以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
(実施形態1)
図1Aを参照して、本発明の実施形態1におけるHEMS(Home Energy Management System:ホームエネルギーマネジメントシステム)1000について説明する。
HEMS1000は、宅内で消費される電力を管理するシステムである。HEMS1000は、全体を制御する制御装置100と、電気機器400と、発電設備500と、電力計620と、第1蓄電設備310と、第2蓄電設備320と、を備える。なお、図1A中の太い実線は電力線を表し、細い実線は通信線(信号線)を表している。
第1蓄電設備310及び第2蓄電設備320は、商用電源600から供給される電力と、発電設備500によって発電される電力とを蓄える設備である。各蓄電設備に蓄えられた電力は、電気機器400に供給され、或いは商用電源600を経由して電力会社に売られる。
図1Bに、第1蓄電設備310の構成を示す。第1蓄電設備310は、定置型の蓄電池312を制御する蓄電設備である。第1蓄電設備310は、電力を蓄える蓄電池312、及びパワーコンディショナ315を備える。蓄電池312は、例えば、鉛蓄電池又はリチウムイオン電池等の二次電池である。
パワーコンディショナ315は、電力を変換する電力変換部316、宅内ネットワーク710に接続されたインタフェース317、及び電力変換部316を制御する制御部318を備える。
電力変換部316は、例えば、分電盤610側の交流電力と、蓄電池312側の直流電力とを相互に変換するAC−DCコンバータ、直流電力の電圧を変換する変圧器、及び電力を変換するためのスイッチング素子を含む。電力変換部316は、スイッチング素子に制御部318からハイレベルの信号が入力されている場合には電力を変換し、スイッチング素子に制御部318からローレベルの信号が入力されている場合には電力を変換しない。
制御部318は、インタフェース317を介して制御装置100から制御命令を取得し、取得した制御命令に従って、電力変換部316による電力変換を実行するか否かを決定する。電力変換部316による電力変換が実行される場合には、蓄電池312の充放電が実行され、電力変換が実行されない場合には、蓄電池312の充放電が実行されない。制御部318は、制御装置100からの制御命令に示される放電量が第1蓄電設備310から出力されるように、電力変換部316を制御する。また、制御部318は、蓄電池312の充電状態を監視して、その充電状態を制御装置100に通知する。
図1Cに、第2蓄電設備320の構成を示す。第2蓄電設備320は、電気自動車300が走行するための動力源として電気自動車300(EV:Electric Vehicle)に搭載された蓄電池322を制御する車両用蓄電設備である。第2蓄電設備320は、充放電回路321、電力を蓄える蓄電池322、充放電回路321を制御する充放電制御部323、及びEV用パワーコンディショナ325を備える。充放電回路321、蓄電池322、及び充放電制御部323は、電記自動車300内に設置されている。
蓄電池322は、蓄電池312と同様、例えば、鉛蓄電池又はリチウムイオン電池等の二次電池である。但し、蓄電池322は電気自動車300用であるため、蓄電池322の蓄電容量及び定格出力は、定置型の蓄電池312のものに比べて大きい。
EV用パワーコンディショナ325は、電力を変換する電力変換部326、宅内ネットワーク710に接続されたインタフェース327、電力変換部326を制御する制御部328、及び充放電制御部323と通信するEV通信部329を備える。
電力変換部326は、例えば、分電盤610側の交流電力と、蓄電池322側の直流電力とを相互に変換するAC−DCコンバータ、直流電力の電圧を変換する変圧器、及び電力を変換するためのスイッチング素子を含む。電力変換部326は、スイッチング素子に制御部328からハイレベルの信号が入力されている場合には電力を変換し、スイッチング素子に制御部328からローレベルの信号が入力されている場合には電力を変換しない。
制御部328は、インタフェース327を介して制御装置100から制御命令を取得し、取得した制御命令に従って、電力変換部326による電力変換を実行するか否かを決定する。また、制御部328は、制御装置100からの制御命令を、EV通信部329を介して、電気自動車300内に設置された充放電制御部323に送信する。
充放電制御部323は、充放電回路321を制御して、蓄電池322を充電したり蓄電池322を放電させたりする。具体的に説明すると、充放電制御部323は、EV通信部329を介して取得した制御装置100からの制御命令に従って充放電回路321を制御して、指示された量の電力を蓄電池322に蓄えたり、指示された量の電力を蓄電池322から出力したりする。また、充放電制御部323は、蓄電池322の充電状態を監視して、その充電状態を制御装置100に通知する。
また、第1蓄電設備310及び第2蓄電設備320は、操作部及び報知部(図示せず)等のユーザインタフェースも備える。ユーザは、操作部を操作して第1蓄電設備310及び第2蓄電設備320の充放電を切り替えることができる。また、ユーザは、第1蓄電設備310及び第2蓄電設備320の現在の状態を報知部の報知により認識することができる。
図1Aの説明に戻る。制御装置100は、電力に関する情報、及び電気機器400の稼働状況を示す情報等を管理する。電力に関する情報は、電気機器400の消費電力、発電設備500の発電電力、第1蓄電設備310及び第2蓄電設備320の残量等を示す情報等である。また、制御装置100は、電気機器400を制御したり監視したりするホームコントローラとしての機能も有する。制御装置100は、例えばエコーネットライト(ECHONET Lite)に準じたネットワークである宅内ネットワーク710を介して、第1蓄電設備310、第2蓄電設備320、電気機器400、及び電力計620と通信する。
また、制御装置100は、クラウドサーバ800が接続された宅外ネットワーク720に接続されている。制御装置100は、宅外ネットワーク720を介して、クラウドサーバ800と通信する。
図2に示すように、制御装置100は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、フラッシュメモリ14、RTC(Real Time Clock)15、タッチスクリーン16、宅内インタフェース17、宅外インタフェース18を備える。制御装置100が備える各構成要素は、バスを介して相互に接続される。
CPU11は、ROM12に格納されているプログラムに従って動作し、RAM13をワークエリアとして使用して、制御装置100の全体の動作を制御する。ROM12は、制御装置100全体の動作を制御するためのプログラムやデータを格納する。RAM13は、CPU11のワークエリアとして機能する。すなわち、CPU11は、RAM13にプログラムやデータを一時的に書き込み、これらのプログラムやデータを適宜参照する。
フラッシュメモリ14は、各種の情報を記憶する不揮発性メモリである。RTC15は、水晶発振子を備える発振回路を備えた、計時用のデバイスである。RTC15は、例えば、電池を内蔵し、制御装置100の電源がオフの間も計時を継続する。
タッチスクリーン16は、ユーザによるタッチ操作を検知し、検知の結果を示す信号をCPU11に供給する。また、タッチスクリーン16は、CPU11等から供給された画像信号に基づく画像を表示する。このように、タッチスクリーン16は、制御装置100のユーザインタフェースとして機能する。
宅内インタフェース17は、制御装置100を、宅内ネットワーク710に接続するためのインタフェースである。制御装置100は、宅内ネットワーク710を介して、宅内ネットワーク710に接続された装置と通信する。宅内インタフェース17は、NIC(Network Interface Card)等のLAN(Local Area Network)インタフェースを備える。
宅外インタフェース18は、制御装置100を、宅外ネットワーク720に接続するためのインタフェースである。制御装置100は、宅外ネットワーク720を介して、宅外ネットワーク720に接続された装置と通信する。宅外インタフェース18は、NIC等のLANインタフェースを備える。
図1Aの説明に戻る。電気機器400は、例えば、電気給湯機、電子レンジ、テレビ、冷蔵庫、照明機器、換気扇、エアコンディショナ、パーソナルコンピュータ等の宅内に設置される機器である。電気機器400の個数は1個であってもよいし、複数個であってもよい。
電気機器400は、分電盤610を介して、第1蓄電設備310、第2蓄電設備320、発電設備500、又は、商用電源600から供給された交流電力で動作する。電気機器400は、宅内インタフェース17と同様の構成を備え、宅内ネットワーク710に接続する機能を有する。電気機器400は、制御装置100により制御され、制御装置100により監視される。なお、電機機器400は、外付けの通信アダプタ(図示せず)を介して、この宅内ネットワーク710に接続される仕様であってもよい。
発電設備500は、太陽光発電する発電パネル510と、発電パネル510から供給された直流電力を交流電力に変換する変換部520と、を備える。発電パネル510は、例えば多結晶シリコン型のソーラーパネルであって、太陽光エネルギーを電気エネルギーに変換して太陽光発電する。変換部520は、制御装置100による制御に従って、発電パネル510から供給された直流電力を交流電力に変換し、第1蓄電設備310、第2蓄電設備320、電気機器400、及び商用電源600に供給する。
商用電源600は、電力会社等が需要家に電力を供給する電源である。商用電源600により供給される電力は、交流電力である。商用電源600は、分電盤610を介して、電気機器400、第1蓄電設備310、及び第2蓄電設備320に交流電力を供給する。なお、需要家は、電力会社に電力を売ることもできる。
分電盤610は、発電設備500又は商用電源600から供給された電力を第1蓄電設備310、第2蓄電設備320又は電気機器400に分配したり、第1蓄電設備310又は第2蓄電設備320から供給された電力を電気機器400又は商用電源600に分配したりするための配線基板やブレーカを収納するケースである。なお、外部の装置から分電盤610に供給された電力の値の和と、分電盤610から外部の装置に供給される電力の値の和とは、等しい。
電力計620は、商用電源600等からの電力を各電気機器400に供給する電力線に取り付けられた変流器(図示せず)を用いて、電力線を流れる電力を測定する。電力計620は、宅内インタフェース17と同様の構成を備え、宅内ネットワーク710に接続する機能を有する。さらに、電力計620は、制御装置100により制御され、制御装置100により監視される。
宅内ネットワーク710は、宅内に構築されたネットワークである。宅内ネットワーク710は、例えば、制御装置100と第1蓄電設備310と第2蓄電設備320と電気機器400と発電設備500と電力計620とが相互に通信するためのホームネットワークである。宅内ネットワーク710は、例えば、無線LAN等のネットワークである。
宅外ネットワーク720は、宅外に構築されたネットワークである。宅外ネットワーク720は、例えば、制御装置100とクラウドサーバ800とが相互に通信するためのネットワークである。宅外ネットワーク720は、例えば、インターネット等のWAN(Wide Area Network)である。
クラウドサーバ800は、クラウドコンピューティングにおけるリソースを提供するサーバである。クラウドサーバ800は、制御装置100からの要求に応答して、制御装置100に情報を供給する。また、クラウドサーバ800は、制御装置100からの要求に応答して、要求された処理を実行し、処理結果を示す情報を制御装置100に送信する。
次に、図3を参照して、実施形態1に係る制御装置100の機能について説明する。制御装置100は、機能的には、状態取得部101と、要求取得部102と、判定部103aと、選択部103bと、警告報知部104と、蓄電設備制御部105と、制限情報生成部107と、制限情報報知部108と、スケジュール管理部109と、を備える。これら各部の機能は、CPU11、ROM12、RAM13等が協働することにより実現される。また、制御装置100は、記憶部150を備える。記憶部150は、フラッシュメモリ14等の機能により実現される。
状態取得部101は、第1蓄電設備310、第2蓄電設備320、発電設備500、及び電気機器400を含む、制御装置100に接続された各機器の状態を取得する。機器の状態とは、運転状態、待機状態等である。例えば、第1蓄電設備310又は第2蓄電設備320の状態として、充電状態、放電状態、待機状態(充電状態でも放電状態でもない状態)が挙げられる。或いは、発電設備500の状態として、発電状態、待機状態(非発電状態)が挙げられる。
状態取得部101は、具体的にはポーリング方式で、各機器の状態を取得する。すなわち、状態取得部101は、定期的に、各機器に対して順番に送信すべきデータの有無を、宅内ネットワーク710及び宅内インタフェース17を介して、問い合わせる。問い合わせを受けた機器は、例えば以前に問い合わせを受けた時点の状態から異なる状態に変化している場合に、問い合わせに対する応答を返す。状態取得部101は、問い合わせを受けた機器からの応答を受信することにより、その機器の現在の状態を示す情報を取得する。また、状態取得部101は、ポーリングの順番に限らず、適宜のタイミングでいずれかの機器に状態取得要求を送信して、状態取得要求に対する応答として送信先の機器から送信された、その機器の現在の状態を示す情報を取得することもできる。或いは、例えば機器の状態が変化した際等、各機器から主体的に機器の状態を制御装置100に通知し、その通知を受信することにより、状態取得部101が各機器の状態を取得することもできる。取得した各機器の状態を示す情報は、記憶部150に記憶された機器管理データ200として格納される。
要求取得部102は、第1蓄電設備310と第2蓄電設備320とを含む、制御装置100に接続されたいずれかの機器に対する制御の要求を取得する。この制御の要求は、ユーザからの操作に従って、又は記憶部150に記憶された運転スケジュール230に従って発せられる、各機器に対する制御の要求であって、例えば各機器の状態を運転状態から待機状態に変更したり、充電状態から放電状態に変更したりする要求である。要求取得部102は、例えばユーザに操作された機器から、宅内ネットワーク710及び宅内インタフェース17を介して、制御の内容を示す情報を受け付けることにより、制御の要求を取得する。或いは、要求取得部102は、運転スケジュール230に定められた日時が到達すると、スケジュール管理部109を介して供給される、運転スケジュール230に沿った内容の制御の要求を取得する。
判定部103aは、状態取得部101によって取得された第1蓄電設備310の状態と第2蓄電設備320との状態の組み合わせが、予め禁止された組み合わせに該当するか否かを判定する。詳しくは後述するように、充電状態と放電状態とがどちらも含まれる2つの蓄電設備310,320の状態の組み合わせが、禁止された組み合わせであると定めた判定基準210が、記憶部150に予め記憶される。判定部103aは、記憶部150に記憶された判定基準210を参照して、判定処理を実行する。
選択部103bは、状態取得部101によって取得された第1蓄電設備310の状態と第2蓄電設備320との状態の組み合わせが、予め禁止された組み合わせに該当すると、判定部103aによって判定された場合、第1蓄電設備310と第2蓄電設備320とのうちから制御対象の蓄電設備を選択する。選択部103bが制御対象の蓄電設備を選択する基準の詳細については、後述する。
警告報知部104は、状態取得部101によって取得された第1蓄電設備310の状態と第2蓄電設備320との状態の組み合わせが禁止された組み合わせに該当する場合、警告を報知する。警告報知部104は、例えば警告画面をタッチスクリーン16に表示することにより、ユーザに警告を報知する。
蓄電設備制御部105は、状態取得部101によって取得された第1蓄電設備310の状態と第2蓄電設備320との状態の組み合わせが、予め禁止された組み合わせに該当すると、判定部103aによって判定された場合、選択部103bによって選択された制御対象の蓄電設備を制御して、2つ蓄電設備310,320の状態の組み合わせを、禁止された少なくとも1つの組み合わせ以外の組み合わせに変更する。具体的に説明すると、充電状態と放電状態とがどちらも含まれる組み合わせが禁止されている場合には、蓄電設備制御部105は、2つの蓄電設備310,320の状態の組み合わせを、充電状態と放電状態との少なくとも一方が含まれない組み合わせに変更する。
制限情報生成部107は、状態取得部101が取得した2つの蓄電設備310,320の状態の組み合わせに対して制限すべき制御を示す制限情報を生成する。制限情報の詳細については、後述する。制限情報報知部108は、制限情報生成部107が生成した制限情報を、例えばタッチスクリーン16に表示することにより、ユーザに報知する。
なお、制御装置100が備える各部の機能の詳細については、図7から図11及び図13、図14に示すフローチャートの説明の中で、より具体的に説明する。
記憶部150は、機器管理データ200と、判定基準210と、運転スケジュール230と、を記憶する。機器管理データ200は、HEMS1000内に備えられた各機器を制御装置100が管理するためのデータであって、各機器の状態を示す情報を格納している。判定基準210は、第1蓄電設備310の状態と第2蓄電設備320の状態との組み合わせのそれぞれについて、適切であるか不適切であるか、すなわち禁止すべき組み合わせか否かを定めたデータである。運転スケジュール230は、2つの蓄電設備310,320のそれぞれについて、充放電の状態を変更する日時等、運転のスケジュールを予め定めたデータである。運転スケジュール230は、タッチスクリーン16等を介してユーザが自由に設定することができる。
図4に、判定基準210の例を示す。判定基準210は、第1の組み合わせ(1行目)から第9の組み合わせ(9行目)まで、第1蓄電設備310の状態(bat1sts)と第2蓄電設備320の状態(bat2sts)との9通りの組み合わせについて、設定を有する。そして、9通りの組み合わせのそれぞれが適切であるか不適切であるかを、1ビットの制御禁止フラグ(stp)により設定している。なお、bat1stsは第1蓄電設備310の状態を示す4ビットのコードであり、bat2stsは第2蓄電設備320の状態を示す4ビットのコードである。
図5に、判定基準210における各ビットが表す設定内容を示す。具体的に説明すると、b0からb2のビットは、第1蓄電設備310の状態を表すためのビットであって、それぞれ第1蓄電設備310が待機状態(充放電不可状態を含む)、充電状態、放電状態であるか否かを表している。b3ビットは、第1蓄電設備310用の予備のビットである。同様に、b4からb6のビットは、第2蓄電設備320の状態bat2stsを表すためのビットであって、それぞれ第2蓄電設備320が待機状態(充放電不可状態を含む)、充電状態、放電状態であるか否かを表している。b7ビットは、第2蓄電設備320用の予備のビットである。b8ビット及びb9ビットは、優先度を表すビットである。なお、判定基準210において、b10からb14のビットは使用しないため、図4及び図5には記載していない。
以下、図4に示す判定基準210の設定内容を具体的に説明する。判定基準210は、第1の組み合わせ(1行目)において、b0ビットとb4ビットとを“1”に設定し、他のビットを全て“0”に設定している。そのため、第1の組み合わせ(1行目)は、第1蓄電設備310と第2蓄電設備320とが共に待機状態にある組み合わせに相当する。一方、判定基準210は、第6の組み合わせ(6行目)において、b1ビットとb6ビットとを“1”に設定し、他のビットを全て“0”に設定している。そのため、第6の組み合わせ(6行目)は、第1蓄電設備310が充電状態にあり、且つ、第2蓄電設備320が放電状態にある組み合わせに相当する。
判定基準210におけるb15ビットは、制御禁止フラグ(stp)を表す。制御禁止フラグに“0”と設定された行の組み合わせは、制御を禁止する必要がない適切な組み合わせであり、制御禁止フラグに“1”と設定された行の組み合わせは、制御を禁止すべき不適切な組み合わせである。
例えば、判定基準210の第1の組み合わせ(1行目)において制御禁止フラグが“0”に設定されていることは、第1蓄電設備310と第2蓄電設備320とが共に待機状態にある組み合わせを禁止されていないことを示している。一方、判定基準210の第6の組み合わせ(6行目)において制御禁止フラグが“1”に設定されていることは、第1蓄電設備310が充電状態にあり、且つ、第2蓄電設備320が放電状態にある組み合わせを禁止していることを示している。
判定基準210では、第6の組み合わせ(6行目)及び第8の組み合わせ(8行目)に対する制御禁止フラグが“1”に設定され、他の組み合わせに対する制御禁止フラグは“0”に設定されている。すなわち、判定基準210は、第1蓄電設備310と第2蓄電設備320との一方が放電状態にあり他方が充電状態にある組み合わせを禁止している。これは、2つの蓄電設備310,320において充電と放電とが同時になされると、一方の蓄電設備から他方の蓄電設備に移るだけであって、送電時の電力損失等を考慮すると、無駄に電力を損失することになるからである。そのため、判定基準210は、このような充放電が同時に存在する状態の組み合わせを禁止している。
b8ビット及びb9ビットは、禁止された組み合わせに該当する2つの蓄電設備310,320の状態の組み合わせを是正するために、2つの蓄電設備310,320のうちどちらの状態を優先して維持すべきかを表す。b8ビットが“1”に設定されている場合は、第1蓄電設備310の状態の維持を優先し、b9ビットが“1”に設定されている場合は、第2蓄電設備320の状態の維持を優先することを表す。
具体的に図4では、制御禁止フラグが“1”に設定された第8の組み合わせ(8行目)において、b9ビットが“1”に設定されている。これは、第1蓄電設備310が放電状態にあり、且つ、第2蓄電設備320が充電状態にある場合に、第1蓄電設備310の放電状態の維持よりも第2蓄電設備320の充電状態の維持を優先する、すなわち定置型の蓄電池312の放電よりも電気自動車300に搭載された蓄電池322の充電を優先することを示している。
このような判定基準210の設定は、ユーザが変更することができる。例えば図6に、判定基準210の設定画面の例を示す。制御装置100は、図6に示すような3×3のマトリクス状の設定画面を、例えばタッチスクリーン16に表示する。
図6に示す設定画面において、第1蓄電設備310と第2蓄電設備320との一方が充電状態にあり、且つ、他方が放電状態にある2つの組み合わせは、禁止されていることを示す黒丸で表示されている。これに対して、この2つの組み合わせ以外の組み合わせは、禁止されていないことを示す白丸で表示されている。このような現在の設定状況において、例えばユーザが第1蓄電設備310と第2蓄電設備320とが共に充電状態にある組み合わせを新たに禁止したい場合には、3×3のマトリックスにおける中央のセルを指等でタッチすることで、設定を変更することができる。なお、必要に応じて、推奨すべき設定や、ユーザが変更不可能な設定を予め設けてもよい。
次に、図7及び図8に示すフローチャートを参照して、実施形態1に係る制御装置100が実行する機器管理処理について説明する。CPU11は、例えば、電源が投入されたことに応答して、図7に示す機器管理処理を開始する。
機器管理処理を開始すると、CPU11は、制御装置100に接続された機器の中から機器を1つ選択する(ステップS11)。制御装置100に接続された機器とは、電気機器400、第1蓄電設備310、第2蓄電設備320、及び発電設備500等の、HEMS1000に備えられた、制御装置100が管理する機器である。
機器を1つ選択すると、CPU11は、状態取得部101として機能して、選択した機器の状態取得処理を実行する(ステップS12)。状態取得処理の詳細については、図9に示すフローチャートを参照して説明する。
図9に示すフローチャートにおいて、CPU11は、ステップS11において選択した機器が蓄電設備であるか否かを判定する(ステップS101)。
選択した機器が蓄電設備でない場合(ステップS101;NO)、CPU11は、選択した機器の現在の状態を取得する(ステップS102)。機器の現在の状態とは、運転状態や待機状態等である。CPU11は、制御装置100に接続された機器のうちの選択した機器に、宅内ネットワーク710及び宅内インタフェース17を介して、状態取得の問い合わせを送信する。そして、問い合わせに対する応答を送信先の機器から受信することにより、その機器の現在の状態を示す情報を取得する。選択した機器が蓄電設備でない場合には、選択した機器の現在の状態が取得されると、図9に示した状態取得処理は終了する。
一方、選択した機器が蓄電設備である場合(ステップS101;YES)、CPU11は、選択した蓄電設備の現在の状態を取得する(ステップS103)。具体的に説明すると、CPU11は、第1蓄電設備310と第2蓄電設備320とのうちのいずれかを選択した場合、選択した蓄電設備が充電状態、放電状態、待機状態のどの状態にあるか否かの情報を取得する。
選択した蓄電設備の現在の状態を取得すると、CPU11は、選択した蓄電設備の現在の状態は以前の状態から変化しているか否かを判定する(ステップS104)。選択した蓄電設備の以前の状態を示す情報は、以前に状態を取得した際に、後述する状態判定コードとしてRAM13等に記憶されている。CPU11は、記憶された状態判定コードから、選択した蓄電設備の以前の状態を取得して、取得した以前の状態を新たに取得した現在の状態と比較することにより、選択した蓄電設備の状態が以前の状態から変化しているか否かを判定する。
選択した蓄電設備の状態が以前の状態から変化している場合(ステップS104;YES)、CPU11は、状態変化コードを、選択した蓄電設備を示す情報に設定する(ステップS105)。状態変化コードとは、最後に状態が変化した蓄電設備が2つの蓄電設備310,320のどちらであるかを示す1ビットのコードである。CPU11は、選択した蓄電設備が第1蓄電設備310であって、その状態が以前の状態から変化している場合、状態変化コードを“0”に設定し、選択した蓄電設備が第2蓄電設備320であって、その状態が以前の状態から変化している場合、状態変化コードを“1”に設定する。
一方で、ステップS104において選択した蓄電設備の状態が以前の状態から変化していない場合(ステップS104;NO)、CPU11は、ステップS105の処理をスキップしてステップS106の処理に移る。
ステップS106において、CPU11は、取得した状態によって、状態判定コードを設定する(ステップS106)。これにより、2つの蓄電設備310,320の状態を組み合わせた組み合わせを構築する。状態判定コードは、2つの蓄電設備310,320の現在の状態を組み合わせた組み合わせを示す8ビットのコードである。状態判定コードは、第0ビットから第3ビットに第1蓄電設備310の現在の状態を表し、第4ビットから第7ビットに第2蓄電設備320の現在の状態を表す。
例えば、第1蓄電設備310の現在の状態が放電状態である場合、CPU11は、第1蓄電設備310の状態判定コードの第0ビットから第3ビットを“0100”と設定する。また、第2蓄電設備320の現在の状態が待機状態である場合、CPU11は、第2蓄電設備320の状態判定コードの第4ビットから第7ビットを“0001”と設定する。その結果、後述する図11に示すように、b0ビットからb7ビットが“00010100”と設定された8ビットの状態判定コードが生成される。
状態判定コードを設定すると、図9に示した状態取得処理は終了する。状態取得処理を終了すると、制御装置100が実行する機器管理処理は、図7に示すフローチャートの処理に戻る。
ステップS12において状態取得処理を終了すると、CPU11は、要求取得部102として機能して、制御要求フラグを取得する(ステップS13)。そして、取得した制御要求フラグに基づいて、接続された機器の中でいずれかの機器への制御要求があるか否かを判定する(ステップS14)。
制御要求フラグは、制御装置100が制御可能な機器毎に設けられたフラグである。いずれかの機器をユーザが操作したり、予め定められた運転スケジュールに従った制御要求が発せられたりすると、制御対象(操作対象)の機器の制御要求フラグがセットされる。一方、制御要求がない機器については、制御要求フラグがクリアされる。CPU11は、接続された各機器に対応する制御要求フラグがセットされているか否かによって、いずれかの機器への制御要求があるか否かを判定する。
制御要求がない場合(ステップS14;NO)、続いてCPU11は、情報取得エラーがあったか否かを判定する(ステップS15)。すなわち、CPU11は、選択した機器の状態を正常に取得できたかを判定する。
ステップS15において情報取得エラーがなかった場合(ステップS15;NO)、CPU11は、取得した情報に基づいて、機器管理データ200を更新する(ステップS16)。すなわち、CPU11は、選択した機器の現在の状態が以前に取得した状態から変わっている場合には、機器管理データ200として格納された以前の状態を示す情報を、現在の状態を示す情報に書き換える。そして、処理をステップS20に移す。
一方、情報取得エラーがあった場合(ステップS15;YES)、CPU11は、再度の取得を試みる。具体的に説明すると、CPU11は、状態取得のリトライ回数を示す変数iの値が、予め定められた上限数を超えたか否かを判定する(ステップS17)。この変数iの値は、初期状態では0に設定されている。
リトライを1回もしていない場合等、リトライ回数が上限数を超えていない場合には(ステップS17;NO)、CPU11は、リトライ回数を示す変数iの値をインクリメントして(ステップS18)、機器管理処理をステップS12に戻す。すなわち、選択した機器の状態の取得を再度試みて、正常に取得できたか否かを判定する。
上限数リトライしても尚、選択した機器から状態を取得できない場合、すなわちステップS17においてリトライ回数が上限数を超えた場合(ステップS17;YES)、CPU11は、選択した機器の状態取得のリトライを止めて、リトライ回数を示す変数iの値を0に初期化する(ステップS19)。そして、CPU11は、選択した機器の状態を取得できなかったため、機器管理データ200を更新せずに、機器管理処理をステップS20に移す。
ステップS20では、CPU11は、再度、要求取得部102として機能する。すなわち、CPU11は、制御要求フラグを取得して(ステップS20)、取得した制御要求フラグに基づいて、接続された機器の中でいずれかの機器への制御要求があるか否かを判定する(ステップS21)。このステップS20,S21の処理は、ステップS13,S14の処理と同様である。このように、CPU11は、選択した機器から状態を取得している間、いずれかの機器の制御要求が発せられたか否かを絶えず監視する。
制御要求がない場合(ステップS21;NO)、続いてCPU11は、接続された全ての機器を選択済みであるか否かを判定する(ステップS22)。
接続された全ての機器を選択済みでない場合(ステップS22;NO)、CPU11は、接続された機器の中で未選択の機器を1つ選択して(ステップS23)、機器管理処理をステップS12に戻す。すなわち、CPU11は、新たに選択した機器について、上述したステップS12〜S21の処理を実行する。このように、CPU11は、接続された全ての機器について、状態を取得して、機器管理データ200を更新する処理を繰り返す。
最終的に、接続された全ての機器を選択し終わると(ステップS22;YES)、制御装置100が実行する機器管理処理は、図8に示すフローチャートに移る。
図8に示すフローチャートにおいて、接続された全ての機器を選択し終わると、CPU11は、組み合わせ判定処理を実行して、取得した機器の状態の組み合わせが禁止された組み合わせに該当するか否かを判定する(ステップS24)。組み合わせ判定処理の詳細については、図10に示すフローチャートを参照して説明する。
図10に示すフローチャートにおいて、組み合わせ判定処理を開始すると、CPU11は、判定部103aとして機能する。すなわち、CPU11は、判定基準210を参照して、2つの蓄電設備310,320の現在の状態の組み合わせが、禁止された組み合わせに該当するか否かを判定する(ステップS201)。
具体的に説明すると、CPU11は、ステップS106において各蓄電設備の現在の状態を取得する際に設定した状態判定コードと、判定基準210における2つの蓄電設備310,320の状態を表すb0ビットからb7ビットとを、判定基準210の第1の組み合わせ(1行目)から順に比較する。そして、状態判定コードと判定基準210のb0ビットからb7ビットとが一致する行の制御禁止フラグ(stp)を参照する。参照の結果、CPU11は、制御禁止フラグが“0”に設定されている場合に、2つの蓄電設備310,320の現在の状態の組み合わせが禁止された組み合わせに該当しないと判定し、制御禁止フラグが“1”に設定されている場合に、2つの蓄電設備310,320の現在の状態の組み合わせが禁止された組み合わせに該当すると判定する。
例えば図11に示すように、状態判定コードが“00010100”と設定された場合には、この状態判定コードは、判定基準210における第7の組み合わせ(7行目)に一致する。第7の組み合わせにおける制御禁止フラグは“0”に設定されているため、CPU11は、2つの蓄電設備310,320の現在の状態の組み合わせが、禁止された組み合わせに該当しないと判定する。
判定の結果、2つの蓄電設備310,320の現在の状態の組み合わせが禁止された組み合わせに該当しないと判定した場合(ステップS202;NO)、2つの蓄電設備310,320の現在の状態を是正する必要はない。そのため、この場合、CPU11は、2つの蓄電設備310,320のどちらの状態も変更せずに、図10に示した組み合わせ判定処理を終了する。
一方、判定の結果、2つの蓄電設備310,320の現在の状態の組み合わせが禁止された組み合わせに該当すると判定した場合(ステップS202;YES)、2つの蓄電設備310,320の現在の状態を是正して、2つの蓄電設備310,320の状態の組み合わせを、禁止されていない組み合わせに変更する必要がある。そのため、この場合、CPU11は、状態変更処理を実行する(ステップS203)。状態変更処理の詳細については、図13に示すフローチャートを参照して説明する。
図13に示すフローチャートにおいて、状態変更処理を開始すると、CPU11は、まず警告報知部104として機能する。すなわち、CPU11は、2つの蓄電設備310,320の現在の状態の組み合わせが禁止された組み合わせである旨を示す警告を報知して、ユーザ操作を要求する(ステップS301)。
CPU11は、例えば図12に示すように、「現在、2つの蓄電設備の状態の組み合わせが禁止された組み合わせになっています。どちらかの蓄電設備の状態を変更して下さい。3分以内に状態が変更されない場合、自動的に第1蓄電設備が待機状態に変更されます。」との警告メッセージと共に、蓄電設備制御画面へ移るための操作パネルを、タッチスクリーン16に表示する。また、CPU11は、アラーム音を発したりすることにより警告を報知してもよい。或いは、CPU11は、警告を示す情報をユーザに操作されている機器に送信し、ユーザに操作されている機器において、画面表示又はアラーム音等により警告を報知してもよい。
警告を報知してユーザ操作を要求すると、CPU11は、計時を開始する(ステップS302)。そして、CPU11は、要求取得部102として機能し、いずれかの機器に対するユーザ操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS303)。
ユーザ操作を受け付けない場合(ステップS303;NO)、CPU11は、計時開始から予め定められた制限時間(図12の例では3分)が経過したか否かを判定する(ステップS304)。判定の結果、制限時間が経過していない場合(ステップS304;NO)、CPU11は、ステップS303の処理に戻って、制限時間が経過するまでユーザ操作を受け付ける。
制限時間が経過するまでにユーザ操作を受け付けると(ステップS303;YES)、CPU11は、ユーザ操作に従って、接続された機器のうちの制御対象の機器を制御する(ステップS305)。例えば、第1蓄電設備310の状態を変更する操作を受け付けた場合、CPU11は、選択部103bとして機能して、第1蓄電設備310を制御対象の蓄電設備として選択し、さらに蓄電設備制御部105として機能して、第1蓄電設備310の状態を、受け付けた操作に従って変更する。そして、図13に示した状態変更処理を終了する。すなわち、警告を報知してから制限時間が経過するまでに、いずれかの機器に対するユーザからの操作が割り込まれた場合、ユーザからの操作に従った制御を優先し、制御装置100自身による状態変更処理を実行しない。
一方、制限時間が経過してもユーザ操作を受け付けない場合(ステップS304;YES)、CPU11は、制御装置100自身による状態変更処理を実行する。具体的に説明すると、CPU11は、選択部103bとして機能し、判定基準210を参照して、2つの蓄電設備310,320の少なくともいずれかに優先度が設定されているか否かを判定する(ステップS306)。
例えば、図4に示した判定基準210における第8の組み合わせ(8行目)は、制御禁止フラグが“1”に設定された禁止された組み合わせであって、b9ビットがいずれも“1”に設定されている。そのため、2つの蓄電設備310,320の状態の組み合わせが第8の組み合わせに該当する場合、すなわち第1蓄電設備310が放電状態にあり、且つ、第2蓄電設備320が充電状態にある場合、CPU11は、優先度が設定されていると判定する。
優先度が設定されていると判定した場合(ステップS306;YES)、CPU11は、2つの蓄電設備310,320のうち、低い優先度が設定された蓄電設備を選択する(ステップS307)。具体的に説明すると、2つの蓄電設備310,320の状態の組み合わせが、図4に示した判定基準210における第8の組み合わせに該当する場合、第2蓄電設備320を優先するb9ビットが“1”に設定されているため、低い優先度が設定された蓄電設備は、第1蓄電設備310である。そのため、CPU11は、放電状態にある第1蓄電設備310を、状態を変更すべき蓄電設備として選択する。
一方で、図4に示した判定基準210における第6の組み合わせ(6行目)は、制御禁止フラグが“1”に設定された禁止された組み合わせであるが、b8ビット及びb9ビットがいずれも“0”に設定されている。そのため、2つの蓄電設備310,320の状態の組み合わせが第6の組み合わせに該当する場合、すなわち第1蓄電設備310が充電状態にあり、且つ、第2蓄電設備320が放電状態にある場合、CPU11は、優先度が設定されていないと判定する。
優先度が設定されていないと判定した場合(ステップS306;NO)、CPU11は、2つの蓄電設備310,320のうち、最後に状態が変化した方でない蓄電設備を選択する(ステップS308)。
具体的に説明すると、CPU11は、ステップS106において設定された状態変化コードを参照して、最後に状態が変化した蓄電設備が2つの蓄電設備310,320のどちらであるかを特定する。そして、最後に状態が変化した蓄電設備でない方の蓄電設備を、状態を変更すべき蓄電設備として選択する。これは、最後に状態が変化した蓄電設備の方が現在の状態を優先して維持すべきである可能性が高いため、最後に状態が変化した蓄電設備でない方の蓄電設備の状態を変えた方が、ユーザにとって都合がよい場合が多いと考えられるからである。
ステップS307又はステップS308において2つの蓄電設備310,320のいずれかを選択すると、CPU11は、蓄電設備制御部105として機能し、選択した蓄電設備を制御して、選択した蓄電設備の状態を待機状態に変更する(ステップS309)。これにより、2つの蓄電設備310,320の状態の組み合わせを、禁止された組み合わせから禁止された組み合わせ以外の組み合わせに変更する。
このように2つの蓄電設備310,320の状態を是正すると、図13に示した状態変更処理を終了して、図10に示した組み合わせ判定処理に戻る。そして、図10に示したフローチャートにおいて、組み合わせ判定処理、及びその判定結果に応じて実行する状態変更処理を終了すると、制御装置100が実行する機器管理処理は、図8に示すフローチャートの処理に戻る。
ステップS24において、状態変更処理を終えると、CPU11は、制限情報生成処理を実行する(ステップS25)。制限情報とは、2つの蓄電設備310,320の現在の状態の組み合わせに対して制限すべき制御を示す情報である。例えば、第1蓄電設備310が放電状態にあるときは第2蓄電設備320を充電状態に移行すべきではないし、第2蓄電設備320が放電状態にあるときは第1蓄電設備310を充電状態に移行すべきではない。制限情報は、このように2つの蓄電設備310,320の状態の組み合わせを、現在の組み合わせから禁止された組み合わせに移行させるため制限すべき制御を示す。制限情報生成処理の詳細については、図14に示すフローチャートを参照して説明する。
図14に示すフローチャートにおいて、制限情報生成処理を開始すると、CPU11は、状態取得部101として機能して、機器管理データ200として格納されている各機器の状態を示す情報の中から、第1蓄電設備310の現在の状態を取得し(ステップS401)、続いて第2蓄電設備320の現在の状態を取得する(ステップS402)。
そして、CPU11は、第1蓄電設備310の制限情報及び第2蓄電設備320の制限情報を初期化する(ステップS403)。具体的に説明すると、CPU11は、第1蓄電設備310の制限情報を示す4ビットのコードであるbat1continfの値と、第2蓄電設備320の制限情報を示す4ビットのコードであるbat2continfの値とを、共に“0000”に初期化する。
制限情報を初期化すると、CPU11は、判定基準210を参照して、第1蓄電設備310の現在の状態に対する第2蓄電設備320の制限情報を生成する(ステップS404)。
例えば図15に示すように、第1蓄電設備310が放電状態にある場合は、第1蓄電設備310の現在の状態を示すコードであるbat1stsの値“0100”は、判定基準210の第7から第9の組み合わせ(点線で囲った7行目から9行目)におけるb0からb3のビットと一致する。第7から第9の組み合わせのうち、第8の組み合わせ(8行目)に対する制御禁止フラグ(stp)は、点線で囲ったように“1”に設定されている。そのため、第1蓄電設備310が放電状態にある場合は、第2蓄電設備320の充電状態が制限されている。この場合、第2蓄電設備320の制限情報を示すコードであるbat2continfの値は、初期化値“0000”から、第8の組み合わせ(8行目)の第2蓄電設備320の状態を示すコードであるbat2stsの値“0010”に変更される。これにより、第1蓄電設備310が放電状態にある場合は、第2蓄電設備320の充電状態が制限されることが、第2蓄電設備320の制限情報に設定される。
なお、第1蓄電設備310の現在の状態を示すコードであるbat1stsの値に対して、制限すべき第2蓄電設備320の状態が複数ある場合には、制限すべき第2蓄電設備320の複数の状態を示すコードであるbat2stsの値のOR(論理和)をとって第2蓄電設備320の制限情報を示すコードであるbat2continfを生成する。これにより、制限すべき複数の状態を、第2蓄電設備320の制限情報に設定することができる。例えば、第1蓄電設備310が充電状態にある場合において、第2蓄電設備320の充電状態(bat2sts=“0010”)と放電状態(bat2sts=“0100”)とをどちらも制限する場合には、第2蓄電設備320の制限情報を示すコードであるbat2continfの値を、“0010”と“0100”とのOR(論理和)をとった値“0110”に設定する。これにより、制限すべき複数の状態を表すことができる。
第2蓄電設備320の制限情報を生成すると、CPU11は、判定基準210を参照して、第2蓄電設備320の現在の状態に対する第1蓄電設備310の制限情報を生成する(ステップS405)。
すなわち、第2蓄電設備320の制限情報を生成したステップS404と同様に、CPU11は、取得した第2蓄電設備320の現在の状態を示すコードであるbat2stsと、判定基準210における第2蓄電設備320の状態用のb4からb7のビットを、判定基準210の第1の組み合わせ(1行目)から順に比較する。そして、第2蓄電設備320の現在の状態を示すコードであるbat2stsの値と一致する行の制御禁止フラグ(stp)を参照して、第2蓄電設備320の現在の状態に対して制限すべき第1蓄電設備310の状態を特定した第1蓄電設備310の制限情報を示すコードであるbat1continfを生成する。
例えば図15に示したように、第2蓄電設備320が待機状態にある場合は、第2蓄電設備320の現在の状態を示すコードであるbat1stsの値“0001”は、判定基準210における第1の組み合わせ(1行目)、第4の組み合わせ(4行目)及び第7の組み合わせ(7行目)の設定と一致する。これらの組み合わせ(1行目、4行目及び7行目)において、制御禁止フラグ(stp)は“0”に設定されているため、第2蓄電設備320が待機状態にある場合は、制限すべき第1蓄電設備310の状態はない。この場合、第1蓄電設備310の制限情報を示すコードであるbat1continfは“0000”のまま変更されない。
このように第1蓄電設備310の制限情報と第2蓄電設備320の制限情報とを生成すると、CPU11は、図14に示した制限情報生成処理を終了する。制限情報生成処理を終了すると、制御装置100が実行する機器管理処理は、図8に示すフローチャートの処理に戻る。
ステップS25において制限情報生成処理を終了すると、CPU11は、制限情報報知部108として機能する。すなわち、CPU11は、2つの蓄電設備310,320の現在の状態と生成した制限情報とを報知する(ステップS26)。具体的にCPU11は、2つの蓄電設備310,320の現在の状態と生成した制限情報とを、タッチスクリーン16、又はユーザに操作されている機器側のユーザインタフェース(以下、タッチスクリーン16等という。)に表示することにより、ユーザに報知する。
図16に、具体的な表示例を示す。CPU11は、図16に示すように、第1蓄電設備310と第2蓄電設備320の現在の状態(待機状態、充電状態、放電状態のいずれか)と、それぞれの現在の状態に対して制限すべき状態と、を示す情報を、タッチスクリーン16等に表示する。具体的に図16の例では、CPU11は、第1蓄電設備310は現在放電状態にあるため、第2蓄電設備320を充電状態に移行させるべきではないことを、制限情報としてユーザに報知している。一方で、CPU11は、第2蓄電設備320は現在待機状態にあるため、制限すべき第1蓄電設備310の制御はないことをユーザに報知している。このように、CPU11は、蓄電設備の現在の状態に対して実行すべきでない不適切な制御を示す制限情報をユーザに報知する。
この後、CPU11は、機器管理データ200を更新して(ステップS27)、機器管理処理をステップS11に戻す。すなわち、CPU11は、引き続き、接続された各機器の状態を取得して、新たに取得した状態に基づいて制限情報を生成して表示する処理を繰り返す。
一方、このように各機器の状態を取得する最中において、いずれかの機器の制御要求があった場合、すなわち例えば図7に示したフローチャートにおけるステップS14において制御要求があった場合(ステップS14;YES)、又は、ステップS21において制御要求があった場合(ステップS21;YES)、制御装置100が実行する機器管理処理は、図8に示したフローチャートにおけるステップS28に移行する。
制御要求があった場合(ステップS14,S21;YES)、CPU11は、取得した制御要求が蓄電設備に対する制御要求であるか否かを判定する(ステップS28)。判定の結果、取得した制御要求が蓄電設備に対する制御要求でない場合(ステップS28;NO)、CPU11は、取得した制御要求に従って制御対象の機器を制御する(ステップS29)。
一方、取得した制御要求が蓄電設備に対する制御要求である場合(ステップS28;YES)、CPU11は、選択部103b及び蓄電設備制御部105として機能する。すなわち、CPU11は、2つの蓄電設備310,320のうちから制御対象の蓄電設備を選択して、取得した制御要求に従って、制御対象の蓄電設備を制御する(ステップS30)。
ステップS28において蓄電設備以外の機器を制御すると、又は、ステップS30において制御対象の蓄電設備を制御すると、CPU11は、制御後の機器の状態を取得して(ステップS31)、制御結果が正常か否かを判定する(ステップS32)。すなわち、CPU11は、取得した制御要求に従って制御対象の機器を制御できたか否かを確認する。
制御結果が正常である場合(ステップS32;YES)、CPU11は、機器管理処理をステップS25に移す。すなわち、CPU11は、制御後の機器の状態を反映させた制限情報を新たに生成して、制御後の機器の状態と共にタッチスクリーン16等に表示する。
制御結果が正常でない場合(ステップS32;NO)、CPU11は、その旨を示すエラーを、タッチスクリーン16等に表示することにより、ユーザに報知する(ステップS33)。そして、CPU11は、機器管理処理をステップS27に移して、機器管理データ200を更新した後、機器管理処理をステップS11に戻す。すなわち、CPU11は、引き続き、接続された各機器の状態を取得しつつ、制御要求に従って各機器を制御する処理を繰り返す。
以上説明したように、実施形態1に係る制御装置100は、2つの蓄電設備310,320の一方が充電状態にあり、且つ他方が放電状態にある場合、2つの蓄電設備310,320のうちの一方を制御して、2つの蓄電設備310,320の状態の組み合わせを、充電状態と放電状態との一方が含まれない組み合わせに変更する。その結果、実施形態1に係る制御装置100は、2つの蓄電設備310,320の状態の組み合わせが、充電と放電とを同時に実行される不適切な組み合わせになっていたとしても、その組み合わせを是正することができる。
その際、実施形態1に係る制御装置100は、制御対象の蓄電設備として、優先度が予め設定されている場合には、2つの蓄電設備310,320のうち優先度が低い方の蓄電設備を選択し、優先度が設定されていない場合には、2つの蓄電設備310,320のうち最後に状態が変化した蓄電設備を選択する。すなわち、実施形態1に係る制御装置100は、2つの蓄電設備310,320のうち優先して状態を維持すべき蓄電設備の状態を変更しないように、制御対象の蓄電設備を選択する。その結果、2つの蓄電設備310,320の状態の組み合わせが禁止された組み合わせになっていた場合に、複数の蓄電設備のうちから制御対象の蓄電設備を状況に応じて適切に選択して、2つの蓄電設備310,320の状態の組み合わせを是正することができる。
(実施形態2)
次に、本発明の実施形態2について説明する。
上述した実施形態1では、制御装置100は、記憶部150に1つの判定基準210を保持していた。これに対して、実施形態2に係る制御装置は、設定が異なる複数の判定基準を記憶部に保持し、状況に応じて複数の判定基準のうちから選択された判定基準に従って、2つの蓄電設備310,320を制御する。以下、説明する。
図17を参照して、実施形態2に係る制御装置の機能について説明する。実施形態1における構成と同様の構成については、適宜説明を省略する。実施形態2に係る制御装置110は、機能的には、状態取得部101と、要求取得部102と、判定部103aと、選択部103bと、警告報知部104と、蓄電設備制御部105と、制限情報生成部107と、制限情報報知部108と、スケジュール管理部109と、を備える。これら各部の機能は、CPU11、ROM12、RAM13等が協働することにより実現される。また、制御装置110は、記憶部151を備える。記憶部151は、フラッシュメモリ14等の機能により実現される。
記憶部151は、機器管理データ200と、第1判定基準211と、第2判定基準212と、第3判定基準213と、を記憶する。機器管理データ200は、HEMS1000内に備えられた各機器を制御装置110が管理するためのデータであって、各機器の状態を示す情報を格納している。第1判定基準211、第2判定基準212、及び第3判定基準213は、それぞれ第1蓄電設備310の状態と第2蓄電設備320の状態との組み合わせのそれぞれについて、適切か不適切か、すなわち禁止すべき組み合わせか否かを設定した、互いに設定が異なる判定基準である。
図18A、図18B、及び図18Cに、それぞれ第1判定基準211、第2判定基準212、及び第3判定基準213の例を示す。各判定基準は、実施形態1における判定基準210と同様に、第1の組み合わせ(1行目)から第9の組み合わせ(9行目)まで、第1蓄電設備310の状態(bat1sts)と第2蓄電設備320の状態(bat2sts)との9通りの組み合わせについて、設定を有する。そして、9通りの組み合わせのそれぞれが適切であるか不適切であるかを、1ビットの制御禁止フラグ(stp)により設定している。各判定基準における各ビットが表す設定内容は、図5に示したものと同じである。
図18Aに示す第1判定基準211は、通常時(デフォルト時)に用いられる、3つの判定基準211,212,213の中で最も制限が大きい判定基準である。第1判定基準211の設定内容は、実施形態1における判定基準210と同じである。すなわち、第1判定基準211は、第1蓄電設備310と第2蓄電設備320との一方が放電状態にあり他方が充電状態にある組み合わせを禁止している。
図18Bに示す第2判定基準212は、予め定められた第1の条件が満たされた場合に用いられる判定基準である。この第1の条件は、第1判定基準211において禁止された一部の組み合わせを禁止しないことを所望するユーザから、第2判定基準212の選択操作を受け付けた場合に、満たされる。
具体的に説明すると、第2判定基準212は、第6の組み合わせ(6行目)において、第1蓄電設備310が充電状態にあり、且つ第2蓄電設備320が放電状態にある組み合わせを禁止しているが、第1判定基準211と異なり、第8の組み合わせ(8行目)において、第1蓄電設備310が放電状態にあり、且つ第2蓄電設備320が充電状態にある組み合わせを禁止していない。
すなわち、第2判定基準212は、定置型の第1蓄電設備310から電気自動車300内の第2蓄電設備320に電力を移動することを禁止していない。2つの蓄電設備310,320の一方から他方に電力が移動することは一見無駄のように見えるが、ユーザが電気自動車300を迅速に充電させたい場合等も考えられるため、定置型の蓄電池312から電気自動車300内の蓄電池322に電力を移動することは、状況によっては不適切ではないからである。
図18Cに示す第3判定基準213は、予め定められた第2の条件が満たされた場合に用いられる判定基準である。この第2の条件は、停電時や緊急情報受信時等の緊急時であるとの予め定められた条件が満たされた場合に、満たされる。
具体的に説明すると、第3判定基準213は、b15ビットの制御禁止フラグを全て“0”に設定している。すなわち、第3判定基準213は、全ての組み合わせを禁止しておらず、2つの蓄電設備310,320に対する全ての組み合わせを許可している。
このように、第2判定基準212及び第3判定基準213は、第1判定基準211において禁止された1以上の組み合わせを禁止していないため、制限を緩和した設定を有する。蓄電設備制御部105は、第1又は第2の条件が満たされたか否かに応じて、3つの判定基準211,212,213の中から最適な判定基準を選択し、2つの蓄電設備310,320の状態の組み合わせが禁止された組み合わせに該当するか否かを判定する。蓄電設備制御部105は、2つの蓄電設備310,320の状態の組み合わせが、選択した判定基準において禁止された組み合わせに該当すると、判定部103aによって判定された場合、2つの蓄電設備310,320のうちのどちらかを制御して、2つの蓄電設備310,320の状態の組み合わせを、選択した判定基準において禁止されない組み合わせに変更する。
より詳細に説明すると、判定部103aは、制限を緩和すべき予め定められた条件である第1の条件と第2の条件とがいずれも満たされていない場合、第1判定基準211を参照して、2つの蓄電設備310,320の状態の組み合わせが禁止された組み合わせに該当するか否かを判定する。蓄電設備制御部105は、2つの蓄電設備310,320の状態の組み合わせが禁止された組み合わせに該当していれば、その組み合わせを、第1判定基準211において禁止された組み合わせ以外の組み合わせに変更する。
一方、蓄電設備制御部105は、第1の条件が満たされている場合、第2判定基準212を参照する。そのため、2つの蓄電設備310,320の状態の組み合わせが、第1判定基準211において禁止された組み合わせのうちの一部に該当していたとしても、その組み合わせを変更しない。さらに、蓄電設備制御部105は、第2の条件が満たされている場合、第3判定基準213を参照する。そのため、2つの蓄電設備310,320の状態の組み合わせが、第1判定基準211において禁止された組み合わせのうちのいずれに該当していたとしても、その組み合わせを変更しない。
次に、図19に示すフローチャートを参照して、実施形態2に係る制御装置110が実行する組み合わせ判定処理について説明する。なお、実施形態2に係る制御装置110が実行する機器管理処理は、図7及び図8のフローチャートに示した実施形態1に係る制御装置100が実行する各処理と同様であるため、説明を省略する。
組み合わせ判定処理を開始すると、CPU11は、第2判定基準の選択指示があったか否かを判定する(ステップS501)。すなわち、CPU11は、制限を緩和すべき第1の条件として、第2判定基準212の選択指示をユーザから受け付けているか否かを判定する。ユーザは、例えば制御装置110に備えられたタッチスクリーン16を介して、適宜のタイミングで第2判定基準212を選択する指示を入力することができる。判定の結果、第2判定基準212が選択されていると判定した場合(ステップS501;YES)、CPU11は、参照する判定基準として第2判定基準212を選択する(ステップS502)。
一方で、第2判定基準212が選択されていないと判定した場合(ステップS501;NO)、続いてCPU11は、緊急時であるか否かを判定する(ステップS503)。すなわち、CPU11は、制限を緩和すべき第2の条件として、緊急時であるとの予め定められた条件が満たされたか否かを判定する。例えば、CPU11は、商用電源600からの電力供給が停止した場合、及び緊急情報を受信した場合等に、緊急時であると判定する。
判定の結果、緊急時であると判定した場合(ステップS503;YES)、CPU11は、参照する判定基準として第3判定基準213を選択する(ステップS504)。一方で、緊急時でないと判定した場合(ステップS503;NO)、CPU11は、参照する判定基準として第1判定基準211を選択する(ステップS505)。
第1判定基準211、第2判定基準212、又は第3判定基準213のいずれかを選択すると、CPU11は、選択した判定基準を参照して、2つの蓄電設備310,320の現在の状態の組み合わせが、禁止された組み合わせに該当するか否かを判定する(ステップS506)。
具体的に説明すると、CPU11は、ステップS106において各蓄電設備の現在の状態を取得する際に設定した状態判定コードと、選択した判定基準におけるb0ビットからb7ビットとを、選択した判定基準の第1の組み合わせ(1行目)から順に比較する。そして、状態判定コードと選択した判定基準のb0ビットからb7ビットとが一致する行の制御禁止フラグ(stp)を参照する。参照の結果、CPU11は、制御禁止フラグが“0”に設定されている場合に、2つの蓄電設備310,320の現在の状態の組み合わせが禁止された組み合わせに該当しないと判定し、制御禁止フラグが“1”に設定されている場合に、2つの蓄電設備310,320の現在の状態の組み合わせが禁止された組み合わせに該当すると判定する。
判定の結果、2つの蓄電設備310,320の現在の状態の組み合わせが禁止された組み合わせに該当しないと判定した場合(ステップS507;NO)、2つの蓄電設備310,320の現在の状態を是正する必要はない。そのため、この場合、CPU11は、2つの蓄電設備310,320のどちらの状態も変更せずに、図19に示した組み合わせ判定処理を終了する。
一方、判定の結果、2つの蓄電設備310,320の現在の状態の組み合わせが禁止された組み合わせに該当すると判定した場合(ステップS507;YES)、2つの蓄電設備310,320の現在の状態を是正して、2つの蓄電設備310,320の状態の組み合わせを、禁止されていない組み合わせに変更する必要がある。そのため、この場合、CPU11は、状態変更処理を実行する(ステップS508)。
状態変更処理の詳細については、実施形態1において図13のフローチャートを参照して説明した処理と同様である。すなわち、CPU11は、2つの蓄電設備310,320のうちから制御対象の蓄電設備を、予め設定された優先度等に基づいて選択する。そして、選択した制御対象の蓄電設備を制御して、2つの蓄電設備310,320の状態の組み合わせを、選択した判定基準において禁止された組み合わせ以外の組み合わせに変更する。状態変更処理を実行すると、図19に示した組み合わせ判定処理は終了する。
以上説明したように、実施形態2に係る制御装置110は、3つの判定基準211,212,213を保持し、通常は第1判定基準211に従って、2つの蓄電設備310,320の状態の組み合わせが禁止された組み合わせにならないように2つの蓄電設備310,320を制御する。一方で、ユーザによって選択操作された時や、災害情報受信時等の緊急時には、第1判定基準211とは禁止された組み合わせが異なる第2判定基準212又は第3判定基準213に従って、2つの蓄電設備310,320の状態の組み合わせが禁止された組み合わせに該当するか否かを判定する。
その結果、実施形態2に係る制御装置110は、2つの蓄電設備310,320の状態の組み合わせが禁止された組み合わせか否かを、様々な状況に応じて柔軟に判定することができる。そして、2つの蓄電設備310,320の状態の組み合わせが禁止された組み合わせになっている場合に、その状態を是正することができる。
(実施形態3)
次に、本発明の実施形態3について説明する。
上述した実施形態1,2では、制御装置100は、2つの蓄電設備310,320の状態の組み合わせが予め禁止された組み合わせのいずれかに該当する場合に、2つの蓄電設備310,320のうちの一方を制御して、2つの蓄電設備310,320の状態の組み合わせを、禁止された組み合わせ以外の組み合わせに変更した。これに対して実施形態3に係る制御装置は、2つの蓄電設備310,320の状態だけでなく、発電設備500の発電状態等も組み合わせた組み合わせが予め禁止された組み合わせのいずれかに該当する場合に、2つの蓄電設備310,320のうちの一方を制御して、不適切な状態を是正する。以下、説明する。
図20を参照して、実施形態3に係る制御装置の機能について説明する。なお、実施形態1又は2における構成と同様の構成については、適宜説明を省略する。実施形態3に係る制御装置120は、機能的には、状態取得部101と、要求取得部102と、判定部103aと、選択部103bと、警告報知部104と、蓄電設備制御部105と、スケジュール管理部109と、発電情報取得部121と、料金情報取得部122と、を備える。これら各部の機能は、CPU11、ROM12、RAM13等が協働することにより実現される。また、制御装置120は、記憶部152を備える。記憶部152は、フラッシュメモリ14等の機能により実現される。なお、制御装置120は、実施形態1,2と同様に、制限情報生成部107及び制限情報報知部108も備えるが、理解を容易にするため、図18には示していない。
発電情報取得部121は、発電設備500の発電情報を取得する。発電情報とは、後述するように、発電設備500の現在の状態と、発電設備500における発電予測情報とを含む。具体的に説明すると、発電情報取得部121は、発電情報として、発電設備500により閾量以上の発電が見込めるか否か、すなわち太陽光による発電量で電力を充分に賄える状態であるか否か、の情報を取得する。
料金情報取得部122は、電気料金情報を取得する。電気料金情報とは、後述するように、電気の売電単価及び買電単価に基づく情報である。具体的に説明すると、料金情報取得部122は、電気料金情報として、売電単価が買電単価より閾価格以上高いか否か、すなわち蓄電池に充電するより電力会社等に電力を売った方が得か否か、の情報を取得する。
選択部103bは、状態取得部101によって取得された2つの蓄電設備310,320の状態と、発電情報取得部121によって取得された発電情報と、料金情報取得部122によって取得された電気料金情報と、を組み合わせた組み合わせが、予め禁止された組み合わせに該当する場合、第1蓄電設備310と第2蓄電設備320とのうちから制御対象の蓄電設備を選択する。
蓄電設備制御部105は、選択部103bによって選択された制御対象の蓄電設備を制御して、2つ蓄電設備310,320の状態と発電情報と電気料金情報とを組み合わせた組み合わせを、禁止された少なくとも1つの組み合わせ以外の組み合わせに変更する。
記憶部152は、機器管理データ200と、第1判定基準221と、第2判定基準222と、を記憶する。機器管理データ200は、HEMS1000内に備えられた各機器を制御装置120が管理するためのデータであって、各機器の状態を示す情報を格納している。第1判定基準221及び第2判定基準222は、それぞれ第1蓄電設備310の状態と第2蓄電設備320の状態と発電設備500の発電状態等との組み合わせのそれぞれについて、適切であるか不適切であるか、すなわち禁止すべき組み合わせか否かを設定した、互いに設定が異なる判定基準である。なお、発電状態等とは、後述する発電設備500の発電情報と電気料金情報とを含む。発電設備500の発電情報とは、後述する発電設備500の現在の発電状態と発電予測情報とを含む。
図21A及び図21Bに、それぞれ第1判定基準221及び第2判定基準222の例を示す。なお、理解を容易にするため、図21Aに示す第1判定基準221、及び図21Bに示す第2判定基準222では、禁止された(すなわち制御禁止フラグ(stp)が“1”に設定されている)組み合わせのみ記載し、禁止されていない組み合わせについては記載していない。
図22に、第1判定基準221及び第2判定基準222における各ビットが表す設定内容を示す。b0からb9のビットが表す設定内容は、実施形態1のものと同様である。すなわち、b0からb7のビットは、第1蓄電設備310又は第2蓄電設備320が待機状態(充放電不可状態を含む)、充電状態、放電状態のいずれかであるか否かを表している。b8ビット及びb9ビットは、優先度を表している。なお、b10ビット及びb11ビットは、予備のビットであり、実施形態3では使用しないため、図21A及び図21Bには記載していない。
b12ビットからb14ビットは、発電設備500の発電状態等(pvsts)を表すためのビットである。具体的には、b12ビットは、閾量以上の発電が見込める状況であるか否かを表す。b13ビットは、売電単価が買電単価よりも閾価格以上高く、且つ、閾量以上の発電が見込める状況であるか否かを表す。b14ビットは、発電設備500用の予備のビットである。なお、pvstsは、b12ビットからb14ビットにおいて、発電設備500の発電状態等を示す3ビットのコードである。また、b15ビットは、実施形態1と同様に、制御禁止フラグを表している。
以下、図21Aに示す第1判定基準221、及び図21Bに示す第2判定基準222の設定内容を具体的に説明する。
図21Aに示す第1判定基準221は、通常時(デフォルト時)に用いられる判定基準である。第1判定基準221は、第1の組み合わせ(1行目)において、b1ビットとb6ビットとを“1”に設定し、第2の組み合わせ(2行目)において、b2ビットとb5ビットとを“1”に設定している。すなわち、第1判定基準221は、2つの蓄電設備310,320の一方が充電状態となり、且つ、他方が放電状態となる組み合わせを禁止している。また、第1判定基準221は、第3の組み合わせ(3行目)において、b1ビットとb5ビットとを“1”に設定している。すなわち、第1判定基準221は、2つの蓄電設備310,320が共に充電状態となる組み合わせを禁止している。
また、第1判定基準221は、第4から第6の組み合わせ(4行目から6行目)において、2つの蓄電設備310,320の状態を示すコードであるbat1sts及びbat2stsについては第1から第3の組み合わせ(1行目から3行目)と同様に設定し、且つ、b12ビットを“1”に設定している。すなわち、第1判定基準221は、発電設備500において閾量以上の発電が見込める状況においても、2つの蓄電設備310,320の一方が充電状態となり、且つ、他方が放電状態となる組み合わせ、及び、2つの蓄電設備310,320が共に充電状態となる組み合わせを禁止している。
さらに、第1判定基準221は、第7の組み合わせ(7行目)において、b1ビットとb5ビットとを“1”に設定し、且つ、b13ビットを“1”に設定している。すなわち、第1判定基準221は、売電単価が買電単価よりも閾価格以上高く、且つ、閾量以上の発電が見込める状況において、2つの蓄電設備310,320が共に充電状態となる組み合わせを禁止している。これは、売電単価が比較的高い場合には、発電設備500で発電した電力を蓄電設備の充電に充てるよりも、発電した電力を電力会社等に売った方が経済的に効率がよいからである。
図21Bに示す第2判定基準222は、制限を緩和すべき予め定められた条件が満たされた場合に用いられる判定基準である。この条件は、買電単価が予め定められた基準価格を超えた場合、すなわち例えばデマンドレスポンスの発令等により電気料金が高騰した場合に、満たされる。
第2判定基準222は、第1の組み合わせ(1行目)において、b1ビットとb5ビットとを“1”に設定し、且つ、b9ビットを“1”に設定している。すなわち、第2判定基準222は、2つの蓄電設備310,320が共に充電状態となる組み合わせを禁止し、且つ、2つの蓄電設備310,320が共に充電状態となった場合に、第2蓄電設備320を優先して充電することを設定している。
第2判定基準222の第2、第3の組み合わせ(2、3行目)は、それぞれ、第1判定基準221の第2、第5の組み合わせ(2、5行目)と同じである。すなわち、第2判定基準222は、発電状況に拘わらず、第1蓄電設備310が放電状態にあるときに第2蓄電設備320が充電状態にある組み合わせを禁止している。
一方で、第2判定基準222は、第1判定基準の第1、第4の組み合わせ(1、4行目)において禁止された、第1蓄電設備310が充電状態にあるときに第2蓄電設備320が放電状態にある組み合わせを禁止していない。2つの蓄電設備310,320の一方から他方に電力が移動することは一見無駄のように見えるが、電気料金高騰時には、電気自動車300内の第2蓄電設備320に蓄電された電力を定置型の第1蓄電設備310に移して、宅内用の電力として用いる方が経済的だからである。
また、第2判定基準222は、第1判定基準の第6、第7の組み合わせ(6、7行目)において禁止された、閾量以上の発電が見込める状況下での第1蓄電設備310と第2蓄電設備320とが共に充電状態にある組み合わせを禁止していない。
このように、第2判定基準222は、第1判定基準221に比べて制限が緩和された設定を有する。蓄電設備制御部105は、制限を緩和すべき条件が満たされたか否かに応じて、2つの判定基準221,222の中から最適な判定基準を選択して、2つの蓄電設備310,320の状態と発電状態等とを組み合わせた組み合わせが禁止された組み合わせに該当するか否かを判定する。
より詳細に説明すると、蓄電設備制御部105は、制限を緩和すべき予め定められた条件が満たされていない場合、第1判定基準221を参照して、2つの蓄電設備310,320の状態と発電状態等とを組み合わせた組み合わせが禁止された組み合わせに該当するか否かを判定する。そして、2つの蓄電設備310,320の状態と発電状態等とを組み合わせた組み合わせが禁止された組み合わせに該当していれば、その組み合わせを、第1判定基準221において禁止された組み合わせ以外の組み合わせに変更する。
一方、蓄電設備制御部105は、制限を緩和すべき条件が満たされている場合、第2判定基準222を参照する。そのため、2つの蓄電設備310,320の状態と発電状態等とを組み合わせた組み合わせが、第1判定基準221において禁止された組み合わせのうちの一部に該当していたとしても、その組み合わせを変更しない。
次に、図23に示すフローチャートを参照して、実施形態3に係る制御装置120が実行する組み合わせ判定処理について説明する。なお、実施形態3に係る制御装置120が実行する機器管理処理は、図7及び図8のフローチャートに示した実施形態1に係る制御装置100が実行する各処理と同様であるため、説明を省略する。
組み合わせ判定処理を開始すると、CPU11は、発電情報取得部121として機能して、発電設備500の発電情報を取得する。具体的に説明すると、CPU11は、発電情報として、まず発電設備500の現在の状態を取得する(ステップS601)。発電設備500の現在の状態とは、発電設備500が現在発電しているか否かの情報、及び発電している場合には発電量等の情報等である。CPU11は、宅内ネットワーク710及び宅内インタフェース17を介して、発電設備500に、状態取得の問い合わせを送信する。そして、問い合わせに対する応答を発電設備500から受信することにより、発電設備500の現在の状態を示す情報を取得する。
続いて、CPU11は、発電情報として、発電設備500における発電予測情報を取得する(ステップS602)。発電予測情報とは、将来の予め定められた期間内における発電設備500の発電状態の情報である。例えば、間もなく夜になる場合には、CPU11は、発電設備500による発電ができなくなるとの発電予測情報を取得する。また、日中であっても太陽の日射量は天気や季節に依存するため、CPU11は、必要に応じてクラウドサーバ800にアクセスして天気予報情報や暦情報等を取得して、発電予測情報を取得する。
現在の発電状態と発電予測情報とを含む発電情報を取得すると、CPU11は、料金情報取得部122として機能して、電気料金情報を取得する(ステップS603)。電気料金情報は、具体的には電気の売電単価及び買電単価の情報である。売電単価及び買電単価は、時間帯等の状況によって変動するため、CPU11は、現在及び発電予測する期間内における売電単価及び買電単価の情報を取得する。電気料金情報は、例えば予め記憶部152に記憶され、CPU11は、記憶部152から電気料金情報を取得する。或いは、CPU11は、必要に応じてクラウドサーバ800にアクセスして、電気料金情報を取得することもできる。
現在の発電状態、発電予測情報、及び電気料金情報を取得すると、CPU11は、取得した情報に基づいて、発電状態等を示すコード(pvsts)を設定する(ステップS604)。具体的に説明すると、CPU11は、発電予測情報から見込まれる発電量が閾量以上でない場合、発電状態等を示すコードのb12ビットを“0”に、b13ビットを“0”に設定する。一方、発電予測情報から見込まれる発電量が閾量以上である場合、CPU11は、売電単価と買電単価とを比較する。比較の結果、CPU11は、売電単価が買電単価よりも閾価格以上高い場合、発電状態等を示すコードのb12ビットを“0”に、b13ビットを“1”に設定し、売電単価が買電単価よりも閾価格以上高くない場合、発電状態等を示すコードのb12ビットを“1”に、b13ビットを“0”に設定する。
発電状態等を示すコードを設定すると、CPU11は、取得した電気料金情報に基づいて、買電単価が基準価格を超えたか否かを判定する(ステップS605)。買電単価が基準価格を超えていない場合(ステップS605;NO)、CPU11は、参照する判定基準として第1判定基準221を選択する(ステップS606)。一方で、買電単価が基準価格を超えた場合(ステップS605;YES)、CPU11は、参照する判定基準として第2判定基準222を選択する(ステップS607)。
第1判定基準221又は第2判定基準222を選択すると、CPU11は、選択した判定基準を参照して、2つの蓄電設備310,320の現在の状態と、発電状態等と、を組み合わせた組み合わせが、禁止された組み合わせに該当するか否かを判定する(ステップS608)。
具体的に説明すると、CPU11は、ステップS106において各蓄電設備の現在の状態を取得する際に設定した状態判定コードと、選択した判定基準におけるb0ビットからb7ビットとを、選択した判定基準の第1の組み合わせ(1行目)から順に比較する。さらに、CPU11は、ステップS604において設定した発電状態等を示すコードと、選択した判定基準におけるb12ビットからb14ビットとを、選択した判定基準の第1の組み合わせ(1行目)から順に比較する。そして、状態判定コードと選択した判定基準のb0ビットからb7ビットとが一致し、且つ、発電状態等を示すコードと選択した判定基準のb12ビットからb14ビットとが一致する行の制御禁止フラグ(stp)を参照する。参照の結果、CPU11は、制御禁止フラグが“0”に設定されている場合に、2つの蓄電設備310,320の現在の状態と発電状態等とを組み合わせた組み合わせが禁止された組み合わせに該当しないと判定し、制御禁止フラグが“1”に設定されている場合に、2つの蓄電設備310,320の現在の状態と発電状態等とを組み合わせた組み合わせが禁止された組み合わせに該当すると判定する。
判定の結果、2つの蓄電設備310,320の現在の状態と発電状態等とを組み合わせた組み合わせが禁止された組み合わせに該当しないと判定した場合(ステップS609;NO)、2つの蓄電設備310,320の現在の状態を是正する必要はない。そのため、この場合、CPU11は、2つの蓄電設備310,320のどちらの状態も変更せずに、図23に示した組み合わせ判定処理を終了する。
一方、判定の結果、2つの蓄電設備310,320の現在の状態と発電状態等とを組み合わせた組み合わせが禁止された組み合わせに該当すると判定した場合(ステップS609;YES)、2つの蓄電設備310,320の現在の状態を是正して、2つの蓄電設備310,320の状態と発電状態等とを組み合わせた組み合わせを、禁止されていない組み合わせに変更する必要がある。そのため、この場合、CPU11は、状態変更処理を実行する(ステップS610)。
状態変更処理の詳細については、実施形態1において図13のフローチャートを参照して説明した処理と同様である。すなわち、CPU11は、2つの蓄電設備310,320のうちから制御対象の蓄電設備を、予め設定された優先度等に基づいて選択する。そして、選択した制御対象の蓄電設備を制御して、2つの蓄電設備310,320の状態と発電状態等とを組み合わせた組み合わせを、選択した判定基準において禁止された組み合わせ以外の組み合わせに変更する。状態変更処理を実行すると、図23に示した組み合わせ判定処理は終了する。
以上説明したように、実施形態3に係る制御装置120は、2つの蓄電設備310,320の状態だけでなく、発電設備500の発電状態等も組み合わせた組み合わせが予め禁止された組み合わせのいずれかに該当する場合に、2つの蓄電設備310,320のうちの一方を制御して、2つの蓄電設備310,320の状態と発電状態等とを組み合わせた組み合わせを禁止されていない組み合わせに変更する。
その結果、実施形態3に係る制御装置120は、2つの蓄電設備310,320の状態の組み合わせが禁止された組み合わせか否かを、発電情報や電気料金情報まで加味して判定することができる。そして、2つの蓄電設備310,320の状態の組み合わせが禁止された組み合わせになっている場合に、その状態を是正することができる。
(実施形態4)
次に、本発明の実施形態4について説明する。
上述した実施形態1,2,3では、制御装置100,110,120は、2つの蓄電設備310,320と宅内ネットワーク710により接続されており、2つの蓄電設備310,320と自由に情報を授受して、2つの蓄電設備310,320の状態を取得することができた。しかし、実施形態4では、HEMS内に、制御装置とネットワークにより接続されておらず、制御装置が制御不可能な蓄電設備が含まれている場合について説明する。
図24に、実施形態4におけるHEMSの構成を示す。HEMS1001は、全体を制御する制御装置130と、電気機器400と、発電設備500と、電力計620と、変流器630と、第1蓄電設備310と、第2蓄電設備330と、を備える。なお、実施形態1,2,3と同様な構成については適宜説明を省略する。
第1蓄電設備310及び第2蓄電設備330は、商用電源600から供給される電力と、発電設備500によって発電される電力とを蓄える設備である。各蓄電設備に蓄えられた電力は、電気機器400に供給され、或いは商用電源600を経由して電力会社に売られる。第1蓄電設備310は、定置型の蓄電池を制御する蓄電設備である。第2蓄電設備330は、電気自動車に搭載された蓄電池を制御する車両用蓄電設備である。
第1蓄電設備310は、制御装置130と宅内ネットワーク710を介して接続されている。すなわち、第1蓄電設備310は、実施形態1,2,3における第1蓄電設備310と同様の構成を備えた、制御装置130が制御可能な蓄電設備である。一方で、第2蓄電設備330は、実施形態1,2,3における第2蓄電設備320とは異なり、制御装置130と宅内ネットワーク710を介して接続されていない。すなわち、制御装置130は、第2蓄電設備330と情報を授受することができず、第2蓄電設備330を制御できない。そのため、制御装置130は、第2蓄電設備330が現在、待機状態、充電状態、放電状態のいずれの状態にあるのかについての情報を、第2蓄電設備330から直接的には取得することができない。そこで、実施形態4では、制御装置130は、変流器630を用いて第2蓄電設備330の状態を間接的に取得する。なお、第2蓄電設備330は、制御装置130と通信するためのインタフェース327以外の構成は、実施形態1,2,3における第2蓄電設備320と同様の構成を備える。
変流器630は、第2蓄電設備330と分電盤610との間に接続された電力線の、第1蓄電設備310からの電力線との接続点より第2蓄電設備330側の位置に取り付けられている。これにより、電力計620は、第2蓄電設備330に入る電力、又は第2蓄電設備330から出る電力を測定することができる。
状態取得部101は、変流器630による測定結果に基づいて、制御装置130が制御不可能な第2蓄電設備330の状態を取得する。
具体的に説明すると、状態取得部101は、変流器630により測定された電力値が予め定められた誤差範囲内で0に近い値である場合、第2蓄電設備330が充電も放電もしていない待機状態であると判定して、第2蓄電設備330の状態を取得する。また、状態取得部101は、変流器630により測定された電力値が0よりも誤差範囲以上に大きな正の値である場合、第2蓄電設備330が充電状態であると判定し、変流器630により測定された電力値が0よりも誤差範囲以上に小さな負の値である場合、第2蓄電設備330が待機状態であると判定して、第2蓄電設備330の状態を取得する。なお、変流器630により測定された電力値の正負と、第2蓄電設備330が充電状態であるか放電状態であるかの関係は、逆であってもよい。
このようにして、状態取得部101は、制御装置130が制御不可能な第2蓄電設備330からも、電力線を伝送する電力を測定することによって状態を取得する。判定部103aは、組み合わせ判定処理において、状態取得部101によって取得された制御不可能な第2蓄電設備330の状態を含む2つの蓄電設備310,330の状態の組み合わせが、充電状態と放電状態とがどちらも含まれる不適切な組み合わせに該当するか否かを判定する。判定の結果、2つの蓄電設備310,330の状態に充電状態と放電状態とがどちらも含まれる場合、選択部103bは、2つの蓄電設備310,330のうちの制御不可能な蓄電設備でない第1蓄電設備310を、制御対象の蓄電設備として選択する。そして、蓄電設備制御部105は、選択部103bによって選択された制御対象の蓄電設備を制御して、2つの蓄電設備310,330の状態の組み合わせを、充電状態と放電状態との少なくとも一方が含まれない組み合わせに変更する。
以上説明したように、実施形態4に係る制御装置130は、HEMS1001内に制御不可能な蓄電設備が含まれる場合においても、制御可能な蓄電設備を制御することにより、2つの蓄電設備310,330の状態の組み合わせを不適切な組み合わせから適切な組み合わせに是正することができる。
なお、上述した実施形態4では、制御装置130は、HEMS1001内に設置された2つの蓄電設備310,330のうち、定置型の蓄電池を制御する第1蓄電設備310を制御することができ、電気自動車に搭載された蓄電池を制御する第2蓄電設備330を制御することができなかった。しかし、制御装置130は、車両用の蓄電設備を制御することができる一方で、定置型の蓄電設備を制御できなくてもよい。この場合、状態取得部101は、制御不可能な定置型の蓄電設備に接続された電力線を伝送する電力を測定する変流器630を介して、制御不可能な定置型の蓄電設備の状態を取得する。そして、制御装置130は、取得した制御不可能な蓄電設備の状態を含む2つの蓄電設備の状態の組み合わせが充電状態と放電状態とがどちらも含まれる不適切な組み合わせに該当する場合に、制御可能な蓄電設備を制御して、2つの蓄電設備の状態の組み合わせを適切な組み合わせに変更する。
(変形例)
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明を実施するにあたっては、種々の形態による変形及び応用が可能である。
本発明において、実施形態において説明した構成、機能、動作のどの部分を採用するのかは任意である。また、本発明において、上述した構成、機能、動作のほか、更なる構成、機能、動作が採用されてもよい。
上記実施形態では、制御装置100,110,120,130は、2つの蓄電設備の状態を取得して、2つの蓄電設備の状態の組み合わせが、充電状態と放電状態とがどちらも含まれる禁止された組み合わせに該当する場合に、2つの蓄電設備の状態の組み合わせを禁止されていない組み合わせに変更した。しかし、本発明に係る制御装置は、2つの蓄電設備だけでなく、3つ以上の蓄電設備に対して同様の処理を実行してもよい。すなわち、本発明に係る制御装置は、3つ以上の蓄電設備の状態を取得して、3つ以上の蓄電設備の状態の組み合わせが、充電状態と放電状態とがどちらも含まれる禁止された組み合わせに該当する場合に、3つ以上の蓄電設備のうちから選択した制御対象の蓄電設備を制御して、3つ以上の蓄電設備の状態の組み合わせを禁止されていない組み合わせに変更してもよい。
なお、実施形態4のように、状態を取得する3つ以上の蓄電設備に制御不可能な蓄電設備が含まれている場合には、本発明に係る制御装置は、3つ以上の蓄電設備のうちの制御不可能な蓄電設備以外のいずれかの蓄電設備を制御対象の蓄電設備として選択する。
上記実施形態では、第1蓄電設備310は定置型の蓄電設備であり、第2蓄電設備320は電気自動車300内に設置された蓄電池322を制御する車両用の蓄電設備であった。しかし、本発明では、複数の蓄電設備のそれぞれは、定置型の蓄電設備であってもよいし、車両用の蓄電設備であってもよい。すなわち、本発明に係る制御装置は、全てが定置型の蓄電設備である複数の蓄電設備を制御するものであってもよいし、全てが車両用の蓄電設備である複数の蓄電設備を制御するものであってもよい。
また、判定基準210,221において禁止する組み合わせの設定は適宜変更できる。すなわち、複数の蓄電設備の状態の組み合わせについて、どの組み合わせが禁止すべきでない適切な組み合わせで、どの組み合わせが禁止すべき不適切な組み合わせであるかは、蓄電設備の使用環境等に合わせて自由に変更することができる。
例えば上記実施形態3では、制御装置120は、発電情報と電気料金情報とをいずれも取得し、第1判定基準221を参照して、2つの蓄電設備310,320の状態と、発電情報と、電気料金情報と、を組み合わせた組み合わせが禁止された組み合わせに該当する場合に、制御対象の蓄電設備を制御して、組み合わせを是正した。しかし、本発明に係る制御装置は、発電情報と電気料金情報とのうち発電情報のみを取得して、2つの蓄電設備310,320の状態と、発電情報と、を組み合わせた組み合わせが禁止された組み合わせに該当する場合に、制御対象の蓄電設備を制御して、組み合わせを是正してもよい。或いは、本発明に係る制御装置は、発電情報と電気料金情報とのうち電気料金情報のみを取得して、2つの蓄電設備310,320の状態と、電気料金情報と、を組み合わせた組み合わせが禁止された組み合わせに該当する場合に、制御対象の蓄電設備を制御して、組み合わせを是正してもよい。
また、上記実施形態1では、制御装置100は、2つの蓄電設備310,320の状態の組み合わせが禁止された組み合わせに該当する場合、優先度が設定されているときには低い優先度が設定された蓄電設備を制御対象の蓄電設備として選択し、優先度が設定されていないときには最後に状態が変化した蓄電設備でない方の蓄電設備を制御対象の蓄電設備として選択した。しかし、本発明に係る制御装置は、最後に状態が変化した蓄電設備を制御対象の蓄電設備として選択してもよい。すなわち、状況によっては、最後に状態が変化した蓄電設備でない方の蓄電設備の状態の維持を優先すべき場合も考えられる。そのため、制御対象の蓄電設備を、2つの蓄電設備310,320のうち最後に状態が変化した方の蓄電設備とするか最後に状態が変化した方でない蓄電設備とするかは、適宜変更することができる。
また、上記実施形態1では、制御装置100は、制御対象として選択した蓄電設備の状態を待機状態に変更することにより、禁止された組み合わせに該当している2つの蓄電設備310,320の状態の組み合わせを、禁止されていない組み合わせに変更した。しかし、本発明に係る制御装置は、2つの蓄電設備310,320の状態の組み合わせを禁止されていない組み合わせに変更することができるのであれば、制御対象の蓄電設備の状態を待機状態以外の状態に変更してもよい。
例えば、本発明に係る制御装置は、最後に状態が変化した蓄電設備の最後に状態が変化する直前の状態(待機状態、充電状態、又は放電状態のいずれか)をRAM13等に記憶しておき、最後に状態が変化した蓄電設備を、最後に状態が変化する直前の状態に変更してもよい。すなわち、2つの蓄電設備310,320の状態の組み合わせを、禁止された組み合わせになる直前の組み合わせに戻すことによって、禁止されていない組み合わせに変更してもよい。
上記実施形態では、制御装置100,110,120,130は、ユーザインタフェースとして機能するタッチスクリーン16を備えていた。しかし、本発明に係る制御装置は、タッチスクリーン16等のユーザインタフェース(入力デバイス又は出力デバイス)を備えなくてもよい。制御装置がユーザインタフェースを備えない場合は、例えば警告報知部104及び制限情報報知部108による報知等を、制御装置においては実行できなくなる。そのため、本発明に係る制御装置は、警告報知部104又は制限情報報知部108を備えなくてもよい。或いは、本発明に係る制御装置は、警告報知部104又は制限情報報知部108に相当する構成として、制御装置に接続された他の機器(例えばユーザが現在操作している機器)に報知情報を送信して、他の機器が備える出力デバイスを介して、不適切制御、制限情報、又は各機器の現在の状態等を報知する構成を備えてもよい。
本発明に係る制御装置100,110,120,130の動作を規定する動作プログラムを既存のパーソナルコンピュータや情報端末装置に適用することで、当該パーソナルコンピュータ等を本発明に係る制御装置100,110,120,130として機能させることも可能である。
また、このようなプログラムの配布方法は任意であり、例えば、CD−ROM(Compact Disk Read-Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、MO(Magneto Optical Disk)、メモリカード等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布してもよいし、インターネット等の通信ネットワークを介して配布してもよい。
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施形態は、この発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施形態ではなく、請求の範囲によって示される。そして、請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。