以下に、図1を用いて、本発明の第一実施形態に係る第1過給機6と第2過給機10とを備える直列六気筒のディーゼルエンジンであるエンジン1について説明する。なお、本実施形態において、エンジン1は、第1過給機6と第2過給機10とを備える直列六気筒エンジンとしたが、エンジンの種類や気筒数および過給機の数を限定するものではない。また、本実施形態において、エンジン1は、バイパス弁16を備えるものとしたがバイパス弁16を具備しないものにも適用可能である。
図1に示すように、エンジン1は、ディーゼルエンジンであり、本実施形態においては、気筒3を六つ有する直列六気筒エンジン1である。エンジン1は、吸気装置2を介して供給される空気と、六つの燃料噴射弁4から供給される燃料とをECU24の制御により各気筒3の内部において適切な比率で混合して燃焼させることで出力軸を回転駆動させる。エンジン1は、燃料の燃焼により発生する吸気を、排気装置5を介して外部へ排出する。
吸気装置2は、吸気管2a・2b・2c・2d、第1過給機6の第1コンプレッサ部8、第2過給機10の第2コンプレッサ部12、第1インタークーラー14及び第2インタークーラー15から構成される。排気装置5は、排気管5a・5b・5c・5d、第1過給機6の第1タービン部7および第2過給機10の第2タービン部11から構成される。また、排気装置5は、排気管5aと排気管5bとをバイパス弁16を介したバイパス管5dによって連通されている。
エンジン1は、吸気装置2の吸気管2dを介して第1インタークーラー14に接続される。また、エンジン1は、排気装置5の排気管5aを介して第2過給機10の第2タービン部11に接続される。
第1過給機6は、吸気の排気圧を駆動源として吸気を加圧圧縮するものである。第1過給機6は、第1タービン部7と第1コンプレッサ部8とを備える。第1タービン部7は、排気管5bを介して第2過給機10の第2タービン部11から供給される排気の排気圧によって回転可能に構成される。また、第1タービン部7は、排気管5cを介して外部に連通され、吸気を外部に排出可能に構成される。
第1コンプレッサ部8は、連結軸9によって第1タービン部7と連結され回転可能に構成される。第1コンプレッサ部8は、回転によって空気を吸入し、加圧圧縮可能に構成される。第1コンプレッサ部8は、外部の空気を吸入可能に構成される。第1コンプレッサ部8は、吸気管2aを介して第1インタークーラー14に接続される。
第2過給機10は、排気圧を駆動源として第1過給機6で加圧圧縮された給気を再び加圧圧縮するものである。第2過給機10は、第2タービン部11と第2コンプレッサ部12とを備える。さらに、第2タービン部11は、排気管5aを介してエンジン1から供給される排気の排気圧によって回転可能に構成される。また、第2タービン部11は、排気管5bを介して第1過給機6の第1タービン部7に接続される。
第2コンプレッサ部12は、連結軸13によって第2タービン部11と連結され回転可能に構成される。第2コンプレッサ部12は、回転によって空気を吸入し、加圧圧縮可能に構成される。第2コンプレッサ部12は、吸気管2cを介して第2インタークーラー15に接続される。
第1インタークーラー14と第2インタークーラー15とは、給気を冷却するものである。第1インタークーラー14と第2インタークーラー15とは、図示しない冷却水ポンプによって供給される冷却水と給気との間で熱交換を行うことで給気を冷却する。第1インタークーラー14は、吸気管2bを介して第2過給機10の第2コンプレッサ部12に接続される。第2インタークーラー15は、吸気管2dを介してエンジン1に接続される。
排気装置5には、第2過給機10の第2タービン部11に供給される排気をバイパスさせるために、第2タービン部11の上流側の排気管5aと第2タービン部11の下流側の排気管5bとを連通しているバイパス管5dが設けられている。バイパス管5dの途中部には、バイパス弁16(ウエストゲートバルブ)が設けられている。バイパス弁16は、バイパス管5dを通過する排気の流量を制限するものである。バイパス弁16は、ノーマルクローズドタイプの電磁式流量制御弁から構成される。バイパス弁16は、後述のECU24からの信号を取得して開度を変更することができる。なお、本実施形態において、バイパス弁16をノーマルクローズドタイプの電磁式流量制御弁から構成しているが、排気の流量を制限することができるものであればよい。
エンジン1には、エンジン回転速度検出センサー17が設けられている。エンジン回転速度検出センサー17は、エンジン1の実エンジン回転速度Nを検出するものである。エンジン回転速度検出センサー17は、センサーとパルサーとから構成され、エンジン1の出力軸に設けられる。なお、本実施形態において、エンジン回転速度検出センサー17をセンサーとパルサーとから構成しているが、実エンジン回転速度Nを検出することができるものであればよい。
さらに、エンジン1には、燃料噴射圧検出センサー18が設けられている。燃料噴射圧検出センサー18は、燃料噴射弁4から噴射される燃料の燃料噴射圧Pfを検出するものである。燃料噴射圧検出センサー18は、燃料供給管4aの途中部に設けられる。なお、本実施形態において、燃料噴射圧検出センサー18は、燃料噴射圧Pfを検出することができるものであればよい。
さらに、エンジン1には、冷却水温度検出手段である冷却水温度検出センサー19が設けられている。冷却水温度検出センサー19は、エンジン1の本体を構成しているシリンダブロックやシリンダヘッドを冷却している冷却水の冷却水温度Twを検出するものである。冷却水温度検出センサー19は、エンジン1の冷却水流路に設けられる。なお、本実施形態において、冷却水温度検出センサー19は、冷却水温度Twを検出することができるものであればよい。
さらに、吸気装置2には、吸気温度検出手段である吸気温度検出センサー20が第1過給機6の第1コンプレッサ部8の外気取り入れ口近傍に設けられている。吸気温度検出センサー20は、吸気温度Tiを検出するものである。なお、本実施形態において、吸気温度検出センサー20は、吸気温度Tiを検出することができるものであればよい。
さらに、吸気装置2には、大気圧検出手段である大気圧検出センサー21が設けられている。大気圧検出センサー21は、大気圧Paを検出するものである。なお、本実施形態において、大気圧検出センサー21は、大気圧Paを検出することができるものであればよい。
さらに、吸気装置2には、大気圧検出手段である大気圧検出センサー21が設けられている。大気圧検出センサー21は、大気圧Paを検出するものである。なお、本実施形態において、大気圧検出センサー21は、大気圧Paを検出することができるものであればよい。
吸気装置2には、過給機回転速度検出手段である過給機回転速度検出センサー22が設けられている。過給機回転速度検出センサー22は、実過給機回転速度NTを検出するものである。なお、本実施形態において、過給機回転速度検出センサー22は、実過給機回転速度NTを検出することができるものであればよい。
排気装置5には、ディーゼルパティキュレートフィルタ(以下、単に「DPF」と記す)差圧検出手段であるDPF差圧検出センサー23が図示しないDPFの入口側と出口側とに設けられている。DPF差圧検出センサー23は、DPF差圧Pdpfを検出するものである。なお、本実施形態において、DPF差圧検出センサー23は、DPF差圧Pdpfを検出することができるものであればよい。
以上より、吸気装置2は、上流側から順に第1コンプレッサ部8、吸気管2a、第1インタークーラー14、吸気管2b、第2コンプレッサ部12、吸気管2c、及び第2インタークーラー15がエンジン1に接続されて構成される。また、排気装置5は、上流側から順に排気管5a、第2タービン部11、排気管5b、及び第1タービン部7、排気管5cが接続されて構成される。さらに、排気装置5は、排気管5aと排気管5bとをバイパス弁16を介したバイパス管5dによって連通されている。
ECU24は、エンジン1を制御するものである。具体的には、エンジン1本体やバイパス弁16を制御する。ECU24には、エンジン1の制御を行うための種々のプログラムやデータが格納される。ECU24は、CPU、ROM、RAM、HDD等がバスで接続される構成であってもよく、あるいはワンチップのLSI等からなる構成であってもよい。
ECU24は、燃料噴射弁4・4・4・4・4・4と接続され、任意の燃料噴射時期θにおいて任意の燃料噴射圧Pfで任意の燃料噴射量Fを噴射するように燃料噴射弁4・4・4・4・4・4を制御することが可能である。
ECU24は、バイパス弁16に接続され、バイパス弁16を任意のバイパス弁開度Vbに制御することが可能である。
ECU24は、エンジン回転速度検出センサー17に接続され、エンジン回転速度検出センサー17が検出する実エンジン回転速度Nを取得することが可能である。
ECU24は、燃料噴射圧検出センサー18に接続され、燃料噴射圧検出センサー18が検出する燃料噴射圧Pfを取得することが可能である。
ECU24は、冷却水温度検出センサー19に接続され、冷却水温度検出センサー19が検出する冷却水温度Twを取得することが可能である。
ECU24は、吸気温度検出センサー20に接続され、吸気温度検出センサー20が検出する吸気温度Tiを取得することが可能である。
ECU24は、大気圧検出センサー21に接続され、大気圧検出センサー21が検出する大気圧Paを取得することが可能である。
ECU24は、DPF差圧検出センサー23に接続され、DPF差圧検出センサー23が検出するDPF差圧Pdpfを取得することが可能である。
ECU24は、過給機回転速度検出センサー22に接続され、過給機回転速度検出センサー22が検出する実過給機回転速度NTを取得することが可能である。
ECU24には、所定の運転条件において、実過給機回転速度NTの場合にエンジン1が出力しているトルクTQを算出するためのトルクマップM0が実エンジン回転速度N毎に格納されている。また、ECU24には、任意の冷却水温度TwにおけるトルクTQの補正係数Cs1を算出するための冷却水温度補正マップM1、任意の吸気温度TiにおけるトルクTQの補正係数Cs2を算出するための吸気温度補正マップM2、任意の大気圧PaにおけるトルクTQの補正係数Cs3を算出するための大気圧補正マップM3、任意のDPF差圧PdpfにおけるトルクTQの補正係数Cs4を算出するためのDPF差圧補正マップM4および任意のバイパス弁開度VbにおけるトルクTQの補正係数Cs5を算出するためのバイパス弁補正マップM5が格納されている。つまり、ECU24は、エンジン1の運転条件が、トルクマップM0を設定した際におけるエンジン1の運転条件と異なる場合に補正係数Cs1から補正係数Cs5によって補正するように構成されている。
次に、図2を用いて、トルクマップM0について詳細に説明する。
図2に示すように、実過給機回転速度NTは、エンジン1のトルクTQに比例して増加する。すなわち、実過給機回転速度NTは、以下の数1に示すように、所定の運転条件での任意の実エンジン回転速度Nにおいて、エンジン1が無負荷状態における過給機回転速度である無負荷過給機回転速度NT0(エンジン回転速度成分)と、エンジン1のトルク増加量
ΔTQに対する過給機の回転速度増加量ΔNTの比にトルクTQ(補正前トルクTQ0)を乗じた値(トルク成分)との和で表される。
実過給機回転速度NTを算出する数1は、以下の数2に示すように、実過給機回転速度NTからエンジン1のトルクTQ(補正前トルクTQ0)を算出する式に変形される。トルクTQ(補正前トルクTQ0)は、数2に示すように、実過給機回転速度NTと無負荷過給機回転速度NT0との差に回転速度増加量ΔNTに対するトルク増加量ΔTQの比を乗じることで算出される。そして、トルクマップM0は、数2に基づいて、予め試験等で取得した所定の運転条件での第2過給機10の無負荷過給機回転速度NT0および回転速度増加量ΔNTに対するトルク増加量ΔTQの比が取得した実エンジン回転速度N毎に定められている。従って、ECU24は、取得した任意の実エンジン回転速度Nと、実過給機回転速度NTとからトルクマップM0に基づいてエンジン1のトルクTQ(補正前トルクTQ0)を算出することが可能である。
次に、図3から図5を用いて、冷却水温度補正マップM1、吸気温度補正マップM2、大気圧補正マップM3、DPF差圧補正マップM4およびバイパス弁補正マップM5について詳細に説明する。各補正マップM1・M2・M3・M4・M5は、所定の運転条件における補正係数Cs1・Cs2・Cs3・Cs4・Cs5が1に設定されている。なお、本実施形態において、予め設定された各補正マップから補正係数を決定しているがこれに限定されるものではなく補正係数毎に補正式を定めて、補正式から算出してもよい。
図3(a)に示すように、冷却水温度補正マップM1は、任意の冷却水温度Twに対する補正係数Cs1を決定するものである。冷却水温度Twが所定の運転条件における冷却水温度Twsよりも高い場合、トルクTQは、潤滑油の粘性や摩擦等を原因とするトルク損失の低減により増大する。従って、冷却水温度Twが冷却水温度Twsよりも高い場合、冷却水温度補正マップM1は、補正係数Cs1が1よりも大きい値に設定されている。一方、冷却水温度Twが冷却水温度Twsよりも低い場合、トルクTQは、潤滑油の粘性や摩擦等を原因とするトルク損失の増大により減少する。従って、冷却水温度Twが冷却水温度Twsよりも低い場合、冷却水温度補正マップM1は、補正係数Cs1が1よりも小さい値に設定されている。
図3(b)に示すように、吸気温度補正マップM2は、任意の吸気温度Tiに対する補正係数Cs2を決定するものである。吸気温度Tiが所定の運転条件における吸気温度Tisよりも高い場合、トルクTQは、吸気中の単位体積当たりの酸素濃度の低下により減少する。従って、吸気温度Tiが吸気温度Tisよりも高い場合、吸気温度補正マップM2は、補正係数Cs2が1よりも小さい値に設定されている。一方、吸気温度Tiが吸気温度Tisよりも低い場合、トルクTQは、吸気中の単位体積当たりの酸素濃度の上昇により増大する。従って、吸気温度Tiが吸気温度Tisよりも低い場合、吸気温度補正マップM2は、補正係数Cs2が1よりも大きい値に設定されている。
図4(a)に示すように、大気圧補正マップM3は、任意の大気圧Paに対する補正係数Cs3を決定するものである。大気圧Paが所定の運転条件における大気圧Pas(1気圧)よりも低い場合、トルクTQは、吸気中の単位体積当たりの酸素濃度の低下により減少する。従って、大気圧Paが大気圧Pas(1気圧)よりも低い場合大気圧補正マップM3は、補正係数Cs3が1よりも小さい値に設定されている。
図4(b)に示すように、DPF差圧補正マップM4は、任意のDPF差圧Pdpfに対する補正係数Cs4を決定するものである。DPF差圧Pdpfが所定の運転条件におけるDPF差圧Pdpfsよりも高い場合、トルクTQは、第2過給機10の出口背圧の上昇を原因とする実過給機回転速度NTの低下により減少する。従って、DPF差圧PdpfがDPF差圧Pdpfsよりも高い場合、DPF差圧補正マップM4は、補正係数Cs4が1よりも小さい値に設定されている。一方、DPF差圧PdpfがDPF差圧Pdpfsよりも低い場合、トルクTQは、第2過給機10の出口背圧の低下を原因とする実過給機回転速度NTの上昇によりトルクTQが増大する。従って、DPF差圧PdpfがDPF差圧Pdpfsよりも低い場合、DPF差圧補正マップM4は、補正係数Cs4が1よりも大きい値に設定されている。
図5に示すように、バイパス弁補正マップM5は、任意のバイパス弁開度Vbに対する補正係数Cs5を決定するものである。バイパス弁開度Vbが所定の運転条件におけるバイパス弁開度Vbs(閉状態)よりも大きい場合、トルクTQは、排気のバイパス量の増加を原因とする実過給機回転速度NTの低下により減少する。従って、バイパス弁開度Vbがバイパス弁開度Vbs(閉状態)よりも大きい場合、バイパス弁補正マップM5は、補正係数Cs5が1よりも小さい値に設定されている。
次に、図1を用いて、吸気(給気)と排気の流れについて説明する。
図1に示すように、エンジン1からの排気は、排気管5aを介して第2過給機10の第2タービン部11に供給される。第2タービン部11は、排気の排気圧によって回転される。第2タービン部11の回転動力は、連結軸13を介して第2コンプレッサ部12に伝達される。第2コンプレッサ部12は、第2タービン部11から伝達される回転動力によって回転される。第2タービン部11に供給された排気は、排気管5bを介して第2過給機10から排出される。
バイパス弁16が開状態である場合、エンジン1からの排気は、その一部が排気管5aと排気管5bとを連通しているバイパス管5dに流入する。バイパス管5dに流入した排気は、第2過給機10の第2タービン部11に供給されずに(第2タービン部11をバイパスして)排気管5bを介して第1過給機6の第1タービン部7に供給される。つまり、バイパス弁16の開度によって第2タービン部11に供給される排気の流量が変更される。
第2過給機10から排出された排気は、排気管5bを介して第1過給機6の第1タービン部7に供給される。第1タービン部7は、排気の排気圧によって回転される。第1タービン部7の回転動力は、連結軸9を介して第1コンプレッサ部8に伝達される。第1コンプレッサ部8は、第1タービン部7から伝達される回転動力によって回転される。第1タービン部7に供給された排気は、排気管5c、図示しない浄化装置等を介して外部に排出される。
外部の空気は、第1過給機6の第1タービン部7からの回転動力によって回転される第1コンプレッサ部8によって吸入されるとともに加圧圧縮される。この際、吸気は、加圧圧縮されることにより圧縮熱が発生し温度が上昇する。第1コンプレッサ部8で加圧圧縮された給気は、吸気管2aを介して第1過給機6から排出される。
第1過給機6から排出された給気は、吸気管2aを介して第1インタークーラー14に供給されて冷却される。第1インタークーラー14に供給された給気は、吸気管2bを介して第1インタークーラー14から排出される。
第1インタークーラー14から排出された給気は、吸気管2bを介して第2過給機10の第2コンプレッサ部12に供給される。給気は、第2過給機10の第2タービン部11からの回転動力によって回転される第2コンプレッサ部12によって吸入されるとともに加圧圧縮される。この際、給気は、加圧圧縮されることにより圧縮熱が発生し温度が上昇する。第2コンプレッサ部12で加圧圧縮された給気は、吸気管2cを介して第2過給機10から排出される。
第2過給機10から排出された給気は、吸気管2cを介して第2インタークーラー15に供給されて冷却される。第2インタークーラー15に供給された給気は、吸気管2dを介して第2インタークーラー15から排出される。第2インタークーラー15から排出された給気は、吸気管2dを介してエンジン1に供給される。
以下では、図6を用いて、本発明の第一実施形態に係るエンジン1におけるトルクTQを算出するための制御態様について説明する。
図6に示すように、ステップS110において、ECU24は、エンジン回転速度検出センサー17が検出した実エンジン回転速度Nおよび過給機回転速度検出センサー22が検出した実過給機回転速度NTを取得し、ステップをステップS120に移行させる。
ステップS120において、ECU24は、冷却水温度検出センサー19が検出した冷却水温度Tw、吸気温度検出センサー20が検出した吸気温度Ti、大気圧検出センサー21が検出した大気圧PaおよびDPF差圧検出センサー23が検出したDPF差圧Pdpfを取得し、ステップをステップS130に移行させる。
ステップS130において、ECU24は、取得した冷却水温度Twから冷却水温度補正マップM1に基づいて補正係数Cs1を算出し、取得した吸気温度Tiから吸気温度補正マップM2に基づいて補正係数Cs2を算出し、取得した大気圧Paから大気圧補正マップM3に基づいて補正係数Cs3を算出し、取得したDPF差圧PdpfからDPF差圧補正マップM4に基づいて補正係数Cs4を算出し、バイパス弁開度Vbからバイパス弁補正マップM5に基づいて補正係数Cs5を算出し、ステップをステップS140に移行させる。
ステップS140において、ECU24は、取得した実エンジン回転速度Nと実過給機回転速度NTとからトルクマップM0に基づいて補正前トルクTQ0を算出し、ステップをステップS150に移行させる。
ステップS150において、ECU24は、算出した補正前トルクTQ0と算出した補正係数Cs1・Cs2・Cs3・Cs4・Cs5とからトルクTQを算出し、ステップをステップS110に移行させる。
この様に構成することで、エンジン1が出力したトルクTQに応じて排出される排気流量に基づいてエンジン1のトルクTQが算出される。また、エンジン1の運転環境やエンジン1の構成に影響されることなく影響されることなくエンジン1のトルクTQが算出される。これにより、エンジン1側の状態変動による影響と負荷の変動による影響とを抑制しつつ、エンジン1のトルクTQを容易に算出することができる。
なお、本実施形態において、実過給機回転速度NTが一定時間以上安定した状態を継続している場合にトルクTQを算出してもよい。例えば、エンジン1の運転状態が定常であると判定された場合、ECU24は、トルクTQの演算を実施するように構成することができる。また、第2過給機10の応答遅れを考慮して所定条件下において補正係数によって補正しつつトルクTQを算出してもよい。例えば、加速度もしくは減速度が所定値以上になった場合、ECU24は、所定時間のみ補正係数K1を利用して演算を実施するように構成することができる。ここで、補正係数K1は、実験的に求められるものである。
以下では、図7と図8とを用いて、本発明に係るエンジンの第二実施形態におけるエンジン1aについて説明する。エンジンは、本発明の第一実施形態に係るエンジン1に加えてEGR装置25を更に備えるものである。なお、以下の実施形態において、既に説明した実施形態と同様の点に関してはその具体的説明を省略し、相違する部分を中心に説明する。
EGR装置25は、排気の一部を吸気に還流するものである。EGR装置25は、EGR管26、EGR弁27、を具備する。
EGR管26は、排気を吸気管2に案内するための管である。EGR管26は、吸気管2dと排気管5aとを連通するように設けられている。これにより、排気管5aを通過する排気の一部がEGR管26を通じて吸気管2dに案内される。すなわち、排気の一部がEGRガスとして吸気に還流可能に構成されている(以下、単に「EGRガス」と記す)。
EGR弁27は、EGR管26を通過するEGRガスの流量を制限するものである。EGR弁27は、ノーマルクローズドタイプの電磁式流量制御弁から構成されている。EGR弁27は、EGR管26の途中部に設けられている。EGR弁27は、ECU24からの信号を取得してEGR弁27の開度を変更することができる。なお、本実施形態において、EGR弁27をノーマルクローズドタイプの電磁式流量制御弁から構成しているが、EGRガスの流量を制限することができるものであればよい。
ECU24は、EGR弁27と接続され、EGR弁27を任意のEGR弁開度Vegrに制御することが可能である。
ECU24には、任意のEGR弁開度VegrにおけるトルクTQの補正係数Cs6を算出するためのEGR弁補正マップM6が格納されている。つまり、ECU24は、エンジン1aの運転条件が、トルクマップM0を設定した際におけるエンジン1aの運転条件と異なる場合に補正係数Cs1から補正係数Cs6によって補正するように構成されている。
図8に示すように、EGR弁補正マップM6は、任意のEGR弁開度Vegrに対する補正係数Cs6を決定するものである。EGR弁開度Vegrが所定の運転条件におけるEGR弁開度Vegrsよりも大きい場合、トルクTQは、EGRガスの増加を原因とする実過給機回転速度NTの低下により減少する。従って、EGR弁補正マップM6は、EGR弁開度VegrがEGR弁開度Vegrsよりも大きい場合、補正係数Cs6が1よりも小さい値に設定されている。一方、EGR弁開度VegrがEGR弁開度Vegrsよりも小さい場合、トルクTQは、EGRガスの減少を原因とする実過給機回転速度NTの上昇により増大する。従って、EGR弁補正マップM6は、EGR弁開度VegrがEGR弁開度Vegrsよりも小さい場合、補正係数Cs6が1よりも大きい値に設定されている。
以下では、図9を用いて、本発明の第二実施形態に係るエンジン1aにおけるトルクTQを算出するための制御態様について説明する。
図9に示すように、ステップS131において、ECU24は、EGR弁開度VegrからEGR弁補正マップM6に基づいて補正係数Cs6を算出し、ステップをステップS140に移行させる。
ステップS151において、ECU24は、算出した補正前トルクTQ0と算出した補正係数Cs1・Cs2・Cs3・Cs4・Cs5・Cs6とからトルクTQを算出し、ステップをステップS110に移行させる。
この様に構成することで、エンジン1aが出力したトルクTQに応じて排出される排気流量に基づいてエンジンのトルクが算出される。また、エンジン1aの運転環境やエンジン1aの構成に影響されることなく影響されることなくエンジン1aのトルクTQが算出される。これにより、エンジン1a側の状態変動による影響と負荷の変動による影響とを抑制しつつ、エンジン1aのトルクTQを容易に算出することができる。
以下では、図10と図11とを用いて、本発明に係るエンジンの第三実施形態におけるエンジン1cについて説明する。エンジン1cは、本発明の第一実施形態に係るエンジン1または第二実施形態に係るエンジン1bの第2過給機を可変容量型過給機28から構成したものである。なお、以下の実施形態において、既に説明した実施形態と同様の点に関してはその具体的説明を省略し、相違する部分を中心に説明する。
図10に示すように、可変容量型過給機28は、タービンの流路構成を制御することで過給機の特性を変更するものである。可変容量型過給機28は、可変ノズルベーン29と可変ノズルベーン29を駆動させるアクチュエータ30とを更に具備する。
可変ノズルベーン29は、タービン本体に対する相対角度が変更できるものである。可変ノズルベーン29は、可変容量型過給機28のタービン部に設けられている。可変容量型過給機28は、アクチュエータ30によって複数の可変ノズルベーン29の位置を変更することにより、図10(a)に示される全開状態(流通面積最大状態)から図10(b)に示される全閉状態(流通面積最小状態)に至るまでノズル開口面積を変更可能に構成されている。これにより、可変容量型過給機28は、可変ノズルベーン29の開度が全開状態となる場合に容量が大きい過給機の特性を備えるように構成され、全閉状態となる場合に容量が小さい過給機の特性を備えるように構成されている。つまり、可変容量型過給機28は、可変ノズルベーン29の位置を変更することにより、可変容量型過給機28の特性を容量が異なる過給機の様に変更することができる。したがって、可変容量型過給機28は、可変ノズルベーン29の開度変更によって、排気流量が変わらない状態で、実過給機回転速度NTを変更することができる。
ECU24は、アクチュエータ30と接続され、可変ノズルベーン29を任意のノズルベーン開度NVに制御することが可能である。
ECU24には、任意のノズルベーン開度NVにおけるトルクTQの補正係数Cs7を算出するためのノズルベーン補正マップM7が格納されている。つまり、ECU24は、エンジン1cの運転条件が、トルクマップM0を設定した際におけるエンジン1cの運転条件と異なる場合に補正係数Cs1から補正係数Cs7によって補正するように構成されている。
図11に示すように、ノズルベーン補正マップM7は、任意のノズルベーン開度NVに対する補正係数Cs7を決定するものである。ノズルベーン開度NVが所定の運転条件における所定ノズルベーン開度NVsよりも大きい場合、トルクTQは、可変容量型過給機28が容量の大きい過給機の特性を備えることを原因とする実過給機回転速度NTの低下により減少する。従って、ノズルベーン補正マップM7は、ノズルベーン開度NVが所定ノズルベーン開度NVsよりも大きい場合、補正係数Cs7が1よりも小さい値に設定されている。一方、ノズルベーン開度NVが所定ノズルベーン開度NVsよりも小さい場合、トルクTQは、可変容量型過給機28が容量の小さい過給機の特性を備えることを原因とする実過給機回転速度NTの上昇により増大する。従って、ノズルベーン補正マップM7は、ノズルベーン開度NVが所定ノズルベーン開度NVsよりも小さい場合、補正係数Cs7が1よりも大きい値に設定されている。
以下では、図12を用いて、本発明の第三実施形態に係るエンジン1cにおけるトルクTQを算出するための制御態様について説明する。
図12に示すように、ステップS132において、ECU24は、ノズルベーン開度NVからノズルベーン補正マップM7に基づいて補正係数Cs7を算出し、ステップをステップS140に移行させる。
ステップS152において、ECU24は、算出した補正前トルクTQ0と算出した補正係数Cs1・Cs2・Cs3・Cs4・Cs5・Cs6・Cs7とからトルクTQを算出し、ステップをステップS110に移行させる。
この様に構成することで、エンジン1cが出力したトルクTQに応じて排出される排気流量に基づいてエンジン1cのトルクが算出される。また、エンジン1cの運転環境やエンジンの構成に影響されることなく影響されることなくエンジン1cのトルクTQが算出される。これにより、エンジン1c側の状態変動による影響と負荷の変動による影響とを抑制しつつ、エンジン1cのトルクTQを容易に算出することができる。