JP4881284B2 - 自動変速機 - Google Patents
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Description
しかしながら、この特許文献2のFig.23に記載された自動変速機は、真ん中の遊星歯車のリングギヤの外径側を通る部材は3層構造となっている。このため、一般的に自動変速機は、軸中心側より遠心力を利用して潤滑油が放出されて、潤滑必要部を経由して自動変速機の下部に設けられたオイルパンに回収されることになるが、遊星歯車の外径側に例えばドラム部材といった連結部材が多層構造になっていると、潤滑油が上記部材の内部に滞留しやすくなり、これらは走行中に回転する部材であることが多いから、フリクションが増大して燃費が悪化するという問題がある。
(1)3組の単純遊星歯車と5つの摩擦要素で前進7速を達成できるため、伝達効率やギヤノイズを改善できるとともに、ギヤの耐久性が向上する。
(2)3組の遊星歯車の外径側に連結部材が3層とせずに、3組の単純遊星歯車と5つの摩擦要素で前進7速後退1速を達成できる。これにより、潤滑油が滞留しにくくなり、フリクションを低減することで燃費を向上させるとともに、油温上昇による耐久性の悪化を防止することができる。
(3)3組の遊星歯車の内径側を通る部材が最大2軸構造にしつつ、3組の単純遊星歯車と5つの摩擦要素で前進7速後退1速を達成できる。よって、特許文献2に比べてサンギヤの寸法が規制されることがなく、遊星歯車の歯数比の自由度が大きいため設計自由度を向上できる。
図1は実施例1の有段式の自動変速機の変速機構を示すスケルトン図、図2は実施例1の自動変速機における摩擦要素の結合表と減速比の具体例を示す図である。
i1=(1+ρ1)(1+ρ3)/ρ1
の式にてあらわされ、具体的な数値を代入すると、
前進1速の減速比i1は、i1=4.672,減速比の逆数は0.214となる。
i2=(ρ2(1+ρ1)(1+ρ3)+ρ1)/(ρ1(1+ρ2))
の式にてあらわされ、具体的な数値を代入すると、
前進2速の減速比i2は、i2=2.303,減速比の逆数は0.434となる。
i3=1+ρ3
の式にてあらわされ、具体的な数値を代入すると、
前進3速の減速比i3は、i3=1.450,減速比の逆数は0.690となる。
i4=(1+ρ2+ρ2ρ3)/(1+ρ2)
の式にてあらわされ、具体的な数値を代入すると、
前進4速の減速比i4は、i4=1.160,減速比の逆数は0.862となる。
i5=1.0
の式にてあらわされ、具体的な数値を代入するまでもなく、
前進5速の減速比i5は、i5=1.000,減速比の逆数は1.000となる。
i6=(1+ρ1)/(1+ρ1+ρ2)
の式にてあらわされ、具体的な数値を代入すると、
前進6速の減速比i6は、i6=0.725,減速比の逆数は1.379となる。
i7=1/(1+ρ2)
の式にてあらわされ、具体的な数値を代入すると、
前進7速の減速比i7は、i7=0.645,減速比の逆数は1.550となる。
iR=−ρ1/(ρ2−ρ1)
の式にてあらわされ、具体的な数値を代入すると、
後退速の減速比iRは、iR=-4.500,減速比の逆数は-0.222となる。
・スケルトン全体による効果
実施例1では、単純遊星3組と5つの摩擦要素という単純で少ない構成要素でありながら、適正な減速比を確保可能な前進7速後退1速の自動変速機を実現することができる。
単純遊星3組で構成することにより、ダブルピニオンを使う場合に比べて、伝達効率やギヤノイズが改善されると共に、ピニオンを小径とする必要がないため、ギヤの耐久性が向上する。
各遊星歯車組の歯数比ρ1,ρ2,ρ3が何れも中間地0.5に近い。よって、三つの歯数比を自由に設定できる範囲が広く、減速比の自由度を高くすることができる。
前進のレーシオカバレッジ(ギヤ比幅)とは、最低段の減速比/最高段の減速比をいい、この値は、大きい値であるほど、発進加速性と高速巡航での燃費との両立性に優れ、かつ各前進段でのギヤ比設定自由度が高くなるということができる。実施例1での具体的な数値は、前進1速の減速比が4.672で、前進7速の減速比が0.645であるため、1−7速レーシオカバレッジは7.24となり、十分なレーシオカバレッジを確保できる。よって、例えば、動力源としてエンジン回転数幅がガソリンエンジンよりも狭く、同排気量で比較した場合にトルクが大きいディーゼルエンジンを動力源として搭載した車両の変速機としても有用である。
1−Rレシオが1に近い値、具体的には0.963となるため、前進時と後退時とでアクセルペダルの踏み加減に対する車両の加速感が大きく異なることもなく、運転性が悪化するという問題を回避することができる。
標準偏差が極めて小さい値とすることができる(例えば、本実施例の歯数比の例では0.051となる)ため、各変速段の車速の守備範囲が等しくなり、特にアップシフトがリズミカルな変速になるとともに、登降坂路での減速比の選定にも苦労しないドライバビリティに優れた自動変速機を提供することができる。
(i)変速時において、仮に、一つ以上の摩擦要素を解放し二つ以上の摩擦要素を締結する、もしくは、二つ以上の摩擦要素を解放し一つ以上の摩擦要素を締結すると、摩擦要素の締結・解放のタイミングやトルクの制御が複雑となる。そこで、変速制御の複雑化を回避する観点から、一つの摩擦要素を解放し、他の一つの摩擦要素を締結するのが好ましいとされる。いわゆる二重掛け替えの防止である。実施例1においては、前進1速から前進4速までは第1摩擦要素Aが締結したままの状態で変速し、前進4速から前進7速までは第5摩擦要素Eが締結したままの状態で変速する。すなわち、前進1速から前進7速までの隣接するギヤ段への変速は、全て一つの摩擦要素を解放し、他の一つの摩擦要素を締結する掛け替え変速により達成できる。よって、変速時における制御の複雑化を回避できる。
(i)実施例1の自動変速機は、図1のスケルトン図に示すように、3組の遊星歯車の外径側に連結部材が3層とならない。これにより、潤滑油が滞留しにくくなり、フリクションを低減することで燃費を向上することができる。
次に、実施例1の変形例1−1について説明する。基本的な構成は実施例1と同じであるため、異なる点についてのみ説明する。
次に、実施例1の変形例1−2について説明する。基本的な構成は実施例1と同じであるため、異なる点についてのみ説明する。実施例1では、ギヤトレーンとして、シングルピニオン型の3組の遊星歯車組である第1遊星歯車組PG1,第2遊星歯車組PG2及び第3遊星歯車組PG3が、実施例1では出力側から順に第1遊星歯車組PG1→第2遊星歯車組PG2→第3遊星歯車組PG3に配置されていた。これに対し、変形例1−2では、第3遊星歯車組PG3→第1遊星歯車組PG1→第2遊星歯車組PG2の順に配置している点で異なる。尚、変形例1−2では、図5中左から順に、第1遊星歯車組PG1→第2遊星歯車組PG2→第3遊星歯車組PG3として記載しているが、実施例1との対応関係では、
変形例1−2の第1遊星歯車組PG1は実施例1の第3遊星歯車組PG3に相当し、
変形例1−2の第2遊星歯車組PG2は実施例1の第1遊星歯車組PG1に相当し、
変形例1−2の第3遊星歯車組PG3は実施例1の第2遊星歯車組PG2に相当する。
図6は実施例2の有段式の自動変速機の変速機構を示すスケルトン図、図7は実施例2の自動変速機における摩擦要素の結合表と減速比の具体例を示す図である。
i1=(1+ρ1)(1+ρ2)/ρ1
の式にてあらわされ、具体的な数値を代入すると、
前進1速の減速比i1は、i1=4.227,減速比の逆数は0.237となる。
i2=(ρ1+ρ3(1+ρ1)(1+ρ2))/(ρ1(1+ρ3))
の式にてあらわされ、具体的な数値を代入すると、
前進2速の減速比i2は、i2=2.271,減速比の逆数は0.440となる。
i3=1+ρ2
の式にてあらわされ、具体的な数値を代入すると、
前進3速の減速比i3は、i3=1.500,減速比の逆数は0.667となる。
i4=(1+ρ3+ρ2ρ3)/(1+ρ2)
の式にてあらわされ、具体的な数値を代入すると、
前進4速の減速比i4は、i4=1.197,減速比の逆数は0.835となる。
i5=1.0
の式にてあらわされ、具体的な数値を代入するまでもなく、
前進5速の減速比i5は、i5=1.000,減速比の逆数は1.000となる。
i6=(1+ρ1)/(1+ρ1+ρ3)
の式にてあらわされ、具体的な数値を代入すると、
前進6速の減速比i6は、i6=0.705,減速比の逆数は1.418となる。
i7=1/(1+ρ3)
の式にてあらわされ、具体的な数値を代入すると、
前進7速の減速比i7は、i7=0.606,減速比の逆数は1.650となる。
iR=−ρ1/(ρ3−ρ1)
の式にてあらわされ、具体的な数値を代入すると、
後退速の減速比iRは、iR=-5.500,減速比の逆数は-0.182となる。
・スケルトン全体による効果
実施例2では、単純遊星3組と5つの摩擦要素という単純で少ない構成要素でありながら、適正な減速比を確保可能な前進7速後退1速の自動変速機を実現することができる。
単純遊星3組で構成することにより、ダブルピニオンを使う場合に比べて、伝達効率やギヤノイズが改善されると共に、ピニオンを小径とする必要がないため、ギヤの耐久性が向上する。
各遊星歯車組の歯数比ρ1,ρ2,ρ3が何れも中間地0.5に近い。よって、三つの歯数比を自由に設定できる範囲が広く、減速比の自由度を高くすることができる。
前進のレーシオカバレッジ(ギヤ比幅)とは、最低段の減速比/最高段の減速比をいい、この値は、大きい値であるほど、発進加速性と高速巡航での燃費との両立性に優れ、かつ各前進段でのギヤ比設定自由度が高くなるということができる。実施例2での具体的な数値は、前進1速の減速比が4.227で、前進7速の減速比が0.606であるため、1−7速レーシオカバレッジは6.98となり、十分なレーシオカバレッジを確保できる。よって、例えば、動力源としてエンジン回転数幅がガソリンエンジンよりも狭く、同排気量で比較した場合にトルクが大きいディーゼルエンジンを動力源として搭載した車両の変速機としても有用である。
1−Rレシオが1に近い値、具体的には1.30となるため、前進時と後退時とでアクセルペダルの踏み加減に対する車両の加速感が大きく異なることもなく、運転性が悪化するという問題を回避することができる。
標準偏差が極めて小さい値とすることができる(例えば、本実施例の歯数比の例では0.052となる)ため、各変速段の車速の守備範囲が等しくなり、特にアップシフトがリズミカルな変速になるとともに、登降坂路での減速比の選定にも苦労しないドライバビリティに優れた自動変速機を提供することができる。
(i)変速時において、仮に、一つ以上の摩擦要素を解放し二つ以上の摩擦要素を締結する、もしくは、二つ以上の摩擦要素を解放し一つ以上の摩擦要素を締結すると、摩擦要素の締結・解放のタイミングやトルクの制御が複雑となる。そこで、変速制御の複雑化を回避する観点から、一つの摩擦要素を解放し、他の一つの摩擦要素を締結するのが好ましいとされる。いわゆる二重掛け替えの防止である。実施例2においては、前進1速から前進4速までは第1摩擦要素Aが締結したままの状態で変速し、前進4速から前進7速までは第5摩擦要素Eが締結したままの状態で変速する。すなわち、前進1速から前進7速までの隣接するギヤ段への変速は、全て一つの摩擦要素を解放し、他の一つの摩擦要素を締結する掛け替え変速により達成できる。よって、変速時における制御の複雑化を回避できる。
(i)実施例2の自動変速機は、図6のスケルトン図に示すように、3組の遊星歯車の外径側に連結部材が3層とならない。これにより、潤滑油が滞留しにくくなり、フリクションを低減することで燃費を向上することができる。
次に、実施例2の変形例2−1について説明する。基本的な構成は実施例2と同じであるため、異なる点についてのみ説明する。実施例2では、ギヤトレーンとして、シングルピニオン型の3組の遊星歯車組である第1遊星歯車組PG1,第2遊星歯車組PG2及び第3遊星歯車組PG3が、実施例2では出力側から順に第1遊星歯車組PG1→第2遊星歯車組PG2→第3遊星歯車組PG3に配置されていた。これに対し、変形例2−1では、第2遊星歯車組PG2→第1遊星歯車組PG1→第3遊星歯車組PG3の順に配置している点で異なる。尚、変形例2−1では、図9中左から順に、第1遊星歯車組PG1→第2遊星歯車組PG2→第3遊星歯車組PG3として記載しているが、実施例2との対応関係では、
変形例2−1の第1遊星歯車組PG1は実施例2の第2遊星歯車組PG2に相当し、
変形例2−1の第2遊星歯車組PG2は実施例2の第1遊星歯車組PG1に相当し、
変形例2−1の第3遊星歯車組PG3は実施例2の第3遊星歯車組PG3に相当する。
図10は実施例3の有段式の自動変速機の変速機構を示すスケルトン図、図11は実施例3の自動変速機における摩擦要素の結合表と減速比の具体例を示す図である。
i1=(1+ρ1)(1+ρ2)/ρ1
の式にてあらわされ、具体的な数値を代入すると、
前進1速の減速比i1は、i1=4.672,減速比の逆数は0.214となる。
i2=(ρ2+ρ3(1+ρ1)(1+ρ2))/(ρ2(1+ρ3))
の式にてあらわされ、具体的な数値を代入すると、
前進2速の減速比i2は、i2=2.303,減速比の逆数は0.434となる。
i3=1+ρ1
の式にてあらわされ、具体的な数値を代入すると、
前進3速の減速比i3は、i3=1.450,減速比の逆数は0.690となる。
i4=(1+ρ3+ρ1ρ3)/(1+ρ3)
の式にてあらわされ、具体的な数値を代入すると、
前進4速の減速比i4は、i4=1.160,減速比の逆数は0.862となる。
i5=1.0
の式にてあらわされ、具体的な数値を代入するまでもなく、
前進5速の減速比i5は、i5=1.000,減速比の逆数は1.000となる。
i6=(1+ρ2)/(1+ρ2+ρ3)
の式にてあらわされ、具体的な数値を代入すると、
前進6速の減速比i6は、i6=0.725,減速比の逆数は1.379となる。
i7=1/(1+ρ3)
の式にてあらわされ、具体的な数値を代入すると、
前進7速の減速比i7は、i7=0.645,減速比の逆数は1.550となる。
iR=−ρ2/(ρ2−ρ3)
の式にてあらわされ、具体的な数値を代入すると、
後退速の減速比iRは、iR=-4.500,減速比の逆数は-0.222となる。
・スケルトン全体による効果
実施例3では、単純遊星3組と5つの摩擦要素という単純で少ない構成要素でありながら、適正な減速比を確保可能な前進7速後退1速の自動変速機を実現することができる。
単純遊星3組で構成することにより、ダブルピニオンを使う場合に比べて、伝達効率やギヤノイズが改善されると共に、ピニオンを小径とする必要がないため、ギヤの耐久性が向上する。
各遊星歯車組の歯数比ρ1,ρ2,ρ3が何れも中間地0.5に近い。よって、三つの歯数比を自由に設定できる範囲が広く、減速比の自由度を高くすることができる。
前進のレーシオカバレッジ(ギヤ比幅)とは、最低段の減速比/最高段の減速比をいい、この値は、大きい値であるほど、発進加速性と高速巡航での燃費との両立性に優れ、かつ各前進段でのギヤ比設定自由度が高くなるということができる。実施例3での具体的な数値は、前進1速の減速比が4.672で、前進7速の減速比が0.645であるため、1−7速レーシオカバレッジは7.24となり、十分なレーシオカバレッジを確保できる。よって、例えば、動力源としてエンジン回転数幅がガソリンエンジンよりも狭く、同排気量で比較した場合にトルクが大きいディーゼルエンジンを動力源として搭載した車両の変速機としても有用である。
1−Rレシオが1に近い値、具体的には0.963となるため、前進時と後退時とでアクセルペダルの踏み加減に対する車両の加速感が大きく異なることもなく、運転性が悪化するという問題を回避することができる。
標準偏差が極めて小さい値、具体的には0.051となるため、各変速段の車速の守備範囲が等しくなり、特にアップシフトがリズミカルな変速になるとともに、登降坂路での減速比の選定にも苦労しないドライバビリティに優れた自動変速機を提供することができる。
(i)変速時において、仮に、一つ以上の摩擦要素を解放し二つ以上の摩擦要素を締結する、もしくは、二つ以上の摩擦要素を解放し一つ以上の摩擦要素を締結すると、摩擦要素の締結・解放のタイミングやトルクの制御が複雑となる。そこで、変速制御の複雑化を回避する観点から、一つの摩擦要素を解放し、他の一つの摩擦要素を締結するのが好ましいとされる。いわゆる二重掛け替えの防止である。実施例3においては、前進1速から前進4速までは第1摩擦要素Aが締結したままの状態で変速が進行し、前進4速から前進7速までは第5摩擦要素Eが締結したままの状態で変速が進行する。すなわち、前進1速から前進7速までの隣接するギヤ段への変速は、全て一つの摩擦要素を解放し、他の一つの摩擦要素を締結する掛け替え変速により達成できる。よって、変速時における制御の複雑化を回避できる。
(i)実施例3の自動変速機は、図10のスケルトン図に示すように、3組の遊星歯車の外径側に連結部材が3層とならない。これにより、潤滑油が滞留しにくくなり、フリクションを低減することで燃費を向上することができる。
実施例3での摩擦要素数は、第1摩擦要素Aがブレーキとされている。すなわち、ブレーキを備えたことで、クラッチ数が多い場合に比べ、回転用シールリング数や遠心キャンセル機構の増加を抑制することが可能となり、燃費を向上しつつ、部品点数や軸方向寸法の増加を抑制することができる。
図13は実施例4の有段式の自動変速機の変速機構を示すスケルトン図、図14は実施例4の自動変速機における摩擦要素の結合表と減速比の具体例を示す図である。
i1=1+ρ3+ρ3/ρ2
の式にてあらわされ、具体的な数値を代入すると、
前進1速の減速比i1は、i1=2.750,減速比の逆数は0.371となる。
i2=1+ρ3(1+ρ2)/(ρ2(1+ρ1))
の式にてあらわされ、具体的な数値を代入すると、
前進2速の減速比i2は、i2=2.094,減速比の逆数は0.478となる。
i3=1+ρ3
の式にてあらわされ、具体的な数値を代入すると、
前進3速の減速比i3は、i3=1.500,減速比の逆数は0.667となる。
i4=1
の式にてあらわされ、具体的な数値を代入するまでもなく、
前進4速の減速比i4は、i4=1.000,減速比の逆数は1.000となる。
i5=ρ1(1+ρ3)/(ρ1+ρ3+ρ1ρ3)
の式にてあらわされ、具体的な数値を代入すると、
前進5速の減速比i5は、i5=0.643,減速比の逆数は1.555となる。
i6=ρ1(ρ2+ρ3+ρ2ρ3)/(ρ1ρ2+ρ3(1+ρ1)(1+ρ2))
の式にてあらわされ、具体的な数値を代入すると、
前進6速の減速比i6は、i6=0.485,減速比の逆数は2.062となる。
i7=ρ1/(1+ρ1)
の式にてあらわされ、具体的な数値を代入すると、
前進7速の減速比i7は、i7=0.375,減速比の逆数は2.667となる。
iR=ρ1ρ2(1+ρ3)/(ρ1ρ2+ρ1ρ2ρ3−ρ3)
の式にてあらわされ、具体的な数値を代入すると、
後退速の減速比iRは、iR=-2.571,減速比の逆数は-0.389となる。
・スケルトン全体による効果
実施例4では、単純遊星3組と5つの摩擦要素という単純で少ない構成要素でありながら、適正な減速比を確保可能な前進7速後退1速の自動変速機を実現することができる。
単純遊星3組で構成することにより、ダブルピニオンを使う場合に比べて、伝達効率やギヤノイズが改善されると共に、ピニオンを小径とする必要がないため、ギヤの耐久性が向上する。
各遊星歯車組の歯数比ρ1,ρ2,ρ3が何れも中間地0.5に近い。よって、三つの歯数比を自由に設定できる範囲が広く、減速比の自由度を高くすることができる。
前進のレーシオカバレッジ(ギヤ比幅)とは、最低段の減速比/最高段の減速比をいい、この値は、大きい値であるほど、発進加速性と高速巡航での燃費との両立性に優れ、かつ各前進段でのギヤ比設定自由度が高くなるということができる。実施例4での具体的な数値は、前進1速の減速比が2.750で、前進7速の減速比が0.375であるため、1−7速レーシオカバレッジは7.33となり、十分なレーシオカバレッジを確保できる。よって、例えば、動力源としてエンジン回転数幅がガソリンエンジンよりも狭く、同排気量で比較した場合にトルクが大きいディーゼルエンジンを動力源として搭載した車両の変速機としても有用である。
1−Rレシオが1に近い値、具体的には0.935となるため、前進時と後退時とでアクセルペダルの踏み加減に対する車両の加速感が大きく異なることもなく、運転性が悪化するという問題を回避することができる。
(i)変速時において、仮に、一つ以上の摩擦要素を解放し二つ以上の摩擦要素を締結する、もしくは、二つ以上の摩擦要素を解放し一つ以上の摩擦要素を締結すると、摩擦要素の締結・解放のタイミングやトルクの制御が複雑となる。そこで、変速制御の複雑化を回避する観点から、一つの摩擦要素を解放し、他の一つの摩擦要素を締結するのが好ましいとされる。いわゆる二重掛け替えの防止である。実施例4においては、前進1速から前進4速までは第1摩擦要素Aが締結したままの状態で変速し、前進4速から前進7速までは第5摩擦要素Eが締結したままの状態で変速する。すなわち、前進1速から前進7速までの隣接するギヤ段への変速は、全て一つの摩擦要素を解放し、他の一つの摩擦要素を締結する掛け替え変速により達成できる。よって、変速時における制御の複雑化を回避できる。
(i)実施例4の自動変速機は、図13のスケルトン図に示すように、3組の遊星歯車の外径側に連結部材が3層とならない。これにより、潤滑油が滞留しにくくなり、フリクションを低減することで燃費が向上する。
PG1 第1遊星歯車組
S1 第1サンギヤ
R1 第1リングギヤ
P1 第1ピニオン
PC1 第1キャリヤ
PG2 第2遊星歯車組
S2 第2サンギヤ
R2 第2リングギヤ
P2 第2ピニオン
PC2 第2キャリヤ
PG3 第3遊星歯車組
S3 第3サンギヤ
R3 第3リングギヤ
P3 第3ピニオン
PC3 第3キャリヤ
IN 入力軸
OUT 出力軸
A 第1摩擦要素
B 第2摩擦要素
C 第3摩擦要素
D 第4摩擦要素
E 第5摩擦要素
Claims (6)
- 第1のサンギヤと、該第1のサンギヤに噛み合う第1のピニオンを支持する第1のキャリヤと、該第1のピニオンに噛み合う第1のリングギヤとからなる第1の遊星歯車と、
第2のサンギヤと、該第2のサンギヤに噛み合う第2のピニオンを支持する第2のキャリヤと、該第2のピニオンに噛み合う第2のリングギヤとからなる第2の遊星歯車と、
第3のサンギヤと、該第3のサンギヤに噛み合う第3のピニオンを支持する第3のキャリヤと、該第3のピニオンに噛み合う第3のリングギヤとからなる第3の遊星歯車と、
5つの摩擦要素と、
を備え、
前記5つの摩擦要素を適宜締結解放することにより少なくとも前進7速の変速段に変速して入力軸からのトルクを出力軸に出力可能な自動変速機において、
前記第1のリングギヤは常時係止されており、
前記入力軸は前記第2のキャリヤに常時連結しており、
前記第2のリングギヤと前記第3のキャリヤとは連結して回転メンバを構成しており、
前記出力軸は前記回転メンバに常時連結しており、
前記5つの摩擦要素は、
前記第1のキャリヤと前記第3のリングギヤとの間を選択的に連結する第1の摩擦要素と、
前記第1のサンギヤと前記第2のキャリヤとの間を選択的に連結する第2の摩擦要素と、
前記第1のサンギヤと前記第2のサンギヤとの間を選択的に連結する第3の摩擦要素と、
前記第1のキャリヤと前記第2のキャリヤとの間を選択的に連結する第4の摩擦要素と、
前記第1のキャリヤと前記第2のサンギヤとの間を選択的に連結する第5の摩擦要素と、
から構成され、
前記5つの摩擦要素のうち二つの同時締結の組み合わせにより少なくとも前進7速及び後退1速を達成することを特徴とする自動変速機。 - 第1のサンギヤと、該第1のサンギヤに噛み合う第1のピニオンを支持する第1のキャリヤと、該第1のピニオンに噛み合う第1のリングギヤとからなる第1の遊星歯車と、
第2のサンギヤと、該第2のサンギヤに噛み合う第2のピニオンを支持する第2のキャリヤと、該第2のピニオンに噛み合う第2のリングギヤとからなる第2の遊星歯車と、
第3のサンギヤと、該第3のサンギヤに噛み合う第3のピニオンを支持する第3のキャリヤと、該第3のピニオンに噛み合う第3のリングギヤとからなる第3の遊星歯車と、
5つの摩擦要素と、
を備え、
前記5つの摩擦要素を適宜締結解放することにより少なくとも前進7速の変速段に変速して入力軸からのトルクを出力軸に出力可能な自動変速機において、
前記第1のリングギヤは常時係止されており、
前記第2のサンギヤは常時係止されており、
前記入力軸は前記第3のキャリヤに常時連結しており、
前記出力軸は前記第3のリングギヤに常時連結しており、
前記第1のキャリヤと前記第2のリングギヤとは連結して回転メンバを構成しており、
前記5つの摩擦要素は、
前記第2のキャリヤと前記第3のリングギヤとの間を選択的に連結する第1の摩擦要素と、
前記第1のサンギヤと前記第3のキャリヤとの間を選択的に連結する第2の摩擦要素と、
前記第1のサンギヤと前記第3のサンギヤとの間を選択的に連結する第3の摩擦要素と、
前記回転メンバと前記第3のキャリヤとの間を選択的に連結する第4の摩擦要素と、
前記回転メンバと前記第3のサンギヤとの間を選択的に連結する第5の摩擦要素と、
から構成され、
前記5つの摩擦要素のうち二つの同時締結の組み合わせにより少なくとも前進7速及び後退1速を達成することを特徴とする自動変速機。 - 第1のサンギヤと、該第1のサンギヤに噛み合う第1のピニオンを支持する第1のキャリヤと、該第1のピニオンに噛み合う第1のリングギヤとからなる第1の遊星歯車と、
第2のサンギヤと、該第2のサンギヤに噛み合う第2のピニオンを支持する第2のキャリヤと、該第2のピニオンに噛み合う第2のリングギヤとからなる第2の遊星歯車と、
第3のサンギヤと、該第3のサンギヤに噛み合う第3のピニオンを支持する第3のキャリヤと、該第3のピニオンに噛み合う第3のリングギヤとからなる第3の遊星歯車と、
5つの摩擦要素と、
を備え、
前記5つの摩擦要素を適宜締結解放することにより少なくとも前進7速の変速段に変速して入力軸からのトルクを出力軸に出力可能な自動変速機において、
前記第2のリングギヤは常時係止されており、
前記第1のキャリヤと前記第3のリングギヤとは連結して第1回転メンバを構成しており、
前記第1のリングギヤと前記第2のキャリヤとは連結して第2回転メンバを構成しており、
前記入力軸は前記第3のキャリヤに常時連結しており、
前記出力軸は前記第1回転メンバに常時連結しており、
前記5つの摩擦要素は、
前記第1のサンギヤの回転を係止可能な第1の摩擦要素と、
前記第3のサンギヤと前記第3のキャリヤとの間を選択的に連結する第2の摩擦要素と、
前記第2のサンギヤと前記第3のサンギヤとの間を選択的に連結する第3の摩擦要素と、
前記第2回転メンバと前記第3のキャリヤとの間を選択的に連結する第4の摩擦要素と、
前記第2回転メンバと前記第3のサンギヤとの間を選択的に連結する第5の摩擦要素と、
から構成され、
前記5つの摩擦要素のうち二つの同時締結の組み合わせにより少なくとも前進7速及び後退1速を達成することを特徴とする自動変速機。 - 第1のサンギヤと、該第1のサンギヤに噛み合う第1のピニオンを支持する第1のキャリヤと、該第1のピニオンに噛み合う第1のリングギヤとからなる第1の遊星歯車と、
第2のサンギヤと、該第2のサンギヤに噛み合う第2のピニオンを支持する第2のキャリヤと、該第2のピニオンに噛み合う第2のリングギヤとからなる第2の遊星歯車と、
第3のサンギヤと、該第3のサンギヤに噛み合う第3のピニオンを支持する第3のキャリヤと、該第3のピニオンに噛み合う第3のリングギヤとからなる第3の遊星歯車と、
5つの摩擦要素と、
を備え、
前記5つの摩擦要素を適宜締結解放することにより少なくとも前進7速の変速段に変速して入力軸からのトルクを出力軸に出力可能な自動変速機において、
前記第3のサンギヤは常時係止されており、
前記第2のキャリヤと前記第3のリングギヤとは連結して第1回転メンバを構成しており、
前記第2のリングギヤと前記第3のキャリヤとは連結して第2回転メンバを構成しており、
前記入力軸は前記第1のキャリヤに常時連結しており、
前記出力軸は前記第1のサンギヤに常時連結しており、
前記5つの摩擦要素は、
前記第1のサンギヤと前記第2回転メンバとの間を選択的に連結する第1の摩擦要素と、
前記第1のキャリヤと前記第2のサンギヤとの間を選択的に連結する第2の摩擦要素と、
前記第1のリングギヤと前記第2のサンギヤとの間を選択的に連結する第3の摩擦要素と、
前記第1のキャリヤと前記第1回転メンバとの間を選択的に連結する第4の摩擦要素と、
前記第1のリングギヤと前記第2回転メンバとの間を選択的に連結する第5の摩擦要素と、
から構成され、
前記5つの摩擦要素のうち二つの同時締結の組み合わせにより少なくとも前進7速及び後退1速を達成することを特徴とする自動変速機。 - 請求項1ないし4いずれか1つに記載の自動変速機において、
前記前進7速を達成する前記第1〜第5の摩擦要素のうちの2つの同時締結の組み合わせは、前記第1の摩擦要素と前記第2の摩擦要素の同時締結、前記第1の摩擦要素と前記第3の摩擦要素の同時締結、前記第1の摩擦要素と前記第4の摩擦要素の同時締結、前記第1の摩擦要素と前記第5の摩擦要素の同時締結、前記第4の摩擦要素と前記第5の摩擦要素の同時締結、前記第2の摩擦要素と前記第5の摩擦要素の同時締結、前記第3の摩擦要素と前記第5の摩擦要素の同時締結の7つの組み合わせであることを特徴とする自動変速機。 - 請求項5に記載の自動変速機において、
前記後退1速を達成する前記第1〜第5の摩擦要素のうちの2つの同時締結は、前記第3の摩擦要素と前記第4の摩擦要素の同時締結であることを特徴とする自動変速機。
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