以下に、本発明の実施の形態にかかる送信装置、受信装置および通信システムを図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる送信装置の構成例を示す図である。本実施の形態の送信装置20は、SCブロック伝送を行う送信装置であり、図1に示すように、データシンボル生成部1、固定データシンボル生成部2、加算調整部3、シンボル多重部4、DFT(Discrete Fourier Transform)部5、オーバサンプリング処理部6、IDFT(Inverse DFT)部7、サンプル選択部8、CP(Cyclic Prefix)付加部9および送信部10を備える。
データシンボル生成部1は、送信する情報データに基づいて、例えば、PSK(Phase Shift Keying)シンボル、QAM(Quadrature Amplitude Modulation)シンボル等のデータシンボルを生成し、生成したデータシンボルを加算調整部3へ出力する。データシンボル生成部1は、SCブロック伝送におけるブロック単位でデータシンボルを生成する。なお、データシンボル生成部1は、誤り訂正符号化が施されたデータを情報データとして用いても良い。固定データシンボル生成部2は、あらかじめ定められた固定シンボル系列を生成する。固定シンボル系列は、帯域外スペクトルを抑制するために挿入されるシンボル系列であり、ブロック間で共通の値として挿入されるシンボル系列である。固定シンボル系列の詳細については後述する。
加算調整部3は、サンプル選択部8から入力されるサンプルを用いて、固定シンボル系列のうち少なくとも一部に対して調整値を加算する加算処理を行う加算部である。なお、本実施の形態におけるサンプルの定義については後述する。加算処理は、帯域外スペクトルを抑制するために行われる処理である。加算処理および調整値の詳細については、後述するが、加算調整部3は、1つ前のブロックのCPブロックの生成処理においてサンプル選択部8から入力されたサンプルに基づいて算出された調整量を、上記の少なくとも一部のシンボルに加算する。シンボル多重部4は、1ブロック分の、データシンボルに加算処理後の固定シンボル系列を挿入して、データシンボルと固定シンボル系列とが多重された多重シンボルを生成する多重部である。シンボル多重部4が多重する際の、固定シンボル系列の配置については後述する。
DFT部5は、シンボル多重部4により多重された1ブロック分のシンボルに対してDFT処理を実施することにより、1ブロック分のシンボルを周波数領域のデータに変換する時間周波数変換部である。なお、DFT部5の替わりに、時間領域の信号を周波数領域の信号に変換する任意の構成要素を用いることができ、例えば、DFT部5の替わりにFFT(Fast Discrete Fourier Transform)を行うFFT部を用いてもよい。
オーバサンプリング処理部6は、DFT処理後のデータに対して補間処理の一種であるオーバサンプリング処理を実施する補間部である。本実施の形態では、オーバサンプリングレートはLとする。また、本実施の形態では、オーバサンプリング処理部6は、さらに、DFT処理後のデータを、所望の帯域幅へ変換する処理を実施する。本実施の形態では、オーバサンプリングレートはLとする。本実施の形態のオーバサンプリング処理とは、時間領域信号のサンプリングレートを上げる、すなわちサンプリング間隔を細かくする補間処理である。具体的には、例えば、「B.Porat,“A Course in Digital Signal Processing”,John Wiley and Sons Inc.,1997」(以下、Porat文献という)に記載されている信号補間式等を用いて、オーバサンプリング処理(サンプリングレートを上げる、すなわちサンプリング間隔を細かくする処理)を行い、入力される信号に対し、1シンボルあたりのサンプリング点がL個となるようオーバサンプリングを行う。本実施の形態では、オーバサンプリング処理は、オーバサンプリングレートをLとした場合、入力のサンプリングレートすなわちDFT部5に入力される時間領域のデータに対してIDFT部7から出力される時間領域のデータのサンプリングレートがL倍となるようオーバサンプリングを行う。なお、オーバサンプリングレートは、オーバサンプリング後のサンプリングレートが入力のサンプリングレートの何倍であるかを示す値とする。オーバサンプリング処理としては、例えばゼロ挿入等の手法を用いることができる。周波数領域のデータであるDFT処理後のデータにゼロを挿入し、ゼロ挿入後のデータに対してIDFT処理を実施することにより、DFT部5に入力される時間領域のデータが内挿される。なお、Lは整数である必要はなく、実数であればよい。また、オーバサンプリング処理部6は、所望の帯域幅へ変換する処理として、DFT処理後のデータの帯域幅をB1とし、所望の帯域幅をB2とすると、DFT処理後のデータを帯域幅B2のデータに変換する。この所望の帯域幅への変換は、B1<B2のとき、例えば、B2とB1の差に相当する0を挿入することで実現できる。オーバサンプリング処理部6は、所望の帯域幅へ変換する処理を実施した後に、上述の補間処理を実施する。
IDFT部7は、周波数領域のデータであるオーバサンプリング処理後のデータに対してIDFT処理を実施することにより、オーバサンプリング処理後のデータを複数のサンプルで構成される時間領域のデータに変換する周波数時間変換部である。なお、IDFT部7の替わりに、時間領域の信号を周波数領域の信号に変換する任意の構成要素を用いることができ、例えば、IDFT部7の替わりにIFFT(Inverse FFT)を行うIFFT部を用いてもよい。
サンプル選択部8は、IDFT処理後のサンプルすなわち時間領域のデータから選択対象の位置のサンプルを選択して、加算調整部3へ入力する選択部である。サンプル選択部8は、IDFT処理後のサンプルのうち選択対象となる位置のサンプルを選択して加算調整部3へ入力するとともに、IDFT処理後の全てのサンプルすなわち1ブロック分のサンプルをCP付加部9へ出力する。なお、選択対象となる位置のサンプルは、次のブロックの処理において加算調整部3で用いられるため、サンプル選択部8は、次のブロックの処理のタイミングにあわせて一定時間遅延させて選択対象となる位置のサンプルを加算調整部3へ入力してもよい。CP付加部9は、サンプル選択部8から出力されたサンプルに対してCPを付加してブロック信号を生成する。具体的には、CP付加部9は、ブロック内の最後のNCPL個のサンプルをコピーすなわち複製し、ブロックの先頭に配置する。NCPは、CP付加においてコピーされるシンボル数に相当する値であり、Lは上述したオーバサンプリングレートである。送信部10は、CP付加後の信号すなわちIDFT処理後のデータであるIDFT処理後のサンプルにCPを付加した信号であるブロック信号を、伝送路に対応した信号に変換して送信する。送信部10は、伝送路が無線伝送路である場合、デジタル信号をアナログ信号に変換するアナログデジタル回路、およびアナログ信号を電波として送出するアンテナ等を含み、伝送路が有線伝送路である場合、アナログデジタル回路、および有線伝送路に対応した物理層の処理等を行う回路等を含む。
なお、図1に示した送信装置20の構成要素は、全てをハードウェアにより実現することができる。データシンボル生成部1は、モデムまたはモジュレータであり、DFT部5、IDFT部7は、例えばフリップフロップ回路、シフトレジスタ等を用いた電子回路であり、送信部10は送信機である。加算調整部3、固定データシンボル生成部2、シンボル多重部4、オーバサンプリング処理部6、サンプル選択部8、CP付加部9についても、各々が電子回路として実現できる。しかしながら、図1に示した構成要素のうち、一部がソフトウェアにより構成されてもよい。図1に示した構成要素のうちソフトウェアにより実現されるものがある場合、例えば、ソフトウェアにより実現される構成要素は図2に示す制御回路200により実現される。図2に示すように制御回路200は、外部から入力されたデータを受信する受信部である入力部201と、プロセッサ202と、メモリ203と、データを外部へ送信する送信部である出力部204とを備える。入力部201は、制御回路200の外部から入力されたデータを受信してプロセッサ202に与えるインターフェース回路であり、出力部204は、プロセッサ202又はメモリ203からのデータを制御回路200の外部に送るインターフェース回路である。図1に示す構成要素のうち少なくとも一部が、図2に示す制御回路200により実現される場合、プロセッサ202がメモリ203に記憶された、送信装置20の各々の構成要素に対応するプログラムを読み出して実行することにより実現される。また、メモリ203は、プロセッサ202が実施する各処理における一時メモリとしても使用される。
次に、本実施の形態の動作について説明する。まず、本実施の形態において用いる用語および変数を次のように定義する。図3は、本実施の形態で用いる用語の定義を説明するための図である。本実施の形態では、データシンボル生成部1により生成される1ブロック分のデータシンボルの数をNDとする。また、シンボル多重部4により、データシンボルと加算調整後の固定シンボル系列とが多重された後の多重シンボルの1ブロック分のシンボル数をMとする。DFT部5には、M個のシンボルが入力され、M個の周波数領域のデータが出力される。DFT部5への入力単位すなわち入力される1点のデータをシンボルと呼ぶ。
また、オーバサンプリング処理部6が実施するオーバサンプリングのオーバサンプリング比を前述の通りLとする。オーバサンプリング処理部6から出力される1ブロック分のデータの数は、NLである。Nは、上述した所望の帯域幅B2に対応する値である。IDFT部7には、NL個の周波数領域のデータが入力され、NL個の時間領域のデータが出力される。IDFT部7の出力単位、すなわちIDFT部7から出力される1点のデータをサンプルと呼ぶ。また、IDFT部7から1回のIDFT処理で出力されるデータ全体をブロックサンプルと呼び、CP付加部9から出力されるデータ全体であるブロック信号をCPブロックと呼ぶ。したがって、図3に示すように、1ブロックサンプルは、NLサンプルで構成される。このNLサンプルは、シンボル多重部4から出力されるN個のシンボルすなわちNシンボルが内挿されたものである。また、1CPブロックは、(N+NCP)L個のサンプルすなわち(N+NCP)Lサンプルで構成される。
次に、本実施の形態の固定シンボル系列の配置について説明する。上述したように、1ブロックサンプルのうちNCPLサンプルがCP付加部9によりコピーされて先頭に配置される。従って、1つ前のブロックの最後のサンプルの次に、CP付加部9によりコピーされる部分の先頭のサンプルが送信される。ブロック間の位相および振幅の不連続を抑制することにより帯域外スペクトルを抑圧するためには、1つ前のブロックの最後のサンプルとコピーされる部分の先頭のサンプルの位相および振幅がなるべくなめらかに繋がることが望ましい。
本実施の形態では、DFT部5へ入力されるデータすなわちシンボル多重部4により多重されたシンボルのうち先頭のシンボルを第1の位置と定義し、CP付加部9によりコピーされる先頭のサンプルに対応するシンボルの位置を第2の位置と定義する。第2の位置は、DFT部5へ入力されるMシンボルのうち末尾からM−X番目のシンボルである。なお、Xは、DFT部5へ入力されるMシンボルのうちの第2の位置に対応する位置のシンボルの番号を示す。
上述したPorat文献に記載されているように、IDFT出力の循環性より、IDFT部7から出力されるブロックサンプルのうち最後のサンプルは、DFT部5に入力される最後のシンボルと先頭のシンボルとの間の内挿点となる。本実施の形態では、後述するように、第1の位置のシンボルと第2の位置のシンボルとの位相および振幅が同一となるように、固定シンボル系列を配置する。後述するように、固定シンボル系列内のある位置のシンボルが第1の位置のシンボルと第2の位置のシンボルとに配置されるように、固定シンボル系列を配置する。なお、実際には、後述するように、第1の位置に配置される固定シンボル系列は、上記の、ある位置より左側すなわちある位置より前となるシンボル系列はブロックの末尾に配置される。前述したとおり、DFT部5に入力されるデータとIDFT部7から出力されるデータとは、いずれも1ブロック分の時間領域のデータであるが、上述したようにオーバサンプリング処理により内挿が行われるため、Lが1でない場合、またはM<Nの場合はデータの点数は両者で異なる。したがって、DFT部5に入力されるデータの0シンボル目が第1の位置であり、X番目が第2の位置であるとするとき、IDFT部7から出力されるデータのうち第1の位置に対応するサンプルは0サンプル目のサンプルであるが、Lが1でない場合、またはM<Nの場合は、IDFT部7から出力されるデータのうち第2の位置に対応するサンプルはX番目ではない。以下、IDFT部7から出力されるNLサンプルの先頭の位置をA1とし、IDFT部7から出力されるNLサンプルのうち第2の位置に対応するサンプルの位置をA2とする。
図4は、本実施の形態の固定シンボル系列の配置例を示す図である。図4は、シンボル多重部4により、データシンボルと固定シンボル系列とが多重された後のシンボル系列の配置例を示している。本実施の形態において多重とは、データシンボルにあらかじめ定めた固定シンボル系列の配置位置に従って固定シンボル系列を挿入することによりデータシンボルと固定シンボル系列と配置することを意味する。なお、シンボル多重部4は、実際には、後述する加算処理後の固定シンボル系列とデータシンボルとを多重するが、図4では、固定シンボル系列の配置位置の説明をわかりやすくするために、加算処理が行われていない状態で配置した例を示している。
図4において、空白の部分はデータシンボルであり、以下の式(1)に示す2K個のシンボルで構成される固定シンボル系列f(太字)が、データシンボルの間に挿入される。
本実施の形態のシンボル多重部4は、図4に示すように、f0を第1の位置と第2の位置に配置し、f1,f2,…,fKをf0の右側にf0に隣接させて配置するように固定シンボルとデータシンボルとを多重する。また、シンボル多重部4は、f-K,f-K+1,…,f-1を第2の位置のf0の左側にf0に隣接させて配置する。また、f-K,f-K+1,…,f-1を1ブロック分のシンボルの末尾に配置する。DFT部5におけるDFTでは、図4に示すMシンボルに相当する時間を有限区間としてフーリエ変換を行うため、1ブロック分のシンボルの末尾にf-K,f-K+1,…,f-1を配置することは、第1の位置のf0の左側にf0に隣接させて配置することに相当する。すなわち、図4に示すように、本実施の形態では、同一の固定シンボル系列内のf0を第1の位置および第2の位置に配置され、かつ固定シンボル系列がf-K,f-K+1,…,f-1,f0,f1,f2,…,fKの順にそれぞれ配置されるように固定シンボル系列を配置している。以下では、f0より左側のシンボル群すなわちf-K,f-K+1,…,f-1を第1のシンボル群と呼び、f0とf0より右側のシンボル群とで構成されるシンボル群、すなわちf0,f1,f2,…,fKを第2のシンボル群と呼ぶ。
なお、上記の例では、左右対称のシンボル数となる固定シンボル系列を示したが、以下の式(2)に示すように左右非対称の固定シンボル系列を用いてもよい。この場合、第1の位置および第2の位置の位置にf0が配置されるよう固定シンボルを配置する。なお、K1とK2は、互いに異なる値である。
上記の式(2)で示す固定シンボル系列の長さはK1+K2となる。固定シンボル系列におけるシンボルの値には制約は無く、PSK、QAMシンボル等を用いてもよい。また、固定シンボル系列としてZadoff-Chu系列などを用いても良い。固定シンボル系列を構成するシンボル群は一部以上が同じシンボルであってもよい。また、fm=0(−K2≦m≦K1−1)のようにすべてゼロに設定しても良い。
上述のように固定シンボル系列を配置し、上述したオーバサンプリング処理およびIDFT処理を実施することで、1ブロック分の末尾のサンプルは、1ブロック分の末尾のシンボルと第2の位置のf0との内挿点に相当する値となり、CP付加後に、ブロックの先頭のサンプルと前のブロックの末尾のサンプルとの位相および振幅を近い値にすることができる。図5は、固定シンボル系列を図4に示した配置とした場合のブロック間のサンプル値の連続性を示す図である。図5に示すように、k+1番目のCPブロックでは、図3のA2の位置を先頭としてコピーされたサンプル群がCPブロックの先頭に配置されている。A2の先頭は第2の位置に対応するサンプルであり、位相および振幅がk番目のCPブロックの末尾のサンプルと不連続にならない。これにより、帯域外スペクトルを低減させることができる。
IDFT部7から出力されるブロックサンプルのうち最後のサンプルは、DFT部5に入力される最後のシンボルと先頭のシンボルとの間の内挿点であることから、第1の位置のシンボルと第2の位置のシンボルとの位相および振幅を同一としておくことで、CP付加部9から出力される前のブロックの最後のサンプルは、CP付加部9から出力される先頭のシンボルと前のブロックの最後のシンボルとの内挿点に相当する値となる。これにより、CPブロックの先頭のサンプルと1つ前のCPブロックの最後のサンプルとが滑らかに繋がり、帯域外スペクトルを抑制することができる。オーバサンプリング処理により内挿が行われることにより、CP付加部9によりコピーされるデータすなわちIDFT部7から出力されるデータと、DFT部5へ入力されるデータとでは、1ブロックあたりの個数が異なる。
次に、第1の位置、第2の位置、A1,A2の位置の関係を、図3に示す例を用いて説明する。データシンボル生成部1により生成されたk番目のブロックのND個のデータシンボルをgk,0,…,gk,ND-1と定義する。なお、gk,ND-1の下付き文字部分のNDはNDを示す。上述したように、データシンボルの間に固定シンボル系列が配置される。このため、シンボル多重部4は、データシンボルを、第2の位置を含んで配置される固定シンボル系列より左側に配置されるシンボル群と、第2の位置を含んで配置される固定シンボル系列より右側に配置されるシンボル群とに分割する。第2の位置を含んで配置される固定シンボル系列より右側に配置されるシンボル群の先頭のシンボルを図3に示すように、gk,Qとする。
シンボル多重部4により固定シンボル系列とデータシンボルが多重された後の、k番目のブロックのM個のシンボルd(太字)kを以下の式(3)のように定義する。なお、B(太字)Tは、任意の行列B(太字)の転置を示す。
ここで、M×MのDFT行列W(太字)Mの(m,n)成分は、以下の式(4)で表すことができる。
DFT部5が実施するDFT処理すなわちM点DFT処理は、以下の式(5)のように示すことができる。s(太字)kは、DFT処理結果を示し、s(太字)k=[sk,0,…,sk,M-1]Tとする。
Mを偶数とすると、オーバサンプリング処理部6におけるオーバサンプリング処理によりNL点までゼロ挿入された周波数領域信号s(太字)k,Zは、以下の式(6)で示すことができる。
上記式(6)に示すように、オーバサンプリング処理では、(NL−M)点のゼロが中央、すなわちsk,M/2-1とsk,M/2の間に挿入される。そして、IDFT部7によるIDFT処理は以下の式(7)で示すことができる。なお、B(太字)Hは、行列B(太字)のエルミート転置を示す。
なお、y(太字)kは、以下の式(8)で示すことができる。
W(太字)M,1はW(太字)Mの0行目からM/2−1行目までの行を抽出した行列でありW(太字)M,2はW(太字)MのM/2行目からM−1行目までを抽出した行列である。0(太字)NL-M,Mは(NL−M)×Mのゼロによって成り立つ行列である。表記の簡易化のため、以下の式(9)に示す行列A(太字)を定義する。
上述の各式を用いて、第1の位置、第2の位置、A1、A2を説明する。k番目のブロックにおいて、A1のサンプルはyk,0であり、A2のサンプルは、P=NL−NCPLとするときyk,Pである。第1の位置のシンボルはdk,0であり、第2の位置のシンボルはdk,Xとなる。ここで、Qの値について説明する。Qの値は、上述したN,NCP,Lに加え、Mに依存する。言い換えると、Qの値は、固定シンボル系列を構成するシンボル数に依存する。固定シンボル系列を構成するシンボル数を2Kとすると、ND=M−4Kである。また、Q=X−2Kである。したがって、シンボル多重部4は、データシンボルを0番目からQ−1番目までのデータシンボル群とQ番目からND−1番目までのデータシンボル群に分割し、前者のデータシンボル群の前に第2のシンボル群を配置し、前者のデータシンボル群の後に第1のシンボル群および第2のシンボル群を配置することにより、データシンボルと固定シンボル系列を多重する。さらに、シンボル多重部4は、第2のシンボル群の後に、後者のデータシンボル群を配置し、末尾に第1のシンボル群を配置する。
以上のように、CPとしてコピーされる先頭位置であるA2に対応する第2の位置を求めることができ、データシンボルへの固定シンボル系列の挿入位置を決定することができる。
例えば、N=32,M=24,L=4,NCP=8のときは、P=NL−NCPL=(N−NCP)L=24×4=96である。このとき、例えばXを16とすると、Qは、Q=16−2Kである。なお、図3よりわかるように、1つの固定シンボル系列がNCP以上となるとコピーされるシンボル数を超えてしまうため、1つの固定シンボル系列のシンボル数である2KはM−X以下である。
一般化すると、K,M,N,L,NCPの各値を、以下の式(10)に示す関係が成り立つ範囲で任意に決定することができる。
例えば、N=32,M=24,L=4,NCP=8のときは、X=nMNCPL/NL=6nとなり、Xを6の倍数、例えば6、12、18のいずれかの値に設定して良い。また、例えば、N=32,M=24,L=4,NCP=6のときは、X=4.5nとなる。この場合、X=4nまたはX=5nと設定すればよい。また、X=4.5nとしてXの値を計算し、計算したXの値を繰り上げ処理または繰り下げ処理することにより、Xの値に対応する整数値を求めてもよい。
次に、本実施の形態の全体動作と加算について説明する。図6は、本実施の形態のCPブロックの生成処理手順の一例を示すフローチャートである。データシンボル生成部1は、データシンボルを生成する(ステップS1)。固定データシンボル生成部2は、固定シンボル系列を生成する(ステップS2)。具体的には、例えば、固定データシンボル生成部2が単独電子回路として構成される場合、内部のメモリに固定シンボル系列が予め格納されており、固定データシンボル生成部2はメモリから固定シンボル系列を読み出して出力する。メモリに格納される固定シンボル系列が後から書き換え可能なように固定データシンボル生成部2が構成されてもよい。固定シンボルとしては、上述した通り任意の固定のシンボル系列を用いることができる。なお、フローチャートではステップS1,S2の順に記載しているが、ステップS1,S2は並列で実施してよい。またはステップS2,S1の順に実施されてもよい。
次に、加算調整部3は、サンプル選択部8により選択されたサンプルを用いて、加算処理対象のシンボルに対して加算処理を行う(ステップS3)。ここで、本実施の形態の加算調整部3における加算処理について式を用いて説明する。加算調整部3は、以下の式(11)で示すように、k+1番目のブロックに対応するd(太字)k+1内の加算処理対象のシンボル位置であるIG番目のシンボルに対して、後述する調整値ε(太字)k+1を加算する加算処理を実施する。なおIG番目のシンボルは1つであってもよく複数であってもよい。すなわちIGの集合の要素の数Gは1以上である。IG番目のシンボルは、後述するように、例えば第2の位置を含む第2の位置に連続するシンボルである。
なお上記の加算処理後のシンボルは平均電力が調整前と同じになるように正規化される。ここでは、k+1番目のブロックにおける加算処理について説明する。k+1番目のブロックの加算処理を実施する時点で、k番目のブロックのCPブロックは生成済みである。k番目のブロックのCPブロックの生成過程で得られるIDFT部7からの出力データをy(太字)(ハット)kとする。y(太字)(ハット)kは、k番目のブロックのCPブロックの生成過程で加算処理実施済みのデータである。
図7は、本実施の形態の加算処理において考慮するサンプル位置の一例を示す図である。本実施の形態では、上述したように、ブロック間で同一の固定シンボル系列を用いて、k+1番目のブロックのA2周辺のサンプルとk番目のブロックのA1のサンプルとが等しくなるようにする。これにより、フーリエ変換の循環性を用いて、k+1番目のブロックのA2周辺のサンプルとk番目のブロックのA1の巡回した周辺のサンプルとが等しくなるようにする。加算調整部3は、P1およびP2を1以上の整数とするとき、以下の式(12)で示すk+1番目のブロックのA2周辺のP1+P2サンプルと、以下の式(13)で示すk番目のブロックのA1周辺のP1+P2サンプルとが等しくなるように、k+1番目のブロック内のIG番目の位置のシンボルに加算する調整量を決定する。本実施の形態では、図7に示すように、A1周辺のP1+P2サンプルを適宜第1のサンプル群と呼び、A2周辺のP1+P2サンプルを適宜第2のサンプル群と呼ぶ。なお、式(13)に示すk番目のブロックのA1周辺のサンプルでは、有限区間のフーリエ変換の性質により巡回させることによりA1に連続する位置となる、k番目のブロックの末尾のP2個のサンプルも含む。
具体的には、k番目のCPブロックの処理過程で、サンプル選択部8は入力された信号のうち、A1を中心とした式(13)に示すP1+P2サンプルを抽出し、加算調整部3に出力する。
ここで、IOをA2の周辺のP1+P2サンプルに対応するシンボル位置IO={NL−NCPL−P2,NL−NCPL−P2+1,…,NL−NCPL−P1−1}とする。加算調整部3は、式(9)で定義した行列A(太字)において、IOに該当する行および、IGに該当する列を抽出した行列をA(太字)'とする。A(太字)'のサイズは(P1+P2)×Gとなる。ブロック境界における誤差η(太字)k+1は、以下の式(14)で表すことができる。
G>P1+P2とすると、上記の誤差を補正するための調整値ε(太字)k+1は、以下の式(15)で表すことができる。
G≦P1+P2とすると、上記の誤差を補正するための調整値ε(太字)k+1は、以下の式(16)で表すことができる。
なお、y(太字)k+1,S1を計算するために、行列A(太字)からIOに該当する行を抽出した(P1+P2)×N行列をA(太字)SUBとすると、y(太字)k+1,S1は、以下の式(17)により算出することができる。
加算調整部3は、y(太字)k+1,S1に対応する固定シンボル系列に対して、サンプル選択部8から入力されるサンプルとk+1番目のブロックのA2の周辺のP1+P2シンボルとを用いて式(14)によりη(太字)k+1を求め、η(太字)k+1と行列A(太字)’とを用いて、ε(太字)k+1を求め、加算処理対象のシンボルにε(太字)k+1を加算する。そして、加算処理後の固定シンボル系列をシンボル多重部4に出力する。なお、ここでは、加算処理対象のシンボルが固定シンボル系列内として説明したが、加算処理対象のシンボルは固定シンボル系列以外であってもよい。
IGの位置のシンボルは任意に選ぶことができるが、A2周辺のサンプルへの影響が大きいシンボルとすることが望ましく、また固定シンボル系列内のシンボルに調整を加えるのが望ましい。固定シンボル系列はデータシンボルのように情報データではないため、受信側において、固定シンボル系列を無視して復調を行うことができるため、固定シンボル系列に加算処理が施されていても、復調特性には影響しない。以上のことから、IGの位置のシンボルは、第2の位置周辺のシンボルであることが望ましい。
IGの位置のシンボルは、第2の位置を含む固定シンボル系列全体でも良く、固定シンボルが挿入された位置の一部でも良い。第2の位置周辺のシンボルを選ぶことで、加算される変化量が減り、加算後と加算前のシンボルの変化が少なくなる。また、第2および第1の位置周辺のシンボルを選んでも良い。一般的には、加算処理対象となるシンボル数が増えることで、調整量すなわち加算量が減る。IGの位置のシンボルの数は、ブロックごとに変更してもよい。すなわち適応的に加算処理を実施することができる。例えば、η(太字)k+1が閾値以上である場合には、加算処理対象となるシンボル数をG1とし、η(太字)k+1が閾値未満である場合には、加算処理対象となるシンボル数をG1(G2<G1)とする等の処理を行うことができる。
図6の説明に戻り、加算処理の後、シンボル多重部4は、加算処理後の固定シンボル系列およびデータシンボルを、多重する(ステップS4)。具体的には、上述したように、データシンボルを0番目からQ−1番目までのデータシンボル群とQ番目からND−1番目までのデータシンボル群に分割し、前者のデータシンボル群の前に第2のシンボル群を配置し、前者のデータシンボル群の後に第1のシンボル群および第2のシンボル群を配置することにより、データシンボルと固定シンボル系列を多重する。Qの値は、予め上述した手順で計算されてシンボル多重部4に設定されている。外部からの指示により、Qの値を変更可能なようにシンボル多重部4を構成してもよい。次に、DFT部5は、多重後のデータに対してDFT処理を実施する(ステップS5)。次に、オーバサンプリング処理部6は、オーバサンプリング処理を実施し(ステップS6)、処理後のデータをIDFT部7へ入力する。IDFT部7は、入力されたデータに対してIDFT処理を実施し(ステップS7)、サンプル選択部8へ処理結果であるNL個のサンプルを入力する。サンプル選択部8は、入力されたサンプルのうちA1を中心としたP1+P2個のサンプルを選択し(ステップS8)、加算調整部3へ入力する。なお、A1を中心としたP1+P2個のサンプルは第1のサンプル群である。選択されたサンプルは、次のブロックの処理のステップS3で用いられる。次に、CP付加部9は、CPを付加する(ステップS9)。以上の処理によりCPブロックが生成される。
ここで、N=32,M=24,L=4,NCP=8とした例を用いて、本実施の形態の加算処理の一例を説明する。図8は、加算処理対象のシンボルの一例を示す図である。図8では、N=32,M=24,L=4,NCP=8とし、K=2,P1=1,P2=1とした例を示している。図8は、シンボル多重後の配置における加算処理対象のシンボルの位置を示したものである。図8では、加算処理の前の固定シンボル系列のシンボル多重後の配置位置を仮想的に示している。jは、データシンボルと固定シンボル系列とが多重された後のN個のシンボルにおけるシンボルの番号を示す。この場合、I0={NL−NCPL−1,NL−NCPL}={95,96}となり、第2の位置の周辺のシンボルを加算処理対象のシンボルとして選択するとし、上記式(1)に示した固定シンボル系列を用いた場合に、G=4、X=18とすると、IG={16,17,18,19}となる。加算処理前の固定シンボル系列が仮想的にデータシンボルと多重された場合の、d(太字)dk+1,IGは、以下の式(18)となる。
そして、実際には、d(太字)k+1,IGは、加算調整部3により加算処理が施されてDFT部5に入力される。加算処理後のd(太字)dk+1,IGをd(太字)(ハット)k+1,IGとするとき、d(太字)(ハット)k+1,IGを、以下の式(19)で定義する。
このとき、d(太字)(ハット)k+1,IGは、以下の式(20)で表すことができる。図9は、シンボル多重後の配置における加算処理後のシンボルの位置を示した図である。図9に示すように、第2の位置の周辺の4つに加算処理が施される。
なお、上記の式(11)、(20)において、ε(太字)k+1を加算する際、ε(太字)k+1の替わりに、正規化用の計数c1を乗じたc1ε(太字)k+1を用いることにより、正規化して加算処理を行ってもよい。
以上のように、本実施の形態では、固定シンボル系列を第1の位置と第2の位置を中心として配置し、前のブロックのA1周辺のP1+P2サンプルと、現在の処理対象のブロックのA2周辺のP1+P2サンプルが等しくなるように、ブロック内の1つ以上のシンボルに調整量を加算するようにした。このため、前のブロックのサンプルと位相および振幅を連続させることができ、帯域外スペクトルを抑圧することができる。また、加算調整を行う必要が無い場合、調整量を算出する必要は無い。
実施の形態2.
図10は、本発明の実施の形態2にかかる送信装置の構成例を示す図である。本実施の形態の送信装置20aは、実施の形態1の送信装置20の加算調整部3の替わりにIDFT部7の後段に配置される加算調整部3aを備える以外は、実施の形態1の送信装置20と同様である。実施の形態1と同様の機能を有する構成要素は、実施の形態1と同一の符号を付して重複する説明を省略する。加算調整部3aは、IDFT部7から出力されるサンプルのうちの固定シンボル系列に対応するサンプルのうち少なくとも一部のサンプルに加算処理を行う加算部である。
本実施の形態では、シンボル多重部4は、データシンボルおよび加算処理が施されていない固定シンボル系列を多重して、DFT部5へ入力する。DFT部は、入力された多重後のシンボルに対してDFT処理を実施する。データシンボルおよび固定シンボル系列の配置は実施の形態1と同様である。そして、実施の形態1と同等に、加算調整部3aは、以下の式(21)に示すk+1番目のブロックのA2周辺のP1+P2サンプルy(太字)k+1,S1と以下の式(22)に示すk番目のブロックの巡回させたA1の周辺のサンプルy(太字)(ハット)k,S0とが等しくなるように、IDFT部7から出力されるk+1番目のブロックのサンプルのうち、実施の形態1で述べたIGの位置のシンボルに対応するサンプルであるIG’の位置のサンプルに対して加算処理を実施する。
この場合、y(太字)k+1,S1はIDFT部7の出力である。実施の形態1と同様、以下の式(23)に示す、ブロック境界における誤差をη(太字)k+1とすると、G>P1+P2の場合は上記の式(15)、G≦P1+P2の場合は、上記式(16)を用いてε(太字)k+1を算出する。そして、加算処理部3aは、A(太字)SUB2を行列A(太字)におけるIG’に対応する列を抽出したNL×G’行列とすると、以下の式(24)により加算処理後の信号を算出する。
なお、y(太字)(ハット)k+1の算出後、平均電力がy(太字)k+1と等しくなるよう正規化処理を行ってもよい。また、上記の式(24)において、ε(太字)k+1の替わりに、正規化用の計数c2を乗じたc2ε(太字)k+1を用いることにより、正規化して加算処理を行ってもよい。
以上述べた以外の本実施の形態の動作は、実施の形態1と同様である。図11は、本実施の形態のCPブロック生成処理手順の一例を示すフローチャートである。図11のステップS1,S2は実施の形態1のステップS1,S2と同様である。ステップS2の後、ステップS4を実施する。ただし、ステップS4では、シンボル多重部4は、加算処理前の固定シンボル系列とデータシンボルとを多重する。ステップS5〜S7は、実施の形態1のステップS5〜S7と同様である。ステップS7の後、加算調整部3aは、前のブロックの処理においてサンプル選択部8により選択されたサンプルを用いて、加算処理対象のサンプルに対して加算処理を行う(ステップS3a)。ステップS3aの後のステップS8,S9は、実施の形態1のステップS8,S9と同様である。
以上のように、本実施の形態では、固定シンボル系列を第1の位置と第2の位置を中心として配置し、前のブロックのA1周辺のP1+P2サンプルと、現在の処理対象のブロックのA2周辺のP1+P2サンプルが等しくなるように、IDFT処理後のブロック内の1つ以上のサンプルに調整量を加算するようにした。このため、実施の形態1と同様に、前のブロックのサンプルと位相および振幅を連続させることができ、帯域外スペクトルを抑圧することができる。
実施の形態3.
図12は、本発明にかかる実施の形態3の受信装置の構成例を示す図である。図13は、本実施の形態にかかる通信システムの構成例を示す図である。図12に示す受信装置30は、実施の形態1の送信装置20から信号を受信する受信装置である。本実施の形態の通信システム50は、図13に示すように送信装置20と受信装置30とを備える。図13では、送信装置20が、無線通信によりブロック信号を送信する例を示しているが、これに限らず送信装置20は有線通信によりブロック信号を送信してもよい。なお、送信装置20に替えて送信装置20aを用いてもよい。
図12に示すように、受信装置30は、受信部31、CP除去部32、DFT部33、アンダーサンプリング処理部34、FDE(Frequency Domain Equalizer)35、IDFT部36、固定シンボル除去部37、復調および復号部38を備える。
本実施の形態の受信装置30では、まず、受信部31が、信号を受信し、CP除去部32が、受信した信号からCPを除去する。次に、時間周波数変換部であるDFT部33が、CP除去後の信号に対してDFT処理を実施することにより、時間領域の受信信号を周波数領域の信号に変換する。アンダーサンプリング処理部34は、DFT処理後の信号に対してアンダーサンプリング処理を実施する。アンダーサンプリング処理は、送信装置20でオーバサンプリング処理としてゼロ挿入がなされている場合には、送信装置20においてゼロが挿入された部分を削除する処理である。
次に、FDE35は、アンダーサンプリング処理後の周波数領域の受信信号を用いて、周波数領域において等化処理を実施する。すなわち、FDE35は、アンダーサンプリング処理後の周波数領域の信号に対して等化処理を行う等化処理部である。なお、周波数領域の等化処理は周波数領域における歪補正用に用いられる処理であり、最小平均二乗誤差(MMSE)規範のFDE等どのような方法を用いてもよいが、例えば、非特許文献1に記載されている手法を用いることができる。FDEでは、周波数領域における歪補正の過程で、チャネル応答を求めている。
IDFT部36は、FDE後の周波数領域の信号に対してIDFT処理を実施することにより、周波数領域の信号を時間領域の信号に変換する周波数時間変換部である。固定シンボル除去部37は、IDFT処理後の時間領域の信号に対して固定シンボル系列の除去処理を実施する除去部である。なお、固定シンボル除去部37は、送信装置20において固定シンボル系列が配置された位置を記憶しているとする。復調および復号部38は、固定シンボル系列が除去された信号に対して復調および復号を行う。復調および復号は、送信装置20において実施された変調および符号化等の方式に対応する復調および復号であればよい。なお、送信側で符号化が行われていない場合には、復調および復号部38を復調部に替えてもよい。
なお、図12に示した受信装置30の構成要素は、全てをハードウェアにより実現することができる。受信部31は受信機であり、DFT部33、IDFT部36は、例えばフリップフロップ回路、シフトレジスタ等を用いた電子回路である。復調および復号部38は、モデムまたはデモジュレータとデコーダである。CP除去部32、FDE35、アンダーサンプリング処理部34、固定シンボル除去部37は、各々が電子回路として実現できる。しかしながら、図12に示した構成要素のうち、一部がソフトウェアにより構成されてもよい。図12に示した構成要素のうちソフトウェアにより実現されるものがある場合、例えば、ソフトウェアにより実現される構成要素は図2に示す制御回路200により実現される。図2に示すように制御回路200は、外部から入力されたデータを受信する受信部である入力部201と、プロセッサ202と、メモリ203と、データを外部へ送信する送信部である出力部204とを備える。入力部201は、制御回路200の外部から入力されたデータを受信してプロセッサ202に与えるインターフェース回路であり、出力部204は、プロセッサ202又はメモリ203からのデータを制御回路200の外部に送るインターフェース回路である。図12に示す構成要素のうち少なくとも一部が、図2に示す制御回路200により実現される場合、プロセッサ202がメモリ203に記憶された、受信装置30の各々の構成要素に対応するプログラムを読み出して実行することにより実現される。また、メモリ203は、プロセッサ202が実施する各処理における一時メモリとしても使用される。
以上のように、本実施の形態では、実施の形態1または実施の形態2の送信装置から送信された信号を受信する受信装置30の構成および動作を説明した。実施の形態1で述べたように、送信装置20が加算処理を固定シンボル系列に対して行う場合、上述した受信装置30における処理において、データシンボルの部分に加算処理の影響は無い。このため、復調および復号に影響を与えずに、帯域外スペクトルを抑圧することができる。
実施の形態4.
図14は、本発明の実施の形態4にかかる送信装置の構成例を示す図である。本実施の形態の送信装置20bは、実施の形態1の送信装置20からCP付加部9を削除し、実施の形態1の加算調整部3に替えて加算調整部3bを備える以外は、実施の形態1の送信装置20と同様である。実施の形態1と同様の機能を有する構成要素は、実施の形態1と同一の符号を付して重複する説明を省略する。
本実施の形態では、NCP=0の場合、すなわちCPを付加しない場合について説明する。図15は、本実施の形態の送信装置20bが送信する送信信号の波形の一例を示す図である。本実施の形態では、CPの付加が行われないため、1ブロックはNLサンプルで構成される。そして実施の形態1と同様、1ブロック分のシンボル数はNである。
図16は、本実施の形態の固定シンボル系列の配置例を示す図である。固定シンボルの定義は、以下の式(25)に示す。図16の例では、第2のシンボル群であるf0,f1,…,fK-1がブロックの先頭である第1の位置に配置される。すなわち、dk,0=f0,dk,1=f1,…,dk,K-1=fK-1となる。また、第1のシンボル群であるf-K,f-K+1,…,f-1がブロックの末尾に配置される。すなわち、dk,N-1=f-1「,dk,N-2=f-2,…,dk,M-K=f-Kとなる。
本実施の形態では、図17に示すように、k+1番目のブロックにおけるA1以降のP1サンプルとk番目のブロックのA1の後のP1サンプルが等しくなるようにする。また、k+1番目のブロックの末尾から前のP2サンプルとk番目のブロックのA1の前のP2サンプルが等しくなるようにする。すなわち、加算調整部3bは、1ブロック前のブロック信号の生成処理で選択された第1サンプル群と、k+1番目のブロックの先頭のサンプル以降のP1個のサンプルと、k+1番目のブロックの末尾のP2個のサンプルとで構成される第2のサンプル群とが等しくなるように、調整量を決定する。なお、実施の形態1と同様に、処理対象のブロックをk+1番目とすると、k番目のブロックの送信信号をy(太字)(ハット)kと記載する。図17は、本実施の形態の各ブロックにおけるA1とP1サンプルおよびP2サンプルの位置との一例を示す図である。
k+1番目のブロックにおけるA1以降すなわち先頭のP1サンプルとブロックの末尾のP2サンプルを、以下の式(26)に示すようにy(太字)k+1,S1とする。また、加算処理が終了しているk番目のブロックにおける先頭のP1サンプルとブロックの末尾のP2サンプルを、以下の式(27)に示すようにy(太字)(ハット)k,S0とする。
サンプル選択部8は、入力された信号サンプルのうち、上記の式(27)に対応するサンプルを選択して、加算調整部3bへ入力する。ここで、本実施の形態ではIO’={0,1,…,P1−1,NL−P2,NL−P2+1,…,N+L−1}とする。IGを本実施の形態における加算処理対象のシンボルの位置とすると、上記式(9)で定義した行列A(太字)において、IOに該当する行およびIGに該当する列を抽出した行列をA(行列)’とする。行列A(太字)’のサイズは(P1+P2)×Gとなる。
ブロック境界における誤差η(太字)k+1は、以下の式(28)で表すことができる。
G>P1+P2とすると、上記の誤差を補正するための調整値ε(太字)k+1は、以下の式(29)で表すことができる。
G≦P1+P2とすると、上記の誤差を補正するための調整値ε(太字)k+1は、以下の式(30)で表すことができる。
なお、y(太字)k+1,S1を計算するために、行列A(太字)からIOに該当する行を抽出した(P1+P2)×N行列をA(太字)SUBとすると、y(太字)k+1,S1は、以下の式(31)により算出することができる。
加算調整部3bは、y(太字)k+1,S1に配置される固定シンボル系列に対して、サンプル選択部8から入力されるサンプルとk+1番目のブロックの先頭のP1シンボルと末尾のP2シンボルとを用いて式(28)によりη(太字)k+1を求め、η(太字)k+1と行列A(太字)’とを用いて、ε(太字)k+1を求め、加算処理対象のシンボルにε(太字)k+1を加算する。そして、加算処理後の固定シンボル系列をシンボル多重部4に出力する。なお、ここでは、加算処理対象のシンボルが固定シンボル系列内として説明したが、加算処理対象のシンボルは固定シンボル系列以外であってもよい。
IGの位置のシンボルは、任意に選べるが、A1周辺のサンプルに与える影響が大きくなるシンボルの周辺のシンボルとするのが好ましく、また実施の形態1と同様に固定シンボル系列内のシンボルとすることが望ましい。固定シンボルにはデータシンボルのように情報データが無いので、IGの位置は固定シンボル系列全体でも良く、固定シンボル系列の一部でも良い。したがって、第1の位置周辺の固定シンボル系列内のシンボルを加算処理対象とすることで、加算される変化量が減り、加算後と加算前のシンボルの変化が少なくなる。実施の形態1と同様に、加算処理は、適応的に行うことができる。
ここで、N=32,M=24,L=4とした例を用いて、本実施の形態の加算処理の一例を説明する。図18は、加算処理対象のシンボルの一例を示す図である。図18では、加算処理の前の固定シンボル系列のシンボル多重後の配置位置を仮想的に示している。jは、データシンボルと固定シンボル系列とが多重された後のN個のシンボルにおけるシンボルの番号を示す。図18は、ここではG=4,P1=1,P2=1とすると、IO={0,NL−1}={0,127}となり、加算処理の対象とするシンボルの位置は、IG={0,1,26,27}とすることができる。上記式(1)で示した固定シンボル系列を用いた場合、K=2とすると、第1の位置の周辺の全ての固定シンボル系列が加算処理の対象となる。加算処理前の固定シンボル系列が仮想的にデータシンボルと多重された場合の、d(太字)dk+1,IGは、以下の式(32)となる。
そして、実際には、d(太字)k+1,IGは、加算調整部3bにより加算処理が施されてDFT部5に入力される。加算処理後のd(太字)dk+1,IGをd(太字)(ハット)k+1,IGとするとき、d(太字)(ハット)k+1,IGを、以下の式(33)で定義する。
このとき、d(太字)(ハット)k+1,IGは、以下の式(34)で表すことができる。図19は、シンボル多重後の配置における加算処理後のシンボルの位置を示した図である。図19に示すように、第1の位置の周辺の4つに加算処理が施される。
なお、上記の式(34)において、ε(太字)k+1を加算する際、ε(太字)k+1の替わりに、正規化用の計数c1を乗じたc1ε(太字)k+1を用いることにより、正規化して加算処理を行ってもよい。以上述べた以外の本実施の形態の動作は実施の形態1と同様である。
以上のように、本実施の形態では、CPを付加しない場合に、固定シンボル系列を第1の位置を中心として配置し、前のブロックのA1周辺のP1+P2サンプルと、現在の処理対象のブロックのA1周辺のP1+P2サンプルが等しくなるように、ブロック内の1つ以上のシンボルに調整量を加算するようにした。このため、前のブロックのサンプルと位相および振幅を連続させることができ、帯域外スペクトルを抑圧することができる。
実施の形態5.
図20は、本発明の実施の形態5にかかる送信装置の構成例を示す図である。本実施の形態の送信装置20cは、実施の形態2の送信装置20aの加算調整部3aの替わりに加算調整部3cを備え、CP付加部9を削除する以外は、実施の形態2の送信装置20aと同様である。実施の形態2と同様の機能を有する構成要素は、実施の形態2と同一の符号を付して重複する説明を省略する。
実施の形態4では、CPを付加しない例について説明したが、本実施の形態では、CPを付加しない場合の別の構成例について説明する。本実施の形態において、k+1番目のブロックの先頭のP1サンプルと末尾のP2サンプルであるy(太字)k+1,S1は、実施の形態4と同様に上述した式(26)で示すことができる。また、加算処理が終了しているk番目のブロックにおける先頭のP1サンプルとブロックの末尾のP2サンプルであるy(太字)(ハット)k,S0は、実施の形態4と同様に上述した式(27)で示すことができる。
実施の形態4と同様に、ブロック境界における誤差η(太字)k+1は、上記の式(28)で表すことができる。G>P1+P2とすると、上記の誤差を補正するための調整値ε(太字)k+1は、実施の形態4と同様に、上述した式(29)で表すことができる。また、G≦P1+P2とすると、上記の誤差を補正するための調整値ε(太字)k+1は、実施の形態4と同様に、上述した式(30)で表すことができる。
また、行列A(太字)からIG’のサンプルに該当する列を抽出したNL×G行列をA(太字)SUB2とすると、y(太字)(ハット)k+1は、以下の式(35)により算出することができる。
なお、y(太字)(ハット)k+1の算出後、平均電力がy(太字)k+1と等しくなるよう正規化処理を行ってもよい。また、上記の式(31)において、ε(太字)k+1を加算する際、ε(太字)k+1の替わりに、正規化用の計数c2を乗じたc2ε(太字)k+1を用いることにより、正規化して加算処理を行ってもよい。
加算調整部3cは、IDFT処理後のブロック内のIG’のサンプルに対して、式(35)に従って、加算処理を行う。以上述べた以外の本実施の形態の動作は、実施の形態2と同様である。
以上のように、本実施の形態では、CP付加を行わない場合に、前のブロックのA1周辺のP1+P2サンプルと、現在の処理対象のブロックのA1周辺のP1+P2サンプルが等しくなるように、IDFT処理後のブロック内の1つ以上のサンプルに調整量を加算するようにした。このため、実施の形態1と同様に、前のブロックのサンプルと位相および振幅を連続させることができ、帯域外スペクトルを抑圧することができる。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。