JP6283346B2 - 4−オキソ−2−ペンテン酸及び脳の健康 - Google Patents

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Description

発明の詳細な説明
[説明]
本発明は一般に、健康上の利益を有する組成物に関する。詳細には、本発明は、脳の健康、例えば脳の保護、認知機能の維持、認知低下の予防及び認知障害の予防の分野に関する。本発明の主題は、認知低下の処置又は予防に使用するための4−オキソ−2−ペンテン酸を含む組成物である。
ほとんどすべての国において、60歳より高齢の人々の比率は、他のどの年齢層より早く増大しており、これは、より長い平均余命に少なくとも部分的に起因している。この高齢化は、増大する健康意識並びに公的医療の利用しやすさ及び実績の改善に関する成功事例と考えることができる。United Nations Population Divisionによれば、60歳より高齢の人々の世界人口は現在、900百万人をわずかに下回っている。2050年までには、60歳超の人口が24億人に到達すると予測されている。しかしながら、高齢化は、いくつかの疾患を進行させる危険性を増大するため、良好な健康状態での高齢化を可能にすることは、今日の我々の社会の重要な目的である。生活の質に関して中心的なことは、特に老年人口においては、適切な認知能力及びその維持である。
最も一般的な精神障害は、認知機能、主に記憶処理、知覚及び問題解決力を冒す。最も直接的な認知障害は、健忘、認知症及びせん妄である。アルツハイマー病は認知症の一形態である。いくつかの加齢性障害は、適当な栄養により処置又は予防することができる。しかしながら、認知障害を予防するために採用することができる栄養学的な方策については、ほんのわずかしか知られていない。したがって、適切な認知機能を確保するために使用することができる組成物に対する大きな必要性がある。特に、認知低下の処置又は予防に使用することができる組成物を同定する必要性がある。
結果として、現況技術を改善すること、特に、認知機能を維持するため並びに認知低下及び/又は認知障害を予防又は処置するために使用することができる組成物を提供することが本発明の目的だった。
本発明者らは、本発明の目的が独立請求項の主題により達成され得ることを見出して驚いた。従属請求項は、本発明の着想をさらに発展させている。
したがって、本発明は、認知低下の処置又は予防に使用するための4−オキソ−2−ペンテン酸を含む組成物を提供する。組成物は、医薬として使用することができないことがある。
本発明は、認知低下の処置又は予防のための組成物の調製における4−オキソ−2−ペンテン酸の使用も提供する。
本発明の範囲内の「処置」は、低減、阻害、緩和又は回復を指す。本発明の範囲内の「認知低下」は、認知機能の悪化を指す。認知低下は、例えば、脳機能の変化、特に脳の老化、又は疾患による損傷により引き起こされ得る。
4−オキソ−2−ペンテン酸は、CAS番号4743−82−2及び下記の式
Figure 0006283346

を有する。
増大した酸化ストレスは、正常な老化における及びアルツハイマー病等の神経変性状態における認知能力の低下に寄与する。酸化ストレスは、反応性の酸素種(フリーラジカル及び過酸化物)による細胞損傷を制御するとき又は反応性の中間体を無毒化するときのヒト細胞の損傷から生じる。過酸化物及びフリーラジカルの生成は、タンパク質、脂質及びDNAを含む細胞成分の損傷につながる。しかしながら、特定の条件下では、反応性の酸素種は、侵入する病原体を死滅させる方法として免疫系により使用されるため有益であり得ることに注目すべきである。
望ましくない酸化ストレスの効果は、抗酸化剤により制御されることが見出された。Nuclear factor(erythroid−derived 2)−like 2はNrf2とも呼ばれ、抗酸化剤応答の主要な調節剤である。本発明者らは、4−オキソ−2−ペンテン酸がNrf2を活性化することを見出して驚いた。Nrf2の活性化は、多数の急性モデルのニューロン損傷においてニューロンを保護するときに、決定的な役割を担うことが知られている(Vargas M.R.ら、Journal of Neuroscience、28(50)、13574〜13581、2008年)。
転写因子Nrf2はサイトゾルに存在し、阻害剤Keap1に結合している。Keap1に結合しているとき、Nrf2はまた、プロテアソーム、したがってその低い基礎濃度により迅速に分解される。ストレス要因、例えば一酸化窒素、成長因子又は重金属による活性化の際、Nrf2はKeap1から放出される。Nrf2濃度が増大し、Nrf2は核の中に転座する。次いでNrf2は、多数の抗酸化剤酵素をコードする遺伝子のプロモーター領域に存在する、抗酸化剤応答配列(ARE)に結合する(Kensler TWら、Annu Rev Pharmacol Toxicol 2007年、47:89〜116)。
食品化合物によるNrf2の活性化が説明されてきた。ウコンの地下茎、ブドウ、ブロッコリー及びリンゴから単離された、クルクミン(Balogun Eら、Biochem J 2003年5月1日、371(Pt3):887〜95.)、レスベラトール(Chen CYら、Biochem Biophys Res Commun 2005年6月17日、331(4):993〜1000)、スルフォラファン(F.Elbarbryら、Journal of Medical Plants Research、5、473〜484、(2011年))及びクェルセチン(Tanigawa Sら、Free Radic Biol Med 2007年6月1日、42(11):1690〜703)等のポリフェノールは、それぞれNrf2を活性化することが報告されている。米国特許出願公開第2009/0042980号は、例えば、神経保護用の量の求電子性化合物を含む組成物であって、求電子性化合物が、哺乳類の細胞中でKeap1/Nrf2複合体からのNrf2の解離を引き起こす組成物を説明している。この特許で説明されているこのような求電子性化合物の例はクルクミンである。しかしながら、身体中でのこれらの化合物の吸収及び生物学的利用能は、決定されていないままになっており、そのため、望ましくない酸化ストレスの効果を制御するために使用することができる、さらなる化合物及び組成物を同定する必要性が依然としてある。クルクミン、レスベラトロール、スルフォラファン及びクェルセチンの非常に低い水溶解度は、それらの生物学的利用能を冒す。4−オキソ−2−ペンテン酸は、逆に、良好な水溶解度を有する。
酸化ストレスは、いくつかの病理による神経変性が伴っているプロセスである(A.Reynoldsら、Int.Rev.Neurobiol.、82、297〜325(2007年))。本発明者らは、4−オキソ−2−ペンテン酸が酸化ストレスからニューロンを保護するかを調査した。ニューロンとアストロサイトの共培養モデルを用いれば、本発明者らは、4−オキソ−2−ペンテン酸が、過酸化水素により誘導された酸化ストレスから神経細胞を保護することを見出した。
本発明者らはまた、4−オキソ−2−ペンテン酸を、例えばいくつかの熱処理された細菌菌株から得ることができることを見出して驚いた。例えば、ビフィドバクテリウム・ブレヴェ(Bifidobacterium breve)CNCM I−3865及びビフィドバクテリウム・ブレヴェATCC15700(商標)の細菌調製物は両方とも、6時間90℃で加熱されたときに4−オキソ−2−ペンテン酸を産生した。4−オキソ−2−ペンテン酸は、熱処理された細菌調製物を遠心分離及びろ過した後、可溶性画分の中にあることが見出された。
ビフィドバクテリウム・ブレヴェCNCM I−3865を、COLLECTION NATIONALE DE CULTURES DE MICROORGANISMES(CNCM)、INSTITUT PASTEUR、25 rue du Docteur Roux、F−75724 PARIS Cedex 15、France、2007年11月15日によって沈着した。
ビフィドバクテリウム・ブレヴェATCC15700(商標)は、例えば、American type Culture Collection(ATCC)、Manassas、Virginia、USAから商標ATCC15700の下で購入することができる。
結果として、本発明は、認知低下の処置又は予防に使用するための4−オキソ−2−ペンテン酸を含む組成物であって、医薬として使用されない組成物に部分的に関する。医薬は、薬局で調製又は調剤されて医療処置に使用される、薬物又は薬剤である(<URL:www.thefreedictionary.com/pharmaceutical/>[2012年7月17日に検索済み])。本発明の組成物は、記憶喪失、特に短期記憶喪失の処置又は予防に使用するためのものであり得る。本発明の範囲内の「記憶喪失」は、過去の経験、知識及び試行を含む情報を保存、保持又は追想する能力の低減を指す。本発明の範囲内の「短期記憶」は、最大1週間前までに記憶された情報の保存、保持及び追想を指す。いかなる種類の記憶喪失でも、人々の生命に深刻な影響を及ぼし得る、悲惨で恐ろしい経験になる恐れがある。短期記憶喪失は特に、日常生活に伴う対処を非常に困難にする恐れがあり、そのため、記憶喪失を処置することができる組成物は有利である。
本発明の組成物は、学習能力の喪失の処置又は予防に使用するためのものであり得る。本発明の範囲内の「学習能力の喪失」は、新しい知識若しくは技能を獲得する能力の低減、又はこのような知識若しくは技能を獲得することができる速度の低減を指す。学習能力の喪失は、患者が環境の変化、例えば、新しい収容施設に順応するのを阻む恐れがある。セントラルヒーティングのタイマー、テレビ又は電話等の家庭用品のますます複雑化する性質もまた、低減された学習能力を有する者にとっては大変な苦難を生じさせることがある。
本発明では、4−オキソ−2−ペンテン酸を得ることができ、例えば天然源から得ることができる。多数の人々が、化学原料から工業的に合成される材料の安全性について懸念しており、これらの材料が摂取されることになる場合はとりわけであり、天然源から得られた材料を好んでいる。
驚くべきことに、本発明者らは、いくつかの系統の細菌が4−オキソ−2−ペンテン酸の天然源をもたらすことを見出した。特に、本発明者らは、4−オキソ−2−ペンテン酸をビフィドバクテリウム・ブレヴェCNCM I−3865又はビフィドバクテリウム・ブレヴェATCC15700(商標)(ビフィドバクテリウム・ブレヴェの基準系統)から得ることができることを見出した。大量の4−オキソ−2−ペンテン酸の生成が、例えば生物反応器を用いることによって実現可能であるとき、4−オキソ−2−ペンテン酸の供給源として細菌を使用することは、特に有利である。したがって、本発明では、4−オキソ−2−ペンテン酸が入手可能になり得、例えばビフィドバクテリウム・ブレヴェCNCM I−3865又はビフィドバクテリウム・ブレヴェATCC15700(商標)から得られる。
細菌は、商業的な生成プロセスにより約60〜180℃、好ましくは約80〜160℃、例えば約110〜150℃で熱処理することができる。本発明者らは、これらの温度での熱処理が、許容される時間内で満足な収率の4−オキソ−2−ペンテン酸をもたらしたことを見出した。理論に拘束されることを望むわけではないが、熱処理の温度を増大させると、4−オキソ−2−ペンテン酸の形成の速度が増大するが、分解の速度も増大すると理解されている。したがって、これらの温度は、4−オキソ−2−ペンテン酸の形成の速度と分解との間に良好なバランスを与える。
4−オキソ−2−ペンテン酸を含む一般的な組成物は、少なくとも1mg/組成物1kgの量で4−オキソ−2−ペンテン酸を含み得る。一般に、組成物が少なくとも10mg/組成物1kgの量で、例えば組成物1kg当たり50mg〜50gの量で4−オキソ−2−ペンテン酸を含むならば好ましい。
投与しようとする4−オキソ−2−ペンテン酸の最適量は、熟練技術者ならば容易に決定することができる。
治療用途では、組成物は、障害及び/又はその合併症の症状を少なくとも部分的に治癒又は停止するのに十分な量で投与される。これを達成するのに十分な量は、「治療有効用量」と規定されている。この目的に有効な量は、障害の重症度並びに患者の重量及び全身状態等、当業者に知られたいくつかの因子に依存する。予防用途では、本発明による組成物は、障害を進行させる危険性を少なくとも部分的に低減するのに十分な量で、特定の障害の危険性に影響されやすい又は危険性がある患者に投与される。このような量は、「予防有効用量」であると規定されている。さらに、正確な量は、患者の健康状態及び重量等のいくつかの患者特異的因子に依存する。
4−オキソ−2−ペンテン酸は、本発明の枠組みにおいて、治療有効用量及び/又は予防有効用量で投与することができる。本発明の組成物は、体重1kg当たり2μg〜20mgの4−オキソ−2−ペンテン酸、好ましくは体重1kg当たり20μg〜2mgの4−オキソ−2−ペンテン酸、例えば体重1kg当たり40μg〜1mgの4−オキソ−2−ペンテン酸に対応する一日量で投与することができる。
認知低下はペット並びにヒトを冒し得る。健康的に老化しているペット又は老齢期のペットはいずれも様々な行動障害を示し得る。例えば、高齢化しているペットのイヌは、それらの名前又はよく親しんだ命令に応答しなくなることもあるし、よく親しんだ環境においてさえも道に迷う又は混乱することもあるし、それらの所有者又は来訪者にもはや挨拶又は応答しなくなることもあるし、減少した日中の活動を示すこともあるし、円形に歩き回ることもあるし、情感が遠ざかることもあるし、膀胱又は腸の制御を喪失することもある。
したがって、ヒト又はペットに投与される組成物を提供することは利点である。伴侶動物の場合、このような療法は、動物の総合的な生活の質を改善し、所有者の満足を向上し、所有者と伴侶動物との間の絆を向上する。本発明の組成物は、ヒト又はペットに投与することができる。
4−オキソ−2−ペンテン酸及び本発明で説明した組成物は、成人、特に年長者に投与することができる。対象は、相対的に成熟した年齢ならば、成体だと考えられる。一般的に、対象は、性的に成熟しており繁殖できる場合、成体だと考えられる。
対象は、出生国における平均期待寿命の最初の3分の2を超過したならば、好ましくは出生国における平均期待寿命の最初の4分の3を超過したならば、より好ましくは出生国の平均期待寿命の最初の5分の4を超過したならば、「年長者」だと考えられる。例えば、2010年に英国で誕生したヒトの男性は、英国のOffice of National Statisticsによれば誕生時に78年の平均余命を有し、したがって、52歳超、好ましくは58歳6か月超、より好ましくは62歳5か月超の年齢において年長者だと考えられる。
例えば、組成物は、少なくとも45歳、少なくとも60歳又は少なくとも75歳の人々に投与されることがあり得る。
ペットにおいては、種及び品種を考慮に入れるべきである。例えばヨークシャーテリア犬は、約12年の平均余命を有し(E.J.Taylorら、Proceedings of the Nutrition Society、54、645〜656(1995年))、そのため、8歳超、好ましくは9歳超、より好ましくは9歳7か月超の年齢において年長者だと考えられる。
組成物の性質は特に限定されない。組成物は、経口投与又は経腸投与用の組成物であってよい。組成物は、例えば、食品組成物、食品添加剤、機能性食品、飲料、栄養製剤、経管製剤、牛乳又は水中で再構成すべき粉末状組成物、及びペット食品組成物から成る群より選択することができる。
組成物は食品組成物であってよい。本発明による食品組成物は特徴が多様であり、例えば、牛乳、ヨーグルト、チーズ、発酵乳、牛乳を主体とする発酵製品、アイスクリーム、穀類を主体とする製品又は発酵した穀類を主体とする製品、牛乳を主体とする粉末、チルドした飲物又は常温保存可能な飲物、菓子類、動物飼料、特に飼育動物用の動物飼料である。
食品組成物は、タンパク質源、炭水化物源、脂質源、ミネラル源及び/又はビタミン源をさらに含んでいてもよい。タンパク質、炭水化物、脂質、ミネラル及び/又はビタミンの存在は、いくつかの利点を有することがある。これらの化合物は、最終製品の味及び口触りに一般に寄与する。これらの化合物は、身体が認知障害に冒されたとき、緊急に必要になることがある栄養素を身体に供給することもする。これらの化合物は、完全栄養処方としての本発明の組成物の配合も可能にし、その結果、更なる栄養が必要にならない。
水溶性の化合物には、液剤として又はカプセル若しくは錠剤で経口投与することを含めて、いくつかの方法により好都合に投与されるという利点がある。4−オキソ−2−ペンテン酸を含む組成物は、水を主体とすることができ、例えば組成物は、水に溶解した4−オキソ−2−ペンテン酸を含んでいてよい。
4−オキソ−2−ペンテン酸を含む組成物は、機能性食品組成物であってよい。本発明の範囲内では、機能性食品(nutraceutical)という用語は、健康上の利益をもたらす、強化食品、経口サプリメント又は栄養補助食品のような食品を指す。
当業者ならば、明細書で開示されている本発明のすべての特徴を自由に組み合わせることができることは理解されよう。特に、本発明の異なる実施形態について説明した特徴は、組み合わせることができる。本発明の更なる利点及び特徴は、下記の図及び非限定的な例から明らかである。
正規化したビフィドバクテリウム・ブレヴェATCC15700(商標)の粗調製物のルシフェラーゼ活性(OD50、6時間90℃で加熱)を示す図である。結果は、技術的トリプリケートの平均±SDとしてy軸に表されている。x軸値は、試料の最終希釈物である。 正規化したビフィドバクテリウム・ブレヴェCNCM I−3865の粗調製物のルシフェラーゼ活性(OD50、6時間90℃で加熱)を示す図である。結果は、技術的トリプリケートの平均±SDとしてy軸に表されている。x軸値は試料の最終希釈物である。 Nrf2誘導倍率(棒)と、0〜200μMの4−オキソ−2−ペンテン酸の用量範囲によってインキュベートとしたAREC32細胞の細胞生存率%(線)とを示す図である。Nrf2誘導倍率は、4−オキソ−2−ペンテン酸の存在下でのAREC32ルシフェラーゼ活性(RLU)と、さらされなかった細胞の基礎ルシフェラーゼ活性との比である。ATP定量化により測定した細胞生存率は、対照(無処理)細胞の相対的な百分率として表されている。結果は、技術的トリプリケートの平均±SDとして表されており、4回の独立した実験の代表である。 は、Nrf2誘導倍率(棒)と、2.5〜50%v/vのビフィドバクテリウム・ブレヴェCNCM I−3865の「純粋調製物」の用量範囲によってインキュベートしたAREc32細胞の細胞生存率%(線)とを示す図である。その他の詳細は図3と同様である。 過酸化水素(100μM)により誘導された神経変性を有するニューロンアストロサイト共培養物への、異なる濃度(5μM〜30μM)の4−オキソ−2−ペンテン酸による48時間の刺激の効果を示すグラフである。各濃度は、3回の別個の実験においてトリプリケートにして試験した。エラーバーはSEMである。 水に溶解した4−オキソ−2−ペンテン酸標準物質の一般的なクロマトグラムを示す図である。m/z 113→69の遷移反応に伴うSRMが高くなるほど、一方では、m/z 113→41の遷移反応に対応するSRMが低くなる。保持時間は、分により表されている(x軸)。信号強度(y軸)は、Cpsにより表されている。 2分、15分、30分及び60分90℃(円○(円)で示している)、120℃(三角△(三角)で示している)及び140℃(四角□(四角)で示している)で加熱した、ビフィドバクテリウム・ブレヴェCNCM I−3865(OD40)の粗調製物のHPLC−ESI−MS/MSを用いた、4−オキソ−2−ペンテン酸定量化を示す図である。
実施例1:4−オキソ−2−ペンテン酸及び細菌画分によるNrf2活性化
Nrf2レポーターアッセイ
Nrf2の活性化を、Nrf2レポーターアッセイを用いて測定した。このアッセイは、AREの制御下のルシフェラーゼ遺伝子構築体を含む安定にトランスフェクションしたMCF7(乳腺癌)細胞株である、CRX biosciences(Dundee、Scotland)製のAREc32細胞株に基づいている。ルシフェラーゼは、ルシフェリンを基質として作用して蛍光を生成する酵素である。Tert−ブチルヒドロキノン(TBHQ)等の抗酸化性分子は、AREに結合しているNrf2の活性化によりルシフェラーゼ転写を誘導する。ルシフェラーゼ活性は、Promega(Madison、WI)製のルシフェラーゼキットを用いて測定する。ルシフェラーゼ活性は、Nrf2の活性化に比例する。
細菌画分によるNrf2活性化
3つの細菌菌株を使用して、微生物:ビフィドバクテリウム・ブレヴェCNCM I−3865(NCC2950)、ビフィドバクテリウム・ブレヴェCNCM I−3914(NCC466)及びビフィドバクテリウム・ブレヴェATCC15700(商標)(NCC2791)によるNrf2の活性化を調査した。ビフィドバクテリウム・ブレヴェCNCM I−3914を、COLLECTION NATIONALE DE CULTURES DE MICROORGANISMES(CNCM)、INSTITUT PASTEUR、25 rue du Docteur Roux、F−75724 PARIS Cedex 15、France、2008年2月5日によって沈着した。
各系統において、0.05%システインを有する10mlのMRS寒天に20μlのグリセロールストックを播種し、嫌気性条件下37℃で一晩インキュベートして、前培養物を形成した。次いで更なる培養物を、10mlのMRSに0.05%システインを前培養物と一緒に播種することにより作製した(0.1において最終的OD600を調節した)。培養物を嫌気性条件下16時間37℃でインキュベートして、P2培養物を形成した。0.05%システインを有する200mlのMRSにP2培養物(0.1において最終的OD600を調節した)を播種し、ボトルを嫌気性条件下16時間37℃でインキュベートした。
OD600を測定し、培養物を3300gにおいて10分遠心分離し、細菌ペレットを冷たい1× PBS(リン酸緩衝食塩水)で2回洗浄して、1× PBSによってOD50に正規化した。
各細菌菌株について2つの方法により細菌画分:「粗調製物」及び「純粋調製物」を得た。
細菌「粗調製物」を次のようにして得た。5mlのOD50細菌調製物を、加熱ブロック(Techne、Staffordshire、United Kingdom製のDri−Block DB−3加熱ブロック)中で、6時間90℃で加熱した。加熱した細菌調製物を、3300gにおいて10分+4℃で遠心分離し、上澄みを、0.22μmシリンジフィルターを用いてろ過し、更なる分析まで+4℃で貯蔵した。
細菌「純粋調製物」を次のようにして得た。5mlのOD50細菌調製物を、3300gにおいて10分+4℃で遠心分離し、細菌ペレットを、5mlの水によって再懸濁した。細菌細胞を、冷蔵室内でmini bead beat(MBB)装置を用いて粉砕した(最大速度における90秒の6サイクル、各サイクル間には10分の中断)。粉砕した細胞を、1時間3300gにおいて+4℃で遠心分離し、ペレットを、5mlの1× PBSによって再懸濁し、加熱ブロック中で、6時間90℃で加熱した。加熱した調製物を10分3300gにおいて+4℃で遠心分離した。上澄みを、0.22μmシリンジフィルターを用いてろ過し、更なる分析まで+4℃で貯蔵した。
「OD50懸濁液」の生存細菌数を、スポット法を用いた平板培養により測定し、乾燥重量を、下記の設定にしたハロゲン水分分析器(Metler−Toledo、Greifensee、Switzerland)を用いて測定した:乾燥温度160℃、段階乾燥は作動する。
Nrf2活性化を測定するために、試料は、10個の独立した希釈物(1/2、1/4、1/6、1/10、1/15、1/20、1/25、1/30、1/40及び1/50)を用いてAREC32細胞(96ウェルプレートに蒔いた)において試験し、5%CO/空気インキュベーター中で、24時間37℃でインキュベートした。ルシフェラーゼ活性及び細胞生存率(ATP測定)を、ルシフェラーゼ及びPromega製のCell Titer−Gloキットを用いて測定した。
各試行において、相対発光単位(RLU)により測定したすべてのウェルのルシフェラーゼ活性を、すべてのプレートの細胞のみのルシフェラーゼ活性の平均によって正規化した。とりわけ、正規化手順により試験された試料は、データに影響しないことが見出されており、この観察は、異なる試行において測定した試料の比較を可能にしている。
各試料において、Nrf2活性化を次のようにして計算した。
1)Nrf2誘導倍率
Figure 0006283346
Nrf2誘導倍率は、選別目的に非常に有用である。しかしながら、Nrf2誘導倍率は、試料希釈物を考慮に入れていないため定性的測定のみである。
2)試料当たりルシフェラーゼ含量
Figure 0006283346
「試料当たりルシフェラーゼ含量」は、Nrf2活性化も反映するが、この計算が試料希釈物を考慮に入れているため、類似したNrf2誘導倍率でNrf2を活性化する2つの試料を区別することができる。
試料当たりルシフェラーゼ含量は、Nrf2を活性化する分子の量を反映することにより、Nrf2活性化の半定量化を可能にする。
Figure 0006283346
Figure 0006283346
表A及び表Bに示したように、B.ブレヴェ ATCC15700(商標)とB.ブレヴェ CNCM I−3865の粗調製物は両方とも、最大Nrf2誘導(Nrf2 induction)は類似しているが、ルシフェラーゼ含量/試料値は異なる。試料当たりルシフェラーゼ含量値の差異は、それらの対応するNrf2活性化パターン(図1及び図2を参照されたい)を反映している。
ビフィドバクテリウム・ブレヴェとは著しく異なり、CNCM I−3914は、Nrf2を顕著に活性化しておらず、比較表Cを参照されたい。
Figure 0006283346
Figure 0006283346
4−オキソ−2−ペンテン酸によるNrf2活性化
4−オキソ−2−ペンテン酸(Alfa Aesar−照合番号L02185)を、Nrf2レポーターアッセイにより試験した。異なる用量の4−オキソ−2−ペンテン酸を、24時間かけてAREc32細胞に施用し、次いでルシフェラーゼ活性を上述したようにして定量化した。細胞生存率も、細胞Titer−Gloキット(ATP定量化)を用いて測定した。
図3に示したように、4−オキソ−2−ペンテン酸分子は、用量に依存した方法でNrf2を強く活性化することが見出された。AREc32細胞の生存性は、70μM未満の用量の4−オキソ−2−ペンテン酸により影響を受けなかった。Nrf2活性化の最適な用量は、約40〜50μMであった。比較用に、図4は、ビフィドバクテリウム・ブレヴェCNCM I−3865の細菌画分が類似した方法でNrf2を活性化することを示している。
実施例2:4−オキソ−2−ペンテン酸及び細菌画分を用いた酸化ストレスからのニューロンの保護
細胞生存に対する化合物の有益な効果は、古典的には、細胞培養物を神経毒性侵襲に曝露し、限定された期間の時間にわたって得られた酸化ストレス及び興奮毒性を測定することにより調査される(Aksenovaら、Current Neurovascular Research、2、73〜89(2005年))。したがって、本発明者らは、ニューロン−アストロサイト共培養モデルを使用して、酸化ストレスにより誘導された神経変性に対する4−オキソ−2−ペンテン酸の潜在的な有益な効果を試験した。酸化ストレスを過酸化水素により誘導し、細胞生存を、4−オキソ−2−ペンテン酸で処置した培養物と未処理のままの培養物との間で比較した。
モデルは、培養皿の底部に蒔かれたアストロサイトに面するカバーガラスに平板培養した、一次ニューロンから成る。2つの細胞区画はパラフィンビーズにより分離されているが、放出された化合物(例えば、エネルギー基質及びグルタチオン前駆体)は、培地を介して1つの区画から他の区画まで自由に拡散することができる。
マウスニューロンの一次培養物を、直径20mmのカバーガラス上のニューロバサル(Neurobasal)(商標)培地において12日間成長させる。マウスアストロサイトの一次培養物を、直径35mmの皿の中のアストロサイト培地において21日間成長させる。共培養の開始の2時間前に、アストロサイト培地を除去し、新鮮なニューロン用培地により置きかえる。共培養は、ニューロンがアストロサイトに面するように、ニューロンを担持しているカバーガラスを、アストロサイト培養物を含む皿の中に置くことにより開始する。次いで共培養を、4−オキソ−2−ペンテン酸を存在させて又は存在させずに48時間維持する。このインキュベーションの終了時、共培養物を、100μM過酸化水素に4時間曝露し、又は対照条件として、曝露しないでおく。インキュベーション期間の終了時、ニューロン及びアストロサイトの生存性を、MTTアッセイ(2−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド)を用いることにより別々に評価する。
MTT低減アッセイは、ニューロンとアストロサイトの両方において細胞生存性を監視することができるため選択した。MTTは、細胞内酵素、脱水素酵素及びエステラーゼの作用により生細胞の内部に閉じ込められた、膜透過性分子である。細胞の内部では、MTTは、色が黄色であり、主に活性細胞のミトコンドリア脱水素酵素により分解されて、ホルマザンと呼ばれている紫色の不溶性生成物になることがある。検出のために、この紫色生成物は、分光光度計を用いた560nmにおける比色定量用に可溶化する。
結果は、4−オキソ−2−ペンテン酸で処理した共培養物のMTT低減アッセイ値と、それらの対応する対照(過酸化水素の曝露なし)の百分率として正規化した基礎値(4−オキソ−2−ペンテン酸による処理無し)との差異として表した。結果は図5に示されている。10μMを除けば、試験したすべての濃度が明瞭で顕著な保護を示した。最も強い効果は、5μM4−オキソ−2−ペンテン酸によって得られた。
実施例3:HPLC−MS/MSによる4−オキソ−2−ペンテン酸の定量化
4−オキソ−2−ペンテン酸を定量化するために、高速液体クロマトグラフィーをエレクトロスプレーイオン化タンデム質量分析法(HPLC−ESI−MS/MS)と結びつけるものである、高い処理能力の分析法を開発した。
方法
4−オキソ−2−ペンテン酸標準物質は、Alfa Aesar(Ward Hill、USA)から購入した。4−オキソ−2−ペンテン酸は、少なくとも20mg/mlまで水に可溶であることが見出された。4−オキソ−2−ペンテン酸標準物質化合物を水に可溶化して10mg/mlの最終的なストック溶液にし、水にさらに希釈して校正曲線を作成した。
HPLC−ESI−MS/MS分析を、3200Q TRAP質量分析計(Applied Biosystems)に連結した乱流クロマトグラフィー(TFC)システム(Thermo Fisher、Waltham、MA)により実施した。使用した分析カラムは、室温において600μl/分の一定の流量で運転する、Thermo Fisher(Waltham、MA)から購入したHypersil Gold AQ(3×50mm、5μm)であった。移動相は、0.05%酢酸を含む水である溶媒Aと、0.05%酢酸を含むメタノールである溶媒Bとによって構成されていた。グラジエントプログラムは、0分では0%Bで、40秒(0〜0.67分)間0%Bに保持し、180秒(0.67〜3.67分)で50%Bに増大させ、10秒(3.67〜3.83分)で50〜90%Bに増大させ、120秒(5.83分)間90%Bに保持し、0%Bに戻していく前に、さらに300秒(5.83〜10.83分)間保持するというものであった。注入体積は5μlであった。
MSデータ取得は、エレクトロスプレー陰イオン化モードにより実現した。MS調節は、溶媒A及び溶媒B(80/20のv:v、0.6ml/分)のHPLCフローと混合した4−オキソ−2−ペンテン酸標準物質の溶液(5μg/mlの水溶液)を、T型連結器を用いて10μl/分の流量で注入することにより実施した。窒素を、噴霧器及びカーテンガス(curtain gas)のために使用した。界面加熱器(interface heater)を作動させてブロックソース温度を700℃に維持し、キャピラリー電圧を−4.5kVに設定した。窒素は、媒体圧力選択における衝突気体としても使用した。MS/MS検出を、選択した反応監視(SRM)取得モードを用いて実現した。2つの最も強烈なフラグメントイオンを、50msの一定の滞留時間(110msの合計走査時間)を用いて、m/z 113→69(11eVの衝突エネルギー)及びm/z 113→41(26eVの衝突エネルギー)を走査することにより選択した。脱クラスター化電圧を−29Vに設定した。定量的分析は、最も強烈なSRM信号を用いて実施したが、2回目の遷移は、標準溶液から計算した適当な面積比に基づいた分析物確認のために使用した。データ処理は、Analyst 1.5.1ソフトウェア(Applied Biosystems)を用いて実施した。
HPLC−MS/MSによるPBS及び水中の4−オキソ−2−ペンテン酸の検出
4−オキソ−2−ペンテン酸を1× PBS又は水に可溶化し、HPLC−MS/MSによる検出を、上記の部分で説明したようにして実施した。m/z 113→69の遷移反応に伴うSRMは、1.25分の保持時間における遷移m/z 113→41に伴うSRMに比較して、より強烈な信号を明らかにした。両方の遷移に関して類似した保持時間が、分析の妥当性を確認したときに観察された(図6)。分子4−オキソ−2−ペンテン酸を、1× PBS(データは図示せず)と水の両方で検出することに成功した(図6)。
4−オキソ−2−ペンテン酸標準曲線の確立
細菌画分中の4−オキソ−2−ペンテン酸の量を正確に定量化するために、標準曲線を、1× PBS又はHPLCグレード水等の簡便な媒体中の4−オキソ−2−ペンテン酸に関して確立した。商業的な4−オキソ−2−ペンテン酸を、異なる用量で1× PBS及び水に懸濁した。次いでHPLC−ESI−MS/MS法を使用して、見積もった用量の4−オキソ−2−ペンテン酸を定量化した。良好な線形性が、4−オキソ−2−ペンテン酸(0.1〜25μg/ml)の量と、1× PBSとHPLCグレード水の両方で得られた強度(cpsで表している)との間に観察された。
細菌画分中の4−オキソ−2−ペンテン酸の定量化
4−オキソ−2−ペンテン酸を、実施例1の熱処理した細菌調製物中で定量化した。すべての試料を、HPLC−ESI−MS/MS分析前にHPLCグレード水に希釈した(3希釈物/試料)。結果は表Eに要約している。
Figure 0006283346
実施例4:ビフィドバクテリウム・ブレヴェCNCM I−3865からの4−オキソ−2−ペンテン酸の生成への加熱温度及び時間の影響
熱処理の際のビフィドバクテリウム・ブレヴェCNCM I−3865からの4−オキソ−2−ペンテン酸の生成を特性決定するために、様々な温度を用いて速度実験を実施した。この実験に使用したバイオマスの「マスターストック」は、嫌気性のpH調整した条件下で、37℃の生物反応器中でMRS培地によって生成した。増殖培養(16時間)の後、培地を除去し、細胞を1× PBSで2回洗浄し、10%グリセロールを有する1× PBS中でOD134(1.5E+10cfu/ml)まで濃縮し、次いで50mlの一定分量にして−80℃で貯蔵した。
次いでビフィドバクテリウム・ブレヴェCNCM I−3865の「実用バイオマス(working biomass)」を、次のようにしてバイオマスマスターストックから調製した。バイオマスを1× PBSで2回洗浄し、1× PBS中でOD40に調節した。
昇温装置(temperature heating apparatus)(THA)を使用して、異なる加熱時間及び温度の効果を調査した。このシステムは、生成環境中に見出される一般的な装置の小型版である。蒸気を使用して、バイオマスのカートリッジを含む保持管を加熱する。90℃、120℃及び140℃の試料温度を、最大60分の期間をかけて施用した。次いで、熱処理した5mlの各バイオマスを10分5000gで遠心分離し、上澄みをろ過し(0.2μm)、4−オキソ−2−ペンテン酸含量をHPLC−ESI−MS/MSにより定量化した。生じた4−オキソ−2−ペンテン酸の量は、図7に示している。

Claims (12)

  1. 認知低下の処置又は予防に使用するための4−オキソ−2−ペンテン酸を含む組成物であって、医薬として使用されない、組成物。
  2. 記憶喪失の処置又は予防に使用するための、請求項1に記載の組成物。
  3. 学習能力の喪失の処置又は予防に使用するための、請求項1又は2に記載の組成物。
  4. 4−オキソ−2−ペンテン酸が天然源から得られた、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
  5. 4−オキソ−2−ペンテン酸が、ビフィドバクテリウム・ブレヴェCNCM I−3865又はビフィドバクテリウム・ブレヴェATCC15700から得ることができる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
  6. ビフィドバクテリウム・ブレヴェCNCM I−3865又はビフィドバクテリウム・ブレヴェATCC15700が、60〜180℃で熱処理されたものである、請求項5に記載の組成物。
  7. 組成物1kg当たり少なくとも1mgの量で4−オキソ−2−ペンテン酸を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
  8. 体重1kg当たり2μg〜20mgの4−オキソ−2−ペンテン酸に相当する一日量で投与される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
  9. 経口投与又は経腸投与される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
  10. ヒト又はペットに投与される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物。
  11. 成人に投与される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の組成物。
  12. 食品組成物、食品添加剤、機能性食品、飲料、栄養製剤、経管製剤、牛乳又は水中で再構成される粉末状組成物、及びペット食品組成物から成る群より選択される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の組成物。
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