第1の発明は、湯水が浴槽内へと噴出する噴出口と、第1配管から供給された湯水が前記噴出口に向かって流れる往き流路と、前記浴槽内の湯水を吸い込む吸込口と、前記吸込口から吸い込んだ湯水が第2配管へと流れる戻り流路と、前記往き流路に配設され、圧送された空気を微細気泡として前記往き流路を流れる前記湯水に放出する多孔質体と、前記多孔質体へと空気が流れる空気流路と、を備え、前記往き流路の流路断面積は、下流側が上流側以上であり、また、前記多孔質体は、軸線に垂直な方向の断面積が、前記往き流路を流れる湯水の流れ方向に対して、上流側より下流側の方が大きい形状であり、かつ、前記空気流路が、前記往き流路と前記戻り流路との間に設けられていることを特徴とする風呂アダプタである。
これにより、多孔質体が往き流路に配設されているので、浴槽内の湯水が多孔質体の外表面を流れる湯水に影響を与えることを防止できる。また、微細気泡を発生させる多孔質体が浴槽の壁面に取り付けられる風呂アダプタに内蔵されているので、噴出口から浴槽の全体に向かって微細気泡を噴出させ、微細気泡を浴槽内に効率よく拡散させることができる。
また、往き流路と戻り流路との間に、空気流路が配置されるので、空気流路が断熱へ着としての役割を果たす。よって、往き流路を流れる湯水と戻り流路を流れる湯水との熱交換を抑制する。その結果、浴槽に供給される湯水の温度が低下することを抑制できるので、この風呂アダプタを給湯機に適用した場合に、使用性の高い給湯装置を実現できる。
第2の発明は、第1の発明の風呂アダプタの前記往き流路に湯水を供給する前記第1配管と、第1の発明の風呂アダプタの前記戻り流路を流れた湯水が流入する前記第2配管と、を備えた給湯機である。
これにより、浴槽内に微細気泡が混入した湯水を供給することができる。微細気泡は、温熱効果を増大させるとともに、保温効果を長時間持続させる。したがって、使用性の高い給湯機を実現することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における風呂アダプタ及び給湯機の概略構成図である。図2(a)から図2(f)は、それぞれ、風呂アダプタの断面図、風呂アダプタの基底部の断面図、風呂アダプタのコネクタの断面図、風呂アダプタの突出部の断面図、風呂アダプタの気泡発生デバイスの断面図、風呂アダプタのカバーの断面図である。
本発明は、浴槽内に湯水とともに微細気泡を放出させる風呂アダプタ及び風呂アダプタに湯水及び空気を供給する給湯機に関するものである。図1に示すように、本発明の給湯機100は、風呂循環回路60を備えている。風呂循環回路60は、浴槽31の壁面に取り付けられる風呂アダプタ61、湯水を循環させる風呂循環ポンプ23、風呂循環回路60を流動する湯水を加熱する加熱装置(風呂熱交換器)24が、順に配管で環状に接続されて構成されている。ここで、風呂アダプタ61と風呂循環ポンプ23とは風呂戻り管30によって互いに接続され、風呂循環ポンプ23と風呂アダプタ61とは風呂往き管29によって互いに接続されている。加熱装置24は風呂往き管29に設けられている。これにより、給湯機100は、浴槽31内に蓄えられた湯水の加熱を行う追い焚き運転を実行することができる。また、風呂循環回路60の途中には、浴槽31の水位を検出する水位検出手段46が配設されている。
なお、風呂循環回路60には、風呂注湯管27が接続されている。風呂注湯管27は、風呂循環回路60に、外部から湯水を供給するための配管である。これにより、給湯機100は、浴槽31に湯水を供給する湯はり運転を実行することができる。
また、給湯機100は、風呂アダプタ61に空気を圧送する空気ポンプ68、空気ポンプ68と風呂アダプタ61とを接続する空気配管69を備えている。
次に風呂アダプタ61の構成について詳細に説明する。風呂アダプタ61は、空気及び湯水の流路を形成する本体62と、浴槽31内に噴出する湯水に微細気泡を放出する気泡発生デバイス67とを有している。気泡発生デバイス67は微細気泡を発生させる多孔質体67aを有する。多孔質体67aに空気を圧送して微細気泡を発生させ、発生した微細気泡を、本体62の内部を流れる湯水に放出させる。これにより、浴槽31内に微細気泡が混入した湯水を噴出させることができる。
図2(a)に示すように、風呂アダプタ61には、浴槽31へと湯水が噴出する噴出口65jが設けられ、風呂アダプタ61の内部には、噴出口65jに向かって湯水が流れる往き流路(63a、65a)が形成されている。また、風呂アダプタ61には、浴槽31内の湯水を吸込む吸込口66jが設けられ、風呂アダプタ61の内部には、吸込口66jから吸込んだ湯水が風呂戻り管30へと流れる戻り流路(63b、65b)が形成されている。さらに、風呂アダプタ61の内部には、空気ポンプ68によって圧送され、空気配管69を介して風呂アダプタ61内に流入した空気を、気泡発生デバイス67へと供給するための空気流路(63c、65c)が設けられている。
風呂アダプタ61を構成する本体62は、軸線Cに垂直な断面が、軸線Cを中心とした円形状に形成されている。往き流路(63a、65a)、空気流路(63c、65c)、
戻り流路(63b、65b)はそれぞれ、軸線Cを中心とし、半径が異なる同心円状に配置されている。本実施の形態においては、図2(a)に示すように、軸線C上に往き流路(63a、65a)が設けられている。また、往き流路(63a、65a)よりも外方に、空気流路(63c、65c)が設けられている。さらに、空気流路(63c、65c)よりも外方に戻り流路(63b、65b)が配置されている。なお、往き流路(63a、65a)は、軸線Cに垂直な断面が円形状に形成されている。
このように、往き流路(63a、65a)、空気流路(63c、65c)、戻り流路(63b、65b)のそれぞれを、半径が異なる同心円状に配置することで、風呂アダプタ61が複数の部材によって構成されていても、風呂アダプタ61を浴槽31に取り付ける作業時に、それぞれの流路を確実に接続することができる。また、3つの流路のうち、戻り流路(63b、65b)を最も外方に配置することで、後述するカバー66に形成される吸込口66jを介して、浴槽31内の湯水を容易に吸込むことができる。
また、往き流路(63a、65a)と戻り流路(63b、65b)との間に、空気流路(63c、65c)が配置されるので、往き流路(63a、65a)を流れる湯水と戻り流路(63b、65b)を流れる湯水との熱交換を抑制することができる。
図2(a)から(f)に示すように、風呂アダプタ61を構成する本体62は、風呂往き管29と風呂戻り管30と空気配管69とが接続される基底部63、噴出口65jを有する突出部65、基底部63と突出部65とを接続するコネクタ64、突出部65のうち浴槽31の内方に突出した部分を覆い、吸込口66jを有するカバー66を備えている。なお、突出部65は、コネクタ64と一体に成型された頂部として構成されていてもよい。
図2(a)(b)に示すように、基底部63には、風呂往き管29が接続される往き管接続口63d、風呂戻り管30が接続される戻り管接続口63e、空気配管69が接続される空気配管接続口63fが設けられている。また、基底部63には、往き流路63a、戻り流路63b、空気流路63cが設けられている。往き流路63aと往き管接続口63d、戻り流路63bと戻り管接続口63e、空気配管接続口63fと空気流路63cとはそれぞれ互いに連通する。
往き流路63aには、その流路断面積を減少させた絞り部63nが設けられている。絞り部63nは、絞り部63nの上流側の往き流路63aの流路断面積を減少させて、往き流路63aを流れる湯水の流速を増大させるものである。これにより、後述の多孔質体67aの外表面から放出される空気のせん断力が増大するため、微細気泡の効率よく湯水に放出することができる。また、噴出口65jから噴出される湯水の流速が増大するので、微細気泡を浴槽31内に効率よく拡散させることができる。なお、絞り部63nは、多孔質体67aよりも上流側の往き流路(63a、65a)に設けられていれば、その位置は特に限定されない。よって、図2に示すように、基底部63に絞り部63nが設けられている場合に限らず、例えば、突出部65に絞り部が設けられていてもよい。
図2(a)(d)に示すように、突出部65には、風呂往き管29から供給された湯水が流れる往き流路65aが設けられている。往き流路65aの一端は、基底部63に形成された往き流路63aと接続される。本実施の形態の風呂アダプタ61においては、基底部63の往き流路63aが、突出部65の往き流路65aの内側に挿入されることで、互いが接続され、連通する。なお、突出部65の往き流路65aが基底部63の往き流路63aの内側に挿入されていてもかまわない。往き流路65aの他端には、噴出口65jが形成されている。
往き流路65aの少なくとも一部は、多孔質体67aが配設される多孔質体収納部65iを構成する。多孔質体収納部65iは、多孔質体67aが完全に収納されるのに十分な容量を有する。これにより、多孔質体67aの周囲は、噴出口65jと往き流路63a側を除いて多孔質体収納部65iに覆われる。すなわち、多孔質体67aは往き流路65aから外部に突出しないことになる。これにより、浴槽31内に存在する湯水が気泡発生デバイス67の周囲を流れる湯水の流れに影響を与えることがなく、往き流路65aを流れる湯水に対して、微細気泡を安定的に放出することができる。
多孔質体収納部65iの流路断面積Sは、下流側(噴出口65j側)の流路断面積S2が上流側(基底部63側)の流路断面積S1以上の大きさとなるように形成される。より好ましくは、噴出口65jに向かって次第に流路断面積が増大するように形成される。本実施の形態では、多孔質体収納部65iは、流路断面積が下流側に向かって連続的に増大する略円錐状に形成される。また、多孔質体収納部65iは、図2(d)に示すように、噴出口65jの流路断面積S2が、往き流路65aで最大の流路断面積となるように形成される。
このように、下流側(噴出口65j側)の流路断面積Sをより大きくすることで、浴槽31内に噴出された湯水が放射状に拡散し、その結果、湯水に放出された微細気泡についても、浴槽31内に放射状に拡散するので、浴槽31内の全体にわたって微細気泡を拡散させることができる。
また、下流側(噴出口65j側)の流路断面積S2が上流側(基底部63側)の流路断面積S1以上の大きさとなることで、後述のように、本体62と着脱自在に設けられている気泡発生デバイス67の着脱が容易になる。
また、図2(b)及び図3(a)に示すように、往き流路65aのうち、多孔質体収納部65iの内径dは、多孔質体67aよりも上流側の往き流路(63a、65a)における内径d’以上の大きさに形成されている。多孔質体67aよりも上流側の往き流路(63a、65a)の内径は、風呂往き管29の管径等が主な要因となって決定されてしまう。よって、多孔質体収納部65iの内径dを多孔質体67aよりも上流側の往き流路(63a、65a)の内径以上の大きさとすることで、多孔質体収納部65iの容積を増大させることができる。これにより、多孔質体67aの表面積を増大させることができるので、微細気泡の発生量を増大させることができる。
さらに、突出部65には、軸線Cに対して往き流路65aよりも外方側に空気流路65cが形成されている。空気流路65cの一端は、基底部63に形成された空気流路63cと接続される。空気流路65cの他端は、気泡発生デバイス67と接続される。
基底部63と突出部65とは、コネクタ64を介して互いに接続される。すなわち、基底部63の係合部63gとコネクタ64の係合部64gとが係合し、コネクタ64の接続部64hと突出部65の接続部65hとが接続されることで、基底部63、コネクタ64、突出部65が一体となる。
コネクタ64の接続部64hと突出部65の接続部65hとは、例えばボルトによって締結され、互いに接続される。このとき、突出部65の接続部65hには、ボルトによる締結固定のための貫通穴が設けられ、コネクタ64の接続部64hには、雌ねじが切られた穴が設けられる。これにより、噴出口65j側からボルトを締めこんでコネクタ64と突出部65とを締結固定することができる。なお、接続部65hに設けられる貫通穴は、円周方向に一定の幅寸法をもって設けられていることが好ましい。これにより、軸線Cを軸として突出部65を一定量回転させながら、コネクタ64に締結固定することができる
。すなわち、接続部65hに設けられる貫通穴が、突出部65をコネクタ64に固定する際のバックラッシュとして機能する。これにより、風呂アダプタ61を浴槽31に取り付ける際の作業が容易になる。なお、コネクタ64と突出部65との接続方法は、ボルトによる締結固定に限定されない。
また、基底部63の係合部63gとコネクタ64の係合部64gとには、ねじが切られている。一方の係合部(63g、64g)に他方の係合部(63g、64g)をねじ込むことで、コネクタ64と基底部63とを係合固定することができる。本実施の形態では、基底部63の内部で戻り流路63bの内表面に雌ねじが切られた係合部63gが設けられている。また、コネクタ64gの外表面に雄ねじが切られた係合部64gが設けられている。また、コネクタ64には、浴槽31の内方側の壁面と接触する突起64mが設けられている。
風呂アダプタ61の本体62を浴槽31に取り付ける場合には、まず、基底部63の係合部63gとコネクタ64の係合部64gとを、浴槽31の壁面を挟み込むようにねじ込んで係合させて、コネクタ64と基底部63とを浴槽31の壁面に固定する。次に、突出部65をコネクタ64に接続固定する。最後に、カバー66と突出部65とを接続固定する。なお、気泡発生デバイス67は、後述のように本体62と着脱自在に設けられている。よって、気泡発生デバイス67は、例えば、突出部65をコネクタ64に接続固定した後のいずれかの手順で、本体62に取り付けることができる。また、気泡発生デバイス67を突出部65に装着した状態で、突出部65をコネクタ64に取り付けるようにしてもよい。
このように、風呂アダプタ61を構成する本体62の内部には、軸線Cを中心とした同心円状に流路が設けられ、また、各配管(29、30、68)が接続される基底部63と、噴出口65jとが設けられる突出部65とは、コネクタ64を介して接続して固定されるように構成されている。その結果、各部材の流路同士の接続を容易にして、風呂アダプタ61の取り付け作業を容易にすることができる。
図2(a)に示すように、突出部65のうち浴槽31の内方に突出した部分は、カバー66に覆われている。なお、カバー66は、少なくとも、突出部65に設けられた往き流路65aのうち、浴槽31の内方側に突出した部分を覆うように構成されていればよい。また、本実施の形態の風呂アダプタ61においては、図2(a)に示すように、カバー66は、噴出口65jを覆っていないが、カバー66が噴出口65jを覆うように構成されていてもよい。この場合、カバー66のうち噴出口65jを覆う部分には、浴槽31に噴出される湯水の流れを阻害しないような加工が施されていること(例えば、複数の小孔が設けられていること)が好ましい。
また、図2(a)(f)に示すように、カバー66には、浴槽31内の湯水を吸込む吸込口66jが設けられている。吸込口66jは、カバー66の周囲に複数箇所設けられている。吸込口66jは、風呂アダプタ61が浴槽31に取り付けられた状態で、噴出口65jよりも上方に設けられることが好ましい。これにより、浴槽31に放出された微細気泡を、戻り流路(63b、65b)及び風呂循環回路60へと流入させ、微細気泡の洗浄作用により、風呂アダプタ61の内部及び風呂循環回路60を洗浄することができる。
吸込口66jには、フィルタ66kが設けられている。これにより、浴槽31内に存在する毛髪等のゴミが風呂アダプタ61内に流入することを防止する。フィルタ66kは、複数の小孔を設けることで構成されていてもよいし、不織布等を吸込口66jに設けてもよく、特に限定されない。
カバー66の内方には、戻り流路65bが形成される。すなわち、カバー66の内表面と、突出部65の外表面とで構成される空間が戻り流路65bを形成する。戻り流路65bは、戻り流路63bに接続される。
カバー66には、係合部66lが設けられ、係合部66lと突出部65の係合部65lとが係合する。
気泡発生デバイス67は、微細気泡を発生させる多孔質体67a、突出部65の空気流路65cと接続される空気流路67cを有する。気泡発生デバイス67は、本体62と着脱自在に構成される。本実施の形態では、気泡発生デバイス67は、突出部65と着脱自在に構成される。例えば、気泡発生デバイス67と突出部65とは、ボルトによって互いに接続固定される。
多孔質体67aは、図2(a)に示すように、突出部65に形成された多孔質体収納部65iに配設される。また、多孔質体67aは中空状に形成され、内部には中空空間67nが設けられている。これにより、多孔質体67aの全体にわたって、空気を供給することができ、微細気泡を効率よく発生させることができる。なお、多孔質体67aは、微細孔を形成する材料を一体成型して構成されていてもよく、また、微細孔を形成する多孔質膜を、部材の周囲に巻きつけて形成されていてもよい。
多孔質体67aの軸線Cに垂直な断面積は、往き流路65aを流れる湯水の流れ方向に対して、上流側よりも下流側のほうが大きくなるように形成されている。ここで、多孔質体67aの軸線Cに垂直な断面積とは、多孔質体67aの内部に形成された中空空間67nを含んだ断面積である。本実施の形態では、多孔質体67aは、円錐状に形成され、円錐状の頂点が往き流路65aの上流側となるように、多孔質体収納部65iに配設される。さらに、多孔質体67aは、多孔質体収納部65iに完全に収納される程度の大きさに形成される。すなわち、多孔質体67aは、往き流路65aから突出しない程度の容量に形成される。
図4に示すように、多孔質体67aは、中空空間67nと多孔質体67aの外部(往き流路65a)とを連通する複数の微細孔を有している。微細孔は複数の断面積(例えば、D1、D2)を有する。中空空間67nに供給された空気は、これらの微細孔を流通し、微細気泡となって往き流路65aを流れる湯水に放出される。
空気流路67cは、突出部65の空気流路65cと多孔質体67aの中空空間67nとを接続する。空気流路67cは、図2(e)に示すように、多孔質体67aの軸線C方向の長さ寸法Lにおいて、中心よりも噴出口65j側の領域で中空空間67nと接続されていることが好ましい。さらに、空気流路67cは、多孔質体67aうち噴出口65j側から中空空間67nに接続されているとより好ましい。これにより、多孔質体67aに形成されている各微細孔にかかる空気圧の圧力差を低減することができる。以下、各微細孔にかかる空気圧を均一化させる作用について説明する。
多孔質体67aは、軸線Cに垂直な断面積が、往き流路65aを流れる湯水の流れ方向に対して、下流側がより大きくなるように形成されている。ここで、軸線Cに垂直な断面積が増大すると、多孔質体67aにおける、軸線Cの単位長さあたりの外表面積も増大する。微細孔の数は、外表面積の増大に伴って増大し、これにより、軸線Cの単位長さあたりにおける、多孔質体67aの外表面から流出する空気の流通面積は、往き流路65aの下流側ほど大きくなる。また、中空空間67nには、多孔質体67aの軸線C方向の中心よりも噴出口65j側から空気が流入する。中空空間67nに流入した空気の少なくとも一部は、中空空間67nを噴出口65j側から往き流路65aの上流側へと流れる。これ
により、中空空間67nを流れる空気の一部と往き流路65aを流れる湯水とは対向流となる。通常、空気圧は、空気流の下流ほど減少するが、空気圧の減少とともに空気の流通面積も小さくなる。すなわち、空気圧の減少に伴い空気の流通面積が小さくなるので、各微細孔にかかる空気圧の圧力差を均一化させることができる。その結果、微細気泡を効率よく湯水に放出することができる。
往き流路65aを形成する突出部65の内表面と多孔質体67aの外表面との間に形成される水の流通面積Wは、図3(b)に示すように、往き流路65aの下流側における水の流通面積W2が、上流側における水の流通面積W1よりも大きくなるように構成されている。本実施の形態においては、水の流通面積Wは、上流側から下流側に向かって次第に大きくなるように構成されている。
また、往き流路65aを形成する突出部65の内表面と多孔質体67aの外表面との距離h1は、図3(b)に示すように、往き流路65aの下流側における距離h2が、上流側における距離hよりも小さくなるように構成されている。
これにより、往き流路65aの下流側が絞られるので、突出部65の内表面と多孔質体67aの外表面とが平行である場合に比べて、湯水の流速を増大させることができる。よって、浴槽31内に噴出させる湯水の流速を高く維持して、湯水及び微細気泡を勢いよく浴槽31内に噴出させることができる。
次に、多孔質体67aによって、往き流路65aに微細気泡を放出させる際の動作、作用について、以下詳細に説明する。
風呂循環回路60を循環する湯水に微細気泡を放出させ、微細気泡が混入した湯水を浴槽31内に供給する場合、風呂循環ポンプ23と空気ポンプ68とを起動させる。これにより、風呂循環回路60の内部を湯水が流動し、空気配管69に空気が流入する。
風呂アダプタ61には、風呂往き管29を流れた湯水が往き管接続口63dから流入する。往き管接続口63dから風呂アダプタ61内に流入した湯水は、往き流路(63a、65a)を噴出口65jに向かって流れる。
一方、空気ポンプ68によって圧送され、空気配管69を流れた空気は、空気配管接続口63fから風呂アダプタ61内に流入する。風呂アダプタ61内に流入した空気は、空気流路(63c、65c、67c)を流れ、多孔質体67aの内部に形成された中空空間67nに流入する。中空空間67nに流入した空気は、多孔質体67aに形成された複数の微細孔を介して、往き流路65aを流れる湯水に流出する。
往き流路65aにおいて、多孔質体67aの外表面から流出した空気が、微細気泡として湯水に放出される。微細気泡が混入した湯水は、噴出口65jから浴槽31内に噴出する。
また、風呂アダプタ61には、浴槽31内の湯水が吸込口66jから流入する。吸込口66jから流入した湯水は、戻り回路(65b、63b)を、戻り管接続口63eに向かって流れ、風呂戻り管30に流出する。このようにして、風呂循環回路60の内部を湯水が流動する。
次に、多孔質体67aの外表面において、微細気泡が発生する作用について説明する。図4(a)(b)は、多孔質体67aの外表面から微細気泡が放出される現象を示す部分拡大断面図である。特に、図4(b)は、湯水が多孔質体67aの外表面に対して角度を
もって接触する場合を示している。図4(a)(b)において、多孔質体67aよりも紙面上方は、湯水が流れる往き流路65aであり、多孔質体67aよりも紙面下方は、空気が流れる中空空間67nである。
ここで、空気ポンプ68によって中空空間67nに供給された空気の圧力(空気圧)が、噴出口65jから噴出される湯水の水圧よりも高くなるようにする。これにより、多孔質体67aの外表面を流れる湯水の表面張力と、空気圧と水圧との圧力差に起因して、多孔質体67aの外表面から空気が流出する。
多孔質体67aの外表面を流れる湯水には粘性がある。よって、多孔質体67aの外表面から流出した空気には、多孔質体67aの外表面を流れる湯水によるせん断力が生じる。空気に一定以上のせん断力が作用すると、空気が多孔質体67aの外表面から切り離されて、微細気泡として湯水に放出される。このようにして、多孔質体67aの外表面で微細気泡が発生する。
また、多孔質体67aを円錐状、または円錐台状に構成することで、図4(b)に示すように、往き流路65a内の湯水の流れと多孔質体67a表面とに角度が生じ、湯水の流れと多孔質体67aとが平行の場合に比べて、湯水の速度境界層の成長が抑制される。すなわち、多孔質体67aの外表面における湯水の流速が増大するために、多孔質体67aの外表面を流れる湯水によるせん断力が増大し、微細気泡を効率よく発生させることができる。
往き流路65aを流れる湯水に放出される微細気泡の気泡径は、湯水の流速によるせん断速度、空気圧と水圧との圧力差、多孔質体67aに構成された微細孔の断面積により決定される。ここで、前述のように多孔質体67aは、複数の断面積を有する微細孔を有するので、往き流路65aを流れる湯水に放出される気泡は、複数の気泡径を有することになる。
このように、湯水に微細気泡が放出されることで、湯水は白濁し、浴槽31内に噴出する。浴槽31内の湯水の白濁の度合いは、湯水に含まれる微細気泡の気泡径と浴槽31内の微細気泡の分布密度によって決定される。
また、浴槽31内における微細気泡の分布密度は、浴槽31内への微細気泡の供給量と、微細気泡の浴槽31内での拡散性によって決定される。
微細気泡の供給量は、多孔質体67aの外表面を流れる湯水の流速によるせん断速度、多孔質体67aの外表面に形成される微細孔の密度によって決定される。本発明によれば、多孔質体67aの外表面に形成される微細孔の密度を増加させることにより、微細気泡の供給量を増大させることができる。すなわち、風呂循環ポンプ23の定格を増大させることによって湯水の流速を増大させることなく、微細気泡の供給量を増大させることができるので、給湯機100としての省エネルギー性を増大させることなく、浴槽31内に微細気泡を供給することができる。
また、浴槽31内における微細気泡の拡散性は、微細気泡の気泡径と、噴出口65jから噴出された湯水の流速によって決定される。気泡径が相対的に大きい微細気泡は、水中での浮力が大きく、噴出口65jから噴出した後、浴槽31内の上方へと移動する。一方、気泡径が相対的に小さい微細気泡は、水中での浮力も小さく、噴出口65jから噴出された湯水とともに、噴出口65jから比較的遠くまで移動する。
すなわち、相対的に気泡径の大きい微細気泡は、噴出口65jの近傍、かつ、浴槽31
内の湯水の上層部に多く分布し、相対的に気泡径の小さい微細気泡は、噴出口65jから比較的遠く、かつ、浴槽31内の湯水の下層部に多く分布することになる。
このように、本発明によれば、浴槽31内に供給する微細気泡の供給量を増大させるとともに、浴槽31内における微細気泡の拡散性を向上させることができる。したがって、浴槽31内に効率よく微細気泡を供給することが可能な風呂アダプタ61を提供することができる。
また、微細気泡が混入した湯水は、人体に対する温熱効果を増大させるとともに、保温効果を長時間持続させる効果がある。したがって、本発明によれば、使用性の高い給湯機100を実現することができる。
また、湯水に微細気泡を放出させ、微細気泡が混入した湯水を浴槽31内に噴出させると、風呂アダプタ61には、吸込口66jから微細気泡が流入する。風呂アダプタ61内に流入した微細気泡は、湯水の流れに沿って、風呂循環回路60を流動する。微細気泡は、洗浄機能を有する。したがって、本発明によれば、風呂循環回路60の内部に付着した皮脂等の汚れを取り除き、風呂循環回路60内での菌の増殖を抑制することができる。また、風呂循環回路60の内部に付着した汚れを取り除くことができるので、加熱装置24の能力を最大限に発揮させることができる。その結果、清潔性、省エネルギー性に優れた給湯機を実現することができる。
なお、風呂アダプタ61は、貯湯式給湯機に適用してもよい。図5は、風呂アダプタ61を、貯湯式の給湯機100に適用した場合を示す概略構成図である。
図5に示す貯湯式給湯機は、湯を沸き上げるヒートポンプ装置と、ヒートポンプ装置によって加熱生成された湯を蓄える貯湯槽3とを備えている。この貯湯式ヒートポンプ給湯機は、貯湯ユニット1とヒートポンプユニット2とを備えている。
ヒートポンプユニット2には、圧縮機4、水冷媒熱交換器5、電磁膨張弁やキャピラリチューブ、膨張機等で構成された減圧手段6、空気熱交換器である蒸発器7が冷媒配管で環状に接続され、冷媒が循環するヒートポンプサイクル2aが設けられている。冷媒としては、二酸化炭素等の単一冷媒、R410AやR407C等のHFC冷媒を用いることができる。二酸化炭素を冷媒として使用する場合、ヒートポンプサイクル2aが動作しているときの高圧側の圧力は臨界圧力以上となる。その結果、ヒートポンプサイクル2aは、超臨界サイクルとして動作する。蒸発器7の近傍には、蒸発器7に送風するためのファン8が設けられている。
貯湯ユニット1には、貯湯槽3が設けられている。また、貯湯ユニット1には、貯湯槽3の下部(底部)、沸き上げ往き管32、水冷媒熱交換器5、沸き上げ戻り管33、三方切替弁18a、貯湯槽3が順に接続されて形成された環状の沸き上げ回路が設けられている。沸き上げ往き管32の途中には、貯湯槽3の下部の水を水冷媒熱交換器5に搬送する沸き上げポンプ21が設けられている。
三方切替弁18aの入口側には沸き上げ戻り管33が接続されている。三方切替弁18aの出口側には、沸き上げバイパス管34、沸き上げ管35が接続されている。沸き上げバイパス管34の他端は、貯湯槽3の底部と接続されている。沸き上げ管35の他端は、貯湯槽3の上部に接続されている。なお、沸き上げ管35の他端は、後述する第1出湯管9に接続されていてもよい。
これにより、沸き上げポンプ21により搬送されて沸き上げ戻り管33を流れる湯水は
、三方切替弁18aによって流路が切り替えられる。すなわち、沸き上げ戻り管33を流れる湯水は、沸き上げバイパス管34を介して貯湯槽3の下部に戻り、沸き上げ管35を介して貯湯槽3の上部に戻る。
また、水冷媒熱交換器5の入口の水温を検知する入水温度検知手段41と、水冷媒熱交換器5の出口の水温を検知する出湯温度センサである出湯温度検知手段42が備えられている。
貯湯槽3の壁面には貯湯温度検知手段としての複数の残湯サーミスタ(温度センサ)40a〜40eが上方から順に設置されており、残湯サーミスタ40a〜40eの温度により、貯湯槽3内の蓄熱熱量を把握することができる。
水道からの水は、減圧弁20が途中に接続された給水管11を経由して、貯湯槽3や後述する第2混合弁14、第3混合弁15へと供給される。給水管11は、給水分岐部12で第1給水分岐管12a、第2給水分岐管12b、第3給水分岐管12cに分岐しており、第1給水分岐管12aは、貯湯槽3の底部に、第2給水分岐管12bは第2混合弁14に、第3給水分岐管12cは第3混合弁15にそれぞれ接続されている。
貯湯槽3の頂部には第1出湯管9が接続されており、第1出湯管9の他端は、出湯分岐管16と追いだき管25とに分岐し、出湯分岐管16は第1混合弁13に、追いだき管25は風呂熱交換器24に接続されている。また、貯湯槽3の上下方向において湯はり沸き上げ管36が接続された位置と貯湯槽3の底部との間には第2出湯管10が接続されている。
貯湯ユニット1には、給湯回路が設けられている。給湯回路は、貯湯槽3内の温水と水道から供給される水とを、第1混合弁13、第2混合弁14、第3混合弁15で混合して所定温度の温水にして、カランやシャワーなどの給湯端末(図示していない)や浴槽に給湯する回路である。
第1混合弁13は、第1出湯管9から供給される温水と第2出湯管10から供給される温水とを混合して出湯合流管17から流出させる。出湯合流管17は第1出湯合流管分岐管17aと第2出湯合流管分岐管17bとに分岐しており、第1出湯合流管分岐管17aは第2混合弁14に、第2出湯合流管分岐管17bは第3混合弁15にそれぞれ接続されている。
第2混合弁14は、第1出湯合流管分岐管17aから供給される温水と第2給水分岐管12bから供給される水とを混合して給湯管28から流出させ、カランやシャワーなどの給湯端末(図示していない)から所定温度の温水を給湯させる。
第2混合弁14の出口側に接続された給湯管28には第1給湯温度検知手段としての給湯温度センサ43aが設置されており、給湯端末から給湯する際には、給湯温度センサ43aの検知温度が目標設定温度(使用者がリモコン(設定操作手段)50より設定する)になるように、制御手段51により第2混合弁14の混合比を制御する。
第3混合弁15は、第2出湯合流管分岐管17bから供給される温水と第1給水分岐管12cから供給される水とを混合して風呂注湯管27から流出させ、注湯弁19、風呂往き管29及び風呂戻り管30を介して所定温度の温水を浴槽31に注湯させる。
第3混合弁15の出口側に接続された風呂注湯管27には第2給湯温度検知手段としての風呂給湯温度センサ43bが設置されており、浴槽31に給湯する際には、風呂給湯温
度センサ43bの検知温度が(使用者がリモコン50により設定する)目標設定温度になるように、制御手段51により第3混合弁15の混合比を制御する。
貯湯ユニット1には風呂追い焚き回路が設けられている。風呂追い焚き回路は、貯湯槽3の温水と浴槽31の温水とを風呂熱交換器(加熱装置)24で熱交換することにより、浴槽31の温水を所定温度に加熱することができる。
風呂追い焚き回路は、貯湯槽3、第1出湯管9、追いだき管25、風呂熱交換器24、追いだきポンプ22、追いだき戻り管26、貯湯槽3を環状に接続して構成した1次側流路と、浴槽31、風呂戻り管30、風呂循環ポンプ23、風呂熱交換器(加熱装置)24、風呂往き管29、浴槽31に取り付けられる風呂アダプタ61を環状に配管で接続して構成した2次側流路(風呂循環回路)60とを有する。風呂循環回路60のうち、風呂往き管29の一部(風呂往き管29a)、風呂戻り管30の一部(風呂戻り管30a)、風呂アダプタ61は、貯湯ユニット1の外部に配置される。また、風呂戻り管30の途中には、浴槽31内の温水温度を検出する浴槽温度検知手段としての風呂温度センサ45、及び浴槽の水位検出手段としての水位センサ46が設置されている。
また、図5に示す貯湯式ヒートポンプ給湯機100は、貯湯ユニット1の内部に、風呂アダプタ61に空気を圧送する空気ポンプ68と、空気ポンプ68によって圧送される空気が流れる空気配管69の一部とを備えている。このうち、空気配管69の一部(空気配管69a)は、貯湯ユニット1の外部に配置される。なお、空気ポンプ68と空気配管69とは、貯湯ユニット1とは別体として設けられていてもよい。
風呂往き管29a、風呂戻り管30a、空気配管69aは、貯湯ユニット1と風呂アダプタ61との接続配管として機能する。
図5に示す貯湯式ヒートポンプ給湯機100は、ヒートポンプサイクル2aで加熱した温水を貯湯槽3に蓄える貯湯運転と、浴槽31に所定温度の湯を所定量だけ湯はりする風呂自動湯はりを行う湯はり運転と、浴槽31内の湯水を風呂循環回路60に流動させ、風呂熱交換器24によって、浴槽31内の湯水の追い焚きを行う追い焚き運転とを実行することができる。湯はり運転と追い焚き運転とにおいて、浴槽31内に微細気泡を供給する供給運転を実行することができる。また、本発明のヒートポンプ給湯機は、多孔質体67aの性能を回復させる回復運転を実行することができる。
リモコン50には、貯湯運転、湯はり運転、追い焚き運転の開始を指示する開始機能が設けられている。また、リモコン50には、微細気泡の供給運転と、多孔質体67aの性能を回復させる回復運転の開始を指示する開始機能が設けられている。なお、貯湯運転、湯はり運転、追い焚き運転、微細気泡の供給運転、多孔質体67aの性能を回復させる回復運転は、制御手段50がその必要性の有無を判断して開始及び停止させてもよい。
次に、浴槽31内に微細気泡を供給する供給運転と、多孔質体67aの性能を回復させる回復運転について説明する。まず、微細気泡の供給運転について説明する。
図6は、多孔質体67aに圧送される空気の圧力(空気圧力)と、多孔質体67aから往き流路65aに放出される微細気泡の流量(空気流量)との関係を示すグラフである。図6に示す曲線Aは、乾燥状態の多孔質体67aが浸水した直後の空気圧力−空気流量の特性を示し、曲線Bは、多孔質体67aが水中に浸水してから所定時間(例えば、24時間)経過後の空気圧力−空気流量の特性を示す。図6に示すように、多孔質体67aは、圧送される空気の圧力が大きいほど、その外表面から往き流路65aに放出する微細気泡の流量が多い。また、図6に示すように、多孔質体67aは、浸水してからの時間が経過
すると(曲線A→曲線B)、多孔質体67aの外表面から放出される微細気泡の流量が減少する。これは、時間の経過と共に、水分が多孔質体67aの微細孔に徐々に浸透して、多孔質体67aの微細孔が塞がれて、多孔質体67aの内部から外部への通気抵抗が増大するためである。
多孔質体67aに供給される空気圧力が一定とすると、通気抵抗が増加することは、往き流路65aに供給される微細気泡の量が減少することを意味する。その結果、浴槽31に供給される微細気泡の量も減少し、浴槽31内への微細気泡の拡散性も悪化する。したがって、常に所定量の微細気泡を発生させるために、本実施の形態における給湯機100は、微細気泡の供給運転中において、多孔質体67aの浸潤度に応じて、空気ポンプ68によって圧送する空気の圧力を変動させる。ここで、浸潤度は、多孔質体67aの微細孔に水分がどの程度浸透しているかを示すもので、例えば、未使用状態の多孔質体67aの重量との重量の差で測定することができる。重量の差が大きいほど、浸潤度が大きいといえる。
より具体的には、制御手段51は、利用者がリモコン50を操作する等により、浴槽31への湯はり運転が開始され、浴槽31内の水位が風呂アダプタ61(多孔質体67a)の位置(所定水位)以上の高さに達すると、水位検出手段46により、多孔質体67aが水に浸漬したと判断する。浴槽31内の水位が所定水位以上になると、制御手段51は、タイマ(図示せず)により、多孔質体67aの浸漬時間のカウントを開始する。微細気泡の供給運転が開始されると、制御手段51は、浸漬時間の長さに応じて空気ポンプ68の回転数、すなわち、多孔質体67aに供給する空気圧力を制御する。制御手段51は、浸漬時間が相対的に長いときには、空気ポンプ68によって多孔質体67aに供給される空気圧力(回転数)を高く設定し、浸漬時間が相対的に短いときには、空気ポンプ68によって多孔質体67aに供給される空気圧力(回転数)を低く設定して供給運転を開始する。浸漬時間と空気圧力(空気ポンプ68の回転数)との関係は、あらかじめ測定し、データとして制御手段51に記憶させておけばよい。なお、供給運転中にも、空気ポンプ68の回転数を変更して、多孔質体67aに供給される空気圧力(回転数)を変動させてもよい。
これにより、多孔質体67aが浴槽31の水に浸漬し、多孔質体67aの微細孔に水が浸潤することで通気抵抗が増加しても、空気圧力を変更することにより対応することができる。すなわち、多孔質体67aの浸潤度が大きいほど、空気ポンプ68の回転数が高くなるように制御することで、多孔質体67aから往き流路65aを流れる湯水に放出される微細気泡の空気流量を確保することができ、浴槽31へ供給される微細気泡のサイズ及び量を安定させることができる。
なお、所定水位は、少なくとも多孔質体67aの一部が水に浸漬する高さから、多孔質体67aの全てが浸漬する高さの間に設定されていることが好ましい。
なお、多孔質体67aの浸潤度は、浴槽31内の水位が所定水位以上である浸漬時間によって判断することとしたが、これ以外の方法を用いて浸潤度を推定してもよい。
また、浴槽31内に供給する微細気泡の量および/またはサイズは、利用者が任意に設定するようにしてもよい。例えば、リモコン50に、微細気泡の供給量および/またはサイズを設定する設定機能を設けることで、利用者の好みに応じて浴槽31に供給される微細気泡のサイズと発生量を選択できることとなる。設定機能は、微細気泡の量とサイズの少なくともいずれか一方のみを設定できるように構成されていればよい。また、設定機能は、微細気泡の供給量とサイズとに起因して変動する浴槽31内の湯水の白濁度を設定するように構成されていてもよい。設定機能により、空気ポンプ68の回転数が変更され、
これによって、多孔質体67aに供給される空気の圧力が変更される。その結果、浴槽31内に供給される微細気泡の量および/またはサイズが変更される。このとき、制御手段51には、利用者が設定する微細気泡の供給量および/またはサイズ毎に、空気圧力と空気流量との関係のデータを、複数記憶していることが好ましい。
以上により、多孔質体67aに供給される空気の圧力は、多孔質体67aの浸潤度、及び、利用者の設定により変更することができる。
次に、多孔質体67aの性能を回復させる回復運転について説明する。図6に示すように、多孔質体67aは、水に浸漬していると、時間の経過と共に、水分が多孔質体67a微細孔に徐々に浸透して、多孔質体67aの微細孔を塞ぐ。これにより、多孔質体67aの通気抵抗が増大して、多孔質体67aの外表面から放出される微細気泡の流量が減少する。回復運転は、多孔質体67aの外表面から放出される微細気泡の流量(発生量)を回復させる動作である。
制御手段51は、微細気泡の発生量が低下した多孔質体67aの性能を回復させるために、風呂循環ポンプ23を停止させた状態で、空気ポンプ68を運転する回復運転を行う。これにより、多孔質体67aの内部に空気を圧送して、微細孔に浸潤した水分を外側(往き流路65a側)に向かって排出することができる。回復運転が行われることにより、多孔質体67aが水に浸漬することでその性能が低下した場合でも、多孔質体67aから発生する微細気泡の発生量を回復させ、また、微細気泡の発生量を高く維持することができる。なお、回復運転は、多孔質体67aが水に浸漬していない状態、すなわち、浴槽31内の水位が所定水位未満の状態で行われることがより好ましい。これにより、多孔質体67aに水圧が作用しない状態で回復運転が行われるので、回復運転を効率よく行うことができる。
図7は、1日の中で、浴槽の湯はり運転と回復運転とがいずれのタイミングで行われるかの一例を示すグラフである、また、図8は、回復運転の制御フローチャートである。以下、図7、図8を用いて、回復運転について説明する。なお、図7は、回復運転以外(供給運転追い焚き運転等)を実行中における、空気ポンプ68及び風呂循環ポンプ23の制御動作を省略している。
図7に示すように、本実施の形態の給湯機100は、浴槽31の利用が終了して排水が行われ、浴槽31の水位が所定水位未満となった場合に回復運転を実行する。
図8において、制御手段51は、利用者がリモコン50を操作する等して浴槽31への湯はりが開始されると、STEP1に移行する。制御手段51は、STEP1で、浴槽31の水位が風呂アダプタ61(多孔質体67a)の位置(所定水位)以上であるか否かを判断する。浴槽31内の水位が所定水位以上であると、多孔質体67aが水に浸漬したと判断してSTEP2に移行する。STEP2では多孔質体67aの浸漬時間をカウントするタイマ(図示していない)が、浸漬時間のカウントを開始する。次に、STEP3では、微細気泡の供給運転や追い焚き運転等が行われる。なお、STEP3における供給運転及び追い焚き運転等は、実行されなくても構わない。
制御手段51は、浴槽31の使用が終了して浴槽31の排水が開始され、水位検出手段46により所定水位未満であることを検知すると(STEP4)、多孔質体67aが空気中に露出したと判断して、STEP5に移行する。STEP5において、制御手段51は、多孔質体67aの回復運転を行う。ここで、回復運転は、水位検出手段46が所定水位未満を検知してから直ちに開始しても良いが、一定時間が経過してから開始しても良い。すなわち、給湯機100が、いずれかの時間帯において、多孔質体67aが水中に浸漬し
ていない状態で、回復運転を行っていればよい。
回復運転は、風呂循環ポンプ23を停止した状態で、空気ポンプ68を所定の回転数で所定時間だけ運転させる。回復運転における空気ポンプ68の回転数、及び、運転時間は、タイマでカウントした多孔質体67aの浸漬時間に基づいて決定されることが好ましい。すなわち、浸漬時間が長いほど、回復運転における空気ポンプ68の回転数、および/または運転時間を長く設定すれば良い。
回復運転を所定時間実行すると、制御手段51は、STEP7に移行して、空気ポンプ68を停止させ、回復運転を終了させる。また、タイマによる多孔質体67aの浸漬時間をリセットする(STEP8)。
以上の制御フローにより、多孔質体67aが浴槽31の水に浸漬して、多孔質体67aの微細孔に水が浸透することで微細気泡の発生量が低下した場合には、回復運転を行うことで多孔質体67aに浸潤した水分を外部に排出することができる。したがって、多孔質体67aから発生する微細気泡の発生量を回復させ、また、微細気泡の発生量を高く維持することができる。
以上のように、本実施の形態における給湯機100は、浴槽31の水量を検知するための水位検出手段46を備えている。また、本実施の形態における給湯器100は、浴槽31への湯はり運転後、水位検出手段46により、浴槽31の水位が多孔質体67a未満の高さである場合、すなわち、浴槽31の水位が所定水位未満の場合に、多孔質体67aの回復運転を行う。これにより、多孔質体67aが水に浸漬していない状態、すなわち、多孔質体67aに水圧が作用していない状態で、多孔質体67aに浸潤した水分を排出することができる。よって、多孔質体67aの通気抵抗を減少させ、多孔質体67aから放出される微細気泡の発生量を増大させることができる。また、多孔質体67aが空気中に存在している状態で回復運転が行われるので、多孔質体67aの乾燥が促進され、回復運転の運転時間を短縮することができる。
なお、回復運転における空気ポンプ68の回転数(空気圧力)を、供給運転における空気ポンプ68の回転数(空気圧力)以上として運転してもよい。これにより、多孔質体67aに圧送される空気の圧力が増大して、多孔質体67aの内側と外側との差圧が大きくなる。よって、回復運転に要する運転時間を短縮することができる。
なお、タイマ(図示せず)を設けて、前回の回復運転の終了時点を起算点として、その起算点以降に多孔質体67aが浸漬した浸漬時間を積算し、積算された浸漬時間の長さに応じて、回復運転における空気ポンプ68の回転数および/または運転時間を変更してもよい。すなわち、浸漬時間が長いほど、回復運転における空気ポンプ68の回転数を多く、運転時間を長くしてもよい。
なお、本実施の形態においては、浴槽31内の排水が行われ、浴槽31の水位が所定水位未満となった場合に回復運転を行うようにしたが、それ以外のタイミングで回復運転を行うこととしてもよい。すなわち、浴槽31内の排水が行われる毎に回復運転を行わなくてもよい。
例えば、タイマ(図示せず)を設け、前回の回復運転の終了時点を起算点として、その起算点以降に積算された浸漬時間が、所定時間を超えた場合に回復運転を行うようにしてもよい。すなわち、多孔質体67aが浸漬している時間の積算時間に応じて、積算時間が所定時間を超えた直後における浴槽31の排水時に、回復運転を行うようにしてもよい。これにより、過度に多くの回復運転が行われることを抑制し、給湯機100としての省エ
ネルギー化を図ることができる。
このとき、回復運転における空気ポンプ68の回転数および/または運転時間は、上記積算時間の長さに応じて変更されてもよい。すなわち、積算時間が長いほど、回復運転における空気ポンプ68の回転数を多く、運転時間を長くしてもよい。
なお、浴槽31が設けられた浴室内における人の有無を検出する人感センサ(図示せず)を設け、浴室内に人がいない場合にのみ、回復運転を行うようにしてもよい。これにより、浴槽31の水位が低い状態で入浴している時に回復運転が行われることがない。その結果、利用者が、回復運転が行われる際に発生する運転音を不快に感じることがない。なお、人感センサは、浴室内で、特に浴槽31内の人の有無を検知するように構成されていてもよい。
なお、回復運転に、通常回復運転と、通常回復運転よりも空気圧力を大きくおよび/または運転時間を長く設定した完全回復運転とを設けてもよい。通常回復運転を所定回数行う毎に完全回復運転を行うようにすると、通常回復運転で多孔質体67aから排出されなかった水分を、完全回復運転によって除去できる。その結果、多孔質体67aから放出される微細気泡の発生量を初期の状態にまで回復させることができ、性能を長期に高く維持することができる。
(実施の形態2)
図9は、本発明の実施の形態2における風呂アダプタ及びそれを備えた給湯機を示す概略構成図である。本実施の形態において実施の形態1と同一の箇所については同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
風呂アダプタ61は、空気及び湯水の流路を形成する本体62と、浴槽31内に噴出する湯水に微細気泡を放出する気泡発生デバイス67とを有している。気泡発生デバイス67は微細気泡を発生させる多孔質体67aを有する。多孔質体67aに空気を圧送して微細気泡を発生させ、発生した微細気泡を、本体62の内部を流れる湯水に放出させる。これにより、浴槽31内に微細気泡が混入した湯水を噴出させることができる。
図9に示すように、風呂アダプタ61には、浴槽31へと湯水が噴出する噴出口65jが設けられ、風呂アダプタ61の内部には、噴出口65jに向かって湯水が流れる往き流路(63a、65a)が形成されている。また、風呂アダプタ61には、浴槽31内の湯水を吸込む吸込口66jが設けられ、風呂アダプタ61の内部には、吸込口66jから吸込んだ湯水が風呂戻り管30へと流れる戻り流路(63b、65b)が形成されている。さらに、風呂アダプタ61の内部には、空気ポンプ68によって圧送され、空気配管69を介して風呂アダプタ61内に流入した空気を、気泡発生デバイス67へと供給するための空気流路(63c、65c)が形成されている。
風呂アダプタ61を構成する本体62は、軸線Cに垂直な断面が、軸線Cを中心とした円形状に形成されている。往き流路(63a、65a)、空気流路(63c、65c)、戻り流路(63b、65b)はそれぞれ、軸線Cを中心とし、半径が異なる同心円状に配置されている。本実施の形態においては、図9に示すように、軸線C上に空気流路(63c、67c)が設けられている。また、空気流路(63c、67c)よりも外方に、往き流路(63a、65a)が設けられている。さらに、往き流路(63a、65a)よりも外方に戻り流路(63b、65b)が設けられている。
風呂アダプタ61を構成する本体62は、風呂往き管29と風呂戻り管30と空気配管69とが接続される基底部63、噴出口65jを有する突出部65、基底部63と突出部
65とを接続するコネクタ64、突出部65のうち浴槽31の内方に突出した部分を覆い、吸込口66jを有するカバー66を備えている。なお、突出部65は、コネクタ64と一体に成型された頂部として構成されていてもよい。なお、空気流路(63c、67c)は、軸線Cに垂直な断面が円形状に形成されている。
基底部63に設けられた往き流路63aは、突出部65に設けられた往き流路65aと連通する。本実施の形態では、図9(a)に示すように、往き流路63aの内側に往き流路65aが挿入されることで、双方の流路が互いに接続され、連通する。また、往き流路63aの内側に、往き流路65aが挿入されることで、絞り部63nが形成される。
気泡発生デバイス67は、微細気泡を発生させる多孔質体67a、基底部63の空気流路63cと接続される空気流路67cを有する。気泡発生デバイス67は、本体62と着脱自在に構成される。本実施の形態では、気泡発生デバイス67は、基底部63と着脱自在に構成される。例えば、気泡発生デバイス67と基底部63とは、ボルトによって互いに接続固定される。また、気泡発生デバイス67と基底部63とは、基底部63の空気流路63cの内表面に雌ねじが切られ、また、気泡発生デバイス67の外表面に雄ねじが切られ、気泡発生デバイス67に設けられた雄ねじを、空気流路63cの内表面に設けられた雌ねじにねじ込むことによって、互いに接続固定される。このように雄ねじと雌ねじの関係によって双方を接続固定すると、気泡発生デバイス67の着脱をより容易にすることができる。
これにより、空気ポンプ68によって圧送され、風呂アダプタ61に流入した空気は、その空気圧を高く維持したまま多孔質体67aの中空空間67nに流入する。したがって、多孔質体67aの各微細孔にかかる空気圧を増大させ、多孔質体67aの外表面で発生する微細気泡の供給量を多くすることができる。
なお、実施の形態1で説明した給湯機としての各運転は、本実施の形態でも実行可能である。
(実施の形態3)
図10は、本発明の実施の形態3における風呂アダプタ及びそれを備えた給湯機を示す概略構成図である。本実施の形態において他の実施の形態と同一の箇所については同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
本実施形態が他の実施形態と異なる点は、多孔質体67aと多孔質体収納部65iが略円筒状に形成されている点である。これにより、往き流路65aを形成する突出部65の内表面と多孔質体67aの外表面との間に形成される水の流通面積Wは、上流側から下流側に向かって同一となる。
また、本実施形態が他の実施形態と異なる点は、往き流路65aを形成する突出部65の内表面と多孔質体67aの外表面との間に形成される水の流通面積Wが、多孔質体67aよりも上流側の往き流路(63a、65a)の流路断面積より小さい点である。これにより、多孔質体67aの外表面を流れる湯水の流速が増大して、多孔質体67a表面から放出される空気のせん断力が増大するため、微細気泡を効率よく発生させることができる。また、浴槽31内に噴出させる湯水の流速を高く維持して、湯水及び微細気泡を勢いよく浴槽31内に噴出し、拡散させることができる。
なお、実施の形態1で説明した給湯機としての各運転、供給運転及び回復運転は、本実施の形態でも実行可能である。