まず、容器としてのボトル本体の搬送経路が円孤状に形成された領域において、その円弧状の搬送経路の仮想中心に配設された多関節アームロボットを用いて充填包装における所定の作業を行う本発明の第1実施形態の充填包装装置であって、前記所定の作業として、充填液の充填を行う充填包装装置について説明する。
本実施形態の充填包装装置1は、図1および図2に示すように、ボトル本体2を搬送経路上に整列搬送させる搬送手段としての搬送ユニット10、搬送経路上の一部領域においてボトル本体2に充填物としての充填液の充填を行うための多関節アームロボット20、多関節アームロボット20に配設されるシリンダ31に充填液を供給する充填ユニット30、並びに、これら搬送ユニット10、多関節アームロボット20および充填ユニット30を協調駆動させる制御を司る中央制御部40を有している。
搬送ユニット10は、図1乃至図3に示すように、駆動源としての搬送部サーボモータ11、搬送部サーボモータ11の駆動力で回転自在に配設された回転テーブル12、並びに、1本ずつのボトル本体2を保持可能に形成されたグリッパ19を回転テーブル12の周方向に複数個(本実施形態においては30個)配置させた容器保持手段18を備えている。回転テーブル12はフレーム13の中心に鉛直方向に設けられ、搬送部サーボモータ11の駆動力により回転する回転軸14に配設され、回転軸14の軸周りに水平回転自在に配設されている。そして、グリッパ19は、開閉自在とされた左右一対のアーム部からなるグリッパ19のそのアーム部間にボトル本体2の胴部を把持可能に、その先端側を外方へ向けて回転軸14を基準とする円周方向に回転テーブル12と平行に延出して配列され、配設されている。
搬送ユニット10は、各グリッパ19に対応する1回動(1サイクル)の角度を12°として各グリッパ19が回転テーブル12とともに間欠移動しながら周回するように、つまり、グリッパ19に保持されたボトル本体2が搬送経路における最上流となる第1停止位置から順に第30停止位置まで(図3中に丸数字で示す)を間欠移動するように、回転テーブル12を間欠回転(本実施形態においては、サイクルタイムを1.5秒/サイクルとする)させるべく、サーボモータ11の駆動が、中央制御部40からの指令に基づき搬送部ドライブユニット11Aを介して制御されている。
そして、このように構成された搬送ユニット10においては、ボトル本体2を把持するグリッパ19の回転軌跡、より正しくはグリッパ19により保持されて回転軸14の軸周りを移動するボトル本体2の平面視における移動軌跡が搬送経路となる。
充填包装装置1は、搬送経路に沿って、容器繰入工程の作業領域、充填包装における充填工程、キャッピング工程、包装工程などの各工程のうちの1乃至複数の工程の作業領域を確保することができるように構成されており、搬送経路の周囲には、該工程の実施に必要なユニット等を配置可能とされている。
具体的には、本実施形態の充填包装装置1においては、搬送経路の最上流となる第1間欠停止位置から第30間欠停止位置まで順に、ボトル本体2を充填包装装置1へ供給する容器繰入工程の作業領域、間欠搬送されるボトル本体2に充填液の充填を行う充填工程の作業領域、定量の充填が完了したボトル本体2に内栓を施す内栓工程の作業領域、ボトル本体2に外蓋(キャップ)4を施す外栓工程の作業領域、ボトル本体2にシュリンクフィルム3を装着させるシュリンク領域、充填・包装後の各ボトルの状態を検査する検査領域、ボトル本体2を充填包装装置1から次工程へ繰り出す容器繰出工程の作業領域等が形成されている(図3は、充填工程以外の作業領域についてはそれぞれの作業に要する装置等の図示を省略)。そして、本実施形態の充填包装装置1においては、充填工程の作業領域として、第3間欠停止位置から第9間欠停止位置までの領域が充当されており、該充填工程において、搬送されるボトル容器2に対し、多関節アームロボット20により追従しながら充填を実行する。
そして、本実施形態の充填包装装置1においては、円弧状の搬送経路の仮想中心となる回転テーブル12の中央部分に多関節アームロボット20が配設されている。
本実施形態の充填包装装置1における多関節アームロボット20は、図1に示すように、腕全体に相当する部分を鉛直軸周りに回転させる軸(J1)、下腕に相当する部分を前後に動かす軸(J2)、上腕に相当する部分を上下に動かす軸(J3)、上腕に相当する部分を回転させる軸(J4)、手首に相当する部分を上下に動かす軸(J5)、並びに、手首に相当する部分を回転させる軸(J6)の6軸(関節)を有して構成されており、多関節アームロボット20の各軸J1…J6の駆動が中央制御部40からの指令に基づきロボットドライブユニット20Aにおいて制御され、所望の動作を実施可能とされている。
そして、多関節アームロボット20は、手首に相当する部位の解放側となるアーム先端が所望の作業を実行するための作業部とされており、本実施形態の充填包装装置1においては搬送経路の一部領域に形成された充填工程の作業領域においてボトル本体2に充填物としての充填液の充填を行うべく、充填工程において使用される充填ユニット30の一部として駆動させる4基の充填ノズル31を備えた後述するモジュールベース34が装着され、搬送経路を間欠搬送されるボトル本体2に追従しながら充填液の定量充填を行うように構成されている。
充填ユニット30は、図1に示すように、充填液を貯留させるシリンダ31、このシリンダ31に内蔵され、駆動源となるサーボモータ32の駆動により定量の給液を可能とされたピストン33、多関節アームロボット20の作業部に取付けられるモジュールベース34に対し、搬送経路となるボトル本体2の移動軌跡と同じ曲率の円弧上に移動軌跡の中心軸の軸周りに12°の間隔で配置された4本の充填ノズル35、シリンダ31と充填ノズル35を繋ぐ給液チューブ36、そして、シリンダ31へ充填液を供給させる給液タンク37を有し、ピストン31を駆動させるサーボモータ32の駆動が中央制御部40からの指令に基づきピストン33のドライブユニット32Aにおいて制御され、所望の充填が可能とされている。
そして、本実施形態の充填包装装置1は、搬送経路における第3間欠停止位置から第9間欠停止位置までの領域において対応する4個の空のボトル本体2に充填を同時に行うべく、搬送手段10、多関節アームロボット20、並びに、充填ユニット30が協調動作するように中央制御部40から指令され、それぞれの駆動・動作が制御される。具体的には、回転テーブル12の4回(4サイクル)の間欠回動によって第3間欠停止位置から第6間欠停止位置(この位置を充填初期位置という)に4個の空のボトル本体2が整列するタイミングで充填が開始される。すなわち、充填初期位置に4個の空のボトル本体2が整列し、ボトル本体2の搬送が開始されたところで4本の充填ノズル35を備えたモジュールベース34を降下させ、これらの4個の空のボトル本体2に対して4本の充填ノズル35を同時に遊挿し、ボトル本体2の間欠搬送に追従するように円弧状に揺動させながら、充填ユニット30のシリンダ31から給液チューブ36を介して充填液を計量しつつ充填し、これらの4つのボトル本体2が第9間欠停止位置から第6間欠停止位置(この位置を充填完了位置という)に移動するまでの間、すなわち、回転テーブル12の3回(3サイクル)の間欠回動の間に充填液の充填を終了させる。このとき、充填完了後には、充填ノズル35をボトル本体2の開口部から抜き取るようにモジュールベース34を上昇させ、次の回転テーブル12の1回(1サイクル)の間欠回動の間に前記充填初期位置へ戻る(以下、この回転テーブル12の4サイクルの回動を1クールという)。なお、充填初期位置へ戻る駆動動作は直線補間でも、曲線補間でもよい。
ここで、改めて本実施形態の充填包装装置1の中央制御部40について説明する。
本実施形態の充填包装装置1における中央制御部40は、図1に示すように、充填工程における前述のシーケンス制御を実行するべく、多関節アームロボット20のロボットドライブユニット20Aと接続され、多関節アームロボット20の駆動のための指令を出力するロボット制御部41、多関節アームロボット20の駆動と同期・協調させるユニット、すなわち、本実施形態においては充填ユニット30における充填のピストン用サーボモータ32のピストン部ドライブユニット32Aや搬送ユニット10における搬送部サーボモータ11の搬送用ドライブユニット11Aと接続され、それらのドライブユニット11A,32Aに駆動のための指令を出力するモーション制御部42、並びに、データ入力・表示手段としての機械操作画面44と接続され、ロボット制御部41やモーション制御部42を介した所望のシーケンス制御を司る機械制御部43を備えている。なお、中央制御部40は、その他の駆動装置(例えば、所望の間欠停止位置に配置され、該間欠停止位置に停止した容器保持手段18としてのグリッパ19を開閉させるためのエアシリンダ等)のドライブとも接続され、その駆動装置の駆動のための指令を出力もするが、その説明は省略する。
そして、図4に示すように、モーション制御部42は、充填包装装置1の搬送経路に沿って配置される各工程の作業に用いるところの周辺装置の駆動指令を生成する周辺装置指令生成部としての、ノズルから給液するピストンの制御量Z1を生成するピストン部指令生成部421、搬送手段10の搬送部サーボモータ11の回転角度Θを生成する搬送部指令生成部422、多関節アームロボット20の作業部を所望のとおりに移動させ、その姿勢を変えるための駆動指令を生成する作業部指令生成部としてのノズル部指令生成部423、並びに、ロボット制御部41へ指令を送信する指令送信部424を備えている。
また、ロボット制御部41は、モーション制御部42からの指令を受信する指令受信部411、多関節アームロボット20の位置指令を作成するロボットプログラム412、指令受信部411で受信した指令とロボットプログラム412からの指令を切り替える指令選択部413、並びに、指令選択部413で選択したロボットモーション指令またはロボットプログラムに基づいて多関節アームロボット20のロボット関節指令を生成するロボット指令生成部414を備える。
なお、中央制御部40においては、図5に示すように、前記周辺装置の配設数に応じ、必要な数の周辺装置指令生成部を設けることができ、また、多関節アームロボットの配設数(図5には2つ)に応じて作業部指令生成部423とロボット制御部41を設けることができるものとする。その場合において、搬送部指令生成部422が生成した搬送手段10のサーボモータ11の回転角度Θのデータは複数配設された作業部指令生成部423のうちのそれぞれに対応する作業部指令生成部423へ送信される。
ここで、本実施形態の充填包装装置1において、前述のようにして多関節アームロボット20を用いて間欠搬送されるボトル容器に追従させながら充填を行うには、図7に示すように、搬送ユニット10の回転テーブル12を間欠回転させる動作(搬送部指令に基づく搬送部駆動)、充填ノズル35とともにモジュールベース34を1クール中に水平方向に揺動(3サイクルで充填初期位置から充填完了位置へ移動し、次の1サイクルで前記充填初期位置へ戻す)する動作(搬送部指令を位相変換した情報に基づく第1の軸群G1の駆動)、充填ノズル35の間欠搬送開始を契機として充填ノズル35とともにモジュールベース34を1クール中に昇降させる動作(ノズル部指令に基づく第2の軸群G2の駆動)、並びに、充填ノズル35の下降タイミングを契機として前記1クール中に注液する動作(ピストン部指令に基づくピストン駆動)の4つの駆動の協働が必要となる。
そこで、本実施形態においては、その制御上、多関節アームロボット20の各軸Jを、作業部を搬送経路に沿って移動させるための1乃至複数の軸からなる第1の軸群G1と、作業部に搬送経路に沿った移動以外の駆動をさせるための1乃至複数の軸からなる第2の軸群G2を概念する。
具体的には、本実施形態においては、腕全体に相当する部分を鉛直軸周りに回転させる軸(J1)と、手首に相当する部分を回転させる軸(J6)を前記第1の軸群G1とし、他の、下腕に相当する部分を前後に動かす軸(J2)、上腕に相当する部分を上下に動かす軸(J3)、および手首に相当する部分を上下させる軸軸(J5)を纏めて前記第2の軸群G2とする。
そして、中央制御部40内のモーション制御部42においては、ノズル部指令生成部423において、前記第1の軸群G1と第2の軸群G2の動作を作業部指令として生成し、その作業部指令を多関節アームロボットの作業部の座標値(ロボット座標)に変換してロボットモーション指令とし、ロボット指令送信部424を介してロボット制御部41へ送信する。
具体的には、作業部指令生成部としてのノズル部指令生成部423は、図6に示すように、搬送部指令生成部422が生成した搬送手段10の搬送部サーボモータ11の回転角度Θから、搬送されるボトル本体2の載置原点に対応する位置で前記作業部を搬送経路に沿って移動させるべく前記第1の軸群G1を駆動させるための位置情報を含む駆動指令を生成する容器原点指令部4231と、前記ボトル本体2の載置原点からX,Y,Z,A,B,C軸方向にオフセットさせた位置で前記作業部を移動させるべく前記第1の軸群G1および前記第2の軸群G2を駆動させるための予め設定した位置情報(データ)を保有する容器座標合成指令部4232を備え、容器原点指令部4231における駆動指令と、容器座標合成指令部4232のデータを装置座標に変換した駆動指令を合成して前記作業部指令とするように構成されている。
本実施形態においては、多関節アームロボット20の充填ノズル35作業部を搬送されるボトル本体2と平面視において同じ位置において同じ速度で搬送経路を移動させるとともに、充填量等に応じて昇降させる。その際、容器原点指令部4231における、搬送部サーボモータ11の回転角度Θから、搬送されるボトル本体2の載置原点に対応する位置で充填ノズル35を搬送経路に沿って移動させるための、搬送部サーボモータ11に同期した位置X,Yと多関節アームロボット20の姿勢C(鉛直軸周りの回転角度)を前記第1の軸群G1を駆動させる位置情報とする駆動指令と、容器座標合成指令部4232における、作業部(充填ノズル35)の高さZや姿勢A,Bを整える動作指令となる第2の軸群G2を駆動させる位置情報を装置座標に変換した駆動指令とを合わせて前記作業部指令とする。なお、本実施形態においては、容器座標合成指令部4232には作業部の充填ノズル35の高さZに関する位置情報を予め入力設定しておく。
そして、ロボット制御部41は、前記ロボット指令送信部424から送信されたロボットモーション指令を受信する指令受信部411、ロボットプログラム412、前記指令受信部411とロボットプログラム412との指令系統を選択的に切換える指令選択部413、並びに、前記ロボットモーション指令をロボット関節指令として生成し、前記多関節アームロボット20のドライブユニット20Aへ出力するロボット関節指令生成部414を有しており、指令受信部411が受信した作業部指令を、指令選択部413のスイッチをロボットプログラム412から指令受信部411へ切換えることによりロボット関節指令生成部414へ送信し、ロボット関節指令生成部414において、指令選択部413で選択した指令に基づき、多関節アームロボット20の各軸(関節)の駆動指令であるロボット関節指令を生成し、多関節アームロボット20のロボットドライブユニット20Aへ送信する。
そして、本実施形態の充填包装装置1においては、モーション制御部42では、搬送部指令生成部422が生成した搬送手段10の搬送部サーボモータ11の回転角度Θについて、モーション制御部42とロボット制御部41との通信遅延時間分だけ位相を遅らせて(位相補正)、搬送部サーボモータ11の搬送部ドライブユニット11Aへ送信する。さらに、ピストン部指令生成部421は、ノズルから給液するピストンの制御量Z1を充填ピストン用サーボモータ32のピストン部ドライブユニット32Aへ送信する。なお、ピストン部指令生成部421からピストン部ドライブユニット32Aへ送信される制御量についても、モーション制御部42とロボット制御部41との通信に要する遅延時間分を考慮した位相補正を行ってもよい。
これにより、多関節アームロボット20は、図7に示すところの、搬送部指令に基づく搬送部駆動、搬送部指令を位相変換した情報に基づく第1の軸群G1の駆動、ノズル部指令に基づく第2の軸群G2の駆動、および、ピストン部指令に基づくピストン駆動の4つの駆動を協働させることが可能となり、回転テーブル12の間欠回動、更に云えば、円孤状の搬送経路を間欠搬送されるボトル本体2の動きに合わせて充填ノズル35を揺動させつつ、円孤状の搬送経路を間欠搬送されるボトル本体2の動きとは独立して充填ノズル35の昇降動作を制御し、多関節アームロボット20に装着させた充填ノズル35を間欠搬送されるボトル本体2に追従させながら適量の充填を行うことができる。
このように構成された本実施形態の充填包装装置1によれば、搬送ドライブユニット11Aへ送信する指令に位相補正を加えることで、ボトル本体2の間欠搬送と、第1の軸群G1の駆動指令に基づいて駆動する多関節アームロボット2の揺動を完全に同期させることができる。また、制御上、多関節アームロボット20の各軸を第1の軸群G1と第2の軸群G2とに分別して概念することで、ボトル本体2に追従させるための動作に要する第1の軸群G1以外の第2の軸群G2を用いた動作、換言すれば、追従させるための動作に影響しない独立した動作を、多関節アームロボット20の追従させるための駆動に制約されることなく設計(プログラム)することができる。しかも、第1の軸群G1の動作指令と第2の軸群の動作指令に基づき、ロボット関節指令生成部414において多関節アームロボット20のロボット関節指令が生成、多関節アームロボット20はその指令に基づいて駆動することで、その動きは極めてスムーズなものとなる。従って、間欠搬送されるボトル本体2を追従しながら充填をする際のボトル容器と充填ノズル35のぶれ・ズレの問題を解消して、精度の良い充填包装を行うことができる。
次に、本実施形態の充填包装装置1を用いた充填包装における充填工程の前記搬送ユニット10、多関節アームロボット20等の動作について説明する。
本実施形態においては、中央制御部40のモーション制御部42から搬送ユニット10の搬送部ドライブユニット11Aへ送信される搬送部サーボモータ11の位置情報(間欠搬送指令)に基づき、搬送部サーボモータ11を駆動させ、回転テーブル12を12°ずつ間欠回転させる。これにより、搬送経路においては、ボトル本体2も12°ずつ間欠搬送される。図3中、第1間欠停止位置に確保された容器繰入工程の作業領域において、公知の繰入手段から円形状の搬送経路上において開状態となっている一対のグリッパ19間へ繰入られた空の状態のボトル本体2は、搬送ユニット10のグリッパ19により胴体下部を把持される。そして、搬送ユニット10の回転テーブル12の間欠回動により、順に、第3間欠停止位置から第9間欠停止位置に確保された充填工程の作業領域へ搬送される。
充填工程においては、多関節アームロボット20は、回転テーブル12の4回(4サイクル)の間欠回転によって第3間欠停止位置乃至第6間欠停止位置から構成される充填初期位置に4個の空のボトル本体2を整列させるタイミングに合わせて、中央制御部40のロボット制御部41からロボットドライブユニット20Aへ送信されるロボット関節指令に反映された第1の軸群G1の動作指令に基づき、ボトル本体2の間欠移動に追従するための揺動を開始するとともに、中央制御部40から充填ノズル35の間欠搬送開始を契機として、中央制御部40のロボット制御部41からロボットドライブユニット20Aへ送信されるロボット指令に反映された第2の軸群G2の動作指令に基づき、モジュールベース34に配設された4本の充填ノズル35を、充填初期位置近傍に整列する4個のボトル本体2に対して遊挿させるように下降させる。
その後、多関節アームロボット20は、第1の軸群G1の動作指令、第2の軸群G2の動作指令を反映させたロボット関節指令に基づき、充填ノズル35をボトル本体2の間欠搬送に追従させるように充填完了位置まで12°ずつ円弧状に揺動させつつ、充填ノズル35を充填済みの液量に応じて上昇させ、充填完了後にボトル本体2から抜脱させるようにする。
その間、充填ユニット30は、中央制御部40のモーション制御部42からピストン部ドライブユニット32Aへ送信されるピストン部指令(開始信号)に基づき、ピストン部サーボモータ32を駆動させ、シリンダ31で充填液を計量しつつ、これらの4個のボトル本体2が充填完了位置に搬送されるまでに所定量の充填液を充填する。
4個のボトル本体2に対する充填が終了したとき、次の先頭にある空のボトル本体2は未だ第5間欠停止位置に位置している。多関節アームロボット20は、この第5間欠停止位置に位置している空のボトル本体2が第6間欠停止位置に搬送される、回転テーブル12の次の1回(1サイクル)の回動、すなわち、回転テーブル12の12°の回動の間に、モジュールベース34に配設された4本の充填ノズル35を再び前記充填初期位置へ戻す。
充填液が充填されたボトル本体2は、搬送ユニット10の回転テーブル12の間欠回動により、順に、後続の各工程の作業領域へ搬送される。
このようにして実行される充填作業は、追従充填の際のボトル本体2と充填ノズル35のぶれ・ズレの問題が解消されており、精度の良い充填となることは前述の通りである。
なお、多関節アームロボット20を、ボトル本体2の搬送経路が円孤状に形成された領域において、その円弧状の搬送経路の外側方(反中心点側)に配設し、搬送されるボトル本体2に追従させる(「外追従」という。)こともできる。以下、この形態を本発明の第2実施形態として説明する。
第2実施形態の充填包装装置1は、ボトル本体2の搬送経路に対する多関節アームロボット20の配置位置が第1実施形態の充填包装装置1とは異なるため、駆動制御における多関節アームロボット20の各軸Jの第1の軸群G1および第2の軸群G2への振り分けが異なってくる。すなわち、本実施形態においては、腕全体に相当する部分を鉛直軸周りに回転させる軸(J1)、下腕に相当する部分を前後に動かす軸(J2)、上腕に相当する部分を上下に動かす軸(J3)、手首に相当する部分を上下に動かす軸(J5)、並びに、手首に相当する部分を回転させる軸(J6)を多関節アームロボット20の前記作業部を搬送経路に沿って移動させるための第1の軸群G1とし、下腕に相当する部分を前後に動かす軸(J2)、上腕に相当する部分を上下に動かす軸(J3)、並びに、手首に相当する部分を上下に動かす軸(J5)を第2の軸群G2とする。その他、前記第1実施形態の充填包装装置1と共通する構成作用についてはその説明を省略し、同構成には同じ符号を付して説明する。
本実施形態においても、中央制御部40は、モーション制御部42においては、ノズル部指令生成部423において、前記第1の軸群G1と第2の軸群2の動作を作業部指令として生成し、その作業部指令を多関節アームロボットの作業部の座標値(ロボット座標)に変換してロボットモーション指令とし、ロボット指令送信部424を介してロボット制御部41へ送信する。そして、ロボット制御部41は、前記ロボット指令送信部424から送信されたロボットモーション指令を受信する指令受信部411、ロボットプログラム412、前記指令受信部411とロボットプログラム412との指令系統を選択的に切換える指令選択部413、並びに、前記ロボットモーション指令をロボット関節指令として生成し、多関節アームロボット20のドライブユニット20Aへ出力するロボット関節指令生成部414を有しており、指令受信部411が受信した作業部指令を、指令選択部413のスイッチをロボットプログラム412から指令受信部411へ切換えることによりロボット関節指令生成部414へ送信し、ロボット関節指令生成部414において、指令選択部413で選択した指令に基づき、多関節アームロボット20の各軸(関節)の駆動指令であるロボット関節指令を生成し、多関節アームロボット20のロボットドライブユニット20Aへ送信する。
これにより、円孤状の搬送経路の外側方に配置された多関節アームロボット20は、腕全体に相当する部分を鉛直軸周りに回転させる軸(J1)により腕全体を回動させつつ、下腕に相当する部分を前後に動かす軸(J2)、上腕に相当する部分を上下に動かす軸(J3)、手首に相当する部分を上下に動かす軸(J5)、並びに、手首に相当する部分を回転させる軸(J6)を駆動させ、充填ノズル35の位置やベースの向きを変化させて、搬送経路上を移動するボトル本体2に追従させつつ、下腕に相当する部分を前後に動かす軸(J2)、上腕に相当する部分を上下に動かす軸(J3)、並びに、手首に相当する部分を上下に動かす軸(J5)を駆動させて充填ノズル35を昇降させることが可能となる。
そして、このように構成された本実施形態の充填包装装置1においても、第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
前述した各実施形態の充填包装装置1の作用効果が従来の充填包装装置1に比して優れたものであることは、例えば、前述の第1実施形態、第2実施形態において用いられるボトル本体2の形状が、図8のように、ボトル本体2の横断面積(外周長さ)が首部2a、肩部2b、胴部2cの各部位で異なるような形状である場合において極めて顕著である。
すなわち、図8のように、ボトル本体2の形状が高さ方向においてその径方向寸法(横断面積)が異なる形状とされている場合に、充填液の時間あたりの注液量を一定とすると、液面の泡立ち防止等を目的として充填ノズル35を液面高さに対応させて昇降させる制御をしようとすれば、ボトル本体2の横断面積が小さい部分は横断面積が大きい部分に比して液面の上昇が速いので、充填ノズル35を上昇させる速度もそれに対応させて速くする必要がある。
このようなボトル本体2の形状を勘案して充填ノズル35を上昇させる制御は、多関節アームロボット20の各軸Jの駆動を、搬送ユニット10のサーボモータ11の駆動と合わせて多関節アームロボット20のロボット制御部901のロボットプログラム911により補完しつつ協調させて制御する従来の充填包装装置1においては、充填ノズル35を速く上昇させるように多関節アームロボット20を駆動させる場合等に搬送ユニットにおける回転テーブル12の回転のスピードが乱れ、充填ノズル35のボトル本体2に対する追従との間にズレが発生することがあった。
これに対し、前述した各実施形態の充填包装装置1においては、多関節アームロボット20の第1の軸群G1の制御と、第2の軸群G2の制御を分離し、第1の軸群G1は搬送装置の間欠駆動と同期させる制御を行うことで充填ノズル35のボトル本体2に対する正確な追従を行い、第2の軸群G2は独立させて充填ノズル35を昇降させるための制御を行うことで、特殊な形状のボトル本体2であっても、充填ノズル35の昇降の動作により、搬送ユニットにおける回転テーブル12の間欠回転や充填ノズル35のボトル本体2に対する追従の動作に影響がなく、その液面の上昇に合わせ、適切な充填ノズル35の昇降動作をおこなうことができるので、充填液の漏洩によるボトル容器の汚損等も確実に防止することが可能となる。
なお、ボトル本体2に追従しながら実行する充填包装の作業は、充填工程の作業に限らず、また、その動作も自由に設計することができる。
以下では、容器の充填状態を検査する検査工程の作業に多関節アームロボット20を使用して外追従させる場合を第3実施形態として説明する。なお、前記第1実施形態、第2実施形態の充填包装装置1と共通する構成作用についてはその説明を省略し、同構成には同じ符号を付して説明する。
本実施形態の充填包装装置1においては、図9に示すように、前述の多関節アームロボット20のモジュールベース34に装着された1台の検査用カメラ51を有し、その撮像を分析判断して製品検査を行う制御部(不図示)を有する検査ユニット50を備え、該多関節アームロボット20は、搬送経路における第27間欠停止位置から第28間欠停止位置までの1サイクル(12°)の領域において、搬送される充填・キャップ済みのボトル本体2に対する充填・包装状態の検査を1つずつ同時に行うべく、フレーム13上における円弧状の搬送経路の外側方(反中心点側)に配設されている。
そして、本実施形態の充填包装装置1は、搬送手段10、多関節アームロボット20並びに検査ユニット50が協調動作するように、中央制御部40から指令され、それぞれの駆動・動作が制御される。
具体的には、中央制御部40は、多関節ロボット20を、搭載された検査ユニット50の検査用カメラ51の搬送方向初期位置を第27間欠停止位置とし、図9に示すように、回転テーブル12の間欠回動により第27間欠停止位置に搬送された充填・キャップ済みのボトル本体2が搬送経路における第27間欠停止位置に搬送されたところで、検査ユニット50の検査用カメラ51を容器に追従させ、次のボトル本体2が第27間欠停止位置へ搬送されるまでに初期位置である第27間欠停止位置へ戻すとともに、図10に示すように、この搬送方向の往復動作中に、搬送経路上の容器載置部分(容器底近傍)から上方および径方向へ検査用カメラ51の視点を移動させ、撮像しながら、水平軸周りに約90度の略円孤状の軌跡上で大きく回動させる制御をする。すなわち、検査工程を回転テーブル12の1回(1サイクル)の間欠回動の間に実行するように制御する。
そして、中央制御部40は、多関節アームロボット20の第1の軸群G1に対し、回転テーブル12の間欠回転の動きに追従するための位置情報に関する指令を出して搬送経路上を移動するボトル本体2に追従させ、それとともに、第2の軸群G2に対し、検査用カメラ51をボトル本体2の周囲を移動させる指令を出す。
具体的には、本実施形態においては、作業部指令生成部として、第1実施形態におけるノズル部指令生成部423に代えてカメラ部指令生成部(423)を有しており、カメラ部指令生成部(423)は、搬送部指令生成部422が生成した搬送手段10の搬送部サーボモータ11の回転角度Θから、搬送されるボトル本体2の載置原点に対応する位置で前記作業部を搬送経路に沿って移動させるべく前記第1の軸群G1を駆動させるための位置情報を含む駆動指令を生成する容器原点指令部4231と、前記ボトル本体2の載置原点からX,Y,Z,A,B,C軸方向にオフセットさせた位置で前記作業部を移動させるべく前記第1の軸群G1および前記第2の軸群G2を駆動させるための予め設定した位置情報(データ)を保有する容器座標合成指令部4232を備え、容器原点指令部4231における駆動指令と、容器座標合成指令部4232のデータを装置座標に変換した駆動指令を合成して前記作業部指令とするように構成されている。
これにより、円孤状の搬送経路の外側方に配置された多関節アームロボット20は、回転テーブル12の1回(1サイクル)の間欠回動の間に、駆動開始位置から、腕全体に相当する部分を鉛直軸周りに回転させる軸(J1)により腕全体を回動させつつ、下腕に相当する部分を前後に動かす軸(J2)、上腕に相当する部分を上下に動かす軸(J3)、手首に相当する部分を上下に動かす軸(J5)、並びに、手首に相当する部分を回転させる軸(J6)を駆動させ、検査用カメラ51の位置やベースの向きを変化させて、検査用カメラ51を搬送経路上を移動するボトル本体2を追い越すように移動させつつ、下腕に相当する部分を前後に動かす軸(J2)、上腕に相当する部分を上下に動かす軸(J3)、手首に相当する部分を上下に動かす軸(J5)、並びに、手首に相当する部分を回転させる軸(J6)を駆動させて仰角約90度の略円孤状の軌跡上で大きく回動させ、最終的には前記駆動開始位置へ戻ることが可能となる。
検査用カメラ51は多関節アームロボットの1サイクルの移動中に充填済みのボトル本体を撮像する。そして、検査ユニット50の制御部は検査用カメラ51の撮像に基づき、該ボトル本体2の充填・包装に異常が無いかどうかを判断する。また、検査ユニット50のドライブユニットは、中央制御部40と接続されているものとし、その詳細な説明は省略する。また、本実施形態においても、モーション制御部と前記ロボット制御部との通信に要する遅延時間分を考慮して前記搬送手段の駆動を制御する。これにより、前記多関節アームロボットの前記作業部の前記搬送経路に沿った移動と搬送手段のサーボモータの駆動を同期させることが可能となる。
このように、本実施形態においては、第1の軸群G1の制御と、第2の軸群G2の制御を分離し、第1の軸群G1は搬送装置の間欠駆動と同期させる制御を行うことで検査用カメラ51のボトル本体2に対する正確な追従を行い、第2の軸群G2は独立させて、検査ユニット50の検査用カメラ51の視点をボトル本体2の周囲に移動させて得た画像から、ボトル本体2の状態、充填量、キャップ4の状態等を検査することができる。
その場合において、前述したように、作業部指令生成部としてのノズル部指令生成部423が、図6に示すように、搬送部指令生成部422が生成した搬送手段10の搬送部サーボモータ11の回転角度Θから、搬送されるボトル本体2の載置原点に対応する位置で前記作業部を搬送経路に沿って移動させるべく前記第1の軸群G1を駆動させるための位置情報を含む駆動指令を生成する容器原点指令部4231と、前記ボトル本体2の載置原点からX,Y,Z,A,B,C軸方向にオフセットさせた位置で前記作業部を移動させるべく前記第1の軸群G1および前記第2の軸群G2を駆動させるための予め設定した位置情報(データ)を保有する容器座標合成指令部4232を備え、容器原点指令部4231における駆動指令と、容器座標合成指令部4232のデータを装置座標に変換した駆動指令を合成して前記作業部指令とするように構成されている本実施形態においては、容器座標合成指令部4232に、予め、搬送されるボトル本体2に対する検査用カメラ51の高さZや姿勢A,B等に関する必要な位置情報を入力設定しておき、ボトル本体2の載置原点を基準とするX,Y,Z,A,B,C軸方向に任意に検査用カメラ51を移動させるように制御することも可能となる。
すなわち、容器原点指令部4231におけるボトル本体2の間欠搬送と同期させるための前記ボトル本体2の載置原点の位置情報を含む第1の軸群G1の駆動指令と、容器座標合成指令部4232における第2の軸群G2の前記ボトル本体2の載置原点からX,Y,Z,A,B,C軸方向にオフセットさせた位置情報を含む第1の軸群G1および第2の軸群G2の駆動指令を合成することで、例えば、検査用カメラ51を搬送されるボトル本体2と同じ速度で移動させるばかりでなく、搬送されるボトル容器2の上流側左下部から容器の上方を通り越して下流側右下部へ連続的に移動させることも可能となる。
これにより、すなわち、本実施形態における「追従」は、前記ボトル本体2の載置原点、すなわち、搬送されるボトル容器2の位置を基準としてX,Y,Z,A,B,C軸方向にオフセットさせた位置を移動することを意味するものとなる。
このように、本実施形態の充填包装装置1においては、1台の検査用カメラ51のみを用いて、複数の視点から検査することが可能であり、制御上、前記第1の軸群G1と第2の軸群G2を分離したことで、そのような多関節アームロボットの追従のための動作に要する軸以外の軸を用いた動作を、多関節アームロボットの追従のための駆動に制約されることなく設計(プログラム)することができる。また、このような追従動作以外の動作をさせる場合にも、追従動作に影響が及ばないので、多関節アームロボットのスムーズな動作を実行できる。
なお、本発明は、前述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の特徴を損なわない限度において種々変更することができる。例えば、容器はボトルに限るものではなく、スタンディングパウチなどであってもよい。また、容器の搬送経路は本実施形態に記載のような円孤状にかぎらず、例えば、直線状の搬送経路であってもよい。その搬送手段も本実施形態に記載の構成に限るものではない。また、容器の搬送も、前述の実施の形態においては間欠搬送としたが、連続搬送であってもよい。