JP6286991B2 - 冷却水流通機構 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関の排気の熱を利用して冷却水を昇温させるものであり、その冷却水を流通させる機構に関するものである。
車両のエンジンをはじめとした内燃機関は、そのシリンダ内で燃料を燃焼させた熱エネルギーにより出力を得る。このため、内燃機関は、その連続稼働時や高負荷出力時などに過熱した状態(オーバーヒート)となってしまうおそれがある。かかる状態では、シリンダやその内部のピストンなどの膨張や変形を招き、また、異常燃焼(ノッキング)が生じやすくなる。
一方、内燃機関は、その始動時や低温下での稼働時などには、温度が低い状態(オーバークール)となる。かかる状態では、燃料が効率よく気化せず、また、内燃機関の熱効率が低下することにより、内燃機関の出力や燃費を確保することができないおそれがある。
そこで、内燃機関には、その温度を調整するための冷却装置が備え付けられている。
冷却装置は、循環する冷却水の流通路を形成しており、内燃機関の内部に形成されたウォータージャケットと、冷却水の熱を放出(放熱)させるラジエータと、このラジエータをバイパスするバイパス路と、冷却水の温度が所定温度以下であればラジエータにおける冷却水の流通を遮断するサーモスタットとを備えている。
内燃機関が過熱した状態であれば、冷却水がウォータージャケット内で内燃機関の熱を吸収(吸熱)し、この冷却水がラジエータを流通するときに熱を放出(放熱)する。このようにして、内燃機関が冷却される。
一方、内燃機関の温度が低い状態であれば、ウェータージャケットを流通した冷却水はサーモスタットによりラジエータを流通せずにバイパス路を流通する。このため、冷却水はラジエータにより放熱されることなく循環し、内燃機関の過冷却が抑制される。
ただし、上記の冷却装置は、温度が低い状態の内燃機関の冷却を回避するのに留まり、内燃機関を積極的に昇温させるものではない。そこで、内燃機関から排出される排気の熱を用いて内燃機関を昇温させる装置が開発されている。
このような装置としては、上記の冷却装置に加えて、排気と冷却水との間で熱交換を行う熱交換器と、この熱交換器が介装された冷却水通路とを備えたものが挙げられる。この装置では、内燃機関から流出した冷却水が、ラジエータ又はそのバイパス路に向かう流路(以下、「ラジエータ側流路」という)と熱交換器に向かう流路(以下、「熱交換器側流路」)との二方向に分岐して流通する。このため、内燃機関の温度が低い状態であれば、熱交換器側流路を流通する冷却水が熱交換部で排気と熱交換することにより昇温され、この冷却水が環流して内燃機関を昇温させる。また、ラジエータ側流路を流通する冷却水は、バイパス路を流通して環流するため、内燃機関の昇温を妨げない。したがって、温度の低い状態の内燃機関を積極的に昇温させることができる。
このような装置に係る技術が、例えば特許文献1〜4に示されている。
特許第4627210号公報 特開2011−169514号公報 特開2011−196345号公報 特開2008−115774号公報
しかしながら、特許文献1〜4に示されるような装置では、冷却水がラジエータ側流路と熱交換器側流路との二つの流路に分岐して流通し、ラジエータ側流路と熱交換器側流路とのそれぞれにおける冷却水の流量を制御することができない。
このため、内燃機関が過熱した状態のときには、ラジエータ側流路を流通する冷却水により内燃機関が冷却されるものの、熱交換器側流路を流通する冷却水により内燃機関の冷却が妨げられてしまう。一方、内燃機関の温度が低い状態のときには、上記のように、熱交換器側流路を流通する冷却水により内燃機関が昇温されるものの、ラジエータ側流路を流通する冷却水は昇温されないため、熱交換器側流路を流通する冷却水のみにより内燃機関が昇温する場合に比較すれば(流量配分によっては)、内燃機関の昇温が緩慢なものとなってしまう。
このように、従来の冷却水が流通する機構では、冷却水の温度の制御性を向上させることが困難であるという課題がある。
本発明の目的の一つは、上記のような課題に鑑み創案されたもので、冷却水の温度の制御性を向上させることができるようにした、冷却水流通機構を提供することである。
なお、この目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本発明の他の目的として位置づけることができる。
(1)上記の目的を達成するために、本発明の冷却水流通機構は、内燃機関を冷却する冷却水の熱を放出させるラジエータと、前記内燃機関から排出された排気と前記冷却水とで熱交換させて前記冷却水に熱を吸収させる熱交換器と、前記冷却水の循環流通路であり、前記内燃機関及び前記ラジエータが介装された第一循環流通路と、前記冷却水の循環流通路であり、前記内燃機関及び前記熱交換器が介装された第二循環流通路と、前記第一循環流通路に前記冷却水を流通させる第一状態と前記第二循環流通路に前記冷却水を流通させる第二状態とを択一的に切り替える切替弁と、を備え、前記切替弁は、前記ラジエータ及び前記熱交換器の上流側に設けられた第一切替弁と、前記熱交換器の下流側に設けられた第二切替弁とを有しており、前記第一循環流通路は、前記内燃機関に設けられた第一流出口及び第二流出口から流出した前記冷却水が、前記内燃機関に設けられた流入口に流入する経路であり、前記第二循環流通路は、前記第一流出口から流出した前記冷却水が、前記流入口に流入する経路であり、前記第一切替弁は、前記第一流出口を含む前記循環流通路において、前記第一循環流通路と前記第二循環流通路との連結部分に設けられ、前記第二切替弁は、前記第二流出口を含む前記循環流通路において、前記第一循環流通路と前記第二循環流通路との連結部分に設けられることを特徴としている。
なお、前記第一循環流通路には前記熱交換器が介装されておらず、また、前記第二循環流通路には前記ラジエータが介装されていない。
(2)前記冷却水の熱を放出させ、暖房の熱源となるヒータコアを備え、前記第二循環流通路には、前記ヒータコアが介装されたことが好ましい。
)前記内燃機関を流通する前記冷却水の温度を検出する内燃機関温度センサと、前記熱交換器を流通する前記冷却水の温度又は圧力を検出する熱交換器センサと、前記内燃機関温度センサにより検出された温度と前記熱交換器センサにより検出された温度又は圧力とに基づいて前記切替弁を切り替える制御装置と、を備えたことが好ましい。
)前記制御装置は、前記内燃機関温度センサにより検出された温度が前記内燃機関の過熱した状態を示していれば、前記切替弁により前記第一状態に切り替える内燃機関保護制御を実施することが好ましい。
なお、前記内燃機関温度センサにより検出された温度が前記内燃機関の過熱した状態を示すとは、前記内燃機関温度センサにより検出された温度が予め設定されたエンジン第一所定温度以上となることをいう。
)前記制御装置は、前記熱交換器センサにより検出された温度又は圧力が前記熱交換器の過熱した状態を示していれば、前記切替弁により前記第二状態に切り替える熱交換器保護制御を実施することが好ましい。
なお、前記熱交換器センサにより検出された温度又は圧力が前記熱交換器の過熱した状態を示すとは、前記熱交換器センサにより検出された温度又は圧力が予め設定された熱交換器所定温度又は熱交換器所定圧力以上となることをいう。
)前記制御装置は、前記熱交換器保護制御において前記冷却水を圧送するウォーターポンプの圧送量を、前記内燃機関保護制御において前記冷却水を圧送する前記ウォーターポンプの圧送量よりも大きくすることが好ましい。
)前記制御装置は、前記内燃機関温度センサにより検出された温度が予め設定された所定温度未満であれば、前記切替弁により前記第二状態に切り替える冷却水昇温制御を実施することが好ましい。
なお、前記所定温度とは、予め設定されたエンジン第三所定温度である。
)前記制御装置は、前記冷却水昇温制御において、前記内燃機関温度センサにより検出された温度が低くなるに従って前記冷却水を圧送するウォーターポンプの圧送量を大きくすることが好ましい。
本発明の冷却水流通機構によれば、内燃機関が過熱した状態にときに、切替弁により第一状態に切り替えれば、内燃機関で熱を吸収した冷却水がラジエータで熱を放出することにより、内燃機関を速やかに冷却することができる。一方、内燃機関の温度が低い状態のときに、切替弁により第二状態に切り替えれば、熱交換器で排気から熱を吸収した冷却水が内燃機関を流通することにより、内燃機関を速やかに昇温させることができる。このように、切替弁により第一状態又は第二状態に切り替えることで、内燃機関を速やかに適温にすることができ、冷却水の温度の制御性を向上させることができる。
本発明の一実施形態に係る冷却水流通機構を模式的に示す全体図である。なお、図1では、冷却水の流通方向を実線の矢印で示し、排気の流通方向を破線の矢印で示している。 本発明の一実施形態に係る冷却水流通機構の制御手順の一例を示すフローチャートである。 図2に示す熱交換器保護制御のサブルーチンを示すフローチャートである。 図2に示すエンジン保護制御のサブルーチンを示すフローチャートである。 図2に示す冷態初期制御のサブルーチンを示すフローチャートである。 図2に示す通常冷却制御のサブルーチンを示すフローチャートである。 図2に示す冷却水昇温制御のサブルーチンを示すフローチャートである。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の冷却水流通機構は、内燃機関の内部だけでなく内燃機関の排気系周辺まで流路を延長して冷却水を流通させるものである。この冷却水は、熱を吸収する吸熱媒体であるとともに、熱を放出する放熱媒体でもある。本実施形態では、冷却水が内燃機関の温度を調節する熱媒体として用いられている。冷却水は、吸熱媒体として機能するときには内燃機関又はその排気から熱を吸収し、放熱媒体として機能するときには外気又は内燃機関との熱交換により熱を放出する。
なお、本実施形態では、内燃機関として車両のエンジンを例に挙げて説明する。また、冷却水又は排気が流通する方向を基準に上流及び下流を定める。
〔一実施形態〕
[1.構成]
図1に示すように、冷却水流通機構は、冷却水が循環して流通する二系統の経路(「循環流通路」と略称する)20,30を備えている。一方の循環流通路(以下、「第一循環流通路」という)20にはラジエータ10が介装され、他方の循環流通路(以下、「第二循環流通路」という)30には熱交換器13が介装されている。
循環流通路20,30は、一部の経路が共通であり、その共通箇所にエンジン1が介装されている。すなわち、循環流通路20,30では、エンジン1から流出した冷却水がエンジン1に環流する。
循環流通路20,30の共通箇所の各端部には、切替弁15a,15b(以下、これらをまとめて示すときには「切替弁15」という)が設けられている。切替弁15は、制御装置50によって切り替えられる。なお、一方の切替弁(以下、「第一切替弁」という)15aがラジエータ10及び熱交換器13の上流側に設けられ、他方の切替弁(以下、「第二切替弁」という)15bが熱交換器13の下流側に設けられている。
以下、エンジン1及びその周辺構成を説明したうえで、第一循環流通路20,第二循環流通路30,切替弁15,制御装置50の順に説明する。
[1−1.エンジン及びその周辺の構成]
エンジン1は、シリンダ1a(一箇所のみ符号を付す)内で燃料を燃焼させた熱エネルギーにより出力を得る内燃機関である。なお、図1では四つのシリンダ1aを例示するが、シリンダ1aは、少なくとも一つ形成されていればよく、三つ以下でもよいし五つ以上でもよい。
シリンダ1aの周囲には、冷却水が流通するウォータージャケット1b(破線で示す)が形成されている。冷却水がウォータージャケット1bを流通し、冷却水とエンジン1とが熱交換することで、エンジン1の温度が調節される。
エンジン1には、冷却水が流入する一つの流入口1cと、冷却水が流出する二つの流出口1d,1eとが形成されている。流入口1cと流出口1d,1eとの間には、上記のウォータージャケット1bが設けられている。流入口1cから流入した冷却水は、ウォータージャケット1bを経て分岐し、一方の流出口1d(以下、「第一流出口」という)と他方の流出口1e(以下、「第二流出口」という)とのそれぞれから流出する。
エンジン1の流入口1cの直上流には、ウォーターポンプ14が備え付けられている。ウォーターポンプ14は、冷却水を循環流通路20,30内で循環させるべく圧送するものである。ウォーターポンプ14により圧送された冷却水は、流入口1cからエンジン1の内部に流入する。
ここでは、ウォーターポンプ14として、図示省略するバッテリから給電されて作動する電動のものを用いている。このウォーターポンプ14は、制御装置50に制御線を介して接続されており、制御装置50により圧送量(回転数)QWが制御される。なお、従来のウォーターポンプとしては、エンジン回転数に応じて圧送量が変動するものが知られているが、ここで用いるウォーターポンプ14は、エンジン回転数とは独立して圧送量QWが制御される。
エンジン1の排気側には、排気が流通する順に、エキゾーストマニホールド(以下、「エキマニ」と略称する)2と排気管3とが接続されている。これらのエキマニ2及び排気管3により排気の流通路が形成されている。
エキマニ2は、シリンダ1aから排出される排気を排気管3に導くものである。シリンダ1aが複数形成されたエンジン1では、各シリンダ1aから排出された排気を合流させて排気管3に導くような形状とされる。
排気管3には、排気を浄化するための排気浄化装置4が介装されている。排気浄化装置4は、排気を浄化する触媒4aを有する。この触媒4aは、排気の熱によって昇温されることで活性化する。逆に言えば、触媒4aは、昇温されるまでは不活性である。
触媒4aは、例えば金属或いはセラミックス等からなるハニカム状の担体に担持され、排気中の成分に対する酸化能を有する。触媒4aとしては、排気に含まれる炭化水素(HC),窒素酸化物(NOx)及び一酸化炭素(CO)の三成分を酸化させる三元触媒を用いることができる。
排気管3の排気浄化装置4よりも下流には、詳細を後述する熱交換器13が設けられている。
[1−2.第一循環流通路]
第一循環流通路20は、おもに冷却水の放熱(冷却)に係る経路であり、エンジン1の二つの流出口1d,1eから流出した冷却水が一つの流入口1cに流入する経路である。この第一循環流通路20は、第一流出口1dからの冷却水が流入口1cに環流するラジエータ側環流通路21と、第二流出口1eからの冷却水が流入口1cに環流するヒータコア側環流通路22とを有する。
以下、ラジエータ側環流通路21について、エンジン1を起点としたときに冷却水が流通する順に説明する。
エンジン1の第一流出口1dの下流には、詳細を後述する第一切替弁15aが介装されている。なお、エンジン1から第一切替弁15aまでの経路は、後述する第二循環流通路30と共通である。
第一切替弁15aの下流では、第一循環流通路20における冷却水の流通先が二つに分岐している。分岐先の一方にはラジエータ10が介装され、他方はラジエータ10をバイパスするバイパス路21aとなっている。
分岐先の一方を流通する冷却水は、ラジエータ10の内部を流通する。ラジエータ10は、冷却水の熱を放出させるものである。具体的に言えば、ラジエータ10は、その内部を流通する冷却水と外気とを熱交換させることで、冷却水の熱を放出させるものである。
ラジエータ10の下流には、サーモスタット11が介装されている。サーモスタット11は、冷却水の温度(水温)が所定温度よりも高くなるとラジエータ10側の流路を開放し、逆に、冷却水の温度が所定温度よりも低くなるに連れてラジエータ10側の流路の開度を小さくし、冷却水の温度が更に低くなるとラジエータ10側の流路を閉鎖する弁である。サーモスタット11は、その閉鎖時にはラジエータ10からの冷却水の流通を遮断し、その開放時にラジエータ10からの冷却水を流通可能にする。なお、ラジエータ10側の流路が開放される所定温度は、例えば75℃や80℃である。
サーモスタット11の下流には、上述のバイパス路21aの下流端部が接続されており、この接続部の下流には、上記のウォーターポンプ14が設けられている。
すなわち、サーモスタット11の開放時には、サーモスタット11の下流において、ラジエータ10を経由した冷却水とバイパス路21aを経由した冷却水とが合流する。一方、サーモスタット11の閉鎖時には、バイパス路21aのみを冷却水が流通し、ラジエータ10には冷却水が流通しない。
このように、ラジエータ側環流通路21では、エンジン1の第一流出口1dから流出した冷却水が、ラジエータ10及びサーモスタット11を経て、又は、バイパス路21aを経て、エンジン1の流入口1cに環流する。
次に、ヒータコア側環流通路22について、エンジン1を起点としたときに冷却水が流通する順に説明する。
ヒータコア側環流通路22には、上流から順に、エンジン水温センサ(内燃機関温度センサ)90,詳細を後述する第二切替弁15b,ヒータコア12,サーモスタット11,ウォーターポンプ14が設けられている。
エンジン水温センサ90は、冷却水の温度ET(以下、「エンジン水温ET」という)を検出するものである。このエンジン水温センサ90は、エンジン1の第二流出口1eの直下流に設けられている。このエンジン水温センサ90により検出されたエンジン水温ETの情報は、制御装置50に伝達される。
なお、エンジン1から流出した直後の冷却水の温度は、エンジン1の内部を流通する冷却水の温度と略等しい。このため、エンジン水温センサ90は、エンジン1を流通する冷却水の温度を検出するものといえる。
ヒータコア12は、車室内に送風される空気と冷却水とを熱交換させて車室内を暖めるものであり、暖房の熱源となるものである。このため、ヒータコア12は、冷却水を放熱させるものともいえる。なお、ヒータコア12は、図示省略する空調ユニットの空調ケース内に設けられている。
ヒータコア12とラジエータ10とを流通する冷却水の量が同じであれば、ヒータコア12による冷却水の放熱量よりもラジエータ10による冷却水の放熱量が大きい。つまり、ヒータコア12よりもラジエータ10の方が放熱効率がよい。言い換えれば、ヒータコア12による冷却水の放熱量とラジエータ10による冷却水の放熱量とを同量にするには、ラジエータ10における冷却水の流通量よりもヒータコア12における冷却水の流通量を大きくすることが必要となる。
このヒータコア12には、車室内に送風するブロアファン12aが付設されている。ブロアファン12aを作動させれば、ヒータコア12における冷却水との熱交換によって暖められた空気が車室内に送風される。このブロアファン12aは、制御線を介して制御装置50に接続されており、制御装置50により動作が制御される。
なお、ヒータコア側環流通路22のサーモスタット11よりも下流側の経路は、上記のラジエータ側環流通路21のサーモスタット11よりも下流側の経路と共通である。ただし、ヒータコア側環流通路22では、サーモスタット11が開放時であっても閉鎖時であっても冷却水が流通可能となっている。
このように、ヒータコア側環流通路22では、エンジン1の第二流出口1eから流出した冷却水が、ヒータコア12を経て、エンジン1の流入口1cに環流する。
[1−3.第二循環流通路]
第二循環流通路30は、おもに冷却水の吸熱(昇温)に係る経路であり、エンジン1の第一流出口1dから流出した冷却水が流入口1cに流入する経路である。
以下、第二循環流通路30について、エンジン1を起点としたときに冷却水が流通する順に説明する。
第二循環流通路30には、上流から順に、詳細を後述する第一切替弁15a,熱交換器13,熱交換器水温センサ(熱交換器センサ)91,詳細を後述する第二切替弁15b,ヒータコア12,サーモスタット11,ウォーターポンプ14が設けられている。
熱交換器13は、排気管3を流通する排気と冷却水とで熱交換させるものである。通常、排気の温度は冷却水の温度よりも高いため、熱交換器13を流通する冷却水は、排気と熱交換することで昇温する。このため、熱交換器13は、排気と冷却水とで熱交換させて冷却水に熱を吸収させるものといえる。
熱交換器13としては、排気管3の外周に冷却水が流通する配管を巻き付けたものや、これに熱交換効率を向上させるためのフィンを設けたものなどを用いることができる。
熱交換器水温センサ91は、冷却水の温度HT(以下、「熱交換器水温HT」という)を検出するものである。この熱交換器水温センサ91は、熱交換器13の直下流に設けられている。この熱交換器水温センサ91により検出された熱交換器水温HTの情報は、制御装置50に伝達される。
なお、熱交換器13の直下流における冷却水の温度は、熱交換器13の内部を流通する冷却水の温度と略等しい。このため、熱交換器水温センサ91は、熱交換器13を流通する冷却水の温度を検出するものといえる。
第二循環流通路30の第二切替弁15bよりも下流側の経路は、上記のヒータコア側環流通路22の第二切替弁15bよりも下流側の経路と同様である。
このように、第二循環流通路30では、エンジン1の第一流出口1dから流出した冷却水が、熱交換器13及びヒータコア12を経て、エンジン1の流入口1cに環流する。
[1−4.切替弁]
切替弁15は、第一循環流通路20に冷却水を流通させる第一状態と、第二循環流通路30に冷却水を流通させる第二状態とを択一的に切り替えるものである。
以下、第一切替弁15a及び第二切替弁15bのそれぞれについて具体的に説明する。なお、第一切替弁15a及び第二切替弁15bは、それぞれ制御装置50に制御線を介して接続されており、その切り替え状態を制御装置50により制御される。各切替弁15a,15bには、電磁弁を用いることができる。
第一切替弁15aは、一つの流入口151と二つの流出口152,153とを有する三方弁である。ここで、二つの流出口152,153のうち、第一循環流通路20に接続された一方を第一流出口152と呼び、第二循環流通路30に接続された他方を第二流出口153と呼ぶ。この第一切替弁15aは、下記の〈i〉及び〈ii〉の何れか一方の状態に排他的に切り替わる。
〈i〉 流入口151と第一流出口152とを連通させるとともに、
流入口151と第二流出口153との連通を遮断する。
〈ii〉 流入口151と第一流出口152との連通を遮断するとともに、
流入口151と第二流出口153とを連通させる。
流入口151には、エンジン1の第一流出口1dからの冷却水が流入する。
また、第一流出口152では、上記〈i〉の状態のときにラジエータ10又はそのバイパス路21aへの冷却水が流出する。一方、第二流出口153では、上記〈ii〉の状態のときに熱交換器13への冷却水が流出する。
第二切替弁15bは、二つの流入口154,155と一つの流出口156とを有する三方弁である。ここで、二つの流入口154,155のうち、第一循環流通路20に接続された一方を第一流入口154と呼び、第二循環流通路30に接続された他方を第二流入口155と呼ぶ。この第二切替弁15bは、下記の〈iii〉及び〈iv〉の何れか一方の状態に排他的に切り替わる。
〈iii〉第一流入口154と流出口156とを連通させるとともに、
第二流入口155と流出口156との連通を遮断する。
〈iv〉 第一流入口154と流出口156との連通を遮断するとともに、
第二流入口155と流出口156とを連通させる。
第一流入口154には、上記〈iii〉の状態のときにエンジン1の第二流出口1eからの冷却水が流入する。一方、第二流入口155には、上記〈iv〉の状態のときに熱交換器13からの冷却水が流入する。
また、流出口156では、ヒータコア12への冷却水が流出する。
第一切替弁15aが上記〈i〉の状態のときには第二切替弁15bが上記〈iii〉の状態に切り替えられる。このときの冷却水は、第一循環流通路20を流通し、第二循環流通路30を流通しない。言い換えれば、第二循環流通路30が冷却水の流通路から切り離され、冷却水の流通路として、第一循環流通路20により閉回路が形成される。このときの第二循環流通路30は、冷却水の流通が遮断されるため、密閉状態となる。
つまり、第一切替弁15aが上記〈i〉の状態であって第二切替弁15bが上記〈iii〉の状態にされると、第一循環流通路20に冷却水を流通させる第一状態となる。
また、第一切替弁15aが上記〈ii〉の状態のときには第二切替弁15bが上記〈iv〉の状態に切り替えられる。このときの冷却水は、第二循環流通路30を流通し、第一循環流通路20を流通しない。言い換えれば、第一循環流通路20が冷却水の流通路から切り離され、冷却水の流通路として、第二循環流通路30により閉回路が形成される。このときの第一循環流通路20は、冷却水の流通が遮断されるため、密閉状態となる。
つまり、第一切替弁15aが上記〈ii〉の状態であって第二切替弁15bが上記〈iv〉の状態にされると、第二循環流通路30に冷却水を流通させる第二状態となる。
なお、第一切替弁15aが上記〈i〉の状態のときには第二切替弁が上記〈iv〉に切り替えられることはなく、また、第一切替弁15aが上記〈ii〉の状態のときには第二切替弁が上記〈iii〉の状態に切り替えられることはない。
[1−5.制御装置]
制御装置50は、少なくとも冷却水の流通を制御する機能を持った電子制御装置であり、例えばマイクロプロセッサやROM,RAM等を集積したLSIデバイスや組み込み電子デバイスとして構成される。
この制御装置50は、入力側に接続された各種センサ類からの情報に基づいて、第一切替弁15a,第二切替弁15b,ウォーターポンプ14及びブロアファン12aのそれぞれについて制御する。
まず、制御装置50の入力側に接続された各種センサ類について説明する。
制御装置50の入力側には、上記のエンジン水温センサ90及び熱交換器水温センサ91と、温度センサ92と、エアコンスイッチ93とが接続されている。なお、エンジン水温センサ90及び熱交換器水温センサ91については前述の通りであり、ここでの説明は省略する。
温度センサ92は、車室内の温度(気温)ATを検出するものである。この温度センサ92により検出された温度AT(以下、「車室内温度AT」という)の情報は、制御装置50に伝達される。
エアコンスイッチ(SW)93は、車両の乗員により操作されるものであり、エアコン(空調)に関するさまざまな操作が入力されるインターフェースである。ここでは、エアコンスイッチ93について、暖房に係る点に着目して説明する。
エアコンスイッチ93は、車両の乗員が暖房を要求するときにON操作され、乗員が暖房を要求しないときにはOFF操作される。このエアコンスイッチ93は、ON操作されるとON信号を出力し、OFF操作されるとOFF信号を出力する。これらのON/OFF信号は、制御装置50に伝達される。また、車両の乗員は、暖房を要求するときに、エアコンスイッチ93を介して暖房の設定温度ATSを入力することもできる。この場合、エアコンスイッチ93からの設定温度ATSの情報が制御装置50に伝達される。
なお、車両の乗員は、エアコンスイッチ93を介して、所望の風量やエアコンの自動運転などを入力することができる。風量やエアコンに自動運転を指示する情報は、制御装置50に伝達される。制御装置50は、エアコンの自動運転を指示する情報が入力されると、適当な風量及び設定温度ATSを算出する。この制御装置50は、風量の情報が入力され、又は、風量が算出されると、その風量に応じてブロアファン12aを作動させる。
次に、制御装置50により実施される各種の制御について説明する。
各種の制御は、第一循環流通路20に冷却水を流通させる第一状態に切り替える制御と第二循環流通路30に冷却水を流通させる第二状態に切り替える制御との二つに大別することができる。前者の制御では、第一切替弁15aが上記〈i〉の状態に切り替えられるとともに、第二切替弁15bが上記〈iii〉の状態に切り替えられる。後者の制御では、第一切替弁15aが上記〈ii〉の状態に切り替えられるとともに、第二切替弁15bが上記〈iv〉の状態に切り替えられる。
前者の制御としては、エンジン保護制御,冷態初期制御及び通常冷却制御が挙げられる。後者の制御としては、熱交換器保護制御及び冷却水昇温制御が挙げられる。なお、制御装置50は、各種の制御のうち何れか一つの制御を実施しているときには、その他の制御を実施しない。なおまた、制御装置50は、エンジン1が始動されると各種の制御を実施し、エンジン1の停止中には各種の制御を実施しない。
以下の説明では、熱交換器保護制御,エンジン保護制御,冷態初期制御,通常冷却制御及び冷却水昇温制御の順に各制御を説明する。
[1−5−1.熱交換器保護制御]
熱交換器保護制御は、熱交換器13が過熱した状態になることを回避して、熱交換器13を保護するための制御である。
熱交換器保護制御の開始条件は、熱交換器水温HTが熱交換器13の過熱した状態を示すことである。具体的に言えば、熱交換器水温HTが熱交換器所定温度HP以上となることである。
熱交換器所定温度HPとは、熱交換器13が耐熱可能な上限温度よりも安全マージン分だけ低い温度として、予め実験的又は経験的に設定されたものである。この熱交換器所定温度HPとしては、例えば95℃や98℃といった温度を用いることができる。
熱交換器保護制御の終了条件は、熱交換器水温HTが熱交換器所定温度HP未満となること、即ち開始条件が不成立となることである。
なお、熱交換器保護制御のハンチングを回避すべく、上記の終了条件に替えて、熱交換器水温HTが、熱交換器所定温度HPから第一所定温度TP1(例えば2℃や3℃)だけ低い温度よりも低くなったことを終了条件としてもよい。
熱交換器保護制御では、切替弁15が制御されて、冷却水の流通状態が第二状態に切り替えられる。このうえで、ウォーターポンプ14の圧送量QWが、熱交換器13を速やかに冷却するのに適した第一圧送量QW1に制御される。この第一圧送量QW1としては、例えばウォーターポンプ14の最大圧送量を用いることができる。なお、第一圧送量QW1は、ウォーターポンプ14の最大圧送量に固定するものに限らず、熱交換器水温HTが高くなるに従って大きくなるようにしてもよい。
[1−5−2.エンジン保護制御]
エンジン保護制御(内燃機関保護制御)は、エンジン1が過熱した状態になることを回避して、エンジン1を保護するための制御である。
エンジン保護制御の開始条件は、エンジン水温ETがエンジン1の過熱した状態を示していることである。具体的に言えば、エンジン水温ETがエンジン第一所定温度EP1以上となることである。
エンジン第一所定温度EP1とは、エンジン1が過熱した状態(オーバーヒート)か否かを判定する閾値として、予め実験的又は経験的に設定された温度である。このエンジン第一所定温度EP1としては、例えば95℃や98℃といった温度を用いることができる。
エンジン保護制御の終了条件は、エンジン水温ETがエンジン第一所定温度EP1未満になること、即ち開始条件が不成立となることである。
なお、エンジン保護制御のハンチングを回避すべく、上記の終了条件に替えて、エンジン水温ETが、エンジン第一所定温度EP1から第二所定温度TP2(例えば2℃や3℃)だけ低い温度よりも低くなったことを終了条件としてもよい。
エンジン保護制御では、切替弁15が制御されて、冷却水の流通状態が第一状態に切り替えられる。このうえで、ウォーターポンプ14の圧送量QWが、エンジン1を速やかに冷却するのに適した第二圧送量QW2に制御される。この第二圧送量QW2は、熱交換器保護制御に係る第一圧送量QW1よりも小さく設定される。逆に言えば、熱交換器保護制御の第一圧送量QW1は、エンジン保護制御の第二圧送量QW2よりも大きく設定される。これは、エンジン保護制御ではラジエータ10で冷却水を放熱させるのに対し、熱交換器保護制御ではラジエータ10よりも放熱効率の低いヒータコア12で放熱させるからである。
なお、第二圧送量QW2として、熱交換器保護制御に係る第一圧送量QW1と同様に、ウォーターポンプ14の最大圧送量を用いることができ、これに替えて、エンジン水温ETが高くなるに従って大きくなるようにしてもよい。
[1−5−3.冷態初期制御]
冷態初期制御は、冷却水の流通を抑えて、エンジン1の暖機を促進する制御である。言い換えれば、シリンダ1a内での燃焼による熱エネルギーによってエンジン1の暖機を促進する制御である。この冷態初期制御は、エンジン1の冷態始動直後(冷態始動初期)や低温下での稼働時などのエンジン1が冷態(オーバークール)であるときに実施される。
冷態初期制御の開始条件は、エンジン水温ETがエンジン第二所定温度EP2未満となることである。
エンジン第二所定温度EP2とは、排気浄化装置4の触媒4aが活性化したか否かを判定する閾値として、予め実験的又は経験的に設定された温度である。このエンジン第二所定温度EP2は、エンジン第一所定温度EP1よりも低い温度に設定されている。エンジン第二所定温度EP2としては、例えば50℃や60℃といった温度を用いることができる。
冷態初期制御の終了条件は、エンジン水温ETがエンジン第二所定温度EP2以上となること、即ち開始条件が不成立となることである。
なお、上記の終了条件に替えて、冷態初期制御の実施時間tが、所定時間tPを超えることを終了条件としてもよい。所定時間tPとは、触媒4aが活性化するまで待機する時間として予め実験的又は経験的に設定されたものである。この所定時間tPとしては、例えば30秒や40秒といった時間を用いることができる。
冷態初期制御では、切替弁15が制御されて、冷却水の流通状態が第一状態に切り替えられる。このうえで、ウォーターポンプ14の圧送量QWが、上記の第一圧送量QW1や第二圧送量QW2よりも小さい第三圧送量QW3に制御される。
第三圧送量QW3とは、エンジン水温ETの信頼性を確保できる範囲内での最小の圧送量をいう。
冷却水は、ウォーターポンプ14により圧送されなければ、冷却水が充填された領域の上部と下部とで温度差が生じてしまう。このため、ここでは第三圧送量QW3で冷却水を圧送して冷却水の充填領域における温度差を解消することにより、エンジン水温センサ90による検出されるエンジン水温ETの信頼性を確保している。
[1−5−4.通常冷却制御]
通常冷却制御は、エンジン1の温度を適温に維持するための制御である。ここでいう適温とは、エンジン1が過熱した状態の温度よりも低く、且つ、エンジン1が冷態の温度よりも高い温度をいう。この通常冷却制御は、適温のエンジン1を始動した時や通常走行時などに実施される。
通常冷却制御の開始条件は、以下の〈条件A1〉又は〈条件A2〉を満たすことである。
〈条件A1〉エンジン水温ETがエンジン第三所定温度EP3以上となること。
〈条件A2〉暖房要求が有り、且つ、車室内温度ATが暖房の設定温度ATS以上となること。
エンジン第三所定温度EP3とは、サーモスタット11が開弁しているか否かを判定する閾値として、予め実験的又は経験的に設定された温度である。このエンジン第三所定温度EP3は、エンジン第一所定温度EP1とエンジン第二所定温度EP2との間の温度に設定されている。エンジン第三所定温度EP3としては、上記のサーモスタット11の開弁温度と同様に75℃や80℃といった温度を用いることができる。
なお、冷却水を冷却するラジエータ10の下流にサーモスタット11が設けられているのに対し、エンジン1の第二流出口1eの直下流にエンジン水温センサ90が設けられている。このため、同時点においては、サーモスタット11における冷却水の温度よりもエンジン水温ETの方が高くなることが考えられる。かかる点を考慮して、エンジン第三所定温度EP3が設定されてもよい。この場合、エンジン第三所定温度EP3は、サーモスタット11が開弁する温度よりも2℃又は3℃といった所定温度だけ高い温度が設定される。
通常冷却制御の終了条件は、上記の〈条件A1〉及び〈条件A2〉の何れもが不成立となることである。具体的に言えば、下記の〈条件B1〉及び〈条件B2〉の何れもが成立することである。なお、〈条件B1〉は〈条件A1〉が不成立の場合であり、〈条件B2〉は〈条件A2〉が不成立の場合である。
〈条件B1〉エンジン水温ETがエンジン第三所定温度EP3未満となること。
〈条件B2〉暖房要求が有り、且つ、車室内温度ATが暖房の設定温度ATS未満となること。
上記の〈条件B2〉は、暖房要求が無い場合にも成立する。
なお、通常冷却制御のハンチングを回避すべく、上記の終了条件に替えて、下記の〈条件B1′〉及び〈条件B2′〉の何れもが成立したことを終了条件としてもよい。
〈条件B1′〉エンジン水温ETがエンジン第三所定温度EP3から第三所定温度TP3(例えば2℃や3℃)だけ低い温度よりも低くなったこと。
〈条件B2′〉暖房要求が有り、且つ、車室内温度ATが暖房の設定温度ATSから第四所定温度TP4(例えば2℃や3℃)だけ高い温度(又は低い温度)よりも低くなったこと。
この〈条件B2′〉では、車室内温度ATと比較される閾値として、設定温度ATSに第四所定温度TP4だけ高い温度(又は低い温度)を用いるため、かかる閾値に幅を与えることができる。
通常冷却制御では、切替弁15が制御されて、冷却水の流通状態が第一状態に切り替えられる。このうえで、ウォーターポンプ14の圧送量QWが、エンジン1を適温に維持するのに適した第四圧送量QW4に制御される。
この第四圧送量QW4は、例えば制御装置50によりエンジン水温ETに基づいて算出され、エンジン水温ETによって変動しうる。
[1−5−5.冷却水昇温制御]
冷却水昇温制御は、排気熱を利用して冷却水の温度を昇温させる制御である。この冷却水昇温制御では、熱交換器13で冷却水と排気とを熱交換させることにより、冷却水を昇温させる。なお、冷却水と熱交換する排気は、触媒4aにより酸化されることで、酸化熱により昇温されている。この冷却水昇温制御は、エンジン1が冷態始動された際には、上記の冷態初期制御に続いて実施される。なお、冷却水昇温制御は、触媒4aが活性化していることを前提に実施される。
冷却水昇温制御の開始条件は、上記の通常冷却制御の終了条件を満たすことである。
冷却水昇温制御の終了条件は、上記の通常冷却制御の開始条件を満たすことである。
冷却水昇温制御では、切替弁15が制御されて、冷却水の流通状態が第二状態に切り替えられる。このうえで、ウォーターポンプ14の圧送量QWが、ヒータコア12によって送風空気が効率よく暖められるのに適した、又は、エンジン1を速やかに暖気させるのに適した第五圧送量QW5に制御される。
例えば、第五圧送量QW5は、制御装置50によりエンジン水温ETや熱交換器水温HTに基づいて算出され、水温ET,HTによって変動しうる。この第五圧送量QW5は、エンジン水温ETが低くなるに従って大きくなるように設定することができる。
冷却水昇温制御では、冷却水が熱交換器13で昇温されるとともに、冷却水がヒータコア12で放熱される。また、冷却水の圧送量によって、熱交換器13における冷却水の吸熱量とヒータコア12における冷却水の放熱量との割合が変化し得る。これらより、暖房を優先する場合には、ヒータコア12における冷却水の放熱量が最大になるような圧送量を第五圧送量QW5に設定するとよい。また、エンジン1の暖機を優先する場合には、熱交換器13における冷却水の吸熱量がヒータコア12における冷却水の放熱量よりも大きく、これらの熱量の差が最大になるように第五圧送量QW5に設定するとよい。
[2.フローチャート]
次に、図2及びこの詳細を説明する図3〜図7のフローチャートを用いて、制御装置50により実施される制御手順の一例について説明する。なお、フローチャートは、エンジン1が始動されると所定の制御周期で実施され、エンジン1が停止されると終了する。なおまた、フローチャート中の各ステップは、制御装置50のハードウェアに割り当てられた各機能がソフトウェア(コンピュータプログラム)によって動作することで実施される。
ステップS1では、熱交換器水温HTが熱交換器所定温度HP以上か否かを判定する。このステップS1では、熱交換器保護制御の開始条件の成否を判定している。
熱交換器水温HTが熱交換器所定温度HP以上であればステップS10へ移行し、熱交換器水温HTが熱交換器所定温度HP未満であればステップS2へ移行する。
ステップS10では、熱交換器保護制御を実施する。この熱交換器保護制御について、図3を用いて説明する。
ステップS12では、切替弁15により第二状態に切り替える。そしてステップS14へ移行する。
ステップS14では、ウォーターポンプ14の圧送量QWを第一圧送量QW1にする。
熱交換器保護制御の終了条件として、その開始条件の不成立(ステップS1の否定判定)を用いるときには、本制御周期を終了(図2のリターン)する。ただし、ハンチングを防止すべく、熱交換器保護制御の終了条件として、その開始条件の不成立を用いないときには、ステップS16(破線で示す)へ移行し、その終了条件の成否を判定する。
ステップS16では、熱交換器水温HTが、熱交換器所定温度HPから第一所定温度TP1だけ低い温度よりも低くなったか否かを判定する。熱交換器水温HTが熱交換器所定温度HPから第一所定温度TP1だけ低い温度よりも低ければ、本制御周期を終了し、そうでなければステップS12へ移行する。
図2に示すように、ステップS2では、エンジン水温ETがエンジン第一所定温度EP1以上であるか否かを判定する。このステップS2では、エンジン保護制御の開始条件の成否を判定している。
エンジン水温ETがエンジン第一所定温度EP1以上であれば、ステップS20へ移行し、エンジン水温ETがエンジン第一所定温度EP1未満であればステップS3へ移行する。
ステップS20では、エンジン保護制御を実施する。このエンジン保護制御について、図4を用いて説明する。
ステップS22では、切替弁15により第一状態に切り替える。そしてステップS24へ移行する。
ステップS24では、ウォーターポンプ14の圧送量QWを第二圧送量QW2にする。
エンジン保護制御の終了条件として、その開始条件の不成立(ステップS2の否定判定)を用いるときには、本制御周期を終了する。ただし、ハンチングを防止すべく、エンジン保護制御の終了条件として、その開始条件の不成立を用いないときには、ステップS26(破線で示す)へ移行し、その終了条件の成否を判定する。
ステップS26では、エンジン水温ETがエンジン第一所定温度EP1から第二所定温度TP2だけ低い温度よりも低いか否かを判定する。エンジン水温ETがエンジン第一所定温度EP1から第二所定温度TP2だけ低い温度よりも低ければ、本制御周期を終了し、そうでなければステップS22へ移行する。
なお、ここでは、ステップS1の否定判定の後にステップS2を判定するものを説明したが、逆に、ステップS2を先に判定し、ステップS2の否定判定の後にステップS1を判定してもよい。
ステップS3では、エンジン水温ETがエンジン第二所定温度EP2未満か否かを判定する。このステップS3では、冷態初期制御の開始条件の成否を判定している。
ステップS30では、冷態初期制御を実施する。この冷態初期制御について、図5を用いて説明する。
ステップS32では、切替弁15により第一状態に切り替える。そしてステップS34へ移行する。
ステップS34では、ウォーターポンプ14の圧送量QWを第三圧送量QW3にする。
冷態初期制御の終了条件として、その開始条件の不成立(ステップS3の否定判定)を用いるときには、本制御周期を終了する。ただし、冷態初期制御の終了条件として、その開始条件の不成立を用いないときには、ステップS36(破線で示す)へ移行し、その終了条件の成否を判定する。
ステップS36では、冷態初期制御の実施時間tが所定時間tPを超えたか否かを判定する。実施時間tが所定時間tPを超えれば、本制御周期を終了する。一方、実施時間tが所定時間tPを超えていなければ、ステップS32へ移行する。
なお、ステップS36の否定判定を経てステップS32,ステップS34を繰り返すフローは、触媒4aが昇温されて活性化するのを待機するフローに相当する。
図2に示すように、ステップS4では、暖房要求の有無を判定する。暖房要求が有ればステップS5へ移行し、暖房要求が無ければステップS6へ移行する。
ステップS5では、車室内温度ATが暖房の設定温度ATS以上か否かを判定する。車室内温度ATが設定温度ATS以上であればステップS6へ移行し、車室内温度ATが設定温度ATS未満であればステップS50へ移行する。
ステップS6では、エンジン水温ETがエンジン第三所定温度EP3以上であるか否かを判定する。エンジン水温ETがエンジン第三所定温度EP3以上であればステップS40へ移行し、エンジン水温ETがエンジン第三所定温度EP3未満であればステップS50へ移行する。
これらのステップS4〜S6では、通常冷却制御及び冷却水昇温制御の開始条件を判定している。
ステップS40の通常冷却制御について、図6を用いて説明する。
ステップS42では、切替弁15により第一状態に切り替える。そしてステップS44へ移行する。
ステップS44では、ウォーターポンプ14の圧送量QWを第四圧送量QW4にする。
通常冷却制御の終了条件として、その開始条件の不成立(ステップS5又はS6の否定判定)を用いるときには、本制御周期を終了する。ただし、ハンチングを防止すべく、通常冷却制御の終了条件として、その開始条件の不成立を用いないときには、ステップS46又はステップS48(何れも破線で示す)へ移行し、その終了条件の成否を判定する。
ステップS46では、エンジン水温ETがエンジン第三所定温度EP3からエンジン第三所定温度TP3だけ低い温度よりも低いか否かを判定する。エンジン水温ETがエンジン第三所定温度EP3から第三所定温度TP3だけ低い温度よりも低ければ、本制御周期を終了するかステップS48へ移行し、そうでなければステップS42へ移行する。
ステップS48では、車室内温度ATが暖房の設定温度ATSから第四所定温度TP4だけ高い温度(又は低い温度)よりも低くなったか否かを判定する。車室内温度ATが暖房の設定温度ATSから第四所定温度TP4だけ高い温度(又は低い温度)よりも低くなれば本制御周期を終了し、そうでなければステップS42へ移行する。
次に、ステップS50の冷却水昇温制御について、図7を用いて説明する。
ステップS52では、切替弁15により第二状態に切り替える。そしてステップS54へ移行する。
ステップS54では、ウォーターポンプ14の圧送量QWを第五圧送量QW5にする。そして本制御周期を終了する。
なお、冷却水昇温制御の開始条件は、通常冷却制御の終了条件であるので、上記のステップS4〜S6又はステップS46,S48の判定によって判定される。
[3.作用及び効果]
本実施形態の冷却水流通機構は、上述のように構成されるため、以下のような作用及び効果を得ることができる。
エンジン1が過熱した状態を示していれば、切替弁15により第一状態に切り替えられる。具体的には、エンジン水温ETが予め設定されたエンジン第一所定温度EP以上であれば、制御装置50によりエンジン保護制御が実施されて、切替弁15により第一状態に切り替えられる。このため、エンジン1で熱を吸収した冷却水がラジエータ10で熱を放出することにより、エンジン1を速やかに冷却することができる。
一方、エンジン1の温度が低い状態(冷態)のときには、切替弁15により第二状態に切り替えられる。具体的には、エンジン水温ETがエンジン第三所定温度EP3未満であれば、制御装置50により冷却水昇温制御が実施されて、切替弁15により第二状態に切り替えられる。このため、熱交換器13で排気から熱を吸収した冷却水がエンジン1を流通することにより、エンジン1を速やかに昇温させることができる。例えば、冷態始動されたエンジン1を速やかに暖機することをできる。
例えば、切替弁15が介装されない、又は、第一循環流通路20及び第二循環流通路30への流量をそれぞれ調整する弁が介装されている冷却水流通機構では、第一循環流通路20と第二循環流通路30とが連通するため、第一循環流通路20又は第二循環流通路30による閉回路は形成されず、第一循環流通路20及び第二循環流通路30の何れか一方だけに冷却水を流通させるのに比較して、冷却水を圧送するウォーターポンプへの負担が大きく、また、循環流通路20,30のそれぞれに介装された各要素の温度の制御性が低下してしまう。
これに対し、本実施形態の冷却水流通機構では、切替弁15により第一状態又は第二状態に切り替えることで、第一循環流通路20又は第二循環流通路30による閉回路を形成することにより、ウォーターポンプ14への負担を軽減させることができ、循環流通路20,30のそれぞれに介装された各要素の温度の制御性を向上させることができる。このようして、エンジン1を速やかに適温にすることができ、冷却水の温度の制御性を向上させることができる。
さらに、第一循環流通路20を備えた従来の機構に切替弁15及び第二循環流通路30を追加するだけで、即ち従来の冷却水流通機構を流用して、上記の効果を得ることができる。
第二状態のときに冷却水が流通する第二循環流通路30には、暖房の熱源となるヒータコアが介装されている。冷却水昇温制御では、切替弁15により第二状態に切り替えられるため、熱交換器13で排気と熱交換することで昇温した冷却水がヒータコア12において熱を放出する。したがって、暖房に用いる送風空気を速やかに暖めることができる。
切替弁15により第一状態に切り替えられた状態では、第二循環流通路30が密閉状態になる。この密閉状態において冷却水が熱交換器13で加熱されると、冷却水が気化することで、熱交換器13が破損してしまうおそれがあり、延いては、第二循環流通路30が破損してしまうおそれがある。これに関し、第二循環流通路30に冷却水と空気とを貯留可能なタンクを備えることにより対応することが考えられる。しかしながら、このようにタンクを備えた冷却水流通機構では、部品が増加することにより、製造コストや組立コストの上昇を招き、また、レイアウトの制約に対応することが困難である。
これに対し、本実施形態の冷却水流通機構は、熱交換器13が過熱した状態を示していれば、切替弁15により第二状態に切り替えられる。具体的には、熱交換器水温HTが熱交換器所定温度HP以上であれば、制御装置50により熱交換器保護制御が実施されて、切替弁15により第二状態に切り替えられる。このため、熱交換器13で熱を吸収した冷却水がヒータコア12で熱を放出する。言い換えれば、熱交換器水温HTを監視することにより、簡素な構成で、熱交換器13及びこれを流通する冷却水を冷却することができる。これにより、熱交換器13を冷却してその過熱による破損を防止することができる。延いては、第二循環流通路30の破損を防止することができる。
熱交換器保護制御が実施されるときに、冷却水の圧送量QWに用いられる第一圧送量QW1が第二圧送量QW2(エンジン保護制御の実施時における冷却水の圧送量)よりも大きく設定されているので、適切に熱交換器13を冷却してその過熱を防止することができる。
冷却水昇温制御が実施されるときに、冷却水の圧送量QWに用いられる第五圧送量QW5がエンジン水温ETが低くなるに従って大きくなるように設定されていれば、エンジン1の温度が低いほど熱交換器13で昇温された冷却水がエンジン1を流通する冷却水の量が多くなるため、迅速にエンジン1を暖気することができる。
このように、制御装置50は、エンジン水温ETと熱交換器水温HTとに基づいて切替弁15を切り替える各種の制御を実施するため、冷却水の温度の制御性を向上させることができる。
〔変形例〕
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の冷却水流通機構は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
以下の説明では、熱交換器保護制御の変形例について説明する。なお、ここでいう異なる点を除いては上述の一実施形態の構成と同様の構成になっている。
本変形例の熱交換器保護制御にかかる開始条件は、熱交換器水温HTが熱交換器第二所定温度HP2よりも高く、且つ、熱交換器13の急激な昇温が推定されることである。
熱交換器第二所定温度HP2とは、上述の熱交換器所定温度HPよりも低く、熱交換器13が急激に昇温すると過熱した状態となってしまう温度の下限として、予め実験的又は経験的に設定されている。この熱交換器第二所定温度HP2としては、例えば85℃や90℃といった温度を用いることができる。
熱交換器13の急激な昇温が推定されるとは、下記の〈条件X1〉〜〈条件X6〉の何れかが満たされることである。なお、〈条件X1〉〜〈条件X6〉は例示であり、熱交換器13の急激な昇温が推定されることにその他の条件が含まれてもよい。
〈条件X1〉熱交換器水温HTの上昇度合が所定の上昇度合が大きいこと。
〈条件X2〉燃料噴射量が増加すること。
〈条件X3〉アクセル開度が増加すること。
〈条件X4〉排気の温度が昇温したこと。
〈条件X5〉走行地点での車室外の気温よりも車両の走行先における気温の方が所定温度以上高いこと。
〈条件X6〉車両の走行先に登坂路があること。
上記の〈条件X1〉にかかる所定の上昇度合とは、熱交換器水温HTが急激に上昇しているか否かを判定する閾値であり、予め実験的又は経験的に設定されている。
〈条件X1〉が満たされているときには、熱交換器13を流通した冷却水の温度が急激に上昇しているため、熱交換器13が急激に昇温することを推定することができる。
〈条件X2〉が満たされているときには、燃料噴射量の増加により排気の温度も上昇するため、熱交換器13が急激に昇温することを推定することができる。この場合、制御装置50は、その入力側にエンジンECUが接続され、この入力に基づいて、〈条件X2〉が満たされているかを判定する。
〈条件X3〉が満たされているときには、アクセル開度の増加により燃料噴射量が増加するため、上記の〈条件X2〉と同様に、熱交換器13が急激に昇温することを推定することができる。この場合、制御装置50は、その入力側にアクセル開度を検出するアクセル開度検出センサが接続され、この入力に基づいて〈条件X3〉が満たされているかを判定する。
〈条件X4〉が満たされているときには、温度が上昇した排気の熱により熱交換器13が加熱されるため、熱交換器13が急激に昇温することを推定することができる。この場合、制御装置50は、その入力側に排気の温度を検出する排気温度センサが接続され、この入力に基づいて〈条件X4〉が満たされているかを判定する。
〈条件X5〉が満たされているときには、走行先の外気温の上昇によって、走行地点では温度の上昇が抑制されていた冷却水が急激に昇温し、熱交換器13が急激に昇温することを推定することができる。また、走行地点では暖房要求が有る場合には、走行先の外気温の上昇によって暖房要求が無くなり、ヒータコア12による冷却水の放熱量が低下する可能性があり、熱交換器13が急激に昇温することを推定することができる。かかる場合、制御装置50は、その入力側にカーナビゲーションシステムが接続され、この入力に基づいて〈条件X5〉が満たされているかを判定する。なお、カーナビゲーションシステムは、広域無線回線網を介して、走行ルートの設定と設定された走行ルート上の気温とを取得することができる。
〈条件X6〉が満たされているときには、走行先の登坂路でエンジン1に高負荷が要求されることにより、排気の温度が上昇して、熱交換器13が急激に昇温することを推定することができる。この場合、制御装置50は、その入力側にカーナビゲーションシステムが接続され、この入力に基づいて〈条件X6〉が満たされているかを判定する。なお、カーナビゲーションシステムは、設定された走行ルートの勾配情報が予め記憶され又は広域無線回線網を介して取得することができる。
なお、本変形例の熱交換器保護制御にかかる終了条件は、熱交換器水温HTが熱交換器第二所定温度HP2以下となることである。
このように、制御装置50は、熱交換器13の急激な昇温が推定されるときに、上述の一実施形態に係る熱交換器保護制御で用いる熱交換器所定温度HPよりも低い熱交換器第二所定温度HP2を開始条件に用いる。
したがって、熱交換器13の急激な昇温が推定されるときには、上述の一実施形態に係る熱交換器保護制御よりも優先的に熱交換器保護制御を実施することができる。これにより、熱交換器13の過熱による破損をより確実に防止することができ、延いては、第二循環流通路30の破損もより確実に防止することができる。
〔その他〕
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態及び変形例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、上述した一実施形態及び変形例の各構成は、必要に応じて取捨選択することができ、適宜組み合わせてもよい。
上述の実施形態では、熱交換器水温センサ91が設けられたものを示したが、これに替えて又は加えて、冷却水の圧力を検出する熱交換器圧力センサ(熱交換器センサ)が設けられていてもよい。この場合、熱交換器保護制御の開始条件には、熱交換器圧力センサにより検出された圧力が熱交換器13の過熱した状態を示すことを用いる。具体的に言えば、熱交換器圧力センサにより検出された圧力が熱交換器所定圧力以上となることを開始条件に含める。この熱交換器所定圧力は、熱交換器13が耐圧可能な上限圧力よりも安全マージン分だけ低い圧力として、予め実験的又は経験的に設定される。
上述の実施形態では、第二切替弁15bとサーモスタット11との間にヒータコア12が介装されたものを示したが、熱交換器13と第二切替弁15bとの間にヒータコア12が介装されていてもよい。すなわち、ヒータコア12は、第一循環流通路20に介装されていなくてもよい。この場合、暖房運転するときに切替弁15により第二状態に切り替える必要があるものの、上述の実施形態による効果と同様の効果を得ることができる。
上述の実施形態では、ヒータコア12を備えた冷却水流通機構を示したが、ヒータコア12は省略してもよい。同時に、ヒータコア12に付設されたブロアファン12a,温度センサ92,エアコンスイッチ93も省略することができる。この場合、暖房機能が省略されるものの、簡素な構成とすることができる。
上述の実施形態では、ラジエータ10をバイパスするバイパス路21aを備えたものを示したが、このバイパス路21aは省略してもよい。同時にサーモスタット11も省略することができる。この場合、簡素な構成とすることができ、製造コストや材料コストの低減を図ることができる。
上述の実施形態では、制御装置50を備えたものを示したが、制御装置50は省略してもよい。同時に、制御装置50による各種制御に係るセンサ90,91,92及びエアコンスイッチ93を省略することができる。この場合、切替弁15を手動で切り替えることにより、上述の実施形態による効果と同様の効果を得ることができる。
1 エンジン(内燃機関)
1c 流入口
1d 第一流出口
1e 第二流出口
3 排気管
4 排気浄化装置
4a 触媒
10 ラジエータ
11 サーモスタット
12 ヒータコア
12a ブロアファン
13 熱交換器
14 ウォーターポンプ
15 切替弁
15a 第一切替弁
15b 第二切替弁
20 第一循環流通路
21 ラジエータ側環流通路
21a バイパス路
22 ヒータコア側環流通路
30 第二循環流通路
50 制御装置
90 エンジン水温センサ(内燃機関温度センサ)
91 熱交換器水温センサ(熱交換器センサ)
92 温度センサ
93 エアコンスイッチ
W ウォーターポンプの圧送量
T 熱交換器水温
T エンジン水温
T 車室内の温度

Claims (8)

  1. 内燃機関を冷却する冷却水の熱を放出させるラジエータと、
    前記内燃機関から排出された排気と前記冷却水とで熱交換させて前記冷却水に熱を吸収させる熱交換器と、
    前記冷却水の循環流通路であり、前記内燃機関及び前記ラジエータが介装された第一循環流通路と、
    前記冷却水の循環流通路であり、前記内燃機関及び前記熱交換器が介装された第二循環流通路と、
    前記第一循環流通路に前記冷却水を流通させる第一状態と前記第二循環流通路に前記冷却水を流通させる第二状態とを択一的に切り替える切替弁と、を備え、
    前記切替弁は、前記ラジエータ及び前記熱交換器の上流側に設けられた第一切替弁と、前記熱交換器の下流側に設けられた第二切替弁とを有しており、
    前記第一循環流通路は、前記内燃機関に設けられた第一流出口及び第二流出口から流出した前記冷却水が、前記内燃機関に設けられた流入口に流入する経路であり、
    前記第二循環流通路は、前記第一流出口から流出した前記冷却水が、前記流入口に流入する経路であり、
    前記第一切替弁は、前記第一流出口を含む前記循環流通路において、前記第一循環流通路と前記第二循環流通路との連結部分に設けられ、
    前記第二切替弁は、前記第二流出口を含む前記循環流通路において、前記第一循環流通路と前記第二循環流通路との連結部分に設けられる
    ことを特徴とする、冷却水流通機構
  2. 前記冷却水の熱を放出させ、暖房の熱源となるヒータコアを備え、
    前記第二循環流通路には、前記ヒータコアが介装された
    ことを特徴とする、請求項記載の冷却水流通機構。
  3. 前記内燃機関を流通する前記冷却水の温度を検出する内燃機関温度センサと、
    前記熱交換器を流通する前記冷却水の温度又は圧力を検出する熱交換器センサと、
    前記内燃機関温度センサにより検出された温度と前記熱交換器センサにより検出された温度又は圧力とに基づいて前記切替弁を切り替える制御装置と、を備えた
    ことを特徴とする、請求項1又は2記載の冷却水流通機構。
  4. 前記制御装置は、
    前記内燃機関温度センサにより検出された温度が前記内燃機関の過熱した状態を示していれば、前記切替弁により前記第一状態に切り替える内燃機関保護制御を実施する
    ことを特徴とする、請求項記載の冷却水流通機構。
  5. 前記制御装置は、
    前記熱交換器センサにより検出された温度又は圧力が前記熱交換器の過熱した状態を示していれば、前記切替弁により前記第二状態に切り替える熱交換器保護制御を実施する
    ことを特徴とする、請求項3又は4記載の冷却水流通機構。
  6. 前記制御装置は、
    前記熱交換器保護制御において前記冷却水を圧送するウォーターポンプの圧送量を、前記内燃機関保護制御において前記冷却水を圧送する前記ウォーターポンプの圧送量よりも大きくする
    ことを特徴とする、請求項記載の冷却水流通機構。
  7. 前記制御装置は、
    前記内燃機関温度センサにより検出された温度が予め設定された所定温度未満であれば、前記切替弁により前記第二状態に切り替える冷却水昇温制御を実施する
    ことを特徴とする、請求項3〜6の何れか1項に記載の冷却水流通機構。
  8. 前記制御装置は、
    前記冷却水昇温制御において、前記内燃機関温度センサにより検出された温度が低くなるに従って前記冷却水を圧送するウォーターポンプの圧送量を大きくする
    ことを特徴とする、請求項記載の冷却水流通機構。
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