以下、参考例及び本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本参考例に係るリモコンシステムは、シリンダ錠の保護装置に適用されたもので、当該シリンダ錠の保護装置は、二輪車(搭乗手段)が具備するシリンダ錠のキー孔上方に設けられ、当該キー孔を外側から開閉可能とすることによりシリンダ錠を保護し得るもので、図1〜12に示すように、ハウジング1と、シャッター2と、送信手段11と、受信手段12と、電圧低下検出手段18と、報知手段としてのLED10とから主に構成されている。なお、受信手段12は、ハウジング1に配設された所定の部品(ソレノイド6及びLED10等)と配線H(図1参照)を介して電気的に接続されている。
ハウジング1は、ロータRの上方に設けられ、本保護装置を構成する各種部品を内部に収容するとともに、シリンダ錠を構成するシリンダボディSの上端部を収容し得るようになっている。かかるシリンダボディS内には、複数のタンブラを具備したロータRが配設されるとともに、当該ロータRには、キー孔Raが形成されてイグニッションキーIKを挿抜(抜き差し)し得るよう構成されている。
なお、本参考例に係るハウジング1は、カバー部1a及びケース部1bから成り、ケース部1bに本保護装置を構成する各種部品が配設されるとともに、その上方をカバー部1aにて覆うようになっている。カバー部1aには、ロータRのキー孔Raを外部に臨ませつつイグニッションキーIKを挿通可能な挿通孔1aaと、後述する摘み部7を操作可能とする凹部1abと、マグネット錠5を外部に臨ませた開口1acとがそれぞれ形成されている。
ロータRは、キー孔RaにイグニッションキーIKを挿入した状態にて回動操作可能とされており、二輪車が具備するエンジンを始動させるオン位置、当該エンジンを停止させるオフ位置、及び車両が具備するハンドルバーをロックするロック位置の間を回動可能とされている。なお、ロータRがオフ位置にあるとき、キー孔Raに挿入したイグニッションキーIKを押圧して押し込み、その状態で平面視で左側へ回動させることにより、ロック位置までの回動操作が可能とされている。このロック位置にロータRが移動すると、シリンダボディS内のロックバーBが突出するよう構成されており、当該ロックバーBが二輪車におけるハンドルバー(不図示)の回動軸に形成されたロック孔(不図示)内に挿入して係止することにより、当該ハンドルバーに対するロックがなされるようになっている。
一方、イグニッションキーIKは、図2、8に示すように、運転者が持ち運び可能とされた樹脂等の成形部品から成る把持部IKbを有して構成されており、当該把持部IKbからキー山やキー溝が形成されたキー部IKaが延設されて構成されている。このキー部IKaがロータRのキー孔Raに挿入可能とされているのである。また、把持部IKbには、運転者による操作が可能な操作部b及び電池Dを具備するとともに、当該操作部bに対する操作により電波を発信して所定の操作信号を送信し得る送信手段11が配設されている。
すなわち、送信手段11は、図9に示すように、イグニッションキーIKの把持部IKbに形成されており、運転者による操作が可能な押しボタンから成る操作部bと、電力供給可能な電池Dと、基板k1(図9参照)とを具備している。電池Dは、把持部IKbに内蔵された例えばボタン電池等の小型の電池から成り、基板k1に対して電力を供給し得るものとされている。基板k1は、所定の電気回路が印刷されるとともにマイコン等を搭載したプリント基板から成り、図12に示すように、電波を発信して所定の操作信号を送信し得る送信部13と、操作部bの押圧操作により電気的なオン状態にスイッチされる操作スイッチaと、電圧低下検出手段18とが形成されている。
送信部13は、操作部bが押圧操作されたことを条件として、電波を発信して所定の操作信号を送信し得るもので、例えば基板k1に印刷された回路部から成る。これにより、運転者が操作部bを押圧操作すると、操作スイッチaがオンし、送信部13から電波が発信されるとともに、当該電波により所定の操作信号が送信され、後述の如きシャッター2に対する遠隔操作が可能となっている。
ここで、本参考例においては、電圧低下検出手段18が電池D及び送信部13と電気的に接続されている。かかる電圧低下検出手段18は、電池Dの電圧が所定値以下まで低下したことを検出し得るもので、例えば基板k1に搭載されたマイコン等に形成された演算部から成る。この電圧低下検出手段18にて設定される所定の電圧(所定値)は、遠隔操作が困難になると予想される程度の電圧値とされており、その電圧値が閾値とされている。
そして、電圧低下検出手段18にて検出された電池Dの電圧が閾値以下となると、送信部13に所定の信号が送信されるとともに、その所定の信号を受信した送信部13は、電波を発信して操作信号を送信する際、当該操作信号と共に報知信号も併せて送信するようになっている。これにより、電圧低下検出手段18で電圧低下が検出されたことを条件として、操作信号と共に所定の報知信号を電波により送信し得るのである。
また、本参考例においては、操作部bが所定時間継続して押圧操作(長押し)されることを条件として、操作信号又は報知信号が送信されるようになっている。これにより、操作部bに誤って触れて誤操作してしまうのを抑制することができる。なお、本参考例に係る操作部bは、押しボタンから成るものとされているが、他の形態の操作手段から成るもの(シーソー型のスイッチ等)としてもよい。
一方、操作部bを短時間だけ押圧操作すると、車両が具備する左右のターンシグナル17(図12参照)が所定回数点滅して応答し得るよう構成されている。これにより、二輪車が複数台駐車した状態で操作部bを押圧操作すれば、自分の所有する車両のターンシグナル17が点滅するので、離れた場所から容易に自分の車両を判別させることができる。なお、操作部bが短時間だけ押圧操作されると、ターンシグナル17が複数回点滅するとともに車両に搭載されたブザー16(図12参照)が複数回鳴り、当該操作部bが所定時間継続して押圧操作(長押し)されると、ターンシグナル17が1回点滅するとともに当該ブザー16が1回鳴るよう構成するのが好ましい。
シャッター2は、ハウジング1内で閉塞位置(図13(a)参照)と開放位置(同図(c)参照)との間で移動(本参考例においては回動)可能とされ、閉塞位置でキー孔Raを塞ぐとともに開放位置でキー孔Raを開放し得るものである。具体的には、本参考例に係るシャッター2は、図5に示すように、被係止部2aと、覆い部2bと、凸部2cと、回動中心部2dと、摘み部7とが一体形成された金属製の部品から成る。
被係止部2aは、係止手段4により係止される部位から成り、シャッター2の先端部に形成されている。覆い部2bは、シャッター2の略中央部に形成された部位から成り、当該シャッター2が閉塞位置にあるとき、キー孔Raを覆って塞ぐよう構成されている。凸部2cは、捩りバネ3の一端と連結された部位から成るとともに、回動中心部2dは、ハウジング1のケース部1bに突出形成されたボス部L2(図4参照)を嵌合可能な凹部から成る。
これにより、シャッター2は、回動中心部2dに嵌合したボス部L2を中心として、開放位置と閉塞位置との間を回動可能とされている。また、捩りバネ3は、上述のように一端が凸部2cに連結されるとともに、他端がハウジング1のケース部1bに連結されており、シャッター2を常時開放位置に向かって付勢している。そして、シャッター2を開放位置から閉塞位置に回動させる際、凸部2cにより捩りバネ3が捩られるので、開放位置に向かった付勢力が付与されるよう構成されている。なお、当該捩りバネ3に代えて、シャッター2を常時開放位置へ付勢する他の付勢手段(板バネやコイルバネ或いは軟質樹脂等の弾性体など)としてもよい。
さらに、シャッター2には、当該シャッター2を開放位置から閉塞位置まで手動で操作し得る摘み部7が形成されている。この摘み部7は、シャッター2の回動中心部2dから側方に向かって一体的に延設された部位から成るとともに、シャッター2が開放位置にあるとき、カバー部1aの凹部1abが形成された部位に位置することにより、指で摘んで操作が可能とされている。また、シャッター2が閉塞位置にあるとき、摘み部7がカバー部1aの内部に位置することにより、操作ができないよう構成されている。
係止手段4は、図3に示すように、閉塞位置にあるシャッター2を係止し得るものであり、本参考例においては、図6に示すように、マグネット錠5の操作力が伝達される第1部位4aと、ソレノイド6の駆動力が伝達される第2部位4bと、シャッター2の被係止部2aと当接して係止し得る係止部4cと、揺動中心部4dとを有した単一の部材(リンク状部材)から成る。
揺動中心部4dは、係止手段4における幅方向に貫通した孔から成り、ハウジング1側(固定部材側)に形成された揺動軸L1(図4参照)を挿通可能とされている。これにより、係止手段4は、揺動軸L1(所定の軸)を中心に揺動可能とされており、一端側に第1部位4a及び係止部4cが形成されるとともに他端側に第2部位4bが形成されたものとなっている。
しかして、係止手段4は、揺動軸L1を中心に揺動することにより、シャッター2を係止する位置(図4参照)と、シャッター2の係止を解いた位置(図14参照)との間を移動可能とされているのである。また、揺動軸L1には、図2、4に示すように、一端が固定側に連結されつつ他端が係止手段4に連結された捩りバネ8が取り付けられており、この捩りバネ8により、係止手段4が同図中c方向に常時付勢されている。これにより、係止手段4は、シャッター2を係止する位置に向かって常時付勢されることとなる。
マグネット錠5(手動操作を可能とする部品)及びソレノイド6(遠隔操作を可能とする部品)は、係止手段4による係止を解除し、シャッター2を捩りバネ3による付勢力で閉塞位置から開放位置まで移動させるものである。すなわち、本参考例においては、係止手段4によるシャッター2に対する係止の解除がマグネット錠5による手動操作及びソレノイド6による遠隔操作の何れによっても可能とされており、これらマグネット錠5及びソレノイド6を選択的に作動させることにより、シャッター2を閉塞位置から開放位置まで動作させ得るよう構成されているのである。
マグネット錠5は、手動操作により係止手段4による係止を解除するためのもので、図7に示すように、ハウジング1のケース部1bに形成されたボス部1baに嵌合した筒状部材から成り、当該ボス部1baを中心として回動可能とされている。より具体的には、ボス部1baの上面には、磁石m1及び当該磁石m1を図中上方に付勢するバネsを収容する収容穴1bbが複数(本参考例においては4つ)形成されているとともに、マグネット錠5における収容穴1bbに対応した位置(裏面)には、磁石m1を嵌合し得る嵌合穴5bが形成されている。そして、図7(a)に示すように、各磁石m1が嵌合穴5bに嵌合することにより、マグネット錠5の回動が規制されてロックされ得るようになっている。
一方、イグニッションキーIKの把持部IKbには、マグネットキーMKが形成されている。このマグネットキーMKは、マグネット錠5の上面に形成された嵌合部5aに嵌合可能な形状とされるとともに、磁石m1に対応する位置に磁石m2が埋設されている。そして、正規のマグネットキーMKを嵌合部5aに嵌合させると、図7(b)に示すように、磁石m1に対して磁石m2が対峙するとともに、これら磁石m1の磁力と磁石m2の磁力とが互いに反発し合うよう設定(すなわち、磁石m1のS極と磁石m2のS極とが対峙するとともに、磁石m1のN極と磁石m2のN極とが対峙するよう設定)されている。
これにより、正規のマグネットキーMKを嵌合部5aに嵌合させると、磁石m1がバネsの付勢力に抗して下降し、嵌合穴5bに対する嵌合が解かれることとなるので、その状態を維持しつつ当該マグネットキーMKを所定方向に回動させれば、同方向にマグネット錠5を回動させることができる。また、マグネット錠5の所定位置には、当該マグネット錠5が回動する過程で係止手段4の第1部位4aと当接し得る当接部5c(図15参照)が形成されている。
そして、マグネットキーMKにより磁石m1による嵌合を解いた後、当該マグネットキーMKと共にマグネット錠5を所定方向に回動すると、図15に示すように、当接部5cが係止手段4の第1部位4aと当接するとともに当該第1部位4aを同方向に押圧するので、当該係止手段4を捩りバネ8の付勢力に抗して揺動させ得るようになっている。これにより、係止手段4によるシャッター2に対する係止が解かれ、当該シャッター2が捩りバネ3の付勢力にて閉塞位置から開放位置まで移動することとなる。
なお、本参考例に係るマグネット錠5は、ハウジング1のケース部1bに配設されたコイルバネ9にてロックされた位置側(磁石m1が嵌合して回動が規制された位置側)に常時付勢されている。これにより、係止手段4のシャッター2に対する係止が解かれた後、マグネットキーMKによる操作力を緩める或いは当該マグネットキーMKを取り外すことにより、コイルバネ9の付勢力にてマグネット錠5が自然と元の位置(ロック位置)に戻るようになっている。
ソレノイド6は、遠隔操作で駆動することにより係止手段4による係止を解除するためのもので、本参考例においては、図2、4に示すように、遠隔操作により通電されてプランジャ6aを駆動させ得るアクチュエータから成り、当該プランジャ6aの駆動により係止手段4を動作させて係止を解除させ得るものとされている。より具体的には、係止手段4の第2部位4bは、プランジャ6aの所定部位6aa(他の部位より細径とされた部位)を挿通可能な切欠き(図6参照)とされており、当該切欠きにプランジャ6aの所定部位6aaを挿通して係止手段4とソレノイド6とを連結させているのである。
一方、受信手段12は、二輪車(搭乗手段)の所定部位に配設され、送信手段11で送信された電波を受信するとともに、その電波における操作信号に基づいてシャッター2を閉塞位置から開放位置に移動させ得るもので、図10、11に示すように、ケース12aと、コネクタ12bとを有して構成されている。かかるケース12a内には、所定の電気回路が印刷されたプリント基板から成る基板k2が収容されている。
基板k2には、印刷された回路部で構成されるアンテナから成り、送信手段11からの電波を受信し得る受信部14と、該受信部14で受信した操作信号に基づいてソレノイド6を作動させ、シャッター2を遠隔操作にて閉塞位置から開放位置に移動させ得る制御部15とが形成されている。なお、制御部15は、基板k2に搭載されたマイコン等の演算部から成り、コネクタ12b及び配線Hを介して、ソレノイド6及びLED10、さらにはブザー16及びターンシグナル17と電気的に接続されている。
しかして、イグニッションキーIKの把持部IKbに形成された操作部bを押圧操作(例えば、所定時間継続して押圧操作)すると、操作信号又は報知信号を含む電波が発信され、その操作信号又は報知信号を受信手段12の受信部14(図12参照)が受信すると、制御部15の制御により、ソレノイド6内のコイル(不図示)に通電させてプランジャ6aを下降(図14中a方向に移動)させ、第2部位4b(切欠きによりプランジャ6aと連結された部位)を同方向に引っ張ることにより係止手段4を捩りバネ8の付勢力に抗して図14中b方向に揺動させ得るようになっている。これにより、係止手段4によるシャッター2の係止が解かれ、当該シャッター2が捩りバネ3の付勢力にて閉塞位置から開放位置まで移動することとなる。
すなわち、図13に示すように、係止手段4にて閉塞位置にあるシャッター2を係止した状態(同図(a)参照)において、操作部bに対して押圧操作を行うと、送信手段11の送信部13から操作信号又は報知信号を含む電波が発信され、その電波を受信手段12の受信部14が受信すると、制御部15によりソレノイド6に通電されるので、係止手段4が捩りバネ8の付勢力に抗して揺動軸L1を中心に揺動し、同図(b)に示すように、係止部4cが被係止部2aと離間した状態となる。これにより、シャッター2に対する係止が解かれ、捩りバネ3による付勢力にてシャッター2が回動して開放位置とされる(同図(c)参照)のである。
なお、開放位置にあるシャッター2を閉塞位置とするには、摘み部7を指で摘んで揺動させる操作が必要とされる。具体的には、シャッター2の先端部(被係止部2aと隣接する部位)には、所定の勾配面2e(図5参照)が形成されており、摘み部7を操作して開放位置にあるシャッター2を閉塞位置まで回動させる過程で、勾配面2eにて係止部4cを押圧し、揺動軸L1を中心として係止手段4を揺動させる。これにより、シャッター2を更に回動させて閉塞位置に至らせることが可能とされ、当該シャッター2が閉塞位置に至ると、係止手段4が捩りバネ8の付勢力にて元の位置まで揺動し、係止部4cが被係止部2aと当接することとなり、シャッター2が閉塞位置にて係止される。
ここで、本参考例においては、送信手段11における電圧低下検出手段18で電圧低下が検出(すなわち、把持部IKbに内蔵された電池Dの電圧が所定値以下まで低下したことを検出)されたことを条件として、送信部13にて操作信号と共に所定の報知信号を電波により送信し得るとともに、受信手段12は、その報知信号を受信部14にて受信すると、当該報知信号に基づいて制御部15にて所定の報知を行わせ得るよう構成されている。
本参考例において、報知信号に基づいて行われる所定の報知は、ハウジング1に配設されたLED10(報知手段)を点滅させることにより行われる。かかるLED10は、図3に示すように、ハウジング1のケース部1bに配設されるとともに、受信手段12の受信部14が操作信号を受信した際に点灯して、ロータRのキー孔Raに対して光を照射し得るものである。これにより、夜間等の暗い環境下でも遠隔操作にてシャッター2が開放位置に移動した際にキー孔Raを光が照らして視認可能とすることができ、イグニッションキーIKのキー孔Raに対する差し込み動作を容易に行わせることができる。
さらに、本参考例に係るLED10は、上述の如く、受信手段12の受信部14が操作信号を受信した際に点灯するとともに、当該受信手段12の受信部14が操作信号と共に報知信号を受信した際には点滅して電池の電圧低下を報知し得るものとされている。これにより、LED10の点滅によって電池Dの電圧低下を視覚的に報知して送信手段11に内蔵された電池Dの消耗をより確実に把握させることができ、遠隔操作をより確実に行わせることができる。
また、報知手段は、ハウジング1に配設されたLED10から成るとともに、点灯又は点滅によりキー孔Raに対して光を照射し得るので、夜間等の暗い環境下におけるキー孔Raに対する照明機能と、電池Dの電圧低下を報知する報知機能とを兼ね備えることができる。また、通常時も作動される電装品であるLED10の作動形態を変更することにより運転者が確実に電池Dの消耗を把握することができる。すなわち、通常時に作動される電装品は、特に運転者の利便性を向上させるためのものであり(特に、本参考例においては、イグニッションキーIKをキー孔Raに挿通する際に視認し易いように点灯される)、通常の操作を行ったときに運転者が必ず意識して見るものの形態を電池Dの電圧低下時に変更させることから、運転者に対して確実に電池Dの消耗を把握させることができるのである。さらに、本参考例に係る送信手段11は、イグニッションキーIKの把持部IKbに形成されたので、シャッター2の遠隔操作(すなわち、操作部bに対する押圧操作)とイグニッションキーIKのキー孔への差し込み動作とを連続して円滑に行わせることができ、操作性をより向上させることができる。
上記参考例に係るシリンダ錠の保護装置(リモコンシステム)によれば、送信手段11は、電池Dの電圧が所定値以下まで低下したことを検出し得る電圧低下検出手段18を具備し、当該電圧低下検出手段18で電圧低下が検出されたことを条件として、操作信号と共に所定の報知信号を電波により送信し得るとともに、受信手段12は、当該報知信号に基づいて所定の報知を行わせ得るので、送信手段11に内蔵された電池Dの消耗を把握させることができ、遠隔操作を確実に行わせることができる。しかるに、操作信号及び所定の報知信号を電波以外(例えば赤外線等)にて送信し得るもの(実施形態も同様)としてもよい。
なお、上記参考例に係るシリンダ錠の保護装置によれば、手動操作により係止手段4による係止を解除するマグネット錠5(手動解除手段)と、遠隔操作で駆動することにより係止手段4による係止を解除するソレノイド6(遠隔解除手段)とを有するとともに、当該マグネット錠5及びソレノイド6がそれぞれ係止手段4を動作させてシャッター2を作動させ得るので、手動操作と遠隔操作との両方でシャッター2を作動させることができるとともに、共通の係止手段4を介してマグネット錠5(手動解除手段)による係止の解除及びソレノイド6(遠隔解除手段)による係止の解除を行わせることができ、構成を簡素化することができる。
また、本参考例に係る係止手段4は、マグネット錠5(手動解除手段)の操作力が伝達される第1部位4aと、ソレノイド6(遠隔解除手段)の駆動力が伝達される第2部位4bとを有した単一の部材から成るので、構成をより簡素化することができる。さらに、本参考例に係る係止手段4は、所定の軸(揺動軸L1)を中心に揺動可能とされ、一端側に第1部位4aが形成されるとともに他端側に第2部位4bが形成されたので、マグネット錠5(手動解除手段)による係止の解除及びソレノイド6(遠隔解除手段)による係止の解除を円滑かつ確実に行わせることができる。
またさらに、本参考例に係る遠隔解除手段は、遠隔操作により通電されてプランジャ6aを駆動させるソレノイド6から成り、当該プランジャ6aの駆動により係止手段4を動作させて係止を解除させ得るので、遠隔解除手段による係止の解除をより円滑かつ確実に行わせることができる。また、係止手段4は、プランジャ6aの所定部位6aaを挿通可能な切欠きを有し、当該切欠きにプランジャ6aを挿通して係止手段4とソレノイド6とを連結させたので、係止手段4の第2部位4bにプランジャ6aを固定させるものに比べ、外部からの衝撃や振動等によりプランジャ6aが移動しても係止手段4が移動してしまうのを抑制することができる。
特に、本参考例の如く係止手段4における第2部位4bを切欠きで構成し、その切欠きにプランジャ6aを挿通させて係止手段4とプランジャ6aとの連結を図ることにより、手動操作による係止手段4の揺動時(すなわち、マグネット錠5の回動時)、プランジャ6aを連れ回すことなく当該係止手段4の揺動を許容させることができ、係止手段4による係止の解除をより円滑に行わせることができる。
さらに、本参考例に係るシリンダ錠の保護装置によれば、シャッター2には、当該シャッター2を開放位置から閉塞位置まで手動で操作し得る摘み部7が形成されたので、シャッター2によりキー孔Raを閉塞させる際の操作性をより向上させることができる。なお、本参考例においては、摘み部7がシャッター2と一体成形された部位から成るが、別体の摘み部をシャッター2の所定部位(回動中心部2dから延設させるものに限らない)に取り付けるようにしてもよい。
次に、本発明に係る実施形態のリモコンシステムについて説明する。
本実施形態に係るリモコンシステムは、図16に示すように、参考例に係るシリンダ錠の保護装置の他、送信手段11と、受信手段12と、報知手段としてのLED10、ブザー16及びターンシグナル17と、電圧低下検出手段18とを有して構成されている。なお、シリンダ錠の保護装置におけるハウジング1やシャッター2等の構成部品については、参考例に係るものと略同一であるため、それらの詳細な説明を省略する。また、参考例と略同一の構成要素には、同一の符号を付すこととし、それらの詳細な説明を省略する。
送信手段11は、図8、9に示すように、運転者が持ち運び可能とされて運転者による操作が可能な操作部b及び電池Dを具備するとともに、当該操作部bに対する操作により所定の操作信号を送信し得るものである。本実施形態に係る送信手段11は、電池Dの電圧を検出し得る電圧値検出手段19を具備しており、当該電池Dの電圧値の低下の有無に関わらず当該電圧値を検出し得るようになっている。
しかして、運転者が操作部bを押圧操作すると、操作スイッチaがオンし、送信部13から電波が発信されるとともに、当該電波により所定の操作信号と、電圧値検出手段19で検出された電圧値に応じた信号(電池Dの電圧に関する情報)とを受信手段12に送信可能とされている。一方、受信手段12の制御部15には、電圧低下検出手段18が形成されており、当該電圧低下検出手段18によって、受信部14にて受信した電池の電圧に関する情報に基づき、電池Dの電圧が所定値以下まで低下したことを検出し得るようになっている。
ここで、本実施形態に係る報知手段は、二輪車(搭乗手段)が具備するブザー16及びターンシグナル17で構成されており、これらブザー16及びターンシグナル17によって、操作信号に基づく通常の作動及び報知を行うことが可能とされている。より具体的には、送信手段11の操作スイッチaが押圧操作され、受信手段12が操作信号を受信したとき、電圧低下検出手段18で電圧低下が検出されない場合は、ブザー16及びターンシグナル17(報知手段)にて操作信号に基づく通常の作動(例えば、自分が所有する二輪車の場所を把握させることを目的(所謂、アンサーコールバック機能)として、ターンシグナル17を所定回数点滅させ、ブザー16により所定の音を出力する等)を行わせ、且つ、電圧低下検出手段18で電圧低下が検出された場合は、ブザー16及びターンシグナル17(報知手段)にて警告の作動(上記通常の作動とは異なる作動)を行わせるよう構成されている。
さらに、本実施形態においては、ブザー16及びターンシグナル17に加え、参考例と同様、シリンダ錠の保護装置が具備するハウジング1内のLED10を報知手段としている。すなわち、送信手段11の操作スイッチaが押圧操作され、受信手段12が操作信号を受信したとき、電圧低下検出手段18で電圧低下が検出されない場合は、ハウジング1内のLED10を点灯させるとともに、電圧低下検出手段18で電圧低下が検出された場合は、当該LED10を点滅させて警告の作動が行われるよう構成されているのである。
なお、警告の作動は、通常の作動とは異ならせることにより電池Dの電圧値の低下を把握させ得る作動であれば足り、例えばターンシグナル17の点滅回数を異ならせたり、或いはブザー16による出力を異ならせる(効果音を異ならせたり或いは警告のための音声等)ものとしてもよい。また、報知手段は、ブザー16又はターンシグナル17の少なくとも何れか一方を有していれば足り、二輪車(搭乗手段)が具備する他の電装品を報知手段として機能させてもよい。
ここで、本実施形態においては、イグニッションキーIKの把持部IKbに形成された操作ボタンbを短時間押圧操作(短押し操作)すると、操作信号のみが送信され、通常の作動が行われるとともに、当該操作ボタンbを長時間押圧操作(長押し操作)すると、操作信号と共に電池Dの電圧に関する情報(電圧値検出手段19で検出された電池Dの電圧値に対応する信号)が送信されるようになっている。より具体的には、操作ボタンbを短押し操作すると、送信部13から短押し信号が発信されるとともに、当該操作ボタンbを長押し操作すると、当該送信部13から長押し信号が発信されるようになっている。
そして、受信部14が短押し信号を受信すると、制御部15による指示によって、ターンシグナル17及びブザー16において通常の作動が行われ、自分が所有する二輪車の場所を把握させ得るとともに、受信部14が長押し信号を受信すると、制御部15による指示によって、シャッター2を開放位置まで移動させるとともに、ターンシグナル17及びブザー16に加え、LED10による通常の作動(点灯)が行われ、キー孔に光を照射し得るようになっている。ここで、長押し信号を受信した際、電圧低下検出手段18によって電池Dの電圧値の低下が検出された場合は、ターンシグナル17、ブザー16及びLED10をそれぞれ警告作動させ、電池Dの電圧値の低下を把握させるようになっている。
次に、上記実施形態に係るリモコンシステムの制御について、図17のフローチャートに基づいて説明する。
先ず、受信手段12の制御部15により、受信部14にて短押し信号が受信されたか否か判定され(S1)、短押し信号が受信されたと判定された場合、受信部14で受信した操作信号に基づき、ターンシグナル17及びブザー16に対して通常の作動(例えば、自分が所有する二輪車の場所を把握させることを目的として、ターンシグナル17を所定回数点滅させ、ブザー16により所定の音を出力する等)を行わせる(S2、S3)。
また、S1にて短押し信号が受信されたと判定されない場合、長押し信号が受信されたか否かが判定される(S4)。そして、長押し信号が受信されたと判定された場合、S5に進んで、シャッター2を開放位置まで移動させた後、S6に進んで、電圧低下検出手段18により、電池Dの電圧値(電池残量)が所定のしきい値以上であるか否かが判定される。S6にて電池Dの電圧値が所定のしきい値以上であると判定された場合、受信部14で受信した操作信号に基づき、ターンシグナル17、LED10及びブザー16に対して通常の作動(例えば、自分が所有する二輪車の場所を把握させることを目的として、ターンシグナル17を所定回数点滅させつつブザー16により所定の音を出力させ、加えて、LED10を点灯させてキー孔に光を照射する等)を行わせる(S7、S8、S9)。
一方、S6にて電池Dの電圧値が所定のしきい値以上でない(しきい値以下である)と判定された場合、ターンシグナル17、LED10及びブザー16に対して警告の作動を行わせる(S10、S11、S12)。かかる警告の作動は、既述のように、S2、S3及びS7〜S9で行われる操作信号に基づく通常の作動とは異なる作動とされ、これにより、電池Dの電圧値が低下して寿命が近いことを周囲に把握させることができる。
上記実施形態によれば、受信手段12が、電池Dの電圧が所定値以下まで低下したことを検出し得る電圧低下検出手段18を具備し、当該電圧低下検出手段18で電圧低下が検出されたことを条件として、報知を行わせ得るので、送信手段11に内蔵された電池Dの消耗をより的確に把握させることができ、遠隔操作をより確実に行わせることができる。また、本実施形態に係る二輪車(搭乗手段)は、操作信号に基づく作動及び報知を行うための報知手段(ブザー16、ターンシグナル17又はLED10)を具備するとともに、電圧低下検出手段18で電圧低下が検出されたことを条件として、当該報知手段にて報知させるので、報知手段は、操作信号に基づく作動と、電池Dの電圧低下の報知とを選択的に行わせることができる。
さらに、報知手段は、二輪車(搭乗手段)が具備するターンシグナル17又はブザー16の少なくとも何れか一方を有するとともに、受信手段12が操作信号を受信したとき、電圧低下検出手段18で電圧低下が検出されない場合は、報知手段にて操作信号に基づく通常の作動を行わせ、且つ、電圧低下検出手段18で電圧低下が検出された場合は、報知手段にて警告の作動を行わせるので、ターンシグナル17やブザー16にて電池の電圧低下の報知を行わせることができる。
また、通常時も作動される電装品であるターンシグナル17又はブザー16の作動形態を変更することにより運転者が確実に電池Dの消耗を把握することができる。すなわち、通常時に作動される電装品は、特に運転者の利便性を向上させるためのものであり(特に、本実施形態においては、アンサーバックを行うターンシグナル17であれば、ターンシグナル17の点滅で車両を探し易くする、ブザー16であれば、操作されたことを通知するために鳴る)、通常の操作を行ったときに運転者が必ず意識して見るものの形態を電池Dの電圧低下時に変更させることから、運転者に対して確実に電池Dの消耗を把握させることができるのである。
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、適用されるシリンダ錠の保護装置に関し、シャッター2の閉塞位置から開放位置までの移動を専ら遠隔操作にて行わせるもの(すなわち、マグネット錠5(手動解除手段)及びマグネットキーMKを有さないもの)としてもよい。また、受信手段12が操作信号又は報知信号を受信し得るとともに、報知信号を受信すると、その報知信号に基づいて所定の報知を行わせるものであれば、LED10を点滅させるものの他、他の報知形態(例えばLED10を他の色で発光させる、或いは車両が具備するスピーカ等から警報若しくは警告音を出力する等)としてもよい。
さらに、参考例においては、受信手段12(受信部14)が操作信号を受信した際に点灯してキー孔Raに光を照射するLED10を報知手段としているが、受信手段12が操作信号を受信した際に点灯するとともに、受信手段12が操作信号と共に報知信号を受信した際には点滅して電池の電圧低下を報知し得るものであれば、LED10とは別個配設されたもの(キー孔Raに光を照射しないものも含む)であってもよい。
またさらに、本実施形態に係る送信手段11は、イグニッションキーIKの把持部IKbに形成されているが、当該イグニッションキーIKとは別個独立した部材(運転者が持ち運び可能なリモートコントローラ(リモコン)等)に形成してもよい。なお、本実施形態においては、二輪車のシリンダ錠に適用されているが、例えば船舶、ATV又はスノーモービル等他の搭乗手段におけるシリンダ錠に本発明を適用してもよい。
しかるに、参考例においては、送信手段11に電圧低下検出手段18が形成され、操作信号及び報知信号が受信手段12に送信されるものとされているが、これに代えて、実施形態の如く、電池Dの電圧に関する情報を送信手段11から受信手段12に送信し得るとともに、受信手段12に電圧低下検出手段18が形成されて電圧の低下を検出するものとしてもよい。また、実施形態においては、電池Dの電圧に関する情報を送信手段11から受信手段12に送信し得るとともに、受信手段12に電圧低下検出手段18が形成されて電圧の低下を検出するものとされているが、これに代えて、参考例の如く、送信手段11に電圧低下検出手段18が形成され、操作信号及び報知信号が受信手段12に送信されるものとしてもよい。