JP6275031B2 - 電磁超音波センサ - Google Patents
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Description
超音波探傷に関し、従来の圧電素子による方法では、センサ内で発生した超音波を水や油などの接触媒質を介して被検査体に伝達させていた。これに対して、被検査体に非接触で超音波探傷ができる電磁超音波探触子(EMAT:Electro Magnetic Acoustic Transducer)が知られている。この電磁超音波探触子は、電磁気的な作用を利用して接触媒質を介することなく、直接、被検査体内に超音波を発生させ伝播させることができる。
図2Bに示す如く、メアンダ型EMATを構成するメアンダコイル106は、コイルを構成する導線を櫛形に配置したものであり、櫛型配置であるため隣り合う導線には逆向きの電流が流れることになる。
しかしながら、基板を多層に重ね合わせているとはいえ実質は数巻き程度しか巻き数を向上させることができず、超音波の強度向上は僅かなものとなる。また、一般的には欠陥の検出限界サイズは波長の1/2〜1/5程度とされており、探傷において求める検出サイズによって超音波の波長(周波数)を決めることになる。このメアンダコイル106による超音波の発生原理においては線間と周波数が決まれば入射角が一意に決まり、また線間と入
射角が決まれば周波数が決まってしまうため、異なる入射角度で一定の周波数にすることは不可能である(同じ周波数にしようとすると、線間距離を変えたメアンダコイル106が複数必要である)。
そこで本発明は、上記問題点に鑑み、同じ周波数で異なる入射角に対応可能な超音波を強い信号高強で発生することが可能な電磁超音波センサを提供することを目的とする。
本発明の電磁超音波センサは、強磁性体材料の被検査体に対向する面に磁極を有していて且つ当該被検査体に磁場を印加する磁石と、前記磁石により磁場が印加された被検査体に渦電流を発生させて当該被検査体内に電磁超音波を生じさせるコイル体とを有する電磁超音波センサにおいて、前記コイル体は、複数のコイルを前記磁石の磁化方向に垂直となる方向に配備されてなり、前記複数のコイルは、レーストラック状に巻回されたコイルからなり、水平面内において、中心部から外向きに巻き回された一のコイルと、前記一のコイルの外側において、当該一のコイルを取り囲むように配備された他のコイルを有し、前記複数のコイルのうち、前記他のコイルにパルス電流を印加し、その後、所定の時間間隔Δtだけ遅らせ、前記一のコイルにパルス電流を印加することで斜角超音波を発生するように構成されていることを特徴とする。
なお、以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態に係る電磁超音波センサについて説明する。
図3Aに示すように、電磁超音波センサ1は、静磁場発生用の磁石2と、被検査体Wの表面内部に渦電流を発生するためのコイル体3(送信コイル)とから構成される。コイル体3は被検査体Wの上方空間に配置されている。静磁場発生用の磁石2は、永久磁石乃至は電磁石から構成されており、一方の磁極(S極)が被検査対象に対面し、他方の磁極(N極)が被検査対象とは反対側の位置になるように配備されている。すなわち、磁石2は、その磁極が上方と下方を向くように配備され、磁化方向が被検査体Wの表面に垂直となっている。
図3Bに示すように、コイル体3は磁石2の水平方向に沿って複数群、本実施形態の場合は、3群(第1のコイル4a〜第3のコイル4c)が横に並ぶように配備されている。第1のコイル4aは、磁石2の一方側(図3Aでの左側)から磁石2の幅方向の1/3程度の位置まで巻き回されるようになっている。第3のコイル4cは、磁石2の他方側(図3Aでの右側)から磁石2の幅方向の1/3程度の位置まで巻き回されるようになっている。第1のコイル4aと第3のコイル4cとに挟まれるように、第2のコイル4bが磁石2の幅方向の1/3程度の幅で巻き回されている。第1のコイル4a〜第3のコイル4cの構造、例えば、巻数などは同じとされている。すなわち、複数のソレノイドコイル4a〜4cが連なるように配置され、コイル体3が形成される。
数は3MHz、第1のコイル4a〜第3のコイル4cの各コイルの幅は2mm、各コイル間の隙間を1.5mmとしている。本来なら電磁超音波の原理では対象内部で超音波が発生するが、ディレイによって超音波の角度を変化させることが可能であることを検証することが目的であるため、シミュレーションでは、対象の上部から圧電素子を介して超音波を入射させている。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態に係る電磁超音波センサについて説明する。第2実施形態に関しては、コイルの構成が第1実施形態と大きく異なっている。
この磁石2の下面側であって被検査体Wの上方に、レーストラック状に巻回されたコイル4が磁石2の水平方向に沿って複数群、本実施形態の場合は、3群(第1のコイル4a〜第3のコイル4c)配備されている。
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態に係る電磁超音波センサについて説明する。第3実施形態に関しては、コイルの構成が第1実施形態と大きく異なっている。
。具体的には、磁石2は、一方の磁極(S極)が被検査対象に対面し、他方の磁極(N極)が被検査対象とは反対側の位置になるように配備されている。
この磁石2の下面側であって被検査体Wの上方に、ボビン5に導線が巻回された構造(ソレノイド構造)のコイル体3が配備されている。
このボビン5の長手方向に沿って、複数群、本実施形態の場合は、3群(第1のコイル4a〜第3のコイル4c)配備されている。
また、コイル4a〜4cはソレノイド型であるため、第2実施形態のレーストラック型のコイルに比べ多層巻きが可能であり、その結果、発生する信号強度を大きなものとすることが可能となる。信号強度を高くすることができるため、リフトオフを大きなものとすることが可能となる。
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態に係る電磁超音波センサについて説明する。第4実施形態に関しては、磁石2の配置及びコイル4の配置が第3実施形態と大きく異なっている。
具体的には、2つの磁石2のうち、第1の磁石2は、一方の磁極(S極)が被検査対象に対面し、他方の磁極(N極)が被検査対象とは反対側の位置になるように配備されている。第2の磁石2は、N極が被検査対象に対面し、S極が被検査対象とは反対側の位置になるように配備されている。
第1の磁石2と第2の磁石2との間には、第3実施形態と同じ構成のコイル4が配備されている。すなわち、コイルは、ボビン5に導線が巻回された構造(ソレノイド構造)とされている。ボビン5は長尺の円筒体であり、非磁性体から構成されている。このボビン5は、その軸心が水平方向を向くように、磁石2の下面側であって被検査体Wの上方に配備されている。
第1のコイル4aは、ボビン5の一方側(図8での左側)からボビン5の長手方向の1/3程度の位置まで巻き回されるようになっている。第3のコイル4cは、ボビン5の他方側(図8での右側)からボビン5の長手方向の1/3程度の位置まで巻き回されるようになっている。第1のコイル4aと第3のコイル4cとに挟まれるように、第2のコイル4bがボビン5の長手方向の1/3程度の幅で巻き回されている。第1のコイル4a〜第3のコイル4cの構造、例えば、巻数などは同じとされている。
以上述べたように、本発明の電磁超音波センサ1によれば、同じ周波数で異なる入射角に対応可能な超音波を強い信号高強で発生することができる。すなわち、複数のコイル4a〜4cに印加するパルス電流を、所定時刻Δtずつ遅らせることで、斜角超音波の進行角度を可変とすることが可能である。
[第5実施形態]
本発明の第5実施形態に係る電磁超音波センサについて説明する。
図9Aに示すように、本実施形態のコイル体3は、水平面内において、平面視で矩形形状に巻かれたレーストラック型のコイルであり、中心部から外向きに巻き回された第1のコイル4aを有している。この第1のコイル4aの外側には、水平面内において、第1のコイル4aを取り囲むように平面視で矩形形状に巻かれた第2のコイル4b(レーストラック型のコイル4)が配備されている。
音波が発生することとなる。
本実施形態のコイル4は、第1のコイル4aと第2のコイル4bとが同一平面上に配備されているため、コイルを複数枚重ねることによるリフトオフの変化が無く、均等に斜角超音波を発生することが可能となる。
以上まとめれば、本発明の電磁超音波センサ1によれば、複数のコイル4a〜4cのうち、一方端に配備されているコイル4aから他方端に配備されているコイル4cに向けて順番に電流を印加するとともに、隣り合うコイルに電流を印加するタイミングを所定の時間間隔Δtだけ遅らせる構成とすることで、時間間隔Δtを調節することのみで、斜角超音波の進行角度を変化させることが可能となる。この際、斜角超音波の周波数は一定である。加えて、コイル体3を形成する複数のコイル4a〜4cは、レーストラック型(渦巻き型)やソレノイド型であるため、従来のメアンダコイルに比べ多層巻きが可能であり、発生する信号強度を高強度とすることが可能である。信号強度が強いため、リフトオフも従来型のメアンダコイルに比べ大きくすることが可能となる。
2 磁石
3 コイル体
4a 第1のコイル
4b 第2のコイル
4c 第3のコイル
5 ボビン
Claims (1)
- 強磁性体材料の被検査体に対向する面に磁極を有していて且つ当該被検査体に磁場を印加する磁石と、前記磁石により磁場が印加された被検査体に渦電流を発生させて当該被検査体内に電磁超音波を生じさせるコイル体とを有する電磁超音波センサにおいて、
前記コイル体は、複数のコイルを前記磁石の磁化方向に垂直となる方向に配備されてなり、
前記複数のコイルは、レーストラック状に巻回されたコイルからなり、水平面内において、中心部から外向きに巻き回された一のコイルと、前記一のコイルの外側において、当該一のコイルを取り囲むように配備された他のコイルを有し、
前記複数のコイルのうち、前記他のコイルにパルス電流を印加し、その後、所定の時間間隔Δtだけ遅らせ、前記一のコイルにパルス電流を印加することで斜角超音波を発生するように構成されている
ことを特徴とする電磁超音波センサ。
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