以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、シースイントロデューサを有して構成されるシースイントロデューサ組立について具体化している。図1は、シースイントロデューサ組立の構成を示す正面図である。図2は、(a)がシースイントロデューサ組立の構成を示す縦断面図であり、(b)がシースイントロデューサを示す縦断面図である。なお、図1及び図2の上方向と下方向は、夫々、シースイントロデューサ組立10の基端側(近位端側)と先端側(遠位端側)である。
図1及び図2(a)に示すように、シースイントロデューサ組立10は、シースイントロデューサ11と、シースイントロデューサ11のハブ16に接続された医療用コネクタ12(以下、単にコネクタ12という)と、コネクタ12の基端側に接続されたYコネクタ13とを備える。なおここで、Yコネクタ13が医療用器具に相当する。
シースイントロデューサ11は、血管に刺し込まれることにより血管内に挿入されるものである。図2(b)に示すように、シースイントロデューサ11は、シースチューブ15と、そのシースチューブ15の基端部(近位端部)に取り付けられたハブ16とを備える。シースチューブ15は、可撓性を有する樹脂材料により管状に形成されており、その内側にバルーンカテーテル等の導入部材Xが挿通される内腔15aを有している。
ハブ16は、本体部17と、止血弁18と、キャップ部19とを有している。本体部17は、ポリエチレン等の樹脂材料により円管状(円筒状)に形成されており、その内部に軸線方向全域に亘って延びる管孔21を有している。管孔21は、その基端側から先端側に順に、大径領域21a、縮径領域21c、小径領域21bを含む。大径領域21aの孔径は、小径領域21bの孔径よりも大きい。縮径領域21cは、大径領域21aの先端側と小径領域21bの基端側とを繋ぐ領域であって、大径領域21aから小径領域21bに向けて孔径が小さくなる領域である。
管孔21の先端部(小径領域21b)には、シースチューブ15の基端部が挿入されている。シースチューブ15は、その挿入状態において熱溶着や接着等により本体部17に固定されている。これにより、シースチューブ15と本体部17(ひいてはハブ16)とが接続され、シースチューブ15の内腔15aと本体部17の管孔21とが連通されている。
本体部17には、その外周面から突出する分岐管部23が設けられている。分岐管部23は、本体部17における軸線方向の中間部にて当該軸線方向と直交(交差)する方向へ突出している。分岐管部23は、管孔21の軸線方向において小径領域21bよりも基端側にあり、詳しくは縮径領域21cと同位置にある。
分岐管部23の内部には、管孔21と連通する管孔23aが形成されている。図示は省略するが、分岐管部23には導管が接続され、その導管に対して各種機器が接続されるようになっている。例えば、導管には、造影剤等の液剤を供給する液剤供給器が接続される。その場合、液剤供給器より液剤が管孔21,23aを通じて体内へ供給される。また、導管には、血圧をモニタする血圧モニタが接続される場合がある。その場合、管孔21,23aを通じて血管内の圧力がモニタされる。
本体部17の基端部には、外径が小さくされた縮径部17aが形成されている。縮径部17aの基端側には止血弁18が設けられている。止血弁18は、シリコンゴム等の弾性を有する材料により円板状に形成されており、管孔21の基端側の開口を塞ぐようにして設けられている。止血弁18には、その厚み方向に貫通してスリット(図示略)が形成されている。スリットは、例えば十文字状をなしており、止血弁18の弾性によって常時閉鎖された状態となっている。但し、スリットは一直線状とする等、その形状は任意でよい。なお、止血弁18は分岐管部23よりも基端側に位置している。
キャップ部19は、本体部17と同じ樹脂材料により有底の円筒状に形成されている。キャップ部19は、その内側に止血弁18を収容する収容凹部27を有している。キャップ部19は、収容凹部27に止血弁18が収容された状態で本体部17の縮径部17aに被せられて固定されている。これにより、止血弁18はキャップ部19の底部19aと縮径部17aとの間に配設されている。また、キャップ部19の底部19aには、その中央部に厚み方向に貫通する貫通孔28が形成されている。この場合、本体部17の管孔21と収容凹部27と貫通孔28とによりハブ16の内部通路29が構成され、その内部通路29に対して導入部材Xが挿通されるようになっている。なお、内部通路29が特許請求の範囲に記載された「ハブの管孔」に相当する。
続いて、コネクタ12の説明に先立ち、Yコネクタ13についての説明を行う。
Yコネクタ13は、ポリカーボネート等の合成樹脂材料により、正面視Y字状に形成されたコネクタ本体31を有している。コネクタ本体31は、管状をなす第1管部32と、当該第1管部32の途中位置から分岐させて設けられ、管状をなす第2管部33とを有している。第1管部32の管孔32aと第2管部33の管孔33aとは互いに連通されている。
第1管部32の先端部には、コネクタ12と接続されるローテータ34が取り付けられている。ローテータ34は、第1管部32と同一軸上に設けられた管部35を有している。管部35は、その内側に第1管部32の管孔32aと連通する管孔35aを有している。
第1管部32の基端部にはスクリュ37が取り付けられている。スクリュ37は有底の円筒状に形成されており、その内側空間が先端側に向けて開口されている。スクリュ37の内側空間には第1管部32の基端部が挿入されており、挿入された第1管部32の基端部がスクリュ37の内周面にねじ込まれている。また、スクリュ37の底部37aには、厚み方向に貫通する貫通孔39が形成されている。
第1管部32の基端部とスクリュ37とにより囲まれた空間には止血弁38が収容されている。止血弁38は、比較的高い止血性能を有しており、ハブ16内の止血弁18よりも高い止血性能を有している。止血弁38は、シリコンゴム等の弾性を有する材料により円板状に形成されており、第1管部32(管孔32a)と同一軸上に配置されている。止血弁38には、その厚み方向に貫通したスリット(図示略)が形成されている。スリットは、例えば十字状をなしており、止血弁38の弾性によって常時閉鎖された状態となっている。但し、スリットの形状は、一直線状等、任意の形状でよい。また、Yコネクタ13がかかる止血弁38を有している点からすれば、Yコネクタ13を止血用コネクタということもできる。
スクリュ37の基端側にはオープナ41が取り付けられている。オープナ41は、止血弁38を貫通するための貫通部42を有している。貫通部42は、円管状をなしており、その内側に管孔42aを有している。貫通部42は、スクリュ37の底部37aに形成された貫通孔39に挿通されている。貫通部42の管孔42aと第1管部32の管孔32aとが(詳しくはスクリュ37の内側空間を介して)連通されている。この場合、管部35の管孔35aと第1管部32の管孔32aと貫通部42の管孔42aとによりYコネクタ13の内部通路43が構成され、その内部通路43に対して導入部材Xが挿通されるようになっている。
次に、コネクタ12の構成について図3に基づいて詳しく説明する。なお、図3はコネクタ12の構成を示しており、(a)が同構成を示す側面図、(b)が正面図、(c)が縦断面図、(d)が斜視図である。なお、図3(c)は図3(a)のA−A線断面図に相当する。図3(a)〜(c)の上方向と下方向は、夫々、コネクタ12の基端側と先端側である。
コネクタ12は、樹脂材料により形成されており、例えばポリカーボネートにより形成されている。コネクタ12は、図3(a)〜図3(d)に示すように、略直方体状に形成されたベース部51と、そのベース部51から先端側に向けて延びる円管状の第1管部52と、ベース部51から基端側に向けて延びる円管状の第2管部53とを備える。以下、第1管部52及び第2管部53が延びる方向を「軸線方向」と言う。なお、コネクタ12は、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン等、ポリカーボネート以外の樹脂材料により形成してもよい。またコネクタ12は、金属材料やガラス材料等、樹脂材料以外の材料により形成されてもよい。
ベース部51は、第1管部52(及び第2管部53)の軸線方向に対して直交する方向に延びるように形成されている。以下、ベース部51が延びる方向を長手方向という。図3(b)の左右方向がベース部51の長手方向である。ベース部51は、その長手方向において第1管部52よりも一方側に延出した延出部51aと、第1管部52よりも他方側に延出した延出部51bとを有している。また、ベース部51において上記軸線方向の長さ(換言すると厚み)は、上記長手方向の長さよりも短い。
第1管部52と第2管部53とはベース部51を挟んで軸線方向に並んで配置されている。詳しくは、第1管部52と第2管部53は、互いの軸線が同一直線上に位置するように配置されている。
コネクタ12には、第1管部52と第2管部53に跨がって延びる管孔55が形成されている。管孔55は、第1管部52及び第2管部53に加えベース部51にも跨がって形成されている。すなわち管孔55は、ベース部51、第1管部52、第2管部53を軸線方向に貫通して延びている。管孔55は、軸線方向の両端においてそれぞれ外部に開放され、詳しくは第1管部52の先端と第2管部53の基端とにおいてそれぞれ外部に開放されている。また、第2管部53の内径及び外径は、第1管部52の内径及び外径よりも、それぞれ大きい。なお、管孔55が連通通路に相当する。
第1管部52は、シースイントロデューサ11のハブ16に接続される接続部分であり、第1接続部に相当する。第1管部52は、後述するように、ハブ16の止血弁18を貫通しハブ16の内部通路29(詳しくは本体部17の管孔21)に挿し入れられた状態でハブ16に接続されるようになっている。第1管部52の外径は、管孔21の大径領域21aの内径よりも小さく、かつ小径領域21bの内径よりも大きい。つまり、第1管部52の外径は、縮径領域21cの途中位置の内径と同じである。また、第1管部52の先端部が先細りしているので、第1管部52は止血弁18を貫通し易い。
第2管部53は、Yコネクタ13のローテータ34(管部35)に接続される接続部分であり、第2接続部に相当する。第2管部53は、後述するように、管孔55にYコネクタ13のローテータ34の管部35が挿入された状態で当該管部35に接続されるようになっている。第2管部53の内周面は、先端側から基端側に向かうにつれて滑らかに拡径するテーパ面56である。テーパ面56は、予め規格された形状を有する。そのため、管孔55に管部35が挿入された場合、テーパ面56は管部35と液密状態で嵌合するようになっている。
コネクタ12は、さらに、ベース部51の延出部51aからコネクタ12の先端側に延びるように形成された一対の挟持部58と、延出部51bからコネクタ12の先端側に延びるように形成された壁部59とを備える。各挟持部58は、第1管部52に接続されたハブ16の分岐管部23を挟持するものである(図4(a)等参照)。各挟持部58はそれぞれ、第1管部52の軸線方向に延びる長尺板状に形成されている。各挟持部58は、ベース部51の長手方向と直交する方向すなわちベース部51の短手方向に互いに対向している。詳しくは、各挟持部58は、第1管部52の軸線と直交しかつベース部51の長手方向に延びる直線(仮想直線)を挟んで対向配置されており、より詳しくは当該直線が各挟持部58の中央に位置するよう対向配置されている。
各挟持部58は、それら両挟持部58が互いに対向する対向方向(ベース部51の短手方向)に撓むこと(弾性変形)が可能となっている。つまり、各挟持部58はそれぞれ、基端側を支点に、互いに近づく側(内側)及び互いに離間する側(外側)への撓みが可能とされている。
各挟持部58の内側面(互いの対向面)には、それぞれ当該内側面から突出するように係止部61が設けられている。係止部61は、挟持部58の短手方向(幅方向)に延びるように形成されており、詳しくは挟持部58の短手方向全域に亘って形成されている。図3(a)に示すように、係止部61は、側面視直角三角形状であり、頂部61aと、面61bと、面61cとを含む。頂部61aは、係止部61において、対向する挟持部58に最も近接する部分である。面61bは頂部61aから挟持部58に向けて延びる面であり、挟持部58の長手方向と直交する面である。面61cは頂部61aから挟持部58に向けて延びる面であり、挟持部58の長手方向に対して傾斜する面である。面61cは、面61bよりも先端側に位置する。なお、本実施形態では、係止部61は側面視直角三角形状であるが、係止部61の形状は側面視直角三角形状でなくてもよい。係止部61の形状は、例えば側面視において、直角三角形以外の三角形状、半円状、扇状、矩形状等でもよい。
係止部61は、各挟持部58にそれぞれ挟持部58の長手方向に沿って所定の間隔で複数設けられている。ハブ16の種類によっては、ハブ16の基端から分岐管部23までの長さが異なる場合がある。複数の係止部61が一対の挟持部58の夫々に設けられていることによって、一対の挟持部58は複数の種類のハブ16を挟持可能に構成されている。また、各挟持部58の先端部にはそれぞれ挟持部58の内側面から外側に向かうにつれて先端側へ傾斜する傾斜面部58aが形成されている。
なお、各挟持部58(係止部61も含めて)はいずれも基本的に同じ構成を有しており、詳しくは各挟持部58が対向する対向方向において互いに対称となる構成を有している。
各挟持部58にはそれぞれその外側面(互いの対向面とは反対側の面)につまみ部63が設けられている。つまみ部63は、側面視L字型の板状部であり、挟持部58の外側面から離間する側(外側)へ延びる基部63aと、その基部63aから基端側へ延びるつまみ片63bとを有している。つまみ片63bの一端は基部63aと接続する。つまみ片63bの他端は自由端であり、挟持部58の基端よりも基端側に位置する。基部63aは、挟持部58の長手方向の中間部、より詳しくは中央部に接続されており、その基部63aによってつまみ片63bが挟持部58から外側に離間して配置されている。
一対の挟持部58は、夫々、各つまみ片63bが内側に変位することに応じて、外側へと撓むよう構成されている。故にかかる構成では、各つまみ部63のつまみ片63bに対してそれら両者63bを内側に変位させるための操作が行われると、それに伴い各挟持部58がそれぞれ外側へ向けて撓み変形する(図5(b)参照)。つまみ片63bを内側に変位させるための操作は、例えば、ユーザがつまみ片63bを外側からつまむ操作である。以下、この操作を「つまみ操作」という。つまみ操作により、各挟持部58の間の間隔を通常の状態(つまみ操作が行われていない状態)よりも拡げることが可能となっている。なお、上記のつまみ操作は、例えばつまみ片63bにおいて挟持部58基端よりも基端側の部位に内側への外力を付与することにより行われる。
壁部59は、ベース部51の延出部51bから先端側に向けて板状(壁状)に延びており、ベース部51の長手方向(換言すると、第1管部52が延びる方向と直交し且つ各挟持部58の対向方向と直交する方向)において各挟持部58とそれぞれ対向するように設けられている。つまり、壁部59は、その壁幅方向をベース部51の短手方向に向けて配置されている。ベース部51の長手方向で見た場合、各挟持部58と壁部59との間には第1管部52が位置している。同方向における第1管部52から各挟持部58までの距離と、第1管部52から壁部59までの距離とはそれぞれ同じか又は略同じとなっている。なお、壁部59が規制部に相当する。
壁部59には、各挟持部58との対向面に溝部65が形成されている。溝部65は、壁部59の長手方向、すなわち第1管部52の軸線方向と同じ方向に延びるように形成されている。溝部65は、壁部59の壁幅方向(ベース部51の短手方向)において第1管部52と同位置に位置するように形成されている。詳しくは、溝部65は、壁部59の壁幅方向において当該溝部65の溝幅の中心が第1管部52の軸線と同位置に位置するように形成されている。
次に、上記のコネクタ12を用いてシースイントロデューサ11のハブ16とYコネクタ13とを接続した場合の接続構成について説明する。まず、コネクタ12とハブ16との接続構成について図2及び図4に基づいて説明する。図4は、コネクタ12とハブ16とが接続された接続状態を示しており、(a)がその接続状態を示す側面図であり、(b)が正面図であり、(c)が斜視図である。
図2に示すように、コネクタ12は、その第1管部52がハブ16の止血弁18のスリットを貫通した状態で当該ハブ16と接続されている。この接続状態においてコネクタ12の管孔55とハブ16の内部通路29とは互いに連通されている。第1管部52が止血弁18を貫通した状態において、第1管部52の外周面と止血弁18のスリットの内周面とは互いに密着している。第1管部52の外周面とスリットの内周面が密着していることで、第1管部52の外周面とスリットの内周面との隙間を通じて血液が漏れることが防止されている。また、第1管部52は、その先端部がハブ16の管孔21の縮径領域21cまで達しており、止血弁18に対して十分な挿し込み深さで挿し込まれて(貫通されて)いる。そのため、止血弁18による止血機能を安定した状態で発揮させることが可能となる。
図4(a)〜図4(c)に示すように、第1管部52(コネクタ12)がハブ16に接続された状態では、ベース部51の先端側の面(以下、対向面部51cという)はハブ16(詳しくはキャップ部19)の基端面に対向する。本実施形態では、対向面部51cはハブ16の基端面に当接しており、その当接状態において第1管部52がハブ16と接続されている。
第1管部52がハブ16に接続された状態では、ハブ16の分岐管部23は一対の挟持部58の間に配置されることで、両挟持部58により挟持されている。各挟持部58は、両挟持部58の間に配置された分岐管部23により若干外側(互いに離間する側)に押し拡げられて撓んだ(弾性変形した)状態となっている。この場合、その弾性変形に基づく各挟持部58の弾性力(復帰弾性力)により分岐管部23が両挟持部58間で挟み込まれた状態となっている。また、分岐管部23は、各挟持部58の係止部61に対してそれぞれ係止されている。この係止部61に対する係止によって分岐管部23は各挟持部58に対し先端側へ位置ずれすることが規制されている。
第1管部52がハブ16に接続された状態では、ハブ16は、各挟持部58と壁部59との間に挟み込まれるようにして配置されている。この場合、各挟持部58と壁部59とがハブ16を挟んで互いに対向配置されており、その対向方向(ベース部51の長手方向)両側への第1管部52に対するハブ16の倒れ込みが各挟持部58及び壁部59によって規制されている。また、壁部59の溝部65には、ハブ16の外周面側の一部が入り込んだ状態となっている。この場合、その入り込み部分が溝部65に引っ掛かることで上記対向方向と直交する方向(ベース部51の短手方向)への第1管部52に対するハブ16の倒れ込みが規制されている。
続いて、コネクタ12とYコネクタ13との接続構成について説明する。
コネクタ12の第2管部53では、管孔55にYコネクタ13のローテータ34の管部35が挿入されており、その挿入状態において管部35が管孔55のテーパ面56と嵌合している。これにより、第2管部53とYコネクタ13とが接続されており、その接続によってコネクタ12の管孔55とYコネクタ13の内部通路43とが連通されている。
以上のように、ハブ16とYコネクタ13とがコネクタ12を介して接続され、その接続によってハブ16の内部通路29とYコネクタ13の内部通路43とがコネクタ12の管孔55を介して連通されている。
次に、上述したシースイントロデューサ組立10を用いて導入部材Xを血管内に導入する際の作業の流れについて図2を参照しながら説明する。なお本実施形態では、導入部材Xの例としてバルーンカテーテルを用い、そのバルーンカテーテルを体内の狭窄箇所(治療対象箇所)まで導入する際の流れについて説明する。また、バルーンカテーテルは、その先端部に、流体を利用して膨張及び収縮が可能なバルーンを有する周知の構成のものからなる。
導入作業を行うに際しては、シースイントロデューサ組立10を構成する各部材11〜13を用意する。すなわち、互いに接続されていないシースイントロデューサ11、コネクタ12、Yコネクタ13を用意する。そしてまず、シースイントロデューサ11(詳しくはシースチューブ15)の先端を血管に刺し込むことで、シースチューブ15を血管内に挿入する。
次に、コネクタ12をYコネクタ13に接続し、その接続状態でコネクタ12をシースイントロデューサ11のハブ16に対して接続する。ここで、ハブ16に対してコネクタ12を接続する際の作業の流れを図5を参照しながら説明する。図5は、かかる作業の流れを説明するための説明図である。
コネクタ12のハブ16への接続に際しては、まず図5(a)に示すように、コネクタ12をハブ16(詳しくはキャップ部19)の基端側に、第1管部52の先端側がハブ16の基端側を向き且つ左右方向において分岐管部23が一対の挟持部58の間に位置する状態で配置する。それから図5(b)に示すように、各つまみ部63のつまみ片63bに対してつまみ操作を行うことで各挟持部58を外側に撓ませ、各挟持部58が外側に撓まされた状態で第1管部52をハブ16の内部通路29に基端側から挿入し接続する。この接続に際し、各挟持部58の間にハブ16の分岐管部23を先端側から入り込ませる。
そして、図5(c)に示すように、ベース部51の対向面部51cがハブ16の基端面に当接したらつまみ片63bに対するつまみ操作を解除する。これにより、第1管部52がハブ16に接続されるとともに、各挟持部58がそれぞれ内側に弾性変形(復帰)し分岐管部23を挟持する挟持状態となる。この場合、ハブ16に対する第1管部52の接続と、各挟持部58による分岐管部23の挟持とを一方向(つまり軸線方向)の動作で一挙に行うことができるため、ハブ16に対するコネクタ12の接続作業を簡単かつ迅速に行うことができる。
また、各挟持部58の間に分岐管部23を入り込ませる際には、つまみ片63bに対するつまみ操作により各挟持部58を外側に撓ませた(開いた)状態としておくことができるため、挟持部58が分岐管部23に干渉することなく、コネクタ12はハブ16ひいてはシースイントロデューサ11に取り付けられることが可能である。
上記のように、ハブ16に対するコネクタ12の接続が行われることで、シースイントロデューサ11とコネクタ12とYコネクタ13とが一体化されシースイントロデューサ組立10が構成される。なお、上記の手順に代えて、まずシースイントロデューサ11のハブ16にコネクタ12を接続し、それからコネクタ12にYコネクタ13を接続するようにしてもよい。
次に、シースイントロデューサ組立10内にガイドワイヤGを挿通する。このとき、図2に示すように、ガイドワイヤGは、Yコネクタ13の内部通路43→コネクタ12の管孔55→ハブ16の内部通路29を通じてシースチューブ15の内腔15aへ挿通される。そして、その挿通状態でガイドワイヤGを血管内に挿入し、血管内における狭窄箇所を越える位置まで導入する。
次に、バルーンカテーテルをシースイントロデューサ組立10内に挿通し、その挿通状態で押引操作を加えながら血管内の狭窄箇所まで導入する。この際、バルーンカテーテルは、バルーンを収縮させた状態でガイドワイヤGに沿って狭窄箇所まで導入される。したがって、バルーンカテーテルは、上記ガイドワイヤGと同様、Yコネクタ13の内部通路43→コネクタ12の管孔55→ハブ16の内部通路29→シースチューブ15の内腔15aを通じて血管内へ導入される。
この導入に際して、バルーンカテーテルはYコネクタ13の止血弁38のスリットを貫通(挿通)した状態で血管内へ導入され、その止血弁38によって止血が行われる。つまり、この場合、バルーンカテーテルの血管内への導入に際し、シースイントロデューサ11(詳しくはハブ16内の止血弁18)とは異なる部分で止血を行うことが可能となる。そして、Yコネクタ13の止血弁38は、上述したようにハブ16の止血弁18よりも高い止血性能を有しているため、この場合バルーンカテーテルの血管内への導入に際し、十分な止血を行うことが可能となる。
バルーンカテーテル(バルーン)を狭窄箇所まで導入した後、バルーンを膨張させて狭窄箇所を拡張させる。その後、バルーンを収縮状態として、バルーンカテーテルをシースイントロデューサ組立10内を通じて血管内から抜き取る。
次に、コネクタ12をハブ16から取り外し、シースイントロデューサ11を体内から引き抜く。コネクタ12をハブ16から取り外す際には、図5(d)に示すように、まず各つまみ片63bをつまみ操作することで各挟持部58を外側に撓ませ、各挟持部58による分岐管部23の挟持状態を解除する。そして、その解除状態で第1管部52をハブ16から基端側へと引き抜く。この引き抜きの際、各挟持部58の間からは分岐管部23が先端側へと抜け出る。
この場合、第1管部52のハブ16からの引き抜きに際し、各挟持部58を外側に撓ませて(開いて)おくことができるため、分岐管部23が挟持部58の係止部61に引っ掛かってシースイントロデューサ11を体内から引き抜いてしまう不都合を回避することができる。
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
第1管部52に接続されたハブ16を挟んで各挟持部58と互いに対向するように壁部59を設け、その壁部59と各挟持部58とによりそれら両者58,59が対向する対向方向への第1管部52に対するハブ16の倒れ込みを規制した。これにより、ハブ16の倒れ込みに伴い止血弁18に対する第1管部52の密着が不十分となる等して止血性能が低下してしまう不都合の発生を抑制することができる。
また、壁部59には、(第1管部52の)軸線方向に延びるとともにハブ16の外周面側の一部が入り込む溝部65が形成されている。壁部59に形成された溝部65にハブ16の外周面側の一部を係合させる(引っ掛ける)ことで、上記対向方向と直交する方向(ベース部51の短手方向)への第1管部52に対するハブ16の倒れ込みを規制した。この場合、上記対向方向に加え、それと直交する方向へのハブ16の倒れ込みも規制することができるため、ハブ16の倒れ込みに伴う止血性能の低下をより一層抑制することができる。
また、壁部59を、ハブ16を挟んで各挟持部58と対向する位置にのみ設けることで、ハブ16の外周面を上記対向方向と直交する方向の両側へ露出させた。これにより、ハブ16に対してコネクタ12を接続する際には、ハブ16の外周面における当該露出部分を把持しながら接続することができるため、ハブ16の外周側に壁部59を設けてハブ16の倒れ込みを規制する上述の構成にあって、ハブ16に対するコネクタ12の接続作業性を好適に確保することができる。
さらに、ハブ16の倒れ込みを規制したことで、ハブ16から第1管部52に過大な負荷が掛かるのを防止することができるため、第1管部52に折れや亀裂等の破損が生じるのを防止することができる。
ベース部51の対向面部51cにハブ16の基端面を面同士で当接させ、その当接状態で第1管部52をハブ16に対して接続したため、その接続状態においてハブ16のぐらつきを抑制することができる。これにより、ハブ16のぐらつきに伴い止血性能が低下する等の不都合の発生を抑制することができる。
ところで、ハブ16においてその基端面と分岐管部23との間の距離は、ハブ16によって異なることが考えられる。そのため、対向面部51cをハブ16の基端面に当接させた状態で第1管部52をハブ16に接続する上記の構成では、その接続状態におけるハブ16の分岐管部23の位置(軸線方向の位置)がハブ16によって異なることが考えられる。その点、上記実施形態では、各挟持部58を、当該挟持部58の長手方向に分岐管部23の挟持位置を調整可能な長さを有して形成したため、ハブ16によって分岐管部23の位置が変わっても、分岐管部23を各挟持部58により挟持することができる。そのため、対向面部51cをハブ16の基端面に当接させた状態でのハブ16に対するコネクタ12の接続を各種ハブ16に対して行うことが可能となる。
各挟持部58の内側に係止部61が設けられている。係止部61に分岐管部23が係止された状態で、一対の挟持部58は分岐管部23を挟持する。これにより、分岐管部23が各挟持部58の間から外れにくくすることができるため、第1管部52とハブ16との接続状態をより好適に維持することができる。また、係止部61を挟持部58の長手方向に所定の間隔で複数設けたため、分岐管部23の挟持位置を挟持部58の長手方向に調整可能な構成にあって、同方向における複数の挟持位置で係止部61に分岐管部23を係止させることができ、ひいては第1管部52とハブ16との接続状態をより好適に維持するという効果を得ることができる。なお、係止部61は各挟持部58のうちいずれか一方にのみ設けられてもよい。
ベース部51について、軸線方向の長さ(厚み)を軸線方向と直交する方向(長手方向)の長さよりも短くしたため、第1管部52に接続されるハブ16と第2管部53に接続されるYコネクタ13との軸線方向の離間距離を小さくすることができる。この場合、シースイントロデューサ組立10においてYコネクタ13を比較的先端寄りに配置することができるため、シースイントロデューサ組立10が体内に挿入された状態においてYコネクタ13を比較的体内寄りの位置に配置することができる。これにより、シースイントロデューサ組立10の内部を通じて導入部材Xを体内に導入する際、その導入部材Xを比較的体内奥側まで導入することが可能となる。
本発明は上記実施形態に限られず、種々の変更が可能である。例えば、ベース部51の形状は略直方体状でなくてもよく、円柱状等でもよい。また、ベース部51は第1管部52に直交するように延びていなくてもよく、第1管部52に交差するように延びていればよい。また上記実施形態では、一つの壁部59を備えたコネクタ12を例示した。しかしコネクタ12は、互いに所定の距離離間し且つ延出部51bから先端側に向けて互いに並行に延びる複数の壁部を備えてもよいし、壁部59を備えなくてもよい。また例えば壁部59の形状は、第1管部52がハブ16に接続された場合に、ハブ16の外周面に沿うように湾曲した形状でもよい。また、コネクタ12は第2管部53を備えなくてもよい。この場合、例えば、ベース部51において基端側の面に、Yコネクタ13のローテータ34に接続可能な凹部が形成されてもよい。この場合、ベース部51の基端側の面に形成された凹部が、本発明の第2接続部に相当する。また、コネクタ12はベース部51を備えなくてもよい。この場合、例えばコネクタ12は基端側から先端側に向けて延びる円筒状部を含み、当該円筒状部の先端側がハブ16の管孔21に挿通可能に構成され、基端側がYコネクタ13の先端側に接続可能に構成されていればよい。この場合、円筒状部の先端側が本発明の第1接続部に相当し、円筒状部の基端側が本発明の第2接続部に相当する。これらの他に、本発明は例えば次のように実施されてもよい。
(1)ベース部51の対向面部51cがハブ16の基端面に当接した状態で第1管部52がハブ16に接続される上記実施形態の構成では、第1管部52のハブ16に対する挿し込み深さは一定となる。その一方で、ハブ16の内部通路29(詳しくは管孔21)は先端側で縮径されているのが一般であり、ある程度の深さまで第1管部52を挿し込むと、第1管部52が縮径領域21cに干渉しそれ以上の挿し込みが不可となる。つまり、ハブ16の管孔21には、第1管部52を挿し込み可能な挿込可能深さが存在し、この挿込可能深さはハブ16によって種々異なることが考えられる。したがって、例えば、挿込可能深さが小さいハブ16に第1管部52を接続する場合には、対向面部51cをハブ16の基端面に当接させる前に第1管部52が縮径領域21cに干渉し接続できなくなる等の不都合が生じるおそれがある。そこで、本例では、この点に鑑みて、コネクタ12は、ベース部51の対向面部51cからの第1管部52の突出長さを調整可能な調整手段を備える。以下、その具体例について図6(a)〜(c)に基づいて説明する。
図6(a)〜(c)に示すコネクタ70は、互いに別体からなる本体部71及び管部72を備える。コネクタ70は、それら本体部71と管部72とが互いに組み合わせられて構成されている。本体部71と管部72とはいずれも樹脂材料により形成され、例えば同じポリカーボネートにより形成されている。
本体部71は、ベース部73と、一対の挟持部74と、壁部75とを有して形成されている。ベース部73には、管部72が挿通される挿通孔部77が形成されている。挿通孔部77は、ベース部73を厚み方向(換言すると管部72の軸線方向)に貫通しており、その内周面にはめねじ78が形成されている。
管部72は、第1管部84を構成する小径部85と、第2管部86を構成する大径部87とを有する。管部72において小径部85は先端側、大径部87は基端側に設けられており、それら小径部85と大径部87とは互いに同軸に配置されている。小径部85の外径は、挿通孔部77の内径と略同じである。小径部85の外周面には、おねじ79が形成されている。小径部85は、そのおねじ79を挿通孔部77のめねじ78に螺合させた状態で挿通孔部77に基端側から挿通されている。この場合、小径部85の一部は、ベース部73の対向面部73a(先端側の面)から先端側に突出しており、その突出した部分により第1管部84が構成されている。また、大径部87はベース部73よりも基端側に配置されて第2管部86を構成する。なお、大径部87の外径は、挿通孔部77の内径よりも大きい。
挿通孔部77に管部72(小径部85)が挿通された状態において、管部72はベース部73に対して軸線方向に変位することが可能となっている。具体的には、ベース部73に対して管部72が軸線回り方向のいずれか一方側に回転すると管部72がベース部73に対して基端側に変位し、他方側に回転すると管部72がベース部73に対して先端側に変位する。この場合、ベース部73に対して管部72を軸線方向に変位させることで、ベース部73の対向面部73aからの小径部85の突出長さ、すなわち第1管部84の長さ(突出長さ)を調整することができる。例えば図6(b)では、図6(c)と比べて、第1管部84の突出長さが長くなっている。
上記構成によれば、ハブ16の挿込可能深さに応じて第1管部84の突出長さを調整することができる。そのため、挿込可能深さが小さいハブ16に第1管部52を接続する場合に、第1管部52が縮径領域21cに干渉し接続できなくなる等の不都合を回避しながら、対向面部51cにハブ16の基端面を当接させてハブ16のぐらつきを抑制することができる。
(2)第1管部52において少なくともハブ16の止血弁18に挿通される挿通部分に止血弁18との摩擦抵抗を高めるための構成を設けてもよい。その具体例を図7(a)〜(c)に示す。
図7(a)では、第1管部52においてハブ16の止血弁18に挿通される挿通部分を少なくとも含む所定部分にハッチングを付しており、この所定部分が第1管部52における他の部分(以下、通常部91ともいう)よりも高摩擦化された高摩擦部88となっている。高摩擦部88は、通常部91よりも止血弁18に対する摩擦抵抗の高い樹脂材料により形成されており、例えばシリコンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム等により形成されている。この場合、高摩擦部88において止血弁18に対する摩擦抵抗が高められている。
また、図7(b)では、第1管部52の高摩擦部92においてその外周面に凹凸構造89が施されている。この凹凸構造89は、高摩擦部92の周方向に延びる凹部と凸部とが軸線方向に交互に並ぶことで形成されている。この場合、この凹凸構造89により、高摩擦部92において止血弁18に対する摩擦抵抗が高められている。なお、この凹凸構造89が高摩擦構造に相当する。
さらに、図7(c)では、第1管部52の高摩擦部93においてその外周面にその表面粗さを粗くする表面加工が施されている。この表面加工により、高摩擦部93では通常部91と比べて外周面の表面粗さが粗くなっている。この場合、この表面粗さにより、高摩擦部93において止血弁18に対する摩擦抵抗が高められている。なお、この場合、高摩擦部93の外周面に施された表面粗さ構造が高摩擦構造に相当する。
このように、図7(a)〜(c)の例ではいずれも、第1管部52において止血弁18に対する挿通部分を少なくとも含む高摩擦部88,92,93についてその止血弁18に対する摩擦抵抗が高められている。具体的には、高摩擦部88,92,93では、通常部91よりも止血弁18に対する摩擦抵抗が高められている。この場合、止血弁18から第1管部52が抜けることを抑制することができるため、第1管部52(ひいてはコネクタ12)とハブ16との接続状態をより一層好適に維持することが可能となる。
また、図7(a)〜(c)の例では、第1管部52において高摩擦部88,92,93よりも先端側に通常部91が設けられているため、第1管部52の先端まで高摩擦部88を設ける場合と比べて、第1管部52を止血弁18に挿し込む際の挿し込み抵抗を小さくすることができる。そのため、かかる挿し込み作業がしづらくなるのを抑制しながら、コネクタ12とハブ16との接続状態を好適に維持することができる。但し、かかる構成に代えて、第1管部52の先端まで高摩擦部88,92,93を設けるようにしてもよい。
(3)ところで、ハブ16の内部通路29においてその基端開口から分岐管部23の管孔23aとの連通部(分岐部)までの距離はハブの種類によって異なることが考えられる。そのため、当該距離が短いハブに対してその内部通路29に第1管部52を基端側から挿入し接続する場合、その接続状態において第1管部52の一部(先端側)が内部通路29における管孔23aとの連通部に到達することが想定される。その場合、第1管部52の周壁部により管孔23aが塞がれてしまう可能性がある。管孔23aが第1管部52の周壁部によって塞がれた場合、管孔23aを通じて体内に液剤を導入したり血管内の圧力を測定したりする等の処置をすることができなくなる可能性がある。そこで、これに対する対策として、第1管部52の周壁部に、管孔55を分岐管部23の管孔23aに向けて開放させる開放部を設けることが考えられる。その具体例を図8(a)及び(b)に示す。
図8(a)及び(b)では、ハブ16(以下、このハブ16の符号にAを付す)として、その内部通路29における基端開口から管孔23aとの連通部(分岐部)までの距離が、上記実施形態のハブ16よりも小さいものが用いられている。そのため、第1管部52がハブ16Aの内部通路29に挿入された状態において、第1管部52の一部が上記連通部に到達している。
一方、第1管部52において管孔55を囲む周壁部95には、厚み方向に貫通する孔部96が形成されている。即ち、孔部96は第1管部52の軸線方向に直交する方向に、第1管部52を貫通する孔である。なお、孔部96は本発明の開放部に相当する。孔部96は、第1管部52の管孔55をハブ16の分岐管部23の管孔23aに向けて開放させるように形成されている。この場合、この孔部96を介して分岐管部23の管孔23aと第1管部52の管孔55とが連通される。その結果、分岐管部23の管孔23aが第1管部52の管孔55を介してハブ16Aの内部通路29ひいては体内と連通される。そのため、第1管部52がハブ16Aの内部通路29において管孔23aとの連通部まで挿入された場合でも、管孔23aを通じた体内への処置を行うことが可能となる。
なお、図8(b)の例では、孔部96が丸孔形状とされているが、孔部96の形状を四角孔形状等、他の形状としてもよい。また、孔部96を第1管部52の軸線方向に長い長孔形状としてもよい。
また、開放部は必ずしも孔部96とする必要はなく、例えば図9(a)及び(b)に示すように、切り欠き状に形成してもよい。図9(a)及び(b)では、第1管部52の周壁部95の一部が切り欠かれる(除去される)ことで開放部97が形成されている。開放部97は、周壁部95における先端から基端側へ向けた所定範囲のうち、周方向において管孔23aの側を向く一部の領域が除去されることで形成されている。より詳しくは、開放部97は、上記所定範囲のうち、周方向における一対の挟持部58側の半分の領域が除去されることで形成されている。第1管部52の先端から基端側へ向けた所定範囲に、一対の挟持部58へ向けて開口する切り欠き状の開放部97が形成されていることで、第1管部52がハブ16Aの内部通路29において管孔23aとの連通部まで挿入された際、開放部97を介して管孔23aと管孔55とが連通され、ひいては管孔23aが管孔55を介してハブ16Aの内部通路29さらには体内と連通される。
(4)例えば、上記(3)の構成(開放部)に代えて、コネクタ12に、管孔55から分岐してコネクタ12外部に通じる分岐通路を形成してもよい。例えば図10では、コネクタ12のベース部51に、管孔55から分岐した分岐通路98が形成されている。分岐通路98は、管孔55から軸線方向に直交(交差)する向きで壁部59側(挟持部58とは反対側)に延びており、ベース部51の側面において外部に開放されている。また、分岐通路98の開放部分には、コネクタ12外部から当該通路98を塞ぐ栓部材99が嵌め込まれている。
かかる構成によれば、分岐通路98が管孔55を介してハブ16の内部通路29ひいては体内と連通されているため、第1管部52がハブ16Aの内部通路29において管孔23aとの連通部まで挿入され当該管孔23aが第1管部52(周壁部95)により塞がれてしまった場合でも、栓部材99を取り外すことで分岐通路98を通じて体内に液剤を導入したり血管内の圧力を測定したりする等の処置を行うことが可能となる。
(5)上記実施形態では、つまみ片63bをつまみ操作して各挟持部58を外側に撓ませた状態で、それら各挟持部58間に分岐管部23を入り込ませ挟持状態としたが、つまみ操作を行わず各挟持部58を自然状態としたままで、各挟持部58間に分岐管部23を入り込ませ挟持状態としてもよい。その場合、第1管部52をハブ16に対して接続する際に、各挟持部58を分岐管部23により外側へ押し拡げながら各挟持部58間に分岐管部23を入り込ませればよい。この点からすると、つまみ部63は挟持部58に必ずしも設けられる必要はなく、不具備であってもよい。また、つまみ部63は基部63aとつまみ片63bを備えなくてもよい。例えば、つまみ部63は、挟持部58との離間距離が基端側に向けて大きくなるように構成されてもよい。この場合、つまみ部63は例えば、側面視において湾曲した形状や、挟持部58と所定の角度を成す平板状に構成されてもよい。
(6)上記実施形態では、各挟持部58をそれぞれ軸線方向に延びる長尺状とすることで、各挟持部58による分岐管部23の挟持位置を長手方向に調整可能としたが、これを変更して、各挟持部58をそれぞれ短尺状とし分岐管部23の挟持位置を長手方向に調整不能としてもよい。
また、図11に示すように、一対の挟持部103は、夫々、第1管部52の軸線方向と交差する方向に延びてもよい。すなわち、各挟持部103が、分岐管部23を挟んで(第1管部52の)軸線方向の両側に設けられることで、それら各挟持部103により分岐管部23が軸線方向両側から挟み込まれるようにしてもよい。この場合、コネクタ12の第1管部52をハブ16に接続した後、コネクタ12をハブ16に対して軸線周り方向に回転させることで分岐管部23を各挟持部103の間に入り込ませ挟持状態とすることができる。
さらに、各挟持部を、分岐管部23を挟持する挟持位置と、分岐管部23を挟持しない挟持解除位置とにベース部に対して移動可能(例えばスライド可能)に設けてもよい。この場合、分岐管部23を挟持解除位置に位置させた状態で第1管部52をハブ16に接続し、その後各挟持部を挟持位置へ移動させることで分岐管部23を各挟持部の間に入り込ませ挟持状態とすることが考えられる。
(7)上記実施形態では、コネクタ12に対してYコネクタ13を止血用コネクタ(医療用器具)として接続したが、Yコネクタ13以外の止血用コネクタを接続してもよい。例えば、コネクタ12は第2管部33を具備しない止血用コネクタや、第1管部32や第2管部33を複数具備する止血用コネクタに接続されてもよい。また、コネクタ12には必ずしも(止血用)コネクタを接続する必要はなく、例えば導入部材Xを挿通可能な内腔(コネクタ内通路に相当)を有しかつ止血機能を有した長尺状の医療用管部(医療用器具に相当)等、他の医療用器具を接続するようにしてもよい。その場合であっても、導入部材Xを血管内へ導入するに際し、シースイントロデューサ11のハブ16とは異なる部分で止血を行うことが可能となる。
(8)上記実施形態では、コネクタ12の基端側に一のコネクタ(Yコネクタ13)だけを接続した場合について説明したが、コネクタ12の基端側に複数のコネクタを接続してもよい。例えば、コネクタ12の基端側に導入部材Xを挿通可能な内部通路を有する第1コネクタを接続し、その第1コネクタの基端側に同じく導入部材Xを挿通可能な内部通路を有する第2コネクタを接続してもよい。この場合にも、第1コネクタ及び第2コネクタの各内部通路→コネクタ12の管孔55→ハブ16の内部通路29を通じて、導入部材Xを血管内に導入することができる。そして、第1コネクタ及び第2コネクタのうち少なくともいずれかが止血機能を有していれば、導入部材Xの導入に際してシースイントロデューサ11のハブ16とは異なる部分で止血を行うことが可能となる。
なお、この場合には、第1コネクタと第2コネクタとにより「止血機能を有する医療用器具」が構成され、第1コネクタ及び第2コネクタの各内部通路により「コネクタ内通路」が構成される。また、上記例において、第1コネクタの基端側に、第2コネクタに代えて、医療用管部を接続してもよい。
(9)上記実施形態では、第2接続部(具体的には第2管部53)とYコネクタ13(医療用器具に相当)との接続を、第2接続部内にYコネクタ13(詳しくは管部35)を挿入することにより、すなわち第2接続部を被挿入側、Yコネクタ13を挿入側として行ったが、医療用器具としてYコネクタ13以外のものを用いる場合には、その医療用器具を被挿入側、第2接続部を挿入側としてそれら両者の接続を行ってもよい。
(10)上記実施形態は、一対の挟持部58はハブ16の分岐管部23を挟持可能であった。しかしコネクタは、一対の挟持部がハブ16に形成された溝に係止した状態でハブ16を挟持するように構成されてもよい。以下、図12〜図14を参照し、第二実施形態について説明する。
図12に示すように、コネクタ100は、ベース部51と、第1管部52と、第2管部53と、一対の挟持部101とを備える。ベース部51、第1管部52、第2管部53は夫々、前述の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
一対の挟持部101のうち一方の挟持部101は、ベース部51の延出部51aから先端側に向けて延びる。一対の挟持部101のうち他方の挟持部101は、ベース部51の延出部51bから先端側に向けて延びる。一対の挟持部101は、互いに対向している。一対の挟持部101は、夫々、ベース部51との接続部分を基点に弾性変形可能である。
各挟持部101a,101bの内側面には、夫々、他方の挟持部101b,101aへ向けて突出する係止部104が設けられている。詳細には、係止部104は各挟持部101の先端から、対向する挟持部101へ向けて突出する。なお係止部104の形状は、側面視において第1管部52の軸線方向と直交する方向に突出する三角形状でもよい。
一対の挟持部101の夫々の外側面には、つまみ部105が設けられている。つまみ部105は側面視L字状であり、基部105aとつまみ片105bとを有する。各基部105aは各挟持部101が延びる方向と直交する方向に延び、一端がつまみ片105bと接続し、他端が挟持部101の先端に接続する。つまみ片105bは基部105aの一端からコネクタ100の基端側に向けて延びる。つまみ片105bの基端は、挟持部101の基端よりも基端側に位置する。
対向面部51cと各挟持部101との間に、凹部106が形成されている。凹部106は側面視逆U字状に切り欠かれた溝である。凹部106がベース部51に形成されていることで、つまみ部105に対して力が作用した場合に、凹部106が形成されていない場合に比べて各挟持部101は容易に弾性変形することができる。なお凹部106の形状は、側面視において矩形状や、三角形状等でもよい。
次に、図13及び図14に示すように、コネクタ100をハブ16へ取り付ける為の操作について説明する。ユーザは、つまみ部105に対してつまみ操作を行う。つまみ操作が行われることで、つまみ片105bは内側へ向けて弾性変形する。つまみ片105bが弾性変形することに応じて、一対の挟持部101は夫々、ベース部51との接続部分を基点に外側へ向けて弾性変形する。ユーザは、一対の挟持部101の夫々が外側に弾性変形した状態で、コネクタ100の第1管部52をハブ16の管孔21に挿通させ、つまみ操作を解除する。つまみ操作が解除されたことに応じて、一対の挟持部101は夫々内側に弾性変形(復帰)し、係止部104がハブ16の溝108に収まる。
このように、コネクタ100の第1管部52がハブ16の管孔21に挿通され且つ係止部104がハブ16の溝108に収まった状態で、コネクタ100とハブ16との接続状態が維持される。また前述の実施形態と同様に、コネクタ100の基端側には止血機能を有する医療用器具が装着可能である。故に第二実施形態においても、導入部材を血管内へ導入するに際し十分な止血を行うことが可能となる。
(11)上記実施形態では、コネクタ12の先端側にシースイントロデューサ11のハブ16が接続され且つコネクタ12の基端側にYコネクタ13が接続されることで、止血機能を有する医療用器具であるYコネクタ13がシースイントロデューサ11のハブ16に対して接続されていた。しかし、ハブ16に接続可能に構成され且つ止血機能を有する医療用器具が、コネクタ12を介することなく、ハブ16に直接接続されてもよい。具体的には、ハブ16に装着可能な構成を有する装着部が、Yコネクタ13の基端側に一体的に形成されていてもよい。以下に、図15を参照して、第三実施形態について説明する。
図15(a)及び(b)の上側、下側は、夫々、Yコネクタ110基端側、先端側に対応する。図15(a)及び(b)に示すように、Yコネクタ110(止血用医療器具に相当)は、本体部31、止血弁38、連通通路111、装着部112を備える。以下、前述の実施形態と同様の構成については前述の実施形態と同じの符号を付し、夫々の説明を省略または簡略する。
まず、装着部112について説明する。装着部112は、ベース部151、第3管部152、一対の挟持部114、つまみ部115を備える。ベース部151は第1管部32の先端と接続し、第1管部32の軸線方向と直交する方向に延びる略直方体である。第3管部152はベース部151から先端側に向けて延びる管状の部分である。第3管部152と第1管部32は、互いの軸線が同一直線上に位置する。一対の挟持部114のうち一方は、ベース部151の延出部151aから先端側に向けて延びる。一対の挟持部114のうち他方は、ベース部151の延出部151bから先端側に向けて延びる。
一対の挟持部114の夫々には、他方の挟持部114へ向けて突出する係止部117が形成されている。係止部117は、各挟持部114の先端から突出している。つまみ部115は、基部115aとつまみ片115bを備える。各基部115aは各挟持部114が延びる方向と直交する方向に延び、一端がつまみ片115bと接続し、他端が挟持部114の先端に接続する。つまみ片115bは基部115aの一端からコネクタ110の基端側に向けて延びる。つまみ片115bの基端は、挟持部114の基端よりも基端側に位置する。
連通通路111は、本体部31の基端から第3管部152の先端まで通じる貫通孔である。詳細には、連通通路111は、第1管部32の基端から第3管部152の先端まで通じる貫通孔である。止血弁38は、連通通路111を塞ぐように配置されている。詳細には、止血弁38は、第1管部32の基端部とスクリュ37によって囲まれた空間に収容されている。
次に、コネクタ110をハブ16へ取り付ける為の操作について説明する。ユーザは、つまみ部115に対してつまみ操作を行う。つまみ操作が行われることで、つまみ片115bは内側へ向けて弾性変形する。つまみ片115bが弾性変形することに応じて、一対の挟持部114は夫々、ベース部151との接続部分を基点に外側へ向けて弾性変形する。ユーザは、一対の挟持部114の夫々が外側に弾性変形した状態で、コネクタ110の第3管部152をハブ16の管孔21に挿通させ、つまみ操作を解除する。つまみ操作が解除されたことに応じて、一対の挟持部114は夫々内側に弾性変形(復帰)し、係止部117がハブ16の溝108に収まる。
本構成によれば、コネクタ110の第3管部152がハブ16の管孔21に挿通され且つ係止部117がハブ16の溝108に収まった状態で、コネクタ110とハブ16との接続状態は維持される。また、止血弁38がコネクタ110の連通通路111を塞ぐように配置されているので、コネクタ110は止血機能を有する。故に、Yコネクタ110がハブ16と接続された状態で、導入部材Xが貫通部42、内部通路43、管孔55を通じて血管内へ導入された場合、止血弁38によって止血が行われることが可能である。すなわち第三実施形態においても、導入部材を血管内へ導入するに際し十分な止血を行うことが可能となる。なお第三実施形態の第3管部152は、本発明の接続部に相当する。
なお第三実施形態における装着部の構成は、前述の実施形態におけるコネクタ12と同様の構成でもよい。具体的には、一対の挟持部114は、夫々、延出部51aから先端側に向けて延びてもよい。この場合、前述の実施形態と同様に、コネクタ110は延出部51bから先端側に向けて延びる壁部59を備えてもよい。
なお第二、第三実施形態においても、上記(1)〜(9)で記載された形態が用いられてもよい。