JP6284265B2 - 誤発進抑制システム - Google Patents

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Description

本発明は、誤発進抑制システムに関するものである。
従来、車両が停止している状態において、ブレーキペダルとアクセルペダルを間違えて踏んで車両を発進させたり、車両のギヤポジションが運転者の意図する進行方向とは逆の方向になっていることに気付かず車両を発進させたりすることによって、衝突等の事故が発生する場合があった。
これに対して従来技術では、車両に搭載された撮像装置によって撮像された画像に基づいて運転者の意図する進行方向を判別し、判別した進行方向とギヤポジションの一致/不一致に応じて車両の発進を許可/阻止する誤発進防止装置が知られていた。
特開2008−4040号公報
しかしながら、従来技術は、簡素な構成で車両の誤発進を抑制することは考慮されていない。
すなわち、従来技術は、車両を前進方向に発進させるときに視線を向けるべき前方位置に第1の撮像カメラを設置し、後進方向に発進させるときに視線を向ける可能性の高いリアウィンド、ルームミラー、左右のバックミラーの4か所に第2〜第5の撮像カメラを設置する。従来技術は、第1〜第5の撮像カメラによって撮像された画像に基づいて運転者の意図する進行方向を判別し、判別した進行方向とギヤポジションの一致/不一致に応じて車両の発進を許可/阻止する。従来技術によれば、複数台の撮像カメラを設置する必要があるので、誤発進抑制システムの構成が複雑化するおそれがある。
そこで、本願発明は、簡素な構成で車両の誤発進を抑制することを課題とする。
本願発明の誤発進抑制システムの一形態は、上記課題に鑑みなされたもので、車両に搭載された電波照射部と、前記電波照射部から照射され物体に衝突して反射した電波を検出する電波検出部と、前記電波検出部によって検出された電波が前記物体と前記電波照射部又は前記車両との間を複数回往復した多重反射電波であるか否かを判定する判定部と、前記電波検出部によって検出された電波が前記判定部によって前記多重反射電波であると判定されたら前記車両の誤発進抑制モードを作動させる誤発進制御部と、を備えることを特徴とする。
また、前記誤発進制御部は、前記車両の速度があらかじめ設定された閾値以下の状態で、前記電波検出部によって検出された電波が前記判定部によって前記多重反射電波であると判定され、その後、前記車両が発進している場合に、前記誤発進抑制モードを作動させる、ことができる。
また、前記誤発進制御部は、前記電波検出部によって検出された電波が前記判定部によって前記多重反射電波であると判定され、かつ、前記電波の照射方向と前記車両のギヤポジションに基づく前記車両の進行方向とが一致する場合に、前記誤発進抑制モードを作動させる、ことができる。
また、前記誤発進制御部は、前記車両のエンジン出力を抑制するか又は前記車両のブレーキシステムを作動させることによって前記誤発進抑制モードを作動させる、ことができる。
また、前記判定部は、前記電波検出部によって検出された電波の周波数又は振幅に基づいて、前記電波検出部によって検出された電波が前記物体と前記電波照射部又は前記車両との間を複数回往復した多重反射電波であるか否かを判定する、ことができる。
また、前記電波検出部によって検出された電波の搬送時間に基づいて前記物体と前記電波照射部又は前記車両との距離を推定する距離推定部をさらに備え、前記判定部は、第1の状態において前記距離推定部によって推定された複数の第1距離と、前記第1の状態の後に前記車両が移動した第2の状態において前記距離推定部によって推定された複数の第2距離と、を比較し、前記複数の第1距離相互の関係と前記複数の第2距離相互の関係とが対応して変化している場合に、前記電波検出部によって検出された電波が前記物体と前記電波照射部又は前記車両との間を複数回往復した多重反射電波であると判定する、ことができる。
また、前記電波照射部は、前記電波として中域周波数のレーダーを照射する、ことができる。
かかる本願発明によれば、簡素な構成で車両の誤発進を抑制することができる。
図1は、誤発進抑制システムを含む車両の概略構成を示す図である。 図2は、誤発進抑制システムの構成を示す図である。 図3は、コンビニエンスストアの前に車両を駐車した状態で検出された多重反射電波を模式的に示す図である。 図4は、物置の前に車両を駐車した状態で検出された多重反射電波を模式的に示す図である。 図5は、建物の壁の前に車両を駐車した状態で検出された多重反射電波を模式的に示す図である。 図6は、誤発進抑制システムで用いられる信号の種類とその目的とを示す図である。 図7は、誤発進抑制システムによる第1実施形態の処理フローを示す図である。 図8は、誤発進抑制システムによる第2実施形態の処理フローを示す図である。 図9は、第2実施形態の処理フローにおける等間隔反射距離の変化を示す図である。
以下、本願発明の一実施形態に係る誤発進抑制システムを図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、中距離レーダーであるMRR(Mid Range Rader)を用いる例を示すが、MRRに限らず、電波を照射するとともに物体(例えば、車両の前方に存在する壁などの障害物)から反射した電波を検出することができるデバイスを用いることができる。また、以下の説明では、車両の前方にMRRを搭載して車両が前進方向に誤発進するのを抑制する例を示すが、これに限らず、車両の後方にMRRを搭載し、車両が後進方向に誤発進するのを抑制することもできる。
図1は、誤発進抑制システムを含む車両の概略構成を示す図である。図1に示すように、車両1000には、車輪スピードセンサ100、躁舵角センサ200、ヨーレートセンサ300、MRR400、及びECU500が搭載されている。
車輪スピードセンサ100は、4つの車輪のそれぞれに設けられており、各車輪の速度を検出するセンサである。躁舵角センサ200は、ステアリングホイールの回転角度を検出するセンサである。
ヨーレートセンサ300は、車両1000の回転速度を検出するセンサである。また、ヨーレートセンサ300は、車両1000の加速度を検出するセンサである。
MRR400は、車両1000の前方に搭載されている。MRR400は、車両1000の前方に向けて中域周波数(76〜77Ghz)の電波を照射するとともに、電波の搬送路に存在する物体に衝突して反射した電波を検出する機能を有する。
車輪スピードセンサ100、躁舵角センサ200、ヨーレートセンサ300、及びMRR400は、ECU500に接続されている。なお、図1には示していないが、車両1000には、上記の各種センサの他に、ブレーキの踏力を検出するためのセンサ(例えば、ブレーキペダルのストロークセンサ又はブレーキ液のマスタシリンダの圧力を検出する圧力センサなど)、アクセル開度を検出するセンサ、ギヤポジションを検出するセンサ、エンジン出力を検出するセンサなどが搭載されている。
図2は、誤発進抑制システムの構成を示す図である。誤発進抑制システム600は、MRR400に含まれる電波照射部410及び電波検出部420と、ECU500に含まれる判定部510、誤発進制御部520、及び距離推定部530と、を備える。
電波照射部410は、車両1000の前方に向けて76〜77Ghzの電波を照射する。電波検出部420は、電波照射部410から照射され、電波の搬送路に存在する物体に衝突して反射した電波を検出する。例えば、電波検出部420は、電波照射部410から照射され物体に衝突して反射した1往復反射(シングルリフレクション)の電波を検出する。これに加えて、電波検出部420は、1往復反射の電波が再び電波照射部410又は車両1000に衝突して物体に向けて反射し、物体に衝突して反射した2往復反射(ダブルリフレクション)の電波を検出する。また、電波検出部420は、場合によっては、3往復反射(トリプルリフレクション)の電波、さらに多くの回数反射した電波も検出する。
ここで、車両と物体との間の電波の多重反射について説明する。図3は、コンビニエンスストアの前に車両を駐車した状態で検出された多重反射電波を模式的に示す図である。
図3は、MRR400から照射された電波の照射範囲と、物体の存在が検出された箇所を示すマーキングとを示している。図3において、縦軸はMRR400からの距離を示している。図3に示すように、MRR400の前方約2.00mの箇所にマーキング910によって物体の存在が検出されている。これは、車両の前方に位置するコンビニエンスストアのガラス窓に1回反射した電波によって検出されたものである(シングルリフレクション)。
これに加えて、図3に示すように、MRR400の前方約4.00mの箇所にマーキング920によって物体の存在が検出され、MRR400の前方約6.00mの箇所にマーキング930によって物体の存在が検出されている。これは、車両とコンビニエンスストアのガラス窓との間で多重反射した電波によって検出されたものである。すなわち、マーキング920,930は、車両とコンビニエンスストアのガラス窓との間で2重反射(ダブルリフレクション)、及び3重反射(トリプルリフレクション)した電波が検出されたことを示している。
また、図4は、物置の前に車両を駐車した状態で検出された多重反射電波を模式的に示す図である。図5は、建物の壁の前に車両を駐車した状態で検出された多重反射電波を模式的に示す図である。
図4においては、マーキング940,950が示すように、車両と物置との間で1重反射(シングルリフレクション)、及び2重反射(ダブルリフレクション)した電波が検出されている。図5においては、マーキング960,970が示すように、車両と建物の壁との間で1重反射(シングルリフレクション)、及び2重反射(ダブルリフレクション)した電波が検出されている。
図2の説明に戻って、判定部510は、電波検出部420によって検出された電波が物体と電波照射部410又は車両1000との間を複数回往復した多重反射電波であるか否かを判定する。例えば、電波が物体に衝突して反射する際には、周波数偏移又は振幅変化などが生じ得る。電波照射部410から照射された電波が物体に1回衝突して反射された場合と、車両と物体との間で複数回反射した場合とでは、検出された周波数の偏移又は振幅変化が異なり得る。そこで、一例として、判定部510は、電波検出部420によって検出された電波の周波数又は振幅に基づいて、検出された電波が物体と電波照射部410又は車両1000との間を1回往復した電波であるのか、それとも2回以上往復した電波(多重反射電波)であるのかを判定する。
誤発進制御部520は、電波検出部420によって検出された電波が判定部510によって多重反射電波であると判定されたら、車両1000の誤発進抑制モードを作動させる。具体的には、誤発進制御部520は、電波検出部420によって検出された電波が判定部510によって多重反射電波であると判定されたら、車両1000のエンジン出力を抑制するか又は車両1000のブレーキシステムを作動させることによって誤発進抑制モードを作動させる。
すなわち、車両1000の前方に移動物が存在する場合、多重反射電波は検出され難い。これに対して、建物の壁などの静止物体が車両の前方に存在する場合には、多重反射電波が検出され易い。そこで、判定部510によって多重反射電波が検出されたということは、車両1000の前方に物体が存在しているということが推定されるので、誤発進制御部520は、エンジン出力を抑制するための信号をエンジンユニット700へ出力するか、又はブレーキシステム800(ABS)を作動させることによって、車両1000が物体に衝突する事故を抑制する。
距離推定部530は、電波検出部420によって検出された電波の搬送時間に基づいて物体と電波照射部410又は車両1000との距離を推定する。すなわち、電波照射部410から照射される電波の速度は既知であるので、距離推定部530は、電波を照射してから検出されるまでの搬送時間を計測することで、物体と電波照射部410又は車両1000との距離を推定することができる。
判定部510は、第1の状態において距離推定部530によって推定された複数の第1距離と、第1の状態の後に車両が移動した第2の状態において距離推定部530によって推定された複数の第2距離と、を比較する。判定部510は、複数の第1距離相互の関係と複数の第2距離相互の関係とが対応して変化している場合に、電波検出部420によって検出された電波が物体と電波照射部410又は車両との間を複数回往復した多重反射電波であると判定することができる。
次に、誤発進抑制システムで用いられる信号の種類とその目的について説明する。図6は、誤発進抑制システムで用いられる信号の種類とその目的とを示す図である。
図6に示すように、MRR400のダブルリフレクションは、物体の検出又は車両1000と物体との距離の推定に用いられる。具体的には、判定部510は、MRR400のダブルリフレクションに基づいて車両の前方に物体があることを検出する。また、距離推定部530は、MRR400のダブルリフレクションに基づいて車両と物体との間の距離を推定する。
また、車両速度、ブレーキ踏力、及びアクセル開度は、車両1000の停車状態の検出、又は運転者の意図(車両の停車状態を維持しようとしているのか、又は車両を発進させようとしているのか)を検出するのに用いられる。
誤発進制御部520は、例えば、車両1000の速度があらかじめ設定された閾値以下の状態で、電波検出部420によって検出された電波が判定部510によって多重反射電波であると判定されたら車両1000の誤発進抑制モードを作動させることができる。すなわち、誤発進制御部520は、車両1000が停車又は停車に近い状態において、ブレーキペダルとアクセルペダルを間違えて踏んで車両を発進させたり、車両1000のギヤポジションが運転者の意図する進行方向とは逆の方向になっていることに気付かず車両1000を発進させたりすることによって衝突事故が発生するのを抑制するためのものである。そこで、例えば時速3Kmなどの閾値があらかじめ設定される。誤発進制御部520には、車輪スピードセンサ100が接続される。誤発進制御部520は、車輪スピードセンサ100によって検出された車両1000の速度があらかじめ設定された閾値以下の状態で、判定部510によって多重反射電波が判定されたら車両1000の誤発進抑制モードを作動させることができる。
また、誤発進制御部520には、ブレーキ踏力を検出するセンサ110が接続される。誤発進制御部520は、センサ110によって検出されたブレーキ踏力が所定以上である場合に、車両の停車状態を検出することができる。誤発進制御部520は、車両1000が停車状態である場合に、電波検出部420によって検出された電波が判定部510によって多重反射電波であると判定されたら車両1000の誤発進抑制モードを作動させることができる。
また、誤発進制御部520には、アクセル開度を検出するセンサ120が接続される。誤発進制御部520は、センサ120によって検出されたアクセル開度が所定以下である場合に、車両の停車状態を検出することができる。誤発進制御部520は、車両1000が停車状態である場合に、電波検出部420によって検出された電波が判定部510によって多重反射電波であると判定されたら車両1000の誤発進抑制モードを作動させることができる。
また、誤発進制御部520は、センサ120によって検出されたアクセル開度が急激に大きくなった場合に、車両の発進又は急発進を検出することができる。誤発進制御部520は、電波検出部420によって検出された電波が判定部510によって多重反射電波であると判定され、かつ、車両1000が発進又は急発進している場合に、誤発進抑制モードを作動させることができる。
また、ギヤポジションは、車両1000の進行方向(前進又は後進)を判別するのに用いられる。すなわち、誤発進制御部520には、ギヤポジションを検出するセンサ130が接続される。誤発進制御部520は、電波検出部420によって検出された電波が判定部510によって多重反射電波であると判定され、かつ、電波の照射方向と車両のギヤポジションに基づく車両の進行方向とが一致する場合に、誤発進抑制モードを作動させることができる。
また、車両加速度は、車両の走行状態を検出するのに用いられる。すなわち、誤発進制御部520には、ヨーレートセンサ300が接続される。誤発進制御部520は、ヨーレートセンサ300によって検出された車両の加速度に基づいて車両の走行状況を検出することができる。例えば、誤発進制御部520は、ヨーレートセンサ300によって検出された車両の加速度が所定以下であれば、車両が停車していることを検出することができる。誤発進制御部520は、車両1000が停車状態である場合に、電波検出部420によって検出された電波が判定部510によって多重反射電波であると判定されたら車両1000の誤発進抑制モードを作動させることができる。また、ヨーレートセンサ300によって検出された車両の加速度が所定以上であれば、車両の急発進を検出することができる。
また、エンジン出力は、車両の走行状態を検出するのに用いられる。すなわち、誤発進制御部520には、エンジン出力を検出するセンサ140が接続される。誤発進制御部520は、センサ140によって検出されたエンジン出力に基づいて車両の走行状況を検出することができる。例えば、誤発進制御部520は、センサ140によって検出されたエンジン出力が所定以下であれば、車両が停車していることを検出することができる。
<第1実施形態>
次に、誤発進抑制システムによる第1実施形態の処理フローについて説明する。図7は、誤発進抑制システムによる第1実施形態の処理フローを示す図である。
まず、誤発進制御部520は、判定部510によって、電波の周波数又は振幅に基づいてダブルリフレクション(物体と電波照射部410又は車両1000との間を2回以上往復した多重反射電波)が検出されたら(ステップS101)、車両が停止しているか否かを判定する(ステップS102)。例えば、誤発進制御部520は、車輪スピードセンサ100によって検出された車両の速度があらかじめ設定された速度以下である場合、センサ110によって検出されたブレーキ踏力が所定以上である場合、又はセンサ120によって検出されたアクセル開度が所定以下である場合に、車両が停車していると判定することができる。
誤発進制御部520は、車両が停止していないと判定した場合は(ステップS102,No)、ステップS101へ戻る。一方、誤発進制御部520は、車両が停止していると判定した場合は(ステップS102,Yes)、ギヤポジションが後進(Reverse(バック))になっているか否かを判定する(ステップS103)。
誤発進制御部520は、ギヤポジションが後進になっていると判定した場合には(ステップS103,Yes)、誤発進抑制モードを起動させることなく、車両を通常発進させる(ステップS104)。すなわち、誤発進制御部520は、ダブルリフレクションの検出によって車両の前方に物体が存在することが推定されているので、車両が後進したとしても衝突のおそれがないと判断し、誤発進抑制モードを起動させない。
一方、誤発進制御部520は、ギヤポジションが後進になっていると判定した場合には(ステップS103,No)、車両が発進又は急発進しているか否かを判定する(ステップS105)。誤発進制御部520は、例えば、センサ120によって検出されたアクセル開度が所定以上である場合、又はヨーレートセンサ300によって検出された車両の加速度が所定以上である場合に、車両が発進又は急発進していると判定する。
誤発進制御部520は、車両が発進又は急発進していないと判定した場合には(ステップS105,No)、ステップS101へ戻る。
一方、誤発進制御部520は、車両が発進又は急発進していると判定した場合には(ステップS105,Yes)、車両が誤発進していると判定する(ステップS106)。
その後、誤発進制御部520は、エンジン出力があらかじめ設定された閾値より大きいか否かを判定する(ステップS107)。誤発進制御部520は、エンジン出力があらかじめ設定された閾値より大きくなるまでステップS107の判定を繰り返す(ステップS107,No)。
一方、誤発進制御部520は、エンジン出力があらかじめ設定された閾値より大きくなったら(ステップS107,Yes)、エンジン出力を抑制する(ステップS108)。具体的には、誤発進制御部520は、誤発進抑制モードを作動させ、エンジン出力を抑制すべきことを示す信号をエンジンユニット700へ送信する。
また、誤発進制御部520は、ステップS106の後、車両の加速度があらかじめ設定された閾値より大きいか否かを判定する(ステップS109)。誤発進制御部520は、車両の加速度があらかじめ設定された閾値より大きくなるまでステップS109の判定を繰り返す(ステップS109,No)。
一方、誤発進制御部520は、車両の加速度があらかじめ設定された閾値より大きくなったら(ステップS109,Yes)、自動で緊急ブレーキをかける(ステップS110)。具体的には、誤発進制御部520は、誤発進抑制モードを作動させ、ABSなどのブレーキシステム800を作動させる。
第1実施形態によれば、従来技術のような複数の撮像カメラを設置する必要がないので、簡素な構成で車両の誤発進を抑制することができる。また、従来技術の場合、撮像カメラのレンズに汚れ又は曇りなどの障害が発生した場合、誤発進であるか否かの判定が難しくなるが、第1実施形態によれば、撮像カメラを用いないので、より確実に車両の誤発進を抑制することができる。さらに、近年のバックモニターの普及等を考慮すると、車両を後進させる際に運転者がリアウィンド、ルームミラー、左右のバックミラーを目視しない場合も考えられるので、従来技術では誤発進抑制が難しい場合がある。これに対して第1実施形態によれば、撮像カメラを用いないので、より確実に車両の誤発進を抑制することができる。
<第2実施形態>
次に、誤発進抑制システムによる第2実施形態の処理フローについて説明する。図8は、誤発進抑制システムによる第2実施形態の処理フローを示す図である。第1実施形態では、電波検出部420によって検出された電波の周波数又は振幅に基づいて多重反射電波を検出する例を示したが、これには限られない。
まず、誤発進制御部520は、MRR400の電波照射方向にMRR400から等間隔に並ぶ少なくとも2つの等間隔反射が距離推定部530によって検出されたら(ステップS201)、車両が発進しているか否かを判定する(ステップS202)。例えば、誤発進制御部520は、車輪スピードセンサ100によって検出された車両の速度があらかじめ設定された速度より大きい場合、センサ110によって検出されたブレーキ踏力が所定未満である場合、又はセンサ120によって検出されたアクセル開度が所定より大きい場合に、車両が発進していると判定することができる。
誤発進制御部520は、車両が発進していないと判定したら(ステップS202,No)、ステップS201へ戻る。
一方、判定部510は、車両が発進していると判定されたら(ステップS202,Yes)、等間隔反射距離が共に変化しているか否かを判定する(ステップS203)。判定部510は、等間隔反射距離が共に変化していないと判定した場合(ステップS203,No)、ステップS201へ戻る。
一方、判定部510は、等間隔反射距離が共に変化していると判定した場合(ステップS203,Yes)、ダブルリフレクションを検出する(ステップS204)。
この点について図を用いて説明する。等間隔反射は、例えば、キャッツアイ、車線上にあるポールなど実際に等間隔に並んでいるものがあれば検出される。このように実際に等間隔に並んでいるものから反射した電波を検出した場合、等間隔反射距離が共に変化することはない。言い換えると、第1の状態において推定された複数の第1距離相互の関係と、第1の状態の後に車両が移動した第2の状態において推定された複数の第2距離相互の関係は、対応しない。
これに対して図9は、第2実施形態の処理フローにおける等間隔反射距離の変化を示す図である。図9は、車両の前方に存在する物体によってシングルリフレクション、ダブルリフレクション、トリプルリフレクションが検出された状態を示している。図9上部に示すように、第1の状態において距離推定部530によって複数の第1距離(約5m,約10m,約15m)が推定されたとする。また、図9下部に示すように、第1の状態の後に、車両が移動した第2の状態において距離推定部530によって複数の第2距離(約4m,約8m,約12m)が推定されたとする。判定部510は、第1の状態において推定された複数の第1距離(約5m,約10m,約15m)と、第2の状態において推定された複数の第2距離(約4m,約8m,約12m)と、を比較する。この場合、判定部510は、複数の第1距離相互の関係が、約4m,約8m,約12mというように約2倍、約3倍となっており、複数の第2距離相互の関係も、約5m,約10m,約15mというように約2倍、約3倍となっており、対応して変化しているので、電波検出部420によって検出された電波が物体と電波照射部410又は車両との間を複数回往復した多重反射電波であると判定する。
ステップS204の後、誤発進制御部520は、等間隔反射距離が短くなっているか否かを判定する(ステップS205)。
誤発進制御部520は、等間隔反射距離が短くなっていないと判定した場合(ステップS205,No)、誤発進抑制モードを起動させることなく、車両を通常発進させる(ステップS206)。すなわち、誤発進制御部520は、ダブルリフレクションの検出によって車両の前方に物体が存在することが推定されているが、車両が物体から遠ざかる方向(後進方向)に移動したとしても衝突のおそれがないと判断し、誤発進抑制モードを起動させない。
一方、誤発進制御部520は、等間隔反射距離が短くなっていると判定した場合(ステップS205,Yes)、物体に衝突する危険性があるか否かを判定する(ステップS207)。例えば、誤発進制御部520は、距離推定部530によって推定された距離があらかじめ設定された閾値よりも小さくなった場合に、車両が物体に衝突する危険性があると判定する。
誤発進制御部520は、物体に衝突する危険性がないと判定した場合には(ステップS207,No)、誤発進抑制モードを起動させることなく、車両を通常発進させる(ステップS206)。
一方、誤発進制御部520は、物体に衝突する危険性があると判定した場合には(ステップS207,Yes)、エンジン出力があらかじめ設定された閾値より大きいか否かを判定する(ステップS208)。誤発進制御部520は、エンジン出力があらかじめ設定された閾値より大きくなるまでステップS208の判定を繰り返す(ステップS208,No)。
一方、誤発進制御部520は、エンジン出力があらかじめ設定された閾値より大きくなったら(ステップS208,Yes)、エンジン出力を抑制する(ステップS209)。具体的には、誤発進制御部520は、誤発進抑制モードを作動させ、エンジン出力を抑制すべきことを示す信号をエンジンユニット700へ送信する。
また、誤発進制御部520は、ステップS207の後、車両の加速度があらかじめ設定された閾値より大きいか否かを判定する(ステップS210)。誤発進制御部520は、車両の加速度があらかじめ設定された閾値より大きくなるまでステップS210の判定を繰り返す(ステップS210,No)。
一方、誤発進制御部520は、車両の加速度があらかじめ設定された閾値より大きくなったら(ステップS210,Yes)、自動で緊急ブレーキをかける(ステップS211)。具体的には、誤発進制御部520は、誤発進抑制モードを作動させ、ABSなどのブレーキシステム800を作動させる。
第2実施形態によれば、第1実施形態と同様に、従来技術のような複数の撮像カメラを設置する必要がないので、簡素な構成で車両の誤発進を抑制することができる。また、従来技術の場合、撮像カメラのレンズに汚れ又は曇りなどの障害が発生した場合、誤発進であるか否かの判定が難しくなるが、第2実施形態によれば、撮像カメラを用いないので、より確実に車両の誤発進を抑制することができる。さらに、近年のバックモニターの普及等を考慮すると、車両を後進させる際に運転者がリアウィンド、ルームミラー、左右のバックミラーを目視しない場合も考えられるので、従来技術では誤発進抑制が難しい場合がある。これに対して第2実施形態によれば、撮像カメラを用いないので、より確実に車両の誤発進を抑制することができる。さらに、第2実施形態によれば、車両の移動前後において等間隔反射距離が共に変化しているかによって多重反射電波を検出しているので、より確実に多重反射電波を検出することができる。
410 電波照射部
420 電波検出部
510 判定部
520 誤発進制御部
530 距離推定部
600 誤発進抑制システム
700 エンジンユニット
800 ブレーキシステム
1000 車両

Claims (7)

  1. 車両に搭載された電波照射部と、
    前記電波照射部から照射され物体に衝突して反射した電波を検出する電波検出部と、
    前記電波検出部によって検出された電波が前記物体と前記電波照射部又は前記車両との間を複数回往復した多重反射電波であるか否かを判定する判定部と、
    前記電波検出部によって検出された電波が前記判定部によって前記多重反射電波であると判定され、かつ前記車両の発進又は急発進が検出されたら前記車両の誤発進抑制モードを作動させる誤発進制御部と、
    を備えることを特徴とする誤発進抑制システム。
  2. 請求項1の誤発進抑制システムにおいて、
    前記誤発進制御部は、前記車両の速度があらかじめ設定された閾値以下の状態で、前記電波検出部によって検出された電波が前記判定部によって前記多重反射電波であると判定され、その後、前記車両が発進している場合に、前記誤発進抑制モードを作動させる、
    ことを特徴とする誤発進抑制システム。
  3. 請求項1又は2の誤発進抑制システムにおいて、
    前記誤発進制御部は、前記電波検出部によって検出された電波が前記判定部によって前記多重反射電波であると判定され、かつ、前記電波の照射方向と前記車両のギヤポジションに基づく前記車両の進行方向とが一致する場合に、前記誤発進抑制モードを作動させる、
    ことを特徴とする誤発進抑制システム。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項の誤発進抑制システムにおいて、
    前記誤発進制御部は、前記車両のエンジン出力を抑制するか又は前記車両のブレーキシステムを作動させることによって前記誤発進抑制モードを作動させる、
    ことを特徴とする誤発進抑制システム。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項の誤発進抑制システムにおいて、
    前記判定部は、前記電波検出部によって検出された電波の周波数又は振幅に基づいて、前記電波検出部によって検出された電波が前記物体と前記電波照射部又は前記車両との間を複数回往復した多重反射電波であるか否かを判定する、
    ことを特徴とする誤発進抑制システム。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項の誤発進抑制システムにおいて、
    前記電波検出部によって検出された電波の搬送時間に基づいて前記物体と前記電波照射部又は前記車両との距離を推定する距離推定部をさらに備え、
    前記判定部は、第1の状態において前記距離推定部によって推定された複数の第1距離と、前記第1の状態の後に前記車両が移動した第2の状態において前記距離推定部によって推定された複数の第2距離と、を比較し、前記複数の第1距離相互の関係と前記複数の第2距離相互の関係とが対応して変化している場合に、前記電波検出部によって検出された電波が前記物体と前記電波照射部又は前記車両との間を複数回往復した多重反射電波であると判定する、
    ことを特徴とする誤発進抑制システム。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項の誤発信抑制システムにおいて、
    前記電波照射部は、前記電波として中域周波数のレーダーを照射する、
    ことを特徴とする誤発進抑制システム。
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