JP6274525B2 - CuSnスパッタリングターゲット及びその製造方法 - Google Patents

CuSnスパッタリングターゲット及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、CZTS系薄膜太陽電池における光吸収層を形成するときに用いられるCuSnスパッタリングターゲット及びその製造方法に関する。
近年、p型光吸収層としてCZTSと呼ばれるカルコゲナイド系の化合物半導体を用いた薄膜太陽電池が開発されている。この薄膜太陽電池は、材料が比較的安価で、また太陽光に適したバンドギャップエネルギーを有するので、高効率の太陽電池を安価に製造できるとの期待がある。CZTSは、Cu、Zn、Sn、S又はSeを含む、Ib−IIb−IVb−VIb族化合物半導体であり、代表的なものとして、CuZnSnS、CuZnSnSe、CuZnSn(S,Se)等がある。
このCZTS系薄膜太陽電池は、ガラス基板上に金属の裏面電極層を形成し、その上にp型CZTS系光吸収層を形成し、さらにn型高抵抗バッファ層、n型透明導電膜を順次積層して形成される。金属の裏面電極層材料としては、モリブデン(Mo)またはチタン(Ti)、クロム(Cr)等の高耐蝕性でかつ高融点金属が用いられる。p型CZTS系光吸収層は、例えば、モリブデン(Mo)の裏面電極層を形成した基板上に、Cu−Zn−Sn、或いは、Cu−Zn−Sn−Sのプリカーサー膜をスパッタリング法や蒸着法等により形成し、このプリカーサー膜を、硫化水素又はセレン化水素含有雰囲気中で、硫化及び/又はセレン化することにより形成されている。
このCu−Zn−Sn−Sのプリカーサー膜をスパッタリング法で成膜する場合には、プリカーサー膜における裏面電極層上に形成される第1層(最下層)には、Zn、或いは、Znを含む混合物(例えば、ZnS、ZnSe、ZnSSe、CuZn、CuZnS、CuZnSe、CuZnSSe等、Zn、ZnとCuの混合物、ZnとVIb族元素の混合物、ZnとCuとVIb族元素の混合物など)が用いられる。この第1層にZnを用いる場合には、第1層としてZn層を成膜後、その上に、第2層としてSn層又はCu層を成膜し、さらに、第3層としてCu層又はSn層を順次成膜して、Cu−Zn−Snのプリカーサー膜を形成している。形成されたプリカーサー膜を硫化又はセレン化の処理を施すことにより、CZTS系光吸収層が形成される。
一方、プリカーサー膜における裏面電極層上に形成される第1層に、Znを含む混合物を用いる場合には、第1層としてZn混合物層を成膜後、その上に形成される第2層としてCuSnを用いることが提案されている。この場合には、Zn混合物層とCuSn層との積層体が、プリカーサー膜を形成しており、この形成されたプリカーサー膜を硫化又はセレン化の処理を施すことにより、CZTS系光吸収層が形成される。
上述したCuSn層の成膜においては、CuとSnの個別のスパッタリングターゲットを用いて、コスパッタリングすることも可能であるが、Snを含有するCu合金スパッタリングターゲットを用い、CuSn層を一つのスパッタリングターゲットで成膜することが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。ここでは、CuとSnとを鋳造法で溶融して合金化してCuSnスパッタリングターゲットを得ている。
国際公開第2006/025347号
上記特許文献1で提案されたCuSnスパッタリングターゲットは、鋳造法によって製造されたCuSn合金からなり、このCuSnスパッタリングターゲットを用いて成膜されるCuSn膜は、配線用であって、Snの含有量は、20at%以下である。しかし、このCuSnスパッタリングターゲットは、鋳造法によって製造されているため、ターゲット割れが発生しやすい。CuSnスパッタリングターゲットを、CZTS系光吸収層形成のためのプリカーサー膜の成膜に利用しようとすると、薄膜太陽電池の特性を考慮すれば、Snの含有量を多くする必要がある。鋳造法でCuSnスパッタリングターゲットを製造する場合、このSnの含有量を、例えば、28at%以上にすると、合金相が生成されるようになり、ターゲット割れが発生しやすくなる。また、鋳造法で得られたCuSnインゴットによる熱間圧延法であれば、CuSnスパッタリングターゲットを製造することができる。しかし、結晶粒が粗大化してしまい、この粗大化によって、スパッタリング時の異常放電の発生や、パーティクル発生の原因となる問題がある。
そこで、本発明は、CZTS系薄膜太陽電池における光吸収層を形成するときのプリカーサー膜の成膜に利用され、スパッタリング時の異常放電の発生を抑制するとともに、ターゲット割れを低減したCuSnスパッタリングターゲット及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、CuSnスパッタリングターゲットを鋳造法により製造した場合には、CuSn合金粒が粗大化することに鑑み、この粗大化を防止する手法として、Cu粉末とSn粉末を所定の比率で配合した混合粉末を焼結して、CuSn粉焼結体の作製を試みた。このCuSn粉焼結体によるスパッタリングターゲットを用いて、スパッタリングを行うと、CuとSnとはスパッタレートが異なるため、目標とする成分比のCuSn合金膜が得られ難いことが分かった。しかも、このCuSn粉焼結体をバッキングプレートにInでボンディングすると、このInが焼結体中に入り込む結果、ボンディングし難く、ターゲット成分比にも影響するものとなった。
以上のことを参酌して、所定の割合に秤量されたCuとSnとをアトマイズして得たCuSn合金粉末を用いて、この合金粉末を焼結すると、Sn含有のCu合金焼結体が得られることが判明した。このCu合金焼結体中のCu合金相に係る平均結晶粒径が小さく、ターゲット密度比が95%以上であり、しかも、ターゲット全体の密度のバラツキも小さく、均一であるため、スパッタリング時の異常放電の発生を抑制できるとともに、ターゲット割れの発生を低減できることが分かった。
そこで、代表例として、Sn含有量が37at%となるように秤量され混合されたCu粉末とSn粉末とをアトマイズして得られたCuSn合金粉末を用いて、この合金粉末をホットプレス焼結することにより、Sn含有のCu合金焼結体のスパッタリングターゲットを作製した。そのCu合金焼結体における組成成分について分析を行った。その分析結果が、図1及び図2に示されている。
図1の写真は、製造された上記Cu合金焼結体のスパッタリングターゲットに関する、EPMA(電子線マイクロアナライザ)にて得られた元素分布像であり、図中の3枚の写真のうち、1枚は、COMPO像であり、他の2枚から、Cu、Snの各元素の組成分布の様子をそれぞれ観察することができる。なお、実際の元素分布像は、カラー表示されているが、ここでは、白黒表示になっている。そのため、白い程、当該元素の濃度が高いことが分かる。
具体的には、Snに関する分布像では、Sn元素に関して、白い部分で濃度が高く、島状の灰色領域で、その濃度が低くなっている。そして、Cuに関する分布像では、Cu元素は、Sn元素の白い部分には、その濃度が低くなっており、Sn元素に係る灰色領域において、白い部分が存在し、即ち、Cuリッチ合金相(Cuの割合がSnの割合よりも多い状態であるCuとSnの合金相)が存在している。この観察によれば、このCuSn合金焼結体においては、CuSn合金相が存在し、このCu合金相の中には、Cuリッチ合金相が形成されていることも推定できる。
一方、図2のグラフは、製造された上記Cu合金焼結体のスパッタリングターゲットについて、X線回折(XRD)による分析結果を示している。この分析には、XRD測定装置(株式会社リガク製RINT-ULTIMA III)を使用した。図2の上段のグラフは、全体のパターンを示しているが、その中段のグラフには、Cuリッチ合金相であるCuSnに係るパターンが、そして、その下段のグラフには、CuSnに係るパターンが現われていることを示している。
図1に示された分布画像と図2のグラフに現れたピークとを併せて考慮すると、上記Cu合金焼結体においては、CuSn合金相が検出されていることが分かり、Cu合金焼結体中におけるCu合金相の平均結晶粒径が、3.55μmであり、Cu合金焼結体の密度比は、100%であり、かつ、密度のばらつきが、0.34%であった。そのため、Cu合金焼結体中におけるCu合金相に係る平均結晶粒径が小さく、ターゲット密度比が95%以上あり、しかも、ターゲット全体の密度のバラツキも小さく、均一となり、スパッタリング時の異常放電の発生を抑制できるとともに、ターゲット割れの発生を低減できることが確認された。
したがって、本発明は、上記知見から得られたものであり、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。
(1)本発明のCuSnスパッタリングターゲットは、Snを25.0〜60.0at%含有し、残部がCu及び不可避不純物である組成を有するCu合金焼結体であって、前記Cu合金焼結体中におけるCu合金相の平均結晶粒径が、6.0μm以下であることを特徴とする。
(2)前記(1)のCuSnスパッタリングターゲットにおける前記Cu合金焼結体の密度比は、95%以上であり、かつ、密度のばらつきが、1.1%以下であることを特徴とする。
(3)前記(1)又は(2)のCuSnスパッタリングターゲットにおける前記Cu合金焼結体は、Cuリッチ合金相を含んでいることを特徴とする。
(4)本発明のCuSnスパッタリングターゲットの製造方法では、Snを25.0〜60.0at%含有するCu合金のアトマイズ粉を、温度:300〜380℃、圧力:400〜2000kg/cmで焼結してCu合金焼結体を得ることを特徴とする。
上述のように、本発明のCuSnスパッタリングターゲットは、Snを25.0〜60.0at%含有したCu合金焼結体であって、前記Cu合金焼結体中におけるCu合金相の平均結晶粒径が、6.0μm以下であり、さらには、前記Cu合金焼結体の密度比は、95%以上であり、かつ、密度のばらつきが、1.1%以下であることを特徴としている。
ここで、薄膜太陽電池におけるCZTS系光吸収層形成のためのプリカーサー膜として、CuSn合金膜を利用する場合、薄膜太陽電池の特性向上を図るには、Snの含有量を多くすることが要望されている。このことから、本発明のCuSnスパッタリングターゲットでは、このCuSn合金膜を成膜するためのCuSnスパッタリングターゲットでは、Snの含有量を60.0%以下とした。
一方、CuSn合金相の平均結晶粒径が、6.0μmを超えると、スパッタリング時の異常放電の発生回数が増加するため、その平均結晶粒径については、6.0μm以下とすることが好ましい。また、Cu合金焼結体の密度比が、95%未満であると、ターゲット割れが発生しやすくなり、しかも、スパッタリング時の異常放電発生回数も増加するため、その密度比については、95%以上とすることが好ましい。さらに、Cu合金焼結体における密度ばらつきが、1.1%を超えると、スパッタリング時のターゲット割れが発生しやすくなるため、このばらつきを1.1%以下とすることが好ましい。
また、本発明のCuSnスパッタリングターゲットの製造方法では、Snを25.0〜60.0at%含有するCu合金のアトマイズ粉を、温度:300〜380℃、圧力:400〜2000kg/cmで焼結してCu合金焼結体を得ることを特徴としている。
上記Cu合金焼結体を得るときの焼結条件であるホットプレス温度は、300〜380℃が好ましく、さらには、320〜360℃がより好ましい。この温度が、300℃未満に低くなると、焼結不足となってしまい、ターゲット密度が上がらなくなる。一方、その温度が、380℃を超えて高くなると、Snの一部が溶け出してしまい、欠陥が発生する可能性がある。
上記Cu合金焼結体を得るときの焼結条件であるホットプレス圧力は、400〜2000kgf/cmが好ましく、さらには、500〜700kgf/cmがより好ましい。ここで、その圧力が、400kgf/cm未満であると、密度が上がらなくなる。一方、その圧力が、2000kgf/cmを超えると、鉄製モールドが耐え切れなくなって割れてしまい、Cu合金焼結体を得られなくなる。
以上の様に、本発明によれば、Snを25.0〜60.0at%含有し、残部がCu及び不可避不純物である組成を有するCu合金焼結体からなり、前記Cu合金焼結体中におけるCu合金相の平均結晶粒径が、6.0μm以下を有し、さらには、前記Cu合金焼結体の密度比は、95%以上であり、かつ、密度のばらつきが、1.1%以下であるので、Cu合金相に係る平均結晶粒径が小さく、密度を向上でき、しかも、ターゲット全体の密度のバラツキも小さく、均一であるため、スパッタリング時の異常放電の発生を抑制できるとともに、ターゲット割れの発生を低減できる。
また、本発明のCuSnスパッタリングターゲットの製造方法では、所定の割合に秤量され混合されたCu粉末とSn粉末とをアトマイズして得たCuSn合金粉末を用いて、温度:300〜380℃、圧力:400〜2000kg/cmでホットプレス焼結してCu合金焼結体を得るようにしたので、このCu合金焼結体中のCu合金相に係る平均結晶粒径が小さく、ターゲット密度比が95%以上であり、しかも、ターゲット全体の密度のバラツキも小さく、均一であるため、スパッタリング時の異常放電の発生を抑制できるとともに、ターゲット割れの発生を低減できるCuSnスパッタリングターゲットを作製できる。
本発明に係るCuSnスパッタリングターゲットの具体例について取得したEPMAによる組成像(COMPO像)、Cuの元素マッピング像及びSnの元素マッピング像を示す写真である。 本発明に係るCuSnスパッタリングターゲットの具体例について、X線回折により測定した回折ピークを示すグラフである。 本発明に係るCuSnスパッタリングターゲットの具体例について、電子線後方散乱回折法(EBSD)により取得した画像である。
つぎに、この発明の化合物半導体薄膜太陽電池の光吸収層を作製するためのプリカーサー膜形成用のCuSnスパッタリングターゲットについて、以下に、実施例により具体的に説明する。
〔実施例〕
本発明に係るCuSnスパッタリングターゲットを製造するために、Snを含有するCu合金の原料粉末を用意した。この原料粉末の作製にあたっては、表1に示されたSn含有量になるように、CuとSnとを秤量し、この秤量されたCu及びSnを、アトマイズ装置にて、以下のアトマイズ条件に従って、実施例1〜12の原料粉末(CuSnアトマイズ粉末)を作製した。
・ルツボ:カーボン
・ノズル径:φ1.5mm
・噴射温度:1000℃
・噴射ガス圧:28kgf/cm
・溶解炉内雰囲気:アルゴン雰囲気
・粉末が冷却されたのち、250μmの篩目で分級する。
なお、実施例1〜9の原料粉末の平均粒径を、表1の「原料粉末平均粒径(μm)」欄に示した。
上記噴射温度は、850〜1100℃が好ましく、1000℃がより好ましい。この温度が、850℃未満であると、噴射中に固まってしまい、粉末が取れなくなる可能性がある。一方、その温度が、1100℃を超えると、粗大な粉末が出来てしまい、焼結性が悪くなり好ましくない。
以上で作製された実施例1〜9の原料粉末について、φ206mmの鉄製モールドを使用し、表1に示される焼結条件に従い、保持時間120分で焼結させ、実施例1〜12のCu合金焼結体を得た。なお、ここでは、ホットプレス(HP)を採用した。次いで、この各焼結体を、湿式加工機にて、φ200mm×6mmtの大きさに加工し、バッキングプレートを貼り付けて、実施例1〜12のCuSnスパッタリングターゲットを作製した。
〔比較例〕
上記実施例と比較するため、比較例1〜5のCuSnスパッタリングターゲットを作製した。比較例1、2は、鋳造法により、CuSnスパッタリングターゲットを作製した場合である。また、比較例3〜5は、実施例の場合と同様に、Snを含有するCu合金の原料粉末(アトマイズ粉末)を用い、ホットプレスを採用して、Cu合金焼結体を得ているが、焼結条件(温度、圧力)が、実施例における条件の範囲外のものとなっている。

次に、以上で作製した実施例1〜12及び比較例1〜5のCuSnスパッタリングターゲットについて、平均結晶粒径、密度比、密度ばらつきを測定し、さらに、各スパッタリングターゲットを用いたスパッタリングにおいて、スパッタリング時の異常放電回数、スパッタリング時の割れ発生を観測した。なお、比較例1の場合では、圧延時に割れが発生してしまい、スパッタリングターゲットを作製できなかったため、上記各測定を実施しなかった。また、比較例3の場合には、焼結時に、Snが溶け出し、スパッタリングターゲットを作製できなかったため、上記各測定を実施しなかった。
<平均結晶粒径の測定>
上記実施例1〜12及び比較例2、4、5のCuSnスパッタリングターゲットについて、電子線後方散乱回折法(EBSD)により取得した1500倍の画像を用いて、CuSn合金の結晶粒径を測定した。ここで、CuSnスパッタリングターゲットの代表例について取得したEBSD画像を図3に示した。実際のEBSD画像は、結晶粒に係る結晶方位の違いが色分けされたカラー画像であるが、図3に示した画像では、この色に応じて白黒の濃淡で表示されている。そのため、その濃淡で表された各領域がCuSn合金の結晶粒を示している。
平均結晶粒径の測定にあたっては、解析ソフト(TSL社製 OIM Analysis Ver.5,31)によって、結晶粒界を特定し、結晶粒界の長さを測定し、結晶粒を真円に仮定して直径を算出することにより、平均結晶粒径を求めた。
この測定結果を、表2の「結晶粒径(μm)」欄に示した。
<密度比の測定>
上記実施例1〜12及び比較例2、4、5のCuSnスパッタリングターゲットについて、チョウバランス社製のアルキメデス(駆動部SA301、データ処理部SA601)を使用し、アルキメデス法にて、密度を測定した。
先ず、下記の方法により理論密度を算出した。
元素A及び元素Bにより構成される合金において、元素Aの含有量をW(wt%)、密度をD(g/cm)、元素Bの含有量をW(wt%)、密度をD(g/cm)とするとき、元素A及び元素Bから構成される二元系合金の密度:Dab(g/cm)は、以下の計算式により算出した。
ab=100/〔(W/D)+(W/D)〕
ここで、求めた理論密度Dabと測定したターゲット密度とから、その比(ターゲット密度/理論密度×100%)を密度比とした。
この測定結果を、表2の「密度比(%)」欄に示した。
<密度ばらつきの測定>
上記実施例1〜12及び比較例2、5のCuSnスパッタリングターゲットについて、密度ばらつきを測定した。
この密度ばらつきの測定では、上記スパッタリングターゲットの各々において、先ず、それらの半径方向に関して、中心点、中間点、端点の3か所における密度を測定し、この測定で得られた3か所の密度値(g/cm)から平均密度値を求めた。そして、この平均密度値と3か所の密度値のうちの最小密度値との差分値を算出して、平均密度値に対するこの差分値の比を、密度ばらつきとした。
この測定結果を、表2の「密度ばらつき(%)」欄に示した。なお、比較例4の場合、スパッタリングターゲット試験において割れてしまったので、密度ばらつきを測定しなかった。そのため、表2の同欄には、比較例4について、「−」と表示した。
<異常放電回数の測定>
下記のスパッタリング条件に従って、10分間のスパッタリングを行い、DC電源装置に備えられているアークカウント機能により異常放電の回数を計測した。DC電源としては、例えば、RPG-50(mks社製)を使用した。
(スパッタリング条件)
・電源:DC1000W
・全圧:0.6Pa
・スパッタリングガス:Ar=30sccm
ここで測定された回数を、表2の「スパッタ異常放電」欄に示した。
<ターゲット割れ発生の確認>
上記実施例1〜12及び比較例2、4、5のCuSnスパッタリングターゲットについて、スパッタリング試験後に、各スパッタリングターゲットに割れが発生しているかどうかにつき、目視で観察した。
この観察結果を、表2の「スパッタ時割れ」欄に示した。なお、割れが発生しなかった場合には、「なし」と表記し、割れが発生した場合には、「割れ」と表記した。

以上の表2に示された結果によれば、実施例1〜12のCuSnスパッタリングターゲットのいずれにおいても、Snの含有量が多くても、CuSn合金の平均結晶粒径が小さく、密度比が95%以上であって、密度ばらつきが小さく、均一性が高いことが確認され、スパッタリングターゲットが緻密であることが分かった。さらに、実施例1〜12のCuSnスパッタリングターゲットを用いたスパッタリングにおいても、異常放電の発生が、皆無であり、実用上何ら支障のない範囲内にあることが確認され、また、スパッタリング時における割れも発生しなかった。
一方、比較例2では、Sn含有量が多いため、鋳造法で作製されたCuSnスパッタリングターゲット中の平均結晶粒は、粗大化する結果、異常放電が多発した。また、比較例4では、ホットプレスの焼結条件における圧力が、低いため、焼結不足となり、結果として、結晶粒が大きく、密度が低いものとなり、異常放電が多発し、しかも、スパッタリング時に割れが発生し、比較例5では、ホットプレスの焼結条件における温度が、低いため、焼結不足となって、密度が低く、スパッタリング時の異常放電が多発した。
以上の様に、本発明のCuSnスパッタリングターゲットの製造方法によれば、所定の割合に秤量され混合されたCu粉末とSn粉末とをアトマイズして得たCuSn合金粉末を用いて、温度:300〜380℃、圧力:400〜2000kg/cmでホットプレス焼結してCu合金焼結体を得るようにしたので、このCu合金焼結体中のCu合金相に係る平均結晶粒径が小さく、ターゲット密度比が95%以上であり、しかも、ターゲット全体の密度のバラツキも小さく、均一であるため、スパッタリング時の異常放電の発生を抑制できるとともに、ターゲット割れの発生を低減できるCuSnスパッタリングターゲットを作製できることが確認された。



Claims (4)

  1. Snを25.0〜60.0at%含有し、残部がCu及び不可避不純物である組成を有するCu合金焼結体であって、
    前記Cu合金焼結体中におけるCu合金相の平均結晶粒径が、6.0μm以下であることを特徴とするCuSnスパッタリングターゲット。
  2. 前記Cu合金焼結体の密度比は、95%以上であり、かつ、密度のばらつきが、1.1%以下であることを特徴とする請求項1に記載のCuSnスパッタリングターゲット。
  3. 前記Cu合金焼結体は、Cuリッチ合金相を含んでいることを特徴とする請求項1又は2に記載のCuSnスパッタリングターゲット。
  4. Snを25.0〜60.0at%含有するCu合金のアトマイズ粉を、温度:300〜380℃、圧力:400〜2000kg/cmで焼結してCu合金焼結体を得ることを特徴とするCuSnスパッタリングターゲットの製造方法。



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