JP6281994B2 - 超音波検査システム及び超音波検査方法 - Google Patents
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Description
特許文献2(特開2000−126182号公報)には、超音波プローブに位置センサを取り付けて、画像情報と位置情報とを組み合わせて内部構造の3次元データを構築し、腫瘤像の表面積と体積の比率に基づいて、その像が腫瘍であるか否かを判定する技術が開示されている。特許文献3(特開2010−166973号公報)には、超音波プローブに位置センサを取り付けるのではなく、取得された画像を解析して位置を推定する技術が示されている。
また特許文献3に記載の技術では、推定位置情報をボディマークとして画面表示し、医師が検査部位を把握しやすくするために用いるのみで、病変の自動検出には利用されていない。
本発明の目的は、超音波プローブを動かして超音波検査装置から出力される時間的に連続した複数のフレームの列からなる動画像に基づいて病変を自動検出する超音波検査システムの検出精度を高めることにある。
本発明の他の目的は、超音波プローブを動かして超音波検査装置から出力される時間的に連続した複数のフレームの列からなる動画像に基づいて病変を自動検出する超音波検査方法の検出精度を高めることにある。
図1は、本発明の超音波検査システム及び超音波検査方法の第1の実施の形態の構成を示すブロック図である。本実施の形態では、一例として乳腺超音波検診において病変を検査する。前述のように、乳腺超音波検診において検査する病変は、腫瘤性病変と非腫瘤性病変の2種類がある。腫瘤性病変は、周辺組織と比較して暗く描出されるため、静止画像として観察することで検出できる。一方、非腫瘤性病変は、暗い陰として描出されず静止画像での発見は困難であるため、動画像に描出される乳腺の模様の規則的な変化を捉え、その規則性が乱れる部位を検出する必要がある。従来の乳腺超音波画像からの病変の自動検出手法では、静止画像だけから発見可能な腫瘤性病変を検出対象としており、非腫瘤性病変を検出対象とした手法は開発されていない。そこで本発明の実施の形態では、動画像に対するパターン認識技術を用いて非腫瘤性病変を自動検出することを可能にする。
本実施の形態において、CHLAC特徴を用いる理由は2つある。1つ目の理由は、CHLAC特徴が乳腺超音波画像に多く含まれるスペックルノイズの影響を受けにくいためである。超音波の波長に比べて十分小さな生体内の無数の反射体(群反射体)により、散乱波が様々な場所(位相)で生じる。この散乱波のうち「超音波プローブに戻ってくる散乱波(後方散乱波)」が干渉し、ランダムに小輝点群が現れる。小輝点群は、まだらな点状の像を呈するので、これを指してスペックル(小斑点)パターンまたはスペックルノイズ(speckle noise)という(http://us-ism.net/mobile/sub8-S.html)。2つ目の理由は、CHLAC特徴を用いると、動画像に描出される対象物の動きや形の情報を捉えることが可能なためである。CHLAC特徴は、図2(A)に示すように、279種類の立体マスク(マスクパターン)をグレースケールの動画像中の各フレームからスキャンすることで得られる特徴量であり、279次元のベクトルとして表現される。この279という値は、注目画素を中心とするX×Y×T=3×3×3の小領域から任意の2つ(注目画素も含めると3つ)の画素を選択する全ての組合せのうち、平行移動させても等価とならない独立した組合せのみを数え上げたときの値である。2値の動画像の場合は、251次元のベクトルとして表現される。超音波画像診断では動画像を左右反転させても診断結果は変わらないことから、左右反転させたときに等価となるマスクパターンを走査して得られる特徴を統合することでベクトルの次元数を小さく抑えて部分空間法やOne-class SVMの識別精度を向上させることが可能となるが、その時のベクトル長は172次元となる。図2(B)に示すように、この立体マスクの大きさを変更することで、局所的、大局的な情報を捉えることができる。立体マスクの大きさは、X−Y平面方向の相関の幅を表す空間相関幅、時間(T)軸方向の相関の幅を表す時間軸相関幅を変化させることで調整できる。
しかしながらCHLAC特徴を乳腺超音波画像に適用した場合、正常なフレームを異常と判定して過検出が発生するおそれがある。CHLAC特徴には医師が超音波プローブを走査したときの動き情報も含まれているため、ある連続する2フレーム間でCHLAC特徴量が大きく変化したとき、病変の影響で乳腺の模様が大きく変化したのか、超音波プローブの位置が大きく変わったために撮影された像が大きく変化したのかを区別できない為である。そこで本実施の形態では、CHLAC特徴に基づく異常検出に加えて、超音波プローブの移動速度情報を利用することで過検出を抑制する。
本実施の形態では、正常な乳腺超音波画像から抽出したCHLAC特徴に対して所定の分析手法として部分空間法を適用して正常部分空間を正常判定基準データとして算出する。部分空間法では、主成分分析を用いて正常クラスを表現する主成分ベクトルを算出し、この主成分ベクトルが張る空間を正常部分空間とする。正常部分空間の次元数は、累積寄与率に関する閾値Tccにより決定する。つまり、主成分分析の結果として得られる主成分ベクトルを対応する寄与率(各固有ベクトルの固有値を、全固有ベクトルの固有値の総和で除算した値)の大きい順序に並べ、寄与率を順番に足し合わせて行ったとき、閾値Tccを超える直前までの主成分ベクトルを部分空間の基底ベクトルとして採用する。よって、閾値Tccを小さくすることで、部分空間の次元は少なくなり、反対に大きくすれば部分空間の次元は多くなる。なお閾値Tccを用いず、部分空間の次元数を直接的に指定してもよい。
距離判定部74における正常/異常を判定する閾値TNAはROC解析(Receiver Operating Characteristic analysis)を利用して決定する。ROC解析により得られるROC曲線は、横軸に偽陽性率(無病者において検査が陽性となる確率)、縦軸に真陽性率(有病者において検査が陽性となる確率)をとって2次元グラフ上にプロットした軌跡である(http://oku.edu.mie-u.ac.jp/~okumura/stat/ROC.html)。ROC曲線が左上方にいくほど、つまり真陽性率が1、偽陽性率が0に近づくほど分類性能が高いことを示す。ROC曲線の例を図3に示す。この例では、A、B、Cで示した枠中の2次元グラフでの閾値SHのときの真陽性率と偽陽性率を、それぞれROC曲線上の点でプロットしている。本実施の形態では、ROC曲線と傾き45度の直線Lとの接点に対応する閾値を最適な閾値TNAとして採用する。最適な閾値TNAを用いて判定された異常フレームには、超音波プローブの移動速度の変化に起因する過検出が含まれる可能性がある。そこで、本実施の形態では、距離判定部74が正常距離ではないと判定した異常フレームにおいて、速度判定部11で判定した超音波プローブ1の移動速度が事前に定めた閾値Ts以上の場合は過検出と見做し、移動速度が閾値Tsより小さいものだけを最終判定部75が最終的に異常フレームとして判定する。その結果、本発明によれば、過検出率を大幅に低減できる。なおフレーム判定部7は、コンピュータを利用して実現できる。
図4は、図1の実施の形態をコンピュータを利用して実現する場合のソフトウエアのアルゴリズムを示すフローチャートである。図4のフローチャートのアルゴリズムには、学習フェーズのソフトウエアのアルゴリズムと、検査フェーズのアルゴリズムが含まれている。学習フェーズでは、前述の正常判定基準データ記憶部5に記憶する正常判定基準データを作成する。なお本実施の形態では分析手法として部分空間法を使用しているため、正常判定基準データとしては、正常部分空間が正常判定基準データ記憶部5に記憶される。ステップST1及びST2では、規定の速度で超音波プローブ1を動かしながら基準被験者または被験者から得た、病変が存在しない身体部分の動画像を構成する複数のフレームを取得する。本実施の形態では、後述の立体高次局所自己相関特徴(CHLAC特徴)は画像中で輝度が高く白い部分に強く反応する一方で、超音波画像中に描出される瘤性病変などの異常は輝度が低く暗く描出されるというミスマッチを解消するため、ステップST3において、前処理として画像の白黒反転を実施する。白黒反転に加えてコントラスト強調を行う事により、病変部をより目立たせることも可能である。また、処理速度を向上させるため、白黒反転を行わずに前処理に要する処理時間を節約することも可能である。その後ステップST4で、取得したフレームから立体高次局所自己相関特徴(CHLAC特徴)を抽出する。これらの工程は、取得したすべてのフレームに対して実施される(ステップST5)。その後、全フレームについて立体高次局所自己相関特徴(CHLAC特徴)を抽出すると、抽出結果を所定の分析手法(部分空間法の場合は主成分分析、ステップST6)をとることにより得た正常部分空間を正常判定基準データとして正常判定基準データ記憶部5に記憶する(ステップST7)。ステップST1乃至ステップST7によって学習ステップが構成されている。
次に各フレームからの立体高次局所自己相関特徴の抽出結果と、学習フェーズにおいて学習用動画像の各フレームからの立体高次局所自己相関特徴量の抽出結果を所定の分析手法により分析して得た分析データであるところの正常判定基準データ(正常部分空間)との距離を算出する(ステップST15:距離算出ステップ)。そして算出した距離が予め定めた閾値TNAに基づいて、距離が閾値TNAを超えているか否かにより正常距離であるか否かを判定する(ステップST16:距離判定ステップ)。正常距離であると判定された場合には、ステップST19に進んで、正常フレームと判定される。距離が閾値TNAを超えている場合であれば、ステップST17へと進む。ステップST17(速度情報検出ステップ)では、超音波プローブの速度を算出し、超音波プローブの速度が予め定めた閾値Tsを超えているか否かを判定する(ステップST18:速度判定ステップ)。超音波プローブの速度が予め定めた閾値Ts以上である場合には、正常速度ではないと判定して、前述の距離の判定で正常距離ではないと判定された異常フレームでも、正常フレームであると判定してステップST19へと進む。超音波プローブの速度が予め定めた閾値Tsを超えていない場合には正常速度であると判定して、ステップST20へと進み、そのフレームは異常フレームであると判定される。そしてステップST21で、全フレームについて検査が終了したことが判定されると、検査フェーズが終了する。ステップST19〜ステップST21により状態判定ステップが構成されている。そしてステップST15〜ステップST21によりフレーム判定ステップが構成されている。
上記実施の形態の効果を確認するために、非腫瘤性病変ありと診断された被験者を対象に異常検出実験を行った。
図6は、本発明の超音波検査システム及び超音波検査方法の第2の実施の形態の構成を示すブロック図である。図1に示した第1の実施の形態のブロック図を構成する構成要素と同じ構成要素には、図1に付した符号と同じ符号を付して説明を省略する。本実施の形態でも、一例として乳腺超音波検診において病変を検査する。そして本実施の形態では、超音波プローブ1の走査速度に応じて時間軸相関幅を適応的に変化させて立体高次局所自己相関特徴(CHLAC特徴)を抽出する。これは、CHLAC特徴を乳腺超音波画像に適用した場合に異常検出性能が超音波プローブ1の動きの影響を受けるためである。例えば、図7に示すように超音波プローブ1の走査速度が速い場合は、遅い場合と比較して、隣接するフレームは遠い位置で撮影される。そのため、同一の乳腺を撮影しても走査速度が異なる場合は、異なるCHLAC特徴として表現される。本実施の形態ではこの影響を緩和するために図8に示すように時間軸相関幅(図2)を超音波プローブ1の走査速度に応じて変化させて等間隔の距離で撮影されたフレームからCHLAC特徴を抽出する。
図10は、図6に示した第2の実施の形態をコンピュータを利用して実現する場合のソフトウエアのアルゴリズムを示すフローチャートである。図10のフローチャートのアルゴリズムには、学習フェーズのソフトウエアのアルゴリズムと、検査フェーズのアルゴリズムが含まれている。学習フェーズでは、前述の正常判定基準データ記憶部5´に記憶する正常判定基準データを作成する。なお本実施の形態では分析手法として部分空間法を使用しているため、正常判定基準データとしては、正常部分空間が正常判定基準データ記憶部5´に記憶される。ステップST1´A及びST2´では、作業者が超音波プローブ1を動かしながら基準被験者または被験者から得た病変が存在しない身体部分の動画像を構成する複数のフレームを取得する。ステップST3´において、前処理として画像の白黒反転を実施する。白黒反転に加えてコントラスト強調を行うことにより、病変部をより目立たせることも可能である。また、処理速度を向上させるため、白黒反転を行わずに前処理に要する処理時間を節約することも可能である。またステップST1´Bでは、超音波プローブの位置・姿勢情報を磁界位置センサ等を用いて検出し、ステップST8´で各フレームにおける超音波プローブの位置・姿勢情報を取得する。
ステップST14´(特徴抽出ステップ)では、ステップST29´で決定された時間軸相関幅を用いて、各フレームについて立体高次局所自己相関特徴(CHLAC特徴)を抽出する。次に各フレームからの立体高次局所自己相関特徴の抽出結果と正常判定基準データ(正常部分空間)との距離を算出する(ステップST15´:距離算出ステップ)。そして算出した距離が予め定めた閾値TNAを越えているか否かにより正常距離であるか否かを判定する(ステップST16´:距離判定ステップ)。正常距離であると判定された場合には、ステップST19´に進んで、正常フレームと判定される。距離が閾値TNAを超えている場合であれば、ステップST20´へと進んで異常フレームであると判定する。これにより超音波プローブの走査速度の影響を受けることなく、正常フレームと異常フレームとを判定することができる。そしてステップST21´で、全フレームについて検査が終了したことが判定されると、検査フェーズが終了する。ステップST19´〜ステップST21´により状態判定ステップが構成されている。そしてステップST15´〜ステップST21´によりフレーム判定ステップが構成されている。
所定の分析法としてOne-class SVMを用いる場合には、正常な乳腺超音波画像から抽出したCHLAC特徴に対してOne-class SVM (Support Vector Machine)を適用して正常クラスを算出する。One-class SVMでは、データの構造を見つけ出すことができるカーネル法と呼ばれる手法を利用して学習データが多く存在する領域を推定し、学習データが多く含まれる領域(正常クラス)と学習データが含まれない領域とに分ける境界面(超平面)を算出する。そして検査フェーズでは、検査対象用の乳腺超音波画像から抽出したCHLAC特徴が、学習で算出した正常クラスに入るか否かにより正常フレームであるか、異常フレームであるかを判定する。
上記第2の実施の形態の効果を確認するために、被験者A及びBの2人の被験者を対象に異常検出実験を行った。被験者Aは腫瘤性病変ありと診断された患者であり、被験者Bは非腫瘤性病変ありと診断された患者である。
実験では、超音波プローブの走査速度に応じた時間軸相関幅を変更してCHLAC特徴を抽出することの有効性を検証するため、CHLAC特徴の時間軸相関幅を固定にした場合と、上記第2の実施の形態に基づいて時間軸相関幅を可変にした場合でのROC曲線の比較を行った。CHLAC特徴の時間軸相関幅は、走査速度が[遅い、普通、速い]に対して[T#large=5、 T#medium=3、 T#small=1]と設定した。また、正常部分空間の最適な次元数を定めるための閾値TCCについては、閾値を[0.9、 0.99、 0.999、 0.9999、 0.99999、 0.999999]の6種類の値に設定してAUC値が最大となる時の値を採用した。
被験者A及びBに対してのROC曲線をそれぞれ図12(A)及び(B)並びに図13(A)及び(B)に示す。CHLAC特徴の時間軸相関幅を可変にしたときのROC曲線[図12(B)及び図13(B)]は、時間軸相関幅を固定したとき[図12(A)及び図13(A)]と比較して、ROC曲線が左上に近づき、AUC値が高いことがわかる。
実験では、提案手法の速度に応じたCHLAC特徴の有効性を検証するため、CHLAC特徴の時間軸相関幅を固定にした場合と、時間軸相関幅を可変にした場合(提案手法)での真陽性(TP)率と偽陽性(FP)率の比較を行った。
被験者A、Bに対しての真陽性率と偽陽性率の結果を図16及び図17に示す。図16より、CHLAC特徴の時間軸相関幅を可変にした場合は、固定にした場合と比較して真陽性率が高いことがわかる。また図17より、CHLAC特徴の時間軸相関幅を可変にした場合と固定にした場合では、真陽性率に変化はない。その一方で、可変にした場合は、固定にした場合と比較して偽陽性率が減少していることがわかる。すなわち時間軸相関幅を可変にした場合は、過検出を抑えられていることがわかる。これは、CHLAC特徴の時間軸相関幅を可変にしたことにより、プローブの走査速度の影響を抑制できたためであると考えらえる。
3 超音波検査装置
5 正常判定基準データ記憶部
7 フレーム判定部
9 速度情報検出部
11 速度判定部
71 特徴抽出部
72 状態判定部
73 距離算出部
74 距離判定部
75 最終判定部
Claims (21)
- 超音波プローブを動かして超音波検査装置から出力される時間的に連続した複数のフレームの列からなる動画像に基づいて病変の有無を検査する超音波検査システムであって、
規定の速度範囲内の速度で超音波プローブを動かしながら基準被験者または被験者から得た病変が存在しない身体部分の動画像を構成する複数のフレームから立体高次局所自己相関特徴を抽出し、抽出結果を所定の分析手法により分析することにより得た正常判定基準データを記憶する正常判定基準データ記憶部と、
検査者が前記超音波プローブを前記被験者に対して操作して前記超音波検査装置から得た、身体部分の動画像を構成する複数のフレームから各フレームの立体高次局所自己相関特徴を抽出する特徴抽出部と、各フレームからの立体高次局所自己相関特徴の抽出結果と前記正常判定基準データに基づいて、該当フレームが前記病変を含まない正常フレームであるか前記病変を含む異常フレームであるかを判定する状態判定部とを含むフレーム判定部と、
各フレームについて前記検査者が操作する前記超音波プローブの速度に関する速度情報を取得する速度情報検出部と、
前記速度情報検出部が取得した前記速度情報から得た前記超音波プローブの速度が、前記規定の速度範囲を基準として定めた閾値を超えていない場合には正常速度であると判定する速度判定部とを具備し、
前記フレーム判定部の前記状態判定部は、前記各フレームからの立体高次局所自己相関特徴の抽出結果と前記正常判定基準データのみに基づいて該当フレームが前記異常フレームであると判断できるものであっても、前記超音波プローブの速度が前記正常速度ではないと前記速度判定部が判定しているときには、該当フレームは前記正常フレームであると判定することを特徴とする超音波検査システム。 - 前記フレーム判定部は、コンピュータを利用して実現されている請求項1に記載の超音波検査システム。
- 前記所定の分析手法が、部分空間法からなり、
前記正常判定基準データ記憶部には、前記抽出結果を主成分分析することにより得た正常部分空間が前記正常判定基準データとして記憶されており、
前記フレーム判定部の前記状態判定部は、
前記各フレームからの立体高次局所自己相関特徴の抽出結果と前記正常部分空間との距離を算出する距離算出部と、
前記距離が予め定めた閾値を越えているか否かにより正常距離であるか否かを判定する距離判定部と、
前記距離判定部が前記正常距離であると判定しているとき及び前記距離判定部が前記正常距離ではないと判定し且つ前記速度判定部が前記正常速度でないと判定しているときには、該当フレームは前記正常フレームであると判定し、前記距離判定部が前記正常距離ではないと判定し且つ前記速度判定部が前記正常速度であると判定しているときには、該当フレームを前記異常フレームであると判定する最終判定部とからなる請求項1に記載の超音波検査システム。 - 前記正常判定基準データを抽出するときにおける前記所定の分析手法が、1クラスサポートベクタマシンを用いた分析手法であり、正常フレームだけを学習して、正常フレームの正常クラスを前記正常判定基準データと定め、
前記フレーム判定部では、該当フレームの分析データが前記正常クラスに入るか否かにより、正常フレームか否かを判定する請求項1に記載の超音波検査システム。 - 前記速度情報検出部は、前記超音波プローブの位置・姿勢情報から前記速度に関する速度情報を算出することを特徴とする請求項1に記載の超音波検査システム。
- 前記距離判定部における前記予め定めた閾値は、ROC解析を利用して決定される請求項3に記載の超音波検査システム。
- 前記速度判定部における前記予め定めた閾値Tsは、学習した乳腺超音波画像におけるプローブの平均移動速度uとその標準偏差σ、パラメータkを用いた数式Ts=u+k×σにより定められて、ここでパラメータkは実験により決定されることを特徴とする請求項1に記載の超音波検査システム。
- 超音波プローブを動かして超音波検査装置から出力される時間的に連続した複数のフレームの列からなる動画像に基づいて病変の有無を検査する超音波検査システムであって、
超音波プローブを動かしながら基準被験者または被験者から得た病変が存在しない身体部分の動画像を構成する複数のフレームから、前記超音波プローブの速度に関する速度情報に基づいて前記速度の変化の影響を抽出結果が受けることを抑制するように、時間軸方向の相関の幅を表す時間軸相関幅を調整しながら、立体高次局所自己相関特徴を抽出し、抽出結果を所定の分析手法により分析することにより得た正常判定基準データを記憶する正常判定基準データ記憶部と、
検査者が前記超音波プローブを前記被験者に対して操作して前記超音波検査装置から得た、身体部分の動画像を構成する複数のフレームから各フレームの立体高次局所自己相関特徴を抽出する特徴抽出部と、各フレームからの立体高次局所自己相関特徴の抽出結果と前記正常判定基準データとに基づいて、該当フレームが前記病変を含まない正常フレームであるか前記病変を含む異常フレームであるかを判定する状態判定部とを含むフレーム判定部と、
各フレームについて前記検査者が操作する前記超音波プローブの速度に関する速度情報を取得する速度情報検出部とを具備し、
前記フレーム判定部の前記特徴抽出部は、前記速度に関する速度情報に基づいて、時間軸方向の相関の幅を表す時間軸相関幅を、前記抽出結果が受ける前記速度の変化の影響を抑制するように調整する機能を有しており、
前記フレーム判定部の前記状態判定部は、前記各フレームからの立体高次局所自己相関特徴の抽出結果と前記正常判定基準データのみに基づいて該当フレームが前記正常フレームであるか前記異常フレームであるかを判定することを特徴とする超音波検査システム。 - 前記所定の分析手法が、部分空間法からなり、
前記正常判定基準データ記憶部には、前記抽出結果を主成分分析することにより得た正常部分空間が前記正常判定基準データとして記憶されており、
前記フレーム判定部の前記状態判定部は、
前記各フレームからの立体高次局所自己相関特徴の抽出結果と前記正常部分空間との距離を算出する距離算出部と、
前記距離が予め定めた閾値を越えているか否かにより正常距離であるか否かを判定する距離判定部と、
前記距離判定部が前記正常距離であると判定しているときには、該当フレームは前記正常フレームであると判定し、前記距離判定部が前記正常距離ではないと判定しているときには、該当フレームを前記異常フレームであると判定する最終判定部とからなる請求項8に記載の超音波検査システム。 - 前記特徴抽出部は、前記速度情報から得た前記超音波プローブの速度の大きさに従って広義単調減少する関係で前記時間軸相関幅を調整する請求項9に記載の超音波検査システム。
- 前記特徴抽出部は、段階的に大きな値となる複数の速度閾値範囲と、前記複数の速度閾値範囲に対応した複数の時間軸相関幅を準備し、前記超音波プローブの速度と前記複数の速度閾値範囲とを比べ、前記超音波プローブの速度に対応した前記時間軸相関幅を選択するように構成されている請求項10に記載の超音波検査システム。
- 前記正常判定基準データを抽出するときにおける前記所定の分析手法が、1クラスサポートベクタマシンを用いた分析手法であり、正常フレームだけを学習して、正常フレームの正常クラスを前記正常判定基準データと定め、
前記フレーム判定部では、該当フレームの分析データが前記正常クラスに入るか否かにより、正常フレームか否かを判定する請求項8に記載の超音波検査システム。 - 前記速度情報検出部は、前記超音波プローブの位置・姿勢情報から前記速度に関する速度情報を算出することを特徴とする請求項8に記載の超音波検査システム。
- 前記距離判定部における前記予め定めた閾値は、ROC解析を利用して決定される請求項9に記載の超音波検査システム。
- 超音波プローブを動かして超音波検査装置から出力される時間的に連続した複数のフレームの列からなる動画像に基づいて病変の有無を検査するためにコンピュータを利用する超音波検査方法であって、
前記コンピュータを利用して、
規定の速度範囲内の速度で超音波プローブを動かしながら基準被験者または被験者から得た病変が存在しない身体部分の動画像を構成する複数のフレームから立体高次局所自己相関特徴を抽出し、抽出結果を所定の分析手法により分析することにより得た正常判定基準データを学習して正常判定基準データ記憶部に記憶する学習ステップと、
検査者が前記超音波プローブを前記被験者に対して操作して前記超音波検査装置から得た、身体部分の動画像を構成する複数のフレームから各フレームの立体高次局所自己相関特徴を抽出する特徴抽出ステップと、
各フレームからの立体高次局所自己相関特徴の抽出結果と前記正常判定基準データとに基づいて、該当フレームが前記病変を含まない正常フレームであるか前記病変を含む異常フレームであるかを判定するフレーム判定ステップと、
各フレームについて前記検査者が操作する前記超音波プローブの速度に関する速度情報を取得する速度情報検出ステップと、
前記速度情報検出ステップで取得した前記速度情報から得た前記超音波プローブの速度が、前記規定の速度範囲を基準として定めた閾値を超えていない場合には正常速度であると判定する速度判定ステップとを実行し、
前記フレーム判定ステップでは、前記各フレームからの立体高次局所自己相関特徴の抽出結果と前記正常判定基準データのみに基づいて該当フレームが前記異常フレームであると判断できるものであっても、前記超音波プローブの速度が前記正常速度ではないと前記速度判定ステップで判定しているときには、該当フレームは前記正常フレームであると判定することを特徴とする超音波検査方法。 - 前記所定の分析手法が、部分空間法からなり、
前記正常判定基準データ記憶部には、前記抽出結果を主成分分析することにより得た正常部分空間が前記正常判定基準データとして記憶されており、
前記フレーム判定ステップは、
前記各フレームからの立体高次局所自己相関特徴の抽出結果を前記部分空間法により分析して得た部分空間と前記正常部分空間との距離を算出する距離算出ステップと、
前記距離が予め定めた閾値を越えているか否かにより正常距離であるか否かを判定する距離判定ステップと、
前記距離判定ステップが前記正常距離であると判定しているとき及び距離判定ステップで正常距離ではないと判定し且つ速度判定ステップが正常速度でないと判定しているときには、該当フレームは前記正常フレームであると判定し、前記距離判定ステップが前記正常距離ではないと判定し且つ前記速度判定ステップが前記正常速度であると判定しているときには、該当フレームを前記異常フレームであると判定する状態判定ステップとからなる請求項15に記載の超音波検査方法。 - 超音波プローブを動かして超音波検査装置から出力される時間的に連続した複数のフレームの列からなる動画像に基づいて病変の有無を検査するためにコンピュータを利用する超音波検査方法であって、
超音波プローブを動かしながら基準被験者または被験者から得た病変が存在しない身体部分の動画像を構成する複数のフレームから前記超音波プローブの速度に関する速度情報に基づいて前記速度の変化の影響を抽出結果が受けることを抑制するように、時間軸方向の相関の幅を表す時間軸相関幅を調整しながら立体高次局所自己相関特徴を抽出し、抽出結果を所定の分析手法により分析することにより得た正常判定基準データを学習して正常判定基準データ記憶部に記憶する学習ステップと、
検査者が前記超音波プローブを前記被験者に対して操作して前記超音波検査装置から得た、身体部分の動画像を構成する複数のフレームから各フレームの立体高次局所自己相関特徴を抽出する特徴抽出ステップと、
各フレームからの立体高次局所自己相関特徴の抽出結果を前記所定の分析手法により分析して得た分析データと前記正常判定基準データとに基づいて、該当フレームが前記病変を含まない正常フレームであるか前記病変を含む異常フレームであるかをコンピュータを利用して判定するフレーム判定ステップと、
各フレームについて前記検査者が操作する前記超音波プローブの速度に関する速度情報を取得する速度情報検出ステップとを備え、
前記フレーム判定ステップでは、前記速度情報に基づいて、時間軸方向の相関の幅を表す時間軸相関幅を、前記抽出結果が受ける前記速度の変化の影響を抑制するように調整し、
前記フレーム判定ステップでは、前記各フレームからの立体高次局所自己相関特徴の抽出結果を前記所定の分析手法により分析して得た分析データと前記正常判定基準データのみに基づいて該当フレームが前記正常フレームであるか前記異常フレームであるかを判定することを特徴とする超音波検査方法。 - 前記所定の分析手法が、部分空間法からなり、
前記正常判定基準データ記憶部には、前記抽出結果を主成分分析することにより得た正常部分空間が前記正常判定基準データとして記憶されており、
前記フレーム判定ステップは、
前記各フレームからの立体高次局所自己相関特徴の抽出結果と前記正常部分空間との距離を算出する距離算出ステップと、
前記距離が予め定めた閾値を越えているか否かにより正常距離であるか否かを判定する距離判定ステップと、
前記距離判定ステップが前記正常距離であると判定しているときには、該当フレームは前記正常フレームであると判定し、前記距離判定ステップが前記正常距離ではないと判定しているときには、該当フレームを前記異常フレームであると判定する状態判定ステップとからなる請求項17に記載の超音波検査方法。 - 前記速度の情報から得た前記超音波プローブの速度の大きさに従って広義単調減少する関係で前記時間軸相関幅を調整する請求項17に記載の超音波検査方法。
- 前記フレーム判定ステップでは、段階的に大きな値となる複数の速度閾値範囲と、前記複数の速度閾値範囲に対応した複数の時間軸相関幅を準備し、前記超音波プローブの速度と前記複数の速度閾値範囲とを比べ、前記超音波プローブの速度に対応した前記時間軸相関幅を選択する請求項19に記載の超音波検査方法。
- 前記正常判定基準データを抽出するときにおける前記所定の分析手法が、1クラスサポートベクタマシンを用いた分析手法であり、正常フレームだけを学習して、正常フレームの正常クラスを前記正常判定基準データと定め、
前記フレーム判定ステップでは、該当フレームの分析データが前記正常クラスに入るか否かにより、正常フレームか否かを判定する請求項17に記載の超音波検査方法。
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