JP6291311B2 - 酸化物粒子及びその製造方法、薄膜の製造方法 - Google Patents

酸化物粒子及びその製造方法、薄膜の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、酸化物粒子及びその製造方法、薄膜の製造方法に関する。
透明、高移動度、かつ製造適性にも優れる透明酸化物半導体(TOS; Transparent Oxide Semiconductor)が注目を集めている。TOSを薄膜トランジスタ(TFT; Thin Film Transistor)の活性層として用いたTOS−TFTは、表示装置の駆動素子として実用化されるまでに研究が進んでいる。
現在実用化されているTOS−TFTにおける活性層は、真空成膜法によって製造されたものである。しかし、真空成膜法の場合、製造コストが高くなりやすい。
このため、一方では、液体(溶液又は分散液)を原料として、塗布プロセスによって高い特性を示すTOSの実現を目指す研究が盛んである。
塗布プロセスによる半導体薄膜(例えば上記TOSの薄膜)の製造技術は、「プリンテッドエレクトロニクス」とも呼ばれ、次世代の半導体製造プロセスとして大きな期待を集めている。
一方、塗布プロセスにおいて、分散液中に分散させる酸化物粒子を製造する方法について、種々の検討がなされている。
例えば、ITO(Indium Tin Oxide)粒子同士が焼結して粗大化してしまう雰囲気中での加熱工程を経由することなく、簡単な処理方法によってITO粉末を製造できるITO粉末の製造方法として、インジウムを含む塩とスズを含む塩とを有機溶媒中に溶解させ、次いで有機溶媒に塩基性沈殿剤を含む有機溶媒を添加し、インジウム及びスズを含む前駆体と有機溶媒との混合物を作製する工程と、上記混合物を加圧容器内で200℃以上300℃以下の温度で加熱処理してITO粒子を生成させる工程と、を有するITO粒子の製造方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、透明電極用塗料の導電フィラー又はその原料として好適な、形状異方性及び適度な大きさを有する酸化インジウム粉末を製造する製造方法として、塩化インジウムを含む水溶液に尿素を添加した後、加熱して水酸化インジウムを析出させ、水酸化インジウムの析出開始から30分以内に析出した水酸化インジウムを全て分離回収し、得られた水酸化インジウムを例えば300℃〜1300℃で仮焼する酸化インジウム粉末の製造方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2には、上記製造方法により、長径の平均が1〜2μm、短径の平均が0.1〜0.2μm、長径の短径に対する比の平均が5〜10の酸化インジウムの棒状粒子を製造できることが記載されている。
特開2010−285332号公報 特開平10−17325号公報
しかし、特許文献1に記載の製造方法は、金属塩の溶液(酸)に対し、塩基性沈殿剤を含む有機溶媒(アルカリ)を添加し、一旦、沈殿(金属水酸化物)を形成させた後、この沈殿を含む混合液を加熱処理する必要がある。この点で、特許文献1に記載の製造方法は煩雑である。更に、上記沈殿を形成させる段階では、酸とアルカリとの反応による発熱を伴うために、アルカリをゆっくり添加する必要がある。このため、特許文献1に記載の製造方法は、混合液の製造に時間がかかり、ひいては酸化物粒子の製造に時間がかかる。
また、特許文献2に記載の製造方法では、分離回収した水酸化インジウムを酸化インジウムへと転化させるために、分離回収した水酸化インジウムを例えば300℃〜1300℃といった高温で仮焼する必要がある。このため、特許文献2に記載の製造方法も煩雑であり、また、酸化物粒子(酸化インジウム粒子)の製造に時間がかかる。また、特許文献2における酸化物粒子は、比較的粒子サイズが大きい(長径の平均が1〜2μm、短径の平均が0.1〜0.2μm)棒状粒子である。このため、特許文献2における酸化物粒子は、液体中に分散させる際の分散性が低い場合がある。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものである。
即ち、本発明の目的は、簡易かつ短時間に製造でき、優れた電気特性(例えば半導体特性)及び分散性を有する酸化物粒子及びその製造方法を提供することである。
また、本発明の目的は、簡易に製造でき、優れた電気特性(例えば半導体特性)を有する薄膜の製造方法を提供することである。
本発明者は、鋭意検討した結果、インジウムを含む金属塩を含有する溶液として、特定の溶液を用いることにより、従来の方法と比較して、簡易かつ短時間に、優れた電気特性(例えば半導体特性)及び分散性を有する酸化物粒子を製造できることを見出した。
本発明は、上記知見に基づき完成されたものである。
即ち、上記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
<1> インジウムを含む金属塩と、アミノ基を有する有機化合物と、有機溶媒と、金属塩の量に対してモル比で56以下の量の水と、を含有し、pHが6以下である溶液を調製する第1工程と、溶液を加熱することにより、インジウムを含む酸化物粒子を生成させる第2工程と、を有する酸化物粒子の製造方法。
<2> 第2工程は、溶液を150℃〜300℃の温度に加熱する<1>に記載の酸化物粒子の製造方法。
<3> 第2工程は、溶液を200℃〜300℃の温度に加熱する<1>又は<2>に記載の酸化物粒子の製造方法。
<4> アミノ基を有する有機化合物は、加熱によってアミノ基が脱離する有機化合物である<1>〜<3>のいずれか1項に記載の酸化物粒子の製造方法。
<5> アミノ基を有する有機化合物は、一般式(I)で表される化合物である<1>〜<4>のいずれか1項に記載の酸化物粒子の製造方法。
一般式(I)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、Xは、酸素原子又は硫黄原子を表す。
<6> アミノ基を有する有機化合物は、尿素である<1>〜<5>のいずれか1項に記載の酸化物粒子の製造方法。
7> 溶液は、水の量が金属塩の量に対してモル比で3倍以上である<1>〜<>のいずれか1項に記載の酸化物粒子の製造方法。
> 第2工程は、溶液を撹拌せずに加熱するか、又は、溶液を200rpm以下の撹拌回転数で撹拌しながら加熱する<1>〜<>のいずれか1項に記載の酸化物粒子の製造方法。
> 第2工程において溶液を加熱する時間が、12時間未満である<1>〜<>のいずれか1項に記載の酸化物粒子の製造方法。
<1> 第2工程は、溶液を200℃〜220℃の温度に加熱する<1>〜<>のいずれか1項に記載の酸化物粒子の製造方法。
<1> 金属塩が、無機塩である<1>〜<1>のいずれか1項に記載の酸化物粒子の製造方法。
<1> 金属塩が、硝酸塩又は塩化物塩である<1>〜<1>のいずれか1項に記載の酸化物粒子の製造方法。
<1> 金属塩が、塩化物塩である<1>〜<1>のいずれか1項に記載の酸化物粒子の製造方法。
<1> 酸化物粒子が、半導体粒子である<1>〜<1>のいずれか1項に記載の酸化物粒子の製造方法。
<15> インジウムを含む酸化物粒子であって、50℃から600℃まで昇温したときの熱重量変化を測定したときに、重量減少が10%以下であり、50℃から200℃までの領域に重量減少に伴うDTGのピークが観測されないで、かつ、250℃から350℃までの領域に重量減少に伴うDTGのピークが観測される酸化物粒子。
<1> <15>に記載の酸化物粒子が有機溶媒中に分散されている酸化物粒子分散液を基板上に塗布することにより、酸化物粒子を含む薄膜を製造する薄膜の製造方法。
本発明によれば、簡易かつ短時間に製造でき、優れた電気特性(例えば半導体特性)及び分散性を有する酸化物粒子及びその製造方法が提供される。
また、本発明によれば、簡易に製造でき、優れた電気特性(例えば半導体特性)を有する薄膜の製造方法が提供される。
本発明により製造される薄膜トランジスタの一例(トップゲート−トップコンタクト型)の構成を示す概略図である。 本発明により製造される薄膜トランジスタの一例(トップゲート−ボトムコンタクト型)の構成を示す概略図である。 本発明により製造される薄膜トランジスタの一例(ボトムゲート−トップコンタクト型)の構成を示す概略図である。 本発明により製造される薄膜トランジスタの一例(ボトムゲート−ボトムコンタクト型)の構成を示す概略図である。 実施形態の液晶表示装置の一部分を示す概略断面図である。 図5の液晶表示装置の電気配線の概略構成図である。 実施形態の有機EL表示装置の一部分を示す概略断面図である。 図7の有機EL表示装置の電気配線の概略構成図である。 実施形態のX線センサアレイの一部分を示す概略断面図である。 図9のX線センサアレイの電気配線の概略構成図である。 実施例1の酸化物粒子の透過型電子顕微鏡像(TEM像)である。 実施例2の酸化物粒子の透過型電子顕微鏡像(TEM像)である。 実施例3の酸化物粒子の透過型電子顕微鏡像(TEM像)である。 実施例4の酸化物粒子の透過型電子顕微鏡像(TEM像)である。 実施例5の酸化物粒子の透過型電子顕微鏡像(TEM像)である。 実施例6の酸化物粒子の透過型電子顕微鏡像(TEM像)である。 実施例7の酸化物粒子の透過型電子顕微鏡像(TEM像)である。 実施例8の酸化物粒子の透過型電子顕微鏡像(TEM像)である。 比較例2の酸化物粒子の透過型電子顕微鏡像(TEM像)である。 比較例3の粒子の透過型電子顕微鏡像(TEM像)である。 比較例4の粒子の透過型電子顕微鏡像(TEM像)である。 実施例3のTFTのVg−Id特性を示すグラフである。 実施例3のTFTのVd−Id特性を示すグラフである。 実施例1、2、及び6における粒子の熱重量変化(TG)を示すグラフである。 実施例1、2、及び6における粒子の熱重量変化(DTG)を示すグラフである。
以下、適宜図面を参照しながら、本発明の、酸化物粒子及びその製造方法、薄膜及びその製造方法、薄膜トランジスタ、並びに電子デバイスについて具体的に説明する。
なお、図中、同一又は対応する機能を有する部材(構成要素)には同じ符号を付して適宜説明を省略する。
また、本明細書において「〜」の記号により数値範囲を示す場合、下限値及び上限値が含まれる。
〔酸化物粒子の製造方法〕
本発明の酸化物粒子の製造方法(以下、「本発明の製造方法」ともいう)は、インジウムを含む金属塩と、アミノ基を有する有機化合物と、有機溶媒と、上記金属塩の量に対してモル比で166倍未満の量の水と、を含有し、pHが6以下である溶液を調製する第1工程と、上記溶液を加熱することにより、インジウムを含む酸化物粒子(以下、単に「酸化物粒子」ともいう)を生成させる第2工程と、を有する。
本発明の製造方法は、必要に応じ、その他の工程を有していてもよい。
本発明の製造方法によれば、液体中への分散性に優れ、電気特性(例えば半導体特性)に優れた酸化物粒子を、簡易かつ短時間に製造することができる。
前述のとおり、従来、酸化物粒子は、金属塩の溶液(酸)に対してアルカリを添加し、一旦、沈殿(金属水酸化物)を形成させた後、この沈殿を含む混合液を加熱処理することによって製造されていた(例えば、特許文献1(特開2010−285332号公報)参照)。
上記従来の方法に対し、本発明の製造方法によれば、上記従来の方法と比較して、簡易かつ短時間に酸化物粒子を製造できる。
この理由は、第1工程でpH6以下の上記溶液を調製し、第2工程で上記溶液を加熱することにより、従来の方法における沈殿形成のステップ(酸に対してアルカリを添加するステップ)を経ずに、直接的に酸化物粒子を製造できるためである。
即ち、本発明の製造方法は、煩雑な沈殿形成のステップを経ない方法である点で、製造工程全体が簡易である。
また、本発明の製造方法は、酸に対してアルカリをゆっくり添加する必要がある沈殿形成のステップを経ないため、速やかに溶液を調製できる。このため、本発明の製造方法によれば、短時間で溶液を調製でき、ひいては短時間で酸化物粒子を製造できる。
また、前述のとおり、透明電極用塗料の導電フィラー又はその原料として好適な酸化インジウム粉末を形成する方法としては、塩化インジウムを含む水溶液に尿素を添加した後、加熱して水酸化インジウムを析出させ、析出した水酸化インジウムを分離回収し、分離回収した水酸化インジウムを例えば300℃〜1300℃で仮焼する方法が知られていた(例えば、特許文献2(特開平10−17325号公報)参照)。
しかし、特許文献2の方法は、水酸化インジウムを酸化インジウムへと転化させるために、水酸化インジウムを300℃〜1300℃といった高温で仮焼する必要があり、やはり製造工程が煩雑であった。また、特許文献2の方法において上記仮焼を省略すると、水酸化インジウムを主体とした粒子が製造されるに過ぎないため、電気特性(例えば半導体特性)に優れた酸化物粒子は得られない。これらの理由は、特許文献2の方法では、塩化インジウムを含む「水溶液」を用いているために、必然的に、一旦、水酸化インジウム粒子を形成し、その後、水酸化インジウムを仮焼して酸化インジウムに転化する必要があるためである。
上述した特許文献2の方法に対し、本発明の製造方法によれば、電気特性(特に、半導体特性)に優れた酸化物粒子を、簡易かつ短時間で製造できる。
この理由は、本発明の製造方法では、金属塩の水溶液を用いるのではなく、「有機溶媒を含み、かつ、水の量が金属塩の量に対してモル比で166倍未満である溶液」を用いることにより、第2工程の加熱によって、直接的に酸化物粒子を製造するためである。
また、特許文献2の方法で得られる酸化インジウム粉末(粒子)は、透明電極用塗料の導電フィラーとして好適な形状異方性を有する粒子(棒形状の粒子)であり、粒子のサイズも比較的大きい(長径の平均が1〜2μm、短径の平均が0.1〜0.2μm)。
このため、特許文献2の方法で得られる酸化インジウム粉末(粒子)は、液体中への分散性が低下する場合がある。
上述した特許文献2の方法に対し、本発明の製造方法によれば、液体中への分散性に優れた酸化物粒子を製造できる。
この理由は明らかではないが、本発明の製造方法では、金属塩と、アミノ基を有する有機化合物と、有機溶媒と、を含み、かつ、水の量が金属塩の量に対してモル比で166倍未満である溶液を用いることにより、第2工程の加熱の加熱によって、微小なサイズであり、かつ、等方的な形状を有する酸化物粒子、即ち、液体中への分散に適した酸化物粒子を製造しやすいためと考えられる。
ここで、「微小なサイズ」の酸化物粒子としては、好ましくは、数平均粒径が2nm〜50nm(より好ましくは2nm〜20nm)の酸化物粒子である。
本明細書中において、酸化物粒子の粒径とは、酸化物粒子10個の数平均粒径を指す。
粒径の測定装置としては、例えば、FEI社製 TITAN80−300等のTEM(Transmission Electron Microscope;透過型電子顕微鏡)を用いることができる。
また、本明細書中において、粒子の粒径とは、粒子が球形状以外の形状であるときは、粒子の円相当径(粒子の投影像と同一の面積を有する円の直径)を指す。
また、酸化物粒子の「等方的な形状」として、好ましくは、酸化物粒子の外接直方体において、比率〔長さ/厚さ〕が1.0以上2.0以下(好ましくは1.0以上1.5以下)を満たす形状である。ここで、外接直方体の長さ、幅及び厚さは、長さ≧幅≧厚さの関係を満たすものとする。また、外接直方体には立方体も含まれるものとする。また、粒子が直方体形状(立方体形状を含む)である場合には、粒子の外接直方体は、粒子の形状自体を指すものとする。
また、上記比率〔長さ/厚さ〕は、粒子10個の平均値を指すものとする。
等方的な形状の例としては、外接直方体における比率〔長さ/厚さ〕が1.0以上2.0以下(好ましくは1.0以上1.5以下)の多面体形状(例えば立方体形状)、上記多面体形状の角が丸まっている形状、球形状、外接直方体における比率〔長さ/厚さ〕が1.0以上2.0以下(好ましくは1.0以上1.5以下)の楕円球形状、外接直方体における比率〔長さ/厚さ〕が1.0以上2.0以下(好ましくは1.0以上1.5以下)の不定形形状等が挙げられる。
本発明における酸化物粒子は、上述した等方的な形状を有することが好ましい。
以上のように、本発明の製造方法によれば、液体中への分散性に優れ、電気特性(例えば半導体特性)に優れた酸化物粒子を、簡易かつ短時間に製造することができる。
本発明の製造方法では、第1工程において、アミノ基を有する有機化合物を含有する溶液を調製する。
本発明の製造方法では、このアミノ基を有する有機化合物が、インジウムを含む酸化物粒子の形成促進(より詳細には、インジウムを含む酸化物の結晶成長促進)に作用していると考えられる。
また、アミノ基を有する有機化合物は、加熱前の段階(第1工程における溶液の調製段階)では、アルカリ成分として機能しないと考えられる。このため、第1工程における溶液の調製段階では、沈殿(金属水酸化物)は形成されず、このことが、簡易かつ短時間での酸化物粒子の製造を可能としていると考えられる。
アミノ基を有する有機化合物に対し、従来の製造方法に用いられる、NaOH、KOH、NHOH、NH、NHHCO、(NHCO等の無機アルカリ成分は、酸化物粒子の形成は促進するが、沈殿を形成させてしまう。この沈殿形成は発熱を伴う。このため、本発明の製造方法において、アミノ基を有する有機化合物を、上記無機アルカリ成分に置き換えた場合には、溶液の調製の際に上記無機アルカリ成分をゆっくりと添加しなければならず、溶液の調製に時間がかかることとなり、ひいては酸化物粒子の製造に時間がかかることとなる。
本発明において、「アミノ基」は、置換又は無置換のアミノ基を意味する。
本発明の製造方法において、酸化物粒子の形成性をより向上させる観点からみると、アミノ基を有する有機化合物は、加熱によりアミノ基(置換又は無置換のアミノ基。以下同じ。)が脱離する有機化合物であることが好ましい。
この場合、第2工程での加熱中に、アミノ基を有する有機化合物からアミノ基が脱離し、脱離したアミノ基を原料として、アンモニア成分(アルカリ成分)が生成されると考えられる。このアンモニア成分(アルカリ成分)が、酸化物粒子の形成性をより向上させると考えられる。
アミノ基を有する有機化合物の更に好ましい範囲は後述するが、最も好ましくは尿素である。
また、本発明の製造方法において、第2工程は、溶液を150℃〜300℃の温度(加熱温度)に加熱することが好ましい。
上記加熱温度が150℃以上であると、酸化物粒子の形成性がより向上する。
また、上記加熱温度が300℃以下であると、酸化物粒子の電気特性(特に半導体特性)がより向上する。
上記加熱温度は、200℃〜300℃であることが好ましく、200℃〜250℃であることがより好ましく、200℃〜240℃であることが更に好ましく、200℃〜220℃が特に好ましい。
また、本発明の製造方法において、溶液中の水の量は、前述のとおり、金属塩の量に対してモル比で166倍未満である。
これにより、金属水酸化物の形成が抑制されるので、電気特性(例えば半導体特性)に優れた酸化物粒子を製造することができる。
溶液中における水の量が多すぎる場合(特に、溶液が有機溶媒を含まず、溶媒成分が水のみからなる場合)には、金属水酸化物がされてしまう。
本発明の製造方法において、溶液中の水の量は、金属塩の量に対してモル比で56倍以下であることが好ましい。
一方、溶液中の水の量の下限には特に制限はないが、溶液中の水の量は、例えば、金属塩の量に対してモル比で3倍以上とすることができる。
また、本発明の製造方法において、第2工程は、上記溶液を撹拌せずに加熱するか、又は、上記溶液を500rpm以下(より好ましくは200rpm以下)の撹拌回転数で撹拌しながら加熱することが好ましい。
この態様では、酸化物粒子の形成(酸化物の結晶成長)をより促進することができる。
また、この態様では、製造される酸化物粒子にまとわりつく、有機溶媒の残存成分の量を低減することができるので、製造される酸化物粒子の電気特性(例えば半導体特性)をより向上させることができる。
例えば、製造される酸化物粒子にまとわりつく有機溶媒の残存成分の量が多いと、上記酸化物粒子を含む分散液の色が褐色となる。一方、製造される酸化物粒子にまとわりつく有機溶媒の残存成分の量が低減されていると、上記酸化物粒子を含む分散液の色は、白色又はクリーム色(特に好ましくは白色)となる。
特に、溶液を撹拌しない場合及び撹拌回転数が200rpm以下である場合には、等方的な形状(例えば立方体形状)の酸化物粒子を形成し易く、また、白色の分散液を製造しやすいため、好ましい。
第2工程は、上記溶液を撹拌せずに加熱すること(即ち、撹拌回転数が0ppmであること)が特に好ましい。
また、第2工程において溶液を加熱する時間は、50時間未満であることが好ましく、12時間未満であることがより好ましい。
これにより、製造される酸化物粒子にまとわりつく有機溶媒の残存成分の量をより低減できるので、製造される酸化物粒子の電気特性(例えば半導体特性)をより向上させることができる。
ここで、「溶液を加熱する時間」とは、所望とする温度に到達してからの経過時間を指す。「溶液を加熱する時間」には、昇温時間及び降温時間は含まれない。
溶液を加熱する時間は、8時間以下が好ましく、4時間以下がより好ましく、2時間以下が特に好ましい。
また、溶液を加熱する時間の下限には特に制限はないが、上記時間は、酸化物粒子の形成性の観点から、0.2時間以上が好ましく、0.6時間以上がより好ましく、1時間以上が特に好ましい。
本発明の製造方法において、インジウムを含む金属塩は、有機塩であっても無機塩であってもよいが、酸化物粒子の形成性の観点から、無機塩であることが好ましい。詳細には、インジウムを含む金属塩が無機塩である場合、インジウムを含む金属塩が有機塩である場合と比較して、低温分解性が高いために第2工程で良質な結晶を得やすい点、及び、第2工程で分解した配位子が残存しにくく揮発しやすい点で有利である。
また、インジウムを含む金属塩は、溶液のpHを6以下に調整し易い観点、及び、製造される酸化物粒子の電気特性(特に半導体特性)を向上させる観点からは、硝酸塩又は塩化物塩であることが好ましい。中でも、製造される酸化物粒子の電気特性(特に半導体特性)を顕著に向上させる観点からは、塩化物塩が特に好ましい。
また、本発明の製造方法によって製造される酸化物粒子は、導電性粒子であることが好ましく、塗布プロセスによる簡易なTOSの製造を実現するという観点からみると、半導体粒子であることがより好ましい。
ここで、導電性粒子とは、半導体粒子を包含する概念である。
本発明の製造方法に用いられるインジウム(In)を含む金属塩は、In以外の金属元素として、Zn、Ga、Al、Sn、Ti、Mg、Sr、Ta、及びSiからなる群から選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
また、本発明の製造方法によって製造されるInを含む酸化物粒子も同様に、In以外の金属元素として、Zn、Ga、Al、Sn、Ti、Mg、Sr、Ta、及びSiからなる群から選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
以下、本発明の製造方法の各工程について説明する。
<第1工程>
第1工程は、インジウムを含む金属塩と、アミノ基を有する有機化合物と、有機溶媒と、上記金属塩の量に対してモル比で166倍未満の量の水と、を含有し、pHが6以下である溶液を調製する工程である。
溶液は、必要に応じ、上記以外の成分を含んでいてもよい。
(インジウムを含む金属塩)
第1工程で調製される溶液は、インジウム(In)を含む金属塩を含有する。
インジウム(In)を含む金属塩の好ましい態様は前述したとおりである。
Inを含む金属塩は、In以外の金属元素として、Zn、Ga、Al、Sn、Ti、Mg、Sr、Ta、及びSiからなる群から選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
Inを含む金属塩が上記In以外の金属元素を含む場合には、酸化物粒子として、例えば、In−Ga−Zn−O粒子、In−Ga−Zn−O粒子、In−Ga−O粒子、In−Zn−O粒子、In−Sn−O粒子、In−Sn−Zn−O粒子、等の複合酸化物の粒子を製造できる。
Inを含む金属塩が上記In以外の金属元素を含まない場合には、言うまでもないが、In粒子を製造できる。
溶液に含有されるInを含む金属塩は、1種のみであっても2種以上であってもよい。
溶液中におけるInを含む金属塩の含有量(2種以上である場合には総含有量)には特に制限はないが、溶液の全量に対し、0.1質量%〜10質量%であることが好ましく、0.2質量%〜5質量%であることがより好ましく、0.5質量%〜3質量%であることが更に好ましく、0.5質量%〜2質量%であることが特に好ましい。
(アミノ基を有する有機化合物)
第1工程で調製される溶液は、アミノ基(置換又は無置換のアミノ基)を有する有機化合物を含有する。
アミノ基を有する有機化合物としては、前述したとおり、加熱によりアミノ基(置換又は無置換のアミノ基)が脱離する有機化合物が好ましい。
アミノ基を有する有機化合物として、より好ましくは、2つのアミノ基(置換又は無置換のアミノ基)と、この2つのアミノ基(置換又は無置換のアミノ基)を連結するカルボニル基又はチオカルボニル基と、を有する化合物であり、更に好ましくは、下記一般式(I)で表される化合物である。
一般式(I)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、Xは、酸素原子又は硫黄原子を表す。
〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、又はエチル基であることが好ましく、水素原子であることが最も好ましい。
また、Xは、酸素原子であることが好ましい。
一般式(I)で表される化合物としては、尿素、ジメチル尿素、テトラメチル尿素、テトラエチル尿素、チオ尿素が好ましく、尿素が最も好ましい。
溶液に含有される、アミノ基を有する有機化合物は、1種のみであっても2種以上であってもよい。
溶液中におけるアミノ基を有する有機化合物の含有量(2種以上である場合には総含有量)には特に制限はないが、溶液の全量に対し、0.5質量%〜15質量%であることが好ましく、1質量%〜15質量%であることがより好ましく、2質量%〜10質量%であることが特に好ましい。
(有機溶媒)
第1工程で調製される溶液は、有機溶媒を含有する。
溶液に含有される有機溶媒は、1種のみであっても、2種以上(混合溶媒)であってもよい。
有機溶媒としては、2価アルコール(エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等)、1価アルコール溶媒(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等)等が挙げられる。
有機溶媒としては、沸点が高い(沸点100℃以上である)ことから第2工程の加熱での蒸発が抑制される点、及び、多価アルコールの還元性を有することから水酸化物の形成を抑制できる点で、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、及びトリプロピレングリコールからなる群から選択される少なくとも1種であることが特に好ましい。
溶液中における有機溶媒の含有量(2種以上である場合には総含有量)には特に制限はないが、溶液の全量に対し、70質量%〜98質量%であることが好ましく、80質量%〜97質量%であることがより好ましい。
(水)
第1工程で調製される溶液は、Inを含む金属塩の量に対してモル比で166倍未満の量の水を含有する。
水の含有量の好ましい範囲は前述したとおりである。
(その他の成分)
第1工程で調製される溶液は、上記以外のその他の成分を含有してもよい。
その他の成分としては、Inを含む金属塩以外のその他の金属化合物が挙げられる。
その他の金属化合物としては、例えば、Zn、Ga、Al、Sn、Ti、Mg、Sr、Ta、及びSiからなる群から選択される少なくとも1種を含む金属化合物が挙げられる。
溶液がその他の金属化合物を含む場合には、酸化物粒子として、例えば、In−Ga−Zn−O粒子、In−Ga−O粒子、In−Zn−O粒子、In−Sn−O粒子、In−Sn−Zn−O粒子、等の複合酸化物の粒子を製造できる。
(溶液のpH)
溶液のpHは、前述のとおり6以下である。
これにより、溶液の調製の際、沈殿(水酸化物)の形成が抑制されるので、溶液の調製を短時間で行うことができる。
溶液のpHは、液温25℃で測定された値を指す。
溶液のpHは、pHメーターを用いた通常の方法で測定される。
溶液のpHの下限には特に制限はないが、溶液のpHは、2以上であることが好ましく、3以上であることがより好ましい。
(溶液の調製方法)
第1工程では、上述の各成分(その他の成分は任意である)を混合して溶液を調製することができる。
溶液を調製する際の温度には特に制限はないが、成分として水が含まれている観点、及び、水酸化物の沈殿の形成をより抑制する観点から、10℃〜40℃が好ましく、15℃〜35℃がより好ましい。
<第2工程>
第2工程は、第1工程で調製された溶液を加熱することにより、インジウム(In)を含む酸化物粒子を生成させる工程である。
加熱温度、撹拌の有無、撹拌回転数、加熱時間等、本工程の好ましい態様は、前述したとおりである。
第2工程で製造される、インジウム(In)を含む酸化物粒子は、In及びO以外にも、Zn、Ga、Al、Sn、Ti、Mg、Sr、Ta、及びSiからなる群から選択される少なくとも1種を含むことができる。
即ち、第2工程で製造される、インジウムを含む酸化物粒子は、In粒子であってもよいし、In−Ga−Zn−O粒子、In−Ga−Sn−O粒子、In−Ga−O粒子、In−Zn−O粒子、In−Sn−O粒子、In−Sn−Zn−O粒子、等の複合酸化物の粒子であってもよい。
本発明の製造方法(第2工程)によって製造される酸化物粒子は、少なくともInを含むので、高い電子移動度が期待できる。その理由は、Inの最外殻電子軌道が5Sであるためである。酸化物粒子に含まれる全金属元素中に占めるInの比率は、50atom%以上であることが好ましく、80atom%以上であることがより好ましい。
また、上記酸化物粒子がSnを含む場合には、キャリア濃度の増大及び電子移動度の増大が期待できる。
また、上記酸化物粒子がZnを含む場合にも、酸化物粒子がSnを含む場合と同様に、キャリア濃度の増大及び電子移動度の増大が期待できる。
また、上記酸化物粒子がGaを含む場合には、酸化物粒子の酸素欠損をより抑制でき、且つバンドギャップの増大させることができる。
第2工程では、有機溶媒中で上記酸化物粒子が生成される。
生成された酸化物粒子は、遠心分離などの通常の方法によって、有機溶媒中から分離採集することができる。
分離採集後された酸化物粒子は、有機溶媒中に分散させて酸化物粒子分散液としてもよいし、そのまま乾燥させて酸化物粒子粉末としてもよい。
また、第2工程によって得られる、酸化物粒子を含む液体をそのまま(又は、必要に応じ、上記液体に有機溶媒等を添加して)、後述の本発明の薄膜の製造方法に用いる酸化物粒子分散液として用いることもできる。
第2工程で製造される、インジウムを含む酸化物粒子の数平均粒径は、前述のとおり、2nm〜50nmが好ましく、2nm〜20nmが特に好ましい。
また、第2工程で製造される、インジウムを含む酸化物粒子の好ましい形状についても前述したとおりである。
〔酸化物粒子〕
以下、本発明の第1実施形態に係る酸化物粒子、及び、本発明の第2実施形態に係る酸化物粒子について説明する。
以降の記載において、「本発明の酸化物粒子」との語は、第1実施形態に係る酸化物粒子又は第2実施形態に係る酸化物粒子を意味するものとする。
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係る酸化物粒子は、インジウムを含む酸化物粒子であって、50℃から600℃まで昇温したときの熱重量変化〔TG(Thermal Gravimetry)及びDTG(Differential Thermal Gravimetry)〕を測定したときに、重量減少が10%以下であり、50℃から200℃までの領域に重量減少に伴うDTGのピークが観測されない酸化物粒子である。
第1実施形態に係る酸化物粒子は、上記構成としたことにより、酸化物粒子の電気特性(例えば半導体特性)が向上する。例えば、第1実施形態に係る酸化物粒子をTFTの活性層の成分として用いると、特に良好なTFT特性が得られる。
第1実施形態において、「50℃から600℃まで昇温したときの熱重量変化を測定したときに、重量減少が10%以下であり」とは、50℃から600℃まで昇温したときに、熱分解が起こらないか又は熱分解が抑制されていることを示す。
また、「50℃から200℃までの領域に重量減少に伴うDTGのピークが観測されない」とは、50℃から200℃までの領域で熱分解(特に、水酸基(−OH基)の脱離)が生じないことを意味する。
即ち、「50℃から200℃までの領域に重量減少に伴うDTGのピークが観測されない」とは、インジウムを含む酸化物粒子中の水酸基の量が低減されていることを意味する。
これにより、酸化物粒子の電気特性(例えば半導体特性)が特に向上する。
この理由は、水酸基は、キャリアをトラップする作用を有しており、この作用により、酸化物粒子の電気特性(例えば半導体特性)を劣化させるためと考えられる。
第1実施形態に係る酸化物粒子は、上記の熱重量変化を測定したときに、250℃から350℃までの領域に重量減少に伴うDTGのピークが観測されることが好ましい。
ここで、「250℃から350℃までの領域に重量減少に伴うDTGのピークが観測される」とは、上記の熱重量変化において、若干の熱分解が生じることを意味する。
「250℃から350℃までの領域に重量減少に伴うDTGのピークが観測される」酸化物粒子は、インジウムを含む酸化物のバルクセラミックスによる固相法により製造する方法ではなく、インジウムを含む金属塩の溶液を原料とする方法によって、簡易に製造できるという利点を有する。
第1実施形態に係る酸化物粒子の好ましい態様(好ましい数平均粒径、好ましい形状、等)は、「酸化物粒子の製造方法」の項で示した態様と同様である。
第1実施形態に係る酸化物粒子を製造する方法には特に制限はないが、製造が簡易である点で、インジウムを含む金属塩の溶液を原料として作製する方法が好ましい。
中でも、本発明の酸化物粒子の製造方法が特に好ましい。
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態に係る酸化物粒子は、本発明の酸化物粒子の製造方法によって製造された酸化物粒子である。
第2実施形態に係る酸化物粒子は、電気特性(例えば半導体特性)に優れる酸化物粒子である。
第2実施形態に係る酸化物粒子には上記以外には特に制限はないが、第1実施形態に係る酸化物粒子における熱重量変化の特性と同様の特性を示すことが好ましい。
その他、第2実施形態に係る酸化物粒子の好ましい態様(好ましい数平均粒径、好ましい形状、等)は、「酸化物粒子の製造方法」の項で示した態様と同様である。
以下、第1実施形態に係る酸化物粒子、第2実施形態に係る酸化物粒子を総称し、「本発明の酸化物粒子」ともいう。
本発明の酸化物粒子(第1実施形態に係る酸化物粒子又は第2実施形態に係る酸化物粒子)は、導電性粒子であることが好ましく、半導体粒子であることがより好ましい。
また、本発明の酸化物粒子(第1実施形態に係る酸化物粒子又は第2実施形態に係る酸化物粒子)は、In及びO以外にも、Zn、Ga、Al、Sn、Ti、Mg、Sr、Ta、及びSiからなる群から選択される少なくとも1種を含むことができる。
即ち、本発明の酸化物粒子は、In粒子であってもよいし、In−Ga−Zn−O粒子、In−Ga−Sn−O粒子、In−Ga−O粒子、In−Zn−O粒子、In−Sn−O粒子、In−Sn−Zn−O粒子、等の複合酸化物の粒子であってもよい。
〔薄膜の製造方法〕
本発明の薄膜の製造方法は、本発明の酸化物粒子(即ち、上記第1実施形態に係る酸化物粒子又は上記第2実施形態に係る酸化物粒子)が有機溶媒中に分散されている酸化物粒子分散液を基板上に塗布することにより、上記酸化物粒子を含む薄膜を製造する方法である。
本発明の薄膜の製造方法によれば、優れた電気特性(例えば半導体特性)を有する薄膜を簡易に製造できる。
<塗布工程>
本発明の薄膜の製造方法は、本発明の酸化物粒子が有機溶媒中に分散されている酸化物粒子分散液を基板上に塗布することにより、上記酸化物粒子を含む薄膜を製造する工程(以下、「塗布工程」)を有する。
−基板−
上記基板の形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
基板の構造は単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。
基板としては、例えば、YSZ(イットリウム安定化ジルコニウム)やガラス等の無機材料、樹脂や樹脂複合材料等からなる基板を用いることができる。
中でも軽量である点、可撓性を有する点から樹脂あるいは樹脂複合材料からなる基板が好ましい。
具体的には、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、アリルジグリコールカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリベンズアゾール、ポリフェニレンサルファイド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン等のフッ素樹脂、液晶ポリマー、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アイオノマー樹脂、シアネート樹脂、架橋フマル酸ジエステル、環状ポリオレフィン、芳香族エーテル、マレイミドーオレフィン、セルロース、エピスルフィド化合物等の合成樹脂からなる基板; 既述の合成樹脂等と酸化珪素粒子との複合プラスチック材料からなる基板; 既述の合成樹脂等と金属ナノ粒子、無機酸化物ナノ粒子もしくは無機窒化物ナノ粒子等との複合プラスチック材料からなる基板; 既述の合成樹脂等とカーボン繊維もしくはカーボンナノチューブとの複合プラスチック材料からなる基板; 既述の合成樹脂等とガラスフレーク、ガラスファイバーもしくはガラスビーズとの複合プラスチック材料からなる基板; 既述の合成樹脂等と粘土鉱物もしくは雲母派生結晶構造を有する粒子との複合プラスチック材料からなる基板; 薄いガラスと既述のいずれかの合成樹脂との間に少なくとも1つの接合界面を有する積層プラスチック基板; 無機層と有機層(既述の合成樹脂)とを交互に積層することで、1つ以上の接合界面を有するバリア性能を有する複合材料からなる基板; ステンレス基板またはステンレスと異種金属とを積層した金属多層基板; アルミニウム基板または表面に酸化処理(例えば陽極酸化処理)を施すことで表面の絶縁性を向上させた酸化皮膜付きのアルミニウム基板; 等を用いることができる。
なお、基板は、耐熱性、寸法安定性、耐溶剤性、電気絶縁性、加工性、低通気性、および低吸湿性等に優れていることが好ましい。
また、基板は、水分や酸素の透過を防止するためのガスバリア層や、基板の平坦性や下部電極との密着性を向上するためのアンダーコート層等を備えていてもよい。
また基板上に、下部電極や、絶縁膜を備えていてもよく、その場合には基板上の下部電極や絶縁膜上に、本発明の薄膜(例えば半導体膜)を形成することが好ましい。
基板の厚さに特に制限はないが、50μm〜1000μmが好ましく、50μm〜500μmであることがより好ましい。基板の厚みが50μm以上であると、基板自体の平坦性が向上し、基板の厚みが1000μm以下であると、基板自体の可撓性が向上し、例えば、薄膜をフレキシブル半導体デバイスの構成要素として使用することがより容易となる。
−酸化物粒子分散液−
塗布工程では、本発明の酸化物粒子が有機溶媒中に分散されている酸化物粒子分散液が用いられる。
酸化物粒子分散液中の有機溶媒(分散媒)としては、アルコール溶媒(メタノール、エタノール、プロパノール等)、アルコキシアルコール溶媒(メトキシエタノール、エトキシエタノール等)、グリコール溶媒等の2価アルコール(エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等)、等を用いることができる。
酸化物粒子分散液に含有される有機溶媒(分散媒)は、1種のみであっても2種以上であってもよい。
また、本発明において、製造された薄膜の伝導性をより向上させる観点からは、製造された薄膜中に溶媒が残存しないことが好ましい。
そのためには、酸化物粒子分散液中の有機溶媒(分散媒)としては、沸点が低い溶媒を用いることが好ましい。
具体的には、沸点が低く分解しやすい一価のアルコール(メタノール、エタノール、プロパノールが好ましい。
酸化物粒子分散液は、本発明の酸化物粒子を、有機溶媒中に分散させることによって作製される。このとき、公知の分散機(ホモジナイザー、ボールミル、ビーズミル、超音波分散機、超音波洗浄機、等)を用いて分散させてもよい。
また、酸化物粒子分散液としては、前述の第2工程によって得られる、酸化物粒子を含む混合液をそのまま(又は、必要に応じ、上記液体に有機溶媒等を添加して)原料として用い、公知の分散機(ホモジナイザー、ボールミル、ビーズミル、超音波分散機、超音波洗浄機、等)を用いて、酸化物粒子の分散状態を形成させることによって作製することもできる。
酸化物粒子分散液は、上記酸化物粒子を有機溶媒中に分散させるための分散剤を少なくとも1種含有していてもよい。
分散剤として、具体的には、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、エルカ酸、オレイルアミン、ドデシルアミン、ドデカンチオール、1,2−ヘキサデカンチオール、トリオクチルホスフィンオキシド、臭化セトリモニウム等が挙げられ、オレイン酸、オレイルアミンが好ましい。
酸化物粒子分散液は、上記以外のその他の成分を含んでいてもよい。
その他の成分としては、公知の添加剤が挙げられる。
−塗布方法ほか−
基板上に分散液を塗布する方法には特に制限はないが、例えば、スピンコート法、バーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、インクジェット法、ディスペンサー法、スクリーン印刷法、凸版印刷法、凹版印刷法、等が挙げられる。
塗布工程では、基板上に酸化物粒子分散液を塗布し、塗布された酸化物粒子分散液を乾燥させて塗布膜を形成する方法であってもよい。
この乾燥は、自然乾燥であってもよいし、加熱乾燥であってもよい。
加熱乾燥とする場合の加熱の方法には特に限定されず、ホットプレート加熱、電気炉加熱、赤外線加熱、マイクロ波加熱等から選択することができる。
加熱乾燥とする場合の加熱温度は、例えば、50℃〜250℃が挙げられ、70℃〜200℃が好ましく、100℃〜170℃がより好ましい。
また、乾燥における雰囲気に特に制限はないが、製造コスト等の観点から大気圧下、大気中で行うことが好ましい。
塗布工程では、塗布から乾燥までの操作を複数回行ってもよい。
これにより、得られる薄膜の厚さを所望とする厚さに調整し易く、また、得られる薄膜の電気特性をより向上させることができる。
<加熱処理(アニール)工程>
本発明の薄膜の製造方法は、塗布工程で形成された薄膜を加熱処理(アニール)する加熱処理(アニール)工程を有していてもよい。
加熱処理の温度(最高到達温度)は、より良質な薄膜を作製する観点から、150℃以上であることが好ましく、200℃以上であることが更に好ましい。加熱処理の温度(最高到達温度)の上限に関して特に制限はないが、加熱処理の温度(最高到達温度)は、プラスチック等のフレキシブル基板を用いる場合には、基板の耐熱性を考慮して300℃以下であることが好ましい。
加熱処理の雰囲気には特に制限はなく、大気雰囲気下であってもよいし、不活性ガス(窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス等)を含む雰囲気下であってもよい。
前述のとおり、本発明の製造方法は、大気雰囲気下で加熱処理を行った場合でも、特性に優れた薄膜を得ることができる。
本発明の薄膜の製造方法は、上記以外のその他の工程を有していてもよい。
その他の工程としては、薄膜を洗浄する洗浄工程など、公知の工程が挙げられる。
〔薄膜〕
本発明の薄膜は、上記本発明の薄膜の製造方法によって製造された薄膜である。
本発明の薄膜は、上記本発明の薄膜の製造方法によって製造された薄膜であるため、優れた電気特性(例えば半導体特性)を有する。
また、本発明の薄膜の厚さは、優れた電気特性(例えば半導体特性)を得る観点から、10nm以上であることが好ましく、50nm以上であることがより好ましい。また、本発明の薄膜の厚さは、製造し易さの観点からは、300nm以下であることが好ましい。
本発明の薄膜は、導電性薄膜であることが好ましい。
ここで、導電性薄膜とは、半導体薄膜を包含する概念である。
更に、本発明の薄膜は、塗布プロセスによる簡易なTOSの製造を実現するという観点からみると、半導体薄膜であることがより好ましい。
本発明の薄膜は、電子素子に含まれる一部材として好適に用いることができる。
電子素子としては、例えば、薄膜トランジスタ、キャパシタ(コンデンサ)、ダイオード、センサー類(撮像素子など)等、半導体膜及び導電膜の少なくとも一方を備えた各種の素子が挙げられる。
また、本発明の薄膜は、好ましくは、酸化物粒子同士が近接化又は結合してなる、酸化物粒子の集合体を含有する。これにより、酸化物粒子同士の電気伝導性が向上し、薄膜の電気特性が向上する。
本発明の薄膜において、酸化物粒子の粒子間平均最短距離は、0.80nm未満であることが好ましい。
酸化物微粒子の粒子間平均最短距離は、0.65nm未満であることがより好ましく、0.50nm未満であることがさらに好ましい。
ここで、酸化物粒子の粒子間平均最短距離とは、ある酸化物粒子Aの表面と、酸化物粒子Aに隣接する他の酸化物粒子Bの表面との最短距離(粒子間最短距離)の平均値をいう。詳細には、次の方法にて算出することができる。
酸化物粒子の粒子間最短距離は、酸化物粒子の集合体を有する薄膜を、微小角入射X線小角散乱法(GISAXS;grazing incidence small angle X-ray scattering)によって構造評価することにより得ることができる。かかる測定により、隣接する酸化物粒子同士の中心間距離dが得られ、得られた中心間距離dから、酸化物粒子の粒径を差し引くことで、算出される。
GISAXSの測定装置において、薄膜の構造評価を行うと、X線が照射された全ての領域に存在する酸化物粒子についての散乱X線の平均が、測定対象の散乱X線となって検出される。検出された散乱X線に基づき、算出される粒子間最短距離が、各粒子間最短距離の平均値である「粒子間平均最短距離」である。
〔薄膜トランジスタ〕
本発明の薄膜トランジスタは、上記本発明の薄膜を備える。
本発明の薄膜トランジスタは、例えば、本発明の薄膜が導電性薄膜(好ましくは半導体薄膜)である場合には、活性層(半導体層)として本発明の薄膜を備えることができる。
また、本発明の薄膜トランジスタは、例えば、本発明の薄膜が高い導電性を有する導電性薄膜である場合には、ゲート電極、ソース電極、及びドレイン電極のうちの少なくとも1つとして、本発明の薄膜を備えることもできる。
本発明の薄膜トランジスタは、塗布プロセスによる簡易なTOSの製造を実現するという観点からみると、活性層として、上記本発明の薄膜を備えることが好ましい。
以下、活性層(半導体層)として、本発明の薄膜を備えた薄膜トランジスタ(TFT)の実施形態について説明する。
尚、実施形態としてはトップゲート型の薄膜トランジスタについて記述するが、本発明の薄膜トランジスタはトップゲート型に限定されることなく、ボトムゲート型の薄膜トランジスタであってもよい。
本発明におけるTFTの素子構造は特に限定されず、ゲート電極の位置に基づいた、いわゆる逆スタガ構造(ボトムゲート型とも呼ばれる)及びスタガ構造(トップゲート型とも呼ばれる)のいずれの態様であってもよい。また、活性層とソース電極及びドレイン電極(適宜、「ソース・ドレイン電極」という。)との接触部分に基づき、いわゆるトップコンタクト型、ボトムコンタクト型のいずれの態様であってもよい。
トップゲート型とは、TFTが形成されている基板を最下層としたときに、ゲート絶縁膜の上側にゲート電極が配置され、ゲート絶縁膜の下側に活性層が形成された形態である。ボトムゲート型とは、ゲート絶縁膜の下側にゲート電極が配置され、ゲート絶縁膜の上側に活性層が形成された形態である。また、ボトムコンタクト型とは、ソース・ドレイン電極が活性層よりも先に形成されて活性層の下面がソース・ドレイン電極に接触する形態である。トップコンタクト型とは、活性層がソース・ドレイン電極よりも先に形成されて活性層の上面がソース・ドレイン電極に接触する形態である。
図1は、トップゲート構造でトップコンタクト型の本発明に係るTFTの一例を示す模式図である。図1に示すTFT10では、基板12の一方の主面上に活性層14として上述の本発明の薄膜が積層されている。そして、活性層14上にソース電極16及びドレイン電極18が互いに離間して設置され、更にこれらの上にゲート絶縁膜20と、ゲート電極22とが順に積層されている。
図2は、トップゲート構造でボトムコンタクト型の本発明に係るTFTの一例を示す模式図である。図2に示すTFT30では、基板12の一方の主面上にソース電極16及びドレイン電極18が互いに離間して設置されている。そして、活性層14として上述の本発明の薄膜と、ゲート絶縁膜20と、ゲート電極22と、が順に積層されている。
図3は、ボトムゲート構造でトップコンタクト型の本発明に係るTFTの一例を示す模式図である。図3に示すTFT40では、基板12の一方の主面上にゲート電極22と、ゲート絶縁膜20と、活性層14として本発明の薄膜と、が順に積層されている。そして、活性層14の表面上にソース電極16及びドレイン電極18が互いに離間して設置されている。
図4は、ボトムゲート構造でボトムコンタクト型の本発明に係るTFTの一例を示す模式図である。図4に示すTFT50では、基板12の一方の主面上にゲート電極22と、ゲート絶縁膜20と、が順に積層されている。そして、ゲート絶縁膜20の表面上にソース電極16及びドレイン電極18が互いに離間して設置され、更にこれらの上に、活性層14として本発明の薄膜が積層されている。
以下の実施形態としては図1に示すトップゲート型の薄膜トランジスタ10ついて主に説明するが、本発明の薄膜トランジスタはトップゲート型に限定されることなく、ボトムゲート型の薄膜トランジスタであってもよい。
(活性層)
本実施形態の薄膜トランジスタ10を製造する場合、まず、本発明の薄膜の製造方法により、基板12上に薄膜を形成する。
薄膜のパターニングは前述したインクジェット法、ディスペンサー法、凸版印刷法、又は凹版印刷法によって行ってもよく、薄膜の形成後にフォトリソグラフィー及びエッチングによりパターニングを行ってもよい。
フォトリソグラフィー及びエッチングによりパターン形成を行うには、薄膜を形成した後、活性層14として残存させる部分にフォトリソグラフィーによりレジストパターンを形成した後、塩酸、硝酸、希硫酸、又は、燐酸、硝酸及び酢酸の混合液等の酸溶液によりエッチングすることにより活性層14のパターンを形成する。
(保護層)
活性層14上にはソース・ドレイン電極16,18のエッチング時に活性層14を保護するための保護層(不図示)を形成することが好ましい。保護層の成膜方法に特に限定はなく、本発明の薄膜を形成した後、パターニングする前に形成してもよいし、本発明の薄膜のパターニング後に形成してもよい。
また、保護層としては金属酸化物層であってもよく、樹脂のような有機材料であってもよい。なお、保護層はソース電極16及びドレイン電極18(適宜「ソース・ドレイン電極」と記す)の形成後に除去しても構わない。
(ソース・ドレイン電極)
本発明の薄膜で形成される活性層14上にソース・ドレイン電極16,18を形成する。ソース・ドレイン電極16,18はそれぞれ電極として機能するように高い導電性を有するものを用い、Al,Mo,Cr,Ta,Ti,Au,Au等の金属、Al−Nd、Ag合金、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)、In−Ga−Zn−O等の金属酸化物導電膜等を用いて形成することができる。
ソース・ドレイン電極16,18を形成する場合、印刷方式、コーティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式等の中から使用する材料との適性を考慮して適宜選択した方法に従って成膜すればよい。
ソース・ドレイン電極16,18の膜厚は、成膜性、エッチング又はリフトオフ法によるパターニング性、導電性等を考慮すると、10nm以上1000nm以下とすることが好ましく、50nm以上100nm以下とすることがより好ましい。
ソース・ドレイン電極16,18は、導電膜を形成した後、例えば、エッチング又はリフトオフ法により所定の形状にパターニングして形成してもよく、インクジェット法等により直接パターン形成してもよい。この際、ソース・ドレイン電極16,18及びこれらの電極に接続する配線(不図示)を同時にパターニングすることが好ましい。
(ゲート絶縁膜)
ソース・ドレイン電極16,18及び配線(不図示)を形成した後、ゲート絶縁膜20を形成する。ゲート絶縁膜20は高い絶縁性を有するものが好ましく、例えばSiO、SiN、SiON、Al、Y、Ta、HfO等の絶縁膜、又はこれらの化合物を2種以上含む絶縁膜としてもよい。
ゲート絶縁膜20は、印刷方式、インクジェット方式、コーティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式等の中から使用する材料との適性を考慮して適宜選択した方法に従って成膜すればよい。
尚、ゲート絶縁膜20はリーク電流の低下及び電圧耐性の向上のための厚みを有する必要がある一方、ゲート絶縁膜20の厚みが大きすぎると駆動電圧の上昇を招いてしまう。ゲート絶縁膜20は材質にもよるが、ゲート絶縁膜20の厚みは10nm以上10μm以下が好ましく、50nm以上1000nm以下がより好ましく、100nm以上400nm以下が特に好ましい。
(ゲート電極)
ゲート絶縁膜20を形成した後、ゲート電極22を形成する。ゲート電極22は高い導電性を有するものを用い、Al,Mo,Cr,Ta,Ti,Au,Au等の金属、Al−Nd、Ag合金、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)、IGZO等の金属酸化物導電膜等を用いて形成することができる。ゲート電極22としてはこれらの導電膜を単層構造又は2層以上の積層構造として用いることができる。
ゲート電極22は、印刷方式、コーティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式等の中から使用する材料との適性を考慮して適宜選択した方法に従って成膜する。
ゲート電極22を形成するための金属膜の膜厚は、成膜性、エッチングやリフトオフ法によるパターニング性、導電性等を考慮すると、10nm以上1000nm以下とすることが好ましく、50nm以上200nm以下とすることがより好ましい。
成膜後、エッチング又はリフトオフ法により所定の形状にパターニングすることにより、ゲート電極22を形成してもよく、インクジェット法等により直接パターン形成してもよい。この際、ゲート電極22及びゲート配線(不図示)を同時にパターニングすることが好ましい。
〔電子デバイス〕
本発明の電子デバイスは、上記本発明の薄膜トランジスタを備える。
上記本発明の薄膜トランジスタは、本発明の電子デバイスにおける駆動素子として好適に用いられる。
電子デバイスとしては、液晶表示装置、有機EL(Electro Luminescence)表示装置、無機EL表示装置等の表示装置;X線センサ、イメージセンサ等の各種センサ;MEMS(Micro Electro Mechanical System);等が挙げられる。
<液晶表示装置>
本発明の電子デバイスの一実施形態である液晶表示装置について、図5にその一部分の概略断面図を示し、図6に電気配線の概略構成図を示す。
図5に示すように、本実施形態の液晶表示装置100は、図1に示したトップゲート構造でトップコンタクト型のTFT10と、TFT10のパッシベーション層102で保護されたゲート電極22上に画素下部電極104およびその対向上部電極106で挟まれた液晶層108と、各画素に対応させて異なる色を発色させるためのR(赤)G(緑)B(青)のカラーフィルタ110とを備え、TFT10の基板12側およびRGBカラーフィルタ110上にそれぞれ偏光板112a、112bを備えた構成である。
また、図6に示すように、本実施形態の液晶表示装置100は、互いに平行な複数のゲート配線112と、該ゲート配線112と交差する、互いに平行なデータ配線114とを備えている。ここでゲート配線112とデータ配線114は電気的に絶縁されている。ゲート配線112とデータ配線114との交差部付近に、TFT10が備えられている。
TFT10のゲート電極22は、ゲート配線112に接続されており、TFT10のソース電極16はデータ配線114に接続されている。また、TFT10のドレイン電極18はゲート絶縁膜20に設けられたコンタクトホール116を介して(コンタクトホール116に導電体が埋め込まれて)画素下部電極104に接続されている。この画素下部電極104は、接地された対向上部電極106とともにキャパシタ118を構成している。
<有機EL表示装置>
本発明の電子デバイスの一実施形態に係るアクティブマトリックス方式の有機EL表示装置について、図7に一部分の概略断面図を示し、図8に電気配線の概略構成図を示す。
本実施形態のアクティブマトリックス方式の有機EL表示装置200は、図1に示したトップゲート構造のTFT10が、パッシベーション層202を備えた基板12上に、駆動用TFT10aおよびスイッチング用TFT10bとして備えられ、TFT10a,10b上に下部電極208および上部電極210に挟まれた有機発光層212からなる有機EL発光素子214を備え、上面もパッシベーション層216により保護された構成となっている。
また、図8に示すように、本実施形態の有機EL表示装置200は、互いに平行な複数のゲート配線220と、該ゲート配線220と交差する、互いに平行なデータ配線222および駆動配線224とを備えている。ここで、ゲート配線220とデータ配線222、駆動配線224とは電気的に絶縁されている。スイッチング用TFT10bのゲート電極22は、ゲート配線220に接続されており、スイッチング用TFT10bのソース電極16はデータ配線222に接続されている。また、スイッチング用TFT10bのドレイン電極18は駆動用TFT10aのゲート電極22に接続されるとともに、キャパシタ226を用いることで駆動用TFT10aをオン状態に保つ。駆動用TFT10aのソース電極16は駆動配線224に接続され、ドレイン電極18は有機EL発光素子214に接続される。
なお、図7に示した有機EL表示装置において、上部電極210を透明電極としてトップエミッション型としてもよいし、下部電極208およびTFTの各電極を透明電極とすることによりボトムエミッション型としてもよい。
<X線センサ>
本発明の電子デバイスの一実施形態であるX線センサについて、図9にその一部分の概略断面図を示し、図10にその電気配線の概略構成図を示す。
本実施形態のX線センサ300は基板12上に形成されたTFT10およびキャパシタ310と、キャパシタ310上に形成された電荷収集用電極302と、X線変換層304と、上部電極306とを備えて構成される。TFT10上にはパッシベーション膜308が設けられている。
キャパシタ310は、キャパシタ用下部電極312とキャパシタ用上部電極314とで絶縁膜316を挟んだ構造となっている。キャパシタ用上部電極314は絶縁膜316に設けられたコンタクトホール318を介し、TFT10のソース電極16およびドレイン電極18のいずれか一方(図9においてはドレイン電極18)と接続されている。
電荷収集用電極302は、キャパシタ310におけるキャパシタ用上部電極314上に設けられており、キャパシタ用上部電極314に接している。
X線変換層304はアモルファスセレンからなる層であり、TFT10およびキャパシタ310を覆うように設けられている。
上部電極306はX線変換層304上に設けられており、X線変換層304に接している。
図10に示すように、本実施形態のX線センサ300は、互いに平行な複数のゲート配線320と、ゲート配線320と交差する、互いに平行な複数のデータ配線322とを備えている。ここでゲート配線320とデータ配線322は電気的に絶縁されている。ゲート配線320とデータ配線322との交差部付近に、TFT10が備えられている。
TFT10のゲート電極22は、ゲート配線320に接続されており、TFT10のソース電極16はデータ配線322に接続されている。また、TFT10のドレイン電極18は電荷収集用電極302に接続されており、電荷収集用電極302はキャパシタ310に接続されている。
本実施形態のX線センサ300において、X線は図9中、上部電極306側から入射してX線変換層304で電子−正孔対を生成する。X線変換層304に上部電極306によって高電界を印加しておくことにより、生成した電荷はキャパシタ310に蓄積され、TFT10を順次走査することによって読み出される。
なお、上記実施形態の液晶表示装置100、有機EL表示装置200、及びX線センサ300においては、トップゲート構造のTFTを備えるものとしたが、TFTはこれに限定されず、図2〜図4に示す構造のTFTであってもよい。
以下に実施例を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
〔実施例1〕
<粒子の合成>
(第1工程)
インジウムを含む金属塩として硝酸インジウム(2mmol)と、有機溶媒としてジエチレングリコール(35mL)と、水(2mL)と、アミノ基を有する有機化合物として尿素(2g)と、を液温25℃の条件で混合し、溶液を得た。
得られた溶液(25℃)のpHを、pHメーターを用いて測定したところ、表1に示すように、pHは5.2であった。
また、得られた溶液中における沈殿形成の有無を目視で観察したところ、表1に示すように、沈殿は形成されていなかった。
(第2工程)
オートクレーブを用い、上記で得られた溶液を、表1に示すように、加熱温度200℃、加熱時間(200℃での保持時間)2時間、撹拌回転数0rpm(即ち、撹拌無し)の条件で加熱した。
これにより、沈殿物(粒子)を含む沈殿溶液を得た。
XRD(X‐ray diffraction)測定の結果、表1に示すように、沈殿物(粒子)は、酸化インジウム(In)粒子であることがわかった。
<分散液の作製>
遠心分離器を用い、上記沈殿溶液から沈殿物(粒子)を分離採集した。
次いで、分離採集した沈殿物(粒子)を、超音波洗浄機(YAMATO製BRANSONIC)を用いてエタノール中に分散させ、分散液を得た。
得られた分散液の色は、表1に示すように、クリーム色であった。
図11は、本実施例1で作製された粒子のTEM像である。
<薄膜の作製>
25mm四方の熱酸化膜付きp型Si基板の熱酸化膜上に、上記分散液を、1500rpmの回転速度でスピンコートし、次いで150℃に加熱したホットプレート上で5分間乾燥させ、塗布膜を得た。本プロセスを5回実施することで、熱酸化膜付きp型Si基板の熱酸化膜上に、膜厚30nm程度の薄膜を作製した。
<薄膜トランジスタ(TFT)の作製>
上記アニール処理によって得られた薄膜上に、シャドウマスクを用い、スパッタ法により、膜厚20nmのMo膜である、ソース電極及びドレイン電極を形成した。このとき、ソース電極及びドレイン電極の電極幅(W)はそれぞれ1000μmとし、両電極間の距離(L)は200μmとした。
以上により、薄膜トランジスタ(TFT)を得た。
<評価>
(分散性)
上記分散液について、下記評価基準により、粒子の分散性を評価した。
結果を表1に示す。
−分散性の評価基準−
A ・・・ 分散液作製から一週間経過後においても沈降が見られなかった。
B ・・・ 分散液作製から一日経過後において沈降が見られなかったが、一週間放置後に沈降が見られた。
C ・・・ 分散液作製から1時間経過後には沈降が見られなかったが、分散液作製から一日経過後に沈降が見られた。
D ・・・ 分散液作製から1時間後に、既に沈降が見られた。
(TFT特性)
上記TFTについて、半導体パラメータアナライザー(アジレントテクノロジーズ社製)を用いてTFT特性の評価を行った。
詳細には、ドレイン電圧(Vd)として固定電圧+40Vを印加した状態で、ゲート電圧(Vg)を−40〜+60Vの間で掃引することによって、TFT特性(Vg−Id特性)を測定した。
更に、ゲート電圧(Vg)として固定電圧(+60V、+55V、+50V、+45V、+40V、+35V、+30V、+25V、+20V、+15V、+10V、+5V、0V)を印加した状態で、ドレイン電圧を、0V〜+40Vの間で掃引することによって、TFT特性(Vd−Id特性)を測定した。
これらの測定結果(Vg−Id特性、Vd−Id特性)に基づき、TFTが動作したか否かを確認し、かつ、On−Off比〔Ion/Ioff〕を求め、下記評価基準に従ってTFT特性を評価した。
結果を表1に示す。
−TFT特性の評価基準−
A ・・・ TFTが動作し、On−Off比が2桁以上であった。
B ・・・ TFTが動作し、On−Off比が1桁以上2桁未満であった。
C ・・・ TFTが動作し、On−Off比が1桁未満であった。
D ・・・ TFTが動作しなかった。
〔実施例2〜8、比較例1〜4〕
実施例1において、第1工程で調製した溶液及び第2工程の加熱条件を、下記表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様の操作を行った。
測定及び評価の結果を表1に示す。
なお、比較例1では、実施例1における尿素2gを水酸化ナトリウム2gに変更した。この比較例1では、第1工程で沈殿が生じたため、第2工程以降の操作を省略した。
図12〜図21は、それぞれ、実施例2〜8及び比較例2〜4における分散液のTEM像である。
図22は、実施例のVg−Id特性の一例である、実施例3におけるTFTのVg−Id特性を示すグラフである。
図23は、実施例のVd−Id特性の一例である、実施例3におけるTFTのVd−Id特性を示すグラフである。
表1に示すように、第1工程で、インジウムを含む金属塩としての硝酸インジウム(In(NO)又は塩化インジウム(InCl)と、アミノ基を有する有機化合物としての尿素と、有機溶媒としてのジエチレングリコール(DEG)と、上記金属塩の量に対してモル比で166倍未満(特に56倍以下)の量の水と、を含有し、pHが6以下である溶液を調製し、第2工程で、上記溶液を加熱した実施例1〜8では、分散性及びTFT特性において良好な結果が得られた。
また、図11〜図18に示すように、実施例1〜8では、等方的な多面体形状(主に立方体形状)の酸化物粒子が形成されていた。また、実施例1〜8では、粒子10個の数平均粒径は、2nm〜20nmの範囲に含まれていた。
次に、表1に戻り、実施例1〜8の中でも、第2工程で、溶液を撹拌せずに、又は、溶液を200rpm以下の撹拌回転数で撹拌しながら、200℃〜220℃の温度に12時間未満加熱した実施例1〜4では、特に優れたTFT特性を示した。
その中でも、インジウムを含む金属塩として塩化インジウム(InCl)を用いた実施例3では、顕著に優れたTFT特性を示した。この理由は明らかではないが、図13に示すように、実施例3の粒子の形状が、完全な多面体形状ではなく、多面体の角が丸まった、球形に近い形状であることも関係していると推測される。
実施例1に対し、尿素2gを水酸化ナトリウム2gに変更した比較例1では、第1工程において沈殿が形成され、実施例と比較して、煩雑且つ時間がかかる方法であることがわかった。この比較例1では、第2工程以降の操作を省略した。
また、実施例1に対し、尿素を用いなかった比較例2では、TFTが動作しなかった。この理由は、酸化物粒子の形成性が悪いために、酸化物粒子の形状が悪くなったためと考えられる(図19参照)。
また、実施例1に対し、第1工程における水の量を、金属塩の量に対してモル比で166.7倍とした比較例3でも、TFTが動作しなかった。この理由は、比較例3では、酸化インジウム粒子ではなく、水酸化物(InOOH)を主体とする粒子が形成されたためと考えられる。また、TFTが動作しなかった理由は、下記のような、粒子の凝集や粒子の粗大化も原因と考えられる。
また、この比較例3では、分散性も低下した。この理由は、比較例3では、粒子の凝集又は粒子サイズの粗大化が生じたため考えられる(図20)。
また、実施例1に対し、第1工程におけるDEGを用いず、水の量を、金属塩の量に対してモル比で1027.8倍とした比較例4でも、TFTが動作しなかった。この理由は、比較例4では、酸化インジウム粒子ではなく、水酸化物(InOH、InOOH)を主体とする粒子が形成されたためと考えられる。また、TFTが動作しなかった理由は、下記のような、粒子の形状や粒子のサイズも原因と考えられる。
また、この比較例4では、分散性も低下した。この理由は、比較例4で形成された粒子は、粒子サイズが大きい棒状の粒子であったためと考えられる(図21)。
<熱重量変化の測定及びFT−IR測定>
実施例1、2、及び6について、熱重量変化の測定〔TG(Thermal Gravimetry)及びDTG(Differential Thermal Gravimetry)〕を実施した。
詳細には、実施例1、2、及び6における分散液を100℃にて乾燥させて得られた粉末(粒子)について、パーキンエルマー製Pyris1TGAを用い、Airフロー中で、昇温速度を10℃/minとし、50℃から600℃まで昇温したときの熱重量変化(TG及びDTG)を測定した。
図24は、実施例1、2、及び6における粒子の熱重量変化(TG)を示すグラフである。
図24に示すように、実施例1及び2では、50℃から600℃までの重量減少が10%以下(実施例1では5%程度、実施例2では9%程度)であったが、実施例6では、50℃から600℃までの重量減少が15%程度であった。
図25は、実施例1、2、及び6における粒子の熱重量変化(DTG)を示すグラフである。
図25に示すように、実施例1及び2では、50℃から200℃までの領域に重量減少を示すDTGのピークが存在しなかったが、実施例6では、50℃から200℃までの領域に重量減少を示すDTGのピークが存在した。
また、図25に示すように、実施例1、2、及び6のいずれにおいても、250℃から350℃までの領域に、重量減少を示すDTGのピークが観測された。250℃から350℃までの領域の重量減少は、実施例6において特に顕著であった。
次に、実施例1、2、及び6における薄膜のFT−IR測定を実施した。
その結果、実施例1及び2では、OHの伸縮振動に由来するピークが観測されなかったが、実施例6では、OHの伸縮振動に由来するピークが観測された。
更に、実施例6のOHの伸縮振動に由来するピークは、実施例6の薄膜を200℃にて加熱することによって消失することが確認された。
以上の結果より、実施例6における、50℃から200℃までの領域の重量減少は、OH基(水酸基)の脱離に由来する重量減少であることが確認された。
以上のように、実施例1及び2の酸化物粒子は、50℃から600℃まで昇温したときの熱重量変化を測定したときに、重量減少が10%以下(実施例1では5%程度、実施例2では9%程度)であり、50℃から200℃までの領域に重量減少に伴うDTGのピークが観測されないことがわかった。
一方、実施例6の酸化物粒子は、50℃から600℃まで昇温したときの熱重量変化を測定したときに、重量減少が15%程度であり、50℃から200℃までの領域に、OH基(水酸基)の脱離に由来する重量減少に伴うDTGのピークが観測されることがわかった。
以上の違いにより、実施例1及び2では、実施例6と比較してTFT特性が向上したと考えられる。
10,30,40,50 薄膜トランジスタ
12 基板
14 活性層
16 ソース電極
18 ドレイン電極
20 ゲート絶縁膜
22 ゲート電極
100 液晶表示装置
200 有機EL表示装置
300 X線センサ

Claims (16)

  1. インジウムを含む金属塩と、アミノ基を有する有機化合物と、有機溶媒と、前記金属塩の量に対してモル比で56倍以下の量の水と、を含有し、pHが6以下である溶液を調製する第1工程と、
    前記溶液を加熱することにより、インジウムを含む酸化物粒子を生成させる第2工程と、
    を有する酸化物粒子の製造方法。
  2. 前記第2工程は、前記溶液を150℃〜300℃の温度に加熱する請求項1に記載の酸化物粒子の製造方法。
  3. 前記第2工程は、前記溶液を200℃〜300℃の温度に加熱する請求項1又は請求項2に記載の酸化物粒子の製造方法。
  4. 前記アミノ基を有する有機化合物は、加熱によって前記アミノ基が脱離する有機化合物である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の酸化物粒子の製造方法。
  5. 前記アミノ基を有する有機化合物は、下記一般式(I)で表される化合物である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の酸化物粒子の製造方法。


    一般式(I)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、Xは、酸素原子又は硫黄原子を表す。
  6. 前記アミノ基を有する有機化合物は、尿素である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の酸化物粒子の製造方法。
  7. 前記溶液は、前記水の量が前記金属塩の量に対してモル比で3倍以上である請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の酸化物粒子の製造方法。
  8. 前記第2工程は、前記溶液を撹拌せずに加熱するか、又は、前記溶液を200rpm以下の撹拌回転数で撹拌しながら加熱する請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の酸化物粒子の製造方法。
  9. 前記第2工程において前記溶液を加熱する時間が、12時間未満である請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の酸化物粒子の製造方法。
  10. 前記第2工程は、前記溶液を200℃〜220℃の温度に加熱する請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の酸化物粒子の製造方法。
  11. 前記金属塩が、無機塩である請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の酸化物粒子の製造方法。
  12. 前記金属塩が、硝酸塩又は塩化物塩である請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の酸化物粒子の製造方法。
  13. 前記金属塩が、塩化物塩である請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載の酸化物粒子の製造方法。
  14. 前記酸化物粒子が、半導体粒子である請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載の酸化物粒子の製造方法。
  15. インジウムを含む酸化物粒子であって、
    50℃から600℃まで昇温したときの熱重量変化を測定したときに、重量減少が10%以下であり、50℃から200℃までの領域に重量減少に伴うDTGのピークが観測されないで、かつ、250℃から350℃までの領域に重量減少に伴うDTGのピークが観測される酸化物粒子。
  16. 請求項15に記載の酸化物粒子が有機溶媒中に分散されている酸化物粒子分散液を基板上に塗布することにより、前記酸化物粒子を含む薄膜を製造する薄膜の製造方法。
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