以下に、本発明の実施の形態にかかる誤り訂正装置、光受信器および光伝送装置を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる光伝送システムの構成例を示す図である。光伝送システムは、光伝送装置100−1および100−2と、光伝送装置間を接続する通信路200とにより構成される。光伝送装置100−1および100−2はクライアント信号を受信すると、受信したクライアント信号に対して誤り訂正符号化などを行った後、光信号に変換して通信路200へ送信する。また、光伝送装置100−1および100−2は通信路200から光信号を受信すると、受信した光信号を電気信号に変換し、誤り訂正復号などを行った後、クライアント信号として別のクライアントに送信する。詳細については後述するが、光伝送装置100−1と100−2の内部構成は同一とする。
本実施の形態および他の実施の形態では、光伝送装置100−1および100−2の動作を説明する際、光伝送装置100−1が光信号を送信し、光伝送装置100−2が光信号を受信する場合の例を説明する。
図2は、図1に示した光伝送システムを構成している光伝送装置100−1および100−2の構成例を示す図である。上述したように、本実施の形態では光伝送装置100−1が光信号を送信し、光伝送装置100−2が光信号を受信する場合の例を説明するため、図2では、送信側の光伝送装置100−1については光信号の送信で使用する構成のみを記載し、受信動作で使用する構成要素の記載を省略している。同様に、受信側の光伝送装置100−2については光信号の受信で使用する構成のみを記載し、送信動作で使用する構成要素の記載を省略している。
図2に示したように光伝送装置100−1および100−2は、光送信器1、光受信器2およびWDM(Wavelength Division Multiplex)部3により構成されている。WDM部3は、光送信器1から送信される光信号と光受信器2が受信する光信号とを波長多重する。WDM部3は、光送信器1から受け取った光信号を通信路200へ出力し、通信路200から受け取った光信号を光受信器2へ出力する。
光送信器1は、送信する信号である外部から入力されたクライアント信号をOTU(Optical-Channel Transport Unit)規格のフレームに収容してOTUフレームを生成するOTUフレーマ11、外符号誤り訂正符号化部12、内符号誤り訂正符号化部13およびE/O(Electrical/Optical)変換部14を備える。OTUフレーマ11は、送信する信号である外部から入力されたクライアント信号をOTU(Optical-Channel Transport Unit)規格のフレームに収容してOTUフレームを生成する。外符号誤り訂正符号化部12は、OTUフレーマ11からの出力信号を誤り訂正符号化する。内符号誤り訂正符号化部13は、外符号誤り訂正符号化部12からの出力信号を誤り訂正符号化する。
光受信器2は、O/E(Optical/Electrical)変換部15、フレーム同期部16、内符号復号手段である内符号誤り訂正復号化部17、外符号復号手段である外符号誤り訂正復号化部18、バッファ19、OTUデフレーマ20および演算量決定手段である演算量決定部21を備える。内符号誤り訂正復号化部17、外符号誤り訂正復号化部18および演算量決定部21は誤り訂正装置40を構成している。内符号誤り訂正復号化部17は、フレーム同期部16を介して受信した信号に含まれている誤りを訂正する。外符号誤り訂正復号化部18は、内符号誤り訂正復号化部17において誤りが訂正された後の信号である入力信号に対して誤り訂正復号を繰り返し実行し、入力信号に残留している誤りを訂正する。演算量決定部21は、符号誤り率算出手段である内符号誤り訂正モニタ部22と、外符号復号演算量決定手段である外符号誤り訂正演算量決定部23と、判定閾値保持部24とを備える。演算量決定部21は、外符号誤り訂正復号化部18による誤り訂正処理の演算量を決定する。
次に、本実施の形態にかかる光伝送システムの動作、具体的には、光伝送装置100−1が光信号を通信路200経由で光伝送装置100−2へ送信する場合の動作について、説明する。
光伝送装置100−1の光送信器1にはクライアントからクライアント信号が送信される。光送信器1において、OTUフレーマ11は、受信したクライアント信号をOTUk(Optical channel Transport Unit-k)フレームに収容する。すなわち、OTUフレーマ11は、データ等のクライアント信号に対してOTUkフレームのヘッダなどを付加することにより、クライアント信号が収容されたOTUkフレームを生成する。ここで、OTUkフレームはITU−T勧告G.709で規定されている。OTUkフレームのk(=0,1,2,3,4,…)は、ビットレートを表す識別番号である。OTUkフレームは、フレーム同期のためのFAS(Frame Alignment Signal)やMFAS(Multi-FAS)などのオーバヘッド情報を含む。
外符号誤り訂正符号化部12は、OTUフレーマ11から出力されるOTUkフレームである送信信号に対して外符号誤り訂正を行う。すなわち、外符号誤り訂正符号化部12は、送信信号を情報系列とし、この情報系列に冗長ビットを付加することにより、送信信号を符号化する。外符号誤り訂正符号化部12が行う外符号誤り訂正の符号には、符号化率を変えることなく、受信側での復号の演算繰り返し数や復号エンジン数などを変えることによって誤り訂正性能が変化する符号を用いる。受信側での復号の演算繰り返し数や復号エンジン数などを変えることによって誤り訂正性能が変化する符号であればどのような符号を使用してもよい。条件を満たす符号としては畳み込み符号、LDPC(Low Density Parity Check)符号、ターボ符号などがある。外符号誤り訂正符号化部12は、符号化された送信信号を内符号誤り訂正符号化部13へ出力する。
内符号誤り訂正符号化部13は、外符号誤り訂正符号化部12から入力された送信信号に対して内符号誤り訂正を行う。すなわち、内符号誤り訂正符号化部13は、入力された送信信号を情報系列とし、この情報系列に冗長ビットを付加することにより、送信信号を符号化する。内符号誤り訂正符号化部13が行う内符号誤り訂正の符号には、符号化率を変えることなく、受信側での復号の演算繰り返し数などを変えることによって誤り訂正性能が変化する符号を用いる。例えば、畳み込み符号、LDPC符号、ターボ符号などを用いる。演算繰り返し数などを変えることによって誤り訂正性能が変化する符号であればどのような符号を使用してもよい。内符号誤り訂正符号化部13は、符号化された送信信号をE/O変換部14へ出力する。
E/O変換部14は、誤り訂正符号化された送信信号である電気信号を光信号に変換し、WDM部3を介して通信路200へ送信する。なお、光伝送装置100−1の光送信器1は、内符号誤り訂正符号化部13とE/O変換部14との間に、伝送容量や性能を向上する多値符号化を行う回路、波形成形を行う回路などを備えるようにしてもよい。
通信路200を経由し、光伝送装置1に入力された信号は、WDM部3を介して光伝送装置100−2の光受信器2で処理される。
光伝送装置100−2の光受信器2ではまず、O/E変換部15が光信号を受信し、電気信号(受信信号)に変換する。フレーム同期部16は、受信信号のOTUkフレームのオーバヘッド情報からフレームの先頭などを検出してフレーム同期を確立する。フレーム同期部16は、例えば、OTUフレームに含まれているFASを検出することによりフレーム同期を確立する。具体的には、フレーム同期部16は、例えば、固定ビットパターンであるFASと同じビットパターンの参照用ビット列を保持しておき、これと受信信号との相関をとることにより、FASを検出する。
内符号誤り訂正復号化部17は、フレーム同期が行われた後の受信信号の内符号の誤り訂正復号化処理を実施し、復号後の受信信号を外符号誤り訂正復号化部18へ出力する。また、内符号誤り訂正復号化部17は、内符号の誤り訂正結果を演算量決定部21へ出力する。内符号の誤り訂正結果とは、誤り訂正復号化処理で訂正したビットの数(誤り訂正ビット数)である。
演算量決定部21は、内符号誤り訂正復号化部17から通知された誤り訂正結果に基づいて外符号誤り訂正復号化部18の演算量を決定する。ここで、外符号誤り訂正復号化部18の演算量とは、外符号誤り訂正復号化部18が誤り訂正復号処理を繰り返す回数である。演算量決定部21においては、内符号誤り訂正モニタ部22および外符号誤り訂正演算量決定部23が図3に示したフローチャートに従って動作することにより、外符号誤り訂正復号化部18の演算量を決定する。
演算量決定部21において、内符号誤り訂正モニタ部22は、内符号誤り訂正復号化部17から通知された誤り訂正結果である誤り訂正ビット数を用いて、受信した信号の擬似的な符号誤り率の算出を行い、外符号誤り訂正演算量決定部23へ出力する(ステップS11)。ここで、擬似的な符号誤り率は実際の符号誤り率とは異なり、誤り訂正復号処理の途中段階で推定した誤り率となる。内符号誤り訂正復号化部17による誤り訂正処理の対象ビット数、すなわち、情報系列のビット数(ここではMとする)は固定であるため、内符号誤り訂正モニタ部22は、内符号誤り訂正復号化部17から受信した誤り訂正ビット数(kとする)を誤り訂正処理の対象ビット数Mで除算することにより、受信した信号の擬似的な符号誤り率(Eとする)を算出できる。すなわち、擬似的な符号誤り率Eは「E=k/M」で表される。内符号誤り訂正モニタ部22は、内符号誤り訂正復号化部17から誤り訂正ビット数kが通知されるごとに擬似的な符号誤り率Eを計算するのではなく、誤り訂正ビット数kの通知を既定回数受けた場合に、例えば誤り訂正ビット数kの通知をN回にわたって受けた場合に擬似的な符号誤り率Eを計算するようにしてもよい。また、内符号誤り訂正モニタ部22は、符号誤り訂正復号化部17から誤り訂正ビット数kが通知されるごとに擬似的な符号誤り率Eを計算し、この計算結果の移動平均を算出して外符号誤り訂正演算量決定部23へ出力するようにしてもよい。
外符号誤り訂正演算量決定部23は、内符号誤り訂正モニタ部22から入力された、受信信号の擬似的な符号誤り率Eと判定閾値保持部24で保持されている判定閾値とを比較することにより、外符号誤り訂正復号化部18の演算量、すなわち、誤り訂正復号処理の繰り返し回数を決定する。この動作は、図3に示したステップS12〜S17に相当する。なお、図3では、擬似的な符号誤り率Eを「誤り率」、判定閾値を「閾値」と表現している。ここで、判定閾値保持部24は、外符号誤り訂正復号化部18における誤り訂正復号処理の繰り返し回数を決定するための判定閾値として、図4に例示したような複数の判定閾値を保持しているものとする。図4に示した例では、判定閾値保持部24が閾値#1〜#NのN個の判定閾値を保持している場合を示している。各判定閾値は、外符号誤り訂正復号化部18の復号演算量を変えた時の内符号誤り訂正符号と外符号誤り訂正符号を組み合わせた符号化利得から算出される。判定閾値は、ユーザーによって与えてもよいし、トレーニングを行い決定してもよい。トレーニングによって決定する方法は後述する。
外符号誤り訂正演算量決定部23は、外符号誤り訂正復号化部18の演算量を、外符号誤り訂正復号化部18の復号結果に誤りが発生しない最小の演算量に決定する。すなわち、外符号誤り訂正演算量決定部23は、外符号誤り訂正復号化部18の復号結果の符号誤り率を0とできる最低の繰り返し回数となるように、繰り返し回数を決定する。
図3の説明に戻り、外符号誤り訂正演算量決定部23は、受信した信号の擬似的な符号誤り率を内符号誤り訂正モニタ部22から受信すると、内部パラメータnを1に設定する(ステップS12)。なお、この内部パラメータnは、1〜Nの変数であり、図4に示したN個の閾値#1〜#Nに対応する。
次に、外符号誤り訂正演算量決定部23は、擬似的な符号誤り率が判定閾値#n以下か否かを確認し(ステップS13)、擬似的な符号誤り率が判定閾値#n以下の場合(ステップS13:Yes)、外符号誤り訂正復号化部18における誤り訂正復号処理の繰り返し回数をn回に決定する(ステップS14)。一方、擬似的な符号誤り率が判定閾値#n以下ではない場合(ステップS13:No)、外符号誤り訂正演算量決定部23は、n=Nか否かを確認し(ステップS15)、n=Nの場合(ステップS15:Yes)、外符号誤り訂正復号化部18における誤り訂正復号処理の繰り返し回数をN+1回に決定する(ステップS17)。n=Nではない場合(ステップS15:No)、外符号誤り訂正演算量決定部23は、nに1を加算し(ステップS16)、ステップS13に戻って次の判定閾値と擬似的な符号誤り率を比較する。以下、ステップS14またはステップS17を実行して外符号誤り訂正復号化部18における誤り訂正復号処理の繰り返し回数が決定するまで、外符号誤り訂正演算量決定部23は、ステップS13〜S16の処理を繰り返す。外符号誤り訂正演算量決定部23は、ステップS14またはS17を実行すると、決定結果、すなわち、誤り訂正復号処理の繰り返し回数を復号演算量制御信号として外符号誤り訂正復号化部18へ出力する(ステップS18)。
外符号誤り訂正復号化部18は、外符号誤り訂正演算量決定部23から受け取った復号演算制御信号に従って復号演算量、すなわち、誤り訂正復号処理の繰り返し回数を決定する。外符号誤り訂正復号化部18は、決定した復号演算量に従い、受信信号に対して誤り訂正処理を実行する。外符号誤り訂正復号化部18で復号された受信信号は、本実施の形態ではバッファ19に収容される。バッファ19は誤り訂正演算量が変更となった場合においても、後段のOTUデフレーマ20に送信される信号の遅延を一定に保つことを目的として配置した回路である。外符号誤り訂正復号化部18の演算量が変わっても遅延が一定となる構造の場合、光受信器2はバッファ19を備えなくてもよい。
OTUデフレーマ20は、バッファ19から入力される受信信号であるOTUkフレームからクライアント信号を抽出し、クライアントへ送信する。なお、光伝送装置100−2の光受信器2において、送信系と同様に伝送容量や性能を向上する多値復号化を行う回路や波形成形を行う回路、その他補償回路などがあってもよい。
以上のように、本実施の形態にかかる光伝送装置の光受信器を構成している誤り訂正装置において、演算量決定部21の内符号誤り訂正モニタ部22は、内符号誤り訂正復号化部17における誤り訂正結果に基づいて、受信信号の符号誤り率特性である擬似的な符号誤り率を算出し、外符号誤り訂正演算量決定部23は、擬似的な符号誤り率に応じて後段の外符号誤り訂正復号化部18の訂正演算量を変更するようにしているため、劣化の少ない運用開始時やロスの少ない伝送路に設置した光伝送装置の低消費電力化を実現できる。また、従来の復号後の信号をモニタするフィードバック系でなく、遅延一定制御を行っているため、OTUkフレームの連続信号に対し、切断や誤りを発生させることなくヒットレスでの低消費電力化を実現できる。このように、本実施の形態にかかる光伝送装置によれば、通信路の状態に応じて演算量を切り替えながら誤り訂正復号を行うので、消費電力が必要以上に増加するのを回避しつつ要求される通信品質を確保することができる。
実施の形態2.
上述した実施の形態1では、内符号誤り訂正復号化部17の訂正結果を用いて後段の外符号誤り訂正復号化部18の訂正復号演算量を決定したものであるが、次に、誤り訂正演算量を内符号誤り訂正復号化部17内で可変とする実施の形態2を示す。
図5は、実施の形態2にかかる光伝送システムを構成している光伝送装置100a−1および100a−2の構成例を示す図である。光伝送装置100a−1および100a−2は、図2に示した実施の形態1の光伝送装置100−1および100−2の光受信器2を光受信器2aに置き換えた構成となっている。光受信器2aは、実施の形態1の光受信器2の内符号誤り訂正復号化部17および外符号誤り訂正復号化部18を光受信器2の内符号誤り訂正復号化部17aおよび外符号誤り訂正復号化部18aに置き換え、さらに、演算量決定部21を削除するとともに判定閾値保持部25を追加した構成となっている。内符号誤り訂正復号化部17a、外符号誤り訂正復号化部18aおよび判定閾値保持部25は誤り訂正装置40aを構成している。本実施の形態では、実施の形態1と異なる部分を説明する。
図6は内符号誤り訂正復号化部17aの構成例を示す図である。本実施の形態における内符号誤り訂正符号は訂正演算処理を繰り返すことにより、訂正性能が可変となる符号を使用する。訂正演算処理を繰り返すことにより、訂正性能が可変となる符号であればどのような符号を使用してもよい。そのため、図6に示したように、内符号誤り訂正復号化部17aは、複数の誤り訂正演算回路1711〜171mと、複数の訂正結果モニタ回路1721〜172mとを備えている。誤り訂正演算回路1711〜171mは直列に接続されており、それぞれ同じ処理を行う。複数の訂正結果モニタ回路1721〜172mも同じ処理を行う。誤り訂正演算回路1711〜171mは、訂正結果判定回路172A、訂正未完符号数カウンタ172Bおよび判定回路172Cを備える。訂正結果モニタ回路1721〜172mは、訂正結果判定回路172A、訂正未完符号数カウンタ172Bおよび判定回路172Cを備える。複数の誤り訂正演算回路1711〜171mは本実施の形態の内符号復号手段を構成し、複数の訂正結果モニタ回路1721〜172mは本実施の形態の演算量決定手段を構成する。
内符号誤り訂正復号化部17aにおいては、フレーム同期部16から入力された受信信号を誤り訂正演算回路1711が受け取る。誤り訂正演算回路1711において、誤り訂正回路171Aは入力された受信信号に対し誤り訂正演算処理を行い、誤りを訂正した受信信号を後段の誤り訂正演算回路1712に出力する。動作制御回路171Bは、誤り訂正回路171Aにおける誤り訂正結果を訂正結果モニタ回路1721に出力する。誤り訂正結果は、実施の形態1の内符号誤り訂正復号化部17が内符号誤り訂正モニタ部22へ出力する誤り訂正結果と同じである。すなわち、誤り訂正演算回路1711が訂正結果モニタ回路1721へ出力する誤り訂正結果は、誤り訂正復号化処理で訂正したビットの数を示す誤り訂正ビット数である。
訂正結果モニタ回路1721は、誤り訂正演算回路1711から出力された誤り訂正結果に基づいて、誤り訂正が完了できなかった符号の数をモニタし、モニタ結果、すなわち、訂正未完符号数と判定閾値保持部25が保持している判定閾値とを比較する。誤り訂正が完了できなかった符号とは、符号に含まれている誤りを完全に訂正できなかった符号、すなわち、誤りが残留している符号である。
訂正結果モニタ回路1721において、訂正結果判定回路172Aは、符号に誤りが残留している符号か否かの判断を、誤り訂正演算回路1711から受け取った誤り訂正結果が示す誤り訂正ビット数から判断する。具体的には、訂正結果判定回路172Aは、誤り訂正ビット数が訂正可能なビット数の最大値と一致している場合、符号に誤りが残留していると判断する。訂正結果判定回路172Aは、符号に誤りが残留していると判断した場合、訂正未完符号数カウンタ172Bを1カウントアップさせる。訂正未完符号数カウンタ172Bの初期値は0とする。訂正結果判定回路172Aは、規定時間にわたって、誤り訂正演算回路1711の動作制御回路171Bから誤り訂正ビット数が通知されるごとに、符号に誤りが残留しているか否かを判断し、誤りが残留している符号を検知した場合は訂正未完符号数カウンタ172Bを1カウントアップさせる。訂正結果モニタ回路1721の判定回路172Cは、規定時間が経過するごとに、訂正未完符号数カウンタ172Bの値と判定閾値とを比較し、訂正未完符号数カウンタ172Bの値である訂正未完符号数が判定閾値より大きい場合には、次段の誤り訂正演算回路1712に対し、誤り訂正復号の実施を指示する。これに対して、訂正未完符号数が判定閾値以下の場合、訂正結果モニタ回路1721の判定回路172Cは、次段の誤り訂正演算回路1712に対し、誤り訂正復号の未実施を指示する。具体的には、訂正結果モニタ回路1721の判定回路172Cは、誤り訂正演算回路1712の動作制御回路171Bに対して指示を行う。
誤り訂正演算回路1712の動作制御回路171Bは、訂正結果モニタ回路1721の判定回路172Cから指示を受けると、指示内容に従い、誤り訂正演算回路1712の誤り訂正回路171Aを制御する。具体的には、誤り訂正演算回路1712の動作制御回路171Bは、誤り訂正復号の実施が指示された場合、誤り訂正回路171Aに対し、誤り訂正演算処理を実行するよう指示する。この場合、誤り訂正演算回路1712の誤り訂正回路171Aは、誤り訂正演算回路1711から入力された受信信号に対し誤り訂正演算処理を行い、誤りを訂正した受信信号を後段の図示を省略している誤り訂正演算回路1713に出力する。誤り訂正演算回路1712の動作制御回路171Bは、誤り訂正回路171Aにおける誤り訂正結果を訂正結果モニタ回路1722に出力する。また、誤り訂正演算回路1712の動作制御回路171Bは、誤り訂正復号の未実施が指示された場合、誤り訂正回路171Aに対し、誤り訂正演算回路1711から受け取った受信信号の誤り訂正演算を行わずに受信信号を通過させるよう指示するとともに、誤り訂正演算を行わなかったことを訂正結果モニタ回路1722へ通知する。この通知を受けた訂正結果モニタ回路1722は、図示を省略している後段の誤り訂正演算回路1713に対し、誤り訂正復号の未実施を指示する。具体的には、誤り訂正演算を行わなかった旨が誤り訂正演算回路1712の動作制御回路171Bから訂正結果モニタ回路1722の訂正結果判定回路172Aを経由して訂正結果モニタ回路1722の判定回路172Cへ通知され、この通知を受けた判定回路172Cが、誤り訂正演算回路1713の動作制御回路171Bに対して誤り訂正復号の未実施を指示する。なお、ここでは、誤り訂正演算回路1712が誤り訂正演算を行わなかったことを訂正結果モニタ回路1722へ通知し、訂正結果モニタ回路1722が後段の誤り訂正演算回路1713に対して誤り訂正復号の未実施を指示することとしたがこれに限定されない。誤り訂正演算回路1712から誤り訂正演算回路1713に対して誤り訂正復号の未実施を直接指示するようにしてもよい。すなわち、誤り訂正演算回路1712の動作制御回路171Bから誤り訂正演算回路1713の動作制御回路171Bに対して誤り訂正復号の未実施を指示するようにしてもよい。
以下、同様にして、複数段の誤り訂正演算回路1711〜171m、複数の訂正結果モニタ回路1721〜172mが処理を行う。なお、最後段に位置している誤り訂正演算回路171mは、誤り訂正結果を訂正結果モニタ回路172mへ出力しなくてもよい。訂正結果モニタ回路172mを削除した構成としてもよいし、誤り訂正演算回路をさらに追加することを想定して残しておいてもよい。
以上のように、本実施の形態にかかる光伝送装置の光受信器を構成している誤り訂正装置において、内符号誤り訂正復号化部17aは、複数の誤り訂正演算回路1711〜171mを備えて誤り訂正演算を繰り返し実行可能とし、誤り訂正が未完了の符号数に応じて、誤り訂正演算の繰り返しを終了することとした。これにより、劣化の少ない運用開始時やロスの少ない伝送路に設置した光伝送装置の低消費電力化を実現できる。また、従来の復号後の信号をモニタするフィードバック系でなく、遅延一定制御を行っているため、OTUkフレームの連続信号に対し、切断や誤りを発生させることなくヒットレスでの低消費電力化を実現できる。
実施の形態3.
上述した実施の形態1、実施の形態2では、それぞれ外符号誤り訂正復号化部の訂正演算量と内符号誤り訂正復号化部の訂正演算量を適応的に変えることにより低消費電力化を実現するものであるが、これら2つの形態は同時に行うことでも切断や誤りを発生させることなくヒットレスでの低消費電力化を実現できる。
図7は、実施の形態3にかかる光伝送システムを構成している光伝送装置100b−1および100b−2の構成例を示す図である。光伝送装置100b−1および100b−2は、図2に示した実施の形態1の光伝送装置100−1および100−2の光受信器2を光受信器2bに置き換えた構成となっている。光受信器2bは、実施の形態1で説明した誤り訂正装置と実施の形態2で説明した誤り訂正装置とを統合したものである。すなわち、本実施の形態の誤り訂正装置40bは、内符号誤り訂正復号化部17a、外符号誤り訂正復号化部18、演算量決定部21および判定閾値保持部25により構成されている。外符号誤り訂正復号化部18および演算量決定部21は、実施の形態1の誤り訂正装置が備えている外符号誤り訂正復号化部18および演算量決定部21と同じものである。内符号誤り訂正復号化部17aおよび判定閾値保持部25は、実施の形態2の誤り訂正装置が備えている内符号誤り訂正復号化部17aおよび判定閾値保持部25と同じものである。
実施の形態4.
以上の実施の形態1、2および3では、外部から供給される判定閾値を用いた制御を行っていたため、ユーザーが誤り訂正符号の性能を知っておく必要があった。本発明の実施の形態4では、判定閾値を光伝送装置で検出するためのトレーニング構成を示す。
図8は、実施の形態4にかかる光伝送システムを構成している光伝送装置100c−1および100c−2の構成例を示す図である。光伝送装置100c−1および100c−2は、図2に示した実施の形態1の光伝送装置100−1および100−2の光送信器1および光受信器2を光送信器1cおよび光受信器2cに置き換えた構成となっている。
光送信器1cは、実施の形態1の光送信器1に対して誤り付加部31を追加した構成となっている。誤り付加部31は、誤り訂正符号化された後の信号に対して、強制的に誤りを付加する。付加する誤り量は可変とする。
光受信器2cは、実施の形態3の光受信器2bが備えている外符号誤り訂正復号化部18を外符号誤り訂正復号化部18cに置き換え、さらに、外符号誤り訂正結果モニタ部26および閾値決定部27を追加した構成となっている。外符号誤り訂正復号化部18cは、外符号誤り訂正復号化部18と同様の動作を行い誤り訂正を行うとともに、誤り訂正結果を外符号誤り訂正結果モニタ部26へ出力する。本実施の形態の誤り訂正装置40cは、内符号誤り訂正復号化部17a、外符号誤り訂正復号化部18c、演算量決定部21、判定閾値保持部25、外符号誤り訂正結果モニタ部26および閾値決定部27により構成されている。
外符号誤り訂正結果モニタ部26および閾値決定部27は、閾値決定手段を構成する。外符号誤り訂正結果モニタ部26および閾値決定部27は、対向している光伝送装置の光送信器1cと連携し、外符号誤り訂正復号化部18での誤り訂正結果に基づいて、判定閾値保持部24が保持する判定閾値および判定閾値保持部25が保持する判定閾値を決定する。
外符号誤り訂正結果モニタ部26は、外符号誤り訂正復号化部18cにおける復号結果である誤り訂正情結果を用いて、誤り訂正が完了できなかった符号の数である訂正未完符号数をモニタする。訂正未完符号数は、実施の形態2で説明した訂正結果モニタ回路1721〜171mがモニタする訂正未完符号数と同じである。モニタ方法も訂正結果モニタ回路1721〜171mが行うモニタ方法と同様である。外符号誤り訂正結果モニタ部26は、モニタ結果を閾値決定部27へ出力する。
閾値決定部27は、外符号誤り訂正結果モニタ部26によるモニタ結果に基づいて、判定閾値保持部24が保持する判定閾値および判定閾値保持部25が保持する判定閾値を決定する。
以下、本実施の形態の誤り訂正装置について説明する。本実施の形態では、実施の形態1,2,3と異なる部分について説明を行う。具体的には、外符号誤り訂正結果モニタ部26および閾値決定部27が、判定閾値保持部24が保持する判定閾値および判定閾値保持部25が保持する判定閾値を決定する動作について説明する。
図9は、閾値決定部27が、判定閾値保持部24が保持する判定閾値および判定閾値保持部25が保持する判定閾値を決定する動作の一例を示すフローチャートである。
光受信器2cにおいては、まず、閾値決定部27が、内符号誤り訂正復号化部17aの誤り訂正性能が最低となる判定閾値、すなわち、誤り訂正演算の繰り返し回数が1となる判定閾値を判定閾値保持部25に設定するとともに、外符号誤り訂正復号化部18cの誤り訂正性能が最小となる判定閾値を判定閾値保持部24に設定する。これにより、誤り訂正装置の誤り訂正能力が最低の状態となる(ステップS31)。判定閾値保持部25および判定閾値保持部24に対し、設定可能な最大値を判定閾値として設定することにより、内符号誤り訂正復号化部17aにおける誤り訂正演算の繰り返し回数および外符号誤り訂正復号化部18cにおける誤り訂正演算の繰り返し回数が1となり、誤り訂正装置の誤り訂正能力が最低となる。
閾値決定部27は、外符号誤り訂正結果モニタ部26から通知されたモニタ結果が示す訂正未完符号数がゼロであるか否かを確認し(ステップS32)、訂正未完符号数がゼロではない場合(ステップS32:No)、誤り訂正能力を調整する(ステップS33)。このステップS33において、閾値決定部27は、判定閾値保持部24が保持している判定閾値(1)または判定閾値保持部25が保持している判定閾値(2)を変更する。すなわち、判定閾値をそれまでよりも小さな値に変更する。判定閾値(1)および判定閾値(2)のどちらをどのような順番で変更するかについては規定しないが、閾値決定部27は、例えば、外符号誤り訂正結果モニタ部26から通知されたモニタ結果が示す訂正未完符号数がゼロではないと判断するごとに、判定閾値(1)と判定閾値(2)を交互に調整する。ステップS33を実行した後はステップS32に戻り、閾値決定部27は、訂正未完符号数がゼロであるか否かを確認する。
訂正未完符号数がゼロの場合(ステップS32:Yes)、閾値決定部27は、現在の判定閾値(1)および判定閾値(2)の設定値を初期値に決定する(ステップS34)。ここで、初期値とは、光伝送装置の運用開始時に使用する判定閾値(1)および(2)である。なお、判定閾値(2)は、実施の形態2で説明したように、1つの値に固定のため、ステップS34で決定する初期値を最終的な判定閾値(2)とする。一方、判定閾値(1)は実施の形態1で説明したように、複数であるため、このステップS34で決定する初期値は、図4に示した閾値#1となる。
次に、閾値決定部27は、通信相手、すなわち光信号の送信元の光伝送装置100c−1の光送信器1cが備えている誤り付加部31に対し、送信する光信号に誤りを付加するように指示し、通信路の状態を変化させる(ステップS35)。例えば、光伝送装置100c−2の光受信器2cを構成している閾値決定部27は、通信路の状態変更指示を示す指示情報を、自装置すなわち光伝送装置100c−2の光送信器1cを構成しているOTUフレーマ11に入力し、OTUフレーマ11が、受け取った指示情報を含んだOTUフレームを生成し対向する光伝送装置100c−1へ送信する。なお、指示情報を含んだOTUフレームは通常のOTUフレームと同様に、外符号誤り訂正符号化部12、内符号誤り訂正符号化部13、E/O変換部14およびWDM部3を介して送信される。光伝送装置100c−1では、指示情報を含んだOTUフレームを通常のOTUフレームと同様に処理し、OTUデフレーマ20で取り出された指示情報は光送信器2cの誤り付加部31に渡される。
次に、閾値決定部27は、外符号誤り訂正結果モニタ部26から通知されたモニタ結果が示す訂正未完符号数がゼロであるか否かを確認し(ステップS36)、訂正未完符号数がゼロではない場合(ステップS36:No)、誤り訂正能力を調整する(ステップS37)。これらのステップS36およびS37は、上述したステップS32およびS33と同様である。なお、ステップS37において、閾値決定部27は、判定閾値保持部24が保持している判定閾値(1)を、それまでよりも小さな値に変更する。
訂正未完符号数がゼロの場合(ステップS36:Yes)、閾値決定部27は、現在の判定閾値(1)の設定値を記憶する(ステップS38)。このステップS38では、図4に示した閾値#1〜閾値#Nのうち、まだ決定していない閾値のうち、最も若い番号の閾値に決定する。例えば、閾値#1だけが決定している場合、現在の判定閾値(1)を閾値#2に決定する。ステップS38を実行した後、閾値決定部27は、繰り返し処理を終了するか否かを確認する(ステップS39)。判定閾値(1)が図4に示したものである場合、このステップS39では、図4に示した閾値#1〜閾値#Nの全てを決定した場合、繰り返し処理終了と判断し(ステップS39:Yes)、処理を終了する。繰り返し処理が終了ではない場合(ステップS39:No)、通信路の状態を変更し(ステップS40)、ステップS36に戻る。なお、ステップS40の処理は上述したステップS35と同様である。
以上のように、通信路の状態を徐々に悪化させ、かつ訂正未完符号数をモニタしながら判定閾値の調整および決定を行うとトレーニング機能を持つことで、ユーザーに誤り訂正符号の性能を意識させることなく、最適な低消費電力性能を実現することができる。
なお、実施の形態3に対して外符号誤り訂正結果モニタ部26および閾値決定部27を追加する構成の例を説明したが、実施の形態1,2に対して外符号誤り訂正結果モニタ部26および閾値決定部27を追加してもよい。実施の形態2に対して外符号誤り訂正結果モニタ部26および閾値決定部27を追加した場合、閾値決定部27は、図9に示したステップS31〜S34だけを実行すればよい。
実施の形態1〜4で説明した光送信器および光受信器の各部は、ハードウェアまたはソフトウェアにより実現できる。図10は、上述した内符号誤り訂正モニタ部22、外符号誤り訂正演算量決定部23、外符号誤り訂正結果モニタ部26、閾値決定部27を実現するハードウェア構成の一例を示す図である。内符号誤り訂正モニタ部22、外符号誤り訂正演算量決定部23、外符号誤り訂正結果モニタ部26および閾値決定部27は、それぞれに対応するプログラムをメモリ52に格納しておき、これをプロセッサ51が実行することにより実現される。プロセッサ51はCPU(Central Processing Unit)、システムLSI(Large Scale Integration)などで構成される。メモリ52はRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などで構成される。プロセッサ51およびメモリ52はバス50に接続されており、バス50を介してデータ、制御情報などの受け渡しを相互に行うことが可能である。なお、複数のプロセッサおよび複数のメモリが連携して内符号誤り訂正モニタ部22、外符号誤り訂正演算量決定部23、外符号誤り訂正結果モニタ部26および閾値決定部27を実現するようにしてもよい。図2などに示したバッファ19、判定閾値保持部24および判定閾値保持部25は、メモリ52を利用して実現される。
また、図2、図5、図7、図8などに示した外符号誤り訂正符号化部12および内符号誤り訂正符号化部13は、それぞれエンコーダで実現される。E/O変換部14はE/O変換器で実現され、O/E変換部15はO/E変換器で実現される。フレーム同期部16はOTUフレームに含まれる固定ビットを検出する検出器で実現され、内符号誤り訂正復号化部17,17aおよび外符号誤り訂正復号化部18,18a,18cはそれぞれデコーダにより実現される。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。