JP6290138B2 - ヒダントイン誘導体含有医薬組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、高い代謝安定性を有し、強力なPTH様作用を発揮するヒダントイン誘導体を有効成分とする医薬品に関し、骨及び/又は軟骨同化作用を誘導させ、骨粗鬆症、歯周病における骨量減少、抜歯後の歯槽骨欠損、変形性関節症、関節軟骨欠損、無形成骨症、軟骨無形成症、軟骨低形成症、骨軟化症、骨折などに対する予防、治療、回復および治癒促進ための医薬を提供する。
副甲状腺ホルモン(PTH)は、骨や腎臓の標的細胞に作用して、カルシウム(Ca)およびリン(Pi)ホメオスタシスを調節するホルモンとして知られている(非特許文献1)。PTHによる血清Ca濃度レベルの維持は、主に消化管、骨、および腎臓への直接的または間接的な作用により行われている。PTHは、腎臓尿細管でのCaの再吸収を促進して、生体内Caの体外への排泄を抑制する。また、腎臓においてビタミンDを活性型ビタミンDへ変換する酵素の合成を高めることで、活性型ビタミンDによる消化管からのCa吸収促進に寄与する。また、PTHは骨芽細胞等を介して間接的に破骨細胞の分化を亢進することで、骨からのCa放出を促進する。これらのPTHの作用は、主に、PTH1Rへの結合によるcAMP産生を介した、アデニル酸シクラーゼおよび/またはホスホリパーゼCの受容体による活性化を介して発揮すると考えられている。
PTH製剤 [PTH(1−34)とPTH(1−84)]は、ヒトにおいて強力な骨同化作用を有し、骨密度と骨強度の顕著な上昇を誘導する。現在、ヒトで利用可能な骨粗鬆症治療薬の多くは骨吸収抑制薬であり、積極的に骨密度を上昇させるような骨同化作用を持つ薬は、PTH製剤のみである。このようなことから、PTH製剤は骨粗鬆症治療の最も有効な治療の1つとみなされている(非特許文献2)が、ペプチドであるため、侵襲投与が必要である。そのため、PTH様作用を有し、かつ非侵襲的に投与できる薬剤の創出が期待されている。
変形性関節症は、膝、股関節、脊椎、手指など全身の関節における軟骨の変性・破壊、滑膜炎、軟骨下骨の硬化、骨棘形成および慢性疼痛による関節の機能不全を特徴とする変性性疾患であり、65歳以上の人口の40%以上が罹患するとされており、医療経済学的に大きな負担となっている(非特許文献3、非特許文献4)。変形性関節症の原因は、関節軟骨への物理的過加重、滑膜および骨髄における炎症、軟骨基質成分の遺伝的素因、軟骨下骨の骨代謝亢進などが挙げられているが、関節軟骨の変性・破壊を抑制する治療薬は上市されておらず、医療的ニーズは高いままである。
これまで治療薬の標的として軟骨基質の破壊に関与するアグリカナーゼ(ADAMTS-4, ADAMTS-5など)やマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP-3, MMP-9, MMP-13など、非特許文献5)や炎症性サイトカイン(IL-1, IL-6など、非特許文献6)が注目されてきたが、実用化には至っていない。一方、軟骨下骨の代謝回転亢進を標的とする薬剤(リセドロネート、カルシトニン、非特許文献7、非特許文献8)の臨床治験も行われたが、関節軟骨の変性・破壊を抑制できなかった。また、この機序に加え骨形成促進作用と軟骨形成促進作用を併せ持つラネル酸ストロンチウムの臨床治験において、関節軟骨の破壊を抑制する効果が示されたが(非特許文献9)、実用化には至っていない。
しかしながら、近年の研究により変形性関節症の病理発生に、関節軟骨が永久軟骨から石灰化軟骨に形質転換することが報告され、その抑制が治療薬の標的として注目されるようになった(非特許文献10)。この作用機序に基づき、関節軟骨の最終分化を抑制する複数の機序の薬剤が変形性関節症のモデル動物において、関節軟骨の変性・破壊を抑制することが報告されており、この機序に基づく治療薬の実用化の可能性が示唆されている(非特許文献11、非特許文献12)。
斯かる状況の下、本出願人は、下記一般式(A)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩;
Figure 0006290138
〔式中、W、X、Y、m、n、R、R、R33、R34は特許文献1を参照〕
が、PTH様作用をもつ化合物、好ましくはPTH1Rアゴニスト、として有用であり、骨粗鬆症、骨折、骨軟化症、関節炎、血小板減少症、副甲状腺機能低下症、高リン血症、または腫瘍状石灰沈着症などの予防および/または治療、あるいは幹細胞動員に有用であることを見出して、先に特許出願をした(特許文献1)。
ところで、臨床において価値の高い非侵襲的に投与できる薬剤の創出には、ターゲットに対する直接作用と、薬物の吸収、分布、代謝、排泄等の体内動態を考慮する必要がある。そのためには、ヒトPTH1Rを介するcAMP産生能が強く、かつ、ヒト肝ミクロソームに対する代謝安定性の高いPTH様作用を有する薬剤が望まれる。
国際公開第2010/126030号
Kronenberg, H.M., et al., In Handbook of Experimental Pharmacology, Mundy, G.R., and Martin, T.J., (eds), pp.185-201, Springer-Verlag, Heidelberg (1993) Tashjian and Gagel, J. Bone Miner. Res. 21:354-365 (2006) Sem Arth Rheumatism 2013; 43: 303-13 CPMP/EWP/784/97 Rev. 1. 2010, European Medicines Agency Osteoarth Cart 2010; 18: 1109-1116 Osteoarth Cart 2013; 21: 16-21 Arthritis Rheum. 2006;54(11):3494-507 J Clin Pharmacol. 2011;51(4):460-71 Ann Rheum Dis. 2013 Feb;72(2):179-86 Arth Rheum 2006; 54(8): 2462-2470 Nat Med 2009; 15(12): 1421-1426 Sci Trans Med 2011;3: 101ra93
本発明は、高い代謝安定性を有し、強力なPTH様作用を発揮するヒダントイン誘導体を非侵襲的に全身曝露または局所暴露させることで骨・軟骨同化作用を誘導させ、骨粗鬆症、歯周病における骨量減少、抜歯後の歯槽骨欠損、変形性関節症、関節軟骨欠損、無形成骨症、軟骨無形成症、軟骨低形成症、骨軟化症、骨折などに対する予防、治療、回復および治癒促進方法を提供することである。
斯かる状況の下、本発明者らは、研究を重ねた結果、新たに見出された本発明のヒダントイン誘導体が、ヒトPTH1Rを強制発現させた細胞において強いcAMP産生能を示し、かつ、ヒト肝ミクロソームの代謝に対して高い安定性を有していることを見出した。また、本発明者らは、本発明の化合物を投与することで、骨・軟骨同化作用を誘導し、骨粗鬆症、歯周病における骨量減少、抜歯後の歯槽骨欠損、変形性関節症、関節軟骨欠損、無形成骨症、軟骨無形成症、軟骨低形成症、骨軟化症、骨折などに対する予防、治療、回復および治癒促進するための医薬組成物として有用であることを見出した。
すなわち、本発明は、以下に関する。
〔1〕下記一般式(1)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含む、骨及び/又は軟骨同化作用を誘導するための医薬組成物;
Figure 0006290138
〔式中、
R1およびR2は、R1とR2が共に水素原子ではないとの条件の下、それぞれ独立して
1)水素原子、
2)ハロゲン原子、
3)1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜2個のアルキル基、または
4)1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜2個のアルコキシ基
であるか;または、
R1およびR2は、互いに結合して形成される下記式:
Figure 0006290138
(式中の各*はフェニル部分との結合位置を示す。)で表わされる基であり;
かつ、R3およびR4は、それぞれ独立して1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよいメチル基であるか;または、
R3およびR4は、それらが結合する炭素原子と一緒になって炭素数3〜6の環(ここで、環を形成する炭素原子のうち一つは酸素原子;硫黄原子;またはメチル基で置換されていてもよい窒素原子で置換されていてもよい。)を形成する。〕。
本発明の医薬組成物に有効成分として含まれる化合物は、前記一般式(1)で表される化合物から、R1とR2の組み合わせがトリフルオロメチル基と水素原子であり、かつR3およびR4は、それらが結合する炭素原子と一緒になってシクロペンチル環を形成する化合物を除外することができる。
〔2〕前記一般式(1)で表わされる化合物またはその薬学的に許容される塩の、R1およびR2が以下の組み合わせから選択され:
1)R1が水素原子、またはハロゲン原子であり、かつR2が水素原子、トリフルオロメチル基、またはトリフルオロメトキシ基である(但し、R1とR2が共に水素原子となる場合を除く);
2)R1がトリフルオロメチル基、またはトリフルオロメトキシ基であり、かつR2が水素原子、またはハロゲン原子である;
3)R1およびR2が互いに結合して形成される下記式:
Figure 0006290138
(式中の各*はフェニル部分との結合位置を示す。)で表わされる基である;
かつ、R3およびR4が、メチル基であるか;または、
R3およびR4がそれらが結合する炭素原子と一緒になって以下から選択される環:
Figure 0006290138
(式中の*はイミダゾリジン−2,4−ジオン部分との結合位置を示す。)を形成する、〔1〕記載の医薬組成物。
〔3〕前記一般式(1)で表わされる化合物またはその薬学的に許容される塩の、R1、R2が以下の組み合わせから選択され:
1)R1がトリフルオロメトキシ基であり、かつR2がフッ素原子である;
2)R1が臭素原子であり、かつR2が水素原子である;
3)R1がトリフルオロメチル基であり、かつR2がフッ素原子である;
4)R1がフッ素原子であり、かつR2がトリフルオロメトキシ基である;
5)R1がトリフルオロメチル基であり、かつR2が水素原子である;
6)R1が水素原子であり、かつR2がトリフルオロメトキシ基である;
7)R1、R2は互いに結合して形成される下記式:
Figure 0006290138
(式中の各*はフェニル部分との結合位置を示す。)で表わされる基である;
かつ、R3およびR4がメチル基であるか;または、
R3およびR4がそれらが結合する炭素原子と一緒になって以下から選択される環:
Figure 0006290138
(式中の*はイミダゾリジン−2,4−ジオン部分との結合位置を示す。)を形成する、〔1〕記載の医薬組成物。
〔4〕前記一般式(1)で表わされる化合物またはその薬学的に許容される塩の、R3およびR4がメチル基である、〔1〕記載の医薬組成物。
〔5〕前記一般式(1)で表わされる化合物またはその薬学的に許容される塩の、R3およびR4がそれらが結合する炭素原子と一緒になって以下から選択される環:
Figure 0006290138
(式中の*はイミダゾリジン−2,4−ジオン部分との結合位置を示す。)を形成する、〔1〕記載の医薬組成物。
〔6〕以下からなる群より選択される化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含む、〔1〕記載の医薬組成物:
1−(4−(2−((2−(4−フルオロ−3−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−4−オキソ−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)−3,5−ジメチルフェニル)−5,5−ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオン;
1−(4−(2−((2−(3−ブロモフェニル)−4−オキソ−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)−3,5−ジメチルフェニル)−5,5−ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオン:
1−(4−(2−((2−(4−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−4−オキソ−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)−3,5−ジメチルフェニル)−5,5−ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオン;
1−(4−(2−((2−(3−フルオロ−4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−4−オキソ−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)−3,5−ジメチルフェニル)−5,5−ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオン;
1−(4−(2−((2−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−4−オキソ−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)−3,5−ジメチルフェニル)−5,5−ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオン;
1−(3,5−ジメチル−4−(2−((4−オキソ−2−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)フェニル)−5,5−ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオン;
1−(3,5−ジメチル−4−(2−((4−オキソ−2−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)フェニル)−5,5−ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオン):
1−(3,5−ジメチル−4−(2−((4−オキソ−2−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)フェニル)−1,3−ジアザスピロ[4.4]ノナン−2,4−ジオン;
1−(3,5−ジメチル−4−(2−((4−オキソ−2−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)フェニル)−8−メチル−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン;
5−(3,5−ジメチル−4−(2−((4−オキソ−2−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)フェニル)−2−オキサ−5,7−ジアザスピロ[3.4]オクタン−6,8−ジオン;および
4−(3,5−ジメチル−4−(2−((4−オキソ−2−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)フェニル)−4,6−ジアザスピロ[2.4]ヘプタン−5,7−ジオン。
〔7〕化合物が1−(3,5−ジメチル−4−(2−((4−オキソ−2−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)フェニル)−5,5−ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオンまたはその薬理学的に許容される塩である、〔1〕記載の医薬組成物。
〔8〕化合物が1−(3,5−ジメチル−4−(2−((4−オキソ−2−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)フェニル)−5,5−ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオンまたはその薬理学的に許容される塩である、〔1〕記載の医薬組成物。
〔9〕化合物が1−(3,5−ジメチル−4−(2−((4−オキソ−2−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)フェニル)−1,3−ジアザスピロ[4.4]ノナン−2,4−ジオンまたはその薬理学的に許容される塩である、〔1〕記載の医薬組成物。
〔10〕医薬組成物が、骨粗鬆症の予防又は治療、歯周病における骨量減少の改善、抜歯後の歯槽骨欠損の回復促進、変形性関節症の予防又は治療、関節軟骨欠損の回復促進、無形成骨症の予防又は治療、軟骨無形成症の予防又は治療、軟骨低形成症の予防又は治療、骨軟化症の予防又は治療、或いは、骨折の回復促進用である、〔1〕に記載の医薬組成物。
〔11〕〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩の医薬的に有効な量を、骨粗鬆症の予防又は治療、歯周病における骨量減少の改善、抜歯後の歯槽骨欠損の回復促進、変形性関節症の予防又は治療、関節軟骨欠損の回復促進、無形成骨症の予防又は治療、軟骨無形成症の予防又は治療、軟骨低形成症の予防又は治療、骨軟化症の予防又は治療、或いは、骨折の回復促進を必要とする患者に投与することを含む、骨及び/又は軟骨同化作用の誘導方法。
〔12〕骨及び/又は軟骨同化作用の誘導方法が、骨粗鬆症の予防又は治療方法、歯周病における骨量減少の改善方法、抜歯後の歯槽骨欠損の回復促進方法、変形性関節症の予防又は治療方法、関節軟骨欠損の回復促進方法、無形成骨症の予防又は治療方法、軟骨無形成症の予防又は治療方法、軟骨低形成症の予防又は治療方法、骨軟化症の予防又は治療方法、或いは、骨折の回復促進方法である、〔11〕記載の方法。
〔13〕骨粗鬆症の予防又は治療、歯周病における骨量減少の改善、抜歯後の歯槽骨欠損の回復促進、変形性関節症の予防又は治療、関節軟骨欠損の回復促進、無形成骨症の予防又は治療、軟骨無形成症の予防又は治療、軟骨低形成症の予防又は治療、骨軟化症の予防又は治療、或いは、骨折の回復促進のための医薬組成物を製造するための、〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩の使用。
〔14〕骨及び/又は軟骨同化作用を誘導するための医薬組成物を製造するための、〔1〕から〔9〕のいずれかに記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩の使用。
〔15〕骨粗鬆症の予防又は治療、歯周病における骨量減少の改善、抜歯後の歯槽骨欠損の回復促進、変形性関節症の予防又は治療、関節軟骨欠損の回復促進、無形成骨症の予防又は治療、軟骨無形成症の予防又は治療、軟骨低形成症の予防又は治療、骨軟化症の予防又は治療、或いは、骨折の回復促進において使用するための、〔1〕から〔9〕のいずれかに記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩。
また、本発明は一般式(1)または薬学的に許容される塩を投与することによる、骨及び/又は軟骨同化作用により予防、治療及び/又は回復されうる病態の処置方法を提供するものである。
本発明によって、強いPTH様作用を有し、かつ、高い代謝安定性を有するヒダントイン誘導体を用いることにより、骨及び/又は軟骨同化が誘導され、骨粗鬆症、歯周病における骨量減少、抜歯後の歯槽骨欠損、変形性関節症、関節軟骨欠損、無形成骨症、軟骨無形成症、軟骨低形成症、骨軟化症、骨折などに対する予防、治療、回復及び/又は治癒促進が可能となる。
卵巣摘出ラットへの6週間反復投与における腰椎および大腿骨の骨密度を示す図。すなわち、卵巣摘出ラットへvehicle、化合物7又はhPTH(1-34)を6週間1日1回反復投与した場合の腰椎および大腿骨の骨密度を二重X線骨塩量測定装置を用いて測定した結果を示す図である。 正常ラットへの4週間反復投与における腰椎および下腿骨の骨密度を示す図。すなわち、正常ラットへvehicle、化合物7又はhPTH(1-34)を4週間1日1回反復投与した場合における腰椎および下腿骨の骨密度を二重X線骨塩量測定装置を用いて測定した結果を示す図である。 正常ラットへの4週間反復投与における下顎骨の骨密度を示す図。すなわち、正常ラットへvehicle、化合物7又はhPTH(1-34)を4週間1日1回反復投与した場合の下顎骨の骨密度を二重X線骨塩量測定装置を用いて測定した結果を示す図である。 ウサギ下腿骨関節軟骨細胞の最終分化に対する化合物7の抑制作用を示す図。すなわち、ウサギ下腿骨関節軟骨細胞の最終分化に対する、化合物7及びhPTH(1-34)の抑制作用を、アルカリホスファターゼ染色(A)、アリザリンレッドS染色(B)によって評価した結果を示す図である。 ヒト軟骨細胞におけるプロテオグリカン合成量を示す図。すなわち、ヒト軟骨細胞におけるプロテオグリカン合成に対する、化合物7及びhPTH(1-34)の促進作用を評価した結果を示す図である。 ウサギ半月板部分切除モデルの下腿骨関節軟骨の病変部面積割合を示す図。すなわち、ウサギ半月板部分切除モデルの関節内にvehicle又は化合物7を持続投与した場合の下腿骨関節軟骨の病変部面積割合を測定した結果を示す図である。 ウサギ半月板部分切除モデルの下腿骨関節軟骨の術後2週間での肉眼的変化を示す図。すなわち、ウサギ半月板部分切除モデルの関節内にvehicle又は化合物7を持続投与した場合の術後2週間での下腿骨関節軟骨の変化を肉眼的に観察した結果を示す図である。 正常ラットへの4週間反復経口投与後の代表例の大腿骨遠位端関節軟骨の組織画像を示す図。すなわち、正常ラットへvehicle又は化合物7を4週間1日1回反復経口投与した後、代表例の大腿骨遠位端関節軟骨を光学顕微鏡にて病理組織学的に観察した結果を示す図である。 TPTXラットモデルに30mg/kgの用量で経口投与したときの、各化合物の投与後24時間までの血清Ca濃度平均変化量を示す図である。 成熟齢の卵巣摘出ラットへVehicle、化合物7又はhPTH(1−34)を3カ月間1日1回反復投与した場合の腰椎および大腿骨の骨密度を二重X線骨塩量測定装置により測定した結果を示す図である。 ウサギ半月板部分切除モデルの関節内へVehicle又は化合物7を投与して4週間後の膝関節軟骨の変化を組織学的に評価した結果を示す図である。
本発明は、高い代謝安定性を有し、強力なPTH様作用を発揮するヒダントイン誘導体およびその利用に関する。本発明者らは、前記式(1)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩を合成し、該化合物またはその塩が、骨及び/又は軟骨同化作用を誘導することを見出した。
本明細書における「アルキル」は、脂肪族炭化水素から任意の水素原子を1個除いて誘導される1価の基であり、骨格中にヘテロ原子または不飽和炭素−炭素結合を含有せず、水素および炭素原子を含有するヒドロカルビルまたは炭化水素基構造の部分集合を有する。アルキル基は直鎖状および分枝鎖状の構造を含む。アルキル基としては、好ましくは炭素原子数1又は2のアルキル基である。アルキルとしては、具体的にはメチル基、エチル基が挙げられ、好ましくはメチル基である。
本明細書における「アルコキシ」は、前記定義の「アルキル」が結合したオキシ基であることを意味し、好ましくは炭素原子数1又は2のアルコキシ基である。具体的には例えば、メトキシ基、エトキシ基が挙げられ、好ましくはメトキシ基である。
本明細書において、「Aで置換されていてもよいB」とは、B中の任意の水素原子が任意の数のAで置換されていてもよいことを示す。
また、本発明においては、置換基の数は特に断りのない限り限定されないが、たとえば、置換基の数は、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1〜2個あるいは1個などである場合が挙げられる。
本明細書における「ハロゲン原子」は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を意味する。
本明細書において、化学式中の「*」は、結合位置を意味する。
本発明の前記式(1)で表わされる化合物は、強いPTH様作用を有し、かつ、高い代謝安定性を有する。
本明細書における「PTH様作用」とは、PTH受容体に作用して、あるいはPTH受容体を介したシグナル伝達系に作用して、細胞内cAMP(cAMP:環状アデノシン一リン酸)を産生させる活性を意味する。
本発明において「強いPTH様作用」、「PTH様作用が強い」或いは「強力なPTH様作用を有する」かどうかは、例えば、J. Bone.Miner. Res. 14:11-20, 1999に記載の方法に従って、cAMPシグナル伝達解析を行い、cAMPシグナル活性を測定することで確認することができる。具体的には、例えば、参考試験例1に記載の方法に従って、ヒトPTH1Rを強制発現させた細胞におけるcAMP産生量を、市販のcAMP EIAキット(例えば、Biotrack cAMP EIA system, GE health care)を用いて、ヒトPTH(1−34)を100nM投与したときのcAMPシグナル活性を100%として、各化合物が20%cAMPシグナル活性を示す濃度(EC20)或いは50%cAMPシグナル活性を示す濃度(EC50)を測定する。本発明における「強いPTH様作用」或いは「PTH様作用が強い」は、例えば、上記の方法によって測定されたEC20の値(μM)が5.0以下であることが好ましく、3.0以下であることがより好ましく、2.0以下であることが更に好ましい。EC50の場合、例えば、上記の方法によって測定された値(μM)が、25.0以下であることが好ましく、15.0以下であることがより好ましく、10.0以下であることが更に好ましい。
また、「高い代謝安定性」或いは「代謝安定性が高い」かどうかは、一般的な測定方法を用いて確認することができる。例えば、肝細胞、小腸細胞、肝ミクロソーム、小腸ミクロソーム、肝S9等を用いて確認することができる。具体的には、例えば、肝ミクロソーム中の化合物の安定性をT Kronbach らの文献(Oxidation of midazolam and triazolam by human liver cytochrome P450IIIA4. Mol. Pharmacol, 1989, 36(1), 89-96)の記載に従って測定することで確認することができる。より具体的には、参考試験例3に記載の方法に従って確認することができる。本発明の「高い代謝安定性」或いは「代謝安定性が高い」は、例えば、上記参考試験例に記載のヒト肝ミクロソームを用いた代謝安定性試験におけるクリアランス(μL/min/mg)の値が、60以下であることが好ましく、40以下であることがより好ましく、35以下であることが更に好ましい。特に前記式(1)において、R1とR2の組合せがトリフルオロメチル基と水素原子であり、かつ、R3とR4が、それらが結合する炭素原子と一緒になってシクロペンチル環を形成する場合を除き、高い代謝安定性を得ることが可能である。
また、「骨及び/又は軟骨同化作用を誘導」するかどうかは、公知の方法を用いて確認することが可能である。
骨同化作用の誘導については、例えば、被検化合物を一定期間、継続して投与した後に、骨密度又は骨量を、一般的な測定方法を用いて測定し、コントロールと比較することによって確認することができる。具体的には、例えば、武田らの文献(Bone 2013; 53(1):167-173)に記載の方法に従って、骨密度を二重X線骨塩量測定装置(例えば、DCS-600EX(アロカ株式会社))を用いて測定することができる。この時、骨密度が溶媒コントロールと比較して高い場合には、骨同化作用が誘導されていると考えることができる。本発明の化合物は、例えば、骨粗鬆症治療薬として使われているhPTH(1−34)の臨床相当用量を被検対象に投与した際の骨密度増加量と同等又はそれ以上の増加を示すものが好ましく、具体的には、例えば、骨密度が溶媒コントロールに対して8〜12%増加する場合が好ましく、更に好ましくは12%以上の増加がある場合である。
軟骨同化作用の誘導については、例えば、軟骨細胞を本発明の化合物存在下で培養し、軟骨細胞の基質(たとえばプロテオグリカン)産生量を測定することで確認することができる。また、軟骨細胞の最終分化及び石灰化が抑制されるかどうかを測定することによっても、確認することができる。具体的には、例えば、軟骨基質産生量についてはLoeserらの文献(Atrh Rheum 2003; 48(8): 2188-2196)、Ab-Rahimらの文献(Mol Cell Biochem 2013; 376: 11-20.)に記載の方法に従って測定することができる。また、最終分化の抑制に関しては、Okazaki らの文献(Osteoarth Cart 2003;11(2):122-32.)の方法に従って評価することができる。このとき、軟骨基質産生量や最終分化及び石灰化が、コントロールと比較して亢進および抑制されている場合には、軟骨同化作用が誘導されていると考えることができる。本発明の化合物としては、例えば、軟骨基質産生および軟骨細胞の最終分化抑制において、PTHと同等又はそれ以上の効果を有するものが好ましい。本発明の化合物はPTHに比し高い代謝安定性を有していることから前記の病態に対し充分な効果を有しつつ、複数の投与経路を選択することが可能となる。更に、軟骨基質産生量に関してPTHより高い効果が得られる場合は、上記病態に対しPTHよりも優れた効果を得られることが可能となる。
また例えば、被験化合物を一定期間、継続して投与した対象の軟骨性骨を採取し、これを病理組織学的に観察し、関節軟骨および成長板の肥厚を確認することで、軟骨同化作用の誘導を確認することもできる。具体的には組織学的に関節軟骨および成長板の軟骨の厚さを計測することができる。このとき、軟骨の肥厚が、コントロールと比較して増加している場合には、被験化合物の軟骨同化作用が誘導されていると考えることができる。特に軟骨肥厚がPTHに比べ顕著である場合には、前記の病態に対して充分な効果が考えられるため好ましく、更に好ましくは被験化合物が経口投与で効果を有することである。
また、例えば、Kikuchiらの方法や(Osteoarth Cart 1996;4(2):99-110)、 Sampsonらの方法(Sci Transl Med 2011; 3: 101ra93)に従い、半月板を部分切除して膝関節を不安定化させて変形性関節症を誘導した動物(げっ歯類および非げっ歯類)に被検化合物を一定期間、継続して投与した後に、当該膝関節部位の関節軟骨の変性状態を肉眼的または病理組織学的に評価することによっても確認することができる。このときPTHと同様、当該膝関節の関節軟骨の変性が抑制されていれば、被験化合物の軟骨同化作用および最終分化抑制作用による効果があったと判断できる。更に好ましくは、これらの効果が被験化合物の経口投与で得られていることである。
また例えば、Wakitaniらの方法(Bone Joint Surg Br. 1989;71(1):74-80.)に従い、被験化合物を一定期間、関節軟骨および軟骨下骨を欠損させた対象に投与して、欠損部における軟骨の再生状況を解析することでも評価が可能である。このとき、コントロールに対して優れた軟骨再生効果が観察できれば、被化合物の軟骨同化作用が誘導されていると考えることができる。特に軟骨再生効果がPTHに比べ顕著である場合には、前記の病態に対して充分な効果が考えられるため好ましく、更に好ましくは、被験化合物が経口投与で効果を発揮することである。
これらの効果は、PTH様作用を測定することでも、確認することができる。PTHの受容体であるPTH1Rをパラクラインで活性化するPTHrPは、軟骨細胞の増殖および分化調節に関与する重要な因子であり、軟骨細胞の最終分化を抑制し、軟骨組織を維持する作用が知られている(Science 1996; 273: 663-666.)。PTH1Rの活性化による軟骨同化作用は、例えばXieらの方法(Human Mol Genet 2012; 21(18): 3941-3955)に従い、被験化合物を正常または遺伝的に成長障害のある対象に一定期間投与し、軟骨性骨の成長速度および組織学的な成長板の肥厚を解析することでも評価することが可能である。このとき、コントロールに比べて成長速度や成長板の肥厚が確認できれば、被験化合物の軟骨同化作用があったと判断できる。特に非験化合物の効果がPTHより優れていることが好ましく、更に好ましくは被験化合物が経口投与で効果を有することである。
本発明に係る化合物はフリー体であっても、薬理学的に許容される塩であっても本発明に含まれる。このような「塩」としては、例えば、無機酸塩、有機酸塩、無機塩基塩、有機塩基塩、酸性または塩基性アミノ酸塩などがあげられる。
無機酸塩の好ましい例としては、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩などがあげられ、有機酸塩の好ましい例としては、例えば酢酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、ステアリン酸塩、安息香酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩などがあげられる。
無機塩基塩の好ましい例としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、アンモニウム塩などがあげられ、有機塩基塩の好ましい例としては、例えばジエチルアミン塩、ジエタノールアミン塩、メグルミン塩、N,N−ジベンジルエチレンジアミン塩などがあげられる。
酸性アミノ酸塩の好ましい例としては、例えばアスパラギン酸塩、グルタミン酸塩などが挙げられ、塩基性アミノ酸塩の好ましい例としては、例えばアルギニン塩、リジン塩、オルニチン塩などがあげられる。
本発明の化合物は大気中に放置しておくことにより、水分を吸収し、吸着水が付いたり、水和物となる場合があり、そのような水和物も本発明の塩に含まれる。
さらに、本発明の化合物は、他のある種の溶媒を吸収し、溶媒和物となる場合があるが、そのような塩も、式(1)の化合物の塩として本発明に包含される。
本明細書中においては、化合物の構造式が便宜上一定の異性体を表すことがあるが、本発明には化合物の構造上生ずる総ての幾何異性体、不斉炭素に基づく光学異性体、立体異性体、互変異性体等の異性体および異性体混合物を含み、便宜上の式の記載に限定されるものではなく、いずれか一方の異性体でも混合物でもよい。従って、本発明の化合物には、分子内に不斉炭素原子を有し光学活性体およびラセミ体が存在することがありうるが、本発明においては限定されず、いずれもが含まれる。
本発明は式(1)で表される化合物の全ての同位体を含む。本発明化合物の同位体は、少なくとも1個の原子が、原子番号(陽子数)が同じで,質量数(陽子と中性子の数の和)が異なる原子で置換されたものである。本発明化合物に含まれる同位体の例としては、水素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、リン原子、硫黄原子、フッ素原子、塩素原子などがあり、それぞれ、H、H、13C、14C、15N、17O、18O、31P、32P、35S、18F、36Cl等が含まれる。特に、Hや14Cのような、放射能を発して崩壊する放射性同位体は、医薬品あるいは化合物の体内組織分布試験等の際、有用である。安定同位体は、崩壊を起こさず、存在量がほとんど変わらず、放射能もないため、安全に使用することができる。本発明の化合物の同位体は、合成で用いている試薬を、対応する同位体を含む試薬に置き換えることにより、常法に従って変換することができる。
本発明にかかる化合物には、結晶多形が存在することもあるが特に限定されず、いずれかの結晶形が単一であっても結晶形混合物であってもよい。
本発明に係る化合物はそのプロドラッグを含む。プロドラッグとは、化学的又は代謝的に分解し得る基を有し、生体に投与された後、元の化合物に復元して本来の薬効を示す本発明化合物の誘導体であり、共有結合によらない複合体及び塩を含む。
本発明の前記式(1)で表される化合物として、好適には、以下のとおりである。
式中、R1およびR2が以下の組み合わせから選択され:
1)R1が水素原子、またはハロゲン原子であり、かつR2が水素原子、トリフルオロメチル基、またはトリフルオロメトキシ基である(但し、R1とR2が共に水素原子となる場合を除く);
2)R1がトリフルオロメチル基、またはトリフルオロメトキシ基であり、かつR2が水素原子、またはハロゲン原子である;
3)R1およびR2が互いに結合して形成される下記式:
Figure 0006290138
(式中、*はそれぞれフェニル部分との結合位置を示す。)で表わされる基である;
かつ、R3およびR4は、メチル基であるか;
またはR3およびR4はそれらが結合する炭素原子と一緒になって以下から選択される環:
Figure 0006290138
(式中の*はイミダゾリジン−2,4−ジオン部分との結合位置を示す。)を形成する。
本発明の前記式(1)で表される化合物として、より好適には、以下のとおりである。
式中、R1、R2は以下の組み合わせから選択され:
1)R1がトリフルオロメトキシ基であり、かつR2がフッ素原子である;
2)R1が臭素原子であり、かつR2が水素原子である;
3)R1がトリフルオロメチル基であり、かつR2がフッ素原子である;
4)R1がフッ素原子であり、かつR2がトリフルオロメトキシ基である;
5)R1がトリフルオロメチル基であり、かつR2が水素原子である;
6)R1が水素原子であり、かつR2がトリフルオロメトキシ基である;
7)R1、R2は互いに結合して形成される下記式:
Figure 0006290138
(式中、*はそれぞれフェニル部分との結合位置を示す。)で表わされる基である;
かつ、R3およびR4はメチル基であるか;
またはR3およびR4はそれらが結合する炭素原子と一緒になって以下から選択される環:
Figure 0006290138
(式中の*はイミダゾリジン−2,4−ジオン部分との結合位置を示す。)を形成する。
本発明の前記式(1)で表される化合物として、更に好適には、以下からなる群より選択される化合物、またはその薬理学的に許容される塩である。
化合物1:1−(4−(2−((2−(4−フルオロ−3−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−4−オキソ−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)−3,5−ジメチルフェニル)−5,5−ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオン、
化合物2:1−(4−(2−((2−(3−ブロモフェニル)−4−オキソ−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)−3,5−ジメチルフェニル)−5,5−ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオン、
化合物3:1−(4−(2−((2−(4−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−4−オキソ−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)−3,5−ジメチルフェニル)−5,5−ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオン、
化合物4:1−(4−(2−((2−(3−フルオロ−4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−4−オキソ−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)−3,5−ジメチルフェニル)−5,5−ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオン、
化合物5:1−(4−(2−((2−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−4−オキソ−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)−3,5−ジメチルフェニル)−5,5−ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオン、
化合物6:1−(3,5−ジメチル−4−(2−((4−オキソ−2−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)フェニル)−5,5−ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオン、
化合物7:1−(3,5−ジメチル−4−(2−((4−オキソ−2−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)フェニル)−5,5−ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオン、
化合物8:1−(3,5−ジメチル−4−(2−((4−オキソ−2−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)フェニル)−1,3−ジアザスピロ[4.4]ノナン−2,4−ジオン、
化合物9:1−(3,5−ジメチル−4−(2−((4−オキソ−2−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)フェニル)−8−メチル−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン、
化合物10:5−(3,5−ジメチル−4−(2−((4−オキソ−2−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)フェニル)−2−オキサ−5,7−ジアザスピロ[3.4]オクタン−6,8−ジオン、および
化合物11:4−(3,5−ジメチル−4−(2−((4−オキソ−2−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)フェニル)−4,6−ジアザスピロ[2.4]ヘプタン−5,7−ジオン。
これらの化合物1〜11のなかでは、化合物6、7、8がより好適である。
このような本発明の前記式(1)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩は、骨・軟骨同化作用を誘導し、当該作用によって、骨粗鬆症の予防又は治療、歯周病における骨量減少の改善、抜歯後の歯槽骨損傷の回復促進、変形性関節症の予防又は治療、関節軟骨欠損の回復促進、無形成骨症の予防又は治療、軟骨低形成症の予防又は治療、或いは、骨軟化症の予防又は治療に有用である。
本発明にかかる化合物もしくはその塩は、慣用されている方法により錠剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、被覆錠剤、カプセル剤、シロップ剤、トローチ剤、吸入剤、坐剤、注射剤、軟膏剤、眼軟膏剤、点眼剤、点鼻剤、点耳剤、パップ剤、ローション剤等として製剤化することができる。製剤化には通常用いられる担体、例えば、賦形剤、結合剤、滑沢剤、着色剤、矯味矯臭剤や、および必要により安定化剤、乳化剤、吸収促進剤、界面活性剤、pH調製剤、防腐剤、抗酸化剤などを使用することができ、一般に医薬品製剤の原料として用いられる成分を配合して常法により製剤化される。
例えば経口製剤を製造するには、本発明にかかる化合物またはその薬理学的に許容される塩と賦形剤、さらに必要に応じて結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味矯臭剤などを加えた後、常法により散剤、細粒剤、顆粒剤、錠剤、被覆錠剤、カプセル剤等とする。
これらの成分としては例えば、大豆油、牛脂、合成グリセライド等の動植物油;流動パラフィン、スクワラン、固形パラフィン等の炭化水素;ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソプロピル等のエステル油;セトステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール;シリコン樹脂;シリコン油;ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー等の界面活性剤;ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロースなどの水溶性高分子;エタノール、イソプロパノールなどの低級アルコール;グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ソルビトールなどの多価アルコール;グルコース、ショ糖などの糖;無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸アルミニウムなどの無機粉体、精製水などがあげられる。
賦形剤としては、例えば乳糖、コーンスターチ、白糖、ブドウ糖、マンニトール、ソルビット、結晶セルロース、二酸化ケイ素などが挙げられる。
結合剤としては、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、メチルセルロース、エチルセルロース、アラビアゴム、トラガント、ゼラチン、シェラック、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリプロピレングリコール・ポリオキシエチレン・ブロックポリマー、メグルミンなどが挙げられる。
崩壊剤としては、例えば澱粉、寒天、ゼラチン末、結晶セルロース、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、クエン酸カルシウム、デキストリン、ペクチン、カルボキシメチルセルロース・カルシウム等が挙げられる。
滑沢剤としては、例えばステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、シリカ、硬化植物油等が挙げられる。
着色剤としては医薬品に添加することが許可されているものが、矯味矯臭剤としては、ココア末、ハッカ脳、芳香散、ハッカ油、竜脳、桂皮末等が用いられる。
これらの錠剤・顆粒剤には糖衣、その他必要により適宜コーティングすることはもちろん差支えない。また、シロップ剤や注射用製剤等の液剤を製造する際には、本発明にかかる化合物またはその薬理学的に許容される塩にpH調整剤、溶解剤、等張化剤などと、必要に応じて溶解補助剤、安定化剤などを加えて、常法により製剤化する。
外用剤を製造する際の方法は限定されず、常法により製造することができる。すなわち製剤化にあたり使用する基剤原料としては、医薬品、医薬部外品、化粧品等に通常使用される各種原料を用いることが可能である。使用する基剤原料として具体的には、例えば動植物油、鉱物油、エステル油、ワックス類、高級アルコール類、脂肪酸類、シリコン油、界面活性剤、リン脂質類、アルコール類、多価アルコール類、水溶性高分子類、粘土鉱物類、精製水などの原料が挙げられ、さらに必要に応じ、pH調整剤、抗酸化剤、キレート剤、防腐防黴剤、着色料、香料などを添加することができるが、本発明にかかる外用剤の基剤原料はこれらに限定されない。
また必要に応じて分化誘導作用を有する成分、血流促進剤、殺菌剤、消炎剤、細胞賦活剤、ビタミン類、アミノ酸、保湿剤、角質溶解剤等の成分を配合することもできる。なお上記基剤原料の添加量は、通常外用剤の製造にあたり設定される濃度になる量である。
本発明にかかる化合物もしくはその塩またはそれらの水和物を投与する場合、その形態は特に限定されず、通常用いられる方法により経口投与でも非経口投与でもよい。例えば錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ剤、トローチ剤、吸入剤、坐剤、注射剤、軟膏剤、眼軟膏剤、点眼剤、点鼻剤、点耳剤、パップ剤、ローション剤などの剤として製剤化し、投与することができる。
本発明にかかる医薬の投与量と投与方法は、症状の程度、年齢、性別、体重、投与形態・塩の種類、疾患の具体的な種類等に応じて適宜選ぶことができる。
投与量は患者の、疾患の種類、症状の程度、患者の年齢、性差、薬剤に対する感受性差などにより著しく異なるが、通常成人として1日あたり、約0.03−1000 mg、好ましくは0.1−500 mg、さらに好ましくは0.1−100 mgを1日1−数回に分けて投与する。
投与経路は患者の、疾患の種類、症状の程度、患者の年齢、性差、薬剤に対する感受性差などを考慮し、適宜、選択される。投与方法は、本発明の化合物が、非侵襲的に全身曝露または局所暴露し、骨及び/又は軟骨同化作用の誘導効果が得られる方法であれば特に限定されない。そのような投与方法として、例えば、経口投与、静脈内投与、経鼻投与、経皮投与、経肺投与、関節内投与が挙げられる。
前記式(1)で表される本発明化合物の製造においては、原料化合物・各種試薬は、塩や水和物あるいは溶媒和物を形成していてもよく、いずれも出発原料、使用する溶媒等により異なり、また反応を阻害しない限りにおいて特に限定されない。
用いる溶媒についても、出発原料、試薬等により異なり、また反応を阻害せず出発物質をある程度溶解するものであれば特に限定されないことは言うまでもない。
種々の異性体(例えば幾何異性体、不斉炭素に基づく光学異性体、回転異性体、立体異性体、互変異性体、等)は、通常の分離手段、例えば再結晶、ジアステレオマー塩法、酵素分割法、種々のクロマトグラフィー(例えば薄層クロマトグラフィー、カラムクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、等)を用いることにより精製し、単離することができる。
本発明にかかる化合物がフリー体として得られる場合、当該化合物が形成していてもよい塩またはそれらの水和物の状態に常法に従って変換することができる。また、本発明に係る化合物が当該化合物の塩または水和物として得られる場合、当該化合物のフリー体に常法に従って変換することができる。
本発明にかかる化合物の単離・精製は、抽出、濃縮、留去、結晶化、濾過、再結晶、各種クロマトグラフィーなどの通常の化学操作を適用して行うことができる。
本明細書において引用された全ての先行技術文献は、参照として本明細書に組み入れられる。
一般的合成法
本発明の化合物は様々な方法によって合成することができるが、その一部を以下のスキームで説明する。スキームは例示であり、本発明は、明示された化学反応および条件だけで制限されない。以下のスキームでは、明解にするために一部の置換基が除外されているが、これらはスキームの開示の制限を意図するものではない。本発明の代表的化合物は、適切な中間体、公知の化合物、および、試薬を用いて合成することができる。下記一般的合成法中の式におけるR1、R2、R3、R4は、前記一般式(1)で表される化合物(下記一般的合成法中では式1で表される化合物)のR1、R2、R3、R4と同意義である。
本発明の化合物(式1)は、以下に示す製造法(方法A、方法B)によって合成することができる。
スキーム1(方法A)
Figure 0006290138
スキーム1は、カルボン酸誘導体(1)とアミノ−アミド誘導体(2)を縮合させ、アミド−アミド誘導体(3)を得た後、分子内環化でスピロイミダゾロン環を構築し、ヒダントイン誘導体(式1)を得る方法である。
ステップ1は、カルボン酸誘導体(1)をアミノ−アミド誘導体(2)と反応させる方法である。カップリング試薬としては、例えば、N,N'−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェイト(HATU)、および、4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリドn−水和物(DMT−MM)が挙げられる。塩基としては、トリエチルアミンまたはN,N−ジイソプロピルエチルアミンが挙げられる。必要ならば、触媒として、4−(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)を使用できる。適切な溶媒としては、ジクロロメタン、または、N,N−ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。DMT−MMを用いる場合の適切な反応溶媒としてメタノール、エタノール、およびアセトニトリルが挙げられる。反応温度は、例えば0℃〜室温で行い、反応時間は0.5〜24時間である。得られたアミド−アミド誘導体(3)は、一般的技術によって単離し、必要ならば、結晶化またはクロマトグラフィーによって精製してもよい。
ステップ2は、水酸化ナトリウム水溶液またはカリウムt−ブトキシドなどの適切な塩基の存在下、エタノール、tert−ブタノール、またはジメチルスルホキシドなどの適切な溶媒中で、アミド−アミド誘導体(3)を環化する方法である。反応温度は、例えば室温〜還流条件で行い、反応時間は1〜24時間である。得られたヒダントイン誘導体(式1)は一般的技術によって単離し、必要ならば、結晶化またはクロマトグラフィーによって精製してもよい。
スキーム1に示されるアミノ−アミド誘導体(2)は、ピペリジノン誘導体(4)から合成することができる。スキーム2にアミノ−アミド誘導体(2)の合成法を示す。
スキーム2
Figure 0006290138
ステップ3は、ピペリジノン誘導体(4)をアミノ−ニトリル誘導体(5)に導く、Strecker合成である。すなわち、ピペリジノン誘導体(4)を、水の存在下/非存在下、メタノール、エタノール、または、テトラヒドロフランなどの適切な溶媒中で、シアン化ナトリウム、または、シアン化カリウム、および、塩化アンモニウム、または、酢酸アンモニウムと反応させる方法である。反応温度は、例えば室温〜80℃で行い、反応時間は2〜72時間である。得られたアミノ−ニトリル誘導体(5)は一般的技術によって単離し、必要ならば、結晶化またはクロマトグラフィーによって精製してもよい。
ステップ4は、過酸化水素存在下での塩基性加水分解条件により、ニトリル基をアミド基に変換する方法である。本反応は、例えばChemistry-A European Journal (2002), 8(2), 439-450を参考に行うことができる。
ステップ5は、H雰囲気下、それぞれ、パラジウム炭素または水酸化パラジウム炭素などの触媒の存在下、メタノール、エタノール、トリフルオロエタノール、ジメチルホルムアミド、またはジメチルアセトアミドなどの不活性溶媒中で、化合物(6)のオレフィンを水素添加する方法である。反応温度は室温〜80℃で行い、加圧下で反応を行ってもよい場合もある。得られたアミノ−アミド誘導体(2)は一般的技術によって単離し、必要ならば、結晶化またはクロマトグラフィーによって精製してもよい。
スキーム2に示されるピペリジノン誘導体(4)は、公知のケタール−ビニルスルホニル誘導体(7)とヒダントイン−アリールブロマイド誘導体(8)から合成することができる。スキーム3にピペリジノン誘導体(4)の合成法を示す。
スキーム3
Figure 0006290138
ステップ6は、N雰囲気下、それぞれ、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウムなどのパラジウム触媒の存在下、トリ−tert−ブチルホスフィンテトラフルオロホウ酸などのホスフィンリガンド、メチルジシクロヘキシルアミンなどの適切な塩基を添加し、N−メチル−2−ピペリドン(NMP)などの適切な溶媒中で、ケタール−ビニルスルホニル誘導体(7)とヒダントイン−アリールブロマイド誘導体(8)をカップリングさせることにより、ケタール−アリールビニルスルホニル誘導体(9)を合成する方法である。反応温度は90℃〜還流温度で行う。得られたケタール−アリールビニルスルホニル誘導体(9)は、一般的技術によって単離し、必要ならば、結晶化またはクロマトグラフィーによって精製してもよい。
ステップ7は、ケタール−アリールビニルスルホニル誘導体(9)を、含水テトラヒドロフランなどの適切な溶媒中で、塩酸などの酸の存在下、ケタールをケトンへ変換する方法である。反応温度は、例えば、溶媒の沸点、反応時間は1〜24時間である。得られたピペリジノン誘導体(4)は一般的技術によって単離し、必要ならば、結晶化またはクロマトグラフィーによって精製してもよい。
スキーム3に示されるヒダントイン−アリールブロマイド誘導体(8)は、4−ブロモ−3,5−ジメチルアニリン(10)とブロモ酢酸誘導体(11)または、2−ブロモ−5−ヨード−1,3−ジメチルベンゼン(13)とアミノ酸誘導体(14)から合成することができる。スキーム4にヒダントイン−アリールブロマイド誘導体(8)の合成法を示す。
スキーム4
Figure 0006290138
ステップ8は、ジイソプロピルエチルアミンなどの適切な塩基存在下、N−メチル−2−ピペリドン(NMP)などの適切な溶媒中で、4−ブロモ−3,5−ジメチルアニリン(10)をブロモ酢酸誘導体(11)でアルキル化する方法である。反応温度は例えば室温〜100℃で、反応時間は1〜24時間である。得られたアリールブロマイド−アミノ酸誘導体(12)は一般的技術によって単離し、必要ならば、結晶化またはクロマトグラフィーによって精製してもよい。
ステップ9は、ヨウ化銅(I)などの金属触媒存在下、2−ブロモ−5−ヨード−1,3−ジメチルベンゼン(13)とアミノ酸誘導体(14)を反応させ、アリールブロマイド−アミノ酸誘導体(12)を合成する方法である。反応は、ジアザビシクロウンデセン(DBU)などの適切な塩基存在下、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)などの適切な溶媒中、80−120℃程度の反応温度で行うことができる。得られたアリールブロマイド−アミノ酸誘導体(12)は一般的技術によって単離し、必要ならば、結晶化またはクロマトグラフィーによって精製してもよい。
ステップ10は、アリールブロマイド−アミノ酸誘導体(12)とシアン酸ナトリウムを酸性条件下で反応させ、ヒダントイン−アリールブロマイド誘導体(8)を合成する方法である。溶媒は例えば、酢酸−ジクロロメタン等の混合溶媒で行い、反応温度は室温〜60℃、反応時間は1〜24時間である。得られたヒダントイン−アリールブロマイド誘導体(8)は一般的技術によって単離し、必要ならば、結晶化またはクロマトグラフィーによって精製してもよい。
スキーム3に示されるヒダントイン−アリールブロマイド誘導体(8)は、4−ブロモ−3,5−ジメチルアニリン(10)とケトン誘導体(15)から合成することもできる。スキーム5にヒダントイン−アリールブロマイド誘導体(8)の合成法を示す。
スキーム5
Figure 0006290138
ステップ11は、ケトン誘導体(15)をアリールアミノ−ニトリル誘導体(16)に導く、Strecker合成である。すなわち、ケトン誘導体(15)を酢酸などの適切な溶媒中、4−ブロモ−3,5−ジメチルアニリン(10)とシアン化トリメチルシリルを反応させる方法である。室温などの反応温度で行うことができ、反応時間は1〜3時間程度である。得られたアリールアミノ−ニトリル誘導体(16)は一般的技術によって単離し、必要ならば、結晶化またはクロマトグラフィーによって精製してもよい。
ステップ12は、アリールアミノ−ニトリル誘導体(16)をジクロロメタンなどの適切な溶媒中、2,2,2−トリクロロアセチルイソシアナートと反応させた後、メタノール、水、トリエチルアミンなどの試薬を加え加熱条件下で反応させイミノヒダントイン誘導体(17)を合成する方法である。得られたイミノヒダントイン誘導体(17)は一般的技術によって単離し、必要ならば、結晶化またはクロマトグラフィーによって精製してもよい。
ステップ13は、イミノヒダントイン誘導体(17)を酸性条件下でヒダントイン−アリールブロマイド誘導体(8)に変換する方法である。たとえば、酢酸−水の溶媒中、65℃程度の加熱条件下、1〜6時間程度の反応時間で合成することができる。得られたヒダントイン−アリールブロマイド誘導体(8)は一般的技術によって単離し、必要ならば、結晶化またはクロマトグラフィーによって精製してもよい。
スキーム6は、ビニルスルホンアミド誘導体(18)とヒダントイン−アリールブロマイド誘導体(8)を金属触媒存在下でHeck反応させた後、得られた化合物(19)のオレフィンを接触水素化し、ヒダントイン誘導体(式1)を得る方法である。
スキーム6(方法B)
Figure 0006290138
ステップ14の反応はステップ6、ステップ15の反応はステップ5の方法に従い、ヒダントイン誘導体(式1)を合成することができる。得られるヒダントイン誘導体(式1)は一般的技術によって単離し、必要ならば、結晶化またはクロマトグラフィーによって精製してもよい。
ステップ14で使用するビニルスルホンアミド誘導体(18)は、WO2010/126030(A1)のスキーム2、スキーム3、およびスキーム12を参考に合成することができる。
なお、本明細書において引用された全ての先行技術文献は、参照として本明細書に組み入れられる。
本発明は、以下の実施例によって更に例示されるが、下記の実施例に限定されるものではない。
実施例1:卵巣摘出ラットへの6週間反復投与における骨密度に対する効果
日本チャールス・リバー株式会社より入手した雌性Crl:CD(SD)ラットを、20〜26℃、湿度35〜75%の標準実験室条件下で1週間以上順化させた後、実験に使用した。ラットには、水道水ならびに1.1%カルシウム、1.0%リン酸および250IU/100gのビタミンD3を含む標準げっ歯動物飼料(CE−2)(日本クレア株式会社)を自由に摂取させた。
12週齢のラットに両側の卵巣摘出術(OVX)及び偽手術(Sham)を施した。手術後4週目に体重を測定し、1群6匹で各群の平均体重が均等になるようにラットを振り分けて群分けした。群分けの翌日から各ラットに6週間1日1回反復投与を行った。Sham-Control群のラットには、経口投与の溶媒(Vehicle)及び皮下投与の溶媒(PC buffer)が、それぞれ経口及び皮下投与された。OVX-Control群のラットには、Vehicle及びPC bufferが、それぞれ経口及び皮下投与された。OVX−化合物7のラットには、Vehicleに溶解させた上述の化合物7が30mg/kgの用量で経口投与され、またPC bufferが皮下投与された。OVX−hPTH(1−34)群のラットには、Vehicleが経口投与され、PC bufferに溶解させたhPTH(1−34)が0.9nmol/kgの用量で皮下投与された。
なお、骨粗鬆症治療薬として臨床応用されているForteo(登録商標)20μgをヒトに投与した際と同程度のAUC(血中濃度―時間曲線下面積)を、ラットに投与した際に示す投与用量として0.9nmol/kgを設定した。いずれの群も経口投与は5mL/kg、皮下投与は1mL/kgの用量でそれぞれ投与した。Vehicleは、10%ジメチルスルホキシド(和光純薬工業株式会社)、10%コリフォールEL(シグマアルドリッチジャパン合同会社)、10%ヒドロキシプロピル‐β‐シクロデキストリン(日本食品化工株式会社)をグリシン(和光純薬工業株式会社)及び水酸化ナトリウム(和光純薬工業株式会社)によりpH10に調製した組成のものを使用した。PC bufferは、25mmol/L リン酸・クエン酸緩衝液、100mmol/L NaCl、0.05% Tween80をpH5.0に調製した組成のものを使用した。最終投与の翌日に麻酔下で腹大動脈より血液を採取してラットを安楽死処置した後、剖検を行い腰椎及び大腿骨を採取した。腰椎及び大腿骨は70%エタノール中に保存した。腰椎及び大腿骨の骨密度を、二重X線骨塩量測定装置(DCS−600EX、アロカ株式会社)を用いて測定した。腰椎骨密度は第2から第4腰椎を測定し、大腿骨骨密度は、大腿骨を縦に10等分して膝側3つ分の遠位端を測定した。結果を図1に示した。
データは平均値+標準誤差(SE)として示した。SAS前臨床パッケージver.5.00 (SAS Institute Japan)を使用し、以下の統計学的解析を実施した。有意水準は両側5%とした。腰椎及び大腿骨骨密度について、2群のt検定によりSham-Control群とOVX-Control群との比較(#P<0.05)、OVX-Control群とOVX-化合物7群との比較(*P<0.05)、及びOVX-Control群とOVX-hPTH(1-34)群との比較(∫P<0.05)を行った。
図1に示すように、大腿骨骨密度においてOVX-Control群はSham-Control群に対して有意な骨密度減少を示し、陽性対照であるOVX-hPTH(1-34)群はOVX-Control群に対して有意な増加を示した。OVX-Control群に対するOVX-hPTH(1-34)群の増加率は8%であった。この時OVX−化合物7群は、OVX-Control群に対して有意な増加を示し、増加率は12%であった。また、腰椎骨密度においてOVX-Control群はSham-Control群に対して有意な骨密度減少を示し、OVX-化合物7群はOVX-Control群に対して有意ではないが増加傾向を示した。OVX-hPTH(1-34)群はOVX-Control群に対して有意な増加を示し、増加率は12%であった。
上記の様に化合物7の反復経口投与では骨粗鬆症の病態モデルであるOVXラットの骨密度が増加したことから、化合物7は、骨粗鬆症、歯周病における骨量減少、抜歯後の歯槽骨損傷等、骨同化作用の誘導、骨量の増加または骨再建が必要な病態に対する予防、治療、改善、回復促進に有効であると考えられる。さらに一般式(1)で表わされる化合物も、強いPTH様作用と高い代謝安定性が参考試験例1乃至5において確認されており、PTH様作用による骨同化作用を通じた骨密度増加作用が得られることが考えられる。そのため一般式(1)で表わされる化合物についても骨粗鬆症、歯周病における骨量減少、抜歯後の歯槽骨損傷等、骨同化作用の誘導、骨量の増加または骨再建が必要な病態に対する予防、治療、改善、回復促進に有効であると考えられる。
実施例2:正常ラットへの4週間反復投与における骨密度に対する効果
株式会社 日本医科学動物資材研究所より入手した雌性RccHan:WISTラットを、20〜26℃、湿度30〜70%の標準実験室条件下で1週間以上順化させた後、実験に使用した。ラットには、水道水ならびに標準げっ歯動物飼料(CR−LPF)(オリエンタル酵母工業株式会社)を自由に摂取させた。
8週齢のラットに静脈カテーテルを留置した。カテーテルは鼠径部の大腿静脈から挿入し、先端は後大静脈まで伸ばして留置した。術後1週目に体重を測定し、1群10匹で各群の平均体重が均等になるようにラットを振り分けて群分けした。群分けの2日後からすべてのラットに4週間1日1回反復静脈内投与をした。投与は留置したカテーテルにインフュージョンポンプ(MEDFUSION SYRINGEINFUSION PUMP Model 2001)を接続して行った。
Vehicle-Control群には、溶媒(Vehicle)を静脈内投与した。化合物7―20mg/kg、30mg/kg、50mg/kg群には、Vehicleに溶解させた化合物7をそれぞれ20mg/kg、30mg/kg、50mg/kgの用量で静脈内投与した。いずれの群も投与容量は5mL/kg、投与速度は5mL/kg/分で投与した。Vehicleは、5%ジメチルスルホキシド(和光純薬工業株式会社)、25%プロピレングリコール(関東化学株式会社)/20%エタノール(純正化学株式会社)/15%ヒドロキシプロピル‐β‐シクロデキストリン(日本食品化工株式会社)/300mMグリシン(和光純薬工業株式会社)/192mM水酸化ナトリウム(和光純薬工業株式会社)/生理食塩水(株式会社大塚製薬工場)の組成のものを使用した。最終投与の翌日に麻酔下で腹大動脈より血液を採取してラットを安楽死処置した後、剖検を行い腰椎、下腿骨、及び下顎骨を採取した。腰椎、下腿骨、及び下顎骨は70%エタノール中に保存した。腰椎(第2から第4腰椎)、下腿骨、及び下顎骨の骨密度を、二重X線骨塩量測定装置(DCS−600EX、アロカ株式会社)を用いて測定した。結果は図2、図3に示す。
データは平均値+標準誤差(SE)として示す。SAS前臨床パッケージver.5.00 (SAS Institute Japan)を使用し、以下の統計学的解析を実施した。有意水準は両側5%とした。腰椎、下腿骨、及び下顎骨骨密度について、Vehicle-Control群を対照群として化合物7の3用量群に対するパラメトリックDunnett型多重比較(*P<0.05)を行った。
図2に示すように、腰椎及び下腿骨骨密度において化合物7投与群はVehicle-Control群に対して用量依存的に有意な骨密度増加効果を示した。また、化合物7―20mg/kg群、30mg/kg群、50mg/kg群3群のVehicle-Control群に対する腰椎骨密度の増加率は、それぞれ16%、21%、25%であり、下腿骨骨密度の増加率は7%、16%、19%であった。また、図3に示すように、下顎骨骨密度において化合物7−30mg/kg群はVehicle-Control群に対して有意な骨密度増加効果を示した。Vehicle-Control群に対する増加率は7%であった。
上記のように化合物7の反復経口投与では骨粗鬆症の病態モデルであるOVXラットの大腿骨骨密度が増加し、化合物7の反復静脈内投与では正常ラットの腰椎、下腿骨、及び下顎骨骨密度が増加したことから、化合物7の全身曝露は骨粗鬆症、歯周病における骨量減少、抜歯後の歯槽骨損傷等、骨同化作用の誘導、骨量の増加または骨再建が必要な病態に対する予防、治療、改善、回復促進に有効であると考えられる。さらに一般式(1)で表わされる化合物も、強いPTH様作用と高い代謝安定性が参考試験例1乃至5において確認されており、PTH様作用による骨同化作用を通じた骨密度増加作用が得られることが考えられる。そのため、一般式(1)で表わされる化合物についても骨粗鬆症、歯周病における骨量減少、抜歯後の歯槽骨損傷等、骨同化作用の誘導、骨量の増加または骨再建が必要な病態に対する予防、治療、改善、回復促進に有効であると考えられる。
実施例3:ウサギ関節軟骨細胞の最終分化に対する化合物7の抑制効果
NZW系ウサギ(4週齢、オリエンタル酵母工業株式会社)を安楽死処置後、下腿骨の関節軟骨を採取し、50mL試験管(日本ベクトン・ディッキンソン株式会社)に移した。そこに1%トリプシン(和光純薬工業株式会社)含有PBS(ナカライテスク株式会社)を添加し37℃、1時間軟組織を消化した。その後1,200rpm,5分間の遠心分離後上清を除去し、PBS(−)を加え軟骨組織を懸濁し1,200rpm,5分間遠心分離後、上清を除去しPBS(−)で懸濁する洗浄を3回繰り返した。1,200rpm,5分間遠心分離後、細胞ペレットに0.2% Type II collagenase (CLS-2, Worthington Biochemical Corp.)含有DMEM(ライフテクノロジーズ・ジャパン株式会社)で37℃で3時間消化し、ウシ胎児血清(ライフテクノロジーズ・ジャパン株式会社)を10%v/v添加し反応を停止させ、10mLピペット(日本ベクトン・ディッキンソン株式会社ン)で強くピペッティングし軟骨細胞を単離した。その後、1,200rpm,5分間遠心分離し、上清を除去し、10% FCS含有DMEMで懸濁する洗浄を3回繰り返し、軟骨細胞をI型コラーゲンコートした96穴培養プレート(AGC TECHNO GLASS CO., LTD.,)に1x104個/well 播種した。週3回培地交換し、細胞がコンフルエントに達した後は100μg/mL リン酸アスコルビン酸マグネシウム塩n−水和物(和光純薬工業株式会社)、10mmol/L βグリセロリン酸5水和物(和光純薬工業株式会社)、10% FCSを含むDMEMで培養した。このとき、以下の条件で培養し、アルカリフォスファターゼ染色(14日間培養)およびアリザリンレッド染色(21日間培養)を行い、軟骨細胞の最終分化を評価した。
1) Control
2) BMP−2 100ng/mL
3) 化合物7 10−7mol/L
4) 化合物7 10−6mol/L
5) 化合物7 3x10−6mol/L
6) 化合物7 10−5mol/L
7) PTH(1−34) 10−10mol/L
8) PTH(1−34) 10−9mol/L
9) PTH(1−34) 10−8mol/L
10)PTH(1−34) 10−7mol/L
アルカリフォスファターゼ染色は、培地を廃棄後、軟骨細胞を200mmol/L Tris-HCl pH8.2緩衝液で1回洗浄し、アルカリフォスファターゼ染色キット(Vector Red Alkaline Phosphatase Substrate Kit I, Vector Laboratories, Inc.)のプロトコールに従って染色し、倒立顕微鏡(株式会社ニコン)で写真撮影した(対物4倍)。
その結果、BMP−2はアルカリフォスファターゼ活性の増加を示した。化合物7、PTH(1−34)のいずれも濃度依存的にアルカリフォスファターゼ活性を抑制した(図4A)
アリザリンレッド染色は、培地を廃棄後、軟骨細胞をPBSで2回洗浄し、100%エタノール(和光純薬工業株式会社)で15分間固定し、エタノール廃棄後1%アリザリンレッドS(和光純薬工業株式会社)で15分間染色後、蒸留水で洗浄し、倒立顕微鏡で写真撮影した。その結果、BMP−2はアリザリンレッド染色性を顕著に増加させ、石灰化を促進した。化合物7、PTH(1−34)のいずれも濃度依存的にアリザリンレッド染色性を抑制し、石灰化を抑制した(図4B)。
実施例4:ヒト関節軟骨細胞のプロテオグリカン合成に対する化合物7の効果
凍結保存されているヒト関節軟骨細胞(Lot 2867, Cell Applications Inc.,)を購入後、37℃水浴中で解凍してT75培養フラスコ(CORNING, Corning Japan K.K.)に10% Growth Supplement含有Basal Medium (Growth Medium, Cell Applications Inc.)15mLを入れ培養した。翌日、Growth Medium 15mLを交換し、3日間培養した。Growth Mediumを除去し、HBSS(Cell Applications Inc.)で軟骨細胞層を洗浄し、除去した。1mLのトリプシン/EDTA溶液(Cell Applications Inc.)を加え、室温で約5分間静置し軟骨細胞をフラスコから剥離させた。10mLのNeutalizing solution(Cell Applications Inc.)を加え、Bulker-Turk血球計算板を用いて細胞数を計測後、15mL試験管に移して遠心分離(1,200rpm,5分間、株式会社トミー精工)し、軟骨細胞のペレットを作成した。上清を捨て1.2%アルギン酸ナトリウム(25mmol/L HEPES/150mmol/L 塩化ナトリウム溶液,pH7.0)に2x10個/mLとなるよう調製し、22G注射針をつけた1mLシリンジ(テルモ株式会社)に吸引し、102mmol/L CaCl水溶液2mLを入れた24ウェルプレート(Corning Japan K.K.)のウェルに5滴ずつ滴下して5分間静置し、ビーズを形成させた。その後、150mmol/L 塩化ナトリウム溶液で3回洗浄し、Growth Medium で1日間培養し、1% Growth supplement 含有Basal Medium (Cell Applications Inc.)に交換した。このとき、培地に以下の因子を添加し、週3回培地交換を行い13日間培養した。
1) Control
2) TGF−β1 10ng/m
3) PTH(1−34) 10−8mol/L
4) 化合物7 10−6mol/L
5) 化合物7 10−5mol/L
培養12日に35S標識硫酸(株式会社パーキンエルマージャパン)を370kBq/wellとなるよう添加し、24時間後に培地を試験管に回収し4℃で保存した。アルギン酸ゲルに55mmol/L クエン酸ナトリウム溶液(ナカライテスク株式会社、1mL/well)を添加し、37℃で10分間インキュベートしてゾル化させ、マイクロチューブ(エッペンドルフ株式会社)に回収して遠心分離(1,200rpm,5分間)して軟骨細胞のペレットを作成した。マイクロチューブに1mg/mL actinase E (科研製薬株式会社)含有0.2mol/L Tris−HCl(Sigma-Aldrich Co. LLC.)/5mmol/L CaCl(ナカライテスク株式会社)pH7.8 0.5mLで懸濁し、12ウェルプレート(Corning Japan K.K.)に移してシールし、50℃に設定したふ卵器(エスペック株式会社)中で一晩インキュベートした。この消化液の0.4mLを試験管に移し、0.1mg/mL コンドロイチン硫酸(和光純薬工業株式会社)水溶液を250μL、2mmol/L MgSO(和光純薬工業)、0.2mol/L Tris−HCl(Sigma-Aldrich)/5mmol/L CaCl(ナカライテスク株式会社)pH7.8)、1% Cetylpyridinium chrolide (CPC,和光純薬工業株式会社)/20mmol/L NaCl(ナカライテスク株式会社)それぞれ2.5mLを添加し、37℃で3時間インキュベートした。この溶液を真空ポンプ吸引下にガラスフィルター(GC-50, ADVANTEC)でろ過し、1% CPC/20mmol/L NaClで洗浄してフリーの35S標識硫酸を除去した。ガラスフィルターを液体シンチレーションカウンター用のバイアルに移し、5mLのシンチレータ(Hionic-Fluor,株式会社パーキンエルマージャパン)を入れて液体シンチレーションカウンタ(TRI−CARB,株式会社パーキンエルマージャパン)で放射活性を測定した。
消化液の残りの0.1mLはDNA定量に用いた。DNA定量キット(コスモ・バイオ株式会社)の緩衝液1mLに発色液100μLと消化液450μLを混和し、励起356nm,測定458nmで蛍光強度を測定した(Infinite M200, Tecan Group Ltd.)。
DNA濃度の標準曲線は、キット付属の標準液(100μg/mL)を2倍階段希釈して調製した。この標準曲線の測定結果から直線回帰式を作成し(Excel, Microsoft)、サンプルのDNA濃度を算出した。
個々のウエルの放射活性は、DNA含量で標準化した(cpm/μg DNA)。
その結果、陽性対照のTGF−β1は溶媒対照の10倍の放射活性を示し、プロテオグリカンの合成量が増加していることが示された。PTH(1−34)は溶媒対照の6倍の放射活性を示した。化合物7は10−6mol/Lでは溶媒対照の3倍、10−5mol/Lでは溶媒対照の10倍の放射活性を示した(図5)。この結果から、化合物7はヒト関節軟骨細胞において、軟骨基質の合成を促進させる作用があることが明らかになった。
実施例5:ウサギ半月板部分切除モデルにおける化合物7の効果
12週令のNZW系雄性ウサギ(オリエンタル酵母工業株式会社)を5日間の飼育順化後、イソフルラン麻酔下に左膝関節の外側皮膚を切開し、外側側副靭帯および種子骨靭帯を切除し外側半月板を露出させた。外側半月板の中央部を3−4mmの幅で切除し、変形性関節症モデルを作出した(Kikuchi T et al, Osteoarth Cart 1999; 4(2): 99-110.)。このとき、左側大腿部皮下に埋設したオスモティックポンプ3個(2ML1, Durect, Road Cupertino, CA, US)に接続したポリエチレンチューブ3本(PE60,日本ベクトン・ディッキンソン株式会社)の先端を関節内に留置し、関節内に薬液を持続投与した。オスモティックポンプには、1)溶媒対照(50%ジメチルスルホキシド/50%生食,v/v)、2)化合物7 3.0μg/mL,3)化合物7 30μg/mLのいずれかを充顛した。術後7日に再度イソフルラン麻酔し、最初に移植したのと同じ薬剤を充顛したオスモティックポンプを交換した。半月板部分切除術後14日でウサギを安楽死させ、大腿骨および下腿骨を採取し20%中性緩衝ホルマリンに浸漬し固定した。その後、関節軟骨表面の粗造化をインディアインクで染色した(図7)。デジタルマイクロスコープ(VHX−2000,株式会社キーエンス)を用いて下腿骨の表面構造を撮影し、インディアインク陽性の病変部面積と外側顆全体の面積を計測し、病変部の外側顆全体に占める割合を算出した(図6)。その結果、化合物7は用量依存的に病変部面積を小さくすることが判明した。このときの下腿骨の関節軟骨面の写真を図4に示す。
実施例6:正常ラットへの4週間反復経口投与における成長板軟骨への効果
株式会社日本医科学動物資材研究所より入手した雌性RccHan:WISTラットを、20〜26℃、湿度30〜70%の標準実験室条件下で1週間以上順化させた後、実験に使用した。ラットには、水道水ならびに1.1%カルシウム、1.0%リン酸および250IU/100gのビタミンD3を含む標準げっ歯動物飼料(CE−2、日本クレア株式会社)を自由に摂取させた。
6週齢のラットの体重を測定し、1群10匹で各群の平均体重が均等になるようにラットを振り分けて群分けした。群分けの翌日からすべてのラットに4週間1日1回反復投与をした。Vehicle-Control群には、溶媒(Vehicle)を経口投与した。化合物7―6mg/kg、化合物7―60mg/kg、化合物7―600mg/kg群には、Vehicleに懸濁させた化合物7をそれぞれ6mg/kg、60mg/kg、600mg/kgの用量で経口投与した。いずれの群も投与容量は2mL/kgで投与した。Vehicleは、プロピレングリコール(特級、関東化学株式会社)を使用した。最終投与の翌日に麻酔下で腹大動脈より血液を採取してラットを安楽死処置した後、剖検を行い、大腿骨を採取した。大腿骨は10%中性緩衝ホルマリン液で固定し、脱灰後にパラフィン包埋薄切組織標本(ヘマトキシリン・エオジン染色)を作製した。作製した標本の大腿骨遠位端を、光学顕微鏡で病理組織学的に観察した。結果は表1に示し、代表例の組織学的画像を図8に示す。
Figure 0006290138
表1に示すように、化合物7群はVehicle-Control群に対して用量依存的に大腿骨の成長板軟骨を肥厚させた。図8の組織画像から縮尺をもとに代表例の成長板軟骨の幅(矢印)を求めると、Vehicle-Controlの個体は約390μmであり、化合物7―600mg/kgの個体は約2940μmであった。
上記のように化合物7の反復経口投与は、ラットの大腿骨の成長板軟骨を肥厚させた。これらの作用は、化合物7の軟骨同化作用の誘導、軟骨の最終分化の抑制、又は軟骨の増殖亢進によるものであり、化合物7の経口投与は変形性関節症の治療に有効であると考えられる。さらに一般式(1)で表わされる化合物も、強いPTH様作用と高い代謝安定性が参考試験例1乃至5において確認されており、PTH様作用による軟骨同化作用を通じた変形性関節症の治療に有効であることが期待される。
実施例7:成熟齢卵巣摘出ラットへの3か月間反復投与における骨密度に対する効果
日本チャールス・リバー株式会社より入手した雌性Crl:CD(SD)ラットを、20〜26℃、湿度35〜75%の標準実験室条件下で1週間以上順化させた後、実験に使用した。ラットには、水道水ならびに1.1%カルシウム、1.0%リン酸および250IU/100gのビタミンD3を含む標準げっ歯動物飼料(CE−2)(日本クレア株式会社)を自由に摂取させた。
8カ月齢のラットに両側の卵巣摘出術(OVX)及び偽手術(Sham)を施した。手術後3カ月目に体重および腰椎骨密度を測定し、Sham群10匹、OVXラットは1群12匹で5群に振り分けた。各群の平均体重と腰椎BMDが均等になるようにラットを群分けした。群分け後から各ラットに以下の要領で3カ月間1日1回反復投与を行った。Sham−Control群及びOVX−Control群ラットには、経口投与(PO)の溶媒(PO Vehicle)、静脈内投与(IV)の溶媒(IV Vehicle)及び皮下投与(SC)の溶媒(PC buffer)が、それぞれPO、IV及びSC投与された。OVX−化合物7−PO群のラットには、PO Vehicleに溶解させた上述の化合物7が30mg/kgの用量でPO投与され、またIV Vehicle及びPC bufferがそれぞれIV及びSC投与された。OVX−化合物7−IV(低用量)群のラットには、IV Vehicleに溶解させた上述の化合物7が3mg/kgの用量でIV投与され、またPO Vehicle及びPC bufferがそれぞれPO及びSC投与された。OVX−化合物7−IV(高用量)群のラットには、IV Vehicleに溶解させた上述の化合物7が10mg/kgの用量でIV投与され、またPO Vehicle及びPC bufferがそれぞれPO及びSC投与された。OVX−hPTH(1−34)群のラットには、PO Vehicle及びIV VehicleがそれぞれPO及びIV投与され、PC bufferに溶解させたhPTH(1−34)が0.9nmol/kgの用量でSC投与された。
なお、骨粗鬆症治療薬として臨床応用されているForteo(登録商標) 20μgをヒトに投与した際と同程度のAUC(血中濃度―時間曲線下面積)を、ラットに投与した際に示す投与用量として0.9nmol/kgを設定した。いずれの群もPO投与は5mL/kg、IV投与は2mL/kg、皮下投与は1mL/kgの用量でそれぞれ投与した。PO Vehicle又はIV Vehicleは、10%ジメチルスルホキシド(和光純薬工業株式会社)、10%コリフォールEL(シグマ アルドリッチ ジャパン合同会社)、10%ヒドロキシプロピル‐β‐シクロデキストリン(日本食品化工株式会社)をグリシン(和光純薬工業株式会社)及び水酸化ナトリウム(和光純薬工業株式会社)によりpH10に調製した組成のものを使用した。PC bufferは、25mmol/L リン酸・クエン酸緩衝液、100mmol/L NaCl、0.05% Tween80をpH5.0に調製した組成のものを使用した。最終投与の翌日に麻酔下で腹大動脈より血液を採取してラットを安楽死処置した後、剖検を行い腰椎及び大腿骨を採取した。
投与期間中、又は剖検時に一般状態に異常が認められたラットは解析から除外した。最終的な各群の匹数は、Sham−Control群9匹、OVX−Control群12匹、OVX−化合物7−PO群11匹、OVX−化合物7−IV(低用量)群11匹、OVX−化合物7−IV(高用量)群10匹、OVX−hPTH(1−34)群12匹となった。
腰椎及び大腿骨は70%エタノール中に保存した。腰椎及び大腿骨の骨密度を、二重X線骨塩量測定装置(DCS−600EX、アロカ株式会社)を用いて測定した。腰椎骨密度は第2から第4腰椎を測定し、大腿骨骨密度は、大腿骨を縦に10等分して大腿骨頭側3つ分の近位端を測定した。結果を図10に示した。
データは平均値+標準誤差(SE)として示した。JMP 9.02(SAS Institute Inc)を使用し、以下の統計学的解析を実施した。有意水準は両側5%とした。腰椎及び大腿骨骨密度について、2群のt検定によりSham−Control群とOVX−Control群との比較(#P<0.05)を行った。また、OVX−Control群を対照群として、化合物7を投与した3群及びhPTH(1−34)を投与した1群の計4に対するパラメトリックDunnett型多重比較(*P<0.05)を行った。
図10に示すように、大腿骨骨密度においてOVX−Control群はSham−Control群に対して有意な骨密度減少を示し、陽性対照であるOVX−hPTH(1−34)群はOVX−Control群に対して有意な増加を示した。OVX−Control群に対するOVX−hPTH(1−34)群の増加率は14.3%であった。この時OVX−化合物7−PO群及びOVX−化合物7−IV(高用量)群は、OVX−Control群に対して有意な増加を示し、増加率はそれぞれ8.8%及び18.7%であった。
また、腰椎骨密度においてOVX−Control群はSham−Control群に対して有意な骨密度減少を示し、陽性対照であるOVX−hPTH(1−34)群はOVX−Control群に対して有意な増加を示した。OVX−Control群に対するOVX−hPTH(1−34)群の増加率は22.1%であった。この時OVX−化合物7−IV(高用量)群は、OVX−Control群に対して有意な増加を示し、増加率はそれぞれ13.3%であった。
上記の様に化合物7の反復PO又はIV投与では骨粗鬆症の病態モデルであるOVXラットの骨密度が増加したことから、化合物7は、骨粗鬆症、歯周病における骨量減少、抜歯後の歯槽骨損傷等、骨同化作用の誘導、骨量の増加または骨再建が必要な病態に対する予防、治療、改善、回復促進に有効であると考えられる。さらに一般式(1)で表わされる化合物も、強いPTH様作用が参考実施例2および5において確認されており、PTH様作用による骨同化作用を通じた骨密度増加作用が得られることが考えられる。そのため一般式(1)で表わされる化合物についても骨粗鬆症、歯周病における骨量減少、抜歯後の歯槽骨損傷等、骨同化作用の誘導、骨量の増加または骨再建が必要な病態に対する予防、治療、改善、回復促進に有効であると考えられる。
実施例8:ウサギ半月板部分切除モデルにおける化合物7の効果
13週齢のKbl:JW系雄性ウサギ(オリエンタル酵母工業株式会社)を入荷して飼育順化し、10又は11日後イソフルラン麻酔下にて左膝関節の外側皮膚を切開し、外側側副靭帯および種子骨靭帯を切除し外側半月板を露出させた。外側半月板の中央部を3−4mmの幅で切除し、変形性関節症モデルを作出した(Kikuchi T et al, Osteoarth Cart 1999)。半月板部分切除術後3日後にVehicle又は化合物7を低用量(0.4mg)、中用量(2mg)、高用量(10mg)を膝関節内に投与した。Vehicleは生理食塩水を用い、各個体400μLずつ投与した。投与後28日後にウサギを安楽死させ、大腿骨および脛骨を採取し0.5%CPC含有20%中性緩衝ホルマリンに浸漬して固定した。次に10%EDTA液(pH 7.4)で脱灰後、大腿骨及び脛骨における両側顆の一定部位(膝窩筋起始部より5mm遠位の大腿骨顆部横断面及び脛骨顆部中央部横断面)についてパラフィン切片を作製し、サフラニンO染色(サフラニンO、ファストグリーン及び鉄ヘマトキシリン重染色)を行った。
病理組織学的検査は光学顕微鏡(BHS、オリンパス光学工業株式会社)を用いて行った。大腿骨外側顆及び脛骨外側顆の一定部位の標本を用い、軟骨変性を定量的に評価するため、Colomboらの評価法(Colombo C et. al, Arthritis Rheum. 1983; 26: 875−86)を一部改変したKikuchiらの評価基準(Kikuchi T et. al, Osteoarthritis and Cartilage. 1995; 4: 99−110)に従い、表層の消失、軟骨びらん、粗造化/亀裂、プロテオグリカン染色性(サフラニンO染色性)低下、軟骨細胞配列不整、軟骨細胞消失、軟骨下骨露出、(軟骨細胞の)房状集簇形成の8項目について+1〜+4の4段階で評価した。8項目の評価点の総和を総合組織学的評点(総合評点と略)とした(図11)。データは平均値+標準誤差(SE)として示した。病理組織学的検査における評価項目の項目別評点と総合評点については、統計ソフトSPSS 14.0J(日本アイ・ビー・エム(株))を用い、Mann−WhitneyのU検定を行った。有意水準は危険率5及び1%とした。
その結果、病理組織学的検査では、脛骨外側顆軟骨病変において,溶媒対照群と比較して,低用量群で軟骨病変の総合的指標である総合評点が有意な低値(軟骨変性抑制)を示した。中用量、高用量群でも総合評点も低値傾向を示した。
これらのことから化合物7は、脛骨外側顆軟骨病変において軟骨変性抑制作用を有するものと考えられた。
〔参考実施例〕
本発明の内容を以下の参考実施例及び参考試験例でさらに詳細に説明するが、本発明はその内容に限定されるものではない。全ての出発物質および試薬は、商業的供給業者から入手、もしくは公知の方法を用いて合成した。H−NMRスペクトルは、内部標準としてMeSiを用いてまたは用いずに、Mercury300(varian製)、ECP−400(JEOL製)、または400−MR(varian製)を用いて測定した(s=シングレット、d=ダブレット、t=トリプレット、brs=ブロードシングレット、m=マルチプレット)。質量分析は、質量分析装置、ZQ2000(Waters製)、SQD(Waters製)、2020(Shimazu製)を用いて測定した。
参考実施例1
1−(4−(2−((2−(4−フルオロ−3−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−4−オキソ−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)−3,5−ジメチルフェニル)−5,5−ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物1)
(反応1−1)
Figure 0006290138
4−ブロモ−3,5−ジメチルアニリン(3.47g,17.4mmol)とジイソプロピルエチルアミン(5.3ml,30.4mmol)のDMI(13ml)溶液に、2−ブロモイソ酪酸(3.86g,23.1mmol)を室温にて加えた。混合物を100度Cにて1時間加熱攪拌した。さらに、2−ブロモイソ酪酸(496mg,2.97mmol)とジイソプロピルエチルアミン(0.8ml,4.59mmol)を加えた後、混合物を100度Cにて1時間加熱攪拌した。
反応混合物にMeOH(52ml)と5N水酸化ナトリウム水溶液(52ml,260mmol)を室温にて加えた後、この混合物を75度Cにて1.5時間加熱攪拌した。反応混合物を冷却後、水を加え、1N硫酸水素カリウム水溶液でpH5とし、酢酸エチルで抽出した。有機層を水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮し、2−((4−ブロモ−3,5−ジメチルフェニル)アミノ)−2−メチルプロパン酸を粗生成物として得た(5.79g)。
MS(ESI) m/z = 286, 288 (M+H)+
(反応1−2)
Figure 0006290138
2−((4−ブロモ−3,5−ジメチルフェニル)アミノ)−2−メチルプロパン酸(5.79g、反応1−1で得られた化合物)のジクロロメタン(62ml)と酢酸(62ml)混合物にシアン酸ナトリウム(5.03g,59.8mmol)を室温にて加えた。混合物を室温にて3時間攪拌した。反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(400ml)に加えた後、さらに5N水酸化ナトリウム水溶液にてpH7−8とし、酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮した。得られた固体を酢酸エチル−ヘキサン、ジクロロメタン−ヘキサンで順次洗浄し1−(4−ブロモ−3,5−ジメチルフェニル)−5,5−ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオンを得た(3.80g,66%)。
MS(ESI) m/z = 311, 313 (M+H)+
(反応1−3)
Figure 0006290138
8−(ビニルスルホニル)−1,4−ジオキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン(431mg,1.85mmol)、1−(4−ブロモ−3,5−ジメチルフェニル)−5,5−ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオン(575mg,1.85mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(508mg,0.55mmol)、トリ−tert−ブチルホスフィンテトラフルオロホウ酸(165mg,0.55mmol)とメチルジシクロヘキシルアミン(2.1ml,9.25mmol)のN−メチル−2−ピロリドン(18.5ml)混合物を窒素気流下、110度Cにて2時間攪拌した。反応混合物を冷却後、水でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した。得られた残渣をアミノシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン−メタノール)にて精製し、(E)−1−(4−(2−(1,4−ジオキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−イルスルホニル)ビニル)−3,5−ジメチルフェニル)−5,5−ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオンを得た(584mg,68%)。
MS(ESI) m/z = 464 (M+H)+
(反応1−4)
Figure 0006290138
(E)−1−(4−(2−(1,4−ジオキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−イルスルホニル)ビニル)−3,5−ジメチルフェニル)−5,5−ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオン(1.2g,2.58mmol)のテトラヒドロフラン(26ml)溶液に、2N塩酸水溶液(26ml,52mmol)を10分で滴下した。混合物を60度Cにて2時間加熱攪拌した。反応混合物を冷却後、2N水酸化ナトリウム水溶液でpH7とし、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン−酢酸エチル)にて精製し、(E)−1−(3,5−ジメチル−4−(2−((4−オキソピペリジン−1−イル)スルホニル)ビニル)フェニル)−5,5−ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオンを得た(998mg,92%)。
MS(ESI) m/z = 420 (M+H)+
(反応1−5)
Figure 0006290138
(E)−1−(3,5−ジメチル−4−(2−((4−オキソピペリジン−1−イル)スルホニル)ビニル)フェニル)−5,5−ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオン(994mg,2.37mmol)のメタノール(24ml)溶液に、シアン化カリウム(188mg,2.84mmol)と酢酸アンモニウム(237mg,3.08mmol)を室温にて順次加えた。混合物を60〜70度Cにて3時間加熱攪拌した。反応混合物を冷却後、減圧下濃縮し、酢酸エチルで希釈した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン−酢酸エチル)にて精製し、(E)−4−アミノ−1−((4−(5,5−ジメチル−2,4−ジオキソイミダゾリジン−1−イル)−2,6−ジメチルスチリル)スルホニル)ピペリジン−4−カルボニトリルを得た(681mg,68%)。
1H-NMR (300MHz, DMSO-d6) δ: 1.3 (6H, s), 1.7 (2H, m), 2.0 (2H, m), 2.3 (6H, s), 2.7 (2H, s), 2.9 (2H, m), 3.4 (2H, m), 6.9 (1H, d, J = 15.9 Hz), 7.1 (2H, s), 7.4 (1H, d, J = 15.9 Hz), 11.2 (1H, brs)
(反応1−6)
Figure 0006290138
(E)−4−アミノ−1−((4−(5,5−ジメチル―2,4−ジオキソイミダゾリジン−1−イル)−2,6−ジメチルスチリル)スルホニル)ピペリジン−4−カルボニトリル(675mg,1.50mmol)のメタノール(7.5ml)とジメチルスルホキシド(0.195ml)溶液に、室温にて、2N水酸化ナトリウム水溶液(1.6ml,1.6mmol)と30%過酸化水素水(0.2ml,1.95mmol)を順次ゆっくり滴下した。混合物を室温にて1時間攪拌した。反応混合物に酢酸エチル、ヘキサン、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えた。析出した固体を濾取、洗浄、乾燥し、(E)−4−アミノ−1−((4−(5,5−ジメチル―2,4−ジオキソイミダゾリジン−1−イル)−2,6−ジメチルスチリル)スルホニル)ピペリジン−4−カルボキサミドを得た(498mg,72%)。
MS(ESI) m/z = 464 (M+H)+
(反応1−7)
Figure 0006290138
(E)−4−アミノ−1−((4−(5,5−ジメチル−2,4−ジオキソイミダゾリジン−1−イル)−2,6−ジメチルスチリル)スルホニル)ピペリジン−4−カルボキサミド(1.3g,2.8mmol)と水酸化パラジウム/炭素(Pd20%)(約50%水湿潤品)(1.3g)のメタノール(21ml)−ジメチルホルムアミド(7ml)混合物を水素雰囲気下、室温にて4時間攪拌した。反応混合物をろ過、洗浄した後、ろ液を減圧下濃縮し、4−アミノ−1−((4−(5,5−ジメチル−2,4−ジオキソイミダゾリジン−1−イル)−2,6−ジメチルフェネチル)スルホニル)ピペリジン−4−カルボキサミドを得た(998mg,77%)。
MS(ESI) m/z = 466 (M+H)+
(反応1−8)
Figure 0006290138
4−アミノ−1−((4−(5,5−ジメチル−2,4−ジオキソイミダゾリジン−1−イル)−2,6−ジメチルフェネチル)スルホニル)ピペリジン−4−カルボキサミド(120 mg,0.258mmol)、4−フルオロ−3−(トリフルオロメトキシ)安息香酸(69mg,0.309mmol)とジイソプロピルエチルアミン(0.09ml,0.516mmol)のジメチルホルムアミド(2.5ml)溶液に、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェイト(HATU)(118mg,0.309mmol)を加えた。混合物を室温にて1.5時間攪拌した。反応混合物を水でクエンチした後、ジクロロメタンで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで洗浄後、減圧下濃縮し、1−((4−(5,5−ジメチル−2,4−ジオキソイミダゾリジン−1−イル)−2,6−ジメチルフェネチル)スルホニル)−4−(4−フルオロ−3−(トリフルオロメトキシ)ベンズアミド)ピペリジン−4−カルボキサミドを得た(150 mg,67%)。
MS(ESI) m/z = 672 (M+H)+
(反応1−9)
Figure 0006290138
1−((4−(5,5−ジメチル−2,4−ジオキソイミダゾリジン−1−イル)−2,6−ジメチルフェネチル)スルホニル)−4−(4−フルオロ−3−(トリフルオロメトキシ)ベンズアミド)ピペリジン−4−カルボキサミド(150 mg,0.223mmol)のtert−ブタノール(2.5ml)とエタノール(2.5ml)の混合液にカリウムtert−ブトキシド(75mg,0.670mmol)を0度Cにて加えた。混合物を窒素気流下、50度Cにて1.5時間加熱攪拌した。反応混合物を冷却後、水で希釈、飽和塩化アンモニウム水溶液でクエンチし、ジクロロメタンで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン−メタノール)にて精製し、1−(4−(2−((2−(4−フルオロ−3−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−4−オキソ−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)−3,5−ジメチルフェニル)−5,5−ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオンを得た(118mg,81%)。
MS(ESI) m/z = 654 (M+H)+。1H-NMR (400MHz, CD3OD) δ: 1.40 (6H, s), 1.71-1.80 (2H, m), 2.00-2.08 (2H, m), 2.43 (6H, s), 3.22 (4H, s), 3.47-3.57 (2H, m), 3.80-3.88 (2H, m), 7.01 (2H, s), 7.50-7.57 (1H, m), 7.97-8.04 (1H, m), 8.05-8.12 (1H, m)
適切なカルボン酸出発原料、試薬、溶媒を用い、参考実施例1の反応1−8、反応1−9と同様な操作により、以下に示す参考実施例化合物を合成した。
(化合物2−5)
Figure 0006290138
参考実施例2
1−(3,5−ジメチル−4−(2−((4−オキソ−2−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)フェニル)−5,5−ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物6)
(反応2−1)
Figure 0006290138
WO2010/126030(A1)のスキーム2、スキーム3、およびスキーム12に記載の方法に従って合成した、2−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−8−(ビニルスルホニル)−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−4−オン(150 mg,0.387mmol)、1−(4−ブロモ−3,5−ジメチルフェニル)−5,5−ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオン(169mg,0.542mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(45mg,0.077mmol)、トリ−tert−ブチルホスフィンテトラフルオロホウ酸(22mg,0.077mmol)とメチルジシクロヘキシルアミン(0.123ml,0.581mmol)のN−メチル−2−ピロリドン(0.97ml)混合物を窒素気流下、100度Cにて1時間加熱攪拌した。反応混合物を冷却後、水でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル−ヘキサン)にて精製し、(E)−1−(3,5−ジメチル−4−(2−((4−オキソ−2−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)ビニル)フェニル)−5,5−ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオンを得た(197mg,82%)。
MS(ESI) m/z = 618 (M+H)+。
(反応2−2)
Figure 0006290138
(E)−1−(3,5−ジメチル−4−(2−((4−オキソ−2−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)ビニル)フェニル)−5,5−ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオン(195mg,0.316mmol)と水酸化パラジウム/炭素(Pd20%)(約50%水湿潤品)(195mg,0.139mmol)の2,2,2−トリフルオロエタノール(6ml)混合物を水素雰囲気下、室温にて14時間攪拌した。混合物をろ過した後、ろ液を減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル−ヘキサン)にて精製し、1−(3,5−ジメチル−4−(2−((4−オキソ−2−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)フェニル)−5,5−ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオンを得た(121mg,62%)。
MS(ESI) m/z = 620 (M+H)+。1H-NMR (400MHz, CD3OD) δ: 1.40 (6H, s), 1.72-1.81 (2H, m), 2.00-2.10 (2H, m), 2.44 (6H, s), 3.22 (4H, s), 3.50-3.58 (2H, m), 3.80-3.88 (2H, m), 7.01 (2H, s), 7.72-7.79 (1H, m), 7.88-7.94 (1H, m), 8.16-8.23 (1H, m), 8.31 (1H, s)
参考実施例3
1−(3,5−ジメチル−4−(2−((4−オキソ−2−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)フェニル)−5,5−ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物7)
(反応3)
Figure 0006290138
適切な出発原料、溶媒を用い、参考実施例2と同様な操作により、1−(3,5−ジメチル−4−(2−((4−オキソ−2−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)フェニル)−5,5−ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物7)を合成した。
MS(ESI) m/z = 636 (M+H)+。1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ: 1.47 (6H, s), 1.70-1.78 (2H, m), 2.10-2.19 (2H, m), 2.40 (6H, s), 3.00-3.07 (2H, m), 3.19-3.25 (2H, m), 3.45-3.53 (2H, m), 3.81-3.88 (2H, m), 6.94 (2H, s), 7.35 (2H, d, J = 8.0 Hz), 7.73 (1H, brs), 7.93 (2H, d, J = 8.0 Hz), 9.37 (1H, brs)
参考実施例4
1−(3,5−ジメチル−4−(2−((4−オキソ−2−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)フェニル)−1,3−ジアザスピロ[4.4]ノナン−2,4−ジオン(化合物8)
(反応4−1)
Figure 0006290138
シクロペンタノン(42mg,0.500mmol)と4−ブロモ−3,5−ジメチルアニリン(100 mg,0.500mmol)の酢酸(0.5ml)混合物にシアン化トリメチルシリル(0.063ml,0.500mmol)を室温にて加えた。混合物を窒素気流下、室温にて1.5時間攪拌した。反応混合物を28%アンモニア水(1ml)に入れクエンチした後、水で希釈し、ジクロロメタンで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧下濃縮し1−((4−ブロモ−3,5−ジメチルフェニル)アミノ)シクロペンタンカルボニトリルを粗生成物として得た(152mg)。
1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ: 1.83-1.92 (4H, m), 2.07-2.15 (2H, m), 2.33-2.42 (2H, m), 2.37 (6H, m), 3.71 (1H, brs), 6.56 (2H, s)
(反応4−2)
Figure 0006290138
1−((4−ブロモ−3,5−ジメチルフェニル)アミノ)シクロペンタンカルボニトリル(145mg,0.495mmol)のジクロロメタン(5ml)溶液に、2,2,2−トリクロロアセチルイソシアナート(0.070ml,0.593mmol)を室温にて加えた。混合物を窒素気流下、室温にて1時間攪拌した。
反応混合液に、トリエチルアミン(0.103ml,0.742mmol)、水(0.045ml)およびメタノール(0.10ml)を順次加えた後、混合物を窒素気流下、1.5時間加熱還流した。反応混合物を冷却後、水で希釈し、1N塩酸水溶液でpH5とした後、ジクロロメタンで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧下濃縮し1−(4−ブロモ−3,5−ジメチルフェニル)−4−イミノ−1,3−ジアザスピロ[4.4]ノナン−2−オンを粗生成物として得た。
MS(ESI) m/z = 336, 338 (M+H)+。
(反応4−3)
Figure 0006290138
1−(4−ブロモ−3,5−ジメチルフェニル)−4−イミノ−1,3−ジアザスピロ[4.4]ノナン−2−オン(前反応で得た粗生成物)の酢酸(1.0ml)と水(0.25ml)の混合物を窒素気流下、65度Cにて1.5時間加熱攪拌した。さらに、酢酸(1.0ml)と水(0.25ml)を加えた後、混合物を窒素気流下、65度Cにて17時間加熱攪拌した。反応混合物を冷却後、水で希釈、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液でpH8とし、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル−ヘキサン)にて精製し1−(4−ブロモ−3,5−ジメチルフェニル)−1,3−ジアザスピロ[4.4]ノナン−2,4−ジオンを得た(121mg)。
MS(ESI) m/z = 337, 339 (M+H)+。
(反応4−4)
Figure 0006290138
適切な出発原料、溶媒を用い、参考実施例2と同様な操作により、1−(3,5−ジメチル−4−(2−((4−オキソ−2−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)フェニル)−1,3−ジアザスピロ[4.4]ノナン−2,4−ジオン(化合物8)を得た。
MS(ESI) m/z = 662 (M+H)+。1H-NMR (400MHz, DMSO-d6) δ: 1.36-1.44 (2H, m), 1.60-1.70 (4H. m), 1.82-1.91 (2H, m), 1.91-2.06 (4H, m), 2.38 (6H, s), 3.01-3.09 (2H, m), 3.22-3.30 (2H, m), 3.30-3.42 (2H, m), 3.70-3.77 (2H, m), 7.03 (2H, s), 7.57 (2H, d, J = 8.4 Hz), 8.14 (2H, d, J = 8.4 Hz)
参考実施例5
1−(3,5−ジメチル−4−(2−((4−オキソ−2−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)フェニル)−8−メチル−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン(化合物9)
(反応5−1)
Figure 0006290138
出発原料として4−オキソピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルを用い、また、適切な溶媒を用い、参考実施例4と同様な操作により、1−(3,5−ジメチル−4−(2−((4−オキソ−2−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)フェニル)−2,4−ジオキソ−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−8−カルボン酸tert−ブチルを得た。
MS(ESI) m/z = 777 (M+H)+。
(反応5−2)
Figure 0006290138
1−(3,5−ジメチル−4−(2−((4−オキソ−2−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)フェニル)−2,4−ジオキソ−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−8−カルボン酸tert−ブチル(11.7mg,0.015mmol)のジクロロメタン(0.13ml)混合液に、トリフルオロ酢酸(0.05ml,0.673mmol)を室温にて加えた。混合物を窒素気流下、室温にて1時間攪拌した。反応混合物を減圧下濃縮し、1−(3,5−ジメチル−4−(2−((4−オキソ−2−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)フェニル)−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン2トリフルオロ酢酸塩を得た(13.6mg)。
MS(ESI) m/z = 677 (M+H)+。
(反応5−3)
Figure 0006290138
1−(3,5−ジメチル−4−(2−((4−オキソ−2−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)フェニル)−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン2トリフルオロ酢酸塩(21.1mg,0.022mmol)のギ酸(0.033ml)混合物に、37%ホルムアルデヒド水溶液(0.055ml)を加えた。混合物を窒素気流下、80度Cにて3時間加熱攪拌した。反応混合物を濃縮後、残渣を酢酸エチルで希釈した。有機層を希水酸化ナトリウム水溶液で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン−メタノール)にて精製し、1−(3,5−ジメチル−4−(2−((4−オキソ−2−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)フェニル)−8−メチル−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオンを得た(4.5mg,30%)。
MS(ESI) m/z = 691 (M+H)+。1H-NMR (400MHz, CD3OD) δ: 1.76-1.84 (2H, m), 1.92-2.02 (2H, m), 2.02-2.12 (4H, m), 2.38 (3H, s), 2.46 (6H, s), 2.81-2.88 (2H, m), 2.92-3.02 (2H, m), 3.23 (4H, s), 3.51-3.60 (2H, m), 3.72-3.80 (2H, m), 7.01 (2H, s), 7.48 (2H, d, J = 8.0 Hz), 8.10 (2H, d, J = 8.0 Hz)
参考実施例6
5−(3,5−ジメチル−4−(2−((4−オキソ−2−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)フェニル)−2−オキサ−5,7−ジアザスピロ[3.4]オクタン−6,8−ジオン(化合物10)
(反応6)
Figure 0006290138
出発原料としてオキセタン−3−オンを用い、また、適切な溶媒を用い、参考実施例4と同様な操作により、5−(3,5−ジメチル−4−(2−((4−オキソ−2−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)フェニル)−2−オキサ−5,7−ジアザスピロ[3.4]オクタン−6,8−ジオンを得た。
MS(ESI) m/z = 650 (M+H)+。1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ: 1.69-1.77 (2H, m), 2.12-2.22 (2H, m), 2.45 (6H, s), 3.03-3.11 (2H, m), 3.22-3.29 (2H, m), 3.46-3.53 (2H, m), 3.84-3.91 (2H, m), 4.86 (2H, d, J = 7.2 Hz), 5.03 (2H, d, J = 7.2 Hz), 7.07 (2H, s), 7.35 (2H, d, J = 8.4 Hz), 7.98 (2H, d, J = 8.4 Hz), 8.56 (1H, s), 10.34 (1H, s)
参考実施例7
4−(3,5−ジメチル−4−(2−((4−オキソ−2−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)フェニル)−4,6−ジアザスピロ[2.4]ヘプタン−5,7−ジオン(化合物11)
(反応7−1)
Figure 0006290138
2−ブロモ−5−ヨード−1,3−ジメチルベンゼン(300 mg,0.965mmol)、1−アミノシクロプロパンカルボン酸(195mg,1.93mmol)、ヨウ化銅(I)(37mg,0.194mmol)とジアザビシクロウンデセン(0.50ml,3.35mmol)のジメチルアセトアミド(2.6ml)混合物を窒素気流下、120度Cにて3時間加熱攪拌した。反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Wakosil C18,アセトニトリル−水(0.1%ギ酸))にて精製し、1−((4−ブロモ−3,5−ジメチルフェニル)アミノ)シクロプロパンカルボン酸を得た(219mg,80%)。
MS(ESI) m/z = 284, 286 (M+H)+。
(反応7−2)
Figure 0006290138
1−((4−ブロモ−3,5−ジメチルフェニル)アミノ)シクロプロパンカルボン酸(198mg,0.697mmol)の酢酸(3ml)とジクロロメタン(1.5ml)混合物に、シアン酸カリウム(424mg,5.23mmol)を室温にて加えた。混合物を室温にて1時間攪拌した後、60度Cにて2時間加熱攪拌した。反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液でpH8とした後、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル−ヘキサン)にて精製し、4−(4−ブロモ−3,5−ジメチルフェニル)−4,6−ジアザスピロ[2.4]ヘプタン−5,7−ジオンを得た(49mg,23%)。
MS(ESI) m/z = 309, 311 (M+H)+。
(反応7−3)
Figure 0006290138
適切な出発原料、溶媒を用い、参考実施例2と同様な操作により、4−(3,5−ジメチル−4−(2−((4−オキソ−2−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)フェニル)−4,6−ジアザスピロ[2.4]ヘプタン−5,7−ジオン(化合物11)を得た。
MS(ESI) m/z = 634 (M+H)+。1H-NMR (400MHz, DMSO-d6) δ: 0.99-1.03 (2H, m), 1.19-1.27 (4H, m), 1.58-1.64 (2H, m), 1.81-1.90 (2H, m), 2.35 (6H, s), 2.99-3.04 (2H, m), 3.22-3.29 (2H, m), 3.67-3.73 (2H, m), 6.95 (2H, s), 7.56 (2H, d, J = 8.4 Hz), 8.12 (2H, d, J = 8.4 Hz)
参考実施例8
1−(3,5−ジメチル−4−(2−((4−オキソ−2−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)フェニル)−1,3−ジアザスピロ[4.4]ノナン−2,4−ジオン(化合物12)
(反応8)
Figure 0006290138
適切な出発原料、溶媒を用い、参考実施例2と同様な操作により、1−(3,5−ジメチル−4−(2−((4−オキソ−2−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)フェニル)−1,3−ジアザスピロ[4.4]ノナン−2,4−ジオンを得た。
MS(ESI) m/z = 646 (M+H)+。1H-NMR (400MHz, DMSO-d6) δ: 1.40-1.48 (2H, m), 1.62-1.71 (4H, m), 1.88-1.97 (2H, m), 1.97-2.08 (4H, m), 2.41 (6H, s), 3.03-3.10 (2H, m), 2.29-3.34 (2H, m), 3.38-3.47 (2H, m), 3.72-3.79 (2H, m), 7.06 (2H, s), 7.84 (1H, dd, J = 7.6, 7.6 Hz), 8.02 (1H, d, J = 7.6 Hz), 8.33 (1H, d, J = 7.6 Hz), 8.38 (1H, s)
〔参考試験例〕
本発明の化合物について、ヒトPTH1Rを介するcAMP産生能、ラット受容体を介するcAMP産生能、ヒト肝ミクロソームを用いた代謝安定性、ラット肝細胞を用いた代謝安定性、TPTXラットモデルでの血清Ca濃度上昇作用、に対する各試験結果を参考試験例1〜5に示す。尚、比較化合物として、表3に示すWO2010/126030A1に記載の化合物を用いた。
Figure 0006290138
参考試験例1:ヒトPTH1Rにおける化合物のインビトロcAMPシグナル活性の測定
(ペプチド)
ヒトPTH(1−34)およびカルシトニンはペプチド研究所(日本、大阪)より購入して、10mM酢酸に溶解して1mMとし、−80℃冷凍庫で保存した。
(細胞培養)
細胞は、10%ウシ胎児血清(Hyclone)、100単位/mlペニシリンG、および100μg/ml硫酸ストレプトマイシン(Invitrogen Corp)を添加したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中で、5%CO2含有加湿雰囲気下、37℃で培養した。
PTH1Rを発現していないLLC−PK1細胞、および、LLC−PK1の1細胞あたり9.5×10個のヒトPTH1Rを過剰発現するHKRK−B7を、cAMPシグナル伝達分析に用いた(Takasu et al., J. Bone. Miner. Res. 14:11-20, 1999)。
(cAMP刺激)
HKRK−B7またはLLC−PK1細胞を1X10細胞/ウェルで96ウェルプレートに播種し、一晩インキュベーションした。翌日、次にヒトPTH(1−34)または化合物を含む50μlのcAMPアッセイ緩衝液(DMEM、2mM IBMX、0.2mg/mlウシ血清アルブミン、35mM Hepes−NaOH、pH7.4)を加え、37℃のインキュベーター中に置き、20分間インキュベーションした。培地を除去した後、細胞を100μlのcAMPアッセイ緩衝液で1回洗浄した。細胞を凍結させるためにプレートをドライアイス粉末上に置き、その後ドライアイスから取り出した。40μlの50mM HClを用いて細胞を融解させ、ドライアイス上で再度凍結させた。市販のcAMP EIAキット(Biotrack cAMP EIA system, GE health care)を用いて細胞内cAMPの産生量を測定した。
(インビトロcAMP誘導能の測定での20%有効濃度(EC20)および50%有効濃度(EC50)の算出。)
可変勾配によるS字形用量反応式を用いて解析し、100nMでのヒトPTH(1−34)のcAMPシグナル活性を100%として、各化合物が20%もしくは50%のcAMPシグナル活性を示す濃度をEC20もしくはEC50として算出した。
HKRK−B7細胞における結果を表4に示す。
なお、LLC−PK1細胞においてのcAMP応答の程度はHKRK−B7細胞での程度に比べ低いものであった。
Figure 0006290138
参考試験例2:ラットPTH1Rにおける化合物のインビトロcAMPシグナル活性の測定
HKRK−B7細胞の代わりに中外製薬で樹立したラットPTH1Rを過剰発現するLLC−PK46_RATO_PTH1R細胞を用いて参考試験例1と同様に測定を行った。
LLC−PK46_RATO_PTH1R細胞を用いた結果を表5に示す。
ラットPTH1受容体におけるインビトロcAMPシグナル活性のEC20値は、ヒトPTH1RにおけるインビトロcAMPシグナル活性のEC20値と良好な相関関係にあった。EC50値についても、ラットとヒトの間で良好な相関関係にあった。
Figure 0006290138
参考試験例3:ヒト肝ミクロソームを用いた代謝安定性試験
0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4)中、ヒト肝ミクロゾームと化合物あるいは比較例をNADPH共存下37℃で所定の時間インキュベーションした。各反応時間における親化合物濃度をLC/MS/MSを用いて測定し、反応時間に対する残存率の傾きから固有クリアランス(μL/min/mg protein)を算出した。
<アッセイ条件>
化合物濃度: 1μM
ミクロゾーム: 0.5mg/mL
NADPH: 1mM
反応時間: 0、5、15および30分
結果を表6に示す。化合物1〜11は比較例1〜6に比べヒト肝ミクロソームに対し高い代謝安定性を示した。
Figure 0006290138
参考試験例4:ラット肝細胞を用いた代謝安定性試験
ラット(SD、♀)の肝臓からコラゲナーゼ還流法により肝細胞を調製した。参考実施例化合物あるいは比較例を添加して37℃で所定の時間インキュベーションした後反応停止液を添加した。各反応時間における親化合物濃度をLC/MS/MSを用いて測定し、反応時間に対する残存率の傾きから固有クリアランス(μL/10cells/min)を算出した。
<アッセイ条件>
細胞濃度: 1×10cells/mL
化合物濃度: 1μM
培地: Williams' medium E
反応時間: 0、15、30、60、120および240分
反応停止液: アセトニトリル/2−プロパノール(4/6、v/v)
結果を表7に示す。化合物2、4、5、6、7、8、9、10、11の化合物は比較例1、2、3、5、6に比べラット肝細胞代謝安定性が向上した。
Figure 0006290138
参考試験例5:TPTXラットモデルでの血清Ca濃度上昇作用
4週齢の雌性Crl:CD(SD)ラットを日本チャールス・リバー株式会社(厚木飼育センター)より入手し、20〜26℃、湿度35〜75%の標準実験室条件下で1週間順化させた。ラットには、水道水ならびに1.1%カルシウム、1.0%リン酸および250IU/100gのビタミンD3を含む標準げっ歯動物飼料(CE−2)(日本クレア株式会社)を自由に摂取させた。
5週齢のラットにTPTXを実施した。一部の個体には、偽手術(Sham)を実施した。使用するためのTPTXラットは、手術4日後の血清Ca濃度が8mg/dL未満の個体を選択した。手術5日後に、手術4日後に測定した血清Ca濃度と体重に基づき、各群5匹ずつ8つのTPTX群と1つのSham群に振り分けた。Sham群およびTPTX−Vehicle群には、溶媒のみを10mL/kgの用量で経口投与した。TPTX−各検体群には、各検体30 mg/10mL/kgの用量で溶媒に溶解させてそれぞれ経口投与した。溶媒の組成は、10%ジメチルスルホキシド(和光純薬工業株式会社)、10%クレモフォールEL(シグマ アルドリッチ ジャパン合同会社)、20%ヒドロキシプロピル‐β‐シクロデキストリン(日本食品化工株式会社)、グリシン(和光純薬工業株式会社)によりpH10に調製したものを使用した。各々の投与直前にPre採血をし、投与2、6、10および24時間後にも採血を実施して血清Ca濃度を測定した。各血液採取はイソフルラン吸入麻酔下にて頸静脈から行った。
血清のCaの測定。採取した血液から遠心分離により取得した血清を、自動分析装置TBA−120FR(東芝メディカルシステムズ株式会社)を用いて測定した。
動物試験についての統計解析。データを平均値±標準誤差(SE)として表す。統計的有意性は、SAS前臨床パッケージ(Ver.5.00.010720、SAS Institute Japan, Tokyo, Japan)を使用して決定した。<0.05のp値を統計的に有意とみなした。2群のt検定によりTPTX‐Vehicle群に対して#P<0.05、比較例1の群に対して*P<0.05、比較例2の群に対して∫P<0.05として示した。
血清Ca濃度のPre値は、Sham群で9.9mg/dL、TPTX各群で5.3〜6.2mg/dLであった。各化合物の投与後24時間までの血清Ca濃度について、Pre値からの変化量を平均した値を図9に示した。また、各化合物を投与した後の血清Ca濃度のピークは、どの化合物についても投与6時間後、もしくは10時間後であった。
ラット肝細胞代謝安定性の高い、化合物6、化合物7、化合物8は、pre値からの正の変化量が大きく、経口投与において強い血清Ca濃度上昇作用が認められた。一方、ラット肝細胞代謝安定性の低い、化合物1、比較例1、比較例2のPre値からの正の変化量は化合物6、化合物7、化合物8に比べ小さかった。特に化合物7、化合物8は比較例1、比較例2に対し統計上優位であった。
さらに、ラット肝細胞代謝安定性の高い、化合物6、化合物7、化合物8は、投与後6時間もしくは10時間後において、各化合物の最大値として7.8〜8.5mg/dLの値を示し、副甲状腺機能低下症患者での血清Ca濃度の治療目標域7.6〜8.8mg/dLを達成した。一方、ラット肝細胞代謝安定性の低い、化合物1、比較例1、比較例2はすべての測定時間において、この治療目標域に達しなかった。
以上の試験結果から、ラットPTH1Rを強制発現させた細胞において強いcAMPシグナル活性を示し、かつラット肝細胞での代謝に対して高い安定性を示す、化合物6、化合物7、化合物8は、ラットにおいて、経口投与下で強い血清Ca濃度上昇作用が認められた。これら化合物はヒトPTH1Rを強制発現させた細胞でのcAMPシグナル活性を有し、ヒト肝ミクロソーム代謝安定性が比較化合物に比べ高く、経口投与で副甲状腺機能低下症患者への高い治療効果が期待される。さらに、化合物6、化合物7、化合物8と同じ程度のヒトPTH1Rを強制発現させた細胞でのcAMPシグナル活性とヒト肝ミクロソーム代謝安定性を示す一般式(1)で表わされる化合物についても副甲状腺機能低下症患者への高い治療効果が期待される。
本発明により、高い代謝安定性を有し、強力なPTH様作用を発揮するヒダントイン誘導体を非侵襲的に全身曝露または局所暴露させることで骨・軟骨同化作用を誘導させ、骨粗鬆症、歯周病における骨量減少、抜歯後の歯槽骨欠損、変形性関節症、関節軟骨欠損、無形成骨症、軟骨無形成症、軟骨低形成症、骨軟化症、骨折などに対する予防、治療、回復および治癒促進するための医薬が提供される。

Claims (6)

  1. 以下からなる群より選択される化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含む、副甲状腺機能低下症を予防もしくは治療するため、または骨および/もしくは軟骨同化作用を誘導するための医薬組成物:
    1−(4−(2−((2−(4−フルオロ−3−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−4−オキソ−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)−3,5−ジメチルフェニル)−5,5−ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオン;
    1−(4−(2−((2−(3−ブロモフェニル)−4−オキソ−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)−3,5−ジメチルフェニル)−5,5−ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオン:
    1−(4−(2−((2−(4−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−4−オキソ−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)−3,5−ジメチルフェニル)−5,5−ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオン;
    1−(4−(2−((2−(3−フルオロ−4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−4−オキソ−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)−3,5−ジメチルフェニル)−5,5−ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオン;
    1−(4−(2−((2−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−4−オキソ−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)−3,5−ジメチルフェニル)−5,5−ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオン;
    1−(3,5−ジメチル−4−(2−((4−オキソ−2−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)フェニル)−5,5−ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオン;
    1−(3,5−ジメチル−4−(2−((4−オキソ−2−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)フェニル)−5,5−ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオン):
    1−(3,5−ジメチル−4−(2−((4−オキソ−2−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)フェニル)−1,3−ジアザスピロ[4.4]ノナン−2,4−ジオン;
    1−(3,5−ジメチル−4−(2−((4−オキソ−2−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)フェニル)−8−メチル−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン;
    5−(3,5−ジメチル−4−(2−((4−オキソ−2−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)フェニル)−2−オキサ−5,7−ジアザスピロ[3.4]オクタン−6,8−ジオン;および
    4−(3,5−ジメチル−4−(2−((4−オキソ−2−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)フェニル)−4,6−ジアザスピロ[2.4]ヘプタン−5,7−ジオン。
  2. 化合物が1−(3,5−ジメチル−4−(2−((4−オキソ−2−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)フェニル)−5,5−ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオンまたはその薬理学的に許容される塩である、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 化合物が1−(3,5−ジメチル−4−(2−((4−オキソ−2−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)フェニル)−5,5−ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオンまたはその薬理学的に許容される塩である、請求項1に記載の医薬組成物。
  4. 化合物が1−(3,5−ジメチル−4−(2−((4−オキソ−2−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)フェニル)−1,3−ジアザスピロ[4.4]ノナン−2,4−ジオンまたはその薬理学的に許容される塩である、請求項1に記載の医薬組成物。
  5. 医薬組成物が、骨粗鬆症の予防又は治療、歯周病における骨量減少の改善、抜歯後の歯槽骨欠損の回復促進、変形性関節症の予防又は治療、関節軟骨欠損の回復促進、無形成骨症の予防又は治療、軟骨無形成症の予防又は治療、軟骨低形成症の予防又は治療、骨軟化症の予防又は治療、或いは、骨折の回復促進用である、請求項1〜のいずれかに記載の医薬組成物。
  6. 医薬組成物が、副甲状腺機能低下症の予防もしくは治療用である、請求項1〜のいずれかに記載の医薬組成物。
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