JP6266472B2 - 削孔方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、前記壁面に複数の孔を形成する工事において、特許文献1と同様のレールユニットを前記壁面に設けて、特許文献1と同様に削孔機の位置決めを行う場合には、削孔機を用いて孔を形成する度に、定規部材の移動やアーム部材の突出・格納状態の切り替えを行う必要がある。それゆえ、前記壁面に複数の孔を形成する工事において、削孔機の位置決めに手間がかかり、これが作業効率の低下を招いていた。
図1及び図2は、本発明の一実施形態における測量定規及び基準架台の右側面図及び正面図である。図3及び図4は削孔用テンプレートの正面図及び右側面図である。図5は図3のA−A断面図である。図6及び図7は据付用テンプレートの正面図及び右側面図である。図8は図6のB−B断面図である。
尚、本実施形態では、既設のダム堤体の貯水池側の壁面に複数のアンカーボルト設置用の孔を形成する工事を例にとって、本発明に係る削孔方法を説明するが、本発明に係る削孔方法の適用例はこれに限らない。
図2に示すように、壁面3aには複数(図では2本)の測量定規4,4が互いに左右方向に間隔を空けて設置されている。測量定規4は、ダム堤体1の天端部近傍から壁面3aに沿って下方に延在する直方体状である。測量定規4は鋼製トラス構造である。また、測量定規4は、直線構造の精密部材である。
上側の基準架台5は、上フランジ、下フランジ、及びウェブからなる複数のH形鋼により構成されている。これらH形鋼を左右方向に直線状に連結させることで、左右方向に延在する基準架台5が形成されている。基準架台5は複数のブラケット5aを介して壁面3に取り付けられている。この基準架台5の壁面3への設置時には、測量定規4,4を用いて基準架台5の測量が行われるので、基準架台5は所望の位置に精度良く設置され得る。
また、基準架台6については、上フランジ、下フランジ及びウェブにより区画される空間内に複数の補強板を配置して上フランジ、下フランジ及びウェブに溶接固定することにより、基準架台6の剛性を高めている。
尚、本実施形態では、アンカー施工の基準面である施工基面が予め設定されており、この施工基面と平行になるように、基準架台5,6が壁面3に取り付けられる。
柱部材34,35の各々の上端部には、上方に突出する爪部34a,35aが設けられている。柱部材34,35の各々の下端部には、下方に突出する爪部34b,35bが設けられている。削孔用テンプレート30が基準架台6に上載されるときには、柱部材34,35の下端部が基準架台6の上面に当接する。それゆえ、柱部材34,35の各々の下端部には、前述のような切削加工が行われ得る。
柱部材34,35には、それぞれ、複数のブラケット34c,35cが設けられている。これらブラケット34c,35cは、ケミカルアンカーなどのアンカー38を用いて、壁面3に取り付けられる。ここで、アンカー38は、水中における削孔用テンプレート30の浮き上がりを抑制する役割がある。
この例において、箱状部材32には、その上半分の領域に、12個の貫通孔31が正面視でマトリクス状(図では左右3個×上下4個)に形成されている。また、箱状部材32には、その下半分の領域に、20個の貫通孔31が正面視でマトリクス状(図では左右4個×上下5個)に形成されている。
尚、箱状部材32に形成される複数の貫通孔31の配列パターンはこれに限らない。
ここで、削孔用テンプレート30が、本発明の「テンプレート部材」に対応して、壁面3における複数の孔形成予定位置を規定する複数の貫通孔31を備えている。
レール部材39は例えばH形鋼により形成されており、左右方向に延在している。レール部材39の左右両端部は、それぞれ、柱部材34,35の上流側端面に固定されている。
削孔機40は、削孔対象物である壁面3を削孔する削孔具41と、削孔具41の回転駆動源となるモータなどを備える削孔機本体42と、レール部材39に対して摺動可能にレール部材39に取り付けられる左右方向移動部43と、左右方向移動部43の上流側端面から上流側に延びており、かつ、壁面3に対して垂直な方向に延びているレール部材44と、削孔機本体42の下部に取り付けられ、かつ、レール部材44に対して摺動可能にレール部材44に取り付けられて、削孔機本体42を壁面3に対して垂直な方向に移動可能な本体移動部45と、を含んで構成される。左右方向移動部43にはストッパー機構(図示せず)が設けられており、このストッパー機構により、左右方向移動部43のレール部材39に対する摺動を制限することができる。
尚、削孔機本体42に設けられたモータなどが油圧を動力とする場合には、当該油圧を供給するための油圧パワーユニットが陸上に配置され得る。
このようにして、複数の削孔機40は、削孔用テンプレート30(テンプレート部材)に対して移動可能に削孔用テンプレート30(テンプレート部材)に設置されている。
柱部材52,53は各々がH形鋼により形成されている。柱部材52,53の各々の上端部には、上方に突出する爪部52a,53aが設けられている。柱部材52,53の各々の下端部には、下方に突出する爪部52b,53bが設けられている。テンプレートユニット51aが基準架台6に上載されるときには、柱部材52,53の下端部が基準架台6の上面に当接する。それゆえ、柱部材52,53の各々の下端部には、前述のような切削加工が行われ得る。
柱部材52,53については、左側フランジ、右側フランジ及びウェブにより区画される空間内に複数の補強板を配置して左側フランジ、右側フランジ及びウェブに溶接固定することにより、柱部材52,53の剛性を高めている。
梁部材54,55については、各々の下流側にウェブが位置している。また、上流側の梁部材54と下流側の梁部材55とは、壁面3に対して垂直な方向で互いに離間して相対している。そして、下流側の梁部材55のウェブ面55wは、壁面3との間に隙間が空いた状態で、壁面3に相対し得る。ここで、本実施形態では、梁部材55のウェブ面55wが上下方向にそれぞれ延長されていて延長面55w’が形成されている。尚、延長面55w’は必須ではない。
下流側の梁部材55のウェブ面55w及び延長面55w’には、ウェブ面55w及び延長面55w’と壁面3との間の隙間をシールするためのシール部材70が設けられている。シール部材70は、圧縮変形可能なシート状又は板状の部材であり、例えば発泡ウレタン製のシートである。シール部材70は、ウェブ面55w及び延長面55w’と壁面3との間に介装される前の状態で、例えばウェブ面55w及び延長面55w’と壁面3との間の距離の2倍程度の厚さを有することが好ましい。
尚、本実施形態では、シール部材70が、貫通孔71を有するシート状部材又は板状部材により構成されているが、シール部材70の構成はこれに限らない。例えば、シール部材70は可撓性を有する棒状部材により形成されてもよい。この場合には、アンカーボルト60の埋設予定部分60aの梁部材55側の領域の周囲を囲むように折り曲げられた棒状部材(シール部材70)が梁部材55のウェブ面55w及び/又は延長面55w’に取り付けられ得る。
テンプレートユニット51aは、その右側にて、複数(図では4個)の連結部材51tを介して、テンプレートユニット51bの左側と連結している。テンプレートユニット51bは、その右側にて、複数(図では4個)の連結部材51tを介して、テンプレートユニット51cの左側と連結している。テンプレートユニット51cは、その右側にて、複数(図では4個)の連結部材51tを介して、テンプレートユニット51dの左側と連結している。尚、テンプレートユニット同士を連結する連結部材51tの個数については、前述の4個に限らない。また、連結部材51tは、ボルトなどの締結手段により、各テンプレートユニットに着脱可能に固定される。また、連結部材51tのうち各テンプレートユニットに当接する部分には、前述のような切削加工が行われ得る。また、各テンプレートユニットのうち連結部材51tに当接する部分には、前述のような切削加工が行われ得る。
図9はアンカーボルト60の据付工程を示す。詳しくは、図9(A)は削孔機40を用いて壁面3に形成された孔61を示す。また、図9(B)は、据付用テンプレート50を基準架台5,6に設置したときのアンカーボルト60の支持状態を示す。また、図9(C)は、アンカーボルト60が壁面3に固定された状態を示す。尚、本実施形態において、据付用テンプレート50には128本(上半分の領域に48本、下半分の領域に80本)のアンカーボルト60が仮固定できる。
次に、削孔用テンプレート30の複数の貫通孔31によって規定された壁面3の複数の孔形成予定位置を、複数の削孔機40を用いて削孔することにより、壁面3に複数の孔61を形成する(図9(A)参照)。この孔61は、アンカーボルト60の設置用の孔である。これら複数の孔61を壁面3に形成する工程が本発明の「第3の工程」に対応する。
次に、削孔用テンプレート30を基準架台5,6及び壁面3から脱離して、前述のクレーンなどを用いて陸上まで移動させるか、又は、別の設置予定位置まで移動させる。
次に、テンプレートユニット51aの右側に複数の連結部材51tを着脱可能に連結する。
次に、テンプレートユニット51bをテンプレートユニット51aと同様に基準架台5,6に設置する。ここにおいて、テンプレートユニット51aの右側に連結された複数の連結部材51tにテンプレートユニット51bの左側を当接させて相互に着脱可能に連結することで、テンプレートユニット51bの位置決めが行われる。
次に、テンプレートユニット51bの右側に複数の連結部材51tを着脱可能に連結する。
このようにして、基準架台5,6に、据付用テンプレート50が設置される。
以上のようにして、ダム堤体1の貯水池2側の壁面3(壁面3aの水中部分)に複数のアンカーボルト60が設置される。
基準架台5,6の長手方向の長さ(左右方向の長さ)は、削孔用テンプレート30の幅(左右方向の長さ)よりも大きい。また、基準架台5,6の長手方向の長さ(左右方向の長さ)は、据付用テンプレート50の幅(左右方向の長さ)よりも大きい。
また、本実施形態によれば、前記第1の工程では、複数の削孔機40を削孔用テンプレート30に設置することにより、複数の削孔機40を用いて、壁面3への削孔作業を並行して行うことができる。
また、本実施形態によれば、前記第1の工程では、陸上にて、削孔機40を削孔用テンプレート30に設置するので、削孔機40の設置作業を水中で行う必要がなく、ひいては、水中の作業員(ダイバー)の作業負荷を軽減することができる。
また、本実施形態によれば、削孔用テンプレート30が設置される構造物はダム堤体1であるので、ダム堤体1の貯水池2側の壁面3aの水中部分(壁面3)に、多数の孔61を効率良く、かつ、精度良く形成することができる。
また、本実施形態では、図9(C)に示すように、充填材注入管68の一部を孔61内に埋設しているが、空間75内への充填材の注入時に充填材注入管68を孔61内から引き抜きながら、充填材を空間75内に注入する場合には、充填材注入管68の一部を孔61内に埋設しなくてもよい。
2 貯水池
3,3a 壁面
4 測量定規
5,6 基準架台
5a,6a ブラケット
30 削孔用テンプレート
31 貫通孔
31a 管状部材
32 箱状部材
33 枠体
34,35 柱部材
36,37 梁部材
34a,34b,35a,35b 爪部
34c,35c ブラケット
38 アンカー
39 レール部材
40 削孔機
41 削孔具
42 削孔機本体
43 左右方向移動部
44 レール部材
45 本体移動部
50 据付用テンプレート
51a〜51d テンプレートユニット
51t 連結部材
52,53 柱部材
52a,52b,53a,53b 爪部
52c,53c ブラケット
54,55 梁部材
54a,55a 貫通孔
55w ウェブ面
55w’ 延長面
58 アンカー
60 アンカーボルト
61 孔
62〜64 ナット
65,66 ワッシャー
67 スペーサー部材
68 充填材注入管
69 リターン管
70 シール部材
71 貫通孔
75 空間
81 第1の部分
82 第2の部分
88 アンカー基面
Claims (8)
- 削孔機を用いて、構造物における水中の壁面に複数の孔を形成する削孔方法であって、
前記壁面における複数の孔形成予定位置を規定する複数の貫通孔を備えるテンプレート部材を水中に吊り下げるに先立って、前記削孔機を前記テンプレート部材に対して移動可能に前記テンプレート部材に設置する第1の工程と、
前記削孔機が設置された前記テンプレート部材を水中に吊り下げて、前記テンプレート部材を前記壁面に近接させる第2の工程と、
前記削孔機を用いて、前記壁面における複数の孔形成予定位置を削孔することにより、前記壁面に複数の孔を形成する第3の工程と、
を含む削孔方法。 - 前記第2の工程に先立って、前記壁面に基準架台を設置する第4の工程を更に含み、
前記第2の工程では、水中に吊り下げられた前記テンプレート部材を前記基準架台に設置することにより、前記壁面に対する前記テンプレート部材の位置決めを行う、請求項1に記載の削孔方法。 - 前記基準架台の第1の部分に前記テンプレート部材を設置した状態で前記削孔機を用いて前記壁面に複数の孔を形成した後、前記テンプレート部材を前記基準架台の前記第1の部分から第2の部分まで移動させて該第2の部分に前記テンプレート部材を設置して、前記削孔機を用いて前記壁面に複数の孔を形成する、請求項2に記載の削孔方法。
- 前記テンプレート部材の前記貫通孔は、前記壁面における上下方向での前記孔形成予定位置を規定する、請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の削孔方法。
- 前記第1の工程では、複数の前記削孔機を前記テンプレート部材に設置する、請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載の削孔方法。
- 前記第1の工程では、陸上にて、前記削孔機を前記テンプレート部材に設置する、請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載の削孔方法。
- 前記第3の工程にて前記壁面に形成される孔は、アンカーボルト設置用の孔である、請求項1〜請求項6のいずれか1つに記載の削孔方法。
- 前記構造物はダム堤体である、請求項1〜請求項7のいずれか1つに記載の削孔方法。
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