JP6283581B2 - ステアリングホイール - Google Patents

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Description

本発明は、リング部の乗員対向面に装飾体が取り付けられるとともに、同リング部における表皮材の内側にヒーター部材が配されるステアリングホイールに関する。
近年の自動車では、他車との差別化や付加価値を高めるために、例えばステアリングホイールのリング部に皮革を巻き付けることや、化粧用部材である装飾体(フィニッシャ)をリング部に取り付けて装飾すること等が行われている。この場合、装飾体として、例えば木目模様が印刷された樹脂プレートやメタリック調の樹脂プレート等が取り付けられる。
また、例えば特開2000−85587号公報(特許文献1)、特開2000−264222号公報(特許文献2)、及び特開2013−233892号公報(特許文献3)等には、ステアリングホイールのリング部に装飾体を取り付ける作業を簡便に行うことが可能な構造が記載されている。
例えば図7に示すように、特許文献1に記載されているステアリングホイール60は、リング部(リム部と言うこともある)を構成する円環状のリング芯金61の周りに、ポリウレタン等の合成樹脂からなる被覆層(樹脂部)62が一体的に形成されている。更に、被覆層62の表面には、合成樹脂又は皮革等からなる表皮材63が巻き付けられており、被覆層62が表皮材63で被覆されている。
この特許文献1において、リング芯金61は、略U字状の断面を有して形成されている。また、被覆層62の装飾体64を取り付ける部分は、凹状に窪んで形成されている。被覆層62とリング芯金61とには、装飾体取付部としての取付孔部65が形成されており、この取付孔部65は、開口側端部から底部側に向かって内径寸法が漸次小さくなるような円孔状に形成されている。
また、取付孔部65における底部側の端部は、段部が設けられた係合受部66を有する。更に、栓体としての樹脂リング67が取付孔部65の底部に配されており、この樹脂リング67により、取付孔部65の底部が液密に閉鎖されている。またこの場合、表皮材63は、装飾体64が取り付けられる位置を除いて、被覆層62の表面に貼り付けられている。
装飾体64は、円弧状に湾曲した装飾体本体部64aと、装飾体本体部64aの裏面側に突設された係止部64bとを備えており、装飾体本体部64aの表面には装飾が施されている。係止部64bは、円柱状の軸部と、軸部の先端側の外周部に突設された爪部とを有しており、軸部の先端部には、弾性変形可能なように切り込みが形成されている。
そして、装飾体64の係止部64bを、リング芯金61及び被覆層62に設けた取付孔部(装飾体取付部)65に挿入して押し込むことにより、係止部64bの爪部が、取付孔部65に設けた段部に係止され、装飾体64が、表皮材63を被覆層62との間に保持するようにしてリング部に取り付けられる。
このような特許文献1のステアリンホイールによれば、装飾体64をリング芯金61及び被覆層62に向けて押し込むだけで、図8に示したように、装飾体64をリング部の所定位置に容易に且つ強固に取り付けることができる。それによって、装飾体64の取付作業性を向上させて、製造コストを低減することができるため、意匠性が向上したステアリンホイールを安価に提供することが可能となる。
また図9に示すように、特許文献2に記載されているステアリングホイール70は、リング部を構成する円環状のリング芯金71と、リング芯金71を覆う被覆層72と、被覆層72を更に覆う表皮材73と、インサート成形により被覆層72に一体化される装飾体取付部(装飾体取付体)74と、装飾体取付部74に取り付けられる装飾体75とを有する。
特許文献2の装飾体取付部74は、湾曲した薄板状の取付体本体部74aと、取付体本体部74aの外周に形成された略平板状の縁板部74bと、取付体本体部74aの表面に所定間隔で略矩形状に形成された複数の係止受部用突設部74cとを有する。また、係止受部用突設部74cの内周側及び外周側の端面に係止受部としての第1及び第2の係止受部74d,74eが形成されており、第1の係止受部74dが形成する面と第2の係止受部74eが形成する面とは、互いの延長面が交差するように設定されている。更に、第1の係止受部74dの長手方向の中央部には、図示しない位置決め用切欠部が形成されている。
また、装飾体75は、表面に装飾が施された円弧状の装飾体本体部75aと、装飾体本体部75aの裏面側に所定間隔で設けられ、装飾体取付部74の第1及び第2の係止受部74d,74eに係止する複数の第1及び第2の係止部75b,75cとを有しており、第1の係止部75bと第2の係止部75cとは、互いにリング芯金71に向けて異なる方向で突設されている。更に、装飾体本体部75aの裏面側には、装飾体取付部74の位置決め用切欠部に挿入される図示しない位置決め突部が突設されている。
このような特許文献2のステアリングホイール70において、装飾体75を装飾体取付部74に取り付けるときには、装飾体75をステアリングシャフトの軸方向に沿って装飾体取付部74に押し込む。これにより、装飾体75の第1及び第2の係止部75b,75cを装飾体取付部74の第1及び第2の係止受部74d,74eに係合させて、装飾体75をリング部の所定位置に取り付ける。またこのとき、第1及び第2の係止部75b,75cと第1及び第2の係止受部74d,74eとの間に接着剤を塗布して両者を接着することができる。
このような特許文献2のステアリングホイール70であれば、被覆層72を軟質に形成できるため、リング部の触感を良好にすることができるとともに、装飾体取付部74は、インサート成形により被覆層72に容易に強固に組立精度良く取り付けできる。また、装飾体75は、被覆層72より硬質の装飾体取付部74に直接係合するため、容易に且つ強固に取り付けられるとともに、装飾体75の交換や修理なども可能となる。
次に、図10に示すように、特許文献3のステアリングホイール80は、リング部を構成する円環状のリング芯金81と、リング芯金81を覆う被覆層82と、被覆層82を更に覆う表皮材83と、被覆層82の成形時に被覆層82に一体化される装飾体取付部(インサート部材)84と、装飾体取付部84に取り付けられるリング状の装飾体85とを有する。
特許文献3の装飾体取付部84は、両側縁部に配される平板部84aと、これらの平板部84a間に配される接着突部84bと、接着突部84bに隣り合って配される凹面状のガイド面84cとを有しており、そのガイド面84cに連続する縁が爪状縁部84dとして形成されている。
リング状の装飾体85は、リング部に押し込む押し込み方向の後側の周縁部85aと、その押し込み方向の後側の周縁部85aよりも直径を大きくした押し込み方向の前側の周縁部85bとを有するとともに、前側の周縁部85bが外側に撓んで拡開可能な弾性を有する。また、装飾体85の裏面には、装飾体取付部84の爪状縁部84dに掛止められる掛止め突部85cが形成されている。
このような特許文献3のステアリングホイール80において、装飾体85を装飾体取付部84に取り付けるときには、先ず、装飾体85の裏面と、リング部の装飾体取り付け部分に接着剤を塗布する。続いて、リング状の装飾体85をリング部に対して位置合わせをしながらリング部に向けて押し込む。
このとき、装飾体85の掛止め突部85cが装飾体取付部84のガイド面84cに摺接しながら案内され、装飾体85の前側の周縁部85bが外側に撓んで拡開する。更に、掛止め突部85cが装飾体取付部84の爪状縁部84dに移動して弾性復帰することにより、掛止め突部85cが装飾体取付部84に係着するとともに、装飾体85の前側の周縁部85bが縮径する。
このような特許文献3のステアリングホイール80であれば、リング部への装飾体85の取り付け作業が簡単になるとともに、装飾体85が、掛止め突部85cによる引っ掛け力と接着剤の接着力とにより、リング部にしっかりと保持されるとともにリング部から簡単に外れなくなる。
ところで、近年では、寒い地域で自動車を運転する際にステアリングホイールが冷たいことに起因する操作のしづらさや不快感を軽減するため、リング部にヒーター部材が取り付けられたステアリングホイールが実用化されてきている。このようにヒーター部材がリング部に取り付けられることにより、リング部をヒーター部材で短時間で温めることができるため、手が悴むことを防ぎ、ステアリングホイールを快適に操作することが可能となる。
このようなヒーター部材がリング部に取り付けられたステアリングホイールが、例えば特開2007−290685号公報(特許文献4)や、特開2012−171551号公報(特許文献5)に記載されている。
例えば特許文献4には、ヒーター部材となる面状発熱体が開示されている。特許文献4の面状発熱体は、不織布からなる支持体と、支持体に配設される線状ヒーター(ヒーター線)とを有しており、線状ヒーターが、発熱体として、支持体に折り返しを繰り返して全体的に這うように取り付けられている。特に特許文献4では、面状発熱体が、展開して開いたときにリング部の最外周部が幅方向の略中央部分となるように形成されているとともに、その面状発熱体の略中央部分では、線状ヒーターの折り返しを疎となるように形成されている。
特許文献4によれば、面状発熱体が上述のように形成されていることにより、運転者の握り方に合わせて面状発熱体の発熱を調整でき、ステアリングホイールを握ったときの使用感を向上できるとともに、リング部の見栄えや手触り感を損なう心配がなくなるとしている。
特許文献5には、リング部にヒーター部材となる面状発熱体が配され、そのリング部と面状発熱体とが表皮材で覆われるステアリンホイール(ハンドル)が開示されている。この特許文献5のリング部には、面状発熱体を嵌合させる凹部が設けられているとともに、その凹部内には、凹部の底面に対して相対的に表面側に突出する複数の凸部が設けられている。
また、特許文献5の面状発熱体は、炭素繊維などの導電体を含む長尺のシートであり、矩形状の発熱体本体と、この発熱体本体に挿入受部として設けられた複数のスリットと、発熱体本体の両側縁部に配される一対の電極部とを有する。この場合、面状発熱体の各スリットは、短手方向(幅方向)に長く形成されている。
この面状発熱体は、一対の電極部を接近させるように筒状に湾曲させてリング部の凹部に嵌合するとともに、面状発熱体の各スリットに、リング部の対応する凸部が挿入されて係止されることによってリング部に取り付けられる。そして、面状発熱体にリング部が取り付けられた後に、表皮材がリング部及び面状発熱体を覆うように取り付けられる。
特許文献5では、上述のように面状発熱体がリング部の凹部に嵌合するとともに、面状発熱体の各スリットにリング部の凸部が係止されるため、面状発熱体がリング部に対して確実に位置決めして所望の位置に固定でき、表皮材を取り付ける際に、面状発熱体がリム部に対して移動する(位置がずれる)こともない。更に、表皮材の表面に、面状発熱体による段差が生じ難くなり、見栄えが向上するとともに運転者がリング部を操作するときに違和感などが生じることもない。
特開2000−85587号公報 特開2000−264222号公報 特開2013−233892号公報 特開2007−290685号公報 特開2012−171551号公報
上述の特許文献1〜特許文献3に記載されているように、円環状のリング芯金の周囲を合成樹脂製の被覆層が被覆するとともに、被覆層に装飾体を取り付けるための装飾体取付部が設けられているステアリングホイールでは、表皮材が巻かれたリング部に装飾体を取り付ける際に、装飾体取付部が外部に露呈している状態である。このため、装飾体を、装飾体取付部に係着等により、更には接着剤を介して、安定して取り付けることができる。
近年、このようにリング部に装飾体が取り付けられるステアリングホイールに対しても、寒冷地においてステアリングホイールを快適に操作できるようにするために、リング部にヒーター部材を取り付けることが望まれており、また、実用化されてきている。
しかし、装飾体が取り付けられるステアリングホイールのリング部にヒーター部材を取り付ける場合、リング部にヒーター部材と表皮材とを取り付けた後、被覆層に設けた装飾体取付部に装飾体を安定して取り付けるようにするため、ヒーター部材や表皮材に、装飾体取付部を避けるための開口部を装飾体取付部の形状に対応して予め設けておくことが必要となる。それにより、ヒーター部材が巻き付けられたリング部の表面に、装飾体取付部を、ヒーター部材や表皮材の開口部を介して露呈させることが可能となる。
また、このようにヒーター部材に装飾体取付部の形状に対応した開口部(例えば単純な矩形状の開口部)を形成する場合、その開口部は、リング部の装飾体が取り付けられる乗員対向面に形成される。また、リング部に取り付けられるヒーター部材は、通常、特許文献4に記載されているように、展開して開いたときにリング部の最外周部が幅方向の略中央部分となるように形成される。
このため、ヒーター部材に、装飾体取付部を挿通させるための矩形状の開口部を設けると、ヒーター部材の開口部より内周側に配される部分(すなわち、ヒーター部材の内周側側縁と開口部との間に配される部分)が細く形成される。このようにヒーター部材の開口部より内周側に配される部分が細くなると、ヒーター部材をリング部に取り付けたときや、表皮材をリング部に巻き付けるときに、ヒーター部材の内周側の細い部分が、リング部の外径と内径との周長差によりだぶついて、ヒーター部材が折れ曲がったり、ヒーター部材に皺が生じたりし易くなる。
その結果、ヒーター部材の折れ曲がりや皺が表皮材を介してリング部の外面に浮き出てしまうため、リング部の見栄えが損なわれたり、運転者がステアリングホイールを握ったときに違和感や不快感を生じさせて、リング部の手触り感を悪くさせたりするといった問題があった。特にリング部を握る手の平や指は、小さな段差でも感じ取って違和感を生じさせるため、リング部の外面は滑らかに形成されることが求められている。
更に、ヒーター部材の上述した内周側の細い部分は、リング部の周方向に伸びや弛みが生じやすく、ヒーター部材の被覆層への取り付け作業が煩雑になるという問題もあった。
また、ヒーター部材における上述のような折れ曲がりや皺の発生を抑制するために、またヒーター部材の取り付け作業を容易にするために、従来では、ヒーター部材の折れ曲がりや皺が発生し易い部分を完全に切除してしまい、ヒーター部材がその内周側の側縁から装飾体取付部を挿通させるための開口部までの大きな領域が完全に切り抜かれた状態で、リング部に取り付けられることもあった。
しかし、このようにヒーター部材が大きく切り抜かれると、装飾体の周囲に(特に装飾体の内周側に)、ヒーター部材で温められない部分が大きく形成されてしまうため、ステアリングホイールのリング部が部分的に冷たくなり、ステアリングホイールの操作時に不快感や違和感を生じさせることがあった。
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、リング部の乗員対向面に装飾体が取り付けられるステアリングホイールにおいて、表皮材の内側に配されるヒーター部材に折れ曲がりや皺が生じることを防ぐとともに、ヒーター部材で温められない箇所が大きく形成されることを防いで、リング部の見栄えや手触り感が良好となって運転者が快適に操作することが可能で、更に、ヒーター部材の取り付け作業性も向上させることが可能なステアリングホイールを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明により提供されるステアリングホイールは、基本的な構成として、円環状の芯金と、前記芯金の周囲を被覆する合成樹脂製の被覆層と、前記被覆層に又は前記芯金及び前記被覆層に設けられる少なくとも1つの装飾体取付部と、前記装飾体取付部に対応する位置に開口窓部を備え、前記被覆層の周囲を覆う表皮材と、前記装飾体取付部に取り付けられるステアリング用装飾体とを備えたリング部を有し、前記装飾体は、前記リング部の乗員対向面に配されるステアリングホイールであって、前記被覆層と前記表皮材との間に、長尺でシート状のヒーター部材が、前記リング部の周方向に沿って積層状に配され、前記ヒーター部材は、前記装飾体取付部に対応する位置に形成される少なくとも1つの開口部と、当該ヒーター部材における前記リング部の内周側に配置される一側縁と前記開口部との間に形成される切れ目部とを有し、前記ヒーター部材の前記切れ目部を挟んで相対して形成される第1切断端部と第2切断端部とが、互いに離間して設けられてなることを最も主要な特徴とするものである。
このような本発明に係るステアリングホイールにおいて、前記ヒーター部材の前記開口部は、前記リング部の周方向に長く形成されていることが好ましい。また、前記切れ目部は、前記ヒーター部材の展開図において前記ヒーター部材の長さ方向に対して傾斜して形成されていることが好ましい。更に、前記第1及び第2切断端部は、円弧状の先端形状を有していることが好ましい。
また、本発明のステアリングホイールでは、前記ヒーター部材の前記一側縁と前記開口部との間に、前記切れ目部を挟んで、第1切れ端片部と第2切れ端片部とが配され、前記ヒーター部材の展開図における前記第1切れ端片部の長さ寸法と、前記第2切れ端片部の長さ寸法との和が、前記装飾体取付部の内径側における前記リング部の周方向に沿った寸法に合わせられていることが好ましい。
本発明に係るステアリングホイールのリング部は、円環状の芯金と、芯金の周囲を被覆する合成樹脂製の被覆層と、その被覆層にインサート成形により固定され、又は芯金及び被覆層に形成される少なくとも1つの装飾体取付部と、装飾体取付部を避けるように開口窓部を備え、被覆層の周囲を覆う表皮材と、装飾体取付部に取り付けられ、リング部の乗員対向面側に配されるステアリング用装飾体と、被覆層と表皮材との間に積層状にリング部の周方向に沿って配され、長尺でシート状のヒーター部材とを有する。
また、ヒーター部材は、装飾体取付部に対応する位置に形成される少なくとも1つの開口部と、当該ヒーター部材におけるリング部の内周側に配置される一側縁から開口部にかけて形成される切れ目部とを有しており、そのヒーター部材の切れ目部を挟んで相対する第1切断端部と第2切断端部とは、互いに離間して設けられている。
このような本発明のステアリングホイールであれば、ヒーター部材に装飾体取付部を挿通させる開口部が形成されていても、ヒーター部材の内周側側縁と開口部との間に配される細い部分に切れ目部が配されているため、ヒーター部材をリング部に取り付けるときに、リング部の外径と内径との周長差の影響を受け難くなり、前記細い部分が折れ曲がり難くなるとともに、皺も発生し難くなる。それにより、被覆層及びヒーター部材を表皮材で被覆したときに、表皮材の外面に段差や皺が生じ難くなるため、リング部の見栄えや、運転者がリング部を握ったときの手触り感を向上させることができる。
更に、上述のような切れ目部が配されていることにより、ヒーター部材をリング部に取り付ける際に、ヒーター部材の内周側側縁と開口部との間に切れ目部を挟んで配される第1切れ端片部と第2切れ端片部とを、リング部の周方向に沿って、容易に且つ安定して被覆層上に貼り合せることができるため、ヒーター部材の被覆層への取り付け作業性を向上させることができる。またそれにより、リング部にヒーター部材が欠落する部分を少なくする、又は無くすことができ、ステアリングホイールのリング部を全体的に安定して温めることができる。
このような本発明のステアリングホイールは、ヒーター部材の開口部が、リング部の周方向に長く形成される場合に特に好適に用いられる。すなわち、ヒーター部材の開口部が、リング部の周方向に長く形成されると、当該開口部に挿入される装飾体取付部もリング部の周方向に長く形成できるため、その装飾体取付部に円弧状の装飾体を安定して取り付けることができるものの、ヒーター部材の内周側側縁と開口部との間に配される細い部分もリング部の周方向に長くなるため、従来では、その細い部分に折れ曲がりや皺がより生じ易くなる。
これに対して、本発明のステアリングホイールでは、上述したような切れ目部が設けられることにより、ヒーター部材の開口部がリング部の周方向に長く形成されても、ヒーター部材に折れ曲がりや皺を生じ難くすることができるため、リング部の手触り感が良好となるとともに、装飾体の取り付けが安定してリング部の見栄えを更に向上させることができる。
また、本発明のステアリングホイールにおいて、切れ目部は、ヒーター部材の展開図においてヒーター部材の長さ方向に対して傾斜して形成されていることや、第1及び第2切断端部が円弧状の先端形状を有することにより、被覆層及びヒーター部材を表皮材で被覆したときに、切れ目部の形成によって表皮材の外面に形成される僅かな段差をぼかして、目立たなくすることができ、それによって、リング部の見栄えや手触り感をより一層向上させることができる。
更に、本発明のステアリングホイールでは、ヒーター部材の展開図において、ヒーター部材の長さ方向における第1切れ端片部の寸法(第1切れ端片部の長さ寸法)と、ヒーター部材の長さ方向における第2切れ端片部の寸法(第2切れ端片部の長さ寸法)との和が、装飾体取付部の内径側におけるリング部の周方向に沿った寸法の大きさに合わせられている。
それにより、ヒーター部材を、リング部の周方向に沿って、装飾体取付部を避けて被覆層に取り付けるときに、リング部の内周側にて、ヒーター部材の第1切れ端片部と第2切れ端片部とを、第1及び第2切断端部同士が突き合うように接触させた状態でリング部に連続的にきれいに取り付けることができる。従って、そのヒーター部材の上に表皮材を巻き付けたときに、表皮材の外面に段差がより形成され難くなるため、リング部の見栄えや手触り感を更に効果的に向上させることができる。
また、ヒーター部材の開口部の内周側にて第1及び第2切断端部同士が突き合うように接触することによって、リング部にヒーター部材の欠落部分が形成されなくなるため、ステアリングホイールのリング部をヒーター部材で全体的に安定して温めることができる。それにより、ステアリングホイールの操作時に、リング部が部分的に冷たくなることに起因する不快感や違和感を運転者に与えなくすることができる。
本発明に係るステアリングホイールのリング部に対する装飾体取付部の取付位置を表すステアリングホイール本体の模式図である。 同ステアリングホイールのリング部における断面図である。 同ステアリングホイールのリング部に取り付けられるヒーター部材の展開図である。 同ステアリングホイールの表皮材が取着されていない状態のリング部を示す要部断面斜視図である。 ヒーター部材の変形例を示す部分展開図である。 ヒーター部材の別の変形例を示す部分展開図である。 従来のステアリングホイールのリング部を示す分解断面図である。 同リング部が組み立てられた状態を示す断面図である。 従来の別のステアリングホイールのリング部を示す断面図である。 従来の更に別のステアリングホイールのリング部を示す分解断面図である。
以下、本発明の好適な実施の形態について、実施例を挙げて図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下で説明する実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明と実質的に同一な構成を有し、かつ、同様な作用効果を奏しさえすれば、多様な変更が可能である。
例えば、本発明において、ステアリングホイールのボス部やスポーク部の形態、また、リング芯金の断面形状や、リング部に配される装飾体取付部及び装飾体の形態、配設位置、及び配設個数等は特に限定されるものではなく、任意に変更することが可能である。
図1は、本実施例に係るステアリングホイールのステアリング芯金と装飾体取付部を示す正面図である。図2は、同ステアリングホイールのリング部における断面図であり、図3は、同ステアリングホイールのリング部に取り付けられるヒーター部材の展開図である。
なお、ステアリングホイールは、通常、傾斜状態で配されるステアリングシャフトに装着されるものの、本発明において、前後方向とは、ステアリングシャフトの軸方向を言い、特に、ステアリングホイールに対してステアリングシャフト側の方向(ステアリングホイールを運転者が正面から見たときの奥側の方向)を前方とし、運転者側の方向(ステアリングホイールを運転者が正面から見たときの手前側の方向)を後方とする。また、ステアリングホイールを運転者が正面から見た場合において、ステアリングホイールがニュートラル位置のときにおける上下方向及び左右方向を、それぞれ上下方向及び左右方向とする。
本実施例のステアリングホイールは、ステアリングホイール本体1と、ステアリングホイール本体1の後述するボス部6の乗員側となる後面に装着される図示しないエアバッグ装置と、ステアリングホイール本体1の裏面(前面)側を被覆する図示しないロアカバーとなどを有しており、ステアリングホイール本体1は、鉄、アルミニウム、マグネシウムなどの金属材料を用いて形成され、骨格(芯体)として形成される芯金を有する。
また、ステアリングホイール本体1は、運転者が握るグリップ部となる円環状のリング部(リム部)5と、リング部5の略中央に位置するボス部6と、リング部5とボス部6間を連結する3本のスポーク部7とを有しており、本実施例では、ステアリングホイール本体1を正面から見たときに、3本のスポーク部7がボス部6から略T字状に配されている。
ステアリングホイール本体1のリング部5は、円環状のリング芯金10と、リング芯金10の外周を被覆する被覆層11と、被覆層11に固定される装飾体取付部(装飾体取付体)20と、被覆層11を覆うようにリング部5の周方向全体に配される表皮材12と、被覆層11と表皮材12の間に積層状に配されるヒーター部材(面状発熱体)30と、装飾体取付部20に固着する装飾体(フィニッシャ)13とを有する。
リング芯金10は、略U字状の断面形状を備えており、リング芯金10の内周側には、3本のスポーク部7のスポーク芯金が連結されている。被覆層11は、リング芯金10の略全体を覆うとともにリング芯金10に固着しており、ポリウレタンなどの軟質の合成樹脂により形成されている。
装飾体取付部20は、被覆層11より硬質のABS樹脂等の合成樹脂又は金属により形成されており、被覆層11の成形時にその成形用金型内にリング芯金10とともにインサート部材として挿入されることにより、被覆層11に一体的に固定される。この場合、装飾体取付部20は、リング部5の乗員対向面側(後面側)で、且つ、内周側の位置に取り付けられる。
本実施例において、装飾体取付部20は、ステアリングホイールを運転者が正面から見た場合において、アナログ時計における約10時から2時までの角度範囲に配される上側装飾体取付部20aと、約3時から4時までの角度範囲に配される右側装飾体取付部20bと、約5時から7時までの角度範囲に配される下側装飾体取付部20cと、約8時から9時までの角度範囲に配される左側装飾体取付部20dとを有する。
また図2に示したように、リング部5の上下左右に配される各装飾体取付部20a〜20dは、リング芯金10に接触する芯金接触面21と、芯金接触面21の内周側及び外周側に配され、被覆層11に固着する固着面22と、リング部5に表皮材12及び装飾体13が取り付けられていない状態にて外部に露出する露出面23とを有する。
更に、装飾体取付部20の露出面23は、表皮材12が被せられる又は貼着する表皮材取付面24と、表皮材12の後述する開口窓部内に位置し、装飾体13が取り付けられる装飾体取付面25とを有する。この場合、装飾体取付部20の表皮材取付面24は、被覆層11の外周面との間に段差がなく、被覆層11の外面と連続するように形成される。
更に、装飾体取付部20は、内周側の表皮材取付面24と装飾体取付面25との間に段差部26が設けられており、表皮材12をリング部5へ巻き付けるときに、この段差部26に表皮材12の側縁を当接させることより、リング部5に対する表皮材12の位置合わせを行うことが可能となる。
また、この装飾体取付部20は、装飾体取付面25に装飾体13を取り付ける際における装飾体13の位置合わせをし易くするために、装飾体13の後述する突条部13aを嵌入させることが可能な嵌入凹部27が、リング部5の周方向に沿って形成されている。
これらの装飾体取付部20に取り付けられる装飾体(フィニッシャ)13は、合成樹脂製であり、リング部5に対応した円環状に形成されている。また、装飾体13の径方向の寸法は、リング部5の径方向の寸法よりも小さく設定されている。
この装飾体13の外面となる表面は、装飾体13を装飾体取付部20に取り付けたときに運転者側を向くように配され、滑らかな曲面状に形成されているとともに、木目模様等の装飾が施されている。更に、装飾体13の裏面には、装飾体取付部20に設けた嵌入凹部27の位置に対応して、突条部13aがリング部5の周方向に沿って形成されている。
本実施例の表皮材12は、天然皮革や合成皮革などからなるシート状の薄くて柔らかい部材であり、伸縮性を備える。また、この表皮材12は、リング部5と、スポーク部7のリング部5側の端部とを被覆するように、リング部5の周方向に長尺な形状を有する。この場合、表皮材12の長さ方向は、リング部5の周方向に沿った方向に対応しており、表皮材12の幅方向は、リング部5をリング部5の径方向で切断したときの略円形断面の周方向に沿った方向に対応する。
更に、本実施例の表皮材12は、後述するようにリング部5の被覆層11とヒーター部材30を包み込むようにリング部5に巻き付けるときに、表皮材12における幅方向の中央部がリング部5の表面(後面)側に配されるとともに、表皮材12の長さ方向に沿って形成される内周側側縁部(第1側縁部)と外周側側縁部(第2側縁部)とが、リング部5の裏面(前面)側に配されるように形成されている。このような表皮材12を伸ばしながらリング部5に巻き付けるとともに、リング部5の裏面側で表皮材12の内周側側縁部と外周側側縁部とを縫製により縫い合わせることにより、表皮材12がリング部5に取り付けられる。
また、表皮材12には、リング部5に固定された装飾体取付部20の位置に対応して複数の開口窓部が設けられており、各開口窓部は、装飾体取付部20の装飾体取付面25の大きさに対応する開口面積を有して形成されている。
本実施例のヒーター部材30は、図3に示すように、不織布からなる基材31の全体に、図示しないヒーター線(電熱線)が折り返しながら取り付けられて形成されており、ヒーター線に電気を流すことにより発熱する。なお、本発明において、基材31に対するヒーター線の配設位置等は特に限定されるものではなく、任意に設計することができる。また、ヒーター部材30としては、その他の材料又は構造からなる面状発熱体を用いることも可能である。
本実施例のヒーター部材30は、リング部5の周方向に長尺なシート状の形状を有する。この場合、ヒーター部材30の展開図(図3)におけるヒーター部材30の長さ方向は、リング部5の周方向に沿った方向となり、ヒーター部材30の幅方向は、リング部5をリング部5の径方向で切断したときの略円形断面の周方向に沿った方向となる。
また、ヒーター部材30は、リング部5に取り付けるときに、展開図のヒーター部材30における幅方向の中央部がリング部5の表面(後面)側に配されるとともに、ヒーター部材30の長さ方向に沿って形成される内周側側端縁35(図3の下側に位置する第1側端縁)と、外周側側端縁36(図3の上側に位置する第2側端縁)とが、リング部5の裏面(前面)側に配されるように形成されている。
更に、ヒーター部材30は、当該ヒーター部材30を被覆層11の外周面に取り付けたときに、展開図にて幅方向に沿って形成される長さ方向の両端部が、ステアリングホイールを運転者が正面から見た場合のアナログ時計における7時と8時の間の角度位置に配されるように形成されている。
このヒーター部材30は、リング部5に固定された装飾体取付部20の位置に対応して複数の開口部32が設けられている。特に本実施例のヒーター部材30は、上側装飾体取付部20aの位置に対応して形成される上側用開口部(第1開口部)32aと、右側装飾体取付部20bの位置に対応して形成される右側用開口部(第2開口部)32bと、下側装飾体取付部20cの位置に対応して形成される下側用開口部(第3開口部)32cと、左側装飾体取付部20dの位置に対応して形成される左側用開口部(第4開口部)32dとを有する。各開口部32a〜32dは、ヒーター部材30を展開した状態において、ヒーター部材30の長さ方向(すなわち、リング部5の周方向)に長い矩形状の形態に形成されている。
また、4つの各開口部32a〜32dは、ヒーター部材30を被覆層11の外周面に取り付けたときに、各装飾体取付部20a〜20dの露出面23が各開口部32a〜32dを介して外側に露出するように、各装飾体取付部20a〜20dの露出面23よりも大きな開口面積をもって形成されている。また、ヒーター部材30の各開口部32a〜32dの開口面積は、表皮材12に形成される対応した各開口窓部の開口面積よりも大きく設定されている。
更に、本実施例のヒーター部材30には、展開図における長さ方向に細長く形成された上側用開口部32aの長さ方向の中央部分に、上側用切れ目部(第1切れ目部)33が、ヒーター部材30の内周側側端縁35から上側用開口部32aにかけて、ヒーター部材30の幅方向に沿って設けられている。
ここで、図3に示したように、ヒーター部材30の内周側側端縁35と上側用開口部32aとの間において上側用切れ目部33を間に挟んで形成される長さ方向に細長い一対の矩形片状の部分を、上側用の第1切れ端片部37a及び第2切れ端片部37bとし、第1切れ端片部37aの切断端部となる先端部と、第2切れ端片部37bの切断端部となる先端部とは、上側用切れ目部33によって、互いに離間した状態で配されている。
また、第1切れ端片部37aの長さ寸法を、ヒーター部材30の展開図において、上側用開口部32aにおける長さ方向の第1切れ端片部37a側の一端縁の位置から、第1切れ端片部37aの切断端縁となる先端縁の位置までのヒーター部材30の長さ方向に沿った寸法39aとする。第2切れ端片部37bの長さ寸法を、上側用開口部32aにおける長さ方向の第2切れ端片部37b側の他端縁の位置から第2切れ端片部37bの切断端縁となる先端縁の位置までのヒーター部材30の長さ方向に沿った寸法39bとする。
この場合、本実施例において、上側用開口部32aの長さ寸法39cは、上側装飾体取付部20aの外径側におけるリング部5の周方向に沿った寸法に合わせられている。更に、ヒーター部材30の展開図における上側用切れ目部33の長さ方向の寸法(第1及び第2切れ端片部37a,37bの先端部間の寸法)は、第1切れ端片部37aの長さ寸法39aと第2切れ端片部37bの長さ寸法39bとの和の大きさが、上側装飾体取付部20aの内径側におけるリング部5の周方向に沿った寸法に合うように設定されている。
ここで、本実施例の表皮材12は、上述したように薄くて柔らかく形成されているため、表皮材12の下に配されるヒーター部材30に皺や凹凸等が形成されると、その皺や凹凸等が小さなものであっても、表皮材12の外面(表面)に転写され易い(浮き出し易い)ため、リング部5の見栄えを悪くすることや、また見た目では判らなくても、運転者がリング部5を握ったときに皺や凹凸等に違和感や不快感を生じさせることがある。
しかし、本実施例では、上述のように上側用開口部32a及び上側用切れ目部33の寸法が設定されることにより、ヒーター部材30を、各開口部32a〜32d内に対応する各装飾体取付部20a〜20dを挿入するようにしてリング部5の周方向に沿って被覆層11に取り付けたときに、ヒーター部材30の上側用開口部32aの内周側にて第1切れ端片部37aの先端部(第1切断端部)と第2切れ端片部37bの先端部(第2切断端部)とを互いに突き合わせた状態で、第1切れ端片部37aと第2切れ端片部37bとを連続するように被覆層11上に平坦状にきれいに装着することができる。
このため、第1及び第2切れ端片部37a,37bの両先端部が互いに重なり合うこと、また、第1及び第2切れ端片部37a,37bにだぶつきや皺が発生することを効果的に防止できる。更に、第1及び第2切れ端片部37a,37bの先端部同士を突き合わせることにより、第1及び第2切れ端片部37a,37b間に小さな凹みが形成されることを防ぐとともに、それらの先端部の形状が、表皮材12の外面側に転写され難く(浮き出し難く)することができる。それにより、表皮材12の外面を、凹凸の少ない滑らかな面に仕上げることができる。
また、本実施例のヒーター部材30には、展開図において、その長さ方向に細長く形成された下側用開口部32cにおける長さ方向の中央部分に、下側用切れ目部(第2切れ目部)34が、ヒーター部材30の内周側側端縁35から下側用開口部32cにかけて設けられており、この下側用切れ目部34は、上述した上側用切れ目部33よりも、ヒーター部材30の長さ方向における寸法を大きくして形成されている。
これにより、ヒーター部材30を上述のようにリング部5の周方向に沿って被覆層11に取り付けるときに、ヒーター部材30の下側用開口部32cの内周側に配される第1及び第2切れ端片部38a,38bの先端部が互いに重なり合うことを防止するとともに第1及び第2切れ端片部38a,38bがだぶつくことも防止できる。このため、その後に表皮材12を巻き付けたときに、表皮材12の外面を凹凸の少ない滑らかな面に仕上げることができる。
なお、本発明においては、ヒーター部材に少なくとも1つの切れ目部が、開口部に対応して設けられていれば良く、例えば本実施例では、上側用切れ目部33又は下側用切れ目部34を形成せずにヒーター部材30を構成しても良く、また、上側用及び下側用切れ目部33,34に加えて、右側用開口部32bや左側用開口部32dに切れ目部を更に設けることも可能である。
また本発明では、ヒーター部材に形成される開口部のうち、例えばステアリングホイールを運転者が正面から見た場合において、リング部における角度範囲が40°以上となるように設けられる開口部について、ヒーター部材の内周側側端縁から当該開口部に至る切れ目部が形成されていることが好ましい。
また、本実施例のヒーター部材30の基材31における内周側の側縁部と外周側の側縁部とには、図3に示したように、ヒーター部材30をリング部5に巻き付けるときに皺が更に生じ難いようにするために、複数の小さな切欠き部31aが幅方向中央部に向けて形成されている。
次に、本実施例のステアリングホイール本体1のリング部5を製造する工程について説明する。
先ず、被覆層11の成形に用いられる金型の所定位置に、リング芯金10と複数の装飾体取付部20とを保持し、その後、当該金型内に被覆層11の樹脂材料を導入して、被覆層11の成形(インサート成形)を行う。これにより、リング芯金10を被覆するように被覆層11が所定の形状で形成されるとともに、その被覆層11の所定位置に各装飾体取付部20a〜20dが所定の向きで固定される。
次に、リング部5の成形された被覆層11に、図3に示したヒーター部材30を、そのリング部5の周方向に沿って重ねて巻き付ける。このとき、被覆層11に固定されている各装飾体取付部20a〜20dを、ヒーター部材30の対応する各開口部32a〜32dに挿入するようにしてヒーター部材30を位置合わせしながら巻き付ける。なおこの場合、ヒーター部材30と被覆層11とは、接着剤や両面粘着テープ等を用いて接着されても良い。
このようにヒーター部材30をリング部5の被覆層11に巻き付けることにより、図4に示したように、ヒーター部材30が、リング部5の表面(後面)側を被覆するとともに、ヒーター部材30の内周側側端縁35と外周側側端縁36とがリング部5の裏面(前面)側に互いに離間した状態で位置するようにして巻き付けられる。このとき、被覆層11に固定されている各装飾体取付部20a〜20dは、ヒーター部材30に設けた各開口部32a〜32dを介して露呈した状態となる。
更にこのとき、ヒーター部材30の上側用開口部32aの内周側では、第1及び第2切れ端片部37a,37bが、互いに重なり合うことやだぶつくことなく、第1切れ端片部37aの先端部と第2切れ端片部37bの先端部とを突き合わせた状態で、被覆層11上に平坦状にきれいに配設される。また、ヒーター部材30の下側用開口部32cの内周側では、第1及び第2切れ端片部38a,38bが、互いに重なり合うことやだぶつくことなく、第1切れ端片部38aの先端部と第2切れ端片部38bの先端部とを離した状態で、被覆層11上に平坦状にきれいに配設される。
特に本実施例では、ヒーター部材30の上側用及び下側用開口部32a,32cの内周側に配される第1及び第2切れ端片部37a,37b,38a,38bは、それらの間に上側用及び下側用切れ目部33,34が設けられて分離している。このため、第1切れ端片部37a,38aと第2切れ端片部37b,38bとを、それぞれ弛みや皺を生じさせることなく、被覆層11上に簡単に且つ綺麗に貼り付けることができる。
続いて、ヒーター部材30をリング部5の被覆層11に巻き付けた後、表皮材12の裏面に接着剤を塗布して、又は両面粘着テープを貼り付けて、その表皮材12を伸ばしながら、被覆層11及びヒーター部材30を外側から被覆するように重ねて巻き付ける。
このとき、各装飾体取付部20a〜20dの装飾体取付面25が、表皮材12に対応して設けた各開口窓部を介して露呈するように、表皮材12が位置合わせされる。また、表皮材12における幅方向の中央部がリング部5の表面(後面)側に配され、且つ、表皮材12の内周側及び外周側側縁部がリング部5の裏面(前面)側に配されるように、表皮材12をリング部5の周方向に沿ってリング部5に巻き付けるとともに、その表皮材12の内周側側縁部と外周側側縁部とをリング部5の裏面側で縫製により縫い合わせる。
これにより、各装飾体取付部20a〜20dの装飾体取付面25が、表皮材12の対応する開口窓部からそれぞれ露呈するとともに、表皮材12の開口窓部の周りに配される開口周縁部が、装飾体取付部20の表皮材取付面24に貼り合わせられた状態で、表皮材12がリング部5に取り付けられる。
このとき、ヒーター部材30は、上述のように開口部32を有していても皺や凹凸等が形成されずに被覆層11上に貼り付けられているため、そのヒーター部材30を被覆する表皮材12の外面を、凹凸の少ない滑らかな曲面に形成することができる。
特にこの場合、ヒーター部材30に設けた上側用及び下側用切れ目部33,34が、巻き付けられた表皮材12の図示しない縫製部分の近傍に配置される。それにより、ヒーター部材30の第1及び第2切れ端片部37a,37b,38a,38bの各先端部形状や、上側用開口部32a側の第1切れ端片部37aと第2切れ端片部37bを突き合わせた境界部のラインを、より目立ち難くすることができる。
その後、装飾体13の裏面全体に接着剤を塗布して、又は両面粘着テープを貼り付けて、その装飾体13を、表皮材12が巻き付けられたリング部5の乗員対向面の内周側に貼り付ける。このとき、装飾体13の裏面に設けた突条部13aを、装飾体取付部20に設けた嵌入凹部27に嵌入させることにより、装飾体13をリング部5の所定の位置に安定して取り付けることができる。
以上の工程を行うことにより、リング部5の被覆層11と表皮材12との間にヒーター部材30が配置され、且つ、リング部5の乗員対向面に装飾体13が取り付けられたステアリングホイール本体1を簡単に製造することができる。そして、得られたステアリングホイール本体1に、図示しないエアバッグ装置やロアカバーなどを取り付けることにより、ステアリングホイールが製造される。
上述のようにして製造された本実施例のステアリングホイールでは、ヒーター部材30に、周方向に細長い上側用及び下側用開口部32a,32cが形成されていても、それぞれに対応する上側用及び下側用切れ目部33,34が設けられているため、リング部5に取り付けられたヒーター部材30(特にヒーター部材30の内周側の部分)に皺や折れ曲がりが生じ難くなる。それにより、そのヒーター部材30の上に巻き付けられる表皮材12の外面を、上述のように凹凸の少ない滑らかな曲面に形成することができるため、本実施例のステアリングホイールは、リング部5の見栄えや、運転者がリング部5を握ったときの手触り感が極めて良好なものとなる。
更に、ヒーター部材30の上側用開口部32aの内周側では、第1及び第2切れ端片部37a,37bが、それぞれの先端部同士を突き合わせた状態で貼り付けられているため、上側用開口部32aの内周側に、ヒーター部材30の欠落部分が形成されなくなる。また、ヒーター部材30の下側用開口部32cの内周側においては、第1切れ端片部38aの先端部と第2切れ端片部38bの先端部は互いに離れているものの、両先端部間の離間距離は、下側用開口部32cにおけるリング部5の周方向に沿った寸法よりも短くなるため、下側用開口部32cの内周側に形成されるヒーター部材30の欠落部分を小さくすることができる。これにより、ステアリングホイールのリング部5をヒーター部材30で全体的に安定して温めることができるため、ステアリングホイールの操作時に、リング部5が部分的に冷たくなることに起因する不快感や違和感を運転者に与えなくすることができる。
なお、上述した実施例では、ヒーター部材30の上側用開口部32aの内周側に、ヒーター部材30の幅方向に沿った上側用切れ目部33が形成されており、上側用の第1切れ端片部37aの先端部と、第2切れ端片部37bの先端部とは、それぞれ矩形状の形態(先端部の両隅部が略直角となる形態)を有する。
しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば図5にヒーター部材の変形例を示したように、上側用開口部42aに繋がる上側用切れ目部43を、展開図において、ヒーター部材40の長さ方向又は幅方向又は長に対して斜めに傾斜する方向に沿って形成することもできる。
このようにヒーター部材40の切れ目部43を斜め方向に形成することにより、ヒーター部材40をその第1切れ端片部47aの先端部と第2切れ端片部47bの先端部とを突き合わせた状態で被覆層11の外周面に巻き付け、更にその上に表皮材12を巻き付けたときに、ヒーター部材40の第1切れ端片部47aと第2切れ端片部47bとを突き合わせて形成される境界部のラインがよりぼやけやすくなり、その境界部のラインを表皮材12の外周面上に更に表れ難く、また、目立ち難くすることができる。その結果、リング部5の見栄えや手触り感をより向上させることができる。
更に本発明では、図6にヒーター部材の別の変形例を示したように、ヒーター部材50の上側用開口部52aの内周側に配される第1切れ端片部57aの先端部と、第2切れ端片部57bの先端部を、それぞれ円弧状の先端形状を有するようにして、上側用切れ目部53を形成することもできる。
これによって、ヒーター部材50を被覆層11に貼り付けたときに、ヒーター部材50の第1及び第2切れ端片部57a,57bの先端部の形状をぼやけさせることができるため、これらの先端部の形状を表皮材12の外面上に目立ち難くすることができる。またこの場合、ヒーター部材50の第1切れ端片部57aと第2切れ端片部57bとを互いに突き合わせて被覆層11に貼り付けても良い。
また本発明では、リング部に設ける装飾体取付部と、その装飾体取付部に取り付けられる装飾体の形態や構造は、上述した実施例に限定されるものではなく、例えば前述した特許文献2や特許文献3に記載されているような形態や構造を採用することが可能である。また、装飾体取付部を、例えば前述した特許文献1のように、被覆層とリング芯金とに取付孔部を形成し、この取付孔部に装飾体に設けた係止部を係止させるように構成しても良い。
1 ステアリングホイール本体
5 リング部(リム部)
6 ボス部
7 スポーク部
10 リング芯金
11 被覆層
12 表皮材
13 装飾体(フィニッシャ)
13a 突条部
20 装飾体取付部(装飾体取付体)
20a 上側装飾体取付部
20b 右側装飾体取付部
20c 下側装飾体取付部
20d 左側装飾体取付部
21 芯金接触面
22 固着面
23 露出面
24 表皮材取付面
25 装飾体取付面
26 段差部
27 嵌入凹部
30 ヒーター部材
31 基材
31a 切欠き部
32 開口部
32a 上側用開口部(第1開口部)
32b 右側用開口部(第2開口部)
32c 下側用開口部(第3開口部)
32d 左側用開口部(第4開口部)
33 上側用切れ目部(第1切れ目部)
34 下側用切れ目部(第2切れ目部)
35 内周側側端縁(第1側端縁)
36 外周側側端縁(第2側端縁)
37a,38a 第1切れ端片部
37b,38b 第2切れ端片部
39a 第1切れ端片部の長さ寸法
39b 第2切れ端片部の長さ寸法
39c 上側用開口部の長さ寸法
40 ヒーター部材
42a 上側用開口部
43 上側用切れ目部
47a 第1切れ端片部
47b 第2切れ端片部
50 ヒーター部材
52a 上側用開口部
53 上側用切れ目部
57a 第1切れ端片部
57b 第2切れ端片部

Claims (5)

  1. 円環状の芯金と、前記芯金の周囲を被覆する合成樹脂製の被覆層と、前記被覆層に又は前記芯金及び前記被覆層に設けられる少なくとも1つの装飾体取付部と、前記装飾体取付部に対応する位置に開口窓部を備え、前記被覆層の周囲を覆う表皮材と、前記装飾体取付部に取り付けられるステアリング用装飾体とを備えたリング部を有し、前記装飾体は、前記リング部の乗員対向面に配されるステアリングホイールであって、
    前記被覆層と前記表皮材との間に、長尺でシート状のヒーター部材が、前記リング部の周方向に沿って積層状に配され、
    前記ヒーター部材は、前記装飾体取付部に対応する位置に形成される少なくとも1つの開口部と、当該ヒーター部材における前記リング部の内周側に配置される一側縁と前記開口部との間に形成される切れ目部とを有し、
    前記ヒーター部材の前記切れ目部を挟んで相対して形成される第1切断端部と第2切断端部とが、互いに離間して設けられてなる、
    ことを特徴とするステアリングホイール。
  2. 前記ヒーター部材の前記開口部は、前記リング部の周方向に長く形成されてなる請求項1記載のステアリングホイール。
  3. 前記切れ目部は、前記ヒーター部材の展開図において前記ヒーター部材の長さ方向に対して傾斜して形成されてなる請求項1又は2記載のステアリングホイール。
  4. 前記第1及び第2切断端部は、円弧状の先端形状を有してなる請求項1〜3のいずれかに記載のステアリングホイール。
  5. 前記ヒーター部材の前記一側縁と前記開口部との間に、前記切れ目部を挟んで、第1切れ端片部と第2切れ端片部とが配され、
    前記ヒーター部材の展開図における前記第1切れ端片部の長さ寸法と、前記第2切れ端片部の長さ寸法との和が、前記装飾体取付部の内径側における前記リング部の周方向に沿った寸法に合わせられてなる、
    請求項1〜4のいずれかに記載のステアリングホイール。
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