JP6289890B2 - 車両用ホイールのリム構造およびその製造方法 - Google Patents
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Description
上記共鳴器はリムの周方向に複数並べて配置されている。タイヤの衝撃入力箇所による減衰効果のばらつきを抑制するためである。
特許文献1に開示された車両用ホイールのリム構造では、リムと別体をなす複数の共鳴器が周方向に並んでリムに固定されている。しかし、このリム構造では共鳴器自体のコストが高く、共鳴器をリムに固定する作業も煩雑で、この点からもコストが嵩む。
しかし、このリム構造では、周方向に間隔をおいて隔壁を取り付ける作業が煩雑であり、コストが嵩む。
しかし、特許文献3のリム構造では、押し出し成形時に複数の空洞を作るため押し出し成形のコストが嵩む。また、型材を丸める工程で複数の空洞を有する複雑な断面形状が歪み、しかも両端を溶接する際に空洞を位置決めするのに困難が伴い、要求されるロードノイズ減衰効果を発揮できないおそれがある。
リムと、このリムに設けられた複数の共鳴器とを備え、
各共鳴器が、副気室と、上記リムに装着すべきタイヤの内部空間からなる主気室に上記副気室を連通させる連通孔と、を有する車両用ホイールのリム構造において、
上記リムは、周方向に延びる複数の溝が軸方向に並んで配された溝形成部を有し、
上記リムの溝形成部には、被覆部材が上記複数の溝を被覆するようにして設けられ、
上記複数の溝は、上記被覆部材に被覆されることにより互いに独立した複数の上記副気室としてそれぞれ提供され、
上記被覆部材または上記リムの溝形成部には、上記複数の副気室を上記主気室にそれぞれ連通させる複数の上記連通孔が形成され、
上記複数の共鳴器の連通孔は周方向に離間して配置されていることを特徴とする。
他の態様では、上記溝形成部の複数の溝が上記リムの径方向内方向に開放され、上記被覆部材が上記溝形成部の内周に設けられ、この溝形成部に上記連通孔が形成されている。
これによれば、波状の断面形状を有する溝形成部をロール成形や圧延等の手段を用いて、より低コストでリム構造を製造することができる。
円筒体を提供する第1の工程と、
上記円筒体を成形することにより、波状の断面形状を有する環状の溝形成部を成形する工程であって、この溝形成部が軸方向に配された複数の環状溝を有する第2の工程と、
上記溝形成部の外周または内周に、全周にわたって被覆部材を設け、この被覆部材で上記複数の環状溝を被覆することにより、上記複数の副気室を得る第3の工程と、
上記円筒体を成形してリムを得る第4の工程と、
上記被覆部材または上記溝形成部に、上記複数の副気室にそれぞれ対応する上記複数の連通孔を、互いに周方向に離間して形成する第5工程と、
を備えたことを特徴とする。
これによれば、短円筒状の被覆部材を用いるので、より一層製造コストを低減できる。
同一断面形状を有する帯板を提供する工程であって、この帯板が、上記リムの最終形状または最終形状に近い断面形状を有するとともに、長手方向に延びる複数の溝を含む溝形成部を有する第1の工程と、
上記帯板を丸めて上記リムを得る第2の工程と、
上記リムの溝形成部の外周または内周を被覆部材により全周にわたって被覆する第3の工程と、
上記被覆部材または上記溝形成部に、上記複数の副気室にそれぞれ対応する上記複数の連通孔を、互いに周方向に離間して形成する第4の工程と、
を備えたことを特徴とする。
この方法でも、共鳴器を高精度で作れるので所望の気柱共鳴減衰効果を確実に得ることができるとともに、リム構造の製造コストを低減できる。
まず、完成品である車両用ホイール1について図3を参照しながら説明する。この車両用ホイール1は、周知の車両用ホイールと同様に、筒形状のリム10と、このリム10の内周面に溶接等で周縁部が固定されたディスク20とを備えている。
タイヤが装着された状態で、タイヤの内部空間は密閉された主気室2となる。
上記溝形成部30は、全周にわたって等しい波状の横断面形状を有しており、径方向内方向に突出する同一形状の複数(例えば4つ)の第1波部30aが、軸方向に等間隔をおいて配されている。別の見方で表現すると、径方向外方向に突出する同一形状の複数(例えば3つ)の第2波部30bが軸方向に等間隔をおいて配されている。
上記第1波部30aは、径方向外方向に開放された環状溝30x(周方向に延びる溝)を有している。
上記被覆部材31は、上記複数の環状溝30xを覆うとともに、上記第2波部30bに接することにより、複数の環状溝30xを互いに隔離している。これにより、これら環状溝30xは、それぞれ独立した副気室として提供される。
上記複数の連通孔31aは互いに周方向に離れている。本実施形態では図4に示すように、4つの連通孔31aが周方向に等間隔離れた位置P1〜P4に形成されている。
なお、上記リム10は、断面形状が波状をなす溝形成部30により径方向の荷重に対する強度が高められる。
図1に示すように、第1の工程で、スチール製の帯板を丸め、その両端を溶接して円筒体10’を作る。第2の工程で、この円筒体10’をロール成形することによりその軸方向の所定箇所に、波状の断面形状を有する溝形成部30を全周にわたって成形する。本実施形態では、第1波部30aが円筒体10’から径方向内方向に突出するように成形する。
これにより、複数の環状溝30xが互いに独立した副気室となる。
さらに、リム10にディスク20を溶接する。
なお、上記第5工程の実行時期は最後でなくてもよく、例えば上記第3工程に先立って被覆部材31に連通孔31aを形成してもよいし、上記第3工程と第4工程の間に実行してもよい。
図5に示す第2実施形態では、溝形成部30の外周に固定された被覆部材31に加えて、溝形成部30の内周にも他の短円筒形状の被覆部材34が固定されている。この被覆部材34は溝形成部30の第1波部30aに接し、第2波部30bで囲われた環状溝30y(径方向内方向に開放された環状溝)を塞いでおり、これにより、環状溝30yも副気室として提供されている。
上記共鳴器32,35は、等しい周波数帯域の音を減衰させてもよいし、異なる周波数帯域の音を減衰させるようにしてもよい。
図6に示す第3実施形態では、短円筒形状の被覆部材34を第1実施形態と同様に円筒体10’の溝形成部30に固定してもよいし、リム10の成形後(第4工程の後)に溝形成部30に固定してもよい。後者の場合、溝形成部30の成形はリム10の成形と同時期に行うこともできる。
同一断面形状を有する帯板を圧延により成形する。この断面形状は、上記リムの最終形状または最終形状に近い断面形状を有し、長手方向に延びる複数の溝を含む溝形成部30も成形されている。この帯板を所定長さに切断して丸めてリム10を得る。
次に、上記リム10の溝形成部30の外周または内周に、被覆部材31及び又は34を全周にわたって固定する。
上記被覆工程に相前後して、上記被覆部材31及び/又は上記溝形成部30に、上記複数の副気室にそれぞれ対応する上記複数の連通孔31a,31b,30zを、互いに周方向に離間して形成する。
なお、この製造方法を採用する場合、所定長さの帯板を溝形成部30の外周に巻くか、一対の半円筒形状の部材を用いて、被覆部材31を構成する。
ロール成形による製造方法において、短円筒形状の被覆部材の代わりに帯状の被覆部材を用いる場合、被覆部材の装着(第3工程)はリム成形(第4工程)の後であってもよい。この場合、溝形成部はリム全体の成形の工程で実行することができる(第2工程と第4工程の同時実行)。
上記実施形態では、波状にロール成形することにより溝形成部を得たが、切削、鋳造により得てもよい。
上記実施形態では溝形成部をウエル部の大径部に設けたが、主気室に連なる任意の場所(一対のハンプ部間)、例えばウエル部の小径部や、ウエル部とビードシート部を連ねる立ち上がり部に設けてもよい。
上記実施形態では、溝形成部の溝(副気室)はリム全周にわたって形成され環状をなしているが、所定角度範囲にわたって周方向に延びていてもよい。
被覆部材は、上述した短円筒形状、帯板の他に、アルミテープ、樹脂シート等であってもよい。
10 リム
30 溝形成部
30x、30y 副気室(環状溝)
30z 連通孔
31、34 被覆部材
31a、31b 連通孔
32,35 共鳴器
Claims (6)
- リムと、このリムに設けられた複数の共鳴器とを備え、
各共鳴器が、副気室と、上記リムに装着すべきタイヤの内部空間からなる主気室に上記副気室を連通させる連通孔と、を有する車両用ホイールのリム構造において、
上記リムは、周方向に延びる複数の溝が軸方向に並んで配された溝形成部を有し、
上記リムの溝形成部には、被覆部材が上記複数の溝を被覆するようにして設けられ、
上記複数の溝は、上記被覆部材に被覆されることにより互いに独立した複数の上記副気室としてそれぞれ提供され、
上記被覆部材または上記リムの溝形成部には、上記複数の副気室を上記主気室にそれぞれ連通させる複数の上記連通孔が形成され、
上記複数の共鳴器の連通孔は周方向に離間して配置され、
上記溝形成部が波状の断面形状を有して上記リムの全周にわたって環状に形成され、上記被覆部材も環状をなすことを特徴とする車両用ホイールのリム構造。 - 上記溝形成部の複数の溝が上記リムの径方向外方向に開放され、上記被覆部材が上記溝形成部の外周に設けられ、この被覆部材に上記連通孔が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用ホイールのリム構造。
- 上記溝形成部の複数の溝が上記リムの径方向内方向に開放され、上記被覆部材が上記溝形成部の内周に設けられ、この溝形成部に上記連通孔が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用ホイールのリム構造。
- リムと、このリムに設けられた複数の共鳴器とを備え、各共鳴器が、副気室と、上記リムに装着すべきタイヤの内部空間からなる主気室に上記副気室を連通させる連通孔と、を有する車両用ホイールのリム構造の製造方法において、
円筒体を提供する第1の工程と、
上記円筒体を成形することにより、波状の断面形状を有する環状の溝形成部を成形する工程であって、この溝形成部が軸方向に配された複数の環状溝を有する第2の工程と、
上記溝形成部の外周または内周に、全周にわたって被覆部材を設け、この被覆部材で上記複数の環状溝を被覆することにより、上記複数の副気室を得る第3の工程と、
上記円筒体を成形してリムを得る第4の工程と、
上記被覆部材または上記溝形成部に、上記複数の副気室にそれぞれ対応する上記複数の連通孔を、互いに周方向に離間して形成する第5工程と、
を備えたことを特徴とする車両用ホイールのリム構造の製造方法。 - 上記第1、第2、第3、第4工程がこの順序で実行され、上記第3工程において、短円筒形状の上記被覆部材が上記溝形成部の外周に設けられることを特徴とする請求項4に記載の車両用ホイールのリム構造の製造方法。
- リムと、このリムに設けられた複数の共鳴器とを備え、各共鳴器が、副気室と、上記リムに装着すべきタイヤの内部空間からなる主気室に上記副気室を連通させる連通孔と、を有する車両用ホイールのリム構造の製造方法において、
同一断面形状を有する帯板を提供する工程であって、この帯板が、上記リムの最終形状または最終形状に近い断面形状を有するとともに、長手方向に延びる複数の溝を含む波状の断面形状の溝形成部を有する第1の工程と、
上記帯板を丸めて上記リムを得る第2の工程と、
上記リムの溝形成部の外周または内周を被覆部材により全周にわたって被覆する第3の工程と、
上記被覆部材または上記溝形成部に、上記複数の副気室にそれぞれ対応する上記複数の連通孔を、互いに周方向に離間して形成する第4の工程と、
を備えたことを特徴とする車両用ホイールのリム構造の製造方法。
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