JP6269707B2 - 樹脂粒子分散液、樹脂粒子分散液の製造方法、静電荷像現像用トナー、静電荷像現像用トナーの製造方法、静電荷像現像剤、画像形成方法、及び、画像形成装置 - Google Patents
樹脂粒子分散液、樹脂粒子分散液の製造方法、静電荷像現像用トナー、静電荷像現像用トナーの製造方法、静電荷像現像剤、画像形成方法、及び、画像形成装置 Download PDFInfo
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Description
特許文献2には、スチレンアクリル樹脂と、一分子のグリセロールの3つの水酸基のうち、少なくとも一つの水酸基が置換若しくは無置換の炭素数11以上21以下のアルキル基を持つアルキルモノカルボン酸でエステル化されたアシルグリセロールであって、同一の炭素数のアルキル基を持つアルキルモノカルボン酸でエステル化されたものが全体の95質量%以上で含まれるアシルグリセロールと、を含むトナー粒子と外添剤と、を有する静電荷像現像用トナーが開示されている。
<1> ポリエステル樹脂と、塩基性物質と、界面活性剤と、アシルグリセロールとを含む樹脂粒子が分散し、前記アシルグリセロールが、アルキル基の炭素数が11〜21であるアルキルモノカルボン酸のモノ、ジ、又は、トリエステル化合物であることを特徴とする樹脂粒子分散液、
<2> ポリエステル樹脂と、塩基性物質と、界面活性剤と、アシルグリセロールとを混合して混合物を得る混合工程、及び、前記混合物と水系媒体とを乳化分散し樹脂粒子分散液を得る乳化工程を含み、前記アシルグリセロールが、アルキル基の炭素数が11〜21であるアルキルモノカルボン酸のモノ、ジ、又は、トリエステル化合物であることを特徴とする樹脂粒子分散液の製造方法、
<3> ポリエステル樹脂と、アシルグリセロールとを含むトナー母粒子を含み、前記アシルグリセロールが、アルキル基の炭素数が11〜21であるアルキルモノカルボン酸のモノ、ジ、又は、トリエステル化合物であることを特徴とする静電荷像現像用トナー、
<4> <2>に記載の樹脂粒子分散液の製造方法により得られた樹脂粒子分散液中で、樹脂粒子を凝集させ、凝集粒子を形成する凝集粒子形成工程と、前記凝集粒子が分散した凝集粒子分散液を加熱し、前記凝集粒子を融合・合一してトナー粒子を形成する、融合・合一工程を含む、静電荷像現像用トナーの製造方法、
<5> <3>に記載の静電荷像現像用トナーと、キャリアとを含む、静電荷像現像剤、
<6> 像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程、前記像保持体表面に形成された静電潜像をトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程、前記トナー像を被転写体表面に転写する転写工程、及び、前記被転写体表面に転写されたトナー像を定着する定着工程、を含み、前記現像剤として、<3>に記載の静電荷像現像用トナー、又は、<5>に記載の静電荷像現像剤を用いる画像形成方法、
<7> 像保持体と、前記像保持体を帯電させる帯電手段と、帯電した前記像保持体を露光して前記像保持体表面に静電潜像を形成させる露光手段と、トナーを含む現像剤により前記静電潜像を現像してトナー像を形成させる現像手段と、前記トナー像を前記像保持体から被転写体表面に転写する転写手段と、前記被転写体表面に転写されたトナー像を定着する定着手段と、を有し、前記現像剤として、<3>に記載の静電荷像現像用トナー、又は、<5>に記載の静電荷像現像剤を備えた画像形成装置。
上記<2>に記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比して、樹脂粒子に含まれる不純物量の少ない樹脂粒子分散液が提供される。
上記<3>に記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比して、転写性に優れた静電荷像現像用トナーが提供される。
上記<4>に記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比して、転写性に優れた静電荷像現像用トナーの製造方法が提供される。
上記<5>に記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比して、転写性に優れた静電荷像現像剤が提供される。
上記<6>に記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比して、転写性に優れた画像形成方法が提供される。
上記<7>に記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比して、転写性に優れた画像形成装置が提供される。
なお、本実施形態において、「A〜B」との記載は、AからBの間の範囲だけでなく、その両端であるA及びBも含む範囲を表す。例えば、「A〜B」が数値範囲であれば、「A以上B以下」又は「B以上A以下」を表す。
また、「質量%」及び「質量部」は、それぞれ「重量%」及び「重量部」と同義である。
本実施形態の樹脂粒子分散液は、ポリエステル樹脂と、塩基性物質と、界面活性剤と、アシルグリセロールとを含む樹脂粒子が分散し、前記アシルグリセロールが、アルキル基の炭素数が11〜21であるアルキルモノカルボン酸のモノ、ジ、又は、トリエステル化合物であることを特徴とする。
また、本実施形態の樹脂粒子分散液は、後述する本実施形態の樹脂粒子分散液の製造方法により得られることが好ましい。
本実施形態の樹脂粒子分散液は、静電荷像現像用トナー製造用樹脂粒子分散液として好適に用いられる。
本実施形態の樹脂粒子分散液が含有する樹脂粒子は、ポリエステル樹脂と、塩基性物質と、界面活性剤と、アシルグリセロールとを含む。
以下、上記樹脂粒子が含有する各成分の詳細について説明する。
本実施形態における樹脂粒子に含まれるポリエステル樹脂としては、樹脂粒子分散液の製造時に、混合物を得る際に使用される公知のポリエステル樹脂であれば特に限定されず、特に静電画像現像用トナー製造用の樹脂粒子分散液の製造時に、混合物を得る際に使用される公知のポリエステル樹脂であれば、好適に使用可能である。樹脂としては、カルボン酸基(カルボキシル基)やスルホン酸基等の酸基を有する樹脂であることが好ましく、カルボキシル基を有するポリエステル樹脂であることが更に好ましい。
上記態様であると、乳化工程における水系媒体への分散がより容易である。
また、本実施形態に用いられるポリエステル樹脂は、非結晶性ポリエステル樹脂及び/又は結晶性ポリエステル樹脂のいずれでもよく、各々単独で乳化分散してもよく、混合してもよい。更に、本実施形態に用いられるポリエステル樹脂は、静電荷像現像用トナー用結着樹脂であることが好ましい。
本実施形態に用いることのできる重縮合性単量体としては、例えば、多価カルボン酸、ポリオール、ヒドロキシカルボン酸、又は、それらの混合物が挙げられる。特に、重縮合性単量体としては、多価カルボン酸とポリオールと更にはこれらのエステル化合物(オリゴマー及び/又はプレポリマー)であることが好ましく、直接エステル反応、又は、エステル交換反応を経て、ポリエステル樹脂を得るものが好ましい。
本実施形態において、上記重縮合樹脂は、重縮合性単量体、それらのオリゴマー及びプレポリマーよりなる群から選ばれる少なくとも1種を重縮合して得られるが、これらの中でも重縮合性単量体を使用することが好ましい。
また、ジカルボン酸以外の多価カルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ピレントリカルボン酸、ピレンテトラカルボン酸、イタコン酸、グルタコン酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−オクテニルコハク酸等、更にまたこれらの低級エステルなどが挙げられる。更にまた、これらの酸ハロゲン化物、酸無水物も用いられる。
これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、低級エステルとは、エステルのアルコキシ部分の炭素数が1〜8であることを示す。具体的には、メチルエステル、エチルエステル、n−プロピルエステル、イソプロピルエステル、n−ブチルエステル及びイソブチルエステル等が挙げられる。
また、水分散性を容易にするため、例えば、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロール吉草酸等が例示される。
また、これらの重縮合性単量体の組み合わせにより非結晶性樹脂や結晶性樹脂を容易に得ることができる。
上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定する。GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソー(株)製GPC・HLC−8120GPCを用い、東ソー(株)製カラム・TSKgel SuperHM−M(15cn)を使用し、THF溶媒で行う。重量平均分子量は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作製した分子量校正曲線を使用して算出する。
酸価の測定方法としては、特に制限はないが、JIS K0070に従い測定することが好ましい。
ポリエステル樹脂のガラス転移温度とは、ASTM D3418−82に規定された方法(DSC法)で測定した値をいう。
本実施形態における樹脂粒子は、ポリエステル樹脂以外のその他の樹脂を更に含んでもよい。
その他の樹脂としては、ビニル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、変性ロジン等の非ビニル系樹脂などが挙げられる。
本実施形態に用いられる樹脂粒子において、ポリエステル樹脂、及び、その他の樹脂をまとめて結着樹脂ともいい、結着樹脂の全質量とは、ポリエステル樹脂、及び、その他の樹脂の合計質量をいう。
樹脂粒子がその他の樹脂を含む場合、ポリエステル樹脂の含有量は、結着樹脂の全質量に対し、60質量%以上であることが好ましい。
また、結着樹脂の含有量としては、例えば,樹脂粒子の全質量に対し、40質量%以上95質量%以下が好ましく、50質量%以上90質量%以下がより好ましく、60質量%以上90質量%以下が更に好ましい。
本実施形態における樹脂粒子に含まれる塩基性物質としては、樹脂粒子分散液の製造時に、混合物を得る際に使用される公知の塩基性物質であれば特に限定されず、特に静電画像現像用トナー製造用の樹脂粒子分散液の製造時に、混合物を得る際に使用される公知の塩基性物質であれば、好適に使用可能であるが、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、又は、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属の酸化物若しくは水酸化物等が挙げられる。中でも、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物が好ましく、アルカリ金属の水酸化物がより好ましく、水酸化カリウム又は水酸化ナトリウムが更に好ましく、水酸化ナトリウムが特に好ましい。
本実施形態に用いられる樹脂粒子は、上記塩基性物質を、1種単独で含有してもよいし、2種以上を含有してもよい。
本実施形態における樹脂粒子に含まれる界面活性剤としては、例えば、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及び、ノニオン性界面活性剤の各種界面活性剤が挙げられる。中でも、アニオン性界面活性剤が好ましく、硫酸エステル型又はスルホン酸型のアニオン性界面活性剤がより好ましく、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムが特に好ましい。
なお、後述するアシルグリセロールに該当する化合物は、界面活性剤には含まないものとする。
アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤としては、特に制限なく、公知のアニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及び/又は、ノニオン性界面活性剤を使用することが可能である。
本実施形態に用いられる樹脂粒子は、上記界面活性剤を、1種単独で含有してもよいし、2種以上を含有してもよい。
本実施形態における樹脂粒子に含まれるアシルグリセロールは、アルキル基の炭素数が11〜21であるアルキルモノカルボン酸のモノ、ジ、又は、トリエステル化合物であり、アルキル基の炭素数が11〜21であるアルキルモノカルボン酸のジ、又は、トリエステル化合物であることが好ましく、アルキル基の炭素数が11〜21であるアルキルモノカルボン酸のトリエステル化合物であることがより好ましい。
アシルグリセロールがアルキル基の炭素数が11〜21であるアルキルモノカルボン酸のモノエステル化合物であるとは、グリセリンの3つの水酸基のうち、1つの水酸基が炭素数11〜21のアルキルモノカルボン酸とエステル結合を形成した構造の化合物をいい、グリセリンの他の2つの水酸基は、水酸基のままであってもよいし、アルキル基の炭素数が11〜21であるアルキルモノカルボン酸以外のカルボン酸とエステル結合を形成していてもよく、いずれも水酸基であることが好ましい。
また、上記アルキルモノカルボン酸のアルキル基の炭素数は、11〜21であり、11〜21であることが好ましく、11〜17であることがより好ましい。上記態様によれば、含まれる不純物量がより少ない樹脂粒子が得られる。
上記アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよく、環構造を含んでいてもよいが、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましく、直鎖状であることがより好ましい。
また、上記アルキル基は、置換基を有していてもよいが、無置換のアルキル基であることが好ましい。
上記アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、及び環状のいずれでもよいが、直鎖状、又は、分岐鎖状であることが好ましく、直鎖状であることがより好ましい。
また、上記アルキル基は、置換基を有していてもよいが、無置換のアルキル基であることが好ましい。
直鎖状のアルキル基としては、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−ステアリル、n−ノナデシル、n−エイコシル、n−ヘンエイコシル、n−ドコシル基等が挙げられる。
分岐鎖状のアルキル基としては、イソドデシル、s−ドデシル、t−ドデシル、トリデシル、s−トリデシル、t−トリデシル、イソテトラデシル、s−イソテトラデシル、t−イソテトラデシル、イソペンタデシル、s−ペンタデシル、t−ペンタデシル、ヘキシルデシル、イソヘキサデシル、s−ヘキサデシル、t−ヘキサデシル、イソヘプタデシル、s−ヘプタデシル、t−ヘプタデシル、イソステアリル、s−ステアリル、t−ステアリル、イソノナデシル、s−ノナデシル、t−ノナデシル、イソイコシル、s−イコシル、t−イコシル、イソエイコシル、s−エイコシル、t−エイコシル、イソヘンイコシル、s−ヘンイコシル、t−ヘンイコシル、イソドコシル、s−ドコシル、t−ドコシル等が挙げられる。
本実施形態における樹脂粒子は、その他の成分を含有していてもよい。
その他の成分としては、例えば、着色剤、離型剤、帯電制御剤などが挙げられるが、これに限定されない。
樹脂粒子の体積平均粒径としては、10〜500nmが好ましく、20〜300nmがより好ましい。
また、樹脂粒子分散液中の樹脂粒子の体積平均粒度分布は1.00〜1.35であることが好ましく、1.10〜1.30であることがより好ましく、1.10〜1.25であることが更に好ましい。
得られた樹脂粒子分散液中の粒子の体積平均粒径及び体積平均粒度分布は、レーザー回折式粒度分布測定機(LA−700、(株)堀場製作所製)を用いて測定される樹脂粒子分散液の粒度分布をもとにして分割された粒度範囲(チャネル)に対して体積を小径側から累積分布を描いて、累積50%となる粒径を体積平均粒径とし、累積16%となる粒径を体積D16v、累積84%となる粒径を体積D84vと定義して、体積平均粒度分布(GSDv)を(D84v/D16v)1/2として求めることが可能である。
本実施形態の樹脂粒子分散液は、上記樹脂粒子が分散媒に分散された分散液である。
分散媒としては、例えば水系媒体が挙げられる。
水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水、及び、アルコール類等が挙げられ、蒸留水及びイオン交換水等の水が好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記乳化工程における水系媒体の使用量としては、特に制限はないが、得られる樹脂粒子分散液の固形分濃度に応じて、適宜選択すればよい。
〔固形分濃度〕
得られる樹脂粒子分散液の固形分濃度は、必要に応じ適宜選択すればよいが、1〜60質量であることが好ましく、5〜50質量%であることがより好ましく、10〜50質量%であることが更に好ましい。
本実施形態の樹脂粒子分散液の製造方法は、ポリエステル樹脂と、塩基性物質と、界面活性剤と、アシルグリセロールとを混合して混合物を得る混合工程、及び、前記混合物と水系媒体とを乳化分散し樹脂粒子分散液を得る乳化工程を含み、前記アシルグリセロールが、アルキル基の炭素数が11〜21であるアルキルモノカルボン酸のモノ、ジ、又は、トリエステル化合物であることを特徴とする。
また、本実施形態の樹脂粒子分散液の製造方法により得られた樹脂粒子分散液は、静電荷像現像用トナー製造用樹脂粒子分散液として好適に用いられる。
本発明者は、このようなアルカリ金属元素等の不純物が多く残留する樹脂粒子を静電荷像現像用トナーの原料に用いた場合に、静電荷像現像用トナーの転写性が悪化するといった課題が生じることを見出した。
しかしながら、本発明者が詳細な検討を行ったところ、詳細なメカニズムは不明であるが、混合工程中において特定のアシルグリセロールを混合することにより、樹脂の溶融粘度が下がることで塩基性物質使用量を少なくした場合においても、乳化分散性が悪化することなく、樹脂粒子中のアルカリ金属元素等の不純物量が少なくなることを見出した。
また、本実施形態の樹脂粒子分散液の製造方法により得られた樹脂粒子分散液を静電荷像現像用トナーの原料に用いることにより、転写性に優れた静電荷像現像用トナーが得られることを本発明者は見出した。
以下、本実施形態の樹脂粒子分散液が含む各工程について詳述する。
本実施形態の樹脂粒子分散液の製造方法は、ポリエステル樹脂と、塩基性物質と、界面活性剤と、アシルグリセロールとを混合して混合物を得る混合工程を含む。
上記混合工程においては、上述のポリエステル樹脂以外のその他の樹脂等、その他の成分を更に混合してもよい。
混合工程においてその他の樹脂を使用する場合、ポリエステル樹脂の使用量は、結着樹脂の全質量に対し、60質量%以上であることが好ましい。
なお、本実施形態における混合工程において、使用されるポリエステル樹脂、及び、その他の樹脂をまとめて結着樹脂ともいい、結着樹脂の全質量とは、使用されるポリエステル樹脂、及び、その他の樹脂の合計質量をいう。
上記混合工程において使用されるポリエステル樹脂、その他の樹脂、塩基性物質、界面活性剤、及び、アシルグリセロールは、上述した本実施形態の樹脂粒子分散液における樹脂粒子に含まれるポリエステル樹脂、その他の樹脂、塩基性物質、界面活性剤、及び、アシルグリセロールとそれぞれ同義であり、好ましい態様も同様である。
前記混合工程においては、結着樹脂と塩基性物質と界面活性剤とを有機溶剤を用いずに混合することが好ましい。なお、本実施形態における「有機溶剤」は、結着樹脂を溶かす有機溶剤であり、アルコール等の水系媒体以外の有機溶剤である。
前記混合工程におけるアシルグリセロールの使用量は、使用される結着樹脂の全質量に対して0.5〜20質量%であることが好ましく、1〜15質量%であることがより好ましい。上記態様であると、樹脂粒子分散液中の樹脂粒子の粒度分布が狭く、より不純物の含有量が少ない樹脂粒子分散液が得られ、また、トナーの転写性により優れる。
また、前記混合工程において、アシルグリセロールは、溶媒に溶解させて添加してもよいし、固体粉末状で添加してもよいが、固体粉末状で添加することが好ましい。上記態様であると、アシルグリセロールが混合物中に均一に分散しやすく、より効率的に混合物の溶融粘度が低下する。
また、前記混合工程における混合温度は、混合を容易に行うため、ポリエステル樹脂が非晶性(非結晶性)樹脂である場合、ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)以上の温度であることが好ましい。ポリエステル樹脂が結晶性樹脂である場合、ポリエステル樹脂の樹脂軟化点(Tm)−40℃以上の温度であることが好ましく、ポリエステル樹脂のTm−10℃以上の温度であることがより好ましい。
前記混合工程に用いられる混合手段としては、特に制限はなく、公知の混合装置等が用いられる。混合装置としては、例えば、ロールミル、ニーダー、加圧ニーダー、バンバリミキサー、ラボプラストミル、一軸又は二軸の押出機等が挙げられる。
中でも、押出機やニーダーが好ましく挙げられる。
本実施形態の樹脂粒子分散液の製造方法は、前記混合物と水系媒体とを乳化分散し樹脂粒子分散液を得る乳化工程を含む。
前記乳化工程における乳化分散は、転相乳化により行われることが好ましい。すなわち、前記乳化工程においては、前記混合物に水系媒体を連続的又は逐次的に添加し乳化分散することが好ましい。
また、前記乳化工程における乳化分散は、剪断力を前記混合物及び水系媒体に加えることにより行うことが好ましい。また、前記乳化工程には、押出機やニーダーを用いることが好ましい。
本実施形態に用いられる水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水や、エタノール、メタノール等のアルコール類などが挙げられる。これらの中でも、蒸留水及びイオン交換水等の水が好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記乳化工程における水系媒体の使用量としては、特に制限はないが、得られる樹脂粒子分散液の固形分濃度に応じて、適宜選択すればよい。
得られる樹脂粒子分散液の固形分濃度は、必要に応じ適宜選択ればよいが、1〜60質量であることが好ましく、5〜50質量%であることがより好ましく、10〜50質量%であることが更に好ましい。
前記乳化工程における乳化温度は、特に制限はないが、乳化工程における乳化分散性の観点から、50℃〜150℃であることが好ましく、50℃〜100℃であることがより好ましい。
また、前記乳化工程における乳化温度は、ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)以上の温度であることが好ましい。また、ポリエステル樹脂が結晶性樹脂である場合、前記乳化工程における乳化温度は、ポリエステル樹脂の樹脂軟化点(Tm)−40℃以上の温度であることが好ましく、ポリエステル樹脂のTm−10℃以上の温度であることがより好ましい。
前記乳化工程に用いられる乳化手段としては、特に制限はなく、公知の分散機や乳化装置を用いればよく、例えば、ニーダー、ホモジナイザー、ホモミキサー、加圧ニーダー、エクストルーダー、メディア分散機、一軸又は二軸の押出機等が挙げられる。
中でも、押出機やニーダーが好ましく挙げられる。
前記乳化工程に用いられる乳化装置としては、特にバッチ、連続式限定されないが、図1に例示するような二軸押出機を好ましく挙げることができる。
図1に示す二軸押出機10は、シリンダー12内部に二軸のスクリュー(不図示)を備えており、シリンダー12は、原料投入口14、塩基性水溶液投入口16、界面活性剤投入口18、水系媒体投入口20〜22、並びに、排出口24を有している。各投入口には、原料を供給する供給ライン26が接続されており、また、各供給ライン26には、必要に応じ、供給量を調整可能なポンプ28が備えられている。原料投入口14上部には、樹脂供給機30が設置されている。原料投入口14の側壁には、塩基性水溶液投入口16が設けられており、塩基性水溶液投入口16には、供給ライン26により塩基性水溶液タンク32が接続されている。界面活性剤投入口18には、供給ライン26により界面活性剤水溶液タンク34が接続されており、界面活性剤水溶液タンク34には、恒温槽等のような温度調節装置36が設けられている。水系媒体投入口20〜22にはそれぞれ、供給ライン26により純水タンク38が接続されており、純水タンク38には、ヒーター40が設けられている。
図1に示す二軸押出機10におけるシリンダー12は、樹脂供給バレル42と呼ばれる区画を有しており、例えば、各バレル毎に二軸のスクリューの構造を変更したり、温度調節を変更したりすることができる。樹脂供給バレル42以外のシリンダー部分44の各バレルには、水系媒体投入口20〜22を所望に応じ設けることができる。なお、図1において、シリンダー12内の各バレルは、点線にて区分けされた各区画である。また、二軸押出機10は、温度調節装置(不図示)を備えている。図1に示すシリンダー12内部に備え付けられたスクリュー(不図示)は、特に制限はないが、ニーディングディスクエレメント及びスクリューエレメントからなり、複数種のニーディングディスクエレメント及びスクリューエレメントを組み合わせることで構成されていることが好ましい。
また、図2に例示するようなニーダーを好ましく挙げることができる。図2に示すニーダー50は、ケーシング54内部に羽根51を有しており、モーター52により羽根を回転させることができ、ギアボックス53内にあるギア(不図示)により回転数を変更することができる。また、ケーシング54には水系媒体、塩基性物質、界面活性剤を貯留する貯留部55、ポンプ56、供給ライン57が接続されている。ケーシング54にはケーシング54の周囲にヒーター(不図示)が設けられており、任意の温度に加温することができる。
本実施形態の樹脂粒子分散液の製造方法は、前記混合工程及び前記乳化工程以外のその他の工程を含んでいてもよい。
その他の工程としては、特に制限はなく、必要に応じて、公知の工程を行うことができ、例えば、得られた樹脂粒子分散液を冷却する工程等が挙げられる。
本実施形態の静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」ともいう。)は、ポリエステル樹脂と、アシルグリセロールとを含むトナー母粒子を含み、前記アシルグリセロールが、アルキル基の炭素数が11〜21であるアルキルモノカルボン酸のモノ、ジ、又は、トリエステル化合物であることを特徴とする。
本実施形態の静電荷像現像用トナーは、本実施形態の樹脂粒子分散液に分散された樹脂粒子に由来する樹脂を含むトナー母粒子を含むトナーであることが好ましい。
本実施形態の静電荷像現像用トナーは、本実施形態の樹脂粒子分散液の製造方法により得られた樹脂粒子分散液に分散された樹脂粒子に由来する樹脂を含むトナー母粒子を含むトナーであることが好ましい。
本実施形態の静電荷像現像用トナーは、本実施形態の静電荷像現像用トナーの製造方法により得られたトナーであることが好ましい。
また、本実施形態の静電荷像現像用トナーは、ケミカルトナーであることが好ましく、融合・合一法により製造された融合・合一トナーであることがより好ましい。
本実施形態の静電荷像現像用トナーは、ポリエステル樹脂と、アシルグリセロールとを含むトナー母粒子を含む。
上記トナー母粒子は、塩基性物質と、界面活性剤とを更に含んでもよい。
本実施形態に用いられるトナー母粒子は、ポリエステル樹脂以外のその他の樹脂を更に含んでもよい。
本実施形態に用いられるトナー母粒子において、ポリエステル樹脂、及び、その他の樹脂をまとめて結着樹脂ともいい、結着樹脂の全質量とは、ポリエステル樹脂、及び、その他の樹脂の合計質量をいう。
樹脂粒子がその他の樹脂を含む場合、ポリエステル樹脂の含有量は、結着樹脂の全質量に対し、60質量%以上であることが好ましい。
また、本実施形態の静電荷像現像用トナーにおける結着樹脂の含有量は、トナーの全質量に対し、10〜95質量%であることが好ましく、30〜90質量%であることがより好ましく、50〜90質量%であることが更に好ましい。
本実施形態の静電荷像現像用トナーにおけるポリエステル樹脂、その他の樹脂、塩基性物質、界面活性剤、及び、アシルグリセロールは、上述した本実施形態の樹脂粒子分散液における樹脂粒子に含まれるポリエステル樹脂、その他の樹脂、塩基性物質、界面活性剤、及び、アシルグリセロールとそれぞれ同義であり、好ましい態様も同様である。
前記トナー母粒子におけるアシルグリセロールの含有量は、使用される結着樹脂の全質量に対して0.5〜20質量%であることが好ましく、1〜15質量%であることがより好ましい。上記態様であると、トナーの転写性により優れる。
本実施形態のトナーは、必要に応じ、着色剤を含有してもよい。
着色剤としては、公知のものを用いることができ、色相角、彩度、明度、耐候性、OHP透過性、トナー中での分散性の観点から任意に選択すればよい。
具体的には、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デイポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドCローズベンガル、などの種々の顔料や、アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、チオインジコ系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、チオインジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアジン系、チアゾール系、キサンテン系などの各種着色剤などが例示できる。
着色剤の分散方法としては、任意の方法、例えば回転せん断型ホモジナイザーや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどの一般的な分散方法を使用することができ、何ら制限されるものではない。また、これらの着色剤粒子は、その他の粒子成分と共に混合溶媒中に一度に添加してもよいし、分割して多段階で添加してもよい。
本実施形態の静電荷像現像用トナーは、離型剤を含有することが好ましい。
離型剤の具体例としては、例えば、エステルワックス、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリエチレンとポリプロピレンの共重合物、ポリグリセリンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、カルナバワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワックス、脱酸カルナバワックス、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸などの不飽和脂肪酸類、ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベフェニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール、あるいは更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルアルコール類などの飽和アルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類、エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミドなどの、不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。これらの中でも、ワックス類が好ましい。
前記離型剤の含有量は、結着樹脂の全質量に対して、1〜20質量%の範囲で含有することが好ましく、3〜15質量%の範囲で含有することがより好ましい。上記範囲であると、良好な定着及び画質特性の両立が可能である。
トナーには、上記成分以外にも、更に必要に応じて内添剤、帯電制御剤、無機粉体(無機粒子)、有機粒子等の種々の成分を添加してもよい。
内添剤としては、例えば、フェライト、マグネタイト、還元鉄、コバルト、ニッケル、マンガン等の金属、合金、又はこれら金属を含む化合物などの磁性体等が挙げられる。上記磁性体等を含有させて磁性トナーとして用いる場合、これらの強磁性体は平均粒子が2μm以下が好ましく、0.1〜0.5μm程度のものがより好ましい。トナー中に含有させる量としては結着樹脂の全質量に対し20〜200質量%が好ましく、40〜150質量%がより好ましい。また、10Kエルステッド印加での磁気特性が保磁力(Hc)が20〜300エルステッド、飽和磁化(σs)が50〜200emu/g、残留磁化(σr)が2〜20emu/gのものが好ましい。
トナーは、必要に応じて外添剤が表面に外添されていてもよい。表面に外添される外添剤としては、無機粒子や有機粒子が挙げられる。
無機粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、塩化セリウム、ベンガラ、酸化クロム、酸化セリウム、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等が挙げられる。
無機粒子は、一般に流動性を向上させる目的で使用される。前記無機粒子の平均一次粒径としては、1〜200nmの範囲が好ましい。無機粒子の添加量としては、トナーの全質量に対して、0.01〜20質量%の範囲が好ましい。
前記疎水化処理は、疎水化処理剤に前記無機粒子を浸漬等することにより行ってもよい。前記疎水化処理剤としては特に制限はないが、例えば、シランカップリング剤、シリコーンオイル、チタネートカップリング剤、アルミニウムカップリング剤等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、シランカップリング剤が好適に挙げられる。
また、外添剤は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
外添前のトナー母粒子に外添される外添剤の割合は、トナー母粒子の全質量に対し0.01〜5質量%の範囲が好ましく、0.1〜3.0質量%の範囲がより好ましい。
本実施形態のトナーの体積平均粒径(D50v)は、2μm以上20μm以下が好ましく、3μm以上15μm以下がより好ましく、3μm以上12μm以下が更に好ましい。
トナーの粒度分布としては狭いほうが好ましく、より具体的にはトナーの個数粒径の小さい方から換算して16%径(D16p)と84%径(D84p)との比を平方根として示したもの(GSDp)、すなわち、下式で表されるGSDpが1.40以下であることが好ましく、1.31以下であることがより好ましく、1.27以下であることが特に好ましい。
GSDp={(D84p)/(D16p)}0.5
体積平均粒径、GSDpともに上記範囲であれば、極端に小さな粒子が存在しないため、小粒径トナーの帯電量が過剰になることによる現像性の低下を抑制できる。
形状係数SF1は、粒子表面の凹凸の度合いを示す形状係数であり、以下の式により算出される。
SF1の具体的な測定方法としては、例えば、まずスライドグラス上に散布したトナーの光学顕微鏡像を、ビデオカメラを通じて画像解析装置に取り込み、50個のトナーについてSF1を計算し、平均値を求める方法が挙げられる。
本実施形態の静電荷像現像用トナーの製造方法は、本実施形態の樹脂粒子分散液の製造方法により得られた樹脂粒子分散液中で、樹脂粒子を凝集させ、凝集粒子を形成する凝集粒子形成工程と、前記凝集粒子が分散した凝集粒子分散液を加熱し、前記凝集粒子を融合・合一してトナー粒子を形成する、融合・合一工程を含む。
本実施形態の静電荷像現像用トナーの製造方法は、本実施形態の樹脂粒子分散液の製造方法により得られた樹脂粒子分散液中で、樹脂粒子を凝集させ、凝集粒子を形成する凝集粒子形成工程を含む。
前記凝集粒子形成工程においては、互いに混合された、本実施形態の樹脂粒子分散液の製造方法により得られた樹脂粒子分散液、及び、必要に応じて、その他の樹脂粒子分散液、着色剤分散液、離型剤分散液中の各粒子を水系媒体中において凝集させて、凝集体における所望の体積平均粒径の凝集粒子を形成する。前記凝集粒子はヘテロ凝集等により形成され、凝集粒子の安定化、粒度/粒度分布制御を目的として、界面活性剤や凝集剤を添加してもよい。
前記凝集工程における凝集法としては、特に限定されるものではなく、従来よりトナーの凝集合一法において用いられている凝集法、例えば、昇温、pH変化、凝集剤添加等によってエマルジョンの安定性を低減化させてディスパーザー等で撹拌する方法等が用いられる。
本実施形態においては、目的に応じて、前記樹脂粒子分散液、前記その他の樹脂粒子分散液、前記着色剤分散液及び前記離型剤分散液の少なくともいずれかに、内添剤、帯電制御剤、無機粒体、有機粒体、滑剤、研磨材などのその他の成分(粒子)を分散させてもよい。また、例えば、樹脂粒子分散液、その他の樹脂粒子分散液、着色剤分散液及び離型剤分散液の少なくともいずれかの中に、その他の成分(粒子)を分散させてもよいし、樹脂粒子分散液、その他の樹脂粒子分散液、着色剤分散液及び離型剤分散液を混合してなる混合液中に、その他の成分(粒子)を分散させてなる分散液を混合してもよい。
本実施形態に用いられる水系媒体としては、前述したものが挙げられる。これらの中でも、エタノールや水であることが好ましく、蒸留水及びイオン交換水等の水が特に好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、水系媒体は、水混和性の有機溶媒を含んでいてもよい。水混和性の有機溶媒としては、例えば、アセトンや酢酸等が挙げられる。
その他の樹脂粒子分散液は、本実施形態の樹脂粒子分散液の製造方法により得られた樹脂粒子分散液以外の樹脂粒子分散液である。
樹脂を水系媒体中に分散、粒子化する方法としては、例えば、強制乳化法、自己乳化法、転相乳化法など、既知の方法から選択することができる。これらのうち、乳化に要するエネルギー、得られる乳化物の粒径制御性、安定性等を考慮すると、自己乳化法、転相乳化法が好ましく適用される。また、乳化重合法及びそれに類似の不均一分散系における重合法で容易に得ることもできる。
自己乳化法、転相乳化法に関しては、「超微粒子ポリマーの応用技術(シーエムシー出版)」に記載されている。自己乳化に用いる極性基としては、カルボキシ基、スルホン基等が用いられる。
その他の樹脂粒子分散液に含まれる樹脂としては、本実施形態の樹脂粒子分散液に含まれる樹脂粒子におけるポリエステル樹脂、及び、その他の樹脂と同義であり、好ましい態様も同様である。
前記着色剤分散液は、少なくとも着色剤を分散させてなる。
着色剤分散液に含まれる着色剤は、上述の、本実施形態のトナーにおいて使用可能である着色剤と同義であり、好ましい態様も同様である。
着色剤は、公知の方法で分散されるが、例えば、回転せん断型ホモジナイザーやボールミル、サンドミル、アトライター等のメディア式分散機、高圧対向衝突式の分散機等が好ましく用いられる。また、着色剤は、極性を有するイオン性界面活性剤を用い、既述したようなホモジナイザーを用いて水系溶媒中に分散し、着色剤粒子分散液を作製してもよい。着色剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記着色剤の体積平均粒径D50vとしては、1μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることがより好ましく、0.01〜0.5μmが特に好ましい。
着色剤分散液中の粒子、及び、離型剤分散液中の粒子の体積平均粒径D50vは、マイクロトラックを用いて、体積を小径側から累積分布を描いて、累積50%となる粒径を体積平均粒径として測定した。マイクロトラックにて5回測定した内の、最大値と最小値を除いた3回の測定値の平均値を用いた。
また、着色剤の水系媒体中での分散安定性をより安定化させ、トナー中での着色剤のエネルギーを低くするために添加する分散剤として、ロジン、ロジン誘導体、カップリング剤、高分子分散剤などが挙げられる。
前記離型剤分散液は、少なくとも離型剤を分散させてなる。
離型剤分散液に含まれる離型剤は、上述の、本実施形態のトナーにおいて使用可能である離型剤と同義であり、好ましい態様も同様である。
離型剤は、公知の方法で分散されるが、例えば、回転せん断型ホモジナイザーやボールミル、サンドミル、アトライター等のメディア式分散機、高圧対向衝突式の分散機等が好ましく用いられる。また、離型剤は、極性を有するイオン性界面活性剤を用い、既述したようなホモジナイザーを用いて水系溶媒中に分散し、離型剤粒子分散液を作製してもよい。本実施形態において、離型剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。前記離型剤粒子の体積平均粒径D50vとしては、1μm以下が好ましく、0.01〜1μmがより好ましい。
本実施形態の静電荷像現像用トナーの製造方法は、前記凝集粒子を融合・合一してトナー粒子を形成する、融合・合一工程を含む。
前記融合工程においては、前記凝集粒子中の結着樹脂が、その融点又はガラス転移温度以上の温度条件で溶融し、凝集粒子は不定形からより球形へと変化する。
前記融合工程における加熱温度としては、(使用した結晶性ポリエステル樹脂の融解温度+0〜50)℃又は(使用した非晶性ポリエステル樹脂粒子のガラス転移温度+0〜50)℃の範囲であることが好ましく、(使用した結晶性ポリエステル樹脂の融解温度+0〜40)℃又は(非結晶性ポリエステル樹脂粒子のガラス転移温度+10〜40)℃の範囲であることがより好ましい。
前記加熱の時間としては、粒子間での融合が行われる程度に時間をかければよく、0.5〜10時間が好ましい。
凝集粒子の融合後に冷却し、融合粒子を得る。また冷却の工程で、離型剤や結着樹脂の融解温度近傍(融解温度±10℃の範囲)で冷却速度を上げる、いわゆる急冷をすることで離型剤や結着樹脂の再結晶化を抑制して表面露出を抑制してもよい。
融合工程の終了後、任意の洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程、外添工程等を経て所望のトナーを得てもよい。
洗浄工程は、帯電性の点から十分にイオン交換水による置換洗浄を施すことが好ましい。また、固液分離工程は、特に制限はないが、生産性の点から吸引ろ過、加圧ろ過等が好ましく用いられる。更に、乾燥工程も特に方法に制限はないが、生産性の点から凍結乾燥、フラッシュジェット乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等が好ましく用いられる。本実施形態のトナーは、乾燥後の含水分率を、1.0質量%以下に調整することが好ましく、0.5質量%以下に調整することがより好ましい。
外添工程におけるトナー母粒子の表面にシリカ、チタニアなどの無機粒子を外添する方法としては、特に制限はなく、公知の方法が用いられ、例えば、機械的方法、又は、化学的方法で付着させる方法が挙げられる。
本実施形態の静電荷像現像剤(以下、「現像剤」という場合がある。)は、本実施形態の静電荷像現像用トナーを含有するものであれば特に制限はなく、また、トナーを単独で用いる一成分系の現像剤であってもよく、トナーとキャリアとを含む二成分系の現像剤であってもよい。なお、一成分系の現像剤の場合には、磁性金属粒子を含むトナーであっても磁性金属粒子を含まない非磁性一成分トナーであっても構わない。
キャリアの具体例としては、以下の樹脂被覆キャリアが挙げられる。キャリアの核体粒子としては、通常の鉄粉、フェライト、マグネタイト造型物などが挙げられ、その体積平均粒径は、30〜200μmであることが好ましい。
現像剤におけるトナーとキャリアとの混合比としては特に制限はなく、目的に応じて選択される。
本実施形態のトナーを用いた画像形成方法について説明する。本実施形態のトナーは、公知の電子写真方式を利用した画像形成方法に利用される。具体的には以下の工程を有する画像形成方法において利用される。
すなわち、好ましい画像形成方法は、像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程、前記像保持体表面に形成された静電潜像をトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程、前記トナー像を被転写体表面に転写する転写工程、及び、前記被転写体表面に転写されたトナー像を定着する定着工程、を含み、前記現像剤として、本実施形態の静電荷像現像用トナー、又は、本実施形態の静電荷像現像剤を用いる画像形成方法である。
本実施形態の画像形成方法は、転写後の前記静電荷像保持体表面の残留トナーを除去するクリーニング工程を更に有してもよい。
前記静電潜像形成工程は、像保持体(感光体)上に静電潜像を形成する工程である。
前記現像工程は、現像剤保持体上の現像剤層により前記静電潜像を現像してトナー画像を形成する工程である。前記現像剤層としては、本実施形態の静電荷像現像用トナーを含んでいれば特に制限はない。
前記転写工程は、前記トナー画像を被転写体上に転写する工程である。また、転写工程における被転写体としては、中間転写体や紙等の被記録媒体が例示できる。
前記定着工程では、例えば、加熱ローラの温度を一定温度に設定した加熱ローラ定着器により、転写紙上に転写したトナー像を定着して複写画像を形成する方式が挙げられる。
前記クリーニング工程は、像保持体上に残留する静電荷像現像剤を除去する工程である。
被転写体としては、中間転写体や紙等の被記録媒体を使用することができる。
被記録媒体としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンター等に使用される紙、OHPシート等が挙げられ、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等を好適に使用することができる。
本実施形態の画像形成装置は、本実施形態の静電荷像現像用トナーを用いた画像形成装置について説明する。
本実施形態の画像形成装置は、像保持体と、前記像保持体を帯電させる帯電手段と、帯電した前記像保持体を露光して前記像保持体表面に静電潜像を形成させる露光手段と、トナーを含む現像剤により前記静電潜像を現像してトナー像を形成させる現像手段と、前記トナー像を前記像保持体から被転写体表面に転写する転写手段と、前記被転写体表面に転写されたトナー像を定着する定着手段と、を有し、前記トナーが本実施形態の静電荷像現像用トナー又は本実施形態の静電荷像現像剤であることが好ましい。
なお、本実施形態の画像形成装置は、上記のような像保持体と、帯電手段と、露光手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段とを少なくとも含むものであれば特に限定はされないが、その他必要に応じて、クリーニング手段、除電手段等を含んでいてもよい。
前記転写手段では、中間転写体を用いて2回以上の転写を行ってもよい。また、転写手段における被転写体としては、中間転写体や紙等の被記録媒体が例示できる。
また、本実施形態の画像形成装置においては、像保持体上に残留する静電荷像現像剤を除去するクリーニング手段を備えることが好ましい。
クリーニング手段としては、例えば、クリーニングブレード、クリーニングブラシなどが挙げられるが、クリーニングブレードが好ましい。
以下、本実施形態の画像形成装置の一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主用部を説明し、その他はその説明を省略する。
また、各ユニット110Y、110M、110C、110Kの現像装置(現像手段)4Y、4M、4C、4Kのそれぞれには、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kに収容されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーが供給される。
なお、1次転写ローラ5Yは、中間転写ベルト120の内側に配置され、感光体1Yに対向した位置に設けられている。更に、各1次転写ローラ5Y、5M、5C、5Kには、1次転写バイアスを印加するバイアス電源(図示せず)がそれぞれ接続されている。各バイアス電源は、図示しない制御部による制御によって、各1次転写ローラに印加する転写バイアスを可変する。
感光体1Yは、導電性(20℃における体積抵抗率:1×10-6Ωcm以下)の基体上に感光層を積層して形成されている。この感光層は、通常は高抵抗(一般の樹脂程度の抵抗)であるが、レーザ光線3Yが照射されると、レーザ光線が照射された部分の比抵抗が変化する性質を持っている。そこで、帯電した感光体1Yの表面に、図示しない制御部から送られてくるイエロー用の画像データに従って、露光装置3を介してレーザ光線3Yを出力する。レーザ光線3Yは、感光体1Yの表面の感光層に照射され、それにより、イエロー印字パターンの静電潜像が感光体1Yの表面に形成される。
このようにして感光体1Y上に形成された静電潜像は、感光体1Yの走行に従って現像位置まで回転される。そして、この現像位置で、感光体1Y上の静電潜像が、現像装置4Yによって可視像(現像像)化される。
一方、感光体1Y上に残留したトナーは感光体クリーニング装置6Yで除去されて回収される。
こうして、第1ユニット110Yにてイエロートナー像の転写された中間転写ベルト120は、第2から第4ユニット110M、110C、110Kを通して順次搬送され、各色のトナー像が重ねられて多重転写される。
なお、上記例示した画像形成装置は、中間転写ベルト120を介してトナー像を記録紙Pに転写する構成となっているが、この構成に限定されるものではなく、感光体から直接トナー像が記録紙に転写される構造であってもよい。
本実施携帯のプロセスカートリッジは、本実施形態の静電荷像現像用トナー、又は、本実施形態の静電荷像現像剤を収容しているプロセスカートリッジであればよく、像保持体表面上に形成された静電潜像を静電荷像現像用トナー又は静電荷像現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、像保持体、像保持体表面を帯電させるための帯電手段、及び、像保持体表面に残存したトナーを除去するためのクリーニング手段よりなる群から選ばれる少なくとも1種と、を備え、前記静電荷像現像用トナー又は前記静電荷像現像剤として、本実施形態の静電荷像現像用トナー、又は、本実施形態の静電荷像現像剤を収容しているプロセスカートリッジであることが好ましい。
そして、このプロセスカートリッジ200は、転写装置112と、定着装置115と、図示しない他の構成部分とから構成される画像形成装置本体に対して着脱自在としたものであり、画像形成装置本体とともに、記録紙300に画像を形成する画像形成装置を構成するものである。
本実施形態のトナーカートリッジは、画像形成装置に着脱されるように装着され、少なくとも、前記画像形成装置内に設けられた現像手段に供給するためのトナーを収納するトナーカートリッジにおいて、前記トナーが本実施形態の静電荷像現像用トナーである。なお、本実施形態のトナーカートリッジには少なくとも本実施形態の静電荷像現像用トナーが収容されればよく、画像形成装置の機構によっては、例えば本実施形態の静電荷像現像剤が収容されてもよい。
なお、以下に実施例において、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を意味し、「%」は「質量%」を意味する。
樹脂の重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソー(株)製GPC・HLC−8120GPCを用い、東ソー(株)製カラム・TSKgel SuperHM−M(15cn)を使用し、THF溶媒で行う。重量平均分子量は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作製した分子量校正曲線を使用して算出した。
樹脂粒子の体積平均粒径及び体積平均粒度分布は、レーザー回折式粒度分布測定機(LA−700、(株)堀場製作所製)で測定される樹脂粒子分散液の粒度分布をもとにして分割された粒度範囲(チャネル)に対して体積を小径側から累積分布を描いて、累積50%となる粒径を体積平均粒径、累積16%となる粒径を体積D16v、累積84%となる粒径を体積D84vと定義し、体積平均粒度分布(GSDv)を(D84v/D16v)1/2として求めた。
離型剤分散液中の粒子、及び、着色剤分散液中の粒子の体積平均粒径D50vは、マイクロトラックを用いて、体積を小径側から累積分布を描いて、累積50%となる粒径を体積平均粒径として測定した。マイクロトラックにて5回測定した内の、最大値と最小値を除いた3回の測定値の平均値を用いた。
トナーの体積平均粒径は、コールターマルチサイザーII(ベックマン−コールター社製)を用いて測定した。
トナーの形状係数SF1は、まずスライドグラス上に散布したトナーの光学顕微鏡像を、ビデオカメラを通じて画像解析装置に取り込み、50個のトナーについてSF1を計算し、平均値を求めた。
〔非晶性ポリエステル樹脂1の合成〕
・アジピン酸ジメチル:74部
・テレフタル酸ジメチル:192部
・ビスフェノールAエチレンオキシド付加物:216部
・エチレングリコール:38部
・テトラブトキシチタネート(触媒):0.037部、
上記成分を加熱乾燥した二口フラスコに入れ、容器内に窒素ガスを導入して不活性雰囲気に保ち撹拌しながら昇温した後、160℃で15時間共縮重合反応させ、その後、10Torrまで徐々に減圧しながら220℃まで昇温し4時間保持した。一旦常圧に戻し、無水トリメリット酸9部を加え、再度10Torrまで徐々に減圧し220℃で1時間保持することにより結着樹脂を合成した。得られた非晶性樹脂の重量平均分子量は95,000であった。
・アジピン酸ジメチル:74部
・テレフタル酸ジメチル:192部
・ビスフェノールAエチレンオキシド付加物:216部
・エチレングリコール:38部
・テトラブトキシチタネート(触媒):0.037部
上記成分を加熱乾燥した二口フラスコに入れ、容器内に窒素ガスを導入して不活性雰囲気に保ち撹拌しながら昇温した後、160℃で12時間共縮重合反応させ、その後、10Torrまで徐々に減圧しながら220℃まで昇温し4時間保持した。一旦常圧に戻し、無水トリメリット酸9部を加え、再度10Torrまで徐々に減圧し220℃で1時間保持することにより結着樹脂を合成した。得られた非晶性樹脂の重量平均分子量は95,000であった。
・1,10−ドデカン二酸:50モル%
・1,9−ノナンジオール:50モル%
上記モノマー成分を、撹拌機、温度計、コンデンサー及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に入れ、反応容器中を乾燥窒素ガスで置換した後、前記モノマー成分1,000部に対してチタンテトラブトキサイド(試薬)を2.5部投入して、窒素ガス気流下170℃で3時間撹拌反応させた。更に、温度を210℃に上げて反応容器内を3kPaまで減圧し、減圧下で13時間撹拌反応させて、結晶性ポリエステル樹脂を得た。得られた結晶性ポリエステル樹脂のTmは75℃であった。
高温・高圧乳化装置(キャビトロンCD1010、スリット:0.4mm)の乳化タンクに、結晶性樹脂を2,200部、酢酸エチル2,200部、アンモニア水溶液10部、アニオン系界面活性剤(ドデシルべンゼンスルホン酸ナトリウム)250部、イオン交換水4,000部とともに加え、60℃に加熱して10,000回転で30分間分散させた。その後、酢酸エチルを留去させて、体積平均粒径160nmの結晶性樹脂粒子分散液を作製した。その後、イオン交換水を加えて固形分濃度を40.0質量%に調整した。
・離型剤(日本精鑞(株)製、商品名:FNP0090、融解温度Tw90℃):270質量部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンRK、有効成分量:60質量%):13.5質量部(有効成分として、離型剤に対して3.0質量%)
・イオン交換水:721.6質量部
上記成分を混合し、圧力吐出型ホモジナイザー(ゴーリン社製、ゴーリンホモジナイザー)で、内液温度120℃にて、離型剤を溶解した後、分散圧力5MPaで120分間、続いて、40MPaで360分間分散処理し、冷却して、離型剤分散液を得た。この分散液中の粒子の体積平均粒径D50vは230nmであった。その後、イオン交換水を加えて固形分濃度を20.0質量%に調整し、離型剤分散液を得た。
・シアン顔料(大日精化(株)製:ECB 301):200質量部
・アニオン系界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンSC):33質量部(有効成分60質量%。着色剤に対して10質量%)
・イオン交換水:750質量部
上記成分をすべて投入した際に液面の高さが容器の高さの1/3程度になる大きさのステンレス容器に、イオン交換水を280質量部とアニオン系界面活性剤33質量部とを入れ、充分に界面活性剤を溶解させた後、前記シアン顔料すべてを投入し、撹拌機を用いて濡れていない顔料がなくなるまで撹拌するとともに、充分に脱泡させた。脱泡後に残りのイオン交換水を加え、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて、5,000回転で10分間分散した後、撹拌器で1昼夜撹拌させて脱泡した。続けて、分散液を高圧衝撃式分散機アルティマイザー((株)スギノマシン製、HJP30006)を用いて、圧力240MPaで分散した。分散は、トータル仕込み量と装置の処理能力とから換算して25パス相当行った。得られた分散液を72時間放置して沈殿物を除去し、イオン交換水を加えて、固形分濃度を15質量%に調整した。この着色剤分散液中の粒子の体積平均粒径D50vは115nmであった。
・硫酸アルミニウム粉末(浅田化学工業(株)製:17質量%硫酸アルミニウム):35質量部
・イオン交換水:1,965質量部
上記各成分を容器へ投入し、30℃にて、沈殿物が消失するまで撹拌混合して硫酸アルミニウム水溶液を調製した。
<樹脂粒子分散液1の製造>
非晶性ポリエステル樹脂1を200質量部、トリパルミチン(東京化成工業(株)製)を20質量部、水酸化ナトリウム50質量%水溶液 1.4質量部、界面活性剤としてドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5質量%水溶液(三洋化成工業(株)製、エレミノールMON−7)4.1質量部を二軸押出混練機(TEM26SS、東芝機械製)に投入し、バレル温度95℃、スクリュー回転数400rpmで溶融した。更に90℃に調整したイオン交換水450質量部を二軸押出混練機に投入し、樹脂粒子分散液1を得た。
実施例1の非晶性ポリエステル樹脂1をそれぞれ、非晶性ポリエステル樹脂2、結晶性ポリエステル樹脂1に変更した以外は実施例1と同様に樹脂粒子分散液2〜3を製造した。
実施例1のトリパルミチンをそれぞれ、表1に示すアシルグリセロールに変更した以外は、実施例1と同様に樹脂粒子分散液4〜7を製造した。
なお、表1中、アシルグリセロールの欄のアルキル基の記載は、下記式(1)中のR1〜R3が表す−(C=O)−Rで表される一価の基に含まれるアルキル基を表しており、R2,R3=−Hの記載は、R2及びR3がいずれも水素原子であることを示している。
実施例1のトリパルミチンを混合せずに乳化した以外は実施例1と同様に樹脂粒子分散液8を製造した。
実施例1のトリパルミチンを混合せずに乳化し、水酸化ナトリウム50質量%水溶液を2.8質量部とした以外は実施例1同様に樹脂粒子分散液9を製造した。
実施例1のトリパルミチンをそれぞれ、表1に示すアシルグリセロールに変更した以外は、実施例1と同様に樹脂粒子分散液10〜11を製造した。
〔体積平均粒径及び不純物量の測定〕
上記方法により製造した樹脂粒子分散液1〜11を用いて、体積平均粒径及び粒度分布を測定した。体積平均粒径及び粒度分布の測定方法は、上述の通りとした。測定結果は表1に記載した。
なお、表1中には粒度分布をA〜Cの3段階評価により評価した評価結果についても記載した。評価基準は下記の通りである。
A:粒度分布が1.15以上1.27未満である
B:粒度分布が1.27以上1.31未満である
C:粒度分布が1.31以上である
上記方法により製造した樹脂粒子分散液1〜11を用いて、樹脂粒子分散液50gを透析膜(ダイアライシスメンブラン、サイズ36、和光純薬工業(株)製)に封入し、撹拌下で、10Lの純水に浸漬し、分散液中の不純物を除去した。次いで、凍結乾燥機を用いて透析処理を施した樹脂粒子分散液を乾燥した。乾燥した樹脂粒子を蛍光X線分析装置(走査型蛍光X線分析装置、ZSX PrimusII)を用いて、樹脂粒子中に含まれるNa量net強度を測定し、不純物量指標とした。なお、試料前処理としては、トナー0.1〜0.2gを加圧成型にてディスク成型し、測定条件は定性定量測定で、管電圧40KV、管電流70mA、測定時間15分で測定した。測定結果は表1に記載した。
なお、表1中には不純物量の測定結果をA〜Cの3段階評価により評価した評価結果についても記載した。評価基準は下記の通りである。
A:測定結果が0.1kcps以下
B:測定結果が0.1kcpsを超え、0.25kcps未満である
C:測定結果が0.25kcps以上である
<トナー1の製造>
・樹脂粒子分散液1:318質量部
・樹脂粒子分散液2:318質量部
・樹脂粒子分散液3:65質量部
・着色剤分散液:200質量部
・離型剤分散液:115質量部
・イオン交換水:1,500質量部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンRK):7.0質量部
上記各成分を、温度計、pH計、撹拌機を具備した反応容器に入れ、温度25℃にて、ホモジナイザー(IKAジャパン社製:ウルトラタラックスT50)にて5,000rpmで分散しながら、調製した硫酸アルミニウム水溶液を125質量部添加して6分間分散した。その後、反応容器に撹拌機、マントルヒーターを設置し、スラリーが充分に撹拌するように撹拌機の回転数を調整しながら、温度40℃までは0.2℃/分で、40℃を超えてからは0.05℃/分で昇温し10分ごとにマルチサイザーII(アパーチャー径:50μm、ベックマン−コールター社製)にて粒径を測定し、体積平均粒径が5.0μmとなったところで温度を保持し、更に樹脂粒子分散液1と樹脂粒子分散液2を50:50で混合した追加用非結晶性樹脂分散液312質量部を5分間かけて投入した。投入後30分間保持した後、4質量%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを9.0にした。その後、5℃ごとにpHを9.0に調整しながら、昇温速度1℃/分で90℃まで昇温し、90℃で保持した。15分ごとに光学顕微鏡と走査電子顕微鏡(FE SEM)にて粒子形状及び表面性を観察したところ、1.0時間目で粒子の合一が確認されたので、冷却水にて容器を30℃まで5分間で冷却した。冷却後のスラリーを、目開き15μmのナイロンメッシュに通過させ粗大粉を除去した後、メッシュを通過したトナースラリーをアスピレータで減圧ろ過した。ろ紙上に残ったトナーを手でできるだけ細かく砕いて、温度30℃でトナー量の10倍のイオン交換水に投入し、30分間撹拌混合した後、再度アスピレータで減圧ろ過し、ろ液の伝導度を測定した。ろ液の伝導度が10μS/cm以下となるまでこの操作を繰り返し、トナーを洗浄した。洗浄したトナーを湿式乾式整粒機(コーミル)で細かく砕いてから、35℃のオーブン中で36時間真空乾燥して、トナー粒子を得た。
得られたトナー粒子100質量部に対して、疎水性シリカ(日本アエロジル(株)製、RY50)1.0質量部と疎水性酸化チタン(日本アエロジル(株)製、T805)0.8質量部とを加え、サンプルミルを用いて13,000rpmで30秒間混合ブレンドした。その後、目開き45μmの振動篩いで篩分して、トナー1を得た。
得られたトナー1は、体積平均粒径D50vが6.0μm、形状係数SF1は130であった。
樹脂粒子分散液1を樹脂粒子分散液4に変更した以外はトナー1と同様にして、トナー2を作製した。得られたトナー2は、体積平均粒径D50vが6.0μm、形状係数SF1は125であった。
樹脂粒子分散液1を樹脂粒子分散液5に変更した以外はトナー1と同様にして、トナー3を作製した。得られたトナー3は、体積平均粒径D50vが6.0μm、形状係数SF1は135であった。
樹脂粒子分散液1を樹脂粒子分散液6〜7に変更した以外はトナー1と同様にして、トナー4を作製した。得られたトナー4は、体積平均粒径D50vが6.0μm、形状係数SF1は130、トナー5は、体積平均粒径D50vが6.0μm、形状係数SF1は130であった。
樹脂粒子分散液1を樹脂粒子分散液9に変更した以外はトナー1と同様にして、トナー6を作製した。得られたトナー6は、体積平均粒径D50vが6.3μm、形状係数SF1は130であった。
・Mn−Mg−Sr系フェライト粒子(平均粒径40μm):100質量部
・トルエン:14質量部
・シクロヘキシルメタアクリレート/ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体(共重合質量比99:1、重量平均分子量(Mw):8万):2.0質量部
・カーボンブラック(VXC72:キャボット社製):0.12質量部
フェライト粒子を除く上記成分及びガラスビーズ(φ1mm、トルエンと同量)を、関西ペイント(株)製サンドミルを用いて1,200ppm/30min撹拌し、樹脂被覆層形成用溶液とした。更に、この樹脂被覆層形成用溶液とフェライト粒子を真空脱気型ニーダーに入れ減圧し、トルエンを留去/乾燥することにより樹脂被覆キャリアを形成した。
上記樹脂被覆キャリア100部に対して、5質量部のトナー1〜6を混合して、V−ブレンダーを用いて40rpmで20分間撹拌し、目開き250μmで篩分して現像剤1〜6を得た。
得られた現像剤について、富士ゼロックス(株)社製DocuCentre−III C7600の改造機を用いて転写性の評価を行った。前記改造機は、トナー転写前に強制的にマシンを停止させ、感光体上、中間転写体上、紙上(未定着)のトナー量を測定できるようにしたものである。また定着ロール表面温度を130℃にしたものである。
転写性の評価では、30℃80%RHの環境で、富士ゼロックス(株)製C2紙を用いて、5cm×5cmのパッチを描き、10,000枚後の各トナー質量を測定し、下記式により1次転写効率、及び2次転写効率を算出した。なお、1次転写効率、2次転写効率の掛け合わせが85%以上であるものを許容レベルとした。上記転写効率に優れるほど、トナーの転写性が優れているといえる。
1次転写効率=(中間転写体上トナー質量)/(感光体上トナー質量)
2次転写効率=(紙上未定着トナー質量)/(中間転写体上トナー質量)
(転写効率)=(1次転写効率)×(2次転写効率)×100
A:転写効率が95%以上
B:転写効率が90%以上95%未満
C:転写効率が85%以上90%未満
D:転写効率が85%未満
Claims (7)
- ポリエステル樹脂と、塩基性物質と、界面活性剤と、アシルグリセロールとを含む樹脂粒子が分散し、
前記アシルグリセロールが、アルキル基の炭素数が11〜21であるアルキルモノカルボン酸のモノ、ジ、又は、トリエステル化合物であり、
前記塩基性物質の含有量が、ポリエステル樹脂、及び、その他の樹脂の合計質量に対し、0.01〜2質量%である、
樹脂粒子分散液。 - ポリエステル樹脂と、塩基性物質と、界面活性剤と、アシルグリセロールとを混合して混合物を得る混合工程、及び、
前記混合物と水系媒体とを乳化分散し樹脂粒子分散液を得る乳化工程を含み、
前記アシルグリセロールが、アルキル基の炭素数が11〜21であるアルキルモノカルボン酸のモノ、ジ、又は、トリエステル化合物であることを特徴とする
樹脂粒子分散液の製造方法。 - ポリエステル樹脂と、アシルグリセロールとを含み、
前記ポリエステル樹脂を含む結着樹脂中に前記アシルグリセロールが分散したトナー母粒子を含み、
前記アシルグリセロールが、アルキル基の炭素数が11〜21であるアルキルモノカルボン酸のモノ、ジ、又は、トリエステル化合物であることを特徴とする
静電荷像現像用トナー。 - 請求項2に記載の樹脂粒子分散液の製造方法により得られた樹脂粒子分散液中で、樹脂粒子を凝集させ、凝集粒子を形成する凝集粒子形成工程と、
前記凝集粒子が分散した凝集粒子分散液を加熱し、前記凝集粒子を融合・合一してトナー粒子を形成する、融合・合一工程を含む、
静電荷像現像用トナーの製造方法。 - 請求項3に記載の静電荷像現像用トナーと、キャリアとを含む、静電荷像現像剤。
- 像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程、
前記像保持体表面に形成された静電潜像をトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程、
前記トナー像を被転写体表面に転写する転写工程、及び、
前記被転写体表面に転写されたトナー像を定着する定着工程、を含み、
前記現像剤として、請求項3に記載の静電荷像現像用トナー、又は、請求項5に記載の静電荷像現像剤を用いる画像形成方法。 - 像保持体と、
前記像保持体を帯電させる帯電手段と、
帯電した前記像保持体を露光して前記像保持体表面に静電潜像を形成させる露光手段と、
トナーを含む現像剤により前記静電潜像を現像してトナー像を形成させる現像手段と、
前記トナー像を前記像保持体から被転写体表面に転写する転写手段と、
前記被転写体表面に転写されたトナー像を定着する定着手段と、を有し、
前記現像剤として、請求項3に記載の静電荷像現像用トナー、又は、請求項5に記載の静電荷像現像剤を備えた画像形成装置。
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