JP6273816B2 - 溶融塩中のNaイオン濃度の調整方法及び強化ガラスの製造方法 - Google Patents

溶融塩中のNaイオン濃度の調整方法及び強化ガラスの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ガラスを化学強化するために用いる溶融塩が化学強化処理により劣化した際に、劣化した溶融塩中のNaイオン濃度を調整する方法に関し、さらには、当該方法でNaイオン濃度を調整した溶融塩を用いた強化ガラスの製造方法に関する。
携帯電話、スマートフォンおよびタブレット端末といったディスプレイ装置などのカバーガラスおよびディスプレイのガラス基板には、イオン交換等で化学強化処理したガラス(以下、化学強化ガラスともいう。)が用いられている。ガラスは理論強度が高いものの、傷がつくことで強度が大幅に低下する。化学強化ガラスは、未強化のガラスに比べて、機械的強度が高く、ガラス表面に傷がつくのを防ぐため、これらの用途に好適である。
イオン交換による化学強化処理は、ガラス中に含まれる小さいイオン半径の金属イオン(例えば、Naイオン)とより大きいイオン半径の金属イオン(例えば、Kイオン)とを置換することにより、ガラス表面に圧縮応力層を生じさせてガラスの強度を向上させる処理である。
ガラス組成中にNaOを含む場合、Kイオンを含む溶融塩(無機カリウム塩)にガラスを浸漬し、ガラス中のNaイオンと溶融塩中のKイオンとをイオン交換する。溶融塩は強化処理温度で溶融状態となる無機カリウム塩が用いられるが、中でも硝酸カリウムが用いられることが多い。
化学強化ガラスの評価方法のひとつとして、表面圧縮応力(Compressive Stress:CS)が挙げられる。化学強化処理後にガラスに対して最高のCSを付与することができるのは、イオン交換に供していない溶融塩(新しい溶融塩、または初期の溶融塩とも称する)を用いた時に限られ、実際には累積ガラス処理面積に応じて、得られるCS値は徐々に低下してしまう。
CS値が低下する要因は、イオン交換によりガラス中から溶出するNaイオンによって硝酸カリウム溶融塩が希釈されることに起因し、Naイオン濃度増加とCS値低下には相関があることが知られている。
そこで、ある一定値以上のCS値が得られなくなったら、溶融塩のすべて又は一部を新しい溶融塩に交換する方法が考えられる。しかしながら、この方法では、溶融塩の交換頻度が高くなり、高コスト化および交換時のダウンタイムによる化学強化処理効率の低下が懸念される。
そこで、溶融塩の使用期間を延ばすために、化学強化処理により劣化した溶融塩を再生する手法として様々な方法が検討されている。例えば、特許文献1には、被処理物との接触処理を終えた溶融塩を無機多孔質材に接触させる溶融塩の再生方法が開示されている。
特許文献2には、塩化ナトリウム原料と、低融点の2価以上の金属の塩とを混合溶融することによって調製された溶融塩化ナトリウム電解浴を、ナトリウム含有β−アルミナの粉粒体とを接触せしめて該塩化ナトリウム原料に不純物として含まれるカリウムを除去する溶融塩化ナトリウム電解浴の精製法が開示されている。
特許文献3および特許文献4には、高温に保持された溶融塩を耐熱性の良好な無機吸着材に接触させる溶融塩の処理方法が記載されている。
特開昭63−17218号公報 特開昭53−16393号公報 特開昭61−291037号公報 特開昭61−178004号公報
特許文献1〜4に記載の方法は、吸着により溶融塩中から不純物を除去するものであり、溶融塩の再生効率が低く、高いCS値を付与しうる状態に溶融塩を再生するにはコストおよび時間がかかるという問題点があった。
また、特許文献1〜4には、吸着により溶融塩中から除去できる不純物の質量を事前に予測し、狙ったCS値を付与しうる状態に溶融塩を再生する方法は開示されていない。さらには、例えばガラスに付与できるCS値が必要以上に高い際に、より低いCS値を付与しうる状態までNaイオン濃度を調整する方法等も示されていない。
したがって、本発明は、溶融塩の連続使用によりガラスに付与できるCS値が低下した際に、高いCS値を付与しうる状態にすることができ、一方でガラスに付与できるCS値が高い際に、低いCS値を付与しうる状態にすることもできる溶融塩中のNaイオン濃度の調整方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、ガラスの化学強化工程におけるイオン交換処理を経た溶融塩を、Kを含有する無機イオン交換材に接触させることにより、溶融塩中のNaイオン濃度を調整して所望のCS値をガラスに付与し得る状態にできることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
1.ガラスの化学強化工程におけるイオン交換処理を経た溶融塩を、溶融塩中で不溶な固体として存在するKを含有する無機イオン交換材に接触させる該溶融塩中のNaイオン濃度の調整方法。
2.前記溶融塩の全質量をX(g)、前記無機イオン交換材の全質量をY(g)、前記無機イオン交換材中のKイオン濃度をα(質量%)、Naイオン濃度の調整前における前記溶融塩中のNaイオン濃度をβ(質量ppm)、Naイオン濃度の調整後における前記溶融塩中のNaイオン濃度をγ(質量ppm)としたとき、これらが関係式Y≧10−4×X(β−γ)/αを満たす前項1に記載の溶融塩中のNaイオン濃度の調整方法。
3.前記溶融塩が前記関係式に加え関係式β>γを満たす前項2に記載の溶融塩中のNaイオン濃度の調整方法。
4.Naイオン濃度の調整後における前記溶融塩中のNaイオン濃度γが3000(質量ppm)以下である前項2または3に記載の溶融塩中のNaイオン濃度の調整方法。
5.前記無機イオン交換材中の全アルカリ金属中に占めるKの質量比が85%以上であることを特徴とする、前項1〜4のいずれか1項に記載の溶融塩中のNaイオン濃度の調整方法。
6.前記無機イオン交換材がゼオライトである前項1〜5のいずれか1項に記載の溶融塩中のNaイオン濃度の調整方法。
7.前記ゼオライトが予めK含有量を調整したゼオライトである前項6に記載の溶融塩中のNaイオン濃度の調整方法。
8.前記ゼオライトがA型ゼオライトである、前項6または7に記載の溶融塩中のNaイオン濃度の調整方法。
9.前記溶融塩が硝酸カリウムを含む前項1〜8のいずれか1項に記載の溶融塩中のNaイオン濃度の調整方法。
10.前記溶融塩に前記無機イオン交換材を接触させる時間が1時間未満である前項1〜9のいずれか1項に記載の溶融塩中のNaイオン濃度の調整方法。
11.前記溶融塩に前記無機イオン交換材を接触させた後に撹拌を行う前項1〜10のいずれか1項に記載の溶融塩中のNaイオン濃度の調整方法。
12.前項1〜11のいずれか1項に記載の調整方法でNaイオン濃度を調整した溶融塩を用いてガラスを化学強化する工程を含む、強化ガラスの製造方法。
本発明の溶融塩中のNaイオン濃度の調整方法によれば、例えば、ガラスの化学強化工程におけるイオン交換処理を経た溶融塩を、溶融塩中で不溶な固体として存在するKを含有する無機イオン交換材に接触させることにより、溶融塩中の不純物であるアルカリ金属イオンおよびアルカリ土類金属イオンが、添加した固体の無機イオン交換材中のKイオンとイオン交換され、液相から除去される。そのために溶融塩中のNaイオン濃度が低下し、Kイオン濃度が増加するので、所望のCS値を得る溶融塩として再び化学強化処理に供することができる。
イオン交換処理により溶融塩中の不純物を除去する本発明の溶融塩中のNaイオン濃度の調整方法は、吸着によるNaイオンの除去と比較して溶融塩中のNaイオン除去効率が高い。さらに、無機イオン交換材中のK濃度、添加量を調整することにより、任意の初期Naイオン濃度の溶融塩について、所望のNaイオン濃度に調整可能となる。
図1は、溶融塩に添加した無機イオン交換材中のKイオン濃度と、無機イオン交換材を浸漬後の溶融塩中のNaイオン濃度との関係を示すグラフ(y=−121.6x+13330)である。 図2は、溶融塩に無機イオン交換材を浸漬した後の撹拌時間と、無機イオン交換材を浸漬後の溶融塩中のNaイオン濃度との関係を示すグラフである。 図3は、溶融塩への無機イオン交換材の浸漬温度を380℃または430℃とした場合における、無機イオン交換材を浸漬後の溶融塩中のNaイオン濃度と、無機イオン交換材を浸漬前の溶融塩中のNaイオン濃度との関係を示すグラフである。 図4は、無機イオン交換材の溶融塩への添加量と、無機イオン交換材を浸漬後の溶融塩中のNaイオン濃度との関係を示すグラフである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の溶融塩中のNaイオン濃度の調整方法は、例えば、化学強化工程を含む、以下の工程1〜工程5を含む方法において適用することができる。本実施形態においては、溶融塩中のNaイオン濃度を低下させる方法を開示する。
工程1:溶融塩の調製
工程2:ガラスの化学強化工程
工程3:溶融塩劣化の判断
工程4:溶融塩への無機イオン交換材の接触(溶融塩中のNaイオン濃度の調整)
工程5:前記工程2〜4の繰り返し
(工程1)
工程1では、無機カリウム塩を容器に投入し、無機カリウム塩の融点以上の温度に加熱して溶融することで、溶融塩を調製する。
無機カリウム塩は、化学強化を行うガラスの歪点(通常500〜600℃)以下で溶融状態となるものが好ましく、本発明においては硝酸カリウム(融点330℃)を主成分として含有することが好ましい。
硝酸カリウムが主成分であれば、ガラスの歪点以下で溶融状態となり、かつ化学強化処理を施すときの一般的な温度領域において取り扱いが容易な点から、好ましい。ここで主成分とは質量比で50%以上含有していることを意味する。
溶融塩として硝酸カリウム以外に他の無機カリウム塩を含んでいてもよい。例えば、硫酸カリウムおよび塩化カリウム等のアルカリ硫酸塩、アルカリ塩化塩並びに炭酸カリウムから選ばれる一種以上との組み合わせが挙げられる。
硝酸カリウムは融点が330℃、沸点が500℃であるため、その範囲内の温度で無機カリウム塩の溶融を行う。特に溶融温度を350〜470℃とすることが、ガラスに付与できるCS値と圧縮応力層深さのバランスおよび強化時間の点からより好ましい。
無機カリウム塩を溶融する容器としては、例えば、金属、石英およびセラミックスなどからなる容器が挙げられる。中でも、耐久性の観点から金属材質が好ましく、耐食性の観点からはステンレススチール(SUS)材質が好ましい。
(工程2)
工程2では、ガラスを予熱し、前記工程1で調製した溶融塩を、化学強化処理をする温度に調整する。次いで予熱したガラスを溶融塩中に所定の時間浸漬したのち、ガラスを溶融塩中から引き上げ、放冷する。ガラスの組成等については後述する。
なお、ガラスには、化学強化処理の前に、用途に応じた形状加工、例えば、切断、端面加工および穴あけ加工などの機械的加工を行うことが好ましい。
ガラスの予熱温度は、溶融塩にガラスを浸漬する温度に依存するが、一般に100℃以上であることが好ましい。
化学強化温度は、被強化ガラスの歪点(通常500〜600℃)以下が好ましく、より高い圧縮応力層深さ(Depth of Layer:DOL)を得るためには特に350℃以上が好ましい。
ガラスの溶融塩への浸漬時間は10分〜12時間が好ましく、30分〜10時間がさらに好ましい。かかる範囲にあれば、強度と圧縮応力層の深さのバランスに優れた化学強化ガラスを得ることができる。
(工程3)
工程2を繰り返し行うと、ガラスから溶出するイオンにより、溶融塩中のNa濃度が増加するため、ガラス処理面積が増えるにつれて溶融塩のイオン交換能力が低下し、所望のCS値が得られなくなる。ガラス中のNaイオンを溶融塩中のKイオンを置換する場合は、主な不純物イオンとしてガラスから溶出するNaイオンが知られている。
そこで工程3では、溶融塩中のNaイオン濃度、又は化学強化後のガラスのCS値を測定することによって溶融塩の劣化状態を調べ、溶融塩を継続して使用することによりガラスの化学強化処理が可能であるか、又は、次工程4の再生処理が必要かどうかを判断する。本明細書において、溶融塩の劣化(イオン交換能力の低下とも称する)とは、新しい溶融塩中のKイオンの一部がNaイオンに置換され、化学強化処理で得られるCS値が低くなる状態を表す。劣化した溶融塩(以下、劣化溶融塩とも称する)に対して工程4を実施して、溶融塩中のNaイオン濃度を調整することができる。
(工程4)
工程4では、イオン交換能力が低下した溶融塩中にKを含有する無機イオン交換材を添加し、温度を一定に保ちながら全体が均一になるように撹拌翼などにより混合した後、静置することが好ましい。
かかる操作により、溶融塩中の不純物であるNaイオンが、添加した無機イオン交換材中のKイオンとイオン交換され、液相から除去される。そのために溶融塩中のNaイオン濃度が低下し、Kイオン濃度が増加するので、所望のCS値を得る溶融塩として再び化学強化処理(工程2)に供することができる。
溶融塩中の不純物には化学強化処理後のCS値を低下させる効果を有するものがある。このような不純物としては、例えば、アルカリ金属イオンおよびアルカリ土類金属イオンなどが挙げられる。アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンとしては、例えば、Naイオン、Liイオン、CaイオンおよびMgイオンが挙げられる。
Kを含有する無機イオン交換材としては、例えば、ゼオライト、カオリナイト、ハロイサイト、イライト、モンモリロナイト、バーミキュライトおよびアロフェンが挙げられる。これらの中でも、イオン交換として有効に使用される無機イオン交換材中のK含有量の観点から、ゼオライトが好ましく、A型ゼオライトがより好ましい。
本発明の溶融塩中のNaイオン濃度の調整方法においては、理論的には溶融塩中のNaイオン1当量に対して無機イオン交換材中のKが1当量置換されることから、無機イオン交換材中のK含有量(g)と、溶融塩中から除去するNa量(g)が以下の式(1)を満たすことが好ましい。
無機イオン交換材中のK含有量(g)≧溶融塩中から除去するNa量(g)…式(1)
式(1)から下記式(2)が導かれる。
(X+Y)×Z×α≧10−2×(β−γ)×X…式(2)
式(2)から下記式(3)が導かれる。
Y≧10−4×X(β−γ)/α…式(3)
なお、式(2)において、βおよびγは、下記式(4)を満たすことが好ましい。
β>γ…式(4)
式(2)〜(4)において、
Xは溶融塩の全質量(g)を、
Yは無機イオン交換材の全質量(g)を、
Zは溶融塩中の無機イオン交換材の割合(質量%)を、
αは無機イオン交換材中のK含有量の割合(質量%)を、
βはNaイオン濃度調整前における溶融塩(初期溶融塩)中のNaイオン濃度(質量ppm)を、
γはNaイオン濃度調整後における溶融塩のNaイオン濃度(質量ppm)を示す。
溶融塩中のNaイオン濃度は、実施例において後述するように、回収した溶融塩を硝酸水溶液に溶かし、イオン干渉を抑制するために塩化セシウムを加えて、原子吸光光度計(例えば、日立ハイテク社製Z−2310)により測定し、検量線法によって定量する。
また、無機イオン交換材中のNaイオン濃度およびKイオン濃度は、実施例において後述するように、波長分散型の蛍光X線装置[例えば、(株)リガク製ZSX100e]を用いて半定量分析により測定することができる。
Naイオン濃度調整後における溶融塩中のNaイオン濃度γは、3000質量ppm以下であることが好ましく、2500質量ppm以下であることがより好ましく、1500質量ppm以下であることがさらに好ましい。Naイオン濃度調整後における溶融塩中のNaイオン濃度を3000質量ppm以下とすることにより、実用レベルの高いCS値をガラスに付与することができる。
無機イオン交換材中の全アルカリ金属中に占めるKの質量比は、85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、97%以上であることがさらに好ましく、99%以上であることが最も好ましい。無機イオン交換材中の全アルカリ金属中に占めるKの質量比が増加するほど溶融塩中のNaイオン濃度を減少させることができ、該Kの質量比を85%以上とすることにより、高い再生効率を得ることができる。
無機イオン交換材中のK含有量は予め調整されていることが好ましい。工程4において溶融塩中の不純物の除去に用いた無機イオン交換材中のK含有量は溶融塩中の不純物と交換されることで低下する。ただし、Kイオンを含有する水溶液中、例えばKCl水溶液等の中に回収した無機イオン交換材を分散させ、ろ過、乾燥して回収することで無機イオン交換材中のK含有量を再度高めることができ、一度使用しても再利用可能となる。
無機イオン交換材中のK含有量を調整する条件としては、具体的には、例えば、無機イオン交換材がゼオライトの場合、好ましくは20〜80℃に加温した0.5〜3.3moL/LのKClに好ましくは30分〜2時間無機イオン交換材を分散させ、撹拌または静置することによりイオン交換によりゼオライト中にKを固定することができる。
無機イオン交換材を溶融塩に接触させた後の溶融塩の温度は、溶融塩の融点以上であることが好ましく、330℃以上がより好ましく、350℃〜500℃がさらに好ましい。無機イオン交換材を溶融塩に接触させる時間は通常2時間以下であることが好ましく、1時間未満であることがより好ましい。
本発明の溶融塩中のNaイオン濃度の調整方法は、イオン交換作用により溶融塩から不純物であるNaイオンを除去するため、無機イオン交換材と溶融塩の接触時間が1時間未満であっても、高いCS値をガラスに付与することができる溶融塩中のNaイオン濃度に調整することができる。
溶融塩と無機イオン交換材との接触方法および無機イオン交換材の分離方法としては、例えば、以下の(1)および(2)の方法が挙げられる。再生効率をより高めることができるため、溶融塩に無機イオン交換材を接触させた後は、撹拌することが好ましい。
(1)細孔(目合い1〜10μm)を有するSUS製フィルターを側面または底面に有する容器に無機イオン交換材を充填したのち、劣化した溶融塩に該容器を浸漬することで、容器内部の無機イオン交換材と溶融塩との間でNaイオンとKイオンとのイオン交換を行う。
(2)溶融塩が流動する管、圧送用ポンプおよび無機イオン交換材を充填した容器から実質的に構成される装置を溶融塩の入ったタンク(容器)近傍に敷設する。劣化した溶融塩を、熱間のままシステムに流すことで、容器内部の無機イオン交換材と溶融塩との間でNaイオンおよびKイオンのイオン交換を行う。
なお、再生後のCS値が高いほど、溶融塩の使用寿命も延長することができる。本発明の方法により溶融塩のNaイオン濃度を任意の濃度に調整することができるが、溶融塩の寿命を評価する場合は、例えば、初期状態の溶融塩を用いた化学強化処理により得られるCS値を100%とした際にCS値が特定の比率分、例えば、10%低下したときの溶融塩中のNaイオン濃度を指標に評価することができる。
実際に溶融塩の寿命を評価する際には、具体的には、例えば、連続使用によって溶融塩中のNaイオン濃度が高くなった状態を疑似的に作るために、硝酸ナトリウムなどのNa源を意図的に所定量添加する。Na源の添加量と、化学強化処理後に得られるガラスのCS値との関係式を導き、例えば、直線近似により、CS値が初期状態から、特定の比率分、例えば、10%低下したときのNa添加量を算出し、溶融塩寿命の指標とすることができる。
(工程5)
工程5では上記工程2〜4を繰り返し行う。イオン交換処理により劣化した溶融塩は、工程4を経ることによって、所望のCS値を付与しうる状態に回復させることができる。
前記実施形態は、特に溶融塩中のNaイオン濃度の低下を目的としたが、本発明はこれに限定されない。例えば、所望のNaイオン濃度が実際のNaイオン濃度よりも高い際に、無機イオン交換材中のK含有量を所定の量に調整することで、同様の工程によりNaイオン濃度を所望のNaイオン濃度まで増加せしめることも可能である。したがって、本発明によれば、任意のNaイオン濃度の溶融塩を所望のCS値を付与しうる状態に調整することができる。
<ガラス>
本発明で使用されるガラスはナトリウムを含んでいればよく、成形、化学強化処理による強化が可能な組成を有するものである限り、種々の組成のものを使用することができる。具体的には、例えば、ソーダライムガラス、アルミノシリケートガラス、ホウ珪酸ガラス、鉛ガラスおよびアルカリバリウムガラス等が挙げられる。
ガラスの製造方法は特に限定されず、所望のガラス原料を連続溶融炉に投入し、ガラス原料を好ましくは1500〜1600℃で加熱溶融し、清澄した後、成形装置に供給した上で溶融ガラスを板状に成形し、徐冷することにより製造することができる。
なお、ガラスの成形には種々の方法を採用することができる。例えば、ダウンドロー法(例えば、オーバーフローダウンドロー法、スロットダウン法およびリドロー法等)、フロート法、ロールアウト法およびプレス法等の様々な成形方法を採用することができる。
ガラスの厚みは、特に制限されるものではないが、化学強化処理を効果的に行うために、通常5mm以下であることが好ましく、3mm以下であることがより好ましい。
本発明の化学強化用ガラスの組成としては特に限定されないが、例えば、以下のガラスの組成が挙げられる。
(i)モル%で表示した組成で、SiOを50〜80%、Alを2〜25%、LiOを0〜10%、NaOを0〜18%、KOを0〜10%、MgOを0〜15%、CaOを0〜5%およびZrOを0〜5%を含むガラス
(ii)モル%で表示した組成が、SiOを50〜74%、Alを1〜10%、NaOを6〜14%、KOを3〜11%、MgOを2〜15%、CaOを0〜6%およびZrOを0〜5%含有し、SiOおよびAlの含有量の合計が75%以下、NaOおよびKOの含有量の合計が12〜25%、MgOおよびCaOの含有量の合計が7〜15%であるガラス
(iii)モル%で表示した組成が、SiOを68〜80%、Alを4〜10%、NaOを5〜15%、KOを0〜1%、MgOを4〜15%およびZrOを0〜1%含有するガラス
(iv)モル%で表示した組成が、SiOを67〜75%、Alを0〜4%、NaOを7〜15%、KOを1〜9%、MgOを6〜14%およびZrOを0〜1.5%含有し、SiOおよびAlの含有量の合計が71〜75%、NaOおよびKOの含有量の合計が12〜20%であり、CaOを含有する場合その含有量が1%未満であるガラス
ガラスは、必要に応じて化学強化処理前に研磨してもよい。研磨方法としては、例えば研磨スラリーを供給しながら研磨パッドで研磨する方法が挙げられ、研磨スラリーには、研磨材と水を含む研磨スラリーが使用できる。研磨材としては、酸化セリウム(セリア)およびシリカが好ましい。
ガラスを研磨した場合、研磨後のガラスを洗浄液により洗浄する。洗浄液としては、中性洗剤および水が好ましく、中性洗剤で洗浄した後に水で洗浄することがより好ましい。
中性洗剤としては市販されているものを用いることができる。
前記洗浄工程により洗浄したガラス基板を、洗浄液により最終洗浄する。洗浄液としては、例えば、水、エタノールおよびイソプロパノールなどが挙げられる。中でも水が好ましい。
前記最終洗浄の後、ガラスを乾燥させる。乾燥条件は、洗浄工程で用いた洗浄液、およびガラスの特性等を考慮して最適な条件を選択すればよい。
以下に本発明の実施例について具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
(無機イオン交換材中のKイオン濃度およびNaイオン濃度の測定)
無機イオン交換材中のKイオン濃度およびNaイオン濃度は試料を加圧成型してペレット化した後、波長分散型の蛍光X線装置を用いて半定量分析により測定した。装置は(株)リガク製ZSX100eを用いて、測定径はφ30mmとした。
(溶融塩中のNaイオン濃度の測定)
溶融塩中のNaイオン濃度は、化学強化槽内において、原子吸光光度計(日立ハイテク社製Z−2310)により、回収した溶融塩を硝酸水溶液に溶かし、イオン干渉を抑制するために塩化セシウムを加えて測定し、検量線法によって定量した。
1.無機イオン交換材または吸着材による溶融塩中のNaイオン濃度の調整
(実施例1)Kを含有する無機イオン交換材(K含有量調整後)による溶融塩中のNaイオン濃度の調整
市販のKイオン型のA型ゼオライト[純正化学社製、モレキュラシーブス 3A(粉末)]300gを3.3moL/LのKCl水溶液に浸漬し、撹拌モーターと4枚プロペラ翼を用いて1時間撹拌することにより、イオン交換作用によってK含有量を調整した。得られたA型ゼオライト中の全アルカリ金属中に占めるKの質量比は92.1質量%であった。次いでSUS製のカップに硝酸カリウムを247g加えマントルヒーターで430℃まで加熱して溶融塩を調製した。この溶融塩に対して、ガラス強化処理後の劣化した溶融塩の状態を疑似的に作るため、硝酸ナトリウム2.77gを意図的に加えた。こうして調製した劣化状態の溶融塩中のNaイオン濃度を測定すると、2997質量ppmであった。ここにK含有量を調整したA型ゼオライト27.79g(溶融塩に対して10質量%)を添加した。調製した劣化模擬塩の初期濃度、添加したA型ゼオライトの量をそれぞれ表1に示す。撹拌モーターと4枚プロペラ翼を用いて2時間撹拌し、1時間以上静置した。その後、溶融塩中のNaイオン濃度を測定した結果、Naイオン濃度は2260質量ppmへと減少した。
(実施例2、3)Kを含有する無機イオン交換材(K含有量調整後)による溶融塩中のNaイオン濃度の調整
市販のKイオン型のA型ゼオライト[純正化学社製、モレキュラシーブス 3A(粉末)]に、実施例1と同様のイオン交換操作を計7回(実施例2)、計10回(実施例3)繰り返したA型ゼオライト中の全アルカリ金属中に占めるKの質量比はそれぞれ98.4質量%(実施例2)、99.7質量%(実施例3)であった。次いでSUS製のカップに硝酸カリウムを247g加えマントルヒーターで430℃まで加熱して溶融塩を調製した。この溶融塩を2つ用意し、それぞれガラス強化処理後の劣化した溶融塩の状態を疑似的に作るため、硝酸ナトリウム2.77gを意図的に加えた。こうして調製した劣化状態の溶融塩中のNaイオン濃度を測定すると、3004質量ppm(実施例2)、3001質量ppm(実施例3)であった。ここにK含有量を調整したA型ゼオライトをそれぞれ27.78g(実施例2;溶融塩に対して10質量%)、27.80g(実施例3;溶融塩に対して10質量%)添加した。調製した劣化模擬塩の初期濃度、添加したA型ゼオライトの量を表1に示す。撹拌モーターと4枚プロペラ翼を用いて2時間撹拌し、1時間以上静置した。その後、溶融塩中のNaイオン濃度を測定した結果、Naイオン濃度はそれぞれ1337質量ppm(実施例2)、1027質量ppm(実施例3)へと減少した。
(実施例4(参考例))Kを含有する無機イオン交換材(K含有量調整前)による溶融塩中のNaイオン濃度の調整
SUS製のカップに硝酸カリウムを247g加えマントルヒーターで430℃まで加熱して溶融塩を調製した。ガラス強化処理後の劣化した溶融塩の状態を疑似的に作るため、硝酸ナトリウム2.77gを意図的に加えた。こうして調製した劣化状態の溶融塩中のNaイオン濃度を測定すると、3000質量ppmであった。ここに市販のKイオン型のA型ゼオライト[純正化学社製、モレキュラシーブス 3A(粉末)]27.79gを添加し、撹拌モーターと4枚プロペラ翼を用いて2時間撹拌し、1時間以上静置した。調製した劣化模擬塩の初期濃度、添加したA型ゼオライトの量をそれぞれ表1に示す。溶融塩中のNaイオン濃度を測定した結果、Naイオン濃度は4643質量ppmへと増加した。使用した市販のKイオン型のA型ゼオライト中の全アルカリ金属中に占めるKの質量比は72.6質量%であった。
(比較例1)Kを含有しない無機イオン交換材による溶融塩中のNaイオン濃度の調整
市販のヘクトライト(和光純薬工業社製、合成ヘクトライト、親油性)を表1に示す初期濃度である劣化溶融塩に表1に示す量を添加し、撹拌モーターと4枚プロペラ翼を用いて2時間撹拌し、1時間以上静置した。その後、ヘクトライト中のKイオン濃度およびNaイオン濃度、並びに溶融塩中のNaイオン濃度を測定した。
(比較例2)無機吸着材による溶融塩中のNaイオン濃度の調整
ケイ酸アルミニウム(純正化学社製、ケイ酸アルミニウム)を表1に示す初期濃度である劣化溶融塩に表1に示す量を添加し、撹拌モーターと4枚プロペラ翼を用いて2時間撹拌し、1時間以上静置した。その後、ケイ酸アルミニウム中のKイオン濃度およびNaイオン濃度、並びに溶融塩中のNaイオン濃度を測定した。
(比較例3)無機吸着材による溶融塩中のNaイオン濃度の調整
γ−アルミナ(和光純薬工業社製、活性アルミナ)を表1に示す初期濃度である劣化溶融塩に表1に示す量を添加し、撹拌モーターと4枚プロペラ翼を用いて2時間撹拌し、1時間以上静置した。その後、γ−アルミナ中のKイオン濃度およびNaイオン濃度、並びに溶融塩中のNaイオン濃度を測定した。
結果を表1に示す。
Figure 0006273816
表1に示すように、Kを一定以上の割合で含有する無機イオン交換材(K含有量調整後)を用いた実施例1〜3は、劣化溶融塩中のNaイオン濃度の減少が顕著であった。一方、K含有量が一定の割合よりも低い場合、実施例4に示すように溶融塩中のNaイオン濃度は大きく増加した。よって、A型ゼオライト中のKイオン濃度を適切に調整することで、浸漬後のNaイオン濃度の増減を調整することができることがわかった。
Kを含有しない無機イオン交換材を用いた比較例1、無機吸着材を用いた比較例2および3は、浸漬後のNaイオン濃度の増減を調整する効果が得られない、もしくは無機イオン交換材または無機吸着材からNaイオンが放出されており、劣化溶融塩のNaイオン濃度を減少させることはできなかった。
実施例4と比較例1ではいずれも浸漬後のNaイオン濃度が増加したが、所望のNaイオン濃度に調整するという点で効果を異にする。実施例4のようなK含有量を調整した無機イオン交換材の場合、イオン交換は平衡状態に達した時点で進まなくなるため、同じK含有量の無機イオン交換材をさらに添加してもNaイオン濃度は大幅に増加することはない。一方で、比較例1のようなKを含有しない無機イオン交換材の場合、Kを含有しないため、添加量に応じた溶融塩中のKイオンを常に液相から除去し、同じ量のNaイオンと交換する。溶融塩中のKイオンが完全になくなることはないため、添加量によって浸漬後のNaイオン濃度は大きく変化し、Naイオン濃度の大幅な増加を招きうる。したがって、Naイオン濃度の調整という点では、K含有量を調整した無機イオン交換材の方がはるかに優れている。
なお、実施例1〜4は、いずれも前記式(3)を満たしていた。また、実施例1〜3は、いずれも浸漬後にNaイオン濃度が減少したため、前記式(4)を満たしていた。
2.無機イオン交換材のKイオン濃度を変化させた場合の溶融塩中のNaイオン濃度の調整
SUS製の調製槽兼強化槽に硝酸カリウム247g、硝酸ナトリウム2.77gを加え、マントルヒーターで430℃まで加熱して劣化溶融塩を調製した。当該溶融塩中のNaイオン濃度は3000質量ppmであった。
模擬劣化塩に添加する無機イオン交換材中のKイオン濃度を変化させて、無機イオン交換材を浸漬後の模擬劣化塩のNaイオン濃度を測定した結果を図1に示す。なお、図1のグラフの近似直線の傾きは、y=−121.6x+13330であった。図1に示すように、無機イオン交換材中のKイオン濃度とNaイオン濃度の質量比[K/(Na+K)]を85%以上とすることにより、浸漬後の模擬劣化塩中のNaイオン濃度が3000質量ppm以下となった。
この結果から、溶融塩中の初期Naイオン濃度が3000質量ppmの場合は、無機イオン交換材の全アルカリ金属中に占めるKの質量比を85%以上とすることにより、劣化溶融塩中のNaイオン濃度を低減でき、式(4)を満たすことがわかった。
3.劣化溶融塩と無機イオン交換材との接触時間を変化させた場合の溶融塩中のNaイオン濃度の調整
上記2.と同様の方法で調製したNaイオン濃度が3000質量ppmである模擬劣化塩に、無機イオン交換材中のKイオン濃度とNaイオン濃度の質量比[K/(Na+K)]が99.8%であるA型ゼオライトを10質量%添加し、撹拌時間を変化させて、模擬劣化塩のNaイオン濃度を測定した結果を図2に示す。
図2に示すように、無機イオン交換材と溶融塩との接触時間を変化させた場合、30分程度の接触時間で劣化溶融塩のNaイオン濃度を十分に低減できることがわかった。
4.再生温度を変化させた場合の溶融塩中のNaイオン濃度の調整
上記2.と同様の方法で調製した3000質量ppmである模擬劣化塩に、無機イオン交換材中のKイオンとNaイオンの質量比[K/(Na+K)]が99.8%であるA型ゼオライトを10質量%添加し、再生温度を変化させて、撹拌モーターと4枚プロペラ翼を用いて2時間撹拌し、1時間以上静置した。その後、劣化溶融塩中のNaイオン濃度を測定した結果を図3に示す。
図3に示すように無機イオン交換材を溶融塩に接触させて劣化溶融塩のNaイオン濃度を低減する場合、実用温度範囲において接触温度による影響は小さいことがわかった。
5.再生後の溶融塩中のNaイオン濃度を変化させた場合の模擬劣化溶融塩の再生
上記2.と同様の方法で調製した初期の溶融塩中のNaイオン濃度が10000質量ppmまたは3000質量ppmである模擬劣化塩に、A型ゼオライトの添加量を変化させて無機イオン交換材中のKイオン濃度とNaイオン濃度の質量比[K/(Na+K)]が99.8%であるA型ゼオライトを添加し、再生後の溶融塩中のNaイオン濃度を測定した結果を図4に示す。
図4に示すように、溶融塩に接触させる無機イオン交換材の添加量を調整することにより、初期の劣化溶融塩中のNaイオン濃度が10000質量ppmである場合にも所望のCS値を得るように溶融塩を再生可能であった。
この結果より、無機イオン交換材を用いて溶融塩のNaイオン濃度を調整する場合、無機イオン交換材のK濃度または添加量を調整することにより、溶融塩中の初期Naイオン濃度にかかわらず、任意の初期Naイオン濃度においてNaイオン濃度を減少させることが可能となることがわかった。

Claims (12)

  1. ガラスの化学強化工程におけるイオン交換処理を経た溶融塩を、溶融塩中で不溶な固体として存在するKを含有する無機イオン交換材に接触させる接触工程を有する該溶融塩中のNaイオン濃度の調整方法であって、
    前記接触工程の前に、前記無機イオン交換材のK含有量を予め調整しておくK含有量調整工程をさらに有し、
    前記K含有量調整工程で調整される前記無機イオン交換材のK含有量は、前記溶融塩中のNaイオン濃度を所望の濃度まで低下または増加せしめるK含有量であり、これにより、前記接触工程後の溶融塩によりガラスを化学強化した場合に、前記ガラスに所望の表面圧縮応力が付与される、
    前記調整方法。
  2. 前記溶融塩の全質量をX(g)、前記無機イオン交換材の全質量をY(g)、前記無機イオン交換材中のKイオン濃度をα(質量%)、Naイオン濃度の調整前における前記溶融塩のNaイオン濃度をβ(質量ppm)、Naイオン濃度の調整後における前記溶融塩のNaイオン濃度をγ(質量ppm)としたとき、これらが関係式Y≧10−4×X(β−γ)/αを満たす請求項1に記載の溶融塩中のNaイオン濃度の調整方法。
  3. 前記溶融塩が前記関係式に加え関係式β>γを満たす請求項2に記載の溶融塩中のNaイオン濃度の調整方法。
  4. Naイオン濃度の調整後における前記溶融塩のNaイオン濃度γが3000(質量ppm)以下である請求項2または3に記載の溶融塩中のNaイオン濃度の調整方法。
  5. 前記無機イオン交換材中の全アルカリ金属中に占めるKの質量比が85%以上であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の溶融塩中のNaイオン濃度の調整方法。
  6. 前記無機イオン交換材がゼオライトである請求項1〜5のいずれか1項に記載の溶融塩中のNaイオン濃度の調整方法。
  7. 前記ゼオライトが予めK含有量を調整したゼオライトである請求項6に記載の溶融塩中のNaイオン濃度の調整方法。
  8. 前記ゼオライトがA型ゼオライトである、請求項6または7に記載の溶融塩中のNaイオン濃度の調整方法。
  9. 前記溶融塩が硝酸カリウムを含む請求項1〜8のいずれか1項に記載の溶融塩中のNaイオン濃度の調整方法。
  10. 前記溶融塩に前記無機イオン交換材を接触させる時間が1時間未満である請求項1〜9のいずれか1項に記載の溶融塩中のNaイオン濃度の調整方法。
  11. 前記溶融塩に前記無機イオン交換材を接触させた後に撹拌を行う請求項1〜10のいずれか1項に記載の溶融塩中のNaイオン濃度の調整方法。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の調整方法でNaイオン濃度を調整した溶融塩を用いてガラスを化学強化する工程を含む、強化ガラスの製造方法。
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