以下、実施形態に係るギヤユニット及び電子錠について図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るギヤユニットである電子錠を備えたドア1の外観の一例を示す図である。図1の例に示すように、ドア1は、例えば、レバータイプのドアハンドル2を備える。また、ドア1は、1つの側面に、開口部1aを有する。また、ドア1には、貫通孔が形成されており、この貫通孔に後述するキーシリンダー3fが挿入されて所定の位置で固定されることで、キーシリンダー3fの鍵穴3aが、ドア1のドアハンドル2側の面から突出する状態となる。以下の説明では、ドア1の鍵穴3aが突出している側の面をA面、A面と反対側の面をB面と呼ぶ。図2は、ドアの一部の外観を示す図である。図2の例に示すように、後述するキーシリンダー3fが上述したように固定されることで、キーシリンダー3fの後述するつまみ3bが、ドア1のB面から突出する状態となる。
図3は、第1の実施形態に係るドア1の内部に設けられた施錠機構3及び電子錠10の外観の一例を示す図である。
施錠機構3は、ドア1を施錠したり解錠したりする。図3の例に示すように、施錠機構3は、キーシリンダー3fと、施錠部材3cとを備える。なお、施錠機構3は、施錠部材3cを、図3の矢印が示す2つの方向に移動可能なように支持する支持部材(図示しない)も備える。なお、この矢印は、例えば、施錠部材3cが開口部1aから突出する方向、及び、施錠部材3cが開口部1aから突出しなくなる方向の2つの方向を示す。施錠機構3は、後述するモータ11により発生された駆動力により駆動される対象の機構である。モータ11は、駆動部の一例である。また、ドア1及び施錠機構3は、被駆動部の一例である。
施錠部材3cは、棒状の部材であり、歯が形成された部分3dを有する。施錠部材3cが移動してドア1の開口部1aから突出し、施錠部材3cと、ドア枠(図示せず)に設けられた施錠部材受部(図示せず)とが係合することで、ドア1が施錠された状態となる。また、ドア1が施錠された状態で、施錠部材3cが施錠部材受部から離れる方向に移動し、施錠部材3cと施錠部材受部とが係合しなくなることで、ドア1が解錠された状態となる。このように、ドア1は、駆動力により、施錠された状態及び解錠された状態のいずれかの状態となる。なお、施錠された状態は、第1の状態の一例である。また、解錠された状態は、第2の状態の一例である。
キーシリンダー3fは、鍵穴3aと、つまみ3bと、ギヤ3eとを備える。ギヤ3eの歯と、施錠部材3cの部分3dにおける歯とは噛み合っている。ギヤ3eに、所定の回転方向に回転させる駆動力が電子錠10から伝達されると、ギヤ3eは所定の回転方向に回転して、施錠部材3cが開口部1aから突出する方向に施錠部材3cを移動させる。また、所定の回転方向とは逆の回転方向に回転させる駆動力が電子錠10から伝達されると、ギヤ3eは所定の回転方向とは逆の回転方向に回転して、施錠部材3cが開口部1aから突出しなくなる方向に施錠部材3cを移動させる。
なお、ギヤ3eが回転すると、連動して、鍵穴3a及びつまみ3bも回転する。逆に、操作者が鍵穴3a又はつまみ3bを回転させることで、連動して、ギヤ3eも回転する。よって、鍵穴3a又はつまみ3bを回転させることで、施錠部材3cを移動させることができる。すなわち、操作者は、鍵穴3a又はつまみ3bを回転させることで、ドア1を施錠又は解錠することができる。ここで、操作者は、鍵を用いてドア1を施錠又は解錠する場合には、上述したA面側から、鍵を鍵穴3aに挿入してドア1を施錠又は解錠する。また、操作者は、つまみ3bを操作して、ドア1を施錠又は解錠する場合には、上述したB面側から、つまみ3bを操作してドア1を施錠又は解錠する。なお、ギヤ3e、鍵穴3a及びつまみ3bは、同一の回転軸周りに回転する。
図4は、第1の実施形態に係る電子錠10の外観の一例を示す図である。電子錠10は、ケーシング10a及びケーシング10bを備える。ケーシング10a及びケーシング10bは、例えば、ネジ10cにより連結される。なお、ケーシング10a及びケーシング10bは、他の公知の方法により連結されてもよい。ケーシング10a及びケーシング10bにより形成される空間内に、電子錠10の構成部品が設けられる。
また、図4の例に示すように、電子錠10は、最終ギヤであるギヤ16を備える。ギヤ16と、図3の例に示すギヤ3eとは噛み合っている。ギヤ16から、ギヤ3eを上述した所定の回転方向に回転させる駆動力、及び、上述した所定の回転方向とは逆方向に回転させる駆動力が、ギヤ3eに伝達される。
図5は、ケーシング10aを外した場合の電子錠10の外観の一例を示す斜視図である。図6は、ケーシング10aを外した場合の電子錠10の外観の一例を示す正面図である。図7は、ギヤ16に設けられた磁石16aと、磁石16aが発する磁界を検知する磁気センサ17bとの位置関係の一例を示す図である。例えば、図5及び図6に示すネジ穴10dにネジ10cが係合することで、ケーシング10a及びケーシング10bが連結される。
図5、図6及び図7の例に示すように、電子錠10は、モータ11、ウォーム(ネジ歯車)12、ウォームホイール(はす歯歯車)13、ギヤ14、ギヤ15、ギヤ16、センサ基板17、磁気センサ17a及び磁気センサ17bを備える。ウォーム12、ウォームホイール13、ギヤ14、ギヤ15及びギヤ16を含むギヤ群(ギヤユニット)は、モータ11により発生された駆動力を施錠機構3に伝達する。
モータ11は、施錠機構3を駆動させる駆動力を発生する。モータ11の回転軸には、ウォーム12が設けられる。ウォームホイール13は、同一回転軸周りを回転する2つのギヤを有する。ウォーム12と、ウォームホイール13が有する2つのギヤのうち、一方のギヤとが噛み合っている。また、ウォームホイール13が有する2つのギヤのうち、他方のギヤと、ギヤ14とが噛み合っている。すなわち、モータ11により発生された駆動力は、ウォーム12からウォームホイール13に伝達され、ウォームホイール13からギヤ14に伝達される。
ここで、ギヤ14及びギヤ15の一例について説明する。図8は、ギヤ14及びギヤ15の一例について説明するための図である。ギヤ14及びギヤ15のペアは、互いに空回り可能な空回り(空転)機構となる。図8の例に示すように、ギヤ14は、所定の面に突起部14aを備える。また、ギヤ14は、磁石14bを備える。磁石14bは、磁界を発生する。
また、ギヤ15は、所定の面に、周方向に溝15aが形成される。溝15aは、突起部14aと係合することが可能である。本実施形態では、ギヤ14の突起部14aと、ギヤ15の溝15aとを係合させて、ギヤ14及びギヤ15を1つの空回り機構とする。ギヤ14及びギヤ15を1つの空回り機構としたとき、突起部14aは、ギヤ14のギヤ15側の面に突出する。また、ギヤ14及びギヤ15を1つの空回り機構としたとき、溝15aは、ギヤ15のギヤ14側の面に形成される。また、ギヤ14及びギヤ15を1つの空回り機構としたとき、溝15aに沿って突起部14aが移動可能である。したがって、ギヤ13から伝達された駆動力を受けてギヤ14が回転しても、突起部14aがギヤ15の溝の終端部15eの1つの側面である当接面15c又は他の側面である当接面15dに当接するまでは、ギヤ15は回転しない。すなわち、ギヤ14は、突起部14aが当接面15c又は当接面15dに当接するまでは、空回りする。
そして、突起部14aが当接面15c又は当接面15dに当接した後は、ギヤ14の回転により突起部14aが当接面15c又は当接面15dをギヤ14が回転する方向に押すので、ギヤ14の回転に連動してギヤ15も回転する。このようにして、ギヤ14からギヤ15へ駆動力が伝達される。ここで、本実施形態では、突起部14aが溝15aの周方向における中央部15b近辺に位置している状態において、操作者が、つまみ3bを所定の回転角度(例えば90度)回転させて、解錠及び施錠のいずれを行う場合であっても、突起部14aが当接面15c及び当接面15dに当接しないように構成されている。例えば、つまみ3bを所定の回転角度(例えば90度)回転させて、解錠及び施錠のいずれを行う場合であっても、ギヤ3e、14〜16の歯数、部分3dの歯数や、溝15aの周方向の長さ等が、突起部14aが当接面15c及び当接面15dに当接しないような値となっている。
図5及び図6の説明に戻り、ギヤ15とギヤ16とは噛み合っている。ギヤ15から駆動力がギヤ16に伝達される。図6に示すように、ギヤ16は、所定の位置に磁石16aを備えている。磁石16aは、磁界を発生する。
センサ基板17は、磁気センサ17a、17bが実装され、磁気センサ17a、17bの信号を後述する外部の制御装置70に送信する。磁気センサ17a、17bは、例えば、ホールICを含んで構成される。図9は、外部の制御装置70及び電子錠10のブロック図である。図9の例に示すように、電子錠10は、モータ11、ギヤユニット12〜16及び磁気センサ17a、17bを備えている。なお、ここでいうギヤユニット12〜16は、符号「12」〜「16」が示す複数のギヤから構成される単なるギヤ群を指し、電子錠10を指すギヤユニットとは異なる。外部の制御装置70は、磁気センサ17a、17b及びモータ11に接続されている。外部の制御装置70は、磁気センサ17a、17bから出力された信号(出力信号)に応じて、モータ11を駆動させる。このようにしてモータ11が駆動された結果、ギヤユニット12〜16を介して駆動力が施錠機構3に伝達され、施錠機構3によるドア1の施錠及び解錠が行われる。外部の制御装置70は、所定の回路の一例である。なお、所定の回路は、ケーシング10a及びケーシング10b内に設けられてもよい。
例えば、外部の認証装置(図示しない)が、操作者のICカードの接触又は近接による操作者の認証、又は、パスワード等の入力による操作者の認証を行った場合には、その旨を外部の制御装置70に送信する。なお、外部の認証装置の一例としては、例えば、スマートフォンが挙げられる。この場合、スマートフォンが認証機能を有するアプリケーションを実行することにより、操作者の認証を行う。
外部の制御装置70は、認証された旨を受信すると、所定の回転方向に所定量だけ回転するようにモータ11を駆動して、ギヤユニット12〜16を介して、施錠機構3に駆動力を伝達することにより、ドア1を解錠する。そして、外部の制御装置70は、ドア1を解錠させてから所定時間が経過した場合には、先の所定の回転の方向とは逆の方向に所定量だけ回転するようにモータ11を駆動して、ギヤユニット12〜16を介して、施錠機構3に駆動力を伝達することにより、ドア1を施錠する。
図6の例に示す磁気センサ17a及び磁気センサ17bは、ギヤ14とギヤ16、ひいてはギヤ14とギヤ15とのペアの相対的な位置関係を検出して検出結果を示す信号を外部の制御装置70に出力する。例えば、磁気センサ17aは、ギヤ14の磁石14bの磁界の大きさを検出する。そして、磁気センサ17aは、検出した磁界の大きさに応じて、外部の制御装置70へ出力される出力信号の電圧値を変化させる。
また、磁気センサ17bは、ギヤ16の磁石16aの磁界の大きさを検出する。そして、磁気センサ17bは、検出した磁界の大きさに応じて、外部の制御装置70へ出力される出力信号の電圧値を変化させる。磁気センサ17a及び磁気センサ17bは、検出部の一例である。
外部の制御装置70及び磁気センサ17a、17bは、位置制御部の一例である。外部の制御装置70及び磁気センサ17a、17bは、被駆動部である施錠機構3から伝達された力により少なくとも所定の回転角度分、ギヤ14とギヤ15のペアが空回り可能なように、このペアの相対的な位置関係を所定の位置関係にさせる。なお、所定の位置関係とは、突起部14aが溝15aの所定の位置に位置するような関係である。ここで、所定の位置とは、例えば、中央部15b近辺の位置である。
ここで、モータ11や外部の制御装置70は、図示しない電源からの電力の供給を受けて動作可能となる。そのため、停電時などには、モータ11や外部の制御装置70が動作しないため、電子錠10によるドア1の解錠及び施錠ができなくなる。この場合には、操作者が、つまみ3bを回転させてドア1の解錠や施錠を行う。なお、停電時でなくとも、操作者が手動で施錠又は解錠をする場合にも、つまみ3bを回転させてドア1の解錠や施錠を行う。ここで、つまみ3bが回転されると、つまみ3bに加えられた力が、ギヤ3eからギヤ16に伝達され、ギヤ16からギヤ15に伝達される。
ギヤ16からギヤ15に力が伝達された際に、突起部14aが図7に示す溝15aの周方向における中央部15b近辺に位置している状態であれば、操作者が、つまみ3bを所定の回転角度(例えば90度)回転させて、解錠及び施錠のいずれを行う場合であっても、突起部14aが当接面15c及び当接面15dに当接しないように構成されているため、ギヤ15が空回りすることになる。このため、力がモータ11に伝達されないので、操作者は、被駆動部である施錠機構3を容易に駆動させて、ドア1の解錠又は施錠を容易に行うことができる。
しかしながら、ギヤ16からギヤ15に力が伝達された際に、突起部14aが、例えば、当接面15cや当接面15dに当接している場合には、解錠及び施錠のいずれかを行うと、突起部14aが当接面15c又は当接面15dに当接しているため、ギヤ15が空回りしなくなってしまう。このため、力がモータ11に伝達されてしまうので、操作者は、被駆動部である施錠機構3を容易に駆動させることができない。
そこで、外部の制御装置70は、モータ11により施錠機構3を駆動させる駆動力が発生していないタイミングで、突起部14aを中央部15b近辺に位置させるイニシャライズを実行する。
図10、図12〜図14は、第1の実施形態に係るイニシャライズの実行時のタイミングチャートの一例を示す図である。図10、図12〜図14の例に示す「センサA(出力側)」に磁気センサ17bが対応し、「センサB(モータ側)」に磁気センサ17aが対応する。以下、同様である。
図10のタイミングチャートは、外部の制御装置70が、磁気センサ17a及び磁気センサ17bの両方のセンサから出力がない(両方の磁気センサ17a、17bからの出力信号が「0」を示す)と判定した場合を示す。図11Aは、第1の実施形態に係るイニシャライズを説明するための図であり、図11B〜図11Eは、突起部14aと終端部15eとの位置関係の一例を示す図である。ここで、図11Aの例に示すように、第1の実施形態に係るイニシャライズでは、終端部15eを所定の正規の位置αに位置させるとともに、突起部14aを中央部15b近辺に位置させる。ここで、正規の位置αとは、例えば、磁気センサ17aに磁石14bが近づいて、磁気センサ17aからの出力信号が「1」又は「−1」を示す状態となる場合のギヤ14の突起部14aに対して、溝15aの周方向に180度分だけ離れた位置を指す。
図11Bの例に示すような場合には、突起部14aは、先の図8の例に示す中央部15bから離れており、かつ、終端部15eも図11Aに示す正規の位置αから離れている。このような場合、図10の例に示すように、外部の制御装置70は、「開始」のタイミングで、CW(clockwise:時計回り)方向にモータ11を回転させる。そして、外部の制御装置70は、磁気センサ17bからの出力信号が「1」に立ち上がったタイミングで、CCW(counterclockwise:反時計回り)方向にモータ11を回転させる。つまり、外部の制御装置70は、終端部15eが正規の位置αに達し、終端部15eのイニシャライズが完了したタイミングで、モータ11を逆回転させる。ここで、磁気センサ17a、17bは、磁石14b、16aのN極に近づいた時に「1」、S極に近づいた時に「−1」を出力する。なお、磁気センサ17a、17bは、磁石14b、16aのS極に近づいた時に「1」、N極に近づいた時に「−1」を出力してもよい。また、磁気センサ17bからの出力信号が「1」に立ち上がったタイミングでは、図11Cの例に示すように、突起部14aは、終端部15e(終端部15eの側面である当接面15d)に接触している。そして、CCW方向にモータ11が回転されると、図11Dの例に示すように、突起部14aは、当接面14dから中央部15bに向かって溝15aに沿って移動する。そして、外部の制御装置70は、磁気センサ17aからの出力信号が「1」に立ち上がったタイミング(「終了」のタイミング)でモータ11の回転を停止させる。なお、磁気センサ17aからの出力信号が「1」に立ち上がったタイミングでは、図11Eの例に示すように、終端部15eは、正規の位置αに位置し、突起部14aは、中央部15近辺に位置している。すなわち、外部の制御装置70は、突起部14aが中央部15b近辺に位置したタイミングでモータ11の回転を停止させる。これにより、終端部15eを正規の位置αに位置させ、かつ、突起部14aを中央部15b近辺に位置させることができる。
図12のタイミングチャートは、外部の制御装置70が、磁気センサ17a及び磁気センサ17bのうち、磁気センサ17bから出力がある(磁気センサ17bからの出力信号が「−1」を示す)と判定した場合を示す。このように判定された場合、終端部15eは、正規の位置αに位置し、突起部14aは、溝15aの周方向において、終端部15eの側面である当接面15dよりも当接面15cに近い位置に位置している。図12の例に示すように、外部の制御装置70は、「開始」のタイミングで、CW方向にモータ11を回転させる。CW方向にモータ11を回転させることで、突起部14aは、当接面15cに近い位置から中央部15bに向かって溝15aに沿って移動する。そして、外部の制御装置70は、磁気センサ17aからの出力信号が「1」に立ち上がったタイミング(「終了」のタイミング)でモータ11の回転を停止させる。なお、磁気センサ17aからの出力信号が「1」に立ち上がったタイミングでは、図11Eを参照して上述したように、終端部15eは、正規の位置αに位置し、突起部14aは、中央部15近辺に位置している。すなわち、外部の制御装置70は、終端部15eが正規の位置αに位置し、かつ、突起部14aが中央部15b近辺に位置したタイミングでモータ11の回転を停止させる。これにより、終端部15eを正規の位置αに位置させ、かつ、突起部14aを中央部15b近辺に位置させることができる。
図13のタイミングチャートは、外部の制御装置70が、磁気センサ17a及び磁気センサ17bのうち、磁気センサ17bから出力がある(磁気センサ17bからの出力信号が「1」を示す)と判定した場合を示す。このように判定された場合、終端部15eは、正規の位置αに位置し、突起部14aは、溝15aの周方向において、終端部15eの側面である当接面15cよりも当接面15dに近い位置に位置している。図13の例に示すように、外部の制御装置70は、「開始」のタイミングで、CCW方向にモータ11を回転させる。CCW方向にモータ11を回転させることで、突起部14aは、当接面15dに近い位置から中央部15bに向かって溝15aに沿って移動する。そして、外部の制御装置70は、磁気センサ17aからの出力信号が「1」に立ち上がったタイミング(「終了」のタイミング)でモータ11の回転を停止させる。なお、磁気センサ17aからの出力信号が「1」に立ち上がったタイミングでは、図11Eを参照して上述したように、終端部15eは、正規の位置αに位置し、突起部14aは、中央部15近辺に位置している。すなわち、外部の制御装置70は、終端部15eが正規の位置αに位置し、かつ、突起部14aが中央部15b近辺に位置したタイミングでモータ11の回転を停止させる。これにより、終端部15eを正規の位置αに位置させ、かつ、突起部14aを中央部15b近辺に位置させることができる。
なお、図14のタイミングチャートが示すように、外部の制御装置70が磁気センサ17a及び磁気センサ17bから出力がある(2つの磁気センサ17a、17bからの出力信号が「1」を示す)と判定した場合には、終端部15eが正規の位置αに位置し、かつ、突起部14aが中央部15b近辺に位置しているため、イニシャライズを実行しない。同様に、外部の制御装置70が、磁気センサ17aからの出力信号が「1」を示し、磁気センサ17bからの出力信号が「−1」を示すと判定した場合にも、終端部15eが正規の位置αに位置し、かつ、突起部14aが中央部15b近辺に位置しているため、イニシャライズを実行しない。
上述したように、第1の実施形態によれば、イニシャライズにより、突起部14aが中央部15b近辺に位置するので、操作者に、被駆動部である施錠機構3を容易に駆動させることができる。
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態では、最終ギヤであるギヤ16の磁石16aの磁界を検出する磁気センサが、1つの磁気センサ17bである場合について説明した。しかしながら、磁石16aの磁界を検出する磁気センサの数は、複数であってもよい。そこで、このような実施形態を第2の実施形態として説明する。
以下の説明では、2つの磁気センサが磁石16aの磁界を検出する場合について説明する。2つの磁気センサは、センサ基板17のギヤ16側の面に設けられている。2つの磁気センサのうち、一方の磁気センサは、終端部15eが正規の位置αに位置し、かつ、突起部14aが中央部15b近辺に位置している場合の当接面15d上に位置し、他方の磁気センサは、終端部15eが正規の位置αに位置し、かつ、突起部14aが中央部15b近辺に位置している場合の当接面15c上に位置する。例えば、上述した一方の磁気センサから出力される「1」を示す出力信号が、上述した第1の実施形態における磁気センサ17bから出力される「1」を示す出力信号に対応する。また、上述した他方の磁気センサから出力される「1」を示す出力信号が、上述した第1の実施形態における磁気センサ17bから出力される「−1」を示す出力信号に対応する。
図15〜図17は、第2の実施形態に係るイニシャライズの実行時のタイミングチャートの一例を示す図である。図15〜図17の例に示す「センサA1(CW出力側)」に上述した一方の磁気センサが対応し、「センサA2(CCW出力側)」に上述した他方の磁気センサが対応し、「センサB(モータ側)」に磁気センサ17aが対応する。以下、同様である。
図15のタイミングチャートは、外部の制御装置70が、上述した一方の磁気センサからの出力信号が「1」を示すと判定した場合を示す。このように判定された場合、終端部15eは、正規の位置αに位置し、突起部14aは、溝15aの周方向において、終端部15eの側面である当接面15cよりも当接面15dに近い位置に位置している。図15の例に示すように、外部の制御装置70は、「開始」のタイミングで、CCW方向にモータ11を回転させる。CCW方向にモータ11を回転させることで、突起部14aは、当接面15dに近い位置から中央部15bに向かって溝15aに沿って移動する。そして、外部の制御装置70は、磁気センサ17aからの出力信号が「1」に立ち上がったタイミング(「終了」のタイミング)でモータ11の回転を停止させる。なお、磁気センサ17aからの出力信号が「1」に立ち上がったタイミングでは、図11Eを参照して上述したように、終端部15eは、正規の位置αに位置し、突起部14aは、中央部15近辺に位置している。すなわち、外部の制御装置70は、終端部15eが正規の位置αに位置し、かつ、突起部14aが中央部15b近辺に位置したタイミングでモータ11の回転を停止させる。これにより、終端部15eを正規の位置αに位置させ、かつ、突起部14aを中央部15b近辺に位置させることができる。
図16のタイミングチャートは、外部の制御装置70が、上述した他方の磁気センサからの出力信号が「1」を示すと判定した場合を示す。このように判定された場合、終端部15eは、正規の位置αに位置し、突起部14aは、溝15aの周方向において、終端部15eの側面である当接面15dよりも当接面15cに近い位置に位置している。図16の例に示すように、外部の制御装置70は、「開始」のタイミングで、CW方向にモータ11を回転させる。CW方向にモータ11を回転させることで、突起部14aは、当接面15cに近い位置から中央部15bに向かって溝15aに沿って移動する。そして、外部の制御装置70は、磁気センサ17aからの出力信号が「1」に立ち上がったタイミング(「終了」のタイミング)でモータ11の回転を停止させる。なお、磁気センサ17aからの出力信号が「1」に立ち上がったタイミングでは、図11Eを参照して上述したように、終端部15eは、正規の位置αに位置し、突起部14aは、中央部15近辺に位置している。すなわち、外部の制御装置70は、終端部15eが正規の位置αに位置し、かつ、突起部14aが中央部15b近辺に位置したタイミングでモータ11の回転を停止させる。これにより、終端部15eを正規の位置αに位置させ、かつ、突起部14aを中央部15b近辺に位置させることができる。
なお、図17のタイミングチャートが示すように、外部の制御装置70が、上述した一方の磁気センサからの出力信号が「1」を示すと判定し、磁気センサ17aからの出力信号が「1」を示すと判定した場合には、終端部15eが正規の位置αに位置し、かつ、突起部14aが中央部15b近辺に位置しているため、外部の制御装置70は、イニシャライズを実行しない。同様に、外部の制御装置70が、上述した他方の磁気センサからの出力信号が「1」を示し、磁気センサ17aからの出力信号が「1」を示すと判定した場合にも、終端部15eが正規の位置αに位置し、かつ、突起部14aが中央部15b近辺に位置しているため、イニシャライズを実行しない。
上述したように、第2の実施形態においても、イニシャライズにより、突起部14aが中央部15b近辺に位置するので、操作者に、被駆動部である施錠機構3を容易に駆動させることができる。
(第3の実施形態)
上述した第1の実施形態では、2つの磁気センサ17a及び磁気センサ17bを用いる場合について説明した。しかしながら、磁気センサの数は1つでもよい。そこで、このような実施形態を第3の実施形態として説明する。
まず、磁気センサ17a及び磁気センサ17bのうち、磁気センサ17aを用いる場合について説明する。なお、第3の実施形態に係る外部の制御装置70は、モータ11のモータ電流(モータ電流値)も取得する。図18は、第3の実施形態に係るイニシャライズの実行時のタイミングチャートの一例を示す図である。
図18の例に示すように、外部の制御装置70は、「起動」のタイミングでモータ11をCW方向に回転させることを開始し、モータ電流の値が上昇し、所定の閾値に達したタイミング(「開始」のタイミング)でモータ11を停止させる。なお、このタイミングで、図11Cの例に示すように、終端部15eは、正規の位置αに位置し、突起部14aは、終端部15e(当接面15d)に接触している。そして、外部の制御装置70は、「開始」のタイミングから所定の時間が経過してから、モータ11をCCW方向に回転させる。CCW方向にモータ11が回転されると、図11Dの例に示すように、突起部14aは、当接面15dから中央部15bに向かって溝15aに沿って移動する。そして、外部の制御装置70は、磁気センサ17aからの出力信号が「1」に立ち上がったタイミング(「終了」のタイミング)でモータ11の回転を停止させる。なお、磁気センサ17aからの出力信号が「1」に立ち上がったタイミングでは、図11Eを参照して上述したように、終端部15eは、正規の位置αに位置し、突起部14aは、中央部15近辺に位置している。すなわち、外部の制御装置70は、終端部15eが正規の位置αに位置し、かつ、突起部14aが中央部15b近辺に位置したタイミングでモータ11の回転を停止させる。これにより、終端部15eを正規の位置αに位置させ、かつ、突起部14aを中央部15b近辺に位置させることができる。
以上、図18を参照して、外部の制御装置70が、モータ11をCCW方向に回転させ、磁気センサ17aからの出力信号が「1」に立ち上がったタイミングでモータ11の回転を停止させる場合について説明した。しかしながら、外部の制御装置70は、磁気センサ17a、17bを用いずに、イニシャライズを行ってもよい。例えば、外部の制御装置70は、モータ11をCCW方向に回転させ、CCW方向への回転を開始してから予め定められた時間が経過したタイミングでモータ11の回転を停止させてもよい。ここで、この予め定められた時間は、予め実験により求められた、モータ11がCCW方向へ回転する場合における当接面15dから中央部15b近辺までの突起部14aが移動に要する時間である。すなわち、外部の制御装置70は、図11Eの例に示すように、終端部15eが正規の位置αに位置し、かつ、突起部14aが中央部15b近辺に位置したタイミングでモータ11の回転を停止させる。これにより、磁気センサ17a、17bを用いずに、終端部15eを正規の位置αに位置させ、かつ、突起部14aを中央部15b近辺に位置させることができる。
次に、磁気センサ17a及び磁気センサ17bのうち、磁気センサ17bを用いる場合について説明する。図19は、第3の実施形態に係るイニシャライズの実行時のタイミングチャートの他の例を示す図である。
図19の例に示すように、外部の制御装置70は、「起動」のタイミングでモータ11をCW方向に回転させることを開始する。そして、外部の制御装置70は、磁気センサ17bからの出力信号が「1」に立ち上がったタイミング(「開始」のタイミング)から所定の時間が経過してから、イニシャライズ用に予め定められた時間だけモータ11をCCW方向に回転させた後に停止させる。ここで、磁気センサ17bからの出力信号が「1」に立ち上がったタイミングでは、図11Cを参照して上述したように、終端部15eは、正規の位置αに位置し、突起部14aは、終端部15e(当接面15d)に接触している。そして、CCW方向にモータ11が回転されると、図11Dを参照して上述したように、突起部14aは、当接面15dから中央部15bに向かって溝15aに沿って移動する。そして、CCW方向への回転を開始してから予め定められた時間が経過したタイミングでモータ11の回転を停止させる。ここで、この予め定められた時間は、予め実験により求められた、モータ11がCCW方向へ回転する場合における当接面15dから中央部15b近辺までの突起部14aが移動に要する時間である。すなわち、外部の制御装置70は、図11Eの例に示すように、終端部15eが正規の位置αに位置し、かつ、突起部14aが中央部15b近辺に位置したタイミングでモータ11の回転を停止させる。これにより、終端部15eを正規の位置αに位置させ、かつ、突起部14aを中央部15b近辺に位置させることができる。
上述したように、第3の実施形態においても、イニシャライズにより、突起部14aが中央部15b近辺に位置するので、操作者に、被駆動部である施錠機構3を容易に駆動させることができる。
(第4の実施形態)
なお、ギヤ14とギヤ15とのペアの内部に、終端部15eを正規の位置αに位置させ、かつ、突起部14aを中央部15b近辺に位置させる機械的な弾性体を設けてもよい。弾性体として、バネやゴムなどが挙げられる。例えば、終端部15eが正規の位置αに位置し、かつ、突起部14aが中央部15b近辺に位置している場合に、弾性体をギヤ14とギヤ15とに接続する。例えば、弾性体の反転力が、モータ11の空転トルク(コギングトルクやディテントトルク等)より大きく、かつ、モータ11の駆動トルクよりも小さいことが好ましい。これにより、モータ11により施錠機構3を駆動させる駆動力が発生していないタイミングで、弾性体は、終端部15eが正規の位置αに位置し、かつ、突起部14aが中央部15b近辺に位置するように、ギヤ14及びギヤ15の少なくとも一方を回転させる。なお、弾性体は、位置制御部の一例である。
上述したように、第4の実施形態においても、イニシャライズにより、突起部14aが中央部15b近辺に位置するので、操作者に、被駆動部である施錠機構3を容易に駆動させることができる。
なお、上記の実施形態では、施錠機構3を駆動する場合について説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、自動車の電動式格納ドアミラーに、実施形態の内容を適用してもよい。また、自動で位置を調整するような自動車のリクライニングシートに、実施形態の内容を適用してもよい。また、電動式はさみ等の工具に、本実施形態の内容を適用してもよい。また、モニタの開閉を自動で行うノートPC(Personal Computer)やデスクトップPCに、本実施形態の内容を適用してもよい。
また、上述した各実施形態では、磁気センサを用いた場合について説明したが、角度センサが、ギヤ14、ギヤ15、ギヤ16などの角度を検出し、外部の制御装置70が、検出された角度を用いて、突起部14aを所定の位置に位置させるようにしてもよい。また、光学式センサや機械式センサ(マイクロスイッチ)等、ギヤの回転位置を検出可能な位置センサが、ギヤ14、ギヤ15、ギヤ16などの回転位置を検出し、外部の制御装置70が、検出された回転位置を用いて、突起部14aを所定の位置に位置させるようにしてもよい。
また、上記実施の形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。