JP4823205B2 - 自動変速機 - Google Patents

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Description

本発明は、車両の変速機として適用される有段式の自動変速機に関する。
従来、遊星歯車3組を使用して前進7速を達成する自動変速機として、例えば特許文献1や特許文献2に記載の技術が知られている。特許文献1には、伝達効率やギヤノイズに有利で、ピニオンギヤが小径とならず耐久性に有利なシングルピニオン型遊星歯車を3組、摩擦要素6個を使用して前進7速を達成する自動変速機が開示されている。また、同様に、特許文献2には、シングルピニオン型遊星歯車を3組、摩擦要素5個を使用して前進7速を達成する自動変速機が開示されている。
特開2004−176765号公報 USP 6648791,Fig.23,24,25,26
特許文献1については、前進7速を達成するのに最低6個の摩擦要素を必要とするため、摩擦要素の数が多く、部品点数や軸方向寸法の増大を招くという問題がある。
特許文献2については、前進7速を達成するのに摩擦要素が5個であり、特許文献1に比べて摩擦要素の数が少なく部品点数を少なく出来るという効果はあるが、この5個の摩擦要素は、全て回転要素同士を係合するクラッチで構成されている。一般に、クラッチの場合、回転部材を介してピストン油圧室に油を供給する構造となる。そのため、同じ摩擦要素であってもブレーキに比べて回転用シールリング数が増大する。したがって、特許文献2は全摩擦要素に占めるクラッチの割合が高いことからシールリングによる摺動抵抗増加による燃費の悪化が短所となる。更に、クラッチの場合、回転体同士を結合する構造であるため、クラッチの油圧を適切に制御しようとすると、遠心力をキャンセルする機構が必要となる。したがって、特許文献2に記載の自動変速機は、全摩擦要素に占めるクラッチの割合が高いことから部品点数の増加、軸方向寸法の増大を招くという短所がある。
本発明の目的とするところは、単純遊星歯車を3組、摩擦要素を5個として前進7速を達成することで、伝達効率やギヤノイズに有利で、ギヤの耐久性の悪化を抑制するとともに、5個の摩擦要素については、クラッチ数を極力少なくすることで、摺動抵抗の悪化や部品点数や軸方向寸法の縮小が可能な自動変速機を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明では、第1のサンギヤと、該第1のサンギヤに噛み合う第1のピニオンを支持する第1のキャリヤと、該第1のピニオンに噛み合う第1のリングギヤとからなる第1の遊星歯車と、第2のサンギヤと、該第2のサンギヤに噛み合う第2のピニオンを支持する第2のキャリヤと、該第2のピニオンに噛み合う第2のリングギヤとからなる第2の遊星歯車と、第3のサンギヤと、該第3のサンギヤに噛み合う第3のピニオンを支持する第3のキャリヤと、該第3のピニオンに噛み合う第3のリングギヤとからなる第3の遊星歯車と、5つの摩擦要素と、を備え、前記5つの摩擦要素を適宜締結解放することにより少なくとも前進7速の変速段に変速して入力軸からのトルクを出力軸に出力可能な自動変速機において、前記入力軸は前記第1のサンギヤに常時連結しており、前記出力軸は前記第2のキャリヤに常時連結しており、前記第1のキャリヤは常時係止されており、前記第1のリングギヤと前記第3のサンギヤとは連結して第1回転メンバを構成しており、前記第2のリングギヤと前記第3のキャリヤとは連結して第2回転メンバを構成しており、前記5つの摩擦要素は、前記第2の回転メンバの回転を係止可能なブレーキである第1摩擦要素と、前記第2のキャリヤと前記第3のリングギヤとを選択的に連結するクラッチである第2摩擦要素と、前記第1のサンギヤと前記第2のサンギヤとを選択的に連結するクラッチである第3摩擦要素と、前記第2のサンギヤと前記第3のリングギヤとを選択的に連結するクラッチである第4摩擦要素と、前記第1のサンギヤと前記第2の回転メンバとを選択的に連結するクラッチである第5摩擦要素と、から構成され、前記第1,第2,第3,第4及び第5摩擦要素のうち二つの同時締結の組み合わせにより少なくとも前進7速及び後退1速を達成することを特徴とする。
上記目的を達成するため、第2の発明では、第1のサンギヤと、該第1のサンギヤに噛み合う第1のピニオンを支持する第1のキャリヤと、該第1のピニオンに噛み合う第1のリングギヤとからなる第1の遊星歯車と、第2のサンギヤと、該第2のサンギヤに噛み合う第2のピニオンを支持する第2のキャリヤと、該第2のピニオンに噛み合う第2のリングギヤとからなる第2の遊星歯車と、第3のサンギヤと、該第3のサンギヤに噛み合う第3のピニオンを支持する第3のキャリヤと、該第3のピニオンに噛み合う第3のリングギヤとからなる第3の遊星歯車と、5つの摩擦要素と、を備え、前記5つの摩擦要素を適宜締結解放することにより少なくとも前進7速の変速段に変速して入力軸からのトルクを出力軸に出力可能な自動変速機において、前記第1のサンギヤと前記第2のサンギヤとは連結して第1の回転メンバを構成しており、前記入力軸は前記第1の回転メンバに常時連結しており、前記出力軸は前記第3のリングギヤに常時連結しており、前記第1のリングギヤは常時係止されており、前記第2のリングギヤと前記第3のサンギヤとは連結して第2の回転メンバを構成しており、前記5つの摩擦要素は、前記第3のキャリヤの回転を係止可能なブレーキである第1摩擦要素と、前記第1のキャリヤと前記第2のキャリヤとを選択的に連結するクラッチである第2摩擦要素と、前記第2のキャリヤと前記第3のキャリヤとを選択的に連結するクラッチである第3摩擦要素と、前記第1のキャリヤと前記第2の回転メンバとを選択的に連結するクラッチである第4摩擦要素と、前記第1の回転メンバと前記第3のキャリヤとを選択的に連結するクラッチである第5摩擦要素と、から構成され、前記第1,第2,第3,第4及び第5摩擦要素のうち二つの同時締結の組み合わせにより少なくとも前進7速及び後退1速を達成することを特徴とする。
よって、本第1及び第2の発明の自動変速機にあっては、3組の単純遊星歯車と5つの摩擦要素で前進7速を達成できるため、伝達効率やギヤノイズやギヤの耐久性が改善される。また、5つの摩擦要素にはブレーキが含まれているため、その分クラッチの数を減らすことができる。よって、回転用シールリング数や遠心キャンセル機構が減少し、燃費を向上しつつ、部品点数や軸方向寸法を減少させることができる。
以下、本発明の有段自動変速機の変速機構を実現する最良の形態を、図面に示す実施例に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
図1は実施例1の有段式の自動変速機の変速機構を示すスケルトン図、図2は実施例1の自動変速機における摩擦要素の結合表と減速比の具体例を示す図である。
実施例1の自動変速機は、図1に示すように、ギヤトレーンとして、シングルピニオン型の3組の遊星歯車組である第1遊星歯車組PG1,第2遊星歯車組PG2及び第3遊星歯車組PG3を備えている。第1遊星歯車組PG1は、第1サンギヤS1と、第1リングギヤR1と、第1サンギヤS1と第1リングギヤR1とに噛み合う第1ピニオンP1と、を有する。第2遊星歯車組PG2は、第2サンギヤS2と、第2リングギヤR2と、第2サンギヤS2と第2リングギヤR2とに噛み合う第2ピニオンP2と、を有する。第3遊星歯車組PG3は、第3サンギヤS3と、第3リングギヤR3と、第3サンギヤS3と第3リングギヤR3とに噛み合う第3ピニオンP3と、を有する。第1,第2及び第3ピニオンP1,P2,P3は、それぞれ第1,第2及び第3キャリヤPC1,PC2,PC3に対して回転可能に支持されている。
入力軸INは第1サンギヤS1と常時連結されている。出力軸OUTは第2キャリヤPC2に常時連結されている。第1リングギヤR1と第3サンギヤS3とは常時連結して第1回転メンバM1を構成している。第2リングギヤR2と第3キャリヤPC3とは常時連結して第2回転メンバM2を構成している。
自動変速機には、1つのブレーキである第1摩擦要素Aと4つのクラッチである第2摩擦要素B,第3摩擦要素C,第4摩擦要素D及び第5摩擦要素Eが設けられている。第1摩擦要素Aは、第2回転メンバM2(第2リングギヤR2,第3キャリヤPC3)と変速機ケース1との間に設けられ、第2回転メンバM2の回転を選択的に変速機ケース1に係止する。第2摩擦要素Bは、第2キャリヤPC2と第3リングギヤR3との間に設けられ、第2キャリヤPC2と第3リングギヤR3とを選択的に連結する。第3摩擦要素Cは、第1サンギヤS1と第2サンギヤS2との間に設けられ、第1サンギヤS1と第2サンギヤS2とを選択的に連結する。第4摩擦要素Dは、第2サンギヤS2と第3リングギヤR3との間に設けられ、第2サンギヤS2と第3リングギヤR3とを選択的に連結する。第5摩擦要素Eは、第1サンギヤS1と第2回転メンバM2と一体の第3キャリヤPC3との間に設けられ、第1サンギヤS1と第3キャリヤPC3(第2回転メンバM2)とを選択的に連結する。
出力軸OUTには、出力ギヤ等が設けられ、図外のディファレンシャルギヤやドライブシャフトを介して駆動輪へ回転駆動力が伝達される。実施例1の場合、出力軸OUTは各回転要素の内周側から出力されることからFF車両及びFR車両の両方への搭載が可能である。
各ギヤ段での前記摩擦要素の結合(締結)の関係を、図2の結合表により説明する(変速制御手段)。尚、表中の○印は締結、空欄は解放を表している。
まず、前進時について説明する。1速は、第1摩擦要素Aと第2摩擦要素Bの同時締結により達成する。2速は、第1摩擦要素Aと第3摩擦要素Cの同時締結により達成する。3速は、第2摩擦要素Bと第3摩擦要素Cの同時締結により達成する。4速は、第3摩擦要素Cと第4摩擦要素Dの同時締結により達成する。5速は、第3摩擦要素Cと第5の摩擦要素Eの同時締結により達成する。6速は、第4摩擦要素Dと第5摩擦要素Eの同時締結により達成する。7速は、第2摩擦要素Bと第5摩擦要素Eの同時締結により達成する。次に、後退時について説明する。後退速は、第2摩擦要素Bと第4摩擦要素Dの同時締結により達成する。
次に、図2により実施例1での減速比の具体例を説明する。ここで、第1遊星歯車組PG1の歯数比ρ1=ZS1/ZR1=0.45、第2遊星歯車組PG2の歯数比ρ2=ZS2/ZR2=0.65、第3遊星歯車組PG3の歯数比ρ3=ZS3/ZR3=0.65とする事例により説明する。尚、ZS1,ZS2,ZS3,ZR1,ZR2,ZR3は各ギヤの歯数を表す。
前進1速の減速比i1は、
1=1/(ρ1ρ3
の式にてあらわされ、具体的な数値を代入すると、
前進1速の減速比i1は、i1=3.419,減速比の逆数は0.292となる。
前進2速の減速比i2は、
2=(1+ρ2)/ρ2
の式にてあらわされ、具体的な数値を代入すると、
前進2速の減速比i2は、i2=2.538,減速比の逆数は0.394となる。
前進3速の減速比i3は、
3=(ρ2+ρ3+ρ2ρ3)/(ρ2+ρ1ρ3−ρ1ρ3
の式にてあらわされ、具体的な数値を代入すると、
前進3速の減速比i3は、i3=2.208,減速比の逆数は0.453となる。
前進4速の減速比i4は、
4=(1+ρ2)(1+ρ3)/(1+ρ2+ρ2ρ3−ρ1ρ3
の式にてあらわされ、具体的な数値を代入すると、
前進4速の減速比i4は、i4=1.529,減速比の逆数は0.654となる。
前進5速の減速比i5は、
5=1
の式にてあらわされ、具体的な数値を代入するまでもなく、
前進5速の減速比i5は、i5=1.000,減速比の逆数も1.000となる。
前進6速の減速比i6は、
6=(1+ρ2)/(1+ρ2+ρ2ρ3+ρ1ρ2ρ3
の式にてあらわされ、具体的な数値を代入すると、
前進6速の減速比i6は、i6=0.729,減速比の逆数は1.372となる。
前進7速の減速比i7は、
7=1/(1+ρ3+ρ1ρ3
の式にてあらわされ、具体的な数値を代入すると、
前進7速の減速比i7は、i7=0.515,減速比の逆数は1.942となる。
後退速の減速比iRは、
R=−1/ρ1
の式にてあらわされ、具体的な数値を代入すると、
後退速の減速比iRは、iR=-2.222,減速比の逆数は-0.450となる。
〔実施例1の効果〕
・単純遊星3組を使用することによる効果
単純遊星3組で構成することにより、ダブルピニオンを使う場合に比べて、噛み合い伝達効率やギヤノイズが改善さると共に、ピニオンを小径とする必要がないため、ギヤの耐久性が向上する。
・摩擦要素数の観点に基づく効果
実施例1での摩擦要素数は、第1〜第5摩擦要素A,B,C,D,Eによる5個である。この5個の摩擦要素は4つのクラッチと1つのブレーキから構成され、これにより前進7速後退1速が得られる。すなわち、全摩擦要素に占めるブレーキが存在することから、クラッチ数が多い場合に比べ、シールリング数や遠心キャンセル機構の増加を抑制することが可能となり、燃費を向上しつつ、部品点数や軸方向寸法の増加を抑制することができる。
・前進のレーシオカバレッジに基づく効果
前進のレーシオカバレッジ(ギヤ比幅)とは、最低段の減速比/最高段の減速比をいい、この値は、大きい値であるほど、発進加速性と高速巡航での燃費の両立性に優れ、かつ各前進段でのギヤ比設定自由度が高くなるということができる。実施例1での具体的な数値は、レーシオカバレッジが6.64となり、十分なレーシオカバレッジを確保できる。よって、例えば、動力源としてエンジン回転数幅がガソリンエンジンよりも狭く、同排気量で比較した場合にトルクが大きいディーゼルエンジンを動力源として搭載した車両の変速機としても有用である。
・減速比に基づく効果
6速に比べて7速の減速比をあえて小さな値に設定している。言い換えると、6速と7速の間の減速比の段間比を、他の変速段の間の減速比の段間比より大きめに設定している。これにより、高速道路等におけるほぼ一定速低トルク変動走行時において、内燃機関の回転数を非常に低速化でき、静粛性や燃費を改善することができる。
・減速比とレーシオカバレッジの両方に基づく効果
レーシオカバレッジの割に、低速側の減速比が大きいと、ファイナルギヤへ伝達するトルクが大きくなる。このため、自動変速機やプロペラシャフトの強度が必要となり、車両全体が大型化する。つまり、同一のレーシオカバレッジであれば、最低変速比がそれほど大きくないほうが好ましい。例えば、特許文献2のFig23に示された自動変速機は、最高変速段の減速比が1であるため、レーシオカバレッジを大きくしようとすると、最低変速段の減速比を大きくしなければならず、自動変速機やプロペラシャフトが大型化する。一方、実施例1の自動変速機は、最低変速段の減速比は3.419であることから、それほど大きくすること無く、十分なレーシオカバレッジを確保することができる。
・変速時における摩擦要素の切換え数に基づく効果
(i)変速時において、仮に、一つ以上の摩擦要素を解放し二つ以上の摩擦要素を締結する、もしくは、二つ以上の摩擦要素を解放し一つ以上の摩擦要素を締結すると、摩擦要素の締結・解放のタイミングやトルクの制御が複雑となる。そこで、変速制御の複雑化を回避する観点から、一つの摩擦要素を解放し、他の一つの摩擦要素を締結するのが好ましいとされる。いわゆる二重掛け替えの防止である。実施例1においては、前進1速から前進2速までは第1摩擦要素Aが締結したままの状態で変速し、前進2速から前進5速までは第3摩擦要素Cが締結したままの状態で変速し、前進5速から前進7速までは第5摩擦要素Eが締結したままの状態で変速する。すなわち、前進1速から前進7速までの隣接するギヤ段への変速は、全て一つの摩擦要素を解放し、他の一つの摩擦要素を締結する掛け替え変速により達成できる。よって、変速時における制御の複雑化を回避できる。
(ii)上記(i)に示すように、隣接するギヤ段への変速は、全て一つの摩擦要素を解放し、一つの摩擦要素を締結する架け替え変速により達成でき、更に、例えば前進1速から前進3速のような1段飛び変速であっても、同様に全て一つの摩擦要素を解放し、一つの摩擦要素を締結する架け替え変速により達成できる。よって、制御性を向上させることができる。
・レイアウトに基づく効果
(i)実施例1の自動変速機は、3組の遊星歯車の内径側を通る部材が最大2軸構造にしつつ、3組の単純遊星歯車と5つの摩擦要素で前進7速後退1速を達成できる。よって、特許文献2に比べてサンギヤの寸法が規制されることがなく、遊星歯車の歯数比の自由度が大きいため設計自由度を向上できる。
(ii)実施例1の自動変速機は、遊星歯車組の一方側から入力し、他方側から出力することが可能な自動変速機であるため、前輪駆動車(以下、FF車両)及び後輪駆動車(以下、FR車両)のどちらの車両にも適用でき、自動変速機の適用範囲を広くすることができる。
まず、構成を説明する。
図3は実施例2の有段式の自動変速機の変速機構を示すスケルトン図、図4は実施例2の自動変速機における摩擦要素の結合表と減速比の具体例を示す図である。
実施例2の自動変速機は、図3に示すように、ギヤトレーンとして、シングルピニオン型の3組の遊星歯車組である第1遊星歯車組PG1,第2遊星歯車組PG2及び第3遊星歯車組PG3を備えている。第1遊星歯車組PG1は、第1サンギヤS1と、第1リングギヤR1と、第1サンギヤS1と第1リングギヤR1とに噛み合う第1ピニオンP1と、を有する。第2遊星歯車組PG2は、第2サンギヤS2と、第2リングギヤR2と、第2サンギヤS2と第2リングギヤR2とに噛み合う第2ピニオンP2と、を有する。第3遊星歯車組PG3は、第3サンギヤS3と、第3リングギヤR3と、第3サンギヤS3と第3リングギヤR3とに噛み合う第3ピニオンP3と、を有する。第1,第2及び第3ピニオンP1,P2,P3は、それぞれ第1,第2及び第3キャリヤPC1,PC2,PC3に対して回転可能に支持されている。
第1サンギヤS1と第2サンギヤS2とは常時連結して第1回転メンバM1を構成している。入力軸INは第1回転メンバM1と常時連結されている。出力軸OUTは第3リングギヤR3に常時連結されている。第1リングギヤR1は変速機ケース1に常時係止されている。第2リングギヤR2と第3サンギヤS3とは常時連結して第2回転メンバM2を構成している。
自動変速機には、1つのブレーキである第1摩擦要素Aと4つのクラッチである第2摩擦要素B,第3摩擦要素C,第4摩擦要素D及び第5摩擦要素Eが設けられている。第1摩擦要素Aは、第3キャリヤPC3と変速機ケース1との間に設けられ、第3キャリヤPC3の回転を選択的に変速機ケース1に係止する。第2摩擦要素Bは、第1キャリヤPC1と第2キャリヤPC2との間に設けられ、第1キャリヤPC1と第2キャリヤPC2とを選択的に連結する。第3摩擦要素Cは、第2キャリヤPC2と第3キャリヤPC3との間に設けられ、第2キャリヤPC2と第3キャリヤPC3とを選択的に連結する。第4摩擦要素Dは、第1キャリヤPC1と第2回転メンバM2と一体の第2リングギヤR2との間に設けられ、第1キャリヤPC1と第2リングギヤR2(第2回転メンバM2)とを選択的に連結する。第5摩擦要素Eは、第1回転メンバM1(第1サンギヤS1,第2サンギヤS2)と第3キャリヤPC3との間に設けられ、第1回転メンバM1と第3キャリヤPC3とを選択的に連結する。
出力軸OUTには、出力ギヤ等が設けられ、図外のディファレンシャルギヤやドライブシャフトを介して駆動輪へ回転駆動力が伝達される。実施例2の場合、出力軸OUTは各回転要素の内周側から出力されることからFF車両及びFR車両の両方への搭載が可能である。
各ギヤ段での前記摩擦要素の結合(締結)の関係を、図4の結合表により説明する(変速制御手段)。尚、表中の○印は締結、空欄は解放を表している。
まず、前進時について説明する。1速は、第1摩擦要素Aと第2摩擦要素Bの同時締結により達成する。2速は、第1摩擦要素Aと第3摩擦要素Cの同時締結により達成する。3速は、第2摩擦要素Bと第3摩擦要素Cの同時締結により達成する。4速は、第3摩擦要素Cと第4摩擦要素Dの同時締結により達成する。5速は、第3摩擦要素Cと第5の摩擦要素Eの同時締結により達成する。6速は、第4摩擦要素Dと第5摩擦要素Eの同時締結により達成する。7速は、第2摩擦要素Bと第5摩擦要素Eの同時締結により達成する。次に、後退時について説明する。後退速は、第1摩擦要素Aと第4摩擦要素Dの同時締結により達成する。
次に、図4により実施例2での減速比の具体例を説明する。ここで、第1遊星歯車組PG1の歯数比ρ1=ZS1/ZR1=0.3、第2遊星歯車組PG2の歯数比ρ2=ZS2/ZR2=0.65、第3遊星歯車組PG3の歯数比ρ3=ZS3/ZR3=0.65とする事例により説明する。尚、ZS1,ZS2,ZS3,ZR1,ZR2,ZR3は各ギヤの歯数を表す。
前進1速の減速比i1は、
1=(1+ρ1)/((ρ2−ρ1)ρ3
の式にてあらわされ、具体的な数値を代入すると、
前進1速の減速比i1は、i1=5.714,減速比の逆数は0.175となる。
前進2速の減速比i2は、
2=1/(ρ2ρ3
の式にてあらわされ、具体的な数値を代入すると、
前進2速の減速比i2は、i2=2.367,減速比の逆数は0.422となる。
前進3速の減速比i3は、
3=(1+ρ1)/(ρ1+ρ2ρ3
の式にてあらわされ、具体的な数値を代入すると、
前進3速の減速比i3は、i3=1.799,減速比の逆数は0.556となる。
前進4速の減速比i4は、
4=(1+ρ1)(1+ρ2)/(ρ1+ρ2(1+ρ1+ρ3))
の式にてあらわされ、具体的な数値を代入すると、
前進4速の減速比i4は、i4=1.368,減速比の逆数は0.731となる。
前進5速の減速比i5は、
5=1
の式にてあらわされ、具体的な数値を代入するまでもなく、
前進5速の減速比i5は、i5=1.000,減速比の逆数は1.000となる。
前進6速の減速比i6は、
6=(1+ρ1)/(1+ρ1+ρ3
の式にてあらわされ、具体的な数値を代入すると、
前進6速の減速比i6は、i6=0.667,減速比の逆数は1.500となる。
前進7速の減速比i7は、
7=(1+ρ1)/(1+ρ1+ρ3+ρ2ρ3
の式にてあらわされ、具体的な数値を代入すると、
前進7速の減速比i7は、i7=0.548,減速比の逆数は1.825となる。
後退速の減速比iRは、
R=−(1+ρ1)/(ρ1ρ3
の式にてあらわされ、具体的な数値を代入すると、
後退速の減速比iRは、iR=-6.667,減速比の逆数は-0.150となる。
〔実施例2の効果〕
・単純遊星3組を使用することによる効果
単純遊星3組で構成することにより、ダブルピニオンを使う場合に比べて、噛み合い伝達効率やギヤノイズ改善されると共に、ピニオンを小径とする必要がないため、ギヤの耐久性が向上する。
・摩擦要素数の観点に基づく効果
実施例2での摩擦要素数は、第1〜第5摩擦要素A,B,C,D,Eによる5個である。この5個の摩擦要素は4つのクラッチと1つのブレーキから構成され、これにより前進7速後退1速が得られる。すなわち、全摩擦要素に占めるブレーキが存在することから、クラッチ数が多い場合に比べ、回転用シールリング数や遠心キャンセル機構の増加を抑制することが可能となり、燃費を向上しつつ、部品点数や軸方向寸法の増加を抑制することができる。
・前進のレーシオカバレッジに基づく効果
前進のレーシオカバレッジ(ギヤ比幅)とは、最低段の減速比/最高段の減速比をいい、この値は、大きい値であるほど、発進加速性と高速巡航での燃費の両立性に優れるとともに、各前進段でのギヤ比設定自由度が高くなるということができる。実施例2での具体的な数値は、レーシオカバレッジが10.43となり、十分なレーシオカバレッジを確保できる。よって、例えば、動力源としてエンジン回転数幅がガソリンエンジンよりも狭く、同排気量で比較した場合にトルクの大きなディーゼルエンジンを動力源として搭載した車両の変速機としても有用である。
・1−Rレシオに基づく効果
1−Rレシオが1に近い値、具体的には1.167となるため、前進時と後退時とでアクセルペダルの踏み加減に対する車両の加速感が大きく異なることもなく、運転性が悪化するという問題を回避することができる。
・変速時における摩擦要素の切換え数に基づく効果
(i)変速時において、仮に、一つ以上の摩擦要素を解放し二つ以上の摩擦要素を締結する、もしくは、二つ以上の摩擦要素を解放し一つ以上の摩擦要素を締結すると、摩擦要素の締結・解放のタイミングやトルクの制御が複雑となる。そこで、変速制御の複雑化を回避する観点から、一つの摩擦要素を解放し、他の一つの摩擦要素を締結するのが好ましいとされる。いわゆる二重掛け替えの防止である。実施例2においては、前進1速から前進2速までは第1摩擦要素Aが締結したままの状態で変速し、前進2速から前進5速までは第3摩擦要素Cが締結したままの状態で変速し、前進5速から前進7速までは第5摩擦要素Eが締結したままの状態で変速する。すなわち、前進1速から前進7速までの隣接するギヤ段への変速は、全て一つの摩擦要素を解放し、他の一つの摩擦要素を締結する掛け替え変速により達成できる。よって、変速時における制御の複雑化を回避できる。
(ii)上記(i)に示すように、隣接するギヤ段への変速は、全て一つの摩擦要素を解放し、一つの摩擦要素を締結する架け替え変速により達成でき、更に、例えば前進1速から前進3速のような1段飛び変速であっても、同様に全て一つの摩擦要素を解放し、一つの摩擦要素を締結する架け替え変速により達成できる。よって、制御性の向上を図ることができる。
・レイアウトに基づく効果
(i)実施例2の自動変速機は、3組の遊星歯車の内径側を通る部材が最大2軸構造にしつつ、3組の単純遊星歯車と5つの摩擦要素で前進7速後退1速を達成できる。よって、特許文献2に比べてサンギヤの寸法が規制されることがなく、遊星歯車の歯数比の自由度が大きいため設計自由度を向上できる。
(ii)実施例2の自動変速機は、遊星歯車組の一方側から入力し、他方側から出力することが可能な自動変速機であるため、前輪駆動車(以下、FF)及び後輪駆動車(以下、FR)のどちらの車両にも適用でき、自動変速機の適用範囲を広くすることができる。
(iii)図3のスケルトン図に示すように、遊星歯車組の外周側を通る回転メンバが存在しない構造である。自動変速機は冷却や潤滑を目的として、各回転要素であるギヤやベアリング等に潤滑油を常に供給している。また、この潤滑は一般に軸心側から遠心力により供給される。このとき、外周側において潤滑油の排出性が悪化すると、潤滑油の油温が上昇し、摩擦要素や図示しない軸受け部材などの耐久性が低下する。実施例2では、上述したように、遊星歯車組の外周側を通る回転メンバが存在しないため、潤滑油の排出性が悪化することがなく、油温上昇が抑制されて、耐久性が向上する。
まず、構成を説明する。
図5は実施例3の有段式の自動変速機の変速機構を示すスケルトン図、図6は実施例3の自動変速機における摩擦要素の結合表と減速比の具体例を示す図である。
実施例3の自動変速機は、図5に示すように、ギヤトレーンとして、シングルピニオン型の3組の遊星歯車組である第1遊星歯車組PG1,第2遊星歯車組PG2及び第3遊星歯車組PG3を備えている。第1遊星歯車組PG1は、第1サンギヤS1と、第1リングギヤR1と、第1サンギヤS1と第1リングギヤR1とに噛み合う第1ピニオンP1と、を有する。第2遊星歯車組PG2は、第2サンギヤS2と、第2リングギヤR2と、第2サンギヤS2と第2リングギヤR2とに噛み合う第2ピニオンP2と、を有する。第3遊星歯車組PG3は、第3サンギヤS3と、第3リングギヤR3と、第3サンギヤS3と第3リングギヤR3とに噛み合う第3ピニオンP3と、を有する。第1,第2及び第3ピニオンP1,P2,P3は、それぞれ第1,第2及び第3キャリヤPC1,PC2,PC3に対して回転可能に支持されている。
第2サンギヤS2と第3サンギヤS3とは常時連結して第1回転メンバM1を構成している。入力軸INは第1回転メンバM1と常時連結されている。出力軸OUTは第1リングギヤR1に常時連結されている。第2リングギヤR2は変速機ケース1に常時係止されている。第3リングギヤR3と第1サンギヤS1とは常時連結して第2回転メンバM2を構成している。
自動変速機には、1つのブレーキである第1摩擦要素Aと4つのクラッチである第2摩擦要素B,第3摩擦要素C,第4摩擦要素D及び第5摩擦要素Eが設けられている。第1摩擦要素Aは、第1キャリヤPC1と変速機ケース1との間に設けられ、第1キャリヤPC1の回転を選択的に変速機ケース1に係止する。第2摩擦要素Bは、第2キャリヤPC2と第3キャリヤPC3との間に設けられ、第2キャリヤPC2と第3キャリヤPC3とを選択的に連結する。第3摩擦要素Cは、第1キャリヤPC1と第3キャリヤPC3との間に設けられ、第1キャリヤPC1と第3キャリヤPC3とを選択的に連結する。第4摩擦要素Dは、第2キャリヤPC2と第2回転メンバM2(第1サンギヤS1,第3リングギヤR3)との間に設けられ、第2キャリヤPC2と第2回転メンバM2とを選択的に連結する。第5摩擦要素Eは、第1回転メンバM1(第1サンギヤS1,第2サンギヤS2)と第1キャリヤPC1との間に設けられ、第1回転メンバM1と第1キャリヤPC1とを選択的に連結する。
出力軸OUTには、出力ギヤ等が設けられ、図外のディファレンシャルやドライブシャフトを介して駆動輪へ回転駆動力が伝達される。実施例3の場合、出力軸OUTは各回転要素の外周側から出力され、内周側には第2リングギヤR2を変速機ケース1に係止するメンバが配置されていることから主にFF車両への搭載が想定される。
各ギヤ段での前記摩擦要素の結合(締結)の関係を、図6の結合表により説明する(変速制御手段)。尚、表中の○印は締結、空欄は解放を表している。
まず、前進時について説明する。1速は、第1摩擦要素Aと第2摩擦要素Bの同時締結により達成する。2速は、第1摩擦要素Aと第3摩擦要素Cの同時締結により達成する。3速は、第2摩擦要素Bと第3摩擦要素Cの同時締結により達成する。4速は、第3摩擦要素Cと第4摩擦要素Dの同時締結により達成する。5速は、第3摩擦要素Cと第5の摩擦要素Eの同時締結により達成する。6速は、第4摩擦要素Dと第5摩擦要素Eの同時締結により達成する。7速は、第2摩擦要素Bと第5摩擦要素Eの同時締結により達成する。次に、後退時について説明する。後退速は、第1摩擦要素Aと第4摩擦要素Dの同時締結により達成する。
次に、図6により実施例3での減速比の具体例を説明する。ここで、第1遊星歯車組PG1の歯数比ρ1=ZS1/ZR1=0.65、第2遊星歯車組PG2の歯数比ρ2=ZS2/ZR2=0.3、第3遊星歯車組PG3の歯数比ρ3=ZS3/ZR3=0.6とする事例により説明する。尚、ZS1,ZS2,ZS3,ZR1,ZR2,ZR3は各ギヤの歯数を表す。
前進1速の減速比i1は、
1=(1+ρ2)/(ρ1(ρ3−ρ2))
の式にてあらわされ、具体的な数値を代入すると、
前進1速の減速比i1は、i1=6.667,減速比の逆数は0.150となる。
前進2速の減速比i2は、
2=1/(ρ1ρ3
の式にてあらわされ、具体的な数値を代入すると、
前進2速の減速比i2は、i2=2.564,減速比の逆数は0.390となる。
前進3速の減速比i3は、
3=(1+ρ2)/(ρ2+ρ1ρ3
の式にてあらわされ、具体的な数値を代入すると、
前進3速の減速比i3は、i3=1.884,減速比の逆数は0.531となる。
前進4速の減速比i4は、
4=(1+ρ2)(1+ρ3)/(ρ2+ρ3(1+ρ1+ρ2))
の式にてあらわされ、具体的な数値を代入すると、
前進4速の減速比i4は、i4=1.415,減速比の逆数は0.707となる。
前進5速の減速比i5は、
5=1
の式にてあらわされ、具体的な数値を代入するまでもなく、
前進5速の減速比i5は、i5=1.000,減速比の逆数は1.000となる。
前進6速の減速比i6は、
6=(1+ρ2)/(1+ρ1+ρ2
の式にてあらわされ、具体的な数値を代入すると、
前進6速の減速比i6は、i6=0.667,減速比の逆数は1.500となる。
前進7速の減速比i7は、
7=(1+ρ2)/(1+ρ1+ρ2+ρ1ρ3
の式にてあらわされ、具体的な数値を代入すると、
前進7速の減速比i7は、i7=0.556,減速比の逆数は1.799となる。
後退速の減速比iRは、
R=−(1+ρ2)/(ρ1ρ2
の式にてあらわされ、具体的な数値を代入すると、
後退速の減速比iRは、iR=-6.667,減速比の逆数は-0.150となる。
〔実施例3の効果〕
・単純遊星3組を使用することによる効果
単純遊星3組で構成することにより、ダブルピニオンを使う場合に比べて、噛み合い伝達効率やギヤノイズが改善されると共に、ピニオンを小径とする必要がないため、ギヤの耐久性が向上する。
・摩擦要素数の観点に基づく効果
実施例3での摩擦要素数は、第1〜第5摩擦要素A,B,C,D,Eによる5個である。この5個の摩擦要素は4つのクラッチと1つのブレーキから構成され、これにより前進7速後退1速が得られる。すなわち、全摩擦要素に占めるブレーキが存在することから、クラッチ数が多い場合に比べ、回転用シールリング数や遠心キャンセル機構の増加を抑制することが可能となり、燃費を向上しつつ、部品点数や軸方向寸法の増加を抑制することができる。
・前進のレーシオカバレッジに基づく効果
前進のレーシオカバレッジ(ギヤ比幅)とは、最低段の減速比/最高段の減速比をいい、この値は、大きい値であるほど、発進加速性と高速巡航での燃費の両立性に優れ、かつ各前進段でのギヤ比設定自由度が高くなるということができる。実施例3での具体的な数値は、レーシオカバレッジが12.0となり、十分なレーシオカバレッジを確保できる。よって、例えば、動力源としてエンジン回転数幅がガソリンエンジンよりも狭く、同排気量で比較した場合にトルクが大きいディーゼルエンジンを動力源として搭載した車両の変速機としても有用である。
・1−Rレシオに基づく効果
1−Rレシオが1.00となるため、前進時と後退時とでアクセルペダルの踏み加減に対する車両の加速感が異なることもなく、運転性が悪化するという問題を回避することができる。
・変速時における摩擦要素の切換え数に基づく効果
(i)変速時において、仮に、一つ以上の摩擦要素を解放し二つ以上の摩擦要素を締結する、もしくは、二つ以上の摩擦要素を解放し一つ以上の摩擦要素を締結すると、摩擦要素の締結・解放のタイミングやトルクの制御が複雑となる。そこで、変速制御の複雑化を回避する観点から、一つの摩擦要素を解放し、他の一つの摩擦要素を締結するのが好ましいとされる。いわゆる二重掛け替えの防止である。実施例3においては、前進1速から前進2速までは第1摩擦要素Aが締結したままの状態で変速し、前進2速から前進5速までは第3摩擦要素Cが締結したままの状態で変速し、前進5速から前進7速までは第5摩擦要素Eが締結したままの状態で変速する。すなわち、前進1速から前進7速までの隣接するギヤ段への変速は、全て一つの摩擦要素を解放し、他の一つの摩擦要素を締結する掛け替え変速により達成できる。よって、変速時における制御の複雑化を回避できる。
(ii)上記(i)に示すように、隣接するギヤ段への変速は、全て一つの摩擦要素を解放し、他の一つの摩擦要素を締結する架け替え変速により達成でき、更に、例えば前進1速から前進3速のような1段飛び変速であっても、同様に全て一つの摩擦要素を解放し、一つの摩擦要素を締結する架け替え変速により達成できる。よって、制御性を向上させることができる。
・レイアウトに基づく効果
(i)実施例3の自動変速機は、3組の遊星歯車の内径側を通る部材が1軸構造となっている。よって、特許文献2に比べてサンギヤの寸法が規制されることがなく、遊星歯車の歯数比の自由度が大きいため設計自由度を向上できる。
(ii)図5のスケルトン図に示すように、遊星歯車組の外周側を通る回転メンバが最大でも2層構造である。自動変速機は冷却や潤滑を目的として、各回転要素であるギヤやベアリング等に潤滑油を常に供給している。また、この潤滑は一般に軸心側から遠心力により供給される。このとき、外周側において潤滑油の排出性が悪化すると、潤滑油の油温が上昇し、摩擦要素や図示しない軸受け部材などの耐久性が低下する。実施例3では、上述したように、遊星歯車組の外周側を通る回転メンバは二層構造であるため、潤滑油の排出性が悪化することがなく、耐久性が向上する。
(iii)実施例2と実施例3とは、各変速段を得るときの各摩擦要素の同時締結の組み合わせは全く同じであり、実施例2の第3遊星歯車組PG3を実施例3の第1遊星歯車組PG1とし、実施例2の第1遊星歯車組PG1を実施例3の第2遊星歯車組PG2とし、実施例2の第2遊星歯車組PG2を実施例3の第3遊星歯車組PG3として置き換えたものと同じである。ここで、実施例2の配列では、FF車両及びFR車両の両方に適用可能なレイアウトが可能であるのに対し、実施例3ではFF車両にのみ適用可能なレイアウトしか取ることができない。
上記効果の相違は、言い換えると以下のように示される。実施例2では、図3に示すように、変速機ケース1に係止される要素(第1リングギヤR1,第3キャリヤPC3)が2つの遊星歯車組(第1遊星歯車組PG1,第3遊星歯車組PG3)に存在するとき、この2つの遊星歯車組を第2遊星歯車組PG2の両側に配置し、かつ、入力側(左端部)の反対側である右端部に配置された第3遊星歯車組PG3の第3リングギヤR3から出力軸OUTを取り出している。
尚、第3リングギヤR3から出力軸OUTを取り出せる理由は、変速機ケース1と第3キャリヤPC3とを第1摩擦要素Aを介して連結するメンバは第2遊星歯車組PG2と第3遊星歯車組PG3との間を通し、第3サンギヤS3と第2リングギヤR2とを連結する第2回転メンバM2は第2遊星歯車組PG2と第3遊星歯車組PG3との間を通し、第3キャリヤPC3と第2キャリヤPC2とを第3摩擦要素Cを介して連結するメンバ及び第3キャリヤPC3と第1回転メンバM1とを第5摩擦要素Eを介して連結するメンバは第3サンギヤS3の内径側を通しているからである。
これに対し、実施例3では、図5に示すように、変速機ケース1に係止される要素(第1キャリヤPC1,第2リングギヤR2))が2つの遊星歯車組(第1遊星歯車組PG1,第2遊星歯車組PG2)に存在するとき、この2つの遊星歯車組を3組の中央と、入力側(右端部)の反対側である左端部に配置し、かつ、左端部に配置された第1遊星歯車組PG1の第1リングギヤR1から出力軸OUTを取り出している。
この配置とすると、第1回転メンバM1と入力軸INとが常時連結されていることから、第1キャリヤPC1と第3キャリヤPC3とを第3摩擦要素Cを介して連結するメンバは第2遊星歯車組PG2及び第3遊星歯車組PG3の外周側を通さざるを得ない。そうすると、変速機ケース1に係止される要素である第2リングギヤR2と変速機ケース1とは、第2遊星歯車組PG2と第1遊星歯車組PG1との間から第1サンギヤS3の内径側を通して連結する以外に他のルートが存在しない。
そうすると、第1遊星歯車組PG1は、第2遊星歯車組PG2との間→第1遊星歯車組PG1の内径→変速機ケース1に亘って封入されてしまい、出力軸OUTを取り出すことができなくなる。尚、図5中、変速機ケース1は離間して2カ所に記載しているだけで、実際には固定部材であるため、その2カ所は必ず変速機ケース1として繋がっている。このことが、FR車両にも適用可能か否かを決定している。
よって、実施例3に基づいて、逆説的に実施例2の効果を記載するならば、同じ共線図で、同じ締結関係を持っている場合であっても、遊星歯車組の配置を工夫することで、FF車両とFR車両の両方に適用可能なレイアウトが得られる場合がある。
具体的には、第1遊星歯車組PG1と、第2遊星歯車組PG2と、第3遊星歯車PG3とを有し、第1サンギヤS1と第2サンギヤS2とは常時連結して第1回転メンバM1を構成しており、入力軸INは第1回転メンバM1に常時連結しており、出力軸OUTは第3リングギヤR3に常時連結しており、第1リングギヤR1は常時係止されており、第2リングギヤR2と第3サンギヤS3とは常時連結して第2回転メンバM2を構成しており、第3キャリヤPC3の回転を係止可能なブレーキである第1摩擦要素Aと、第1キャリヤPC1と第2キャリヤPC2とを選択的に連結するクラッチである第2摩擦要素Bと、第2キャリヤPC2と第3キャリヤPC3とを選択的に連結するクラッチである第3摩擦要素Cと、第1キャリヤPC1と第2回転メンバM2とを選択的に連結するクラッチである第4摩擦要素Dと、第1回転メンバM1と第3キャリヤPC3とを選択的に連結するクラッチである第5摩擦要素Eと、から構成され、第1,第2,第3,第4及び第5摩擦要素のうち二つの同時締結の組み合わせにより少なくとも前進7速及び後退1速を達成する自動変速機において、入力側から順に、第1遊星歯車組PG1、第2遊星歯車組PG2、第3遊星歯車組PG3と配置することで、FF車両とFR車両の両方に適用可能なレイアウトが得られるという効果が得られる。
実施例1の自動変速機を示すスケルトン図である。 実施例1の自動変速機における摩擦要素の結合表と減速比の具体例を示す図である。 実施例2の自動変速機を示すスケルトン図である。 実施例2の自動変速機における摩擦要素の結合表と減速比の具体例を示す図である。 実施例3の自動変速機を示すスケルトン図である。 実施例3の自動変速機における摩擦要素の結合表と減速比の具体例を示す図である。
符号の説明
1 変速機ケース
PG1 第1遊星歯車組
S1 第1サンギヤ
R1 第1リングギヤ
P1 第1ピニオン
PC1 第1キャリヤ
PG2 第2遊星歯車組
S2 第2サンギヤ
R2 第2リングギヤ
P2 第2ピニオン
PC2 第2キャリヤ
PG3 第3遊星歯車組
S3 第3サンギヤ
R3 第3リングギヤ
P3 第3ピニオン
PC3 第3キャリヤ
IN 入力軸
OUT 出力軸
A 第1摩擦要素
B 第2摩擦要素
C 第3摩擦要素
D 第4摩擦要素
E 第5摩擦要素

Claims (4)

  1. 第1のサンギヤと、該第1のサンギヤに噛み合う第1のピニオンを支持する第1のキャリヤと、該第1のピニオンに噛み合う第1のリングギヤとからなる第1の遊星歯車と、
    第2のサンギヤと、該第2のサンギヤに噛み合う第2のピニオンを支持する第2のキャリヤと、該第2のピニオンに噛み合う第2のリングギヤとからなる第2の遊星歯車と、
    第3のサンギヤと、該第3のサンギヤに噛み合う第3のピニオンを支持する第3のキャリヤと、該第3のピニオンに噛み合う第3のリングギヤとからなる第3の遊星歯車と、
    5つの摩擦要素と、
    を備え、
    前記5つの摩擦要素を適宜締結解放することにより少なくとも前進7速の変速段に変速して入力軸からのトルクを出力軸に出力可能な自動変速機において、
    前記入力軸は前記第1のサンギヤに常時連結しており、
    前記出力軸は前記第2のキャリヤに常時連結しており、
    前記第1のキャリヤは常時係止されており、
    前記第1のリングギヤと前記第3のサンギヤとは連結して第1の回転メンバを構成しており、
    前記第2のリングギヤと前記第3のキャリヤとは連結して第2の回転メンバを構成しており、
    前記5つの摩擦要素は、
    前記第2の回転メンバの回転を係止可能なブレーキである第1摩擦要素と、
    前記第2のキャリヤと前記第3のリングギヤとを選択的に連結するクラッチである第2摩擦要素と、
    前記第1のサンギヤと前記第2のサンギヤとを選択的に連結するクラッチである第3摩擦要素と、
    前記第2のサンギヤと前記第3のリングギヤとを選択的に連結するクラッチである第4摩擦要素と、
    前記第1のサンギヤと前記第2の回転メンバとを選択的に連結するクラッチである第5摩擦要素と、
    から構成され、
    前記第1,第2,第3,第4及び第5摩擦要素のうち二つの同時締結の組み合わせにより少なくとも前進7速及び後退1速を達成することを特徴とする自動変速機。
  2. 第1のサンギヤと、該第1のサンギヤに噛み合う第1のピニオンを支持する第1のキャリヤと、該第1のピニオンに噛み合う第1のリングギヤとからなる第1の遊星歯車と、
    第2のサンギヤと、該第2のサンギヤに噛み合う第2のピニオンを支持する第2のキャリヤと、該第2のピニオンに噛み合う第2のリングギヤとからなる第2の遊星歯車と、
    第3のサンギヤと、該第3のサンギヤに噛み合う第3のピニオンを支持する第3のキャリヤと、該第3のピニオンに噛み合う第3のリングギヤとからなる第3の遊星歯車と、
    5つの摩擦要素と、
    を備え、
    前記5つの摩擦要素を適宜締結解放することにより少なくとも前進7速の変速段に変速して入力軸からのトルクを出力軸に出力可能な自動変速機において、
    前記第1のサンギヤと前記第2のサンギヤとは連結して第1の回転メンバを構成しており、
    前記入力軸は前記第1の回転メンバに常時連結しており、
    前記出力軸は前記第3のリングギヤに常時連結しており、
    前記第1のリングギヤは常時係止されており、
    前記第2のリングギヤと前記第3のサンギヤとは連結して第2の回転メンバを構成しており、
    前記5つの摩擦要素は、
    前記第3のキャリヤの回転を係止可能なブレーキである第1摩擦要素と、
    前記第1のキャリヤと前記第2のキャリヤとを選択的に連結するクラッチである第2摩擦要素と、
    前記第2のキャリヤと前記第3のキャリヤとを選択的に連結するクラッチである第3摩擦要素と、
    前記第1のキャリヤと前記第2の回転メンバとを選択的に連結するクラッチである第4摩擦要素と、
    前記第1の回転メンバと前記第3のキャリヤとを選択的に連結するクラッチである第5摩擦要素と、
    から構成され、
    前記第1,第2,第3,第4及び第5摩擦要素のうち二つの同時締結の組み合わせにより少なくとも前進7速及び後退1速を達成することを特徴とする自動変速機。
  3. 請求項1または2に記載の自動変速機において、
    前進7変速段を達成する前記第1〜第5の摩擦要素のうちの二つの同時締結の組み合わせとは、前記第1の摩擦要素と前記第2の摩擦要素の同時締結、前記第1の摩擦要素と前記第3の摩擦要素の同時締結、前記第2の摩擦要素と前記第3の摩擦要素の同時締結、前記第3の摩擦要素と前記第4の摩擦要素の同時締結、前記第3の摩擦要素と前記第5の摩擦要素の同時締結、前記第4の摩擦要素と前記第5の摩擦要素の同時締結、前記第2の摩擦要素と前記第5の摩擦要素の同時締結の組み合わせであることを特徴とする自動変速機。
  4. 請求項3に記載の自動変速機において、
    後退変速段を達成する前記第1〜第5の摩擦要素のうちの二つの同時締結の組み合わせとは、前記第2の摩擦要素と前記第4の摩擦要素の同時締結、又は前記第1摩擦要素と前記第4摩擦要素の同時締結であることを特徴とする自動変速機。
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