JP6286685B2 - 自動変速機 - Google Patents
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・係合要素の締結数に基づく効果
三つの係合要素を同時締結させて変速段を達成する構成であるため、全係合要素に占める解放されている係合要素の割合が低く、走行中のドラグトルクを低減することが可能となり、燃費を向上できる。
実施例1では、単純遊星4組と6つの係合要素という単純で少ない構成要素でありながら、適正な減速比を確保可能な前進8速後退1速の自動変速機を実現することができ、自動変速機の小型化を達成できる。
単純遊星4組で構成することにより、ダブルピニオンを使う場合に比べて、ギヤノイズの悪化を抑制できると共に、ピニオンを小径とする必要がないため、ギヤの耐久性の悪化を抑制できる。
(i)変速時において、仮に、一つ以上の係合要素を解放し二つ以上の係合要素を締結する、もしくは、二つ以上の係合要素を解放し一つ以上の係合要素を締結すると、係合要素の締結・解放のタイミングやトルクの制御が複雑となる。そこで、変速制御の複雑化を回避する観点から、一つの係合要素を解放し、一つの係合要素を締結するのが好ましいとされる。いわゆる二重掛け替えの防止である。実施例1においては、前進1速から前進8速までの隣接するギヤ段への変速は、全て一つの係合要素を解放し、一つの係合要素を締結する掛け替え変速により達成できる。よって、変速時における制御の複雑化を回避できる。
(ii)多段化された自動変速機にあっては、次変速段を経ずに次々変速段に変速すること(以下、この変速を飛び変速と記載する。)が望まれる場合がある。例えば5速から次変速段である4速を経ずに次々変速段である3速へ一気に変速する。これにより、連続変速に伴う制御の複雑化や動力伝達が制限される時間の短縮化を図る。実施例1においては、前進時において、全ての変速段からの飛び変速を、上記(i)と同様に掛け替え変速により達成できる。
前進のレーシオカバレッジ(ギヤ比幅)とは、最低段の減速比/最高段の減速比をいい、この値は、大きい値であるほど各前進段でのギヤ比設定自由度が高くなるということができる。実施例1では、例えば、前進1速の減速比を5.069、前進8速の減速比を0.576に設定可能であり、1−8速レーシオカバレッジは8.808となり、十分なレーシオカバレッジを確保できる。よって、例えば、動力源としてエンジン回転数幅がガソリンエンジンよりも狭く、同排気量で比較した場合にトルクが低いディーゼルエンジンを動力源として搭載した車両の変速機としても有用である。
後退1速の変速比と前進1速の変速比の比(後退1速の変速比/前進1速の変速比:以下、「1−Rレシオ」と称する)を、例えば、前進1速の減速比を5.069、後退速の減速比を4.023に設定可能である。この場合、1−Rレシオは0.794となるため、前進時と後退時とでアクセルペダルの踏み加減に対する車両の加速感が異なることもなく、運転性が悪化するという問題を回避することができる。
自動変速機の変速段は、発進から加速していく際、変速時にエンジン音の変化を伴うため、加速感や変速タイミングと運転者の感性とのマッチングが重要視される。このとき、n速段の減速比を(n+1)速段の減速比で除した値である段間比が、右肩下がりであること、低変速段側では段間比が大きく変化し高変速段側では段間比が緩やかに変化すること、が望ましい。図3は実施例1の段間比の変化を表す段間比グラフである。図3に示すように、実施例1の自動変速機では、段間比が右肩下がりに変化しており、運転者に違和感を与えることがない。
歯車の噛み合い損は、歯車にかかる負荷と差回転数に概ね比例すると考えられる。一般に、外接歯車の噛み合い損は1%程度とされ、内接歯車の場合は効率が良いため0.43%程度とされている。そこで、ある遊星歯車において、入力軸Inputが1回転したときの各回転要素の噛合いにおいて生じるサンギヤとキャリヤとの差回転と、サンギヤのトルク分担比との積に外接歯車の噛合い損を掛けて第1損失を計算し、リングギヤとキャリヤとの差回転と、リングギヤのトルク分担比との積に内接歯車の噛合い損を掛けて第2損失を計算し、この第1損失と第2損失との和を、ある遊星歯車の損失と定義する。この計算を前進変速段全てにおいて、全ての遊星歯車に対して行う。そして、各変速段、各遊星歯車で算出された損失全てを合計し、負荷依存損失と定義する。そして、100%から負荷依存損失を減算したものを負荷依存効率と定義する。実施例1の自動変速機では、負荷依存効率としてほぼ99%を達成しており、非常に効率の高い自動変速機を提供できる。
一般に、遊星歯車組の外周側を覆う回転メンバが複数ある場合、もしくは複数の遊星歯車組の外周側を覆う回転メンバが存在する場合、回転メンバが大型化する。回転メンバを外周側まで拡径しつつ軸方向に延在させる必要があるからである。これにより、回転メンバの製造コストや重量が増大する。また、回転要素である回転メンバの重量が増大すると、イナーシャの影響により変速品質を確保することが困難となる。これに対し、実施例1の自動変速機では、遊星歯車組を外周側から覆ってしまう回転メンバが存在しない。よって、回転メンバの軽量化を図ると共に、変速品質の向上を図ることができる。
一般に、ブレーキは変速機ケースHSとの間に設けられるため、高いトルク容量が得やすい。一方、クラッチは相対回転する回転要素に設けられるため、高締結圧の供給に耐えられるシール性を確保すると、損失が増大し、構成が複雑化しやすい。よって、クラッチのトルク容量は低いことが望ましい。実施例1の場合、前進時にあっては、クラッチである第1係合要素Aと第2係合要素Bと第3係合要素Cと第4係合要素Dの最大クラッチトルク分担比をブレーキに比べて低く抑えることが可能なため、損失を抑制しつつ低コスト化を図ることができる。
S1 第1サンギヤ
R1 第1リングギヤ
P1 第1ピニオン
PC1 第1キャリヤ
PG2 第2遊星歯車組
S2 第2サンギヤ
R2 第2リングギヤ
P2 第2ピニオン
PC2 第2キャリヤ
PG3 第3遊星歯車組
S3 第3サンギヤ
R3 第3リングギヤ
P3 第3ピニオン
PC3 第3キャリヤ
PG4 第4遊星歯車組
S4 第4サンギヤ
R4 第4リングギヤ
P4 第4ピニオン
PC4 第4キャリヤ
Input 入力軸
Output 出力軸
HS 変速機ケース
A 第1係合要素
B 第2係合要素
C 第3係合要素
D 第4係合要素
E 第5係合要素
F 第6係合要素
Claims (2)
- 第1のサンギヤと、該第1のサンギヤに噛み合う第1のピニオンを支持する第1のキャリヤと、該第1のピニオンに噛み合う第1のリングギヤとからなる第1の遊星歯車と、
第2のサンギヤと、該第2のサンギヤに噛み合う第2のピニオンを支持する第2のキャリヤと、該第2のピニオンに噛み合う第2のリングギヤとからなる第2の遊星歯車と、
第3のサンギヤと、該第3のサンギヤに噛み合う第3のピニオンを支持する第3のキャリヤと、該第3のピニオンに噛み合う第3のリングギヤとからなる第3の遊星歯車と、
第4のサンギヤと、該第4のサンギヤに噛み合う第4のピニオンを支持する第4のキャリヤと、該第4のピニオンに噛み合う第4のリングギヤとからなる第4の遊星歯車と、
6つの係合要素と、
を備え、
前記6つの係合要素を適宜締結解放することにより少なくとも前進8変速段以上の変速段に変速して入力軸からのトルクを出力軸に出力可能な自動変速機であって、
前記第1のサンギヤと前記第2のサンギヤとは連結して第1の回転メンバを構成しており、
前記第1のキャリヤと前記第2のリングギヤとは連結して第2の回転メンバを構成しており、
前記第1のキャリヤと前記第3のサンギヤとは連結して第3の回転メンバを構成しており、
前記第3のキャリヤと前記第4のサンギヤとは連結して第4の回転メンバを構成しており、
前記6つの係合要素は、
前記第1の回転メンバと前記第4のリングギヤとの間を選択的に連結する第1の係合要素と、
前記第1のリングギヤと前記第4の回転メンバとの間を選択的に連結する第2の係合要素と、
前記第3のリングギヤと前記第4のキャリヤとの間を選択的に連結する第3の係合要素と、
前記第2の回転メンバ又は前記第3の回転メンバと前記第4の回転メンバとの間を選択的に連結する第4の係合要素と、
前記第1のリングギヤを変速機ケースに選択的に固定する第5の係合要素と、
前記第4のリングギヤを変速機ケースに選択的に固定する第6の係合要素と、
から構成され、
前記入力軸は前記第2のキャリヤに常時接続されており、
前記出力軸は前記第4のキャリヤに常時接続されており、
前記6つの係合要素のうち三つの同時締結の組み合わせにより少なくとも前進8変速段及び後退1変速段を達成することを特徴とする自動変速機。 - 請求項1に記載の自動変速機において、
前記少なくとも前進8変速段を達成する6つの係合要素のうちの三つの同時締結の組み合わせとは、前記第4の係合要素と前記第5の係合要素と前記第6の係合要素の同時締結、前記第2の係合要素と前記第4の係合要素と前記第6の係合要素の同時締結、前記第1の係合要素と前記第4の係合要素と前記第6の係合要素の同時締結、前記第1の係合要素と前記第2の係合要素と前記第6の係合要素の同時締結、前記第1の係合要素と前記第2の係合要素と前記第4の係合要素の同時締結、前記第1の係合要素と前記第2の係合要素と前記第5の係合要素の同時締結、前記第1の係合要素と前記第4の係合要素と前記第5の係合要素の同時締結、前記第1の係合要素と前記第3の係合要素と前記第5の係合要素の同時締結、の組み合わせであり、後退速を達成する三つの同時締結の組み合わせとは、前記第2の係合要素と前記第3の係合要素と前記第5の係合要素の同時締結であることを特徴とする自動変速機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2014233842A JP6286685B2 (ja) | 2014-11-18 | 2014-11-18 | 自動変速機 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2014233842A JP6286685B2 (ja) | 2014-11-18 | 2014-11-18 | 自動変速機 |
Publications (2)
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JP2016098853A JP2016098853A (ja) | 2016-05-30 |
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Family
ID=56075395
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2014233842A Active JP6286685B2 (ja) | 2014-11-18 | 2014-11-18 | 自動変速機 |
Country Status (1)
Country | Link |
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Family Cites Families (4)
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DE102013205387A1 (de) * | 2013-03-27 | 2014-10-02 | Zf Friedrichshafen Ag | Getriebe für ein Kraftfahrzeug |
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2014
- 2014-11-18 JP JP2014233842A patent/JP6286685B2/ja active Active
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