〔実施形態1〕
本発明の実施形態1について、図1〜図10および図26に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号が付してある。また、図1〜図26では、紙面上側がウインドウ器具の上側となるものとして説明する。
(ウインドウ器具1Aの構造)
本発明の実施形態1に係るウインドウ器具1Aの構造について、図1の(a)および図1の(b)を参照して説明する。図1の(a)は本実施形態1に係るウインドウ器具1Aの構成を示す正面図であり、図1の(b)はウインドウ器具1Aの構成を示す側面図である。また、図2は、ウインドウ器具1Aに外光Lが照射された状態を示す側面図である。さらに、図3は、図2に示すウインドウ器具1Aが居室に外光を導入する状態を示す斜視図である。
ウインドウ器具1Aは、住宅、オフィスビル等の建築物の居室に用いられる。ウインドウ器具1Aは、窓、ブラインド、ロールカーテン等として用いることができる。
ウインドウ器具1Aは、図1に示すように、支持部2および導光部3を備えている。
支持部2は、ウインドウ器具1Aの上端に設けられている。支持部2は、ウインドウ器具1Aを吊るして使用する際に、ウインドウ器具1Aを上側から支持する。ここで、支持部2が設けられる位置は、ウインドウ器具1Aの上端に限らず、ウインドウ器具1Aを支持出来ればよく、例えば、ウインドウ器具1Aの側端に設けられていてもよい。さらに、支持部2は、必須の構成ではなく、例えば、ウインドウ器具1Aをフィルムとして窓に張り付けて用いる場合等は不要となる。
導光部3は、図1および図2が示すように、太陽光等の外光Lが入射される導光入射面4と、導光入射面4と平行である導光出射面5とを備える。また、導光出射面5は、後述する第1導光体11、第2導光体13および透過体12において、導光入射面4からの最遠の点、すなわち、透過体12の出射面12b(図8参照)を通る。
また、導光部3は、図1に示す通り、導光体複合部10Aを備える。導光体複合部10Aは、透過体12を含む複数の導光体を備え、具体的には、第1導光体11、第2導光体13、透過体12を備える。
なお、実施形態1に係るウインドウ器具1Aにおいて、第1導光体11が設けられた上段21エリアと第2導光体13が設けられた下段エリア23の間に、透過体12からなる中段エリア22が設けられているが、中段エリア22は必ずしも必要ではなく、上段エリア21と下段エリア23が隣接していてもよい。また、上段エリア21と下段エリア23の面積の広さは特に限定されず、上段エリア21に対し、下段エリア23が低い位置に設けられていればよい。
(出射光)
ここで、第1導光体11から出射される出射光M1(第1出射光)、透過体12から出射される出射光M2および第2導光体13から出射される出射光M3(第2出射光)について、図2および図3に基づいて説明する。
上述したように、出射光M1、出射光M2、および出射光M3は、それぞれ、第1導光体11、透過体12および第2導光体13から出射される。このとき、図2に示すように、導光入射面4と外光Lとがなす入射角θは一定である。また、第1導光体11、透過体12および第2導光体13から居室に出射される出射光M1、出射光M2、および出射光M3は、入射角θに対する出射角α(第1出射角)、出射角βおよび出射角γ(第2出射角)がそれぞれ異なる。
ここで、入射角θとは、上述したように外光Lと導光入射面4とのなす角である。また、出射角α,β,γとは、それぞれ出射光M1,M2,M3と導光出射面5とのなす角である。
出射光M1は第1導光体11から出射角αで出射される。出射光M2は透過体12から出射角βで出射される。出射光M3は第2導光体13から出射角γで出射される。出射角α、出射角βおよび出射角γは、α<β<γとなる。これにより、ウインドウ器具1Aは、居室Rに入射される外光Lを天井よりも床に多く導入でき、またウインドウ器具1Aに入射される外光Lをほぼ均一に床F(照射面)に導入することができる。
ウインドウ器具1Aは、上述したように、上記構成を以って、外光Lを天井よりも床に多く集まるように居室に導入する。このように外光Lを導入するために、ウインドウ器具1Aは、外光Lの出射角度の調整機構を必要としない。そのため、ウインドウ器具1Aは簡素な構造により、居室内にいる人に対し眩しくならないように屋内の床へ外光Lを導入できる。したがって、ウインドウ器具1Aは、何もない窓に比べて屋内にいる人に対して外光Lによる眩しさを軽減できる。このため、人に眩しさを感じさせないようにすることができる。
また、ウインドウ器具1Aを用いない場合と比較して、外光Lにより床を温めることができ、暖房に用いるエネルギーを削減できる。
上記について、具体的に、図3に基づき説明する。
居室Rは、天井C、床F、および4面の壁Wで囲われる直方体の居室である。4面の壁Wのうちの1面にウインドウ器具1Aが設置されている。
居室Rの床Fに着目すると、図3に示すように、ウインドウ器具1Aの上段(上段エリア21、第1導光体11)から出射された出射光M1は、出射光M2および出射光M3よりもウインドウ器具1Aに近い位置に達する。ウインドウ器具1Aの下段(下段エリア23、第2導光体13)から出射された出射光M3は、出射光M1および出射光M2よりも、居室Rの奥側(ウインドウ器具1Aから遠い位置)に達する。ウインドウ器具1Aの中段(中段エリア22、透過体12)から出射された出射光M2は、出射光M1と出射光M3とが達する領域の間に達する。
上記構成により、ウインドウ器具1Aは、居室Rに入射される外光Lを天井Cよりも床Fに多く導入することができる。そのため、ウインドウ器具1Aは調整機構を必要としない簡素な構造により、外光Lを居室Rの広い範囲ではなく床Fにのみ照射して、人に眩しさを感じさせないようにすることができる。また、上記構成により、ウインドウ器具1Aに入射される外光Lをほぼ均一に床Fに導入することができる。このため、床Fの温度のムラを小さくすることができる。より詳しくは、導光体複合部10Aの構造に基づき下記に説明する。
(導光体複合部10A)
導光体複合部10Aの構造について、図4〜図7を参照して説明する。上述したように、導光体複合部10Aは、第1導光体11、透過体12および第2導光体13を有する。
(第1導光体11の構造)
第1導光体11は、導光体複合部10Aのウインドウ器具1Aの上段エリア21に位置する。第1導光体11は、図4および図5に示すように、入射面11a、複数の傾斜面11b、および複数の水平面11cを有する。図4は、本実施形態に係るウインドウ器具1Aにおける上段エリア21に設けられる第1導光体11の一部の構造を示す斜視図である。図5は、上段エリア21に設けられる第1導光体11の一部の構造を示す側面図である。
第1導光体11は、屋外側(図5における左側)に入射面11aを有している。入射面11aは、鉛直方向(図5における上下方向)に伸びている。入射面11aは、導光入射面4と一致する。
また、入射面11aは、外光Lが入射するとともに、傾斜面11bで反射された外光Lを全反射させる。第1導光体11は居室側(図5における右側)に、ウインドウ器具1Aの幅方向に長く形成された傾斜面11bおよび水平面11cを有している。
傾斜面11bは、上端から下端に向かうにしたがって入射面11aから遠ざかるように傾斜している。傾斜面11bの入射面11aに対する傾斜角は、後述のように外光Lを入射面11aへ導くように傾斜面11bで全反射させる角度に設計されている。また、傾斜面11bは、入射面11aから入射した外光Lを反射させる。
水平面11cは、傾斜面11bの下端から入射面11aの付近まで水平(図5における左右方向)に形成されている。
入射面11aには、外光Lが入射角θで入射される。外光Lは入射面11aにより、入射角θよりも大きな角度で屈折されて、傾斜面11bに導かれ、傾斜面11bにより、入射面11a側に全反射される。入射面11aは、傾斜面11bにより反射された外光Lを全反射させ、水平面11cに導く。入射面11aにより全反射された外光Lは、出射光M1として水平面11cから出射される。このとき、外光Lは、外光Lの入射角θに対する出射角αが、α<θとなるように、水平面11cにより屈折され、出射される。
なお、出射角αは、入射面11aによる出射光M1の反射角が、傾斜面11bから入射面11aへ入射する入射角に応じて異なることから、ある範囲の大きさの角度となる。
上記構成により、第1導光体11は、入射面11aから入射した外光Lを、傾斜面11bにより下方の入射面11a側に反射させることにより、水平面11cに導く。これにより、居室Rにおいて出射光M2および出射光M3よりもウインドウ器具1Aに近い位置に、上段エリア21から出射光M1が到達する。そのため、調整機構を必要としない簡素な構造で、上段エリア21に入射される外光Lにより人が眩しさを感じないようにすることができる。また、居室Rに入射される外光Lを天井Cよりも床Fに多く導入することができる。
また、第1導光体11内の外光Lの進み方は上記に限らない。外光Lの入射角θに対する出射角αが、α<θとなるように、出射光M1を水平面11cから出射できばよい。
(第2導光体13の構造)
図6は、本実施形態に係るウインドウ器具1Aにおける下段エリア23に設けられる第2導光体13の一部の構造を示す斜視図である。図7は、下段エリア23に設けられる第2導光体13の一部の構造を示す側面図である。
第2導光体13は、ウインドウ器具1Aの下段エリア23に位置する。すなわち、第2導光体13は、ウインドウ器具1Aの使用状態において第1導光体11の下側に位置する。第2導光体13は、図6および図7に示すように、入射面13a、複数の傾斜面13b、および複数の水平面13cを有する。
第2導光体13は、屋外側(図7における左側)に入射面13aを有している。入射面13aは、鉛直方向(図7における上下方向)に伸びている。入射面13aは、導光入射面4と一致する。第2導光体13は居室側(図7における右側)に、ウインドウ器具1Aの幅方向に長く形成された傾斜面13bおよび水平面13cを有している。
傾斜面13bは、下端から上端に向かうにしたがって入射面13aから遠ざかるように傾斜している。傾斜面13bの入射面13aに対する傾斜角は、後述のように外光Lを出射角γで出射する角度に設計されている。
水平面13cは、傾斜面13bの上端から入射面13aの付近まで水平(図7における左右方向)に形成されている。
入射面13aには、外光Lが入射角θで入射される。外光Lは入射面13aにより、入射角θよりも大きな角度で屈折されて、傾斜面13bに導かれ、傾斜面13bにより屈折されて、出射光M3として出射される。このとき、外光Lは、外光Lの入射角θに対する出射角γが、θ<γとなるように、傾斜面13bにより屈折され、出射される。
上記構成により、第2導光体13は、入射面13aから入射した外光Lを、傾斜面13bから最も大きい出射角γで出射する。これにより、居室Rにおいて、出射光M1および出射光M2よりも居室Rの奥側に、下段エリア23から出射光M3が到達する。そのため、調整を必要としない簡素な構造で居室Rの奥側にも外光Lを導入することができる。
なお、第2導光体13内の外光Lの進み方は上記に限らない。外光Lの入射角θに対する出射角γが、θ<γとなるように、出射光M3を傾斜面13bから出射できばよい。
(透過体12の構造)
透過体12は、ウインドウ器具1Aの中段エリア22に位置する。透過体12は、図8および図9に示すように、入射面12a、および出射面12bを有する。図8は、本実施形態に係るウインドウ器具1Aにおける中段エリア22に設けられる透過体12の一部の構造を示す斜視図である。図9は、中段エリア22に設けられる透過体12の一部の構造を示す側面図である。また、入射面12aと導光入射面4とが、および出射面12bと導光出射面5とが一致する。したがって、導光部3は、導光入射面4、導光出射面5、第1導光体11、および第2導光体13を備える、と言い換えることができる。
透過体12は、屋外側(図9における左側)に入射面12aを有している。入射面12aは、鉛直方向(図9における上下方向)に伸びている。透過体12は居室側(図9における右側)に、出射面12bを有している。入射面12aと出射面12bとは平坦面であり、互いに平行となるように形成されている。透過体12は所定の厚さを有する。
入射面12aは、外光Lが入射角θで入射される。外光Lは入射面12aにより、入射角θよりも大きな角度で屈折されて、出射面12bに導かれ、出射面12bにより屈折されて、出射光M2として出射される。このとき、外光Lは、外光Lの入射角θ=出射角βとなるように出射面12bにより屈折され、出射される。すなわち、中段エリア22から出射される出射光M2は、外光Lと同じ角度で進む。
上記構成により、透過体12は、入射面12aから入射した外光Lを、出射角αより大きく、かつ出射角γより小さい出射角βで出射する。これにより、ウインドウ器具1Aの中段(中段エリア22)から出射された出射光M2は、出射光M1と出射光M3とが達する領域の間に達する。
ここで、例えば、外光Lを入射角θと同じ角度で出射する構造(透過体12)がない場合、居室Rに導入される外光Lは、出射光M1および出射光M3のみになる。そのため、図4および図6で示すように、ウインドウ器具1Aにおけるエリアごとに居室Rに導入される外光Lの出射角の差が大きくなる。その結果、床Fの中ほどへの光の導入量が、床Fにおけるウインドウ器具1Aに対して近い側および遠い側への外光Lの導入量と比べて少なくなる。したがって、外光Lを入射角θと同じ角度で出射する透過体12を有することで、床Fの中ほどへの外光Lの導入を補完する。そのため、ウインドウ器具1Aは、ウインドウ器具1Aに入射される外光Lを床Fの全体にほぼ均一に導入することができる。特に、ウインドウ器具1Aにおけるエリア数が少なければ少ないほど、外光Lを入射角θと同じ角度で出射する構造を有する効果が大きくなる。
なお、透過体12内の外光Lの進み方は上記に限らない。外光Lの入射角θ=出射角βとなるように、出射光M2を出射面12bから出射できばよい。
また、透過体12、第1導光体11および第2導光体13から出射される出射光には、ウインドウ器具1A内の乱反射によって、出射光M1〜M3とは異なる方向に進む微量な出射光が存在する。以降、各実施形態において、本発明の特徴に関わらないウインドウ器具内の乱反射による微量な出射光の出射については説明を省略する。
(暖房効果)
ウインドウ器具1Aを用いて外光Lを導入した場合の暖房効果について、図10および図26を参照して説明する。図10はウインドウ器具1Aによる床Fの暖房の効果を示す斜視図である。図26は、従来のウインドウ器具100による床Fの暖房の効果を示す斜視図である。
外光Lは床F等の構造物に導入されることで(外光Lにより床F等の構造物が照射されることで)、太陽光エネルギーにより該構造物を温める。
ブラインドのような従来のウインドウ器具100は、外光Lをそのまま透過させるので、床F以外の壁Wにも光を導く。そのため、ウインドウ器具1Aは、ウインドウ器具100と比較して、床Fへ無駄なく光を照射するので、多く外光Lを床Fに導入でき、床Fを効率的に温めることができる。したがって、ウインドウ器具1Aは、ウインドウ器具100と比較して、高い暖房効果を奏する。
また、ウインドウ器具100は、外光Lをそのまま透過させるため、図26に示すように、ウインドウ器具100の上段、中段および下段の全てのエリアで、入射角θと同じ角度で出射光Zを出射する。
そのため、テーブルT等の障害物に出射光Zが当たると床Fに障害物の影が形成される。床Fにおいて、影が形成される部分には出射光Zが当たらず、暖まらない。また、仮に、ウインドウ器具100の上段のエリアから、ウインドウ器具100から遠い側に外光Lを導入する構造をウインドウ器具100が有している場合でも、テーブルT等の障害物に出射光Zが当たることにより床Fに影が形成される部分には出射光Zが当たらず、床Fは暖まらない。
それに対し、本実施形態1に係るウインドウ器具1Aの構造によれば、図10に示すように、下段エリア23から出射される出射光M3は、テーブルTの下を通り、さらに奥側へと導入することができる。そのため、出射光M1または出射光M2がテーブルT等の障害物があったとしても、床F全体を温めることができる。
また、ウインドウ器具1Aは、ウインドウ器具1Aに入射される外光Lを床Fの全体にほぼ均一に導入することができる。そのため、ウインドウ器具1Aは、ウインドウ器具1Aに入射される外光Lにより温められる床Fの温度のムラを小さくすることができる。
なお、居室Rは直方体として説明したが、上記に限られない。居室Rは用途に応じて形を変更することができる。
また、本実施形態では、上下方向に3つのエリアに分かれているウインドウ器具1Aについて説明したが、上記に限らない。居室の部屋の大きさに応じて、ウインドウ器具1Aは、少なくとも上下方向に2つ以上のエリアに分かれていればよく、4つ以上のエリアに分かれていてもよい。
2つのエリアに分かれている場合、第1導光体11を含む上段エリア21と第2導光体13を含む下段エリア23が隣接している。
また、4つ以上のエリアに分かれている場合、第1導光体11を上下2つに分けてもよい。2つに分けた第1導光体11のうち、ウインドウ器具1Aの上端側の第1導光体11の出射光の出射角を出射角α1、下端側の第1導光体11の出射光の出射角を出射角α2としたとき、α1<α2となるようにすればよい。
さらに、広い部屋に本発明のウインドウ器具1Aを採用する際は、数段階の出射角を備える出射光が出射されるよう、第1導光体11および第2導光体13の大きさあるいは、傾斜面の傾斜角度を適宜変更してもよい。
さらに、上段エリア21、中段エリア22および下段エリア23の各面積は、同じであっても異なっていてもよく、適宜設定できる。
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2について、図11〜図13に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
実施形態1に係るウインドウ器具1Aは、ウインドウ器具1Aに入射される外光Lを天井Cよりも床Fに多く導入する。そのため、居室Rに導入される外光Lの量によっては床Fが熱くなりすぎる場合がある。
それに対し、本実施形態2に係るウインドウ器具1Bは、ウインドウ器具1Bの所定のエリアに入射される外光Lを天井Cおよび床Fよりもウインドウ器具1Bが設置されている壁Wの両端に存在(隣接)する壁W(以降側壁W1と称する、図13参照)に多く導入する構造をさらに備える。
上記構成により、床Fに加え、側壁W1にも外光Lを導入することができる。そのため、居室Rに導入される外光Lの量による過剰な床Fの温度上昇を抑えることができる。また、床Fだけではなく、側壁W1も温めることが可能となり、居室Rの暖房効果を高めることができる。以下に詳しく説明する。
(ウインドウ器具1Bの構造)
ウインドウ器具1Bの構造について、図11〜図13を参照して説明する。図11は本発明の実施形態2に係るウインドウ器具1Bの構成を示す正面図である。
ウインドウ器具1Bにおける導光体複合部10Bは、図11に示すように、床側出射エリア31を備え、その両端に壁側出射エリア32を備える。図12は、図11に示すウインドウ器具1Bの構成を示す正面図である。
壁側出射エリア32は、図示しないが、例えば、図11における右側において、図1の(a)におけるウインドウ器具1Aの導光体複合部10Aの透過体12を除いたもの、すなわち、側壁W1に外光Lを導くように、第1導光体11および第2導光体13を、それぞれの長手方向が鉛直方向(垂直方向)となるような構成を持つ(補助導光体)。なお、第1導光体11および第2導光体13は、それぞれの長手方向が鉛直方向となる以外にも、側壁W1に外光Lを導くことができれば、それぞれの長手方向が鉛直方向に対して傾斜していてもよい。
このとき、壁側出射エリア32において、透過体12に対応する箇所からは、図13に示すように、出射光N1が側壁W1に出射される。壁側出射エリア32において、第2導光体13に対応する箇所からは、出射光N2が側壁W1に出射される。出射光N1は、出射光N2よりもウインドウ器具1Bに近い位置に出射されている。出射光N2は、出射光N1よりも居室Rの奥側に出射されている(導光機能)。図13は、図11および図12に示すウインドウ器具1Bが居室に外光Lを導入する状態を示す斜視図である。
上記構成により、壁側出射エリア32に入射される外光Lは、側壁W1に導入される。言い換えると、壁側出射エリア32に入射される外光Lが照射する対象は側壁W1である。
床側出射エリア31は、図12に示すように、少なくとも実施形態1に係るウインドウ器具1Aに含まれる上段エリア21、中段エリア22および下段エリア23を備え、さらに壁側出射エリア33を備える。壁側出射エリア33は、中段エリア22の中央に、上段エリア21と下段エリア23とをつなぐように形成される。
床側出射エリア31は、上段エリア21、中段エリア22および下段エリア23から、それぞれ、出射光M1、出射光M2および出射光M3が出射される。したがって、上段エリア21、中段エリア22および下段エリア23に入射される外光Lは、外光Lが天井Cよりも床Fに多く導入される。また、上段エリア21、中段エリア22および下段エリア23に入射される外光Lは、床Fの全体にはほぼ均一に導入される。
壁側出射エリア33は、壁側出射エリア32と同じ構成を有する。そのため、壁側出射エリア33に入射される外光Lは天井Cおよび床Fよりも側壁W1に多く導入される。なお、壁側出射エリア33に入射される外光Lは、ウインドウ器具1Bが設置されている壁Wの両端に隣接する壁W(側壁W1)のどちらに導入されてもよい。
以上により、ウインドウ器具1Bにおいて、床側出射エリア31の一部(上段エリア21、中段エリア22および下段エリア23)に入射される外光Lは、天井Cよりも床Fに多く導入される。また、床側出射エリア31の一部(壁側出射エリア33)および壁側出射エリア32に入射される外光Lは、天井Cおよび床Fよりも側壁W1に多く導入される。
上記構成により、ウインドウ器具1Bは、床Fに加え、側壁W1にも外光Lを導入することができる。そのため、居室Rに導入される外光Lの量による過剰な床Fの温度上昇を抑えることができる。
なお、壁側出射エリア32および壁側出射エリア33は、上記の構成に限らず、第1導光体11を含んでもよい。また、床側出射エリア31の構成は上記に限らず、ウインドウ器具1Aの構成のみを有していてもよい。
さらに、壁側出射エリア32および壁側出射エリア33の位置は上記に限定されない。導光体複合部10Aのどこに位置していてもよい。また、床側出射エリア31および壁側出射エリア32の各面積は、同じであっても異なっていてもよく、適宜設定できる。
(暖房効果)
ウインドウ器具1Bを用いて外光Lを居室Rに導入した場合の暖房効果について、図13を参照して説明する。
ウインドウ器具1Bの構造によれば、図13に示すように、床側出射エリア31の上段エリア21、中段エリア22、および下段エリア23からは、出射光M1、出射光M2、および出射光M3が出射される。上記構成により、上段エリア21、中段エリア22、および下段エリア23に入射される外光Lは床Fの全体にほぼ均一に導入される。
このため、ウインドウ器具1Bは、ウインドウ器具1Bに入射される外光Lにより床Fを均一に温めることができる。
さらに、壁側出射エリア32および壁側出射エリア33からは、出射光N1および出射光N2が出射される。
このため、壁側出射エリア32および壁側出射エリア33に入射される外光Lは、天井Cおよび床Fよりも側壁W1に多く導入される。また、壁側出射エリア32および壁側出射エリア33に入射される外光Lは側壁W1に導入される。
上記構成により、ウインドウ器具1Bは、床Fだけではなく、側壁W1も温めることが可能となり、ウインドウ器具1Aと比較し、居室Rの暖房効果を高めることができる。また居室Rに導入される外光Lの量による過剰な床Fの温度上昇を抑えることができる。
〔実施形態3〕
本発明の実施形態3について、図14〜図19に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態1および2にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
実施形態1に係るウインドウ器具1Aでは、外光Lが、第1導光体11、透過体12および第2導光体13から、それぞれ出射角α,β,γの方向に向きを変えて、出射光M1、出射光M2および出射光M3として出射されるが、側方に向きが変わることはない。そのため、床Fにおいて、外光Lが入射して出射光M1〜M3が直接当たる部分の温度は上がりやすいが、外光Lが入射しないために出射光M1〜M3が直接当たらない部分は影となり、温度が上がらない。
それに対し、本実施形態3に係るウインドウ器具1Cは、出射光を散乱させる散乱構造をさらに備える。
上記構成により、床Fや側壁W1の広い範囲に出射光M3を散乱させて出射することができる。そのため、外光Lの入射状態の違いによる床Fおよび側壁W1の温度上昇のムラを軽減することがきる。以下に詳しく説明する。
(ウインドウ器具1Cの構造)
ウインドウ器具1Cは、ウインドウ器具1Aにさらに散乱構造を備える。言い換えると、ウインドウ器具1Cは、導光部3に散乱構造(図示なし)を備える。散乱構造について詳しくは後述する。
(散乱構造)
本実施形態に係る散乱構造について、図14〜図17を参照し説明する。
まず、ウインドウ器具1Cが、ウインドウ器具1Aにさらに散乱構造を備えるものであった場合について、図14に基づき、ウインドウ器具1Cにおける下段エリア23に設けられる第3導光体15を例に挙げて説明する。図14は、本実施形態に係るウインドウ器具1Cにおける下段のエリアに設けられる第3導光体15の一部の構造を示す斜視図である。図15は、図14に示す第3導光体15の構造を示す平面図である。
第3導光体15は、第2導光体13と同様に、入射面13a、および水平面13cを有する。また、第3導光体15は、第2導光体13の傾斜面13bの代わりに、散乱面13dを有する。
散乱面13dは、入射面13aから導かれた外光Lを出射光M3として出射する。散乱面13dは、複数の同形の半円筒状の部分が連なった構造を有する。これにより、散乱面13dは、出射光M3を散乱させる。詳しくは、散乱面13dからは、図7に示す第2導光体13における出射光M3が出射される方向(図15の上方視における直進方向)だけに出射光M3が出射されるのではなく、図15の上方視における直進方向に対して広がる方向(直進方向に対して水平方向)にも出射光M3が出射される。
第3導光体15では、導光構造と散乱構造が一体となっている。これにより、導光構造と散乱構造を同時に作製できるので、散乱構造を有する第3導光体15を一度の成型(あるいは加工)で作製することができる。
また、第3導光体15では、散乱構造は第3導光体15の一部となっているが、散乱構造は第2導光体13と散乱体14との組み合わせとしてもよい。上記組合せによる散乱構造について、図16および図17を参照して説明する。図16は、本実施形態に係るウインドウ器具1Cにおける下段のエリアに設けられる散乱体14の一部の構造を示す斜視図である。図17は、図16に示す散乱体14の一部の構造を示す平面図である。
散乱体14は、図16に示すように、第2導光体13の光出射側に配置されており、入射面14aおよび散乱面14bを有する。
散乱体14は、第2導光体13側に入射面14aを有している。入射面14aは、第2導光体13の入射面13aと平行である。散乱体14は、第2導光体13とは反対側に散乱面14bを有している。散乱面14bは、複数の同形の半円筒状の部分が連なった構造を有する。これにより、散乱面14bは、出射光M3を散乱させる。詳しくは、散乱面14bからは、図7に示す第2導光体13における出射光M3が出射される方向(図17の上方視における直進方向)だけに出射光M3が出射されるのではなく、図17の上方視における直進方向に対して広がる方向にも出射光M3が出射される。
散乱体14は、導光構造と散乱構造とが一体ではないので、導光構造および散乱構造を別々に作製したのち、張り合わせることで作製することができる。
ウインドウ器具1Cは、散乱構造(散乱面13dもしくは散乱体14)により、実施形態1に係るウインドウ器具1Aと比較して、出射光M3を床Fの広い範囲に出射することができる。具体的には、例えば、外光Lが、雲等の障害物により遮られることで下段エリア23の全体ではなく一部だけに入射した場合であっても、出射光M3を広い範囲に出射することができるので、ウインドウ器具1Cに入射される外光Lは床Fの全体にほぼ均一に導入される。
また、実施形態1に係るウインドウ器具1Aのように散乱構造がない場合では、太陽の移動(方角の変化)により、床Fに出射光M3が照射される部分と照射されない影の部分とが生じる場合がある。そのような場合であっても、本実施形態に係るウインドウ器具1Cのように散乱構造を用いることで、ウインドウ器具1Cに入射される外光Lは長時間にわたって床Fの全体にほぼ均一に導入される。これにより、外光Lの入射角度が変わっても床Fもしくは側壁W1に影を生じさせないようにすることができる。その結果、人が素足で居室Rを歩いた時の床Fの温暖差による不快感などを軽減することができる。
なお、図示しないが、ウインドウ器具1Cの下段エリア23だけではなく、上段エリア21および中段エリア22も同様に散乱構造を有する。そのため、上段エリア21および中段エリア22から出射される出射光M1および出射光M2においても、床Fの広い範囲に出射することができる。
また、ウインドウ器具1Cが、ウインドウ器具1Bにさらに散乱構造を備えるものである場合は、実施形態2に係るウインドウ器具1Bと比較して、出射光N1および出射光N2も側壁W1の広い範囲に出射することができる。このとき、出射光N1および出射光N2は、鉛直方向(図19における上下方向)に広がる。したがって、ウインドウ器具1Cが、ウインドウ器具1Bにさらに散乱構造を備えるものである場合は、ウインドウ器具1Cがウインドウ器具1Aにさらに散乱構造を備えるものである場合の効果に加え、側壁W1においても同様の効果を奏する。
また、本実施形態では、前述のように、第2導光体13に散乱構造を適用する例について説明したが、第1導光体11および透過体12に同様の散乱構造を適用してもよいことは勿論である。
(暖房効果)
ウインドウ器具1Cを用いて外光Lを居室Rに導入した場合の暖房効果について、図18および図19を参照して説明する。図18は、本実施形態3に係るウインドウ器具1Cが居室Rに外光Lを導入する状態を示す斜視図である。図18のウインドウ器具1Cは、ウインドウ器具1Aにさらに散乱構造を備えたものである。図19は本実施形態3に係る他のウインドウ器具1Cが居室に外光Lを導入する状態を示す斜視図である。図19のウインドウ器具1Cは、ウインドウ器具1Bにさらに散乱構造を備えたものである。
ウインドウ器具1Cが、ウインドウ器具1Aにさらに散乱構造を備えるものであった場合、図18示すように、実施形態1に係るウインドウ器具1Aと比較して、出射光M1〜M3が床Fの広い範囲に出射されている。そのため、外光Lの入射状態の変化によらず、床F全体をほぼ均一に温めることができる。また、外光Lの入射状態の違いによる床Fの温度上昇のムラをさらに軽減することがきる。その結果、人が素足で居室Rを歩いた時の床Fの温暖差による不快感を軽減することができる。
ウインドウ器具1Cが、ウインドウ器具1Bにさらに散乱構造を備えるものであった場合、図19示すように、実施形態2に係るウインドウ器具1Bと比較して、(1)出射光M1〜M3が広い範囲で床Fに出射され、(2)出射光N1および出射光N2が広い範囲で側壁W1に出射されている。そのため、外光Lの入射状態の変化によらず、床Fおよび側壁W1全体をほぼ均一に温めることができる。また、外光Lの入射状態の違いによる床Fおよび側壁W1の温度上昇のムラを軽減することがきる。
〔実施形態4〕
本発明の実施形態4について、図20〜図23に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態1〜3にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
実施形態1に係るウインドウ器具1Aは、ウインドウ器具1Aに入射される外光Lを天井Cよりも床Fに多く導入する。そのため、外光Lによる十分な照明効果は得られない。
それに対し、本実施形態4に係るウインドウ器具1Dは、ウインドウ器具1Dの所定のエリアに入射される外光Lを床Fよりも天井Cに多く導入する構造をさらに備える。
上記構成により、床Fの暖房効果と同時に、天井Cからの反射光により、照明効果も得ることができる。以下に詳しく説明する。
(ウインドウ器具1Dの構造)
ウインドウ器具1Dの構造について、図20および図21を参照して説明する。図20は本実施形態に係るウインドウ器具1Dの構成を示す正面図である。図21は、本発明の実施形態4に係るウインドウ器具1Dが居室に外光を導入する状態を示す斜視図である。
ウインドウ器具1Dにおける導光体複合部10Dは、図20に示すように、上部(図20において上側)に天井側出射エリア41を備え、下部(図20において下側)に床側出射エリア51を備える。
床側出射エリア51は、例えば、実施形態1に係るウインドウ器具1Aに含まれる上段エリア21、中段エリア22および下段エリア23を備える。そのため、上段エリア21、中段エリア22および下段エリア23からは、それぞれ、図21に示すように、出射光M1、出射光M2および出射光M3が出射される。
そのため、床側出射エリア51に入射される外光Lは、天井Cよりも床Fに多く導入される。また、床側出射エリア51に入射される外光Lは、床Fの全体にほぼ均一に導入される。
また、天井側出射エリア41に入射される外光Lは、床Fよりも天井Cに多く導入される。このとき、天井側出射エリア41からは、出射光P1、出射光P2、および出射光P3が居室Rに出射される。出射光P1、出射光P2、および出射光P3について詳しくは後述する。
なお、天井側出射エリア41および床側出射エリア51の各面積は、同じであっても異なっていてもよく、適宜設定できる。例えば、床Fへの外光Lの導入を優先する場合は、床側出射エリア51の割合を大きくすればよく、逆に天井Cへの外光Lの導入を優先する場合は天井側出射エリア41の割合を大きくしてもよい。天井側出射エリア41および床側出射エリア51の各面積の割合を変更することで、床Fの暖房効果と天井Cの照明効果の割合を変えて設計することができる。
(出射光)
出射光P1、出射光P2、および出射光P3について、図21に基づいて説明する。
出射光P1、出射光P2、および出射光P3は、それぞれ、天井側出射エリア41における上段のエリア、中段のエリアおよび下段のエリアから出射されている。
居室Rの天井Cに着目すると、図21に示すように、天井側出射エリア41の上段のエリアから出射された出射光P1が、出射光P2および出射光P3よりもウインドウ器具1Dに近い位置に到達している。また、天井側出射エリア41の下段のエリアから出射された出射光P3が、出射光P1および出射光P2よりも、ウインドウ器具1Dから遠い位置に到達している。さらに、天井側出射エリア41の中段エリアから出射された出射光P2が、出射光P1と出射光P3とが達する領域の間に、到達している。したがって、天井側出射エリア41に入射される外光Lは床Fよりも天井Cに多く導入される。また、天井側出射エリア41に入射される外光Lは天井Cの全体にほぼ均一に導入される。
上記構成により、天井Cからの反射光により、照明効果を得ることができる。天井側出射エリア41が有する導体構造より詳しくは、下記に説明する。
(第4導光体16の構造)
天井側出射エリア41が有する導体構造について、天井側出射エリア41の上段のエリアに設けられる第4導光体16を例に挙げて、図22および図23を参照して説明する。
図22は、図20に示すウインドウ器具1Dにおける上段のエリアに設けられる第4導光体16の一部の構造を示す斜視図である。図23は、図22に示す第4導光体16の一部の構造を示す側面図である。
第4導光体16は、図22および図23に示すように、複数の水平面16a、複数の湾曲面16b、および出射面16cを有する。
第4導光体16は、居室側(図23における右側)に出射面16cを有している。出射面16cは、鉛直方向(図23における上下方向)に伸びている。出射面16cは、導光出射面5と一致する。第4導光体16は、屋外側(図23における左側)に、ウインドウ器具1Dの幅方向に長く形成された水平面16aおよび湾曲面16bを有する。水平面16aは水平(図23における左右方向)に形成されている。湾曲面16bは、水平面16aの端部から出射面16cに向かって下方に湾曲状に傾斜するように形成されている。水平面16aと湾曲面16bとを上下に複数配置することにより、屋外側に突出した凸部が形成される。
また、水平面16aは入射した外光Lを湾曲面16b側に屈折させる。湾曲面16bは、湾曲面16bに直接入射した外光Lを、入射位置に関わらず同じ方向で出射面16cに進むように屈折するとともに、水平面16aにより屈折した外光Lを、上記の屈折光と同じ方向で出射面16cに進むように反射させる。これにより、出射面16cのいずれの位置から出射される出射光P1も、同じ出射角δで出射される。
具体的に、上記のように構成される第4導光体16においては、水平面16aおよび湾曲面16bに外光Lが入射角θで入射される場合について説明する。
湾曲面16bに外光Lが入射された場合、外光Lは湾曲面16bにより、屈折され、出射面16cに導かれる。湾曲面16bから導かれた外光Lは、出射光P1として出射面16cから出射される。このとき、外光Lは、出射角δが、90°よりも大きくなるように出射面16cにより屈折され、出射される。
水平面16aに外光Lが入射された場合、外光Lは水平面16aにより、入射角θよりも大きな角度で屈折され、湾曲面16bに導かれて、湾曲面16bにより反射されて、湾曲面16bから出射面16cに導かれる。出射面16cに達した外光Lは、出射光P1として出射面16cから出射される。このとき、外光Lは、水平面16aから入射された外光Lと同じく、90°よりも大きな出射角δで出射される。
また、天井側出射エリア41の上段のエリアだけではなく、中段のエリアおよび下段のエリアに設けられている導光構造も、第4導光体16と同様の構造を有する。上述したように、出射光P1、出射光P2、および出射光P3は、それぞれ、天井側出射エリア41における上段のエリア、中段のエリアおよび下段のエリアから出射されている。このとき、図示しないが、出射光P1〜P3のそれぞれの出射角δおよび出射角δ2〜δ3は、出射角δ>出射角δ2>出射角δ3、となる。
上記構成により、天井側出射エリア41に入射される外光Lは、床Fよりも天井Cに多く導入される。また、天井側出射エリア41の上段のエリアから出射された出射光P1は、出射光P2および出射光P3よりもウインドウ器具1Dに近い位置に到達する。天井側出射エリア41の下段のエリアから出射された出射光P3は、出射光P1および出射光P2よりもウインドウ器具1Dから遠い位置に到達する。天井側出射エリア41の中段のエリアから出射された出射光P2は、出射光P1と出射光P3とが達する領域の間に到達する。そのため、天井側出射エリア41に入射される外光Lは天井Cの全体にほぼ均一に導入される。その結果、天井Cからの反射光により、照明効果を得ることができる。
なお、ウインドウ器具1A〜1Dは、上述したように、例えば、窓、ブラインド、または、巻き取りおよび収納ロールカーテン等として利用してもよい。
また、第4導光体16は、さらに散乱構造を有するものであってもよい。これにより、天井Cの広い範囲に出射光P1、出射光P2および出射光P3を出射することができる。そのため、天井Cの温度上昇のムラを軽減することがきる。
ウインドウ器具1A〜1Dを窓として利用する場合、例えば、ガラスに本発明で示す構造を成型(あるいは加工)し、当該ガラスを該窓として利用してもよい。また、二重窓の片方の窓に当該窓を採用してもよい。
窓の材料としては、例えば、ガラスおよび透光性を有する樹脂等を採用できる。また、本発明で示す構造を窓ガラスに貼り付けることで利用してもよい。
ウインドウ器具1A〜1Dをブラインドとして利用する場合、例えば、網戸のようにスライドさせて、内側もしくは外側で窓ガラスを覆うようにして利用してもよい。
〔実施形態5〕
本実施形態では、実施形態1〜4のいずれかにて説明したウインドウ器具1A〜1Dを含む蓄熱暖房システムについて図24および図25に基づいて説明する。なお、説明の便宜上、前記実施形態1〜4にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
(畜熱暖房システム)
まず、本実施形態に係る蓄熱暖房システムS1について説明する。蓄熱暖房システムS1は、図24および図25に示すように、ウインドウ器具1Aまたはウインドウ器具1Cが設置された居室Rの床Fまたは床Fおよび側壁W1の両方に蓄熱材6が含まれている。図24は、本実施形態5に係る蓄熱暖房システムS1の構成を示す斜視図であり、ウインドウ器具1Aが設置された居室Rの床Fに、蓄熱材6が含まれている蓄熱暖房システムS1を示す。図25は、本実施形態5に係る蓄熱暖房システムS1の他の構成を示す斜視図であり、散乱構造を備えるウインドウ器具1Bを有するウインドウ器具1Cが設置された居室Rの床Fおよび側壁W1の両方に、蓄熱材6が含まれている蓄熱暖房システムS1を示す。
蓄熱材6は、屋外から床Fまたは側壁W1に導入された外光Lによる太陽光エネルギーを蓄積する。蓄熱材6は、蓄熱した太陽光エネルギーと居室Rの空気の熱エネルギーとを熱交換する。
上記構成により、蓄熱材6は、居室Rの空気を蓄熱材6に蓄熱した外光Lによる太陽光エネルギーにより温めることができる。また、蓄熱材6に蓄熱した太陽光エネルギーを利用するので、日照後であっても一定時間暖房効果を持続し、暖房エネルギーの削減が可能となる。特に、日照中は家にだれもおらず、帰宅する日照後に暖房を必要とするライフパターンの家庭においては、このような蓄熱暖房システムS1を利用することにより、暖房エネルギーを削減できる。
蓄熱材6の材料は特に限定されないが、外光Lによる太陽光エネルギーと居室Rの空気とが熱交換できるように、蓄熱・放熱自在な潜熱蓄熱材とすることが望ましい。蓄熱材6を潜熱蓄熱材とする場合は、蓄熱材6を、例えば20℃前後の温度において相変態可能となるように設定することにより、熱の吸収・排出量を大きく確保することができる。
蓄熱材6の材料は、例えば、塩化カルシウム水和物と水との混合物、低融点の各種プラスチック、パラフィン類、ワックスなどの熱の吸収・放出に伴って相変態する潜熱を利用する物質、石材、各種金属、および、セメント板のように単に顕熱を利用する物質、などを適宜選択することができる。
蓄熱材6を顕熱利用とする場合は、洩れ出す等のトラブルを確実に防止することができる。
なお、本実施形態では、ウインドウ器具1A〜1Dが壁Wに設置されている場合について説明したが、上記組合せに限定されず、適宜設定することができる。例えば、ウインドウ器具1A〜1Dを適宜組合せて該ウインドウ器具の周囲4方向(上下左右)に外光Lを居室Rに導入できるようにし、該ウインドウ器具を天井C(天窓等)に設置し、蓄熱材6を居室Rの壁Wすべてに備える組合せとしてもよい。上記組合せにより、さらに暖房効果の高い蓄熱暖房システムS1を提供できる。
〔まとめ〕
本発明の態様1に係るウインドウ器具(1A〜1D)は、外光(L)が入射する入射面(導光入射面4)と、入射した上記外光を室内に出射光として出射する、上記入射面に平行な出射面(導光出射面5)とを有する導光部(3)を備えたウインドウ器具であって、上記導光部は、上記外光を異なる方向に導いて室内に出射する第1導光体(11)および第2導光体(13)を有し、上記第1導光体から出射される第1出射光(M1)と上記出射面がなす第1出射角(α)は、上記外光と上記入射面がなす入射角(θ)よりも小さく、上記第2導光体から出射される第2出射光(M3)と上記出射面がなす第2出射角(γ)は、上記入射角よりも大きく、上記第1導光体は、上記ウインドウ器具の使用状態において上記第2導光体の上側に位置する。
上記の構成によれば、ウインドウ器具に入射される外光は、第1導光体により第1出射角で出射されてウインドウ器具の近くの領域に照射され、第2導光体により第2出射角で出射されてウインドウ器具から遠い領域に照射される。これにより、屈折角度の調整機構を用いずに、天井よりも床に多く集まるように室内に導入される。そのため、ウインドウ器具は簡素な構造により、屋内にいる人に対し眩しくならないように屋内の床へ光を導入できる。したがって、ウインドウ器具は、上記構成を有さない窓に比べて屋内にいる人に対して眩しさを軽減できる。このため、人に眩しさを感じさせないようにすることができる。
また、導入する光により、ウインドウ器具を用いない場合と比較して、より床を温めることができ、暖房に用いるエネルギーを削減できる。
また、第1導光体または第2導光体以外の入射面に入射される外光は入射したときと同じ角度で室内に出射される。これにより、導光部において第1導光体または第2導光体以外の箇所は、外光の角度を変えるための構造を有する必要がなく平板の透光性の部材で構成することができる。また、導光部において、第1導光体または第2導光体の設置位置を調整することで、広い部屋もしくは狭い部屋に対応し、広い範囲もしくは狭い範囲に外光を導入できる。
本発明の態様2に係るウインドウ器具(1C)は、上記態様1において、上記導光部(3)は、上記導光部から出射される上記外光(L)を水平方向に散乱させる散乱構造(散乱面13d、散乱体14)を有していてもよい。
上記の構成によれば、第1導光体、および第2導光体に入射された外光を水平方向に散乱させることができる。そのため、第1導光体、および第2導光体への外光の入射状態の変化によらず、床および側壁全体を温めることができる。また、第1導光体、および第2導光体への外光の入射状態の違いによる床および側壁の温度上昇のムラを軽減することがきる。
本発明の態様3に係るウインドウ器具(1B)は、上記態様1または2において、上記導光部(3)は、上記第1導光体(11)および上記第2導光体(13)と同じ構造を有する補助導光体(壁側出射エリア32および壁側出射エリア33における第1導光体11および第2導光体13)を有し、上記補助導光体の長手方向が、上記第1導光体および上記第2導光体の長手方向に対し、垂直となるように、または傾くように、配置されていてもよい。
上記の構成によれば、ウインドウ器具から、補助導光体に入射された光は、床だけでなく、側壁にも多く集まるように室内に導入される。そのため、室内に導入される外光の量による過剰な床の温度上昇を抑えることができる。また、床だけではなく、側壁も温めることが可能となり、室内の暖房効果を高めることができる。
本発明の態様4に係る蓄熱暖房システム(S1)は、上記態様1から3のいずれか1つのウインドウ器具(1A〜1D)と、上記ウインドウ器具から出射された上記外光(L)が照射される照射面に配置される蓄熱材(6)とを備えていてもよい。
上記の構成によれば、蓄熱材は、導光部から出射される外光により、太陽光エネルギーを蓄熱できる。これにより、室内の空気および蓄熱材に蓄熱した太陽光エネルギーにより外光が照射される照射面を温めることができる。また、蓄熱材に蓄熱した太陽光エネルギーを利用するので、日照後であっても一定時間暖房効果を持続し、暖房エネルギーの削減が可能となる。特に、日照中は家にだれもおらず、帰宅した日照後に暖房を必要とするライフパターンの家庭においては、このような蓄熱暖房システムを利用することにより暖房エネルギー削減できる。
本発明の態様5に係る蓄熱暖房システム(S1)は、上記態様4において、上記照射面(床F、側壁W1)が床(F)、および壁(側壁W1)の少なくともいずれか1つであってもよい。
上記の構成によれば、床および壁に蓄熱材設けことより、効率よく太陽光エネルギーを蓄熱することができるので、暖房エネルギーを削減できる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。