JP6286991B2 - 冷却水流通機構 - Google Patents
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Description
そこで、内燃機関には、その温度を調整するための冷却装置が備え付けられている。
内燃機関が過熱した状態であれば、冷却水がウォータージャケット内で内燃機関の熱を吸収(吸熱)し、この冷却水がラジエータを流通するときに熱を放出(放熱)する。このようにして、内燃機関が冷却される。
ただし、上記の冷却装置は、温度が低い状態の内燃機関の冷却を回避するのに留まり、内燃機関を積極的に昇温させるものではない。そこで、内燃機関から排出される排気の熱を用いて内燃機関を昇温させる装置が開発されている。
このような装置に係る技術が、例えば特許文献1〜4に示されている。
このように、従来の冷却水が流通する機構では、冷却水の温度の制御性を向上させることが困難であるという課題がある。
なお、この目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本発明の他の目的として位置づけることができる。
なお、前記第一循環流通路には前記熱交換器が介装されておらず、また、前記第二循環流通路には前記ラジエータが介装されていない。
(3)前記内燃機関を流通する前記冷却水の温度を検出する内燃機関温度センサと、前記熱交換器を流通する前記冷却水の温度又は圧力を検出する熱交換器センサと、前記内燃機関温度センサにより検出された温度と前記熱交換器センサにより検出された温度又は圧力とに基づいて前記切替弁を切り替える制御装置と、を備えたことが好ましい。
なお、前記内燃機関温度センサにより検出された温度が前記内燃機関の過熱した状態を示すとは、前記内燃機関温度センサにより検出された温度が予め設定されたエンジン第一所定温度以上となることをいう。
なお、前記熱交換器センサにより検出された温度又は圧力が前記熱交換器の過熱した状態を示すとは、前記熱交換器センサにより検出された温度又は圧力が予め設定された熱交換器所定温度又は熱交換器所定圧力以上となることをいう。
(7)前記制御装置は、前記内燃機関温度センサにより検出された温度が予め設定された所定温度未満であれば、前記切替弁により前記第二状態に切り替える冷却水昇温制御を実施することが好ましい。
なお、前記所定温度とは、予め設定されたエンジン第三所定温度である。
本発明の冷却水流通機構は、内燃機関の内部だけでなく内燃機関の排気系周辺まで流路を延長して冷却水を流通させるものである。この冷却水は、熱を吸収する吸熱媒体であるとともに、熱を放出する放熱媒体でもある。本実施形態では、冷却水が内燃機関の温度を調節する熱媒体として用いられている。冷却水は、吸熱媒体として機能するときには内燃機関又はその排気から熱を吸収し、放熱媒体として機能するときには外気又は内燃機関との熱交換により熱を放出する。
なお、本実施形態では、内燃機関として車両のエンジンを例に挙げて説明する。また、冷却水又は排気が流通する方向を基準に上流及び下流を定める。
[1.構成]
図1に示すように、冷却水流通機構は、冷却水が循環して流通する二系統の経路(「循環流通路」と略称する)20,30を備えている。一方の循環流通路(以下、「第一循環流通路」という)20にはラジエータ10が介装され、他方の循環流通路(以下、「第二循環流通路」という)30には熱交換器13が介装されている。
循環流通路20,30は、一部の経路が共通であり、その共通箇所にエンジン1が介装されている。すなわち、循環流通路20,30では、エンジン1から流出した冷却水がエンジン1に環流する。
以下、エンジン1及びその周辺構成を説明したうえで、第一循環流通路20,第二循環流通路30,切替弁15,制御装置50の順に説明する。
エンジン1は、シリンダ1a(一箇所のみ符号を付す)内で燃料を燃焼させた熱エネルギーにより出力を得る内燃機関である。なお、図1では四つのシリンダ1aを例示するが、シリンダ1aは、少なくとも一つ形成されていればよく、三つ以下でもよいし五つ以上でもよい。
シリンダ1aの周囲には、冷却水が流通するウォータージャケット1b(破線で示す)が形成されている。冷却水がウォータージャケット1bを流通し、冷却水とエンジン1とが熱交換することで、エンジン1の温度が調節される。
ここでは、ウォーターポンプ14として、図示省略するバッテリから給電されて作動する電動のものを用いている。このウォーターポンプ14は、制御装置50に制御線を介して接続されており、制御装置50により圧送量(回転数)QWが制御される。なお、従来のウォーターポンプとしては、エンジン回転数に応じて圧送量が変動するものが知られているが、ここで用いるウォーターポンプ14は、エンジン回転数とは独立して圧送量QWが制御される。
エキマニ2は、シリンダ1aから排出される排気を排気管3に導くものである。シリンダ1aが複数形成されたエンジン1では、各シリンダ1aから排出された排気を合流させて排気管3に導くような形状とされる。
触媒4aは、例えば金属或いはセラミックス等からなるハニカム状の担体に担持され、排気中の成分に対する酸化能を有する。触媒4aとしては、排気に含まれる炭化水素(HC),窒素酸化物(NOx)及び一酸化炭素(CO)の三成分を酸化させる三元触媒を用いることができる。
排気管3の排気浄化装置4よりも下流には、詳細を後述する熱交換器13が設けられている。
第一循環流通路20は、おもに冷却水の放熱(冷却)に係る経路であり、エンジン1の二つの流出口1d,1eから流出した冷却水が一つの流入口1cに流入する経路である。この第一循環流通路20は、第一流出口1dからの冷却水が流入口1cに環流するラジエータ側環流通路21と、第二流出口1eからの冷却水が流入口1cに環流するヒータコア側環流通路22とを有する。
エンジン1の第一流出口1dの下流には、詳細を後述する第一切替弁15aが介装されている。なお、エンジン1から第一切替弁15aまでの経路は、後述する第二循環流通路30と共通である。
分岐先の一方を流通する冷却水は、ラジエータ10の内部を流通する。ラジエータ10は、冷却水の熱を放出させるものである。具体的に言えば、ラジエータ10は、その内部を流通する冷却水と外気とを熱交換させることで、冷却水の熱を放出させるものである。
すなわち、サーモスタット11の開放時には、サーモスタット11の下流において、ラジエータ10を経由した冷却水とバイパス路21aを経由した冷却水とが合流する。一方、サーモスタット11の閉鎖時には、バイパス路21aのみを冷却水が流通し、ラジエータ10には冷却水が流通しない。
ヒータコア側環流通路22には、上流から順に、エンジン水温センサ(内燃機関温度センサ)90,詳細を後述する第二切替弁15b,ヒータコア12,サーモスタット11,ウォーターポンプ14が設けられている。
なお、エンジン1から流出した直後の冷却水の温度は、エンジン1の内部を流通する冷却水の温度と略等しい。このため、エンジン水温センサ90は、エンジン1を流通する冷却水の温度を検出するものといえる。
ヒータコア12とラジエータ10とを流通する冷却水の量が同じであれば、ヒータコア12による冷却水の放熱量よりもラジエータ10による冷却水の放熱量が大きい。つまり、ヒータコア12よりもラジエータ10の方が放熱効率がよい。言い換えれば、ヒータコア12による冷却水の放熱量とラジエータ10による冷却水の放熱量とを同量にするには、ラジエータ10における冷却水の流通量よりもヒータコア12における冷却水の流通量を大きくすることが必要となる。
このように、ヒータコア側環流通路22では、エンジン1の第二流出口1eから流出した冷却水が、ヒータコア12を経て、エンジン1の流入口1cに環流する。
第二循環流通路30は、おもに冷却水の吸熱(昇温)に係る経路であり、エンジン1の第一流出口1dから流出した冷却水が流入口1cに流入する経路である。
以下、第二循環流通路30について、エンジン1を起点としたときに冷却水が流通する順に説明する。
第二循環流通路30には、上流から順に、詳細を後述する第一切替弁15a,熱交換器13,熱交換器水温センサ(熱交換器センサ)91,詳細を後述する第二切替弁15b,ヒータコア12,サーモスタット11,ウォーターポンプ14が設けられている。
熱交換器13としては、排気管3の外周に冷却水が流通する配管を巻き付けたものや、これに熱交換効率を向上させるためのフィンを設けたものなどを用いることができる。
なお、熱交換器13の直下流における冷却水の温度は、熱交換器13の内部を流通する冷却水の温度と略等しい。このため、熱交換器水温センサ91は、熱交換器13を流通する冷却水の温度を検出するものといえる。
このように、第二循環流通路30では、エンジン1の第一流出口1dから流出した冷却水が、熱交換器13及びヒータコア12を経て、エンジン1の流入口1cに環流する。
切替弁15は、第一循環流通路20に冷却水を流通させる第一状態と、第二循環流通路30に冷却水を流通させる第二状態とを択一的に切り替えるものである。
以下、第一切替弁15a及び第二切替弁15bのそれぞれについて具体的に説明する。なお、第一切替弁15a及び第二切替弁15bは、それぞれ制御装置50に制御線を介して接続されており、その切り替え状態を制御装置50により制御される。各切替弁15a,15bには、電磁弁を用いることができる。
〈i〉 流入口151と第一流出口152とを連通させるとともに、
流入口151と第二流出口153との連通を遮断する。
〈ii〉 流入口151と第一流出口152との連通を遮断するとともに、
流入口151と第二流出口153とを連通させる。
また、第一流出口152では、上記〈i〉の状態のときにラジエータ10又はそのバイパス路21aへの冷却水が流出する。一方、第二流出口153では、上記〈ii〉の状態のときに熱交換器13への冷却水が流出する。
〈iii〉第一流入口154と流出口156とを連通させるとともに、
第二流入口155と流出口156との連通を遮断する。
〈iv〉 第一流入口154と流出口156との連通を遮断するとともに、
第二流入口155と流出口156とを連通させる。
また、流出口156では、ヒータコア12への冷却水が流出する。
つまり、第一切替弁15aが上記〈i〉の状態であって第二切替弁15bが上記〈iii〉の状態にされると、第一循環流通路20に冷却水を流通させる第一状態となる。
つまり、第一切替弁15aが上記〈ii〉の状態であって第二切替弁15bが上記〈iv〉の状態にされると、第二循環流通路30に冷却水を流通させる第二状態となる。
なお、第一切替弁15aが上記〈i〉の状態のときには第二切替弁が上記〈iv〉に切り替えられることはなく、また、第一切替弁15aが上記〈ii〉の状態のときには第二切替弁が上記〈iii〉の状態に切り替えられることはない。
制御装置50は、少なくとも冷却水の流通を制御する機能を持った電子制御装置であり、例えばマイクロプロセッサやROM,RAM等を集積したLSIデバイスや組み込み電子デバイスとして構成される。
この制御装置50は、入力側に接続された各種センサ類からの情報に基づいて、第一切替弁15a,第二切替弁15b,ウォーターポンプ14及びブロアファン12aのそれぞれについて制御する。
制御装置50の入力側には、上記のエンジン水温センサ90及び熱交換器水温センサ91と、温度センサ92と、エアコンスイッチ93とが接続されている。なお、エンジン水温センサ90及び熱交換器水温センサ91については前述の通りであり、ここでの説明は省略する。
温度センサ92は、車室内の温度(気温)ATを検出するものである。この温度センサ92により検出された温度AT(以下、「車室内温度AT」という)の情報は、制御装置50に伝達される。
エアコンスイッチ93は、車両の乗員が暖房を要求するときにON操作され、乗員が暖房を要求しないときにはOFF操作される。このエアコンスイッチ93は、ON操作されるとON信号を出力し、OFF操作されるとOFF信号を出力する。これらのON/OFF信号は、制御装置50に伝達される。また、車両の乗員は、暖房を要求するときに、エアコンスイッチ93を介して暖房の設定温度ATSを入力することもできる。この場合、エアコンスイッチ93からの設定温度ATSの情報が制御装置50に伝達される。
各種の制御は、第一循環流通路20に冷却水を流通させる第一状態に切り替える制御と第二循環流通路30に冷却水を流通させる第二状態に切り替える制御との二つに大別することができる。前者の制御では、第一切替弁15aが上記〈i〉の状態に切り替えられるとともに、第二切替弁15bが上記〈iii〉の状態に切り替えられる。後者の制御では、第一切替弁15aが上記〈ii〉の状態に切り替えられるとともに、第二切替弁15bが上記〈iv〉の状態に切り替えられる。
以下の説明では、熱交換器保護制御,エンジン保護制御,冷態初期制御,通常冷却制御及び冷却水昇温制御の順に各制御を説明する。
熱交換器保護制御は、熱交換器13が過熱した状態になることを回避して、熱交換器13を保護するための制御である。
熱交換器保護制御の開始条件は、熱交換器水温HTが熱交換器13の過熱した状態を示すことである。具体的に言えば、熱交換器水温HTが熱交換器所定温度HP以上となることである。
熱交換器保護制御の終了条件は、熱交換器水温HTが熱交換器所定温度HP未満となること、即ち開始条件が不成立となることである。
なお、熱交換器保護制御のハンチングを回避すべく、上記の終了条件に替えて、熱交換器水温HTが、熱交換器所定温度HPから第一所定温度TP1(例えば2℃や3℃)だけ低い温度よりも低くなったことを終了条件としてもよい。
エンジン保護制御(内燃機関保護制御)は、エンジン1が過熱した状態になることを回避して、エンジン1を保護するための制御である。
エンジン保護制御の開始条件は、エンジン水温ETがエンジン1の過熱した状態を示していることである。具体的に言えば、エンジン水温ETがエンジン第一所定温度EP1以上となることである。
エンジン保護制御の終了条件は、エンジン水温ETがエンジン第一所定温度EP1未満になること、即ち開始条件が不成立となることである。
なお、エンジン保護制御のハンチングを回避すべく、上記の終了条件に替えて、エンジン水温ETが、エンジン第一所定温度EP1から第二所定温度TP2(例えば2℃や3℃)だけ低い温度よりも低くなったことを終了条件としてもよい。
なお、第二圧送量QW2として、熱交換器保護制御に係る第一圧送量QW1と同様に、ウォーターポンプ14の最大圧送量を用いることができ、これに替えて、エンジン水温ETが高くなるに従って大きくなるようにしてもよい。
冷態初期制御は、冷却水の流通を抑えて、エンジン1の暖機を促進する制御である。言い換えれば、シリンダ1a内での燃焼による熱エネルギーによってエンジン1の暖機を促進する制御である。この冷態初期制御は、エンジン1の冷態始動直後(冷態始動初期)や低温下での稼働時などのエンジン1が冷態(オーバークール)であるときに実施される。
冷態初期制御の開始条件は、エンジン水温ETがエンジン第二所定温度EP2未満となることである。
冷態初期制御の終了条件は、エンジン水温ETがエンジン第二所定温度EP2以上となること、即ち開始条件が不成立となることである。
第三圧送量QW3とは、エンジン水温ETの信頼性を確保できる範囲内での最小の圧送量をいう。
通常冷却制御は、エンジン1の温度を適温に維持するための制御である。ここでいう適温とは、エンジン1が過熱した状態の温度よりも低く、且つ、エンジン1が冷態の温度よりも高い温度をいう。この通常冷却制御は、適温のエンジン1を始動した時や通常走行時などに実施される。
通常冷却制御の開始条件は、以下の〈条件A1〉又は〈条件A2〉を満たすことである。
〈条件A1〉エンジン水温ETがエンジン第三所定温度EP3以上となること。
〈条件A2〉暖房要求が有り、且つ、車室内温度ATが暖房の設定温度ATS以上となること。
〈条件B1〉エンジン水温ETがエンジン第三所定温度EP3未満となること。
〈条件B2〉暖房要求が有り、且つ、車室内温度ATが暖房の設定温度ATS未満となること。
上記の〈条件B2〉は、暖房要求が無い場合にも成立する。
〈条件B1′〉エンジン水温ETがエンジン第三所定温度EP3から第三所定温度TP3(例えば2℃や3℃)だけ低い温度よりも低くなったこと。
〈条件B2′〉暖房要求が有り、且つ、車室内温度ATが暖房の設定温度ATSから第四所定温度TP4(例えば2℃や3℃)だけ高い温度(又は低い温度)よりも低くなったこと。
この〈条件B2′〉では、車室内温度ATと比較される閾値として、設定温度ATSに第四所定温度TP4だけ高い温度(又は低い温度)を用いるため、かかる閾値に幅を与えることができる。
この第四圧送量QW4は、例えば制御装置50によりエンジン水温ETに基づいて算出され、エンジン水温ETによって変動しうる。
冷却水昇温制御は、排気熱を利用して冷却水の温度を昇温させる制御である。この冷却水昇温制御では、熱交換器13で冷却水と排気とを熱交換させることにより、冷却水を昇温させる。なお、冷却水と熱交換する排気は、触媒4aにより酸化されることで、酸化熱により昇温されている。この冷却水昇温制御は、エンジン1が冷態始動された際には、上記の冷態初期制御に続いて実施される。なお、冷却水昇温制御は、触媒4aが活性化していることを前提に実施される。
冷却水昇温制御の終了条件は、上記の通常冷却制御の開始条件を満たすことである。
冷却水昇温制御では、切替弁15が制御されて、冷却水の流通状態が第二状態に切り替えられる。このうえで、ウォーターポンプ14の圧送量QWが、ヒータコア12によって送風空気が効率よく暖められるのに適した、又は、エンジン1を速やかに暖気させるのに適した第五圧送量QW5に制御される。
冷却水昇温制御では、冷却水が熱交換器13で昇温されるとともに、冷却水がヒータコア12で放熱される。また、冷却水の圧送量によって、熱交換器13における冷却水の吸熱量とヒータコア12における冷却水の放熱量との割合が変化し得る。これらより、暖房を優先する場合には、ヒータコア12における冷却水の放熱量が最大になるような圧送量を第五圧送量QW5に設定するとよい。また、エンジン1の暖機を優先する場合には、熱交換器13における冷却水の吸熱量がヒータコア12における冷却水の放熱量よりも大きく、これらの熱量の差が最大になるように第五圧送量QW5に設定するとよい。
次に、図2及びこの詳細を説明する図3〜図7のフローチャートを用いて、制御装置50により実施される制御手順の一例について説明する。なお、フローチャートは、エンジン1が始動されると所定の制御周期で実施され、エンジン1が停止されると終了する。なおまた、フローチャート中の各ステップは、制御装置50のハードウェアに割り当てられた各機能がソフトウェア(コンピュータプログラム)によって動作することで実施される。
熱交換器水温HTが熱交換器所定温度HP以上であればステップS10へ移行し、熱交換器水温HTが熱交換器所定温度HP未満であればステップS2へ移行する。
ステップS12では、切替弁15により第二状態に切り替える。そしてステップS14へ移行する。
ステップS14では、ウォーターポンプ14の圧送量QWを第一圧送量QW1にする。
エンジン水温ETがエンジン第一所定温度EP1以上であれば、ステップS20へ移行し、エンジン水温ETがエンジン第一所定温度EP1未満であればステップS3へ移行する。
ステップS22では、切替弁15により第一状態に切り替える。そしてステップS24へ移行する。
ステップS24では、ウォーターポンプ14の圧送量QWを第二圧送量QW2にする。
なお、ここでは、ステップS1の否定判定の後にステップS2を判定するものを説明したが、逆に、ステップS2を先に判定し、ステップS2の否定判定の後にステップS1を判定してもよい。
ステップS30では、冷態初期制御を実施する。この冷態初期制御について、図5を用いて説明する。
ステップS32では、切替弁15により第一状態に切り替える。そしてステップS34へ移行する。
ステップS34では、ウォーターポンプ14の圧送量QWを第三圧送量QW3にする。
なお、ステップS36の否定判定を経てステップS32,ステップS34を繰り返すフローは、触媒4aが昇温されて活性化するのを待機するフローに相当する。
ステップS5では、車室内温度ATが暖房の設定温度ATS以上か否かを判定する。車室内温度ATが設定温度ATS以上であればステップS6へ移行し、車室内温度ATが設定温度ATS未満であればステップS50へ移行する。
これらのステップS4〜S6では、通常冷却制御及び冷却水昇温制御の開始条件を判定している。
ステップS42では、切替弁15により第一状態に切り替える。そしてステップS44へ移行する。
ステップS44では、ウォーターポンプ14の圧送量QWを第四圧送量QW4にする。
ステップS48では、車室内温度ATが暖房の設定温度ATSから第四所定温度TP4だけ高い温度(又は低い温度)よりも低くなったか否かを判定する。車室内温度ATが暖房の設定温度ATSから第四所定温度TP4だけ高い温度(又は低い温度)よりも低くなれば本制御周期を終了し、そうでなければステップS42へ移行する。
ステップS52では、切替弁15により第二状態に切り替える。そしてステップS54へ移行する。
ステップS54では、ウォーターポンプ14の圧送量QWを第五圧送量QW5にする。そして本制御周期を終了する。
なお、冷却水昇温制御の開始条件は、通常冷却制御の終了条件であるので、上記のステップS4〜S6又はステップS46,S48の判定によって判定される。
本実施形態の冷却水流通機構は、上述のように構成されるため、以下のような作用及び効果を得ることができる。
エンジン1が過熱した状態を示していれば、切替弁15により第一状態に切り替えられる。具体的には、エンジン水温ETが予め設定されたエンジン第一所定温度EP以上であれば、制御装置50によりエンジン保護制御が実施されて、切替弁15により第一状態に切り替えられる。このため、エンジン1で熱を吸収した冷却水がラジエータ10で熱を放出することにより、エンジン1を速やかに冷却することができる。
さらに、第一循環流通路20を備えた従来の機構に切替弁15及び第二循環流通路30を追加するだけで、即ち従来の冷却水流通機構を流用して、上記の効果を得ることができる。
このように、制御装置50は、エンジン水温ETと熱交換器水温HTとに基づいて切替弁15を切り替える各種の制御を実施するため、冷却水の温度の制御性を向上させることができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の冷却水流通機構は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
以下の説明では、熱交換器保護制御の変形例について説明する。なお、ここでいう異なる点を除いては上述の一実施形態の構成と同様の構成になっている。
熱交換器第二所定温度HP2とは、上述の熱交換器所定温度HPよりも低く、熱交換器13が急激に昇温すると過熱した状態となってしまう温度の下限として、予め実験的又は経験的に設定されている。この熱交換器第二所定温度HP2としては、例えば85℃や90℃といった温度を用いることができる。
〈条件X1〉熱交換器水温HTの上昇度合が所定の上昇度合が大きいこと。
〈条件X2〉燃料噴射量が増加すること。
〈条件X3〉アクセル開度が増加すること。
〈条件X4〉排気の温度が昇温したこと。
〈条件X5〉走行地点での車室外の気温よりも車両の走行先における気温の方が所定温度以上高いこと。
〈条件X6〉車両の走行先に登坂路があること。
〈条件X1〉が満たされているときには、熱交換器13を流通した冷却水の温度が急激に上昇しているため、熱交換器13が急激に昇温することを推定することができる。
このように、制御装置50は、熱交換器13の急激な昇温が推定されるときに、上述の一実施形態に係る熱交換器保護制御で用いる熱交換器所定温度HPよりも低い熱交換器第二所定温度HP2を開始条件に用いる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態及び変形例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、上述した一実施形態及び変形例の各構成は、必要に応じて取捨選択することができ、適宜組み合わせてもよい。
上述の実施形態では、制御装置50を備えたものを示したが、制御装置50は省略してもよい。同時に、制御装置50による各種制御に係るセンサ90,91,92及びエアコンスイッチ93を省略することができる。この場合、切替弁15を手動で切り替えることにより、上述の実施形態による効果と同様の効果を得ることができる。
1c 流入口
1d 第一流出口
1e 第二流出口
3 排気管
4 排気浄化装置
4a 触媒
10 ラジエータ
11 サーモスタット
12 ヒータコア
12a ブロアファン
13 熱交換器
14 ウォーターポンプ
15 切替弁
15a 第一切替弁
15b 第二切替弁
20 第一循環流通路
21 ラジエータ側環流通路
21a バイパス路
22 ヒータコア側環流通路
30 第二循環流通路
50 制御装置
90 エンジン水温センサ(内燃機関温度センサ)
91 熱交換器水温センサ(熱交換器センサ)
92 温度センサ
93 エアコンスイッチ
QW ウォーターポンプの圧送量
HT 熱交換器水温
ET エンジン水温
AT 車室内の温度
Claims (8)
- 内燃機関を冷却する冷却水の熱を放出させるラジエータと、
前記内燃機関から排出された排気と前記冷却水とで熱交換させて前記冷却水に熱を吸収させる熱交換器と、
前記冷却水の循環流通路であり、前記内燃機関及び前記ラジエータが介装された第一循環流通路と、
前記冷却水の循環流通路であり、前記内燃機関及び前記熱交換器が介装された第二循環流通路と、
前記第一循環流通路に前記冷却水を流通させる第一状態と前記第二循環流通路に前記冷却水を流通させる第二状態とを択一的に切り替える切替弁と、を備え、
前記切替弁は、前記ラジエータ及び前記熱交換器の上流側に設けられた第一切替弁と、前記熱交換器の下流側に設けられた第二切替弁とを有しており、
前記第一循環流通路は、前記内燃機関に設けられた第一流出口及び第二流出口から流出した前記冷却水が、前記内燃機関に設けられた流入口に流入する経路であり、
前記第二循環流通路は、前記第一流出口から流出した前記冷却水が、前記流入口に流入する経路であり、
前記第一切替弁は、前記第一流出口を含む前記循環流通路において、前記第一循環流通路と前記第二循環流通路との連結部分に設けられ、
前記第二切替弁は、前記第二流出口を含む前記循環流通路において、前記第一循環流通路と前記第二循環流通路との連結部分に設けられる
ことを特徴とする、冷却水流通機構。 - 前記冷却水の熱を放出させ、暖房の熱源となるヒータコアを備え、
前記第二循環流通路には、前記ヒータコアが介装された
ことを特徴とする、請求項1記載の冷却水流通機構。 - 前記内燃機関を流通する前記冷却水の温度を検出する内燃機関温度センサと、
前記熱交換器を流通する前記冷却水の温度又は圧力を検出する熱交換器センサと、
前記内燃機関温度センサにより検出された温度と前記熱交換器センサにより検出された温度又は圧力とに基づいて前記切替弁を切り替える制御装置と、を備えた
ことを特徴とする、請求項1又は2記載の冷却水流通機構。 - 前記制御装置は、
前記内燃機関温度センサにより検出された温度が前記内燃機関の過熱した状態を示していれば、前記切替弁により前記第一状態に切り替える内燃機関保護制御を実施する
ことを特徴とする、請求項3記載の冷却水流通機構。 - 前記制御装置は、
前記熱交換器センサにより検出された温度又は圧力が前記熱交換器の過熱した状態を示していれば、前記切替弁により前記第二状態に切り替える熱交換器保護制御を実施する
ことを特徴とする、請求項3又は4記載の冷却水流通機構。 - 前記制御装置は、
前記熱交換器保護制御において前記冷却水を圧送するウォーターポンプの圧送量を、前記内燃機関保護制御において前記冷却水を圧送する前記ウォーターポンプの圧送量よりも大きくする
ことを特徴とする、請求項5記載の冷却水流通機構。 - 前記制御装置は、
前記内燃機関温度センサにより検出された温度が予め設定された所定温度未満であれば、前記切替弁により前記第二状態に切り替える冷却水昇温制御を実施する
ことを特徴とする、請求項3〜6の何れか1項に記載の冷却水流通機構。 - 前記制御装置は、
前記冷却水昇温制御において、前記内燃機関温度センサにより検出された温度が低くなるに従って前記冷却水を圧送するウォーターポンプの圧送量を大きくする
ことを特徴とする、請求項7記載の冷却水流通機構。
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