JP6276649B2 - 電気光学デバイス - Google Patents

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Description

本発明は、電気光学効果を用いた電気光学デバイスに関する。
電気光学結晶に電界を印加することにより、結晶内部の屈折率、逆誘電率の分布が変化する現象は、電気光学効果と呼ばれている。電気光学効果を用いることにより、電気光学結晶に入射した光を制御することができる。電気光学効果を用いたデバイス(以下、電気光学デバイスと呼ぶ)として、位相変調器(非特許文献1)、振幅変調器(非特許文献2)、光偏向器(非特許文献3)などが知られている。
位相変調器は、低い電圧で大きな位相変化を生じさせることが求められている。強度変調器においては、ある方向に偏光している光の位相と、それに垂直方向に偏光している光の位相との差(リタデーションという)を、低い電圧で大きく変化させることが求められている。また、光偏向器においては、低い電圧で大きな偏向角を得ることが求められている。これら位相変化、リタデーション、偏向角を大きくするためには、電気光学結晶内を伝搬する光の結晶に対する相互作用長、すなわち結晶内部の光路長を長くすればよい。すなわち、光の伝搬方向の材料の長さを長くすればよい。
図1(a)に、従来の電気光学デバイスを示す。電気光学結晶1の2つの電極面2,3の全面には金属電極が蒸着されており、電源4を用いて電気光学結晶1に電圧を印加する。これにより、結晶内に電界を発生させ、結晶内の屈折率分布を変化させて、電気光学結晶1に入射した光5を制御する。電気光学結晶1の長さ(光軸=x軸方向)をL、2つの電極面2,3の間隔(z軸方向)をd、入射面の幅と出射面の幅(y軸方向)をwとする。このとき、光5の入射面におけるビーム幅は、w未満となる。図1(b)は、電気光学結晶1を上面から見た図であり、長さLを変えた3通り(L,2L,3L)の電気光学結晶を示す。一点鎖線は、幅方向(y軸方向)の中心を伝搬する光軸を示す。
I.P. Kaminow, "Barium Titanate Light Phase Modulator," Applied Physics Letters, Vol. 7, No. 5, 123-125 (1965). R.T. Denton, F.S. Chen, and A.A. Ballman, "Lithium Tantalate Light Modulators," Journal of Applied Physics, Vol. 38, No.4, 1611-1617 (1967). Jun Miyazu, Tadayuki Imai, Seiji Toyoda, Masahiro Sasaura, Shogo Yagi, Kazutoshi Kato, Yuzo Sasaki1, and Kazuo Fujiura, "New Beam Scanning Model for High-Speed Operation Using KTa1-xNbxO3 Crystals,"Appl. Phys. Express, Vol. 4, 111501 (2011).
しかしながら、相互作用長を長くするために、電気光学結晶1の長さLを長くすると、電極の長さも長くなり、Lをk倍にすると、電極面の面積Lwもk倍となる。すなわち、相互作用長と電極面の面積との比、kL/(kLw)=1/wは変化しない。
電気光学デバイスを平行平板コンデンサと考えれば、電極面の面積Lwがk倍になると、静電容量もk倍となる。そのため、電圧としてAC電圧を印加すると、コンデンサを充放電するための電流の大きさも2倍となり、大容量の電源が必要になるという問題があった。そのため、電極面の電極面積は、可能な限り小さい方が望ましい。また、板状または棒状の結晶の面積(辺の長さ)が大きくなると、割れやすくなるので、やはり電極面の面積(辺の長さ)は小さいことが望ましい。
また、電気光学結晶として代表的なKTa1−xNb結晶(KTN結晶)は、電気的特性が空間的に均一でなく、結晶サイズが大きいと、結晶内部の位置によって電気的特性がばらつくという問題があった。具体的には、ある電圧を印加した場合に、電気光学効果が小さい領域と大きい領域とが混在するという課題があった。そのため、電気光学結晶のサイズを小さくすることが求められていた。
以上のことから、電極面の面積を大きくせずに、相互作用長を長くすることが求められていた。具体的には、相互作用長と電極面の面積の比R=kL/(kLw)を、1/w(wは入出射面の幅)より大きくすることが求められていた。
本発明の目的は、電極面の面積を大きくせずに、相互作用長を長くすることができる電気光学デバイスを提供することにある。
本発明は、このような目的を達成するために、第1の実施態様は、電気光学効果を有する電気光学結晶と、該電気光学結晶の対向する2つの電極面に形成された電極対とを備えた電気光学デバイスであって、前記電気光学結晶は、前記電極面と垂直に入射面、出射面、第1の反射面、第2の反射面、第3の反射面、および第4の反射面を有し、前記第3の反射面は、前記第1の反射面および前記第2の反射面に垂直であり、前記第4の反射面は、前記第3の反射面と対向し、前記第1の反射面および前記第2の反射面に垂直であり、前記入射面は、前記第1の反射面と前記第4の反射面の間に配置されており、前記出射面は、前記第2の反射面と前記第4の反射面の間に配置されており、前記入射面の内向き法線と、前記第1の反射面の内向き法線とのなす角が45°であり、前記入射面の内向き法線と、前記出射面の内向き法線とのなす角が90°であり、対向する前記第1の反射面と前記第2の反射面との間の距離をA、対向する前記第3の反射面と前記第4の反射面との間の距離をBとしたとき、前記入射面の幅と前記出射面の幅とが等しくwであり、
A:B:w=2m+2:2n+1:(√2)(m、nは自然数)、
かつ、AとBは互いに素
であることを特徴とする。
本発明によれば、入射面を透過した光が、第1ない第4の反射面において反射を繰り返しながら、電気光学結晶の内部を伝搬し、出射面から出射される。電気光学結晶内部の光が通過する領域では、入射光の光軸と平行な方向に伝搬する光と、入射光の光軸と垂直な方向に伝搬する光の両方が通過する。すなわち、同一電極面面積において、従来技術と比較して、2倍の相互作用長を有することができる。
一方、ある相互作用長を実現するために、電極面の面積が、従来技術に比べて半分となる。その結果、電気光学デバイスの静電容量が半分になり、電気光学結晶に流れる電流が半分になるため、電源容量を低減することができる。
従来の電気光学デバイスを示す図である。 本発明の一実施形態にかかる電気光学結晶を示す図である。 本発明の一実施形態にかかる電気光学デバイスを示す図である。 本実施形態の電気光学結晶内の光の伝搬を説明するための図である。 有限の幅を持つ光の伝搬を説明するための図である。 電気光学結晶のサイズのバリエーションを示す図である。 電気光学結晶のサイズのバリエーションを示す図である。 電気光学結晶のサイズのバリエーションを示す図である。 電気光学結晶のサイズのバリエーションを示す図である。 電気光学結晶のサイズのバリエーションを示す図である。 電気光学結晶のサイズのバリエーションを示す図である。 電気光学結晶のサイズのバリエーションを示す図である。 電気光学結晶のサイズのバリエーションを示す図である。 本実施形態の電気光学結晶に新たな座標系を設定した図である。 本発明の実施例4にかかる電気光学結晶を示す図である。 本発明の実施例5にかかる電気光学結晶を示す図である。 本発明の実施例6にかかる電気光学結晶を示す図である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。
[基本動作原理]
図2に、本発明の一実施形態にかかる電気光学結晶を示す。図2(a)は斜視図、図2(b)は上面図、図2(c)は入出射面から見た側面図である。電気光学結晶100は、対向する2つの面を電極面111、112とし、この電極面と垂直に入射面101、出射面102、第1の反射面103、第2の反射面104、第3の反射面105、および第4の反射面106の6面が配置された六角柱状の形状を有している。電極面111、112の全面には、金属電極が蒸着されている。
第3の反射面105は、第1の反射面103および第2の反射面104に接しており、それぞれに垂直である。第4の反射面106は、第3の反射面105と対向し、第1の反射面103および第2の反射面104に垂直である。入射面101は、第1の反射面103および第4の反射面106に接しており、入射面101の内向きの法線101’と、第1の反射面103の内向きの法線103’とのなす角は45°である。ここで、入射面101の内向きの法線101’とは、電気光学デバイス側の法線を意味し、外側に向かう法線101’’と区別する。その他の面に関しても同様に区別する。出射面102は、第2の反射面104および第4の反射面106に接しており、入射面101の内向きの法線101’と出射面102の内向きの法線102’とのなす角は90°である。
図3に、本発明の一実施形態にかかる電気光学デバイスを示す。図3(a)は斜視図、図3(b)は入出射面から見た側面図である。電気光学結晶100の2つの電極面111,112に形成された電極対に、電源201を接続した様子を示す。2つの電極面111,112は、入射面101、出射面102、第1の反射面103、第2の反射面104、第3の反射面105、および第4の反射面106に垂直である。電源201からの電圧印加により、z軸方向の電界に発生することにより、電気光学結晶100内部の屈折率が変化し、電気光学結晶100内を伝搬する光が制御される。
図4を参照して、電気光学結晶100内の光の伝搬を説明する。図4(a)に示すように、対向する第1の反射面103と第2の反射面104との間の距離をA、対向する第3の反射面105および第4の反射面106との間の距離をBとする。ここでは、A:B=4:3としている。また、入射面101の幅をw、出射面102の幅をw’とする。ここでは、w=w’=(√2)B/3としている。すなわち、A:B:w=4:3:(√2)である。その結果、第4の反射面106の長さをA’とすると、A’=A−(√2)w=A/2となる。また、第1の反射面103の長さをB’、第2の反射面104の長さをB’’とすると、B’=B’’=B―w/(√2)=2B/3となる。
図4(b)に示すように、電気光学結晶100の入射面101に、入射光を垂直に入射する。以下、光軸を一点鎖線で示し、光の軌跡を説明する。入射光は、電気光学結晶100の内部を伝搬し、入射角45°で第3の反射面105へ入射し、出射角45°で反射される(点a)。続いて、入射角45°で第2の反射面104へ入射し、出射角45°で反射される(点b)。続いて、入射角45°で第4の反射面106へ入射し、出射角45°で反射される(点c)。続いて、入射角45°で第1の反射面103へ入射し、出射角45°で反射される(点d)。続いて、入射角45°で第3の反射面105へ入射し、出射角45°で反射される(点e)。続いて、出射面102に垂直に透過し、電気光学結晶100から出射光として出射される。なお、各点(a〜e)における反射は、全反射による反射であっても良いし、金属ミラー、誘電体ミラーを反射面に蒸着して反射させても良い。
以上の説明では、光を、幅を持たない光線として説明したが、実際の光は、ビーム幅を有する。図5に、電気光学結晶100の上面から見て、電気光学結晶の内部を伝搬する光ビームの軌跡を示す。図5(a)に、入射光のビーム幅が、入射面101の幅wと同程度の場合を示す。入射光の光軸は、入射面101の幅方向の中心を通り、一点鎖線で示す。入射面101における光ビームの一方の端の軌跡を実線で示し、入射面101における光ビームの他方の端の軌跡を点線で示している。図5(b)は、光が通過する領域をハッチングで示した。図5(b)からわかるように、入射面101の幅wと同程度のビーム幅を持った光を入射しても、光の一部が反射面で所望の反射を行わない、すなわちケラレたりすることなく、出射面102から出射されていることがわかる。
比較のため、図5(c)に、入射光のビーム幅が、入射面101の幅wの半分のときの場合を示す。このとき、光が通過する領域にハッチングを付した図を図5(d)に示す。図5(d)からわかるように、光が通過しない部分、すなわち光に作用しない電極面が一部にあることがわかる。
図5(a),(b)からわかるように、電気光学結晶内部の光が通過する領域(ハッチングがかかった領域)では、入射光の光軸と平行な方向に伝搬する光と、入射光の光軸と垂直な方向に伝搬する光の両方が通過している。すなわち、光が通過する領域のすべての箇所において、光が2回通過している。入射光のビーム幅を入射面の幅wまで拡げた場合には、電気光学結晶100の全領域を、光が2回通過することになる。そのため、図1に示した従来の電気光学デバイスに比べ、半分の電極面の面積で、同じ相互作用長が得られる。以下、数式を用いて説明する。
[数値例]
本実施形態の電気光学結晶の電極面の面積は、入出射面の幅がwであるから、AB−(w/2)=5.5wである。また、相互作用長は、11wである。従って、相互作用長と電極面の面積の比R=2/wとなる。図1に示した従来の電気光学デバイスでは、相互作用長=11w、面積=11wであるから、R=1/wとなる。すなわち、本実施形態では、同一電極面面積において、従来技術と比較して、2倍の相互作用長を有する。逆に言えば、ある相互作用長を実現するために、電極面の面積が、従来技術に比べて半分となる。その結果、電気光学デバイスの静電容量が半分になり、電気光学結晶に流れる電流が半分になるため、電源容量を低減することができる。
また、電極面の面積を小さくできることから、電気光学結晶のサイズを小さくすることができ、結晶が折れたり割れたりしにくくなる。また、KTN結晶のように、電気的特性が空間的に均一でない材料の場合、結晶サイズが小さくなるため、結晶内部の電気的特性のばらつきが低減される。
A=4/(√2)mm、B=3/(√2)、w=1mmの場合、相互作用長は11mm、電極面の面積は5.5mmであり、相互作用長と電極面の面積の比R=2mm−1となる。一方、従来例では、w=1mm、L=11mmの時、相互作用長11mm、電極面の面積は11mmである。よって、R=1mm−1となり、本実施形態の電気光学デバイスの半分となる。
[サイズに関する考察]
本実施形態は、上述したサイズに限定されるものではない。ここでは、本実施形態の効果が発現する、電気光学デバイスのサイズに関する考察を行う。長さA,B,wの比が、 A:B:w=2m+2:2n+1:(√2)(m、nは自然数)
を満たす場合について考える。電気光学結晶のサイズA:Bのバリエーションを、以下のように図6〜13に示す。
図6:A:B=4:3,6:3,8:3
図7:A:B=10:3,12:3
図8:A:B=4:5,6:5,8:5
図9:A:B=10:5,12:5
図10:A:B=4:7,6:7,8:7
図11:A:B=10:7,12:7
図12:A:B=4:9,6:9,8:9
図13:A:B=10:9,12:9
それぞれ、光軸を一点鎖線で示す。
図から分かるように、A:B=6:3,12:3,10:5,6:9,12:9の場合には、他の構成と較べて、反射の回数が少なく、相互作用長が長くならない。これ以外の場合には、相互作用長は長くなり、下記のように表される。
本実施形態の電気光学デバイスの電極面の面積は、AB−(w/2)である。従って、相互作用長と電極面の面積の比R=2/wとなる。すなわち、従来技術に比べ、2倍の相互作用長となる。以上のことから、
A:B=2m+2:2n+1(m、nは自然数)、かつ、AとBは互いに素
のとき、相互作用長が長くなる効果が発現する。なお、互いに素とは、2つの整数が1および−1以外に公約数を持たない、すなわち、2つの整数の最大公約数が1のとき、「互いに素」の関係にあるという。
[材料の対称性に関する考察]
次に、電気光学結晶の対称性に関する考察を行う。座標系として主軸をとり、電場(0,0,E)を印加した時の、電気光学効果による逆誘電率の変化Δηi(i=1〜6)は、下記のように書ける。
ここで、rjkは、1次電気光学係数(ポッケルス係数)であり、3階のテンソルである。また、sjkは、2次電気光学係数(カー係数)であり、4階のテンソルである。以下、代表的な点群に関して考察を行う。
(1)点群4,4mm,3,3m,6,6mm
点群4,4mm,3,3m,6,6mmの結晶構造をとるポッケルス係数は、それぞれ下記の通りである。
従って、電気光学結晶に電場(0,0,E)を印加した時の、電気光学効果による逆誘電率の変化Δηi(i=1〜6)は、カー係数による寄与は十分小さいとすると、下記のように表される。
ここで、Δη1は、偏光方向(光の電界方向)がx軸に平行(以下、x偏光と記す)な伝搬光が感じる逆誘電率変化である。Δη2は、偏光方向(光の電界方向)がy軸に平行(以下、y偏光と記す)な伝搬光が感じる逆誘電率変化である。Δη3は、偏光方向(光の電界方向)がz軸(印加電界方向)に平行(以下、z偏光と記す)な伝搬光が感じる逆誘電率変化である。
屈折率変化Δnと、逆誘電率変化Δηとの間には次の関係がある。
ここでnは、電圧印加前の屈折率である。従って、x偏光の伝搬光が感じる屈折率変化Δn1、y偏光の伝搬光が感じる屈折率変化Δn2、z偏光の伝搬光が感じる屈折率変化Δn3は、次のように書き表せる。
図14に示すように、本実施形態の電気光学結晶に新たな座標系を設定する。入射光の光軸(入射面101に垂直方向)をx軸とし、これと垂直な出射光の光軸(出射面102に垂直方向)をy軸とする。
最初に、電界(0,0,E)が印加された物質内をx軸方向(入射面〜a点、b点〜c点、d点〜e点)に伝搬する光において、y偏光の光と、z偏光の光を考える。x軸方向の相互作用長の和をLxとすると、y偏向の光とz偏向の光の位相差Γxは次のように書ける。
また、z偏光の光の位相変化φxは次のように書ける。
次に、電場(0,0,E)が印加された物質内をy軸方向(a点〜b点、c点〜d点、e点〜出射面)に伝搬する光において、x偏光の光と、z偏光の光を考える。y軸方向の相互作用長の和をLyとすると、x偏向の光とz偏向の光の位相差Γyは次のように書ける。
また、z偏光の光の位相変化φyは次のように書ける。
電気光学結晶内を伝搬する光は、反射する毎にx偏光とy偏光が切り替わるが、z偏光はそのままである。すなわち、x/y偏光の光と、z偏光の光の位相差(リタデーション)Γtotalは次のように書ける。
すなわち、相互作用長が長くなることによって、位相差Γtotalは増大する。また、z偏光の光の位相変化の和φtotalは次のように書ける。
すなわち、相互作用長が長くなることによって、位相変化は増大する。
(2)点群mm2
点群mm2の結晶構造をとるポッケルス係数は、下記で表される。
従って、電場(0,0,E)を印加した時の、電気光学効果による逆誘電率の変化Δηi(i=1〜6)は、カー係数による寄与は十分小さいとすると、下記のように表される。
従って、屈折率変化は下記の通りとなる。
図14に示すように、本実施形態の電気光学結晶に新たな座標系を設定する。最初に、電場(0,0,E)が印加された物質内をx軸方向に伝搬する光において、y偏光の光と、z偏光の光を考える。x軸方向の相互作用長の和をLxとすると、y偏向の光とz偏向の光の位相差Γxは次のように書ける。
また、z偏光の光の位相変化φxは次のように書ける。
次に、電場(0,0,E)が印加された物質内をy軸方向に伝搬する光において、x偏光の光と、z偏光の光を考える。y軸方向の相互作用長の和をLyとすると、x偏向の光とz偏向の光の位相差Γyは次のように書ける。
また、z偏光の光の位相変化φyは次のように書ける。
電気光学結晶内を伝搬する光は、反射する毎にx偏光とy偏光が切り替わるが、z偏光はそのままである。すなわち、x/y偏光の光と、z偏光の光の位相差Γtotalは次のように書ける。
また、z偏光の光の位相変化の和φtotalは次のように書ける。
すなわち、相互作用長が長くなることによって、位相変化は増大する。
(3)点群3N,3Nm,6/m,6/mmm,4/m,4/mmm
ポッケルス係数r13,r23,r33,r43,r53,r63が0である、点群3N,3Nm,6/m,6/mmm,4/m,4/mmmの結晶に、電場(0,0,E)を印加した時の、電気光学効果による逆誘電率の変化Δηi(i=1〜6)は、下記のように表される。
ここで、3Nは
を表す。
従って、屈折率変化は下記の通りとなる。
図14に示すように、本実施形態の電気光学結晶に新たな座標系を設定する。最初に、電場(0,0,E)が印加された物質内をx軸方向に伝搬する光において、y偏光の光と、z偏光の光を考える。x軸方向の相互作用長の和をLxとすると、y偏向の光とz偏向の光の位相差Γxは次のように書ける。
また、z偏光の光の位相変化φxは次のように書ける。
次に、電場(0,0,E)が印加された物質内をy軸方向に伝搬する光において、x偏光の光と、z偏光の光を考える。y軸方向の相互作用長の和をLyとすると、x偏向の光とz偏向の光の位相差Γyは次のように書ける。
また、z偏光の光の位相変化φyは次のように書ける。
電気光学結晶内を伝搬する光は、反射する毎にx偏光とy偏光が切り替わるが、z偏光はそのままである。すなわち、x/y偏光の光と、z偏光の光の位相差Γtotalは次のように書ける。
すなわち、相互作用長が長くなることによって、位相差Γtotalは増大する。また、z偏光の光の位相変化の和φtotalは次のように書ける。
すなわち、相互作用長が長くなることによって、位相変化は増大する。
(4)点群432,m3m
ポッケルス係数r13,r23,r33,r43,r53,r63が0であり、かつ立方晶系に属する点群432,m3mの結晶に、電場(0,0,E)を印加した時の、電気光学効果による逆誘電率の変化Δηi(i=1〜6)は、下記のように表される。
従って、屈折率変化は下記の通りとなる。
図14に示すように、本実施形態の電気光学結晶に新たな座標系を設定する。最初に、電場(0,0,E)が印加された物質内をx軸方向に伝搬する光において、y偏光の光と、z偏光の光を考える。x軸方向の相互作用長の和をLxとすると、y偏向の光とz偏向の光の位相差Γxは次のように書ける。
また、z偏光の光の位相変化φxは次のように書ける。
次に、電場(0,0,E)が印加された物質内をy軸方向に伝搬する光において、x偏光の光と、z偏光の光を考える。y軸方向の相互作用長の和をLyとすると、x偏向の光とz偏向の光の位相差Γyは次のように書ける。
また、z偏光の光の位相変化φyは次のように書ける。
電気光学結晶内を伝搬する光は、反射する毎にx偏光とy偏光が切り替わるが、z偏光はそのままである。すなわち、x/y偏光の光と、z偏光の光の位相差Γtotalは次のように書ける。
すなわち、相互作用長が長くなることによって、位相差Γtotalは増大する。また、z偏光の光の位相変化の和φtotalは次のように書ける。
すなわち、相互作用長が長くなることによって、位相変化は増大する。
(5)点群mmm
ポッケルス係数r13,r23,r33,r43,r53,r63が0である、点群mmmの結晶に、電場(0,0,E)を印加した時の、電気光学効果による逆誘電率の変化Δηi(i=1〜6)は、下記のように表される。
従って、屈折率変化は下記の通りとなる。
図14に示すように、本実施形態の電気光学結晶に新たな座標系を設定する。最初に、電場(0,0,E)が印加された物質内をx軸方向に伝搬する光において、y偏光の光と、z偏光の光を考える。x軸方向の相互作用長の和をLxとすると、y偏向の光とz偏向の光の位相差Γxは次のように書ける。
また、z偏光の光の位相変化φxは次のように書ける。
次に、電場(0,0,E)が印加された物質内をy軸方向に伝搬する光において、x偏光方向の光と、z偏光の光を考える。y軸方向の相互作用長の和をLyとすると、x偏向の光とz偏向の光の位相差Γyは次のように書ける。
また、z偏光の光の位相変化φyは次のように書ける。
電気光学結晶内を伝搬する光は、反射する毎にx偏光とy偏光が切り替わるが、z偏光はそのままである。すなわち、x/y偏光の光と、z偏光の光の位相差Γtotalは次のように書ける。
また、z偏光の光の位相変化の和φtotalは次のように書ける。
すなわち、相互作用長が長くなることによって、位相変化は増大する。
(6)点群m3
ポッケルス係数r13,r23,r33,r43,r53,r63が0であり、立方晶系に属する点群m3の結晶に、電場(0,0,E)を印加した時の、電気光学効果による逆誘電率の変化Δηi(i=1〜6)は、下記のように表される。
従って、屈折率変化は下記の通りとなる。
図14に示すように、本実施形態の電気光学結晶に新たな座標系を設定する。最初に、電場(0,0,E)が印加された物質内をx軸方向に伝搬する光において、y偏光の光と、z偏光の光を考える。x軸方向の相互作用長の和をLxとすると、y偏向の光とz偏向の光の位相差Γxは次のように書ける。
また、z偏光の光の位相変化φxは次のように書ける。
次に、電場(0,0,E)が印加された物質内をy軸方向に伝搬する光において、x偏光の光と、z偏光の光を考える。y軸方向の相互作用長の和をLyとすると、x偏向の光とz偏向の光の位相差Γyは次のように書ける。
また、z偏光の光の位相変化φyは次のように書ける。
電気光学結晶内を伝搬する光は、反射する毎にx偏光とy偏光が切り替わるが、z偏光はそのままである。すなわち、x/y偏光の光と、z偏光の光の位相差Γtotalは次のように書ける。
また、z偏光の光の位相変化の和φtotalは次のように書ける。
すなわち、相互作用長が長くなることによって、位相変化は増大する。
以上、主な点群に関し、主軸方向に偏光した光を入射した場合について説明したが、ここで挙げた以外の点群や、主軸以外の方向に偏光した光を入射した場合においても、同一電極面の面積が同一であり、入出射面の幅が同一である従来技術の電気光学デバイスと比して、本実施形態の電気光学デバイスを採用したことによって相互作用長が長くなれば、本実施形態の効果を有すると言える。
[偏向現象]
図14に示すように、本実施形態の電気光学結晶に新たな座標系を設定する。電場(0,0,E)が印加された材料内をx軸方向に伝搬する光において、z偏光の光を考える。電気光学結晶内に一様に電子がトラップされている場合、材料内の電界は次のように書ける。
ここで、eは電気素量、Nは電子密度、εは誘電率、Vは印加電圧、dは電気光学結晶の厚さである。電気光学結晶としてKTN結晶(点群m3m)を考えると、屈折率変化は下記のように書ける。
ここで、m3mにおいては、s11=s33であることを用いた。
x軸方向の相互作用長の和をLxとすると、z方向に偏向する光の偏向角θx(z)は次のように書ける。
光を電極間の中心(z=d/2)に入射すると、偏向角は次のように書ける。
同様に、電場(0,0,E)が印加された物質内をy軸方向に伝搬する光において、z偏光の光を考える。y軸方向の相互作用長の和をLyとすると、光を電極間の中心(z=d/2)に入射すると、偏向角は次のように書ける。
電気光学結晶内を伝搬する光は、反射してもz偏光のままである。すなわち、偏向角θtotalは次のように書ける。
すなわち、相互作用長が長くなることによって、偏向角は増大する。
[実施例1:位相変調器]
図4に示した電気光学結晶100において、KTa1−xNb(KTN)結晶(A=4/(√2)mm、B=3/(√2)mm、w=1mm、厚さd=1.2mm、組成x=0.39)を用いる。比誘電率εが17500となり、結晶構造が立方晶(常誘電相)(点群m3m)となる温度28.7℃に、電気光学結晶100を設定する。2つの電極面111、112の全面にPt電極を蒸着し、電圧を印加しても、電子が材料内に注入されないようにする。
入射面101に波長λ=633nmのz偏光の光を入射させる。電圧Vを印加することにより、出射光は偏向されず、下記の通り位相が変化する。
ここで、ε0は真空の誘電率である。また、点群m3mでは、s11=s33であることを用いた。g11は定数であり、0.136[m/C]という値を持つことが知られており、
が成り立つ。また、n=2.29であることが知られている。Ltotal=11mmである。以上により、電圧Vを印加した時の位相変化量が求められる。
実施例1に係る電気光学デバイスは、電気光学結晶として、KTa1−xNb結晶(組成x=0.39)を用いたが、その他のx(0<x<1)の範囲のKTN結晶を用いてもよい。また、材料として、K1−yLiTa1−xNb結晶(0<y<1、0<x<1)を用いても良い。
[実施例2:振幅変調器]
図4に示した電気光学結晶100において、KTa1−xNb(KTN)結晶(A=4/(√2)mm、B=3/(√2)mm、w=1mm、厚さd=1.2mm、組成x=0.39)を用いる。比誘電率εが17500となり、結晶構造が立方晶(常誘電相)(点群m3m)となる28.7℃に、電気光学結晶100を設定する。2つの電極面111、112の全面にPt電極を蒸着し、電圧を印加しても、電子が材料内に注入されないようにする。
入射面101に波長λ=633nmの、z軸と45°をなす方向に偏向する光を入射させる。電圧Vを印加することにより、出射光は偏向されず、下記の通りx偏光とy偏光の位相差(リタデーション)が変化する。
ここで、点群m3mでは、s12=s13であることを用いた。g12は定数であり、−0.038[m/C]という値を持つことが知られており、
が成り立つ。以上より、電圧Vを印加した時の、x偏光とy偏光の位相差(リタデーション)が求められる。
実施例2に係る電気光学デバイスは、電気光学結晶として、KTa1−xNb結晶(組成x=0.39)を用いたが、その他のx(0<x<1)の範囲のKTN結晶を用いてもよい。また、材料として、K1−yLiTa1−xNb結晶(0<y<1、0<x<1)を用いても良い。
[実施例3:光偏向器]
図4に示した電気光学デバイス100において、KTa1−xNb(KTN)結晶(A=4/(√2)mm、B=3/(√2)mm、w=1mm、厚さd=1.2mm、組成x=0.39)を用いる。比誘電率εが17500となり、結晶構造が立方晶(常誘電相)(点群m3m)となる28.7℃に、電気光学結晶100を設定する。2つの電極面111、112の全面にTi電極を蒸着し、電圧を印加することにより、電子が材料内に注入されるようにした。
入射面101に波長λ=1.3μmの、z偏光の光を入射させ、直流電圧(+400V(10秒)、−400V(10秒))を印加して、電子をKTNb結晶内に注入する。その後、周波数200kHz、720Vppの正弦波電圧を印加したところ、出射光は、z軸方向に偏向し、その偏向角は全角で93.0mradであった。
実施例3に係る電気光学デバイスは、電気光学結晶として、KTa1−xNb結晶(組成x=0.39)を用いたが、その他のx(0<x<1)の範囲のKTN結晶を用いてもよい。また、電気光学結晶として、K1−yLiTa1−xNb結晶(0<y<1、0<x<1)を用いても良い。
[実施例4]
図15に、本発明の実施例4にかかる電気光学結晶を示す。実施例4においては、電気光学結晶100の加工時に生じるバリを取り除くために、角を面取り701,702した。図5(a),(b)と同様に、入射面101の幅wと同程度のビーム幅を持った光を入射すると、実施例4では、面取りの部分において、光の一部がケラレて、全ての光が出射面102から出射されなくなる。出射光のすべてがケラレなく出射されるためには、図15に示したように、入射面101における光ビームの幅が、入射面101の幅wよりも小さくなる。従って、面取りされる領域は、なるべく小さいことが好ましい。
さらに、他の4つの角の面取りを行ってもよい。従って、電気光学結晶100は、対向する2つの電極面111、112と垂直に、入射面101、出射面102、第1の反射面103、第2の反射面104、第3の反射面105および第4の反射面106の6面に囲まれており、第3の反射面105は、第1の反射面103および第2の反射面104に垂直であり、第4の反射面106は、第3の反射面105と対向し、第1の反射面103および第2の反射面104に垂直であり、入射面101は、第1の反射面103と第4の反射面106の間に配置されており、出射面102は、第2の反射面104と第4の反射面106の間に配置されていればよい。
[実施例5]
これまでの説明では、入射面101の内向き法線(図2の101’)と、第1の反射面103の内向き法線(図2の103’)とのなす角が45°であり、かつ、入射面101の内向き法線と、出射面102の内向き法線(図2の102’)とのなす角が90°である場合を扱ってきた。しかしながら、入射面101を透過した直後に光が進む方向と、第1の反射面の内向き法線とのなす角が45°であり、かつ、入射面101を透過した直後に光が進む方向と、出射面102を透過する直前の光が進む方向とのなす角が90°であれば、本実施形態の効果を奏することができる。
図16に、本発明の実施例5にかかる電気光学結晶を示す。図16(a)は、本来の入射面101とは異なり、入射面121の内向き法線122と、第1の反射面の内向き法線とのなす角が45°より大きい場合を示す。図16(b)は、本来の入射面101とは異なり、入射面123の内向き法線124と、第1の反射面の内向き法線とのなす角が45°より小さい場合を示す。このような場合、入射面上においてスネルの法則を考慮することにより、入射光が、入射面101において屈折した後、電気光学結晶100の内部を進む方向と(図16において一点鎖線で示す)が、第1の反射面の内向き法線とのなす角が45°となるように入射角度を設定すれば良い。
ただし、入射面の内向き法線と、第1の反射面の内向き法線とのなす角を45°に設定した場合と比較して、実施例5では、出射光のすべてがケラレなく出射されるためには、入射面121,123における光ビームの幅が、入射面101の幅wよりも小さくなる。従って、上述の2つの法線がなす角は、できる限り45°であることが好ましい。
なお、出射面の角度も、入射面と同様に考えることができる。この場合、出射面を通過した後の出射光は、直進ではなく屈折する。入射面の場合と同様に、角度を変化させると、出射光のすべてがケラレなく出射される、入射面における光ビームの幅は小さくなるので、できる限り45°であることが好ましい。
[実施例6]
図17に、本発明の実施例6にかかる電気光学結晶を示す。本実施形態の電気光学結晶を2個接続して、電気光学デバイスを構成した例を示す。図17(a)は、前段の電気光学結晶901と後段の電気光学結晶902とが同一形状の場合であり、それぞれ光軸を一点鎖線で示し、光の軌跡を示す。図17(b)は、前段の電気光学結晶903と後段の電気光学結晶904とが異なる形状の場合である。
図17(a),(b)のどちらの場合においても、前段の電気光学結晶の出射面と、後段の電気光学結晶の入射面とを近接して配置し、光学的に結合している。この構成によれば、相互作用長が長くなると共に、入射光と出射光の光軸の向きが平行となるため、電気光学デバイスを構成する際に、入出射光の伝搬方向を変更したくない場合に有効である。
さらに、3個以上の電気光学デバイスを用意し、一の電気光学デバイスの出射面と他の電気光学デバイスの入射面とを光学的に結合して、縦続接続することにより、相互作用長の長い電気光学デバイスを実現することができる。
1,100,901〜904 電気光学結晶
2,3 電極面
4 電源
5 入射光
6 入射面における光ビーム断面
101,121,123 入射面
102 出射面
103 第1の反射面
104 第2の反射面
105 第3の反射面
106 第4の反射面
111、112 電極面
201 電源
701,702 面取り

Claims (3)

  1. 電気光学効果を有する電気光学結晶と、
    該電気光学結晶の対向する2つの電極面に形成された電極対とを備え、
    前記電気光学結晶は、前記電極面と垂直に入射面、出射面、第1の反射面、第2の反射面、第3の反射面、および第4の反射面を有し、
    前記第3の反射面は、前記第1の反射面および前記第2の反射面に垂直であり、前記第4の反射面は、前記第3の反射面と対向し、前記第1の反射面および前記第2の反射面に垂直であり、前記入射面は、前記第1の反射面と前記第4の反射面の間に配置されており、前記出射面は、前記第2の反射面と前記第4の反射面の間に配置されており、
    前記入射面の内向き法線と、前記第1の反射面の内向き法線とのなす角が45°であり、前記入射面の内向き法線と、前記出射面の内向き法線とのなす角が90°であり、
    対向する前記第1の反射面と前記第2の反射面との間の距離をA、対向する前記第3の反射面と前記第4の反射面との間の距離をBとしたとき、前記入射面の幅と前記出射面の幅とが等しくwであり、
    A:B:w=2m+2:2n+1:(√2)(m、nは自然数)、
    かつ、AとBは互いに素
    であることを特徴とする電気光学デバイス。
  2. 前記電気光学結晶は、常誘電相にあるKTa1-xNbx3結晶(0<x<1)またはK1-yLiyTa1-xNbx3結晶(0<y<1、0<x<1)であることを特徴とする請求項1に記載の電気光学デバイス。
  3. 請求項1または2に記載の電気光学デバイスを複数備え、
    一の電気光学デバイスの出射面と他の電気光学デバイスの入射面とを光学的に結合して、縦続接続されていることを特徴とする電気光学デバイス。
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