以下、本発明にかかる画像監視システムの実施の形態について説明する。本実施の形態では、不特定多数の人物が行き交うイベント会場およびイベント会場周辺を監視場所とし、当該監視場所内で行われた所持物品の受け渡し行為を検出する画像監視システムの例を説明する。なお、本実施の形態は、画像監視システムによって検出された受け渡し行為が不審なものであるか否かを、監視センタの監視員が映像などに基づいて詳細に確認し、監視場所に存在する警備員に対して対処指示を出すなどの適切な対応をとるものである。
図1は、本実施の形態における画像監視システムの全体構成を示した図である。図1に示すように、画像監視システム1は、監視場所の各所に設置された複数の撮像装置2、監視場所を撮影した画像を解析する画像監視装置3、監視センタに設置される監視センタ装置4で構成されている。これらの各装置は、有線通信や無線通信などで接続されており、各種の情報を入出力する。
具体的には、撮像装置2で順次撮影された監視場所の画像は、画像監視装置3の画像入力部31にて順次取得され、画像監視装置3の記憶部32および画像処理部33に入力される。画像処理部33では、入力した画像を処理し、当該画像中から受け渡し行為を検出する。画像監視装置3は、検出した受け渡し行為に関する情報(以下、受け渡し情報)を監視センタ装置4に出力する。監視センタ装置4は、画像監視装置3から入力した受け渡し情報を表示部41に表示する。ここで、受け渡し情報は、受け渡しの様子が映っている画像、受け渡し行為の発生時刻、受け渡し行為の発生場所の種類、受け渡された物品の種類、受け渡された物品の画像などである。また、監視センタ装置4は、画像監視装置3から入力した受け渡し情報を記録部42に記憶する。記録部42に記録された受け渡し情報は、受け渡し行為が不審なものであるかを再検証する際に用いられたり、犯罪行為が発生した際の証拠情報として用いられたりする。
また、画像監視システム1は、検出された受け渡し行為ごとに、監視員が監視対象として注目すべき度合いを表す監視重要度を算出する。監視重要度は、上述した受け渡し情報の一つとして扱われる。そして、画像監視システム1は、監視センタの監視員が、監視重要度の高い受け渡し行為を優先的に確認することができるように、監視重要度に応じて、表示部41への表示方法を変更したり、受け渡し情報の出力の有無を制御したりする。これにより、イベント会場などのように不特定多数の人物が存在し、多数の受け渡し行為が発生する場所を監視する場合であっても、監視センタの監視員は、不審度の高い受け渡し行為と、不審度の低い受け渡し行為を容易に区別しながら、効率的に受け渡し行為を監視することができる。
次に、本実施形態の画像監視システム1を構成する、撮像装置2、画像監視装置3および監視センタ装置4について詳細に説明する。
撮像装置2は、CCD素子又はC−MOS素子などの撮像素子、光学系部品、アナログ/デジタル変換器などを含んで構成される監視カメラである。撮像装置2は、監視場所の所定の監視領域を所定時間間隔で順次撮影し、撮影したデジタル画像を画像監視装置3に入力する。本実施の形態では、撮像装置2は、監視領域を5fpsで撮影し、可視のカラー画像を生成する。ここで、撮像装置2は、撮影時に現在時刻を取得し、撮影した画像に撮影時刻を示す情報を付加する。また、本実施の形態では、イベント会場およびイベント会場の周辺という広範囲の監視場所を撮影する必要があるため、撮像装置2は、監視場所の各所に複数台設置される。このため、撮像装置2は、それぞれを識別するためのカメラIDで管理され、撮像装置2で撮影された画像には、カメラIDも付加される。また、撮像装置2は、監視領域に存在する人物および当該人物の所持物品の画像特徴を撮影するのに適した設置位置、撮影方向、設置高、俯角で設置される。撮像装置2の設置高や俯角などの情報は、記憶部32に記憶される。
なお、本実施の形態では、複数台の撮像装置2を使用するが、これに限らず、1台の撮像装置2で画像監視システム1を実現してもよい。また、撮像装置2は、監視場所内に固定設置されるものに限らず、撮影機能を有した飛行船やロボットなどの移動式の撮像装置を用いて、監視領域を撮影するようにしてもよい。
次に、図2を参照して、画像監視装置3について詳細に説明する。図2は、本実施の形態における画像監視装置3の機能ブロック図である。図2に示すとおり、画像監視装置3は、画像入力部31、記憶部32、画像処理部33で構成されている。
画像入力部31は、撮像装置2が撮影した画像を順次取得し、当該画像を記憶部32および画像処理部33に順次出力するインターフェースである。以下、画像入力部31が取得した画像を入力画像と称する。なお、画像入力部31は、撮影装置2から取得した入力画像を画像処理部33に直接出力するのではなく、画像処理部33の処理タイミングに合わせて記憶部32から入力画像を読み出して、画像処理部33に出力するようにしてもよい。
記憶部32は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などの半導体メモリ、ハードディスクなどのメモリ装置などで構成される。記憶部32は、画像入力部31、画像処理部33などからアクセス可能である。記憶部32が記憶する主な情報は、物品情報321、エリア情報322、監視基準情報323である。また、図示しないが、記憶部32は、画像入力部31から入力した入力画像を記憶する。これらの情報以外にも、記憶部32は、画像監視装置3の各処理を実行するのに必要なプログラムや各種データを記憶する。
ここで、記憶部32に記憶される物品情報321、エリア情報322、監視基準情報323について、詳細に説明する。
物品情報321は、入力画像中に存在する物品の種類を識別するために用いられる情報である。図3は、本実施の形態における物品情報321を示した図である。図3に示すとおり、本実施の形態では、検出対象とする物品の物品名、物品を識別する物品ID、物品の画像(以下、物品画像)を対応付けて、物品情報321として記憶する。ここで、「カバン」のように、様々な種類や形状が存在する物品については、一つの物品名に対して、複数枚の物品画像を対応付けるようにする。なお、本実施の形態では、物品情報321として物品画像を記憶するが、これに限るものではない。例えば、物品画像自体を記憶するのではなく、予め、物品画像から抽出した特徴量を記憶するようにしてもよい。また、その他にも、後述する所持物検出手段332の識別方法に合わせて、適宜、記憶する物品情報321を決めればよい。また、本実施の形態では、物品の種類を表す情報として、物品名と物品IDを記憶しているが、物品名と物品IDのどちらか一方を記憶するようにしてもよい。また、検出対象とする物品も、本実施の形態に限定されるものではなく、監視目的に合わせて、適宜、決めればよい。
エリア情報322は、受け渡し行為の発生場所の種類を識別するために用いられる情報である。本実施の形態では、予め、監視場所を複数のエリアに分割しておき、エリア情報322は、検出された受け渡し行為がどのエリアで発生したものであるかを判定するために用いられる。具体的には、本実施の形態では、各撮像装置2が撮影する監視領域を複数のブロックに分割した上で、当該ブロックごとにエリアを設定する。そして、エリア名、エリアを識別するエリアID、エリアに属するブロックの位置をカメラIDごとに対応付けて、エリア情報322として記憶する。また、本実施の形態では、発生場所の種類を表す情報として、エリア名とエリアIDを記憶しているが、エリア名とエリアIDのどちらか一方を記憶するようにしてもよい。
ここで、図4,図5,図6,図7,図8を参照して、本実施の形態におけるエリア情報322について、詳細に説明する。図4から図7は、本実施の形態における監視領域のブロックとエリアの設定例を示した図である。図4から図7に示すとおり、各撮像装置2が撮影する監視領域は、複数のブロックに分割されている。本実施の形態では、1つのブロックのサイズを実距離2.5m×2.5mとして、図のように監視領域を複数のブロックに分割する。1つの監視領域のサイズを実距離30m×30mとすると、監視領域は、X軸方向に12個のブロック、Y軸方向に12個のブロック、計144個のブロックに分割される。ここで、エリア情報322における各ブロックの位置と、各撮像装置2で監視領域を撮影した画像から求めた実空間でのXY座標と、を予め対応付けて、記憶部32に記憶しておく。なお、本実施の形態では、実空間でのXY座標は、画像上の床面をXY平面としたときの2次元座標とする。このように、エリア情報322における各ブロック位置と、実空間でのXY座標と、を対応付けて記憶しておくことにより、入力画像から検出した受け渡し行為の発生位置(実空間でのXY座標)が、エリア情報322のどのブロックに対応するのかを判定することが可能となる。なお、エリア情報322は、本実施の形態に限るものではない。例えば、本実施の形態では、撮像装置2によらずブロックの分割数を同じにしているが、撮像装置2ごとにブロックの分割数を変えるようにしてもよい。また、本実施の形態では、監視領域におけるブロックやエリアを2次元情報で設定しているが、3次元情報で設定するようにしてもよい。
図4は、カメラID「100」が付与された撮像装置2のエリア設定例を示した図である。図4に示すとおり、無地のブロックはエリアID「001」、左斜線のブロックはエリアID「002」、網掛けのブロックはエリアID「003」に設定されている。また、図5は、カメラID「200」が付与された撮像装置2のエリア設定例を示した図である。図5に示すとおり、カメラID「200」が付与された撮像装置2の監視領域は、全てエリアID「001」に設定されていることがわかる。また、図6は、カメラID「300」が付与された撮像装置2のエリア設定例を示した図である。図6に示すとおり、右斜線のブロックはエリアID「004」に設定されており、カメラID「300」が付与された撮像装置2の監視領域は、全てエリアID「004」に設定されていることがわかる。また、図7は、カメラID「400」が付与された撮像装置2のエリア設定例を示した図である。図7に示すとおり、無地のブロックはエリアID「001」、右斜線のブロックはエリアID「004」に設定されている。
図8は、本実施の形態におけるエリア情報322を示した図である。図8に示すとおり、エリア情報322には、エリアID、エリア名、カメラIDごとのブロック位置が対応付けられている。本実施の形態では、受け渡し行為の発生場所として、イベント会場周辺の広場、来場者がイベント会場内に入場する際にセキュリティチェックを受けて通過する入場ゲート内、セキュリティチェックを受けていない来場者のイベント会場内への侵入を規制するためのフェンスなどで仕切られた広場と入場ゲートとの境界、イベント会場内、がそれぞれ異なるエリアに設定されている。すなわち、カメラID「100」が付与された撮像装置2は広場と入場ゲート内を監視領域として撮像しており、カメラID「200」が付与された撮像装置2は広場のみを監視領域として撮像しており、カメラID「300」が付与された撮像装置2はイベント会場内のみを監視領域として撮像しており、カメラID「400」が付与された撮像装置2はイベント会場内と広場を監視領域として撮像していることがわかる。なお、エリアとして設定する場所の種類は、本実施の形態に限定されるものではなく、監視目的に合わせて、適宜、決めればよい。
また、図8に示すとおり、エリア情報322には、エリアごとに当該エリアの重要性が設定されている。具体的には、本実施の形態では、警備をする際の重要性に応じて、通常エリアと重要エリアの2種類に区別されている。例えば、本実施の形態では、広場、入場ゲート内、入場ゲート境界が「通常エリア」として設定され、イベント会場内が重要エリアとして設定されている。
監視基準情報323は、受け渡し行為の監視重要度を算出するために用いられる情報である。監視重要度は、上述したとおり、監視員が監視対象として注目すべき度合いを表した指標である。本実施の形態では、受け渡された物品および受け渡し行為の発生場所に基づいて、受け渡し行為の監視重要度を求める。このため、本実施の形態では、予め、物品の種類とエリアの組合せに応じた監視重要度の値を設定し、監視基準情報323として記憶する。
図9は、本実施の形態における監視基準情報323を示した図である。図9に示すとおり、監視基準情報323には、監視基準ごとに、物品ID、物品名、エリアID、エリア名、監視重要度が対応付けられている。ここで、監視重要度は、値が高くなるほど、監視員が監視対象としての注目すべき度合いが高いことを表している。なお、物品の種類と発生場所の種類の組合せは、本実施の形態に限定されるものではなく、監視目的に合わせて、適宜、決めればよい。また、本実施の形態では、監視重要度を数値で表したが、「高」、「中」、「低」のようなカテゴリで表してもよい。
次に、図2に戻り、画像監視装置3の画像処理部33について、詳細に説明する。
画像処理部33は、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、MCU(Micro Control Unit)などの演算装置により構成され、記憶部32に記憶されている各種プログラムを読み出して実行する。また、画像処理部33は、画像入力部31から入力画像を受け取り、順次処理する。ここで、画像処理部33は、入力画像に付加されているカメラIDおよび撮影時刻を参照し、撮像装置2ごとに撮影された順に画像を処理する。
本実施の形態における画像処理部33は、人物検出手段331、所持物検出手段332、受け渡し検出手段333、監視重要度算出手段334、出力制御手段335から構成されている。以下、画像処理部33を構成する各手段について、説明する。
人物検出手段331は、入力画像から監視領域内に存在する人物を検出し、当該人物の画像(以下、人物像)を抽出する。本実施の形態では、人物検出手段331は、入力画像に背景差分処理を施して、人物領域を検出し、入力画像から当該人物領域内の画像を切り出して人物像を抽出する。このため、図示はしないが、各撮像装置2ごとに人物が映っていない状態で監視領域を撮影した背景画像を用意し、記憶部32に記憶しておく。監視領域に存在する人物が物品を所持している場合、入力画像上では人物と所持物品が一体化して映る。このため、人物検出手段331にて抽出される人物像は、所持物品の像を含んだ画像として抽出される。なお、本実施の形態では、背景差分処理によって人物像を抽出したが、人物像の抽出方法はこれに限るものではなく、種々な既存方法を採用してもよい。例えば、人物の画像を学習した学習識別器によって、入力画像から人物像を抽出してもよい。また、人物の形状や輝度の特徴を人物テンプレートとして予め記憶部32に記憶しておき、当該人物テンプレートとのマッチング処理によって入力画像から人物像を抽出してもよい。
また、本実施の形態における人物検出手段331は、監視領域に存在する人物を追跡する。具体的には、人物検出手段331は、今回処理した入力画像中の人物像に対して、前回処理した入力画像中の人物像のうち同一人物によるものと判断できる人物像を対応付ける。すなわち、人物検出手段331は、異なる時刻に撮影された入力画像について、同一人物による人物像どうしを対応付けることで、人物の追跡を実現する。ここで、人物像の対応付けには、人物像の位置、色、大きさ、形状、テクスチャなどを用いればよい。なお、人物検出手段331は、同一の撮像装置2で撮影した画像間だけではなく、カメラIDが異なる撮像装置2で撮影された画像間についても人物像の対応付けを行うようにしてもよい。すなわち、人物検出手段331は、ある撮像装置2の監視領域から外れた人物が、当該撮像装置2の監視領域と隣り合う他の撮像装置2の監視領域に移動した場合にも人物の追跡を続けるようにする。このような追跡を実現するためには、予め、各撮像装置2が撮影する監視領域どうしの隣接関係をカメラIDと対応付けて記憶部32に記憶しておき、人物検出手段331は、この情報を参照して、人物像の対応付けを行えばよい。
また、人物検出手段331は、前回処理した入力画像中の人物像と対応付けられない人物像が存在する場合に、当該人物像を新たに監視場所に出現した人物の人物像として追跡を開始する。また、人物検出手段331は、前回までに追跡されていた人物像について、今回の入力画像中に対応付けられる人物像が存在しない場合に、当該人物像の人物が監視場所から退出したと判断し、当該人物に対する追跡を終了する。
また、人物検出手段331は、監視領域における人物の位置を求める。本実施の形態では、人物検出手段331は、人物像の入力画像上の位置(画素位置)、人物像の大きさ、撮像装置2の設置高や俯角などの情報に基づいて、人物像の足元座標を求める。本実施の形態では、当該足元座標を監視領域における人物の位置とする。ここで、足元座標は、実空間でのXY座標として求められる。
人物検出手段331は、追跡されている人物(以下、追跡人物)ごとに人物IDを付与する。そして、人物検出手段331は、追跡人物毎に、人物ID、当該追跡人物の時系列の人物像、当該人物像の撮影時刻、当該人物の時系列の位置、をそれぞれ対応付けて記憶部32に記憶する。以下、当該情報を、追跡人物情報と称する。
なお、人物検出手段331による人物の追跡方法および人物の位置の算出方法は、本実施の形態に限るものではなく、既存の追跡技術や位置算出技術を採用すればよい。また、本実施の形態では、人物の位置として足元座標を実空間でのXY座標で求めたが、これに限るものではなく、監視場所における人物の位置を特定できるものを、適宜、採用すればよい。
次に、所持物検出手段332について、説明する。所持物検出手段332は、人物が所持する物品を検出し、当該物品の種類を識別する。本実施の形態では、所持物検出手段332は、人物検出手段331で抽出された人物像中に所持物品の像が含まれているか否かを判定する。そして、所持物品の像が含まれている場合には、当該所持物品の種類を識別する。具体的には、所持物検出手段332は、記憶部32に記憶された物品情報321を参照し、当該物品情報321の物品画像と人物像を照合する。そして、当該物品画像と特徴が類似する領域が人物像中に検出された場合に、当該人物像の人物が物品を所持していると判定する。以下、物品画像と特徴が類似する領域を所持物領域と称する。所持物検出手段332は、物品情報321を参照し、所持物領域ごとに最も特徴が類似する物品画像の物品IDと物品名を読み出すことで、当該人物が所持する物品の種類を識別する。
なお、所持物領域を検出するための特徴量としては、輝度、色ヒストグラム、HOG(Histograms of Oriented Gradients)特徴量、LBP(Local Binary Patterns)特徴量などの既存の特徴量を採用すればよい。
所持物検出手段332は、物品を所持していると判定された人物の追跡人物情報に、当該人物が所持する物品の物品IDと物品名を記憶する。なお、人物が複数の物品を所持している場合は、当該人物の人物像内に複数の所持物領域が検出される。この場合、所持物検出手段332は、所持物領域ごとに物品IDと物品名を識別して追跡人物情報に記憶する。このとき、人物が同一種類の物品を複数所持していることも考えられるため、本実施の形態では、追跡人物の所持物品ごとに所持物IDを付与する。例えば、人物がカバンを2つ所持している場合、当該人物の人物像からは、所持物領域が2つ検出され、それぞれの所持物領域に対して同一の物品ID「1」と物品名「カバン」が識別される。しかし、所持物品ごとに付与される所持物IDによって、2つのカバンを区別することが可能となる。なお、所持物IDは、人物から新たな所持物品の所持物領域が検出されたタイミングで、検出された順に「1」、「2」のように付与される。そして、以降は、所持物領域内の所持物品が同一である場合に、付与済みの所持物IDを引き継ぐようにする。
また、所持物検出手段332は、人物に対して所持物品の出現と所持物品の消失を判定する。具体的には、所持物検出手段332は、追跡人物の人物像から新たな所持物品が検出されると、当該追跡人物の人物像に対して、出現フラグを立てる。また、前回までに検出されていた所持物品が今回の人物像から検出されなかった場合、当該人物像に対して、消失フラグを立てる。ここで、所持物検出手段332は、前回に出現フラグが立った人物像内の所持物品と同じ所持物品が今回の人物像からも検出された場合、当該人物像に対しては出現フラグを立てない。なお、前回の所持物品と今回の所持物品が同じ物品であるか否かを判定する際は、物品IDが同一であるか否かを判定したり、それぞれの所持物領域内の画像特徴が類似するか否かを判定したりすればよい。
すなわち、所持物検出手段332は、記憶部32に記憶された追跡人物情報に所持物品に関する情報を付加する。具体的には、所持物検出手段332は、追跡人物情報に記憶されている時系列の人物像に対して、所持物IDごとの所持物領域、所持物IDごとの出現フラグの有無および消失フラグの有無を対応付けて記憶する。また、所持物検出手段332は、追跡人物情報に記憶されている人物IDに対して、所持物IDごとの物品IDと物品名を対応付けて記憶する。
なお、所持物検出手段332による所持物品の検出方法や物品の種類の識別方法は、本実施の形態に限るものではなく、様々な既存方法を採用してもよい。例えば、所持物検出手段332は、物品画像を学習した学習識別器によって物品の種類(物品名や物品ID)を識別してもよい。また、本実施の形態では、人物像全体から所持物領域を検出したが、これに限るものではない。例えば、所持物検出手段332は、過去の人物像と現在の人物像を比較し、人物像内において色やテクスチャに変化のある領域の中から、所持物領域を検出してもよい。また、本実施の形態のように人物像中から所持物領域を検出するのではなく、入力画像全体から所持物領域を検出するとともに、当該所持物領域の位置を求め、当該所持物領域と最も近い位置に存在する人物の人物像に対して、所持物領域を対応付けるようにしてもよい。
次に、受け渡し検出手段333について、説明する。受け渡し検出手段333は、監視領域内で行われた受け渡し行為を検出する。本実施の形態では、受け渡し検出手段333は、所定時間内において、ある追跡人物から新たな所持物品が出現し、当該人物の付近に存在する他の人物から所持物品が消失し、当該出現した所持物品と消失した所持物品が同一の物品である場合に、これらの人物間で所持物品の受け渡しが行われたと判定する。具体的には、受け渡し検出手段333は、追跡人物の追跡人物情報を参照し、人物IDが異なる追跡人物どうしについて、出現フラグが立っている人物と消失フラグが立っている人物のペアを設定する。本実施の形態では、今回の処理で出現フラグが立った人物と、過去所定時間内に消失フラグが立った人物のペアを設定する。ここで、過去所定時間内に消失フラグが立った人物をペアの対象としているのは、直接手渡しで受け渡しを行った場合だけでなく、受け渡す側の人物が一度地面に置いた所持物品を受け渡される側の人物が拾うことで受け渡しを行った場合、受け渡す側の人物が受け渡される側の人物に所持物品を投げ渡した場合も、受け渡し行為として検出できるようにするためである。このため、所定時間は、これらの受け渡し方法を考慮して、受け渡す側の人物から受け渡される側の人物に所持物品が移動するまでの時間に設定されることが好ましい。なお、本実施の形態では、所持物品が出現した人物と過去所定時間内に所持物品が消失した人物をペアとして設定したが、これに限らない。例えば、所持物品が消失した人物と、当該人物が所持物品を消失した時点から所定時間が経過するまでの間に所持物品が出現した人物のペアを設定するようにしてもよい。
受け渡し検出手段333は、設定したそれぞれのペアごとに、出現した所持物品と消失した所持物品が同じ物品であるか否かを判定する。ここで、同じ物品であるか否かを判定する際は、出現フラグが立っている所持物IDに対応付けられた物品名や物品IDと、消失フラグが立っている所持物IDに対応付けられた物品名や物品IDが同一であるか否かを判定したり、出現フラグが立っている時点の所持物領域内の画像特徴と、消失フラグが立っている所持物IDが付与されている、当該消失するよりも前の時点の所持物領域内の画像特徴が類似するか否かを判定したりすればよい。なお、設定したペアにおいて、1人の追跡人物に消失フラグが立っている所持物IDが複数ある場合は、それぞれの所持物IDの所持物領域について物品の同一性を判定すればよい。また、設定したペアにおいて、1人の追跡人物に出現フラグが立っている所持物IDが複数ある場合も、それぞれの所持物IDの所持物領域について物品の同一性を判定すればよい。
また、受け渡し検出手段333は、設定したそれぞれのペアごとに、追跡人物間の距離を求める。本実施の形態では、追跡人物間の距離は、追跡人物情報として記憶されている人物の時系列の位置を参照し、出現フラグが立っている時点の人物の位置と、消失フラグが立っている時点の人物の位置に基づいて求める。なお、設定したペアにおいて、1人の追跡人物に消失フラグが立っている所持物IDが複数ある場合は、所持物品が同じであると判定された所持物IDの消失フラグが立っている時点の人物の位置を用いて人物間の距離を求めるようにすればよい。また、設定したペアにおいて、1人の追跡人物に出現フラグが立っている所持物IDが複数ある場合は、所持物品が同じであると判定された所持物IDの出現フラグが立っている時点の人物の位置を用いて人物間の距離を求めるようにすればよい。
受け渡し検出手段333は、設定したペアの中から、所持物品が同一、かつ人物間の距離が所定距離以内のペアを抽出し、これらのペアを「受け渡しペア」とする。すなわち、受け渡し検出手段333は、今回の処理において、受け渡しペアが抽出された場合に、監視領域内に受け渡し行為が発生したと判定する。ここで、所定距離は、直接手渡しで受け渡しを行う場合の人物間の距離だけでなく、受け渡す側の人物が受け渡される側の人物に所持物品を投げ渡す場合の人物間の距離も考慮した値に設定されることが好ましい。
また、受け渡し検出手段333は、受け渡された物品の種類および受け渡し行為の発生位置を求める。本実施の形態では、受け渡し検出手段333は、受け渡しペアについて、出現した所持物品と消失した所持物品が同じ物品であると判定された所持物品領域に対応付けられている所持物IDの物品名および物品IDを受け渡された物品の種類として判定する。また、受け渡し検出手段333は、受け渡しペアについて、人物間の距離が所定距離以内であると判定された「出現フラグが立っている時点の人物の位置」と「消失フラグが立っている時点の人物の位置」について、中点を判定する。そして、受け渡し検出手段333は、当該中点の実空間でのXY座標を求め、受け渡し行為の発生位置とする。なお、本実施の形態では、人物の位置間の中点を受け渡し行為の発生位置としたが、これに限るものではなく、監視目的に合わせて、適宜、最適なものを受け渡し行為の発生位置として採用すればよい。例えば、受け渡しペアのうちどちらか一方の人物の位置を受け渡し行為の発生位置としてもよい。また、所持物領域の位置を求めて、当該所持物領域の位置を受け渡し行為の発生位置としてもよい。この場合、人物の位置と同様に、所持物領域の位置を実空間でのXY座標で求めるようにして、監視場所における所持物品の位置を特定できるようにすればよい。
ここで、図10を参照して、本実施の形態における受け渡し行為の検出処理について説明する。図10は、本実施形態における受け渡し行為の検出例を模式的に示した図である。図10は、説明を簡略化するために入力画像の一部を拡大して示したものであり、(a),(b),(c)の順で時系列になっている。
まず、図10(a)には、人物5、人物6の2名の人物が映っている。人物5はカバン7を所持しており、人物6は現時点では物品を所持していない。すなわち、人物5の人物像は、人物5とカバン7が一体化した像として検出される。なお、図に示した黒丸51および黒丸61は、それぞれ人物5と人物6の足元位置を示している。所持物検出手段332にて、人物5の人物像、人物6の人物像について、所持物領域の検出処理が行われると、人物6の人物像からは所持物領域は検出されないが、人物5の人物像からはカバン7が所持物領域として検出される。このとき、人物5の追跡人物情報には、人物5の人物ID、人物5の人物像、当該人物像の撮影時刻、黒丸51で示した人物の位置、カバン7の所持物領域、当該カバン7の所持物領域に対して付与された所持物ID、当該所持物IDに対応付けた物品IDと物品名、そして、人物5の人物像に対応付けた出現フラグが記憶される。また、人物6の追跡人物情報には、人物6の人物ID、人物6の人物像、当該人物像の撮影時刻、黒丸61で示した人物位置が記憶される。
図10(b)には、人物5が人物6にカバン7を手渡している様子が映っている。この時点においても、人物5の人物像は、人物5とカバン7が一体化した像として検出される。なお、黒丸51および黒丸61は、この時点における人物5と人物6の足元位置を示している。所持物検出手段332にて、人物5の人物像、人物6の人物像について、所持物領域の検出処理が行われると、人物6の人物像からは所持物領域は検出されないが、人物5の人物像からは、再びカバン7が所持物領域として検出される。ここで、所持物検出手段332にて、今回検出された所持物領域の物品IDや所持物領域内の画像特徴が、図10(a)の時点の人物5の所持物領域の物品IDや画像特徴と比較され、同一の物品であることが判定される。これにより、人物5の追跡人物情報には、人物5の人物IDに対応付けて、図10(b)の時点における、人物5の人物像、当該人物像の撮影時刻、黒丸51で示した人物の位置、カバン7の所持物領域が図10(a)の時点と同じ所持物IDに対応付けられて記憶される。また、人物6の追跡人物情報には、人物6の人物IDに対応付けて、図10(b)の時点における、人物6の人物像、当該人物像の撮影時刻、黒丸61で示した人物の位置が対応付けられて記憶される。
図10(c)には、人物5から人物6にカバン7が受け渡された様子が映っている。すなわち、この時点においては、人物6の人物像は、人物6とカバン7が一体化した像として検出される。なお、黒丸51および黒丸61は、この時点における人物5と人物6の足元位置を示している。所持物検出手段332にて、人物5の人物像、人物6の人物像について、所持物領域の検出処理が行われると、人物5の人物像からは所持物領域は検出されないが、人物6の人物像からはカバン7が所持物領域として新たに検出される。これにより、人物5の追跡人物情報には、人物5の人物IDに対応付けて、図10(c)の時点における、人物5の人物像、当該人物像の撮影時刻、黒丸51で示した人物の位置が記憶される。さらに、人物5の人物像からは前回に検出されていた所持物品の所持物領域が検出されなくなったため、当該所持物品領域の所持物品IDに対する消失フラグが図10(c)の時点の人物像に対応付けられて記憶される。また、人物6の追跡人物情報には、人物6の人物IDに対応付けて、図10(c)の時点における、人物6の人物像と、当該人物像の撮影時刻、黒丸61で示した人物の位置、カバン7の所持物領域、当該カバン7の所持物領域に対して付与された所持物ID、当該所持物IDに対応付けた物品IDと物品名、そして、人物5の人物像に対応付けた出現フラグが記憶される。
そして、受け渡し検出手段333は、図10(c)の時点において、出現フラグが立った人物6と過去所定時間内において消失フラグが立った人物5をペアとして設定する。なお、説明を簡略化するために、図10(a)、図10(b)の時点のペア判定については説明を省略する。
受け渡し検出手段333にて、人物5と人物6の追跡人物情報などに基づいて、所持物品が同一のカバン7であること、10(c)の時点における人物5の位置(黒丸51)と人物6の位置(黒丸61)との距離が所定距離以内であることが判定されると、人物5と人物6が「受け渡しペア」として検出される。そして、所持物品の同一性を判定した所持物品領域に対応付けられている所持物IDの物品名および物品IDが受け渡された物品の種類となる。すなわち、人物5と人物6で受け渡された物体の種類は、「物品ID:1」、「カバン」となる。また、距離の算出に用いた図10(c)の時点における黒丸51と黒丸61の中点(二重丸8)が受け渡しの発生位置として判定される。
受け渡し検出手段333は、受け渡しペアごとに、受け渡された物品の種類と受け渡しの発生位置を対応付けて記憶部32に記憶する。そして、受け渡し検出手段333は、後述する監視重要度算出手段334にこれらの情報を出力する。
なお、本実施の形態では、受け渡し検出手段333は、追跡処理による所持物品の出現と消失に基づいて受け渡し行為を検出したが、これに限るものではない。例えば、画像解析によって、入力画像から所持物品を受け渡している最中の人物の画像特徴を検出し、受け渡し行為を検出してもよい。具体的には、追跡処理を用いずに、人物検出手段331にて入力画像内の人物を検出し、所持物検出手段332にて入力画像内の物品を検出する。そして、受け渡し検出手段333は、図10(b)や図10(c)のように、二人の人物が物品を挟むように位置している場合に受け渡し行為と判定するようにしてもよい。また、図10(b)に示すような、所持物品と当該所持物品を受け渡す側の人物と当該所持物品を受け渡される側の人物からなる形状のパターンを予め、記憶しておき、受け渡し検出手段333は、入力画像中から当該パターンに一致する領域が検出された場合に、受け渡し行為と判定するようにしてもよい。以上の例において、受け渡し検出手段333は、複数の人物と物品の位置関係から受け渡し行為を検出したが別の方法によっても受け渡し行為を検出することができる。すなわち、受け渡し検出手段333は、予め、人物間の受け渡し行為が映っている画像を学習した学習識別器を用いて、受け渡し行為を検出するようにしてもよい。また、既存の姿勢推定技術を用いて、入力画像中の人物の姿勢を推定し、受け渡し検出手段333は、物体を渡している姿勢や物体を受け取っている姿勢の人物が検出された場合に受け渡し行為と判定するようにしてもよい。なお、これらの検出方法の場合、受け渡し行為を検出した後に、入力画像から所持物検出手段322にて物品の位置や物品の種類を判定すればよい。また、受け渡しの発生位置についても、適宜、適したものを採用すればよい。例えば、上述した方法によって、受け渡し行為の発生位置を求めてもよいし、形状等のパターンが一致した領域の重心位置や学習識別器による検出位置などを受け渡し行為の発生位置としてもよい。
次に、監視重要度算出手段334について、説明する。監視重要度算出手段334は、受け渡し行為の監視重要度を算出する。本実施の形態では、監視重要度算出手段334は、受け渡し検出手段333にて検出された「受け渡しペア」ごとに、当該受け渡し行為で受け渡された物品の種類と受け渡しの発生位置に基づいて、監視重要度を算出する。具体的には、監視重要度算出手段334は、まず、受け渡し行為の発生位置が監視領域のどのブロックに対応するかを判定する。ここで、ブロックの判定は、記憶部32に記憶しておいた、撮像装置2ごとの監視領域の実空間でのXY座標とブロック位置との対応関係に基づいて判定すればよい。そして、監視重要度算出手段334は、エリア情報322を参照し、受け渡し行為の発生位置のブロックがどのエリアに属するかを判定する。その後、監視重要度算出手段334は、記憶部32に記憶された監視基準情報323を参照して、受け渡し行為検出手段333にて判定された物品の種類とエリア(発生場所の種類)の組合せに対応する監視重要度を読み出す。そして、読み出した監視重要度を当該受け渡し行為の監視重要度として算出する。なお、本実施の形態では、監視基準情報323に対応する物品の種類と発生場所の種類の組合せがない場合、監視重要度を0に設定する。
監視重要度算出手段334は、受け渡された物品の種類、受け渡し行為の発生位置、受け渡しの発生場所の種類、監視重要度を、受け渡しペアごとに対応付けて記憶部32に記憶する。
図11を参照して、本実施の形態における監視重要度の算出処理について説明する。図11は、本実施の形態における、カメラID「100」の撮像装置2が撮影する監視領域の様子を示したものである。当該撮像装置2は、イベント会場の周辺を撮影しており、監視領域は、図中の点線で示された領域となる。当該監視領域内には、イベント会場周辺の広場および当該広場に併設された入場ゲートが含まれており、イベント会場を訪れた来場者が多数存在している。イベント会場を訪れた来場者は、広場を通り、フェンス9で仕切られた入場ゲートに向かう。フェンス9には、入場ゲートの入口10が2ヶ所設けられており、当該入口10では、イベントの運営スタッフ11によって来場者のセキュリティチェックが行われる。セキュリティチェックでは、来場者に対して入場チケットの確認や手荷物の検査などが行われる。セキュリティチェックに合格した来場者は、入場ゲート内を通過して、イベント会場内に向かう。
カメラID「100」の撮像装置2が撮影する監視領域は、図4に示したブロックやエリアに対応しており、図11では、監視領域に設定されているエリアが点線で区切られて示されている。なお、図11に示すとおり、当該監視領域に設定されているエリアは、イベント会場周辺の広場であるエリアID「001」のエリア、入場ゲート内であるエリアID「002」のエリア、そして、フェンス9を囲うように設定された広場と入場ゲートの境界部分であるエリアID「003」のエリアから構成されている。
図11に示した監視領域内には、多数の来場者およびイベントの運営スタッフ11が存在しているが、これらの人物達の中には、受け渡し行為を行っている人物が多数見うけられる。当該監視領域を撮影した入力画像に対して、受け渡し検出手段334による受け渡し検出処理が行われると、図11に示すとおり、A〜Jの10通りの受け渡し行為が検出される。
監視重要度算出手段334にて、図9に示した監視基準情報323が参照され、A〜Jの受け渡し行為について監視重要度が算出されると、結果は以下のようになる。まず、受け渡し行為Aは、広場でカバンを受け渡しているため、監視重要度は7になる。また、受け渡し行為Bは、広場でチラシを受け渡している。これは、監視基準情報323に登録されていない組合せであるため監視重要度は0になる。また、受け渡し行為Cは、広場でカメラを受け渡している。これは、監視基準情報323に登録されていない組合せであるため監視重要度は0になる。また、受け渡し行為Dは、広場でペットボトルを受け渡している。これは、監視基準情報323に登録されていない組合せであるため監視重要度は0になる。また、受け渡し行為Eは、入場ゲートの境界でチラシを受け渡している。これは、監視基準情報323に登録されていない組合せであるため監視重要度は0になる。また、受け渡し行為Fは、入場ゲート内でチケットを受け渡している。これは、監視基準情報323に登録されていない組合せであるため監視重要度は0になる。また、受け渡し行為Gは、入場ゲートの境界でチケットを受け渡ししているため、監視重要度は9になる。また、受け渡し行為Hは、入場ゲート内でカメラを受け渡ししているため、監視重要度は5になる。また、受け渡し行為Iは、入場ゲート内でカバンを受け渡している。これは、監視基準情報323に登録されていない組合せであるため監視重要度は0になる。また、受け渡し行為Jは、入場ゲートの境界でペットボトルを受け渡ししているため、監視重要度は10になる。すなわち、図11に示した監視領域においては、受け渡し行為J、受け渡し行為G、受け渡し行為A、受け渡し行為Hの順で監視重要度が高くなる。
受け渡し行為Jは、入場ゲートの外側にいる人物がフェンス9越しに入場ゲートの内側にいる人物にペットボトルを受け渡している。すなわち、これは、セキュリティチェックを通過せずに入場ゲート内にペットボトルを持ち込む行為である。したがって、受け渡し行為Jは、ペットボトル内の液体が危険物である可能性があるため、監視員が監視対象として注目すべき度合いが高い。一方、受け渡し行為Dもペットボトルの受け渡しである。しかし、広場では、来場客が店舗などで購入したペットボトルを同伴者に受け渡すことが通常に行われるものであり、仮にそれが危険物であったとしても、イベント会場内に持ち込むためには、入場ゲートの入口でセキュリティチェックに合格する必要がある。このため、受け渡し行為Dの注目すべき度合いは、現時点では低くなる。
受け渡し行為Gは、入場ゲートの内側にいる人物がフェンス9越しに入場ゲートの外側にいる人物に入場チケットを受け渡している。これは、セキュリティチェックにてチケットが確認されて入場ゲート内に入った人物が、自分の入場チケットを入場ゲートの外側にいる入場チケットを持っていない人物に渡す行為である。すなわち、入場チケットを持っていなかった人物が再入場という名目でセキュリティチェックを通りぬけてイベント会場内に侵入しようする可能性がある。したがって、このような不審行動は、監視員が監視対象として注目すべき度合いが高い。一方、受け渡し行為Fも入場チケットの受け渡しである。しかし、入場ゲート内では、セキュリティチェックのために来場者とイベントの運営スタッフ11の間でチケットの受け渡しが通常に行われる。このため、受け渡し行為Fの注目すべき度合いは、低くなる。
受け渡し行為Aは、広場でカバンを受け渡す行為である。もちろん、来場者が同伴者に一時的に預かってもらうためにカバンを受け渡すこともある。しかし、前述したように、不審者間でカバンに入れた爆発物などの危険物を受け渡している可能性についても警戒する必要がある。カバンの中身が危険物である場合、イベント会場内に持ち込むためには入場ゲートでセキュリティチェックに合格する必要があるが、カバンの中身が爆発物であった場合、広場などで犯行が行われても大きな被害が発生することになる。このため、受け渡し行為Aについては、その受け渡し行為が不審なものであるかを注意深く確認する必要があるため、監視員が監視対象として注目すべき度合いを高くする。一方、受け渡し行為Iも、カバンを受け渡す行為であるが、セキュリティチェックを通過した後に入場ゲート内でカバンを受け渡しているため、カバンの中身に危険物が含まれている可能性は低い。このため、受け渡し行為Iの注目すべき度合いは、低くなる。
受け渡し行為Hは、入場ゲート内でカメラを受け渡す行為である。来場者がカメラを取り出し、第三者にカメラを受け渡す行為は、撮影をするための予備動作である可能性が高い。イベント会場内が撮影禁止とされている場合、セキュリティチェックにて、所持しているカメラを確認されることはあるが、カメラ自体は危険物ではなく、カメラをイベント会場内に持ち込んでも撮影をしなければ問題はない。このため、運営スタッフから撮影をしないよう注意を促されることはあっても、カメラ自体が没収されることは稀である。しかし、受け渡し行為Hは、入場ゲートを通過した後に、撮影をするための予備動作をとっている。したがって、その後、実際に撮影が行われる可能性が高い。このため、受け渡し行為Hについては、監視員が監視対象として注目すべき度合いを高くする。一方、受け渡しCもカメラを受け渡しているが、広場での撮影は禁止されていないため、受け渡し行為Cの注目すべき度合いは、低くなる。
受け渡し行為Bおよび受け渡し行為Eは、チラシを受け渡している。チラシやパンフレットなどを受け渡す行為は、イベント会場の周辺では通常に行われる。このため、受け渡し行為Bの注目すべき度合いは、低くなる。また、受け渡し行為Eは、入場ゲートの内側にいる人物から入場ゲートの外側にいる人物への受け渡し行為であるが、受け渡されている物品が危険性のないチラシであるため、受け渡し行為Eの注目すべき度合いは、低くなる。なお、図11には示していないが、チラシの受け渡し行為自体には危険性がなくても、チラシの配布を禁止している場所にて、チラシの受け渡しが行われた場合は、監視員が監視対象として注目すべき度合いを高くするようにしてもよい。
以上のように、監視員が監視対象として注目すべき度合いは、受け渡されている物品と受け渡し行為の発生場所の組合せに応じて変化するものであり、受け渡されている物品だけで決まるものではなく、受け渡し行為の発生場所だけで決まるものでもない。本実施の形態における画像監視システム1では、このように、受け渡されている物品と受け渡し行為の発生場所の組合せに応じて、監視重要度を求めることで、監視員が監視対象として注目すべき度合いを精度よく、かつ監視の目的に合わせて判断することが可能となる。
次に、出力制御手段335について説明する。出力制御手段335は、監視重要度算出手段334にて算出された監視重要度に応じて、外部への受け渡し情報の出力方法を制御する。本実施の形態では、出力制御手段335は、受け渡し検出手段333にて検出された受け渡し行為の受け渡し情報を、監視センタ装置4へ出力させ、受け渡し情報を監視センタ4の表示部41に表示させるとともに、記録部42に記憶させる。本実施の形態の出力制御手段335は、この表示部41への受け渡し情報の表示方法を監視重要度に応じて変えるよう制御するものである。具体的には、出力制御手段335は、表示部41に表示された映像を目視している監視員が、監視重要度の高い受け渡し行為を監視重要度の低い受け渡し行為よりも優先的に確認できるように表示の態様を変えるものである。なお、本実施の形態の受け渡し情報は、上述したとおり、受け渡しの様子が映っている画像、受け渡し行為の発生時刻、受け渡し行為の発生位置、受け渡し行為の発生場所の種類、受け渡された物品の種類、受け渡された物品の画像、監視重要度などである。また、本実施の形態では、受け渡し行為を行った人物達が映っている現在時刻の画像も受け渡し情報として扱う。なお、これらの受け渡し情報は、受け渡しペアについて記憶部32に記憶されている追跡人物情報、受け渡された物品の種類、受け渡しの発生位置、受け渡しの発生場所の種類などを参照して、記憶部32に記憶されている時系列の入力画像などの画像情報を用いて、適宜、生成される。
図12を参照して、本実施の形態における表示部41への表示態様について説明する。図12は、本実施形態における表示部41の表示例を示した図である。なお、図12では、図11に示した監視領域において検出された受け渡し行為の受け渡し情報を表示している。図12に示すとおり、表示部41には、受け渡し行為Jに関する様々な受け渡し情報が表示されている。まず、領域411には、受け渡しの様子が映っている画像が表示される。また、領域412には、受け渡し行為の発生時刻、受け渡し行為の発生場所の種類、受け渡された物品の種類、監視重要度が表示される。また、領域413には、受け渡された物品の画像が表示される。また、領域414と領域415には、受け渡し行為を行った人物達の現在時刻における画像が表示される。
また、図12の領域416には、受け渡し検出手段333にて検出された受け渡し行為ごとにサムネイル画像が一覧表示されている。監視員が、このサムネイル画像の一覧から、詳細を確認したい受け渡し行為のサムネイル画像を選択すると、表示部41には、当該選択された受け渡し行為に関する受け渡し情報が領域411、領域412、領域413、領域414、領域415に表示される。なお、図12では、受け渡し行為Jのサムネイル画像が選択されている。
本実施形態の出力制御手段335は、このサムネイル画像の表示順が監視重要度の高い順になるように表示部41に表示させるものである。例えば、図12の領域416には、上から、受け渡し行為J、受け渡し行為G、受け渡し行為A、受け渡し行為Hの順でサムネイル画像が表示されている。また、受け渡し行為Hのサムネイル画像の下には、監視重要度が0であった、受け渡し行為Bのサムネイル画像が表示されている。図12には図示していないが、受け渡し行為Bのサムネイル画像に続いて、受け渡し行為Bと同様に監視重要度が0となった受け渡し行為のサムネイル画像が続いている。これらの受け渡し行為のサムネイル画像は、監視員が矢印ボタン417を操作してサムネイル画像を上下にスクロールさせることで表示される。
図12に示すように、表示部41に、受け渡し行為のサムネイル画像の一覧が監視重要度の高い順に表示されることによって、監視員は、検出された多数の受け渡し行為の中から、監視重要度が高い受け渡し行為と監視重要度が低い受け渡し行為を容易に把握することができる。また、監視重要度の高いものが常に一覧の上に表示されるため、監視重要度が高い受け渡し行為のサムネイル画像ほど監視員が選択しやすくなる。これにより、監視領域から多数の受け渡し行為が検出された場合であっても、監視員は、効率的に受け渡し行為を監視することができる。
なお、監視重要度に応じた表示態様は、これに限るものではない。以下、図13,図14を参照し、表示部41への別の表示態様について、説明する。
図13は、本実施形態における表示部41の別の表示例を示した図である。なお、図13も、図12と同様に図11に示した監視領域において検出された受け渡し行為の受け渡し情報を表示している。図13では、図11に示した監視領域の全体を映した画像が表示されており、検出された受け渡し行為がそれぞれ矩形枠で囲われて表示されている。このとき、出力制御手段335は、矩形枠の太さが監視重要度に応じて変わるように表示部41に表示させる。具体的には、図13に示すとおり、出力制御手段335は、受け渡し行為J、受け渡し行為G、受け渡し行為A、受け渡し行為Hの順で矩形枠の太さが太くなるように表示させる。また、出力制御手段335は、監視重要度に応じて、矩形枠の種類を変えるようにしてもよい。例えば、図13に示すとおり、出力制御手段335は、監視重要度が0であった、受け渡し行為B、受け渡し行為C、受け渡し行為D、受け渡し行為E、受け渡し行為F、受け渡し行為Iについて、実線ではなく点線で矩形枠を表示させている。また、出力制御手段335は、受け渡し行為Jの矩形枠のように監視重要度の値を表示させてもよい。また、出力制御手段335は、矩形枠の色や矩形枠の形状を変えるように表示させてもよい。
図13に示すように、監視領域の全体を映した画像上において、受け渡し行為の発生位置を矩形枠で示すことにより、監視員は、監視領域内で行われた受け渡し行為を容易に確認することができる。また、監視重要度が高い受け渡し行為を監視重要度が低い受け渡し行為よりも目立つように表示にすることによって、監視員は、検出された多数の受け渡し行為の中から、監視重要度が高い受け渡し行為と監視重要度が低い受け渡し行為を容易に把握することができる。これにより、監視領域から多数の受け渡し行為が検出された場合であっても、監視員は、効率的に受け渡し行為を監視することができる。
また、図14は、本実施の形態における表示部41の別の表示例を示した図である。なお、図14も、図12,図13と同様に図11に示した監視領域において検出された受け渡し行為の受け渡し情報を表示している。図14では、領域418に受け渡し行為Jの受け渡しの様子が映っている画像が表示される。また、領域419に受け渡し行為Gの受け渡しの様子が映っている画像が表示される。また、領域420に受け渡し行為Aの受け渡しの様子が映っている画像が表示される。また、領域421に受け渡し行為Hの受け渡しの様子が映っている画像が表示される。図12に示すとおり、本実施の形態の出力制御手段335は、監視重要度が高い受け渡し行為ほど受け渡し情報が最前面に表示されるようにする。図12には、監視領域にて検出された受け渡し行為について、受け渡しの様子が映っている画像が表示されているが、受け渡し行為J、受け渡し行為G、受け渡し行為A、受け渡し行為Hの順で重なって表示されている。すなわち、監視員は、検出された多数の受け渡し行為の中から、監視重要度が高い受け渡し行為を監視重要度が低い受け渡し行為よりも優先的に確認することができる。これにより、監視領域から多数の受け渡し行為が検出された場合であっても、監視員は、効率的に受け渡し行為を監視することができる。
以上、表示部41への様々な表示態様について説明したが、これらに限るものではなく、監視重要度に応じて、監視員が効率的に受け渡し行為を監視することができるように表示態様を変えるものであればよい。例えば、図示はしないが、監視場所の地図画像上に、検出された受け渡し行為の発生位置をそれぞれマッピングし、監視重要度が高いものほど目立つように表示するようにしてもよい。このとき、監視員がマッピングされた発生位置を選択すると、図12に示すように受け渡し情報を表示するようにしてもよい。また、地図画像上に、受け渡しを行った人物達の現時刻までの移動軌跡を表示するようにしてもよい。このとき、移動軌跡の表示態様を監視重要度に応じて変更するようにしてもよい。
また、出力制御手段335は、表示部41への表示態様を変えるものに限らない。例えば、検出された受け渡し行為のうち、監視重要度が所定以上(例えば、5以上)となったものだけを表示部41に表示するようにしてもよい。例えば、図14には、図11に示した監視領域において検出された受け渡し行為のうち、受け渡し行為J、受け渡し行為G、受け渡し行為A、受け渡し行為Hの4つの受け渡し情報のみが表示されている。なお、このような表示を実現するために、監視重要度が所定以上となった受け渡し行為の受け渡し情報のみを監視センタ4に出力するようにしてもよいし、検出された全ての受け渡し行為の受け渡し情報を監視センタ4に出力した上で、監視重要度が所定以上となった受け渡し行為の受け渡し情報のみを表示部41に出力するようにしてもよい。すなわち、本実施の形態における出力制御手段335は、監視重要度に応じて受け渡し情報の外部への出力の有無を制御するようにしてもよい。これにより、監視員は、検出された多数の受け渡し行為の中から、監視重要度が高い受け渡し行為を監視重要度が低い受け渡し行為よりも優先的に確認することができる。このため、監視領域から多数の受け渡し行為が検出された場合であっても、効率的に受け渡し行為を監視することができる。
また、出力制御手段335は、受け渡し情報として表示部41への通知表示を出力するようにしてもよい。例えば、監視重要度が所定以上(例えば、5以上)の受け渡し行為が発生した場合に、監視センタ4の表示部41に「監視重要度の高い受け渡し行為が発生した」旨の通知表示を出力するようにしてもよい。この場合、監視員は、表示部41に表示された通知表示を確認後、監視重要度が高い受け渡し行為について前述したような画像情報を参照し、詳細を確認する。なお、通知表示は、表示部41への画像表示に限らず、音声や警報音、警報用ランプの点灯などでもよい。すなわち、出力制御手段335は、監視重要度に応じて、外部への通知の有無を制御するようにしてもよい。また、通知表示の態様を監視重要度に応じて変更するようにしてもよい。これにより、監視員は、通知表示によって、監視場所に監視重要度が高い受け渡し行為が発生したことを容易に知ることができ、監視重要度が低い受け渡し行為よりも優先的に確認することができる。このため、監視領域から多数の受け渡し行為が検出された場合であっても、効率的に受け渡し行為を監視することができる。
また、本実施の形態では、出力制御手段335は、受け渡し情報を監視センタ装置4の記録部42に記憶させる。このとき、出力制御手段335は、監視重要度に応じて、記録部42へ出力の有無、すなわち、記録部42への記録の有無を制御するようにしてもよい。例えば、出力制御手段335は、監視重要度が所定以上(例えば、3以上)の受け渡し行為の受け渡し情報のみを記録部42に記録するようにしてもよい。また、出力制御手段335は、監視領域から検出された全ての受け渡し行為の受け渡し情報について記録部42に記録し、その中から監視重要度が所定以上(例えば、5以上)の受け渡し行為の受け渡し情報を表示部41に表示するようにしてもよいし、記録の有無を判定する監視重要度の閾値と、表示の有無を判定する監視重要度の閾値をそれぞれ異なる値に設定するようにしてもよい。例えば、監視重要度3以上の受け渡し情報を記録部42に記録し、さらに監視重要度5以上の受け渡し情報については表示部41への表示を行うようにしてもよい。これにより、監視員は、監視重要度が高い受け渡し行為を監視重要度が低い受け渡し行為よりも優先的に確認することができるとともに、監視重要度が低い受け渡し行為についても記録された受け渡し情報を後から確認することで不審なものであるか否かを再検証することができる。このため、監視領域から多数の受け渡し行為が検出された場合であっても、効率的に受け渡し行為を監視することができる。
このように、本実施の形態における出力制御手段335は、監視領域において検出された受け渡し行為について、監視重要度に応じた受け渡し情報の出力を行う。これにより、イベント会場などのように不特定多数の人物が存在し、多数の受け渡し行為が発生する場所を監視する場合であっても、監視センタの監視員は、不審度の高い受け渡し行為と、不審度の低い受け渡し行為を容易に区別しながら、効率的に受け渡し行為を監視することができる。
なお、本実施の形態では、出力制御手段335を画像監視装置3における画像処理部33の機能として説明したが、これに限るものではない。例えば、出力制御手段335を監視センタ装置4の機能として画像監視システム1を実現してもよい。この場合、出力制御手段335は、画像監視装置33から受け渡し情報を生成するために必要な情報を入力すればよい。また、表示部41に表示する受け渡し情報の各種画像情報などは、出力制御手段335で生成してから外部に出力するようにしてもよいし、出力制御手段335からの指示に基づいて、外部で生成するようにしてもよい。
次に、図1に戻り、画像監視システム1を構成する監視センタ装置4について説明する。
監視センタ装置4は、監視員が駐在する監視センタに設置される装置である。本実施の形態では、監視センタ装置4は、表示部41、記録部42を備える。なお、本実施の形態では、監視センタは、監視場所であるイベント会場に設けられており、監視員は、画像監視装置3から入力した受け渡し情報に基づいて、監視場所内に発生した受け渡し行為が不審なものであるか否かを詳細に確認し、現場の警備員などに対処指示を出すなどの適切な対応を行う。このために、監視センタ装置4は有線通信や無線通信などで画像監視装置3と接続されており、各種の情報を入出力する。
表示部41は、液晶ディスプレイなどの情報表示デバイスであり、前述した出力制御手段335からの信号に基づいて、受け渡し情報などを表示する。なお、表示部41は、スピーカなどを備えてもよいし、警報ランプなどの照明装置を備えるようにしてもよい。
記録部42は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などの半導体メモリ、ハードディスクなどのメモリ装置で構成され、前述した出力制御手段335からの信号に基づいて、受け渡し情報を記録する。なお、本実施の形態では、記録部42を監視センタ装置4に設けたが、画像監視装置3に設けるようにしてもよい。また、記録部42は、表示部41と離れた場所に設けるようにしてもよい。
なお、監視センタは、監視場所に設けるのではなく、監視場所から離れた遠隔地に設けるようにしてもよい。この場合、監視センタ装置4は、通信ネットワークなどを介して、現場の警備員などに必要な情報を送信し、受け渡し行為への対処指示を出力するようにすればよい。また、遠隔地に設けた監視センタと、監視場所内に設けた監視センタ、のように監視センタを複数箇所に設けるようにしてもよい。すなわち、複数個の表示部41や記録部42を用いて画像監視システム1を実現してもよい。
次に、図15を参照して、本実施の形態における画像監視装置3の処理について説明する。図15は、本実施の形態における画像監視処理のフローチャートである。
画像監視システム1を構成する各装置が起動され、その後、監視がスタートされると、画像監視装置3は、図15のフローチャートに示したステップS1からステップS9の処理を繰り返す。なお、背景画像などの情報は、監視がスタートされる前に生成され、記憶部32に記憶されるものとする。
まず、ステップS1では、画像入力部31にて、入力画像が記憶部32および画像処理部33に入力される。
ステップS2では、画像処理部33にて、受け渡し検出処理が行われる。本実施形態における受け渡し検出処理については、後述する。
ステップS3では、受け渡し検出手段333にて受け渡し行為が検出されたか否かによって処理が分岐する。なお、本実施の形態では、受け渡し検出手段333にて受け渡しペアが検出されたか否かで処理が分岐する。受け渡し検出手段333にて受け渡し行為が検出された場合、処理をステップS4に移行する。また、受け渡し検出手段333にて受け渡し行為が検出されなかった場合、処理をステップS1に戻して、次の入力画像が取得される。
ステップS4からステップS8は、受け渡し検出手段333にて検出された受け渡し行為ごとにステップS5からステップS7の処理が行われ、全ての受け渡し行為について処理が行われるまで、処理が繰り返される。すなわち、本実施の形態では、受け渡しペアごとに、ステップS5からステップS7の処理が行われ、全ての受け渡しペアについて処理が行われるまで、処理が繰り返される。
ステップS5では、受け渡し検出手段333にて検出された受け渡し行為について、受け渡された物品の種類を判定する処理が行われる。本実施の形態では、受け渡し検出手段333にて、処理対象になっている受け渡しペアの追跡人物情報が参照される。そして、受け渡し検出手段333にて、一方の人物から消失した後に他方の人物から出現した同一の所持物品の物品名および物品IDが受け渡された物品の種類として判定される。
ステップS6では、受け渡し検出手段333にて検出された受け渡し行為について、受け渡し行為の発生位置を判定する処理が行われる。本実施の形態では、受け渡し検出手段333にて、処理対象になっている受け渡しペアの追跡人物情報が参照される。そして、受け渡し検出手段333にて、当該追跡人物情報に記憶されている人物の位置のうち、所持物品が消失した時点の一方の人物の位置と、当該所持物品が出現した時点の他方の人物の位置の中点が受け渡し行為の発生位置として判定される。
ステップS7では、監視重要度算出手段334にて、記憶部32の監視基準情報323が参照され、受け渡された物品の種類と受け渡し行為の発生位置に基づいて、監視重要度が算出される。本実施の形態では、まず、監視重要度算出手段334にて、記憶部32のエリア情報322が参照され、受け渡し行為の発生位置に基づいて、受け渡し行為の発生エリアが判定される。そして、監視重要度算出手段334にて、監視基準情報323が参照され、受け渡された物品の種類と受け渡し行為の発生エリアに対応する監視重要度が求められる。
全ての受け渡し行為について、ステップS5からステップS7が行われると、処理をステップS9に移行する。ステップS9では、出力制御手段335にて、監視重要度算出手段334で求められた監視重要度に応じて、受け渡し情報の出力制御が行われる。出力制御手段335による出力制御が終了すると、処理をステップS1に戻して、次の入力画像が取得される。
次に、図16を参照して、本実施の形態における画像処理部33の受け渡し検出処理(図15のステップS2)について詳細に説明する。図16は、本実施の形態における受け渡し検出処理のフローチャートである。
本実施の形態における受け渡し検出処理(ステップS2)は、画像入力部31にて、入力画像が画像処理部33に入力されることでスタートする。
まず、ステップS201では、人物検出手段331にて、人物の検出処理と人物の追跡処理が行われる。本実施の形態では、人物検出手段331にて、入力画像から人物像の抽出処理が行われ、抽出された人物像について追跡処理が行われる。ここで、人物検出手段331にて、新たに検出された人物については、新たな人物IDが付与され、既に前回までに追跡が開始されている人物については、同じ人物IDが引き継がれる。その後、人物検出手段331にて、追跡人物の位置が求められる。そして、人物検出手段331にて、人物IDに対応付けて、今回抽出された人物像、当該人物像の撮影時刻、追跡人物の位置が追跡人物情報として記憶部32に記憶される。ここで、既に前回までに追跡が開始されている人物については、前回付与された人物IDに対応付けて、今回抽出された人物像、当該人物像の撮影時刻、追跡人物の位置が追跡人物情報に記憶部32に記憶される。
ステップS202では、人物検出手段331によって追跡処理が行われた人物(追跡人物)が存在したか否かによって処理が分岐する。追跡人物が存在した場合、処理をステップS203に移行する。また、追跡人物が存在しなかった場合、すなわち、人物像が抽出されなかった場合、もしくは、前回までに追跡されていた全ての追跡人物に対する追跡が終了した場合は、処理をステップS214に移行する。
ステップS203からステップS206は、追跡人物ごとにステップS204からステップS205の処理が行われ、全ての追跡人物について処理が行われるまで、処理が繰り返される。
ステップS204では、所持物検出手段332にて、追跡人物に対して所持物品の消失判定処理が行われる。本実施の形態では、所持物検出手段332にて、前回までに検出されていた所持物品が今回の人物像から検出されなかった場合に、当該人物像に対して、当該所持物品の所持物IDの消失フラグが立てられる。なお、所持物検出手段332による所持物品の検出や、前回と同一の所持物品であるか否かの判定は、記憶部32の物品情報321および追跡人物情報を参照して行われる。
ステップS205では、所持物検出手段332にて、追跡人物に対して所持物品の出現判定処理が行われる。本実施の形態では、所持物検出手段332にて、追跡人物の人物像に新たな所持物品が検出されると、当該所持物品の所持物領域に対して、所持物IDが付与されるとともに、人物像に対応付けて当該所持物領域が記憶部32の追跡人物情報に記憶される。その後、記憶部32の物品情報321が参照され、当該所持物IDに対応付けて、物品IDおよび物品名が追跡人物情報に記憶される。そして、所持物検出手段332は、当該人物像に対して当該所持物IDの出現フラグを立てる。また、今回の人物像から検出された所持物品が前回の人物像中の所持物品と同一の所持物品である場合、所持物検出手段332は、今回の人物像から検出された所持物領域に対して、前回付与された所持物IDを対応付けて追跡人物情報に記憶する。このとき、所持物検出手段332は、当該人物像に対して当該所持物IDの出現フラグを立てない。なお、所持物検出手段332による所持物品の検出や、前回と同一の所持物品か否かの判定は、記憶部32の物品情報321および追跡人物情報を参照して行われる。
全ての追跡人物について、ステップS204からステップS205が行われると、処理をステップS207に移行する。ステップS207では、今回の処理で所持物品が出現した人物と、過去所定時間以内に所持物品が消失した人物のペアが設定される。具体的には、追跡人物情報を参照され、今回の処理で出現フラグが立った追跡人物と、過去所定時間以内に消失フラグが立った追跡人物の組合せが作られる。
ステップS208からステップS215は、ステップS207で設定されたペアごとにステップS209からステップS213の処理が行われ、全てのペアについて処理が行われるまで、処理が繰り返される。
ステップS209では、受け渡し検出手段333にて、所持物品の同一性が判定される。具体的には、受け渡し検出手段333にて、それぞれの追跡人物情報が参照され、出現フラグが立っている所持物IDの物品名および物品IDと、消失フラグが立っている所持物IDの物品名および物品IDが同一であるか否かが判定される。また、このとき、所持物領域内の画像特徴が類似するか否かを判定してもよい。なお、設定されたペアにおいて、1人の追跡人物に消失フラグが立っている所持物IDが複数ある場合は、それぞれの所持物IDの所持物領域について物品の同一性が判定される。また、設定したペアにおいて、1人の追跡人物に出現フラグが立っている所持物IDが複数ある場合も、それぞれの所持物IDの所持物領域について物品の同一性が判定される。
ステップS210では、受け渡し検出手段333にて、人物間の距離が所定距離以内であるか否かが判定される。具体的には、受け渡し検出手段333にて、それぞれの追跡人物情報が参照され、出現フラグが立っている時点の人物の位置と、消失フラグが立っている時点の人物の位置との距離が算出される。そして、受け渡し検出手段333にて、算出した距離が所定距離以内であるか否かが判定される。このとき、設定されたペアにおいて、1人の追跡人物に消失フラグが立っている所持物IDが複数ある場合は、ステップS209で所持物品が同じであると判定された所持物IDの消失フラグが立っている時点の人物の位置を用いて人物間の距離を求める。また、設定されたペアにおいて、1人の追跡人物に出現フラグが立っている所持物IDが複数ある場合も、ステップS209で所持物品が同じであると判定された所持物IDの出現フラグが立っている時点の人物の位置を用いて人物間の距離を求める。
ステップS211では、ステップS209にて所持物品が同一であると判定され、かつ、ステップS210にて距離が所定距離以内であると判定された場合に、ステップS212にて処理対象であるペアが受け渡し行為を行った(受け渡しペア)と判定される。また、それ以外の場合は、ステップS213にて処理対象であるペアが受け渡し行為を行っていないと判定される。
全てのペアについて、ステップS209からステップS213が行われると、処理を図15に示すステップS3に移行する。また、ステップS202にて、追跡人物がなかった場合もステップS214にて受け渡し行為がなかったと判定され、処理を図15に示すステップS3に移行する。
本実施の形態によれば、監視場所で発生した受け渡し行為を自動的に検出するとともに、検出された受け渡し行為ごとに、受け渡された物品と受け渡し行為の発生場所に基づいて、監視員が監視対象として注目すべき度合いを表す監視重要度を求める。そして、求めた監視重要度に応じて、受け渡し行為の検出結果を出力する。これにより、イベント会場などのように不特定多数の人物が集まる場所において、監視員は、効率的に受け渡し行為を監視することができる。このため、受け渡し行為を契機として、監視場所に発生する様々な異常事態に早期に対処することが可能となる。
以下、本発明の画像監視システム1の別の実施形態について説明する。なお、上述した実施の形態と共通する処理については、説明を省略し、本実施の形態における特有の処理について説明する。
上述した実施形態の画像監視システム1では、受け渡された物品の種類と受け渡し行為の発生場所の種類に基づいて監視重要度を算出するものであったが、本実施の形態における画像監視システム1は、さらに別の情報を用いて、受け渡し行為の監視重要度を算出するものである。具体的には、本実施の形態では、受け渡し行為が発生した時刻、受け渡し行為の発生位置における受け渡し行為の発生頻度、受け渡し行為の発生位置周辺の混雑度、受け渡し行為の発生位置から重要エリアまでの距離、受け渡し行為の発生位置から所定の監視人物までの距離、これらの情報を用いて、受け渡し行為の監視重要度を算出する。
まず、受け渡し行為が発生した時刻に基づいて監視重要度を算出する実施形態について、説明する。本実施の形態では、監視基準情報323として、物品ID、物品名、エリアID、エリア名、時間帯情報、監視重要度が対応付けられて記憶部32に記憶される。そして、本実施の形態では、受け渡し検出手段333は、受け渡された物品の種類および受け渡し行為の発生位置に加えて、受け渡し行為の発生時刻を求める。具体的には、受け渡し検出手段333は、追跡人物情報を参照し、受け渡し行為の発生位置を求めた人物像のうち所持物品が出現した人物像の撮影時刻を受け渡し行為の発生時刻として求める。そして、監視重要度算出手段334は、記憶部32の監視基準情報323を参照して、受け渡された物品の種類、受け渡し行為の発生位置、受け渡し行為の発生時刻に対応する監視重要度を算出する。
ここで、監視基準情報323に記憶される時間帯情報は、例えば、イベント会場の開場時刻からイベントの開始時刻までの時間帯や、イベントの開始時刻からイベントの終了時刻までの時間帯、重要人物がイベント会場を訪れる時間帯などである。イベント会場の開場時刻からイベントの開始時刻までの時間帯は、入場ゲート付近が混雑する時間帯であり、混雑に紛れて入場ゲート境界で不審な受け渡し行為が行われる可能性がある。このため、入場ゲート境界において、ペットボトルを受け渡す行為、チケットを受け渡す行為、カバンを受け渡す行為などの監視重要度を、この時間帯外のときよりも高く設定する。また、イベントの開始時刻からイベントの終了時刻までの時間帯は、特に、イベント会場内の警戒を高める必要がある。このため、イベントの開始前やイベントの終了後の時間帯よりもイベント会場内で行われる受け渡し行為の監視重要度を高く設定する。例えば、イベント会場内でのカメラの受け渡し行為の監視重要度を高く設定したり、イベント会場内でのカバンの受け渡し行為の監視重要度を高く設定したりする。また、重要人物がイベント会場を訪れる時間帯においては、重要人物の移動経路に関連するエリアにおいて、警戒を高める必要がある。このため、予め、重要人物の移動経路に関連するエリアをエリア情報322に設定しておき、重要人物がイベント会場を訪れる時間帯において、当該エリアで行われた受け渡し行為の監視重要度を、それ以外の時間帯よりも高く設定しておく。
本実施の形態によれば、受け渡された物品の種類や受け渡し行為の発生場所の種類だけではなく、時間帯によって変化する監視領域の状況を考慮して監視重要度を求めることができる。
なお、時間帯情報は、時刻に限らず、日付や曜日などで設定してもよい。これによれば、イベントの開催日に行われた受け渡し行為の監視重要度を、イベントの開催日以外に行われた受け渡し行為の監視重要度よりも高く設定することができる。この場合、撮影時刻を示す情報として、撮影された時刻だけでなく、撮影された日付や撮影された曜日を入力画像に付加するようにし、追跡人物情報として人物像が撮影された時刻、撮影された日付や撮影された曜日を記憶すればよい。
また、本実施の形態では、時間帯情報を物品名やエリアと対応付けて監視基準情報323に記憶したが、これに限るものではない。例えば、受け渡し行為の発生時刻に応じて、所定の加算値を監視重要度に足すようにしてもよい。具体的には、予め、時間帯情報毎に所定の加算値を対応付けて記憶部32に記憶しておく。そして、監視重要度算出手段334は、受け渡された物品の種類と受け渡し行為の発生位置から監視重要度を算出し、その後、受け渡し行為の発生時刻に対応する加算値を記憶部32から読み出し、当該加算値を監視重要度に加算するようにすればよい。
なお、時間帯情報は、本実施の形態で例示したものに限らず、監視目的に応じて、適宜、決定すればよい。
次に、受け渡し行為の発生頻度に基づいて、監視重要度を算出する実施形態について、説明する。イベント会場などに設けられた手荷物預かり所や売店では、カバンなどの手荷物の受け渡しや、商品や金銭の受け渡しが通常に行われる。したがって、このような場所では、受け渡し行為の発生頻度が高くなる。また、チラシを配布している人物の周辺なども受け渡し行為の発生頻度が高くなる。すなわち、受け渡し行為の発生頻度が高い場所で、受け渡し行為が検出された場合、通常に行われる不審度の低い受け渡し行為である可能性が高い。一方、受け渡し行為の発生頻度が低い場所で、受け渡し行為が検出された場合、通常では受け渡しが行われない場所において受け渡し行為が行われたことを意味する。したがって、監視員は、当該受け渡し行為に対して警戒する必要がある。本実施の形態では、これを利用し、受け渡し行為の発生頻度に基づいて監視重要度を算出するものである。
本実施の形態では、画像監視装置3の画像処理部33は、頻度算出手段336(図示しない)を更に備える。頻度算出手段336は、監視領域における受け渡し行為の頻度を所定の領域ごとに算出し、記憶部32に頻度情報として記憶する。そして、監視重要度算出手段334は、記憶部32に記憶された監視基準情報323を参照し、受け渡された物品の種類と受け渡し行為の発生位置に基づいて、監視重要度を算出する。その後、監視重要度算出手段334は、記憶部32に記憶した頻度情報を参照して、受け渡し行為の発生位置における受け渡し行為の頻度を求める。監視重要度算出手段334は、頻度が第1の所定値以下である場合、受け渡された物品の種類と受け渡し行為の発生位置に基づいて算出された監視重要度に所定値(例えば、5)を加算する。また、監視重要度算出手段334は、頻度が第2の所定値以上である場合、受け渡された物品の種類と受け渡し行為の発生位置に基づいて算出された監視重要度に所定値(例えば、5)を減算する。
ここで、頻度算出手段336について、説明する。頻度算出手段336は、上述したとおり、監視領域における受け渡し行為の発生頻度を所定の領域毎に求めるものである。具体的には、予め、監視領域を所定の頻度算出領域に分割して、当該頻度算出領域の位置と監視領域のブロック位置を対応付けて記憶しておく。そして、頻度算出手段336は、受け渡し検出手段333にて検出された受け渡し行為の発生位置に基づいて、当該頻度算出領域内で発生した受け渡し行為の数をカウントする。本実施の形態では、頻度発生領域毎に、過去所定時間(例えば、1時間)内にカウントされた受け渡し行為の数を受け渡し行為の発生頻度とし、記憶部32に頻度情報として記憶する。なお、手荷物預かり所や売店などのように受け渡し行為の発生頻度が高くなる場所が固定されているものであれば、頻度をカウントする所定時間を1時間よりも長い時間に設定してもよい。しかし、チラシを配布している人物の周辺のように時間的に受け渡し行為の発生頻度が変わるものもあるため、このような時間的な発生頻度の変化を考慮して、本実施の形態では、所定時間を1時間に設定している。
図17を参照し、頻度算出領域について説明する。図17は、本実施の形態における監視領域のブロックと頻度算出領域の設定例を示した図である。なお、図17は、図5に示した監視領域に対応している。図17に示すとおり、監視領域は予め、所定サイズのブロックに分割されており、図5と同様に全てのブロックがエリアID「001」に設定されている。図17において、太線の矩形枠Kで示したのが、本実施の形態における1つ分の頻度算出領域である。頻度算出領域のサイズは、実距離10m×10mであり、X軸方向に4ブロック、Y軸方向に4ブロックのサイズである。本実施の形態では、監視領域に対して、このサイズの頻度算出領域を5m間隔で配置する。
図15のフローチャートを参照して、頻度情報の算出処理を説明する。図示しないが、頻度算出手段336は、ステップS8とステップS9の間において、頻度情報の算出処理を行う。まず、頻度算出手段336は、ステップS2にて検出された受け渡し行為について、ステップS6で判定された受け渡し行為の発生位置を参照し、頻度算出領域毎に当該領域内で発生した受け渡し行為の数をカウントする。このカウント処理を、入力画像毎に繰り返すことで、記憶部32の頻度情報を更新していく。ここで、頻度算出手段336は、頻度算出領域毎に、現時点から過去所定時間内に発生した受け渡し行為の総数を発生頻度とする。すなわち、所定時間が経過したものについては、総数から減算される。なお、監視をスタートした時点における頻度情報は、各頻度算出領域について「0」が初期値として設定されている。
次に、図18を参照し、本実施の形態における、受け渡し行為の発生頻度に基づいた監視重要度の算出処理について、説明する。図18は、本実施の形態における発生頻度領域と受け渡しの発生位置を模式的に示した図である。ここでは、図5に示した監視領域上において、2つの受け渡し行為が発生した例を説明する。図18には、ブロックに分割された監視領域上に受け渡し行為の発生位置81と82が示され、それぞれの発生位置に対応する頻度算出領域が示されている。なお、当該2つの受け渡し行為は、ともに受け渡された物品が「カバン」であり、発生場所は「広場」とする。まず、監視重要度算出手段334は、記憶部32の監視基準情報323を参照し、検出された受け渡し行為について、受け渡された物品の種類と発生場所の種類に基づいて、監視重要度を算出する。図9に示した監視基準情報323によれば、それぞれの受け渡し行為の監視重要度は、同じ値「7」と算出される。その後、監視重要度算出手段334は、それぞれの受け渡し行為の発生位置に対応する頻度算出領域を求める。図18に示すとおり、発生位置81には、頻度算出領域K、頻度算出領域L、頻度算出領域Mの3つが対応し、発生位置82には、頻度算出領域Nのみが対応する。ここで、発生位置81のように複数の頻度算出領域が対応する場合、監視重要度算出手段334は、発生位置が最も頻度算出領域の中心になるものを選択する。すなわち、発生位置81については、頻度算出領域Mが選択される。監視重要度算出手段334は、記憶部32の頻度情報を参照し、発生位置に対応する頻度算出領域の頻度を読み出す。ここで、頻度算出領域Mの頻度が「8」、頻度算出領域Nの頻度が「0」とする。監視重要度算出手段334は、それぞれの頻度が第1の所定値(例えば、5)以上であるかを判定し、所定値以上である場合に監視重要度から5を減算する。頻度算出領域Mの頻度は「8」であるため、発生位置81の受け渡し行為の監視重要度は「2」になる。また、頻度算出領域Nの頻度は「0」であるため、発生位置82の受け渡し行為の監視重要度は減算されない。また、監視重要度算出手段334は、それぞれの頻度が第2の所定値(例えば、1)以下であるかを判定し、所定値以下である場合には監視重要度に5を加算する。頻度算出領域Mの頻度は「8」であるため、発生位置81の受け渡し行為の監視重要度は「2」のままになる。また、頻度算出領域Nの頻度は「0」であるため、発生位置82の受け渡し行為の監視重要度は「12」になる。
発生位置81の受け渡し行為および発生位置82の受け渡し行為は、ともに、広場でカバンを受け渡す行為である。しかし、発生位置における受け渡しの発生頻度に基づいて監視重要度を算出すると、それぞれの監視重要度は「2」と「12」になり、監視員が注目すべき度合いが変わる。発生位置81の受け渡し行為は、受け渡し行為の発生頻度が高い位置で行われたものであることから、広場に設けられた手荷物預かり所で行われたカバンの受け渡し行為である可能性が高い。一方、発生位置82の受け渡し行為は、受け渡しがほとんど行われない場所で行われたカバンの受け渡しであるため、不審者間で危険物が受け渡された可能性がある。本実施の形態によれば、監視員は、不審者間で危険物が受け渡された可能性がある受け渡し行為を、手荷物預かり所で行われた可能性がある受け渡し行為よりも優先して確認することができる。
なお、頻度の算出方法は、本実施の形態に限るものではない。例えば、過去所定時間において検出された受け渡し行為の発生位置を記憶部32に記憶しておき、監視重要度算出手段334は、監視重要度を算出する際に、当該記憶された発生位置を読み出して、処理対象となっている受け渡し行為の発生位置を中心とした所定範囲内に発生した数をカウントし、受け渡し行為の発生頻度として求めてもよい。また、頻度情報は、画像監視システム1による監視がスタートする前に、予め、監視領域の受け渡し行為の発生頻度を計数して記憶部32に頻度情報として記憶するようにしてもよい。
また、本実施の形態では、発生頻度が高い場合に監視重要度を減算し、発生頻度が低い場合に加算するようにしたが、これに限らない。例えば、発生頻度が高い場所では、通常の受け渡し行為に紛れて不審な受け渡しを行う可能性があると判断し、発生頻度が高い場所で検出された受け渡し行為について監視重要度を加算するようにしてもよい。また、発生頻度による監視重要度の変更は、上述した加算と減算のどちらか一方を行うものでもよい。
また、本実施の形態では、1つの発生位置に複数の頻度算出領域が対応付けられた場合に、発生位置が頻度算出領域の中心に最も近くなるものを選択するようにしたが、これに限らない。例えば、最も頻度が高いものや、最も頻度が低いものを選択するようにしてもよい。また、本実施の形態では、選択した1つの頻度算出領域について、当該領域の頻度に対応する加算値を監視重要度に加えたが、これに限らない。例えば、1つの頻度算出領域を選択するのではなく、発生位置に対応付けられた全ての頻度算出領域について、それぞれの頻度に対応する加算値を監視重要度に加えるようにしてもよい。
また、本実施の形態では、受け渡し行為の発生頻度を受け渡された物品によらずに算出したが、これに限らず、受け渡された物品ごとに発生頻度を算出するようにしてもよい。この場合、頻度算出手段336は、頻度算出領域ごとに、受け渡された物品ごとに受け渡し行為の発生数をカウントし、頻度情報として記憶すればよい。そして、監視重要度算出手段334は、処理対象となっている受け渡し行為と同一の物品の種類の受け渡し行為の発生頻度に基づいて監視重要度を算出すればよい。
また、本実施の形態では、受け渡された物品の種類と受け渡しの発生場所の種類に基づいた監視重要度に対して、所定値を加算・減算するようにしたがこれに限らない。例えば、監視基準情報323に、受け渡された物品の種類、受け渡しの発生場所、受け渡しの発生頻度の情報、を対応付けて記憶しておき、監視重要度算出手段334は、監視基準情報323を参照して、受け渡された物品の種類と受け渡しの発生場所と受け渡しの発生頻度によって決定される監視重要度を算出してもよい。例えば、監視基準情報323として、カバン、広場、発生頻度「低」、監視重要度「7」を対応付けるようにすればよい。
また、本実施の形態では、受け渡された物品の種類と受け渡しの発生場所の種類に基づいて監視重要度を算出したが、これに限らない。例えば、検出された受け渡し行為の監視重要度を、発生頻度の情報のみを用いて算出するようにしてもよい。この場合、監視基準情報323として、発生頻度に対応付けて監視重要度を設定しておき、監視重要度算出手段334は、当該監視基準情報323を参照して、監視重要度を算出すればよい。また、受け渡された物品の種類、受け渡しの発生場所の種類のどちらか一方と発生頻度の情報に基づいて監視重要度を算出するようにしてもよい。
本実施の形態によれば、受け渡された物品の種類や受け渡し行為の発生場所の種類だけではなく、受け渡し行為の発生頻度に基づいた不審度を考慮して監視重要度を求めることができる。
次に、受け渡し行為の発生位置周辺の混雑度に基づいて、監視重要度を算出する実施形態について、説明する。不審者が危険物の受け渡し行為を行う場合など、人間がやましい受け渡し行為を行う場合は、受け渡し場所として人の目が少ない場所を選ぶ可能性が高い。また、逆に、混雑に紛れて受け渡し行為を行うことで人の視線を避ける可能性もある。すなわち、混雑度が低い場所で受け渡し行為が検出された場合、不審度が高い受け渡し行為である可能性が高い。また、混雑度が高い場所で受け渡し行為が検出された場合も、不審度が高い受け渡し行為である可能性が高い。一方、適度に人物が存在する場所においては、人の目がよく届く状況であるため、このような場所で受け渡し行為が検出された場合は、混雑度が高い場所や混雑度が低い場所に比べて、不審な受け渡し行為が行われる可能性が低くなる。本実施の形態では、これを利用し、受け渡し行為の発生位置周辺の混雑度に基づいて監視重要度を算出するものである。
本実施の形態では、監視重要度算出手段334は、まず、記憶部32に記憶された監視基準情報323を参照し、受け渡された物品の種類と受け渡し行為の発生位置に基づいて、監視重要度を算出する。その後、監視重要度算出手段334は、追跡人物情報として記憶されている追跡人物の位置を参照して、受け渡し行為の発生位置の周辺における混雑度を求める。そして、監視重要度算出手段334は、混雑度が第1の所定値以下である場合、受け渡された物品の種類と受け渡し行為の発生位置に基づいて算出された監視重要度に所定値(例えば、5)を加算する。また、監視重要度算出手段334は混雑度が第2の所定値以上である場合、受け渡された物品の種類と受け渡し行為の発生位置に基づいて算出された監視重要度に所定値(例えば、5)を加算する。
ここで、混雑度の算出処理について、説明する。監視重要度算出手段334は、受け渡し検出手段333にて検出された受け渡し行為の発生位置を中心とした所定範囲内に存在する人物の数をカウントし、これを受け渡し行為の発生位置周辺の混雑度とする。具体的には、監視重要度算出手段334は、現時点において監視領域内に存在する追跡人物の追跡人物情報を参照し、当該追跡人物の現在位置を読み出す。そして、監視重要度算出手段334は、追跡人物の現在位置に基づいて、処理対象となっている受け渡し行為の発生位置を中心とした所定範囲内(例えば、半径5m以内)に存在する追跡人物の数をカウントする。なお、混雑度の算出方法は、これに限るものではない。例えば、受け渡し行為の発生頻度を算出する方法と同様に、監視領域を所定サイズの領域に分割して、当該領域毎に追跡人物の数をカウントして混雑度を算出し、処理対象となっている受け渡し行為の発生位置に対応する領域の混雑度を受け渡し行為の発生位置周辺の混雑度としてもよい。また、追跡人物の数を用いて混雑度を算出するのではなく、画像処理によって混雑度を求めてもよい。例えば、受け渡し行為の発生位置を中心とした所定サイズの領域を入力画像上に設定し、当該領域の面積から、背景差分処理等で求めた当該領域内に存在する全ての人物像の領域の面積を減算した値を求める。監視重要度算出手段334は、当該減算した値を受け渡し行為の発生位置周辺の混雑度としてもよい。この場合、減算した値は、低い値になるほど混雑度が高いことを表す指標となる。
次に、図19を参照し、本実施の形態における、混雑度に基づいた監視重要度の算出処理について、説明する。図19は、本実施の形態における追跡人物の位置と受け渡しの発生位置を模式的に示した図である。なお、図19は、図5に示した監視領域に対応している。図19に示すとおり、監視領域は予め、所定サイズのブロックに分割されており、図5と同様に全てのブロックがエリアID「001」に設定されている。ここでは、図5に示した監視領域上において、3つの受け渡し行為が発生した例を説明する。図19には、ブロックに分割された監視領域上に受け渡し行為の発生位置83,84,85がそれぞれ示されるとともに、監視領域内に存在する追跡人物の位置が黒丸で示されている。なお、3つの受け渡し行為は、全て受け渡された物品が「カバン」であり、発生場所は「広場」とする。まず、監視重要度算出手段334は、記憶部32の監視基準情報323を参照し、検出された受け渡し行為について、受け渡された物品の種類と発生場所の種類に基づいて、監視重要度を算出する。図9に示した監視基準情報323によれば、それぞれの受け渡し行為の監視重要度は、同じ値「7」と算出される。その後、監視重要度算出手段334は、それぞれの受け渡し行為の発生位置に対応する混雑度を求める。ここで、発生位置を中心とする所定範囲は、太線の円で示されている。図19に示すとおり、発生位置83の周辺には、受け渡しを行っている人物を含めて9人の人物が存在している。また、発生位置84の周辺には、受け渡しを行っている人物のみが存在している。また、発生位置85の周辺には、受け渡しを行っている人物を含めて4人の人物が存在している。すなわち、発生位置83の周辺の混雑度は「9」となり、発生位置84の周辺の混雑度は「2」となり、発生位置85の周辺の混雑度は「4」となる。監視重要度算出手段334は、それぞれの混雑度が第1の所定値(例えば、2)以下であるかを判定し、所定値以下である場合に監視重要度に5を加算する。発生位置83の周辺の混雑度は「9」であるため、発生位置83の受け渡し行為の監視重要度は、加算されずに「7」のままになる。また、発生位置84の周辺の混雑度は「2」であるため、発生位置84の受け渡し行為の監視重要度は加算されて「12」となる。また、発生位置85の周辺の混雑度は「4」であるため、発生位置85の受け渡し行為の監視重要度は、加算されずに「7」のままになる。また、監視重要度算出手段334は、それぞれの混雑度が第2の所定値(例えば、9)以上であるかを判定し、所定値以上である場合に監視重要度に5を加算する。発生位置83の周辺の混雑度は「9」であるため、発生位置83の受け渡し行為の監視重要度は加算されて「12」となる。また、発生位置84の周辺の混雑度は「2」であるため、発生位置84の受け渡し行為の監視重要度は、加算されずに「12」のままになる。また、発生位置85の周辺の混雑度は「4」であるため、発生位置85の受け渡し行為の監視重要度は、加算されずに「7」のままになる。
発生位置83の受け渡し行為、発生位置84の受け渡し行為、発生位置85の受け渡し行為は、全て、広場でカバンを受け渡す行為である。しかし、発生位置の周辺における混雑度に基づいて監視重要度を算出すると、それぞれの監視重要度は「12」,「12」,「7」となり、監視員が注目すべき度合いが変わる。発生位置83の受け渡し行為は、混雑度が低い場所で行われたものであることから、不審者が人目をさけて受け渡し行為を行っている可能性が高い。また、発生位置84の受け渡し行為は、混雑度が高い場所で行われたものであることから、不審者が混雑に紛れて受け渡し行為を行うことで人の視線を避けている可能性が高い。また、発生位置85の受け渡し行為は、混雑度が高くもなく低くもない場所で行われたものであり、適度に人が存在する場所において行われた受け渡し行為である。すなわち、発生位置85の受け渡し行為は、人の目がよく届く状況で行われたものあるため、混雑度が高い場所や混雑度が低い場所に比べて、不審な受け渡し行為が行われる可能性は低くなる。本実施の形態によれば、監視員は、不審者間で危険物が受け渡された可能性がある受け渡し行為を優先して確認することができる。
また、本実施の形態では、混雑度が高い場合や混雑度が低い場合に監視重要度を加算するようにしたが、これに限らない。例えば、混雑度が高くもなく低くもない場合に監視重要度を減算するようにしてもよい。また、混雑度による監視重要度の変更は、上述した混雑度が高い場合に加算するもの、混雑度が低い場合に加算するもののどちらか一方を行うものでもよい。
また、本実施の形態では、受け渡された物品の種類と受け渡しの発生場所の種類に基づいた監視重要度に対して、所定値を加算するようにしたがこれに限らない。例えば、監視基準情報323に、受け渡された物品の種類、受け渡しの発生場所、混雑度の情報、を対応付けて記憶しておき、監視重要度算出手段334は、監視基準情報323を参照して、受け渡された物品の種類と受け渡しの発生場所と混雑度によって決定される監視重要度を算出してもよい。例えば、監視基準情報323として、カバン、広場、混雑度「低」、監視重要度「7」を対応付けるようにすればよい。
また、本実施の形態では、受け渡された物品の種類と受け渡しの発生場所の種類に基づいて監視重要度を算出したが、これに限らない。例えば、検出された受け渡し行為の監視重要度を、混雑度の情報のみを用いて算出するようにしてもよい。この場合、監視基準情報323として、混雑度に対応付けた監視重要度を設定しておき、監視重要度算出手段334は、当該監視基準情報323を参照して、監視重要度を算出すればよい。また、受け渡された物品の種類、受け渡しの発生場所の種類のどちらか一方と混雑度の情報に基づいて監視重要度を算出するようにしてもよい。
本実施の形態によれば、受け渡された物品の種類や受け渡し行為の発生場所の種類だけではなく、受け渡し行為の発生位置周辺の混雑度によって変わる不審度に基づいて監視重要度を求めることができる。
次に、受け渡し行為の発生位置から重要エリアまでの距離に基づいて、監視重要度を算出する実施形態について、説明する。前述したように記憶部32に記憶されているエリア情報322には、監視領域に設定されているエリアが、当該エリアに対する警備の重要性に応じて、通常エリアと重要エリアに分けられている。図8に示した本実施形態のエリア情報322によれば、イベント会場内が重要エリアに設定されており、それ以外のエリアが通常エリアに設定されている。不審者が危険物を受け渡した場合、重要エリアであるイベント会場内で危険物が使用される可能性が高い。このとき、危険物は、重要エリア内で受け渡されるとは限らず、広場などの通常エリアで受け渡された後に、イベント会場内に持ち込まれて使用される可能性がある。すなわち、監視領域内で不審な受け渡し行為が確認された場合、監視員は、現場の警備員に対して当該受け渡し行為についての対処指示を行うが、当該不審な受け渡し行為がイベント会場内に近いところで行われるほど、対処の緊急性が増す。したがって、監視員は、イベント会場内に近いところで行われた受け渡し行為ほど優先的に確認する必要がある。本実施の形態では、これを利用し、受け渡し行為の発生位置から重要エリアまでの距離に基づいて監視重要度を算出するものである。
本実施の形態では、監視重要度算出手段334は、記憶部32に記憶された監視基準情報323を参照し、受け渡された物品の種類と受け渡し行為の発生位置に基づいて、監視重要度を算出する。その後、監視重要度算出手段334は、記憶部32に記憶したエリア情報322を参照して、受け渡し行為の発生位置から重要エリアまでの距離を求める。監視重要度算出手段334は、重要エリアまでの距離が所定距離以下である場合、受け渡された物品の種類と受け渡し行為の発生位置に基づいて算出された監視重要度に所定値(例えば、5)を加算する。
ここで、重要エリアまでの距離の算出処理について、説明する。本実施の形態では、監視重要度算出手段334は、受け渡し検出手段333にて検出された受け渡し行為の発生位置から重要エリアまでの最短距離を求める。具体的には、監視重要度算出手段334は、エリア情報322を参照し、重要エリアに設定されているブロック位置を読み出す。また、監視重要度算出手段334は、エリア情報322を参照し、処理対象となっている受け渡し行為の発生位置に対応するブロックを求める。ここで、受け渡し行為の発生位置に対応するブロックを判定する際は、記憶部32に記憶しておいた撮像装置2ごとの監視領域の実空間でのXY座標とブロック位置との対応関係に基づいて判定する。監視重要度算出手段334は、読み出した重要エリアのブロック位置から処理対象となっている受け渡し行為の発生位置のブロックまでの距離を算出し、算出した距離のうち最短距離を重要エリアまでの距離とする。ここで、読み出す重要エリアのブロックは、受け渡し行為の発生位置と同じ監視領域に設定された重要エリアのブロックに限定してもよい。このとき、受け渡し行為の発生位置と同じ監視領域内に重要エリアのブロックが設定されていない場合は、他の監視領域に設定された重要ブロックと受け渡し行為の発生位置との距離を算出して、当該距離が最短となったものを重要エリアまでの距離とすればよい。また、受け渡し行為の発生位置が重要エリア内である場合、重要エリアまでの距離は「0」にすればよい。なお、重要エリアまでの距離の算出方法は、これに限るものではない。例えば、予め、ブロックごとに重要エリアまでの距離を算出して記憶しておいてもよいし、撮像装置2毎に重要エリアまでの距離を予め算出して記憶しておいてもよい。
次に、図20を参照し、本実施の形態における、重要エリアまでの距離に基づいた監視重要度の算出処理について、説明する。図20は、本実施の形態における受け渡しの発生位置と重要エリアまでの距離を模式的に示した図である。なお、図20は、図7に示した監視領域に対応している。図20に示すとおり、監視領域は予め、所定サイズのブロックに分割されており、図7と同様にブロックがエリアID「001」とエリアID「004」に設定されている。ここでは、図7に示した監視領域上において、2つの受け渡し行為が発生した例を説明する。図20には、ブロックに分割された監視領域上に受け渡し行為の発生位置86と87がそれぞれ示されている。なお、当該2つの受け渡し行為は、ともに受け渡された物品が「カバン」であり、発生場所は「広場」とする。まず、監視重要度算出手段334は、記憶部32の監視基準情報323を参照し、検出された受け渡し行為について、受け渡された物品の種類と発生場所の種類に基づいて、監視重要度を算出する。図9に示した監視基準情報323によれば、それぞれの受け渡し行為の監視重要度は、同じ値「7」と算出される。その後、監視重要度算出手段334は、エリア情報322を参照し、重要エリアのブロック位置を読み出す。図7に示す監視領域には、エリアID「004」のエリア、すなわち重要エリアが設定されている。ここでは、説明を簡略化するために、図7に示す監視領域の重要エリアのブロック位置のみを読み出す例を説明する。監視重要度算出手段334は、まず、それぞれの受け渡し行為の発生位置について、対応するブロックを判定する。発生位置86については、X軸方向に5、Y軸方向に8のブロック(ブロック5―8)が対応する。また、発生位置87については、X軸方向に10、Y軸方向に3のブロック(ブロック10―3)が対応する。監視重要度算出手段334は、それぞれの発生位置のブロックと重要エリアのブロックまでの距離を求め、最短距離を選択する。発生位置86については、X軸方向に5、Y軸方向に11のブロック(ブロック5―11)が最短距離の重要エリアとなり、距離は2ブロック分の「5m」となる。発生位置87については、X軸方向に10、Y軸方向に11のブロック(ブロック10―11)が最短距離の重要エリアとなり、距離は7ブロック分の「17.5m」となる。監視重要度算出手段334は、それぞれの距離が所定距離(例えば、10m)以下であるかを判定し、所定距離以下である場合に監視重要度に5を加算する。発生位置86の受け渡し行為は、重要エリアまでの距離が「5m」であるため、監視重要度は「12」になる。また、発生位置87の受け渡し行為は、重要エリアまでの距離が「17.5m」であるため、監視重要度は加算されず、「7」のままになる。
発生位置86の受け渡し行為および発生位置87の受け渡し行為は、ともに、広場でカバンを受け渡す行為である。しかし、発生位置から重要エリアまでの距離に基づいて監視重要度を算出すると、それぞれの監視重要度は「12」と「7」になり、監視員が注目すべき度合いが変わる。発生位置86の受け渡し行為は、発生位置87の受け渡し行為よりも重要エリアに近い位置で行われているため、対処の緊急性が高い。本実施の形態によれば、監視員は、イベント会場内に近いところで行われた発生位置86の受け渡し行為から優先的に確認することができる。
なお、本実施の形態では、重要エリアまでの距離が所定距離以下である場合に監視重要度を加算したが、これに限らない。例えば、重要エリアまでの距離が所定距離以上である場合に監視重要度を減算するようにしてもよい。
また、本実施の形態では、受け渡された物品の種類と受け渡しの発生場所の種類に基づいた監視重要度に対して、所定値を加算するようにしたがこれに限らない。例えば、監視基準情報323に、受け渡された物品の種類、受け渡しの発生場所、重要エリアまでの距離の情報、を対応付けて記憶しておき、監視重要度算出手段334は、監視基準情報323を参照して、受け渡された物品の種類と受け渡しの発生場所と重要エリアまでの距離によって決定される監視重要度を算出してもよい。例えば、監視基準情報323として、カバン、広場、重要エリアまでの距離「10m以下」、監視重要度「7」を対応付けるようにすればよい。
また、本実施の形態では、重要エリアまでの距離が所定距離以下か否かで監視重要度を求めたが、これに限らない。例えば、重要エリアまでの距離が近くなるほど高い値になるように加算値を変化させてもよい。また、「10m以下」、「50m以下」、「500m以下」のように、複数の所定距離を用意し、それぞれについて異なる加算値を設定してもよい。また、本実施の形態では、監視領域に設定したエリアを「通常エリア」と「重要エリア」の2種類に分ける例を示したが、これに限らない。例えば、警備の重要性に応じて、複数種類の重要エリアに分けるようにしてもよい。具体的には、警備の重要性に応じて、「重要エリア1」、「重要エリア2」、「重要エリア3」のように設定する。そして、それぞれの重要エリアで、所定距離の値や、監視重要度に加算する値を変えるようにしてもよい。この場合、全ての重要エリアに対して受け渡し行為の発生位置からの距離を算出し、最短距離となった重要エリアのブロックが「重要エリア1」、「重要エリア2」、「重要エリア3」のどれに該当するかを判定する。そして、判定された重要エリアの種類に応じて監視重要度の変更処理を行えばよい。
また、本実施の形態では、受け渡された物品の種類と受け渡しの発生場所の種類に基づいて監視重要度を算出したが、これに限らない。例えば、検出された受け渡し行為の監視重要度を、重要エリアまでの距離のみを用いて算出するようにしてもよい。この場合、監視基準情報323として、重要エリアまでの距離に対応付けた監視重要度を設定しておき、監視重要度算出手段334は、当該監視基準情報323を参照して、監視重要度を算出すればよい。なお、このとき、監視重要度は、重要エリアまでの距離が近くなるほど高い値になるように連続的に変化させてもよい。また、受け渡された物品の種類、受け渡しの発生場所の種類のどちらか一方と重要エリアまでの距離に基づいて監視重要度を算出するようにしてもよい。
本実施の形態によれば、受け渡された物品の種類や受け渡し行為の発生場所の種類だけではなく、受け渡し行為の発生位置から重要エリアまでの距離に基づく対処の緊急性を考慮して監視重要度を求めることができる。
次に、受け渡し行為の発生位置から所定の監視人物までの距離に基づいて、監視重要度を算出する実施形態について、説明する。イベント会場を警備する場合、画像による監視だけではなく、現場に複数人の警備員を配置し、当該警備員の目視によっても監視が行われる。現場に配置された警備員は、監視センタの監視員から指示を受けて異常事態に対処したり、監視場所を目視し、不審な行動をとっている人物や不審物を発見したりする。また、警備員を監視場所に配置することで、犯罪者を牽制し、犯罪行為を抑止する効果もある。このため、不審者が危険物の受け渡し行為を行う場合など、人間がやましい受け渡し行為を行う場合は、警備員の目が届かない場所を選ぶ可能性が高い。逆に、不審者がわざわざ警備員の目が届くところで不審な受け渡し行為を行うことは考えにくいため、このような警備員の目が届くところで行われた受け渡し行為は、不審度が低いといえる。本実施の形態では、これを利用し、受け渡し行為の発生位置から警備員などの監視人物までの距離に基づいて監視重要度を算出するものである。
本実施の形態では、画像監視装置3の画像処理部33は、監視人物位置算出手段337(図示しない)を更に備える。監視人物位置算出手段337は、監視領域に存在する人物が所定の基準を満たす監視人物であるか否かを判定する。そして、監視人物と判定された人物の追跡人物情報を参照し、現在時刻における監視人物の位置を記憶部32に監視人物位置情報として記憶する。その後、監視重要度算出手段334は、記憶部32に記憶された監視基準情報323を参照し、受け渡された物品の種類と受け渡し行為の発生位置に基づいて、監視重要度を算出する。そして、監視重要度算出手段334は、記憶部32に記憶した監視人物位置情報を参照して、受け渡し行為の発生位置から監視人物の位置までの距離を求める。監視重要度算出手段334は、距離が所定距離(例えば、10m)以上である場合、受け渡された物品の種類と受け渡し行為の発生位置に基づいて算出された監視重要度に所定値(例えば、5)を加算する。
ここで、監視人物位置算出手段337について、説明する。監視人物位置算出手段337は、監視領域に存在する監視人物の現在時刻における位置を求めるものである。なお、本実施の形態では、監視人物を警備員として説明する。具体的には、予め、警備員の画像特徴を記憶部32に人物識別情報として記憶しておき、監視人物位置算出手段337は、人物検出手段331にて追跡人物が検出されると、当該追跡人物の人物像を人物識別情報と照合する。画像特徴が一致した場合、当該追跡人物を警備員と判定する。そして、監視人物位置算出手段337は、警備員と判定された追跡人物の追跡人物情報を参照し、現在時刻における位置を記憶部32に監視人物位置情報として記憶する。このとき、位置情報は、警備員と判定された追跡人物ごとに記憶される。なお、監視人物の位置の算出方法は、本実施の形態に限るものではない。例えば、画像特徴によって、監視人物か否かを判定するのではなく、予め監視人物に所持させておいた端末の位置情報を取得し、現在時刻において取得した位置情報を監視人物位置情報として記憶するようにしてもよい。すなわち、当該端末を所持していることが監視人物の基準となる。また、本実施の形態では、監視人物を警備員などの予め決まった人物として説明したが、これに限らない。例えば、監視人物の基準を「受け渡しの発生位置に最も近い位置に存在する当該受け渡し行為を行っている人物以外の人物」としてもよい。すなわち、受け渡し行為の発生位置の近くに存在する人物は、当該受け渡し行為を目撃している可能性が高いため、警備員と同様に監視人物として扱う。この場合、監視人物位置算出手段337は、受け渡し行為の発生位置から監視領域内に存在する当該受け渡し行為の受け渡しペアになっていない追跡人物の位置までの距離を算出し、最短距離となった追跡人物を監視人物と判定すればよい。
次に、監視人物までの距離の算出処理について、説明する。本実施の形態では、監視重要度算出手段334は、受け渡し検出手段333にて検出された受け渡し行為の発生位置から監視人物までの距離を求める。具体的には、監視重要度算出手段334は、記憶部32の監視人物位置情報を参照し、監視領域に存在する監視人物毎の位置を読み出す。そして、読み出した監視人物の位置から処理対象となっている受け渡し行為の発生位置までの距離を算出する。なお、距離の算出方法は、既存の方法で行えばよい。
次に、図21を参照し、本実施の形態における、監視人物までの距離に基づいた監視重要度の算出処理について、説明する。図21は、本実施の形態における受け渡しの発生位置と監視人物の位置を模式的に示した図である。なお、図21は、図5に示した監視領域に対応している。図21に示すとおり、監視領域は予め、所定サイズのブロックに分割されており、図5と同様に全てのブロックがエリアID「001」に設定されている。ここでは、図5に示した監視領域上において、2つの受け渡し行為が発生した例を説明する。また、当該監視領域上には、2名の警備員が存在するものとする。図21には、ブロックに分割された監視領域上に受け渡し行為の発生位置88と89がそれぞれ示されている。また、監視領域内に存在する警備員の位置を白丸で示し、それぞれ監視人物位置90、監視人物位置91とする。また、警備員以外の追跡人物の位置が黒丸で示されている。なお、2つの受け渡し行為は、ともに受け渡された物品が「カバン」であり、発生場所は「広場」とする。まず、監視重要度算出手段334は、記憶部32の監視基準情報323を参照し、検出された受け渡し行為について、受け渡された物品の種類と発生場所の種類に基づいて、監視重要度を算出する。図9に示した監視基準情報323によれば、それぞれの受け渡し行為の監視重要度は、同じ値「7」と算出される。その後、監視重要度算出手段334は、監視人物位置情報を参照し、監視人物の位置を読み出す。監視重要度算出手段334は、それぞれの受け渡し行為の発生位置について、各監視人物位置との距離を求める。ここで、図21のように、監視領域内に複数の監視人物が存在する場合は、距離が最短となる監視人物との距離を選択する。発生位置88については、監視人物位置91との距離が最短であり「22.5m」となる。また、発生位置89については、監視人物位置90と監視人物91の距離が同じであるため「7.5m」となる。監視重要度算出手段334は、それぞれの距離が所定距離(例えば、10m)以上であるかを判定し、所定距離以上である場合に監視重要度に5を加算する。発生位置88の受け渡し行為は、監視人物までの距離が「7.5m」であるため、監視重要度は「7」のままになる。また、発生位置89の受け渡し行為は、監視人物までの距離が「22.5m」であるため、監視重要度は「12」になる。
発生位置88の受け渡し行為および発生位置89の受け渡し行為は、ともに、広場でカバンを受け渡す行為である。しかし、発生位置から監視人物までの距離に基づいて監視重要度を算出すると、それぞれの監視重要度は「7」と「12」になり、監視員が注目すべき度合いが変わる。発生位置88の受け渡し行為は、警備員の目の届かない場所で行われているため、不審な受け渡し行為である可能性が高い。一方、発生位置89の受け渡し行為は、警備員の目の届く場所で行われているため、不審な受け渡し行為である可能性は低い。本実施の形態によれば、監視員は、現場の警備員の目の届けないところで行われた発生位置88の受け渡し行為から優先的に確認することができる。
なお、本実施の形態では、監視人物までの距離が所定距離以上である場合に監視重要度を加算したが、これに限らない。例えば、監視人物までの距離が所定距離以下である場合に監視重要度を減算するようにしてもよい。
また、本実施の形態では、受け渡された物品の種類と受け渡しの発生場所の種類に基づいた監視重要度に対して、所定値を加算するようにしたがこれに限らない。例えば、監視基準情報323に、受け渡された物品の種類、受け渡しの発生場所、監視人物までの距離の情報、を対応付けて記憶しておき、監視重要度算出手段334は、監視基準情報323を参照して、受け渡された物品の種類と受け渡しの発生場所と監視人物までの距離によって決定される監視重要度を算出してもよい。例えば、監視基準情報323として、カバン、広場、監視人物までの距離「10m以上」、監視重要度「7」を対応付けるようにすればよい。
また、本実施の形態では、監視人物までの距離が所定距離以上か否かで監視重要度を求めたが、これに限らない。例えば、監視人物までの距離が遠くなるほど高い値になるように加算値を変化させてもよい。また、「5m以上」、「10m以上」、「100m以上」のように、複数の所定距離を用意し、それぞれについて異なる加算値を設定してもよい。
また、本実施の形態では、受け渡された物品の種類と受け渡しの発生場所の種類に基づいて監視重要度を算出したが、これに限らない。例えば、検出された受け渡し行為の監視重要度を、監視人物までの距離のみを用いて算出するようにしてもよい。この場合、監視基準情報323として、監視人物までの距離に対応付けた監視重要度を設定しておき、監視重要度算出手段334は、当該監視基準情報323を参照して、監視重要度を算出すればよい。なお、このとき、監視重要度は、監視人物までの距離が遠くなるほど高い値になるように連続的に変化させてもよい。また、受け渡された物品の種類、受け渡しの発生場所の種類のどちらか一方と監視人物までの距離に基づいて監視重要度を算出するようにしてもよい。
本実施の形態によれば、受け渡された物品の種類や受け渡し行為の発生場所の種類だけではなく、警備員などの所定の監視人物までの距離に基づいた不審度を考慮して監視重要度を求めることができる。
以上、受け渡された物品の種類や受け渡し行為の発生場所の種類に加えて、或いはこれらに代えて、発生時刻、発生頻度、混雑度、重要エリアからの距離、監視人物からの距離を用いて、受け渡し行為の監視重要度を算出する実施形態をそれぞれ説明した。本発明の画像監視システム1は、これらの実施形態を組み合わせて実現するようにしてもよいことはいうまでもない。例えば、受け渡し行為の発生頻度、受け渡し行為の発生位置周辺の混雑度の両方を用いて、監視重要度を算出するようにしてもよい。
以上に説明したように、本発明の画像監視システム1によれば、監視場所で発生した受け渡し行為に対して、受け渡された物品、受け渡し行為を行った場所や周囲の状況などを考慮して、監視員が監視対象として注目すべき度合いを決定することが可能である。また、本発明の画像監視システム1は、監視員が監視対象として注目すべき度合いに応じて、受け渡し行為の検出結果を出力する。これにより、イベント会場などのように不特定多数の人物が存在し、多数の受け渡し行為が発生する場所を監視する場合であっても、監視センタの監視員は、不審度の高い受け渡し行為と、不審度の低い受け渡し行為を容易に区別しながら、効率的に受け渡し行為を監視することができる。