JP6278670B2 - パターン微細化用被覆剤 - Google Patents

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Description

本発明は、パターン微細化用被覆剤、及び当該パターン微細化用被覆剤を用いるポジ型レジストパターンのスリミング処理方法に関する。
半導体デバイス、液晶デバイス等の電子部品の製造においては、基板にエッチング等の処理を施す際にホトリソグラフィ技術が用いられている。このホトリソグラフィ技術では、活性放射線に感応するいわゆるホトレジスト材料を用いて基板上に被膜(レジスト層)を設け、次いでこれを活性放射線で選択的に照射して露光し、現像処理を行った後、レジスト層を選択的に溶解除去して、基板上に画像パターン(レジストパターン)を形成する。そして、このレジストパターンを保護層(マスクパターン)としてエッチング処理を行うことにより、基板に配線パターンを形成する。
近年、半導体デバイスの高集積化、微小化の傾向が高まり、これらレジストパターンの形成についても微細化が進み、超微細加工が要求されている。このようなレジストパターンの超微細化への対応に加え、パターン形成方法の面からも、レジスト材料の持つ解像度の限界を超えるパターン微細化技術の研究・開発が行われている。
超微細なレジストパターンを形成する方法としては、例えば、水溶性樹脂及びアルカリ可溶性樹脂から選択される少なくとも1種を含有する被覆剤を用いる方法が知られている(特許文献1)。特許文献1に記載の方法では、基板上に形成されたレジストパターンの表面に被覆剤を塗布して被膜を形成した後に、水や弱アルカリ性の水溶液で現像を行うことで、超微細なレジストパターンを形成する。
この方法においては、レジスト組成物からなるレジスト部と、非レジスト部とからなるレジストパターンの表面に被膜が形成された後、被膜に含まれる樹脂成分がレジスト部の表面に含浸して、レジスト部の表面にミキシング層が形成される。そして、現像によって、被膜とともにミキシング層が除去されることで、被覆剤が塗布される前のレジストパターンよりも、ミキシング層が除去された分だけ寸法が小さくなったレジスト部を備える微細なレジストパターンが得られる(以下、レジストパターン中のレジスト部の表層を溶解除去して、レジスト部の寸法を小さくすることでレジストパターンを微細化することをスリミングとも記す)。
特開2003−215814号公報
レジストパターン中のレジスト部の表面には、一般的に微小な凹凸があるため、この微小な凹凸に起因するレジスト部の表面のラフネスの低減が望まれている。しかし、特許文献1に記載されるミキシング層を形成する方法によってレジストパターンを微細化する場合、レジストパターン中のレジスト部の表面のラフネスの低減が困難である。特許文献1に記載の方法では、被膜中の樹脂成分をレジスト部の表面に浸透させてミキシング層が形成されるため、ミキシング層の形状が、レジスト部の表面の凹凸に沿った形状となるためである。
また、特許文献1に記載の方法では、レジスト部表面におけるミキシングが、レジスト部の側面のみならず頂部でも生じてしまう。このため、特許文献1に記載される方法でレジストパターンの微細化を行う場合、パターン部の高さが低下してしまったり、レジストパターン中のパターン部の断面形状は、通常、矩形であることが望まれるところ、パターン部の断面形状が、頂部が丸まった形状になったりする不具合がある。このような不具合が生じた場合、例えば、レジストパターンをエッチングマスクとしてエッチングを行う場合に、エッチング時のプロセスマージンが低下してしまう。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、ポジ型レジストパターンのスリミングとラフネス低減とを両立でき、スリミングされたポジ型レジストパターンの断面形状を悪化させない、パターン微細化用被覆剤と、当該パターン微細化用被覆剤を用いるポジ型レジストパターンのスリミング処理方法とを提供すること目的とする。
本発明者らは、ポジ型レジストパターンに対して用いられる、パターン微細化用被覆剤として、(A)水溶性ポリマーと、特定の構造の(B)含窒素化合物のアルキレンオキシド付加物とを含み、23℃で測定されるpHの値が10以上である被覆剤を用いることにより上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の第一の態様は、基板上に形成されたポジ型レジストパターンの表面に被膜を形成し、被膜で被覆される前のポジ型レジストパターンよりも、パターン中のレジスト部が微細化されたパターンを形成するために用いられるパターン微細化用被覆剤であって、
(A)水溶性ポリマーと、(B)含窒素化合物のアルキレンオキシド付加物とを含有し、
(B)含窒素化合物のアルキレンオキシド付加物が、窒素原子に結合する炭素数8以上のアルキル基を有し、アルキル基が結合している窒素原子1モルに対して、4モル以上のエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドが付加した化合物であり、
当該パターン微細化用被覆剤の23℃で測定されるpHの値が10以上である、パターン微細化用被覆剤である。
本発明の第二の態様は、基板上のポジ型レジストパターンを第一の態様にかかるパターン微細化用被覆剤からなる被膜で被覆し、次いで、被膜で被覆されたポジ型レジストパターンを加熱し、加熱されたポジ型レジストパターンから被膜を溶解除去することで、被膜で被覆される前のポジ型レジストパターンよりも、パターン中のレジスト部が微細化されたポジ型レジストパターンを得る、ポジ型レジストパターンのスリミング処理方法である。
本発明によれば、ポジ型レジストパターンのスリミングとラフネス低減とを両立でき、スリミングされたポジ型レジストパターンの断面形状を悪化させない、パターン微細化用被覆剤と、当該パターン微細化用被覆剤を用いるポジ型レジストパターンのスリミング処理方法とを提供することができる。
≪パターン微細化用被覆剤≫
本発明に係るパターン微細化用被覆剤(以下、被覆剤とも記す。)は、(A)水溶性ポリマーと、所定の構造の(B)含窒素化合物のアルキレンオキシド付加物とを含み、その23℃で測定されるpHの値が10以上である。pHの値が10以上である被覆剤を用いることで所望する効果は得られるが、パターンのスリミング量、パターンの良好な形状の維持等を考慮すると、pHの値が13以下であることが好ましい。
パターン微細化用被覆剤のpHは、所定の成分を混合した状態で10以上であれば特に調整される必要はない。通常、パターン微細化用被覆剤のpHは、塩基性物質を配合することにより10以上に調整される。パターン微細化用被覆剤のpHの調整に用いられる塩基性物質は特に限定されず無機塩基性物質及び有機塩基性物質のいずれも用いることができ、有機塩基性物質が好ましい。有機塩基性物質としては、(C)塩基性含窒素化合物が好ましい。なお、(C)塩基性含窒素化合物には、(B)含窒素化合物のアルキレンオキシド付加物を含まないものとする。
パターン微細化用被覆剤は、通常、溶液の状態で使用されるため、(S)溶媒を含んでいてもよい。また、パターン微細化用被覆剤は、本発明の目的を阻害しない範囲で、従来、パターン微細化用被覆剤に配合されていた種々の成分を含んでいてもよい。以下、パターン微細化用被覆剤が含む、必須又は任意の成分について説明する。
<(A)水溶性ポリマー>
水溶性ポリマーの種類は、ポジ型レジストパターン上に所望の膜厚の塗布膜を形成可能な濃度で溶媒に対して溶解可能であって、溶媒に溶解させた場合にゲル化しないものであれば特に限定されない。
水溶性ポリマーの好適な例としては、一種以上のアクリル系単量体の重合体、一種以上のビニル系単量体の重合体、アクリル系単量体とビニル系単量体との共重合体、セルロース系樹脂、アミド系樹脂、及び水溶性ペプチドの中から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
アクリル系単量体としては、例えば、アクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、及びアクリロイルモルホリン等が挙げられる。
ビニル系単量体としては、例えば、N−ビニルピロリドン、ビニルイミダゾリジノン、N−ビニルイミダゾール、酢酸ビニル、及びアリルアミン等が挙げられる。
ビニル系単量体の重合体、又はアクリル系単量体とビニル系単量体との共重合体が酢酸ビニル由来する構成単位を有する場合、かかる構成単位のエステル基を加水分解してビニルアルコール単位としてもよい。また、そのビニルアルコール単位の水酸基は、アセタール等で保護されてもよい。
セルロース系樹脂としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースヘキサヒドロフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロール、セルロールアセテートヘキサヒドロフタレート、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース等が挙げられる。
さらに、アミド系樹脂の中で水溶性のものも用いることができる。
これら中でも、ビニル系樹脂が好ましく、特にはポリビニルピロリドンやポリビニルアルコールが好ましい。
一種以上のアクリル系単量体の重合体、一種以上のビニル系単量体の重合体、アクリル系単量体とビニル系単量体との共重合体、セルロース系樹脂、及びアミド系樹脂の質量平均分子量は、500以上500000以下であることが好ましく、1000以上200000以下であることがより好ましい。
水溶性ペプチドは、室温で水への溶解性が高く、低温でもゲル化しにくいペプチドであればよく、特に制限されない。水溶性ペプチドの質量平均分子量は10000以下であることが好ましく、5000以下がより好ましい。質量平均分子量が10000以下である場合、水への溶解性が高く、低温でもゲル化しにくいため、溶液の安定性が高くなる。なお、質量平均分子量の下限は500以上が好ましい。また、水溶性ペプチドは天然物由来であってもよく、合成物であってもよい。また、水溶性ペプチドの誘導体であってもよい。
水溶性ペプチドとしては、例えば、コラーゲン由来の加水分解ペプチド、絹糸タンパク由来の加水分解ペプチド、大豆タンパク由来の加水分解ペプチド、小麦タンパク由来の加水分解ペプチド、コメタンパク由来の加水分解ペプチド、ゴマタンパク由来の加水分解ペプチド、エンドウタンパク由来の加水分解ペプチド、羊毛タンパク由来の加水分解ペプチド、カゼイン由来の加水分解ペプチド等が挙げられる。
これらの水溶性ポリマーは、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。水溶性塗布膜材料における、水溶性樹脂の使用量は特に限定されず、形成したい塗布膜の膜厚や、被覆剤の粘度を考慮して適宜定められる。被覆剤における水溶性樹脂の含有量は、パターン微細化用被覆剤の全質量を100質量%とする場合に、0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜10質量%がより好ましく、1〜5質量%が特に好ましい。
<(B)含窒素化合物のアルキレンオキシド付加物>
被覆剤は、特定の構造の(B)含窒素化合物のアルキレンオキシド付加物を含有する。(B)含窒素化合物のアルキレンオキシド付加物は、窒素原子に結合する炭素数8以上のアルキル基を有し、当該アルキル基が結合している窒素原子1モルに対して、4モル以上、好ましくは5モル以上、より好ましくは7モル以上のエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドが付加した化合物である。
(B)含窒素化合物のアルキレンオキシド付加物に含まれる窒素原子の数は、(B)含窒素化合物のアルキレンオキシド付加物が所定の構造である限り特に限定されないが、通常、1であるのが好ましい。
上記の構造を有する(B)含窒素化合物のアルキレンオキシド付加物は、オキシエチレン単位及びオキシプロピレン単位と、長鎖アルキル基とを有することにより界面活性剤的な性質を有する。このため、本発明に係る被覆剤を用いる場合、(B)含窒素化合物のアルキレンオキシド付加物がポジ型レジストパターン中のレジスト部の表面に良好に吸着されやすい。レジスト部の表面に吸着された(B)含窒素化合物のアルキレンオキシド付加物は、その界面活性剤的な作用によってレジスト部の表層の可溶化を促進させると思われる。
レジスト部の側面の表面には、通常、微小な凹凸が存在するとともに、現像処理時の溶解残に由来するアルカリ可溶性基が少量露出する。このため、(B)含窒素化合物のアルキレンオキシド付加物は、その塩基的な性質に基づいて、レジスト部の側面の表面に良好に吸着された際、脱保護が不十分で現像処理で溶解し切れなかった、レジスト部の側面の表面を一部溶解させると思われる。これに対して、露光されていないレジスト部の頂部にはアルカリ可溶性基が殆ど露出していないため、レジスト部の頂部には(B)含窒素化合物のアルキレンオキシド付加物が吸着はされるが殆ど作用せずレジストを溶解しない。このため、本発明に係る被覆剤を用いてパターンを微細化すると、パターン部の高さを低下させたり、パターン部の断面形状を頂部が丸まった形状にすることなく、レジストパターンの表面が平滑化され、ポジ型レジストパターンのラフネスが低減されると考えられる。
(B)含窒素化合物のアルキレンオキシド付加物としては、下式(1)又は下式(2)で表される化合物が好ましい。
Figure 0006278670
(式(1)中、Rは炭素数8以上のアルキル基であり、Rは−(A−O)−Rで表される基であり、Rは水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、又は−(A−O)−Rで表される基である。式(2)中、R及びRは式(1)と同様であり、Rはアルキル基、ヒドロキシアルキル基、又は−(A−O)−Rで表される基であり、Rはアルキル基、ヒドロキシアルキル基、又は−(A−O)−Rで表される基であり、Xは1価のアニオンである。Aはエチレン基又はプロピレン基であり、Rは水素原子又はアルキル基であり、qは正の数であり、r、及びsはそれぞれ0又は正の数であり、式(1)中、q+rは4以上であり、式(2)中、q+r+sは4以上である。)
式(1)及び式(2)で表される化合物において、Rとしては炭素原子数8以上のアルキル基が好ましく、炭素原子数12以上のアルキル基がより好ましい。Rとしてのアルキル基の炭素原子数は20以下が好ましい。Rとしてのアルキル基の構造は特に限定されず、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。
としてのアルキル基の好適な具体例としては、n−オクチル基、オクタン−2−イル基、オクタン−3−イル基、2−エチルヘキシル基、5−メチル−ヘプチル基、n−ノニル基、ノナン−2−イル基、ノナン−3−イル基、n−デシル基、イソデシル基、デカン−2−イル基、デカン−3−イル基、7,7−ジメチルオクチル基、n−ウンデシル基、ウンデカン−2−イル基、ウンデカン−3−イル基、n−ドデシル基、ドデカン−2−イル基、ドデカン−3−イル基、ドデカン−4−イル基、n−トリデシル基、トリデカン−2−イル基、n−テトラデシル基、テトラデカン−2−イル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、ヘキサデカン−2−イル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、オクタデカン−2−イル基、n−ノナデシル基、n−イコシル基、及びイコサン−2−イル基が挙げられる。
式(1)及び式(2)で表される化合物が有する基である、−(A−O)−R、−(A−O)−R、及び−(A−O)−Rについて、q、r、及びsは、それぞれ、窒素原子に対するエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドの平均付加数であって、整数でない場合がある。
式(1)及び式(2)で表される化合物が有する基である、−(A−O)−R、−(A−O)−R、及び−(A−O)−Rについて、Rは水素原子又はアルキル基であって、水素原子であるのが好ましい。Rがアルキル基である場合の炭素原子数は、1〜6が好ましく、1〜4がより好ましい。Rがアルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、及びn−ヘキシル基が挙げられる。
式(1)で表される化合物については、Rが−(A−O)−Hで表される基であり、Rが−(A−O)−Hで表される基であるのが好ましい。式(2)で表される化合物については、Rが−(A−O)−Hで表される基であり、Rが−(A−O)−Hで表される基であり、Rが−(A−O)−Hで表される基であるのが好ましい。
式(1)及び式(2)において、式(1)中のq+r、及び式(2)中のq+r+sの値はともに4以上であり、4以上25以下が好ましく、4以上20以下がより好ましく、7以上20以下が特に好ましい。(B)含窒素化合物のアルキレンオキシド付加物として、式(1)中のq+r、及び式(2)中のq+r+sの値が上記の範囲内となるように、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドが窒素原子に付加している化合物を被覆剤に配合することで、ポジ型レジストパターンを良好にスリミングでき、且つラフネスを低減させることができる。
式(1)及び式(2)において、R又はRがアルキル基又はヒドロキシアルキル基である場合、アルキル基及びヒドロキシアルキル基の炭素原子数は特に限定されず、1〜8が好ましく、1〜6がより好ましい。R又はRがアルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル、及びn−オクチル基が挙げられる。R又はRがヒドロキシアルキル基である場合の具体例としては、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシ−n−プロピル基、4−ヒドロキシ−n−ブチル基、5−ヒドロキシ−n−ペンチル基、6−ヒドロキシ−n−ヘキシル基、7−ヒドロキシ−n−ヘプチル基、8−ヒドロキシ−n−オクチル基が挙げられる。
式(2)において、Xは、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。Xとしては、水酸化物イオンや、塩化物イオン、臭化物イオン、沃化物イオンのようなハロゲン化物イオンが好ましく、水酸化物イオンがより好ましい。
式(1)で表される化合物の好ましい例としては、以下のものが挙げられる。下式中、m及びnは正の数であり、m+nは4以上である。
Figure 0006278670
式(2)で表される化合物の好ましい例としては、以下のものが挙げられる。下式中、m、n、及びlは正の数であり、m+n+lは4以上である。
Figure 0006278670
以上説明した(B)含窒素化合物のアルキレンオキシド付加物は、複数種を組み合わせて用いてもよい。被覆剤中の(B)含窒素化合物のアルキレンオキシド付加物の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。被覆剤中の(B)含窒素化合物のアルキレンオキシド付加物の含有量は、被覆剤の全液量に対して、0.001質量%以上1質量%以下が好ましく、0.01質量%以上0.8質量%以下がより好ましく、0.05質量%以上0.5質量%以下が特に好ましい。
<(S)溶媒>
被覆剤は、通常、以上説明した(A)水溶性ポリマーと、(B)含窒素化合物のアルキレンオキシド付加物とを含有る水溶液として用いられる。被覆剤の固形分濃度は0.1〜30質量%が好ましく、0.5〜20質量%がより好ましく、1〜10質量%が最も好ましい。
なお、被覆剤は水溶液であるのが好ましいが、本発明の効果を損なわない範囲であれば、水の他に、アルコール系溶媒を含んでいてもよい。このようなアルコール系溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール等が挙げられる。これらのアルコール系溶媒は、水100質量部に対して30質量部を上限として用いられる。
<(C)塩基性含窒素化合物>
前述の通り、被覆剤の23℃において測定されるpHは、通常、塩基性物質を用いて調製される。pH調製に用いられる塩基性物質としては、(C)塩基性含窒素化合物が好ましい。
(C)塩基性含窒素化合物としては、水溶性アミン化合物や、塩基性の4級アンモニウム塩が好ましく、塩基性の4級アンモニウム塩がより好ましい。
水溶性アミン化合物としては、(B)含窒素化合物のアルキレンオキシド付加物に該当しない化合物であって、25℃の水溶液におけるpKa(酸解離定数)が7.5〜13のアミン類が挙げられる。具体的には、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−ブチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等のアルカノールアミン類;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、プロピレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、1,4−ブタンジアミン、N−エチル−エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン等のポリアルキレンポリアミン類;2−エチル−ヘキシルアミン、ジオクチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、トリアリルアミン、ヘプチルアミン、シクロヘキシルアミン、テトラヒドロフルフリルアミン等の脂肪族アミン類;ベンジルアミン、ジフェニルアミン等の芳香族アミン類;ピペラジン、N−メチル−ピペラジン、ヒドロキシエチルピペラジン等の環状アミン類等が挙げられる。
塩基性の4級アンモニウム塩としては、下式(3)で表される4級アンモニウム水酸化物が好ましい。
Figure 0006278670
(式(3)中、Rc1、Rc2、Rc3、Rc4は、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ独立に、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、及びアラルキル基からなる群より選択される基である。)
式(3)中、Rc1、Rc2、Rc3、及びRc4が、アルキル基又はヒドロキシアルキル基である場合、アルキル基及びヒドロキシアルキル基の炭素原子数は特に限定されず、1〜8が好ましく、1〜6がより好ましい。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル、及びn−オクチル基が挙げられる。ヒドロキシアルキル基の具体例としては、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシ−n−プロピル基、4−ヒドロキシ−n−ブチル基、5−ヒドロキシ−n−ペンチル基、6−ヒドロキシ−n−ヘキシル基、7−ヒドロキシ−n−ヘプチル基、8−ヒドロキシ−n−オクチル基が挙げられる。
式(3)中、Rc1、Rc2、Rc3、及びRc4が、アラルキル基である場合、アラルキル基の炭素原子数は特に限定されず、7〜12が好ましい。アラルキル基の具体例としては、ベンジル基、フェネチル基、α−ナフチルメチル基、β−ナフチルメチル基、α−ナフチルエチル基、及びβ−ナフチルエチル基等が挙げられる。
式(3)で表される4級アンモニウム水酸化物の具体例としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリプロピルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリブチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、及びベンジルトリエチルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
被覆剤中の、(C)塩基性含窒素化合物の含有量は特に限定されず、(C)塩基性含窒素化合物は、被覆剤のpHが所望する値となるような量で使用される。
<(D)任意の添加剤>
パターン微細化用被覆剤は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、界面活性剤、水溶性フッ素化合物等の任意の添加剤を含んでいてもよい。以下これらの任意の添加剤について順に説明する。
・界面活性剤
界面活性剤としては、(A)水溶性ポリマーに対して溶解性が高く、被覆剤に懸濁を発生しない等の特性が必要である。このような特性を満たす界面活性剤を用いることにより、特に被覆剤を塗布する際の気泡(マイクロフォーム)発生を抑えることができ、このマイクロフォーム発生と関係があるとされるディフェクトの発生をより効果的に防止することができる。上記の点から、ポリオキシエチレンのリン酸エステル系界面活性剤、ノニオン性界面活性剤のうちの1種以上が好ましく用いられる。
上記ポリオキシエチレンのリン酸エステル系界面活性剤としては、下式(D1)で表されるものが好ましい。
Figure 0006278670
上記式(D1)中、Rd1は、炭素原子数1〜10のアルキル基又はアルキルアリル基を示し、Rd2は、水素原子又は(CHCHO)Rd1(Rd1は上記で定義した通り)を示し、xは1〜20の整数を示す。
かかるポリオキシエチレンのリン酸エステル系界面活性剤としては、具体的には「プライサーフA212E」、「プライサーフA210G」(以上、いずれも第一工業製薬株式会社製)等として市販されているものを好適に用いることができる。
上記ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンのアルキルエーテル化物又はアルキルアミンオキシド化合物であることが好ましい。
上記ポリオキシアルキレンのアルキルエーテル化物としては、下式(D2)又は(D3)で表される化合物が好ましく用いられる。
Figure 0006278670
上記式(D2)、(D3)において、Rd3及びRd4は、炭素原子数1〜22の直鎖状、分岐鎖状、若しくは環状のアルキル基、水酸基を有するアルキル基、又はアルキルフェニル基を示す。Aは、オキシアルキレン基であり、オキシエチレン、オキシプロピレン及びオキシブチレン基の中から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。yは整数である。
アルキルアミンオキシド化合物としては、下式(D4)又は(D5)で表される化合物が好ましく用いられる。
Figure 0006278670
上記式(D4)及び(D5)において、Rd5は、酸素原子で中断されていてもよい炭素原子数8〜20のアルキル基又はヒドロキシアルキル基を示し、pは1〜5の整数を示す。
上記式(D4)、又は式(D5)で表されるアルキルアミンオキシド化合物としては、オクチルジメチルアミンオキシド、ドデシルジメチルアミンオキシド、デシルジメチルアミンオキシド、ラウリルジメチルアミンオキシド、セチルジメチルアミンオキシド、ステアリルジメチルアミンオキシド、イソヘキシルジエチルアミンオキシド、ノニルジエチルアミンオキシド、ラウリルジエチルアミンオキシド、イソペンタデシルメチルエチルアミンオキシド、ステアリルメチルプロピルアミンオキシド、ラウリルジ(ヒドロキシエチル)アミンオキシド、セチルジエタノールアミンオキシド、ステアリルジ(ヒドロキシエチル)アミンオキシド、ドデシルオキシエトキシエトキシエチルジ(メチル)アミンオキシド、ステアリルオキシエチルジ(メチル)アミンオキシド等が挙げられる。
このような界面活性剤を添加する場合の添加量は、被覆剤の全質量を100質量%とする場合、1質量ppm〜10質量%が好ましく、100質量ppm〜2質量%がより好ましい。
・水溶性フッ素化合物
水溶性フッ素化合物としては、(A)水溶性ポリマーに対し溶解性が高く、被覆剤に懸濁を発生しない等の特性が必要である。このような特性を満たす水溶性フッ素化合物を用いることにより、さらにレベリング性(被覆剤の広がり度合い)を向上させることができる。このレベリング性は、界面活性剤の過剰量添加による接触角の引き下げにより達成することも可能であるが、界面活性剤添加量を過剰にした場合、ある一定以上の塗布向上性が認められないばかりか、過剰量とすることにより、塗布した際に被膜上に気泡(マイクロフォーム)が発生し、ディフェクトの原因となり得るという問題がある。この水溶性フッ素化合物を配合することにより、そのような発泡を抑制しつつ、接触角を下げ、レベリング性を向上させることができる。
かかる水溶性フッ素化合物としては、フルオロアルキルアルコール類、フルオロアルキルカルボン酸類等が好ましく用いられる。フルオロアルキルアルコール類としては、2−フルオロ−1−エタノール、2,2−ジフルオロ−1−エタノール、トリフルオロエタノール、テトラフルオロプロパノール、オクタフルオロアミルアルコール等が挙げられる。フルオロアルキルカルボン酸類としては、トリフルオロ酢酸等が挙げられる。ただし、これら例示に限定されるものではなく、水溶性を有するフッ素化物であって、上述の効果を奏するものであれば限定されない。特には、炭素原子数6以下のフルオロアルキルアルコール類が好ましく用いられる。中でも入手しやすさ等の点から、トリフルオロエタノールが特に好ましい。
このような水溶性フッ素化合物を添加する場合の添加量は、被覆剤の全質量を100質量%とする場合、1質量ppm〜10質量%が好ましく、100質量ppm〜2質量%がより好ましい。
≪微細パターンの形成方法≫
基板上のポジ型レジストパターンを前述のパターン微細化用被覆剤からなる被膜で被覆し、次いで、被膜で被覆されたポジ型レジストパターンを加熱し、加熱されたポジ型レジストパターンから被膜を溶解除去することで、被膜で被覆される前のポジ型レジストパターンよりもスリミングされたポジ型レジストパターンを得ることができる。以下、前述の被覆剤を用いて微細パターンを形成する方法について、詳細に説明する。
ポジ型レジストパターンを有する基板の作製は、特に限定されるものでなく、半導体デバイス、液晶表示素子、磁気ヘッドあるいはマイクロレンズ等の製造において用いられる常法により行うことができる。例えば、シリコンウェーハ等の基板上に、ポジ型ホトレジスト組成物を、スピンナー等で塗布、乾燥してホトレジスト層を形成した後、縮小投影露光装置等により、紫外線、deep−UV、エキシマレーザー光等の活性光線を、所望のマスクパターンを介して、真空中、あるいは所定の屈折率を有する液体を介して照射するか、あるいは電子線により描画した後、加熱し、次いでこれを現像液、例えば1〜10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液等のアルカリ性水溶液等を用いて現像処理することによって、基板上にポジ型レジストパターンを形成することができる。
なお、ポジ型レジストパターンの材料となるポジ型ホトレジスト用組成物としては、アルカリ性の現像液によって現像可能なものであれば特に限定されず、i、g線用ポジ型ホトレジスト組成物、KrF、ArF、F等のエキシマレーザー用ポジ型ホトレジスト組成物、さらにはEB(電子線)用ポジ型ホトレジスト組成物、EUV用ポジ型ホトレジスト等、広く一般的に用いられるポジ型ホトレジスト組成物を用いることができる。
次いで、ポジ型レジストパターンを有する基板上全面にわたって、被覆剤を塗布してポジ型レジストパターンを被覆剤からなる被膜で被覆する。被覆方法は従来の熱フロープロセスにおいて通常行われていた方法に従って行うことができる。すなわち、例えばバーコーター法、ロールコーター法、スリットコーター法、スピンナーを用いた回転塗布等の公知の塗布手段により、上記被覆剤がポジ型レジストパターン上に塗布される。
被膜形成後、加熱処理を行う。加熱処理温度は、ポジ型レジストパターンを良好にスリミングできる温度であれば、特に限定されず、ポジ型レジストパターンが熱流動を起こさない温度で加熱するのが好ましい。ポジ型レジストパターンが熱流動を起こさない温度とは、被覆剤からなる被膜が形成されてなく、ポジ型レジストパターンだけを形成した基板を加熱した場合、該ポジ型レジストパターンに寸法変化(例えば、自発的流動による寸法変化等)を生じさせない温度をいう。このような温度での加熱処理を行うことにより、ポジ型レジストパターン中のパターン部の表層の可溶化を促進することができ、後の被膜を除去した後に、良好にスリミングされ、且つラフネスが低減されたポジ型レジストパターンを得ることができる。
被覆剤からなる被膜で被覆されたポジ型レジストパターンを加熱する温度は、60〜140℃が好ましく、80〜120℃がより好ましい。加熱時間は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されないが30〜90秒間が好ましい。
また、被覆剤からなる被膜の厚さとしては、ポジ型レジストパターンの高さと同程度あるいはそれを覆う程度の高さが好ましい。
加熱処理後、ポジ型レジストパターンを有する基板上に残留する被覆剤からなる被膜は、水系溶剤、好ましくは純水による洗浄により除去される。そうすることで、被膜とともに、ポジ型レジストパターン中のレジスト部の表層が洗浄水に溶解し、スリミングされたポジ型レジストパターンが得られる。
なお、水洗に先立ち、所望によりアルカリ水溶液(例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、コリン等)で被覆剤からなる被膜を備える基板を洗浄してもよい。アルカリ水溶液で洗浄した後に水洗を行う場合、被膜及びポジ型レジストパターン中のレジスト部の表層が溶解しやすく、ポジ型レジストパターンをより良好にスリミングさせることができる。
なお、以上説明した工程は、ポジ型レジストパターン中のパターン部が所望する程度にスリミングされるまで、繰返して行われてもよい。
以上説明する方法により、特定の構造の(B)含窒素化合物のアルキレンオキシドを含有する前述の被覆剤を用いてポジ型レジストパターンを微細化することで、ポジ型レジストパターン中のパターン部が良好にスリミングされ、且つ、ラフネスが低減された微細パターンを形成できる、
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〜22〕
(A)成分(ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド))と、(B)成分(表1に記載の種類の含窒素化合物のアルキレンオキシド付加物)と、(C)成分(表1に記載の種類の塩基性含窒素化合物)とを、以下の濃度でイオン交換水に均一に溶解させて被覆剤を調製した。調製された各被覆剤の23℃におけるpHを測定した。各被覆剤の23℃におけるpHを表1に記す。
<被覆剤中の各成分の濃度>
(A)成分:2質量%
(B)成分:表1に記載の濃度
(C)成分:表1に記載の濃度
〔比較例1〕
(B)成分を、(B)成分の代替成分である(B’)成分(リン酸エステル系のアニオン性界面活性剤)に変えることの他は、実施例1と同様にして比較例1の被覆剤を調製した。調製された比較例1の被覆剤の23℃におけるpHを測定した。比較例1の被覆剤の23℃におけるpHを表1に記す。
<(B)成分>
含窒素化合物のアルキレンオキシド付加物として、下記のB1〜B3を用いた。
B1:
Figure 0006278670
(上記式中、m及びnの和は平均7である。)
B2:
Figure 0006278670
(上記式中、m、n、及びlの和は平均7である。)
B3:
Figure 0006278670
(上記式中、m及びnの和は平均4である。)
<(B’)成分>
比較例において、(B)成分の代替成分である(B’)成分であるB’−1として、リン酸エステル系のアニオン性界面活性剤(プライサーフA210G、第一工業製薬社製)を用いた。
<(C)成分>
実施例及び比較例において、(C)成分として、下記のC1〜C7の塩基性含窒素化合物を用いた。
C1:トリエチルアミン
C2:テトラブチルアンモニウムヒドロキシド
C3:テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド
C4:ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド
C5:シクロヘキシルアミン
C6:テトラヒドロフルフリルアミン
C7:N−メチルエタノールアミン
(評価)
12インチシリコンウェーハ上に反射防止膜形成用塗布液(Brewer社製、ARC−29A)を塗布した後、205℃にて60秒間加熱処理して、膜厚89nmの反射防止膜を設けた。この反射防止膜上に、ポジ型レジスト組成物(東京応化工業株式会社製、TARF−PI6−144ME)をスピンナーを用いて塗布した後、120℃で60秒間加熱処理して、膜厚120nmのレジスト膜を形成させた。このようにして形成されたレジスト膜に対して、それぞれ幅60nmのラインとスペースとを備えるラインアンドスペースパターンを形成するためのマスクを介して露光処理した後、90℃で60秒間加熱処理した。その後、2.38質量%TMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)水溶液を用いて現像処理した後、イオン交換蒸留水によるリンスを行い、ラインアンドスペースパターンを得た。
ラインアンドスペースパターンを備える基板の表面に対して、各実施例又は比較例の被覆剤を、スピンナーを用いて被膜の膜厚が100nmとなるように塗布して、ラインアンドスペースパターンの表面を被覆剤からなる被膜で被覆した。次いで、被覆剤で被覆されたホールパターンを、100℃で60秒間加熱処理し、該ラインアンドスペースパターンの微細化処理を行った。その後、イオン交換蒸留水を100秒間被膜に接触させ、ラインアンドスペースパターンの表面から被膜を除去した。このようにして得られた、微細化処理が施されたラインアンドスペースパターンについて、以下の評価を行った。
[ライン幅の微細化量の評価]
まず、微細化処理を施される前のラインアンドスペースパターンを、走査型電子顕微鏡で観察して、400箇所のライン幅を測定した。400箇所のライン幅の値の平均値を求めて、求められた平均値をライン幅W1(nm)とした。各実施例及び比較例の被覆剤を用いて微細化処理を施されたラインアンドスペースパターンについても、400箇所のライン幅の平均値を求め、求められた平均値をライン幅W2(nm)とした。
求められたW1及びW2から、ライン幅の微細化量ΔW(nm)を、下式に従って算出した。
ΔW=W1−W2
各実施例及び比較例の被覆剤を用いて微細化処理されたラインアンドスペースパターンについての、ライン幅の微細化量ΔWを、表1に記す。なお、ΔWが負の値である場合、被覆剤を用いて微細化処理した後に、ライン幅が未処理時のライン幅よりも増大したことを意味する。
[ラインワイズラフネス(LWR)の低下量の評価]
まず、微細化処理を施される前のラインアンドスペースパターンを、走査型電子顕微鏡で観察して、400箇所のライン幅を測定した。400箇所のライン幅の値から、ライン幅の標準偏差(σ)を求めた。次いで、標準偏差の3倍値(3s)を算出し、3sの値を未処理のラインアンドスペースパターン中のラインのラフネス(R1、nm)とした。
各実施例の被覆剤を用いて微細所処理を施されたラインアンドスペースパターンについても、400箇所のライン幅を測定し、R1と同様にして、微細化処理を施されたラインアンドスペースパターン中のラインのラフネス(R2、nm)を求めた。
求められたR1及びR2から、LWRの低下量ΔR(nm)を、下式に従って算出した。
ΔR=R1−R2
各実施例の被覆剤を用いて微細化処理されたラインアンドスペースパターンについての、LWRの低下量ΔRを、表1に記す。
なお、比較例1の被覆剤については、ライン幅を微細化できないとの評価結果が得られたため、比較例1の被覆剤を用いて処理されたパターンについて、LWRの低下量の評価を行わなかった。
Figure 0006278670
実施例1〜22によれば、(A)水溶性ポリマーと、窒素原子に結合する炭素数8以上のアルキル基を有し、当該アルキル基が結合している窒素原子1モルに対して、4モル以上のエチレンオキシドが付加した化合物である(B)含窒素化合物のアルキレンオキシド付加物とを含み、23℃におけるpHの値が10以上である被覆剤を用いて、所定の方法でポジ型レジストパターンを処理する場合、ポジ型レジストパターンのスリミングと、ラフネスの低減とを両立できることかが分かる。
また、実施例1〜22の被覆剤を用いて処理されたポジ型レジストパターン中のレジスト部の形状を、走査型電子顕微鏡により観察したところ、レジスト部の高さは処理前と変わらず、レジスト部の断面形状は良好な矩形であった。
比較例1によれば、(A)水溶性ポリマーを含み、23℃におけるpHの値が10以上である被覆剤であっても、所定の構造の(B)含窒素化合物のアルキレンオキシド付加物に変えてリン酸エステル系の界面活性剤を含有する被覆剤を用いて、所定の方法でポジ型レジストパターンを処理する場合、ポジ型レジストパターンをスリミングできないことかが分かる。

Claims (7)

  1. 基板上に形成されたポジ型レジストパターンの表面に被膜を形成し、前記被膜で被覆される前のポジ型レジストパターンよりも、パターン中のレジスト部が微細化されたパターンを形成するために用いられるパターン微細化用被覆剤であって、
    (A)水溶性ポリマーと、(B)含窒素化合物のアルキレンオキシド付加物とを含有し、
    前記(B)含窒素化合物のアルキレンオキシド付加物が、窒素原子に結合する炭素数8以上のアルキル基を有し、前記アルキル基が結合している窒素原子1モルに対して、4モル以上のエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドが付加した化合物であり、
    当該パターン微細化用被覆剤の23℃で測定されるpHの値が10以上である、パターン微細化用被覆剤。
  2. 前記(B)含窒素化合物のアルキレンオキシド付加物が、下式(1)又は下式(2)で表される化合物である、請求項1に記載のパターン微細化用被覆剤。
    Figure 0006278670
    (式(1)中、Rは炭素数8以上のアルキル基であり、Rは−(A−O)−Rで表される基であり、Rは水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、又は−(A−O)−Rで表される基である。式(2)中、R及びRは式(1)と同様であり、Rはアルキル基、ヒドロキシアルキル基、又は−(A−O)−Rで表される基であり、Rはアルキル基、ヒドロキシアルキル基、又は−(A−O)−Rで表される基であり、Xは1価のアニオンである。Aはエチレン基又はプロピレン基であり、Rは水素原子又はアルキル基であり、q、r、及びsは−A−O−で表される2価の基の平均繰り返し数であり、qは正の数であり、r、及びsはそれぞれ0又は正の数であり、式(1)中、q+rは4以上であり、式(2)中、q+r+sは4以上である。)
  3. 前記式(1)において、前記Rが−(A−O)−Hで表される基である、請求項2に記載のパターン微細化用被覆剤。
  4. 前記式(2)において、前記Rが−(A−O)−Hで表される基であり、前記Rが−(A−O)−Hで表される基である、請求項2に記載のパターン微細化用被覆剤。
  5. 前記(B)含窒素化合物のアルキレンオキシド付加物以外の他の(C)塩基性含窒素化合物を含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のパターン微細化用被覆剤。
  6. 前記(C)塩基性含窒素化合物が、下式(3)で表される4級アンモニウム水酸化物である、請求項5に記載のパターン微細化用被覆剤。
    Figure 0006278670
    (式(3)中、Rc1、Rc2、Rc3、Rc4は、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ独立に、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、及びアラルキル基からなる群より選択される基である。)
  7. 基板上のポジ型レジストパターンを請求項1〜6のいずれか1項に記載のパターン微細化用被覆剤からなる被膜で被覆し、次いで、前記被膜で被覆された前記ポジ型レジストパターンを加熱し、加熱された前記ポジ型レジストパターンから前記被膜を溶解除去することで、前記被膜で被覆される前のポジ型レジストパターンよりも、パターン中のレジスト部が微細化されたポジ型レジストパターンを得る、ポジ型レジストパターンのスリミング処理方法。
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