(第1の実施形態)
以下、遊技機の第1の実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、遊技機としてのパチンコ遊技機10には、発射装置としての発射ハンドルHDが設けられている。発射ハンドルHDが回動動作されることにより、遊技盤YBへ遊技球が発射される。
次に、遊技盤YBの構成を詳しく説明する。
図2に示すように、パチンコ遊技機10に装着される遊技盤YBの盤面には、外レール部材R1、内レール部材R2、及びコーナー飾り部材R3が配設されており、これらの各部材によって正面視ほぼ円形状の遊技領域YBaが画成されている。また、外レール部材R1と内レール部材R2との間には、発射ハンドルHDの操作によって発射された遊技球が案内される打出し通路Raが画成されている。発射された遊技球は、打出し通路Raを案内されるとともに、内レール部材R2の先端に位置する逆戻り防止弁R4を通過することによって、遊技領域YBaに到達する。
遊技盤YBには、第1特別図柄表示装置11及び第2特別図柄表示装置12が配設されている。この実施形態において第1特別図柄表示装置11は、遊技領域YBaの左下方に位置している。また、第2特別図柄表示装置12は、遊技領域YBaの右下方に位置している。第1特別図柄表示装置11では、第1特別図柄を用いる第1特別図柄変動ゲームが行われる。また、第2特別図柄表示装置12では、第2特別図柄を用いる第2特別図柄変動ゲームが行われる。なお、以下の説明において「第1特別図柄変動ゲーム」「第2特別図柄変動ゲーム」を特定しない場合には、単に「特別図柄変動ゲーム」と記載する。
第1特別図柄変動ゲームでは、大当りか否かの大当り抽選の抽選結果に応じた第1特別図柄が導出される。同様に、第2特別図柄変動ゲームでは、大当り抽選の抽選結果に応じた第2特別図柄が導出される。第1特別図柄及び第2特別図柄は、大当りを認識し得る大当り図柄と、はずれを認識し得るはずれ図柄に分類される。
遊技領域YBaには、各種の装飾を施したセンター役物SYが装着されているとともに、センター役物SYに開口されたセット口SYaには画像表示部GHを有する演出表示装置13が配設されている。演出表示装置13の画像表示部GHは、例えば液晶ディスプレイ型の表示部である。演出表示装置13では、第1,第2特別図柄変動ゲームに関連する表示演出が行われる。表示演出の一例として、飾り図柄を用いた飾り図柄変動ゲームなどが行われる。
また、演出表示装置13には、第1,第2特別図柄変動ゲームの表示結果に応じた表示結果が導出される。第1特別図柄変動ゲーム又は第2特別図柄変動ゲームで大当り図柄が導出される場合には、演出表示装置13にも飾り図柄による大当りの図柄組み合わせが導出される。また、第1特別図柄変動ゲーム又は第2特別図柄変動ゲームではずれ図柄が導出される場合には、演出表示装置13にも飾り図柄によるはずれの図柄組み合わせが導出される。
また、遊技盤YBの遊技領域YBaには、遊技球が入球可能な複数の入賞口が配設されている。入賞口には、第1始動入賞口14と、第2始動入賞口15と、大入賞口17を含む。
始動口としての第1始動入賞口14は、特別図柄変動ゲームの始動条件を成立させるに際して遊技球を入球させる入賞口である。この実施形態において第1始動入賞口14は、常時、遊技球を入球させることができるように開口されている。第1始動入賞口14の奥方には、入球した遊技球を検知する検知手段(図3に示す第1始動センサSE1)が配設されている。なお、この実施形態において第1始動センサSE1は、第1始動入賞口14に連設され、入球した遊技球を遊技盤YBの背面に導く通路上(図示せず)に配設されている。そして、第1始動入賞口14に入球した遊技球は、前記通路により、第1始動センサSE1によって必ず検知されるように導かれる。
特定始動口としての第2始動入賞口15は、第2特別図柄変動ゲームの始動条件を成立させるに際して遊技球を入球させる入賞口である。第2始動入賞口15は、普通当りとするか否かの普通当り抽選(開放抽選)の当選時に、開閉手段としての開閉羽根(普通電動役物)16が開動作を行うことによって、遊技球が入球可能な状態をとるように開放される。一方、第2始動入賞口15は、開閉羽根16が閉動作を行うことによって、遊技球が入球不能な状態をとるように閉鎖される。開閉羽根16は、アクチュエータ(ソレノイドやモータなど)から動力を受けて動作する。この実施形態では、図3に示すアクチュエータAC1によって開閉羽根16が動作される。また、第2始動入賞口15の奥方には、入球した遊技球を検知する特定検知手段(図3に示す第2始動センサSE2)が配設されている。なお、この実施形態において第2始動センサSE2は、第2始動入賞口15に連設され、入球した遊技球を遊技盤YBの背面に導く通路上(図示せず)に配設されている。そして、第2始動入賞口15に入球した遊技球は、前記通路により、第2始動センサSE2によって必ず検知されるように導かれる。
大入賞口17は、賞球の払出条件を成立させるに際して遊技球を入球させる入賞口である。大入賞口17は、大当り抽選に当選したことによって大入賞口扉18が開動作を行うことにより、遊技球の入球が許容されるように開放される。一方、大入賞口17は、大入賞口扉18が閉動作を行うことによって、遊技球を入球させることが不能となるように閉鎖される。大入賞口扉18は、アクチュエータ(ソレノイドやモータなど)から動力を受けて動作する。この実施形態では、図3に示すアクチュエータAC2によって大入賞口扉18が動作される。また、大入賞口17の奥方には、入球した遊技球を検知するセンサ(図3に示すカウントセンサCS)が配設されている。なお、この実施形態においてカウントセンサCSは、大入賞口17に連設され、入球した遊技球を遊技盤YBの背面に導く通路上(図示せず)に配設されている。そして、大入賞口17に入球した遊技球は、前記通路により、カウントセンサCSによって必ず検知されるように導かれる。
また、遊技盤YBの遊技領域YBaには、作動ゲート19が配設されている。作動ゲート19には、常時、遊技球を入球させることが可能となるように開放されたゲート口20が開口されている。ゲート口20には、入球し、通過する遊技球を検知するセンサ(図3に示すゲートセンサGS)が配設されている。作動ゲート19のゲート口20は、普通図柄を用いた普通図柄変動ゲームの始動条件を成立させるに際して遊技球を入球させる入球口である。普通図柄変動ゲームでは、普通当り抽選の抽選結果が普通図柄の導出によって報知される。
図2に示すように、この実施形態において第1始動入賞口14は、遊技領域YBaを左右方向に二等分する中心線L1上に位置している。また、以下の説明において、「遊技領域YBaの右方の領域」と示す領域は、遊技盤YBを正面視した場合における中心線L1よりも右側の領域である。また、「遊技領域YBaの左方の領域」と示す領域は、遊技盤YBを正面視した場合における中心線L1よりも左側の領域である。
一方、この実施形態において第2始動入賞口15、大入賞口17、及び作動ゲート19は、遊技領域YBaの右方の領域に位置している。より詳しくは、作動ゲート19の上方に第2始動入賞口15が位置し、第2始動入賞口15の上方に大入賞口17が位置している。
この実施形態において左方の領域には、逆戻り防止弁R4を通過した遊技球が左方の領域を流下案内されるように、図示しない遊技釘などの遊技構成部材によって遊技球の流路が形成されている。そして、左方の領域に形成された前記流路を流下案内された一部の遊技球が、第1始動入賞口14へ入球可能である。なお、第1始動入賞口14へ入球しなかった遊技球は、前記流路を流下案内され、遊技領域YBaの最下方に位置するアウト口24へ入球する。
また、この実施形態において右方の領域には、逆戻り防止弁R4を通過した遊技球が右方の領域を流下案内されるように、図示しない遊技釘などの遊技構成部材によって遊技球の流路が形成されている。そして、右方の領域に形成された前記流路を流下案内された一部の遊技球が、第2始動入賞口15、大入賞口17、又は作動ゲート19へ入球可能である。なお、第2始動入賞口15、大入賞口17、又は作動ゲート19へ入球しなかった遊技球は、前記流路を流下案内され、アウト口24へ入球する。
この実施形態において、遊技者は、発射ハンドルHDの発射強度の強弱を調整することで、左方の領域及び右方の領域に遊技球を打ち分け、第1始動入賞口14、第2始動入賞口15、大入賞口17、又は作動ゲート19へ遊技球を入球させることが可能となる。具体的には、発射強度を強めに調整して遊技球を発射させた場合(所謂、右打ち)、遊技球は、右方の領域に流下案内され易く、第2始動入賞口15、大入賞口17、又は作動ゲート19へ入球する可能性がある。なお、右打ちは、遊技球を右方の領域へ到達させるために勢いよく発射させる必要があることから、発射強度を最大強度若しくは最大強度よりも若干弱い強度で調整して行う。一方、発射強度を弱めに調整して遊技球を発射させた場合(所謂、左打ち)、遊技球は、左方の領域に流下案内され易く、第1始動入賞口14へ入球する可能性がある。また、左打ちは、右打ちのときほど遊技球を勢いよく発射させる必要がないので、発射させた遊技球が右方の領域へ到達しない程度の強度に調整して行う。
また、遊技領域YBaには、第1保留表示装置21、第2保留表示装置22、及び普通図柄表示装置23が配設されている。これらの表示装置は、パチンコ遊技機10を正面視した場合に遊技者が視認可能な遊技盤YBの部位に位置している。
第1保留表示装置21は、第1特別図柄変動ゲームの実行が保留されていること、詳しくは、実行が保留されている第1特別図柄変動ゲームの数(第1特別図柄保留数(第1保留情報))を表示する。第2保留表示装置22は、第2特別図柄変動ゲームの実行が保留されていること、詳しくは、実行が保留されている第2特別図柄変動ゲームの数(第2特別図柄保留数(第2保留情報))を表示する。普通図柄表示装置23では、普通図柄を用いた普通図柄変動ゲームが行われ、当該普通図柄変動ゲームにおいて普通当り抽選の抽選結果に応じた普通図柄が導出される。
また、パチンコ遊技機10は、確率変動機能を備えている。確率変動機能は、大当り遊技の終了後、大当り抽選の抽選確率を高確率状態とする確率変動状態(以下、確変状態と示す)を付与する機能である。この実施形態において確変状態は、次回、大当り抽選に当選するまで付与される。確変状態中は、大当り抽選の抽選確率が低確率状態である非確変状態中に比して、大当り抽選に当選する確率が高い。
また、パチンコ遊技機10は、入球率向上機能を備えている。入球率向上機能は、大当り遊技の終了後、特定の入賞口(この実施形態では、第2始動入賞口15)への単位時間あたりの入球率を、非入球率向上状態時よりも向上させる入球率向上状態を付与する機能である。
特定の入賞口への入球率を向上させる方法は、例えば、普通図柄変動ゲームの変動時間を、非入球率向上状態よりも短縮する方法であってもよい。また、普通当り抽選の当選確率を非入球率向上状態よりも高確率とする方法であってもよい。また、普通当り抽選に当選した場合、普通当り抽選への1回の当選に基づく開閉羽根16の開放時間を非入球率向上状態よりも長くする方法であってもよい。また、特別図柄変動ゲーム(この実施形態では、第2特別図柄変動ゲーム)の変動時間、特にはずれ図柄が導出される特別図柄変動ゲームの変動時間を非入球率向上状態中に比して短縮させる方法であってもよい。また、これらの方法を任意に組み合わせてもよい。
この実施形態において入球率向上状態は、次回、大当り抽選に当選するまで、又は、入球率向上状態が付与されてから規定上限回数(この例では100回)の特別図柄変動ゲームが実行されるまで、若しくは規定上限回数に到達する前に大当り抽選に当選するまで付与される。ちなみに、ここで言う「規定上限回数」とは、第1特別図柄変動ゲームと第2特別図柄変動ゲームの合算回数である。
また、この実施形態では、第2始動入賞口15と作動ゲート19が同一の領域(右方の領域)に位置するように配置されており、かつ、入球率向上状態中は、第2始動入賞口15への遊技球の入球率が向上した状態となっているため、第2始動入賞口15を狙って遊技球を発射させた方が、第2特別図柄変動ゲームの始動条件を得やすい。このため、入球率向上状態中は、右打ちが推奨される。一方、非入球率向上状態中は、入球率向上状態中に比して、第2始動入賞口15へ遊技球が入球し難い状態となっているため、第1始動入賞口14を狙って遊技球を発射させた方が、特別図柄変動ゲームの始動条件を得やすい。このため、非入球率向上状態中は、左打ちが推奨される。
次に、大当り遊技について説明する。
大当り遊技は、第1特別図柄変動ゲーム又は第2特別図柄変動ゲームにて大当り図柄が導出されて該ゲームが終了した後、開始される。大当り遊技では、大入賞口17が開放されるラウンド遊技が、予め定めた規定ラウンド数(この実施形態では、15ラウンド)を上限として複数回行われる。1回のラウンド遊技中に大入賞口17は、規定個数(この実施形態では9球)の遊技球が入球する第1終了条件、又は規定時間(この実施形態では25秒)が経過する第2終了条件のうち一方が成立するまでの間、開放される。そして、全てのラウンド遊技が終了すると、大当り遊技は終了する。
次に、大当りの種類について説明する。
この実施形態では、複数の大当りが設定されている。その一例として、「第1確変大当り」、「第2確変大当り」、及び「非確変大当り」が設定されている。第1確変大当り又は第2確変大当りが決定されると、大当り抽選が行われたときの遊技状態にかかわらず、大当り遊技終了後、次回大当り抽選に当選するまで確変状態が付与される。また、第1確変大当りが決定されると、大当り抽選が行われたときの遊技状態にかかわらず、次回大当り抽選に当選するまで入球率向上状態が付与される。一方、第2確変大当りが決定されると、大当り抽選が行われたときの遊技状態にかかわらず、大当り遊技終了後、規定上限回数の特別図柄変動ゲームが実行されるまでを上限として、入球率向上状態が付与される。
また、非確変大当りが決定された場合、大当り抽選が行われたときの遊技状態にかかわらず、大当り遊技終了後、非確変状態が付与されるとともに、規定上限回数の特別図柄変動ゲームが実行されるまでを上限として、入球率向上状態が付与される。また、この実施形態では、第1特別図柄変動ゲームを経由して大当りとなった場合に付与される特典の有利度と、第2特別図柄変動ゲームを経由して大当りとなった場合に付与される特典の有利度が異なっている。具体的には、第1特別図柄変動ゲームと第2特別図柄変動ゲームにおいて、確変状態が付与される割合は変わらないが、第1特別図柄変動ゲームを経由して大当りとなった場合よりも、第2特別図柄変動ゲームを経由して大当りとなった場合において、大当りの種類として「第1確変大当り」が決定される割合が高められている。
次に、パチンコ遊技機10の制御構成について説明する。
図3に示すように、パチンコ遊技機10には、主基板30や副基板31を含む各種基板が搭載されている。
主基板30には、主制御用CPU30a、主制御用ROM30b、主制御用RAM30c、及び乱数生成回路30dが備えられている。主制御用CPU30aには、各種表示装置11,12,21,22,23、各種センサSE1,SE2,CS,GS、各種アクチュエータAC1,AC2が接続されている。
主制御用ROM30bには、主制御用CPU30aが遊技に関する処理を実行するための主制御プログラムが記憶されている。
また、主制御用ROM30bには、各種の判定値が記憶されている。例えば、主制御用ROM30bには、大当り抽選で用いられる大当り判定値と、普通当り抽選で用いられる普通当り判定値が記憶されている。大当り判定値には、非確変状態時の大当り抽選で用いる非確変状態時用の大当り判定値と、確変状態時の大当り抽選で用いる確変状態時用の大当り判定値がある。
主制御用RAM30cには、パチンコ遊技機10の動作中に適宜書き換えられる各種情報(乱数値、タイマ値、フラグ等)が記憶される。
主制御用CPU30aは、各種のソフトウェア乱数の値を所定の制御周期(割込み周期)毎に更新し、主制御用RAM30cに記憶させる乱数更新処理(ソフトウェア乱数生成処理)を実行する。ソフトウェア乱数には、特別図柄の大当り図柄を決定するときに用いる特別図柄乱数などを含む。乱数生成回路30dは、マイクロプロセッサに搭載された図示しないクロック回路から供給される内部システムクロック(例えば10MHz)の1周期毎に値を1更新することにより、ハードウェア乱数を生成する。ハードウェア乱数は、大当り抽選に用いる大当り乱数や、普通当り抽選に用いる普通当り乱数となる。
主基板30の主制御用CPU30aは、各種センサSE1,SE2,CS,GSからの遊技球の検知信号をもとに入力処理を行う。
主制御用CPU30aは、始動センサSE1,SE2からの検知信号を入力した場合の入力処理において、特別図柄変動ゲームの保留を記憶する処理や大当り抽選などに用いる各種乱数を取得する処理を行う。また、主制御用CPU30aは、大当り遊技中にカウントセンサCSからの検知信号を入力した場合の入力処理において、所定個数の賞球を払出すための処理を行う。また、主制御用CPU30aは、ゲートセンサGSからの検知信号を入力した場合の入力処理において、普通図柄を用いた普通図柄変動ゲームの保留を記憶する処理や普通当り抽選などに用いる各種乱数を取得する処理を行う。
また、主制御用CPU30aは、特別図柄変動ゲームの実行条件が成立している場合、特別図柄変動ゲームを開始させる変動開始処理を行う。特別図柄変動ゲームの実行条件は、大当り遊技中ではないこと、及び実行中の特別図柄変動ゲームが存在しないことによって成立する。
変動開始処理において主制御用CPU30aは、主制御用RAM30cに記憶されている保留情報をもとに、第1特別図柄変動ゲームと第2特別図柄変動ゲームの何れを開始させるかを決定し、その決定した特別図柄変動ゲームを開始させるための各種処理を行う。この実施形態において主制御用CPU30aは、主制御用RAM30cに記憶される第1保留情報から保留中の第1特別図柄変動ゲームの数として1以上の数が特定でき、かつ第2保留情報から保留中の第2特別図柄変動ゲームの数として1以上の数を特定できる場合、第2特別図柄変動ゲームを開始させるための処理を優先的に行う。つまり、主制御用CPU30aは、第2保留情報から保留中の第2特別図柄変動ゲームの数として0(零)を特定でき、かつ第1保留情報から保留中の第1特別図柄変動ゲームの数として1以上の数が特定できる場合、第1特別図柄変動ゲームを開始させるための処理を行う。
そして、主制御用CPU30aは、特別図柄変動ゲームを開始させる処理として、前述した入力処理において取得した各種乱数の値に基づき、大当り抽選を行い、その抽選結果をもとに特別図柄変動ゲームで導出させる特別図柄の種類や、特別図柄変動ゲームの変動時間を特定可能な変動パターンを決定する。大当り抽選に当選した場合、主制御用CPU30aは、特別図柄として大当り図柄を決定するとともに、大当り演出用の変動パターンを決定する。なお、特別図柄の大当り図柄には大当りの種類が対応付けられており、大当り図柄の種類を決定することによって大当りの種類(この実施形態では第1確変大当り、第2確変大当り、非確変大当り)が決定される。そして、この実施形態では、第2特別図柄変動ゲームで導出される大当り図柄として第1確変大当りに対応する大当り図柄の振分けを高めていることで、前述したように第2特別図柄変動ゲームの有利度が高くなる。また、大当り抽選に当選しなかった場合、主制御用CPU30aは、特別図柄としてはずれ図柄を決定するとともに、はずれ演出用の変動パターンを決定する。
そして、主制御用CPU30aは、前述した決定事項を特定可能な各種制御情報を副基板31に出力するための出力処理を行い、これらの制御情報は所定のタイミングで順次、副基板31に出力される。前述した各種制御情報には、大当りの種類を特定可能な制御情報や変動パターンを特定可能な制御情報を含む。また、主制御用CPU30aは、変動開始処理後、特別図柄変動ゲームを開始させる。つまり、主制御用CPU30aは、第1特別図柄変動ゲームの実行を決定している場合には第1特別図柄表示装置11を制御し、変動時間の経過時に第1特別図柄を導出させる。また、主制御用CPU30aは、第2特別図柄変動ゲームの実行を決定している場合には第2特別図柄表示装置12を制御し、変動時間の経過時に第2特別図柄を導出させる。
また、主基板30は、確変状態や入球率向上状態に関する遊技状態処理を行う。
主制御用CPU30aは、例えば第1確変大当りなどの確変状態を付与する大当りに当選している場合、大当り遊技終了後に確変状態を付与し、主制御用RAM30cに記憶される遊技状態を特定可能な情報(例えばフラグ)を、確変状態が付与されていることを特定可能な情報とする。また、主制御用CPU30aは、例えば第1確変大当りなどの入球率向上状態を付与する大当りに当選している場合、大当り遊技終了後に入球率向上状態を付与し、前述した遊技状態を特定可能な情報を、入球率向上状態が付与されていることを特定可能な情報とする。なお、主制御用CPU30aは、確変状態や入球率向上状態の終了条件が成立した場合、前述した遊技状態を特定可能な情報を、非確率変動状態や非入球率向上状態を特定可能な情報とする。
次に、副基板31について説明する。
副基板31には、副制御用CPU31a、副制御用ROM31b、及び副制御用RAM31cが備えられている。副制御用CPU31aには、演出表示装置13が接続されている。
副制御用CPU31aは、各種のソフトウェア乱数の値を所定の制御周期(割込み周期)毎に更新し、副制御用RAM31cに記憶させる乱数更新処理(ソフトウェア乱数生成処理)を実行する。副制御用ROM31bには、遊技演出の実行などに関する処理を実行するための複数の副制御プログラムが記憶されている。
また、副制御用ROM31bには、表示演出用の表示演出データが記憶されている。副制御用RAM31cには、パチンコ遊技機10の動作中に適宜書き換えられる各種情報(乱数値、タイマ値、フラグ等)が記憶される。
副基板31の副制御用CPU31aは、主基板30から送信される制御情報をもとに当該制御情報に応じた制御を行う。例えば、副制御用CPU31aは、大当りの種類を特定可能な制御情報や変動パターンを特定可能な制御情報を入力することで、演出表示装置13において飾り図柄変動ゲームを行わせるように表示内容を制御する。また、副制御用CPU31aは、飾り図柄変動ゲームの開始に伴い、当該ゲームに付随する発光演出や音声演出を行わせるように装飾ランプの発光態様やスピーカの音声出力態様も制御する。
以上のような制御構成を備えた本実施形態のパチンコ遊技機10では、第1始動入賞口14へ遊技球が入球すると、その入球を第1特別図柄変動ゲームの実行対象(保留対象)とするか、第2特別図柄変動ゲームの実行対象(保留対象)とするか、を制御的に振分ける。
以下、図4及び図5(a)にしたがって、特別図柄変動ゲームを制御的に振分ける処理内容について具体的に説明する。
この実施形態において主基板30は、第1始動センサSE1の検知結果を入力した際に、第1特別図柄変動ゲームの実行対象とするか、第2特別図柄変動ゲームの実行対象とするかの判定指標とするための第1期間及び第2期間を生成するタイマ機能を備えている。第1期間は、第1始動入賞口14へ入球した遊技球を第1特別図柄変動ゲームの実行対象と判定する期間であり、第2期間は、第1始動入賞口14へ入球した遊技球を第2図柄変動ゲームの実行対象と判定する期間である。また、このタイマ機能は、所定の制御周期(例えば4ms)毎にカウントを行い、計時する機能でも良いし、例えばクロック回路などのハードウェアを用いて計時する機能でも良い。
そして、主制御用CPU30aは、タイマ機能によって所定時間T1が計時される毎に、第1期間と第2期間とを切り替える。この切り替えにおいて主制御用CPU30aは、例えば所定時間T1毎に、第1期間を特定可能な情報(例えばフラグ)と第2期間を特定可能な情報(例えばフラグ)を交互に主制御用RAM30cの記憶領域にセットする。このように期間を特定可能な情報をセットすることにより、第1期間と第2期間とが所定時間T1毎に交互に生起される。また、以下の説明において期間を特定可能な情報を「期間特定情報」と示す。
なお、所定時間T1は、第2期間中の入球を狙って遊技球が意図的に発射されたとしても、入球し得ないような時間とすることが好ましい。なぜならば、第2期間中の入球を遊技者が意図的に狙えるような構成とすると、遊技者は、第2期間中に遊技球が入球し得るように発射タイミングを調節し、第2特別図柄変動ゲームの始動条件ばかりが成立してしまうからである。ちなみに、パチンコ遊技機10では、発射ハンドルHDを連続的に操作して遊技球を発射させる場合、その発射個数は、1分間あたりに100球程度となるように調整されている。このため、遊技球を1球発射させるために要する時間は、「約0.6秒」となる。よって、所定時間T1は、「0.6秒」よりも短い時間、例えば、「0.5秒」などが好ましい。
図4は、始動センサSE1,SE2からの検知信号を入力した場合に行う入力処理を概念的に示したフローチャートである。
図4のステップS1において主制御用CPU30aは、始動センサSE1,SE2の検知信号をもとに、第1始動入賞口14に入球したかを判定する。ステップS1において主制御用CPU30aは、第1始動センサSE1の検知信号を入力している場合には第1始動入賞口14に入球したと判定してステップS2へ移行し、第2始動センサSE2の検知信号を入力している場合には第2始動入賞口15に入球したと判定してステップS6へ移行する。
ステップS2へ移行した主制御用CPU30aは、タイマ機能によって生起されている期間が第1期間であるかを判定する。ステップS2において主制御用CPU30aは、主制御用RAM30cにセットされている期間を特定可能な情報を参照する。そして、主制御用CPU30aは、期間特定情報から第1期間を特定した場合、第1特別図柄変動ゲームの実行対象とし、ステップS3へ移行する。このようにステップS2の処理において、第1特別図柄変動ゲームの実行対象とすることが、第1始動センサSE1の検知結果をもとに遊技球が第1期間に入球していると判定していることに相当する。一方、主制御用CPU30aは、期間特定情報から第2期間を特定した場合、第2特別図柄変動ゲームの実行対象とし、ステップS6へ移行する。このようにステップS2の処理において、第2特別図柄変動ゲームの実行対象とすることが、第1始動センサSE1の検知結果をもとに遊技球が第2期間に入球していると判定していることに相当する。
ステップS3へ移行した主制御用CPU30aは、第1保留情報から保留中の第1特別図柄変動ゲームの数を特定し、その特定した数が保留の上限数(この実施形態では4)未満であるかを判定する。ステップS3の判定において主制御用CPU30aは、保留の上限数未満ではないことを判定した場合、入力処理を終了する。
一方、ステップS3の判定において主制御用CPU30aは、保留の上限数未満であることを判定した場合、ステップS4へ移行し、保留中の第1特別図柄変動ゲームの数(第1保留情報)を1加算する。また、第1保留情報を更新した主制御用CPU30aは、更新後の第1保留情報から特定可能な第1特別図柄変動ゲームの数を報知させるように第1保留表示装置21の表示内容を制御する。また、主制御用CPU30aは、更新後の第1保留情報から特定可能な第1特別図柄変動ゲームの数を指示する制御情報を副制御用CPU31aに出力するように送信バッファにセットする。上記制御情報は、次周期以降の制御周期において出力される。続いてステップS5にて主制御用CPU30aは、大当り乱数、特別図柄乱数などの各種乱数の値を取得し、該値を主制御用RAM30cの所定の記憶領域に設定し、入力処理を終了する。
一方、ステップS1又はステップS2を経由してステップS6へ移行した主制御用CPU30aは、第2保留情報から保留中の第2特別図柄変動ゲームの数を特定し、その特定した数が保留の上限数(この実施形態では4)未満であるかを判定する。ステップS6の判定において主制御用CPU30aは、保留の上限数未満ではないことを判定した場合、入力処理を終了する。
一方、ステップS6の判定において主制御用CPU30aは、保留の上限数未満であることを判定した場合、ステップS7へ移行し、保留中の第2特別図柄変動ゲームの数(第2保留情報)を1加算する。また、第2保留情報を更新した主制御用CPU30aは、更新後の第2保留情報から特定可能な第2特別図柄変動ゲームの数を報知させるように第2保留表示装置22の表示内容を制御する。また、主制御用CPU30aは、更新後の第2保留情報から特定可能な第2特別図柄変動ゲームの数を指示する制御情報を副制御用CPU31aに出力するように送信バッファにセットする。上記制御情報は、次周期以降の制御周期において出力される。続いてステップS8にて主制御用CPU30aは、大当り乱数、特別図柄乱数などの各種乱数の値を取得し、該値を主制御用RAM30cの所定の記憶領域に設定し、入力処理を終了する。この実施形態では、ステップS2の処理において第1期間に入球していると判定し、入球した遊技球を第1特別図柄変動ゲームの対象とする一方、ステップS2の処理において第2期間に入球していると判定し、入球した遊技球を第2特別図柄変動ゲームの対象とする主制御用CPU30aが、制御手段に相当する。
ステップS4又はステップS7の処理において生成された制御情報(特別図柄変動ゲームの数を指定する制御情報)を入力した副制御用CPU31aは、以下の制御を行う。図1に示すように、演出表示装置13の表示領域には、第1保留表示装置21の表示内容や第2保留表示装置22の表示内容に対応して保留中の特別図柄変動ゲームの数を報知させる第1表示部H1と第2表示部H2とを有する。このため、副制御用CPU31aは、第1特別図柄変動ゲームの数を指定する制御情報を入力した場合は、その数を報知させるように第1表示部H1の表示内容を制御する。また、副制御用CPU31aは、第2特別図柄変動ゲームの数を指定する制御情報を入力した場合は、その数を報知させるように第2表示部H2の表示内容を制御する。これにより、遊技者は、第1始動入賞口14へ入球した場合、その入球が第1特別図柄変動ゲーム又は第2特別図柄変動ゲームの何れの実行対象とされたか(何れに保留されたか)を、認識することができる。なお、ステップS4又はステップS7の処理において生成された前記制御情報は、少なくとも特別図柄変動ゲームの数を特定できるように生成されていれば良く、加えて他の情報も特定できるように生成されていても良い(例えば、当否に関する情報や、変動に関する情報など)。
また、主制御用CPU30aは、第1特別図柄変動ゲームを開始させる時に第1保留情報を1減算して更新し、その更新後の第1保留情報から特定可能な第1特別図柄変動ゲームの数を指示する制御情報を、同様に副制御用CPU31aに出力する処理を行う。また、主制御用CPU30aは、第2特別図柄変動ゲームを開始させる時に第2保留情報を1減算して更新し、その更新後の第2保留情報から特定可能な第2特別図柄変動ゲームの数を指示する制御情報を、同様に副制御用CPU31aに出力する処理を行う。このため、副制御用CPU31aは、特別図柄変動ゲームの開始時、前記制御情報をもとに第1表示部H1又は第2表示部H2の表示内容を制御する。これらの処理により、第1表示部H1と第2表示部H2では、遊技球の入球時並びに特別図柄変動ゲームの開始時のそれぞれに表示内容が変化し、保留中の特別図柄変動ゲームの数が表示される。
以下、この実施形態のパチンコ遊技機10の作用について、第1始動入賞口14へ入球した場合に生じ得る事象を中心に説明する。
図5(a)に示すように、この実施形態のパチンコ遊技機10では、電源投入がなされると、主基板30に搭載されているタイマ機能によって第1期間と第2期間とが、所定時間毎(図中の所定時間T1毎)に交互に生起される。
そして、第1始動入賞口14へ入球したことによって図4の入力処理を行った結果、ステップS2で第1期間に入球していると判定された場合には第1特別図柄変動ゲームの実行対象となり、第1保留情報に加算される。一方、第1始動入賞口14へ入球したことによって図4の入力処理を行った結果、ステップS2で第2期間に入球していると判定された場合には第2特別図柄変動ゲームの実行対象となり、第2保留情報に加算される。
ところで、パチンコ遊技機10は、発射強度を一定に保った状態で遊技球を打ち出した場合、その打ち出された遊技球が遊技領域YBaに到達するタイミングはほぼ一定の間隔である。しかし、遊技領域YBaに到達した遊技球は、遊技領域YBaに配設された釘などの遊技構成部材によって流下速度や流下方向に変化が加えられること、並びに打ち出した全ての遊技球が始動入賞口へ入球するとは限らないこと、から一定の間隔で打ち出しても始動入賞口へはランダムに入球する。それに加え、この実施形態のパチンコ遊技機10では、第1始動入賞口14へ入球したか否かに関係なく、タイマ機能によって第1期間と第2期間とが生起されている。以上のことから、実施形態のパチンコ遊技機10では、第1始動入賞口14への入球が、第1特別図柄変動ゲームの実行対象となるか、あるいは第2特別図柄変動ゲームの実行対象となるかはランダムに決定されることになる。したがって、同一の入球口に入球しながら、第1特別図柄変動ゲームの保留数の増加傾向と第2特別図柄変動ゲームの保留数の増加傾向とは同じ傾向になり難く、さらに何れかに偏る傾向を示す場合もあり、ランダム性がより強く現れる。換言すれば、第1始動入賞口14へ入球させて遊技を進める過程においては、この実施形態のパチンコ遊技機10のように第1特別図柄変動ゲームと第2特別図柄変動ゲームの有利度を異ならせていることで、有利度の高い抽選を得られるかは運の要素が非常に強くなる。
また、この明細書の背景技術欄に先行技術文献として例示した特許文献1(特開2013−128810号公報)では、振分装置という機械的な構造物を遊技盤に配設し、単一の入球口に入球した遊技球を機械的に交互に振分けることで、第1特別図柄変動ゲームの実行対象と第2特別図柄変動ゲームの実行対象とを振分けている。このような特許文献1の遊技機であれば、第1特別図柄変動ゲームと第2特別図柄変動ゲームの有利度を異ならせている場合においては一定の条件下で有利度の高い抽選を得られることになり、この実施形態のパチンコ遊技機10とはゲーム性は異なる。
したがって、本実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)第1始動センサSE1の検知結果を入力した際に、第1特別図柄変動ゲームの実行対象とするための第1期間と、第2特別図柄変動ゲームの実行対象とするための第2期間と、が、所定時間毎に交互に生起されるようにした。これによれば、単一の第1始動センサSE1によって、第1特別図柄変動ゲームの始動条件と第2特別図柄変動ゲームの始動条件と、をそれぞれ成立させることができるので、特別図柄変動ゲームの始動条件を成立させるための物理的な構成を簡略化することができる。
(2)第1始動入賞口14に遊技球が入球するタイミングによっては、何れかの特別図柄変動ゲームの始動条件が偏って成立することもある。このような場合、遊技者は、より有利な特典を付与する特別図柄変動ゲームの始動条件が成立し易い状態であることを望む。よって、第1始動入賞口14に遊技球が入球したとき、何れの特別図柄変動ゲームの始動条件が成立し易い状態であるのかということについて、注目させることができる。
(3)第1特別図柄変動ゲームと第2特別図柄変動ゲームの有利度を異ならせ、第1始動入賞口14への入球を第1特別図柄変動ゲームと第2特別図柄変動ゲームのそれぞれの実行対象とした。このため、入球率向上状態が付与されていない通常状態であっても、第1始動入賞口14へ遊技球を入球させるように遊技を進めれば、第2特別図柄変動ゲームの有利度による恩恵を受けることができる。しかも、遊技者は、通常状態において特別な打ち方などを実践しなくても、上記恩恵を受けることができ、遊技の興趣を向上させることができる。また、この実施形態のパチンコ遊技機10では、上記効果を得るための具体的な構成として、単一の入球口で、当該入球口に入球した遊技球を単一のセンサで検出する構成を採用していることから、遊技盤YBに必要な物理的構成を簡略化することができる。
(4)第2始動入賞口15では、第2始動入賞口15に入球した遊技球が第1特別図柄変動ゲームの実行対象とならないので、安心して第2始動入賞口15を狙わせることができる。特に、入球率向上状態中(右打ち推奨中)は、第2始動入賞口15へ遊技球を入球させることで、有利度の高い抽選を確実に得ることができる。
(5)遊技領域YBaへの遊技球の発射強度の強弱により、第1始動入賞口14又は第2始動入賞口15に遊技球が入球可能とされている。よって、第2特別図柄変動ゲームの始動条件を得たい場面では、第2始動入賞口15を狙って遊技球を発射させればよいので、第2始動入賞口15を狙ったにもかかわらず、第2特別図柄変動ゲームの始動条件が得られ難いということがない。
(6)第1始動センサSE1に関し、第1期間と第2期間を交互に生起させることで、単一の検知手段しか備えていない場合であっても、第1特別図柄変動ゲーム及び第2特別図柄変動ゲームの始動条件がそれぞれ得られる。つまり、特別図柄変動ゲームの種類毎に始動入賞口を設け、かつ始動入賞口毎に検知手段を設け、さらに何れかの始動入賞口に遊技球を振り分けるための振分装置を設けなくても、この実施形態では、両方の特別図柄変動ゲームの始動条件を得ることができる。また、振分装置を設ける必要がない分、遊技盤のスペースを確保することができる。
(第2の実施形態)
次に、遊技機の第2の実施形態を図6に従って説明する。なお、以下に説明する実施形態において既に説明した実施形態と同一構成及び同一制御内容についてはその重複する説明を省略又は簡略する。
第2の実施形態のパチンコ遊技機10は、遊技盤YBの構成(配置)が第1の実施形態のパチンコ遊技機10における遊技盤YBの構成(配置)と相違している。
図6に示すように、この実施形態のパチンコ遊技機10の遊技盤YBには、第1始動入賞口14の直下に第2始動入賞口15が配設されており、第2始動入賞口15の直下に大入賞口17が配設されている。第1始動入賞口14と、第2始動入賞口15と、大入賞口17とは、中心線L1上に並んでいる。第2始動入賞口15は、普通当りに当選したことによって開閉羽根16が開放されることにより、遊技球の入球が許容された状態となる。そして、この実施形態のパチンコ遊技機10では、第1始動入賞口14又は第2始動入賞口15へ入球させるために遊技球を打ち分ける必要がなく、同一若しくは略同一の発射強度で遊技球を打ち出せば良い。
この実施形態においても、第1の実施形態と同様に、第1始動入賞口14への入球を、第1特別図柄変動ゲームの実行対象とするか、あるいは第2特別図柄変動ゲームの実行対象とするか、を判定するための第1期間と第2期間とが生起される。そして、第1特別図柄変動ゲームの実行対象とするか、あるいは第2特別図柄変動ゲームの実行対象とするかの判定は、第1の実施形態と同様に、図4の入力処理に基づいて行う。これにより、この実施形態のパチンコ遊技機10においても、第1始動入賞口14へ入球した場合には第1の実施形態のパチンコ遊技機10と同様の事象が生じ得る。
この実施形態によれば、第1の実施形態の効果(1)〜(3),(6)に加え、以下に示す効果を得ることができる。
(7)第1始動入賞口14と第2始動入賞口15のどちらにも遊技球が入球する可能性があるので、どちらの始動入賞口に遊技球が入球するかについて注目させることができる。
(第3の実施形態)
次に、遊技機の第3の実施形態を図5(b)に従って説明する。
この実施形態のパチンコ遊技機10は、第1始動入賞口14への入球を、第1特別図柄変動ゲームの実行対象とするか、あるいは第2特別図柄変動ゲームの実行対象とするかの判定手法が、第1の実施形態並びに第2の実施形態の判定手法とは相違する。具体的に言えば、第3の実施形態では、図4の入力処理に加えて、所定条件が成立した場合に第1期間と第2期間の割合を異ならせ、第1特別図柄変動ゲームの実行対象とするか、あるいは第2特別図柄変動ゲームの実行対象とするかの判定を行うようになっている。
第3の実施形態において主制御用CPU30aは、遊技状態が通常状態(確変状態ではなく、かつ入球率向上状態ではない)であれば第1期間と第2期間とを第1,第2の実施形態と同様に切り替える。一方、第3の実施形態において主制御用CPU30aは、遊技状態が入球率向上状態であれば第2期間のみを生起させる。これによれば、入球率向上状態中は、第1期間が生起されず、主制御用RAM30cの記憶領域には第2期間を特定可能な情報(例えばフラグ)が継続的にセットされる。なお、主制御用CPU30aは、所定条件が成立しなくなると(この実施形態では通常状態へ戻ると)、第1,第2の実施形態と同様に、第1期間と第2期間とを交互に生起させる。そして、主制御用CPU30aは、第1,第2の実施形態と同様に、図4の入力処理において、第1特別図柄変動ゲームの実行対象とする、あるいは第2特別図柄変動ゲームの実行対象とするかの判定を行う。
以下、この実施形態のパチンコ遊技機10の作用について、第1始動入賞口14へ入球した場合に生じ得る事象を中心に説明する。なお、通常状態に生じ得る事象は第1,第2の実施形態と同様であるから、その重複する説明は省略する。
図5(b)に示すように、この実施形態のパチンコ遊技機10では、入球率向上状態となって所定条件が成立すると、第2期間のみが生起される。そして、第1始動入賞口14へ入球したことによって図4の入力処理を行った結果、入球率向上状態中であれば、ステップS2で第2期間に入球していると判定されることによって第2特別図柄変動ゲームの実行対象となり、第2保留情報に加算される。
したがって、この実施形態の技術事項を第1の実施形態に採用すれば、第1の実施形態の効果(1)〜(6)に加え、以下に示す効果を得ることができる。
(8)第1の実施形態のパチンコ遊技機10の盤面構成では、入球率向上状態であれば、第2始動入賞口15へ遊技球を入球させるように右打ちした方が良い。しかしながら、遊技者が、右打ちを忘れた場合や、あるいは右打ちを行ったが左方の領域に遊技球が流れた場合でも、第1始動入賞口14へ入球すれば、その入球は第2特別図柄変動ゲームの実行対象となり得る。このため、この実施形態のパチンコ遊技機10のように、第2特別図柄変動ゲームの有利度を高くしている場合において、その恩恵を確実に受けることができる。
また、この実施形態の技術事項を第2の実施形態に採用すれば、第1の実施形態の効果(1)〜(3),(6)並びに第2の実施形態の効果(7)に加え、以下に示す効果を得ることができる。
(9)第2の実施形態のパチンコ遊技機10の盤面構成は、第1始動入賞口14又は第2始動入賞口15へ入球させるための打ち方を変えない構成である。このため、第1,第2の実施形態の制御を行う場合、入球率向上状態中は、第1始動入賞口14への入球が第1特別図柄変動ゲームの実行対象となり得る場合もある。しかし、この実施形態の制御を行うことで、入球率向上状態中は、第1始動入賞口14又は第2始動入賞口15の何れに入球しても、その入球は第2特別図柄変動ゲームの実行対象となり得る。このため、この実施形態のパチンコ遊技機10のように、第2特別図柄変動ゲームの有利度を高くしている場合において、その恩恵を確実に受けることができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・第1表示部H1及び第2表示部H2での報知に代えて、又は第1表示部H1及び第2表示部H2での報知に加えて、現在、第1,第2特別図柄変動ゲームのうちどちらのゲームが行われているのかを、その他の手法で報知するようにしてもよい。例えば、音声などで「今、第2特別図柄変動ゲームが行われているよ」等と報知するようにしてもよい。
・遊技者にとって有利な特典を付与する特別図柄変動ゲーム(実施形態では、第2特別図柄変動ゲーム)を実行させ易くするための所定条件は、入球率向上状態が付与されることに限られない。例えば、確変状態が付与されることとしてもよい。また、例えば、特定の演出モードへ突入することを所定条件の成立としてもよい。なお、演出モードへの突入条件は、遊技状態(確変状態や入球率向上状態)の変化を契機としてもよいし、遊技状態の変化を契機としなくてもよい。遊技状態の変化を契機としない場合には、例えば、特定の変動が行われること(又は特定の変動パターンが選択されること)や、所定の起点からの経過期間が条件を満たしていること、などを含む。所定の起点には、例えば、電源投入や大当り遊技の終了、あるいは、RTC機能を搭載する場合には、遊技場への導入日等を含む。そして、経過期間には、ゲーム回数、時間、時刻などを含む。
・図7に示すように、第1期間と第2期間の長短を調整することで、遊技者にとって有利な特典を付与する特別図柄変動ゲーム(実施形態では、第2特別図柄変動ゲーム)を実行させ易くするようにしてもよい。なお、第1期間と第2期間は、互いに重複することなく交互に到来し得るような時間関係とすることが好ましい。例えば、図7のパターンA1に示すように、第1期間(図中、「第1期間」の項目におけるON期間に相当)を第2期間(図中、「第2期間」の項目におけるON期間に相当)よりも短くすることで、第2特別図柄変動ゲームの実行対象として判定され易くなるようにしてもよい。また、パターンA2に示すように、第2期間(図中、「第2期間」の項目におけるON期間に相当)を第1期間(図中、「第1期間」の項目におけるON期間に相当)よりも長くすることで、第2特別図柄変動ゲームの実行対象として判定され易くなるようにしてもよい。また、図4に示すステップS2で第1期間に入球していると判定された場合であっても、所定条件が成立しているのであれば、検知対象となった遊技球を、第1特別図柄変動ゲームの実行対象ではなく、第2特別図柄変動ゲームの実行対象としてもよい。また、第3の実施形態において、図4のステップS1の処理を行った後、ステップS2の処理を行う前に、所定条件(実施形態では、入球率向上状態が付与されていること)が成立しているか否かを判断するようにしてもよい。所定条件が成立しているのであれば、ステップS6の処理に移行することになる。一方、所定条件が成立していないのであれば、ステップS2の処理に移行することになる。また、第3の実施形態において、図4のステップS2の判定結果が肯定の場合、ステップS3の処理を行う前に、所定条件が成立しているか否かを判断するようにしてもよい。所定条件が成立しているのであれば、ステップS6の処理に移行することになる。一方、所定条件が成立していないのであれば、ステップS3の処理に移行することになる。また、予め定めた単位時間あたりに第1期間が生起される回数を減らすようにしてもよい。また、予め定めた単位時間あたりに第1期間が生起される期間を減らすようにしてもよい。
・主制御用CPU30aのタイマ機能によって計時される最初の期間を、第1期間ではなく第2期間から計時させるようにしてもよい。
・また、図7で説明したような複数のパターンを設定し、ランダムに選択された何れかのパターンに従って、第1期間と第2期間を交互に生起させるようにしてもよい。また、パターンA1を用いた制御が終了した後は、パターンA2を用いた制御を行うなど、設定されているパターンに基づく制御を順番に行うなどして、第1期間と第2期間の生起タイミングを特定し難くしてもよい。
・第1特別図柄変動ゲームを経由して大当りとなった場合、「確変大当り」として、第1確変大当りと第2確変大当りを決定可能とする一方で、第2特別図柄変動ゲームを経由して大当りとなった場合、「確変大当り」として、第1確変大当りのみが決定可能となるようにしてもよい。
・第1特別図柄変動ゲームを経由して大当りとなった場合に付与される特典の有利度と、第2特別図柄変動ゲームを経由して大当りとなった場合に付与される特典の有利度の違いは、遊技者が獲得し得る賞球数の違いであってもよい。例えば、1回のカウントセンサCSでの検知に対する払出賞球数を、第1,第2特別図柄変動ゲームにおいて同一数とした上で、大当り遊技を構成するラウンド数を異ならせることで、賞球数に差を設けてもよい。
・第1特別図柄変動ゲームを経由して大当りとなった場合に付与される特典の有利度と、第2特別図柄変動ゲームを経由して大当りとなった場合に付与される特典の有利度の違いは、確変状態の終了条件が成立するまでに行われる特別図柄変動ゲームの実行回数の違いであってもよい。
・第1特別図柄変動ゲームを経由して大当りとなった場合に付与される特典の有利度と、第2特別図柄変動ゲームを経由して大当りとなった場合に付与される特典の有利度の違いは、入球率向上状態の終了条件が成立するまでに行われる特別図柄変動ゲームの実行回数の違いであってもよい。また、大当り遊技終了後に入球率向上状態が付与されるか否かの違いであってもよい。
・第1,第2特別図柄変動ゲームにおいて、大当り抽選に当選した場合に付与される特典の有利度に差を設けなくても、第1,第2特別図柄変動ゲームにおいて何らかの違いがあればよい。例えば、第1特別図柄変動ゲームに関連する飾り図柄変動ゲームでは、飾り図柄が縦方向に変動する一方で、第2特別図柄変動ゲームに関連する飾り図柄変動ゲームでは、飾り図柄が横方向に変動するなど、特別図柄変動ゲームの実行態様を異ならせてもよい。
・実施形態の技術は、2つの始動入賞口に遊技球を振り分けるための振分装置を備えたパチンコ遊技機にも採用することが可能である。詳しくは、2つの始動入賞口の分岐地点に振分装置を設け、かつ入球した遊技球を検知する検知手段を、2つの始動入賞口において共通化する。そして、振分装置の動作(何れかの始動入賞口に遊技球を入球可能な状態とする動作)と、検知手段に係る第1期間と第2期間の生起状態を連動させれば、各実施形態で説明したような現象を作り出すことが可能である。例えば、振分装置の動作により、他方の始動入賞口に遊技球が入球可能であって、かつその期間中、第1期間が生起されていれば、振分装置の動作から第1特別図柄変動ゲームの実行条件が得られることを理解させることが可能となる。
・所定条件が成立する前であっても、第1期間と第2期間の長さは、それぞれ異なっていてもよい。
・第1始動入賞口14さえあれば、第1特別図柄変動ゲームと第2特別図柄変動ゲームの始動条件を成立させることができるため、第2始動入賞口15を設けなくてもよい。このような場合、入球率向上状態中における第2期間の割合を第1期間の割合よりも多くすれば、通常状態と同じように遊技球を発射させていたとしても、第1始動入賞口14への遊技球の入球を契機に、第2特別図柄変動ゲームの始動条件を成立させ易くすることができる。
・図6に示すように、実施形態で説明した第1始動入賞口14及び第2始動入賞口15に加え、又は第1始動入賞口14及び第2始動入賞口15に代えて、センター役物SYにおける下方に、遊技球が転動可能なステージSTを設け、該ステージ上に始動入賞口14aを設けてもよい。そして、該始動入賞口14aに入球した遊技球を検知する始動センサにおいて、第1期間と第2期間が交互に生起されるようにしてもよい。
・見た目上において、第1特別図柄変動ゲームと第2特別図柄変動ゲームの実行期間の重複を許容するパチンコ遊技機に、実施形態の技術を採用してもよい。また、第1始動センサSE1又は第2始動センサSE2で検知された順に第1特別図柄変動ゲーム又は第2特別図柄変動ゲームが実行されてもよい。また、第1特別図柄変動ゲームと第2特別図柄変動ゲームが交互に実行されてもよい。
・実施形態の技術は、大当り遊技終了後、規定上限回数の特別図柄変動ゲームが実行されるまでの間、確変状態が付与されるパチンコ遊技機に具体化してもよい。また、大当り遊技終了後に確変状態が付与されるが、確変状態から非確変状態に移行させるか否かの転落抽選に当選した場合には、確変状態が終了し、非確変状態が付与されるパチンコ遊技機に具体化してもよい。
次に、上記実施形態及び別例(変形例)から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)第1特別図柄変動ゲームと、第2特別図柄変動ゲームと、を実行可能な遊技機において、遊技球が入球可能な始動口と、前記始動口に入球した遊技球を検知する単一の検知手段と、を備え、前記検知手段で検知された遊技球が、第1特別図柄変動ゲームを実行させるための対象となる場合と、第2特別図柄変動ゲームを実行させるための対象となる場合と、がある遊技機。
(ロ)第1特別図柄変動ゲームと、第2特別図柄変動ゲームと、を実行可能な遊技機において、遊技球が入球可能な始動口と、前記始動口に入球した遊技球を検知する単一の検知手段と、所定時間毎に生起される検知期間のうち、第1期間において遊技球が検知された場合、その遊技球を第1特別図柄変動ゲームの対象とする一方で、第2期間において遊技球が検知された場合、その遊技球を第2特別図柄変動ゲームの対象とする処理部と、を備えた遊技機。この場合、主制御用CPU30aが処理部として機能する。
(ハ)第1特別図柄変動ゲームと、第2特別図柄変動ゲームと、を実行可能な遊技機において、遊技球が入球可能な始動口と、前記始動口に入球した遊技球を検知する単一の検知手段と、前記検知手段で検知された遊技球を、第1特別図柄変動ゲームの実行が保留されていることを示す第1保留情報、又は第2特別図柄変動ゲームの実行が保留されていることを示す第2保留情報として記憶させる記憶手段と、を備え、前記記憶手段は、前記検知手段の検知結果をもとに遊技球が第1期間に入球していると判定した場合には、入球した遊技球を前記第1保留情報として記憶させる一方、前記検知手段の検知結果をもとに遊技球が第2期間に入球していると判定した場合には、入球した遊技球を前記第2保留情報として記憶させ、前記第1期間と前記第2期間とが、所定時間毎に交互に生起される遊技機。この場合、遊技球を第1保留情報又は第2保留情報として記憶させる主制御用CPU30aが、記憶手段として機能する。
(ニ)前記制御手段は、所定条件が成立した場合、前記検知手段の検知結果をもとに遊技球が前記第1期間に入球していると判定した場合であっても、入球した遊技球を前記第1特別図柄変動ゲームの対象とせず、前記第2特別図柄変動ゲームの対象とするようにしてもよい。
(ホ)前記制御手段は、所定条件が成立した場合、前記始動口へ入球した遊技球の全てを前記第2特別図柄変動ゲームの対象としてもよい。
(ヘ)前記制御手段は、所定条件が成立した場合、前記第1期間が生起されている場合であっても、前記始動口へ入球した遊技球を前記第2特別図柄変動ゲームの対象としてもよい。
(ト)前記第1特別図柄変動ゲームの実行態様と前記第2特別図柄変動ゲームの実行態様は異なるようにしてもよい。