JP6286219B2 - 電流センサ - Google Patents
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Description
従来の電流センサは、1種類の測定領域での電流値の検出を行う構成のものが一般的であり、車載バッテリに用いる電流センサのように、例えば大電流と小電流との2種類(2レンジ)の電流値を同じ装置で高感度に検出するといったことは困難であった。
そして、当該磁性板で囲まれた内側領域内の上記磁界が弱い領域で第1の磁気検出手段による磁気検出が行われ、上記磁界が強い領域で第2の磁気検出手段による磁気検出が行われる。
このようにすることで、電流路の表面と直交する方向における厚みを薄くでき、薄型化が図れる。また、当該方向における前記第1の磁気検出手段と前記第2の磁気検出手段の位置決めが容易になる。
前記磁気調整手段と前記電流路とで挟まれる領域の磁界は低く、前記第1の磁気検出手段を配置するのに適している。
変曲点付近では、磁界の変化が小さいため、このように変曲点付近に前記第1の磁気検出手段と前記第2の磁気検出手段を配置することで、位置決め精度の要求を緩和できる。
そして、前記電流路を囲む周方向の領域のうち前記磁性体で囲まれていない第2の領域において、磁気調整手段により、前記横断面において前記電流路から略同距離の第1の位置と第2の位置とに前記電流によって相互に異なる強さの磁界を生じる。
そして、上記第1の位置で第1の磁気検出手段による磁気検出が行われ、上記第2の位置で第2の磁気検出手段による磁気検出が行われる。
図1は、本発明の実施形態の電流センサ1の外観斜視図である。
図2は、図1に示す電流センサ1の図1に示す断面線A−Aにおける断面構造を説明するための図である。
磁性板15の内側には、バスバー4の平面4aに対向した面を備えた磁気調整板17が設けられている。
第1の磁気検出部23は、バスバー4と磁気調整板17との隙間に配設されている。
第2の磁気検出部25は、バスバー4の平面4aと垂直な方向から見て磁性板15の開口部15Dにおける磁性板15と磁気調整板17との隙間の位置(磁気調整板17と重なり合わない位置)に設けられている。
磁性板15は、例えば、磁性板15A,15B,15Cからなる断面略コ字形に磁性材で一体的に成形されており、所定の筐体のベース部材上に、上方(Z方向プラス側)に開口部15Dを向けた状態で設置されている。
磁性板15は、磁性板15A,15B,15Cで囲まれた領域に磁束を誘導すると共に、外乱をもたらす外部磁界に対して耐性を備えている。このため、隣接電流路などの存在による外部磁界影響が懸念される設置環境下でも、良好な検出精度での使用が可能となる。
なお、磁気調整板17は、本発明の「磁気調整手段」の一例である。
遮蔽板17Bは、本発明の「第1の調整板」の一例である。 遮蔽板17A,17Cは、それぞれ本発明の「第2の調整板」の一例である。
以下、磁性板15内の磁束密度を説明する。
図3は図1に示す電流センサ1の図1に示す断面線A−Aにおける断面での磁束密度を示す図である。
図4は、第1の磁気検出部23及び第2の磁気検出部25が搭載された基板33が位置する図3に示すラインLX上の磁束密度を示す図である。
図5は、バスバー4の電流値と第1の磁気検出部23及び第2の磁気検出部25の位置に生じる磁界の強度との関係を示す図である。
図6Aは図2に示す点P1とP2とを結ぶ直線上の磁界強度を示す図であり、図6Bは図2に示す点P3とP4とを結ぶ直線上の磁界強度を示す図である。
このとき、磁性板15内には、磁性板15と磁気調整板17との影響を受けた図3に示す磁束密度が生じる。図3において、磁束密度は色が薄くなるに従って強くなる。
図4において、X=−7mmは磁性板15の磁性板15A付近の位置を示しており、X=7mmは磁性板15の磁性板15C付近の位置を示している。
また、X=−3mm付近と、X=3mm付近では、バスバー4に流れる電流(一次電流)に大きさに応じて、磁束密度が図5に示すように変化する。
また、図6A,図6Bに示すように、図2に示す点P1とP2とを結ぶ直線上の磁束密度、並びに点P11とP12とを結ぶ直線上の磁束密度は変化する。 図6A,図6Bに示すZ座標は、バスバー4からの距離を示している。
第1の磁気検出部23及び第2の磁気検出部25は、Z方向におけるバスバー4と磁気調整板17との間の位置に設けられ、Z方向と直交する基板33上に配置されている。
このようにすることで、電流センサ1のZ方向の厚みを小さくでき薄型化、小規模化を図ることができる。
第1の磁気検出部23及び第2の磁気検出部25が配置されるX座標周辺では、図4に示すように、磁束密度の変化勾配が小さく、X方向において高い位置決め精度が要求されない。そのため、製造コストを抑えることができる。
また、電流センサ1では、基板33は、Z方向においてZ=4mm付近に配置されている。
第1の磁気検出部23は、例えば、第2の磁気検出部25と同じものを用いる。
第2の磁気検出部25は、小電流に対応する磁束密度Bの大きさ(若しくは磁界の強さ)を検出可能な対象とする。
なお、磁束密度Bと磁界の強さHについては、周知のマクスウェル方程式の補助式である、B=μH(但し、μ;透磁率)の関係により、どちらを使用してもよい。
なお、これらは、図示しない制御部配線で接続される。これにより、第1の磁気検出部23及び第2の磁気検出部25から制御部に入力する検出信号に応じて所定の演算処理がなされることで、バスバ−4に流れる所望の電流値の検出が行われるようになっている。
バスバー4に電流が流れると、そのバスバー4の回りに磁界が発生し、その磁界の強さに対応する磁束密度Bが生じる。
このとき、磁性板15内には、磁性板15と磁気調整板17との影響を受けた図2に示す磁束密度が生じる。
そして、第1の磁気検出部23及び第2の磁気検出部25で検出した磁束に応じた検出信号が制御部に出力される。
制御部では、検出信号が増幅回路で増幅され、検出した磁界の強さに比例した値の電圧値を出力する。
そして、磁気検出部からの出力に基づいて、バスバー4に流れる電流値の検出が行われる。
一方、バスバー4に流れる電流値が小電流である場合には、第2の磁気検出部25が、その小電流値に対応した磁界の強さを高感度で検出する。
また、電流センサ1によれば、第1の磁気検出部23及び第2の磁気検出部25が同一の基板33上に設置されるため、相対的な位置精度を確保しやすくなる。
すなわち、従来のように図7に示す形状の磁性板115を用いて、ギャップ部分に磁束を集中させると、Z方向の磁束密度の変化勾配は図8に示すように大きくなる。このような構成で従来のように異なるZ方向に2つの磁気センサを配置すると、磁気センサの設置に非常に高い位置精度が要求されることになる。電流センサ1では、このような問題を解決できる。
すなわち、当業者は、本発明の技術的範囲またはその均等の範囲内において、上述した実施形態の構成要素に関し、様々な変更、コンビネーション、サブコンビネーション、並びに代替を行ってもよい。
例えば、上述した実施形態では、磁気調整板17により、磁性板15内に低磁束領域と高磁束領域とを設け、それらに第1の磁気検出部23及び第2の磁気検出部25をそれぞれ配置した場合を例示したが、磁気調整板17により、磁性板15内に3つ以上のレベルの磁束領域を設け、それぞれに磁気センサを配置してもよい。
例えば、電流センサ1では、磁性板15と磁気調整板17とを別体として設けたが、これらを一体的に形成してもよい。
また、 例えば、磁気調整板17として、図9A,図9B,図9Cに示す形状のものを用いてもよい。
また、遮蔽板17A,17Cは、遮蔽板17Bに対して90度以外の角度で傾斜していてもよい。
磁気調整板17は、バスバー4の横断面方向において、開口部を備えてバスバー4の周囲を囲むものであれば特に限定されない。
4…バスバー
15…外部遮蔽板
17…磁気調整板
23…第1の磁気検出部
25…第2の磁気検出部
33…基板
Claims (6)
- 電流が流れる方向に沿って延びる平らな表面を持った電流路と、
前記電流路の周囲を囲み、前記表面と対向する領域の少なくとも一部に開口部を有する磁性板と、
前記磁性板によって囲まれた空間内であって、前記表面と垂直な方向から見て前記開口部の一部を覆う位置に設けられた磁気調整手段と、
前記表面と垂直な方向から見て前記磁気調整手段と重なる位置に設けられた第1の磁気検出手段と、
前記表面と垂直な方向から見て前記開口部における前記磁気調整手段と前記磁性板との隙間の領域に設けられた第2の磁気検出手段とを有し、
前記第1の磁気検出手段は、前記磁気調整手段と前記電流路とで挟まれる領域に設けられ、
前記磁気調整手段は、前記電流路の平面に平行であり、前記電流が流れる向きと直交する線上で、前記磁気調整手段に対向する位置に谷の変曲点を有し、前記隙間の領域に山の変曲点を有する磁界強度分布を発生し、
前記第1の磁気検出手段は、前記線上の前記谷の変曲点が生じる位置付近に設けられ、
前記第2の磁気検出手段は、前記線上の前記山の変曲点が生じる位置付近に設けられている、
電流センサ。 - 電流が流れる方向に沿って延びる平らな表面を持った電流路と、
前記電流路の周囲を囲み、前記表面と対向する領域の少なくとも一部に開口部を有する磁性板と、
前記磁性板によって囲まれた空間内であって、前記表面と垂直な方向から見て前記開口部の一部を覆う位置に設けられた磁気調整手段と、
前記表面と垂直な方向から見て前記磁気調整手段と重なる位置に設けられた第1の磁気検出手段と、
前記表面と垂直な方向から見て前記開口部における前記磁気調整手段と前記磁性板との隙間の領域に設けられた第2の磁気検出手段とを有し、
前記磁気調整手段は、前記電流路の表面と略平行して延びる第1の調整板と、前記第1の調整板から前記電流路に向けて延びる第2の調整板とを有する、
電流センサ。 - 前記第1の磁気検出手段は、前記磁気調整手段と前記電流路とで挟まれる領域に設けられている
請求項2に記載の電流センサ。 - 前記第1の磁気検出手段と前記第2の磁気検出手段とは、前記電流路から略同距離の位置に設けられている
請求項1〜3のいずれかに記載の電流センサ。 - 前記第1の磁気検出手段及び前記第2の磁気検出手段は、同一基板上に配置されている
請求項1〜4のいずれかに記載の電流センサ。 - 前記電流路は、横断面が長方形であり、厚みより長い幅を有している
請求項1〜5のいずれかに記載の電流センサ。
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