ところで,一般的な吸収性パッドは,トップシートとバックシートの間に吸収体を挟み込み,吸収体の周囲の外縁部分においてトップシートとバックシートを互いに接合することにより,吸収体を内包するようにしている。このため,一般的な吸収性パッドは,吸収体の周囲に,トップシートとバックシートの接合代が20〜40mm程度の幅で形成されることとなる。また,近年では,いわゆる砂時計型やひょうたん型の吸収性パッドも普及している。砂時計型やひょうたん型の吸収性パッドは,前身頃側と後身頃側に,股下部分よりも幅広に形成されたサイドフラップを有している。このような砂時計型やひょうたん型の吸収性パッドは,矩形状の吸収性パッドと比較し,液体を吸収可能な面積が広いことから,軟便や水様便の対策として好んで使用する利用者も多い。特に近年では,製品幅が広く製品長が長い大型の吸収パッドが好まれる傾向にある。
他方,上記の吸収性パッドが重ねられる使い捨ておむつは,一般的に,その表面側に立体ギャザーが形成されている。この立体ギャザーは,使い捨ておむつの吸収体の左右両側に起立する機能を有している。ここで,このような立体ギャザーを持つ使い捨ておむつに,上記のような接合代の広い吸収性パッドや,砂時計型又はひょうたん型の吸収性パッドを重ねると,吸収性パッドが,使い捨ておむつの立体ギャザーの間に収まらないこともある。このような場合,利用者は,使い捨ておむつの立体ギャザーを押し潰すようにして吸収性パッドを重ねたり,吸収性パッドの接合代やサイドフラップを折り畳んで,使い捨ておむつの立体ギャザーの間に押し込んだりすることもある。また,吸収性パッドの製品長が,使い捨ておむつの製品長を超えることもある。このような場合,利用者は,使い捨ておむつからはみ出した吸収性パッドの一部を折畳むか,又ははみ出した状態のままで使用を継続することもある。
しかしながら,吸収性パッドによって使い捨ておむつの立体ギャザーを押し潰してしまうと,この立体ギャザーの機能が発揮されなくなるばかりか,吸収性パッドの収まりが悪くなって,吸収パッドに位置ずれが発生する恐れがあった。そこで,吸収性パッドの一部を折り畳んで使い捨ておむつの立体ギャザーの間に押し込むことで,吸収性パッドの収まりが良くなり,また使い捨ておむつの立体ギャザーが起立して防漏壁として機能するため,尿漏れを効果的に防止できる。しかし,吸収性パッドの一部を折り畳んで使い捨ておむつの立体ギャザーの間に一時的に押し込んだとしても,着用している最中に,吸収性パッドの折り畳んだ部分が開いてくる恐れがある。その場合には,着用感が低下したり,吸収性パッドと肌の間に隙間が生じることもあった。また,吸収性パッドの製品長が使い捨ておむつの製品長よりも長いと,吸収性パッドがはみ出してしまい,吸収性パッドによって吸収できなかった尿や便が漏れ出し,衣服を汚してしまう原因の一つとなっていた。
ただし,利用者によっては,吸収性パッドによって使い捨ておむつの立体ギャザーを押し潰すようにして使用することを好む者も存在する。すなわち,大型の吸収性パッドによって使い捨ておむつの立体ギャザーを覆っておくことで,排泄物がこの立体ギャザーに付着することを防止できるため,吸収性パッドを交換すれば,その下に位置する使い捨ておむつは繰り返し使用し続けることができる。また,利用者によっては,前身頃側は,吸収性パッドを使い捨ておむつの立体ギャザーの間に押し込み,後身頃側は,吸収性パッドを使い捨ておむつの立体ギャザーの上に重ねて使用する者も存在している。このように,利用者は,自身の状況に応じて,吸収性パッドと使い捨ておむつを適宜工夫して使用している。
従って,現在は,大型の吸収性パッドであっても,使い捨ておむつの立体ギャザーの間に適切に収めることができ,他方で,この立体ギャザーの上に吸収性パッドを重ねて使用する方法も適宜選択することのできる使い勝手の良い技術が求められているといえる。
そこで,本発明の発明者は,上記課題の解決手段について鋭意検討した結果,サイドフラップが形成された吸収性パッドにおいて,そのサイドフラップの裏面に係合手段を取り付けることで,サイドフラップを折り畳んだ状態を保持し易くなるという知見を得た。すなわち,係合手段を利用して,吸収性パッドの裏面側にサイドフラップを折り畳んだ状態を維持することで,大型の吸収性パッドであっても,使い捨ておむつの立体ギャザーの間に収まり良く収納できるようになる。また,利用者は,サイドフラップを折り畳まないで使用するという選択もできるため,本発明の吸収性パッドは利用者の要求に応じて使い勝手の良いものとなる。そして,本発明者は,上記知見に基づけば,従来の課題を解決できることに想到し,本発明を完成させた。具体的に説明すると,本発明は,以下の構成を有する。
本発明は,例えば使い捨ておむつと併用して用いられる吸収性物品に関する。
本発明の吸収性物品は,その長手方向に,前身頃1と,後身頃2と,これらの間に位置する股下部3とに,長手方向に区分される。
吸収性物品は,股下部3に,幅狭となったくびれ部30が形成され,前身頃1と後身頃2の両方又はいずれか一方に,くびれ部30よりも幅広となったサイドフラップ10,20が形成されている。
ここで,本発明の吸収性物品は,サイドフラップ10,20の裏面に,係合手段40が取り付けられている。本願明細書において,「裏面」とは,着用時において,着用者の肌に対向しない側の面(肌非対向面)を意味する。
これにより,本発明の吸収性物品は,サイドフラップ10,20を裏面側に向かって折り返したときに,係合手段40が,吸収体の幅方向中央部分の裏面に係合するようになっている。
上記構成のように,サイドフラップ10,20の裏面に係合手段40を取り付けておくことで,このサイドフラップ10,20を折り返した状態を固定できるため,吸収性物品を使い捨ておむつの立体ギャザーの間に収め易くなる。また,吸収性物品を使い捨ておむつの立体ギャザーの間に収めることで,この立体ギャザーが起立し,尿漏れを防止する防漏壁として機能する。さらに,吸収性物品のサイドフラップ10,20を折り畳んだ状態が保持されるため,着用している最中に,サイドフラップ10,20が開いたりヨレたりすることを防止できる。他方で,利用者は,係合手段40を使用しないという選択をすることもできる。つまり,敢えて係合手段40を使わずに,吸収性物品を使い捨ておむつの立体ギャザーの上に覆い被せることで,排泄物によって立体ギャザーに汚れが付着することを防ぐこともできる。また,例えば,浣腸や下剤等の服用で軟便・水様便が排泄される可能性の高い場合には,前側のサイドフラップ10は折り畳んで使い捨ておむつの立体ギャザーの間に収めてずれにくくし,後側のサイドフラップ20は折り畳まずに幅広のままで使うこともできる。このため,本発明によれば,利用者のニーズに応じた,使い勝手の良い吸収性物品(吸収性パッド)を提供できる。
本発明の吸収性物品は,吸収体51と,吸収体51の表面側に位置する液透過性のトップシート52と,吸収体51の裏面側に位置する液不透過性のバックシート53と,を備える。また,吸収性物品は,吸収体51よりも幅方向外側に延出した左右の延出部54を有している。なお,この左右の延出部54は,トップシート52とバックシート53の両方によって形成されていてもよいし,いずれか一方によって形成されていてもよいし,別の部材(例えば立体ギャザー用のシート)によって形成されていてもよい。
この場合において,係合手段40は,サイドフラップ10,20を形成する左右の延出部54の裏面に取り付けられていることが好ましい。
上記構成のように,サイドフラップ10,20を形成する左右の延出部54には,吸収体51が存在しないこととなる。このような吸収体51が存在しない部位に係合手段40を取り付けておくことで,サイドフラップ10,20を裏面側に向かって折り畳みやすくなる。
本発明の吸収性物品は,さらに,一対の立体ギャザー55を備えることが好ましい。また,一対の立体ギャザー55は,それぞれ,サイドフラップ10,20を形成する左右の延出部54に固定部分を有し,当該固定部分よりも幅方向内側の自由部分が起立する構造となっていることが好ましい。
上記構成のように,吸収性物品に立体ギャザー55を形成することで,さらに漏れ防止効果が高まる。また,立体ギャザー55の一部を,サイドフラップ10,20を形成する左右の延出部54に固定することで,延出部54の裏面にある係合手段40を利用してサイドフラップ10,20を折り畳んだときに,立体ギャザー55の自由部分が外側に開きやすくなる。従って,サイドフラップ10,20を折り畳んだ吸収性物品を,使い捨ておむつ上に配置したときであっても,この吸収性物品の立体ギャザー55がきちんと機能するようになる。
本発明の吸収性物品において,サイドフラップ10,20の裏面には,係合手段40が長手方向に間隔をおいて複数個取り付けられていることとしてもよい。
上記のように,サイドフラップ10,20に複数個の係合手段40を取り付けることで,利用者が適切な係合手段40を選択して,使用することができる。
本発明の吸収性物品において,係合手段40は粘着テープであり,この係合手段40の粘着面は剥離シート41によって被覆されていることとしてもよい。この場合,剥離シート41は,幅方向に沿って切断可能線42が形成されていることが好ましい。
上記のように,係合手段40(粘着テープ)の粘着面を覆う剥離シート41に,ミシン目線やスリットなどの切断可能線42を形成することで,利用者が,必要な分だけ剥離シート41を剥がして,係合手段40を利用できるようになる。すなわち,利用者は,状況に応じてより必要な部位のみを選択して折り返すことができるものとなり,剥離シート41を大きく剥がすほど,より折り返しを大きくすることができる。
本発明の吸収性物品は,吸収体51よりも長手方向外側に延出した前後の延出部56を有している。なお,この前後の延出部56は,トップシート52とバックシート53の両方によって形成されていてもよいし,いずれか一方によって形成されていてもよい。
この場合に,前後の延出部56の裏面に,係合手段40が取り付けられていることとしてもよい。
上記構成のように,前後の延出部56に係合手段40を取り付けておくことで,例えば,吸収性物品の長さが使い捨ておむつよりも長い場合であっても,使い捨ておむつの上に収まるように,その吸収性物品の長さを調節することが可能となる。これにより,吸収性物品の長さが使い捨ておむつからはみ出して,尿漏れを発生させるような事態を防止できる。
本発明の吸収性物品において,サイドフラップ10,20には,トップシート52とバックシート53の間に,吸収体51から幅方向に離間したサブ吸収体58が配置されていてもよい。
上記構成のように,吸収性物品のサイドフラップ10,20にも吸収体が介在していることとしてもよい。この場合に,サイドフラップ10,20には,吸収体51(本体)から幅方向に離間したサブ吸収体58であることが好ましい。これにより,サイドフラップ10,20を,吸収体51(本体)とサブ吸収体58の間を折れ目として,裏面側に向かって折り返しやすくなる。
本発明の吸収性物品は,製品幅や製品長が大きい大型のものであっても,使い捨ておむつの立体ギャザーの間に適切に収めることができ,他方で,この立体ギャザーの上に吸収性パッドを重ねて使用する方法も適宜選択することができる。従って,本発明によれば,使い勝手の良い吸収性物品を提供することができる。
以下,図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。本発明は,以下に説明する形態に限定されるものではなく,以下の形態から当業者が自明な範囲で適宜修正したものも含む。
本願明細書において,「A〜B」とは,「A以上B以下」であることを意味する。
また,本願明細書において,「長手方向」というときは,基本的に,使い捨ておむつの前身頃と後身頃を結ぶ方向を意味し,「幅方向」というときは,長手方向と平面的に直交する方向を意味する。
図1は,本発明の一実施形態に係る吸収性物品100(吸収性パッド)を示した平面図である。図1(a)は,吸収性物品100を表面(肌対向面)側から見た平面図であり,図1(b)は,吸収性物品100を裏面(肌非対向面)側から見た平面図である。
図1に示されるように,本実施形態に係る吸収性物品100は,ひょうたん型若しくは砂時計型と表現することのできる形状となっている。具体的に説明すると,吸収性物品100は,長手方向に,前身頃1と,後身頃2と,股下部3とに区分される。前身頃1は,着用者の腹部に接する側であり,後身頃2は,着用者の背部に接する側である。股下部3は,前身頃1と後身頃2の間に位置し,着用者の股下(両脚部の付け根の間)に当てがわれる部分である。ここで,図1に示されるように,吸収性物品100は,前身頃1と後身頃2の横幅(幅方向の長さ)が,股下部3の横幅よりも,幅広に形成されている。すなわち,股下部3には,吸収性物品100の横幅が最も狭くなった部位であるくびれ部30が存在する。他方で,前身頃1と後身頃2には,股下部3に存在するくびれ部30よりも幅方向の左右外側に延出する部位であるサイドフラップ10,20が存在する。つまり,サイドフラップ10,20が形成された部分において,前身頃1と後身頃2の横幅は,股下部3のくびれ部30における横幅よりも広く形成されることとなる。本願明細書では,このようなサイドフラップ10,20が前身頃1と後身頃2の両方に形成された形状を,ひょうたん型若しくは砂時計型と表現している。なお,本発明の吸収性物品100は,サイドフラップ10,20が前身頃1と後身頃2の両方に形成された形状に限定されるものではなく,サイドフラップ10,20は,前身頃1と後身頃2の少なくともいずれか一方に形成されていればよい。
図1に示されるように,吸収性物品100は,基本的に,吸収体51と,液透過性のトップシート52と,液不透過性のバックシート53とを含む。図1(a)に示されるように,トップシート52は,吸収体51の表面側を被覆する。他方,図1(b)に示されるように,バックシート53は,吸収体51の裏面側を被覆する。
具体的に説明すると,吸収体51は,尿などの液体を吸収し,吸収した液体を保持するための部材である。吸収体51は,トップシート52とバックシート53の間に内包されている。吸収体51は,トップシート52を透過した液体を吸収する機能を有する吸収性材料により構成される。吸収体51を構成する吸収性材料には,公知の材料を採用することができる。吸収性材料としては,例えば,フラッフパルプ,高吸水性ポリマー(SAP),又は親水性シートを用いることとしてもよい。また,吸収性材料には,フラッフパルプ,高吸収性ポリマー,又は親水性シートのうち1種類を単独で用いてもよいし,2種類以上を併用することとしてもよい。吸収性材料は,通常,単層又は複数層のマット状に形成され,用いられる。吸収体51の形状は,適宜,吸収性物品100の形状や,大きさ,用途に合せて設計することができる。例えば,吸収体51の形状は,図1に示されるように,砂時計型やひょうたん型としてもよいし,矩形型や楕円形型であってもよい。
トップシート52は,着用者の股下部の肌に直接接し,尿などの液体を吸収体51へ透過させるための部材である。このため,トップシート52は,柔軟性が高い液透過性材料で構成される。トップシート52を構成する不透過性材料の例は,織布,不織布,又は多孔性フィルムである。また,例えばポリプロピレンやポリエチレン,ポリエステル,ナイロンのような熱可塑性樹脂の繊維を親水化処理してさらに不織布にしたものを用いることとしてもよい。
バックシート53は,トップシート52を透過し吸収体51に吸収された液体が,おむつの外部へ漏出することを防止するための部材である。このため,バックシート53は,液不透過性材料によって構成される。バックシート53を構成する不透過材料の例は,ポリエチレン樹脂からなる液不透過性のフィルムである。特に,0.1〜4μmの微細な孔が複数形成された微多孔性ポリエチレンフィルムを用いることが好ましい。
ここで,本発明の吸収性物品100は,吸収体51の周囲において,この吸収体51の外縁よりも外側に延出した部分(54,56)を有している。少なくとも,吸収性物品100は,吸収体51の外縁よりも幅方向外側に延出した左右の延出部54と,吸収体51の外縁よりも長手方向外側に延出した前後の延出部56と,を有している。具体的には,トップシート52とバックシート53は,吸収体51の周囲に延出し,その延出部(54,56)において互いに接合されている。これにより,吸収体51は,トップシート52とバックシート53によって周囲を囲われて,これらのシート52,53の間に封入された状態となっている。
このように,本実施形態では,トップシート52とバックシート53が吸収体51よりも幅方向の外側に延出した左右の延出部54によって,上記したサイドフラップ10,20が形成されている。つまり,本実施形態において,サイドフラップ10,20には,吸収体51が介在していないこととなる。ただし,本発明は,サイドフラップ10,20の一部に,吸収体51の一部が介在していても問題はない。
また,図1(a)に示されるように,本実施形態において,吸収性物品100は,吸収体51の幅方向左右両側に,一対の立体ギャザー55を有している。立体ギャザー55は,吸収体51の両側縁部に沿って起立し,着用者が排泄した尿の横漏れを防止するための部材である。立体ギャザー55のそれぞれは,通気性及び疎水性を有するサイドシート55aと,一又は複数の立体ギャザー伸縮部材55bを有する。サイドシート55aは,前身頃1側と後身頃2側の両端が吸収性物品100の表面に固定されおり,長手方向の中央部分が,吸収性物品100の表面から浮いた自由状態となっている。また,立体ギャザー伸縮部材55bは,サイドシート55aの幅方向内側の先端部分に,長手方向に沿った伸長状態で固定されている。従って,立体ギャザー伸縮部材55bが収縮すると,サイドシート55aの自由部分が着用者の肌に当接する方向に向かって立ち上がる。このため,一対の立体ギャザー55は,尿の防漏壁となり,トップシート52を透過しなかった尿や,吸収体51により吸収しきれなった尿が,外部に漏出することを防止する。
その他,吸収性物品100は,股下部3に,一又は複数のレッグ伸縮部材57を有していてもよい。レッグ伸縮部材57は,トップシート52,バックシート53,サイドシート55aのうち,いずれか2層のシート部材の間に伸長状態で固定されている。レッグ伸縮部材57が収縮すると,その部分にレッグギャザーが形成される。
ここで,図1(b)に示されるように,吸収性物品100は,その裏面に,係合手段40を有している。係合手段40は,前身頃1側に形成されたサイドフラップ10の裏面と,後身頃2側に形成されたサイドフラップ20の裏面とに,それぞれ取り付けられている。
係合手段40は,サイドフラップ10,20を裏面側に向かって折り返したときに,吸収性物品100の裏面に係合する部材で構成されている。このため,係合手段40を吸収性物品100の裏面に係合させることで,サイドフラップ10,20を折り返した状態を保持することができる。係合手段40は,例えば,粘着テープや面ファスナーによって構成することができる。例えば,係合手段40が粘着テープである場合,その粘着面には剥離シートを取り付けておくことが好ましい。また,係合手段40が面ファスナーのオス部材である場合,サイドフラップ10,20を折り返したときに,係合手段40に接する吸収性物品100の裏面の対応箇所には,面ファスナーのメス部材を取り付けておくことができる。例えば,面ファスナーのメス部材は,吸収性物品100の裏面であって,この吸収性物品100に含まれる吸収体51と重なる位置に設けられていることが好ましい。
具体的には,図2に,係合手段40を有する吸収性物品100の使用例が示されている。図2(a)は,吸収性物品100を裏面側から見た状態を示す平面図である。図2(a)では,係合手段40が粘着テープである場合の例を示している。また,図2(b)は,図1で示したA−A線における断面図を示している。
図2(a)及び図2(b)に示されるように,係合手段40(粘着テープ)の粘着面は,剥離シート41で被覆されている。剥離シート41を剥がすことで,係合手段40の粘着面が露出する。その後,サイドフラップ10,20を裏面側に向かって折り返すことで,このサイドフラップ10,20に取り付けられた係合手段40が,吸収性物品100の幅方向中央部分の裏面に係合(接着)する。特に,サイドフラップ10,20を折り返したときに,係合手段40は,吸収性物品100に含まれる吸収体51と重なる位置に係合(接着)することが好ましい。これにより,サイドフラップ10,20が吸収性物品100の裏面に隠れるようになり,吸収性物品100の前身頃1若しくは後身頃2の横幅が実質的に縮小する。特に,吸収体51にはある程度の厚みがあるため,係合手段40が吸収体51の裏面に重なるように係合することで,サイドフラップ10,20を折り曲げた状態であっても,着用者に違和感を与えにくくなる。また,サイドフラップ10,20に係合手段40が取り付けられていることで,サイドフラップ10,20が折り畳まれた状態が固定して保持される。このため,サイドフラップ10,20を折り畳んだ状態を長時間維持することが可能となる。
さらに具体的に説明すると,図1及び図2に示されるように,前身頃1と後身頃2のサイドフラップ10,20には,吸収体51が介在していないことが好ましい。そして,係合手段40は,吸収体51が介在していないサイドフラップ10,20の裏面に,取り付けられていることが好ましい。つまり,サイドフラップ10,20に吸収体51が存在すると,この吸収体51の厚みによって,サイドフラップ10,20を折り返しにくくなる。このため,吸収体51が介在していないサイドフラップ10,20の裏面に係合手段40を取り付けておくことで,サイドフラップ10,20を折り返し易くなり,結果として,吸収性物品100の横幅を調節し易くなる。
また,図2(b)に示されるように,立体ギャザー55のサイドシート55aは,サイドフラップ10,20を形成する左右の延出部54上に固定部分55cを有し,当該固定部分55cよりも幅方向内側の自由部分55dが起立するものであることが好ましい。すなわち,図2(b)に示されるように,立体ギャザー55のサイドシート55aは,サイドフラップ10,20上に固定部分55cが形成されている。このため,サイドフラップ10,20を折り返すと,サイドシート55aの固定部分55cも共に折り返される。そうすると,図2(b)に示されるように,折り返された側(図中右側)と折り返されていない側(図中左側)を比較すると,折り返された側の立体ギャザー55の方が,幅方向外側に向かって開くようになる。これにより,サイドフラップ10,20を折り返したときに,立体ギャザー55が開き易くなり,立体ギャザー55の間に排泄物を収め易くなる。
図3は,一般的な使い捨ておむつ200と,本発明に係る吸収性物品100を併用した状態の一例を示している。図3(a)は,使い捨ておむつ200と吸収性物品100の併用状態を表面側から見た平面図である。また,図3(b)は,図3(a)に示したB−B線における断面図を示している。本発明の吸収性物品100を重ねる使い捨ておむつ200は,公知のものを用いればよい。使い捨ておむつ200は,テープ型であってもよいしパンツ型であってもよい,図3では,テープ型の使い捨ておむつ200を例に挙げて示している。一般的な使い捨ておむつ200は,左右の立体ギャザー255を有する。
図3に示すように,吸収性物品100を使い捨ておむつ200に重ねて使用するときに,吸収性物品100全体の横幅が,使い捨ておむつ200の立体ギャザー255の間の幅よりも長くなることがある。この場合,そのままでの状態では,吸収性物品100を使い捨ておむつ200の立体ギャザー255の間に収めることができない場合がある。このような場合,図3(a)及び図3(b)に示すように,吸収性物品100のサイドフラップ10,20を裏面側に折り曲げて,係合手段40を介して,吸収性物品100の裏面に係合させておけばよい。これにより,吸収性物品100の横幅を狭めるように調節することができる。その結果,吸収性物品100を,使い捨ておむつ200の立体ギャザー255の間に適切に収めることが可能となる。また,吸収性物品100のサイドフラップ10,20は,係合手段40によって折り畳まれた状態が保持されているため,着用者によって着用されている最中であっても開いてしまうことがない。従って,吸収性物品100を使い捨ておむつ200の中に収めた状態を長時間維持することができる。
他方で,利用者は,係合手段40を使用しないという選択をすることもできる。つまり,敢えて係合手段40を使わずに,吸収性物品100を使い捨ておむつ200の立体ギャザー255の上に覆い被せることで,排泄物によって立体ギャザー255に汚れが付着することを防ぐこともできる。また,浣腸や下剤等の服用で軟便・水様便が排泄される可能性の高い場合は,前側のサイドフラップ10は折り畳んで使い捨ておむつ200の立体ギャザー255の間に収めてずれにくくし,後側のサイドフラップ20は折り畳まずに幅広のままで使うこともできる。このように,本発明によれば,利用者のニーズに応じて様々な使い方をするこのできる使い勝手の良い吸収性物品100を提供できる。
図4は,他の実施形態に係る吸収性物品100を裏面側から見た状態を示した平面図である。図4に示された実施形態において,係合手段40は,複数に分割されて,サイドフラップ10,20の裏面に取り付けられている。すなわち,それぞれのサイドフラップ10,20には,複数の係合手段40が取り付けられており,複数の係合手段40は長手方向に離間した状態で配置されている。例えば,各サイドフラップ10,20に取り付ける係合手段40の数は,2個以上であることが好ましく,2〜6個,3〜5個であってもよい。また,図4に示すように,複数の係合手段40は長手方向に一列に並ぶものであってもよいし,二列以上で並んでいてもよい。複数の係合手段40は,千鳥状に配置されていてもよい。
図4に示されるように,複数の係合手段40を設ける形態において,各係合手段40が粘着テープである場合には,それぞれの係合手段40の粘着面には剥離シート41(図2参照)を取り付けておくことが好ましい。これにより,利用者は,サイドフラップ10,20を折り返すときに,適宜必要な分だけ剥離シート41を剥がし,係合手段40(粘着テープ)の粘着面を露出させることができる。粘着面を露出させる係合手段40の数を調節可能とすることで,サイドフラップ10,20の折り曲げ幅や折り曲げの大きさを調節することができるため,利用者の細かい要望に応じることが可能となる。
図5は,さらに別の実施形態に係る吸収性物品100を裏面側から見た状態を示した平面図である。図5に示された実施形態において,係合手段40は粘着テープで構成されており,その粘着面には,複数に分割可能な剥離シート41が取り付けられている。具体的には,剥離シート41には,幅方向に沿って延びる切断可能線42が,一又は複数箇所に形成されている。切断可能線42は,スリットであってもよいし,ミシン目線であってもよい。
図5に示されるように,係合手段40が粘着テープである場合において,その粘着面に取り付ける剥離シート41を分割可能とすることで,利用者は,粘着テープの粘着面を露出させる面積を調節することができる。粘着面を露出させる面積を調節可能とすることで,サイドフラップ10,20の折り曲げ幅や折り曲げの大きさを調節することができるため,利用者の細かい要望に応じることが可能となる。
図6は,さらに別の実施形態に係る吸収性物品100を裏面側から見た状態を示す平面図である。図6に示した実施形態では,吸収体51の外縁よりも長手方向外側に延出する前後の延出部56が比較的広く形成されている。このような場合,吸収性物品100を使い捨ておむつに重ねて配置しようとしたときに,吸収性物品100の前後の延出部56が,使い捨ておむつの長手方向の端縁からはみ出してしまうこともある。このように,吸収性物品100が使い捨ておむつからはみ出す状態は,尿漏れを発生させる原因となり得るため好ましくない。そこで,図6に示した実施形態では,吸収性物品100の前後の延出部56の裏面に,上記と同様の係合手段40を設けている。
図6に示された実施形態のように,前後の延出部56にも係合手段40を設けることで,この前後の延出部56を折り返したときに,係合手段40が吸収性物品100の裏面に係合する。これにより,前後の延出部56を折り返した状態を保持することができる。その結果,吸収性物品100の長手方向の長さを適宜調節することが可能となる。特に,吸収性本体100(吸収性パッド)には様々なサイズのものがあり,また,使い捨ておむつにも様々なサイズのものが存在する。このとき,吸収性本体100(吸収性パッド)が使い捨ておむつからはみ出さないように,適切なサイズものを組み合わせることが難しいこともある。特に,病院や介護施設では,多種多様な吸収性本体100(吸収性パッド)と使い捨ておむつが備えられていることもある。このような場合において,吸収性物品100の長手方向の長さを,係合手段40を介して調節することができれば非常に便利なものとなる。
なお,図6では,前後の延出部56に係合手段40を設けるとともに,左右の延出部54にも係合手段40を設けた例を示している。ただし,前後の延出部56に係合手段40を設け,左右の延出部54には係合手段40を設けないとすることも可能である
図7は,さらに別の実施形態を示している。図7に示されるように,吸収性物品100は,主たる吸収体51とは別に,サイドフラップ10,20にサブ吸収体58を有していてもよい。サブ吸収体58は,主たる吸収体51と同様の吸収性部材で形成できる。サブ吸収体58は,主たる吸収体51から幅方向に離間した状態で,サイドフラップ10,20に介在している。つまり,サブ吸収体58と主たる吸収体51の間には,長手方向に沿って延びる間隙が形成されている。本実施形態では,例えば,トップシート52とバックシート53をサイドフラップ10,20にまで延在させて,これらのシート52,53の間にサブ吸収体58を封入すればよい。また,主たる吸収体51とサブ吸収体58の間は,空間的に繋がっておらず,トップシート52とバックシート53が互いに接合されていることが好ましい。この実施形態においても,サイドフラップ10,20の裏面には,係合手段40が取付けられる。特に,本実施形態において,係合手段40は,サブ吸収体58と重なる位置に取り付けられていることが好ましい。
このように,サイドフラップ10,20にサブ吸収体58を設けることで,サイドフラップ10,20を折り畳まない状態においては,サブ吸収体58によって,主たる吸収体51の横から漏れ出した尿を効果的に吸収できる。従って,尿漏れ防止効果が高まる。他方,必要に応じてサイドフラップ10,20を折り畳むときであっても,主たる吸収体51とサブ吸収体58の間には間隙が形成されておるため,この間隙を折れ目として,簡単に折り畳むことができる。また,サイドフラップ10,20の裏面には係合手段40が取り付けられているため,サイドフラップ10,20を折り畳んだ状態を維持することができる。
以上,本願明細書では,本発明の内容を表現するために,図面を参照しながら本発明の実施形態の説明を行った。ただし,本発明は,上記実施形態に限定されるものではなく,本願明細書に記載された事項に基づいて当業者が自明な変更形態や改良形態を包含するものである。