JP6281704B2 - 分散電源の単独運転検出システム - Google Patents
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例えば、最新の系統周波数と過去の系統周波数との偏差を算出し、その偏差が所定の閾値を超過した場合に単独運転と判定するものがある。
図8(a)は、周波数偏差が閾値を超過した回数が1回または複数回の場合に、分散電源の単独運転を検出する原理の説明図であり、「●」は一定周期のサンプリング点における周波数偏差を示す。
ここで、図9は、特許文献1に記載された単独運転検出装置50の構成図であり、この検出装置50は、分散型電源60と系統電源70との間に接続されている。図9において、51は系統の周波数を計測して連系リレー54,55を制御する制御装置、52は、制御装置51からの指令と系統の電圧、電流とに基づいてインバータ53を制御するインバータ制御部である。
図11(a)は、上記の構成により単独運転を検出する原理の説明図であり、周波数偏差が、複数のサンプリング点で階段状閾値(変化パターン)を超過したときに単独運転を検出している。
図8(b)及び図11(b)は、このような誤検出状態を示したものである。何れの場合も、系統の擾乱により瞬間的に周波数が大きく変動し、その後、周波数が元に戻っていく過程で周波数偏差が次第に縮小していくが、予め設定された閾値を下回ることがないため、単独運転と誤検出してしまう。
しかし、閾値を微妙に調整するだけでは誤検出を完全になくすことが困難であり、また、閾値に余裕を持たせると、その分、周波数偏差が大きくならない限り単独運転を検出できなくなり、感度が低下して判定に要する時間が長くなる。つまり、結果的に分散電源の単独運転状態が長く続くため、安全性が低下するという問題がある。
そこで、本発明の解決課題は、分散電源の単独運転状態を短時間で検出することが可能な単独運転検出システムを提供することにある。
図5において、時刻t1で検出した周波数偏差をΔfとすると、その時刻t1で系統に注入する無効電力を、次のサンプリング点t2においてΔfの2倍の周波数偏差(2×Δf)の発生を期待する量とすると、理想的には、時刻t2で検出される周波数偏差は(2×Δf)となる。更に、時刻t2で検出した周波数偏差を(2×Δf)とすると、その時刻t2で系統に注入する無効電力を、次のサンプリング点t3において(2×Δf)の2倍の周波数偏差(4×Δf)の発生を期待する量とすると、理想的には、時刻t3で検出される周波数偏差は(4×Δf)となる。
本発明では、注入無効電力によって生じると予想される連続したサンプリング点間の周波数偏差の比率(図5の例では、「2.0」)を所定の閾値と比較することを基本として、分散電源の単独運転を検出するものである。
図6において、まず、周波数偏差Δf1を検出すると、その2倍の周波数偏差Δf2(=2×Δf1)の発生を期待する無効電力Q2を注入する。そして、この無効電力Q2の注入によって発生する周波数偏差Δf2を検出する。次に、周波数偏差Δf2を検出すると、その2倍の周波数偏差Δf3(=2×Δf2)の発生を期待する無効電力Q3を注入する。そして、この無効電力Q3の注入によって発生する周波数偏差Δf3を検出する。
以後、同様にして、周波数偏差Δfnを検出すると、その2倍の周波数偏差Δfn+1(=2×Δfn)の発生を期待する無効電力Qn+1を注入する。
この点に着目し、本発明では、周波数偏差の変化の状況に応じて、単独運転を検出するための閾値を変動させる閾値変動方法を用いることとした。
このため、本発明では、前述の図8(b)や図11(b)に示したように、系統の擾乱によって周波数偏差が大きく変動した場合には、次の周波数偏差に対する閾値が大きくなるように変動するのに対し、その後に周波数偏差が前回よりも減少して期待通りの値にならなかった場合には、増大した閾値に対して周波数偏差の比率が下回ることになり、単独運転とは見なさないため誤検出が回避されることになる。
系統周波数を検出する周波数検出手段と、前記系統周波数から所定期間の周波数偏差を算出する周波数偏差算出手段と、前記所定期間の周波数偏差に対して次の所定期間の周波数偏差が所定の比率で変化するような無効電力を算出して前記電力変換器を介して系統に注入する無効電力算出・注入手段と、前記所定期間の周波数偏差と前記無効電力算出・注入手段により系統に注入される無効電力とに基づいて、前記分散電源が単独運転状態であるか否かを判定する単独運転検出手段と、を備え、
前記単独運転検出手段は、
系統への注入無効電力が所定値以上ある時に、現在の周波数偏差の過去の周波数偏差からの増減の比率を偏差比率として演算し、前記偏差比率が注入無効電力から想定される比率閾値としての第1閾値を超えた回数が、回数閾値としての第2閾値を超えた時に、前記分散電源が単独運転状態にあると判定するものである。
前記無効電力算出・注入手段が算出した前記注入無効電力が注入量閾値を超えた場合、
前記無効電力算出・注入手段は前記注入無効電力を前記注入量閾値に制限し、
前記単独運転検出手段は、
現在の周波数偏差の過去の周波数偏差からの増減の比率を偏差比率として演算し、前記偏差比率が第3閾値を超えた回数が回数閾値としての第4閾値を超えた時に、前記分散電源が単独運転状態にあると判定するものである。
本発明によれば、分散電源の単独運転を短時間で検出可能であり、連系リレーを迅速に開放することで直ちに事故防止対策を講じることができる。
また、注入無効電力に応じた系統周波数の偏差比率に基づいて判定する請求項1の単独運転検出動作と、注入無効電力に基づいて判定する請求項2の単独運転検出動作とを備えることにより、検出漏れのない高精度な単独運転検出システムを実現することができる。
この連系システムは、分散電源1の直流電力をパワーコンディショナー10により交流電力に変換し、この交流電力を、系統電源20から系統21を介して供給される電力と同期させながら各種事業所や家庭等の負荷30に供給するものである。
パワーコンディショナー10は、分散電源1から供給された直流電力を系統電源20と同期した交流電力に変換するためのインバータ11と、系統周波数を検出する周波数検出手段12と、この周波数検出手段12による現在の系統周波数と内部に保持している過去の系統周波数とから周波数偏差を算出する周波数偏差算出手段13と、前記周波数偏差に基づいて周波数変動を起こさせるために系統21に注入する無効電力を算出して出力する無効電力算出・注入手段14と、周波数偏差算出手段13からの周波数偏差と無効電力算出・注入手段14からの注入無効電力に関する情報に基づいて、分散電源1が単独運転状態であるか否かを判定し、その判定結果を出力する単独運転検出手段16と、周波数検出手段12からの周波数情報、無効電力算出・注入手段14からの注入無効電力情報、及び、単独運転検出手段16からの単独運転情報に基づいて、インバータ11を駆動制御するインバータ制御手段15と、により構成されている。
なお、17は、単独運転検出手段16から出力される検出信号によりインバータ11(分散電源1)を系統21から遮断する連系リレーである。
無効電力算出・注入手段14では、周波数偏差算出手段13から送られる周波数偏差に応じて、系統21に注入する無効電力を1段目ゲインと2段目ゲインとに分けて演算する。ここでは、周波数偏差が後述のゲイン閾値より小さい時に注入する無効電力を、検出した周波数偏差×1段目ゲイン、ゲイン閾値より大きくなった時に注入する無効電力を、検出した周波数偏差×2段目ゲイン、として演算する。
なお、以下の説明では、単独運転状態か否かを検出するための検査モードになっていることを「検査中」と定義し、検査中であることをフラグにて示すものとする。
検査中でない場合には(S1 NO)、注入無効電力が2段目ゲインによるレベルか否かを、無効電力算出・注入手段14からの情報に基づいて判断する(S2)。注入無効電力が2段目ゲインによるレベルであった場合(S2 YES)には、検出条件を満たす周波数偏差が生じ始めたと判断して、第1の単独運転検出条件による処理を開始するために各カウンタ(比率超過カウンタ1及び比率超過カウンタ2)をクリアする(S3)。
ここで、第1閾値の例として挙げた「2.0」の根拠は、無効電流注入時には検出した周波数偏差の4倍の偏差が現れることを期待して注入し、また、2周期分の周波数を平均化して周波数偏差を算出するものとすると、想定される周波数偏差は4倍の半分の「2.0」倍となることに基づいている。これには、マージンを見込んでもよいことは言うまでもない。
更に、前記ステップS2において、注入無効電力が2段目ゲインに相当するレベルでなかった場合(S2 NO)は、単独運転検出条件を満たす周波数偏差が発生していないため、ステップS8に移行してから今回の処理を終了する。
注入無効電力が2段目ゲインによるレベルであった場合(S12 YES)、検出条件を満たす周波数偏差が生じていると判断して検出動作を継続し、周波数偏差算出手段13の出力情報に基づいて現在及び過去の周波数偏差の比率を演算する(S13)。
また、単独運転検出フラグのセット(S18)と同時に、図1の連系リレー17を開放してインバータ11を系統21から遮断する。
また、ステップS14において比率超過カウンタ1のカウント値が未だ存在しない場合、及び、ステップS15において周波数偏差比率が第1閾値を超過していなかった場合は、第1の単独運転検出条件を満足しなくなったものとして比率超過カウンタ1をクリアし(S20)、図4の処理に移る。
更に、ステップS17において比率超過カウンタ1のカウント値が第2閾値を超過していなかった場合には、第1の単独運転検出条件による処理を継続しつつ図4の処理に移る。
無効電力注入リミット状態であり、かつ、現在の周波数偏差と過去の周波数偏差との比率(周波数偏差比率)が第3閾値(比率閾値2)を超過しているか否かを判定し(S23)、これら両方の条件を満たしていた場合(S23 YES)は、比率超過カウンタ2をインクリメントする(S24)。
なお、ステップS30において、比率超過カウンタ1のカウント値が存在する場合(S30 YES)は、第1の単独運転検出条件による処理が継続しているので、検査中フラグをクリアせず、ステップS32を経た後に今回の処理を終了する。
いま、周波数偏差の増加比率が大きいと、早く無効電力注入リミット状態に達するため、増加比率が頭打ちになり、第1の単独運転検出条件を満足できなくなる。そこで、第1の単独運転検出条件を満足しているか否かの判定を2段階に分けることで、第1の単独運転検出条件の判定精度を高めるようにした。
(2)その他の場合には、第1閾値との比較回数の合計値を、2周期強に相当する9回とする。
上記(1),(2)の何れの場合も、累積の周波数偏差比率(増加率)は「18.0」以上である。
なお、ここで示した各数値はあくまで一例であり、本発明はこれらの数値に何ら限定されるものではない。
10:パワーコンディショナー
11:インバータ
12:周波数検出手段
13:周波数偏差算出手段
14:無効電力算出・注入手段
15:インバータ制御手段
16:単独運転検出手段
17:連系リレー
20:系統電源
21:系統
30:負荷
Claims (3)
- 分散電源が電力変換器を介して電力系統に連系せずに単独運転状態にあることを検出する分散電源の単独運転検出システムであって、
系統周波数を検出する周波数検出手段と、前記系統周波数から所定期間の周波数偏差を算出する周波数偏差算出手段と、前記所定期間の周波数偏差に対して次の所定期間の周波数偏差が所定の比率で変化するような無効電力を算出して前記電力変換器を介して系統に注入する無効電力算出・注入手段と、前記所定期間の周波数偏差と前記無効電力算出・注入手段により系統に注入される無効電力とに基づいて、前記分散電源が単独運転状態であるか否かを判定する単独運転検出手段と、を備え、
前記単独運転検出手段は、
系統への注入無効電力が所定値以上ある時に、現在の周波数偏差の過去の周波数偏差からの増減の比率を偏差比率として演算し、前記偏差比率が注入無効電力から想定される比率閾値としての第1閾値を超えた回数が、回数閾値としての第2閾値を超えた時に、前記分散電源が単独運転状態にあると判定することを特徴とした分散電源の単独運転検出システム。 - 請求項1に記載した分散電源の単独運転検出システムにおいて、
前記無効電力算出・注入手段が算出した前記注入無効電力が注入量閾値を超えた場合、
前記無効電力算出・注入手段は前記注入無効電力を前記注入量閾値に制限し、
前記単独運転検出手段は、
現在の周波数偏差の過去の周波数偏差からの増減の比率を偏差比率として演算し、前記偏差比率が第3閾値を超えた回数が回数閾値としての第4閾値を超えた時に、前記分散電源が単独運転状態にあると判定することを特徴とした分散電源の単独運転検出システム。 - 請求項1または2に記載した分散電源の単独運転検出システムにおいて、
前記単独運転検出手段は、前記偏差比率の推移に基づいて前記第1閾値との比較回数を決定することを特徴とする分散電源の単独運転検出システム。
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