JP6275632B2 - 常温接合装置及び常温接合方法 - Google Patents

常温接合装置及び常温接合方法 Download PDF

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Description

本発明は、常温接合装置及び常温接合方法に関する。
一般に、2枚のウェハ(基板)を接合するための技術として、常温接合が知られている。常温接合とは、接合する2枚のウェハの表面を真空雰囲気で活性化し、活性化されたウェハ表面を圧接することで該2枚のウェハを接合する技術である。
この種の常温接合においては、接合される2枚のウェハを位置合わせした後に、該2枚のウェハに大きな接合圧力(例えば、最大20トンの圧力)を作用させる必要がある。このため、従来、ウェハの位置合わせを行うステージ機構の耐荷重を高めるための技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示されたステージ機構では、ウェハを支持するキャリッジが弾性案内によって位置決めステージに連結されている。さらに、位置決めステージとは別にキャリッジ支持台が設けられている。キャリッジに荷重が印加されない状態では、キャリッジがキャリッジ支持台と接触しないように、位置決めステージに支持される。キャリッジに荷重が印加されると、弾性案内が弾性変形してキャリッジがキャリッジ支持台に接触され、キャリッジ支持台に荷重が分散される。これにより、位置決めステージに作用する荷重が軽減されている。
一方、近年、デバイスの小型化、高精度化が進んでおり、常温接合は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)分野に加え、CMOSイメージセンサ(CIS)や3次元積層LSI分野への適用拡大が要望されている。このため、接合されるウェハを精密に位置合わせすることが重要になってきている。ウェハの精密な位置合わせを実現するには、2枚のウェハ間の平行度の精度を高めることが必要である。平行度が十分でないと、ウェハ同士が接触する際に、ウェハの一端から接触するので、接合時にウェハの位置がずれる可能性があるからである。このため、従来、2枚のウェハ間の平行度を高精度に調整する技術が開示されている(例えば、特許文献2、3参照)。特許文献2、3に開示された技術は、一方のウェハを支持する静電チャック(試料台)に複数(3つ)の圧電素子を設けた構成を有する。そして、圧電素子に印加される電圧を調整することで、2枚のウェハ間の平行度を調整している。
特許第3970304号公報 特許第4822577号公報 特許第4209457号公報
しかしながら、上述された特許文献2、3に記載の技術は、いずれも圧電素子が静電チャックの背面側に設けられているため、2枚のウェハを接合する際の圧接荷重を圧電素子が受ける形となる。従って、2枚のウェハの接合面内の荷重分布にむらが生じ、荷重が不足した部分に接合不良が生じるおそれがあった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、大きな耐荷重の要求を満たしつつ、基板の精密な位置合わせと接合不良の防止とを可能とする常温接合装置及び常温接合方法を提供することを目的する。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る常温接合装置は、上側基板と下側基板とを常温接合するための真空雰囲気を生成する接合チャンバと、接合チャンバの内部に設置され、上側基板を保持する上側基板保持部を有し、上側基板保持部を上下方向に移動可能に支持する上側ステージ機構と、接合チャンバの内部に設置され、下側基板を上下方向と直交する水平方向に移動可能に支持する下側ステージ機構とを備え、下側ステージ機構は、下側基板を支持するキャリッジと、キャリッジに接合される弾性案内と、キャリッジの外側に設置され、弾性案内を介してキャリッジを支持すると共に、キャリッジを水平方向に移動する位置決めステージと、キャリッジの下方に設置され、上側基板と下側基板とが圧接されるときに、弾性案内の弾性変形により下方に変位したキャリッジを支持するキャリッジ支持台と、位置決めステージに固着されて該位置決めステージからキャリッジの周縁上に延在する少なくとも3つのフレーム部、及び、フレーム部にそれぞれ取り付けられてキャリッジの周縁を上下方向に駆動する駆動部を含み、上側基板保持部に対するキャリッジの平行度を調整する平行度調整機構と、を備えた。
本構成によれば、位置決めステージに固着されて該位置決めステージからキャリッジの周縁上に延在する少なくとも3つのフレーム部、及び、フレーム部にそれぞれ取り付けられてキャリッジの周縁を上下方向に駆動する駆動部を含み、上側基板保持部に対するキャリッジの平行度を調整する平行度調整機構を備えるため、この平行度の精度の向上を図ることができ、上側基板と下側基板との精密な位置合わせを実現することができる。
また、本構成によれば、下側ステージ機構は、キャリッジの外側に設置され、弾性案内を介してキャリッジを支持すると共に、キャリッジを水平方向に移動する位置決めステージと、キャリッジの下方に設置され、上側基板と下側基板とが圧接されるときに、弾性案内の弾性変形により下方に変位したキャリッジを支持するキャリッジ支持台とを備えるため、キャリッジに印加された荷重が、主として、キャリッジ支持台に作用され、位置決めステージに作用する荷重が軽減される。このため、下側ステージ機構の耐荷重を増大させることができる。
また、本構成によれば、平行度調整機構は、位置決めステージに固着されて該位置決めステージからキャリッジの周縁上に延在する少なくとも3つのフレーム部、及び、フレーム部にそれぞれ取り付けられてキャリッジの周縁を上下方向に駆動する駆動部を備えた構成としたため、キャリッジに印加された荷重が、駆動部に作用することを防止している。このため、上側基板と下側基板とが圧接されるときに、上側基板と下側基板との接合面内の荷重分布のむらを抑えることができ、接合不良の発生を防止することができる。
上記構成において、少なくとも3つの駆動部は、これら駆動部を結んで形成される多角形の内側に、キャリッジの中心が含まれる位置に設けられる構成としても良い。この構成によれば、駆動部をそれぞれ上下方向に駆動させることで、キャリッジの傾斜を容易に制御することができ、上側基板保持部に対するキャリッジとの平行度を容易に調整できる。
また、平行度調整機構は、フレーム部にそれぞれ取り付けられてキャリッジの変位量を測定する変位測定部と、駆動部を制御する駆動制御部とを備え、駆動制御部は、上側基板保持部を降下させて上側基板と下側基板とを当接させた際に、変位測定部がそれぞれ測定した変位量、もしくは、これら変位量間の偏差に基づき、駆動部を上下方向に駆動させる構成としても良い。この構成によれば、上側基板保持部に対するキャリッジの平行度の調整を簡単、かつ、精度良く行うことができる。
また、平行度調整機構は、上側基板保持部との距離を測定する複数の距離測定部と、駆動部を制御する駆動制御部とを備え、駆動制御部は、距離測定部がそれぞれ測定した距離のいずれかに合致するように、対応する駆動部を上下方向に駆動させる構成としても良い。この構成によれば、上側基板保持部に対するキャリッジの平行度の調整を、より簡素な手順で、かつ、精度良く行うことができる。
また、距離測定部は、駆動部にそれぞれ近接してキャリッジ上に設けられても良い。この構成によれば、駆動部を駆動させた際の、距離変化を正確に検出できるため、上側基板保持部に対するキャリッジの平行度の調整をより精度良く行うことができる。
また、キャリッジは、下側基板を保持する下側基板保持部と、下側基板保持部を位置決めステージよりも細かく水平方向に移動する微動機構とを備えても良い。この構成によれば、上側基板と下側基板との位置合わせをより精密に行うことができる。
本発明によれば、大きな耐荷重の要求を満たしつつ、基板の精密な位置合わせと接合不良の防止とを実現できる。
図1は、第1実施形態に係る常温接合装置を模式的に示す断面図である。 図2は、第1実施形態の接合チャンバを模式的に示す断面図である。 図3は、第1実施形態における下側ステージ機構を示す斜視図である。 図4は、下側ステージ機構に組み込まれるアライメント機構を示す断面図である。 図5は、駆動ユニットの構成を示す斜視図である。 図6は、駆動ユニットの動作前の状態を模式的に示す断面図である。 図7は、駆動ユニットの動作後の状態を模式的に示す断面図である。 図8は、平行度調整機構の初期状態を示す模式図である。 図9は、下側ウェハと上側ウェハとを当接させた状態の平行度調整機構を示す模式図である。 図10は、キャリッジの平行度を調整した後の状態の平行度調整機構を示す模式図である。 図11は、第2実施形態に係る上側ステージ機構及び下側ステージ機構を模式的に示す断面図である。 図12は、平行度調整機構の初期状態を示す模式図である。 図13は、キャリッジの平行度を調整した後の状態の平行度調整機構を示す模式図である。 図14は、変形例に係るキャリッジの構成を示す平画図である。 図15は、図14のA部拡大図である。 図16は、狭隘部の構造を示す斜視図である。
以下に、本発明に係る実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、以下の実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る常温接合装置の構成を模式的に示す断面図である。なお、以下の説明においては、必要に応じて、XYZ直交座標系が用いられる。Z軸は、上下方向(鉛直方向)に規定され、X軸は、水平面に平行な面内の特定方向に規定され、Y軸は、X軸、Z軸に垂直な方向に規定される。
常温接合装置1は、常温接合を実施するプロセスモジュール2と、プロセスモジュール2を制御する制御装置(制御盤)3とを備える。プロセスモジュール2は、ロードロックチャンバ4と接合チャンバ5とを備える。ロードロックチャンバ4は、外部環境と接合チャンバ5との間のウェハの受け渡しに用いられるチャンバであり、接合チャンバ5は、ウェハの接合が実際に行われるチャンバである。
プロセスモジュール2は、さらに、搬送通路6とゲートバルブ7とを備える。搬送通路6は、ロードロックチャンバ4と接合チャンバ5との間に介設され、接合チャンバ5の内部空間とロードロックチャンバ4の内部空間とを接続している。ゲートバルブ7は、制御装置3による制御の下、搬送通路6を閉鎖し、または、搬送通路6を開放する。すなわち、ゲートバルブ7は、ロードロックチャンバ4の内部空間を、接合チャンバ5の内部空間と連通させ、または、分離する機能を有している。
ロードロックチャンバ4は、蓋(図示略)と真空排気装置11とを備えている。その蓋は、ユーザに操作されることにより、外部環境とロードロックチャンバ4の内部とを接続する開口部(図示略)を閉鎖し、または、その開口部を開放する。真空排気装置11は、制御装置3による制御の下、ロードロックチャンバ4の内部から気体を排気する。
ロードロックチャンバ4は、さらに、カートリッジ台12,13と搬送ロボット14とを内部に収容している。カートリッジ台12,13には、それぞれ接合されるウェハ(基板)を保持するカートリッジ31,32が載せられる。ここで、カートリッジ31は、ウェハの接合の際に、上側に位置するウェハ(以下、上側ウェハ33ということがある)を保持するカートリッジであり、カートリッジ32は、下側に位置するウェハ(以下、下側ウェハ34ということがある)を保持するカートリッジである。搬送ロボット14は、ゲートバルブ7が開放されているときに、搬送通路6を介してカートリッジ台12,13に配置されたカートリッジ31,32を接合チャンバ5の内部に搬送し、または、接合チャンバ5の内部にあるカートリッジ31,32をカートリッジ台12,13に搬送する。
接合チャンバ5は、真空排気装置21を備えている。真空排気装置21は、制御装置3による制御の下、接合チャンバ5の内部から気体を排気する。
図2は、接合チャンバ5の構造を模式的に示す断面図である。接合チャンバ5は、図2に示すように、イオンガン22と、上側ステージ機構23と、下側ステージ機構24と、アライメント機構28とを備えている。イオンガン22は、ウェハの表面の活性化に用いられるイオンビーム22aを出射する。イオンビーム22aが照射されることで、上側ステージ機構23に支持される上側ウェハ(上側基板)33と、下側ステージ機構24に支持される下側ウェハ(下側基板)34の表面の活性化が行われる。なお、本実施形態では、一つのイオンガン22がウェハの表面の活性化に使用されるが、複数のイオンガン22が使用されても良い。また、イオンガン22の代わりに、他の活性化手段(例えば、中性原子ビーム源)がウェハの活性化に用いられても良い。
上側ステージ機構23は、上側ウェハ33の位置合わせを行うための機構であり、静電チャック25と圧接機構26と角度調節機構27とを備えている。静電チャック25は、上側ウェハ33を保持する上側基板保持部として機能する。詳細には、静電チャック25は、誘電体層を備えており、その誘電体層の下端に、上下方向(Z軸方向)に概ね垂直な平坦な面を有している。静電チャック25は、さらに、その誘電体層の内部に配置される内部電極を備えている。静電チャック25は、制御装置3による制御の下、その内部電極に所定の印加電圧を印加して、その誘電層の平坦な面の近傍に配置される上側ウェハ33を静電力によって保持する。
圧接機構26は、制御装置3による制御の下、上下方向(Z軸方向)に静電チャック25を昇降させる。本実施形態では、圧接機構26は、静電チャック25を所望の高さ位置(Z軸方向の位置)に位置合わせする。圧接機構26は、さらに、静電チャック25の高さ位置(即ち、上側ウェハ33の位置)を測定し、その位置を示すデータを制御装置3に出力する。圧接機構26は、さらに、静電チャック25により保持された上側ウェハ33に印加される荷重を測定し、その荷重を示すデータを制御装置3に出力する。
角度調節機構27は、上側ウェハ33を保持する静電チャック25の向きを調節する。角度調節機構27は、圧接機構26と静電チャック25との間に設けられ、圧接機構26の下端に連結された球座35と、固定フランジ36と、静電チャック25に取り付けられた球フランジ37とを備えている。球座35は球面状に形成された球座面を有し、この休座面に球フランジ37の球状のフランジ部分が密着する。固定フランジ36は、ボルト等の締結具により球座35に接合され、球フランジ37のフランジ部分を挟持して球フランジ37及び静電チャック25の位置(傾斜)を固定する。これにより、球フランジ37のフランジ部分は、固定フランジ36によって、球座35の球座面に摺動可能に連結されることになる。本実施形態では、角度調節機構27を用いて静電チャック25を支持することにより、上側ウェハ33と下側ウェハ34の間の平行度を維持しながら上側ウェハ33と下側ウェハ34とを接合することができる。これは、上側ウェハ33と下側ウェハ34の間に大きな接合荷重を均一に印加するために有効である。なお、本実施形態では、圧接機構26と静電チャック25との間に角度調節機構27を設ける構成を説明したが、圧接機構26の下端に静電チャック25を直接連結した構成としても良い。
次に、下側ステージ機構24について説明する。下側ステージ機構24は、図2に示すように、位置決めステージ41と、キャリッジ支持台42と、キャリッジ43と、弾性案内44とを備えている。位置決めステージ41は、図3に示すように、接合チャンバ5の底板5a上に設置される矩形状のベース板51と、このベース板51上の四隅に立設される支柱52と、これら支柱52の各上端に連結される矩形状の天板53とを備えて構成される。ベース板51には円形開口51aが形成され、この円形開口51aの内側に、円柱形状を呈したキャリッジ支持台42が底板5a上に設置されている。キャリッジ支持台42は、その上端に平滑な支持面42aを有し、この支持面42aは、上下方向(Z軸方向)に垂直である。
また、天板53には、ベース板51の円形開口51aと同様の大きさの円形開口53aが形成され、この円形開口53aの内側にキャリッジ43が支持されている。キャリッジ43は、円板状に形成されたキャリッジベース43aと、このキャリッジベース43aよりも小径の円板状に形成された円形段部43bとを備えて一体に形成される。円形段部43bは、キャリッジベース43aの上面中央部に配置されることにより、キャリッジ43は段付きの同心円板を形成する。本実施形態では、円形段部43bの上に、上記した下側ウェハ34が載せられて保持され、円形段部43bが下側基板保持部として機能する。なお、本実施形態では、下側ウェハ34は、キャリッジ43の円形段部43bの上に直接載置された構成としているが、この円形段部43bの上に、上記したカートリッジ32を介して、下側ウェハ34を載置する構成としても良い。この場合には、下側ウェハ34とほぼ同形状に形成されたカートリッジ32の上に下側ウェハ34を載置した状態で、カートリッジ32及び下側ウェハ34を、ロードロックチャンバ4から接合チャンバ5内に搬送する。そして、下側ウェハ34を載せたカートリッジ32を、キャリッジ43の円形段部43bの上に載せて保持し、そのまま上側ウェハ33との接合を行う。接合された上側ウェハ33及び下側ウェハ34は、カートリッジ32上に載置された状態で、ロードロックチャンバ4に搬送される。
弾性案内44は、例えばリーフスプリングのような板ばねにより形成され、複数(本実施形態では3つ)の弾性案内44がキャリッジベース43aの周縁部と天板53とを連結している。これにより、キャリッジ43は、弾性案内44を介して、位置決めステージ41に支持される。また、本実施形態では、3つの弾性案内44は、キャリッジベース43aの周縁部にほぼ等間隔(中心角が約120度間隔)に配置されている。弾性案内44は、キャリッジ43に荷重が印加されていない状態では、図2に示すように、キャリッジ43の下面43a1が、キャリッジ支持台42の支持面42aと接触しないようにキャリッジ43を支持する。このとき、キャリッジ43の下面43a1とキャリッジ支持台42の支持面42aの間には、100(μm)程度の隙間が設けられる。一方、上側ステージ機構23によって荷重がキャリッジ43に鉛直下方向に印加されると、弾性案内44は、キャリッジ43の下面43a1がキャリッジ支持台42の支持面42aに接触するように弾性変形する。キャリッジ支持台42は、上側ステージ機構23による荷重を受けることで、位置決めステージ41に印加される荷重を軽減している。
位置決めステージ41は、制御装置3の制御の下、キャリッジ43を駆動する、より具体的には、キャリッジ43を、X軸方向、Y軸方向に移動し、且つ、θ角方向に回転するように構成されている。ここで、θ角方向とは、XY平面内の角度方向である。位置決めステージ41の支柱52には、それぞれ、例えばボールねじ、リニアガイド、及びモータを用いた移動/回転機構(図示略)が組み込まれており、移動/回転機構を駆動することにより、天板53及びキャリッジ43は、ベース板51に対し、X軸方向、Y軸方向へ移動、もしくは、θ角方向へ回転する。このため、位置決めステージ41は、キャリッジ43の位置をXY平面内で自在に調整することができ、キャリッジ43上の下側ウェハ34を大きく動かす粗動ステージとして機能する。位置決めステージ41がキャリッジ43を移動及び/又は回転することにより、キャリッジ43(円形段部43b)に保持された下側ウェハ34が移動及び/又は回転される。
次に、アライメント機構28について説明する。図4は、下側ステージ機構のアライメント機構に関連する部分の構造を示す模式図である。アライメント機構28は、上側ウェハ33と下側ウェハ34の間のXY面内の位置のずれ、及び、XY面内における向きのずれを検出するものであり、これら位置及び向きのずれは、制御装置3による位置決めステージ41の制御に用いられる。
アライメント機構28は、赤外線を発生する赤外照明61と、該赤外線の向きを鉛直方向に変えるレンズ62と、カメラ63とを備えている。このアライメント機構28は、キャリッジ支持台42の下方に位置し、接合チャンバ5の底板5aに設置されている。キャリッジ支持台42には、鉛直方向(Z軸方向)に延びる透明部位64が形成され、キャリッジ43(円形段部43b)に鉛直方向(Z軸方向)に延びる透明部位65が形成されている。透明部位64,65は、いずれも赤外照明61が照射する赤外線に対して透明な材料で形成されている。キャリッジ43の透明部位65は、キャリッジ支持台42の透明部位64の近傍に配置されている。
アライメント機構28は、上側ウェハ33に設けられたアライメントマーク33a、及び、下側ウェハ34に設けられたアライメントマーク34aを用いて、上側ウェハ33と下側ウェハ34の位置及び向きのずれを検出する。レンズ62は、赤外照明61により生成される赤外線の向きを鉛直方向に代えて、赤外線を、透明部位64,65を介して上側ウェハ33、下側ウェハ34に入射する。一般的に、ウェハに用いられる絶縁材料(例えば、ガラス)及び半導体(例えば、シリコン)は、赤外線を少なくとも一定程度は通過させる材料である。このため、赤外線は、下側ウェハ34を通過して上側ウェハ33に到達するため、上側ウェハ33のアライメントマーク33aの位置についても検出することができる。
レンズ62は、赤外線が上側ウェハ33及び下側ウェハ34によって反射されて生成された反射光をカメラ63に入射する。カメラ63は、レンズ62を通過した反射光を撮像し、上側ウェハ33及び下側ウェハ34の一部分の画像(即ち、アライメントマーク33a,34aの近傍の画像)を得る。得られた画像は制御装置3に送られ、該画像に対して制御装置3によって画像処理が行われる。この画像処理により、上側ウェハ33と下側ウェハ34の位置及び向きのずれが検出される。なお、キャリッジ支持台42に透明部位64を設ける代わりに、赤外線を通過させるための空洞(又は穴)を設けても良い。同様に、キャリッジ43に透明部位65を設ける代わりに、赤外線を通過させるための空洞(又は穴)を設けても良い。
上述のように、本実施形態の常温接合装置1は、下側ステージ機構24が位置決めステージ41を備えるため、静電チャック25に保持された上側ウェハ33に対するキャリッジ43(下側ウェハ34)の位置決めを行うことができる。さらに、上側ステージ機構23は、上側ウェハ33を保持する静電チャック25の向きを調整する角度調節機構27を備えることで、上側ウェハ33と下側ウェハ34との平行度を高めている。ここで、平行度とは、例えば、上側ウェハ33をデータム平面(基準平面)とした場合、この上側ウェハ33に対して、下側ウェハ34が幾何学的に正しい平行平面からのずれ(狂い)の大きさをいう。
角度調節機構27を備えた構成では、上側ウェハ33と下側ウェハ34との平行度として、5(μm)程度の精度を実現している。一方、近年、デバイスの小型化、高精度化が進んでおり、平行度をより一層高める(具体的には1(μm)以下)ことが要望されている。従って、下側ステージ機構24は、図3に示すように、上側ウェハ33と下側ウェハ34との平行度の精度を高めるべく平行度調整機構45を備えている。平行度調整機構45は、位置決めステージ41の天板53の円形開口53aに沿って設けられた3つの駆動ユニット70を備える。これら駆動ユニット70は、制御装置3の制御の下、キャリッジ43(弾性案内44)をそれぞれ独立して上下方向に変位可能とし、キャリッジ43を角度調節機構27よりも細かく作動させる微動チルト機構として構成される。次に、平行度調整機構45の駆動ユニット70について説明する。
図5は、駆動ユニットの構成を示す斜視図である。図6は、駆動ユニットの動作前の状態を模式的に示す断面図であり、図7は、駆動ユニットの動作後の状態を模式的に示す断面図である。駆動ユニット70は、図5に示すように、位置決めステージ41の天板53上に固着される固定フレーム(フレーム部)71と、固定フレーム71に取り付けられる圧電素子(駆動部)74と、変位センサ(変位測定部)75とを備える。固定フレーム71は、剛性の高い金属材料で形成され、天板53の円形開口53aの縁に立設する一対の脚部72,72と、これら脚部72,72の上端部を連結する天面部73とを備えてC字型(コ字型)に一体に形成されている。天面部73は、位置決めステージ41の天板53からキャリッジベース43aに向かって延び、このキャリッジベース43aの周縁上に延在する先端部73aを備え、この先端部73aに圧電素子74が下方に向けて取り付けられている。圧電素子74は、印加された電圧に応じて軸方向(上下方向)に伸縮(駆動)する。
また、固定フレーム71は、弾性案内44を囲むように配置され、弾性案内44には、圧電素子74を回避する切欠き44aが形成されている。このため、図5及び図6に示すように、圧電素子74は、通常状態(電圧が印加されていない状態)で、自由端となる先端74aがキャリッジベース43aの上面にほぼ接した状態となる。また、圧電素子74は、電圧が印加されると電圧に応じて下方に伸長する。これにより、図7に示すように、圧電素子74は、先端74aがキャリッジベース43aを下方に押圧することで、弾性案内44が弾性変形し、キャリッジベース43a(キャリッジ43)が下方向に変位量tだけ変位する。なお、固定フレーム71は、少なくとも圧電素子74が伸長した際の反力で変形しない剛性を有する。
変位センサ75は、キャリッジ43の変位量を測定するセンサである。本実施形態では、真空環境下で使用される点、及び、要求される精度が高いことを考慮して、静電容量型の変位センサが用いられている。一般に、静電容量は、2つの平面間距離に応じて単一の決定される値であるため、静電容量を検出することで平面間距離(変位量)を計測している。変位センサ75は、図6に示すように、固定フレーム71の天面部73の内面に取り付けられ、天面部73の下方に位置する弾性案内44までの距離を測定する。そして、圧電素子74が動作して、キャリッジ43が下方に変位した場合には、図7に示すように、弾性変形した弾性案内44までの距離を測定し、変位前後の距離の偏差からキャリッジ43の変位量tを求めている。ここで、変位センサ75は、弾性案内44までの距離を測定し、キャリッジ43までの距離を直接測定していない。このため、予め、弾性案内44までの距離とキャリッジ43までの距離との相関関係を示すデータを制御装置3の記憶部(図示略)に保存しておき、このデータによって補正することが好ましい。
変位センサ75は、固定フレーム71の天面部73の内面に取り付けられる。このため、図5に示すように、変位センサ75は、周囲を固定フレーム71の天面部73、両脚部72,72、弾性案内44及び圧電素子74で覆われている。このため、ウェハの表面を活性化する際に、イオンガン22から出射されるイオンビーム22a(図2)が変位センサ75に照射されることを抑制できる。従って、変位センサ75の検出部の活性化が抑制され、検出精度の劣化防止や長寿命化を図っている。
また、平行度調整機構45は、図3に示すように、3つの駆動ユニット70を備え、これら駆動ユニット70は、弾性案内44と共に、キャリッジベース43aの周縁部にほぼ等間隔(中心角が約120度間隔)となるように配置されている。このため、キャリッジ43(キャリッジベース43a)の中心Oは、3つの駆動ユニット70がそれぞれ備える3つの圧電素子74を結んで形成された三角形(多角形)76の内側に位置する。このため、これら圧電素子74をそれぞれ伸縮させることで、キャリッジ43の傾斜を容易に制御することができる。さらに、本実施形態では、上記した三角形76は正三角形に形成され、この正三角形76の中心は、キャリッジ43の中心Oと一致する。このため、キャリッジ43の傾斜、すなわち静電チャック25に対する平行度を精度良く制御することができる。
次に、平行度調整機構45による静電チャック25に対するキャリッジ43の平行度を調整する動作手順について説明する。図8は、平行度調整機構の初期状態を示す模式図である。図9は、下側ウェハと上側ウェハとを当接させた状態の平行度調整機構を示す模式図である。図10は、キャリッジの平行度を調整した後の状態の平行度調整機構を示す模式図である。これら図8〜図10では、平行度調整機構45として、2つの駆動ユニット70a,70bしか描かれていないが、上述したように3つの駆動ユニットを備えている。図8〜図10では、静電チャック25やキャリッジ43の傾斜や、弾性案内44の変形を誇張して描いている。
平行度調整機構45は、制御装置3により動作が制御され、具体的には、変位センサ75による変位量の測定、及び、圧電素子74の駆動制御を行う。このため、本実施形態では、制御装置3は、圧電素子74の駆動制御を行う駆動制御部として機能する。
まず、上側ウェハ33が保持され、キャリッジ43の円形段部43bには、下側ウェハ34が載せられて支持される。ここで、上側ウェハ33及び下側ウェハ34は、実際に接合に用いられる製品を使用しても良いが、同形状を有するダミーウェハを使用することもできる。上側ステージ機構23は、初期状態として角度調節機構27を用いて、上側ウェハ33を保持する静電チャック25の向きを調節する。角度調節機構27は、球座35と固定フランジ36と球フランジ37とを備えるため、水平面に対する静電チャック25の平行度を5(μm)以下に調整して固定することができる。また、制御装置3は、各変位センサ75を用いて、初期状態(圧電素子74に通電していない状態)での弾性案内44までの距離までの距離を計測する。
次に、制御装置3は、上側ステージ機構23の圧接機構26を動作させ、図9に示すように、上側ウェハ33と下側ウェハ34とが完全に当接するまで静電チャック25を降下させる。この場合、キャリッジ43がキャリッジ支持台42に接触しないように注意する。制御装置3は、上側ウェハ33と下側ウェハ34とが当接した状態を保持しつつ、各変位センサ75を用いて、この状態における弾性案内44までの距離までの距離を計測し、これら距離の偏差から変位量を求める。この場合、上述したように、弾性案内44までの計測距離と、キャリッジベース43aの上面までの実際の距離との相関関係を示すデータを用いて、変位量を補正して求めれば良い。
次に、制御装置3は、各駆動ユニットで計測された各変位量から変位量間の偏差を求める。例えば、駆動ユニット70aで計測された変位量t1が23(μm)、駆動ユニット70bで計測された変位量t2が20(μm)、及び、図示されていない駆動ユニットで計測された変位量t3が21(μm)であった場合、変位量t1は、変位量t2よりも3(μm)分変位が大きく、変位量t3は、変位量t2よりも1(μm)分変位が大きい。制御装置3は、この偏差を算出し、この偏差を記憶部(図示略)に記憶する。そして、制御装置3は、上側ステージ機構23の静電チャック25を上昇させて、図8に示す、初期状態に戻す。
次に、制御装置3は、記憶した各偏差に応じて対応する圧電素子74をそれぞれ駆動する。具体的には、制御装置3は、図10に示すように、駆動ユニット70aの圧電素子74に対して、3(μm)分伸長する電圧を印加する。同様に、図示されていない駆動ユニットの圧電素子に対して、1(μm)分伸長する電圧を印加する。なお、駆動ユニット70bの圧電素子74に対しては、電圧を印加せず初期状態の長さを保持する。
これにより、キャリッジ43は、3つの圧電素子74によってそれぞれ押圧されるため、3つの圧電素子74で形成された面に沿って傾斜される。この面は、静電チャック25の保持面とほぼ等しいため、静電チャック25に対するキャリッジ43の平行度を極めて高精度に調整することができる。出願人による実験等によれば、静電チャック25に対するキャリッジ43の平行度として、0.05(μm)を実現することが可能となった。
このように、本実施形態に係る常温接合装置1は、位置決めステージ41に固着されて該位置決めステージ41の天板53からキャリッジベース43aの周縁上に延在する少なくとも3つの固定フレーム71、及び、固定フレーム71の先端部にそれぞれ取り付けられてキャリッジベース43aの周縁を上下方向に駆動する圧電素子74を含み、静電チャック25に対するキャリッジ43の平行度を調整する平行度調整機構45を備えるため、この平行度の精度の向上を図ることができ、上側ウェハ33と下側ウェハ34との精密な位置合わせを実現することができる。
また、本実施形態に係る常温接合装置1は、キャリッジ43の外側に設置され、弾性案内44を介してキャリッジ43を支持すると共に、キャリッジ43を水平方向に移動する位置決めステージ41と、キャリッジ43の下方に設置され、上側ウェハ33と下側ウェハ34とが20トンの圧力で圧接されるときに、弾性案内44の弾性変形により下方に変位したキャリッジ43を支持するキャリッジ支持台42とを備えるため、キャリッジ43に印加された荷重が、主として、キャリッジ支持台42に作用され、位置決めステージ41に作用する荷重が軽減される。このため、下側ステージ機構24の耐荷重を増大させることができる。
さらに、本実施形態に係る常温接合装置1は、平行度調整機構45が位置決めステージ41に固着されて該位置決めステージ41の天板53からキャリッジベース43aの周縁上に延在する少なくとも3つの固定フレーム71、及び、固定フレーム71の先端部にそれぞれ取り付けられてキャリッジベース43aの周縁を上下方向に駆動する圧電素子74を備えた構成としたため、キャリッジ43に印加された荷重が、圧電素子74に作用することを防止している。このため、上側ウェハ33と下側ウェハ34とが20トンの圧力で圧接されるときに、上側ウェハ33と下側ウェハ34との接合面内の荷重分布のむらを抑えることができ、接合不良の発生を防止することができる。
また、本実施形態に係る常温接合装置1では、3つの圧電素子74は、これら圧電素子74を結んで形成される三角形76の内側に、キャリッジ43の中心Oが含まれる位置に設けられるため、これら圧電素子74をそれぞれ伸縮させることで、キャリッジ43の傾斜を容易に制御することができる。さらに、本実施形態では、三角形76は正三角形に形成され、この正三角形76の中心は、キャリッジ43の中心Oと一致する。このため、キャリッジ43の傾斜、すなわち静電チャック25に対する平行度を精度良く制御することができる。
また、本実施形態に係る常温接合装置1では、平行度調整機構45は、固定フレーム71にそれぞれ取り付けられてキャリッジ43の変位量を測定する変位センサ75と、圧電素子74を制御する制御装置3とを備え、制御装置3は、静電チャック25を降下させて上側ウェハ33と下側ウェハ34とを当接させた際に、各変位センサ75がそれぞれ測定した変位量間の偏差に基づき、圧電素子74を上下方向に伸長させたため、静電チャック25に対するキャリッジ43の平行度の調整を簡単、かつ、精度良く行うことができる。
[第2実施形態]
図11は、第2実施形態に係る上側ステージ機構及び下側ステージ機構を模式的に示す断面図である。第2実施形態に係る上側ステージ機構23Aは、第1実施形態に係る上側ステージ機構23と、静電チャック25の構成が異なるが、その他の構成は同一であるため、同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。また、第2実施形態に係る下側ステージ機構24Aは、第1実施形態に係る下側ステージ機構24と、平行度調整機構45の構成が異なるが、その他の構成は同一であるため、同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。なお、第1実施形態と同様に、下側ステージ機構24Aにはアライメント機構28が組み込まれても良いが、図11には図示されていない。
下側ステージ機構24Aは、図11に示すように、平行度調整機構45aを備える。図11では、平行度調整機構45aは、2つの駆動ユニット70d,70eしか描かれていないが、第1実施形態の平行度調整機構45と同様に、3つの駆動ユニットを備えている。第1実施形態の平行度調整機構45では、駆動ユニット70がそれぞれ固定フレーム71の内側に変位センサ75を備えていたが、第2実施形態では、駆動ユニット70d,70e(及び不図示の駆動ユニット)は、それぞれキャリッジベース43a上に測長センサ(距離測定部)77を備えている点で異なっている。この測長センサ77は、上側ステージ機構23Aの静電チャック25までの距離を測定するセンサであり、例えば、静電容量型の測長センサを用いることができる。これら測長センサ77は、それぞれ圧電素子74に近接して配置されているため、圧電素子74を伸張(駆動)させた際の、距離変化(変位)を正確に検出できる。
一方、静電チャック25は、上側ウェハ33よりも十分に大きな径を有するフランジ部25aを備える。このフランジ部25aは、上記した測長センサ77と対向して形成され、対向面は平坦で上下方向に垂直である。このため、フランジ部25aは、測長センサ77が静電チャック25までの距離を測定する際の対象部となる。
次に、平行度調整機構45aによる静電チャック25に対するキャリッジ43の平行度を調整する動作手順について説明する。図12は、平行度調整機構の初期状態を示す模式図である。図13は、キャリッジの平行度を調整した後の状態の平行度調整機構を示す模式図である。これら図12、13では、平行度調整機構45aとして、2つの駆動ユニット70d,70eしか描かれていないが、上述したように3つの駆動ユニットを備えている。また、図12、13についても、静電チャック25やキャリッジ43の傾斜や、弾性案内44の変形を誇張して描いている。
平行度調整機構45aは、制御装置3により動作が制御され、具体的には、測長センサ77による距離の測定、及び、圧電素子74の駆動制御を行う。このため、本実施形態では、制御装置3が圧電素子74の駆動制御を行う駆動制御部として機能する。
まず、図12に示すように、上側ウェハ33が保持され、キャリッジ43の円形段部43bには、下側ウェハ34が載せられて保持される。この実施形態においても、下側ウェハ34は、キャリッジ43の円形段部43bの上に直接載置されているが、この円形段部43bの上に、上記したカートリッジ32を介して、下側ウェハ34を載置する構成としても良い。上側ステージ機構23Aは、初期状態として角度調節機構27を用いて、上側ウェハ33を保持する静電チャック25の向きを調節する。角度調節機構27は、上述のように、球座35と固定フランジ36と球フランジ37とを備えるため、水平面に対する静電チャック25の平行度を5(μm)以下に調整して固定することができる。
次に、制御装置3は、測長センサ77の計測範囲内まで静電チャック25を降下させる。静電容量型の測長センサは、計測範囲が小さいため、上側ウェハ33と下側ウェハ34とが当接しない範囲で測長センサ77の計測範囲内まで静電チャック25を接近させる。
次に、制御装置3は、各測長センサ77を用いて、初期状態(圧電素子74に通電していない状態)での静電チャック25のフランジ部25aまでの距離までの距離を計測する。例えば、駆動ユニット70dの測長センサ77で計測された距離をL1、駆動ユニット70eの測長センサ77で計測された距離をL2、及び、図示されていない駆動ユニットで計測された距離をL3とし、その大きさは、L2>L1>L3とする。
次に、制御装置3は、各駆動ユニットで計測された各距離から1つの距離を選択する。この選択は、測定された距離の中からいずれか1つを選択すればよく、この実施形態では、例えば、最も大きな距離L2が選択される。次に、制御装置3は、各測長センサ77と静電チャック25のフランジ部25aとの距離がすべて選択された距離L2と合致するように、対応する圧電素子74をそれぞれ駆動する。具体的には、制御装置3は、図13に示すように、駆動ユニット70dの圧電素子74に対して、L2−L1の偏差分だけ伸長する電圧を印加する。同様に、図示されていない駆動ユニットの圧電素子に対して、L2−L3の偏差分だけ伸長する電圧を印加する。なお、駆動ユニット70eの圧電素子74に対しては、電圧を印加せず初期状態の長さを保持する。
これにより、キャリッジ43は、3つの圧電素子74によってそれぞれ押圧され、各測長センサ77から静電チャック25のフランジ部25aまでの距離がすべて距離L2となる。このため、静電チャック25に対するキャリッジ43の平行度を極めて高精度に調整することができる。また、この構成では、平行度を調整する手順が少ないため、簡単に静電チャック25に対するキャリッジ43の平行度調整を行うことができる。
第2実施形態に係る平行度調整機構45aは、静電チャック25のフランジ部25aとの距離を測定する3つの測長センサ77と、圧電素子74を制御する制御装置3とを備え、制御装置3は、測長センサ77がそれぞれ測定した距離のいずれか1つに合致するように、圧電素子74を上下方向に伸長させたため、静電チャック25に対するキャリッジ43の平行度の調整を簡単、かつ、精度良く行うことができる。
また、第2実施形態に係る平行度調整機構45aでは、測長センサ77は、圧電素子74にそれぞれ近接してキャリッジベース43a上に設けられるため、圧電素子74を伸張させた際の、距離変化を正確に検出できる。
第2実施形態では、キャリッジベース43a上に配置した測長センサ77から静電チャック25のフランジ部25aまでの距離に基づき、キャリッジ43の平行度調整を行っているが、測長センサ77の位置を適宜変更することは可能である。さらに、静電チャック25までの距離を測定できる構成であれば、例えば、アライメント機構28の赤外照明61(図4参照)から発せられる赤外線を利用して静電チャック25までの距離を測定しても良い。
[キャリッジの変形例]
上記した第1実施形態及び第2実施形態では、キャリッジ43は、円板状に形成されたキャリッジベース43aと、このキャリッジベース43aよりも小径の円板状に形成された円形段部43bとを備えた、段付きの同心円板として形成されている。キャリッジ43は、金属製の板体として一体に形成されていたが、このキャリッジの円形段部に下側ウェハ34を小さなストロークで微動させる微動ステージの機能が組み込んだ構成とすることもできる。
図14は、変形例に係るキャリッジの構成を示す平画図である。キャリッジ143は、円板状に形成されたキャリッジベース143aと、このキャリッジベース143aよりも小径の円板状に形成された円形段部143bとを備えた、段付きの同心円板として形成されている。円形段部143bは、フレーム81と、このフレーム81の内側に配置されるテーブル82とを備える。テーブル82の上には、下側ウェハ34が載せられるため、テーブル82が下側ウェハ34を保持する下側基板保持部として機能する。この変形例においても、下側ウェハ34は、円形段部143b(テーブル82)の上に直接載置されているが、この円形段部143bの上に、上記したカートリッジ32を介して、下側ウェハ34を載置する構成としても良い。テーブル82は、複数のヒンジ部83により、フレーム81に可動に支持されている。本構成では、テーブル82の4隅が4つのヒンジ部83によってフレーム81に連結されている。また、テーブル82には、上記したアライメント機構28の赤外照明61(図4参照)から発せられる赤外線が透過する透明部位65が形成されている。この透明部位65の代わりに赤外線を通過させるための空洞(又は穴)を設けても良い。
図15は、図14のA部拡大図である。ヒンジ部83は、小片部材91,92を有している。小片部材91は、狭隘部93によってテーブル82に連結されており、狭隘部94によって小片部材92に連結されている。また、小片部材92は、狭隘部95によってフレーム81に連結されている。図16は、狭隘部の構造を示す斜視図である。狭隘部93は、幅が細い構造として構成されており、湾曲可能である。狭隘部94,95も同様に、幅が細い構造として構成されており、湾曲可能である。このような構造のヒンジ部83は、テーブル82を、X軸方向、Y軸方向に移動可能であり、且つ、θ角方向に回転可能であるようにフレーム81に連結している。ここで、θ角方向とは、XY平面内の角度方向である。
図14に戻り、キャリッジ143の円形段部143bは、さらに、テーブル82を駆動する3つの駆動機構84A〜84Cを備えている。駆動機構84A,84Bは、テーブル82をX軸方向に駆動し、駆動機構84Cは、テーブル82をY軸方向に駆動する。本構成では、フレーム81に複数のヒンジ部83を介して連結されたテーブル82と、このテーブル82をフレーム81に対して駆動する駆動機構84A〜84Cとを備えて、該テーブル82を微動させる微動機構80として構成される。
駆動機構84Aは、圧電素子85Aと連結部86Aとを備えている。圧電素子85Aは、その一端がフレーム81に連結されており、他端が連結部86Aに連結されている。圧電素子85Aは、それに供給された電圧に応じて連結部86AをX軸方向に移動させる。連結部86Aは、その一端が圧電素子85Aに連結され、他端がテーブル82に連結されている。ここで、連結部86Aは、2つの狭隘部87が設けられ、狭隘部87において湾曲可能である。このような構造により、駆動機構84Cによってテーブル82がY軸方向に駆動された場合でも、テーブル82のY軸方向への変位を狭隘部87の湾曲によって吸収することができる。
駆動機構84Bも、駆動機構84Aと同様に構成されており、圧電素子85Bと連結部86Bとを備えている。圧電素子85Bは、その一端がフレーム81に連結されており、他端が連結部86Bに連結されている。圧電素子85Bは、それに供給された電圧に応じて連結部86BをX軸方向に移動させる。連結部86Bは、その一端が圧電素子85Bに連結され、他端がテーブル82に連結されている。連結部86Bは、2つの狭隘部87が設けられており、該狭隘部87において湾曲可能である。このような構造により、駆動機構84Cによってテーブル82がY軸方向に駆動された場合でも、テーブル82のY軸方向への変位を連結部86Bの狭隘部87の湾曲によって吸収することができる。
さらに、駆動機構84Cも、テーブル82を駆動する方向が異なる点を除けば、駆動機構84A,84Bと同様に構成されている。詳細には、駆動機構84Cは、圧電素子85Cと連結部86Cとを備えている。圧電素子85Cは、その一端がフレーム81に連結されており、他端が連結部86Cに連結されている。圧電素子85Cは、それに供給された電圧に応じて連結部86CをY軸方向に移動させる。連結部86Cは、その一端が圧電素子85Cに連結され、他端がテーブル82に連結されている。連結部86Cは、2つの狭隘部87が設けられており、該狭隘部87において湾曲可能である。このような構造により、駆動機構84A,84Bによってテーブル82がX軸方向に駆動された場合でも、テーブル82のX軸方向への変位を連結部86Cの狭隘部87の湾曲によって吸収することができる。
このような構成のキャリッジ143は、テーブル82を、X軸方向、Y軸方向に移動可能であり、且つ、θ角方向に回転可能である微細ステージとして機能する。X軸方向にテーブル82を移動させる場合、駆動機構84A,84Bの圧電素子85A,85Bに、該圧電素子85A,85Bが同一の変位となるような電圧が供給される。これにより、圧電素子85A,85Bに供給される電圧を適切に調節することで、テーブル82をX軸方向の所望の位置に移動させることができる。また、Y軸方向にテーブル82を移動させる場合、駆動機構84Cの圧電素子85Cに、所定の変位となるような電圧が供給される。これにより、圧電素子85Cに供給される電圧を適切に調節することで、テーブル82をY軸方向の所望の位置に移動させることができる。さらに、θ角方向にテーブル82を回転させる場合、駆動機構84A,84Bの圧電素子85A,85Bに、該圧電素子85A,85Bが異なる所望の変位となるような電圧が供給される。圧電素子85A,85Bに供給される電圧を適切に調節することで、θ角方向の所望の角度にテーブル82を回転させることができる。
このような構成のキャリッジ143は、テーブル82の移動に圧電素子85A,85B,85Cを用いるため、テーブル82を高精度で移動させ、又は、回転させることができる。言い換えれば、キャリッジ143は、テーブル82に保持されている下側ウェハ34の位置合わせを高精度で行うことができる。
このような構成の下側ステージ機構24,24Aによる下側ウェハ34の位置決めにおいては、位置決めステージ41が粗動ステージ機構として動作し、キャリッジ143が微動ステージ機構として動作する。すなわち、位置決めステージ41は、キャリッジ143と比較して、ストロークが大きいが精度が低いステージ機構として動作する。キャリッジ143は、位置決めステージ41と比較して、ストロークが小さいが精度が高いステージ機構として動作する。下側ウェハ34を大きな変位でX軸方向、Y軸方向、θ角方向の少なくとも一方向に移動させ、又は回転させる必要がある場合、位置決めステージ41によって下側ウェハ34が移動され、又は回転される。また、下側ウェハ34を小さな変位でX軸方向、Y軸方向、θ角方向の少なくとも一方向に移動させ、又は回転させる必要がある場合、キャリッジ43によって下側ウェハ34が移動され、又は回転される。このような動作により、下側ステージ機構24,24Aは、十分に大きなストロークと、ウェハの精密な位置合わせとを実現することができる。
このため、上記した微動機構80を有するキャリッジ143を、平行度調整機構45,45aと組み合わせることにより、上側ウェハ33と下側ウェハ34との水平方向の位置合わせの精度を高めると共に、上側ウェハ33と下側ウェハ34の平行度の精度も高めることができ、上側ウェハ33と下側ウェハ34との精密な位置合わせを実現することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、平行度調整機構は、3つの駆動ユニットを備える構成としたが、駆動ユニットを4つや5つ設ける構成としても良い。
1 常温接合装置
3 制御装置(駆動制御部)
4 ロードロックチャンバ
5 接合チャンバ
5a 底板
22 イオンガン
22a イオンビーム
23,23A 上側ステージ機構
24,24A 下側ステージ機構
25 静電チャック(上側基板保持部)
25a フランジ部
26 圧接機構
27 角度調節機構
28 アライメント機構
33 上側ウェハ(上側基板)
34 下側ウェハ(下側基板)
41 位置決めステージ
42 キャリッジ支持台
43,143 キャリッジ
43a,143a キャリッジベース
43b,143b 円形段部(下側基板保持部)
44 弾性案内
45,45a 平行度調整機構
70,70a,70b,70d,70e 駆動ユニット
71 固定フレーム
72 脚部
73 天面部
73a 先端部
74 圧電素子
74a 先端
75 変位センサ(変位測定部)
76 三角形(多角形)
77 測長センサ(距離測定部)
80 微動機構
81 フレーム
82 テーブル(下側基板保持部)
83 ヒンジ部
85A,85B,85C 圧電素子

Claims (8)

  1. 上側基板と下側基板とを常温接合するための真空雰囲気を生成する接合チャンバと、
    前記接合チャンバの内部に設置され、前記上側基板を保持する上側基板保持部を有し、前記上側基板保持部を上下方向に移動可能に支持する上側ステージ機構と、
    前記接合チャンバの内部に設置され、前記下側基板を前記上下方向と直交する水平方向に移動可能に支持する下側ステージ機構と、を備え、
    前記下側ステージ機構は、前記下側基板を支持するキャリッジと、
    前記キャリッジに接合される弾性案内と、
    前記キャリッジの外側に設置され、前記弾性案内を介して前記キャリッジを支持すると共に、前記キャリッジを前記水平方向に移動する位置決めステージと、
    前記キャリッジの下方に設置され、前記上側基板と前記下側基板とが圧接されるときに、前記弾性案内の弾性変形により下方に変位した前記キャリッジを支持するキャリッジ支持台と、
    前記位置決めステージに固着されて該位置決めステージから前記キャリッジの周縁上に延在する少なくとも3つのフレーム部、及び、前記フレーム部にそれぞれ取り付けられて前記キャリッジの周縁を前記上下方向に駆動する駆動部を含み、前記上側基板保持部に対する前記キャリッジの平行度を調整する平行度調整機構と、を備え
    前記平行度調整機構の前記フレーム部は、前記位置決めステージに立設する一対の脚部と、これら脚部の上端部を連結する天面部とを備えて前記弾性案内をそれぞれ囲むように配置され、前記弾性案内の前記キャリッジ側の端部には、前記駆動部の自由端を回避する切欠きが形成されている、ことを特徴とする常温接合装置。
  2. 少なくとも3つの前記駆動部は、これら駆動部を結んで形成される多角形の内側に、前記キャリッジの中心が含まれる位置に設けられることを特徴とする請求項1に記載の常温接合装置。
  3. 前記平行度調整機構は、前記フレーム部の前記天面部の内面にそれぞれ取り付けられて前記キャリッジの変位量を測定する変位測定部と、前記駆動部を制御する駆動制御部とを備え、前記駆動制御部は、前記上側基板保持部を降下させて前記上側基板と前記下側基板とを当接させた際に、前記変位測定部がそれぞれ測定した前記変位量、もしくは、これら変位量間の偏差に基づき、前記駆動部を前記上下方向に駆動させることを特徴とする請求項1または2に記載の常温接合装置。
  4. 前記平行度調整機構は、前記上側基板保持部との距離を測定する複数の距離測定部と、前記駆動部を制御する駆動制御部とを備え、前記駆動制御部は、前記距離測定部がそれぞれ測定した前記距離のいずれかに合致するように、対応する前記駆動部を前記上下方向に駆動させることを特徴とする請求項1または2に記載の常温接合装置。
  5. 前記距離測定部は、前記駆動部にそれぞれ近接して前記キャリッジ上に設けられることを特徴とする請求項4に記載の常温接合装置。
  6. 前記キャリッジは、前記下側基板を保持する下側基板保持部と、前記下側基板保持部を前記位置決めステージよりも細かく前記水平方向に移動する微動機構と、を備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の常温接合装置。
  7. 請求項1に記載の常温接合装置を用いて、前記上側基板保持部に保持された上側基板と、前記キャリッジに支持された前記下側基板とを常温接合する常温接合方法であって、
    前記常温接合装置は、前記フレーム部の前記天面部の内面にそれぞれ取り付けられて前記キャリッジの変位量を測定する変位測定部を備えた構成とし、
    前記上側基板保持部を降下させて前記上側基板と前記下側基板とを当接させる工程と、
    前記上側基板と前記下側基板とが当接した際に、前記弾性案内が変形して前記キャリッジが変位した変位量を、前記変位測定部を用いてそれぞれ測定する工程と、
    前記上側基板を保持した上側基板保持部を上昇させると共に、測定した各変位量の偏差に基づいて前記駆動部を前記上下方向に駆動して、前記上側基板保持部に対する前記キャリッジの平行度を調整する工程と、
    平行度が調整された前記上側基板保持部を降下させて前記上側基板と前記下側基板とを圧接させる工程と、を備えることを特徴とする常温接合方法。
  8. 請求項1に記載の常温接合装置を用いて、前記上側基板保持部に保持された上側基板と、前記キャリッジに支持された前記下側基板とを常温接合する常温接合方法であって、
    前記常温接合装置は、前記キャリッジ上に配置されて、前記上側基板保持部との距離を測定する複数の距離測定部を備えた構成とし、
    前記上側基板保持部を前記距離測定部の計測範囲内まで降下させる工程と、
    前記駆動部が駆動していない初期状態で、前記距離測定部を用いて、前記上側基板保持部との距離をそれぞれ測定する工程と、
    測定した前記距離の中から選択された一の距離に他の距離が合致するように、対応する駆動部を前記上下方向に駆動して、前記上側基板保持部に対する前記キャリッジの平行度を調整する工程と、
    平行度が調整された前記上側基板保持部を降下させて前記上側基板と前記下側基板とを圧接させる工程と、を備えることを特徴とする常温接合方法。
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