[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図面を用いて説明する。
本実施形態では、表示体として透過型の液晶パネルを備えた液晶表示装置の例を挙げて説明する。
なお、以下の全ての図面においては、各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがある。
図1は、本実施形態の液晶表示装置1を斜め下方(背面側)から見た斜視図である。図2は、図1のA−A’線に沿う、本実施形態の液晶表示装置1の断面図である。
本実施形態の液晶表示装置1(表示装置)は、図1および図2に示すように、バックライト2と第1偏光板3と液晶パネル4と第2偏光板5とを有する液晶表示体6(表示体)と、光拡散フィルム7(光拡散部材)と、から構成されている。図1では、模式的に液晶表示体6を1枚の板状に図示し、図2では、模式的に液晶パネル4を1枚の板状に図示している。観察者は、光拡散フィルム7が配置された図2における液晶表示装置1の上側から表示を見ることになる。よって、以下の説明では、光拡散フィルム7が配置された側を視認側と称し、バックライト2が配置された側を背面側と称する。
本実施形態の液晶表示装置1においては、バックライト2から射出された光を液晶パネル4で変調し、変調した光によって所定の画像や文字等を表示する。液晶パネル4から射出された光が光拡散フィルム7を透過すると、射出光の角度分布が光拡散フィルム7に入射する前よりも広がった状態となり、光拡散フィルム7から光が射出される。このようにして、観察者は広い視野角を持って表示を視認することができる。
液晶パネル4としては、例えば、アクティブマトリクス方式の透過型液晶パネルが採用されるが、本発明の実施形態として適用可能な液晶パネルはアクティブマトリクス方式の透過型液晶パネルに限るものではない。本発明の実施形態として適用可能な液晶パネルは、例えば半透過型(透過・反射兼用型)液晶パネルや反射型液晶パネルであってもよい。更に、本発明の実施形態として適用可能な液晶パネルは、各画素がスイッチング用薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor, 以下、TFTと略記する)を備えていない単純マトリクス方式の液晶パネルであっても良い。
また、液晶パネル4の表示モードとしては、例えばVA(Vertical Alignment, 垂直配向)モードが採用されるが、表示モードとしては、VAモードに限らず、TN(Twisted Nematic)モード、STN(Super Twisted Nematic)モード、IPS(In-Plane Switching)モード等を用いることもできる。表示モードによっては、液晶パネル4と第1偏光板3との間や液晶パネル4と第2偏光板5との間に位相差板などを設ける場合がある。
図2に示すように、バックライト2は、光源36と、導光体37と、を備えている。光源36は、導光体37の端面に配置されている。光源36としては、例えば、発光ダイオード、冷陰極管等が用いられる。本実施形態のバックライト2は、エッジライト型のバックライトであるが、直下型のバックライトでもよい。
バックライト2としては、光の射出方向を制御して指向性を持たせたバックライト、いわゆる指向性バックライトを用いることが望ましい。後述する光拡散フィルム7の光拡散部にコリメートまたは略コリメートした光を入射させるような指向性バックライトを用いることでボヤケを少なくし、光の利用効率を高めることができる。
本実施形態の場合、バックライト2として指向性バックライトを用いるが、バックライト2としては、指向性がある程度緩やかに設定された低指向性バックライトを用いても構わない。この場合、例えばTNモードなどの液晶パネル4においては視野角の狭い方向が生じる場合があるが、そのような場合であっても、液晶パネル4の前面に後述の光拡散フィルム7を設置することにより、視野角特性を改善することができる。
光源36から導光体37の端面に入射した光は、導光体37の内部を全反射しつつ伝播し、導光体37の上面(光射出面)から概ね均一な強度で射出される。図示はしないが、導光体37の上面には、散乱シート及びプリズムシートが配置されている。導光体37の上面から射出された光は、散乱シートにより散乱した後、プリズムシートによって集光され、概ね平行化されて射出される。プリズムシートとしては、例えば、住友3M社製のBEF(商品名)が用いられる。
図2に示すように、バックライト2と液晶パネル4との間には、偏光子として機能する第1偏光板3が設けられている。また、液晶パネル4と光拡散フィルム7との間には、検光子として機能する第2偏光板5が設けられている。特に、光拡散フィルム7の光入射側に位置する第2偏光板5は、例えば屈折率が1.50のトリアセチルセルロース(TAC)で構成されている。
以下、光拡散フィルム7について詳細に説明する。
光拡散フィルム7は、図1および図2に示すように、光透過性を有する基材39と、基材39の第1の面39a(視認側と反対側の面)に形成された複数の光反射層41と、基材39の第1の面39aのうち光反射層41の形成領域以外の領域に形成された光拡散部40と、を備えている。光拡散フィルム7は、図2に示すように、光拡散部40が設けられた側を第2偏光板5に向け、基材39の側を視認側に向けた姿勢で第2偏光板5上に配置されている。
ここで、「光反射層の形成領域以外の領域に形成された光拡散部」とは、光拡散部の一部分が光反射層に重なった状態に形成される場合を含むことを意味する。
基材39には、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルホン(PES)フィルム等の透明樹脂製の基材が好ましく用いられる。本実施形態では、基材の材料の一例として、屈折率が1.65のPETフィルムが用いられる。基材39は、後述する製造プロセスにおいて、後で光拡散部40の材料を塗布する際の下地となるものである。基材39は、製造プロセス中の熱処理工程における耐熱性と機械的強度とを備える必要がある。基材39には、樹脂製の基材の他、ガラス製の基材等を用いても良い。
基材39の厚さは、耐熱性や機械的強度を損なわない程度に薄い方が好ましい。その理由は、基材39の厚さが厚くなる程、表示のボヤケが生じる虞があるからである。基材39の全光線透過率は、JIS K7361−1の規定で90%以上が好ましい。全光線透過率が90%以上であると、十分な透明性が得られる。本実施形態では、一例として厚さが100μmの透明樹脂製基材が用いられる。
複数の光反射層41は、基材39の第1の面39aの法線方向から見て点在して配置されている。複数の光反射層41は、基材39上に点在して非周期的に、かつランダムに配置されることが好ましい。一つの光反射層41を基材39の法線方向から見たときの平面形状は、例えば円形である。光反射層41の直径は、例えば10μmである。本実施形態の場合、複数の光反射層41は、全て同一の直径となっている。複数の光反射層41が基材39上に点在して形成されたことにより、光反射層41の非形成領域に位置する光拡散部40は、基材39上に連続して形成されている。
光反射層41は、可視光を反射する光反射材料によって構成されている。光拡散フィルム7は、観察者側から入射して基材39を透過した光(外光)を光反射層41で反射することによりミラーとして機能する。光反射層41は、少なくとも可視光域(380nm〜780nm)において光拡散部40よりも高い反射率を有していればよいが、ミラーとして機能させるためには、可視光域全域にわたって高い反射率が得られるものが好ましい。また、光反射層41は、後述するように光拡散部40の製造時に拡散光を遮るマスクとして用いられる場合がある(図3(C)参照)。そのため、光反射層41は、拡散光(紫外線)を十分に反射もしくは吸収することが好ましい。本実施形態では、光反射層41として、アルミニウムや銀などの金属反射膜が用いられる。
光拡散部40は、例えばアクリル樹脂やエポキシ樹脂等の光透過性および感光性を有する有機材料で構成されている。本実施形態の一例として、光拡散部40は、屈折率が1.50のアクリル樹脂で構成されている。光拡散部40の全光線透過率は、JIS K7361−1の規定で90%以上が好ましい。全光線透過率が90%以上であると、十分な透明性が得られる。
光拡散フィルム7における光反射層41の形成領域には、基材39の第1の面39aに平行な平面(xy平面)で切断したときの断面積が光反射層41側で大きく、光反射層41から離れるにつれて漸次小さくなる形状の中空部42(空隙部)が形成されている。複数の光反射層41が基材39上に点在して非周期的に、かつランダムに配置されていることに伴い、複数の光反射層41と同一の位置に形成される複数の中空部42も基材39上にランダムに配置されている。なお、x軸は液晶パネル4の画面の水平方向、y軸は液晶パネル4の画面の垂直方向、z軸は液晶表示装置1の厚さ方向、と定義する。
中空部42は、基材39側から見たとき、いわゆる順テーパー状の略円錐台状の形状を有している。中空部42の内部には、光拡散部40よりも屈折率の小さい低屈折率材料が配置される。低屈折率材料としては、例えば、空気が存在している。光拡散フィルム7の中空部42以外の部分、すなわち光拡散部40が連続して存在する部分は光の透過に寄与する部分である。光拡散部40に入射した光は、当該光拡散部40と中空部42との界面で全反射しつつ、光拡散部40の内部に略閉じこめられた状態で導光し、基材39を介して外部に出射される。
なお、部材同士の屈折率の比較を行う場合には、視感度が最も高い555nmの波長の屈折率を比較するものとする。
本実施形態の場合、中空部42には空気が存在しているため、光拡散部40を例えば透明樹脂で形成したとすると、光拡散部40の側面40cは透明樹脂と空気との界面となる。ここで、光拡散部40の内部と外部との界面の屈折率差は、中空部42が空気で充填されている方が、光拡散部40の周囲が他の一般的な低屈折率材料で充填されているよりも大きい。したがって、スネルの法則より、光拡散部40の側面40cで光が全反射する入射角範囲が広い。その結果、光の損失がより抑えられ、高い輝度を得ることができる。
なお、中空部42には、低屈折率材料として、空気に代えて、窒素等の不活性ガスが充填されていても良い。もしくは、中空部42の内部が真空状態であっても良い。
光拡散部40は、図2に示すように、第1の端面40aと、第2の端面40bと、側面40cと、を有する。第1の端面40aは、基材39に接する面である。第2の端面40bは、第1の端面40aと対向する面である。本実施形態の場合、第1の端面40aは光射出端面であり、第2の端面40bは光入射端面である。側面40cは、光拡散部40のテーパー状の側面(中空部42との界面)である。側面40cは、光入射端面40bから入射した光を反射する面である。第2の端面40bの面積は、第1の端面40aの面積よりも大きい。
光拡散部40の側面40cの傾斜角度(第2の端面40bと側面40cとのなす角度)は、75°以上85°以下が好ましい。本実施形態では、光拡散部40の側面40cの傾斜角度が75°である。ただし、光拡散部40の側面40cの傾斜角度は、光拡散フィルム7から射出する際に、入射光を十分に拡散することが可能な角度であれば、特に限定されない。本実施形態において、光拡散部40の側面40cの傾斜角度は一定になっている。
光拡散部40の第2の端面40bから第1の端面40aまでの高さは、光反射層41の層厚よりも大きく設定されている。本実施形態の場合、光反射層41の層厚の層厚は一例として150nm程度である。光拡散部40の第2の端面40bから第1の端面40aまでの高さは一例として20μm程度である。光拡散部40の側面40cと光反射層41の層厚とにより囲まれた部分は、中空部42となっている。
なお、基材39の屈折率と光拡散部40の屈折率とは略同等であることが望ましい。基材39の屈折率と光拡散部40の屈折率とが大きく異なる場合には、第2の端面40bから入射した光が光拡散部40から射出する際に、光拡散部40と基材39との界面で不要な光の屈折や反射が生じることがある。この場合、所望の視野角が得られない、射出光の光量が減少する、等の不具合が生じる虞がある。基材39の屈折率と光拡散部40の屈折率とが略同等である場合には、このような不具合は生じにくい。
臨界角を超える角度で入射した入射光は、側面40cで全反射して光拡散部40を透過して観察者側へ射出される。また、側面40cに入射することなく光拡散部40を透過する入射光は、そのまま観察者側へ射出される。また、臨界角以下の角度で入射した入射光は側面40cで全反射せず、光拡散部40の側面40cを透過する。側面40cを透過した光は光反射層41で反射され液晶パネル4側に向かうが、このような光を抑制するためには、バックライト2として、光拡散部40の側面40cに臨界角以下で入射しないように光を射出する指向性を有した指向性バックライトを用いるようにすればよい。
次に、液晶表示装置1の製造方法の一例について、図3を用いて説明する。
以下では、光拡散フィルム7の製造工程を説明し、液晶表示体の製造工程については説明を省略する。
最初に、図3(A)に示すように、10cm角で厚さが100μmのポリエチレンテレフタレートの基材39を準備し、スパッタ法等を用いて、基材39の一面に光反射層41としてアルミニウムや銀の薄膜を形成する。複数の光反射層41は全て直径10μmの円形のパターンである。本実施形態の場合、後の工程で光反射層41をマスクとして透明ネガレジストの露光を行い、中空部42を形成する。そのため、光反射層41の位置が中空部42の形成位置に対応する。
なお、光反射層41の位置はランダムに設定することが好ましい。例えば、一定のピッチで規則的に配置された基準位置にランダム関数を用いて揺らぎ(ばらつき)を持たせ、得られた基準位置を光反射層41の中心位置として設定することにより、ランダムに配置された複数の光反射層41を形成することができる。また、光反射層41の大きさや光反射層41間の平均間隔(例えば、上記の基準位置のピッチ)は、液晶表示体6の画素の大きさ等によって適宜変更可能である。例えば、液晶表示体6の赤、緑、青の各々の画素に対して光拡散部40の一部が配置されるように光反射層41の大きさや光反射層41間の平均間隔が設計される。
次いで、図3(B)に示すように、スリットコート、スピンコート、印刷等の手法を用いて、光反射層41の上を覆うように、基材39の第1の面の全面に、光拡散部40の材料としてアクリル樹脂からなる透明ネガレジストを塗布し、膜厚25μmの塗膜48を形成する。透明ネガレジストの一例として日本化薬製のSU−8が挙げられる。SU−8を使用した露光現像プロセスに従うと、上記の塗膜48を形成した基材39をホットプレート上に載置し、温度95℃で塗膜48のプリベークを行う。これにより、透明ネガレジスト中の溶媒が揮発する。
次いで、図3(C)に示すように、基材39側から光反射層41をマスクとして塗膜48に拡散光Fを照射し、露光を行う。このとき、波長365nmのi線、波長404nmのh線、波長436nmのg線の混合線を用いた露光装置を使用する。露光量は600mJ/cm2とする。
露光工程では、平行光または拡散光を用いる。また、露光装置から射出された平行光を拡散光Fとして基材39に照射する手段として、露光装置から射出された光の光路上にヘイズ50程度の拡散板を配置する。拡散光Fで露光を行うことにより、塗膜48は、光反射層41の非形成領域から外側に広がるように放射状に露光される。これにより、順テーパー状の中空部42が形成され、光拡散部40の中空部42と面する部分には逆テーパー状の側面が形成される。光拡散部40の側面40cの傾斜角度は拡散光Fの拡散の度合いで制御できる。
その後、上記の塗膜48を形成した基材39をホットプレート上に載置し、温度95℃で塗膜48のポストエクスポージャーベイク(PEB)を行う。
次いで、専用の現像液を用いて透明ネガレジストからなる塗膜48の現像を行い、100℃でポストベークし、図3(D)に示すように、複数の中空部42有する光拡散部40を基材39の第1の面に形成する。
以上の工程を経て、本実施形態の光拡散フィルム7が完成する。
最後に、完成した光拡散フィルム7を、図2に示すように、基材39を視認側に向け、光拡散部40を第2偏光板5に対向させた状態で、光学接着剤等を用いて液晶表示体6に貼付する。
以上の工程により、本実施形態の液晶表示装置1が完成する。
なお、液晶パネル側に第2偏光板を貼り合わせることに代えて、上述の工程で光拡散フィルム7を作製した後、光拡散部40の第2の端面40bとなる面上に第2偏光板5を貼り合わせても良い。その場合、上述の光拡散フィルム7と第2偏光板5とが予め貼り合わされて一体化したものを、光拡散フィルムの完成品としてもよい。このような光拡散フィルムを用いる場合、第2偏光板5を有していない液晶パネルに光拡散フィルムを貼り合わせることにより、液晶表示体を作製することができる。
図4(A)は、電源をOFFにした状態を示しており、図4(B)は、電源をONにした状態を示している。本実施形態の液晶表示装置においては、電源をOFFにすると画面全体がミラーのように見える。電源をONにすると、外光よりもバックライトの明るさが相対的に明るくなるため、ミラーよりもディスプレイの表示が見えるようになる。よって、電源OFF時にはミラーとなり、電源ON時には通常の画像表示を行うミラー型のディスプレイが実現できる。
以上説明した本実施形態の光拡散フィルム7おいては、基材39の第1の面39aに複数の光反射層41が形成され、基材39の第1の面39aのうち光反射層41の形成領域以外の領域に光拡散部40が形成されている。そのため、光拡散フィルム7を表示体の視認側に配置することにより、電源OFF時にはミラーとなり、電源ON時には通常の画像表示を行うミラー型のディスプレイが実現できる。画像表示時には、光拡散部40に入射した光が光拡散部40の側面40cで全反射して広角方向に拡散されるため、視野角の広い画像表示が可能となる。
本実施形態の光拡散フィルム7おいては、第2の端面40bの面積が第1の端面40aの面積よりも大きくなっている。そのため、光拡散部40の側面40cが逆テーパー状に形成され、光拡散フィルム7に垂直に入射した光を側面40cにおいて効率よく拡散することができる。よって、表示体から入射される光の角度分布を入射前よりも広げた状態にして光を射出させる視野角拡大部材として好適に利用することができる。また、第1の端面40aの面積を変えずに第2の端面40bの面積を大きくすることができるため、光反射層の面積(ミラー表示における外光の反射率)を維持しつつ、光拡散部40への光の入射量を大きくすることができる。よって、電源OFF時には反射率の高いミラーとなり、電源OFF時には明るい画像表示が可能となる。
本実施形態の光拡散フィルム7おいては、第1の端面40aが光射出端面となっており、第2の端面40bが光入射端面となっている。この構成においては、光反射層41と光拡散部40の光射出端面とが同一面上に配置されるため、光反射層41によって斜め方向に反射された光が、突起状の構造物である光拡散部40によって遮られることはない。よって、正面方向から見た場合だけでなく、斜め方向から見た場合でもミラーとして認識することができる。
本実施形態の光拡散フィルム7においては、光拡散部40が光反射層41の形成領域以外の領域に連続的に形成されている。この構成においては、光拡散部40が広い面積にわたって連続的に形成されるため、光拡散部40と基材39との密着性が強くなり、剥がれに対して強い構造となる。よって、信頼性に優れた光拡散フィルム7および液晶表示装置1を提供することができる。
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態について、図5および図6を用いて説明する。
図5は、第2実施形態に係る光拡散フィルム10(光拡散部材)の断面図である。図6は、電源OFFの状態(図6(A))と電源ONの状態(図6(B))を示す図である。
なお、本実施形態において第1実施形態と共通の構成要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
第1実施形態では、光反射層41を光拡散部40の非形成領域の全面に形成した。それに対して、本実施形態では、光反射層41を光拡散部40の非形成領域の一部のみに形成した。本実施形態において、光反射層41は、特定の中空部42(空隙部)に対応する領域にのみ形成されている。
図6に示すように、本実施形態の液晶表示装置11においては、電源をOFF時にすると画面の一部がミラーとなる。光反射層の配置を制御することにより、任意の文字や絵柄(絵、模様)がミラーとして浮き上がる。よって、液晶表示装置1にデザイン性を付与することができる。本実施形態の場合、「OFF」の文字を表示しているが、画面に表示する文字や絵柄はこれに限らない。電源ON時には、第1実施形態と同様に、外光よりもバックライトの明るさが相対的に明るくなるため、ミラーよりもディスプレイの表示が見えるようになる。
[第3実施形態]
図7は、第3実施形態に係る光拡散フィルム50(光拡散部材)の断面図である。
なお、本実施形態において第1実施形態と共通の構成要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
本実施形態において第1実施形態と異なる点は、光反射層41を基材39の第1の面39a上に形成し、光拡散部40を基材39の第2の面39b上に形成した点である。
本実施形態の光拡散フィルム50は、光透過性を有する基材39と、基材39の第1の面39aに形成された複数の光反射層51と、基材39の第1の面39aと対向する第2の面39bのうち、第2の面39bの法線方向から見て光反射層51の形成領域以外の領域に形成された光拡散部40と、を備える。光拡散部40は、基材39に接する第1の端面40aと、第1の端面40aに対向する第2の端面40bと、を有する。
光反射層51の形成材料や大きさ、厚みなどは、第1実施形態の光反射層41と同じである。光拡散部40の第1の端面40aは光射出端面であり、第2の端面40bは光入射端面である。第2の端面40bの面積は第1の端面40aの面積よりも大きい。光拡散部40の側面40cと基材39とにより囲まれた部分は、中空部42となっている。中空部42の内部は、低屈折率材料である空気によって満たされている。光拡散フィルム50は、光拡散部40が設けられた側を第2偏光板5(図2参照)に向け、基材39の側を視認側に向けた姿勢で第2偏光板5上に配置される。
本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
[第4実施形態]
図8は、第4実施形態に係る光拡散フィルム52(光拡散部材)の断面図である。
なお、本実施形態において第3実施形態と共通の構成要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
本実施形態において第3実施形態と異なる点は、基材39の第1の面39aに、光反射層51を覆って、光透過性を有する保護層43が形成されている点である。
保護層43は、例えばアクリル樹脂やエポキシ樹脂等の光透過性を有する有機材料、あるいは酸化シリコンなどの光透過性を有する無機材料で構成されている。保護層43の全光線透過率は、JIS K7361−1の規定で90%以上が好ましい。全光線透過率が90%以上であると、十分な透明性が得られる。基材39の屈折率と保護層43の屈折率とは略同等であることが望ましい。これにより、保護層43と基材39との界面で不要な光の屈折や反射が生じることを抑制することができる。保護層43の表面は平坦性を有していることが好ましい。これにより、表示装置に適用した場合に、表示画像の歪みを抑制することができる。
本実施形態においては、光反射層51が保護層43で覆われているため、光反射層51を外圧による破壊などから保護することができる。
[第5実施形態]
以下、本発明の第5実施形態について、図9および図10を用いて説明する。
図9は、第5実施形態の液晶表示装置53を斜め下方(背面側)から見た斜視図である。図10は、本実施形態の液晶表示装置53の作用を説明する図である。
なお、本実施形態において第1実施形態と共通の構成要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
図9に示すように、本実施形態において第1実施形態と異なる点は、光拡散フィルム54が、基材39の側を液晶表示体6に向け、光拡散部40が設けられた側を視認側に向けた姿勢で液晶表示体6上に配置されている点である。
基材39、光反射層41および光拡散部40の構成は第1実施形態と同じである。ただし、光拡散フィルムを裏返して設置しているため、光拡散部40の第1の端面(基材39に接する面)が光入射端面となり、第2の端面(第1の端面に対向する面)が光射出端面となっている。
図10(A)に示すように、基材39側が視認側に向けて設置されている例(第1実施形態)では、光反射層41と光拡散部40の光射出端面とが同一面上に配置されるため、光反射層41によって斜め方向に反射された光が、突起状の構造物である光拡散部40によって遮られることはない。よって、正面方向から見た場合だけでなく、斜め方向から見た場合でもミラーとして認識することができる。
一方、図10(B)に示すように、光拡散部40側が視認側に向けて設置されている例(本実施形態)では、光反射層41が光拡散部40の開口部の底面に配置されるため、光反射層41が光拡散部40の影に隠れてしまい、光反射層41によって斜め方向に反射された光が光拡散部40によって遮られる。よって、見る方向によっては、反射光が認識できない場合がある。視野角制限を行いたい場合には、このような構成が適している。
本実施形態においては、光拡散部40が基材39よりも視認側に配置されているため、電源OFF時のミラー表示に視野角制限を行うことができる。これにより、デザイン性が高まる。
[第6実施形態]
以下、本発明の第6実施形態について、図11ないし図15を用いて説明する。
図11は、第6実施形態に係る光拡散フィルム55(光拡散部材)の断面図である。図12は、光拡散フィルム55の部分平面図である。図13は、光反射層と吸収層との配置の一例を示す平面図である。図14および図15は、本実施形態の光拡散フィルム55の作用を説明する図である。
なお、本実施形態において第1実施形態と共通の構成要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
本実施形態において第1実施形態と異なる点は、基材39と光反射層41との間で、且つ、基材39の第1の面39aのうち、第1の面39aの法線方向から見て光反射層41の形成領域と対向する領域に、可視光の一部を吸収して所定の色を呈する吸収層56が形成されている点である。光拡散フィルム55は、光拡散部40が設けられた側を表示体に向け、基材39の側を視認側に向けた姿勢で表示体上に配置される。
図11および図12に示すように、本実施形態の光拡散フィルム55では、吸収層56を特定の領域に配置することによって、色つきの図形や図柄を表示できるようにしている。色を表示したいポイントの光反射層41に吸収層56を積層することによって色表示が実現される。吸収層56は、例えば、カラーフィルターなどで使用される公知の色レジストによって形成される。
吸収層56は、光反射層41の少なくとも一部と重なるように配置されていればよく、その配置形態としては、図13(A)ないし図13(C)に示すように、種々のものが考えられる。吸収層56と光反射層41とはその形成領域が概ね一致していればよいが(図13(A)および図13(B))、光反射層41による反射領域と吸収層56による吸収領域のバランスを考慮して、両者の位置をずらしてもよい(図13(C))。
図14(A)に示すように、光反射層41をドット状に形成した例(本実施形態)では、吸収層56も光反射層41の形成位置に合せてドット状に形成される。図14(B)に示すように、特定の図柄(例えば、「A」という文字)を表示する場合には、インクジェットプリンターで図柄を表示する場合と同様に、ドット状の吸収層56を必要な領域に選択的に形成すればよい。吸収層56の形状は円形でよく、吸収層56のパターニングや位置決めなどに高い精度は要求されない。
一方、図15(A)に示すように、光拡散部60がドット状に形成され、光反射層61が光拡散部60の形成領域以外の領域に形成されている場合には、吸収層56も光拡散部60を避けた領域に形成しなければならない。この場合、吸収層56を光拡散部60の形状に合わせてパターニングする必要があり、吸収層56と光拡散部40との微妙な位置調整も必要となる。
以上のように、本実施形態においては、吸収層56によって色つきの図形や絵柄が表示でき、デザイン性が高められる。また、吸収層56のパターニングや位置決めなどに高い精度が要求されないため、図形や絵柄を表示させるのが容易である。
[第7実施形態]
図16は、第7実施形態に係る光拡散フィルム57(光拡散部材)の断面図である。
なお、本実施形態において第1実施形態と共通の構成要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
本実施形態において第1実施形態と異なる点は、基材39の第1の面39aと対向する第2の面39bのうち、第2の面39bの法線方向から見て光反射層41の形成領域と対向する領域に、可視光の一部を吸収して所定の色を呈する吸収層56が形成されている点である。光拡散フィルム57は、光拡散部40が設けられた側を表示体に向け、基材39の側を視認側に向けた姿勢で表示体上に配置される。
本実施形態は、第6実施形態と比較して、光吸収層41を基材39の一方の面に形成し、吸収層56を基材39の他方の面に形成した点が異なる。この場合でも第6実施形態と同様の効果が得られる。
[第8実施形態]
図17は、第8実施形態に係る光拡散フィルム58(光拡散部材)の断面図である。
なお、本実施形態において第3実施形態と共通の構成要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
本実施形態において第3実施形態と異なる点は、光反射層51の基材39側とは反対側で、且つ、基材39の第1の面39aのうち、第1の面39aの法線方向から見て光反射層51の形成領域と対向する領域に、可視光の一部を吸収して所定の色を呈する吸収層56が形成されている点である。光拡散フィルム58は、光拡散部40が設けられた側を表示体に向け、基材39の側を視認側に向けた姿勢で表示体上に配置される。
本実施形態は、第6実施形態と比較して、光吸収層51と吸収層56を基材39の光拡散部40が形成された面とは異なる面に形成した点のみが異なる。この場合でも第6実施形態と同様の効果が得られる。
[第9実施形態]
図18は、第9実施形態に係る光拡散フィルム65(光拡散部材)の断面図である。
なお、本実施形態において第6実施形態と共通の構成要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
本実施形態において第6実施形態と異なる点は、基材39の第2の面39bに、吸収層56を覆って、光透過性を有する保護層66が形成されている点である。光拡散フィルム65は、光拡散部40が設けられた側を表示体に向け、基材39の側を視認側に向けた姿勢で表示体上に配置される。
保護層66は、第4実施形態の保護層43と同様の材料を用いることができる。本実施形態においては、吸収層56が保護層66で覆われているため、吸収層56を外圧による破壊などから保護することができる。
[第10実施形態]
図19は、第10実施形態に係る光拡散フィルム67(光拡散部材)の断面図である。
なお、本実施形態において第8実施形態と共通の構成要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
本実施形態において第8実施形態と異なる点は、基材39の第1の面39aに、光反射層51および吸収層56を覆って、光透過性を有する保護層66が形成されている点である。光拡散フィルム67は、光拡散部40が設けられた側を表示体に向け、基材39の側を視認側に向けた姿勢で表示体上に配置される。
本実施形態においては、光反射層51および吸収層56が保護層68で覆われているため、光反射層51および吸収層56を外圧による破壊などから保護することができる。
[第11実施形態]
図20は、第11実施形態に係る光拡散フィルム68(光拡散部材)の断面図である。
なお、本実施形態において第6実施形態と共通の構成要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
本実施形態において第6実施形態と異なる点は、吸収層56が、互いに異なる色を呈する複数の層56a,56b,56cによって形成されている点である。光拡散フィルム68は、光拡散部40が設けられた側を表示体に向け、基材39の側を視認側に向けた姿勢で表示体上に配置される。
本実施形態の場合、吸収層56は、赤色を呈する赤色表示層56aと、緑色を呈する緑色表示層56bと、青色を呈する青色表示層56cとの3層によって構成されているが、吸収層56の構成はこれに限らない。各層が呈する色は、赤、緑、青に限らない。また、2層または4層以上の層によって吸収層56を形成してもよい。
本実施形態においては、吸収層56が複数の層56a,56b,56cによって形成されているため、様々な色の表示が可能となる。
[第12実施形態]
図21は、第12実施形態に係る光拡散フィルム69(光拡散部材)の断面図である。
なお、本実施形態において第5実施形態と共通の構成要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
本実施形態において第5実施形態と異なる点は、光反射層41の基材39側とは反対側で、且つ、基材39の第1の面39aのうち、第1の面39aの法線方向から見て光反射層41の形成領域と対向する領域に、可視光の一部を吸収して所定の色を呈する吸収層56が形成されている点である。光拡散フィルム69は、基材39の側を表示体に向け、光拡散部40が設けられた側を視認側に向けた姿勢で表示体上に配置される。
吸収層56の構成は第11実施形態と同様である。本実施形態においても、第5実施形態と同様に、電源OFF時のミラー表示に視野角制限を行うことができる。これにより、デザイン性が高まる。
[第13実施形態]
図22は、第13実施形態に係る光拡散フィルム70(光拡散部材)の断面図である。
なお、本実施形態において第7実施形態と共通の構成要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
本実施形態において第7実施形態と異なる点は、吸収層56が、互いに異なる色を呈する複数の層56a,56b,56cによって形成されている点である。光拡散フィルム70は、光拡散部40が設けられた側を表示体に向け、基材39の側を視認側に向けた姿勢で表示体上に配置される。
本実施形態は、第11実施形態と比較して、光吸収層41を基材39の一方の面に形成し、吸収層56を基材39の他方の面に形成した点が異なる。この場合でも第11実施形態と同様の効果が得られる。
[第14実施形態]
図23は、第14実施形態に係る光拡散フィルム71(光拡散部材)の断面図である。
なお、本実施形態において第1実施形態と共通の構成要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
本実施形態において第1実施形態と異なる点は、基材39と光反射層41との間で、且つ、基材39の第1の面39aのうち、第1の面39aの法線方向から見て光反射層41の形成領域と対向する領域に、可視光の一部を吸収して第1の色を呈する第1の吸収層56Aが形成され基材39の第1の面39aと対向する第2の面39bのうち、第2の面39bの法線方向から見て光反射層41の形成領域と対向する領域に、可視光の一部を吸収して第2の色を呈する第2の吸収層56Bが形成されている点である。光拡散フィルム71は、光拡散部40が設けられた側を表示体に向け、基材39の側を視認側に向けた姿勢で表示体上に配置される。
第1の吸収層56Aおよび第2の吸収層56Bは、例えば、カラーフィルターなどで使用される公知の色レジストによって形成される。本実施形態の場合、第1の吸収層56Aは、青色を呈する青色表示層として構成され、第2の吸収層56Bは、赤色を呈する赤色表示層56aと緑色を呈する緑色表示層56bとの2層によって構成されているが、第1の吸収層56Aおよび第2の吸収層56Bの構成はこれに限らない。各層が呈する色は、赤、緑、青に限らない。また、第1の吸収層56Aを2層以上の層によって形成し、第2の吸収層56Bを1層または3層以上の層によって形成してもよい。
本実施形態は、第13実施形態と比較して、吸収層を構成する一部の層を基材39の一方の面に形成し、吸収層を構成する残りの一部の層を基材39の他方の面に形成した点が異なる。この場合でも第13実施形態と同様の効果が得られる。
[第15実施形態]
図24は、第15実施形態に係る光拡散フィルム72(光拡散部材)の断面図である。
なお、本実施形態において第14実施形態と共通の構成要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
本実施形態は、第14実施形態と比較して、第1の吸収層56Aが2層で構成され、第2の吸収層56Bが1層で構成されている点が異なる。光拡散フィルム72は、光拡散部40が設けられた側を表示体に向け、基材39の側を視認側に向けた姿勢で表示体上に配置される。
本実施形態の場合、第1の吸収層56Aは、緑色を呈する緑色表示層56bと青色を呈する青色表示層56cとの2層によって構成され、第2の吸収層56Bは、赤色を呈する赤色表示層56aによって構成されているが、第1の吸収層56Aおよび第2の吸収層56Bの構成はこれに限らない。
この構成においても、第14実施形態と同様の効果が得られる。
[第16実施形態]
図25は、第16実施形態に係る光拡散フィルム73(光拡散部材)の断面図である。
なお、本実施形態において第13実施形態と共通の構成要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
本実施形態において第13実施形態と異なる点は、基材39の第2の面39bに、吸収層56を覆って、光透過性を有する保護層74が形成されている点である。光拡散フィルム73は、光拡散部40が設けられた側を表示体に向け、基材39の側を視認側に向けた姿勢で表示体上に配置される。
保護層74は、第9実施形態の保護層66と同様の材料を用いることができる。本実施形態においては、吸収層56が保護層74で覆われているため、吸収層56を外圧による破壊などから保護することができる。
[第17実施形態]
図26は、第17実施形態に係る光拡散フィルム75(光拡散部材)の断面図である。
なお、本実施形態において第14実施形態と共通の構成要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
本実施形態において第14実施形態と異なる点は、基材39の第2の面39bに、第2の吸収層56Bを覆って、光透過性を有する保護層74が形成されている点である。光拡散フィルム75は、光拡散部40が設けられた側を表示体に向け、基材39の側を視認側に向けた姿勢で表示体上に配置される。
本実施形態においては、第2の吸収層56Bが保護層74で覆われているため、第2の吸収層56Bを外圧による破壊などから保護することができる。
[第18実施形態]
図27は、第18実施形態に係る光拡散フィルム76(光拡散部材)の断面図である。
なお、本実施形態において第15実施形態と共通の構成要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
本実施形態において第15実施形態と異なる点は、基材39の第2の面39bに、第2の吸収層56Bを覆って、光透過性を有する保護層74が形成されている点である。光拡散フィルム76は、光拡散部40が設けられた側を表示体に向け、基材39の側を視認側に向けた姿勢で表示体上に配置される。
本実施形態においては、第2の吸収層56Bが保護層74で覆われているため、第2の吸収層56Bを外圧による破壊などから保護することができる。
[第19実施形態]
図28は、第11実施形態ないし第18実施形態における光反射層41,51と色表示層56a,56b,56cとの配置の一例を示す平面図である。
色表示層56a,56b,56cは、光反射層41の少なくとも一部と重なるように配置されていればよく、その配置形態としては、図28(A)ないし図28(E)に示すように、種々のものが考えられる。色表示層56a,56b,56cは光反射層41からはみ出ていてもよいし、光反射層41と色表示層56a,56b,56cの形状が異なっていてもよい。
[第20実施形態]
図29は、本発明の第20実施形態に係る照明装置80の模式図である。図29(A)は、電源をOFFにした状態を示しており、図29(B)は、電源をONにした状態を示している。
照明装置80は、光源部82と、光源部82からの光を拡散する光拡散フィルム83(光拡散部材)と、を備えている。光拡散フィルム83は、ランプシェード部81に設置されている。光拡散フィルム83としては、例えば、第1実施形態ないし第19実施形態に記載した光拡散フィルムが用いられる。
図29(A)に示すように、光源部82の電源をOFFにすると、ランプシェード部81がミラーになったり、ランプシェード部81に図柄が表示されたりする。図29(B)に示すように、光源部82の電源をONにすると、外光よりも光源部82の明るさが相対的に明るくなるため、ミラーや図柄は見えなくなる。よって、電源OFF時にはミラーや図柄を表示し、電源ON時には通常のランプとして機能するデザイン照明を実現することができる。
[第21実施形態]
以下、本発明の第21実施形態について、図30および図31を用いて説明する。
図30は、本実施形態に係る採光フィルム100の断面図である。図31は、採光フィルム100の作用を説明する図である。
図30に示すように、採光フィルム100は、光透過性を有する基材101と、基材101の第1の面101aに形成された複数の光反射層102と、基材101の第1の面101aのうち光反射層102の形成領域以外の領域に形成された光拡散部103と、を備えている。図31に示すように、採光フィルム100は、光拡散部103が設けられた側を屋内150側に向け、基材101の側を屋外側に向けた姿勢で窓151に設置される。
ここで、「光反射層の形成領域以外の領域に形成された光拡散部」とは、光拡散部の一部分が光反射層に重なった状態に形成される場合を含むことを意味する。
基材101には、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルホン(PES)フィルム等の透明樹脂製の基材が好ましく用いられる。本実施形態では、基材の材料の一例として、屈折率が1.65のPETフィルムが用いられる。
基材101の厚さは、耐熱性や機械的強度を損なわない程度に薄い方が好ましい。基材101の全光線透過率は、JIS K7361−1の規定で90%以上が好ましい。全光線透過率が90%以上であると、十分な透明性が得られる。本実施形態では、一例として厚さが100μmの透明樹脂製基材が用いられる。
複数の光反射層102は、基材101の第1の面101aの法線方向から見て点在して配置されている。複数の光反射層102は、例えば、基材101上に点在して非周期的に、かつランダムに配置されている。一つの光反射層102を基材101の法線方向から見たときの平面形状は、例えば円形である。光反射層102の直径は、例えば10μmである。本実施形態の場合、複数の光反射層102は、全て同一の直径となっている。複数の光反射層102が基材101上に点在して形成されたことにより、光反射層102の非形成領域に位置する光拡散部103は、基材101上に連続して形成されている。
光反射層102は、可視光を反射する光反射材料によって構成されている。採光フィルム100は、屋外側から入射して基材101を透過した光(外光)を光反射層102で反射することによりミラーとして機能する。光反射層102は、少なくとも可視光域(380nm〜780nm)において光拡散部103よりも高い反射率を有していればよいが、ミラーとして機能させるためには、可視光域全域にわたって高い反射率が得られるものが好ましい。また、光反射層102は、光拡散部103の製造時に拡散光を遮るマスクとして用いられる場合があるため、光反射層102は、拡散光(紫外線)を十分に反射することが好ましい。また、採光フィルム100に、屋内から屋外への熱の流出および屋外から屋内への熱の流入を抑制するための遮熱効果を付与する場合には、光反射層102は、赤外光を反射することが好ましい。また、採光フィルム100に、屋外からの紫外線をカットする紫外線カット機能を付与する場合には、光反射層102は、外光(太陽光)に含まれる紫外線を反射することが好ましい。本実施形態では、光反射層102として、アルミニウムや銀などの金属反射膜が用いられる。
光拡散部103は、例えばアクリル樹脂やエポキシ樹脂等の光透過性および感光性を有する有機材料で構成されている。本実施形態の一例として、光拡散部103は、屈折率が1.50のアクリル樹脂で構成されている。光拡散部103の全光線透過率は、JIS K7361−1の規定で90%以上が好ましい。全光線透過率が90%以上であると、十分な透明性が得られる。
採光フィルム100における光反射層102の形成領域には、基材101の第1の面101aに平行な平面で切断したときの断面積が光反射層102側で大きく、光反射層102から離れるにつれて漸次小さくなる形状の中空部104(空隙部)が形成されている。複数の光反射層102が基材101上に点在して配置されていることに伴い、複数の光反射層102と同一の位置に形成される複数の中空部104も基材101上に点在して配置されている。
中空部104は、基材101側から見たとき、いわゆる順テーパー状の略円錐台状の形状を有している。中空部104の内部には、光拡散部103よりも屈折率の小さい低屈折率材料が配置される。低屈折率材料としては、例えば、空気が存在している。採光フィルム100の中空部104以外の部分、すなわち光拡散部103が連続して存在する部分は光の透過に寄与する部分である。基材101を介して光拡散部103に入射した光L1の一部は、当該光拡散部103と中空部104との界面で全反射しつつ、天井152側に出射される。
本実施形態の場合、中空部104には空気が存在しているため、光拡散部103を例えば透明樹脂で形成したとすると、光拡散部103の側面103cは透明樹脂と空気との界面となる。ここで、光拡散部103の内部と外部との界面の屈折率差は、中空部104が空気で充填されている方が、光拡散部103の周囲が他の一般的な低屈折率材料で充填されているよりも大きい。したがって、スネルの法則より、光拡散部103の側面103cで光が全反射する入射角範囲が広い。光が全反射する入射角範囲が狭ければ、光拡散部103の側面103cをそのまま透過して床153側に出射する光の割合が多くなるが、光が全反射する入射角度範囲が広ければ、光L1を効率的に天井152側に反射することができ、明るい照明が実現できる。
なお、中空部104には、低屈折率材料として、空気に代えて、窒素等の不活性ガスが充填されていても良い。もしくは、中空部103の内部が真空状態であっても良い。
光拡散部103は、第1の端面103aと、第2の端面103bと、側面103cと、を有する。第1の端面103aは、基材101に接する面である。第2の端面103bは、第1の端面103aと対向する面である。本実施形態の場合、第1の端面103aは光入射端面であり、第2の端面103bは光射出端面である。側面103cは、光拡散部103のテーパー状の側面(中空部104との界面)である。側面103cは、光入射端面103aから入射した光L1を反射する面である。第2の端面103bの面積は、第1の端面103aの面積よりも大きい。
光拡散部103の側面103cの傾斜角度(第2の端面103bと側面103cとのなす角度)は、75°以上85°以下が好ましい。本実施形態では、光拡散部103の側面103cの傾斜角度が75°である。ただし、光拡散部103の側面103cの傾斜角度は、光入射角度範囲にわたって光L1を天井152側に反射することが可能な角度であれば、特に限定されない。本実施形態において、光拡散部103の側面103cの傾斜角度は一定になっている。
光拡散部103の第2の端面103bから第1の端面103aまでの高さは、光反射層102の層厚よりも大きく設定されている。本実施形態の場合、光反射層102の層厚の層厚は一例として150nm程度である。光拡散部103の第2の端面103bから第1の端面103aまでの高さは一例として20μm程度である。光拡散部103の側面103cと光反射層102の層厚とにより囲まれた部分は、中空部104となっている。
なお、基材101の屈折率と光拡散部103の屈折率とは略同等であることが望ましい。基材101の屈折率と光拡散部103の屈折率とが大きく異なる場合には、基材101から第1の端面103bに光が入射する際に、光拡散部103と基材101との界面で不要な光の屈折や反射が生じることがある。この場合、外光を効率よく屋内150に取り込むことができない等の不具合が生じる虞がある。基材101の屈折率と光拡散部102の屈折率とが略同等である場合には、このような不具合は生じにくい。
臨界角を超える角度で入射した光L1は、側面103cで全反射して光拡散部103を透過し、天井152側へ射出される。側面103cに入射することなく光拡散部103を透過する光は、そのまま床153側へ射出される。臨界角以下の角度で入射した光も側面103cで全反射せず、光拡散部103の側面103cを透過して床153側に射出される。このように、屋外から光拡散部103に入射した光L1は、天井152側と床153側に振り分けられて屋内150に入射する。天井152に入射した光は、天井153で反射されて屋内150を照明する。このような光は間接照明として利用することができる。
屋外側から光反射層102に入射した光L2は、光反射層102によって屋外側に反射される。屋内150側から光反射層102に入射した光L3は、光反射層102によって屋内側に反射される。よって、屋内150側から見ても屋外側から見ても、採光フィルム100はミラーとして機能する。これにより、採光フィルム100にデザイン性を付与することができる。また、昼間は屋外の照度が高いため、屋外から見たときの反射率が高く、屋内150を見るときの視認性が低下する。夜は屋内150の照度が高いが、屋外へ抜ける光は光拡散部103の中で全反射と屈折によって曲げられるため、屋内の様子がぼやける。よって、プライバシー性を高める効果もある。この効果は、第1の端面103aの面積を第2の端面103bの面積よりも小さくし、光反射層102の面積が相対的に大きくなるようにした構成において顕著である。
さらに、光反射層102が赤外光を反射する機能を有していれば、夏場は屋内150の温度上昇を抑えることができ、冬場は屋外へ逃げる熱を少なくして暖房効率を高めることができる。光反射層102が紫外線を反射する機能を有していれば、屋内150の紫外線による家財のダメージを軽減することができる。
以上のように、本実施形態の採光フィルム100によれば、光拡散部103以外の部分に光反射層102が形成されているため、デザイン性やプライバシー性を高めた採光フィルムを提供することができる。光反射層102によって紫外線を反射させるようにすれば紫外線カット機能を、赤外光を反射させるようにすれば遮熱機能を、それぞれ採光フィルム100に付与することができる。
[第22実施形態]
図32は、第22実施形態に係る採光フィルム106の断面図である。
なお、本実施形態において第21実施形態と共通の構成要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
本実施形態において第21実施形態と異なる点は、光反射層102の基材101とは反対側であって、且つ、基材101の第1の面101aのうち、第1の面101aの法線方向から見て光反射層102の形成領域と対向する領域に、可視光の一部を吸収して所定の色を呈する吸収層105が形成されている点である。採光フィルム106は、光拡散部103が設けられた側を屋内側に向け、基材101の側を屋外側に向けた姿勢で窓に設置される。
本実施形態の採光フィルム106では、吸収層105を特定の領域に配置することによって、色つきの図形や図柄を表示できるようにしている。色を表示したいポイントの光反射層102に吸収層105を積層することによって色表示が実現される。吸収層105は、例えば、カラーフィルターなどで使用される公知の色レジストによって形成される。
本実施形態においては、吸収層105によって色つきの図形や絵柄が表示でき、デザイン性が高められる。また、図14および図15を用いて説明したように、光反射層102がドット状に形成されているので、吸収層105のパターニングや位置決めなどに高い精度が要求されない。よって、図形や絵柄を表示させるのが容易である。
[第23実施形態]
図33は、第23実施形態に係る採光フィルム107の断面図である。
なお、本実施形態において第21実施形態と共通の構成要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
本実施形態において第21実施形態と異なる点は、光拡散部103の基材101とは反対側に、光透過性を有する保護フィルム108が設けられ、保護フィルム108によって、光拡散部103の側面103cによって囲まれた空間(中空部104)の一端が閉塞されている点である。
保護フィルム108は、光拡散部103の第2の端面103bの全面を覆うとともに、中空部104の一端側を塞いで中空部104を密閉している。中空部104は、側方を光拡散部103によって囲まれるとともに、その屋内側の一端が保護フィルム108によって閉塞され、屋外側の他端が光反射層102によって閉塞されている。
中空部104は、空気層によって形成されている。空気は、光拡散部103を構成する樹脂よりも熱伝導率が低い。そのため、中空部104は、断熱層として機能する。例えば、常温(300K前後)の空気の熱伝導率は、0.0025(W/m・K)であり、常温のエポキシ樹脂の熱伝導率は、0.17〜0.25(W/m・K)である。ちなみに、常温のフロートガラスの熱伝導率は、1(W/m・K)である。
熱の伝導は主に光拡散部103を介して行われる。伝熱量は、光拡散部103の厚みに反比例するため、断熱効果を高めるためには、光拡散部103の厚みを厚くすることが好ましい。また、複層ガラスを用いた窓ガラスに本実施形態の採光フィルム107を適用することにより、より大きな断熱効果が得られる。
本実施形態の採光フィルム107においては、中空部104が断熱層として機能するため、夏場は屋内の温度上昇を抑えることができ、冬場は屋外へ逃げる熱を少なくして暖房効率を高めることができる。
[第24実施形態]
採光フィルムの構成は、図30、図32、図33に記載したものに限らない。採光フィルムの構成については、第2実施形態ないし第19実施形態に示したような様々なバリエーションが可能である。
例えば、図30、図32または図33に図5の構成を適用した採光フィルムとして、光反射層102を光拡散部103の非形成領域の一部のみに形成した採光フィルムを用いることができる。
図30、図32または図33に図7の構成を適用した採光フィルムとして、光透過性を有する基材101と、基材101の第1の面101aに形成された複数の光反射層102と、基材101の第1の面101aと対向する第2の面101bのうち、第2の面101bの法線方向から見て光反射層102の形成領域以外の領域に形成された光拡散部103と、を備え、光拡散部103は、基材101に接する第1の端面103aと、第1の端面103aに対向する第2の端面103bと、を有する採光フィルムを用いることができる。
図30、図32または図33に図8の構成を適用した採光フィルムとして、基材101の第1の面101aに、光反射層102を覆って、光透過性を有する保護層が形成されている採光フィルムを用いることができる。
これらの構成においては、第1の端面103aは光入射端面であり、第2の端面103bは光射出端面であり、第2の端面103bの面積は第1の端面103aの面積よりも大きいことが好ましい。
[第25実施形態]
図34は、光反射層の平面形状のバリエーションを示す図である。
第21実施形態ないし第23実施形態では、光反射層102を円形としたが、光反射層102の形状はこれに限定されない。例えば、ストライプ状(図34(A))、楕円状(図34(B)、図34(E))、三角形状(図34(C)、図34(F))、矩形状(図34(D))や、バームクーヘンを切り描いたような弓型形状(図34(I))の光反射層102を用いてもよい。また、互いに形状の異なる複数種類の光反射層102を混在させてもよい(図34(G)、図34(H))。この点は、第1実施形態ないし第20実施形態の光反射層41,51についても同様である。光反射層41,51の形状としては、ストライプ状、楕円状、三角形状、矩形状や、バームクーヘンを切り描いたような弓型形状などの種々の形状が可能である。
[第26実施形態]
図35は、光拡散部の断面形状のバリエーションを示す図である。
なお、図35において、符号201は基材を示しており、符号202は光反射層を示しており、符号203は光拡散部を示しており、符号θは、光拡散部203の側面203cの傾斜角度(基材201と側面203cとのなす角度)を示している。
第1実施形態ないし第25実施形態では、図35(A)に示すように、第1の端面203aの面積が第2の端面203bの面積よりも小さい逆テーパー状の光拡散部203(θ<90°)を用いたが、光拡散部の形状はこれに限定されない。例えば、図35(B)に示すように、第1の端面203aの面積が第2の端面203bの面積よりも大きい順テーパー状の光拡散部203(θ>90°)や、第1の端面203aの面積と第2の端面203bの面積とが等しい矩形状の光拡散部203(θ=90°)を用いてもよい。