図1は、実施例1による列車ダイヤ平復システムの構成を示すブロック図である。
図1を参照すると、列車ダイヤ平復システム100には、運用整理システム101と列車運行管理システム102が含まれ、それら2つのシステムがネットワーク103を介して互いに通信可能に接続されている。
運用整理システム101は、通信送受信部111、列車ダイヤ変更受信部112、運用情報記憶部119、不合理検出判定部113、入力インターフェース114、運用整理入力部115、運用整理確定表示部116、列車ダイヤ影響判定部117、運転整理提案部118、および運用情報記憶部119を有する。
通信送受信部111は、列車運行管理システム102と情報をやりとりする通信部である。
列車ダイヤ変更受信部112は、通信送受信部111を介して列車運行管理システム102から、予測列車ダイヤあるいは更に列車ダイヤの情報と、それらの変更に関する情報を受信する。
運用情報記憶部119は、現在適用されている乗務員および車両に関する運用計画を示す運用情報を保持している。以下、乗務員および車両のように列車の運行に必要な人員や物をリソースと呼ぶことがある。ここでいう運用は、どのリソースをどの列車に割り当てるかの策定および実行のことである。
不合理検出判定部113は、列車ダイヤの変更に伴って、列車ダイヤと、運用情報記憶部119の運用情報が示す乗務員や車両の運用との間に不合理が発生するか否かを判定する。
入力インターフェース114は、運用整理システム101を操作する指令員からの情報の入力を受け付ける入力部である。以下、指令員をユーザと呼ぶことがある。
運用整理入力部115は、指令員からの運用整理の入力を受け付ける。列車ダイヤの変更に対して乗務員および列車の運用が適切でなければ、指令員は運用整理を入力する。
運用整理確定表示部116は、乗務員あるいは車両の運用整理に関する情報を画面に表示する。例えば、指令員が入力した運用整理あるいは生成された運用整理の候補の内容が画面に表示される。運用整理というのは乗務員あるいは車両の運用を変更することである。例えば、列車ダイヤと運行計画に不合理があれば、それを解消するために運用整理が行われる。
列車ダイヤ影響判定部117は、運用整理システム101に入力された運用整理あるいは生成された運用整理の候補が列車ダイヤに影響を及ぼすか否か判定する。運用整理による列車ダイヤへの典型的な影響として列車の遅延がある。
運転整理提案部118は、乗務員あるいは車両の運用整理の候補が列車ダイヤに影響する場合に、運転整理の変更案の情報を列車運行管理システム102に送信し、運転整理を指令員に提案する。提案する運転整理の変更案は複数であってもよい。運転整理の変更案は、例えば、乗務員および列車の運用を変更せずに列車ダイヤを変更するという変更案、新たな乗務員あるいは列車を投入することで不合理を解消するという変更案、などである。また例えば、複数の運転整理の変更案のそれぞれの評価を示す評価情報と共に提案してもよい。評価情報は、例えば、列車ダイヤに対して発生する列車の遅延をスコアで表した情報である。
一方、列車運行管理システム102は、通信送受信部120、列車ダイヤ変更案画面出力部121、入力インターフェース123、運転整理入力部124、列車ダイヤ変更確定部125、列車ダイヤ画面表示部126、予測列車ダイヤ演算部127、予測列車ダイヤ表示部128、および列車ダイヤ通信部129を有する。
通信送受信部120は、運用整理システム101との情報のやりとりをする通信部である。
列車ダイヤ変更案画面出力部121は、運用整理システム101から通信送受信部120を介して受信した運転整理の変更案を画面に表示し、例えば指令員に選択を促す。
入力インターフェース123は、指令員からの情報の入力を受け付ける。指令員は、例えば、列車ダイヤを変更する運転整理の情報をここから入力する。
運転整理入力部124は、入力インターフェース123を介して、ユーザからの運転整理の情報を受け付ける。運転整理というのは、列車ダイヤに乱れが生じたときに列車の運行を平常運転へ戻すために行う運転計画の変更である。
列車ダイヤ変更確定部125は、運転整理を反映させて列車ダイヤを変更する。
列車ダイヤ画面表示部126は、列車ダイヤを画面に表示する。例えば、列車ダイヤ変更確定部125で変更された列車ダイヤが列車ダイヤ画面表示部126によって画面に表示される。
予測列車ダイヤ演算部127は、列車ダイヤと、現在の列車の運行状況とに基づいて、未来の列車ダイヤを予測する。列車ダイヤと列車運行状況(列車在線状況)とに基づき予測した列車ダイヤを予測列車ダイヤという。なお、本実施例では、上述のように、予測列車ダイヤに基づき不合理の有無を判断することにしたが、列車ダイヤに基づいて不合理の有無を判断してもよい。
予測列車ダイヤ表示部128は、予測列車ダイヤを画面に表示する。
列車ダイヤ通信部129は、予測列車ダイヤを運用整理システム101に送信する。このとき、予測列車ダイヤとともに、その予測列車ダイヤの予測に用いた列車ダイヤを送信してもよい。
また、図示していないが、一般に、列車運行管理システムに各駅に設けられる駅システムとネットワークを介して接続している。駅システムには、制御エリア内の列車の進路制御を行うための信号機、転てつ機、列車位置を検出する軌道回路等で構成される現場設備と、現場設備へ駆動指示を行う連動装置と、列車運行管理システム(中央システム)から受け取った運行ダイヤの情報に基づいて制御エリア内の列車の進路制御を行うため連動装置へ進路制御指示を行う進路制御装置と、現場設備と進路制御装置から現在の列車位置を表示し運転整理を実施可能とする駅システム端末を有する。
図2〜3は、実施例1による列車ダイヤ平復システムの動作を示すフローチャートである。図2は、輸送障害が発生し、列車運行管理システム102から運転整理を入力し、運用整理システム101に列車ダイヤおよび予測列車ダイヤを送信するまでのフローチャートである。図3は、運用整理システム101が列車運行管理システム102から列車ダイヤを受信し、運転整理案を列車運行管理システム102に送信するまでのフローチャートである。図4は、列車運行管理システム102が運転整理の案あるいは候補(運転整理案)を受信し、画面に表示するまでのフローチャートである。
図2に示すように、輸送障害発生時、不図示の駅システムの現場設備と進路制御装置から現在の列車を確認したユーザ(指令員)は、列車運行管理システム102の入力インターフェース123から列車運行の抑止あるいは列車の運休などの運転整理を入力する(ステップS302)。
運転整理入力部124は、入力インターフェース123によってユーザからの運転整理を受け付ける(ステップS303)。列車ダイヤ変更確定部125は、受け付けた運転整理を列車ダイヤに反映し、列車ダイヤを変更する(ステップS304)。列車ダイヤ画面表示部126は、変更後の列車ダイヤを画面に表示する(ステップS305)。
予測列車ダイヤ演算部127は、変更後の列車ダイヤと、現在の列車運行状況とに基づき、予測列車ダイヤを予測する(ステップS306)。例えば、現在の列車の運行状況において、ある列車に遅延が生じていたら、同じ番線を利用するそれ以降の列車は列車ダイヤに対して遅延することが予測される。そのようにして予測された列車ダイヤが予測列車ダイヤである。
予測列車ダイヤ表示部128は、予測列車ダイヤを画面に表示する(ステップS307)。列車ダイヤ通信部129は、列車ダイヤおよび予測列車ダイヤの情報を運用整理システム101に送信する(ステップS308)。
図3を参照すると、運用整理システム101では、列車ダイヤ変更受信部112が、列車運行管理システム102からの変更された列車ダイヤおよびその列車ッダイヤに基づく予測列車ダイヤの情報を受信する(ステップS401)。不合理検出判定部113は、列車ダイヤの変更に伴って、現在の乗務員または車両の運用計画である、運用情報記憶部119に記憶された、乗務員や車両の運用を示す運用情報と、予測列車ダイヤとの間に不合理が発生するか否かを計算し(ステップS402)、不合理が発生するか発生しないか判定する(ステップS403)。
不合理が発生することが検出された場合、不合理検出判定部113で、不合理を示す箇所および不合理の内容を画面に表示する。その画面表示をみた運用整理担当者は、入力インターフェース114から、列車の行路変更、列車に乗務する乗務員の変更などの運用整理を入力する。
運用整理入力部115は、入力インターフェース114によって運用整理担当者からの運用整理を受け付ける(ステップS404)。運用整理確定表示部116は、運用整理担当者から受け付けた運用整理によって、運用情報記憶部119の情報を更新すると共に画面の表示も更新する(ステップS405)。列車ダイヤ影響判定部117は、その運用整理が列車ダイヤに影響を及ぼすか否かを判定する(ステップS406)。
運用整理が列車ダイヤに影響がない場合、単に、その運用整理を適用すればよいだけなので、その段階で処理を終了する。一方、運用整理が列車ダイヤに影響がある場合、運転整理提案部118は、入力された運用整理を含む複数の運用整理の案を列車ダイヤに反映した複数の運転整理の案を算出し(ステップS407)、列車運行管理システム102に送信する(ステップS408)。
図4を参照すると、列車運行管理システム102では、列車ダイヤ変更案画面出力部121は、運用整理システム101から複数の運転整理の提案を受信し(ステップS501)、それら複数の運転整理の案を画面上に表示する(ステップS502)。これにより、複数の運転整理の案がユーザに提示されるので、ユーザは、それを見て、いずれかの運転整理の案を選択することができる。
図5〜8は、実施例1による列車ダイヤ平復システムの動作例を説明するための図である。以下、列車運行管理システム102および運用整理システム101の画面表示例を交えて、列車ダイヤ平復システム100の動作例について説明する。
図5は、列車運行管理システム102による予測列車ダイヤの表示例を示す図である。横軸701は時間、縦軸702は各駅を示している。実線は予測列車ダイヤ704を示している。列番(列車番号)703は同一方向の始発駅から終着駅まで運行する列車それぞれに付与されている。例えば、列番3Bの列車は9:45にE駅に在線しているということが示されている。また、破線は乗務員が移動する行路である。破線のまわし線706の近傍に表示された識別番号705は乗務員の識別番号または車両の番号を示しており、まわし線706はその識別番号705で示された乗務員または車両の運用を示している。乗務員を例とすると、識別番号aの乗務員は列番1Aの列車から列番1Bの列車に乗り継ぐ乗務を行うことが示されている。
図5の状態から、列番1Aの列車と列番2Bの列車を運休させる運転整理の情報が列車運行管理システム102の運転整理入力部124に入力されたとする。入力された運転整理に基づいて列車ダイヤ変更確定部125が変更した列車ダイヤから、予測列車ダイヤ演算部127が予測した予測列車ダイヤが、列車ダイヤ通信部129から列車運行管理システム102から運用整理システム101に送信される。
図6は、運転整理が入力された列車運行管理システム102による予測列車ダイヤの表示例を示す図である。図6における実線は、運転整理が入力され、運用整理が反映される前の列車ダイヤである。一点鎖線は、運転整理が入力される前の列車ダイヤである。破線は乗務員が移動する行路である。
この予測列車ダイヤが運用整理システム101に送信される。図5の状態では、列番1Bの列車に乗務するはずであった乗務員aが、列番1Aの列車が運休したため、A駅に居らず、列番1Bの列車に乗務することができない。よって、乗務員の割り当てが無い列番1Bの列車の始発駅であるA駅において不合理710が発生している。この不合理が不合理検出判定部113にて検出される。
そこで、運用整理システム101では、運用整理入力部115に対し、不合理が発生している列番1Bの列車に識別番号hの新たな乗務員を割り付けるという運用整理が入力されたとする。図7は、運用整理システム101に入力された運用整理を適用した予測列車ダイヤの表示例を示す図である。図7における実線は、運用整理を反映する前の列車ダイヤである。破線は変更された乗務員の行路である。図7を参照すると、運用整理が適用されて不合理が解消し、一見すると正常に列車が運行できるように見えるが、実際は識別番号hの乗務員は列番1Bの列車の前に乗務していた列車から番線間を移動して列番1Bの列車に乗り継がなければならず、その番線間の移動が、列番1Bの列車の発車時刻に間に合わないため、列番1Bの列車には遅れが発生する状態である。そのため、列車ダイヤ影響判定部117では、適用した運用整理が列車ダイヤに影響720を及ぼし、列車の遅れを引き起こしてしまうということが判明する。
そこで、運転整理提案部118は、列車ダイヤに影響する運用整理を適用する場合に、その運用整理が影響しないように列車ダイヤを修正する運転整理の提案を生成し、その運転整理の提案の情報を列車運行管理システム102に送信する。
図8は、運用整理が列車ダイヤに影響する場合にその影響がないように修正した場合の予測列車ダイヤの表示例を示す図である。図8のグラフにおける実線は、運用整理を反映する前の列車ダイヤである。二重線は運用整理を反映した後の列車ダイヤである。破線は乗務員の行路である。図8には更に、その場合の運転整理を管理する表900が示されている。表の縦の項目として運転整理の提案が示され、横の項目として、その運転整理の提案について、運転整理内容902、各列車への影響をポイント化した影響ポイント903、および各列車への影響ポイントを合計した総合損出ポイント904が示されている。ここでは一例として列車の遅延をポイント化している。図8の表900には、運用整理の結果を列車ダイヤに反映した運転整理の提案901が示されている。
図8の例では、識別番号hの乗務員は、乗換えに10分時間がかかるため、列番1Bの列車の出発を10分遅らせている。また、列番1Bの列車の出発が遅れることによって、列番3Aの列車はA駅の列番1Bの列車と同じ番線に到着することができないため到着を5分遅らせている。それらの遅れ(単位「分」)をそのままポイントとすると、影響を受ける列番のポイント合計で総合損出ポイントは15点となる。
なお、図8に示した運転整理の提案は一例であり、本実施例の運用整理システム101の運転整理提案部118は他の運転整理の提案も可能である。図9〜10を用いて実施例1で提案する運転整理の他の例について説明する。
図9は、列車が発車する番線を変更することにより乗務員の列車への移動を容易にした場合の予測列車ダイヤの表示例を示す図である。図9には、更に、その場合の運転整理を管理する表が示されている。図9のグラフにおける実線は、運用整理前の列車ダイヤであり、後述する提案1の運転整理を行った場合の列車ダイヤである。二重線は、運用整理を適用した後の列車ダイヤである。破線は、変更された乗務員の行路である。
図9の例は、識別番号hの乗務員の列車間の乗り換えに要する時間を短縮するための列番1Bの列車が利用する番線を変更するというものである(提案1)。この運転整理案1を実施する場合、図7に示した列車運行管理システム102が作成した列車ダイヤを変更することなく、乗務員および列車等の運用整理を実施可能となる。
図10は、列車の種別を変更することにより乗務員の運用整理を容易にした場合の予測列車ダイヤの表示例を示す図である。図10には、更に、その場合の運転整理を管理する表が示されている。図10のグラフにおける実線は、提案1の運転整理を適用した後、運用整理を行う前の列車ダイヤである。二重線は、運用整理を行った後の列車ダイヤである。一点鎖線は、更に、後述する提案2の運転整理を適用した後の列車ダイヤである。破線は、変更された乗務員の行路である。
図10の例では、運転整理後の列車ダイヤに与える影響を最小とするため、列番2Aの列車に乗務した識別番号bの乗務員が列番1Bの列車に乗務するようにしている。ここでは、列番1Bは本来は特急列車であり、識別番号bの乗務員の資格は特急列車に乗務できず快速列車なら乗務できるという資格であるとする。そこで、図10の例では、列番1Bの列車の車両を変更するとともに快速列車に変更し、識別番号bの乗務員がそれに乗務するという提案(提案2)となっている。
列番1Bの列車は特急列車から快速列車になったためF駅に到着するのが5分遅れる。その遅れが総合損出ポイントの5点となっている。また、識別番号bの乗務員が列番2Aの列車から列番1Bの列車へそのまま乗務するので、その間に乗務員bが休憩を取れない可能性がある。そのため、運用整理システム101の運用整理担当者がそれを考慮して提案2の優先順位を指定することも可能である。
図8〜10では、運転整理の提案による予測列車ダイヤを1つずつ表示する例を示したが、複数の提案による予測列車ダイヤを同時に表示することも可能である。図11は、複数の運転整理案の列車スジを画面に表示した表示例を示す図である。図を参照すると、複数の運転整理の提案による列車スジが表示されているとともに、各提案の内容および総合損出ポイントが示されている。
図11のグラフにおける実線は、運用整理を適用する前の列車ダイヤを示している。二重線は、運用整理を適用した後の列車ダイヤである。破線は、運用整理システム101から提案する運転整理の案1を適用した場合の列車ダイヤである。一点鎖線は、運用整理システム101から提案する運転整理の案2を適用した場合の列車ダイヤである。長破線は、運用整理システム101から提案する運転整理の案3を適用した場合の列車ダイヤである。
図11には、図8〜10と同様、運転整理を管理する表が更に示されている。表の縦の項目として運転整理の提案が示され、横の項目として、その運転整理の提案について、運転整理内容、各列車への影響をポイント化した影響ポイント、および各列車への影響ポイントを合計した総合損出ポイントが示されている。ここでは、図8〜10と同様、列車の遅延をポイント化している。ただし、運休とされた列車(列車A)の影響ポイントは100としている。
このように複数の運転整理の提案による列車スジを画面に表示することにより、ユーザは複数の運転整理案を比較し、もっとも適切な提案を選択することができる。例えば、もっとも損出の少ない運転整理を容易に選択することができる。その結果、運転整理および運用整理を含めた列車ダイヤの早期平復が実施可能となる。
以上、説明したように、本実施例によれば、列車運行管理システム102にて、運転整理入力部124に列車の運転整理(「第1の運転整理」とする)を指示する運転整理情報が入力されると、列車ダイヤ変更確定部125がその運転整理情報に基づいて列車ダイヤを変更する。その変更された列車ダイヤと、変更された列車ダイヤに基づく予測列車ダイヤが運用整理システム101に通知される。
運用整理システム101では、運用整理確定表示部116が、変更された列車ダイヤに基づきリソース(ここでいうリソースは例えば乗務員および列車である)の運用を整理する運用整理(第1の運用整理とする)を立案する。不合理検出判定部113が、変更された列車ダイヤと、立案された第1の運用整理との間に不合理がある否か判定する。不合理があれば、運用整理確定表示部116が列車ダイヤへの影響を許容して不合理を解消した運用整理(第2の運用整理とする)を立案する。列車ダイヤ影響判定部117が、第2の運用整理が列車ダイヤへ影響するか否か判定する。第2の運用整理が列車ダイヤに影響する場合、運転整理提案部118が、列車ダイヤを第2の運用整理の影響が無いように変更する運転整理(第2の運転整理とする)を列車運行管理システム102へ提案する。
このように、実施例1では、入力された運転整理による列車ダイヤと、運用整理による乗務員および車両等のリソースの運用との間に不合理があれば、それを解消した運転整理を提案するので、乗務員および車両等の運用に起因した列車の遅延の発生を低減した列車ダイヤの変更が迅速かつ効率よく実施可能となる。その結果、乗客への正確な遅延見込みや再開見込みの案内も可能となる。
また、その際、運用整理確定表示部116は、運用整理入力部115へ不合理を解消するリソースの運用整理に関する運用整理情報の入力があれば、その運用整理情報に基づいて第2の運用整理を立案する。不合理を解消する運用整理情報の入力に基づいて第2の運用整理を立案するので、列車の遅延をより低減した列車ダイヤの変更が可能となる。
また、運転整理提案部118は、複数の第2の運転整理を、それぞれの第2の運転整理についての評価を示す評価情報と第2の運転整理に基づく列車スジを表わす列車スジ情報と共に提示する。第2の運転整理の案を評価情報および列車スジ情報とともに複数提示するので、複数の中から、評価情報や列車スジ情報を基に選択することで、容易に運転整理を決定することができる。
また、列車ダイヤ変更確定部125は、運転整理提案部118が提案した第2の運転整理および第2の運転整理に基づく列車ダイヤの適用を、ユーザの確認無しに、即時に確定してもよい。列車ダイヤに影響がある運転整理を即座に適用することができるので、運転整理が遅れることによる列車の運行への影響を低減することができる。
また、運用整理確定表示部116は、変更された列車ダイヤにて、所定の対象列車に乗務する乗務員が所定の時刻までに対象列車に乗り込むことができないという不合理があった場合、(1)から(5)のいずれかに該当する第2の運用整理を立案する。
(1)対象列車に乗務する乗務員として新たな乗務員を導入する。
(2)対象列車の車両が前回用いられていた列車に乗務していた乗務員を対象列車に乗務させる。
(3)乗務員が所定の時刻までに対象列車に乗り込める番線から対象列車を出発させる。
(4)対象列車の属性を、対象列車に乗務する乗務員の権限に合わせて変更する。
(5)対象列車を運休する。
これら様々な提案を行うので、ユーザはその中から、いずれかを選択することにより、様々な方策を検討した結果として状況に適した運転整理を適用することができる。
図12は、実施例1による列車ダイヤ平復システムの他の動作例を示すフローチャートである。
本実施例では、一変形例として、運用整理担当者が乗務員および列車の運用を変更しないという入力を行うこともできる。その場合について図12を用いて説明する。図12には図3に代わるフローチャートが示されている。
運用整理システム101は、列車ダイヤ変更受信部112にて列車運行管理システム102から列車ダイヤおよび予測列車ダイヤの変更を受信し(ステップS401)、不合理検出判定部113にて、予測列車ダイヤの変更に伴って現在の乗務員または車両の運用計画である運用情報に不合理を検出し(ステップS402)、不合理があるか否か判定する(ステップS403)。
本実施例では、不合理が検出された場合、運用整理担当者は行路変更などの運用整理を入力せずに入力インターフェース114から運行管理システムに列車ダイヤ変更要求を提示することができる(ステップS414)。
運用整理システム101の運用整理確定表示部116は、どのリソースをどの列車に割り当てるかを変更しないという運用整理情報の入力、すなわち運用整理を変更しないというの入力があれば、どのリソースをどの列車に割り当てるかを変更することなく不合理を解消する第2の運用整理を立案する。
列車ダイヤ影響判定部117は、運用整理が列車ダイヤに影響を及ぼすか否かを判定する(ステップS406)。不合理が発生しており、乗務員および列車の運用を変更しないので、基本的に運用整理は列車ダイヤに影響する。それ以降の処理は図3で説明したものと同様である。
このように、図12の例では、列車へのリソースの割り当ての変更をしないという情報が入力されれば、その条件で不合理を解消する第2の運用整理を立案するので、列車へのリソースの割り当て変更をしないという条件で、列車の遅延を低減した列車の遅延を低減した列車ダイヤの変更が可能である。本実施例によれば、例えば、仮に運用の不合理が発生し、運用整理にてその不合理が解消できない場合でも、その状況が列車運行管理システム102に伝わり、次の対処(運転整理の再実施など)が実施可能となる。
図13は、実施例1による列車ダイヤ平復システムの更に他の動作例を示すフローチャートである。
本実施例では、一変形例として、ステップS402にて不合理の発生が検出された場合、不合理の対象となっている列車の出発の所定時間前になっても運用整理担当者からの運用整理の入力がなければ、乗務員および列車の運用を変更しないという条件で処理を進めることにしてもよい。その場合について図13を用いて説明する。図13には図3に代わるフローチャートが示されている。
運用整理システム101は、列車ダイヤ変更受信部112にて列車運行管理システム102から列車ダイヤおよび予測列車ダイヤの変更を受信し(ステップS401)、不合理検出判定部113にて予測列車ダイヤの変更に伴って現在の乗務員または車両の運用計画である運用情報を記憶した運用情報記憶部119の乗務員や車両の運用に不合理が発生するか否かを計算し(ステップS402)、不合理が発生するか否か判定する(ステップS403)。不合理が発生することが検出された場合、運用整理担当者が入力インターフェース114から行路変更などの運用整理を入力しない場合でも、時間トリガー判定(ステップS420)にて、不合理が発生する対象となっている列車の出発の一定時間前になった場合、運用整理確定表示部116は、運用整理を変更しないと条件で求めた提案を画面に反映する(ステップS405)。
不合理が発生しており、乗務員および列車の運用を変更しないので、基本的に運用整理は列車ダイヤに影響する。そのため、列車ダイヤ影響判定部117は、運用整理が列車ダイヤに影響を及ぼすと判定する(ステップS406)。運転整理提案部118は、乗務員および列車の運用を変更せずに、列車ダイヤの遅延を小さく抑える運転整理の提案を算出し(ステップS407)、列車運行管理システム102に送信する(ステップS408)。
このように、変形例では、運用整理確定表示部116は、不合理の対象となっている列車の出発の所定時間前になっても運用整理情報の入力がなければ、どのリソースをどの列車に割り当てるかを変更することなく不合理を解消する第2の運用整理を立案する。運用整理情報の入力が無くければ、列車へのリソースの割り当てを変更することなしに不合理を解消する第2の運用整理を立案するので、運用整理情報の入力がなくても入力を待ち続けることなく迅速に列車の遅延を低減した列車ダイヤの変更が可能である。
その結果、不合理が発生し、一定時間内に運用整理の入力が無かった場合にも、輸送指令にて列車の遅延を予め知ることが可能となり、次の対処(運用整理担当者に連絡をとるなど)が実施可能となる。
なお、本実施例においては、運用整理システム101に1つの入力インターフェース114を設け、列車運行管理システム102に1つの入力インターフェース123を設けたシステム構成を例示したが、これに限定されることはない。他の例として、入力インターフェース114と入力インターフェース123のいずれか一方あるいは両方を複数設けたシステム構成も可能である。
また、本実施例の運用整理システム101が単一システムである例を示したが、これに限定されることはない。他の例として、乗務員の運用整理を管理する乗務員運用整理システムと、車両の運用整理を管理する車両運用システムとに分かれていても良い。また、その場合に、列車運行管理システムと運用整理システムが物理的に同一筐体内に実装されていてもよい。
また、本実施例では、予測列車ダイヤに対して運用整理による修正を行う例を示したが、本発明がこれに限定されることはない。他の例として、列車ダイヤに対して運用整理による修正を行うことにしてもよい。あるいは、列車ダイヤと予測列車ダイヤの両方を参照し、列車ダイヤを「運用整理による修正を施すことにしてもよい。
実施例1は、ネットワーク103を介して相互に接続される列車運行管理システム102と運用整理システムとで構成された列車ダイヤ平復システム100を例示したが、本発明がこの構成に限定されることはない。実施例2では、他の例として、単一システムである列車ダイヤ平復システム100を例示する。
図14は、実施例2による列車ダイヤ平復システムの構成を示すブロック図である。図14を参照すると、実施例2の列車ダイヤ平復システム100は、列車ダイヤ変更案画面出力部121、運転整理および運用整理入力部131、入力インターフェース123、列車ダイヤ変更確定部125、列車ダイヤ画面表示部126、予測列車ダイヤ演算部127、予測列車ダイヤ表示部128、不合理検出判定部113、運用整理確定表示部116、列車ダイヤ影響判定部117、運転整理提案部118、および運用情報記憶部119を有している。
列車ダイヤ変更案画面出力部121、列車ダイヤ変更確定部125、列車ダイヤ画面表示部126、予測列車ダイヤ演算部127、予測列車ダイヤ表示部128、不合理検出判定部113、運用整理確定表示部116、列車ダイヤ影響判定部117、運転整理提案部118、および運用情報記憶部119は、図1に示した実施例1のものと同様である。
運転整理および運用整理入力部131は、図1に示した実施例1の運転整理入力部124と運用整理入力部115の機能を併せ持つ機能ブロックである。
実施例2では、列車運行管理を行う部分と運用整理を行う部分が1つの列車ダイヤ平復システム100内に実装されているので、ネットワーク130を介した通信を実現する部分が不要となっている。
運用情報記憶部119は、現在の乗務員または車両の運用計画である運用情報を記憶している。
不合理検出判定部113は、列車ダイヤの変更に伴って乗務員や車両の運用に不合理が発生するか否かを計算する。
運用整理確定表示部116は、運用整理の候補と、その運用整理を反映した予測列車ダイヤを画面に表示する。
列車ダイヤ影響判定部117は、運用整理の候補が列車ダイヤに影響を及ぼすか否かを判定する。
運転整理提案部118は、乗務員あるいは車両の運用整理の候補が列車ダイヤに影響する場合に、運転整理の変更案の情報を列車運行管理システム102に送信し、運転整理を指令員に提案する。提案する運転整理の変更案は複数であってもよい。運転整理の変更案は、例えば、乗務員および列車の運用を変更せずに列車ダイヤを変更するという変更案、新たな乗務員あるいは列車を投入することで不合理を解消するという変更案、などである。また例えば、複数の運転整理の変更案のそれぞれの評価を示す評価情報と共に提案してもよい。評価情報は、例えば、列車ダイヤに対して発生する列車の遅延をスコアで表した情報である。
列車ダイヤ変更案画面出力部121は、運転整理の提案案を画面に表示し、指令員等のユーザに提示する。
入力インターフェース123はユーザからの入力を受け付ける。
運転整理および運用整理入力部131は、ユーザからの運転整理および運用整理の入力を受け付ける。
列車ダイヤ変更確定部125は、適用する運転整理を確定し、その運転整理を列車ダイヤに反映する。
列車ダイヤ画面表示部126は、列車ダイヤ変更確定部125で運転整理が反映された列車ダイヤを画面に表示する。
予測列車ダイヤ演算部127は、列車ダイヤと現在の列車運行状況とから未来の列車ダイヤである予測列車ダイヤを予測する。
予測列車ダイヤ表示部128は、予測列車ダイヤ演算部127で予測された予測列車ダイヤを画面に表示する。
また、図示していないが、一般に、列車運行管理システムに各駅に設けられる駅システムとネットワークを介して接続している。駅システムには、制御エリア内の列車の進路制御を行うための信号機、転てつ機、列車位置を検出する軌道回路等で構成される現場設備と、現場設備へ駆動指示を行う連動装置と、列車運行管理システム(中央システム)から受け取った運行ダイヤの情報に基づいて制御エリア内の列車の進路制御を行うため連動装置へ進路制御指示を行う進路制御装置と、現場設備と進路制御装置から現在の列車位置を表示し運転整理を実施可能とする駅システム端末を有する。
図15は、実施例2において、輸送障害が発生し、列車運行管理システム102から運転整理を入力し、運用整理システム101に列車ダイヤおよび予測列車ダイヤを送信するまでのフローチャートである。図15は実施例1における図2に対応する。
図15を参照すると、輸送障害発生時、不図示の駅システムの現場設備と進路制御装置から現在の列車を確認したユーザ(指令員)は、入力インターフェース123から列車運行の抑止あるいは列車の運休などの運転整理を入力する(ステップS302)。
運転整理入力部124は、入力インターフェース123によってユーザからの運転整理を受け付ける(ステップS303)。列車ダイヤ変更確定部125は、運転整理の結果を列車ダイヤに反映する(ステップS304)。列車ダイヤ画面表示部126は、変更後の列車ダイヤを画面に表示する(ステップS305)。予測列車ダイヤ演算部127は、変更後の列車ダイヤと、現在の列車運行状況とに基づき、予測列車ダイヤを予測する(ステップS306)。予測列車ダイヤ表示部128は、予測列車ダイヤを画面に表示する(ステップS307)。
図16は、実施例2において、予測列車ダイヤを基に運転整理案を列車運行管理システム102に送信するまでのフローチャートである。図16は実施例1の図3に対応する。
不合理検出判定部113にて、列車ダイヤの変更に伴って、運用情報記憶部119に運用情報として格納されている現在の乗務員または車両の運用計画に不合理が発生するか否かを計算し(ステップS402)、不合理が発生するか否か判定する(ステップS403)。
不合理が発生することが検出された場合、運転整理提案部118は、列車ダイヤの遅延を少なくする運用整理を含む運転整理の案を複数算出する(ステップS701)。
列車ダイヤ変更案画面出力部121は、複数の運転整理の案を画面上に表示する(ステップS702)。ユーザは、画面の表示を見て、入力インターフェース123からいずれかの運転整理の案を選択する(ステップS703)。列車ダイヤ変更確定部125は、運転整理の選択結果を列車ダイヤに反映する(ステップS704)。その直後に、運用整理確定表示部116は、選択された運転整理の案から運転整理およびそれに伴う運用整理の内容を決定して画面に表示するとともに、運用情報記憶部119に運用整理情報を記憶する(ステップS705)。
列車ダイヤ画面表示部126は、変更後の列車ダイヤを画面に表示する(ステップS706)。予測列車ダイヤ演算部127は、変更後の列車ダイヤから未来のダイヤを予測する(ステップS707)。予測列車ダイヤ表示部128は、予測ダイヤを画面に表示する(ステップS708)。以上により、列車ダイヤ、乗務員の運用、車両の運用が全て整い、処理が終了となる(ステップS709)。
本実施例では、運転整理と運用整理とが単一の列車ダイヤ平復システム100による一連の処理で容易に実施することができる。また、本実施例では、列車運行管理と乗務員および列車の運用整理を単一のシステムで実現するので、システムの構成が単純化され、システムコストが削減される。
上述した本発明の各実施例は、本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をそれら実施例のみに限定する趣旨ではない。当業者は、本発明の要旨を逸脱することなしに、他の様々な態様で本発明を実施することができる。