JP6265107B2 - レーザ加工方法 - Google Patents
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Description
図5に示す如く、所定の板厚Tを有する部材をレーザ切断する場合、部材にレーザを照射するとともに、レーザの照射位置に向けて、ノズルからアシストガスを噴出させることによって、照射位置の周辺において溶融した部材である溶融物を吹き飛ばして、溶融物がドロスとして付着することを防止している。
アシストガスの供給能力には限界があるため、レーザによる入熱量が過多となって過剰な溶融物が生成された場合、溶融物を吹き飛ばしきれなくなることがあり、この場合部材のレーザ照射面の裏側に、切断箇所に沿ってドロスが発生することとなる。
尚、レーザ切断の手法としては、アシストガスを用いない手法も存在するが、このような手法においても、レーザによる入熱量が過多となって過剰な溶融物が生成された場合には、同様にドロスが発生する。
そして、図6に示す場合においては、アシストガスの供給圧力は、レーザ加工機が有する最大の能力で運用しているものとする。
レーザ切断における加工条件を左右する要素としては、レーザの出力、有効照射径、ノズルの移動速度、切断対象物(部材)の板厚、材質、アシストガスの種類、供給圧力、等がある。そして、レーザ出力とノズルの移動速度によって、レーザによる切断対象物に対する入熱量が決まる。
即ち、図6に示す領域A(極低速域)では、ドロスが発生しやすい。
このため、レーザ切断においては、曲がり部を切断するときに、ドロスが発生しやすい。
以下では、このような場合の曲がり部を有する部位、即ち、ドロスの発生が予見される部位をドロス発生予見部と呼ぶ。
ドロス発生予見部のその他の例としては、例えば、円弧状や円形等、カーブ形状を切り取るようにレーザ切断をする必要がある部位等がある。
また、直線状にレーザ切断する場合であっても、非常に高い寸法精度を確保するべく、レーザ移動速度を極低速にするような場合には、直線部であってもドロス発生予見部に該当する場合がある。
しかしながら、例えば、曲がり部を有する部材では、部材に安定してドライアイスを接触させておくことが困難であるため、ドロスの発生を低減できない場合があり、また、ドライアイスを接触させることによって部材が濡れるため、防錆を考慮する必要がある部材には適用することが困難であった。
まず始めに、本発明の一実施形態に係るレーザ加工方法について、図1を用いて説明をする。
図1に示す如く、本発明の一実施形態に係るレーザ加工方法では、まず、所定の部材に対して薄肉部を加工する工程(薄肉部加工工程(STEP−1)と呼ぶ)を行い、その後で、部材をレーザ切断する工程(レーザ切断工程(STEP−2)と呼ぶ)を行う構成としている。
尚、レーザ切断工程(STEP−2)においては、同工程に用いるレーザ加工機のアシストガス供給量は最大となっている。そして、以下に示す実施形態で用いる部材は、所定の材質からなる板厚Tの部材であり、同部材においては、レーザ出力とレーザ移動速度および切断品質との間には、図6に示す相関関係が成立している。
本発明の一実施形態に係るレーザ加工方法では、図2(a)に示すようなワーク1をレーザ切断する。
ワーク1は、所定の材質の金属板(本実施形態では、鋼板)をプレス加工することによって形成される部材であり、複数の曲がり部2・2・・・を備えている。
そして、本実施形態では、ワーク1から余肉部1aを切除する際に、ドロスを低減させつつ、レーザ切断する場合を例示している。
尚、本発明の一実施形態に係るレーザ加工方法の適用対象物たるワーク1は、プレス加工によって形成された部材には限定されない。
即ち、ワーク1における曲がり部2は、ドロス発生予見部Xに該当するものである。
尚、ワーク1には、図2(a)に示すように、ドロス発生予見部Xに該当しない曲がり部4も存在しており、そのような曲がり部4に対しては、薄肉部3を設けなくてもよい。
ドロスを低減する観点からは、薄肉部3の深さDは、できるだけ大きくすることが好ましく、例えば、板厚Tの1/2〜1/3程度の深さとすることができ、また、薄肉部3の幅Wは、レーザによる切断幅に比して大きくすることが好ましい。
具体的には、本実施形態のように、板厚が1.4mm程度のワーク1を用いた場合には、薄肉部3の深さDは、0.4〜0.7mm程度の深さとすることができる。
これにより、曲がり部2に対するレーザの入熱量が過多となっても、溶融物の発生量を低減させることができ、ドロスの発生を抑制することができる。
このような構成により、ドロス発生予見部Xたる曲がり部2におけるワーク1の溶融量を低減させることができ、これにより、レーザ切断時におけるドロスの発生量を低減できる。
尚、本実施形態では、曲がり部2において、その表面あるいは裏面のいずれか一方に凹部を形成して薄肉部3を形成する構成としているが、例えば、曲がり部2における表面と裏面の両方に凹部3a・3aを形成して薄肉部3を形成する構成としてもよい。
このような構成により、ドロス発生予見部Xたる曲がり部2を薄肉部3にする加工を容易に行うことができ、これにより、レーザ切断時におけるドロスの発生量を容易に低減することができる。
このような場合において、薄肉部3は、例えば、切削工程や研削工程によって形成してもよい。
このような構成により、レーザ照射面の凹凸を減らすことができ、これにより、レーザ移動速度の低下を抑制して、レーザ切断時におけるドロスの発生量をより確実に低減できる。
この場合、薄肉部3をプレス加工により形成する際に、金型とワークの接触をより確実に防ぐことが可能になり、ワークの傷つきを確実に防止できるという利点がある。
このような構成により、プレス加工によって薄肉部3を形成する際に、プレス金型とワーク1が接触することが防止でき、レーザ切断時におけるドロスの発生量を低減しつつ、ワーク1の傷つきを確実に防止できる。
2 曲がり部
3 薄肉部
3a 凹部
X ドロス発生予見部
Claims (3)
- 所定の板厚を有する部材をレーザ切断するときに、レーザによる入熱量に対する前記部材の溶融量が過多となることによって、ドロスが発生することが予見される部位であるドロス発生予見部を有する前記部材のレーザ加工方法であって、
前記ドロス発生予見部を、前記所定の板厚に比して小さい肉厚に加工して、薄肉部を形成する薄肉部加工工程と、
前記薄肉部加工工程の後で、前記部材をレーザ切断するレーザ切断工程と、
を備え、
前記レーザ切断工程においては、
前記薄肉部を前記レーザの照射位置に含めてレーザ切断し、
前記ドロス発生予見部は、
前記部材を曲げて形成した曲面を有する部位である曲がり部であって、
前記薄肉部加工工程においては、
前記曲がり部の前記レーザ切断工程におけるレーザ照射面とは反対側の面に凹部を形成して、前記薄肉部を形成する、
ことを特徴とするレーザ加工方法。 - 所定の板厚を有する部材をレーザ切断するときに、レーザによる入熱量に対する前記部材の溶融量が過多となることによって、ドロスが発生することが予見される部位であるドロス発生予見部を有する前記部材のレーザ加工方法であって、
前記ドロス発生予見部を、前記所定の板厚に比して小さい肉厚に加工して、薄肉部を形成する薄肉部加工工程と、
前記薄肉部加工工程の後で、前記部材をレーザ切断するレーザ切断工程と、
を備え、
前記レーザ切断工程においては、
前記薄肉部を前記レーザの照射位置に含めてレーザ切断し、
前記ドロス発生予見部は、
前記部材を曲げて形成した曲面を有する部位である曲がり部であって、
前記薄肉部加工工程においては、
前記曲がり部の外R側の面に凹部を形成して、前記薄肉部を形成する、
ことを特徴とするレーザ加工方法。 - 前記薄肉部加工工程はプレス加工工程であって、
前記薄肉部加工工程においては、
前記部材をプレス成形するとともに、
前記薄肉部をプレス加工により形成する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のレーザ加工方法。
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