JP6284334B2 - 鋼矢板による土留め壁 - Google Patents

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Description

本発明は、鋼矢板による土留め壁の構造であって、特に、敷地境界での土留めや遮水が必要な地盤掘削による汚染土壌除去や地下水処理工事に有用なものに関する。
地盤の開削を行う場合、周囲の地盤の崩壊を防ぐために鋼矢板による土留め壁の施工が行われる。そして、このような土留め壁に用いられる鋼矢板としては、従来、たとえば図13及び図14に示すように、ウェブ101と、このウェブ101の幅方向両端から屈曲して延びる一対のフランジ102,102と、この102,102の端部に形成された継手103,103とからなる樋状の屈曲形状の、いわゆるハット型鋼矢板100が広く知られている。
すなわち図13に示すように、複数の鋼矢板100を、その継手103同士を嵌合しながら地盤へ貫入することによって、掘削領域を囲むように土留め壁200を構築してから、図14に示すように開削予定領域の地盤を掘削除去することで、周囲の地盤の崩壊を防止する(下記の先行技術文献参照)。
特開2013−174104号公報 特開2007−146460号公報 特開昭56−111716号公報
ところが、上述のような鋼矢板100によって構築された土留め壁200は、掘削領域側と周囲地盤側へ反復的に屈曲した凹凸形状となることから、図13に示すように、敷地内地盤G1に、敷地外地盤G2との境界(敷地境界)Bぎりぎりの位置で鋼矢板100を貫入した場合は、図14に示すように、敷地内地盤の一部G1aが敷地境界Bと土留め壁200(鋼矢板100)の間に残存してしまうことになる。したがって、特に、掘削除去対象である敷地内地盤G1が汚染物質による汚染土壌からなるものである場合は、敷地境界Bの内側に汚染土壌が残存してしまうことになり、土壌汚染対策法に基づく要措置区域または形質変更時要届出区域指定の解除を受けることができないおそれがあるといった問題がある。
また、上述の工法によって敷地内地盤G1を完全に除去するには、鋼矢板100の貫入による土留め壁200の構築を、敷地境界Bより外側へ越境して行う必要があり、したがって、敷地外地盤G2の所有者から借地をする必要があった。
本発明は、以上のような点に鑑みてなされたものであって、その技術的課題は、鋼矢板による土留め壁を敷地外地盤に構築しなくても敷地内地盤を完全に除去することができ、汚染土壌除去や地下水処理工事に有効に適用可能とすることにある。
上述した技術的課題を有効に解決するための手段として、請求項1の発明に係る鋼矢板による土留め壁は、平板状のフランジ及びその幅方向両端に前記フランジの厚さ方向へ突出形成された一対の継手を備える鋼矢板本体と、前記フランジの外面に設けられたスペーサと、からなる複数の鋼矢板が、前記継手を介して互いに接続されて地盤に鉛直に貫入され、前記スペーサの外面が、前記継手による接続部の外側突出端面を結んだ仮想平面と略面一をなすものである。
請求項1の構成によれば、鋼矢板本体のフランジの外面と、この鋼矢板本体の幅方向両端の継手による接続部の外側突出端面を結んだ仮想平面との間の空間が、スペーサによってほぼ埋められているので、鋼矢板を地盤へ貫入したときに、前記空間への土砂の介入が排除される。このため、鋼矢板を、鋼矢板本体の接続部の外側突出端面及びこの鋼矢板本体のフランジに設けられたスペーサの外面が敷地境界に位置するように敷地内地盤へ貫入すれば、鋼矢板からなる土留め壁と敷地境界との間に敷地内地盤の一部が残存してしまうことがなく、したがって、掘削除去対象である敷地内地盤が汚染土壌からなるものである場合に、敷地境界の内側に汚染土壌が残存してしまうのを有効に防止することができる。
また、請求項の発明に係る鋼矢板による土留め壁は、請求項1に記載された構成において、フランジの内側へ延びると共にこのフランジの幅方向一端側を向いた第一ボックスフランジと、前記フランジの内側へ延びると共にこのフランジの幅方向他端側を向いた第二ボックスフランジを備え、複数の鋼矢板が互いに接続された状態において、継手による接続部の一方の鋼矢板における第一ボックスフランジと他方の鋼矢板における第二ボックスフランジが互いに接続されることにより画成されたボックス空間に、止水材が充填されたものである。
請求項の構成によれば、土留め壁における各鋼矢板の継手による接続部の内側に、第一ボックスフランジと第二ボックスフランジからなるボックス空間に充填された止水材によって、敷地外地盤からの土砂や地下水等の漏洩を遮断することができる。
請求項1の発明に係る鋼矢板による土留め壁によれば、複数の鋼矢板が接続された土留め壁と敷地境界との間に敷地内地盤の一部が残存してしまうのを防止することができ、したがって、掘削除去対象の敷地内地盤が汚染土壌からなるものである場合に、敷地境界の内側に汚染土壌が残存してしまうのを有効に防止することができる。
請求項の発明に係る鋼矢板による土留め壁によれば、請求項1による効果に加え、土留め壁の外側の地盤から掘削側へ継手による接続部の隙間を介して土砂や地下水が浸入するのを有効に防止することができる。
矢板による土留め壁の第一の実施の形態に用いる第一の鋼矢板を示す断面図である。 矢板による土留め壁の第一の実施の形態に用いる第二の鋼矢板を示す断面図である。 矢板による土留め壁の第一の実施の形態において、第一及び第二の鋼矢板による土留め壁を地中に貫入した状態を示す断面図である。 矢板による土留め壁の第一の実施の形態において、土留め壁の内側の地盤を掘削除去した状態を示す断面図である。 矢板による土留め壁の第一の実施の形態における形状変更例を示す断面図である。 矢板による土留め壁の第二の実施の形態に用いる鋼矢板を示す断面図である。 矢板による土留め壁の第二の実施の形態において、鋼矢板による土留め壁を地中に貫入した状態を示す断面図である。 矢板による土留め壁の第二の実施の形態において、土留め壁の内側の地盤を掘削除去した状態を示す断面図である。 矢板による土留め壁の第三の実施の形態に用いる鋼矢板を示す断面図である。 矢板による土留め壁の第三の実施の形態において、鋼矢板による土留め壁を地中に貫入した状態を示す断面図である。 矢板による土留め壁の第三の実施の形態において、土留め壁の接続部の内側に第一ボックスフランジと第二ボックスフランジにより画成されたボックス空間に止水材を充填した状態を示す断面図である。 矢板による土留め壁の第三の実施の形態において、土留め壁の内側の地盤を掘削除去した状態を示す断面図である。 従来の鋼矢板による土留構造の構築過程を示す説明図である。 従来の鋼矢板による土留構造を示す説明図である。
以下、鋼矢板による土留め壁の好ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。まず図1〜図4は、第一の実施の形態を示すもので、図1は、第一の実施の形態に用いる第一の鋼矢板10を示すものであり、図2は第二の鋼矢板20を示すものである。なお、第一の鋼矢板10及び第二の鋼矢板20は、請求項1に記載の鋼矢板に相当するものである。
図1に示す第一の鋼矢板10は、鋼矢板本体11とスペーサ12からなる。このうち鋼矢板本体11は、鋼材からなるものであって、平板状のフランジ111と、その幅方向両端にフランジ111の厚さ方向両側(地山の支承方向及びその反対方向)へ突出形成された一対の継手112,113と、フランジ111の幅方向中央部から地山の支承方向と反対側(内側)へ直角に延びるウェブ114と、このウェブ114における内側の端部に形成されフランジ111と平行に延びるサブフランジ115を備える。ウェブ114及びサブフランジ115は、フランジ111の曲げ強度を補償するものであり、サブフランジ115は、フランジ111よりも幅が狭いものとなっている。
継手112,113はフランジ111の幅方向へ互いに対称な略C字形の断面形状をなすものであって、それぞれ、フランジ111による地山の支承方向(外側)へ凸の湾曲形状に形成された爪部112a,113aと、その内側に形成され三角柱状又は断面略T字状の鈎部112b,113bからなり、この爪部112a,113aと鈎部112b,113bの間はアリ溝状、すなわち内部より開口端部のほうが狭い形状の凹部112c,113cとなっている。
一方、図2に示す第二の鋼矢板20も、鋼矢板本体21と、スペーサ22からなる。このうち鋼矢板本体21も上述した第一の鋼矢板10と同様、鋼材からなるものであって、平板状のフランジ211と、その幅方向両端にフランジ211の厚さ方向両側へ突出形成された一対の継手212,213と、フランジ211の幅方向中央部から地山の支承方向と反対側(内側)へ直角に延びるウェブ214と、このウェブ214における内側の端部に形成されフランジ211と平行に延びるサブフランジ215を備える。ウェブ214及びサブフランジ215は、フランジ211の曲げ強度を補償するものであり、サブフランジ215は、フランジ211よりも幅が狭いものとなっている。
継手212,213は、上述した第一の鋼矢板10における鋼矢板本体11の継手112,113を表裏逆向きにした断面形状を呈するものであって、すなわちそれぞれ、フランジ211の内側へ向けて凸の湾曲形状に形成された爪部212a,213aと、その外側に形成され三角柱状又は断面略T字状の鈎部212b,213bからなり、この爪部212a,213aと鈎部212b,213bの間はアリ溝状の凹部212c,213cとなっている。
第一の鋼矢板10における鋼矢板本体11の継手112,113と、第二の鋼矢板20における鋼矢板本体21の継手212,213は、その長手方向(図示の断面と直交する方向)へ互いに差し込むことによって、第一の鋼矢板10側の鈎部112b,113bが第二の鋼矢板20側の凹部212c,213cと幅方向へ抜け止め状態に係合されると共に、第二の鋼矢板20側の鈎部212b,213bが第一の鋼矢板10側の凹部112c,113cと幅方向へ抜け止め状態に係合され、これによって第一の鋼矢板10と第二の鋼矢板20がその幅方向へ交互に接続されるようになっている。
図1に示す第一の鋼矢板10におけるスペーサ12は、たとえば硬質の塩化ビニール板など硬質合成樹脂板からなるものであって、複数の螺子部材(たとえばボルト・ナット)13によって、鋼矢板本体11におけるフランジ111の外面(地山支承方向の面)に取り付けられている。そしてこのスペーサ12の幅は、鋼矢板本体11における継手112,113間のフランジ111の幅と略同等であって、厚さは、第一の鋼矢板10の継手112,113と第二の鋼矢板20の継手212,213による接続部C1,C2の外側突出端面の高さ、詳しくは、図示の例ではフランジ111の外面に対する継手112,113の爪部112a,113aの突出高さと略同等となっている。このため、スペーサ12の外面12aは、前記接続部C1,C2の外側突出端面を結んだ仮想平面Sと略面一をなしている。
図2に示す第二の鋼矢板20のスペーサ22は、第一の鋼矢板10のスペーサ12と同様、たとえば硬質の塩化ビニール板など硬質合成樹脂板からなるものであって、複数の螺子部材(たとえばボルト・ナット)23によって、鋼矢板本体21におけるフランジ211の外面に取り付けられている。そしてこのスペーサ22の幅は、鋼矢板本体21における継手212,213間のフランジ211の幅と略同等であって、厚さは、第一の鋼矢板10の継手112,113と第二の鋼矢板20の継手212,213による接続部C1,C2の外側突出端面の高さ、詳しくは、図示の例では第二の鋼矢板20の継手212,213と係合される第一の鋼矢板10の継手112,113の爪部112a,113aの突出高さと略同等となっている。このため、スペーサ22の外面22aは、前記接続部C1,C2の外側突出端面を結んだ仮想平面Sと略面一をなしている。
なお、図示の例では、第一の鋼矢板10と第二の鋼矢板20の接続状態において、継手112,113と継手212,213の形状により、フランジ111,211が厚さ方向へ互いに偏心した状態となるため、第一の鋼矢板10のスペーサ12と第二の鋼矢板20のスペーサ22は、厚さが互いに異なっているが、第一の鋼矢板10と第二の鋼矢板20の接続状態において、フランジ111,211が互いに面一となるものである場合は、スペーサ12,22の厚さを同一とすることができる。
上述の第一の鋼矢板10と第二の鋼矢板20を用いて、図4に示すように、例えば汚染土壌からなる敷地内地盤の掘削除去のための土留め壁1を構築するには、まず図3に示すように、第一の鋼矢板10と第二の鋼矢板20を、継手112,113と継手212,213による接続部C1,C2を介して交互に接続しながら、各接続部C1,C2の外端面及びスペーサ12,22の外面12a,22aが敷地内地盤G1と敷地外地盤G2との敷地境界Bに位置するように、公知のバイブロハンマー工法(不図示)等によって敷地内地盤G1へ順次鉛直に貫入して行く。
このとき、鋼矢板本体11,21のフランジ111,211の外面と、この鋼矢板本体11,21の幅方向両端の継手112,213による接続部C1及び継手113,212による接続部C2の外側突出端面を結んだ仮想平面Sとの間の空間が、スペーサ12,22によってほぼ埋められているので、第一の鋼矢板10及び第二の鋼矢板20を地盤へ貫入したときに、前記空間への土砂の介入を極力防止することができる。
また、継手112,213及び継手113,212の互いの嵌合面には、公知の膨潤性止水材をあらかじめ塗布しておけば、この膨潤性止水材が地下水によって膨潤して継手112,213による接続部C1の嵌合隙間及び継手113,212による接続部C2の嵌合隙間を埋めるので、敷地外地盤G2側から、接続部C1,C2を介して掘削側へ土砂や地下水が浸入するのを有効に防止することができる。
次に、敷地内地盤G1を掘削除去する。このとき、敷地内地盤G1の掘削による敷地境界Bの外側の地盤(敷地外地盤G2)は、図4に示すように、第一の鋼矢板10及び第二の鋼矢板20が交互に接続された土留め壁1によって支保される。なお、土留め壁1は、不図示の腹起こし材などにより補強される。
そして上記構成の土留め壁1は、敷地境界Bを越境して構築しなくても、敷地境界Bの内側に汚染土壌が残存してしまうのを有効に防止することができるため、敷地外地盤G2の所有者から借地する必要がない。
なお、スペーサ12,22の幅方向両端面12b,22bが外面12a,22aに対して垂直な面をなすものである場合、図4に示すように、前記端面12b,22bと接続部C1,C2との間に、汚染土壌からなる敷地内地盤の一部G1aが僅かながら残存してしまうことが懸念される。したがって、このような僅かな土砂の浸入も遮断するには、図5に第一の実施の形態における形状変更例として示すように、スペーサ12,22の幅方向両端面12c,22cを、接続部C1,C2の外面とほぼ密接可能な形状とすることが一層好ましい。
図6〜図8は、鋼矢板による土留め壁の第二の実施の形態を示すもので、図6は、この第二の実施の形態で用いる鋼矢板30を単体で示すものである。
図6に示す鋼矢板30は鋼材からなるものであって、平板状のフランジ31と、その幅方向一端に形成された第一継手32と、幅方向他端に形成された第二継手33と、フランジ31の幅方向中央部から地山の支承方向と反対側(内側)へ直角に延びるウェブ34と、このウェブ34における内側の端部に形成されフランジ31と平行に延びるサブフランジ35を備える。ウェブ34及びサブフランジ35は、フランジ31の曲げ強度を補償するものであり、サブフランジ35は、フランジ31よりも幅が狭いものとなっている。
第一継手32は、外面がフランジ31の外面と同一平面をなして延びる爪部32aと、フランジ31の内側へ向けて凸の湾曲形状に形成された爪部32bからなる略C字形の断面形状をなし、この爪部32a,32bの間はアリ溝状の凹部32cとなっている。
第二継手33は、第一継手32の凹部32cと幅方向へ抜け止め状態に係合可能な三角柱状又は断面略T字状の鈎部33aと、この鈎部33aとフランジ31の間にこのフランジ31の内側へ向けて屈曲するように形成されて第一継手32の爪部32aと係合可能な段差部33bからなる。
すなわちこの鋼矢板30は、第一継手32と、隣接配置される他の鋼矢板30の第二継手33を、その長手方向(図示の断面と直交する方向)へ互いに差し込むことによって、幅方向へ抜け止め状態に係合され、これによって複数の鋼矢板30がその幅方向へ接続された土留め壁が構築されるようになっている。そしてこの接続状態では、第一継手32と第二継手33による接続部C3の外面(第二継手33の段差部33bと係合した第一継手32の爪部32aの外面)が、フランジ31の外面と略面一をなすものである。
上述の鋼矢板30を用いて、図8に示すように、例えば汚染土壌からなる敷地内地盤の掘削除去のための土留め壁2を構築するには、まず図7に示すように、所要数の鋼矢板30を、第一継手32と第二継手33による接続部C3を介して互いに接続しながら、各接続部C3の外面及びフランジ31の外面が敷地内地盤G1と敷地外地盤G2との敷地境界Bに位置するように、公知のバイブロハンマー工法(不図示)等によって敷地内地盤G1へ順次鉛直に貫入して行く。
このとき、鋼矢板30のフランジ31の外面と、その幅方向両端の第一継手32及び第二継手33による接続部C3の外面が互いに略面一をなすことによって、土砂の介入を許容する空間がほとんどないため、複数の鋼矢板30からなる土留め壁2と敷地境界Bとの間への土砂の介入を極力防止することができる。
またこの場合も第一継手32及び第二継手33の互いの嵌合面には、たとえばゴム系樹脂に吸水性ポリマーを分散させた材質や、親水性ポリオール脂肪族イソシアネートからなるポリウレタン樹脂など、公知の膨潤性止水材をあらかじめ塗布しておけば、この膨潤性止水材が地下水によって膨潤して第一継手32及び第二継手33による接続部C3の嵌合隙間を埋めるので、敷地外地盤G2側から、接続部C3を介して掘削側へ土砂や地下水が浸入するのを有効に防止することができる。
次に、敷地内地盤G1を掘削除去する。このとき、敷地内地盤G1の掘削による敷地境界Bの外側の地盤(敷地外地盤G2)は、図8に示すように、複数の鋼矢板30が接続された土留め壁2によって支保される。なお、土留め壁2は、不図示の腹起こし材などにより補強される。
そして第一の実施の形態と同様、第一の実施の形態による土留め壁2も、敷地境界Bを越境して構築しなくても、敷地境界Bの内側に汚染土壌が残存してしまうのを有効に防止することができるため、敷地外地盤G2の所有者から借地する必要がない。
図9〜図12は、鋼矢板による土留め壁の第三の実施の形態を示すもので、図9は、この第三の実施の形態に用いる鋼矢板を示すものである。
図9に示す鋼矢板40は鋼材からなるものであって、平板状のフランジ41と、その幅方向一端に形成された第一継手42と、幅方向他端に形成された第二継手43と、フランジ41の幅方向中央部から地山の支承方向と反対側(内側)へ直角に延びるウェブ44と、このウェブ44における内側の端部に形成されフランジ41と平行に延びるサブフランジ45と、第一継手42とウェブ44の間でフランジ41から地山の支承方向と反対側(内側)へ略L字形の屈曲形状に延びて幅方向一端側を向いた第一ボックスフランジ46と、その先端に形成され、第一継手42の内側に位置する第一ボックスフランジ継手47と、第二継手43とウェブ44の間でフランジ41から地山の支承方向と反対側(内側)へ略L字形の屈曲形状に延びて幅方向他端側を向いた第二ボックスフランジ48と、その先端に形成され、第二継手42の内側に位置する第二ボックスフランジ継手49を備える。ウェブ44及びサブフランジ45は、フランジ41の曲げ強度を補償するものであり、サブフランジ45は、フランジ41よりも幅が狭いものとなっている。
第一継手42は、先に説明した第二の実施の形態における第一継手32と同様のものであって、すなわち外面がフランジ41の外面と同一平面をなして延びる爪部42aと、フランジ41の内側へ向けて凸の湾曲形状に形成された爪部42bからなる略C字形の断面形状をなし、この爪部42a,42bの間はアリ溝状の凹部42cとなっている。
第二継手43は、先に説明した第二の実施の形態における第二継手33と同様のものであって、すなわち第一継手42の凹部42cと幅方向へ抜け止め状態に係合可能な三角柱状又は断面略T字状の鈎部43aと、この鈎部43aとフランジ41の間にこのフランジ41の内側へ向けて屈曲するように形成されて第一継手42の爪部42aと係合可能な段差部43bからなる。
第一ボックスフランジ継手47は、略C字形の断面形状をなすように互いに対向する爪部47a,47bからなり、この爪部47a,47bの間はアリ溝状の凹部47cとなっている。
第二ボックスフランジ継手49は、先端に第一ボックスフランジ継手47の凹部47cと幅方向へ抜け止め状態に係合可能な三角柱状又は断面略T字状の鈎部47aが形成されたものである。
すなわちこの鋼矢板40は、図10に示すように、第一継手42と、幅方向へ隣接配置される他の鋼矢板40の第二継手43を、その長手方向(図示の断面と直交する方向)へ互いに差し込むと共に、第一ボックスフランジ継手47と第二ボックスフランジ継手49を、その長手方向(図示の断面と直交する方向)へ互いに差し込むことによって、幅方向へ抜け止め状態に係合され、これによって複数の鋼矢板40がその幅方向へ接続された土留め壁3が構築されるようになっている。そしてこの接続状態では、第一継手42と第二継手43による接続部C4の外面(第二継手43の段差部43bと係合した第一継手42の爪部42aの外面)が、フランジ41の外面と略面一をなすと共に、前記接続部C4の内側に、第一ボックスフランジ継手47と第二ボックスフランジ継手49による接続部C5を介して互いに接続された第一ボックスフランジ46と第二ボックスフランジ48によって、ボックス空間3aが画成されるようになっている。
上述の鋼矢板40を用いて、例えば汚染土壌からなる敷地内地盤の掘削除去のための土留め壁を構築するには、まず図10に示すように、所要数の鋼矢板40を、第一継手42と第二継手43による接続部C4及び第一ボックスフランジ継手47と第二ボックスフランジ継手49による接続部C5を介して互いに接続しながら、接続部C4の外面及びフランジ41の外面が敷地境界Bに位置するように、公知のバイブロハンマー工法(不図示)等によって敷地内地盤G1へ順次鉛直に貫入して行く。
このとき、鋼矢板40のフランジ41の外面と、その幅方向両端の第一継手42及び第二継手43による接続部C4の外面が互いに略面一をなすことによって、土砂の介入を許容する空間がほとんどないため、複数の鋼矢板40からなる土留め壁3と敷地境界Bとの間への土砂の介入を極力防止することができる。
また、敷地内地盤G1への鋼矢板40の貫入に伴って、接続部C5を介して互いに接続される第一ボックスフランジ継手47と第二ボックスフランジ継手49によって画成されるボックス空間3aには、敷地内地盤G1の土砂の一部G1bが取り込まれるので、これを不図示のウォータージェットにより排除してから、このボックス空間3aに、図11に示すように、モルタル等の水和反応固化剤からなる止水材4を充填する。
次に、敷地内地盤G1を掘削除去する。このとき、敷地内地盤G1の掘削による敷地境界Bの外側の地盤(敷地外地盤G2)は、図12に示すように、複数の鋼矢板40が接続された土留め壁3によって支保される。なお、土留め壁3は、不図示の腹起こし材などにより補強される。
この第三の実施の形態によれば、鋼矢板40の接続部C4における第一継手42と第二継手43の間の隙間が、その内側から止水材4によって完全に封止されるので、敷地外地盤G2側から、前記接続部C4を介して掘削側へ土砂や地下水が浸入するのを確実に防止することができる。
なお、第三の実施の形態は、図6〜図8に示す第二の実施の形態と同様の構成を備える鋼矢板の継手の内側に、第一ボックスフランジ継手47と第二ボックスフランジ継手49によるボックス空間3aを画成して止水材4を充填することによる封止構造を付加したものであるが、第一の実施の形態のように、鋼矢板本体のフランジの外面にスペーサを設けるタイプのものについても同様に、鋼矢板本体の継手の内側に、第一ボックスフランジ継手と第二ボックスフランジ継手によるボックス空間を画成して止水材を充填することによる封止構造を付加しても良い。
1〜3 土留め壁
3a ボックス空間
4 止水材
10 第一の鋼矢板(鋼矢板)
11,21 鋼矢板本体
111,211,31,41 フランジ
112,113,212,213 継手
12,22 スペーサ
20 第二の鋼矢板(鋼矢板)
212,213 継手
30,40 鋼矢板
32,42 第一継手(継手)
33,43 第二継手(継手)
46 第一ボックスフランジ
48 第二ボックスフランジ
B 敷地境界
C1〜C5 接続部
G1 敷地内地盤
G2 敷地外地盤
S 仮想平面

Claims (2)

  1. 平板状のフランジ及びその幅方向両端に前記フランジの厚さ方向へ突出形成された一対の継手を備える鋼矢板本体と、前記フランジの外面に設けられたスペーサと、からなる複数の鋼矢板が、前記継手を介して互いに接続されて地盤に鉛直に貫入され、前記スペーサの外面が、前記継手による接続部の外側突出端面を結んだ仮想平面と略面一をなすことを特徴とする鋼矢板による土留め壁。
  2. フランジの内側へ延びると共にこのフランジの幅方向一端側を向いた第一ボックスフランジと、前記フランジの内側へ延びると共にこのフランジの幅方向他端側を向いた第二ボックスフランジを備え、複数の鋼矢板が互いに接続された状態において、継手による接続部の一方の鋼矢板における第一ボックスフランジと他方の鋼矢板における第二ボックスフランジが互いに接続されることにより画成されたボックス空間に、止水材が充填されたことを特徴とする請求項1に記載の鋼矢板による土留め壁。
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