以下、本発明に係る遊技機の一実施形態について、図面を参照して説明する。まず、図1および図2を参照して、本実施形態に係るパチンコ機1の機械的構成について説明する。
図1に示すように、パチンコ機1の上半分の部分には遊技盤2が設けられている。遊技盤2は略正方形であり(図2参照)、透明なガラス板を保持した前面枠13によって前面を保護されている。遊技盤2の下部には上皿5が設けられている。上皿5は、発射機に遊技球を供給し、且つ賞品球を受ける。上皿5の上面には操作ボタン9が設けられている。上皿5の直下には、賞品球を受ける下皿6が設けられている。下皿6の右横には、遊技球の発射を調整する発射ハンドル7が設けられている。前面枠13の上部の左右の角には、スピーカ48がそれぞれ設けられている。
図2に示すように、遊技盤2の前面には、ガイドレール3で囲まれた略円形の遊技領域4が形成されている。遊技領域4の略中央には、各種演出を実行する演出装置8が設けられている。演出装置8の左方には普通図柄始動ゲート12が設けられている。演出装置8の下方には特別図柄始動電動役物15が配設されており、その下方には大入賞口16が設けられている。特別図柄始動電動役物15は開閉部材を備え、開閉部材が開放されると遊技球の入賞が容易になる。大入賞口16も開閉部材を備え、開閉部材が開放された場合にのみ、遊技球は大入賞口16に入賞できる。
演出装置8について説明する。図2に示すように、演出装置8は、LCDからなる表示画面28を中央に備える。表示画面28には様々な映像が表示されるが、特に大当たり判定の結果を遊技者に報知するために、横並びに3つのデモ図柄表示部が設けられている。パチンコ機1は、3つのデモ図柄表示部に表示されるデモ図柄を変動させた後に、大当たり判定の結果を示すデモ図柄の組み合わせを確定表示させる演出(以下、「報知演出」という。)を行うことで、大当たり判定の結果を遊技者に報知する。さらに、表示画面28には、特別図柄作動保留球(以下、単に「保留球」という場合もある。)の個数を表示する保留表示領域84(図9から図11参照)が形成される。パチンコ機1は、保留表示領域84を利用した演出に特徴を有する(詳細は後述する)。
表示画面28の右上方には可動役物30が設けられている。可動役物30は、可動部を可動させることで各種演出を行う。可動役物30の下方には、大当たり判定の結果および保留球数を表示する表示部24が設けられている。表示部24は、特別図柄表示部、普通図柄表示部、特別図柄記憶数表示LED、および普通図柄記憶数表示LEDを備える。特別図柄表示部は、2つの7セグメントLEDからなり、大当たり判定の結果を示す特別図柄を表示する。普通図柄表示部は、LEDの点灯および消灯によって普通当たり判定の結果を表示する。特別図柄記憶数表示LEDは、大当たり判定の結果がまだ表示されていない遊技球の個数(所謂「特別図柄作動保留球数」)を表示する。普通図柄記憶数表示LEDは、普通当たり判定の結果がまだ表示されていない遊技球の個数(所謂「普通図柄作動保留球数」)を表示する。
図3を参照して、パチンコ機1の電気的構成について説明する。パチンコ機1の制御部40は、主基板41、サブ制御基板58、ランプドライバ基板46、演出制御基板43、払出制御基板45、および中継基板47を主に備える。
主基板41は、パチンコ機1の主制御を司る。主基板41の主基板CPUユニット50には、各種の演算処理を行うCPU51と、データを一時的に記憶するRAM52と、制御プログラム等を記憶したROM53とが設けられている。主基板CPUユニット50には、割込信号発生回路57が接続されている。主基板41は、割込信号発生回路57から割込信号が入力される毎にプログラムを実行する。主基板41は、I/Oインタフェイス54を介してサブ制御基板58、払出制御基板45、中継基板47、出力ポート55、および始動口スイッチ70に接続されている。出力ポート55は、図示外の遊技場管理用コンピュータにパチンコ機1の情報を出力する。始動口スイッチ70は、特別図柄始動電動役物15に入賞した遊技球を検出する。
サブ制御基板58は、CPU581、RAM582、およびROM583を備え、ランプドライバ基板46、演出制御基板43、スピーカ48、および操作ボタン9に接続している。サブ制御基板58は、主基板41から送信されるコマンドに従って、演出等の総合的な制御を行う。ランプドライバ基板46は可動役物30等を制御する。演出制御基板43は、CPU43a等を備え、サブ制御基板58から受信するコマンドに従って表示画面28の表示を制御する。払出制御基板45は、CPU45a等を備える。払出制御基板45は、主基板41から送信されるコマンドに応じて賞品球払出装置49の動作を制御し、所定数の遊技球を払い出させる。
中継基板47には、普通図柄作動スイッチ71、大入賞口開閉ソレノイド72、電動役物開閉ソレノイド73、大入賞口スイッチ75、および表示部24が接続されている。普通図柄作動スイッチ71は、普通図柄始動ゲート12を通過した遊技球を検出する。大入賞口開閉ソレノイド72は、大当たり遊技中に大入賞口16の開閉部材を開閉する。電動役物開閉ソレノイド73は、普通当たり遊技中に特別図柄始動電動役物15の開閉部材を開閉する。大入賞口スイッチ75は、大入賞口16に入賞した遊技球を検出する。
電源基板42は、主基板41および遊技球発射装置37に接続されており、各基板および遊技球発射装置37に直流の安定化した電力を供給する。遊技球発射装置37は、一定間隔(本実施形態では0.6秒)毎に1個ずつ遊技球を遊技領域4へ発射する。
図4を参照して、RAM52の大当たり関係情報記憶エリアについて説明する。大当たり関係情報記憶エリアは、後述するメイン処理の特別図柄処理(図7および図8参照)において使用され、特別図柄始動電動役物15への遊技球の入賞時に取得される乱数を記憶する。大当たり関係情報記憶エリアには複数の記憶エリアが設けられている。特別図柄始動電動役物15に遊技球が入賞した際に、特別図柄作動保留球数が4未満(0〜3)であれば、番号の若い記憶エリアから順に乱数が記憶される。CPU51は、処理が未だ行われていない記憶エリアの乱数のうち、最も番号の若い記憶エリアを判定エリアとし、判定エリアに記憶されている乱数について大当たり判定等の各種処理を行う。判定エリアに記憶されている乱数に関する処理(具体的には、判定結果を報知する報知演出、および、判定結果が大当たりの場合に実行される大当たり遊技)が終了すると、次に番号が若い記憶エリアが判定エリアとされて、大当たり判定等の処理が繰り返される。なお、処理が終了した記憶エリアの乱数は、適宜消去してもよい。
各記憶エリアには、大当たり判定カウンタの値が記憶される大当たり乱数欄、特別図柄決定カウンタの値が記憶される特別図柄決定乱数欄、および、変動パターン決定カウンタの値が記憶される変動パターン決定乱数欄が設けられている。特別図柄始動電動役物15に遊技球が入賞すると、その時点で計数されているそれぞれの乱数取得カウンタの値が各欄に記憶される。大当たり乱数は、大当たり判定のために用いられる。特別図柄決定乱数は特別図柄を決定するために用いられる。変動パターン決定乱数は、大当たり判定の結果を報知する報知演出の演出パターン(デモ図柄の変動パターン)を決定するために用いられる。なお、RAM52には、普通図柄始動ゲート12への遊技球の入賞時に取得される乱数を記憶するための普通当たり関係情報記憶エリアが設けられている。普通当たり関係情報記憶エリアも、大当たり関係情報記憶エリアと同様に構成されている。
図5を参照して、ROM53に記憶されている特別図柄変動パターン決定テーブルについて説明する。変動パターンとは、前述したように、大当たり判定による判定結果を遊技者に報知する際に用いられるデモ図柄の変動のパターン(演出パターン)である。この変動パターンによって、表示部24に表示される特別図柄の変動時間(デモ図柄の変動時間に等しい)と、特別図柄の変動に同期して表示画面28、可動役物30、スピーカ48等によって実行される報知演出のパターンとが決定される。サブ制御基板58は、主基板41で決定された変動パターンに従って報知演出を制御する。
特別図柄変動パターン決定テーブルには、大当たり判定時の遊技状態(非時短状態中または時短状態中)、および大当たり判定の結果(大当たりまたははずれ)に応じて複数のテーブルが設けられている。それぞれのテーブルには複数種類の変動パターンが割り当てられており、各変動パターンと変動パターン決定乱数の値(0〜511)とが対応付けられている。大当たり判定が行われると、その時点の遊技状態と判定結果とに応じたテーブルが参照され、大当たり乱数と共に取得されている変動パターン決定乱数の値によって変動パターンが決定される。主基板41は、決定した変動パターンを指定するコマンドをサブ制御基板58へ送信する。サブ制御基板58は、コマンドによって指定された変動パターンに応じて報知演出を制御する。
判定結果が大当たりの場合には、リーチ演出を実行する変動パターンが必ず決定される。一方で、判定結果がはずれの場合には、リーチ演出を実行しない「非リーチ」の変動パターンが決定される割合が最も高い。リーチ演出は、複数のデモ図柄のうちの一部を停止させた状態で行われる演出であり、大当たりの可能性があることを示す。本実施形態におけるリーチ演出には、ノーマルリーチ、リーチ演出A,B,C,D,E、プレミアリーチ演出X,Yの8種類がある。図5に示すように、判定結果が大当たりの場合には、ノーマルリーチ、リーチ演出A,B,C,D,Eの順で、決定される割合が高くなる。逆に、判定結果がはずれの場合には、ノーマルリーチ、リーチ演出A,B,C,D,Eの順で、決定される割合が低くなる。また、プレミアリーチ演出X,Yは、判定結果が大当たりの場合にのみ決定され得る。従って、リーチ演出において示される大当たり判定の結果が大当たりとなる確率(信頼度)は、ノーマルリーチ、リーチ演出A,B,C,D,E、プレミアリーチ演出X,Yの順に高くなる。
図6から図8を参照して、パチンコ機1の主基板41による処理について説明する。パチンコ機1の主制御は、ROM53に記憶されている制御プログラムによって行われる。制御プログラムのメイン処理(図6参照)は、割込信号発生回路57(図3参照)が4ms毎に発生する割込信号をCPU51が感知した際に、CPU51において実行される。
まず、コマンド出力処理が行われる(S10)。コマンド出力処理では、制御コマンドが、サブ制御基板58、払出制御基板45、中継基板47等に出力される。ここで出力される制御コマンドは、前回実施されたメイン処理においてRAM52に記憶された制御コマンドである。
次いで、スイッチ読込処理が行われる(S11)。スイッチ読込処理では、普通図柄始動ゲート12および各入賞口に設けられた各スイッチ(図3参照)の検出結果から、遊技球を検知するための処理が行われる。
次いで、カウンタ更新処理が行われる(S12)。カウンタ更新処理では、RAM52に記憶されている乱数取得カウンタの値が加算され、且つ、タイマカウンタの値が減算される。
次いで、特別電動役物処理が行われる(S13)。特別電動役物処理では、大当たり遊技の動作(主に大入賞口16の開閉部材の開閉動作)を制御するための処理と、大当たり遊技終了後に生起される遊技状態に関する処理とが行われる。
次いで、特別図柄処理が行われる(S14)。詳細は後述するが、特別図柄処理では、大当たり判定、特別図柄の決定、および変動パターンの決定等の処理が行われる(図7および図8参照)。
次いで、普通電動役物処理が行われる(S15)。普通電動役物処理では、普通当たりとなった場合に普通当たり遊技の動作を制御するための処理が行われる。CPU51は、時短状態が生起されていれば、非時短状態中よりも長く特別図柄始動電動役物15を開放させる。
次いで、普通図柄処理が行われる(S16)。普通図柄処理では、普通図柄作動スイッチ71が遊技球を検出することを契機として、普通当たり乱数が取得される。取得された乱数に基づいて、普通当たり判定、普通図柄の変動を制御するためのコマンドの記憶等の処理が行われる。時短状態中に普通当たりと判定される確率は、非時短状態中に普通当たりと判定される確率よりも高い。普通図柄の変動時間は、非時短状態中よりも時短状態中の方が短い。
次いで、払出処理(S17)、エラーチェック(S18)、および情報出力処理(S19)が行われる。払出処理では、賞品球の払い出しが制御される。エラーチェックでは、エラーが発生している場合に、表示画面28およびスピーカ48等を用いてエラーが報知される。情報出力処理では、図示外の遊技場管理用コンピュータに各種の情報が出力される。
図7および図8を参照して、特別図柄処理(S14)の詳細について説明する。まず、特別図柄処理で使用されるフラグについて説明する。RAM52には、大当たり遊技状態フラグ、表示状態フラグ等が記憶されている。大当たり遊技状態フラグは、大当たり遊技中に「1」が記憶されて「ON」となり、大当たり遊技中でない場合には「0」が記憶されて「OFF」となる。特別図柄表示状態フラグは、表示部24の特別図柄が変動している場合に「1」、停止表示されている場合に「2」、変動中でも停止表示中でもない場合に「0」が記憶される。
図7に示すように、特別図柄処理が開始されると、特別図柄始動電動役物15に遊技球が入賞したか否かが判断される(S21)。特別図柄始動電動役物15に設けられた始動口スイッチ70が遊技球の入賞を検出すると、メイン処理のスイッチ読込処理(S11、図6参照)において、始動口スイッチ70に対応する入賞球フラグが「ON」とされる。このフラグが「ON」とされておらず、遊技球が入賞していなければ(S21:NO)、処理はそのままS31の判断へ移行する。特別図柄始動電動役物15に遊技球が入賞していれば(S21:YES)、特別図柄作動保留球数が「4」であるか否かが判断される(S22)。RAM52に記憶されている特別図柄作動保留球数が「4」であれば(S22:YES)、保留球は保留することができる上限に達しているため、処理はそのままS31の判断へ移行する。
特別図柄作動保留球数が「4」でない場合には(S22:NO)、RAM52に記憶されている特別図柄作動保留球数に「1」が加算されると共に、特別図柄作動保留球数をサブ制御基板58に通知するための保留球数通知コマンドがRAM52に記憶される(S23)。次いで、各種乱数が取得され、大当たり関係情報記憶エリア(図4参照)における空の記憶エリアのうち、番号が最も若い記憶エリアに記憶される(S24)。具体的には、大当たり乱数欄には大当たり判定カウンタの値が、特別図柄決定乱数欄には特別図柄決定カウンタの値が、変動パターン決定乱数欄には変動パターン決定カウンタの値が、それぞれ記憶される。
次いで、S24で新たに取得された乱数(保留乱数)についての情報を、実際に大当たり判定が行われるよりも前に先読みする処理が行われる(S25)。S25では、新たに取得された大当たり乱数によって行われる大当たり判定の結果についての情報、および、新たに取得された変動パターン決定乱数によって決定される変動パターンについての情報の少なくともいずれかが先読みされる。本実施形態では、大当たり判定の結果についての情報、および変動パターンについての情報が共に先読みされる。後述するサブ制御基板処理(図12から図14参照)では、保留表示領域84を拡大させる演出(以下、「保留表示領域拡大演出」という。)を実行するか否か、および、実行する保留表示領域拡大演出の内容が、先読みされた2つの情報に応じて決定される。しかし、S25では、例えば変動パターンについての情報のみを先読みしてもよい。この場合、サブ制御基板処理では、先読みされた変動パターンの情報のみに応じて、保留表示領域拡大演出の内容が決定される。また、CPU51は、上記2つの情報の少なくともいずれかに加え、2つの情報以外の他の情報(例えば、特別図柄に関する情報)を先読みしてもよい。次いで、先読みされた情報をサブ制御基板58に通知するための先読み結果通知コマンドが、RAM52に記憶される(S26)。処理はS31の判断へ移行する。
次いで、大当たり遊技状態であるか否かが判断される(S31)。大当たり遊技状態フラグが「ON」となっており、大当たり遊技状態中であると判断された場合には(S31:YES)、処理はそのままメイン処理へ戻る。大当たり遊技状態中でなければ(S31:NO)、特別図柄が変動中であるか否かが判断される(S32)。表示状態フラグが「1」でなく、特別図柄が変動中でなければ(S32:NO)、特別図柄が停止表示中であるか否かが判断される(S33)。表示状態フラグが「2」でなく、停止表示中でなければ(S33:NO)、処理はS35(図8参照)へ移行し、大当たり判定等の処理が行われる。
図8に示すように、大当たり判定が行われる前に、特別図柄作動保留球数が「1」以上であるか否かが判断される(S35)。RAM52に記憶されている特別図柄作動保留球数が「1」以上でなければ(S35:NO)、大当たり判定を行うべき遊技球は存在しないので、処理はそのままメイン処理へ戻る。「1」以上であれば(S35:YES)、RAM52に記憶されている特別図柄作動保留球数が「1」減算されると共に、特別図柄作動保留球数をサブ制御基板58に通知するための保留球数通知コマンドがRAM52に記憶される(S36)。大当たり関係情報記憶エリア(図4参照)の判定エリアが、次の番号の記憶エリアにシフトされる(S37)。
次いで、遊技状態に応じた大当たり判定が行われる(S38)。大当たり判定を行うための判定テーブルには、非確率変動状態中に用いられる低確率判定テーブルと、大当たりと判定される確率が非確率変動状態中よりも高くなる高確率判定テーブルとが設けられている。大当たり判定は、確率変動状態が生起されているか否かに応じて、いずれかの判定テーブルが参照されて行われる。
大当たり判定によって大当たりと判定された場合には(S39:YES)、大当たりであることを示す特別図柄が決定される(S40)。次いで、時短状態中であれば(S41:YES)、特別図柄変動パターン決定テーブル(図5参照)のうち、時短状態中且つ大当たりの場合のテーブルが参照され、変動パターン決定乱数欄の値によって変動パターンが決定される(S42)。時短状態中でなければ(S41:NO)、非時短状態(通常状態)且つ大当たりの場合のテーブルによって変動パターンが決定される(S43)。判定結果がはずれであれば(S39:NO)、はずれであることを示す特別図柄(本実施形態では「−−」)が決定される(S46)。時短状態中であれば(S47:YES)、時短状態中且つはずれのテーブルによって変動パターンが決定され(S48)、時短状態中でなければ(S47:NO)、通常状態且つはずれのテーブルによって変動パターンが決定される(S49)。
次いで、決定された変動パターンを指定すると共に、特別図柄およびデモ図柄の変動(報知演出の開始)を指示するための変動パターン指定コマンドが、RAM52に記憶される(S52)。記憶されたコマンドは、次に実行されるメイン処理のコマンド出力処理(S10、図6参照)において、サブ制御基板58等の他の基板に出力される。次いで、変動パターンに応じて決められている特別図柄の変動時間が、タイマカウンタである特別図柄変動時間カウンタにセットされる(S53)。特別図柄が変動中であることを示す「1」が表示状態フラグに記憶されて(S54)、処理はメイン処理へ戻る。
また、図7に示すS32の判断において、表示状態フラグに「1」が記憶されており、特別図柄が変動中であると判断された場合には(S32:YES)、変動時間が経過したか否かが判断される(S57)。S53(図8参照)でセットされた特別図柄変動時間カウンタの値が「0」となっており、変動時間が経過したと判断された場合には(S57:YES)、特別図柄の変動停止(報知演出の終了)を指示するための特別図柄停止コマンドがRAM52に記憶される(S58)。所定の停止表示時間が、タイマカウンタである特別図柄停止時間カウンタに記憶される(S59)。特別図柄が停止表示中であることを示す「2」が表示状態フラグに記憶されて(S60)、処理はメイン処理へ戻る。一方、S57の判断において、変動時間がまだ経過していないと判断された場合には(S57:NO)、処理はそのままメイン処理へ戻る。
また、S33の判断において、表示状態フラグに「2」が記憶されており、特別図柄が停止表示中であると判断された場合には(S33:YES)、S59でセットされたカウンタの値によって、停止表示時間が経過したか否かが判断される(S61)。特別図柄停止時間カウンタの値が「0」でなく、停止表示時間がまだ経過していない場合には(S61:NO)、処理はそのままメイン処理へ戻る。停止表示時間が経過した場合には(S61:YES)、特別図柄が変動中でも停止表示中でもないことを示す「0」が表示状態フラグに記憶される(S62)。次いで、遊技状態移行処理が行われて(S63)、処理はメイン処理へ戻る。遊技状態移行処理(S63)では、判定結果が大当たりである場合に大当たり遊技状態フラグが「ON」とされ、遊技状態が大当たり遊技状態へ移行される。この場合、大当たり遊技を開始することを示す大当たり遊技開始コマンドがRAM52に記憶される。また、時短状態および確率変動状態の終了条件が満たされていれば、これらの遊技状態が終了し、遊技状態は非時短状態および非確率変動状態へ移行する。
図9から図11を参照して、本実施形態において実行される保留表示領域拡大演出の演出内容について説明する。保留表示領域拡大演出とは、前述したように、表示画面28(図2参照)の表示領域80内に形成される保留表示領域84を拡大することで行われる演出であり、報知演出において実行される。パチンコ機1は、大当たり判定の結果がまだ報知されていない保留球に対する先読みの結果に応じて、複数の報知演出に亘って保留表示領域拡大演出を実行することができる。しかし、報知演出が1回実行される間でのみ保留表示領域拡大演出を行うことも可能である。本実施形態では、大当たり判定の結果がはずれの場合よりも大当たりの場合の方が、保留表示領域拡大演出が実行され易い。また、信頼度の高い変動パターンが指定された場合の方が、信頼度の低い変動パターンが指定された場合よりも、多くの報知演出に亘る保留表示領域拡大演出が実行され易く、且つ、保留表示領域拡大演出が実行される割合自体も高くなる。
まず、保留表示領域拡大演出の基本内容について説明する。図9に示すように、報知演出が実行される場合、表示領域80では、左・中・右のデモ図柄81の変動が開始される(図9上部参照)。次いで、左・右の順にデモ図柄81が停止する。リーチ演出が実行される場合、左・右に同一のデモ図柄81が停止されてリーチ状態となり、変動パターンに応じてリーチ演出がリーチ状態中に実行される。その後、大当たり判定の結果が大当たりであれば、中にも左・右と同一のデモ図柄81が停止される。大当たり判定の結果がはずれであれば、左・右とは異なるデモ図柄81が中に停止されて、はずれであることが報知される。また、リーチ演出が実行されない「非リーチ」の変動パターンが指定されていれば、左・右に異なるデモ図柄81が停止された後、中のデモ図柄81が停止されて、報知演出が終了する。
報知演出が実行されている間、表示領域80の下部には、デモ図柄81の前面に保留表示領域84が形成される。保留表示領域84には、その時点の保留球数と同数の保留シンボル85が表示される。遊技者は、保留シンボル85の数を確認することで、その時点の保留球数を容易に把握することができる。本実施形態の保留表示領域84は、左右方向を長手方向とする平面視矩形の領域であるが、保留表示領域84の態様を変更できることは言うまでもない。例えば、領域の枠を設けずに、デモ図柄81の前面に保留シンボル85を直接表示してもよい。この場合、各保留シンボル85が表示される領域(保留シンボル85と同じ形状の領域)が保留表示領域84となる。保留シンボル85を縦に並べて表示してもよい。また、本実施形態で用いられる保留シンボル85は、黒い星型のシンボルである。しかし、保留シンボル85の態様も適宜変更できる。
図9に示すように、保留表示領域拡大演出では、保留表示領域84の全体が拡大される。従って、従来の遊技機とは全く異なる斬新な印象を遊技者に与えることができる。さらに、拡大させた保留表示領域84では、拡大前には困難であった様々な演出を実行することが可能である。なお、本実施形態では、保留表示領域84が拡大されることに伴い、保留表示領域84内に表示されている保留シンボル85も拡大される。
保留表示領域84には常にキャラクタ82が表示されている。本実施形態では、カエルのキャラクタ82が、保留表示領域84の左上に表示されている。パチンコ機1は、保留表示領域拡大演出を行う場合、キャラクタ82を動かす演出を実行しつつ、保留表示領域84を拡大する。本実施形態では、カエルのキャラクタ82が表示領域80の左方へジャンプすることを契機として、保留表示領域84が拡大される。従って、遊技者は、キャラクタ82が動くことを期待し、キャラクタ82に注目して遊技を楽しむことができる。なお、キャラクタ82を表示させる位置は適宜変更でき、保留表示領域84の内部、または、保留表示領域84の近傍であればよい。キャラクタ82の態様、キャラクタ82の動作が変更できることは言うまでもない。
パチンコ機1は、保留表示領域84を複数の倍率で拡大することができる(以下、この演出を「段階拡大演出」という)。保留表示領域拡大演出において、パチンコ機1は、大当たりと判定されることが先読みされた保留球が存在する場合には、存在しない場合に比べて保留表示領域84の拡大倍率の平均値が高くなるように、保留表示領域84の拡大倍率を決定する。従って、遊技者は、保留表示領域84がより大きく拡大されることを期待して遊技を楽しむことができる。
パチンコ機1は、複数の報知演出に亘って保留表示領域拡大演出を実行する場合、報知演出を1回実行する毎に、保留表示領域84を段階的に順次拡大することができる。この場合、遊技者は、複数回の報知演出において保留表示領域84が徐々に拡大される毎に、大当たりに対する期待感を高めることができる。つまり、複数回の報知演出に亘る連続演出を、保留表示領域84の大きさの変化を用いて実行することができる。よって、遊技機は、先読み情報に応じて保留表示領域84を変化させる演出を、より十分に活用することができる。
また、パチンコ機1は、報知演出を1回実行する間に、1または複数の段階で保留表示領域84を拡大することもできる。1回の報知演出中に段階的に保留表示領域84が拡大する場合があるため、遊技者は、最初の拡大の倍率が小さい場合でも、期待感を損なうことなく保留表示領域拡大演出を楽しむことができる。以上のように、段階拡大演出には、1回の報知演出で保留表示領域84を段階的に拡大する場合と、複数回の報知演出で段階的に拡大する場合と、両者を行う場合とがある。
次に、保留表示領域拡大演出において実行される表示変化演出について説明する。図10に示すように、表示変化演出とは、拡大された保留表示領域84において表示されている保留シンボル85の表示態様を変化させる演出である。パチンコ機1は、期待度が高い変動パターンを実行する保留球の保留シンボル85である程、表示態様が変化する割合が高くなるように、表示態様を変化させるか否かを決定する。また、大当たりとなる保留球の保留シンボル85の方が、はずれとなる保留球の保留シンボル85よりも表示態様が変化する割合が高くなるように、表示態様を変化させるか否かを決定する。従って、パチンコ機1は、保留シンボル85を変化させることで、遊技者の期待感をさらに高めることができる。また、本実施形態では、保留表示領域拡大演出を実行し、拡大された保留表示領域84において保留シンボル85を変化させる。よって、図10に示すように、保留シンボル85自体が拡大するように表示態様を変化させることができる。つまり、パチンコ機1は、保留表示領域拡大演出を実行することで、保留シンボル85の表示態様を変化させる演出を従来よりも多様化することができる。なお、パチンコ機1は、複数の保留シンボル85の態様を変化させることも可能である。また、図10に示す例では、黒い星型の保留シンボル85を、白い星型の保留シンボル85Cに変化させ、且つ大きさを拡大している。しかし、保留シンボル85を変化させる態様は適宜変更できる。パチンコ機1は、複数の態様に保留シンボル85を変化させてもよい。
次に、保留表示領域拡大演出において実行される期待度表示演出について説明する。図11に示すように、期待度表示演出とは、拡大された保留表示領域84において表示されている保留シンボル85の少なくとも1つに、判定結果が大当たりとなることの期待度を付す演出である。パチンコ機1は、保留表示領域84を拡大して期待度を付すため、従来に比べて容易に期待度を遊技者に認識させることができる。図11に示す例では、3つの保留シンボル85の全てに期待度が表示されている。しかし、パチンコ機1は、複数表示されている保留シンボル85の一部にのみ期待度を付す場合もある。
本実施形態では、各々の保留シンボル85に付される期待度が100%に近い程、その保留球に対する大当たり判定の結果が大当たりとなる期待度が高くなる。さらに、パチンコ機1は、その時点で記憶されている保留球に、大当たりとなる保留球が含まれている場合には、大当たりとなる保留球が含まれていない場合に比べて、各保留シンボル85に付される期待度の合計値が高くなるように、表示する期待度を決定する。従って、遊技者は、それぞれの保留シンボル85に付される期待度だけでなく、表示された複数の期待度の合計値にも注目して演出を楽しむことができる。なお、表示させる期待度の態様がパーセント表示に限られないことは言うまでもない。
図12から図14を参照して、サブ制御基板58が実行するサブ制御基板処理について説明する。サブ制御基板処理では、主基板41から送信されるコマンドに従って、表示画面28、スピーカ48等による演出を制御する処理が行われる。特に、サブ制御基板処理では、大当たり判定の結果を報知するための報知演出が制御される。サブ制御基板処理は、ROM583に記憶されているプログラムに従って、CPU581によって実行される。
サブ制御基板処理が開始されると、主基板41から保留球数通知コマンドを受信したか否かが判断される(S80)。受信すると(S80:YES)、コマンドによって通知された特別図柄作動保留球数と同数の保留シンボル85が、保留表示領域84に表示される(S81)。つまり、CPU581は、保留球が増加した場合には保留シンボル85を増加させ、保留球が減少した場合には保留シンボル85を減少させる。なお、CPU581は、保留シンボル85を増加させる場合には、その時点で表示されている保留シンボル85の右側に追加する。保留シンボル85を減少させる場合には、報知演出の開始と同時に左端の保留シンボル85を消去し、他の保留シンボル85を1つ分左にずらす。処理はS82の判断へ移行する。また、保留球数通知コマンドを受信していない場合には(S80:NO)、処理はそのままS82の判断へ移行する。
次いで、主基板41から先読み結果通知コマンドを受信したか否かが判断される(S82)。前述したように、主基板41のCPU51は、特別図柄始動電動役物15への遊技球の入賞を契機として乱数を新たに取得すると、取得した乱数に基づいて、大当たり判定の結果についての情報、および変動パターンについての情報を先読みする。先読みした情報を、先読み結果通知コマンドによってサブ制御基板58に通知する。サブ制御基板処理では、先読み結果通知コマンドを受信すると(S82:YES)、コマンドによって通知された先読み情報がRAM582に記憶されて(S83)、保留演出決定処理が行われる(S84)。その後、処理はS85の判断へ移行する。保留演出決定処理では、保留表示領域拡大演出を実行するか否か、および実行する演出の内容が、通知された先読み情報に応じて決定される。保留演出決定処理の詳細については、図13を参照して後述する。先読み結果通知コマンドを受信していない場合には(S82:NO)、処理はそのままS85の判断へ移行する。
次いで、主基板41から変動パターン指定コマンドを受信したか否かが判断される(S85)。受信していない場合(S85:NO)、処理はそのままS87の判断へ移行する。変動パターン指定コマンドを受信すると(S85:YES)、報知演出制御処理が実行されて(S86)、処理はS87の判断へ移行する。報知演出制御処理では、指定された変動パターンに応じて報知演出が制御される。また、保留表示領域拡大演出を制御する処理も実行される。報知演出制御処理の詳細については、図14を参照して後述する。
次いで、主基板41から特別図柄停止コマンドを受信したか否かが判断される(S87)。受信していなければ(S87:NO)、処理はそのままS92の判断へ移行する。特別図柄停止コマンドを受信すると(S87:YES)、大当たり判定の結果を示すデモ図柄81の組み合わせが確定表示される(S88)。保留表示領域拡大演出を終了させるタイミングであるか否かが判断される(S89)。保留表示領域拡大演出を実行する報知演出の回数Nは、後述する保留演出決定処理(図13参照)において決定される。決定されたN回の報知演出における保留表示領域拡大演出が完了し、演出を終了させるタイミングであれば(S89:YES)、保留表示領域84の大きさが元の大きさに戻されて、且つ、保留シンボル85の表示態様の変化等も元に戻される(S90)。処理はS92の判断へ移行する。保留表示領域拡大演出を終了させるタイミングでなければ(S89:NO)、処理はそのままS92の判断へ移行する。
次いで、主基板41から大当たり遊技開始コマンドを受信したか否かが判断される(S92)。受信していなければ(S92:NO)、処理はそのままS80の判断へ戻る。大当たり遊技開始コマンドを受信すると(S92:YES)、大当たり遊技演出処理が実行されて(S93)、処理はS80の判断へ戻る。
図13を参照して、保留演出決定処理について説明する。前述したように、保留演出決定処理は、先読み結果通知コマンドを受信した場合に実行される処理である。保留演出決定処理では、保留表示領域拡大演出を実行するか否か、および実行する演出の内容が、通知された先読み情報に応じて決定される。まず、保留演出領域拡大演出を実行することが既に決定されているか否かが判断される(S100)。既に決定されていれば(S100:YES)、処理はそのままサブ制御基板処理(図12参照)へ戻る。
保留演出領域拡大演出を実行することが未だ決定されていなければ(S100:NO)、保留表示領域拡大演出を実行するか否かが、その時点で記憶されている保留球に対する先読み情報に応じて決定される(S101)。詳細には、大当たりと判定されることが先読みされた保留球が存在する場合には、存在しない場合に比べて、保留表示領域拡大演出を実行する割合を高くする。また、期待度の高い変動パターンが決定されることが先読みされている場合には、期待度の低い変動パターンのみが決定されることが先読みされている場合に比べて、保留表示領域拡大演出を実行する割合を高くする。
保留表示領域拡大演出を実行しないことが決定された場合(S102:NO)、処理はそのままサブ制御基板処理へ戻る。実行することが決定された場合(S102:YES)、保留表示領域拡大演出の内容が、先読み情報に応じて抽選される(S103)。詳細には、段階拡大演出、表示変化演出、および期待度表示演出を実行するか否かが抽選される。さらに、保留表示領域拡大演出を実行する報知演出の回数Nが決定される。なお、大当たりと判定されることが先読みされた保留球が存在する場合には、存在しない場合に比べて大きい回数Nを決定しやすい。また、回数Nを「1」とし、1回の報知演出で保留表示領域拡大演出を終了させる場合もある。この場合には、先読み情報の代わりに、実際に実行された大当たり判定の結果、および、実際に決定された変動パターンの少なくともいずれかに応じて演出内容を決定してもよい。
段階拡大演出を実行することに当選しなければ(S105:NO)、保留表示領域84の拡大倍率が先読み情報に応じて決定されて(S106)処理はS110の判断へ移行する。詳細には、CPU581は、大当たりと判定されることが先読みされた保留球が存在する場合には、存在しない場合に比べて保留表示領域84の拡大倍率の平均値が高くなるように、保留表示領域84の拡大倍率を決定する。また、期待度が高い変動パターンが決定されることが先読みされている場合の方が、期待度の低い変動パターンのみが決定されることが先読みされている場合に比べて拡大倍率の平均値が高くなるように、拡大倍率を決定する。
段階拡大演出を実行することに当選すれば(S105:YES)、最終的に実行される拡大処理の段階である最終拡大段階P(つまり、拡大倍率)が、先読み情報に応じて決定される(S107)。Pは2以上の整数である。S107の処理でも、S106の処理と同様に、CPU581は、大当たりと判定されることが先読みされた保留球が存在する場合には、存在しない場合に比べて最終拡大段階Pの平均値が高くなるように、最終拡大段階Pを決定する。また、期待度が高い変動パターンが決定されることが先読みされている場合の方が、期待度の低い変動パターンのみが決定されることが先読みされている場合に比べて最終拡大段階Pの平均値が高くなるように、最終拡大段階Pを決定する。次いで、決定されたP回の最終拡大段階が、保留表示領域拡大演出が実行されるN回の変動(報知演出)に振り分けられることで、各報知演出において実行される拡大処理の段階が設定される(S108)。処理はS110の判断へ移行する。
次いで、表示変化演出を実行することに当選したか否かが判断される(S110)。当選していなければ(S110:NO)、処理はS113の判断へ移行する。当選していれば(S110:YES)、表示されている1または複数の保留シンボル85の各々の表示態様を変化させるか否かが、各保留シンボル85に対応する先読み情報に応じて決定されて(S111)、処理はS113の判断へ移行する。前述したように、CPU581は、期待度が高い変動パターンを実行する保留球の保留シンボル85である程、表示態様が変化する割合が平均して高くなるように、表示態様を変化させるか否かを決定する。また、大当たりとなる保留球の保留シンボル85の方が、はずれとなる保留球の保留シンボル85よりも表示態様が変化する割合が平均して高くなるように、表示態様を変化させるか否かを決定する。
次いで、期待度表示演出を実行することに当選したか否かが判断される(S113)。当選していなければ(S113:NO)、処理はそのままサブ制御基板処理へ戻る。当選していれば(S113:YES)、各保留シンボル85に付す期待度の合計値が先読み情報に応じて決定される(S114)。CPU581は、その時点で記憶されている保留球に、大当たりとなる保留球が含まれている場合には、大当たりとなる保留球が含まれていない場合に比べて、各保留シンボル85に付される期待度の合計値が平均して高くなるように、表示する期待度を決定する。また、CPU581は、期待度の高い変動パターンを実行する保留球が含まれている場合には、期待度が低い変動パターンを実行する保留球のみが記憶されている場合に比べて期待度の合計値が平均して高くなるように、各期待度を決定する。次いで、各保留シンボル85に割り振る期待度が、先読み情報に応じて決定されて(S115)、処理はサブ制御基板処理へ戻る。S115の処理では、期待度が高い変動パターンが実行される保留球の保留シンボル85の方が、他の保留シンボル85よりも高い期待度が付されやすい。
図14を参照して、報知演出制御処理について説明する。前述したように、報知演出制御処理は、変動パターン指定コマンドを受信した場合に実行される。報知演出制御処理では、コマンドによって指定された変動パターンに応じて報知演出が制御されると共に、報知演出の中で実行される保留表示領域拡大演出が制御される。まず、保留表示領域拡大演出を実行する報知演出であるか否かが判断される(S120)。保留表示領域拡大演出を実行する報知演出でなければ(S120:NO)、保留表示領域拡大演出は実行されることはなく、指定された変動パターンに応じて報知演出が制御されて(S133)、処理はサブ制御基板処理へ戻る。
保留表示領域拡大演出を実行する報知演出であれば(S120:YES)、保留表示領域拡大演出を実行する1回の報知演出または複数回連続する報知演出のうち、初回の報知演出(特別図柄の変動)であるか否かが判断される(S121)。初回の変動であれば、保留表示領域84を拡大する処理が必ず実行される(S123〜S125)。詳細には、段階拡大演出を実行することが決定されているか否かが判断される(S123)。実行しないことが決定されていれば(S123:NO)、S106(図13参照)で決定された倍率の大きさに1段階で保留表示領域84が拡大されて(S124)、処理はS127の判断へ移行する。段階拡大演出を実行することが決定されていれば(S123:YES)、S108(図13参照)で決定された初回の変動の拡大段階で保留表示領域84が順次拡大されて(S125)、処理はS127の判断へ移行する。なお、S124、S125、および後述するS134の処理では、保留表示領域84が1段階拡大される毎に、保留表示領域84に付されたキャラクタ82(図9から図11参照)を動作させる処理が行われる。
次いで、表示変化演出を実行することが決定されているか否かが判断される(S127)。実行しないことが決定されていれば(S127:NO)、処理はそのままS130の判断へ移行する。表示変化演出を実行することが決定されていれば(S127:YES)、S111(図13参照)で表示態様を変化させることが決定されている保留シンボル85が、決定されている態様に変化されて(S128)、処理はS130の判断へ移行する。
次いで、期待度表示演出を実行することが決定されているか否かが判断される(S130)。実行しないことが決定されていれば(S130:NO)、処理はそのままS136へ移行する。期待度表示演出を実行することが決定されていれば(S130:YES)、S115(図13参照)で決定された態様で保留シンボル85に期待度が付されて(S131)、処理はS136へ移行する。保留表示領域拡大演出の制御(S123〜S131)が終了すると、指定された変動パターンに応じてその後の報知演出が制御されて(S136)、処理はサブ制御基板処理へ戻る。
また、保留表示領域拡大演出を実行する1回の報知演出または複数回連続する報知演出のうち、2回目以降の報知演出であれば(S121:NO)、段階拡大演出を実行することが決定されているか否かが判断される(S133)。実行しないことが決定されていれば(S133:NO)、処理はそのままS136へ移行し、以後の報知演出が制御される。実行することが決定されていれば(S133:YES)、今回の報知演出に割り振られた拡大段階で保留表示領域84が順次拡大されて(S134)、以後の報知演出が制御され(S136)、処理はサブ制御基板処理へ戻る。
以上説明したように、本実施形態に係るパチンコ機1は、保留乱数から取得した先読み情報に応じて、保留表示領域84の全体を拡大することができる。従って、従来の遊技機とは全く異なる斬新な印象を遊技者に与えることができる。さらに、拡大させた保留表示領域84内では、拡大前には困難であった様々な演出を実行することも可能である。よって、パチンコ機1は、先読み情報に応じて保留表示を変化させる演出を十分に活用し、遊技者の興趣を強く惹き付けることができる。
本実施形態に係るパチンコ機1は、複数の倍率で保留表示領域84の全体を拡大することができる。パチンコ機1は、その後に実行される大当たり判定によって大当たりとなることが先読みされた情報が先読み情報に含まれている場合の拡大倍率の平均値を、大当たりとなることが先読みされた情報が含まれていない場合の拡大倍率の平均値よりも高くする。従って、遊技者は、高い倍率で保留表示領域84が拡大される程、大当たりに対する強い期待を抱くことができる。よって、保留表示領域84を用いた演出に対する遊技者の興趣をより強く惹き付けることができる。
本実施形態に係るパチンコ機1は、報知演出が1回実行される毎に、保留表示領域84を段階的に拡大することもできる。つまり、複数回の報知演出に亘る連続演出を、保留表示領域84の大きさの変化を用いて実行することができる。よって、パチンコ機1は、先読み情報に応じて保留表示領域84を変化させる演出を、より十分に活用することができる。
本実施形態に係るパチンコ機1は、報知演出が1回実行される間に、1または複数の段階で保留表示領域84を拡大することができる。遊技者は、保留表示領域84が1回の報知演出中に段階的に拡大される場合があるので、最初の拡大の倍率が小さい場合でも、期待感を損なうことなく演出を楽しむことができる。
本実施形態に係るパチンコ機1は、先読み情報に基づいて決定した大当たりの期待度を、拡大した保留表示領域84に付すことができる。よって、遊技者は、拡大された保留表示領域84に付された期待度を見ることで、保留球に対する大当たりの期待度を容易に認識することができる。
本実施形態において、始動口スイッチ70が特別図柄始動電動役物15に入賞したことを検出可能な領域が本発明の「始動領域」に相当する。図7のS24で乱数を取得する主基板41のCPU51が、本発明の「乱数取得手段」として機能する。RAM52の大当たり関係情報記憶エリア(図4参照)が、本発明の「乱数記憶手段」に相当する。図8のS38で大当たり判定を行うCPU51が、本発明の「当たり判定手段」として機能する。表示画面28が「表示手段」に相当する。図14に示す報知演出制御処理を実行するCPU581が、本発明の「演出制御手段」として機能する。図12のS81で保留シンボル85を保留表示領域84に表示させるCPU581が、本発明の「保留表示制御手段」として機能する。図7のS25で乱数先読み処理を行うCPU581が、本発明の「情報取得手段」として機能する。
本発明は、以上詳述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能であることは勿論である。まず、上記実施形態のパチンコ機1は、複数回の報知演出に亘って保留表示領域拡大演出を行うだけでなく、1回の報知演出において保留表示領域拡大演出を行う場合もある。これにより、演出の内容を多様化させている。しかし、保留表示領域拡大演出は、先読み情報を必ず用いて行う演出であってもよい。
上記実施形態では、1つの表示画面28の表示領域80において、保留表示領域84と、デモ図柄81等の他の画像を表示させる領域とが共に設けられる。しかし、デモ図柄81等の画像を表示させる表示画面28とは別に、保留表示領域84を表示させる表示装置を用いてもよい。この場合、パチンコ機1は、通常は保留球数を主に表示する表示装置を利用して保留表示領域拡大演出を行うことで、演出内容をさらに多様化させることができる。
上記実施形態のパチンコ機1は、保留表示領域84を複数の倍率で拡大させることで、演出の内容をさらに多様化させている。しかし、保留表示領域84を1つの倍率で拡大させることも可能である。また、上記実施形態のパチンコ機1は、報知演出が1回実行される毎に段階的に保留表示領域84を拡大させることも、1回の報知演出において段階的に保留表示領域84を拡大させることも可能であるが、いずれか一方のみを実行することも可能である。
上記実施形態のパチンコ機1では、保留シンボル85の表示態様を変更するタイミングは、報知演出が開始されたタイミングである。しかし、保留シンボル85の表示態様を変更するタイミングは適宜変更できる。例えば、特別図柄始動電動役物15に遊技球が入賞して保留シンボル85が追加表示される時点で、通常とは異なる表示態様で保留シンボル85を追加表示させてもよい。リーチ演出の途中等、報知演出が開始された以後に表示態様を変更してもよい。また、保留表示領域84を拡大させるタイミングも同様に変更できる。例えば、保留シンボル85が追加表示されるタイミングで保留表示領域84を拡大してもよい。また、上記実施形態のパチンコ機1は、複数の保留シンボル85の各々に期待度を付す場合、保留表示領域84が拡大されるタイミングで全ての期待度を表示する。しかし、期待度を付すタイミングも適宜変更できる。例えば、報知演出が1回実行される毎に、各保留シンボル85に1つずつ期待度を付してもよい。