JP6282997B2 - 電池用包装材料 - Google Patents
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Description
項1. 少なくとも、基材層と、金属層と、絶縁層と、シーラント層とがこの順に積層された積層体からなり、
絶縁層は、不飽和カルボン酸またはその酸無水物と(メタ)アクリル酸エステルとで変性された変性ポリプロピレン系樹脂を含む樹脂組成物により形成されてなる、電池用包装材料。
項2. 変性ポリプロピレン系樹脂は、ホモポリプロピレン及びプロピレン共重合体の少なくとも一方のプロピレン系樹脂が、不飽和カルボン酸またはその酸無水物と(メタ)アクリル酸エステルとで変性されて形成されたものである、項1に記載の電池用包装材料。
項3. 絶縁層の厚みが、0.1μm〜20μmである、項1または2に記載の電池用包装材料。
項4. 樹脂組成物が、硬化剤をさらに含む、項1〜3のいずれかに記載の電池用包装材料。
項5. 硬化剤は、多官能イソシアネート化合物、カルボジイミド化合物、エポキシ化合物及びオキサゾリン化合物からなる群から選択された少なくとも1種を含む、項4に記載の電池用包装材料。
項6. 硬化剤は、2種類以上の化合物により構成されている、項4または5に記載の電池用包装材料。
項7. 樹脂組成物において、前記硬化剤の含有量は、前記変性ポリプロピレン系樹脂100質量部に対して、0.1質量部〜50質量部の範囲にある、項4〜6のいずれかに記載の電池用包装材料。
項8. 金属層がアルミニウム箔により形成されている、項1〜7のいずれかに記載の電池用包装材料。
項9. 正極、負極、及び電解質を備えた電池素子が、項1〜8のいずれかに記載の電池用包装材料により封止されてなる、電池。
項10. 少なくとも、基材層と、金属層と、絶縁層と、シーラント層とをこの順に積層して積層体を得る工程を備え、
前記工程において、不飽和カルボン酸またはその酸無水物と(メタ)アクリル酸エステルとで変性された変性ポリプロピレン系樹脂を含む樹脂組成物から絶縁層を形成する、項1〜8のいずれかに記載の電池用包装材料の製造方法。
項11. 前記工程後に、積層体をシーラント層の融点以上の温度で加熱する工程をさらに備える、項10に記載の製造方法。
本発明の電池用包装材料は、例えば図1に示されるように、少なくとも、基材層1、金属層2、絶縁層3、及びシーラント層4がこの順に積層された積層体からなる。電池用包装材料において、基材層1が最外層となり、シーラント層4は最内層になる。すなわち、電池の組み立て時に、電池用包装材料のシーラント層4が電池の内側となるようにして、電池用包装材料で電池素子を包み込み、電池素子の周縁に位置するシーラント層4同士を熱溶着して電池素子を密封することにより、電池素子が封止される。
[基材層1]
本発明の電池用包装材料において、基材層1は、電池を組み立てた時に、最外層を構成する層である。基材層1を形成する素材は、絶縁性を備えるものであれば特に制限されない。基材層1を形成する素材としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン樹脂、珪素樹脂、フェノール樹脂、及びこれらの混合物や共重合物などの樹脂フィルムが挙げられる。
本発明の電池用包装材料において、金属層2は、電池用包装材料の強度向上の他、電池内部に水蒸気、酸素、光などが侵入することを防止するためのバリア層として機能する層である。金属層2を構成する金属としては、具体的には、アルミニウム、ステンレス、チタンなどが挙げられ、好ましくはアルミニウムが挙げられる。金属層2は、金属箔や金属蒸着などにより形成することができ、金属箔により形成することが好ましく、アルミニウム箔により形成することがさらに好ましい。電池用包装材料の製造時に、金属層2にしわやピンホールが発生することを防止する観点からは、例えば、焼きなまし処理済みのアルミニウム(JIS A8021P−O、JIS A8079P−O)など軟質アルミニウム箔により形成することが特に好ましい。
本発明において、絶縁層3は、金属層2とシーラント層4との間に設けられる層である。絶縁層3は、不飽和カルボン酸またはその酸無水物と(メタ)アクリル酸エステルとで変性された変性ポリプロピレン系樹脂を含む樹脂組成物により形成される。変性ポリプロピレン系樹脂は、不飽和カルボン酸またはその酸無水物と(メタ)アクリル酸エステルとを併用して、ポリプロピレン系樹脂を酸変性することにより得られるものである。本発明の電池用包装材料においては、金属層2とシーラント層4との間に、このような特定の樹脂組成物により形成された絶縁層3が設けられているため、電極活物質や電極タブの破片などの微小な異物が電池素子とシーラント層との間に存在する場合にも、電池用包装材料の絶縁性や耐久性が高められている。
で表される繰り返し単位を有するポリカルボジイミド化合物、
下記一般式(6):
で表される繰り返し単位を有するポリカルボジイミド化合物、
及び下記一般式(7):
で表されるポリカルボジイミド化合物が挙げられる。一般式(4)〜(7)において、nは、通常30以下の整数であり、好ましくは3〜20の整数である。
本発明の電池用包装材料において、シーラント層4は、電池を組み立てた時に、本発明の電池用包装材料の最内層を構成する層である。電池の組み立て時に、シーラント層4の表面同士を互いに接触させ、接触した部分を熱溶着して電池素子を密封することができる。
本発明の電池用包装材料においては、基材層1と金属層2とを強固に接着させることなどを目的として、基材層1と金属層2との間に接着層5をさらに設けてもよい。
本発明の電池用包装材料においては、金属層2と絶縁層3との間及び絶縁層3とシーラント層4との間の少なくとも一方に水分バリア樹脂層6を設けることにより、電池用包装材料の耐湿性をさらに向上させることができる。すなわち、電池用包装材料を水分が透過して、電解質などが劣化することをより効果的に抑制し得る。
1)式:CF2=CFX〔式中、Xはフッ素原子、水素原子、またはトリフルオロメチル基である〕で表されるフルオロオレフィン単量体、
2)式:CH2=CR(CH2)〔式中、Rは炭素数1〜8のアルキル基である〕で表されるβ−メチル置換α−オレフィン単量体、
3)式:CH2=CHR1〔式中、R1は−OR2又は−CH2OR2(但し、R2は水酸基を有するアルキル基)である〕で表される水酸基含有単量体、
4)架橋性官能基を有さず、かつ、前記単量体1)、2)、3)と共重合し得る他の単量体から導かれるフッ素含有共重合体などを挙げることができる。
本発明の電池用包装材料の製造方法は、所定の組成の各層を積層させた上記の積層体が得られる限り、特に制限されないが、例えば、以下の方法を例示することができる。
式などの方式により行うことができる。
本発明の電池用包装材料は、正極、負極、電解質などの電池素子を密封して収容するための包装材料として使用される。
金属層を形成するアルミニウム箔として、軟質アルミニウム((JIS H4160 A8021H−O)からなるアルミニウム箔(厚さ40μm)の両面を化成処理したものを用いた。アルミニウム箔の化成処理は、フェノール樹脂、フッ化クロム化合物、及びリン酸からなる処理液をロールコート法により金属層の両面に塗布して皮膜を形成し、皮膜温度が180℃以上となる条件で20秒間焼付けすることにより行った。次に、化成処理を行ったアルミニウム箔の一方の表面上に、接着層を形成するため、主剤にポリエステル−ポリオール樹脂を用い、硬化剤にTMPアダクトタイプのTDI系硬化剤を使用した接
着剤を、厚みが4μmとなるように塗布し、乾燥させた。次に、この接着剤の上から、基材層となる2軸延伸ナイロンフィルム20μmをドライラミネート法により貼り合わせた。さらに、アルミニウム箔の他方の表面上に、絶縁層を形成するため、それぞれ表1に記載の組成を有する変性ポリオレフィン系樹脂と硬化剤とを含む樹脂組成物を厚さ5μmとなるように塗布し、乾燥させた。なお、変性ポリオレフィンの変性割合は、1H-NMR分析(バリアン社製、300MHz)で求めた。次に、乾燥させた樹脂組成物の上から、シーラント層を形成する無延伸ポリプロピレンフィルム(エチレン-プロピレンランダム共重合タイプ、融点140℃、厚さ30μm)を積層し、ドライラミネート法で各層を貼り合わせて積層体を得た。さらに得られた積層体を80℃の温度下で24時間エージングし、さらに190℃で2分間加熱することにより、基材層、接着層、金属層、絶縁層、シーラント層がこの順に積層された実施例1〜13及び比較例1〜11の電池用包装材料を得た。
上記で得られた実施例1〜15及び比較例1〜11の電池用包装材料をそれぞれ、60mm(MD方向、縦方向)×150mm(TD方向、横方向)に裁断した。次に、裁断した電池用包装材料をTD方向においてシーラント層同士が対向するようにして2つ折りにし、TD方向の対向する1辺とMD方向の1辺を熱溶着し、TD方向の1辺が開口する袋状の電池用包装材料を作製した。なお、熱溶着の条件は、温度190℃、面圧1.0MPa、加熱・加圧時間3秒とした。次に、開口部から3gの電解液を注入し、開口部を7mm幅で、上記と同じ条件で熱溶着した。なお、電解液は、エチレンカーボネート:ジエチルカーボネート:ジメチルカーボネート=1:1:1の容積比で混合した溶液に6フッ化リン酸リチウムを混合して得られたものである。次に、電池用包装材料の開口部が位置していた部分を上向きにして、85℃の恒温層内に24時間静置した。
実施例1〜15及び比較例1〜11で得られた電池用包装材料を幅40mm、長さ100mmのサイズに切り取り試験片を得た。次に、この試験片を短辺同士が対向するように折り返し、試験片のシーラント層の表面が互いに対向するように配置した。次に、互いに対向するシーラント層の表面の間に25μmφのワイヤーを挿入した。次に、この状態で電池用包装材料の長さ方向に直交する方向に上下共に7mm幅の平板状熱板からなるヒートシール機でシーラント層同士をヒートシールした。次に、電池用包装材料のワイヤーが挟まれた部分が中央になるようにして、両側の基材層の表面にテスターの端子をそれぞれ接続した。次に、テスター間に100Vの電圧をかけ、短絡するまでの時間(秒)を測定した。結果を表1に示す。
2…金属層
3…絶縁層
4…シーラント層
5…接着層
6…水分バリア樹脂層
Claims (9)
- 少なくとも、基材層と、金属層と、絶縁層と、シーラント層とがこの順に積層された積層体からなり、
前記絶縁層は、不飽和カルボン酸またはその酸無水物と(メタ)アクリル酸エステルとで変性された変性ポリプロピレン系樹脂と、硬化剤とを含む樹脂組成物の硬化物であり、
前記変性ポリプロピレン系樹脂におけるプロピレン単位の割合が、50モル%〜100モル%であり、
前記硬化剤は、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、これらをポリマー化またはヌレート化したもの、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、変性ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ノボラックグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、及びポリグリセリンポリグリシジルエーテルからなる化合物の群から選択された少なくとも1種であり、
絶縁層の厚みが0.1μm〜20μmである、電池用包装材料。 - 前記変性ポリプロピレン系樹脂は、ホモポリプロピレン及びプロピレン共重合体の少なくとも一方のプロピレン系樹脂が、前記不飽和カルボン酸またはその酸無水物と(メタ)アクリル酸エステルとで変性されたものである、請求項1に記載の電池用包装材料。
- 前記変性ポリプロピレン系樹脂におけるプロピレン単位の割合が、80モル%〜100モル%である、請求項1または2に記載の電池用包装材料。
- 前記硬化剤は、2種類以上の前記化合物により構成されている、請求項1〜3のいずれかに記載の電池用包装材料。
- 前記樹脂組成物において、前記硬化剤の含有量は、前記変性ポリプロピレン系樹脂100質量部に対して、0.1質量部〜50質量部の範囲にある、請求項1〜4のいずれかに記載の電池用包装材料。
- 前記金属層がアルミニウム箔により形成されている、請求項1〜5のいずれかに記載の電池用包装材料。
- 正極、負極、及び電解質を備えた電池素子が、請求項1〜6のいずれかに記載の電池用包装材料により封止されてなる、電池。
- 少なくとも、基材層と、金属層と、絶縁層と、シーラント層とをこの順に積層して積層体を得る工程を備え、
前記工程において、不飽和カルボン酸またはその酸無水物と(メタ)アクリル酸エステルとで変性された変性ポリプロピレン系樹脂と、硬化剤とを含む樹脂組成物から前記絶縁層を形成し、
前記変性ポリプロピレン系樹脂におけるプロピレン単位の割合が、50モル%〜100モル%であり、
前記硬化剤は、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、これらをポリマー化またはヌレート化したもの、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、変性ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ノボラックグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、及びポリグリセリンポリグリシジルエーテルからなる化合物の群から選択された少なくとも1種であり、
絶縁層の厚みが0.1μm〜20μmである、請求項1〜6のいずれかに記載の電池用包装材料の製造方法。 - 前記工程後に、前記積層体を前記シーラント層の融点以上の温度で加熱する工程をさらに備える、請求項8に記載の製造方法。
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