JP6287203B2 - スピーカ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、仮想音源を知覚させる音を出力して、オーディオ信号を仮想的に定位させるスピーカ装置に関する。
従来、オーディオ信号が仮想的に定位する仮想音源を知覚させる音と、指向性を有する音とを出力して、オーディオ信号を定位させるスピーカ装置が知られている。
例えば、特許文献1に示すアレイスピーカ装置は、オーディオ信号をそれぞれ遅延させて複数のスピーカユニットに分配することにより、指向性を有するサウンドビーム(音声ビーム)を複数出力している。聴者は、音声ビームを聴くと、音声ビームの焦点に音源が存在すると知覚する。音声ビームが例えば壁に反射して聴者に届くと、聴者は、壁の方向に音源が存在すると知覚する。これにより、オーディオ信号は、壁の方向に定位する。
また、特許文献1に示すアレイスピーカ装置は、音声ビームが聴者に到達できないチャンネルについて仮想音源を知覚させる音を出力するために、オーディオ信号の周波数特性を変化させている。より具体的には、特許文献1に示すアレイスピーカ装置は、聴者の頭部形状に対応する頭部伝達関数をオーディオ信号に畳み込んで周波数特性を変化させている。聴者は、周波数特性が変化した音(仮想音源を知覚させる音)を聴くことにより、仮想音源を知覚する。これにより、オーディオ信号は、仮想的に定位する。
特開2008−227803
特許文献1に示すアレイスピーカ装置は、音声ビームが到達できないチャンネルに限り、オーディオ信号を仮想的に定位させて、音声ビームと仮想音源を知覚させる音とを排他的に出力しているが、定位感を向上させるために、音声ビームと仮想音源を知覚させる音とを両方同時に出力することが考えられる。
また、従来、コンテンツの音に音場効果を付与することが提案されている。音場効果とは、コンサートホール等の音響空間で発生する初期反射音及び後部残響音を模擬した音をコンテンツの音に重畳することで、部屋に居ながらにして実際のコンサートホール等の別の空間に居るような臨場感を聴者に体感させるものである。
ここで、初期反射音とは、音源から出力された音のうち、コンサートホールの室内の壁等に数回反射してから聴者に届く音であり、音源から聴者に直接届く直接音よりも遅れて聴者に届くものである。初期反射音は、後部残響音に比べて反射回数が少ないため、反射パターンが到来方向毎に異なる。従って、初期反射音は、周波数特性が到来方向毎に異なる。
後部残響音とは、初期反射音よりも多くの回数でコンサートホールの室内の壁等に反射して聴者に届く音であり、初期反射音よりも遅れて聴者に届くものである。後部残響音は、初期反射音に比べて反射回数が多いため、反射パターンが到来方向によらず概ね一様である。従って、後部残響音は、到来方向によらず周波数成分が略同じである。以下、実際の初期反射音を模擬した音を単に初期反射音と称し、かつ実際の後部残響音を模擬した音を単に後部残響音と称す。
しかし、指向性を有する音と仮想音源を知覚させる音との両方を同じチャンネルで出力するスピーカ装置において、初期反射音及び後部残響音を指向性のある音及び仮想音源を知覚させる音に重畳すると次の問題が生じる。
仮想音源を知覚させる音は、到来方向毎に周波数特性が異なる初期反射音が重畳されると、仮想音源生成のために付加する頭部伝達関数の周波数特性が変化してしまうため、定位が不明確になる。また、指向性を有する音声ビームは、到来方向によらず略同じ周波数成分を有する後部残響音が重畳されると、各チャンネルのオーディオ信号が類似する傾向になるため、音像が結合してしまい、定位が不明確になる。
そこで、本発明は、仮想音源を知覚させる音を出力し、かつ音場効果を付与する場合でも定位感を損なうことがないスピーカ装置を提供することを目的とする。
本発明のスピーカ装置は、オーディオ信号が入力される入力部と、入力されたオーディオ信号に基づいて放音する第1放音部と、入力されたオーディオ信号に基づいて放音する第2放音部と、前記入力部に入力されたオーディオ信号に頭部伝達関数に基づくフィルタ処理を行って前記第1放音部に入力する定位付加部と、入力されたオーディオ信号に初期反射音の特性を付加する初期反射音付加部と、入力されたオーディオ信号に後部残響音の特性を付加する後部残響音付加部と、を備える。
そして、前記初期反射音付加部は、前記第2放音部に入力されるオーディオ信号に前記初期反射音の特性を付加し、前記後部残響音付加部は、前記第1放音部に入力されるオーディオ信号に前記後部残響音の特性を付加する。
後部残響音付加部は、仮想音源を知覚させる音に初期反射音の特性を付加せず、第2放音部から出力される音のみに初期反射音の特性を付加する。従って、スピーカ装置は、到来方向毎に周波数特性が異なる初期反射音の特性の付加によって仮想音源を知覚させる音の周波数特性が変化することを防ぐ。これにより、仮想音源を知覚させる音は、頭部伝達関数の周波数特性が維持される。
このように、本発明のスピーカ装置は、初期反射音及び後部残響音による音場効果を付与する場合でも、仮想音源を知覚させる音による定位感を損なうことがない。
また、スピーカ装置は、前記初期反射音付加部の初期反射音と、前記後部残響音付加部の後部残響音とのレベル比率を調整するレベル調整部、を備えてもよい。
これにより、初期反射音のレベルと後部残響音のレベルとを聴者の所望の比率にすることができる。
また、前記オーディオ信号は、マルチチャンネルサラウンドサウンドのオーディオ信号であってもよい。
これにより、スピーカ装置は、聴者を取り巻くようにオーディオ信号を仮想的に定位させつつ、音場効果を付与することができる。
また、前記第1放音部は、指向性を有する音を出力してもよい。例えば、スピーカ装置は、指向性を有する音として音声ビームを以下の構成で出力してもよい。前記第1放音部は、前記定位付加部のオーディオ信号が入力されるステレオスピーカからなり、前記第2放音部は、スピーカアレイと、前記入力部に入力されたオーディオ信号をそれぞれ遅延して前記スピーカアレイに分配する指向性制御部と、からなる態様であっても構わない。
この態様では、指向性を有する音として、以下のように音声ビームを出力する。複数のスピーカユニットからなるスピーカアレイは、指向性制御部により遅延されて分配されたオーディオ信号に基づいて放音する。指向性制御部は、複数のスピーカユニットから出力される音の位相が所定位置でそろうように、オーディオ信号を遅延制御する。その結果、複数のスピーカユニットからそれぞれ出力された音は、所定位置で強め合い、指向性を有する音声ビームとなる。
定位付加部は、指向性を有する音によって聴者が音源を知覚した位置又はその近くの位置に、仮想音源を定位させるようにフィルタ処理を行う。その結果、スピーカ装置は、指向性を有する音だけを用いた場合又は仮想音源だけを用いた場合に比べて、定位感を向上させる。
後部残響音付加部は、指向性を有する音に後部残響音の特性を付加せず、第1放音部から放音される仮想音源を知覚させる音のみに後部残響音の特性を付加する。従って、スピーカ装置は、指向性を有する音に後部残響音の特性を付加しないため、残響の中心部に引っ張られることにより指向性を有する音の定位が不明確になることを防ぐ。
本発明によれば、スピーカ装置は、音場効果を付与する場合であっても、仮想音源を知覚させる音に到来方向毎に周波数特性が異なる初期反射音の特性を付加しないため、頭部伝達関数の周波数特性が維持されて、定位感を損なうことがない。
本実施形態に係るアレイスピーカ装置2を備えたAVシステム1を説明するための図である。 本実施形態に係るアレイスピーカ装置2及びサブウーファ3のブロック図の一部である。 初期反射音処理部22及び後部残響音処理部44のブロック図である。 コンサートホールで実測されたインパルス応答の例を示す模式図である。 定位付加部42及び補正部51のブロック図である。 アレイスピーカ装置2が出力する音を説明するための図である。 本実施形態に係るアレイスピーカ装置2の変形例に係るスピーカセット2Aを説明するための図である。 スピーカセット2A及びサブウーファ3のブロック図の一部である。
本実施形態に係るアレイスピーカ装置2について、図1乃至図6を用いて説明する。図1は、アレイスピーカ装置2を備えたAVシステム1を説明するための図である。図2は、アレイスピーカ装置2及びサブウーファ3のブロック図の一部である。図3(A)は、初期反射音処理部22のブロック図であり、図3(B)は、後部残響音処理部44のブロック図である。図4は、コンサートホールで実測されたインパルス応答の例を示す模式図である。図5(A)は、定位付加部42のブロック図であり、図5(B)は、補正部51のブロック図である。図6は、アレイスピーカ装置2が出力する音を説明するための図である。
AVシステム1は、アレイスピーカ装置2、サブウーファ3、及びテレビ4を備える。アレイスピーカ装置2は、サブウーファ3及びテレビ4に接続される。アレイスピーカ装置2は、テレビ4で再生される映像に応じたオーディオ信号や不図示のコンテンツプレーヤからコンテンツのオーディオ信号が入力される。アレイスピーカ装置2は、入力されたコンテンツのオーディオ信号に基づいて指向性を有する音声ビーム及び仮想音源を知覚させる音を出力し、さらにコンテンツの音に音場効果を付与するものである。
まず、音声ビームと初期反射音の出力とについて説明する。アレイスピーカ装置2は、図1に示すように、例えば、直方体形状の筐体を備える。アレイスピーカ装置2の筐体は、聴者に対向する面に、例えば16個のスピーカユニット21A〜21Pと、ウーファ33L,33R(本発明の第1放音部に相当する。)とを備える。ただし、スピーカユニットは、16個に限らず、例えば8個等であってもよい。
スピーカユニット21A〜21Pは、それぞれ一列に配置されている。スピーカユニット21A〜21Pは、聴者からアレイスピーカ装置2を視て左側から順に配置されている。ウーファ33Lは、スピーカユニット21Aからさらに左側に配置されている。ウーファ33Rは、スピーカユニット21Pのさらに右側に配置されている。
アレイスピーカ装置2は、図2に示すように、デコーダ10、及び指向性制御部20を備える。なお、スピーカユニット21A〜21Pと指向性制御部20との組は、本発明の第2放音部に相当する。
デコーダ10は、DIR(;Digital audio I/F Receiver)11、ADC(;Analog to Digital Converter)12、及びHDMI(登録商標;High Definition Multimedia Interface)レシーバ13に接続されている。
DIR11は、光ケーブル又は同軸ケーブルで送信されたデジタルオーディオ信号が入力される。ADC12は、入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。HDMIレシーバ13は、HDMI規格に適合したHDMI信号が入力される。
デコーダ10は、AAC(登録商標)、Dolby Digital(登録商標)、DTS(登録商標)、MPEG−1/2、MPEG−2マルチチャンネル、又はMP3等多様なデータフォーマットをサポートしている。デコーダ10は、DIR11及びADC12から出力されたデジタルオーディオ信号を、マルチチャンネルオーディオ信号(FLチャンネル、FRチャンネル、Cチャンネル、SLチャンネル、及びSRチャンネルのデジタルオーディオ信号。以下、単にオーディオ信号と称す場合は、デジタルオーディオ信号を示すものとする。)に変換して出力する。デコーダ10は、HDMIレシーバ13が出力したHDMI信号(HDMI規格に適合する信号。)からオーディオデータを抽出して、オーディオ信号に復号して出力する。ただし、デコーダ10は、5チャンネルのオーディオ信号に限らず、7チャンネルのオーディオ信号等、様々なチャンネル数のオーディオ信号に変換することもできる。
アレイスピーカ装置2は、デコーダ10から出力されたオーディオ信号の帯域を分割して、高域(例えば200Hz以上)をスピーカユニット21A〜21Pに出力し、低域(例えば200Hz未満)をウーファ33L,33R及びサブウーファユニット72に出力するために、HPF14(14FL,14FR,14C,14SR,14SL)とLPF15(15FL,15FR,15C,15SR,15SL)とを備える。HPF14及びLPF15のカットオフ周波数は、スピーカユニット21A〜21Pの再生周波数の下限(200Hz)に合うように、それぞれ設定されている。
デコーダ10から出力された各チャンネルのオーディオ信号は、それぞれHPF14及びLPF15に入力される。HPF14は、入力されたオーディオ信号の高域成分(200Hz以上)を抽出して出力する。LPF15は、入力されたオーディオ信号の低域成分(200Hz未満)を抽出して出力する。
アレイスピーカ装置2は、図2に示すように、コンテンツの音に初期反射音の音場効果を付与するために、初期反射音処理部22を備える。HPF14から出力された各オーディオ信号は、初期反射音処理部22に入力される。初期反射音処理部22は、入力された各オーディオ信号に初期反射音のオーディオ信号を重畳してレベル調整部18(18FL,18FR,18C,18SR,18SL)に出力する。
より具体的には、初期反射音処理部22は、図3(A)に示すように、ゲイン調整部221と、初期反射音生成部222と、合成部223とを備える。初期反射音処理部22に入力された各オーディオ信号は、ゲイン調整部221と、合成部223とに入力される。ゲイン調整部221は、初期反射音と後部残響音とのレベル比率を調整するために、入力された各オーディオ信号のレベルと、ゲイン調整部441(図3(B)を参照。)に入力された各オーディオ信号のレベルとのレベル比率を調整して、レベル調整後の各オーディオ信号を初期反射音生成部222に出力する。
初期反射音生成部222は、入力された各オーディオ信号に基づいて初期反射音のオーディオ信号を生成する。初期反射音のオーディオ信号は、実際の初期反射音の到来方向と、当該初期反射音の遅延時間と、を反映するように生成される。
図4に示すように、実際の初期反射音は、直接音の発生(図4の模式図において時刻0の点)から所定時間(例えば300msec以内)経過するまで発生する。実際の初期反射音は、後部残響音に比べて、反射回数が少ないため、反射パターンが到来方向毎に異なる。従って、実際の初期反射音は、周波数特性が到来方向毎に異なる。
このような初期反射音のオーディオ信号は、例えばFIRフィルタによって生成され、入力されたオーディオ信号に所定の係数を畳み込むことにより生成される。当該所定の係数は、例えば図4に示す実際の初期反射音のインパルス応答のサンプリングデータに基づいて設定される。そして、初期反射音生成部222が生成する初期反射音のオーディオ信号は、実際の初期反射音の到来方向に応じて、各チャンネルのオーディオ信号に振り分けられて出力される。また、初期反射音は、直接音(HPF14から合成部223に直接入力されるオーディオ信号に対応する。)から所定の時間(例えば300msec以内)経過するまで離散的に発生するように生成される。
初期反射音生成部222から出力された各オーディオ信号は、合成部223に入力される。合成部223は、チャンネル毎に、HPF14から入力されたオーディオ信号と、初期反射音生成部222から入力されたオーディオ信号とを合成したオーディオ信号をレベル調整部18に出力する。これにより、直接音(HPF14から合成部223に直接入力されるオーディオ信号に対応する。)には、初期反射音が重畳される。換言すれば、直接音には、初期反射音の特性が付加される。この初期反射音は、直接音と共に音声ビームとなって出力される。
レベル調整部18は、チャンネル毎に音声ビームのレベルを調整するために備えられる。レベル調整部18は、各オーディオ信号のレベルを調整して出力する。
指向性制御部20は、レベル調整部18から出力された各オーディオ信号が入力される。指向性制御部20は、入力された各チャンネルのオーディオ信号をスピーカユニット21A〜21Pの数だけ分配し、それぞれ所定の遅延時間で遅延させる。遅延された各チャンネルのオーディオ信号は、不図示のDAC(;Digital to Analog Converter)でアナログオーディオ信号に変換された後、スピーカユニット21A〜21Pに入力される。スピーカユニット21A〜21Pは、入力された各チャンネルのオーディオ信号に基づいて放音する。
スピーカユニット21A〜21Pのうち隣り合うスピーカユニットに入力されるオーディオ信号に与えられる遅延量の差が一定となるように指向性制御部20が遅延制御すると、スピーカユニット21A〜21Pから出力された各音は、それぞれ当該遅延量の差に応じた方向で位相を強めあう。その結果、音声ビームは、スピーカユニット21A〜21Pから所定方向に進む平行波として形成される。
指向性制御部20は、スピーカユニット21A〜21Pから出力される各音の位相が所定位置でそろうような遅延制御も可能である。この場合、スピーカユニット21A〜21Pから出力された各音は、当該所定位置を焦点とする音声ビームとなる。
なお、アレイスピーカ装置2は、指向性制御部20の前段又は後段に、チャンネル毎にイコライザを備え、各オーディオ信号の周波数特性を調整してもよい。
LPF15から出力されたオーディオ信号は、ウーファ33L又は33R及びサブウーファユニット72に入力される。
アレイスピーカ装置2は、音声ビームの帯域以外のオーディオ信号(200Hz未満)を、さらにウーファ33L,33R用の帯域(例えば100Hz以上)とサブウーファユニット72用の帯域(例えば100Hz未満)とに分割するために、HPF30(30LL,30R)とLPF31(31L,31R)とを備える。HPF30及びLPF31のカットオフ周波数は、サブウーファユニット72の再生周波数の上限(100Hz)に合うように、それぞれ設定される。
LPF15(15FL,15C,15SL)から出力されたオーディオ信号(200Hz未満)は、加算部16によって加算される。加算部16によって加算されたオーディオ信号は、HPF30L及びLPF31Lに入力される。HPF30Lは、入力されたオーディオ信号の高域成分(100Hz以上)を抽出して出力する。LPF31Lは、入力されたオーディオ信号の低域成分(100Hz未満)を抽出して出力する。HPF30Lから出力されたオーディオ信号は、レベル調整部34L、加算部32L及び不図示のDACを介してウーファ33Lに入力される。LPF31Lから出力されたオーディオ信号は、レベル調整部70F、加算部71及び不図示のDACを介してサブウーファ3のサブウーファユニット72に入力される。レベル調整部34L及びレベル調整部70Fは、音声ビームと、ウーファ33Lから出力される音と、サブウーファユニット72から出力される音とのレベル比を調整するために、入力されたオーディオ信号のレベルを調整して出力する。
LPF15(15FR,15C,15SR)から出力されたオーディオ信号は、加算部17によって加算される。加算部17によって加算されたオーディオ信号は、HPF30R及びLPF31Rに入力される。HPF30Rは、入力されたオーディオ信号の高域成分(100Hz以上)を抽出して出力する。LPF31Rは、入力されたオーディオ信号の低域成分(100Hz未満)を抽出して出力する。HPF30Rから出力されたオーディオ信号は、レベル調整部34R、加算部32R、及び不図示のDACを介してウーファ33Rに入力される。LPF31Rから出力されたオーディオ信号は、レベル調整部70G、加算部71及び不図示のDACを介してサブウーファユニット72に入力される。レベル調整部34R及びレベル調整部70Gは、音声ビームと、ウーファ33Rから出力される音と、サブウーファユニット72から出力される音とのレベル比を調整するために、入力されたオーディオ信号のレベルを調整して出力する。
以上のように、アレイスピーカ装置2は、スピーカユニット21A〜21Pから初期反射音が重畳された音声ビームをチャンネル毎に出力しつつ、音声ビームの帯域以外の音(200Hz未満)をウーファ33L,33R及びサブウーファユニット72から出力する。
なお、HPF40FL、HPF40FR、HPF40C、HPF40SL、およびHPF40SRのカットオフ周波数は、HPF14FL、HPF14FR、HPF14C、HPF14SL、およびHPF14SRのカットオフ周波数と同一にしてもよい。また、残響音処理部44の前段においては、HPF40FL、HPF40FR、HPF40C、HPF40SL、およびHPF40SRのみ備える態様として、低域をサブウーファ3に出力させないようにしてもよい。
次に、仮想音源の定位と後部残響音の出力とについて説明する。アレイスピーカ装置2は、図2に示すように、後部残響音処理部44、定位付加部42、クロストークキャンセル処理部50、及び遅延処理部60L,60Rを備える。
アレイスピーカ装置2は、デコーダ10から出力されたオーディオ信号の帯域を分割して、高域(例えば100Hz以上)をウーファ33L,33Rに出力し、低域(例えば100Hz未満)をサブウーファユニット72に出力するために、HPF40(40FL,40FR,40C,40SR,40SL)とLPF41(41FL,41FR,41C,41SR,41SL)とを備える。HPF40及びLPF41のカットオフ周波数は、サブウーファユニット72の再生周波数の上限(100Hz)に合うように、それぞれ設定されている。
デコーダ10から出力された各チャンネルのオーディオ信号は、それぞれHPF40及びLPF41に入力される。HPF40は、入力されたオーディオ信号の高域成分(100Hz以上)を抽出して出力する。LPF41は、入力されたオーディオ信号の低域成分(100Hz未満)を抽出して出力する。
アレイスピーカ装置2は、ウーファ33L,33Rから出力される音とサブウーファユニット72から出力される音とのレベル比を調整するために、レベル調整部70A〜70Eを備える。
LPF41から出力された各オーディオ信号は、レベル調整部70A〜70Eによってレベルが調整される。レベル調整部70A〜70Eによってレベルが調整された各オーディオ信号は、それぞれ加算部71で加算される。加算部71で加算されたオーディオ信号は、不図示のDACを介してサブウーファユニット72に入力される。
HPF40から出力された各オーディオ信号は、後部残響音処理部44に入力される。後部残響音処理部44は、入力された各オーディオ信号に後部残響音のオーディオ信号を重畳してレベル調整部43(43FL,43FR,43C,43SR,43SL)に出力する。
より具体的には、後部残響音処理部44は、図3(B)に示すように、ゲイン調整部441と、後部残響音生成部442と、合成部443とを備える。後部残響音処理部44に入力された各オーディオ信号は、ゲイン調整部441と、合成部443とに入力される。ゲイン調整部441は、初期反射音と後部残響音とのレベル比率を調整するために、入力された各オーディオ信号のレベルと、初期反射音処理部22のゲイン調整部221に入力された各オーディオ信号のレベルとのレベル比率を調整して、レベル調整後の各オーディオ信号を後部残響音生成部442に出力する。
後部残響音生成部442は、入力された各オーディオ信号に基づいて後部残響音のオーディオ信号を生成する。
図4に示すように、実際の後部残響音は、初期反射音の後に所定時間(例えば2秒間)発生する。実際の後部残響音は、初期反射音に比べて反射回数が多いため、反射パターンが到来方向によらず概ね一様である。従って、後部残響音は、到来方向によらず周波数成分が略同じである。
後部残響音生成部442は、このような後部残響音を生成するために、例えば、コムフィルタ及びオールパスフィルタの巡回フィルタ(IIRフィルタ)を多段に組み合わせた構成をチャンネル毎に備える。各フィルタの係数は、実際の後部残響音の特性(直接音からの遅延時間、後部残響音の長さ及び後部残響音の長さに対する減衰量)となるように、設定される。例えば、後部残響音は、初期反射音生成部222で生成される初期反射音の発生時間(直接音発生から300msec)経過後に発生するように生成される。これにより、後部残響音生成部442は、例えば、直接音発生から300msec経過後、かつ2,000msec経過するまで後部残響音のオーディオ信号をチャンネル毎に生成して合成部443に出力する。なお、後部残響音生成部442はIIRフィルタにて実現する例を示したが、FIRフィルタを用いても実現可能である。
後部残響音生成部442から出力された各オーディオ信号は、合成部443に入力される。合成部443は、図2及び図3(B)に示すように、HPF40から入力された各オーディオ信号に、後部残響音生成部442から入力された各オーディオ信号を合成し、合成された各オーディオ信号をレベル調整部43に出力する。これにより、直接音(HPF40から合成部443に直接入力されるオーディオ信号に対応する。)には、後部残響音が重畳される。換言すれば、直接音には、後部残響音の特性が付加される。この後部残響音は、仮想音源を知覚させる音と共に、ウーファ33L,33Rから出力される。
レベル調整部43は、チャンネル毎に仮想音源を知覚させる音のレベルを調整するために、入力された各オーディオ信号のレベルを調整して定位付加部42に出力する。
定位付加部42は、入力された各オーディオ信号を仮想の音源位置に定位させる処理を行う。オーディオ信号を仮想の音源位置に定位させるためには、所定位置と聴者の耳との間の伝達関数を示す頭部伝達関数(以下、HRTFと称す。)を用いる。
HRTFは、ある位置に設置した仮想スピーカからそれぞれ左右の耳に至る音の大きさ、到達時間、及び周波数特性等を表現したインパルス応答である。オーディオ信号にHRTFを付与してウーファ33L(又はウーファ33R)から放音することにより、聴者は、仮想スピーカから放音されたように知覚する。
定位付加部42は、図5(A)に示すように、チャンネル毎にHRTFのインパルス応答を畳み込むためのフィルタ421L〜425L及びフィルタ421R〜425Rを備える。
FLチャンネルのオーディオ信号(HPF40FLから出力されたオーディオ信号)は、フィルタ421Lと、421Rとに入力される。フィルタ421Lは、FLチャンネルのオーディオ信号に、聴者の左前方の仮想音源VSFL(図6を参照。)の位置から左耳に至る経路のHRTFを付与する。フィルタ421Rは、FLチャンネルのオーディオ信号に、仮想音源VSFLの位置から右耳に至る経路のHRTFを付与する。
フィルタ422Lは、聴者の右前方の仮想音源VSFRの位置から聴者の左耳に至る経路のHRTFをFRチャンネルのオーディオ信号に付与する。フィルタ422Rは、仮想音源VSFRの位置から右耳に至る経路のHRTFをFRチャンネルのオーディオ信号に付与する。
フィルタ423L〜425Lは、C,SL,SRチャンネルに応じた仮想音源VSC,VSSL,VSSRの位置から聴者の左耳に至る経路のHRTFをC,SL,SRチャンネルのオーディオ信号に付与する。フィルタ423R〜425Rは、C,SL,SRチャンネルに応じた仮想音源VSC,VSSL,VSSRの位置から聴者の右耳に至る経路のHRTFをC,SL,SRチャンネルのオーディオ信号に付与する。
そして、加算部426Lは、フィルタ421L〜425Lを出力したオーディオ信号を合成して、オーディオ信号VLとしてクロストークキャンセル処理部50に出力する。加算部426Rは、フィルタ421R〜425Rを出力したオーディオ信号を合成して、オーディオ信号VRとしてクロストークキャンセル処理部50に出力する。
クロストークキャンセル処理部50は、ウーファ33Lから放音され右耳に至るクロストークを打消し、かつウーファ33Lから放音され左耳に至る直接音をフラットに聞こえるように、ウーファ33L及びウーファ33Rに入力される各オーディオ信号の周波数特性を変更する。同様に、クロストークキャンセル処理部50は、ウーファ33Rから放音され左耳に至るクロストークを打消し、かつウーファ33Rから放音され右耳に至る直接音をフラットに聞こえるように、ウーファ33L及びウーファ33Rに入力される各オーディオ信号の周波数特性を変更する。
より具体的には、クロストークキャンセル処理部50は、補正部51及び合成部52L,52Rを用いて処理を行う。
補正部51は、図5(B)に示すように、ダイレクト補正部511L,511R及びクロス補正部512L,512Rを備えている。オーディオ信号VLは、ダイレクト補正部511L及びクロス補正部512Lに入力される。オーディオ信号VRは、ダイレクト補正部511R及びクロス補正部512Rに入力される。
ダイレクト補正部511Lは、ウーファ33Lから放音される音が左耳付近で放音されたように聴者に知覚させる処理を行う。ダイレクト補正部511Lは、ウーファ33Lから出力された音が左耳の位置でフラットに聞こえるようなフィルタ係数が設定されている。ダイレクト補正部511Lは、入力されたオーディオ信号VLを補正して、オーディオ信号VLDを出力する。
クロス補正部512Rは、合成部52Lとの組で、ウーファ33Rから左耳に回り込む音の逆相の音をウーファ33Lから出力して左耳の位置で音圧を打ち消すことにより、ウーファ33Rの音が左耳に聞こえるのを抑制する。また、クロス補正部512Rは、ウーファ33Lから放音される音が左耳付近で放音されたように聴者に知覚させる処理を行う。クロス補正部512Rは、ウーファ33Rから出力された音が左耳の位置で聞こえなくなるようなフィルタ係数が設定されている。クロス補正部512Rは、入力されたオーディオ信号VRを補正して、オーディオ信号VRCを出力する。
合成部52Lは、オーディオ信号VRCを逆相にして、オーディオ信号VLDに合成する。
ダイレクト補正部511Rは、ウーファ33Rから放音される音が右耳付近で放音されたように聴者に知覚させる処理を行う。ダイレクト補正部511Rは、ウーファ33Rから出力された音が右耳の位置でフラットに聞こえるようなフィルタ係数が設定されている。ダイレクト補正部511Rは、入力されたオーディオ信号VRを補正して、オーディオ信号VRDを出力する。
クロス補正部512Lは、合成部52Rとの組で、ウーファ33Lから右耳に回り込む音の逆相の音をウーファ33Rから出力して右耳の位置で音圧を打ち消すことにより、ウーファ33Lの音が右耳に聞こえるのを抑制する。また、クロス補正部512Lは、ウーファ33Rから放音される音が右耳付近で放音されたように聴者に知覚させる処理を行う。クロス補正部512Lは、ウーファ33Lから出力された音が右耳の位置で聞こえなくなるようなフィルタ係数が設定されている。クロス補正部512Lは、入力されたオーディオ信号VLを補正して、オーディオ信号VLCを出力する。
合成部52Rは、オーディオ信号VLCを逆相にして、オーディオ信号VRDに合成する。
合成部52Lから出力されたオーディオ信号は、遅延処理部60Lに入力される。オーディオ信号は、遅延処理部60Lによって所定時間遅延されてレベル調整部61Lに入力される。合成部52Rから出力されたオーディオ信号は、遅延処理部60Rに入力される。遅延処理部60Rは、遅延処理部60Lと同じ遅延時間でオーディオ信号を遅延させる。
遅延処理部60L,60Rによる遅延時間は、音声ビーム及び仮想音源を知覚させる音が同一タイミングで出力されないように設定される。これにより、音声ビームの形成は、仮想音源を知覚される音に阻害されにくくなる。なお、アレイスピーカ装置2は、指向性制御部20の後段にチャンネル毎に遅延処理部を備え、音声ビームを遅延させることにより、音声ビームが仮想音源を知覚させる音を阻害しないようにする態様であっても構わない。
レベル調整部61L,61Rは、全チャンネルの仮想音源を知覚させる音のレベルをまとめて調整するために備えられる。レベル調整部61L,61Rは、遅延処理部60L,60Rで遅延された各オーディオ信号のレベルを調整する。レベル調整部61L,61Rによってレベルが調整された各オーディオ信号は、加算部32L,32Rを介して、ウーファ33L,33Rに入力される。
加算部32L,32Rにはスピーカユニット21A〜21Pで出力される音声ビームの帯域外(200Hz未満)のオーディオ信号が入力されるため、音声ビームの帯域外の音と、仮想音源を定位させる音とは、ウーファ33L,33Rで出力される。
以上のように、アレイスピーカ装置2は、後部残響音のオーディオ信号を重畳した各チャンネルのオーディオ信号を仮想の音源位置に定位させる。
次に、アレイスピーカ装置2が生成する音場について図6を用いて説明する。図6において、白抜き矢印は、アレイスピーカ装置2から出力される音声ビームの経路を示し、複数の円弧は、アレイスピーカ装置2から出力される仮想音源を知覚する音を示す。また、図6において、星印は、音声ビームが生成する音源の位置及び仮想音源の位置を示す。
アレイスピーカ装置2は、図6に示すように、入力されたオーディオ信号のチャンネル数に従って、音声ビームを5本出力する。Cチャンネルのオーディオ信号は、例えば、焦点位置がアレイスピーカ装置2の後方に設定されるようにディレイ制御される。すると、聴者は、Cチャンネルのオーディオ信号の音源SCが聴者の前方にあると知覚する。
FL,FRチャンネルのオーディオ信号は、例えば、音声ビームが聴者の左前方の壁及び聴者の右前方の壁で焦点を結ぶようにそれぞれディレイ制御される。FL,FRチャンネルのオーディオ信号に基づく各音声ビームは、部屋Rの壁で一度反射して聴者の位置に到達する。すると、聴者は、FL,FRチャンネルのオーディオ信号の音源SFL,SFRが聴者の左前方の壁及び右前方の壁にあると知覚する。
SL,SRチャンネルのオーディオ信号は、例えば、音声ビームが聴者の左横の壁及び右横の壁に向かうようにそれぞれディレイ制御される。SL,SRチャンネルのオーディオ信号に基づく各音声ビームは、部屋Rの壁に反射して聴者の左後方の壁及び聴者の右後方の壁に到達する。各音声ビームは、聴者の左後方の壁及び聴者の右後方の壁で再度反射して、それぞれ聴者の位置に到達する。すると、聴者は、SL,SRチャンネルのオーディオ信号の音源VSSL,VSSRが聴者の左後方の壁及び聴者の右後方の壁にあると知覚する。
定位付加部42のフィルタ421L〜425L及びフィルタ421R〜425Rは、仮想スピーカの位置がそれぞれ音源SFL,SFR,SC,SSL,SSRの位置と略同じ位置になるように、それぞれ設定されている。すると、聴者は、図6に示すように、仮想音源VSC,VSFL,VSFR,VSSL,VSSRを音源SFL,SFR,SC,SSL,SSRの位置と略同じ位置に知覚する。
これにより、アレイスピーカ装置2は、音声ビームだけを用いた場合又は仮想音源だけを用いた場合に比べて、定位感を向上させる。
ここで、アレイスピーカ装置2は、図6に示すように、各音声ビームに初期反射音を重畳する。仮想音源を知覚させる音は、到来方向毎に周波数特性が異なる初期反射音が重畳されないため、頭部伝達関数の周波数特性が維持される。また、仮想音源を知覚させる音は、両耳間における周波数特性の差、音の到達時間差、及び音量差によって定位感を与えるものであるため、各チャンネルに周波数特性が均一な後部残響音が重畳されても、頭部伝達関数の周波数特性が影響されず、定位感に変化がない。
また、アレイスピーカ装置2は、各音声ビームに後部残響音を重畳せず、仮想音源を知覚させる音に後部残響音を重畳する。従って、アレイスピーカ装置2は、到来方向によらず略同じ周波数成分を有する後部残響音を各音声ビームに重畳しないため、各音声ビームのオーディオ信号が類似して各音像が結合してしまうことがない。これにより、アレイスピーカ装置2は、各音声ビームの定位感が不明確になることを防ぐ。また、音声ビームは、到来方向からの音圧によって定位を知覚させるものであるため、到来方向毎に周波数特性が異なる初期反射音が重畳されて周波数特性が変化しても定位感に変化がない。
以上のように、アレイスピーカ装置2は、各音声ビーム及び仮想音源を知覚させる音の定位付与の効果を損なうことなく、初期反射音及び後部残響音により音場効果をコンテンツの音に付与することができる。
また、アレイスピーカ装置2は、ゲイン調整部221及びゲイン調整部441との組を備えることにより、初期反射音と後部残響音とのレベル比率を聴者の所望の比率に変更することができる。
また、アレイスピーカ装置2は、マルチチャンネルサラウンドサウンドのオーディオ信号について、音声ビームと仮想音源を知覚させる音とを出力し、かつ音場効果を与える。よって、アレイスピーカ装置2は、聴者を取り巻くように定位感を与えつつ、音場効果をコンテンツの音に付与することができる。
なお、上述の例では、後部残響音生成部442が生成した後部残響音は、仮想音源を知覚させる音に重畳された後、ウーファ33L,33Rから出力されているが、仮想音源を知覚させる音に重畳されなくてもよい。例えば、後部残響音生成部442が生成した後部残響音のオーディオ信号は、定位付加部42を介さず、レベル調整部34L,34Rを介してウーファ33L,33Rに入力されてもよい。
次に、アレイスピーカ装置2の変形例に係るスピーカセット2Aについて図を用いて説明する。図7は、スピーカセット2Aを説明するための図である。図8は、スピーカセット2A及びサブウーファ3のブロック図の一部である。ただし、図7において矢印は、自動車の室内900における指向性を有する音の経路を示す。
スピーカセット2Aは、指向性スピーカユニット21(21Q,21R,21S,21T,21U)で指向性を有する音を出力する点において、アレイスピーカ装置2と相違する。アレイスピーカ装置2と重複する構成の説明は省略する。
各指向性スピーカユニット21は、チャンネルに応じて配置される。すなわち、Cチャンネルに対応する指向性スピーカユニット21Sは、聴者の前方に配置される。FLチャンネルに対応する指向性スピーカユニット21Qは、聴者の前方かつ左方に配置される。FRチャンネルに対応する指向性スピーカユニット21Rは、聴者の前方かつ右方に配置される。SLチャンネルに対応する指向性スピーカユニット21Tは、聴者の後方かつ左方に配置される。SRチャンネルに対応する指向性スピーカユニット21Uは、聴者の後方かつ右方に配置される。
レベル調整部18から出力された各オーディオ信号は、図8に示すように、遅延処理部23(23FL,23FR,23C,23SR,23SL)に入力される。遅延処理部23は、聴者付近で指向性を有する音の位相が揃うように、各指向性スピーカユニット21から聴者までの経路長に応じた遅延処理を行う。
遅延処理部23から出力された各オーディオ信号は、各指向性スピーカユニット21に入力される。スピーカセット2Aは、このような構成であっても、各チャンネルに対応する指向性を有する音に初期反射音を重畳して聴者に届けることができる。
なお、この変形例においては、遅延処理部60及び遅延処理部23の遅延時間は、指向性を有する音及び仮想音源を知覚させる音が同一タイミングで出力されないように、それぞれ設定される。
1…AVシステム
2,2A…アレイスピーカ装置
3…サブウーファ
4…テレビ
10…デコーダ
11…DIR
12…ADC
13…HDMIレシーバ
14FL,FR,C,SR,SL…HPF
15FL,FR,C,SR,SL…LPF
16,17…加算部
18…レベル調整部
20…指向性制御部
21A〜21P…スピーカユニット
21Q,21R,21S,21U,21T…指向性スピーカユニット
22…初期反射音処理部
221…ゲイン調整部
222…初期反射音生成部
223…合成部
30L,30R…HPF
31L,31R…LPF
32L,32R…加算部
33L,33R…ウーファ
40FL,FR,C,SR,SL…HPF
41FL,FR,C,SR,SL…LPF
42…定位付加部
43…レベル調整部
44…後部残響音処理部
441…ゲイン調整部
442…後部残響音生成部
443…合成部
50…クロストークキャンセル処理部
51…補正部
52L,52R…合成部
60L,60R…遅延処理部
61L,61R…レベル調整部
70A〜70E、70F,70G…レベル調整部
71…加算部
72…サブウーファユニット

Claims (5)

  1. オーディオ信号が入力される入力部と、
    入力されたオーディオ信号に基づいて放音する第1放音部と、
    入力されたオーディオ信号に基づいて放音する第2放音部と、
    前記入力部に入力されたオーディオ信号に頭部伝達関数に基づくフィルタ処理を行って前記第1放音部に入力する定位付加部と、
    入力されたオーディオ信号に初期反射音の特性を付加する初期反射音付加部と、
    入力されたオーディオ信号に後部残響音の特性を付加する後部残響音付加部と、
    を備え、
    前記初期反射音付加部は、前記第2放音部に入力されるオーディオ信号に前記初期反射音の特性を付加し、
    前記後部残響音付加部は、前記第1放音部に入力されるオーディオ信号に前記後部残響音の特性を付加する、
    スピーカ装置。
  2. 前記初期反射音付加部の初期反射音と、前記後部残響音付加部の後部残響音とのレベル比率を調整するレベル調整部、を備える、
    請求項1に記載のスピーカ装置。
  3. 前記オーディオ信号は、マルチチャンネルサラウンドサウンドのオーディオ信号である、
    請求項1又は2に記載のスピーカ装置。
  4. 前記第1放音部は、指向性を有する音を出力する、
    請求項1乃至3のいずれかに記載のスピーカ装置。
  5. 前記第1放音部は、
    前記定位付加部のオーディオ信号が入力されるステレオスピーカからなり、
    前記第2放音部は、
    スピーカアレイと、
    前記入力部に入力されたオーディオ信号をそれぞれ遅延して前記スピーカアレイに分配する指向性制御部と、からなる、
    請求項4に記載のスピーカ装置。
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