JP6273955B2 - 光学フィルムの製造方法及び光学フィルム製造装置 - Google Patents

光学フィルムの製造方法及び光学フィルム製造装置 Download PDF

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Description

本発明は、光学フィルムの製造方法及び光学フィルム製造装置に関する。
樹脂フィルムの製造方法の一つに、溶融押出法がある。溶融押出法では、通常、溶融した熱可塑性樹脂をダイから押し出すことにより、溶融樹脂をフィルム状に成形する。その後、成形されたフィルム状の溶融樹脂を冷却して硬化させることにより、所望のフィルムを製造する。溶融押出法によれば、長尺のフィルムを効率的に製造することができる。このような溶融押出法を、光学フィルムの製造に適用することについても、従来より検討がなされている(特許文献1〜3)。例えば、偏光板保護フィルム、及び従来より用いられるガラス基板の代替としての樹脂フィルム基板等の構成要素として、液晶表示装置等の表示装置において用いることが検討されている。
溶融押出法における溶融樹脂フィルムの冷却は、一般的には、溶融樹脂フィルムをキャスティングドラム等の支持体の周面に押し出し、溶融樹脂フィルムから支持体へ熱を伝え、溶融樹脂フィルムの温度を徐々に下げることにより行われる。
特開2005−99097号公報 特開2009−166325号公報 特開2008−302524号公報
光学フィルムを製造する際には、得られる光学フィルムの厚さ及び位相差等の特性を厳密に制御することが求められる。特に、偏光板保護フィルム、樹脂フィルム基板等のある種の用途に用いる光学フィルムは、その面内方向の位相差Re及び厚み方向の位相差Rthの両方を、3nm以下といった非常に小さい値にすることが求められる場合がある。そのような光学フィルムを、溶融押出法により製造する場合、Re及びRthの両方を所望の小さい値とし、且つフィルムの厚さを均質なものとすることは困難である。
したがって、本発明の目的は、面内方向の位相差Re及び厚み方向の位相差Rthの両方が小さく、且つ厚さが均一な光学フィルムの効率的な製造を可能とする、光学フィルムの製造方法及び光学フィルム製造装置を提供することにある。
本発明者は前記課題を解決するべく検討し、特に、溶融樹脂フィルムをキャスティングドラムの周面上において冷却する工程に着目して検討した。その結果、キャスティングドラム上での溶融樹脂の寸法拘束により、複屈折性、特にRthが生じやすいことを見出した。本発明者はさらに検討したところ、キャスティングドラムの周面上において、冷却能力の異なる複数の区域を設け、溶融樹脂フィルムを所定の温度範囲に所定以上の時間維持する区域を設定することにより、複屈折性の緩和を十分に行い、且つ冷却後の複屈折性の発生も低減することができ、その結果、面内方向の位相差Re及び厚み方向の位相差Rthの両方が小さく且つ厚さが均一なフィルムを、製造ラインの速度を高めても製造することができることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明は以下の通りである。
〔1〕 ガラス転移温度がTg(℃)である樹脂を溶融状態で押し出し溶融樹脂フィルムを連続的に成形する溶融樹脂フィルム成形工程、及び
前記溶融樹脂フィルムをキャスティングドラムに連続的に導き、前記キャスティングドラムの回転により前記溶融樹脂フィルムを前記キャスティングドラムの周面上の搬送経路に沿って搬送し、前記溶融樹脂フィルムを冷却する冷却工程
を含む、光学フィルムの製造方法であって、
前記冷却工程は、
前記周面上の搬送経路中の区域(X)に沿って設けられ、前記区域(X)における前記溶融樹脂フィルムの外側の表面の温度を調節する温度調節器(X)、及び前記区域(X)の下流の区域(Y)に沿って設けられ、前記区域(Y)における前記溶融樹脂フィルムの外側の表面の温度を調節する温度調節器(Y)により、前記溶融樹脂フィルムの前記外側の表面の温度を調節することを含み、
前記区域(X)の上流端の位置に前記溶融樹脂フィルムが達する時点での前記溶融樹脂フィルムの外側の表面温度T1(℃)が、式(I):
Tg−10℃≦T1≦Tg+50℃ (I)
を満たし、
前記区域(X)と区域(Y)との境界の位置に前記溶融樹脂フィルムが達する時点での前記溶融樹脂フィルムの外側の表面温度T2(℃)が、式(II):
Tg+10℃≦T2≦Tg+30℃ (II)
を満たし、
前記区域(Y)の下流端の位置に前記溶融樹脂フィルムが達する時点での前記溶融樹脂フィルムの外側の表面温度T3(℃)が、式(III):
T3≦Tg−10℃ (III)
を満たし、
前記溶融樹脂フィルムが前記区域(X)の上流端の位置から下流端の位置まで移動する時間K(X)(秒)が0.25以上である、光学フィルムの製造方法。
〔2〕 前記キャスティングドラムの直径が、300mm〜1200mmである、〔1〕に記載の光学フィルムの製造方法。
〔3〕 前記温度調節器(X)、前記温度調節器(Y)又はこれらの両方が、前記溶融樹脂フィルムの外側の表面に近接する空間を囲繞するチャンバーを備え、前記区域(X)における温度の調節、前記区域(Y)における温度の調節又はこれらの両方を、温度が調節された空気を前記チャンバー内に導入することにより行う、〔1〕又は〔2〕に記載の光学フィルムの製造方法。
〔4〕 前記温度調節器(X)、前記温度調節器(Y)又はこれらの両方が、前記溶融樹脂フィルムの外側の表面に近接する発熱体、吸熱体又はこれらの両方を備え、前記区域(X)における温度の調節、前記区域(Y)における温度の調節又はこれらの両方を、前記発熱体、前記吸熱体又はこれらの両方による発熱、吸熱又はこれらの両方により行う、〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
〔5〕 前記区域(X)における温度の調節、前記区域(Y)における温度の調節、又はこれらの両方が、
前記周面上の搬送経路中の前記溶融樹脂フィルムの外側の表面温度を温度センサにより計測し、
計測された前記表面温度に基づき、前記温度調節器(X)、前記温度調節器(Y)又はこれらの両方の温度を調節することを含む、〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
〔6〕 熱可塑性樹脂を溶融状態で押し出し溶融樹脂フィルムを連続的に成形する溶融樹脂フィルム成形装置、及び
前記溶融樹脂フィルム成形装置の下流に設けられ、前記溶融樹脂フィルムを冷却する冷却装置
を備える、光学フィルム製造装置であって、
前記冷却装置は、
前記溶融樹脂フィルムを冷却及び搬送するキャスティングドラム、
前記キャスティングドラムの周面上の前記溶融樹脂フィルムの搬送経路中の区域(X)に沿って設けられ、前記区域(X)における前記溶融樹脂フィルムの外側の表面の温度を調節する温度調節器(X)、及び
前記区域(X)の下流の区域(Y)に沿って設けられ、前記区域(Y)における前記溶融樹脂フィルムの外側の表面の温度を調節する温度調節器(Y)を備える、光学フィルム製造装置。
〔7〕 前記キャスティングドラムの直径が、300mm〜1200mmである、〔6〕に記載の光学フィルム製造装置。
〔8〕 前記温度調節器(X)、前記温度調節器(Y)又はこれらの両方が、前記溶融樹脂フィルムの外側の表面に近接する空間を囲繞するチャンバーを備える、〔6〕又は〔7〕に記載の光学フィルムの製造装置。
〔9〕 前記温度調節器(X)、前記温度調節器(Y)又はこれらの両方が、前記溶融樹脂フィルムの外側の表面に近接する発熱体、吸熱体又はこれらの両方を備える、〔6〕〜〔8〕のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造装置。
〔10〕 前記周面上の搬送経路中の前記溶融樹脂フィルムの外側の表面温度を計測する温度センサ、及び
計測された前記表面温度に基づき、前記温度調節器(X)及び前記温度調節器(Y)の温度を調節する制御器を備える、〔6〕〜〔9〕のいずれか1項に記載の光学フィルム製造装置。
本発明の光学フィルムの製造方法及び本発明の光学フィルム製造装置によれば、面内方向の位相差Re及び厚み方向の位相差Rthの両方が小さく、且つ厚さが均一な光学フィルムを、効率的に製造することができる。
図1は、本発明の光学フィルム製造装置、及びそれを用いた本発明の光学フィルムの製造方法の第一実施形態を模式的に示す側面図である。 図2は、図1に示す第一実施形態に係る光学フィルム製造装置における冷却装置200、及びそれを用いた、本発明の光学フィルムの製造方法における冷却工程の一例を模式的に示す側面図である。 図3は、図2に示す冷却装置200の一部の構成要素の位置関係を模式的に示す斜視図である。 図4は、本発明の製造方法の冷却工程における溶融樹脂フィルムの温度の変化の一例を模式的に示すグラフである。 図5は、本発明の光学フィルムの製造方法の冷却工程において用いうる、温度調節器の一例を模式的に示す斜視図である。 図6は、図5の例の温度調節器を、線A5に沿った面で切断した断面図である。 図7は、本発明の光学フィルムの製造方法の冷却工程において用いうる、温度調節器の別の一例を模式的に示す斜視図である。 図8は、図7の例の温度調節器を、線A7に沿った面で切断した断面図である。 図9は、本発明の光学フィルムの製造方法の冷却工程において用いうる、温度調節器のさらに別の一例を模式的に示す斜視図である。 図10は、図9の例の温度調節器を、線A9に沿った面で切断した断面図である。 図11は、本発明の光学フィルムの製造方法の冷却工程において用いうる、温度調節器のさらに別の一例を模式的に示す斜視図である。 図12は、図11の例の温度調節器を、線A11に沿った面で切断した断面図である。 図13は、本発明の光学フィルムの製造方法の冷却工程において用いうる、温度調節器のさらに別の一例を模式的に示す斜視図である。 図14は、図13の例の温度調節器を、線A13に沿った面で切断した断面図である。
以下、本発明について実施形態及び例示物を示して詳細に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施形態及び例示物に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
〔1.1.第一実施形態:概要〕
本発明の光学フィルムの製造方法は、ガラス転移温度がTg(℃)である樹脂を溶融状態で押し出し溶融樹脂フィルムを連続的に成形する溶融樹脂フィルム成形工程、及び溶融樹脂フィルムをキャスティングドラムに連続的に導き、キャスティングドラムの回転により溶融樹脂フィルムをキャスティングドラムの周面上の搬送経路に沿って搬送し、溶融樹脂フィルムを冷却する冷却工程を含む。また、本発明の光学フィルム製造装置は、ガラス転移温度がTg(℃)である樹脂を溶融状態で押し出し溶融樹脂フィルムを連続的に成形する溶融樹脂フィルム成形装置、及び溶融樹脂フィルム成形装置の下流に設けられ、溶融樹脂フィルムを冷却する冷却装置を備える。
図1は、本発明の光学フィルム製造装置、及びそれを用いた本発明の光学フィルムの製造方法の第一実施形態を模式的に示す側面図である。図1に示す第一実施形態において、光学フィルム製造装置10は、溶融樹脂フィルム成形装置110、及び溶融樹脂フィルム成形装置110の下流に設けられる冷却装置200を備える。溶融樹脂フィルム成形装置110は押出成形機111及びダイ112を備え、冷却装置200はキャスティングドラム130及び温度調節器(図1において不図示)を備える。光学フィルム製造装置10はさらに、冷却装置200の下流に設けられ、得られた光学フィルムの性状を測定する自動複屈折計141及び膜厚計142を有し、得られた光学フィルムはロール151として巻き取られる。
〔1.2.第一実施形態:溶融樹脂フィルム成形工程〕
光学フィルム製造装置10の操作において、光学フィルムの材料となる樹脂は、押出成形機111において溶融され、必要に応じてポリマーフィルター及びギヤポンプ(不図示)を経て、ダイ112に供給される。ダイ112のリップ部分から樹脂が吐出され、これにより樹脂は溶融樹脂フィルム101として押し出され、溶融樹脂フィルム101が連続的に成形される。押出成形機111の内部の温度及びダイ112の温度は適宜調整することができ、それにより、溶融樹脂フィルム101を所望の温度でダイ112から押し出しうる。溶融樹脂フィルム成形工程においては、複数の層を有する溶融樹脂フィルムを共押出成形することもできるが、通常は一の層を有する溶融樹脂フィルムを押出成形し、単層の光学フィルムを製造する。
〔1.3.第一実施形態:冷却工程〕
得られた溶融樹脂フィルム101は、連続的に、冷却装置200のキャスティングドラム130に連続的に導かれる。キャスティングドラム130は軸131を中心として回転し、これにより、溶融樹脂フィルム101はキャスティングドラムの周面上の搬送経路に沿って搬送され、同時に、溶融樹脂フィルム101が冷却される。溶融樹脂フィルム101の熱は、その一部は周囲の空気中にも放熱されるが、大部分はキャスティングドラム130へ伝達され、それにより、溶融樹脂フィルム101の冷却が達成される。かかる冷却により、溶融樹脂フィルム101は光学フィルム102となり、矢印A1方向に搬送される。光学フィルム102は、必要に応じて自動複屈折系141及び膜厚計142によりその性状を測定した後、巻き取り機により巻き取られ、光学フィルムのロール151とされる。
本発明の製造方法においては、溶融した状態で押し出された溶融樹脂フィルムは徐々に冷却され徐々に硬化するので、本願では、説明の便宜上、押し出された直後から、完全な硬化が達成される直前までのフィルムを、区別せず「溶融樹脂フィルム」という。また、溶融樹脂フィルムと、完全に硬化して得られた光学フィルムとを総称して、単に「フィルム」と呼ぶ場合がある。
図2は、図1に示す第一実施形態に係る光学フィルム製造装置における冷却装置200、及びそれを用いた、本発明の光学フィルムの製造方法における冷却工程の一例を模式的に示す側面図であり、図3は、図2に示す冷却装置200の一部の構成要素の位置関係を模式的に示す斜視図である。図3においては、図示の便宜のため、図2に示す複数の温度調節器のうち、温度調節器221Xのみを図示している。
図2に示す第一実施形態において、冷却装置200のキャスティングドラム130は、溶融樹脂フィルム101を、その周面上の搬送経路に沿って搬送するよう配置される。本願において、「面上の搬送経路とは、溶融樹脂フィルムの搬送経路のうち、キャスティングドラムがフィルムを受容する位置から、キャスティングドラムからフィルムが離脱する位置までの経路をいい、図2に示す第一実施形態においては、位置211から、位置219までの経路が、周面上の搬送経路となる。
図2において、図示の便宜上、溶融樹脂フィルム101は、その内側の面がキャスティングドラム130の周面に接した状態で搬送されるよう図示されているが、実際の操作において、溶融樹脂フィルム101の内側の面は、その幅方向の端部のみ、または、その幅方向の全面においてキャスティングドラム130にピニングされ、その他の部分においてはキャスティングドラム130の周面と離隔した状態で搬送されうる。本願において、溶融樹脂フィルムの「内側」の表面とは、溶融樹脂フィルムの両面のうち、キャスティングドラム側の面をいい、「外側」の表面とは、キャスティングドラムとは反対側の面をいう。また本願において、溶融樹脂フィルムの温度とは、別に断らない限り、外側の表面における温度である。
溶融樹脂フィルム101のピニングは、静電ピニング、エアピニング、ローラーによるピニング等の既知の方法により行いうる。静電ピニングは、溶融樹脂フィルム101がキャスティングドラム130に到達するのに先立ち、溶融樹脂フィルムの端部に静電気を付与することにより行いうる。静電ピニングの例としては、具体的には、図3において矢印A2で示す位置において、溶融樹脂フィルム101の端部に静電気を付与し、それにより、溶融樹脂フィルム101がキャスティングドラム130に近接した際に端部のみが静電気の作用によりキャスティングドラム130に付着するよう操作し、静電ピニングを達成しうる。また、前記エアピニングは、例えば、ノズルから出るエアを溶融樹脂フィルムに吹きつけることにより、当該溶融樹脂フィルムをキャスティングドラム側に付勢して付着させるようにする構成を用いることができる。この場合、たとえば、溶融樹脂フィルムの両端部のみをピニングする構成とすることができる。
本発明の製造方法における冷却工程では、周面上の搬送経路中に、区域(X)、及びその下流の区域(Y)が設定される。さらに、任意に、周面上の搬送経路中の区域(X)の上流に、区域(W)が設定されうる。図2に示す第一実施形態においては、位置211から位置219までの経路のうち、位置211から位置212までの区域を区域(W)、区域(W)に隣接した、位置211から位置213までの区域を区域(X)、区域(X)に隣接した、位置213から位置214までの区域を区域(Y)と設定している。
周面上の搬送経路中のある区域の長さは、キャスティングドラムの軸に垂直な断面において、区域の始点位置とキャスティングドラムの軸とを結ぶ線と、区域の終点位置とキャスティングドラムの軸とを結ぶ線とがなす角度(以下の説明において、この角度を単に、当該区域の角度と述べることがある。)、及びキャスティングドラムの径から求めることができる。図2に示す第一実施形態においては、θwは区域(W)の角度であり、θxは区域(X)の角度であり、θyは区域(Y)の角度である。
本発明の製造方法における冷却工程では、区域(X)及び区域(Y)に沿って、それぞれ温度調節器(X)及び(Y)が設けられ、さらに、任意に、区域(W)に沿って、温度調節器(W)が設けられる。温度調節器(W)、(X)及び(Y)は、区域(W)、(X)及び(Y)における溶融樹脂フィルムの外側の表面の温度を調節する。
図2に示す第一実施形態では、区域(W)に沿って温度調節器(W)として温度調節器221Wが設けられ、区域(X)に沿って温度調節器(X)として温度調節器221X及び222Xが設けられ、区域(Y)に沿って温度調節器(Y)として温度調節器221Yが設けられている。
本発明の製造方法における冷却工程では、区域(X)の上流端の位置に溶融樹脂フィルムが達する時点での溶融樹脂フィルムの外側の表面温度T1(℃)が、式(I)を満たし、区域(X)と区域(Y)との境界の位置に溶融樹脂フィルムが達する時点での溶融樹脂フィルムの外側の表面温度T2(℃)が、式(II)を満たし、区域(Y)の下流端の位置に溶融樹脂フィルムが達する時点での溶融樹脂フィルムの外側の表面温度T3(℃)が、式(III)を満たし、溶融樹脂フィルムが区域(X)の上流端の位置から下流端の位置まで移動する時間K(X)(秒)が0.25以上となるよう、冷却を行う。
Tg−10℃≦T1≦Tg+50℃ (I)
Tg+10℃≦T2≦Tg+30℃ (II)
T3≦Tg−10℃ (III)
表面温度T1〜T3が樹脂のガラス転移温度Tgとの関係において式(I)〜(III)の関係を満たし、溶融樹脂の区域(X)内の移動時間K(X)が0.25秒以上となるよう冷却を行うことにより、面内方向の位相差Re及び厚み方向の位相差Rthの両方が小さく、且つ厚さが均一なフィルムの効率的な製造が可能となる。
図4は、本発明の製造方法の冷却工程における溶融樹脂フィルムの温度の変化の一例を模式的に示すグラフである。図4において、横軸は溶融フィルムがダイから押し出されてからの時間、縦軸は溶融樹脂フィルムの温度を示し、矢印Wは溶融樹脂フィルムが区域(W)を通過する時間の範囲を示し、矢印Xは溶融樹脂フィルムが区域(X)を通過する時間(K(X))の範囲を示し、矢印Yは溶融樹脂フィルムが区域(Y)を通過する時間の範囲を示す。また、矢印Iは式(I)により示されるT1の範囲を示し、矢印IIは式(II)により示されるT2の範囲を示し、矢印IIIは式(III)により示されるT3の範囲を示す。そして、曲線41は、溶融フィルムがダイから押し出された後の時間経過に伴う温度変化を示す曲線である。したがって、表面温度T1〜T3は、それぞれ、矢印I〜IIIと曲線41との交点により示される。
図4に示す例において、温度Tdでダイから押し出された溶融樹脂フィルムは、空気中で徐冷されて区域(W)に入る。区域(W)では、温度調節器(W)により、比較的急激な冷却が行われ、それにより、溶融樹脂フィルムは、外側表面温度が式(I)の範囲内の温度T1となった状態で区域(X)に入る。
区域(X)では、温度調節器(X)により、溶融樹脂フィルムは、0.25秒以上の時間であるK(X)秒の間、Tgに近い温度に保たれ、外側表面温度が式(II)の範囲内の温度T2となった状態で区域(Y)に入る。
区域(Y)では、温度調節器(Y)により、比較的急激な冷却が行われ、それにより、溶融樹脂フィルムは、外側表面温度が式(III)の範囲内の温度T3となった状態で区域(Y)を出る。その後冷却されたフィルムは、キャスティングドラムから離脱する。
このような冷却を行うことにより、溶融樹脂フィルムは、区域(X)において、Tgに近い特定の温度範囲に長時間保持される。本発明者が見出したところによれば、このように溶融樹脂フィルムをTgに近い特定の温度範囲に長時間保持することにより、面内方向の位相差Re及び厚み方向の位相差Rthの両方が小さく且つ厚さが均一なフィルムの製造が可能となる。
ただし、区域(X)において溶融樹脂フィルムをTgに近い特定の温度範囲に長時間保持しても、その後、フィルム温度が高いままフィルムがキャスティングドラムから離脱すると、その際に異方性が付与されRe及びRthが高くなったり、フィルム厚さが不均一になったりしうる。そこで区域(Y)において比較的急激な冷却を行い、フィルム温度をTgに対して十分低い特定範囲の温度T3とすることにより、面内方向の位相差Re及び厚み方向の位相差Rthの両方が小さく且つ厚さが均一な光学フィルムの製造が達成できる。
単に溶融樹脂フィルムをTgに近い特定の温度範囲に長時間保持することは、温度調節器を用いなくても、例えば直径の非常に大きいキャスティングドラムを用いたり、キャスティングドラムの回転速度を非常に低速にしたりすることによっても達成しうる。しかしながら、そのような冷却を行った場合、冷却のための設備を設置するのにコストがかかる、既存の設備を利用することができない、冷却速度が非常に遅くなる、等の不利益が生じ、結果的に効率的な製造を行うことができない。これに対して、区域(X)における温度の保持及び区域(Y)における急激な冷却、並びに任意に区域(W)における急激な冷却を組み合わせることにより、Re及びRthの両方が小さく且つ厚さが均一なフィルムを、効率的に製造することが可能となる。
T1は、好ましくはTg−5℃以上、より好ましくはTg以上であり、一方好ましくはTg+45℃以下、より好ましくはTg+40℃以下である。T2は、好ましくはTg+12℃以上、より好ましくはTg+15℃以上であり、一方好ましくはTg+28℃以下、より好ましくはTg+25℃以下である。T3は、好ましくはTg−15℃以下、より好ましくはTg−20℃以下である。T3の下限は特に限定されないが、例えばTg−100℃以上としうる。T1〜T3の範囲をこの範囲とすることにより、Re及びRthの値をより小さくし、膜厚のバラツキをさらに低減することができる。
溶融樹脂フィルムが区域(X)を通過する時間K(X)は、好ましくは0.26秒以上、より好ましくは0.30秒以上である。K(X)を前記下限以上とすることにより、Re及びRthの値をより小さくし、膜厚のバラツキをさらに低減することができる。一方、製造効率の観点から、K(X)の上限は、例えば2.00秒以下としうる。K(X)(秒)は、キャスティングドラムの全周長さL(mm)、キャスティングドラムの回転速度(周面の移動速度)V(mm/秒)、及び区域(X)の角度θx(°)から、式:K(X)=(L/V)×(θx/360)から求めうる。
溶融樹脂フィルムが区域(W)を通過する時間K(W)、及び区域(Y)を通過する時間K(Y)は、時間K(X)を十分長い時間確保する観点及び製造効率を高める観点からは短いことが好ましく、一方正確な制御を行う観点からは長いことが好ましい。具体的には、K(W)及びK(Y)のそれぞれは、好ましくは0.1×K(X)以上、より好ましくは0.2×K(X)以上であり、一方好ましくは1.6×K(X)以下、より好ましくは1.5×K(X)以下である。
溶融樹脂フィルムを押し出す際の温度Tdは、面内方向の位相差Re及び厚み方向の位相差Rthの両方が小さく且つ厚さが均一なフィルムの製造が達成しうる温度に適宜調節しうる。具体的には、Tdは、好ましくはTg+60℃以上、より好ましくはTg+80℃以上であり、一方好ましくはTg+200℃以下、より好ましくはTg+180℃以下である。
冷却工程に用いるキャスティングドラムの直径は、好ましくは300mm〜1200mm、より好ましくは350mm〜1000mmとしうる。前記上限以下の径のキャスティングドラムは比較的安価に入手及び設置が可能であり、且つ既存のフィルム製造設備に多く採用されているものであるため、安価な製造を実現することができる。また、前記下限以上の直径を有することにより、K(X)の時間を容易に確保することができる。
冷却工程におけるキャスティングドラムの回転速度は、その周面の移動速度として、好ましくは300mm/秒以上、より好ましくは500mm/秒以上であり、一方好ましくは3000mm/秒以下、より好ましくは2500mm/秒以下である。回転速度を前記範囲内とすることにより、面内方向の位相差Re及び厚み方向の位相差Rthの両方が小さく、且つ厚さが均一なフィルムの効率的な製造が可能となる。
冷却工程におけるキャスティングドラムの温度は、区域(X)における温度の保持、並びに区域(Y)及び任意に区域(W)における冷却を、温度調節器と協同して所望の程度に行うのに適した範囲に、適宜調節しうる。具体的には、キャスティングドラムの温度は、好ましくはTg−80℃以上、より好ましくはTg−70℃以上であり、一方好ましくはTg−10℃以下、より好ましくはTg−20℃以下である。多くの場合、Tgは冷却装置の周囲温度である室温より高い温度であり、好ましいキャスティングドラムの温度も室温より高い温度となる。したがって、通常冷却工程に際しては、適切な加温装置(不図示)により、キャスティングドラムを加温した状態で操作を行う。
T1〜T3が式(I)〜(III)の関係を満たす冷却工程は、例えば、周面上の搬送経路中の溶融樹脂フィルムの外側の表面温度を温度センサにより計測し、計測された表面温度に基づき、温度調節器(X)、温度調節器(Y)又はこれらの両方の温度を調節することにより行いうる。
温度センサを設ける位置は、例えば、(i)区域(X)の上流端、(ii)区域(X)と区域(Y)との境界、及び(iii)区域(Y)の下流端の3つの位置としうる。温度センサは、前記位置(i)〜(iii)のそれぞれにおいて、1つのみ設けてもよく、2つ以上設けてもよい。温度センサを位置(i)〜(iii)のそれぞれにおいて1つのみ設ける場合は、例えばフィルムの幅方向の中央の温度を計測しうる位置に設けうる。
温度センサとしては、具体的には、赤外放射温度計(例えば、キーエンス社製、製品名「IT2−50」)を用いうる。そして例えば、温度調節器が備える発熱体、吸熱体、及び温度調節器へ温度が調節された空気を導入する送風装置のうちの一以上の出力を制御し温度調節器の温度を調節する制御器を、計測された表面温度に基づき自動又は手動にて操作し、温度調節器に対応する区域における溶融樹脂フィルムの外側の表面の温度の調節を達成しうる。
〔1.4.第一実施形態:温度調節器による温度調節〕
図2〜図3に示す第一実施形態において、温度調節器(W)としての温度調節器221Wは、区域(W)における溶融樹脂フィルム101の外側の表面に近接する空間を囲繞するチャンバーを備え、温度調節器(X)としての温度調節器221X及び222Xは、区域(X)における溶融樹脂フィルム101の外側の表面に近接する空間を囲繞するチャンバーを備え、温度調節器(Y)としての温度調節器221Yは、区域(Y)における溶融樹脂フィルム101の外側の表面に近接する空間を囲繞するチャンバーを備える。第一実施形態においては、区域(W)における溶融樹脂フィルムの外側の表面の温度の調節、区域(X)における溶融樹脂フィルムの外側の表面の温度の調節、及び前記区域(Y)における溶融樹脂フィルムの外側の表面の温度の調節は、温度が調節された空気を、温度調節器のチャンバー内に導入することにより行われる。温度が調節された空気の導入は、加熱器又は冷却器により加温又は冷却された空気を、チャンバーに連結された送風機で導入することにより行いうる。
温度調節器に導入する空気の温度は、T1〜T3が所望の温度となるよう適宜調節することができ、その範囲に特に制限は無い。急激な冷却が必要な場合、周囲の空気を冷却し、室温より低い温度とした空気を導入することもできるが、多くの場合、Tgは室温より高い温度であり、好ましい空気の温度も、通常は室温より高い温度となる。
温度調節器は、それぞれの区域における溶融樹脂フィルムの外側の表面の全面を覆っていてもよく、一部を覆っていてもよいが、なるべく広い面を覆うことが好ましい。具体的には、当該区域における溶融樹脂フィルムの外側の表面の全面のうち、90%以上の表面を覆うことが好ましい。特に、温度調節器は、溶融樹脂フィルムの幅方向の全幅を覆っていることが好ましい。具体的には例えば、図3に示す温度調節器221Xのように、温度調節器の幅を溶融樹脂フィルムの幅より広くし、それにより、溶融樹脂フィルムの全幅を覆うことが好ましい。
図5は、本発明の光学フィルムの製造方法の冷却工程において用いうる、温度調節器の一例を模式的に示す斜視図である。図6は、図5の例の温度調節器を、線A5に沿った面で切断した断面図である。図5及び図6に示す温度調節器500は、必要に応じて、使用箇所に適合するよう縁部512C及び514C等の各部分における具体的な形状を適宜変更して、図2〜図3に示す第一実施形態において、温度調節器(W)、(X)及び(Y)のいずれか1以上として用いうる。
図5及び図6において、温度調節器500は、上面板511、側面板512及び514、底面板513及び背面板515を備える。上面板511及び底面板513の縁部511C及び513Cは直線状の形状を有する。ただし、縁部511C及び513Cはいずれも直線状の形状には限定されず任意である。さらに、側面板512及び514は、その縁部512C及び514Cの形状を、キャスティングドラム130の周面の形状に適合させた形状としうる。かかる形状を有することにより、温度調節器500は、冷却工程において、溶融樹脂フィルム101に近接して設置し、溶融樹脂フィルム101の外側の表面に近接する空間を囲繞するチャンバーとして用いうる。それにより、縁部511C〜514Cで規定される開口に対応する区域における、溶融樹脂フィルムの外側の表面の温度の調節を行うことができる。
さらに、温度調節器500は、一つの導気管521を有する。温度が調節された空気を導入する送風装置(不図示)からの空気を、導気管521を通して受容し、温度調節器500内に導入することにより、溶融樹脂フィルムの外側の表面の温度を、所望の温度に調節することができる。
〔2.変形例〕
上述した実施形態は、更に変更して実施してもよい。
例えば、上に述べた第一実施形態では、2つの温度調節器221X及び222Xで囲繞した領域を区域(X)としたが、これを変更して本発明の製造方法を実施してもよい。
例えば、図2において、位置212から位置215までの区域を区域(X)、位置215から214までの区域を区域(Y)と設定し、位置215における溶融樹脂フィルム101の外側の表面温度をT2として測定し、本発明の製造方法を実施しうる。この場合、冷却工程において、区域(X)においては温度調節器221Xのみを用い、区域(Y)においては温度調節器222X及び221Yを用い、溶融樹脂フィルム101の外側の表面温度を調節しうる。
このように区域を設定した場合、第一実施形態に比べて区域(X)の長さが短くなり、それにより溶融樹脂フィルムが区域(X)を通過する時間K(X)も短くなりうるが、必要に応じ搬送速度をより低速とし、及び/又はキャスティングドラム130の直径をより大きいものに変更し、K(X)を、本発明で規定する特定の範囲に調整することができる。
また例えば、図2において、位置212から位置216までの区域を区域(X)、位置216から214までの区域を区域(Y)と設定し、位置216における溶融樹脂フィルム101の外側の表面温度をT2として測定し、本発明の製造方法を実施しうる。この場合、温度調節器222X内に、隔壁223を設け、冷却工程において、区域(X)においては温度調節器221X及び温度調節器222Xの隔壁223より上流側の部分を用い、区域(Y)においては温度調節器222Xの隔壁223より下流側の部分及び温度調節器221Yを用い、溶融樹脂フィルム101の外側の表面温度を調節しうる。
この場合も、必要に応じ搬送速度をより低速とし、及び/又はキャスティングドラム130の直径をより大きいものに変更し、K(X)を、本発明で規定する特定の範囲に調整することができる。
また例えば、区域(W)、区域(X)及び区域(Y)のそれぞれにおいて、温度を調節する空気は、必ずしも均等な温度である必要である必要は無く、ある区域の中の一部分と他の一部分との温度を異なる温度に調節してもよい。例えば、区域(X)における温度調節器221Xと222Xとで、チャンバー内の温度を異なる値に設定してもよい。
さらには、例えば、区域(W)の上流、区域(Y)の下流、又はこれらの両方に、さらに別の区域を設定し、そこでさらなる温度調節を行うこともできる。
〔2.1.変形例:温度調節器〕
本発明の製造方法及び本発明の装置に用いる温度調節器は、図2〜図3及び図5〜図6に図示したものに限られず、さらなる追加的な構成要素を有するものであってもよい。
図7は、本発明の光学フィルムの製造方法の冷却工程において用いうる、温度調節器の別の一例を模式的に示す斜視図である。図8は、図7の例の温度調節器を、線A7に沿った面で切断した断面図である。図7及び図8に示す温度調節器700は、チャンバー内に整流板741を有する点で、図5及び図6に示す温度調節器500と異なる。整流板741は、網状の構造、多数の厚み方向に貫通する貫通孔を有する構造、多数のスリットを有する構造等の構造を有するものとしうる。このような整流板をチャンバー内に設けることにより、温度調節器の開口の全体にわたり温度を均等とするように気体を導入することができる。
図9は、本発明の光学フィルムの製造方法の冷却工程において用いうる、温度調節器のさらに別の一例を模式的に示す斜視図である。図10は、図9の例の温度調節器を、線A9に沿った面で切断した断面図である。図9及び図10に示す温度調節器900は、一つの導気管521に代えて、複数の導気管921〜928を有する点で、図5及び図6に示す温度調節器500と異なる。このように複数の導気管を備え、それぞれの導気管から同じ温度に調節された空気を導入することにより、温度調節器の開口の全体にわたり温度を均等とするように気体を導入することができる。
または例えば、チャンバーの幅方向の位置により放熱の度合いが異なり、したがって温度調節器の開口の全体にわたり温度を均等とするためにチャンバーの異なる部分に異なる温度に調節された複数種類の気流を導入することが必要である場合は、複数の導気管のそれぞれから、そのように異なる温度に調節された複数種類の気流を導入することもできる。例えば、溶融樹脂フィルムの幅方向の中心部より端部のほうが熱が逃げやすく温度が下がりやすい状態においては、導気管921、924、925及び928から比較的高い温度の気流を導入し、一方導気管922、923、926及び927から比較的低い温度の気流を導入し、それにより温度調節器の開口の全体にわたり温度を均等とすることができる。
または逆に、複数の導気管から、異なる温度に調節された複数種類の気流を導入することにより、温度調節器の開口にわたり温度の勾配を設けることができる。例えば、導気管921、922、923及び924から比較的高い温度の気流を導入し、一方導気管925、926、927及び928から比較的低い温度の気流を導入し、それにより温度調節器の開口の上流から下流にわたり温度の勾配を設けることができる。
図11は、本発明の光学フィルムの製造方法の冷却工程において用いうる、温度調節器のさらに別の一例を模式的に示す斜視図である。図12は、図11の例の温度調節器を、線A11に沿った面で切断した断面図である。図11及び図12に示す温度調節器1100は、一つの導気管521に代えて、複数の導気管1021〜1028を有する点、及びチャンバー内に、上面板511及び下面板513と平行に延長する隔壁1051を有する点で、図5及び図6に示す温度調節器500と異なる。隔壁1051は、温度調節器1100内の空間を、上段の導気管1021〜1024により外部と連通する上段の空間と、下段の導気管1025〜1028により外部と連通する下段の空間との2つに離隔する。
温度調節器1100の上段の導気管1021〜1024から上段の空間に、ある温度に調節された気流を導入し、一方下段の導気管1025〜1028から上段の空間に、別のある温度に調節された気流を導入することにより、温度調節器1100の上段の空間と下段の空間とで、温度の差異を設けることができる。例えば、冷却装置において、温度調節器1100を、隔壁1051より搬送経路上流側の開口が区域(X)に対応し、隔壁1051より搬送経路下流側の開口が区域(Y)に対応するよう設置し、それにより、区域(X)の温度と区域(Y)の温度を独立して調節し、本発明の製造方法を実施することができる。または、もし必要であれば、上段の導気管1021〜1024から導入する気流の温度と下段の導気管1025〜1028から導入する気流の温度とを等しい温度とし、温度調節器1100を一つの区域において用いることもできる。図2の例における温度調節器222X中の隔壁223も、温度調節器1100の隔壁1051と同様な形態で設けることができる。
図13は、本発明の光学フィルムの製造方法の冷却工程において用いうる、温度調節器のさらに別の一例を模式的に示す斜視図である。図14は、図13の例の温度調節器を、線A13に沿った面で切断した断面図である。図13及び図14に示す温度調節器1300は、一つの導気管521に代えて、複数の導気管1321〜1328を有する点、及びチャンバー内に、側面板512及び514と平行に延長する隔壁1361〜1363を有する点で、図5及び図6に示す温度調節器500と異なる。隔壁1361〜1363は、温度調節器1300内の空間を、導気管1321及び1325により外部と連通する空間、導気管1322及び1326により外部と連通する空間、導気管1323及び1327により外部と連通する空間、及び導気管1324及び1328により外部と連通する空間の4つに離隔する。
導気管1321及び1325に導入する気流の温度、導気管1322及び1326に導入する気流の温度、導気管1323及び1327に導入する気流の温度、及び導気管1324及び1328に導入する気流の温度を異なる温度とすることにより、チャンバー内の温度の調節を様々に調節しうる。例えば、チャンバーの幅方向の位置により放熱の度合いが異なり、したがって温度調節器の開口の全体にわたり温度を均等とするためにチャンバーの異なる部分に異なる温度に調節された複数種類の気流を導入することが必要である場合は、複数の導気管のそれぞれから、そのように異なる温度に調節された複数種類の気流を導入することができる。例えば、溶融樹脂フィルムの幅方向の中心部より端部のほうが熱が逃げやすく温度が下がりやすい状態においては、導気管1321、1325、1324及び1328から比較的高い温度の気流を導入し、一方導気管1322、1326、1323及び1327から比較的低い温度の気流を導入し、それにより温度調節器の開口の全体にわたり温度を均等とすることができる。
本発明の製造方法及び本発明の装置に用いる温度調節器はさらに、上に述べた、チャンバー内に温度が調節された空気を導入する機構のものに限られず、これらとは別の原理の機構に基づくものであってもよい。例えば、温度調節器は、溶融樹脂フィルムの外側の表面に近接する発熱体及び/又は吸熱体を備え、温度の調節を、これらによる発熱及び/又は吸熱により行うものであってもよい。
発熱体の例としては、通電により抵抗加熱等により発熱する発熱体、及び別の熱源により加温された水又は油等の流体の熱媒体から伝導された熱を発する発熱体が挙げられる。一方、吸熱体の例としては、必要に応じて冷却された水等の流体の冷媒により冷却され周囲の温度を下げる吸熱体が挙げられる。
このような発熱体及び/又は吸熱体を備える温度調節器は、複数の区域のいずれかに対応する範囲を囲繞するチャンバーを有していてもよいが、そのようなチャンバーを有さず、溶融樹脂フィルムの外側の表面に近接する発熱体及び/又は吸熱体のみを備えるものであってもよい。
さらなる別の機構の温度調節器としては、チャンバーを有さず、溶融樹脂フィルムに熱風又は冷風を吹き付けるノズルなどの構造を有する温度調節器が挙げられる。
さらには、温度調節器は、上に述べた複数の機構を組み合わせたものであってもよい。例えば、温度調節器は、空気を導入する機構及び発熱体の両方をチャンバー内に備えたものであってもよい。
〔3.光学フィルムの材料〕
本発明の製造方法において、光学フィルムの材料として用いうる樹脂としては、溶融押出法により成形しうる各種の熱可塑性樹脂を用いることができる。
熱可塑性樹脂の例としては、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、セルロースエステル樹脂、及びアクリル樹脂等が挙げられる。中でも、液晶表示装置等の表示装置用のフィルムに求められる機械特性、耐熱性、透明度といった品質をバランス良く満たしている観点から、ポリオレフィン樹脂がより好ましく、脂環式ポリオレフィン樹脂が特に好ましい。
脂環式ポリオレフィン樹脂は、主鎖及び側鎖の片方又は両方に脂環式構造を有する脂環式ポリオレフィン重合体を含む樹脂である。脂環式構造としては、例えば飽和脂環炭化水素(シクロアルカン)構造、不飽和脂環炭化水素(シクロアルケン)構造などが挙げられる。中でも、機械強度及び耐熱性の観点から、シクロアルカン構造及びシクロアルケン構造が好ましく、シクロアルカン構造が特に好ましい。
脂環式構造を構成する炭素原子数には、格別な制限はないが、一つの脂環式構造あたり、好ましくは4個以上、より好ましくは5個以上であり、好ましくは30個以下、より好ましくは20個以下、特に好ましくは15個以下である。脂環式構造を構成する炭素原子数が前記の範囲に収まる場合に、機械強度、耐熱性、及びフィルムの成形性等の特性が高度にバランスされ、好適である。
脂環式ポリオレフィン重合体における、脂環式構造を有する構造単位の割合は、使用目的に応じて適宜選択してもよく、好ましくは55重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。脂環式ポリオレフィン重合体における脂環式構造を有する構造単位の割合を前記の範囲に収めることにより、光学フィルムの透明性及び耐熱性を良好にできる。
脂環式ポリオレフィン重合体としては、例えば、ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィン系重合体、環状共役ジエン系重合体、ビニル脂環式炭化水素系重合体、及び、これらの水素化物等を挙げることができる。これらの中で、ノルボルネン系重合体は、透明性と成形性が良好なため、好ましい。
ノルボルネン系重合体としては、例えば、ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体、若しくはノルボルネン構造を有する単量体と任意の単量体との開環重合体、又はそれらの水素化物;ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体、若しくはノルボルネン構造を有する単量体と任意の単量体との付加重合体、又はそれらの水素化物;等を挙げることができる。これらの中で、ノルボルネン構造を有する単量体の開環(共)重合体水素化物は、透明性、成形性、耐熱性、低吸湿性、寸法安定性、軽量性などの観点から、特に好適に用いることができる。ここで(共)重合体とは、重合体及び共重合体のことをいう。
ノルボルネン構造を有する単量体としては、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、7,8−ベンゾトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン(慣用名:メタノテトラヒドロフルオレン)、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)、およびこれらの化合物の誘導体(例えば、環に置換基を有するもの)などを挙げることができる。ここで、置換基としては、例えば、アルキル基、アルキレン基、極性基などを挙げることができる。また、これらの置換基は、同一または相異なって複数個が環に結合していてもよい。さらに、ノルボルネン構造を有する単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
前記の極性基の種類としては、例えば、ヘテロ原子、またはヘテロ原子を有する原子団などが挙げられる。ヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、ハロゲン原子などが挙げられる。極性基の具体例としては、カルボキシル基、カルボニルオキシカルボニル基、エポキシ基、ヒドロキシル基、オキシ基、エステル基、シラノール基、シリル基、アミノ基、ニトリル基、スルホン基などが挙げられる。
ノルボルネン構造を有する単量体と開環共重合可能な任意の単量体としては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等のモノ環状オレフィン類及びその誘導体;シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン等の環状共役ジエン及びその誘導体;などが挙げられる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体、及び、ノルボルネン構造を有する単量体と共重合可能な任意の単量体との開環共重合体は、例えば、単量体を公知の開環重合触媒の存在下に重合することにより得ることができる。
ノルボルネン構造を有する単量体と付加共重合可能な任意の単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン等の炭素原子数2〜20のα−オレフィン及びこれらの誘導体;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン等のシクロオレフィン及びこれらの誘導体;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン等の非共役ジエン;などが挙げられる。これらの単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、α−オレフィンが好ましく、エチレンがより好ましい。
ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体、及び、ノルボルネン構造を有する単量体と共重合可能な任意の単量体との付加共重合体は、例えば、単量体を公知の付加重合触媒の存在下に重合することにより得ることができる。
ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体の水素添加物、ノルボルネン構造を有する単量体とこれと開環共重合可能な任意の単量体との開環共重合体の水素添加物、ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体の水素添加物、およびノルボルネン構造を有する単量体とこれと共重合可能な任意の単量体との付加重合体の水素添加物は、これらの重合体の溶液に、例えば、ニッケル、パラジウム等の遷移金属を含む公知の水素添加触媒を混合して、炭素−炭素不飽和結合を好ましくは90%以上水素添加することによって、得ることができる。
ノルボルネン系重合体の中でも、構造単位として、X:ビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4−ジイル−エチレン構造と、Y:トリシクロ[4.3.0.12,5]デカン−7,9−ジイル−エチレン構造とを有し、これらの構造単位の含有量が、ノルボルネン系重合体の構造単位全体に対して90重量%以上であり、かつ、Xの含有割合とYの含有割合との比が、X:Yの重量比で100:0〜40:60であるものが好ましい。このようなノルボルネン系重合体を用いることにより、長期的に寸法変化がなく、光学特性の安定性に優れる光学フィルムを得ることができる。
脂環式ポリオレフィン重合体の分子量は、使用目的に応じて適宜選定されうる。脂環式ポリオレフィン重合体の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは10,000以上、より好ましくは15,000以上、特に好ましくは20,000以上であり、好ましくは100,000以下、より好ましくは80,000以下、特に好ましくは50,000以下である。重量平均分子量がこのような範囲にあるときに、光学フィルムの機械的強度及び成型加工性が高度にバランスされ、好適である。ここで、前記の重量平均分子量は、溶媒としてシクロヘキサン(試料である重合体が溶解しない場合はトルエン)を用いたゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーで測定した、ポリイソプレン又はポリスチレン換算の値である。
また、脂環式ポリオレフィン重合体の分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は、好ましくは1.0以上、より好ましくは1.1以上、特に好ましくは1.2以上であり、好ましくは10.0以下、より好ましくは4.0以下、特に好ましくは3.5以下である。分子量分布を前記範囲の下限値以上にすることにより、重合体の生産性を高めてコストを下げることができる。また、上限値以下にすることにより、低分子成分の量を抑制して緩和時間の短い成分を減らすことができるので、高温曝露時の配向緩和を低減させることが可能となる。
光学フィルムを構成する樹脂は、本発明の効果を著しく損なわない限り、上述した重合体以外に任意の成分を含んでいてもよい。任意の成分の例を挙げると、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、分散剤、塩素捕捉剤、難燃剤、結晶化核剤、強化剤、ブロッキング防止剤、防曇剤、離型剤、顔料、有機又は無機の充填剤、中和剤、滑剤、分解剤、金属不活性化剤、汚染防止剤、および抗菌剤などが挙げられる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。ただし、任意の成分の量は本発明の効果を損なわない範囲であり、重合体100重量部に対して、通常50重量部以下、好ましくは30重量部以下、より好ましくは20重量部以下、特に好ましくは10重量部以下である。また、下限はゼロである。
光学フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度は、使用目的に応じて適宜選択されうるものであり、好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上、また、好ましくは250℃以下である。ガラス転移温度がこのような範囲にある樹脂のフィルムは、高温下での使用における変形及び応力が生じ難く、耐久性に優れる。
〔4.光学フィルム〕
本発明の製造方法及び本発明の製造装置により得られる光学フィルムは、その面内方向の位相差Re及び厚み方向の位相差Rthの両方を、小さい値とすることができる。具体的には、Reについては、好ましくは5nm以下、より好ましくは3nm未満とすることができる。また、Rthについては、好ましくは10nm以下、より好ましくは3nm未満とすることができる。
光学フィルムの厚さは、使用目的に応じて適宜調整でき、好ましくは10〜200μm、より好ましくは30〜150μmとしうる。
光学フィルムの寸法は、特に制限はないが、通常は、長尺の光学フィルムとしうる。それにより、効率的な製造を行うことができる。「長尺」とは、幅に対して、少なくとも5倍以上の長さを有するものをいい、好ましくは10倍若しくはそれ以上の長さを有し、具体的にはロール状に巻き取られて保管又は運搬される程度の長さを有するものをいう。光学フィルムの幅方向の寸法は、使用目的に応じて適宜調整でき、好ましくは500〜3000mm、より好ましくは800〜2000mmとしうる。
本発明の製造方法及び本発明の製造装置により得られる光学フィルムは、その膜厚のバラツキが小さいものとすることができる。膜厚のバラツキとしては、例えば、フィルムの中央部において、フィルムの幅方向に、フィルムの幅の80%程度の範囲にわたり0.48mm間隔で厚さを測定し、その最大値及び最小値の差を採用しうる。当該膜厚のバラツキは、好ましくは3μm以下、より好ましくは1μm以下とすることができる。膜厚の測定は、膜厚計(例えば、明産株式会社製、RC−1 ROTARY CALIPER)を用いて行いうる。
光学フィルムは、通常、高い透明性を有する。具体的には、樹脂フィルムの1mm厚換算での全光線透過率は、80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。また、樹脂フィルムの1mm厚換算でのヘイズは、0.3%以下であることが好ましく、0.2%以下であることが特に好ましい。ここで、全光線透過率は、JIS K7361−1997に準拠して測定しうる。また、ヘイズは、JIS K7136−1997に準拠して測定しうる。
光学フィルムの具体的な用途は、特に制限は無く、低いRe及びRthが求められる各種の用途に用いることができる。例えば、偏光板保護フィルム、及び従来より用いられるガラス基板の代替としての樹脂フィルム基板等の構成要素として、テレビ受像機、携帯電話等の各種機器における液晶表示装置等の表示装置において用いることができる。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例によって限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更しうる。以下に述べる操作は、特に断らない限り、常温常圧の環境において行った。
以下の実施例及び比較例において、得られた光学フィルムの評価は、以下の方法により行った。
(1)フィルムの面内方向位相差Re及び厚み方向位相差Rth
自動複屈折計(王子計測機器社製、KOBRA−21ADH)を用いて波長590nmにおいて、フィルム幅方向に150mm間隔、長さ方向に200mm間隔で測定した。幅方向5箇所×長さ方向5箇所の25箇所についてRe及びRthを測定し、それぞれの平均値を測定結果とした。
Reについては、測定結果が3nm未満のものを「良」、3nm〜5nmのものを「可」、5nmを超えるものを「不可」と評価した。
Rthについては、測定結果が3nm未満のものを「良」、3nm〜10nmのものを「可」、10nmを超えるものを「不可」と評価した。
(2)フィルムの膜厚バラツキ
膜厚計(明産株式会社製、RC−1 ROTARY CALIPER)を用いて、フィルムの幅方向に、フィルムの中央部1000mmにわたり0.48mm間隔で厚さを測定し、その最大値及び最小値の差を膜厚バラツキとした。
膜厚バラツキが1μm未満のものを「良」、1μm〜3μmのものを「可」とし、3μmを超えるものを「不可」と評価した。
(3)総合評価
Re、Rth、膜厚バラツキの3項目のうち全てが「良」であったものを総合評価として「優」とし、1項目以上「不可」があったものを総合評価として「不可」とし、それ以外を総合評価として「良」とした。
<実施例1>
図1に模式的に示す光学フィルム製造装置(図1に模式的に示す溶融樹脂フィルム成形装置110及び図1〜図3に模式的に示す冷却装置200を含む)を用いて、光学フィルムの製造を行い、得られた光学フィルムの評価を行った。
(1−1.溶融樹脂フィルム成形工程)
光学フィルムの材料の樹脂として、ノルボルネン系重合体(ノルボルネン系モノマーの開環重合体の水素添加物、商品名「ZEONOR1420R」、日本ゼオン社製、ガラス転移温度(Tg)は136℃)のペレットを用意した。シリンダー内径が90mm、L/D(長さ/径)が32の単軸押出成形機(日本製鋼所製)111において、このペレットを、バレル温度260℃で溶融させ、溶融樹脂とした。この溶融樹脂を、ポリマーフィルター及びギヤポンプ(不図示)を経て、ダイ温度260℃のTダイ112に供給し、Tダイ112から押し出し、幅1200mmの溶融樹脂フィルム101を連続的に成形した。この際、図2中の位置211において、溶融樹脂フィルム101の幅方向両端部にエアピニングを実施し、この溶融樹脂フィルム101の幅方向両端部をキャスティングドラム130に付着させた。
(1−2.冷却工程)
図2に模式的に示す冷却装置200を用いて、冷却工程を行った。冷却装置200において、キャスティングドラム130としては、直径は350mmのものを用いた。したがってキャスティングドラム130の全周長さLは1100mmであった。キャスティングドラム130の周面上の搬送経路の始点位置211から終点位置219までのうち、始点位置211から位置212までの区域を区域(W)、その下流の、位置212から位置213までの区域を区域(X)、その下流の、位置213から位置214までの区域を区域(Y)と設定した。区域(W)の角度θwは30°、区域(X)の角度θxは180°、区域(Y)の角度θyは30°とした。区域(W)に沿って、温度調節器221Wを配置し、区域(X)に沿って、温度調節器221X及び222Xを配置し、区域(Y)に沿って、温度調節器221Yを配置した。
工程(1−1)で得た溶融樹脂フィルム101を、連続的に、冷却装置200のキャスティングドラム130に導いた。キャスティングドラム130を軸131を中心に回転させることにより、溶融樹脂フィルム101をキャスティングドラム130の周面上の搬送経路に沿って搬送し、溶融樹脂フィルムを冷却した(冷却工程)。
冷却工程において、キャスティングドラム130の表面温度は110℃に調節した。また、キャスティングドラム130の回転速度(周面の移動速度)Vは1667mm/秒とした。したがって、K(X)=(L/V)×(θx/360)で求められる、溶融樹脂フィルム101が区域(X)の上流端の位置(位置212)から下流端の位置(位置213)まで移動する時間K(X)は、0.33秒であった。
冷却工程において、区域(W)においては温度調節器221Wを用い、区域(X)においては温度調節器221X及び222Xを用い、区域(Y)においては温度調節器221Yを用い、溶融樹脂フィルムの外側に接する空気の温度を調節することにより、溶融樹脂フィルム101の外側の表面温度を調節した。位置213における溶融樹脂フィルム101の外側の表面温度T1、位置214における溶融樹脂フィルム101の外側の表面温度T2、及び位置214における溶融樹脂フィルム101の外側の表面温度T3を、赤外放射温度計(キーエンス社製、IT2−50)にて測定した。表面温度の測定は、それぞれの位置において、キャスティングドラム130の軸方向中央の点において行った。当該測定により得られた測定値に基づいて、温度調節器221W、温度調節器221X及び222X、並びに温度調節器221Yへ導入する空気の温度を、T1〜T3の測定値が所定の設定値となるよう手動で調節した。T1〜T3の設定値は、T1=Tg+20℃、T2=Tg+20℃、T3=Tg−20℃とした。
(1−3.評価及び巻き取り)
冷却工程の終点位置219において、フィルムを、キャスティングドラム130から離脱するよう導き、厚さ80μmの光学フィルム102を得た。得られた光学フィルム102は、自動複屈折計141及び膜厚計142に導き、面内方向位相差Re及び厚み方向位相差Rth並びにフィルムの膜厚バラツキを測定して評価し、その後巻き取り機にて巻き取り、ロール151とした。
光学フィルムのRe、Rth及び膜厚バラツキの評価結果、並びにこれらの総合評価の結果を表1に示す。
<実施例2>
工程(1−2)において下記の事項を変更した他は、実施例1と同様にして、光学フィルムの製造を行い、得られた光学フィルムの評価を行った。
キャスティングドラム130として、直径350mmのものに代えて、直径1050mmのものを用いた。キャスティングドラム130の全周長さLは3299mmであった。
キャスティングドラム130の周面上の搬送経路の始点位置211から終点位置219までのうち、始点位置211から位置212までの区域を区域(W)、その下流の、位置212から位置215までの区域を区域(X)、その下流の、位置215から位置214までの区域を区域(Y)と設定した。区域(W)の角度θwは30°、区域(X)の角度θxは90°、区域(Y)の角度θyは120°とした。
キャスティングドラム130の回転速度Vは2500mm/秒に変更した。K(X)=(L/V)×(θx/360)で求められる、溶融樹脂フィルム101が区域(X)の上流端の位置(位置212)から下流端の位置(位置215)まで移動する時間K(X)は、0.33秒であった。
冷却工程において、区域(W)においては温度調節器221Wを用い、区域(X)においては温度調節器221Xを用い、区域(Y)においては温度調節器222X及び221Yを用い、溶融樹脂フィルム101の外側の表面温度を調節した。位置213における溶融樹脂フィルム101の外側の表面温度T1、位置215における溶融樹脂フィルム101の外側の表面温度T2、及び位置214における溶融樹脂フィルム101の外側の表面温度T3を測定した。当該測定により得られた測定値に基づいて、温度調節器221W、温度調節器221X、並びに温度調節器222X及び221Yへ導入する空気の温度を、T1〜T3の測定値が所定の設定値となるよう調節した。
光学フィルムのRe、Rth及び膜厚バラツキの評価結果、並びにこれらの総合評価の結果を表1に示す。
<実施例3>
工程(1−2)において、T1の設定値をTg+50℃に変更した他は、実施例1と同様にして、光学フィルムの製造を行い、得られた光学フィルムの評価を行った。光学フィルムのRe、Rth及び膜厚バラツキの評価結果、並びにこれらの総合評価の結果を表1に示す。
<実施例4>
工程(1−2)において、T1の設定値をTg+30℃に変更した他は、実施例1と同様にして、光学フィルムの製造を行い、得られた光学フィルムの評価を行った。光学フィルムのRe、Rth及び膜厚バラツキの評価結果、並びにこれらの総合評価の結果を表1に示す。
<実施例5>
工程(1−2)において、T1の設定値をTg+10℃に変更した他は、実施例1と同様にして、光学フィルムの製造を行い、得られた光学フィルムの評価を行った。光学フィルムのRe、Rth及び膜厚バラツキの評価結果、並びにこれらの総合評価の結果を表1に示す。
<実施例6>
工程(1−2)において、T1の設定値をTg−10℃に変更した他は、実施例1と同様にして、光学フィルムの製造を行い、得られた光学フィルムの評価を行った。光学フィルムのRe、Rth及び膜厚バラツキの評価結果、並びにこれらの総合評価の結果を表1に示す。
<実施例7>
工程(1−2)において、T2の設定値をTg+30℃に変更した他は、実施例1と同様にして、光学フィルムの製造を行い、得られた光学フィルムの評価を行った。光学フィルムのRe、Rth及び膜厚バラツキの評価結果、並びにこれらの総合評価の結果を表1に示す。
<実施例8>
工程(1−2)において、T2の設定値をTg+10℃に変更した他は、実施例1と同様にして、光学フィルムの製造を行い、得られた光学フィルムの評価を行った。光学フィルムのRe、Rth及び膜厚バラツキの評価結果、並びにこれらの総合評価の結果を表1に示す。
<実施例9>
工程(1−2)において、T3の設定値をTg−30℃に変更した他は、実施例1と同様にして、光学フィルムの製造を行い、得られた光学フィルムの評価を行った。光学フィルムのRe、Rth及び膜厚バラツキの評価結果、並びにこれらの総合評価の結果を表1に示す。
<実施例10>
工程(1−2)において、T3の設定値をTg−10℃に変更した他は、実施例1と同様にして、光学フィルムの製造を行い、得られた光学フィルムの評価を行った。光学フィルムのRe、Rth及び膜厚バラツキの評価結果、並びにこれらの総合評価の結果を表1に示す。
<実施例11>
工程(1−2)において下記の事項を変更した他は、実施例1と同様にして、光学フィルムの製造を行い、得られた光学フィルムの評価を行った。
キャスティングドラム130の周面上の搬送経路の始点位置211から終点位置219までのうち、始点位置211から位置212までの区域を区域(W)、その下流の、位置212から位置216までの区域を区域(X)、その下流の、位置216から位置214までの区域を区域(Y)と設定した。区域(W)の角度θwは30°、区域(X)の角度θxは135°、区域(Y)の角度θyは75°とした。K(X)=(L/V)×(θx/360)で求められる、溶融樹脂フィルム101が区域(X)の上流端の位置(位置212)から下流端の位置(位置216)まで移動する時間K(X)は、0.25秒であった。
冷却工程において、区域(W)においては温度調節器221Wを用い、区域(X)においては温度調節器221X及び温度調節器222Xの隔壁223より上流側の部分を用い、区域(Y)においては温度調節器222Xの隔壁223より下流側の部分及び温度調節器221Yを用い、溶融樹脂フィルム101の外側の表面温度を調節した。位置213における溶融樹脂フィルム101の外側の表面温度T1、位置216における溶融樹脂フィルム101の外側の表面温度T2、及び位置214における溶融樹脂フィルム101の外側の表面温度T3を測定した。当該測定により得られた測定値に基づいて、温度調節器221W、温度調節器221X及び温度調節器222Xの隔壁223より上流側の部分、並びに温度調節器222Xの隔壁223より下流側の部分及び温度調節器221Yへ導入する空気の温度を、T1〜T3の測定値が所定の設定値となるよう調節した。
光学フィルムのRe、Rth及び膜厚バラツキの評価結果、並びにこれらの総合評価の結果を表1に示す。
<実施例12>
工程(1−2)において、キャスティングドラム130の回転速度Vを833mm/秒に変更し、K(X)を0.66秒に変更した他は、実施例1と同様にして、光学フィルムの製造を行い、得られた光学フィルムの評価を行った。光学フィルムのRe、Rth及び膜厚バラツキの評価結果、並びにこれらの総合評価の結果を表1に示す。
<実施例13>
工程(1−2)において、キャスティングドラム130の回転速度Vを550mm/秒に変更し、K(X)を1.00秒に変更した他は、実施例1と同様にして、光学フィルムの製造を行い、得られた光学フィルムの評価を行った。光学フィルムのRe、Rth及び膜厚バラツキの評価結果、並びにこれらの総合評価の結果を表1に示す。
<比較例1>
工程(1−2)において、T1の設定値をTg+60℃に変更した他は、実施例1と同様にして、光学フィルムの製造を行い、得られた光学フィルムの評価を行った。光学フィルムのRe、Rth及び膜厚バラツキの評価結果、並びにこれらの総合評価の結果を表1に示す。
<比較例2>
工程(1−2)において、T1の設定値をTg−20℃に変更した他は、実施例1と同様にして、光学フィルムの製造を行い、得られた光学フィルムの評価を行った。光学フィルムのRe、Rth及び膜厚バラツキの評価結果、並びにこれらの総合評価の結果を表1に示す。
<比較例3>
工程(1−2)において、T2の設定値をTg+40℃に変更した他は、実施例1と同様にして、光学フィルムの製造を行い、得られた光学フィルムの評価を行った。光学フィルムのRe、Rth及び膜厚バラツキの評価結果、並びにこれらの総合評価の結果を表1に示す。
<比較例4>
工程(1−2)において、T2の設定値をTgに変更した他は、実施例1と同様にして、光学フィルムの製造を行い、得られた光学フィルムの評価を行った。光学フィルムのRe、Rth及び膜厚バラツキの評価結果、並びにこれらの総合評価の結果を表1に示す。
<比較例5>
工程(1−2)において、T3の設定値をTgに変更した他は、実施例1と同様にして、光学フィルムの製造を行い、得られた光学フィルムの評価を行った。光学フィルムのRe、Rth及び膜厚バラツキの評価結果、並びにこれらの総合評価の結果を表1に示す。
<比較例6>
工程(1−2)において、T3の設定値をTg+10に変更した他は、実施例1と同様にして、光学フィルムの製造を行い、得られた光学フィルムの評価を行った。光学フィルムのRe、Rth及び膜厚バラツキの評価結果、並びにこれらの総合評価の結果を表1に示す。
<比較例7>
工程(1−2)において下記の事項を変更した他は、実施例1と同様にして、光学フィルムの製造を行い、得られた光学フィルムの評価を行った。
キャスティングドラム130の周面上の搬送経路の始点位置211から終点位置219までのうち、始点位置211から位置212までの区域を区域(W)、その下流の、位置212から位置215までの区域を区域(X)、その下流の、位置215から位置214までの区域を区域(Y)と設定した。区域(W)の角度θwは30°、区域(X)の角度θxは90°、区域(Y)の角度θyは120°とした。K(X)=(L/V)×(θx/360)で求められる、溶融樹脂フィルム101が区域(X)の上流端の位置(位置212)から下流端の位置(位置215)まで移動する時間K(X)は、0.16秒であった。
冷却工程において、区域(W)においては温度調節器221Wを用い、区域(X)においては温度調節器221Xを用い、区域(Y)においては温度調節器222X及び221Yを用い、溶融樹脂フィルム101の外側の表面温度を調節した。位置213における溶融樹脂フィルム101の外側の表面温度T1、位置215における溶融樹脂フィルム101の外側の表面温度T2、及び位置214における溶融樹脂フィルム101の外側の表面温度T3を測定した。当該測定により得られた測定値に基づいて、温度調節器221W、温度調節器221X、並びに温度調節器222X及び221Yへ導入する空気の温度を、T1〜T3の測定値が所定の設定値となるよう調節した。
光学フィルムのRe、Rth及び膜厚バラツキの評価結果、並びにこれらの総合評価の結果を表1に示す。
Figure 0006273955
表1の結果から明らかな通り、T1〜T3及びK(X)が本発明の要件を満たす条件で製造されたフィルムは、Re、Rth及び膜厚の均一性の全てにおいてバランスよく良好であると評価された。
10 光学フィルム製造装置
41 溶融フィルムがダイから押し出された後の時間経過に伴う温度変化を示す曲線
110 溶融樹脂フィルム成形装置
101 溶融樹脂フィルム
111 押出成形機
112 ダイ
130 キャスティングドラム
141 自動複屈折計
142 膜厚計
151 光学フィルムのロール
200 冷却装置
211 搬送経路上の位置
213 搬送経路上の位置
214 搬送経路上の位置
215 搬送経路上の位置
216 搬送経路上の位置
219 搬送経路上の位置
221W 温度調節器
221X 温度調節器
221Y 温度調節器
222X 温度調節器
223 隔壁
500 温度調節器
511 上面板
511C 上面板の縁部
512 側面板
512C 側面板の縁部
513 底面板
513C 底面板の縁部
514 側面板
514C 側面板の縁部
515 背面板
521 導気管
700 温度調節器
741 整流板
900 温度調節器
921〜928 導気管
1100 温度調節器
1021〜1028 導気管
1051 隔壁
1300 温度調節器
1321〜1328 導気管
1361〜1363 隔壁
θw 区域(W)の角度
θx 区域(X)の角度
θy 区域(Y)の角度

Claims (10)

  1. ガラス転移温度がTg(℃)である樹脂を溶融状態で押し出し溶融樹脂フィルムを連続的に成形する溶融樹脂フィルム成形工程、及び
    前記溶融樹脂フィルムをキャスティングドラムに連続的に導き、前記キャスティングドラムの回転により前記溶融樹脂フィルムを前記キャスティングドラムの周面上の搬送経路に沿って搬送し、前記溶融樹脂フィルムを冷却する冷却工程
    を含む、光学フィルムの製造方法であって、
    前記冷却工程は、
    前記周面上の搬送経路中の区域(X)に沿って設けられ、前記区域(X)における前記溶融樹脂フィルムの外側の表面の温度を調節する温度調節器(X)、及び前記区域(X)の下流の区域(Y)に沿って設けられ、前記区域(Y)における前記溶融樹脂フィルムの外側の表面の温度を調節する温度調節器(Y)により、前記溶融樹脂フィルムの前記外側の表面の温度を調節することを含み、
    前記区域(X)の上流端の位置に前記溶融樹脂フィルムが達する時点での前記溶融樹脂フィルムの外側の表面温度T1(℃)が、式(I):
    Tg−10℃≦T1≦Tg+50℃ (I)
    を満たし、
    前記区域(X)と区域(Y)との境界の位置に前記溶融樹脂フィルムが達する時点での前記溶融樹脂フィルムの外側の表面温度T2(℃)が、式(II):
    Tg+10℃≦T2≦Tg+30℃ (II)
    を満たし、
    前記区域(Y)の下流端の位置に前記溶融樹脂フィルムが達する時点での前記溶融樹脂フィルムの外側の表面温度T3(℃)が、式(III):
    T3≦Tg−10℃ (III)
    を満たし、
    前記溶融樹脂フィルムが前記区域(X)の上流端の位置から下流端の位置まで移動する時間K(X)(秒)が0.25以上である、光学フィルムの製造方法。
  2. 前記キャスティングドラムの直径が、300mm〜1200mmである、請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
  3. 前記温度調節器(X)、前記温度調節器(Y)又はこれらの両方が、前記溶融樹脂フィルムの外側の表面に近接する空間を囲繞するチャンバーを備え、前記区域(X)における温度の調節、前記区域(Y)における温度の調節又はこれらの両方を、温度が調節された空気を前記チャンバー内に導入することにより行う、請求項1又は2に記載の光学フィルムの製造方法。
  4. 前記温度調節器(X)、前記温度調節器(Y)又はこれらの両方が、前記溶融樹脂フィルムの外側の表面に近接する発熱体、吸熱体又はこれらの両方を備え、前記区域(X)における温度の調節、前記区域(Y)における温度の調節又はこれらの両方を、前記発熱体、前記吸熱体又はこれらの両方による発熱、吸熱又はこれらの両方により行う、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
  5. 前記区域(X)における温度の調節、前記区域(Y)における温度の調節、又はこれらの両方が、
    前記周面上の搬送経路中の前記溶融樹脂フィルムの外側の表面温度を温度センサにより計測し、
    計測された前記表面温度に基づき、前記温度調節器(X)、前記温度調節器(Y)又はこれらの両方の温度を調節することを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
  6. 熱可塑性樹脂を溶融状態で押し出し溶融樹脂フィルムを連続的に成形する溶融樹脂フィルム成形装置、及び
    前記溶融樹脂フィルム成形装置の下流に設けられ、前記溶融樹脂フィルムを冷却する冷却装置を備える、光学フィルム製造装置であって、
    前記冷却装置は、
    前記溶融樹脂フィルムを冷却及び搬送するキャスティングドラム、
    前記キャスティングドラムの周面上の前記溶融樹脂フィルムの搬送経路中の区域(X)に沿って設けられ、前記区域(X)における前記溶融樹脂フィルムの外側の表面の温度を調節する温度調節器(X)、及び
    前記区域(X)の下流の区域(Y)に沿って設けられ、前記区域(Y)における前記溶融樹脂フィルムの外側の表面の温度を調節する温度調節器(Y)を備える、請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法に用いる、光学フィルム製造装置。
  7. 前記キャスティングドラムの直径が、300mm〜1200mmである、請求項6に記載の光学フィルム製造装置。
  8. 前記温度調節器(X)、前記温度調節器(Y)又はこれらの両方が、前記溶融樹脂フィルムの外側の表面に近接する空間を囲繞するチャンバーを備える、請求項6又は7に記載の光学フィルムの製造装置。
  9. 前記温度調節器(X)、前記温度調節器(Y)又はこれらの両方が、前記溶融樹脂フィルムの外側の表面に近接する発熱体、吸熱体又はこれらの両方を備える、請求項6〜8のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造装置。
  10. 前記周面上の搬送経路中の前記溶融樹脂フィルムの外側の表面温度を計測する温度センサ、及び
    計測された前記表面温度に基づき、前記温度調節器(X)及び前記温度調節器(Y)の温度を調節する制御器を備える、請求項6〜9のいずれか1項に記載の光学フィルム製造装置。
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