以下、図面を参照しながら本実施形態に係わる超音波診断装置を説明する。なお、以下の説明において、略同一の構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
図1は、本実施形態に係る超音波診断装置1のブロック構成図を示している。同図に示すように、超音波診断装置1は、超音波プローブ11、装置本体13、装置本体13に接続され操作者からの各種指示・命令・情報を装置本体13に取り込むための入力部15、表示部17を有する。加えて本超音波診断装置1には、心電計、心音計、脈波計、呼吸センサに代表される図示していない生体信号計測部およびネットワークが、インターフェース(InterFace:以下、I/Fと呼ぶ)部31を介して接続されてもよい。
超音波プローブ11は、複数の圧電振動子と、整合層と、複数の圧電振動子の背面側に設けられるバッキング材とを有する。複数の圧電振動子は、圧電セラミックス等の音響/電気可逆的変換素子である。複数の圧電振動子は並列され、超音波プローブ11の先端に装備される。以下、一つの圧電振動子が一チャンネルを構成するものとして説明する。圧電振動子は、後述する送受信部21から供給される駆動信号に応答して超音波を発生する。超音波プローブ11を介して被検体Pに超音波が送信されると、送信された超音波(以下、送信超音波と呼ぶ)は、被検体内の生体組織における音響インピーダンスの不連続面で反射される。
圧電振動子は、反射された超音波を受信し、エコー信号を発生する。エコー信号の振幅は、超音波の反射に関する不連続面を境界とする音響インピーダンスの差に依存する。また、送信超音波が移動している血流、および心臓壁等の表面で反射された場合のエコー信号の周波数は、ドプラ効果により、移動体(血流および心臓壁の表面)の超音波送信方向の速度成分に依存して偏移する。
以下、超音波プローブ11は、1次元アレイを複数の振動子の配列方向と直交する方向に揺動させて3次元走査を実行するメカニカル4次元プローブとして説明する。なお、超音波プローブ11は、1次元アレイにより2次元走査するプローブであってもよい。また、超音波プローブ11は、メカニカル4次元プローブに限定されず、2次元アレイプローブであってもよい。
整合層は、被検体Pに対する超音波の送受信を効率よくするために、複数の圧電振動子の超音波放射面側に設けられる。バッキング材は、圧電振動子の後方への超音波の伝搬を防止する。
装置本体13は、送受信部21、画像発生部23、記憶部25、マーカ位置決定部27、画像合成部29、I/F31、制御プロセッサ(中央演算処理装置:Central Processing Unit:以下CPUと呼ぶ)33を有する。
送受信部21は、超音波プローブ11における複数の振動子各々を駆動する駆動信号を発生する。送受信部21は、複数の振動子各々に駆動信号を供給する。送受信部21は、複数の振動子各々により発生された受信エコー信号に基づいて、受信信号を発生する。具体的には、送受信部21は、それぞれ図示していない超音波送信ユニットと超音波受信ユニットとを有する。超音波送信ユニットは、それぞれ図示していないトリガ発生回路と、送信遅延回路と、パルサ回路とを有する。超音波受信ユニットは、それぞれ図示していないプリアンプ回路と、受信遅延回路と、加算器とを有する。
トリガ発生回路は、所定のレート周波数frHz(周期:1/fr秒)で送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。トリガ発生回路は、所定のレート周波数でレートパルスを繰り返し発生する。このレートパルスは、チャンネル数に分配され、送信遅延回路に送られる。
送信遅延回路は、複数のチャンネルごとに、送信超音波をビーム状に収束し、かつ送信指向性を決定するために必要な遅延時間(以下、送信遅延時間と呼ぶ)を、各レートパルスに与える。送信超音波の送信方向または送信遅延時間(以下、送信遅延パターンと呼ぶ)は、後述する記憶部25に記憶される。記憶部25に記憶された送信遅延パターンは、CPU33により超音波の送信時に参照される。遅延時間が付与されたレートパルスは、後述するパルサ回路に送られる。
パルサ回路は、このレートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ11の複数の圧電振動子ごとに電圧パルス(駆動信号)を印加する。これにより、超音波ビームが被検体に送信される。
被検体の生体組織で反射されたエコー信号は、超音波プローブ11を介して受信エコー信号としてチャンネル毎に取り込まれる。プリアンプ回路は、超音波プローブ11を介して取り込まれた被検体からの受信エコー信号をチャンネル毎に増幅する。図示していないアナログディジタル変換器は、増幅された受信エコー信号をディジタル信号に変換する。
受信遅延回路は、ディジタル信号に変換された受信エコー信号に、受信指向性を決定するために必要な遅延時間(以下、受信遅延時間と呼ぶ)を与える。エコー信号の受信方向または受信遅延時間(以下、受信遅延パターンと呼ぶ)は、記憶部25に記憶される。記憶部25に記憶された受信遅延パターンは、CPU33により参照される。
加算器は、遅延時間が与えられた複数のエコー信号を加算する。この加算により、超音波受信ユニットは、受信指向性に応じた方向からの反射成分を強調した受信信号(RF(radiofrequency)信号ともいう)を発生する。この送信指向性と受信指向性とにより超音波送受信の総合的な指向性が決定される。この総合的な指向性により、超音波ビーム(いわゆる「超音波走査線」)が決まる。
超音波受信ユニットは、被走査領域内の各走査線における深さごとの受信信号を、後述する画像発生部23に出力する。なお、超音波受信ユニットは、1回の超音波送信で複数の走査線上に生じたエコー信号を同時に受信する並列受信機能を有していてもよい。
画像発生部23は、それぞれ図示していないBモードデータ発生ユニットと、ドプラデータ発生ユニットと、図示していないディジタルスキャンコンバータ(Digital Scan Converter:以下、DSCと呼ぶ)と画像メモリとを有する。
Bモードデータ発生ユニットは、図示していない包絡線検波器、対数変換器などを有する。包絡線検波器は、送受信部21から出力された受信信号に対して包絡線検波を実行する。包絡線検波器は、包絡線検波された信号を、後述する対数変換器に出力する。対数変換器は、包絡線検波された信号に対して対数変換して弱い信号を相対的に強調する。Bモードデータ発生ユニットは、対数変換器により強調された信号に基づいて、各走査線における深さごとの信号値(Bモードデータ)を発生する。
なお、超音波プローブ11がメカニカル4次元プローブである場合や2次元アレイプローブである場合、Bモードデータ発生ユニットは、被走査領域におけるアジマス(Azimuth)方向、エレベーション(Elevation)方向、深さ方向(以下レンジ(Range)方向と呼ぶ)にそれぞれ対応付けて配列された複数の信号値からなる3次元Bモードデータを発生してもよい。レンジ方向とは、走査線上の深さ方向である。アジマス方向とは例えば、1次元超音波振動子の配列方向に沿った電子走査方向である。エレベーション方向とは、1次元超音波振動子の機械的揺動方向である。なお、3次元Bモードデータは、複数の画素値または複数の輝度値などを、走査線に沿って、アジマス方向、エレベーション方向、レンジ方向にそれぞれ対応付けて配列させたデータであってもよい。以下、Bモードデータ発生ユニットで発生されるデータをまとめて、Bモードデータ呼ぶ。
ドプラデータ発生ユニットは、図示していないミキサー、低域通過フィルタ(Low Pass Filter:以下LPFと呼ぶ)、速度/分散/Power演算デバイス等を有する。ミキサーは、送受信部21から出力された受信信号に、送信周波数と同じ周波数f0を有する基準信号を掛け合わせる。この掛け合わせにより、ドプラ偏移周波数fdの成分の信号と(2f0+fd)の周波数成分を有する信号とが得られる。LPFは、ミキサーからの2種の周波数成分を有する信号のうち、高い周波数成分(2f0+fd)の信号を取り除く。ドプラデータ発生ユニットは、高い周波数成分(2f0+fd)の信号を取り除くことにより、ドプラ偏移周波数fdの成分を有するドプラ信号を発生する。
なお、ドプラデータ発生ユニットは、ドプラ信号を発生するために、直交検波方式を用いてもよい。このとき、受信信号(RF信号)は、直交検波されIQ信号に変換される。ドプラデータ発生ユニットは、IQ信号を複素フーリエ変換することにより、ドプラ偏移周波数fdの成分を有するドプラ信号を発生する。ドプラ信号は、例えば、血流、組織、造影剤によるドプラ成分である。
速度/分散/Power演算デバイスは、図示していないMTI(Moving Target Indicator)フィルタ、LPFフィルタ、自己相関演算器等を有する。なお、自己相関演算器の代わりに相互相関演算器を有していてもよい。MTIフィルタは、発生されたドプラ信号に対して、臓器の呼吸性移動や拍動性移動などに起因するドプラ成分(クラッタ成分)を除去する。MTIフィルタは、ドプラ信号から血流に関するドプラ成分(以下、血流ドプラ成分と呼ぶ)を抽出するために用いられる。LPFは、ドプラ信号から組織の移動に関するドプラ成分(以下、組織ドプラ成分と呼ぶ)を抽出するために用いられる。
自己相関演算器は、血流ドプラ成分及び組織ドプラ成分に対して自己相関値を算出する。自己相関演算器は、算出された自己相関値に基づいて、血流および組織の平均速度値、分散値、ドプラ信号の反射強度(パワー)等を算出する。速度/分散/Power演算デバイスは、複数のドプラ信号に基づく血流および組織の平均速度値、分散値、ドプラ信号の反射強度等に基づいて、所定領域の各位置におけるカラードプラデータを発生する。以下、ドプラ信号とカラードプラデータとをまとめて、ドプラデータと呼ぶ。なお、ドプラデータは、3次元的なデータ(以下、3次元ドプラデータと呼ぶ)であってもよい。以下、3次元ドプラデータと3次元Bモードデータとをまとめて、ボリュームデータと呼ぶ。
画像発生部23は、所定の視線方向および視点と、ボリュームデータとに基づいて、透視投影または平行投影によるレンダリング処理により、視点に対応するレンダリング画像データを発生する。レンダリング処理は、例えば、サーフェイスレンダリング処理、またはボリュームレンダリング処理、最大値投影(Maximum intensity projection:以下、MIPと呼ぶ)などである。画像発生部23は、3次元超音波データに基づいて、被検体に対する任意断面の任意断面画像データを発生する。任意断面画像データとは、例えば、断面変換(Multiplanar reconstruction:MPR)画像のデータである。
画像発生部23は、Bモードデータ発生ユニットにより発生されたBモードデータ基づいて、Bモード画像を発生する。画像発生部23は、ドプラデータ発生ユニットにより発生されたドプラデータに基づいて、ドプラ画像を発生する。画像発生部23は、レンダリング画像データに基づいて、レンダリング画像を発生する。画像発生部23は、任意断面画像データに基づいて、任意断面画像を発生する。具体的には、画像発生部23は、DSCに対して、座標変換処理(リサンプリング)を実行する。座標変換処理とは、例えば、Bモードデータ、ドプラデータなどからなる超音波スキャンの走査線信号列を、テレビなどに代表される一般的なビデオフォーマットの走査線信号列に変換する処理である。画像発生部23は、座標変換処理により、表示画像としての超音波画像を発生する。
以下、画像発生部23により発生される画像(Bモード画像、ドプラ画像、レンダリング画像、任意断面画像)をまとめて超音波画像(第1超音波画像)と呼ぶ。すなわち、画像発生部23は、送受信部21から出力されたデータに基づいて、超音波画像を発生する。画像発生部23は、発生した超音波画像を、後述する画像合成部29および記憶部25等に出力する。
画像メモリは、発生された超音波画像(Bモード画像、ドプラ画像、レンダリング画像、任意断面画像)に対応するデータ(以下、画像データと呼ぶ)を記憶する。画像メモリに記憶された画像データは、入力部15を介した操作者の指示により、読み出される。画像メモリは、例えば、フリーズする直前の複数のフレームに対応する超音波画像を保存するメモリである。このシネメモリに記憶されている画像を連続表示(シネ表示)することで、超音波動画像を表示部17に表示させることも可能である。
記憶部25は、フォーカス深度の異なる複数の受信遅延パターン、複数の送信遅延パターン、本超音波診断装置1の装置制御プログラム、診断プロトコル、送受信条件等の各種データ群、診断情報(患者ID、医師の所見等)、送受信部21により発生された受信信号を記憶する。記憶部25は、画像発生部23により発生されたBモードデータ、ドプラデータ、ボリュームデータ、超音波画像(Bモード画像、平均速度画像、分散画像、パワー画像、レンダリング画像、任意断面画像)などを記憶する。記憶部25に記憶された複数の超音波画像(第2超音波画像)は、画像発生部23により発生された超音波画像(第1超音波画像)を含むものとする。
記憶部25は、超音波画像に係る計測に関する計測ツール(計測プログラム)を記憶する。計測ツールとは、長さ、面積、体積などの複数の計測項目に従って、超音波画像を計測するツールである。また、記憶部25は、計測項目に応じた計測マーカを記憶する。計測マーカとは、例えば、超音波画像上で、計測項目に対応する部分領域を計測するためのキャリパである。なお、複数の計測項目は、超音波画像の種類に応じて複数のグループに予め分類されて、記憶部25に記憶されていてもよい。複数のグループは、例えば、レンダリング画像を計測する複数の第1計測項目を有する第1グループと、レンダリング画像を除く2次元画像(Bモード画像、平均速度画像、分散画像、パワー画像、任意断面画像)を計測する複数の第2計測項目を有する第2グループとである。なお、計測項目を分類するグループは、2つに限定されず、例えば、ボリュームデータ、Bモードデータ、ドプラデータなど発生されたデータ、または超音波の送受信のモード(Bモード、ドプラモード、カラーモード、3次元および4次元モード)などに応じて計測項目は分類されてもよい。
記憶部25は、画像発生部23により発生された超音波画像を含む複数の医用画像(複数の超音波画像)を、複数の医用画像各々に付帯する付帯情報とともに記憶する。ここで、付帯情報とは、後述する表示部17のモニタに表示される位置(以下、画像表示位置と呼ぶ)である。例えば、2つの超音波画像を並列して表示させるツインビュー(Twin View)において、レンダリング画像の画像表示位置は、モニタの表示領域の左側に対応する。また、ツインビューにおける任意断面画像の表示位置は、モニタの表示領域の右側に対応する。なお、4つの超音波画像を2×2でマトリクス状に表示させる場合、画像表示位置は、モニタの左上、左下、右上、右下となる。このとき、レンダリング画像は、例えば、左上に表示される。また、3つの任断面画像(例えば、直交3断面意対応する超音波画像)は、例えば、左下、右上、右下に表示される。
また、付帯情報は、複数の超音波画像各々に関する計測の有無、計測項目などを有していてもよい。超音波画像の計測に係る複数の計測項目は、レンダリング画像、任意断面画像、Bモード画像、ドプラ画像などに応じて予め分類されて、超音波画像(レンダリング画像、任意断面画像、Bモード画像、ドプラ画像など)の種類ごとに対応付けられて、記憶部25に記憶される。
また、記憶部25は、後述する計測マーカ表示処理に関するプログラム(医用画像処理プログラム)を記憶する。記憶部25は、入力部15を介した計測ツールの起動を契機として、医用画像処理プログラムをCPU33に出力する。
マーカ位置決定部27は、付帯情報に基づいて、計測マーカの表示位置(以下、マーカ表示位置と呼ぶ)を決定する。マーカ位置決定部27は、決定したマーカ表示位置を、後述するCPU33に出力する。
具体的には、マーカ位置決定部27は、付帯情報における画像表示位置に基づいて、超音波画像上におけるマーカ表示位置を決定する。例えば、ツインビューにおいて、複数の超音波画像が表示されている場合、マーカ位置決定部27は、計測ツールの起動を契機として、複数の超音波画像から任意断面画像を特定する。マーカ位置決定部27は、特定した任意断面画像の画像表示位置を、マーカ表示位置として決定する。より詳細には、任意断面画像の画像表示位置が、モニタにおける画像表示領域の左側である場合、マーカ位置決定部27は、画像表示領域の左側にマーカ表示位置を決定する。一方、任意断面画像の画像表示位置が、モニタにおける画像表示領域の右側である場合、マーカ位置決定部27は、画像表示領域の右側にマーカ表示位置を決定する。
なお、マーカ位置決定部27は、後述する入力部15を介して入力された計測項目に基づいて、マーカ表示位置を決定してもよい。例えば、マーカ位置決定部27は、入力された計測項目が第1グループに含まれる場合、計測マーカを重畳して表示する画像として、レンダリング画像を決定する。マーカ位置決定部27は、レンダリング画像上にマーカ表示位置を決定する。なお、入力された計測項目が第1グループに含まれ、かつ複数のレンダリング画像が表示される場合、マーカ位置決定部27は、複数のレンダリング画像の中間(例えば、複数の超音波画像の境界上の中央)にマーカ表示位置を決定する。
また、例えば、マーカ位置決定部27は、入力された計測項目が第2グループに含まれる場合、計測マーカを重畳して表示する画像として、任意断面画像を決定する。マーカ位置決定部27は、任意断面画像上にマーカ表示位置を決定する。なお、入力された計測項目が第2グループに含まれ、かつ複数の任意断面画像が表示される場合、マーカ位置決定部27は、複数の任意断面画像の中間にマーカ表示位置を決定する。
画像合成部29は、超音波画像に、種々のパラメータの文字情報および目盛等を合成する。画像合成部29は、合成された画像を表示部17に出力する。画像合成部29は、入力部15を介して入力された計測ツールの起動を契機として、超音波画像上のマーカ表示位置に、計測マーカを合成する。画像合成部29は、計測マーカを合成した画像を、表示部17に出力する。
I/F31は、ネットワーク、図示していない外部記憶装置および生体信号計測部に関するインターフェースである。装置本体13によって得られた超音波画像等のデータおよび解析結果等は、I/F31とネットワークとを介して他の装置に転送可能である。生体信号計測部は、被検体の生体波形を収集する。生体波形とは、例えば、被検体の心電波形、心音波形、脈波形、呼吸波形などである。以下、説明を簡単にするために、生体波形は心電波形であるものとする。この時、生体信号計測部は、心電計となる。
CPU33は、入力部15を介して操作者により入力されたBモードとドプラモードに対する選択、フレームレート、被走査深度、送信開始・終了などに基づいて、記憶部25に記憶された送信遅延パターンと、受信遅延パターンと、装置制御プログラムとを読み出し、これらに従って装置本体13を制御する。
CPU33は、入力部15を介して計測ツールの起動が入力されると、マーカ表示位置を決定するために、マーカ位置決定部27を制御する。CPU33は、超音波画像上において、決定されたマーカ表示位置に、計測マーカを合成するために、画像合成部29を制御する。CPU33は、超音波画像のマーカ表示位置に計測マーカを合成した画像を表示させるために、表示部17を制御する。
入力部15は、装置本体13に接続され、操作者からの各種指示・命令・情報・選択・設定を装置本体13に取り込む。入力部15は、図示していないトラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード等の入力デバイスを有する。入力デバイスは、表示画面上に表示されるカーソルの座標を検出し、検出した座標をCPU33に出力する。なお、入力デバイスは、表示画面を覆うように設けられたタッチパネルでもよい。この場合、入力部15は、電磁誘導式、電磁歪式、感圧式等の座標読み取り原理でタッチ指示された座標を検出し、検出した座標をCPU33に出力する。また、操作者が入力部15の終了ボタンまたはフリーズボタンを操作すると、超音波の送受信は終了し、装置本体13は一時停止状態となる。
具体的には、入力部15は、ツインビュー表示を実行するためのツインビュー表示ボタン、計測ツールの起動を入力する計測ツール起動ボタン、計測ツールを用いた計測における計測項目を選択して入力するダイヤル、トラックボール、表示画面上に表示されたカーソルなどを有する。なお、計測ツールの起動、計測項目の選択、ツインビューの実行などに関する入力は、表示部17の表示画面を覆うタッチパネルとして設けられてもよい。
入力部15は、トラックボールまたはマウスの操作により、表示部17のモニタに表示された計測マーカを、移動させる。入力部15は、決定ボタンを押下することにより、計測マーカの位置を決定する。このとき、計測マーカの背景となっている超音波画像上で、選択された計測項目に関する計測が実行される。
表示部17は、図示していないモニタを有する。表示部17は、画像発生部23により発生された種々の超音波画像を、モニタに表示させる。表示部17は、種々の超音波画像に対して、ブライトネス、コントラスト、ダイナミックレンジ、γ補正などの調整および、カラーマップの割り当てを実行してもよい。具体的には、表示部17は、ツインビュー表示の操作が実行されると、例えば、レンダリング画像と任意断面画像とを並列表示する。表示部17は、計測ツールの起動の指示を契機として、決定されたマーカ表示位置に計測マーカを、超音波画像とともに表示する。
(計測マーカ表示機能)
計測マーカ表示機能とは、付帯情報における画像表示位置と、計測項目とのうち少なくともひとつに基づいて、計測マーカを表示するマーカ表示位置を決定し、決定されたマーカ表示位置に計測マーカを表示する機能である。以下、計測マーカ表示機能に係る処理(以下、計測マーカ表示処理と呼ぶ)について説明する。
図2は、計測マーカ表示処理の手順を示すフローチャートの一例を示す図である。
4次元モード(または3次元モード)による超音波の送受信により、ボリュームデータが発生される(ステップSa1)。ボリュームデータに基づいて、断面画像とレンダリング画像とが発生される(ステップSa2)。断面画像とレンダリング画像とが、付帯情報(画像表示位置)とともに記憶部25に記憶される(ステップSa3)。
入力部15を介した操作者の指示により、計測ツールが起動される(ステップSa4)。付帯情報に基づいて、計測マーカのマーカ表示位置が決定される(ステップSa5)。マーカ表示位置は、例えば、計測される超音波画像の画像表示位置に基づいて決定される。なお、入力部15を介して計測項目が入力された場合、入力された計測項目が第1グループまたは第2グループのうちいずれのグループに属しているかが、マーカ位置決定部27により判定される。入力された計測項目が第1グループに属している場合、マーカ表示位置は、画像表示位置に基づいて、レンダリング画像上に設定される。入力された計測項目が第2グループに属している場合、マーカ表示位置は、画像表示位置に基づいて、断面画像上に設定される。
断面画像とレンダリング画像とともに、決定されたマーカ表示位置に、計測マーカが表示される(ステップSa6)。計測マーカを用いて、計測が実行される(ステップSa7)。
(第1の変形例)
本実施形態との相違は、表示部17に表示される超音波画像に対して計測の実行の有無に基づいて、マーカ表示位置を決定することにある。
記憶部25は、複数の超音波画像各々に対する計測の実行の有無を、超音波画像各々の付帯情報として記憶する。
マーカ位置決定部27は、記憶部25から付帯情報を読み出す。マーカ位置決定部27は、付帯情報すなわち計測の実行の有無と画像表示位置とに基づいて、マーカ表示位置を決定する。具体的には、マーカ位置決定部27は、表示された超音波画像において、未計測となっている超音波画像の画像表示位置を、マーカ表示位置として決定する。また、表示されている超音波画像がすでに計測が実行されている場合、マーカ位置決定部27は、表示されている超音波画像の境界線上の中央に、マーカ表示位置を決定する。また、表示されている超音波画像が未計測である場合、マーカ位置決定部27は、本実施形態における計測マーカ表示機能に従って、マーカ表示位置を決定する。
(計測マーカ表示機能)
本変形例に係る計測マーカ表示機能とは、表示されている超音波画像のうち少なくとも一つの超音波画像に対して計測が実行されている場合、超音波画像に対する計測の実行の有無と、画像像表示位置とに基づいて、マーカ表示位置を決定する機能である。以下、説明を簡単にするために、表示部17のモニタには、ツインビューで2つの超音波画像が表示されるものとする。
図3は、計測マーカ表示処理の手順を示すフローチャートの一例を示す図である。
入力部15を介して計測ツールが起動される(ステップSb1)。表示されている超音波画像各々に関する付帯情報が、記憶部25から読み出される。モニタに並列表示された2つの超音波画像のうち、一方の超音波画像が未計測か否かが判定される(ステップSb2)。一方の超音波画像が未計測である場合、マーカ表示位置は、未計測の超音波画像(以下、未計測画像と呼ぶ)の画像表示位置に決定される(ステップSb3)。未計測画像において、計測マーカは、マーカ表示位置に表示される(ステップSb4)。
図4は、ツインビューにおいて、未計測画像上に表示された計測マーカの一例を示す図である。図4において、未計測画像は、右側に示す超音波画像である。図4に示すように、計測マーカは、右側の超音波画像に表示される。
なお、3つの超音波画像が表示される場合(例えば、マルチプレーン表示)であって、未計測画像が2つある場合、マーカ表示位置は、未計測画像の境界線の中央に決定される。
ツインビューにおける両者の超音波画像に対してすでに計測が実行されている場合、2つの超音波画像の境界線上の中央に、マーカ表示位置が決定される(ステップSb5)。境界線上の中央をマーカ表示位置として、計測マーカが表示される(ステップSb6)。
図5は、ツインビューにおいて、2つの超音波画像の境界線上の中央に表示された計測マーカの一例を示す図である。図5における2つの超音波画像は、すでに計測が実行されている超音波画像である。図5に示すように、計測マーカは、2つの超音波画像の境界線上の中央に表示される。
計測マーカを用いて、計測が実行される(ステップSb7)。計測が実行された超音波画像の付帯情報が、計測済みとして更新される(ステップSb8)。更新された付帯情報が、計測された超音波画像に関連付けられて、記憶部25に記憶される。
(第2の変形例)
本実施形態との相違は、過去に実行された計測の計測点に関する情報(以下、マーカ位置情報と呼ぶ)を付帯情報として記憶し、マーカ位置情報に関する計測と同じ計測が表示された超音波画像に対して実行されるとき、マーカ位置情報と画像表示位置とに基づいて、マーカ表示位置を決定することにある。
記憶部25は、マーカ位置情報に関する計測項目とマーカ位置情報とを超音波画像とともに記憶する。なお、マーカ位置情報は、計測項目、診断部位、被検体名、操作者名などのうち少なくとも一つが関連付けられて記憶されてもよい。マーカ位置情報に関連付けられた計測項目、診断部位、被検体名、操作者名は、マーカ位置情報に組み込まれて記憶部25に記憶されてもよい。
マーカ位置決定部27は、起動された計測ツールにおいて、マーカ位置情報に関する計測項目と同じ計測項目が入力(選択)されたとき、入力された計測項目と同じ計測項目に関するマーカ位置情報を、記憶部25から読み出す。マーカ位置決定部27は、読み出したマーカ位置情報における計測マーカの位置と、付帯情報における画像表示位置とに基づいて、マーカ表示位置を決定する。
なお、マーカ位置決定部27は、計測ツールが起動されると、表示された超音波画像に関する検査項目、診断部位、被検体名、操作者名などのうち少なくとも一つに基づいて、記憶部25に記憶されているマーカ位置情報を検索して読み出してもよい。また、入力された計測項目に対して複数のマーカ表示位置が決定される場合、マーカ位置決定部27は、複数のマーカ表示位置各々の決定に関するマーカ位置情報を、表示部17に出力する。このとき、表示部17には、複数のマーカ表示位置各々に関するマーカ位置情報(診断部位、被検体名、操作者名など)が、表示される。
(計測マーカ表示機能)
本変形例に係る計測マーカ表示機能とは、付帯情報として記憶部25に記憶されたマーカ位置情報と画像表示位置とに基づいて、マーカ表示位置を決定する機能である。
図6は、計測マーカ表示処理の手順を示すフローチャートの一例を示す図である。
入力部15を介して計測ツールが起動される(ステップSc1)。入力部15を介して、計測項目が入力される(ステップSc2)。入力された計測項目に基づいて、マーカ位置情報が、記憶部25から読み出される。読み出されたマーカ位置情報における計測マーカの位置と、付帯情報における画像表示位置とに基づいて、マーカ表示位置が決定される(ステップSc3)。マーカ表示位置に計測マーカが表示される(ステップSc4)。計測マーカを用いて、計測が実行される(ステップSc5)。計測の実行時における計測マーカの位置を、計測された超音波画像とともに、マーカ位置情報として、記憶部25に記憶される(ステップSc6)。
(第3の変形例)
本実施形態との相違は、並列表示された2つの超音波画像に関して対となる2つの計測部位から選択された計測部位に基づいて、選択された計測部位に関する超音波画像において、マーカ表示位置を決定することにある。
並列表示された2つの超音波画像とは、例えば、モニタにおける表示領域の右側に表示される右頸動脈像(右頸動脈を有する超音波画像)と、モニタにおける表示領域の左側に表示される左頸動脈像(左頸動脈を有する超音波画像)とである。対となる2つの計測部位とは、例えば、右総頸動脈(Right CCA(Common Carotid Artery))と、左総頸動脈(Left CCA(Common Carotid Artery))とである。以下、説明を簡単にするために、並列表示された2つの超音波画像は、右頸動脈像と左頸動脈像とであるものとする。また、対となる2つの計測部位とは、右総頸動脈と左総頸動脈とであるものとする。なお、本変形例が適用可能な計測部位は、右総頚動脈と左総頸動脈とに限定されず、ツインビューにおいて、2つの超音波画像両者に対して計測が実行される計測部位であれば、どのような計測部位であってもよい。また、本変形例が適用可能な2つの超音波画像は、右頸動脈像と左頸動脈像とに限定されず、対となる計測項目にそれぞれ対応する2つの超音波画像であれば、どのような超音波画像であってもよい。
マーカ位置決定部27は、右総頸動脈と左総頸動脈とのうち選択された計測部位に基づいて、選択された計測部位に対応する超音波画像(右頸動脈像または左頸動脈像)上に、マーカ表示位置を決定する。例えば、入力部15を介してRight CCAが入力されると、マーカ位置決定部27は、モニタにおける表示領域の右側に表示される右頸動脈像にマーカ表示位置を決定する。また、例えば、入力部15を介してLeft CCAが入力されると、マーカ位置決定部27は、モニタにおける表示領域の左側に表示される左頸動脈像にマーカ表示位置を決定する。
図7は、並列表示された右頸動脈像と左頸動脈像とにおいて、入力部15を介してRight CCAが入力されたときに表示される計測マーカの一例を示す図である。図7に示すように、右頸動脈像は、モニタの表示領域の右側に表示される。入力部15を介して、Right CCAが入力されると、表示されている右頸動脈像に、計測マーカが表示される。
(第4の変形例)
本実施形態との相違は、被検体に対する生体波形において、超音波画像の収集時点を付帯情報として記憶し、入力部15を介して入力された計測項目に関する生体波形の時相に基づいてこの時相に含まれる収集時点に対応する超音波画像を特定し、特定した超音波画像上にマーカ表示位置を決定することにある。以下、説明を簡単にするために、生体波形は、心電波形であるものとする。加えて、計測項目に関する心電波形の時相は、例えば、拡張期と収縮期であるものとする。また、本変形例において、モニタには被検体の心臓に関する2つの超音波画像が、並列表示されるものとする。
本変形例において、モニタに並列表示される2つの超音波画像は、例えば以下の様にして収集して表示される。まず、被検体の心臓に対して、1画面表示で超音波走査が実行される。次いで、所望の超音波画像の収取後、フリーズ操作が入力される。表示部17は、1画面表示を2画面表示に切り替える。例えば、モニタの表示領域の左側において、収集した複数の超音波画像から拡張期の超音波画像(以下、拡張期画像と呼ぶ)が選択されると、表示部17は、モニタの表示領域の左側において、選択された超音波画像(拡張期画像)を表示する。次いで、例えば、モニタの表示領域の右側において、収集した複数の超音波画像から収縮期の超音波画像(以下、収縮期画像と呼ぶ)が選択されると、表示部17は、モニタの表示領域の右側において、選択された超音波画像(収縮期画像)を表示する。このとき、表示部17は、モニタの表示領域の左側には拡張期画像を表示し、モニタの表示領域の右側には収縮期画像を表示する。
記憶部25は、I/F31を介して収集した心電波形において、超音波画像を収集した時点を、付帯情報として、収集した超音波画像とともに記憶する。記憶部25は、超音波画像を収集した時点を、心電波形とともに記憶する。
拡張期画像と収縮期画像とが表示された2画面表示において、拡張期に関する計測項目が選択された場合、マーカ位置決定部27は、モニタの表示領域の左側、すなわち拡張期画像を表示している位置を、マーカ表示位置として決定する。また、収縮期に関する計測項目が選択された場合、マーカ位置決定部27は、モニタの表示領域の右側、すなわち収縮期画像を表示している位置を、マーカ表示位置として決定する。
図8は、2画面表示された収縮期画像と拡張期画像とにおいて、収縮期に関する計測項目の選択により、右側の収縮期画像に表示された計測マーカの一例を示す図である。2画面表示において表示されている2つの超音波画像が、拡張期と収縮期とのうちいずれの時相であるかが記憶されていない場合、例えば、以下のようにして、2つの超音波画像の時相が決定される。
マーカ位置決定部27は、収集時点と心電波形とに基づいて、収集時点の心電波形における時相(拡張期または収縮期)を決定する。
具体的には、マーカ位置決定部27は、記憶部25から心電波形を読み出す。マーカ位置決定部27は、読み出した心電波形において、拡張期と収縮期との境界となる時点(以下、境界時点と呼ぶ)を決定する。境界時点とは、例えば、心電波形のR波の頂点の時点とT波が終わる時点(以下、T波終了時点と呼ぶ)である。T波終了時点は、例えば、接線法により決定される。マーカ位置決定部27は、R波の頂点の時点からT波終了時点までの期間を、収縮期として決定する。マーカ位置決定部 は、心電波形において、収縮期を除く期間を、拡張期として決定する。なお、マーカ位置決定部27は、T波終了時点からR波の頂点の時点までの期間を、拡張期として決定してもよい。
図9は、心電波形において、境界時点と拡張期と収縮期との一例を示す図である。図9に示すように、マーカ位置決定部27は、心電波形において、T波の頂点とこの頂点の時点より未来であって直近のT波の変曲点と間の点における接線を計算する。マーカ位置決定部27は、計算された接線と心電波形の0Vの直線との交点を、T波終了時点として決定する。
マーカ位置決定部27は、表示部17に表示された2つの超音波画像の収集時点と、心電波形において決定された収縮期と拡張期とに基づいて、表示部17に表示された2つの超音波画像各々が収集された期間、すなわち収縮期または拡張期を決定する。具体的には、マーカ位置決定部27は、収集時点が拡張期の範囲内に含まれる場合、この収集時点に対応する超音波画像を、拡張期画像として決定する。マーカ位置決定部27は、収集時点が収縮期の範囲内に含まれる場合、この収集時点に対応する超音波画像を、収縮期画像として決定する。
マーカ位置決定部27は、計測項目に関する心電波形の時相(拡張期または収縮期)に基づいて、この時相に対応する超音波画像を特定する。マーカ位置決定部27は、特定した超音波画像上に、マーカ表示位置を決定する。
(計測マーカ表示機能)
本変形例に係る計測マーカ表示機能とは、被検体に対する心電波形を用いて、超音波画像の収集時点を付帯情報として記憶し、入力部15を介して入力された計測項目に関する心電波形の時相(拡張期又は収縮期)に基づいてこの時相に含まれる収集時点に対応する超音波画像を特定し、特定した超音波画像上にマーカ表示位置を決定することにある。
図10は、計測マーカ表示処理の手順を示すフローチャートの一例を示す図である。
被検体に対する心電波形を用いて、超音波画像を収集した収集時点が、付帯情報として記憶される(ステップSd1)。入力部15を介して計測ツールが起動される(ステップSd2)。入力部15を介して、計測項目が入力される(ステップSd3)。選択された計測項目に基づいて、対応する心電波形の時相(拡張期または収縮期)が決定される(ステップSd4)。決定された時相(拡張期または収縮期)に含まれる収集時点に対応する超音波画像が特定される(ステップSd5)。特定された超音波画像上に、マーカ表示位置が決定される(ステップSd6)。特定された超音波画像上のマーカ表示位置に、計測マーカが表示される(ステップSd7)。計測マーカを用いて、計測が実行される(ステップSd8)。
(第5の変形例)
本実施形態との相違は、被検体における同一診断部位に関する複数の超音波画像が表示されている場合、表示されている超音波画像のうちアクティブ状態となっている超音波画像において、マーカ表示位置を決定することにある。
入力部15は、被検体における同一診断部位(例えば、腹部)に関する2つの超音波画像を表示する表示態様(以下、同一診断部位表示と呼ぶ)を入力する。なお、同一診断部位表示において、表示される超音波画像の数は、2つに限定されない。
表示部17は、同一診断部位表示があらかじめ入力されているとき、同一診断部位(例えば、腹部)に関する2つの超音波画像を表示する。
マーカ位置決定部27は、同一診断部位表示が実行されているときにおいて計測ツールが起動されると、計測ツールの起動時においてアクティブとなっている超音波画像(以下、アクティブ画像と呼ぶ)上に、マーカ表示位置を決定する。
図11は、同一診断部位表示において、アクティブ画像上に表示された計測マーカの一例を示す図である。図11に示すように、同一診断部位表示において、右側の超音波画像がアクティブとなっているときに計測ツールが起動されると、右側の超音波画像上に計測マーカが表示される。
(第6の変形例)
本実施形態との相違は、被検体における異なる診断部位および異なる時点に関する2つの超音波画像が表示されている場合、表示されている2つの超音波画像における境界上に、マーカ表示位置を決定することにある。
入力部15は、被検体における異なる診断部位および異なる時点に関する2つの超音波画像を表示する表示態様(以下、相違診断部位表示と呼ぶ)を入力する。なお、相違診断部位表示において、表示される超音波画像の数は、2つに限定されない。
表示部17は、相違診断部位表示があらかじめ入力されているとき、相違診断部位(例えば、頸部動脈、循環器系、心臓系)に関する2つの超音波画像を表示する。
マーカ位置決定部27は、相違診断部位表示が実行されているときにおいて計測ツールが起動されると、2つの超音波画像の境界線上の中央を、マーカ表示位置として決定する。
図12は、相違診断部位表示において、2つの超音波画像の境界の中央に表示された計測マーカの一例を示す図である。図12に示すように、相違診断部位表示において、2つの超音波画像は、診断部位および収集時点が異なる。図12に示すように、相違診断部位表示において、計測ツールが起動されると、2つの超音波画像の境界の中央に計測マーカが表示される。
(計測マーカ表示機能)
以下で説明する計測マーカ表示機能は、第5の変形例と第6の変形例とに関する計測マーカ表示機能に関する説明である。すなわち、本計測マーカ表示機能は、同一診断部位表示の場合において、表示されている超音波画像のうちアクティブ状態となっている超音波画像においてマーカ表示位置を決定し、相違診断部位表示において、表示されている2つの超音波画像における境界上にマーカ表示位置を決定する機能である。
図13は、計測マーカ表示処理の手順を示すフローチャートの一例を示す図である。
入力部15を介して、同一診断部位表示または相違診断部位表示が入力される(ステップSe1)。入力部15を介して計測ツールが起動される(ステップSe2)。同一診断部位表示であれば(ステップSe3)、同一診断部位表示における2つの超音波画像のうち、アクティブ状態となっている超音波画像(アクティブ画像)が特定される(ステップSe4)。アクティブ画像の中央が、マーカ表示位置として決定される(ステップSe5)。
相違診断部位表示であれば(ステップSe3)、相違診断部位表示における2つの超音波画像の境界の中央が、マーカ表示位置として決定される(ステップSe6)。マーカ表示位置に、計測マーカが表示される(ステップSe7)。計測マーカを用いて、計測が実行される(ステップSe8)。
(第7の変形例)
本実施形態との相違は、本実施形態および第1乃至第6変形例に係るマーカ表示位置の複数の決定処理(以下、マーカ表示位置決定処理と呼ぶ)を、予め設定することにある。なお、マーカ表示位置決定処理は、単独または複数予め設定されてもよい。また、マーカ表示位置決定処理は、入力部15を介して、操作者により選択されてあらかじめ設定することも可能である。
(第8の変形例)
本実施形態との相違は、計測マーカが重畳される超音波画像の色相に応じて、計測マーカの表示態様を、操作者にとって視認性を向上させる表示態様に変更して、計測マーカを表示することにある。
表示部17は、例えば、ツインビューにおいて、2つの超音波画像の両者に計測マーカを表示する。表示部17は、計測マーカが重畳される超音波画像の色相に応じて、計測マーカの表示態様を、操作者にとって視認性を向上させる表示態様に変更して、計測マーカを表示する。表示態様は、例えば、計測マーカの太さと色相と明度などである。なお、計測マーカの表示態様を変更して表示することは、ツインビューに限定されず、任意の数の超音波画像上に計測マーカを重畳して表示することに適用可能である。
記憶部25は、所定の色差および明度差、計測マーカの複数の太さを記憶する。
CPU33は、計測マーカの背景の超音波画像の色相に基づいて、計測マーカの色相と、計測マーカの背景の超音波画像の色相とが、所定の色差を有するように、計測マーカの色相を決定する。CPU33は、計測マーカの背景の超音波画像の明度に基づいて、計測マーカの明度と、計測マーカの背景の超音波画像の明度とが、所定の明度差を有するように、計測マーカの明度を決定する。CPU33は、計測マーカの色相と、計測マーカの背景の超音波画像の色相との色差、または計測マーカの明度と計測マーカの背景の超音波画像の明度との明度差に基づいて、計測マーカの太さを決定する。CPU33は、決定した色相、明度、計測マーカの太さなどを、表示部17に出力する。
すなわち、CPU33は、計測マーカと背景の超音波画像とにおいて、所定の色差および所定の明度差未満であれば、計測ツールの表示態様(色相、明度、太さ)を、操作者にとって視認性を向上させる表示態様(色相、明度、太さ)に変更する。これにより、表示される計測マーカと、背景の超音波画像とは、所定の色差および所定の明度差を有して、モニタに表示される。
図14は、ツインビューにおいて、計測マーカ表示態様を変更して表示した一例を示す図である。図14に示すように、計測マーカの表示態様は、背景となる超音波画像の色相、明度などに応じて適宜変更される。
(計測マーカ表示態様変更機能)
計測マーカ表示態様変更機能とは、計測マーカが重畳される超音波画像の色相に応じて、計測マーカの表示態様を、操作者にとって視認性を向上させる表示態様に変更する機能である。以下、計測マーカ表示態様変更機能に関する処理(以下、計測マーカ表示態様変更処理と呼ぶ)について説明する。
図15は、計測マーカ表示態様変更処理の手順を示すフローチャートである。
入力部15を介した操作者の指示により、計測ツールが起動される(ステップSf1)。計測マーカと背景の超音波画像との間の色差および明度差が、所定の色差および所定の明度差未満であれば(ステップSf2)、計測マーカの表示態様は、視認性を向上させた表示態様に変更される(ステップSf3)。計測マーカは、変更された表示態様(色相、明度、太さ)で表示される(ステップSf4)。
計測マーカと背景の超音波画像との間の色差および明度差が、所定の色差および所定の明度差以上であれば(ステップSf2)、表示態様(色相、明度、太さ)を非変更で、計測マーカは表示される(ステップSf5)。計測マーカを用いて、計測が実行される(ステップSf6)。
以上に述べた構成によれば、以下の効果を得ることができる。
本実施形態の超音波診断装置1によれば、付帯情報における画像表示位置と、計測項目とのうち少なくともひとつに基づいて、計測マーカを表示するマーカ表示位置を決定し、決定されたマーカ表示位置に計測マーカを表示することができる。すなわち、本実施形態によれば、4次元モード(または3次元モード)において、ほぼすべての計測を任意断面画像上で行うため、計測ツールの起動時において、任意断面画像上に計測ツールを表示することができきる。これにより、操作者が所望する計測点まで計測ツールを移動させる移動量を、低減させることができる。
本実施形態における第1の変形例の超音波診断装置1によれば、表示部17に表示される超音波画像に対して計測の実行の有無に基づいて、マーカ表示位置を決定することができる。これにより、未計測の超音波画像に対して、計測マーカを表示させることができる。また、第1の変形例によれば、表示された2つの超音波画像が未計測である場合、2つの超音波画像の境界の中央に計測ツールを表示することができる。これにより、第1の変形例によれば、未計測のいずれの超音波画像に対しても、計測ツールの移動距離を短くするような位置に、計測マーカを表示させることができる。
本実施形態における第2の変形例の超音波診断装置1によれば、マーカ位置情報に関する計測と同じ計測が表示された超音波画像に対して実行されるとき、マーカ位置情報と画像表示位置とに基づいて、マーカ表示位置を決定することができる。超音波診断装置1における検査は診断部位ごとに検査手順を定め、この検査手順に則って検査を行うことが一般的である。このため、同じ診断部位の検査ならば被検体が異なっても同じような超音波画像が表示される。このことから、第2の変形例によれば、同じような超音波画像が表示され、かつ計測ツールが起動されたとき、過去の計測に基づいた最適な位置に計測ツールを表示することができる。
本実施形態における第3の変形例の超音波診断装置1によれば、並列表示された2つの超音波画像に関して対となる2つの計測部位のうち選択された計測部位に基づいて、選択された計測部位に関する超音波画像上に、マーカ表示位置を決定するこができる。これにより、2つの超音波画像の両者を計測する場合において、選択された計測項目に応じて、計測が実行される超音波画像上に計測ツールを表示することができる。
本実施形態における第4の変形例の超音波診断装置1によれば、被検体に対する生体波形(例えば心電波形)において、超音波画像の収集時点を付帯情報として記憶し、入力部15を介して入力された計測項目に関する生体波形の時相に基づいてこの時相に含まれる収集時点に対応する超音波画像を特定し、特定した超音波画像上にマーカ表示位置を決定することができる。これにより、計測項目に関する生体波形の時相に対応する超音波画像上に、計測マーカを表示することができる。
本実施形態における第5の変形例の超音波診断装置1によれば、被検体における同一診断部位に関する複数の超音波画像が表示されている場合、表示されている超音波画像のうちアクティブ状態となっている超音波画像において、マーカ表示位置を決定することができる。計測ツールの起動時にアクティブだった超音波画像は、計測ツールの起動時まで操作者がこの超音波画像上で何かの作業をしていた、または、操作者が明示的にこの超音波画像をアクティブにしていた超音波画像である。このため、第5の変形例においては、操作者が所望するアクティブな超音波画像に計測ツールを表示することができる。
本実施形態における第6の変形例の超音波診断装置1によれば、被検体における異なる診断部位および異なる時点に関する2つの超音波画像が表示されている場合、表示されている2つの超音波画像における境界上に、マーカ表示位置を決定することができる。すなわち、第6の変形例によれば、異なる診断部位、時点を表示する様なプリセット(例えば頸部動脈、循環器系、心臓系)の場合、操作者がどの超音波画像に対して計測を所望しているのか判断できないため、特定の超音波画像上に計測ツールを表示するのではなく、どの超音波画像に対しても計測ツールの移動量が少なくなるように、計測ツールを表示することができる。
本実施形態における第7の変形例の超音波診断装置1によれば、本実施形態および第1乃至第6変形例に係るマーカ表示位置の複数の決定処理(以下、マーカ表示位置決定処理と呼ぶ)を、予め設定することができる。これにより、マーカ表示位置決定処理の適用状況を拡大することができ、操作者に対する利便性を向上させることができる。
本実施形態における第8の変形例の超音波診断装置1によれば、計測マーカが重畳される超音波画像の色相に応じて、計測マーカの表示態様を、操作者にとって視認性を向上させる表示態様に変更して、計測マーカを表示することができる。第8の変形例によれば、例えば、ドプラデータに基づいて発生されたカラードプラ画像、パワードプラ画像などのカラー表示に係る超音波画像において、計測マーカの視認性を向上させることができる。
以上のことから、本超音波診断装置によれば、計測ツールの起動後、状況に応じて操作者が計測を所望する超音波画像に関して計測ツールを表示することができる。これにより、表示された計測ツールの位置から操作者が所望する計測点までの距離が短くなる。これらのことから、本超音波診断装置1によれば、操作者に対する操作性が向上する。この結果、本超音波診断装置1によれば、被検体に対する診断効率が向上し、計測ツールの使用において操作者に対する負担を低減させることができる。
また、本実施形態の変形例として、本超音波診断装置1の技術的思想を医用画像処理装置2で実現する場合には、例えば図1の構成図における点線内の構成要素を有するものとなる。医用画像処理装置2において、本実施形態に係る計測マーカ表示処理は、例えば、図2のステップSa3乃至ステップSa7の処理に対応する。これらの処理については、実施形態と同様である。また、第1の変形乃至第8の変形例を適用した医用画像処理装置2は、発生された超音波画像および生体波形を、予め記憶部25に記憶する。第1の変形乃至第8の変形例における各処理は、医用画像処理装置において実行可能である。また、医用画像処理装置2に係る本実施形態および第1乃至第8の変形例において、計測マーカを重畳して表示させる画像は、超音波画像に限定されず、任意の医用画像についてマーカ表示位置を決定し、計測マーカを表示されることも可能である。
加えて、実施形態に係る各機能は、当該処理を実行する医用画像処理プログラム(計測マーカ表示処理および計測マーカ表示態様変更処理に関するプログラム)をワークステーション等のコンピュータにインストールし、これらをメモリ上で展開することによっても実現することができる。このとき、コンピュータに当該手法を実行させることのできるプログラムは、磁気ディスク(ハードディスクなど)、光ディスク(CD−ROM、DVDなど)、半導体メモリなどの記憶媒体に格納して頒布することも可能である。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。