呼ぶ。このとき、電磁波の伝搬方向への電界振動面の射影が描く楕円の長軸が水平軸となす面を偏波面とする。偏波面は電磁波の電界振動面と一致し、偏波面が変化するとE及びEの振幅比E0x/E0yが変化する。直線偏波は、楕円偏波の短軸成分がないものと考えることができる。
光通信で用いる光ファイバはコアの真円からのずれや、外部応力などが原因でファイバ通過後の偏波面・位相差がランダムに時間変動するため、ファイバから出射される光の偏波はランダムに変化する。光通信で用いる光学素子は偏波依存性を持つ場合が多い。例えば、液晶素子やSi細線導波路のように、特定の偏波面を持つ直線偏波でないと損失が発生する光学素子が多数存在する。これらの光学素子を機能させるためには、入射する光の偏波を特定の偏波面に制御することが必要であり、そのために波長板やファラデー回転子が用いられている。
図1は、従来の偏光子の構成を示す。図1(a)及び(b)には、複数の金属細線101が周期的な配列で構成された偏光子100が示されている。金属細線101は、使用する電磁波の波長の半分以下の周期で配列される。例えば光通信で使用する波長1.55μmの電磁波に対して、金属細線101の配列周期は775nm以下となる。
図1(a)に示されるように、電磁波の電界102が金属細線101の長手方向に平行に入射してきたときに当該電磁波を遮断する。また、図1(b)に示されるように、偏光子100は、電磁波の電界102が金属細線101の長手方向に垂直に入射してきたときに当該電磁波を透過させる。このため、電磁波が任意の偏波面で入射しても、常に金属細線101の長手方向に垂直な成分を取り出し、この方向に偏波面を持つ直線偏波を出射することができる。一方で、金属細線101の長手方向に垂直でない偏波面を持つ成分を遮断してしまうため、電磁波のパワー損失が生じる。
図2は、従来技術であるファラデー回転子の構成を示す。図2に示されるように、ファラデー回転子200は、素子201に電磁波の進行方向と平行に一定の磁場202を印加することで、偏波面を回転させる素子である。ファラデー回転子200における偏波面回転量θは、素子のヴェルデ定数v、磁場強度B、素子の長さlを用いて、θ=vBlで表される。素子201は、使用する電磁波の周波数で電磁波を透過する磁性体であり、例えばイットリウム鉄ガーネット(YIG:Yttrium Iron Garnet)などが使用される。偏波面を45°回転させるためには、YIGの厚さは1mm程度となる。ファラデー回転子200は、電磁波を遮断することなく偏波面を回転させることができる。一方で、回転角203は素子201の厚さや印加される磁場202により決定されるため、入射電磁波の偏波面に対し一定の回転角が加わって電磁波が出射されるのみであり、任意の偏波面を有する偏波を常に一定の偏波面を有する直線偏波に変換して出射することができない。
従来技術であるファラデー回転子による偏波面の変化を図3に示すポアンカレ球を用いて説明する。ポアンカレ球とは、図3(a)に示すように偏波を半径1の球上の点に対応させたものである。偏波を表現するストークスパラメータS、S、S、Sについて、振幅E0x、E0yと位相差εの時間変化が十分小さいとき、電磁波の強度S=E0x +E0y は一定であり、ストークスパラメータS、S、Sは以下の(式3)〜(式5)でそれぞれ示される。
=E0x −E0y (式3)
=2E0x0ycosε (式4)
=2E0x0ysinε (式5)
任意のE0x、E0y、εに対して、S +S +S =S が成り立つ。S=1とすれば、S、S、Sは−1〜1の値をとり、(S、S、S)を座標とする点は半径1のポアンカレ球上にあることがわかる。地球の北極・南極に対応する点がそれぞれ右回り・左回りの円偏波を表し、赤道上は直線偏波を表し、S軸と交わる点は、それぞれ水平・垂直な直線偏波を表す。任意の偏波面を有する偏波を特定の偏波面を有する偏波に変換して出射することは、ポアンカレ球上で偏波を任意の1点に集めることを意味する。
ファラデー回転子による偏波面回転は、位相差εは固定で振幅E0x及びE0yを変化させることなので、図3(b)に示されるように、ポアンカレ球のSを軸とした回転軌道で表される。
Thorlabs Inc、"Wire Grid Polarizers on Glass Substrates"、[on line]、2014年4月22日検索、インターネット<http://www.thorlabs.com/newgrouppage9_pf.cfm?guide=10&category_id=133&objectgroup_id=5510> 尾崎義治、朝倉利光、"ヘクト 光学II −波動光学−"、第4版、丸善株式会社、平成17年10月5日、p.124〜128
本発明は、任意の偏波面を有する偏波を常に一定の偏波面を有する直線偏波に変換して出射するとともに、外乱に対して高い耐性を有する偏波制御素子を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の偏波制御素子は、入射した電磁波の偏波に応じて発生する電流を変化させるセンシング・電流発生部であって、光電変換素子の電磁波が入射する側の面を偏光子で覆って構成したセンシング・電流発生部と、前記センシング・電流発生部に接続され、前記センシング・電流発生部で発生した電流に比例した磁場を発生する磁場発生部と、前記センシング・電流発生部及び前記磁場発生部が表面又は内部に設けられた媒質と、を含む複数の安定子と、前記磁場発生部が発生する磁場と逆向きの逆方向磁場を発生する逆方向磁場発生部と、を備え、前記複数の安定子は、電磁波の進行方向に並んで配置されており、前記磁場発生部は、前記媒質の表面又は内部において前記電磁波の進行方向に垂直な平面上に設けられたループ状の導体で構成された偏波制御素子において、前記逆方向磁場発生部は、一対の永久磁石から構成され、当該一対の永久磁石は電磁波の進行方向に並んで配置された前記複数の安定子から成る安定子群を挟むように電磁波の進行方向に配置されていることを特徴とする。
請求項2に記載の偏波制御素子は、入射した電磁波の偏波に応じて発生する電流を変化させるセンシング・電流発生部であって、光電変換素子の電磁波が入射する側の面を偏光子で覆って構成したセンシング・電流発生部と、前記センシング・電流発生部に接続され、前記センシング・電流発生部で発生した電流に比例した磁場を発生する磁場発生部と、前記センシング・電流発生部及び前記磁場発生部が表面又は内部に設けられた媒質と、を含む複数の安定子と、前記磁場発生部が発生する磁場と逆向きの逆方向磁場を発生する逆方向磁場発生部と、を備え、前記複数の安定子は、電磁波の進行方向に並んで配置されており、前記磁場発生部は、前記媒質の表面又は内部において前記電磁波の進行方向に垂直な平面上に設けられたループ状の導体で構成された偏波制御素子において、前記逆方向磁場発生部は、円筒形状の永久磁石から構成され、当該永久磁石は円筒形状の内部に電磁波の進行方向に並んで配置された前記複数の安定子から成る安定子群を含むよう配置されていることを特徴とする。
請求項3に記載の偏波制御素子は、入射した電磁波の偏波に応じて発生する電流を変化させるセンシング・電流発生部であって、光電変換素子の電磁波が入射する側の面を偏光子で覆って構成したセンシング・電流発生部と、前記センシング・電流発生部に接続され、前記センシング・電流発生部で発生した電流に比例した磁場を発生する磁場発生部と、前記センシング・電流発生部及び前記磁場発生部が表面又は内部に設けられた媒質と、を含む複数の安定子と、前記磁場発生部が発生する磁場と逆向きの逆方向磁場を発生する逆方向磁場発生部と、を備え、前記複数の安定子は、電磁波の進行方向に並んで配置されており、前記磁場発生部は、前記媒質の表面又は内部において前記電磁波の進行方向に垂直な平面上に設けられたループ状の導体で構成された偏波制御素子において、前記逆方向磁場発生部は、電圧が印加されるコイルから構成され、当該コイルは内部に電磁波の進行方向に並んで配置された前記複数の安定子から成る安定子群を含むよう配置されていることを特徴とする。
請求項4に記載の偏波制御素子は、入射した電磁波の偏波に応じて発生する電流を変化させるセンシング・電流発生部であって、光電変換素子の電磁波が入射する側の面を偏光子で覆って構成したセンシング・電流発生部と、前記センシング・電流発生部に接続され、前記センシング・電流発生部で発生した電流に比例した磁場を発生する磁場発生部と、前記センシング・電流発生部及び前記磁場発生部が表面又は内部に設けられた媒質と、を含む複数の安定子と、前記磁場発生部が発生する磁場と逆向きの逆方向磁場を発生する逆方向磁場発生部と、を備え、前記複数の安定子は、電磁波の進行方向に並んで配置されており、前記磁場発生部は、前記媒質の表面又は内部において前記電磁波の進行方向に垂直な平面上に設けられたループ状の導体で構成された偏波制御素子において、前記センシング・電流発生部は、第1の平面上の第1の領域を囲む第1の配線を含み、前記磁場発生部は、前記第1の平面に略直交する第2の平面上の第2の領域を囲む第2の配線を含み、前記偏波制御素子は、前記第1の平面と前記第2の平面との交線の近傍に配置され、前記第1の配線と前記第2の配線とが1つのループを形成するように前記第1の配線と前記第2の配線とを接続し、前記電磁波が前記第1の領域に入射したことに起因して前記第1の配線に誘起される電流を前記第2の配線において一方向に流すための第1の整流機構をさらに備え、前記逆方向磁場発生部は、前記第1の平面及び前記第2の平面に略直交する第3の平面上の第3の領域を囲む第3の配線と、前記第2の平面に略平行な第4の平面上の第4の領域を囲む第4の配線と、前記第3の平面と前記第4の平面との交線の近傍に配置され、前記第3の配線と前記第4の配線とが1つのループを形成するように前記第3の配線と前記第4の配線とを接続し、前記電磁波が前記第3の領域に入射したことに起因して前記第3の配線に誘起される電流を前記第4の配線において一方向に流すための第2の整流機構と、を含み、前記第2の整流機構は、前記逆方向磁場を発生するように前記第2の配線で流れる電流と逆方向の電流を前記第4の配線に流すことを特徴とする。
請求項5に記載の偏波制御素子は、入射した電磁波の偏波に応じて発生する電流を変化させるセンシング・電流発生部であって、光電変換素子の電磁波が入射する側の面を偏光子で覆って構成したセンシング・電流発生部と、前記センシング・電流発生部に接続され、前記センシング・電流発生部で発生した電流に比例した磁場を発生する磁場発生部と、前記センシング・電流発生部及び前記磁場発生部が表面又は内部に設けられた媒質と、を含む複数の安定子と、前記磁場発生部が発生する磁場と逆向きの逆方向磁場を発生する逆方向磁場発生部と、を備え、前記複数の安定子は、電磁波の進行方向に並んで配置されており、前記磁場発生部は、前記媒質の表面又は内部において前記電磁波の進行方向に垂直な平面上に設けられたループ状の導体で構成された偏波制御素子において、前記センシング・電流発生部は、第1の平面上の第1の領域を囲む第1の配線を含み、前記磁場発生部は、前記第1の平面に略直交する第2の平面上の第2の領域を囲む第2の配線を含み、前記偏波制御素子は、前記第1の平面と前記第2の平面との交線の近傍に配置され、前記第1の配線と前記第2の配線とが1つのループを形成するように前記第1の配線と前記第2の配線とを接続し、前記電磁波が前記第1の領域に入射したことに起因して前記第1の配線に誘起される電流を前記第2の配線において一方向に流すための整流機構をさらに備え、前記逆方向磁場発生部は、第2の媒質と、前記第2の媒質の表面又は内部に設けられたフォトダイオードと、前記第2の媒質の表面又は内部に設けられ、前記フォトダイオードに接続され、前記フォトダイオードで発生した電流に比例した前記逆方向磁場を発生する導体リングと、を備え、前記導体リングは、前記第2の媒質の表面又は内部において前記電磁波の進行方向に垂直な平面上に設けられていることを特徴とする。
本発明の偏波制御素子によると、逆方向磁場強度により決定される偏波面で偏波を固定することができる。このため、偏波制御素子を通過した任意の偏波面をもつ直線偏波を特定の偏波面に固定することができる。
また、本発明の偏波制御素子によると、安定点を境に偏波面の回転方向が切り替わるため、外乱などにより偏波面が変化しても、さらに安定点から離れることなく安定点に戻る。このため外乱への耐性が向上する。
さらに、本発明の偏波制御素子によると、逆向きの磁場を印加することで同一位相差の楕円偏波にも安定点を作ることができる。
従来技術である波長板の構成を示す図である。 従来技術であるファラデー回転子の構成を示す図である。 従来技術であるファラデー回転子による偏波面の変化をポアンカレ球を用いて説明するための図である。 参考例に係る安定子の構成を示す図である。 安定子の構成例を示す図である。 安定子を複数個並べた安定子群を示す図である。 図6に示す安定子群を垂直偏波が通過する際の偏波の変化をポアンカレ球を用いて説明するための図である。 本発明の実施例1に係る偏波制御素子の構成を示す図である。 本発明の実施例1に係る偏波制御素子の具体的な構成について説明するための図である。 本発明の実施例2に係る偏波制御素子の構成を示す図である。 本発明の実施例3に係る偏波制御素子の構成を示す図である。 本発明の実施例4に係る偏波制御素子の構成を示す図である。 本発明の実施例5に係る偏波制御素子の構成を示す図である。 本発明に係る偏波制御素子に楕円偏波が入射する際の偏波の変化をポアンカレ球を用いて説明するための図である。
(参考例)
図4は、参考例に係る安定子の構成を示す。図4には、入射した電磁波の偏波に応じて発生する電流を変化させるセンシング・電流発生部402と、センシング・電流発生部402に接続され、センシング・電流発生部402に発生した電流に比例した磁場を発生させる磁場発生部403と、センシング・電流発生部402及び磁場発生部403が表面又は内部に設けられた媒質401と、を備えた安定子400が示されている。
図4に示されるように、参考例に係る安定子400では、磁場発生部403は媒体401内部において電磁波の入射方向に垂直な平面上に設けられたループ状の導体で構成され、磁場発生部403を構成するループ状の導体の両端にセンシング・電流発生部402が接続されている。電磁波が磁場発生部403のループ内を通過することにより、電磁波の偏波に応じて電磁波の進行方向に対して平行な磁場を発生することができ、入射電磁波にその偏波面によって異なる回転角が加わる。
図5を用いて、安定子によって発生する磁場について説明する。図5は、安定子の具体的な構成例を示す。図5には、センシング・電流発生部502と、電磁波の進行方向と垂直な平面上に配置されたリング型導体で構成された磁場発生部503とを媒質501の表面又は内部に配置した安定子500が例示されている。以下、図5に示すように、電磁波の伝搬方向にz軸をとり、伝播方向に垂直な面内にx軸、y軸をとる。電磁波の電界成分のうち、電磁波の進行方向に対する水平成分Eとし、水平成分Eに対して垂直な成分を垂直成分Eとする。
図5(a)に示されるように、磁場発生部503はリング型導体で構成されている。磁場発生部503を構成するループ状のリング型導体の一端にはセンシング・電流発生部502の正極が接続され、他端にはセンシング・電流発生部502の負極が接続されている。
図5(b)は、電磁波が入射する側から見たセンシング・電流発生部502の平面図を示す。図5(b)に示すように、センシング・電流発生部502としては、例えば、光電変換素子505の電磁波が入射する側の面を複数の金属細線で構成された偏光子504で覆ったものを用いることができる。偏光子504は垂直成分Eを透過し水平成分Eを遮断するため、光電変換素子505は電磁波を振幅E0y 2に比例した直流電流に変換する。光電変換素子505としては、例えばフォトダイオードを用いることができ、正極と負極が取り出される。
リング型導体と同径の電磁波が安定子500に入射した場合を考える。図5(c)に示されるように、安定子500に入射した電磁波の一部は、センシング・電流発生部502に入射する。センシング・電流発生部502の光電変換素子505は、偏光子504を介して入射した電磁波の振幅E0y 2に比例した直流電流506を発生させる。図5(d)に示されるように、直流電流506は、磁場発生部503において電磁波の進行方向に対して平行な磁場507を発生させる。安定子500に入射した電磁波は、磁場507によるファラデー効果を受けて偏波面が回転する。このため、安定子500は、比例係数をk、偏波面回転量をθとすると、θ=kE0y を発生する。
安定子500による偏波の変化をポアンカレ球を用いて説明する。電界の振幅E0yは、ポアンカレ球のS、Sの値を用いて以下の(式7)で示される。
0y =(S−S)/2=(1−S)/2 (式7)
(式7)より、発生する偏波面回転量θは、以下の(式8)で示される。
θ(S)=k(1−S)/2 (式8)
(式8)より、垂直直線偏波であるS=−1に近いほど大きな偏波面回転を発生させ、水平直線偏波であるS=1に近いほど小さな偏波面回転を発生させることがわかる。偏波面回転は、ポアンカレ球のSを軸とした回転軌道で表される。
例えば図6に示すような複数個の安定子500〜500を電磁波の進行方向に並べた安定子群600を垂直偏波(S=−1)が通過する際の偏波の変化を、図7に示すポアンカレ球を用いて説明する。垂直偏波が安定子500を通過した場合、S=1に向かってポアンカレ球上をS軸回りに回転する。続けて偏波が安定子500を通過すると、S軸回りの回転は小さくなるが、さらにS=1に近づく。この変化を繰り返すことで、徐々にS=1に近づき、S=1となったところで電磁波の垂直成分がなくなるため、偏波状態が変化しない安定状態となる(以下、ポアンカレ球上で安定状態となる点を安定点とする)。このため、安定子群600は、任意の偏波面を持つ直線偏波を水平偏波に変換することができる。
しかし、上記安定子は、任意の偏波面を有する直線偏波を特定の偏波面を有する直線偏波に変換することができるが、垂直偏波と水平偏波との間に位相差がある楕円偏波を特定の偏波に変換することはできなかった。また、上記安定子では、直線偏波をポアンカレ球上で一方向に回転させて1点に集めることから、外乱により安定点を通過してしまうと偏波が再び回転を始めるため、外乱に対する耐性がなかった。
(実施例1)
図8を用いて、本発明の実施例1に係る偏波制御素子について説明する。図8には、入射した電磁波の偏波に応じて発生する電流を変化させるセンシング・電流発生部802、センシング・電流発生部802に接続され、センシング・電流発生部802に発生した電流に比例した磁場を発生させる磁場発生部803、並びにセンシング・電流発生部802及び磁場発生部803が表面又は内部に設けられた媒質801を含む複数の安定子からなる安定子群と、媒質801の内部あるいは近傍に設けられた磁場発生部803で生じる磁場と逆方向の磁場を発生させる逆方向磁場発生部804と、を備えた偏波制御素子800が示されている。
本発明に係る偏波制御素子では、安定子を電磁波の進行方向に複数個並べた安定子群で発生する電磁波の伝搬方向の磁場と、逆方向磁場発生部で発生する伝播方向と逆向きの磁場の合成磁場がなくなるときの偏波面を安定点とすることができる。ファラデー効果の性質により、電磁波の進行方向と同一方向に磁場が発生している場合には、偏波は右回りに回転し、進行方向と逆向きの磁場が発生している場合には偏波は左回りに回転するため、外乱が発生した場合であっても安定点に偏波が戻るように作用し、外乱への耐性を向上させることができる。また、逆方向磁場を変化させることで安定点の操作も可能であるため、一定の位相差を有する楕円偏波が偏波制御素子に入射した場合も特定の偏波に変換することが可能となる。
本発明の実施例1に係る偏波制御素子の具体例について図9を用いて説明する。実施例1では、逆方向磁場発生部として永久磁石を用いた場合を例示し、ここでは、電磁波が図中z軸正方向に進行している場合を考える。図9(a)は、本発明の実施例1に係る偏波制御素子の構成の一例を示す。図9(a)には、安定子を電磁波の進行方向に複数個並べた安定子群910と、2つの永久磁石からなる一対の逆方向磁場発生部920と、を備えた偏波制御素子900が示されている。
入射電磁波901の偏波面のx軸からの傾きである偏波面角度をθとし、偏波面がθである入射電磁波901によって安定子群910によって発生する磁場をB(θ)、逆方向磁場発生部920によって発生する逆方向磁場903をBmagとすると、B(θ)=Bmagとなる偏波面角度θで磁場902と逆方向磁場903とによる合成磁場がなくなり、このときの偏波面が安定点となる。
ここで、安定子群910では、ファラデー効果の性質により、入射電磁波901の進行方向と同一方向に磁場が発生している場合には、偏波に右回りの回転が発生し、入射電磁波901の進行方向と逆向きの磁場が発生している場合には偏波に左回りの回転が発生する。そのため、外乱が生じて偏波状態がポアンカレ球に示した安定点からB(θ)が小さくなる方へ変化した場合、一時的にB(θ)>Bmagとなって入射電磁波901の進行方向と同一方向に合成磁場が発生するためB(θ)=Bmagとなる安定点に進むように偏波面の回転が発生する。また、偏波状態がポアンカレ球に示した安定点からB(θ)が大きくなる方へ変化した場合、一時的にB(θ)<Bmagとなって入射電磁波901の進行方向と逆向きの合成磁場が発生するためB(θ)=Bmagとなる安定点に戻るように偏波面の回転が発生する。これにより、逆方向磁場発生部920で生じる逆方向磁場903によって常にB(θ)=Bmagとなるように偏波面の回転が発生するため、外乱が発生した場合であっても偏波面が安定点からさらに離れずに、偏波面が常に安定点に戻るようにすることができるため、外乱への耐性を向上させることができる。
図9(b)は、本発明の実施例1に係る偏波制御素子の構成の他の例を示す。図9には、安定子群910と、円筒形状の永久磁石からなる逆方向磁場発生部921と、を備えた偏波制御素子900が示されている。図9(b)に示されるように、安定子群910は、逆方向磁場発生部921の円筒内部に設けられている。このような構成であっても、図9(a)に示す構成と同様の効果を得ることができる。
このように、本発明の実施例1に係る偏波制御素子によると、入射してきた任意の偏波面をもつ直線偏波を常に逆方向磁場Bmagによって決定される偏波面をもつ直線偏波に変換し出射することが可能となる。安定点を境に偏波面の回転方向が切り替わるため、外乱などにより偏波面が変化しても、さらに安定点から離れることなく安定点に戻ることにより、外乱への耐性を向上させることができる。また、磁石材料や距離等の設計変更により永久磁石で生じる磁場を変化させることで、ポアンカレ球のS−S平面とポアンカレ球とが交わる円上の任意の点において安定点を制御することができる。
実施例1において使用する逆方向磁場発生部は、図9に示す構成以外にも一方向に一定の磁場を発生するものであれば、種類・形状・個数を問わないことは言うまでもない。ここで、図9(a)の構成では、入射電磁波が出射させる方向に永久磁石が配置しているが、実際には、電磁波の偏波制御素子900への入射は、磁石を避けるようにレンズ系を組んで行われる。
ただし、常にB(θ)<Bmagとなるように逆方向磁場発生部が発生する磁場Bmagを決定された場合、合成磁場がなくならないため、偏波面の回転が止まらない。このため、B(θ)≧Bmagとなるように磁場Bmagを決定する必要がある。
(実施例2)
図10を用いて、本発明の実施例2に係る偏波制御素子について説明する。図10に示すように、実施例2に係る偏波制御素子1000では、逆方向磁場発生部1020としてコイルを用いており、コイルの内部に安定子群1010が設けられている。
逆方向磁場発生部1020への印加電圧Vにおいて、逆方向磁場発生部1020に発生する磁場1002をBc(V)とすると、B(θ)=Bc(V)となる偏波面角度θで合成磁場がなくなり、それにより偏波が変化しなくなる。
このように、実施例2に係る偏波制御素子では、実施例1に係る偏波制御素子と同様、入射してきた任意の直線偏波を合成磁場がなくなる偏波面角度の偏波面に変換し出射することが可能となる。安定点を境に偏波面の回転方向が切り替わることから、外乱などにより偏波面が変化しても、さらに安定点から離れることなく安定点に戻るため、外乱への耐性を向上させることができる。また、逆方向磁場発生部1020への印加電圧Vを変化させることでBc(V)が制御できるため、安定点を容易に制御できる。
ただし、コイルによる磁場B(V)は、B(θ)≧Bc(V)とする。コイルによる一方向磁場発生方法は、一方向に磁場を発生させるものであれば、種類・形状・個数を問わないことは言うまでもない。
(実施例3)
図11を用いて、本発明の実施例3に係る偏波制御素子について説明する。実施例3に係る偏波制御素子では、安定子及び逆方向磁場発生部について、金属線から成る金属スプリットリング共振器(SRR:Split Ring Resonator)を用いている。図11には、立体リングを用いた安定子1102と、逆方向磁場発生部1103とが媒質1101に設けられた偏波制御素子1100が示されている。図11では、簡略化のため、1つの安定子1102及び逆方向磁場発生部1103によって構成された偏波制御素子1100が示されているが、実際には複数の安定子1102及び逆方向磁場発生部1103を電磁波の進行方向に並べることによって偏波制御素子1100が構成されている。
立体リングを用いた安定子1102は、センシング・電流発生部を構成する金属線から成る第1の金属SRR1104と、磁場発生部を構成する金属線からなる第2の金属SRR1105と、第1及び第2の金属SRR1104及び1105が1つのループを形成するように接続する第1の整流機構1106とで構成される。逆方向磁場発生部1103は、第3及び第4の金属SRR1107及び1108と、第3及び第4の金属SRR1107及び1108が1つのループを形成するように接続する第2の整流機構1109とで構成されている。
また、第1の金属SRR1104は媒質1101の表面又は内部の第1の平面に配置されており、第2の金属SRR1105及び第4の金属SRR1108は互いに導通しないように媒質1101の表面又は内部の互いに略平行な第2の平面及び第3の平面に配置されており、第3の金属SRR1107は媒質1101の表面又は内部の第4の平面に配置されている。第1の平面と、第2の平面及び第3の平面と、第4の平面とは、それぞれ略直交している。
図11に示すように、実施例3に係る偏波制御素子1100では、立体リングを用いた安定子1102をyz平面からz軸正方向に対して反時計回りに角度θ1(例えばθ1=45°)傾けて配置し、逆方向磁場発生部1103をyz面に対して立体リングを用いた安定子1102と面対象に配置する。
第1の整流機構1106は、電磁波が第1の金属SRR1104に囲まれた領域に入射したことに起因して第1の金属SRR1104に誘起される電流を第2の金属SRR1105において一方向に流すように構成されている。また、第2の整流機構1109は、電磁波が第3の金属SRR1107に囲まれた領域に入射したことに起因して第3の金属SRR1107に誘起される電流を第4の金属SRR1108において一方向に流すように構成されている。第1及び第2の整流機構1106及び1109は、それぞれ、第2の金属SRR1105と第4の金属SRR1108に互いに逆向きの電流を流す整流方向をもつとする。
電磁波が偏波制御素子1100に入射すると、入射電磁波の磁界がy軸に平行な磁界振動面(偏波面はx軸に平行)を有する場合、第1の金属SRR1104及び第3の金属SRR1107に囲まれた各領域を貫く入射磁場が存在する。そのため、第1の金属SRR1104及び第3の金属SRR1107の各々においては、入射磁場を打ち消そうとして、ファラデーの電磁誘導の法則により交流電流が発生する。第1及び第2の整流機構1106及び1109が互いに逆向きの整流方向をもつことから、この交流電流により、第2の金属SRR1105及び第4の金属SRR1108に互いに逆向きの直流電流が流れ、ビオサバールの法則より、第2の金属SRR1105及び第4の金属SRR1108で囲まれた各領域を貫くz軸方向に平行な互いに逆向きの磁場1130及び1140が発生する。角度θ1を調整することにより、第1の金属SRR1104及び第3の金属SRR1107とで各領域を貫く入射磁場の量を調整できるため、磁場1130及び1140の強度を調整することができる。
実施例3に係る偏波制御素子では、電磁波の磁界成分の振動面を磁界振動面とすると、磁界振動面は偏波面と垂直な関係となる。磁界振動面がyz平面からz軸正方向に対して反時計回りに角度θ2傾いているとすると、磁界振動面のyz平面に対する角度θ2が−90°<θ2<0°の場合、第1の金属SRR1104を貫く磁界が第3の金属SRR1107を貫く磁界より大きいため、2つの金属SRRで発生する磁場1130及び1140の合成磁場1150は、進行方向と同一方向となる。0°<θ2<90°の場合はその逆となる。つまり、入射電磁波の磁界振動面のyz平面に対する角度θ2が−90°<θ2<0°のとき、偏波面は右回りに回転し、0°<θ2<90°のとき、偏波面は左回りに回転する。
θ1=45°として、進行方向がz軸に平行な一定の偏波面を持つ直線偏波が複数個の安定子1102及び逆方向磁場発生部1103を備えた偏波制御素子1100に入射する場合を考える。入射電磁波の磁界振動面のyz平面に対する角度θ2≠0のとき、偏波面は合成磁場1150の向きと強度に応じてθ2=0に近づく方向に回転する。θ2=0のとき、磁場1130及び1140による合成磁場1150がなくなるため、偏波面は変化しなくなる。
このように、実施例3に係る偏波制御素子でも同様に、入射してきた任意の直線偏波を合成磁場がなくなる偏波面をもつ直線偏波に変換し出射することが可能となる。安定点を境に偏波面の回転方向が切り替わることから、外乱などにより偏波面が変化しても、さらに安定点から離れることなく安定点に戻るため、外乱への耐性を向上させることができる。さらに、実施例3に係る偏波制御素子では、第1の金属SRR1104または第3の金属SRR1107のリング径を変化させることや金属SRR対称面をz軸を中心に回転させることで安定点を制御できる。
(実施例4)
図12を用いて、本発明の実施例4に係る偏波制御素子について説明する。実施例3に係る偏波制御素子では、逆方向磁場発生部として立体リングを用いたが、実施例4に係る偏波制御素子では、逆方向磁場発生部としてPDを用いる。図12には、PDを用いた安定子1202と、PDを用いた逆方向磁場発生部1203とが媒質1201に設けられた偏波制御素子1200が示されている。図12では、簡略化のため、1つの安定子1202及び逆方向磁場発生部1203によって構成された偏波制御素子1200が示されているが、実際には複数の安定子1202及び逆方向磁場発生部1203を電磁波の進行方向に並べることによって偏波制御素子1200が構成されている。
PDを用いた安定子1202は、導体リングで構成された第1の磁場発生部1204と、PDと偏光子で構成された第1のセンシング・電流発生部1205とで構成され、PDを用いた逆方向磁場発生部1203は、導体リングで構成された第2の磁場発生部1206と、PDで構成された第2のセンシング・電流発生部1207とで構成されている。ここで、第2のセンシング・電流発生部1207が発生する逆方向磁場を一定とするため、第2のセンシング・電流発生部1207には偏光子が設けられていない。
図12に示すように、実施例4に係る偏波制御素子1200では、PDを用いた安定子1202をyz平面からz軸正方向に対して反時計回りに角度θ1(例えばθ1=45°)傾けて配置し、逆方向磁場発生部1203をyz平面に対してPDを用いた安定子と面対称に配置する。第1及び第2のセンシング・電流発生部1205及び1207は、互いに逆向きの直流電流を発生させるように構成されている。そのため、第1の磁場発生部1201は磁場1230を発生し、第2の磁場発生部1202は逆方向磁場1240を発生する。
実施例4に係る偏波制御素子では、電磁波の偏波面がyz平面から反時計回りに角度θ3傾いているとすると、0°<θ3<90°の場合、第2のセンシング・電流発生部1207で発生する直流電流が第1のセンシング・電流発生部1205で発生する直流電流より大きくなるため、第1及び第2の磁場発生部1201及び1202でそれぞれ発生する磁場1230及び1240の合成磁場は、進行方向と逆方向となる。磁界振動面が−90°<θ3<0°の場合その逆となる。つまり、入射電磁波の偏波面が角度0°<θ3<90°のとき、偏波面は左回りに回転し、−90°<θ3<0°のとき、偏波面は右回りに回転する。
θ1=45°として、進行方向がz軸に平行な一定の偏波面を持つ直線偏波が複数個の安定子1202及び逆方向磁場発生部1203を備えた偏波制御素子1200に入射する場合を考える。入射電磁波の偏波面がθ3≠0のとき、偏波面は合成磁場の向きと強度に応じてθ3=0に近づく方へ回転する。θ3=0のとき磁場1230及び1240による合成磁場がなくなるため、偏波面は変化しなくなる。
このように、実施例4に係る偏波制御素子1200でも同様に、入射してきた任意の直線偏波を常に合成磁場がなくなる偏波面をもつ直線偏波に変換し出射することが可能となる。安定点を境に偏波面の回転方向が切り替わることから、外乱などにより偏波面が変化しても、さらに安定点から離れることなく安定点に戻るため、外乱への耐性を向上させることができる。第2のセンシング・電流発生部1207のPDで生じる電流は、第1のセンシング・電流発生部1205のPDで発生する電流より小さいものとし、第2のセンシング・電流発生部1207のPDを受光感度の異なるPDに変更することで安定点を制御できる。
(実施例5)
図13を用いて、本発明の実施例5に係る偏波制御素子について説明する。図13に示す実施例5に係る偏波制御素子1300では、金属SRR1303及び整流機構1304を含む立体リングを用いた安定子1301が進行方向と同一方向の磁場1340を発生し、磁場発生部1305及びセンシング・電流発生部1306を含むPDを用いた逆方向磁場発生部1302が進行方向と逆方向の磁場1350をそれぞれ発生するようにそれぞれ構成されている。ここで、センシング・電流発生部1306が発生する逆方向磁場を一定とするため、センシング・電流発生部1306には偏光子が設けられていない。図13では、簡略化のため、1つの安定子1301及び逆方向磁場発生部1302によって構成された偏波制御素子1300が示されているが、実際には複数の安定子1301及び逆方向磁場発生部1302を電磁波の進行方向に並べることによって偏波制御素子1300が構成されている。
電磁波の偏波面のx軸からの傾きをθとし、立体リングを用いた安定子1301で生じる磁場1340をBring(θ)、PDを用いた逆方向磁場発生部1302で生じる磁場1350をBpd(θ)として、進行方向がz軸に平行な電磁波が偏波制御素子1300を複数個通過する場合を考える。複数の偏波制御素子1300を通過した電磁波は、実施例3及び4と同様に、Bring(θ)=Bpd(θ)となる偏波面で合成磁場がなくなるため、偏波が変化しなくなる。このため、入射してきた任意の直線偏波を常に特定の偏波面を持つ直線偏波に変換し出射することが可能となる。
このように、実施例5に係る偏波制御素子でも同様に、入射してきた任意の直線偏波を常に合成磁場がなくなるときの偏波面をもつ直線偏波に変換し出射することが可能となる。安定点を境に偏波面の回転方向が切り替わることから、外乱などにより偏波面が変化しても、さらに安定点から離れることなく安定点に戻るため、外乱への耐性を向上させることができる。金属SRR1303の半径や、センシング・電流発生部1306のPDを変更することで安定点を制御できる。
ただし、Bpd(θ)が、Bring(θ)に対して常にBring(θ)<Bpd(θ)の場合、合成磁場はなくならないため、偏波の変化は止まらない。このため、Bring(θ)≧Bpd(θ)とする。
(楕円偏波が入射する場合)
上記実施例1〜5では、本発明に係る偏波制御素子に直線偏波が入射する場合を説明してきたが、本発明に係る偏波制御素子に一定の位相差を有する楕円偏波が入射する場合を図14に示されるポアンカレ球を用いて説明する。
図14に示すように、一定の位相差を有する楕円偏波は、S−S平面とポアンカレ球とが交わる円で表される。入射電磁波が楕円偏波の場合、安定子単体では、偏波面を回転させてもS<1のため、(式7)より発生する偏波面回転がなくならない。
磁場発生部で生じる磁場をB(θ)、逆方向磁場発生部で生じる逆方向磁場をBrevとすると、B(θ)=Brevとなる偏波面の角度θで合成磁場がなくなり、偏波が変化しなくなる。
このように、入射してきた一定の位相差を有する楕円偏波を常に特定の偏波面を合成磁場がなくなるときの偏波面をもつ楕円偏波に変換し出射することが可能となる。安定点を境に偏波面の回転方向が切り替わるため、外乱などにより偏波面が変化しても、さらに安定点から離れることなく安定点に戻る。このため外乱への耐性が向上する。また、逆方向磁場Brevを変化させることで、安定点を制御することができる。
ここで、合成磁場がなくなるような逆方向磁場Brevが存在しない場合にはB(θ)=Brevとならないため、この場合、B(θ)の最大値、最小値をそれぞれBmax、Bminとすると、Bmin≦Brev≦Bmaxとすることが好ましい。
本発明に係る偏波制御素子で使用する媒質としては、電磁波を透過し、ヴェルデ定数が大きい、例えばYIG(ヴェルデ定数νが1.9deg/A)などの材料が好ましいが、材料は限定されない。
偏光子 100、504
金属細線 101
ファラデー回転子 200
偏波制御素子 800、900、1000、1100、1200、1300
媒質 401、501、801、1101、1201
センシング・電流発生部 402、502、802、1205、1207、1306
磁場発生部 403、503、803、1204、1206、1305
光電変換素子 505
安定子群 600、910、1010
逆方向磁場発生部 804、920、921、1020、1103、1203、1302
安定子 400、500、1102、1202、1301
金属SRR 1104、1105、1107、1108、1303
整流機構 1106、1109、1304

Claims (5)

  1. 入射した電磁波の偏波に応じて発生する電流を変化させるセンシング・電流発生部であって、光電変換素子の電磁波が入射する側の面を偏光子で覆って構成したセンシング・電流発生部と、
    前記センシング・電流発生部に接続され、前記センシング・電流発生部で発生した電流に比例した磁場を発生する磁場発生部と、
    前記センシング・電流発生部及び前記磁場発生部が表面又は内部に設けられた媒質と、
    を含む複数の安定子と、
    前記磁場発生部が発生する磁場と逆向きの逆方向磁場を発生する逆方向磁場発生部と、を備え、
    前記複数の安定子は、電磁波の進行方向に並んで配置されており、
    前記磁場発生部は、前記媒質の表面又は内部において前記電磁波の進行方向に垂直な平面上に設けられたループ状の導体で構成された偏波制御素子において、
    前記逆方向磁場発生部は、一対の永久磁石から構成され、当該一対の永久磁石は電磁波の進行方向に並んで配置された前記複数の安定子から成る安定子群を挟むように電磁波の進行方向に配置されていることを特徴とする偏波制御素子。
  2. 入射した電磁波の偏波に応じて発生する電流を変化させるセンシング・電流発生部であって、光電変換素子の電磁波が入射する側の面を偏光子で覆って構成したセンシング・電流発生部と、
    前記センシング・電流発生部に接続され、前記センシング・電流発生部で発生した電流に比例した磁場を発生する磁場発生部と、
    前記センシング・電流発生部及び前記磁場発生部が表面又は内部に設けられた媒質と、
    を含む複数の安定子と、
    前記磁場発生部が発生する磁場と逆向きの逆方向磁場を発生する逆方向磁場発生部と、を備え、
    前記複数の安定子は、電磁波の進行方向に並んで配置されており、
    前記磁場発生部は、前記媒質の表面又は内部において前記電磁波の進行方向に垂直な平面上に設けられたループ状の導体で構成された偏波制御素子において、
    前記逆方向磁場発生部は、円筒形状の永久磁石から構成され、当該永久磁石は円筒形状の内部に電磁波の進行方向に並んで配置された前記複数の安定子から成る安定子群を含むよう配置されていることを特徴とする偏波制御素子。
  3. 入射した電磁波の偏波に応じて発生する電流を変化させるセンシング・電流発生部であって、光電変換素子の電磁波が入射する側の面を偏光子で覆って構成したセンシング・電流発生部と、
    前記センシング・電流発生部に接続され、前記センシング・電流発生部で発生した電流に比例した磁場を発生する磁場発生部と、
    前記センシング・電流発生部及び前記磁場発生部が表面又は内部に設けられた媒質と、
    を含む複数の安定子と、
    前記磁場発生部が発生する磁場と逆向きの逆方向磁場を発生する逆方向磁場発生部と、を備え、
    前記複数の安定子は、電磁波の進行方向に並んで配置されており、
    前記磁場発生部は、前記媒質の表面又は内部において前記電磁波の進行方向に垂直な平面上に設けられたループ状の導体で構成された偏波制御素子において、
    前記逆方向磁場発生部は、電圧が印加されるコイルから構成され、当該コイルは内部に電磁波の進行方向に並んで配置された前記複数の安定子から成る安定子群を含むよう配置されていることを特徴とする偏波制御素子。
  4. 入射した電磁波の偏波に応じて発生する電流を変化させるセンシング・電流発生部であって、光電変換素子の電磁波が入射する側の面を偏光子で覆って構成したセンシング・電流発生部と、
    前記センシング・電流発生部に接続され、前記センシング・電流発生部で発生した電流に比例した磁場を発生する磁場発生部と、
    前記センシング・電流発生部及び前記磁場発生部が表面又は内部に設けられた媒質と、
    を含む複数の安定子と、
    前記磁場発生部が発生する磁場と逆向きの逆方向磁場を発生する逆方向磁場発生部と、を備え、
    前記複数の安定子は、電磁波の進行方向に並んで配置されており、
    前記磁場発生部は、前記媒質の表面又は内部において前記電磁波の進行方向に垂直な平面上に設けられたループ状の導体で構成された偏波制御素子において、
    前記センシング・電流発生部は、第1の平面上の第1の領域を囲む第1の配線を含み、
    前記磁場発生部は、前記第1の平面に略直交する第2の平面上の第2の領域を囲む第2の配線を含み、
    前記偏波制御素子は、前記第1の平面と前記第2の平面との交線の近傍に配置され、前記第1の配線と前記第2の配線とが1つのループを形成するように前記第1の配線と前記第2の配線とを接続し、前記電磁波が前記第1の領域に入射したことに起因して前記第1の配線に誘起される電流を前記第2の配線において一方向に流すための第1の整流機構をさらに備え、
    前記逆方向磁場発生部は、
    前記第1の平面及び前記第2の平面に略直交する第3の平面上の第3の領域を囲む第3の配線と、
    前記第2の平面に略平行な第4の平面上の第4の領域を囲む第4の配線と、
    前記第3の平面と前記第4の平面との交線の近傍に配置され、前記第3の配線と前記第4の配線とが1つのループを形成するように前記第3の配線と前記第4の配線とを接続し、前記電磁波が前記第3の領域に入射したことに起因して前記第3の配線に誘起される電流を前記第4の配線において一方向に流すための第2の整流機構と、
    を含み、
    前記第2の整流機構は、前記逆方向磁場を発生するように前記第2の配線で流れる電流と逆方向の電流を前記第4の配線に流すことを特徴とする偏波制御素子。
  5. 入射した電磁波の偏波に応じて発生する電流を変化させるセンシング・電流発生部であって、光電変換素子の電磁波が入射する側の面を偏光子で覆って構成したセンシング・電流発生部と、
    前記センシング・電流発生部に接続され、前記センシング・電流発生部で発生した電流に比例した磁場を発生する磁場発生部と、
    前記センシング・電流発生部及び前記磁場発生部が表面又は内部に設けられた媒質と、
    を含む複数の安定子と、
    前記磁場発生部が発生する磁場と逆向きの逆方向磁場を発生する逆方向磁場発生部と、を備え、
    前記複数の安定子は、電磁波の進行方向に並んで配置されており、
    前記磁場発生部は、前記媒質の表面又は内部において前記電磁波の進行方向に垂直な平面上に設けられたループ状の導体で構成された偏波制御素子において、
    前記センシング・電流発生部は、第1の平面上の第1の領域を囲む第1の配線を含み、
    前記磁場発生部は、前記第1の平面に略直交する第2の平面上の第2の領域を囲む第2の配線を含み、
    前記偏波制御素子は、前記第1の平面と前記第2の平面との交線の近傍に配置され、前記第1の配線と前記第2の配線とが1つのループを形成するように前記第1の配線と前記第2の配線とを接続し、前記電磁波が前記第1の領域に入射したことに起因して前記第1の配線に誘起される電流を前記第2の配線において一方向に流すための整流機構をさらに備え、
    前記逆方向磁場発生部は、
    第2の媒質と、
    前記第2の媒質の表面又は内部に設けられたフォトダイオードと、
    前記第2の媒質の表面又は内部に設けられ、前記フォトダイオードに接続され、前記フォトダイオードで発生した電流に比例した前記逆方向磁場を発生する導体リングと、
    を備え、
    前記導体リングは、前記第2の媒質の表面又は内部において前記電磁波の進行方向に垂直な平面上に設けられていることを特徴とする偏波制御素子。
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