以下、本発明に係る遊技機の一実施形態について、図面を参照して説明する。まず、図1および図2を参照して、本実施形態に係るパチンコ機1の機械的構成について説明する。
図1に示すように、パチンコ機1の上半分の部分には遊技盤2が設けられている。遊技盤2は略正方形であり(図2参照)、透明なガラス板を保持した前面枠13によって前面を保護されている。遊技盤2の下部には上皿5が設けられている。上皿5は、発射機に遊技球を供給し、且つ賞品球を受ける。上皿5の上面には操作ボタン9が設けられている。上皿5の直下には、賞品球を受ける下皿6が設けられている。下皿6の右横には、遊技球の発射を調整する発射ハンドル7が設けられている。前面枠13の上部の左右の角には、スピーカ48がそれぞれ設けられている。
図2に示すように、遊技盤2の前面には、ガイドレール3で囲まれた略円形の遊技領域4が形成されている。遊技領域4の略中央には、各種演出を実行する演出装置8が設けられている。演出装置8の左方には普通図柄始動ゲート12が設けられている。演出装置8の下方には特別図柄始動電動役物15が配設されており、その下方には大入賞口16が設けられている。特別図柄始動電動役物15は開閉部材を備え、開閉部材が開放されると遊技球の入賞が容易になる。大入賞口16も開閉部材を備え、開閉部材が開放された場合にのみ、遊技球は大入賞口16に入賞できる。
演出装置8について説明する。図2に示すように、演出装置8は、LCDからなる表示画面28を中央に備える。表示画面28には様々な映像が表示されるが、特に大当たり判定の結果を遊技者に報知するために、横並びに3つのデモ図柄表示部が設けられている。パチンコ機1は、3つのデモ図柄表示部に表示されるデモ図柄を変動させた後に、大当たり判定の結果を示すデモ図柄の組み合わせを確定表示させる演出(以下、「報知演出」という。)を行うことで、大当たり判定の結果を遊技者に報知する。
表示画面28の右方には可動役物30が設けられている。可動役物30は、可動部を可動させることで各種演出を行う。可動役物30の下方には、大当たり判定の結果および保留球数を表示する表示部24が設けられている。表示部24は、特別図柄表示部、普通図柄表示部、特別図柄記憶数表示LED、および普通図柄記憶数表示LEDを備える。特別図柄表示部は、2つの7セグメントLEDからなり、大当たり判定の結果を示す特別図柄を表示する。普通図柄表示部は、LEDの点灯および消灯によって普通当たり判定の結果を表示する。特別図柄記憶数表示LEDは、大当たり判定の結果がまだ表示されていない遊技球の個数(所謂「特別図柄作動保留球数」)を表示する。普通図柄記憶数表示LEDは、普通当たり判定の結果がまだ表示されていない遊技球の個数(所謂「普通図柄作動保留球数」)を表示する。
図3を参照して、パチンコ機1の電気的構成について説明する。パチンコ機1の制御部40は、主基板41、サブ制御基板58、ランプドライバ基板46、演出制御基板43、払出制御基板45、および中継基板47を主に備える。
主基板41は、パチンコ機1の主制御を司る。主基板41の主基板CPUユニット50には、各種の演算処理を行うCPU51と、データを一時的に記憶するRAM52と、制御プログラム等を記憶したROM53とが設けられている。主基板CPUユニット50には、割込信号発生回路57が接続されている。主基板41は、割込信号発生回路57から割込信号が入力される毎にプログラムを実行する。主基板41は、I/Oインタフェイス54を介してサブ制御基板58、払出制御基板45、中継基板47、出力ポート55、および始動口スイッチ70に接続されている。出力ポート55は、図示外の遊技場管理用コンピュータにパチンコ機1の情報を出力する。始動口スイッチ70は、特別図柄始動電動役物15に入賞した遊技球を検出する。
サブ制御基板58は、CPU581、RAM582、およびROM583を備え、ランプドライバ基板46、演出制御基板43、スピーカ48、および操作ボタン9に接続している。サブ制御基板58は、主基板41から送信されるコマンドに従って、演出等の総合的な制御を行う。ランプドライバ基板46は可動役物30等を制御する。演出制御基板43は、CPU43a等を備え、サブ制御基板58から受信するコマンドに従って表示画面28の表示を制御する。払出制御基板45は、CPU45a等を備える。払出制御基板45は、主基板41から送信されるコマンドに応じて賞品球払出装置49の動作を制御し、所定数の遊技球を払い出させる。
中継基板47には、普通図柄作動スイッチ71、大入賞口開閉ソレノイド72、電動役物開閉ソレノイド73、大入賞口スイッチ75、および表示部24が接続されている。普通図柄作動スイッチ71は、普通図柄始動ゲート12を通過した遊技球を検出する。大入賞口開閉ソレノイド72は、大当たり遊技中に大入賞口16の開閉部材を開閉する。電動役物開閉ソレノイド73は、普通当たり遊技中に特別図柄始動電動役物15の開閉部材を開閉する。大入賞口スイッチ75は、大入賞口16に入賞した遊技球を検出する。
電源基板42は、主基板41および遊技球発射装置37に接続されており、各基板および遊技球発射装置37に直流の安定化した電力を供給する。遊技球発射装置37は、一定間隔(本実施形態では0.6秒)毎に1個ずつ遊技球を遊技領域4へ発射する。
図4を参照して、RAM52の大当たり関係情報記憶エリアについて説明する。大当たり関係情報記憶エリアは、後述するメイン処理の特別図柄処理(図7および図8参照)において使用され、特別図柄始動電動役物15への遊技球の入賞時に取得される乱数を記憶する。大当たり関係情報記憶エリアには複数の記憶エリアが設けられている。特別図柄始動電動役物15に遊技球が入賞した際に、特別図柄作動保留球数が4未満(0〜3)であれば、番号の若い記憶エリアから順に乱数が記憶される。CPU51は、処理が未だ行われていない記憶エリアの乱数のうち、最も番号の若い記憶エリアを判定エリアとし、判定エリアに記憶されている乱数について大当たり判定等の各種処理を行う。判定エリアに記憶されている乱数に関する処理(具体的には、判定結果を報知する報知演出、および、判定結果が大当たりの場合に実行される大当たり遊技)が終了すると、次に番号が若い記憶エリアが判定エリアとされて、大当たり判定等の処理が繰り返される。なお、処理が終了した記憶エリアの乱数は、適宜消去してもよい。
各記憶エリアには、大当たり判定カウンタの値が記憶される大当たり乱数欄、特別図柄決定カウンタの値が記憶される特別図柄決定乱数欄、および、変動パターン決定カウンタの値が記憶される変動パターン決定乱数欄が設けられている。特別図柄始動電動役物15に遊技球が入賞すると、その時点で計数されているそれぞれの乱数取得カウンタの値が各欄に記憶される。大当たり乱数は、大当たり判定のために用いられる。特別図柄決定乱数は特別図柄を決定するために用いられる。変動パターン決定乱数は、大当たり判定の結果を報知する報知演出の演出パターン(デモ図柄の変動パターン)を決定するために用いられる。なお、RAM52には、普通図柄始動ゲート12への遊技球の入賞時に取得される乱数を記憶するための普通当たり関係情報記憶エリアが設けられている。普通当たり関係情報記憶エリアも、大当たり関係情報記憶エリアと同様に構成されている。
図5を参照して、ROM53に記憶されている特別図柄変動パターン決定テーブルについて説明する。変動パターンとは、大当たり判定による判定結果を遊技者に報知する際に用いられるデモ図柄の変動のパターン(演出パターン)である。この変動パターンによって、表示部24に表示される特別図柄の変動時間(デモ図柄の変動時間に等しい)と、特別図柄の変動に同期して表示画面28、可動役物30、スピーカ48等によって実行される報知演出のパターンとが決定される。サブ制御基板58は、主基板41で決定された変動パターンに基づいて報知演出を制御する。
特別図柄変動パターン決定テーブルには、大当たり判定時の遊技状態(非時短状態中または時短状態中)、および大当たり判定の結果(大当たりまたははずれ)に応じて複数のテーブルが設けられている。それぞれのテーブルには複数種類の変動パターンが割り当てられており、各変動パターンと変動パターン決定乱数の値(0〜511)とが対応付けられている。大当たり判定が行われると、その時点の遊技状態と判定結果とに応じたテーブルが参照され、大当たり乱数と共に取得されている変動パターン決定乱数の値によって変動パターンが決定される。主基板41は、決定した変動パターンを指定するコマンドをサブ制御基板58へ送信する。サブ制御基板58は、指定された変動パターンに応じて報知演出を制御する。
本実施形態では、変動パターンの一部に、単位変動を複数回実行する変動パターンが設けられている。単位変動とは、左右の2つのデモ図柄を加速させてから減速させるまでの一連の変動演出である。パチンコ機1は、単位変動を繰り返す場合、減速または停止させた左右のデモ図柄を再加速させる。リーチ演出を実行する場合、パチンコ機1は、1回または複数回の単位変動を実行した後に、左右に同一のデモ図柄を停止させて中のデモ図柄を変動させた状態で、変動パターンに応じたリーチ演出を実行する。
判定結果が大当たりの場合の変動パターンは、単位変動の回数が多い程、選択される割合が高くなるように設定されている。一方で、判定結果がはずれである場合の変動パターンは、単位変動の回数が多い程、選択される割合が低くなるように設定されている。従って、1回の報知演出中に実行された単位変動の回数が多い程、大当たりに対する期待度が高まることになる。詳細は後述するが、パチンコ機1は、単位変動を繰り返す毎に、遊技者に報知する大当たりの期待度を上昇させる。よって、遊技者は、単位変動がより多く繰り返されることを期待して遊技を楽しむことができる。さらに、パチンコ機1は、1回の報知演出中に1回または複数回実行される単位変動のうちの最初の単位変動において、遊技者に最初に報知する期待度を抽選する抽選演出を実行することができる。パチンコ機1は、判定結果が大当たりの場合には、はずれの場合に比べて、高い期待度をより高い割合で抽選演出において表示する。よって、遊技者は、実行される単位変動の回数が少ない場合でも、大当たりに対する強い期待を持てる場合がある。
図6から図8を参照して、パチンコ機1の主基板41による処理について説明する。パチンコ機1の主制御は、ROM53に記憶されている制御プログラムによって行われる。制御プログラムのメイン処理(図6参照)は、割込信号発生回路57(図3参照)が4ms毎に発生する割込信号をCPU51が感知した際に、CPU51において実行される。
まず、コマンド出力処理が行われる(S10)。コマンド出力処理では、制御コマンドが、サブ制御基板58、払出制御基板45、中継基板47等に出力される。ここで出力される制御コマンドは、前回実施されたメイン処理においてRAM52に記憶された制御コマンドである。
次いで、スイッチ読込処理が行われる(S11)。スイッチ読込処理では、普通図柄始動ゲート12および各入賞口に設けられた各スイッチ(図3参照)の検出結果から、遊技球を検知するための処理が行われる。
次いで、カウンタ更新処理が行われる(S12)。カウンタ更新処理では、RAM52に記憶されている乱数取得カウンタの値が加算され、且つ、タイマカウンタの値が減算される。
次いで、特別電動役物処理が行われる(S13)。特別電動役物処理では、大当たり遊技の動作(主に大入賞口16の開閉部材の開閉動作)を制御するための処理と、大当たり遊技終了後に生起される遊技状態に関する処理とが行われる。
次いで、特別図柄処理が行われる(S14)。詳細は後述するが、特別図柄処理では、大当たり判定、特別図柄の決定、および変動パターンの決定等の処理が行われる(図7および図8参照)。
次いで、普通電動役物処理が行われる(S15)。普通電動役物処理では、普通当たりとなった場合に普通当たり遊技の動作を制御するための処理が行われる。CPU51は、時短状態が生起されていれば、非時短状態中よりも長く特別図柄始動電動役物15を開放させる。
次いで、普通図柄処理が行われる(S16)。普通図柄処理では、普通図柄作動スイッチ71が遊技球を検出することを契機として、普通当たり乱数が取得される。取得された乱数に基づいて、普通当たり判定、普通図柄の変動を制御するためのコマンドの記憶等の処理が行われる。時短状態中に普通当たりと判定される確率は、非時短状態中に普通当たりと判定される確率よりも高い。普通図柄の変動時間は、非時短状態中よりも時短状態中の方が短い。
次いで、払出処理(S17)、エラーチェック(S18)、および情報出力処理(S19)が行われる。払出処理では、賞品球の払い出しが制御される。エラーチェックでは、エラーが発生している場合に、表示画面28およびスピーカ48等を用いてエラーが報知される。情報出力処理では、図示外の遊技場管理用コンピュータに各種の情報が出力される。
図7および図8を参照して、特別図柄処理(S14)の詳細について説明する。まず、特別図柄処理で使用されるフラグについて説明する。RAM52には、大当たり遊技状態フラグ、表示状態フラグ等が記憶されている。大当たり遊技状態フラグは、大当たり遊技中に「1」が記憶されて「ON」となり、大当たり遊技中でない場合には「0」が記憶されて「OFF」となる。特別図柄表示状態フラグは、表示部24の特別図柄が変動している場合に「1」、停止表示されている場合に「2」、変動中でも停止表示中でもない場合に「0」が記憶される。
図7に示すように、特別図柄処理が開始されると、特別図柄始動電動役物15に遊技球が入賞したか否かが判断される(S21)。特別図柄始動電動役物15に設けられた始動口スイッチ70が遊技球の入賞を検出すると、メイン処理のスイッチ読込処理(S11、図6参照)において、始動口スイッチ70に対応する入賞球フラグが「ON」とされる。このフラグが「ON」とされておらず、遊技球が入賞していなければ(S21:NO)、処理はそのままS31の判断へ移行する。特別図柄始動電動役物15に遊技球が入賞していれば(S21:YES)、特別図柄作動保留球数が「4」であるか否かが判断される(S22)。RAM52に記憶されている特別図柄作動保留球数が「4」であれば(S22:YES)、保留球は保留することができる上限に達しているため、処理はそのままS31の判断へ移行する。
特別図柄作動保留球数が「4」でない場合には(S22:NO)、RAM52に記憶されている特別図柄作動保留球数に「1」が加算される(S23)。次いで、各種乱数が取得され、大当たり関係情報記憶エリア(図4参照)における空の記憶エリアのうち、番号が最も若い記憶エリアに記憶される(S24)。具体的には、大当たり乱数欄には大当たり判定カウンタの値が、特別図柄決定乱数欄には特別図柄決定カウンタの値が、変動パターン決定乱数欄には変動パターン決定カウンタの値が、それぞれ記憶される。
次いで、大当たり遊技状態であるか否かが判断される(S31)。大当たり遊技状態フラグが「ON」となっており、大当たり遊技状態中であると判断された場合には(S31:YES)、処理はそのままメイン処理へ戻る。大当たり遊技状態中でなければ(S31:NO)、特別図柄が変動中であるか否かが判断される(S32)。表示状態フラグが「1」でなく、特別図柄が変動中でなければ(S32:NO)、特別図柄が停止表示中であるか否かが判断される(S33)。表示状態フラグが「2」でなく、停止表示中でなければ(S33:NO)、処理はS35(図8参照)へ移行し、大当たり判定等の処理が行われる。
図8に示すように、大当たり判定が行われる前に、特別図柄作動保留球数が「1」以上であるか否かが判断される(S35)。RAM52に記憶されている特別図柄作動保留球数が「1」以上でなければ(S35:NO)、大当たり判定を行うべき遊技球は存在しないので、処理はそのままメイン処理へ戻る。「1」以上であれば(S35:YES)、RAM52に記憶されている特別図柄作動保留球数が「1」減算される(S36)。大当たり関係情報記憶エリア(図4参照)の判定エリアが、次の番号の記憶エリアにシフトされる(S37)。
次いで、遊技状態に応じた大当たり判定が行われる(S38)。大当たり判定を行うための判定テーブルには、非確率変動状態中に用いられる低確率判定テーブルと、大当たりと判定される確率が非確率変動状態中よりも高くなる高確率判定テーブルとが設けられている。大当たり判定は、確率変動状態が生起されているか否かに応じて、いずれかの判定テーブルが参照されて行われる。
大当たり判定によって大当たりと判定された場合には(S39:YES)、大当たりであることを示す特別図柄が決定される(S40)。次いで、時短状態中であれば(S41:YES)、特別図柄変動パターン決定テーブル(図5参照)のうち、時短状態中且つ大当たりの場合のテーブルが参照され、変動パターン決定乱数欄の値によって変動パターンが決定される(S42)。時短状態中でなければ(S41:NO)、非時短状態(通常状態)且つ大当たりの場合のテーブルによって変動パターンが決定される(S43)。判定結果がはずれであれば(S39:NO)、はずれであることを示す特別図柄(本実施形態では「−−」)が決定される(S46)。時短状態中であれば(S47:YES)、時短状態中且つはずれのテーブルによって変動パターンが決定され(S48)、時短状態中でなければ(S47:NO)、通常状態且つはずれのテーブルによって変動パターンが決定される(S49)。
次いで、決定された変動パターンを指定すると共に、特別図柄およびデモ図柄の変動(報知演出の開始)を指示するための変動パターン指定コマンドが、RAM52に記憶される(S52)。記憶されたコマンドは、次に実行されるメイン処理のコマンド出力処理(S10、図6参照)において、サブ制御基板58等の他の基板に出力される。次いで、変動パターンに応じて決められている特別図柄の変動時間が、タイマカウンタである特別図柄変動時間カウンタにセットされる(S53)。特別図柄が変動中であることを示す「1」が表示状態フラグに記憶されて(S54)、処理はメイン処理へ戻る。
また、図7に示すS32の判断において、表示状態フラグに「1」が記憶されており、特別図柄が変動中であると判断された場合には(S32:YES)、変動時間が経過したか否かが判断される(S57)。S53(図8参照)でセットされた特別図柄変動時間カウンタの値が「0」となっており、変動時間が経過したと判断された場合には(S57:YES)、特別図柄の変動停止(報知演出の終了)を指示するための特別図柄停止コマンドがRAM52に記憶される(S58)。所定の停止表示時間が、タイマカウンタである特別図柄停止時間カウンタに記憶される(S59)。特別図柄が停止表示中であることを示す「2」が表示状態フラグに記憶されて(S60)、処理はメイン処理へ戻る。一方、S57の判断において、変動時間がまだ経過していないと判断された場合には(S57:NO)、処理はそのままメイン処理へ戻る。
また、S33の判断において、表示状態フラグに「2」が記憶されており、特別図柄が停止表示中であると判断された場合には(S33:YES)、S59でセットされたカウンタの値によって、停止表示時間が経過したか否かが判断される(S61)。特別図柄停止時間カウンタの値が「0」でなく、停止表示時間がまだ経過していない場合には(S61:NO)、処理はそのままメイン処理へ戻る。停止表示時間が経過した場合には(S61:YES)、特別図柄が変動中でも停止表示中でもないことを示す「0」が表示状態フラグに記憶される(S62)。次いで、遊技状態移行処理が行われて(S63)、処理はメイン処理へ戻る。遊技状態移行処理(S63)では、判定結果が大当たりである場合に大当たり遊技状態フラグが「ON」とされ、遊技状態が大当たり遊技状態へ移行される。この場合、大当たり遊技を開始することを示す大当たり遊技開始コマンドがRAM52に記憶される。また、時短状態および確率変動状態の終了条件が満たされていれば、これらの遊技状態が終了し、遊技状態は非時短状態および非確率変動状態へ移行する。
図9から図12を参照して、パチンコ機1が実行する報知演出の演出態様について説明する。パチンコ機1は、デモ図柄の変動中に、大当たり判定の結果が大当たりであることの期待度を表示画面28に表示させることができる。本実施形態では、大当たりの期待度が低い順に、Power(期待度「1」)、Speed(期待度「2」)、Technique(期待度「3」)、Marvelous(大当たり確定)の4つの期待度が用いられる。
なお、パチンコ機1は、表示画面28に期待度を表示させると共に、可動役物30の動作を変化させて、期待度を遊技者に報知する。しかし、説明を簡略化するために、以下では表示画面28に表示させる期待度を中心に説明を行う。
前述したように、パチンコ機1は、単位変動を繰り返す毎に、表示画面28に表示する期待度を上昇させる。詳細には、パチンコ機1は、1回の単位変動を終了させて次の単位変動を開始する際に、一旦減速または停止させた左右のデモ図柄を再び加速させる特定の演出(以下、「再変動演出」という。)を実行することができる。パチンコ機1は、再変動演出を実行する毎に、表示画面28に表示する期待度を1段階上昇させる。
抽選演出について説明する。抽選演出とは、報知演出において再変動演出が開始される前に、最初に表示画面28に表示させる期待度(以下、「開始期待度」という。)を抽選する演出である。抽選演出において高い開始期待度が当選する(抽選結果として高い開始期待度が表示される)と、表示される期待度は、当選した高い開始期待度から上昇していく。よって、遊技者は、再変動演出が連続し得る一連の連続演出が、当選した開始期待度から開始される旨を、抽選演出によって容易に把握することができる。遊技者は、高い開始期待度が表示されることを強く期待して抽選演出に注目することができる。仮に、当選した開始期待度が低くても、再変動演出が連続すれば期待度が上昇する。よって、遊技者の期待感は維持される。
パチンコ機1は、複数の演出モードを実行することができる。演出モードとは、報知演出の種別を決定するためのモードである。報知演出の内容を示す変動パターンの1つが決定されると、決定された変動パターンが示す報知演出が、その時点で生起されている演出モードに対応させて実行される。例えば、演出モードが変化すると、報知演出中に登場するキャラクタ、背景、予告演出の種類等が変化する。本実施形態のパチンコ機1では、全ての報知演出において抽選演出を実行する演出モード(以下、「特定演出モード」という。)が設けられている。特定演出モードが実行されると、遊技者は、報知演出が実行される度に、抽選演出において高い期待度が表示されることを望んで遊技を行う。よって、期待度に対する遊技者の注目をより強く惹き付けることができる。なお、パチンコ機1は、特定演出モード以外の演出モードを実行している場合には、抽選演出を実行するか否かを、報知演出を開始する毎に決定する。
図9は、特定演出モードが実行されている場合の抽選演出の演出態様の一例を示す。特定演出モードが実行されている場合、報知演出開始時の画像として抽選演出画像29が常に表示画面28に表示される。図9に例示する抽選演出画像29では、上段に2つ、中段に3つ、下段に2つの枠部が設けられている。報知演出が開始されると、それぞれの枠部において、Power(期待度「1」)、Speed(期待度「2」)、Technique(期待度「3」)、および◆(はずれ)が変動を開始する。次いで、上段左と下段右の図柄が同時に停止し、さらに、中段左と中段右の図柄が同時に停止する(図9の上の画像が示す状態)。次いで、上段右と下段左の図柄が同時に停止し、最後に中心の図柄が停止する(図9の中央の画像が示す状態)。そして、3つの図柄によって形成される右下がりのライン、左下がりのライン、中段のラインのうち、少なくともいずれかのラインで同一の図柄を3つ揃えることで、開始期待度を表示する。期待度「1〜3」のいずれかが開始期待度として表示されると、デモ図柄を変動させる画像が表示されると共に、期待度表示部31において開始期待度が表示される。
なお、抽選演出の演出態様は複数設けられており、実行されている演出モードに応じて抽選演出の演出態様は変化する。例えば、所定の演出モードが実行されている場合の抽選演出では、操作ボタン9の操作を促す画像が表示され、操作ボタン9が操作されることを契機として、Power(期待度「1」)、Speed(期待度「2」)、Technique(期待度「3」)、および◆(はずれ)のいずれかが表示される。以上のように、抽選演出の演出態様は適宜設定できる。
再上昇演出について説明する。パチンコ機1は、前述した再変動演出を2つの態様で実行することができる。通常実行される再変動演出は、左のデモ図柄を上方に移動させながら減速すると共に、右のデモ図柄を下方に移動させながら減速し、左右のデモ図柄を停止させることなくそのまま再加速させることで実行される。減速させた左右のデモ図柄が再加速することなく停止すれば、そのままリーチ演出へ移行する。つまり、左右のデモ図柄の減速が終了するタイミングが、通常の再変動演出が実行され得るタイミングとなっている。従って、遊技者は、減速した左右のデモ図柄が停止することなく再加速することを望む。左右のデモ図柄が再加速せずに停止すると、その時点で表示されている期待度のままリーチ演出が実行されるためである。しかし、本実施形態では、再上昇演出を実行することで、遊技者の興趣をさらに強く惹き付けることができる。再上昇演出とは、通常の再変動演出を実行し得るタイミングで再変動演出を実行せず、リーチ演出を一旦開始した後に、再変動演出を遅れて実行し、期待度を再び上昇させる演出である。再上昇演出を実行することで、遊技者は、通常の再変動演出が実行され得るタイミングで再変動演出が実行されなかった場合でも、期待度がさらに上昇することを望んで遊技に集中することができる。
図10から図12を参照して、パチンコ機1が実行する報知演出の演出態様について具体例を挙げて説明する。詳細は後述するが、パチンコ機1のサブ制御基板58は、報知演出の開始時に、「単位変動回数N」、「抽選演出の要否」、「開始期待度」、および「再上昇演出を行う単位変動」を設定する。「単位変動回数N」は、主基板41によって指定された変動パターンに応じて予め定められている。「抽選演出の要否」は、最初の単位変動において抽選演出を実行するか否かを示す。「開始期待度」は、報知演出の開始時に、指定されている変動パターンと抽選演出の要否に応じて決定される。「再上昇演出を行う単位変動」は、通常の再変動演出を実行せずに再上昇演出を行う単位変動を示す。
図10に示す例は、単位変動回数Nが「3」であり、抽選演出を実行し、開始期待度が「2」であり、再上昇演出を行わない場合を示す。この場合、最初の単位変動である「単位変動(1)」において抽選演出が実行され、開始期待度が「2」であることが表示される。その後、左右のデモ図柄が減速し、再加速(再変動演出)が行われて、「単位変動(2)」へ移行する。「単位変動(2)」では、期待度「2」が表示された後、デモ図柄の減速および再変動演出が行われて、「単位変動(3)」へ移行する。「単位変動(3)」では、再変動演出が実行されたことに伴い、期待度が「3」に上昇する。その後、左右のデモ図柄が減速し、同一のデモ図柄が左右に停止して、変動パターンによって定められているリーチ演出が実行される。リーチ演出の終了時には、大当たり判定の結果を示すデモ図柄の組み合わせが確定表示される。
図11に示す例は、単位変動回数Nが「3」であり、抽選演出は実行せず、2回目の単位変動において再上昇演出を実行する場合を示す。なお、抽選演出を実行しない場合、開始期待度は必ず「1」となる。図11に示す例では、「単位変動(1)」では抽選演出は実行されず、左右のデモ図柄が減速し、同一のデモ図柄がそのまま左右に停止する。「単位変動(2)」では、リーチ演出が一旦開始される。しかし、再上昇演出の実行タイミングが到来すると、期待度「2」が突然表示された後に、左右のデモ図柄が再加速される再上昇演出が実行される。つまり、図11に示す例では再上昇演出が実行されるため、開始期待度「1」は表示されずにスキップされ、期待度「2」が突然表示される。再上昇演出が実行される単位変動では一旦リーチ状態となるが、このリーチ状態はダミーである。次いで、「単位変動(3)」では、期待度「2」が表示された後、左右のデモ図柄が減速して停止し、リーチ演出に移行する。
図12に示す例では、単位変動回数Nが「4」であり、抽選演出を実行し、開始期待度が「1」であり、3回目の単位変動において再上昇演出を実行する場合を示す。この場合、「単位変動(1)」において抽選演出が実行され、開始期待度が「1」であることが表示される。その後、左右のデモ図柄が減速し、再変動演出が行われる。「単位変動(2)」では、開始期待度「1」が期待度として表示される。そして、次回の単位変動で再上昇演出を実行するために、左右のデモ図柄は再加速されずに一旦停止する。「単位変動(3)」では、ダミーのリーチ状態を経て、再上昇演出が行われる。つまり、期待度「3」が突然表示され、左右のデモ図柄が再加速される。「単位変動(4)」では、期待度「3」が表示された後、左右のデモ図柄が減速して停止し、リーチ演出に移行する。
以上のように、本実施形態のパチンコ機1は、抽選演出、再変動演出、および再上昇演出を自由に組み合わせて実行することで、報知演出の内容を多様化し、遊技者の興趣を強く惹き付けることができる。以下、サブ制御基板58によって実行される報知演出の制御処理について、詳細に説明する。
図13から図16を参照して、サブ制御基板58が実行するサブ制御基板処理について説明する。サブ制御基板処理では、主基板41から送信されるコマンドに従って、表示画面28、スピーカ48等による演出を制御する処理が行われる。特に、サブ制御基板処理では、大当たり判定の結果を報知するための報知演出が制御される。サブ制御基板処理は、ROM583に記憶されているプログラムに従って、CPU581において実行される。
図13に示すように、サブ制御基板処理が開始されると、主基板41から変動パターン指定コマンドを受信したか否かが判断される(S71)。受信していない場合(S71:NO)、処理はそのままS75の判断へ移行する。変動パターン指定コマンドを受信すると(S71:YES)、演出内容決定処理(S72)、および報知演出制御処理(S73)が実行されて、処理はS75の判断へ移行する。
図14を参照して、演出内容決定処理について説明する。演出内容決定処理では、主基板41から指定された変動パターンに応じて、報知演出における詳細な演出内容が決定される。まず、指定された変動パターンによって予め定められている単位変動回数Nが、RAM582に記憶される(S91)。次いで、その時点で実行されている演出モードが、抽選演出を必ず実行する特定演出モードであるか否かが判断される(S92)。特定演出モードが実行されていなければ(S92:NO)、抽選演出の要否(抽選演出を実行するか否か)が、指定された変動パターンに応じて抽選によって決定される(S93)。
図15に示すように、ROM583には、演出内容を決定するためのデータテーブルである演出内容決定テーブルが記憶されている。演出内容決定テーブルでは、大当たり判定の結果、および単位変動回数Nに応じて、抽選演出を実行する確率が予め定められている。CPU581は、S93の処理において、大当たり判定の結果、および単位変動回数Nに応じた確率で、抽選演出を実行するか否かを抽選する。例えば、判定結果が大当たりであり、且つ単位変動回数Nが2である場合には、2回の単位変動を実行する間に高い期待度を表示させることが望ましい。従って、この場合に抽選演出を実行する確率は、最も高い90%に設定されている。また、単位変動回数Nが5である場合には、抽選演出を実行するか否かに関わらず、開始期待度は「1」とする必要がある。この場合、抽選演出を実行するメリットは低い。よって、単位変動回数Nが5である場合、抽選演出を実行する確率は低い確率(30%)に設定されている。なお、抽選演出を実行するか否かを決定する方法は変更することも可能である。例えば、CPU581は、変動パターンによって定められている単位変動回数Nが大きい程、抽選演出を実行する確率が高くなるように、抽選演出の要否を決定してもよい。
図14の説明に戻る。抽選演出の要否の抽選に当選しなければ(S94:NO)、抽選演出を実行しない旨を示す「不要」が、RAM582に記憶される(S95)。次いで、単位変動回数Nが2以上であるか否かが判断される(S96)。単位変動回数Nが2未満(つまり、1)であれば(S96:NO)、処理はそのままサブ制御基板処理へ戻る。単位変動回数Nが2以上であれば(S96:YES)、期待度を上昇させる演出が実行される。よって、開始期待度の値として、抽選演出を実行しない場合の開始期待度「1」がRAM582に記憶される(S97)。
さらに、再上昇演出を実行するか否かを決定するための処理が行われる(S98、S99)。図11および図12を参照して説明したように、再上昇演出は、左右のデモ図柄を一旦停止させた後に実行される。また、CPU581は、再上昇演出の終了後の単位変動において期待度を上昇させる必要がある。従って、本実施形態における再上昇演出は、最初の単位変動と最後の単位変動では実行することができない。つまり、再上昇演出を実行するためには、単位変動回数Nが3以上である必要がある。そこで、CPU581は、単位変動回数Nが3以上であるか否かを判断する(S98)。3未満(つまり、1または2)であれば(S98:NO)、再上昇演出は実行できないため、処理はそのままサブ制御基板処理へ戻る。単位変動回数Nが3以上であれば(S98:YES)、最初および最後以外のいずれかの単位変動で再上昇演出を実行するか否かが決定されて(S99)、処理はサブ制御基板処理へ戻る。
特定演出モードが実行されている場合(S92:YES)、または、抽選演出の要否の抽選に当選した場合には(S94:YES)、抽選演出を実行する旨を示す「要」がRAM582に記憶される(S100)。次いで、単位変動回数Nが2以上であるか否かが判断される(S101)。単位変動回数Nが1であれば(S101:NO)、期待度を上昇させる演出を実行することはできない。よって、開始期待度の抽選結果がはずれとなることを示す「0」がRAM582に記憶されて(S102)、処理はサブ制御基板処理へ戻る。単位変動回数Nが2以上であれば(S101:YES)、指定された変動パターンに応じて開始期待度が決定される(S103)。
図15に示すように、演出内容決定テーブルでは、大当たり判定の結果、および単位変動回数Nに応じて、開始期待度(1〜3)の各々の抽選確率が予め定められている。CPU581は、S103の処理において、大当たり判定の結果、および単位変動回数Nに応じた確率で、開始期待度を抽選する。例えば、判定結果が大当たりであり、且つ単位変動回数Nが2である場合には、2回の単位変動を実行する間に高い期待度を表示させることが望ましい。従って、この場合には、開始期待度「3」が抽選される確率が最も高くなるように設定されている。また、単位変動回数Nが3である場合の開始期待度を「3」とすると、期待度は大当たり確定の表示態様「Marvelous」まで上昇する。本実施形態では、「Marvelous」を表示する頻度を低くすることで、「Marvelous」を所謂プレミア表示とし、遊技内容を多様化させる。よって、判定結果が大当たりであり、且つ単位変動回数Nが3である場合には、開始期待度「3」が抽選される確率は、開始期待度「1」「2」が抽選される確率に比べて低くなっている。
なお、単位変動回数Nが1である場合、開始期待度は自動的に「0(はずれ)」となる。また、本実施形態では、表示され得る最高の期待度は「Marvelous」である。よって、期待度が「Marvelous」よりも高い期待度に上昇するような開始期待度が抽選されないように、演出内容決定テーブルが作成されている。また、開始期待度を決定する方法は変更できる。例えば、テーブルを用いずに開始期待度を抽選してもよい。
図14の説明に戻る。S103で開始期待度が決定されると、再上昇演出を実行するか否かを決定するための処理が行われる(S105、S106)。前述したように、再上昇演出は、最初の単位変動と最後の単位変動では実行することができない。さらに、抽選演出を実行する場合には、2番目の単位変動で開始期待度を表示する必要があるため、2番目の単位変動でも再上昇演出を実行することはできない。そこで、単位変動回数Nが4以上であるか否かが判断される(S105)。単位変動回数Nが4未満であれば(S105:NO)、処理はそのままサブ制御基板処理へ戻る。単位変動回数Nが4または5であれば(S105:YES)、最初、最後、2番目以外の単位変動のいずれかで再上昇演出を実行するか否かが決定されて(S106)、処理はサブ制御基板処理(図13参照)へ戻る。演出内容決定処理(S72)が終了すると、報知演出制御処理が実行される(S73)。
図16を参照して、報知演出制御処理について説明する。報知演出制御処理では、演出内容決定処理(図14参照)で決定された演出内容に従って報知演出が制御される。まず、単位変動回数Nが2以上であるか否かが判断される(S111)。単位変動回数Nが1であれば(S111:NO)、処理はそのままS113へ移行する。単位変動回数Nが2以上であれば(S111:YES)、期待度を表示する演出を実行する。この場合、次に表示する期待度を示す期待度カウンタKの値に、決定されている開始期待度がセットされる(S112)。処理はS113へ移行する。
次いで、残り単位変動カウンタnの値に、変動パターンによって定められている単位変動回数Nがセットされる(S113)。残り単位変動カウンタnは、実行中の報知演出において今後行う必要がある単位変動の回数を計数するためのカウンタである。次いで、全てのデモ図柄の変動が開始されることで、1回目の単位変動が開始される(S114)。残り変動回数カウンタnの値から「1」が減算される(S115)。抽選演出を実行することを示す「要」がRAM582に記憶されているか否かが判断される(S116)。「不要」が記憶されている場合(S116:NO)、処理はそのままS120の判断へ移行する。「要」が記憶されている場合(S116:YES)、実行されている演出モードに応じた抽選演出が開始される(S117)。例えば、特定演出モードが実行されている場合には、図9に示す抽選演出画像が用いられて抽選演出が実行される。所定時間が経過すると、決定されている開始期待度が停止表示されて(S118)、処理はS120の判断へ移行する。
左右のデモ図柄を減速させるタイミングが到来したか否かが判断される(S120)。到来していなければ(S120:NO)、S120の判断が繰り返される。減速タイミングが到来すると(S120:YES)、左右のデモ図柄が減速される(S121)。残り単位変動カウンタnの値が1以上であるか否かが判断される(S122)。1以上であれば(S122:YES)、単位変動を再び実行して期待度を上昇させる必要がある。本実施形態では、期待度を上昇させる方法として、通常の再変動演出を実行して期待度を上昇させる方法と、一旦リーチ状態として再上昇演出で期待度を上昇させる方法とがある。そこで、次の単位変動が再上昇演出を実行する単位変動であるか否かが判断される(S124)。再上昇演出を行う単位変動は、演出内容決定処理(図14参照)において既に決定されている。
次の単位変動が、再上昇演出を実行しない単位変動であれば(S124:NO)、減速した左右のデモ図柄を停止させることなく、そのまま再加速させる処理が行われる(S125)。この時点で、1回の単位変動が終了し、次の単位変動が開始される。残り変動回数カウンタnの値から「1」が減算される(S126)。期待度表示部31(図9参照)において期待度Kが表示される(S127)。次に表示され得る期待度を示す期待度カウンタKの値に、「1」が加算される(S136)。処理はS120へ戻る。
次の単位変動が、再上昇演出を実行する単位変動であれば(S124:YES)、減速した左右のデモ図柄を同一の図柄で停止させて、ダミーのリーチ状態とする処理が行われる(S129)。この時点で、1回の単位変動が終了し、次の単位変動が開始される。残り変動回数カウンタnの値から「1」が減算される(S130)。期待度を再上昇させるタイミングが到来したか否かが判断される(S131)。到来していなければ(S131:NO)、S131の判断が繰り返される。この間に実行されている単位変動中に、ダミーのリーチ状態が継続している。再上昇のタイミングが到来すると(S131:YES)、期待度Kを省略して期待度K+1を突然表示させる処理が行われる(S132)。次いで、左右のデモ図柄が再加速され(S133)、残り変動回数カウンタnの値から「1」が減算される(S134)。期待度カウンタKの値に「1」が加算されて(S136)、処理はS120の判断へ戻る。
残り単位変動カウンタnの値が「0」であれば(S122:NO)、左右のデモ図柄を停止させる処理が行われる(S138)。詳細には、リーチ演出を実行する変動パターンが指定されていれば、同一のデモ図柄を左右に停止させて、リーチ状態とする処理が行われる。リーチ演出を実行しない変動パターンが指定されていなければ、異なるデモ図柄が左右に停止される。その後、指定された変動パターンに応じてリーチ演出等の各種演出が制御され(S139)、処理はサブ制御基板処理へ戻る。
図13の説明に戻る。変動パターン指定コマンドに関する処理(S71〜S73)が終了すると、特別図柄停止コマンドを主基板41から受信したか否かが判断される(S75)。受信していなければ(S75:NO)、処理はS82の判断へ移行する。特別図柄停止コマンドを受信すると(S75:YES)、大当たり判定の結果を示すデモ図柄の組合せが確定表示される(S76)。実行中の演出モードが所定時間以上継続しているか否かが判断される(S77)。所定時間継続していなければ(S77:NO)、処理はそのままS82の判断へ移行する。演出モードが所定時間以上継続している場合(S77:YES)、実行中の演出モードを終了(変更)させるか否かを決定するための終了抽選が、所定の確率で行われる(S78)。終了抽選に当選しなければ(S79:NO)、処理はそのままS82の判断へ移行する。終了抽選に当選すると(S79:YES)、実行していた演出モード以外の演出モードの1つが、次の実行モードとして決定される(S80)。次の実行モードは、所定の規則に従って決定してもよいし、抽選等によって決定してもよい。処理はS82の判断へ移行する。
次いで、主基板41から大当たり遊技開始コマンドを受信したか否かが判断される(S82)。受信していなければ(S82:NO)、処理はそのままS71の判断へ戻る。大当たり遊技開始コマンドを受信すると(S82:YES)、大当たり遊技演出処理が実行されて(S83)、処理はS71の判断へ戻る。
以上説明したように、本実施形態のパチンコ機1では、左右のデモ図柄が再加速される再変動演出が実行される毎に、大当たりであることの期待度が上昇する。従って、遊技者は、再変動演出が連続することを期待して遊技を行う。また、抽選演出において高い期待度が表示されると、表示された高い期待度が最初に表示された状態で、再変動演出が実行される毎に期待度が順次上昇する。従って、遊技者は、再変動演出の実行回数が少ない場合でも、大当たりに対する強い期待感を持って報知演出を楽しむことができる。1回または複数回の再変動演出を実行する連続演出の態様が多様化するため、遊技者を強く惹き付けることができる。さらに、高い期待度が最初から突然表示される場合とは異なり、最初に表示させる期待度である開始期待度を抽選する抽選演出を経て、期待度が表示される。従って、遊技者は、当選した開始期待度から連続演出が開始するという一連の遊技の流れを容易に把握した上で、高い開始期待度が表示されることを期待して抽選演出に注目する。仮に、抽選演出で表示された開始期待度が低くても、再変動演出が連続すれば期待度が上昇するため、遊技者の期待感を維持できる。よって、本実施形態のパチンコ機1は、遊技内容を複雑にすることなく、連続演出を用いた期待度の表示態様を多様化させて、遊技者の興趣を十分に惹き付けることができる。
本実施形態のパチンコ機1は、再上昇演出を実行することができる。よって、通常の再変動演出(減速したデモ図柄を停止させずにそのまま再加速させる演出)が実行され得るタイミングで実行されなかった場合でも、再上昇演出における再変動演出(停止したデモ図柄を再加速させる演出)がその後に実行されて期待度が上昇する場合がある。従って、遊技者は、抽選演出の実行中、通常の再変動演出の実行中、および、通常の再変動演出が実行されなかった後の全てにおいて、常に期待感を維持した状態で遊技を楽しむことができる。
本実施形態のパチンコ機1は、大当たり判定の結果に応じて変動パターンを決定した後に、抽選演出を実行するか否かを決定する。抽選演出を実行することを決定すると、決定した変動パターンに応じて、抽選演出において表示させる期待度を決定する。従って、抽選演出を実行する場合の変動パターンと実行しない場合の変動パターンとを別で用意することなく、同一の変動パターンに従って多様な報知演出を実行することができる。よって、遊技機の開発が容易であり、ROM53等の記憶手段の容量も圧迫され難い。
本実施形態のパチンコ機1は、3回以上の単位変動を実行する変動パターンを決定した場合、再上昇演出を実行するか否かを決定し、決定に応じて報知演出を制御できる。よって、多数の変動パターンを用意することなく、抽選演出および再上昇演出の少なくとも一方を実行することができ、抽選演出および再上昇演出が共に含まれない報知演出を実行することもできる。
本実施形態のパチンコ機1では、複数の演出モードの少なくとも一部に、全ての報知演出において抽選演出を実行する特定演出モードが含まれている。特定演出モードが実行されると、遊技者は、報知演出が実行される度に、抽選演出において高い期待度が表示されることを望んで遊技を行う。従って、期待度に対する注目をより強く惹き付けることが可能な新規な遊技を遊技者に提供することができる。
本実施形態において、特別図柄始動電動役物15が本発明の「始動口」に相当する。大当たり状態が本発明の「有利状態」に相当する。図8のS38で大当たり判定を行うCPU51が、本発明の「判定手段」として機能する。表示画面28が「図柄表示手段」に相当する。図13に示すサブ制御基板処理を実行するCPU581が「報知制御手段」として機能する。図16のS127、S132で表示画面28に期待度を表示させるCPU581が「期待度報知手段」として機能する。図16のS125で再変動演出を実行するCPU581が「特定演出制御手段」として機能する。図16のS136で期待度を上昇させるCPU581が「上昇手段」として機能する。図14のS103で開始期待度を決定するCPU581が「開始期待度抽選手段」として機能する。
本発明は、以上詳述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能であることは勿論である。まず、上記実施形態では、減速または停止させたデモ図柄の少なくとも1つ(上記実施形態では2つ)を再加速させる再変動演出が、本発明の「特定の演出」に相当する。しかし、特定の演出の態様は変更できる。例えば、減速および再加速させるデモ図柄は2つに限られない。全てのデモ図柄を停止させて再加速させる場合(つまり、全てのデモ図柄を擬似的に一旦停止させる場合)、連続する特定の演出は、所謂「擬似連続変動演出」となる。また、デモ図柄の変動とは別に所定の動画または静止画を表示させる演出を、特定の演出として用いてもよい。可動役物30の所定の動作を特定の演出として用いてもよい。特定の演出を実行する毎に、特定の演出の内容を変化させてもよい。
上記実施形態のパチンコ機1は、特定の演出である再変動演出を実行する毎に、表示している期待度を必ず上昇させる。しかし、パチンコ機1は、特定の演出を実行した場合の一部において期待度を上昇させてもよい。この場合、遊技者は、特定の演出が実行されること期待するだけでなく、期待度が上昇することも強く期待して遊技を楽しむことができる。
上記実施形態では、大当たりの期待度が低い順に、Power(期待度「1」)、Speed(期待度「2」)、Technique(期待度「3」)、Marvelous(大当たり確定)の4つの期待度が用いられる。しかし、期待度の表示態様が変更できることは言うまでもない。例えば、期待度の段階は4段階に限られない。パーセント等で期待度を表してもよい。大当たり確定の表示態様を用いずに本発明を実現することも可能である。可動役物30の動作、スピーカ48による音声等を用いて期待度を遊技者に報知してもよい。パチンコ機1は、期待度を表示する表示部を、報知演出の画像を表示する表示画面28とは別に備えてもよい。
また、上記実施形態では、抽選演出で表示された期待度と同一態様の期待度が最初に表示されて、特定の演出が実行される。しかし、抽選演出で表示される期待度と、特定の演出の開始前に最初に表示される期待度とは、同一の態様でなくてもよい。例えば、抽選演出ではPower(期待度「1」に対応)、Speed(期待度「2」に対応)、Technique(期待度「3」に対応)、Marvelous(大当たり確率「100%」)のいずれかを表示し、特定の演出では、抽選演出で表示された期待度に対応する数字(「1」、「2」「3」「100%」のいずれか)を表示させてもよい。
上記実施形態のパチンコ機1は、再変動演出を実行する毎に、表示画面28に表示する期待度を1段階または2段階上昇させる。詳細には、通常の再変動演出(減速したデモ図柄を停止させずにそのまま再加速させる演出)を実行する毎に、期待度を1段階上昇させる。また、再上昇演出における再変動演出を実行する場合、期待度を2段階上昇させる。しかし、パチンコ機1は、再変動演出を1回実行する際に、期待度を2段階以上上昇させてもよい。期待度を上昇させる割合を変化させてもよい。
上記実施形態では、1回の報知演出中に最大1回の再上昇演出が実行される。しかし、再上昇演出は、1回の報知演出において複数回実行することも可能である。また、上記実施形態では、1回の報知演出において実行される単位変動の回数は1回〜5回である。しかし、単位変動の回数の上限が5回に限られないことは言うまでもない。
上記実施形態のパチンコ機1は、多数の変動パターンを用意することなく、抽選演出および再上昇演出の少なくとも一方を実行することができ、抽選演出および再上昇演出が共に含まれない報知演出を実行することもできる。よって、遊技機の開発が容易であり、記憶手段の容量も圧迫され難い。しかし、抽選演出の要否、開始期待度、再上昇演出の要否等が互いに異なる複数の変動パターンを用意し、容易した変動パターンに従って報知演出を制御することも可能である。
上記実施形態のパチンコ機1は、抽選演出と再上昇演出とを組み合わせて多様な報知演出を実行することができる。しかし、再上昇演出を実行せずに、抽選演出のみを実行可能な遊技機としてもよい。この場合でも、遊技内容を複雑にすることなく、期待度の表示態様を多様化させて、遊技者の興趣を強く惹き付けることができる。また、抽選演出を実行せずに、再上昇演出のみを実行可能な遊技機とすることも可能である。
上記実施形態では、全ての報知演出において抽選演出を実行する特定演出モードが設けられている。従って、期待度に対する注目をより強く惹き付けることができる新規な遊技を遊技者に提供することができる。しかし、特定演出モードを設けずに本発明を実現することも可能である。